波長ルータ
【課題】スペクトルバンドを入力ポート(12)と出力ポート(15)との間に選択的に方向付ける波長ルータを提供する。
【解決手段】上記ルータは、上記入力ポートと上記出力ポートとの間に配置された自由空間光学縦列と、経路設定メカニズム(30)とを含む。上記自由空間光学縦列は、エアスペースエレメント(20、25)を含み得るか、または、モノリシック構成であり得る。上記光学縦列は、回折格子などの分散エレメント(25)を含み、該入力ポートからの光が該分散エレメントと2回当たった後に上記出力ポートに到達するような構成にされる。上記経路設定メカニズム(30)は、ルーティングエレメントを1つ以上含み、上記光学縦列中の残りのエレメント(37)と協働して、上記スペクトルバンドのサブセットを所望の出力ポートに結合させる光路を提供する。
【解決手段】上記ルータは、上記入力ポートと上記出力ポートとの間に配置された自由空間光学縦列と、経路設定メカニズム(30)とを含む。上記自由空間光学縦列は、エアスペースエレメント(20、25)を含み得るか、または、モノリシック構成であり得る。上記光学縦列は、回折格子などの分散エレメント(25)を含み、該入力ポートからの光が該分散エレメントと2回当たった後に上記出力ポートに到達するような構成にされる。上記経路設定メカニズム(30)は、ルーティングエレメントを1つ以上含み、上記光学縦列中の残りのエレメント(37)と協働して、上記スペクトルバンドのサブセットを所望の出力ポートに結合させる光路を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願と相互参照)
本願は、1999年11月16日に出願された、米国特許出願第09/442,061号の一部継続出願であり、本出願の全開示(付属および付録を含む)は、本明細書のために完全に参考として援用する。
【0002】
(発明の背景)
本願は、概して、光ファイバ通信に関し、さらに詳細には、異なる出力ポートへの光線の異なるスペクトルバンドの経路を設定する(または逆に、入力ポートへの異なるスペクトルバンドの経路を、出力ポートで設定する)技術およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
インターネットおよびデータ通信は、バンド幅に対するグローバルな需要の拡大を引き起こしている。光ファイバ通信システムは現在、高密度波長分割多重方式(DWDM)と称する比較的新しい技術を展開して、この需要を満たす助けとなる新しい、および既存の光ファイバシステム能力を向上させている。DWDMにおいては、光の複数の波長が、単一の光ファイバを介して同時に情報を伝達する。各波長はデータのストリームを運ぶ個々のチャネルとして動作する。ファイバの伝達能力は、使用されるDWDMチャネルの数によって倍増される。80チャネルまで使用する今日のDWDMシステムは、複数の製造者から入手可能であり、将来においてはより有望である。
【0004】
あらゆる通信ネットワークにおいて、個々のチャネル(または回路)をエンドカスタマなどの個々の目標ポイント、または別のネットワークに接続する必要がある。これらの機能を行うシステムは交差接続(cross connection)と称される。さらに、中間ポイントで特定のチャネルを付加またはドロップ(drop)する必要がある。これらの機能を行うシステムは、アド−ドロップマルチプレクサー(ADMs)と称される。これらのネットワーク機能のすべてが、現在、電子装置、典型的には電子SONET/SDHシステムによって行われる。しかし、SONET/SDHシステムは単一の光チャネルだけを処理するように設計されている。多重波長システムは、多くの光チャネルを処理するのと並行して動作する複数のSONET/SDHシステムを必要とする。このために、SONET/SDH技術を使ってDWDMネットワークをスケールすることが困難で高価となる。
【0005】
この代替物は全光ネットワークである。波長レベルで動作するように設計された光ネットワークは、広く「波長経路設定ネットワーク」(wavelength routing networks)または「光伝達ネットワーク」(optical transport networks)(OTN)と呼ばれる。波長経路設定ネットワークにおいては、DWDMファイバにおける個々の波長は処理し易くなければならない。波長レベルで動作する新しいタイプの光ネットワークエレメントが、交差接続、ADMおよび他のネットワーク切換え機能を行うのに必要とされる。主要機能のうちの2つは、光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)および波長設定を行う交差接続(WSXC)である。
【0006】
今日、波長経路設定機能を任意に行うために、光ストリームは、最初に、各々が個々の光ファイバ上にある多くの個々の波長に、多重化を解除(de−multiplex)されるかまたはフィルタリングされなければならない。その後、個々の波長のそれぞれは、広く光交差接続(OXC)と呼ばれる光学スイッチの大きなアレイを用いて、ターゲットファイバに方向付けられなければならない。最後に、波長の全てが目的地ファイバを通って進行し続ける前に、再多重化されなければならない。この複合的なプロセスは、複雑で、非常に高価であり、システムの信頼性を低減し、システム管理を複雑にする。OXCは特に技術的に難問である。典型的な40チャネルから80チャネルのDWDMシステムは、波長のすべてを完全に交差接続するのに何千というスイッチが必要である。条件を満たす光学仕様を提供する光学機械式スイッチは大きすぎ、高価すぎ、広範囲に及ぶ展開に関しては信頼できない。新しい材料に基づいた新たな統合半導体技術が研究されてはいるが、いまだ商業的用途にはほど遠い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、業界は積極的に、高波長カウントシステムの、費用高価の高いおよび信頼し得るインプリメンテーションを可能にする、全光波長経路設定の解決策を探し求めている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、1つの入力ポートと1セットの出力ポートとの間(逆にまた、その複数の出力ポートとその1つの入力ポートとの間)に、スペクトルバンドの柔軟性のある有効な経路設定を可能とする波長ルータを提供する。
