説明

泡質改善剤及びこれを含有する洗浄料

【課題】洗浄時にクリーミーな泡の泡立ちに優れ、且つ使用後の毛髪及び皮膚にしっとり感を与えることのできる洗浄料を提供すること。
【解決手段】(メタ)アクリル系ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと(メタ)アクリルアルキル系疎水性モノマーと2官能性(メタ)アクリルポリエチレンオキサイド系架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体からなる泡質改善剤及びこれを含有する洗浄料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡質改善剤及びこれを含有する洗浄料に関する。さらに詳しくは、洗浄時の泡立ちに優れ、使用後の毛髪及び皮膚にしっとり感となめらかさを与えることのできる泡質改善剤及びこれを含有する洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪及び皮膚に対する洗浄料は使用時及び使用後の感触が重視される。すなわち、本来の機能である洗浄力に加えて、洗浄時に生じる泡質や、洗浄後に与える感触が特に重要視される。泡質については、特に気泡の細かいクリーミーな泡質が好まれる傾向にある。一方、洗浄後の感触については、しっとりした感触を与えることが望まれているが、洗浄力の高い界面活性剤を配合した洗浄料は、毛髪や皮膚を必要以上に脱脂してしまう場合がある。
【0003】
そこで、洗浄料基剤中に各種高分子を配合することによって、その泡質や使用感触を改良することが広く行なわれている。例えば、ポリ塩化ジメチルジアリルアンモニウムあるいは塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体を配合した洗浄料(例えば、特許文献1参照)、アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体を配合した洗浄料(例えば、特許文献2、3参照)、あるいはグルコシルオキシエチルメタクリル酸/塩化メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウム共重合体を配合した洗浄料(例えば、特許文献4参照)等が知られている。
【0004】
しかしながら、これらの洗浄料は、いずれも泡質や使用感触の改良が必ずしも十分とは言えない。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−4799号公報
【特許文献2】特開2001−64678号公報
【特許文献3】特開2003−73257号公報
【特許文献4】特開2003−306515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等は上記事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定の疎水性モノマー及びノニオン性モノマーを重合させて得られる共重合体が優れた泡質改善効果を発揮し、特にアニオン性界面活性剤と組み合わせて用いることにより、使用時に気泡の細かいクリーミーな泡が得られ、その泡立ちが向上し、しかも洗浄後のしっとり感となめらかさを著しく改善できる洗浄料が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の目的は、気泡の細かいクリーミーな泡立ちに優れ、且つ使用後の毛髪及び皮膚にしっとり感となめらかさを与えることが可能な洗浄料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと下記式(2)の疎水性モノマーと下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体からなる泡質改善剤を提供するものである。



【化1】

(1)
1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは20〜200の数である。XはHまたはCH3を表す。
【化2】

(2)
2は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、R3は炭素原子数1〜8のアルキルを表す。
【化3】