【0009】
本発明の一実施形態は入力ポートと出力ポートとの間に配置された自由空間の光学縦列および経路設定メカニズムを含む。自由空間光学縦列は空気分離型エレメントを含み得るか、または概してモノリシック構成であり得る。光学縦列は、回折格子のような分散エレメントを含み、任意の出力ポートに達する前に、入力ポートからの光が分散エレメントに2回当たるように構成される。経路設定メカニズムは、1つ以上のルーティングエレメントを含み、光学縦列内の他のエレメントと協力して、スペクトルバンドの所望のサブセットを所望の出力ポートに連結させる光路を提供する。ルーティングエレメントは、分散エレメントとの最初の当たることによって空間的に分離された後、異なるスペクトルバンドを遮断するように配置される。
【0010】
本発明は、動的(切換え)な実施形態および静的な実施形態を含む。動的な実施形態においては、経路設定メカニズムは、1つ以上のルーティングエレメントを含み、そのルーティングエレメントの状態がそのフィールドにおいて動的に変更され、切り換えをもたらし得る。静的な実施形態においては、ルーティングエレメントは、製造時または長期正常動作中にその構成が変更されないようになっている環境のもとで、構成される。
【0011】
最も全般的なケースでは、スペクトルバンドのヌルセット(スペクトルバンドは1つも存在しない)および全セットを含む、スペクトルバンドの任意のサブセットは、任意の出力ポートに方向付けられ得る。しかし、本発明が可能な限り全の経路設定を提供できなければならないという条件はない。更に、概して、スペクトルバンドの数が出力ポートの数より多いか少ないかに関しては制限がない。
【0012】
本発明の実施形態によっては、経路設定メカニズムが1つ以上の逆反射体を含み、各々が、分散エレメントとの第1の当たることの後、スペクトルバンドの各1つを遮断し、光を制御可能な横方向のオフセットを使って反対方向に方向付けるように配置される。他の実施形態においては、経路設定メカニズムは1つ以上に傾斜ミラーを含み、その各々が、制御可能な角度オフセットを使って、スペクトルバンドの1つを再方向付けし得る。逆反射体をインプリメントするのに多くの方法があり、その方法は、移動可能な屋根型プリズムとして、または固定および回転ミラーを含むサブアセンブリとしてなどが含まれる。
【0013】
実施形態によっては、ビームは分散エレメントに当たる前にコリメートされ、その結果、各スペクトルバンドが波長に伴って変化する角度で進むコリメートされたビームとして出ていく。分散されたビームは、その後、各ルーティングエレメントに再び焦点を定め、各ルーティングエレメントの性質によって決定されるように、出力ポートを抜け出る前に、光学縦列における同じエレメントおよび分散エレメントに当たるように方向を戻す。本発明のいくつかの実施形態は、他の実施形態が球面レンズを用いるのに対して、円筒形レンズを用いる。本発明の実施形態によっては、光出力および分散は、コンピュータ生成ホログラフのような単一のエレメント内で兼ね備えられる。
【0014】
経路を設定された各チャネルが、比較的平坦なトップを有するバンドの形状によって特徴付けられるスペクトル転送(spectral transfer)機能を有するように、本発明の実施形態を構成することが望ましい。これは、個々のルーティングエレメントのスペクトル許容範囲よりも微細な分解度を有するように、分散エレメントを構成することによって達成される。当該の多くのケースにおいて、ルーティングエレメントは大きさによって分けられ、間隔をあけられて、規則的な間隔で空間を入れたバンドを遮断する。バンドはバンド間隔より狭く、分散エレメントはバンド間隔よりかなり微細な分解度を有する。
【0015】
本発明の他の側面によると、光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)、波長設定交差接続(WSXC)、およびドロップ−アンド−リピートOADMが、背中合わせ、またはその反対に、向かい合わせの配置と呼ばれ得る種々の配置で波長ルータを使って構築され得る。各波長ルータは、「前方向」モードにある場合、1つの入力ポートおよび複数の出力ポートを有し、入力ポートでの複数のスペクトルバンドのサブセットを、所望の出力ポートに方向付けるという機能性を備える。波長ルータは可逆的であり、それで「後方向」モードでは、入力ポートは出力ポートとなり、出力ポートが入力ポートとなり、デバイスは、後方向モードで入力ポートと見なされる複数のポートで光を組み合わせ、後方向モードでは、出力ポートと見なされるポートから出ていくという機能性を備える。しかし、説明をわかりやすくするために、光の方向に関して波長ルータがどの方向に面しているかに関わらず、波長ルータは1つの入力ポートおよび複数の出力ポートを有するという観点から説明される。
【0016】
本発明の1つの側面による光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)は、各波長ルータが1つの入力ポートおよび複数の出力ポートを有する第1波長ルータを含む。第1および第2波長ルータは背中合わせの配置で接続される。第1波長ルータの出力ポートの第1サブセットは、第2波長ルータの出力ポートの対応する第1サブセットと光学的に通信し、第1波長ルータの出力ポートの第2サブセットがドロップ機能性を提供し、第2波長ルータの出力ポートの対応する第2サブセットは付加機能を提供する。従って、第1波長ルータの入力ポートに入射する光のうち、選定されたスペクトルバンドが第2の波長ルータに伝送され、第2の波長ルータの入力ポートを通って射出する。一方、選定されたスペクトルバンドは、終了したトラフィックとして、またはさらなる処理のためにドロップされる。第2波長ルータの出力ポートはスペクトルバンドを開始トラフィック(originating traffic)として受け入れ得、これらのスペクトルバンドは第1波長ルータから第2波長ルータに伝送されるスペクトルバンドと結合され、結合された光は第2波長ルータ入力ポートから射出する。
【0017】
本発明の1つの側面による波長設定交差接続(WSXC)は、背中合わせの配置で接続される第1および第2波長ルータ、ならびに背中合わせの配置で接続される第3および第4波長ルータを含む。光は、第1および第3波長ルータの入力ポートに入射し、第3および第4波長ルータの入力ポートから射出すると考えられる。各波長ルータの出力ポートは通しポート(through port)および交換ポートと呼ばれるものを含む。
【0018】
第1および第2波長ルータの通しポートは、第3および第4波長ルータの通しポートのように、互いに光学的に通信する。第1および第3波長ルータの交換ポートは、第4および第2波長ルータの交換ポートと光学的に通信する。従って、第1および第3波長ルータの入力ポートに入射するスペクトルバンドの第1選定セットはそこを通って伝送されて、第2および第4波長ルータの入力ポートからそれぞれ射出する。他方、第1および第3波長ルータの入力ポートに入射するスペクトルバンドの第2選定サブセットは交換され、それぞれ、第4および第2波長ルータの入力ポートから射出する。
【0019】
本発明の1局面による保護切換え構成は、背中合わせの配置で接続される第1および第2波長ルータ、ならびに背中合わせの配置で接続される第3および第4波長ルータを含む。1つの方向に進む光は第1波長ルータの入力ポートに入射し、第2波長ルータの入力ポートから射出すると考えられる。反対方向に進む光は第4波長ルータの入力ポートに入射し、第3波長ルータの入力ポートから射出すると考えられる。各波長ルータの出力ポートは、通しポートおよびループバックポートと呼ばれるポートを含む。
【0020】
第1および第2の波長ルータの通しポートは、第3および第4波長ルータの通しポートのように、互いに光学的に通信する。第1および第4波長ルータのループバックポートは、第3および第2波長ルータのループバックポートとそれぞれ光学的に通信する。従って、第1および第4波長ルータの入力ポートに入射するスペクトルバンドの第1選定サブセットは、第2および第3波長ルータの入力ポートを介してそれぞれ伝送される。他方、第1および第4波長ルータの入力ポートに入射するスペクトルバンドの第2選定サブセットは一巡して元に戻され、第3および第2波長ルータの入力ポートからそれぞれ射出する。
【0021】
本発明の1局面によるドロップ−アンド−リピートOADMは、1つの入力ポートならびに第1および第2出力ポートを有する、タップ結合器またはスプリッタのような分配エレメント、ならびに第1および第2入力ポートならびに出力ポートを有する光結合器またはコンバイナーなどの結合エレメントを備えたOADMを含む。分配エレメントの入力ポートは、OADMのドロップポートと光学的に通信し、分配エレメントの第1出力ポートは、結合エレメントの第1入力ポートと光学的に通信し、結合エレメントの出力ポートは、OADMの付加ポートと光学的に通信する。分配エレメントの第2出力ポートおよび結合エレメントの第2入力ポートはドロップ−アンド−リピートOADMのドロップ−アンド付加ポートを規定する。
【0022】
本発明の1局面によるドロップ−アンド−リピートOADMは、第一および第2入力ポート、ならびに第1および第2出力ポートを有するWSXCを含み、1つの入力ポートならびに第1および第2の出力ポートを有するタップ結合器またはスプリッタのような分配エレメント、ならびに第1および第2入力ポートならびに1つの出力ポートを有する光結合器またはコンバイナーのような結合エレメントを備える。分配エレメントの入力ポートはWSXCの第2出力ポートと光学的に通信し、分配エレメントの第1出力ポートは、結合エレメントの第1入力ポートと光学的に通信し、結合エレメントの出力ポートはWSXCの第2入力ポートと光学的に通信する。分配エレメントの第2出力ポートおよび結合エレメントの第2入力ポートは、ドロップ−アンド−リピートOADMのドロップ−アンド付加ポートを規定する。
【0023】
本発明の性質および利点を更に理解することは、仕様および図面の残りの部分を参照することによって達成され得る。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1) 複数のスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドのサブセットを複数の出力ポートそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートと該出力ポートとの間に配置され、該スペクトルバンドを経路設定する光路を提供する自由空間光学縦列であって、該入力ポートから出てくる光を阻止するように配置された分散エレメントを備え、該分散エレメントに光が2回当たった後に該出力ポートのうちいずれかに到達するように構成される、光学縦列と、