(3)
4とR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは0〜2の数である。
【0009】
また、本発明は、下記(A)、(B)、(C)、(D)の条件下に、前記(1)〜(3)のモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる共重合体のミクロゲルからなる泡質改善剤を提供するものである。
(A)疎水性モノマーは炭素原子数1〜8のアルキルを有するメタクリル酸誘導体を一種もしくは二種以上を混合した組成であること
(B)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(C)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(D)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜30:10〜70(20℃の容積比)であること
【0010】
さらに、本発明は、上記の泡質改善剤を含有することを特徴とする洗浄料を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、アニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする上記の洗浄料を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の泡質改善剤は、洗浄料の粘度を高めることなく、使用時の泡立ちを向上させることが出来る。そのため、容器から取り出しやすく、泡立ちに優れた洗浄料を提供できる。また、界面活性剤の配合量を少なくすることが出来る。さらに、皮膚及び毛髪洗浄料においては、しっとり感となめらかさの点で極めて優れた使用感を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳述する。
【0014】
「本発明に用いる共重合体」
式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーは、例えばAldrich社から市販されている試薬、あるいは日本油脂から発売されているブレンマー(登録商標)を使用することが出来る。これら市販品の式(1)のポリエチレンオキサイド部分の分子量(即ちnの値)は幅広く、これを使用することができる。このポリエチレンオキサイド部分の分子量の好ましいサイズはn=20〜200のものである。例えば、日本油脂製ブレンマー(登録商標)PME1000あるいはブレンマー(登録商標)PME4000などが好適である。
【0015】
式(2)の疎水性モノマーは、例えば、Aldrich社もしくは東京化成社から市販されている試薬を使用することができる。式(2)のR3のアルキル鎖は炭素原子数1〜8のアルキルである。式(2)は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸へプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸へプチル、メタクリル酸オクチルなどである。特に、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレートが好適である。これらの疎水性モノマーは汎用原料であり、一般工業原料としても容易に入手することができる。
【0016】
式(3)の架橋性モノマーは、市販の試薬あるいは工業用原料として入手が可能である。この架橋性モノマーは疎水的であることが好ましい。式(3)のmの値は好ましくは1〜3である。具体的にはAldrich社から発売されているエチレングリコールジメタクリレート、日本油脂製ブレンマー(登録商標)PDE−50などが好適である。
【0017】
本発明に用いる共重合体は、任意の重合法により上記モノマーを共重合体させたものであるが、特に下記(A)、(B)、(C)の条件下に、前記(1)〜(3)のモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる共重合体(ミクロゲル)であることが好ましい。
(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜30:10〜70(20℃の容積比)であること
【0018】
(A)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量は、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)の範囲でコロナ−コア型ミクロゲルが重合可能である。エチレンオキサイドマクロモノマーの仕込み量が、モル比で疎水性モノマーの10分の1を下回ると重合されるポリマーは水溶性になり、コロナ−コア型ポリマーミクロゲルは形成しない。また、ポリエチレンオキサイドマクロモノマーのモル量に対して疎水性モノマーが250倍以上になるとポリエチレンオキサイドマクロモノマーによる分散安定化が不完全になり不溶性の疎水性モノマーによる疎水性ポリマーが凝集、沈殿する。ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み比は、好ましくは1:10〜1:200の範囲である。さらに好ましくは1:25から1:100の範囲である。
【0019】
(B)の架橋性モノマーを共重合することでコア部分の疎水性ポリマーが架橋されたミクロゲルを重合することが出来る。架橋性モノマーの仕込み量が疎水性モノマーの仕込み量の0.1重量%未満であると、架橋密度が低く、このミクロゲルは膨潤時に崩壊してしまう。また1.5重量%を上回ると、ミクロゲル粒子同士の凝集が生じ、粒度分布の狭い好適なミクロゲル粒子を重合することは出来ない。好ましい架橋性モノマーの仕込み量は、0.2〜1.0、さらに好ましくは0.2〜0.8、最も好ましくは0.2〜0.5質量%である。
【0020】
(C)の重合溶媒である水/エタノールの混合比は、水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜30:10〜70(20℃の容積比)である。重合溶媒は疎水性モノマーを均一溶解するためにエタノールを加えることが必要である。エタノールの混合比は10〜60容量比である。エタノールの混合比が10容量比より低い場合は疎水性モノマーを可溶化することが困難になり、重合されるミクロゲル粒子の粒度分布が広くなってしまう。またエタノールの混合比が60容量比を上回ると、重合されるポリマーは重合溶媒に溶解してしまい、ミクロゲル粒子は得られない。好ましい水/エタノールの混合比は、水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜60:10〜40(20℃の容積比)である。さらに好ましくは水:エタノール=80〜70:20〜30(20℃の容積比)である。
【0021】
この重合系に用いられる重合開始剤は通常の水溶性熱ラジカル重合に用いられる市販の重合開始剤を用いることが出来る。
この重合系では特に攪拌条件を厳密にコントロールすることなく重合を行っても重合されるミクロゲル粒子の粒度分布は非常に狭いものを得ることが出来る。
【0022】
本発明で使用するミクロゲルは、親水性マクロモノマーと疎水性モノマーとが溶媒中にて図1に示すように秩序化が起り、粒子径がほぼ一定で、かつコア部分が架橋されたコロナ−コア型高分子ミクロゲルが生成すると考えられる。
【0023】
なお、上記ミクロゲルは、非イオン性高分子であるポリエチレンオキサイド鎖で安定化されたミクロゲルであり、水中での分散安定性、耐酸性及び耐塩性が期待できる。
【0024】
本発明の洗浄料は、上記共重合体からなる泡質改善剤を洗浄料に配合することにより製造される。あらかじめ泡質改善剤の粉末を水及び/又はアルコール中に混合分散させた溶液を洗浄料に配合することが好ましい。泡質改善剤の配合量は特に限定されず任意であるが、洗浄料全量に対して0.001〜10.0質量%が好ましい。
【0025】
本発明において、上記共重合体は、洗浄料に僅か0.001質量%配合するだけで泡立ちが向上することが確認でき、その配合により界面活性剤の配合量を減らすことが可能である。従来の技術では、泡立ちの向上させるため高分子を高配合する結果、洗浄料の粘度が高くなり、容器から取り出しにくくなるという問題点があった。
【0026】
<アニオン性界面活性剤>
本発明の洗浄料は、上記の上記共重合体とアニオン性界面活性剤とを組み合わせて用いることによって、その泡立ちを向上させることが出来る。
【0027】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0028】
上記アニオン界面活性剤は特に限定されず、任意の一種又は二種以上を使用して好ましい洗浄料が構成される。ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等の金属脂肪酸セッケンを配合することが好ましい。
【0029】
アニオン界面活性剤の配合量も特に限定されないが、通常、洗浄料全量に対して1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%である。本発明においては、泡立ちが良くなる結果、その配合量を少なくできるという利点がある。