少なくとも1つの動的に構成可能なルーティングエレメントを有する経路設定メカニズムであって、該ルーティングエレメントは、該動的に構成可能なエレメントの状態に依存して所与のスペクトルバンドを異なる出力ポートに方向付ける、経路設定メカニズムと、
を備える、波長ルータ。
(項目2) 前記入力ポートは入力ファイバの端部に配置される、項目1に記載の波長ルータ。
(項目3) 前記出力ポートは、複数の出力ファイバの各端部に配置される、項目1に記載の波長ルータ。
(項目4) 前記経路設定メカニズムは、少なくとも2つのスペクトルバンドを単一の出力ポートに方向付ける構成を有する、項目1に記載の波長ルータ。
(項目5) 前記経路設定メカニズムの構成は、スペクトルバンドを受け取らない出力ポートが少なくとも1つ得られる構成である、項目1に記載の波長ルータ。
(項目6) 前記スペクトルバンドの数は前記出力ポートの数よりも多く、該出力ポートの数は2よりも多い、項目1に記載の波長ルータ。
(項目7) 前記経路設定メカニズムは複数の反射エレメントを備え、該複数の反射エレメントはそれぞれ、前記スペクトルバンドのそれぞれと関連付けられる、項目1に記載の波長ルータ。
(項目8) 前記動的に構成可能なエレメントは、並進自由度を有する、項目1に記載の波長ルータ。
(項目9) 前記動的に構成可能なエレメントは、回転する自由度を有する、項目1に記載の波長ルータ。
(項目10) 前記動的に構成可能なエレメントは、超微細電子機器システム(MEMS)エレメントから構成された鏡を備える、項目1に記載の波長ルータ。
(項目11) 前記分散エレメントは格子であり、
前記光学縦列は前記格子に取り込まれる光パワーを含む、
項目1に記載の波長ルータ。
(項目12) 前記光学縦列はレンズを含み、
前記分散エレメントは反射格子であり、
前記経路設定メカニズムは、複数の動的に構成可能なエレメントを含み、
前記入力ポートから来る光は、該レンズによってコリメートされ、前記スペクトルバンドに対応する複数の角度別に区別されるビームとして該反射格子から反射され、
該角度別に区別されるビームは、該レンズによって該動的に構成可能なエレメントの各エレメント上に焦点が合わされ、
所与の動的に構成可能なエレメントはそれぞれ複数の状態を有し、該状態はそれぞれ、該動的に構成可能なエレメントの各角度別に区別されるビームを複数の経路のうち所望の1つに沿って方向付けるように適合され、これにより、該動的に構成可能なエレメントから出て行く光が該レンズによって再度コリメートされ、該反射格子によって反射され、該レンズによリ、該出力ポートのうち該複数の経路のうち所望の経路に対応する出力ポート上に再度焦点を合わせる、
項目1に記載の波長ルータ。
(項目13) 前記分散エレメントは、スペクトルバンド間の間隔よりもずっと小さな分解能を有する格子である、項目1に記載の波長ルータ。
(項目14) 前記分解能は、差分経路長さが約3cmよりも大きい場合に達成される、項目13に記載の波長ルータ。
(項目15) 項目1に記載の第1の波長ルータおよび第2の波長ルータであって、該第2の波長ルータの出力ポートの対応する第1のサブセットと光通信状態にある該第1の波長ルータの出力ポートの第1のサブセットと反対方向に接続され、該第1の波長ルータの入力ポートは上流ファイバと光通信状態にあり、該第2の波長ルータの入力ポートは下流ファイバと光通信状態にあり、該第1の波長ルータの出力ポートおよび該第2の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットはそれぞれ、該出力ポートの第2のサブセットのうち一方から来る光を受け取り、該出力ポートの第2のサブセットのうち他方上に光を通信させるするネットワーク端子機器と通信状態にある、第1の波長ルータおよび第2の波長ルータ、
を備える、波長アド−ドロップマルチプレクサ。
(項目16) 第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートの各々に方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートと該出力ポートとの間に配置され、該スペクトルバンドを経路設定する光路を提供し、該入力ポートから出てくる光を遮断するように配置された分散エレメントを備え、かつ、光が該格子エレメントに2回当たった後に該出力ポートのうちいずれかに到達するように構成される自由空間光学縦列を備え、Mは2よりも大きい、
波長ルータ。
(項目17) 前記分散エレメントは反射格子であり、前記光学縦列は、
前記入力ポートからの光を遮断するように配置され、該遮断された光をコリメートし、該コリメートされた光を該反射格子に方向付け、該反射格子から反射された光を遮断し、該光の焦点を合わせ、各スペクトルバンドが異なる地点において焦点が合わされた状態で該焦点が合わされた光を経路に沿って方向付ける、レンズと、
該焦点が合わされたスペクトルバンドの各々を遮断し、該各スペクトルバンドを方向付けるように配置された複数のN個の反射エレメントであって、これにより、該レンズ、該反射格子、該レンズ、および各出力ポートとが当たった、反射エレメントと、
を備える、項目16に記載の波長ルータ。
(項目18) 前記分散エレメントは透過型格子であり、前記光学縦列は、
該透過型格子と前記入力ポートとの間に配置されたレンズと、
該入力ポートから離れた該透過型格子の側部上に設けられた複数のN個の反射エレメントであって、これにより、光を該格子を通過させ、該反射エレメント上に到達させて、該透過型格子、該レンズおよび該出力ポートを通過させる、反射エレメントと、