【0030】
本発明の洗浄料は、水に上記構成成分を混合し、さらに洗浄料に配合可能な成分を適宜混合して常法により製造される。好ましい製品としては、シャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ、洗顔料などの毛髪洗浄料又は皮膚洗浄料である。
【実施例】
【0031】
次に実施例を挙げて本発明を説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。最初に、実施例に使用した共重合体(ミクロゲル)の製造例を示す。配合量は特に断りのない限り、質量%で表す。
【0032】
「ミクロゲルの製造例」
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=60:40容量比)50mLにPME−4000、メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート(nBMA)、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)およびエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を溶解する。十分溶解した後、2,2'アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。重合終了後、重合液を室温に戻した後、重合液を水に対して5日間透析して、残存モノマーを除去し、同時に分散液を水に置換する。
用いたモノマーの量(g)を「表1」に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
比較例として、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体を配合した皮膚および毛髪洗浄料も評価する。
【0035】
「比較例の共重合体の製造例」
塩化ジメチルジアリルアンモニウムモノマーの65.5%水溶液40.1g(163mmol)、アクリルアミド54.0g(380mmol)、精製水106.6gを攪拌器のある反応容器に入れ、窒素を入れて30分間パージしたのち、60℃に加熱し、過硫酸アンモニウム1.7gを加えた。その後、20時間反応させ重合を完結させたのち、精製水で固形分濃度が約10%になるように希釈し、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体(モル比:3/7、重合度90万)を得た。
【0036】
次に評価基準を示す。
【0037】
「評価(1):容器からの取り出しやすさ」
各洗顔料をチューブまたはポンプ容器からの取り出しやすさについて、専門パネラー10名により、以下の評価基準に基づいて実使用試験を実施し、平均点を算出した。
4点:取り出しやすい。
3点:やや取り出しやすい。
2点:やや取り出しにくい。やや硬い。
1点:取り出しにくい。硬い。
【0038】
「評価(2):洗浄時の泡立ち」
各洗顔料の泡立ち(気泡の細かいクリーミーな泡が得られるかどうか)について、専門パネラー10名により、以下の評価基準に基づいて実使用試験を実施し、平均点を算出した。
5点:泡立ちがよい。
4点:やや泡立ちがよい。
3点:普通。
2点:やや泡立ちがわるい。
1点:泡立ちがわるい。
【0039】
「評価(3):洗浄後の肌のしっとり感」
各洗顔料を用いて洗浄後の肌のしっとり感について、専門パネラー10名により、以下の評価基準に基づいて実使用試験を実施し、平均点を算出した。
5点:しっとり感がある。
4点:ややしっとり感である。
3点:普通。
2点:ややしっとり感がない。
1点:しっとり感がない。
【0040】
「評価(4):洗浄後の肌のなめらかさ」
各洗顔料を用いて洗浄後の肌のなめらかさについて、専門パネラー10名により、以下の評価基準に基づいて実使用試験を実施し、平均点を算出した。
5点:なめらかである。
4点:ややなめらかである。
3点:普通。
2点:ややなめらかなでない。
1点:なめらかなでない。
【0041】
「評価に用いた洗顔料組成」
共重合体 表2記載の配合量
グリセリン 15.0質量%
ソルビット液(70%) 20.0
ポリエチレングリコール 5.0
ラウリン酸 5.0
ミリスチン酸 12.0
パルミチン酸 5.0
ステアリン酸 10.0
水酸化カリウム 6.0
イオン交換水 残量
【0042】
上記処方にて調製した各共重合体を配合した洗顔料について、上記評価基準に基づいて評価した。洗顔料中の共重合体の配合組成と評価結果とを下記表1に併せて示す。
【0043】
【表2】