を備える、項目16に記載の波長ルータ。
(項目19) 前記分散エレメントは反射格子であり、前記光学縦列は、
前記入力ポートからの光を遮断し、該遮断された光をコリメートし、該コリメートされた光を該反射格子に方向付け、該反射格子から反射した光を遮断し、該光の焦点を合わせ、各スペクトルバンドが異なる地点において焦点が合わされた状態で該焦点が合わされた光を経路に沿って方向付けるように配置された曲面反射器と、
各焦点が合わされたスペクトルバンドを遮断し、該曲面反射器、該反射格子、該曲面反射器および各出力ポートとが当たるように該焦点が合わされたスペクトルバンドを方向付けるように配置された複数のN個の反射エレメントと、
を備える、項目16に記載の波長ルータ。
(項目20) 前記分散エレメントはプリズムである、項目16に記載の波長ルータ。
(項目21) 前記光路は、超微細電子機器システム(MEMS)エレメントから構成された鏡を含む、項目16に記載の波長ルータ。
(項目22) 第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートのそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートから放射される光を第1の横方向の次元においてコリメートする第1の円筒型レンズと、
該光を第2の横方向の次元においてコリメートする第2の円筒型レンズであって、該第2の横方向の次元は該第1の横方向の次元に対して直角である、第2の円筒型レンズと、
該光を該第1の横方向の次元において特定の方向に分散させる透過型分散エレメントと、
該光を該第1の横方向の次元に焦点を合わせる第3の円筒型レンズと、
該第3の円筒型レンズの焦点面における複数のN個の傾斜可能な鏡であって、それぞれが各スペクトルバンドを遮断し、該スペクトルバンドを該第3の円筒型レンズに再度方向付ける、傾斜可能な鏡と、
複数のアクチュエータであって、それぞれが各鏡に結合され、これにより該各スペクトルバンドの光経路の傾斜が選択的に実行される、アクチュエータと、
を備え、
各スペクトルバンドは、該第3の円筒型レンズによって該第1の横方向の次元においてコリメートされ、該格子によって該第1の横方向の次元に該特定の方向と反対方向に分散され、該第2の円筒型レンズによって該第2の横方向の次元に焦点が合わされ、該第1の円筒型レンズによって該第1の横方向の次元に焦点が合わされ、その結果、各スペクトルバンドは、該各傾斜可能な鏡によって決定された各位置において該第1の横方向の次元および該第2の横方向の次元の両方に焦点が合わされる状態になる、
波長ルータ。
(項目23) 前記復帰経路からの光を受け取るように配置された一列の出力ファイバをさらに備え、該出力ファイバの位置は、前記第2の円筒型レンズを通じてフーリエ関係にある前記複数の傾斜可能な鏡の傾斜に対応する、
項目22に記載の波長ルータ。
(項目24) 前記鏡は超微細電子機器システム(MEMS)エレメントから構成される、項目22に記載の波長ルータ。
(項目25) 第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートのそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートから出てくる光をコリメートする第1の球形レンズと、
該光を第1の横方向の次元において特定の方向に分散させて、該スペクトルバンドを空間的に分離させる透過型分散エレメントと、
該分散エレメントから出てくる光の焦点を合わせる第2の球形レンズと、
該第2の球形レンズの焦点面にある複数の逆反射体であって、それぞれ、各スペクトルバンドを遮断し、該スペクトルバンドを該第2の球形レンズに再度方向付ける、その結果、該第1の横方向の次元に対して直角な第2の横方向の次元において横方向に変位し、該横方向の変位は該逆反射体の状態によって異なる、逆反射体と、
を備え、
各スペクトルバンドは、該第2の球形レンズによってコリメートされ、該格子によって該第1の横方向の次元において該特定の方向と反対の方向に分散され、該第1の球形レンズによって焦点が合わされ、その結果、各スペクトルバンドは、該各逆反射体によって決定された各位置において焦点が合わされた状態となる、波長ルータ。
(項目26) 第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートのそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートから出てくる光をコリメートするように配置された正の光パワーを含む光学エレメントと、
該光学エレメントから来る光を第1の横方向の次元において特定の方向に分散させて、該スペクトルバンドを空間的に分断させる反射分散エレメントであって、該スペクトルバンドを再度該光学エレメントに方向付け、その結果、該分散エレメントから来る光は焦点が合わされる、反射分散エレメントと、
該光学エレメントの焦点面にある複数の逆反射体であって、それぞれ、各スペクトルバンドを遮断し、該スペクトルバンドを該光学エレメントに再度方向付けて、該光学エレメントを第1の横方向の次元に対して直角な第2の横方向の次元において横方向の変位をさせ、該横方向の変位は該逆反射体の状態に依存する、逆反射体と、
を備え、
スペクトルバンドはそれぞれ、該光学エレメントによってコリメートされ、該分散エレメントによって該第1の横方向の該特定の方向と反対方向に分散され、該光学エレメントによって焦点が合わされ、その結果、各スペクトルバンドは、該各逆反射体によって決定された各位置において焦点が合わされた状態となる、
波長ルータ。
(項目27) 前記光学エレメントは球形レンズである、項目26に記載の波長ルータ。