【0044】
上記表1に示されるように、共重合体を全く配合していない試験例1−9の洗顔料では(比較例2)、洗浄時の泡質が劣っており、洗浄後の肌のしっとり感、なめらかさも得られていない。一方で、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミドの共重合体を配合した試験例1−8では(比較例1)、泡立ち、しっとり感、なめらかさ共に若干改善されてはいるものの、十分な効果が得られているものとは言い難く、また高配合により組成物の粘度が高くなり容器からの取出しが困難であった。これら4点を総合的に見ても十分な改善がみられない。
これに対して、ミクロゲルを配合した試験例1−1〜1−7の洗顔料においては(実施例1〜7)、容器から取り出しやすく、洗浄時の泡立ちが極めて優れているとともに、洗浄後の肌のしっとり感、なめらかさが著しく改善されているものであることが明らかとなった。
【0045】
次に、洗浄料に配合する共重合体の好適な配合量について検討するため、製造例4の共重合体を配合した洗顔料を調製し、上記評価基準にて評価を行い、表2に併せて示す。
【0046】
【表3】

【0047】
上記表3に示されるように、試験例2−1〜2−6(実施例8〜13)と、試験例2−7(比較例3)とから、共重合体の配合量を0.001〜10.0質量%に調整することにより、泡立ち、しっとり感、なめらかさの改善が見られる。試験例2−2〜2−5(実施例9〜12)から、特に0.01〜5.0質量%であることが好ましい。
【0048】
以下に本発明のその他の実施例を挙げる。本発明の製品はこれらに限定されるものではない。
【0049】
「実施例14:洗顔料」
配合量(質量%)
(1)製造例1の共重合体 0.5
(2)グリセリン 15.0
(3)ポリエチレングリコール400 5.0
(4)ラウリン酸 5.0
(5)ミリスチン酸 10.0
(6)パルミチン酸 10.0
(7)ステアリン酸 15.0
(8)ラウロイルメチルタウリンナトリウム 5.0
(9)脂肪酸モノグリセリド 1.0
(10)モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
(11)水酸化カリウム 6.0
(12)イオン交換水 残 部
(13)香料 適 量
(製法)
(12)中に、(2)〜(10)を加え、75℃で加温し、溶解する。溶解後、(11)で中和し、その後(1)および(13)を加えて十分攪拌後、冷却した。
上記洗顔料は、洗浄時の泡立ちとともに、洗浄後の肌のしっとり感、なめらかさに極めて優れているものであった。
【0050】
「実施例15:ボディーシャンプー」
配合量(質量%)
(1)製造例7の共重合体 0.5
(2)グリセリン 15.0
(3)ポリエチレングリコール400 5.0
(4)ラウリン酸 2.0
(5)ミリスチン酸 5.0
(6)パルミチン酸 5.0
(7)ステアリン酸 7.0
(8)ラウロイルメチルタウリンナトリウム 5.0
(9)ラウリルグリコール酢酸ナトリウム 1.0
(10)水酸化カリウム 3.0
(11)イオン交換水 残 余
(12)香料 適 量
(製法)
(11)中に、(2)〜(9)を加え、75℃で加温し、溶解する。溶解後、(10)で中和し、その後(1)および(12)を加えて十分攪拌後、冷却した。
上記のボディーシャンプーは、洗浄時の泡立ちとともに、洗浄後の肌のしっとり感、なめらかさに極めて優れているものであった。
【0051】
「実施例16:頭髪用シャンプー」
配合量(質量%)
(1)製造例1の共重合体 0.2
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 4.0
(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン 1.0
(4)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5.0
(5)クエン酸 0.05
(6)塩化ナトリウム 0.5
(7)安息香酸ナトリウム 適量
(8)イオン交換水 残余
(9)香料 適量
(製法)
(8)中に、(2)〜(7)を加え、75℃で加温し、溶解する。溶解後、その後(1)および(9)を加えて十分攪拌後、冷却した。
上記頭髪用シャンプーは、洗浄時の泡立ちとともに、洗浄後の毛髪のしっとり感、なめらかさに極めて優れているものであった。
【0052】
「実施例17:ハンドソープ」
配合量(質量%)
(1)イオン交換水 残余
(2)製造例4の共重合体 1.0
(3)ミリスチン酸 1.0
(4)ラウリン酸 10.0
(5)パルミチン酸 9.0
(6)ステアリン酸 1.0
(7)グリセリン 5.0
(8)ラウラミドプロピルベタイン 2.0
(9)ジエチレントリアミン5酢酸5Na 適量
(10)コカミドDEA 0.4
(11)塩化ナトリウム 1.0
(12)ベンザルコニウムクロリド 0.03
(13)ラウラミノプロピオン酸 1.0
(14)PEG/PPG-10/30コポリマー 0.4
(15)カテキン 適量
(16)水酸化カリウム 5.0
(17)エタノール 2.0
(製法)
(1)中に、(2)〜(15)を加え、75℃で加温し、溶解する。溶解後、(16)で中和し、その後(17)を加えて十分攪拌後、冷却した。
上記ハンドソープは、洗浄時の泡立ちとともに、洗浄後の肌のしっとり感、なめらかさに極めて優れているものであった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の泡質改善剤は、皮膚及び毛髪洗浄料に添加することにより、その粘度を高めることなく、気泡の細かいクリーミーな泡立ちに優れ、さらにしっとりさ、なめらかさといった使用感に極めて優れている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に使用するミクロゲルのコロナ−コア型高分子ナノスフェア生成メカニズムを示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと下記式(2)の疎水性モノマーと下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体からなる泡質改善剤。
【化1】

(1)
1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは20〜200の数である。XはHまたはCH3を表す。
【化2】

(2)
2は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、R3は炭素原子数1〜8のアルキルを表す。
【化3】

(3)
4とR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは0〜2の数である。
【請求項2】
下記(A)、(B)、(C)、(D)の条件下に、前記(1)〜(3)のモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる共重合体のミクロゲルからなる泡質改善剤。
(A)疎水性モノマーは炭素原子数1〜8のアルキルを有するメタクリル酸誘導体を一種もしくは二種以上を混合した組成であること
(B)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(C)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(D)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜30:10〜70(20℃の容積比)であること
【請求項3】
請求項1又は2記載の泡質改善剤を含有することを特徴とする洗浄料。
【請求項4】
アニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項3記載の洗浄料。

【図1】
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【公開番号】特開2007−302712(P2007−302712A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129421(P2006−129421)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】