(項目28) 前記光学エレメントは凹面反射器である、項目26に記載の波長ルータ。
(項目29) 各逆反射体は屋根型プリズムを備え、
該逆反射体の状態は、該逆反射体の屋根型プリズムの横方向の位置によって規定される、
項目26に記載の波長ルータ。
(項目30) 各逆反射体は、屋根型プリズムと、相対運動が可能であり、透明材料で構成された関連ボディであって、該逆反射体の屋根型プリズムと光学的に接触するように構成された関連ボディとを備え、
該逆反射体の状態は、該逆反射体の屋根型プリズムが該関連ボディと光学的に接触するか否かによって少なくとも部分的に規定される、
項目26に記載の波長ルータ。
(項目31) 第1の取付け面および第2の取付け面を有する支持エレメントであって、該第1の取付け面および該第2の取付け面の間の角度は、およそ90°を規定する、支持エレメントと、
各第1の基板および第2の基板上に配置され、該支持エレメントの第1の取付け面および第2の取付け面上に取り付けられる第1のMEMS超小型鏡アレイおよび第2のMEMS超小型鏡アレイと、
該第2のアレイ中の複数のM個の超小型鏡と関連付けられた該第1のアレイ中の所与の超小型鏡と、
該第1のアレイ中の各所与の超小型鏡に結合されて、該所与の超小型鏡のM個の別個の配向を提供するアクチュエータであって、各配向は、光を入射方向に沿って該第2のアレイ中の異なる超小型鏡に方向付ける、アクチュエータと、
を備え、
該第2のアレイ中の複数のM個の超小型鏡は、該所与の鏡が該第2のアレイ中の該超小型鏡に光を方向付けるような配向にあると、該第1のアレイ中の所与の鏡の配向に対して実質的に90°となるような各配向を有する、
構成可能な逆反射体アレイ。
(項目32) 前記支持エレメントは、相互に向かい合う支持面を有するV字型ブロックであり、
前記第1のアレイおよび前記第2のアレイは、該アレイ中の超小型鏡と前記第1の取付け面および前記第2の取付け面との間に配置された前記第1の基板および前記第2の基板と共に取り付けられる、
項目31に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
(項目33) 前記支持エレメントは、相互に外側に向いた支持面を有するプリズムであり、
前記第1のアレイおよび前記第2のアレイは、前記第1の基板および前記第2の基板と前記第1の取付け面および前記第2の取付け面との間に配置されたアレイ中の超小型鏡と共に取り付けられる、
項目31に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
(項目34) 前記超小型鏡は±10°のオーダーの偏向に限定される、項目31に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
(項目35) 相互に特定の角度で固定され、交差軸を規定する第1の平面鏡および第2の平面鏡と、
該交差軸に平行な回転軸を中心にした回転のために取り付けられる第3の平面鏡と、
該第3の平面鏡に結合され、該回転軸を中心にした第1の角度位置および第2の角度位置を提供するように構成されたアクチュエータであって、該第1の角度位置は、該第1の平面鏡と該第3の平面鏡との間の角度がおよそ90°になるように規定し、該第2の角度位置は、該第2の平面鏡と該第3の平面鏡との間の角度がおよそ90°になるように規定する、アクチュエータと、
を備える、動的に構成可能な逆反射体。
(項目36) 一列の屋根型プリズムを作製する方法であって、
細長いプリズムエレメントを提供する工程と、
所望のレベルの平面度を有する面を有する一対の細長いストップエレメントを提供する工程と、
所望のレベルの平面度になるまで該細長いプリズムエレメントの表面を光学的に研磨する工程と、
該光学的に研磨された細長いプリズムエレメントに、該アレイを構成する複数の屋根型プリズムを提供する一連の操作を行う工程と、
各位置決めエレメントを該屋根型プリズムのアレイに提供して、該一対の細長いストップエレメント間で移動させる工程と、
を包含する、方法。
(項目37) 前記細長いプリズムエレメントは単一の構成要素であり、
該一連の操作は、前記細長いプリズムエレメントを個々のプリズムに物理的に切断する工程を包含する、
項目36に記載の方法。
(項目38) 前記細長いプリズムエレメントは、個々のプリズムが結合された構成要素であり、
前記一連の操作は、該個々のプリズム間で該結合を分解する工程を包含する、項目36に記載の方法。
(項目39) それぞれが入力ポートと呼ばれるポートと、出力ポートと呼ばれる複数のさらなるポートとを有し、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを少なくとも備える第1の波長ルータおよび第2の波長ルータであって、それぞれ、複数のスペクトルバンドを有する光を該波長ルータの入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドの選択されたサブセットを該波長ルータの各出力ポートに方向付けるように構成される第1の波長ルータおよび第2の波長ルータ、
を備え、
該第1の波長ルータおよび該第2の波長ルータは、該第2の波長ルータの出力ポートの対応する第1のサブセットと光通信状態にある該第1の波長ルータの出力ポートの第1のサブセットと反対方向に接続され、該波長ルータの出力ポートの第1のサブセットはそれぞれ、該波長ルータの複数の出力ポートよりも小さいため、該波長ルータはそれぞれ、出力ポートの第2のサブセットを有し、
これにより、
該第1の波長ルータの入力ポートは、OADMのための入力ポートとして機能し、
該第2の波長ルータの入力ポートは、該OADMのための出力ポートとして機能し、
該第1の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットは、該OADMのためのドロップポート機能を提供し、
該第2の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットは、該OADMのためのアドポート機能を提供する、
光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)。
(項目40) 各波長ルータは、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートのみを有し、該第1の出力ポートおよび該第2の出力ポートは、該波長ルータの出力ポートの第1のサブセットおよび第2のサブセットを規定する、項目39に記載のOADM。
(項目41) 項目39に記載のOADMと、
入力ポートならびに第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを有する分割エレメントと、
第1の入力ポートおよび第2の入力ポートならびに出力ポートを有する連結(combining)エレメントと、
前記OADMのドロップポートと該分割エレメントの入力ポートとの間と、該分割エレメントの第1の出力ポートと該連結エレメントの第1の入力ポートとの間と、該連結エレメントの出力ポートと該OADMのアドポートとの間に光通信を提供する一連の光路と、
を備える、ドロップ−アンド−リピートOADM。
(項目42) 前記OADMのドロップポートと前記分割エレメントの入力ポートとの間の光路に配置された光学増幅器をさらに備える、項目41に記載のドロップ−アンド−リピートOADM。
(項目43) 第1の波長ルータ、第2の波長ルータ、第3の波長ルータおよび第4の波長ルータを備える波長選択性交差接続部(WSXC)であって、
該第1の波長ルータ、該第2の波長ルータ、該第3の波長ルータおよび該第4の波長ルータはそれぞれ、入力ポートと呼ばれるポートと、出力ポートと呼ばれる複数のさらなるポートとを有し、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを少なくとも含み、各波長ルータは、複数のスペクトルバンドを有する光を該波長ルータの入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドの選択されたサブセットを該波長ルータの出力ポートの各々に方向付けるように構成され、
該第1の波長ルータおよび該第2の波長ルータは、該第2の波長ルータの第1の出力ポートと光通信状態にある該第1の波長ルータの第1の出力ポートと反対方向に接続され、
該第3の波長ルータおよび該第4の波長ルータは、該第4の波長ルータの第1の出力ポートと光通信状態にある該第3の波長ルータの第1の出力ポートと反対方向に接続され、
該第1の波長ルータの第2の出力ポートは、該第4の波長ルータの第2の出力ポートと光通信状態にあり、
該第3の波長ルータの第2の出力ポートは、該第2の波長ルータの第2の出力ポートと光通信状態にあり、
これにより、
該第1の波長ルータの入力ポートおよび該第2の波長ルータの入力ポートは、該WSXCのための第1の入力ポートおよび第2の入力ポートとして機能し、
該第3の波長ルータの入力ポートおよび該第4の波長ルータの入力ポートは、該WSXCのための第1の出力ポートおよび第2の出力ポートとして機能し、
該第1の波長ルータの第1の出力ポートと該第2の波長ルータの第1の出力ポートとの間の光通信と、該第3の波長ルータの第1の出力ポートと該第4の波長ルータの第1の出力ポートとの間の光通信は、該WSXCのための通過経路を提供し、
該第1の波長ルータの第2の出力ポートと該第4の波長ルータの第2の出力ポートとの間の光通信と、該第3の波長ルータの第2の出力ポートと該第2の波長ルータの第2の出力ポートとの間の光通信とは、該WSXCのための交換経路を提供する、
WSXC。
(項目44) 項目43に記載のWSXCと、
入力ポートならびに第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを有する分割エレメントと、
第1の入力ポートおよび第2の入力ポートならびに出力ポートを有する連結エレメントと、
該WSXCの第2の出力ポートと該分割エレメントの入力ポートとの間と、該分割エレメントの第1の出力ポートと該連結エレメントの第1の入力ポートと、該連結エレメントの出力ポートと該WSXCの第2の入力ポートとの間に光通信を提供する一連の光路と、
を備える、ドロップ−アンド−リピートOADM。
(項目45) 前記WSXCの第2の出力ポートと前記分割エレメントの入力ポートとの間の光路中に配置された光学増幅器をさらに備える、項目44に記載のドロップ−アンド−リピートOADM。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】図1Aは、球面焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図1B】図1Bは、球面焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図1C】図1Cは、球面焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略端面図である。
【図2A】図2Aは、球面焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図2B】図2Bは、球面焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図3】図3は、球面焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態の使用に適した、移動可能な屋根型プリズムに基づいた逆反射体の代替インプリメンテーションを示す図である。
【図4B】図4Bは、本発明の実施形態の使用に適した、移動可能屋根型プリズムに基づいた逆反射体の代替インプリメンテーションを示す図である。
【図4C】図4Cは、単一ユニットとして組み立てられる屋根型プリズムアレイの側面図である。
【図4D】図4Dは、単一ユニットとして組み立てられる屋根型プリズムアレイの平面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態の使用に適した、移動可能ミラーに基づいた逆反射体のインプリメンテーションを示す図である。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態の使用に適した、マイクロミラーに基づいた逆反射体レイのインプリメンテーションを示す側面図である。
【図5C】図5Cは、本発明の実施形態の使用に適した、マイクロミラーに基づいた逆反射体レイのインプリメンテーションを示す平面図である。
【図5D】図5Dは、マイクロミラーに基づいた逆反射体レイの代替インプリメンテーションの側面図である。
【図6A】図6Aは、円筒形焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図6B】図6Bは、円筒形焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図7A】図7Aは、円筒形焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図7B】図7Bは、円筒形焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図8A】図8Aは、単一エレメント内で球面焦点パワーおよび分散を結合させる本発明の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図8B】図8Bは、単一エレメント内で球面焦点パワーおよび分散を結合させる本発明の一実施形態による波長ルータの概略側面端面図である。
【図9A】図9Aは、単一エレメント内で円筒形焦点パワーおよび分散を結合させる本発名の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図9B】図9Bは、単一エレメント内で円筒形焦点パワーおよび分散を結合させる本発名の一実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図10A】図10Aは、分散エレメントとしてプリズムを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図10B】図10Bは、分散エレメントとしてプリズムを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図11】図11は、波長ルータの代表的な制御システムを示す図である。
【図12A】図12Aは、好適なバンド形状を示す図である。
【図12B】図12Bは、図1Aからの代表的な光路の差分光路長(differential path length)を示す図である。
【図12C】図12Cは、図1Aからの代表的な光路の差分光路長(differential path length)を示す図である。
【図13】図13は、光学追加−ドロップマルチプレックス(OADM)を提供する波長ルータの組み合わせを示す概略図である。
【図14】図14は、波長選定交差接続(WSXC)を提供する波長ルータの組み合わせを示す概略図である。
【図15】図15は、光学多重化セクション共有保護リング(OMSSPRing)光学ネットワークにおける保護切換えを提供する、波長ルータの組み合わせを示す概略図である。
【図16】図16は、図13のOADMに基づいたドロップ−アンド−リピートOADMの実施形態を示す概略図である。
【図17】図17は、図14のWSXCに基づいたドロップ−アンド−リピートOADMの実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(特定実施形態の説明)
(1.導入)
以下の記載は、本発明による全光波長ルータの実施形態を示す。本発明の実施形態は、アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)、波長設定交差接続(WSXC)のようなネットワークエレメントに適用され得、光学ネットワークシステムの目的を達成する。
【0026】
波長ルータの一般的な機能は、入力ポートの複数の(例えば、N個の)スペクトルバンドを有する光を受け入れ、複数の(例えば、M個の)出力ポートのうち、所望の出力ポートにスペクトルバンドのサブセットを選択的に方向付けることである。説明のほとんどは、経路設定メカニズムが、切換えがもたされ得るように、動的にフィールド内で状態が変更する1つ以上のルーティングエレメントを含む動的な(切換え)実施形態に関するものである。本発明はまた、ルーティングエレメントが製造時、または長期正常動作中に、構成が変更されないようになっている環境のもとで構成される、静的な実施形態も含む。
【0027】
本発明の実施形態は、波長依存量によって入射する光を偏向させるように動作する回析格子またはプリズムのような、分散エレメントを含む。偏向された光の種々の部分が、異なるルーティングエレメントによって遮断される。入射光は連続スペクトルを有し、その近傍部分は異なるスペクトルバンドとみなされ得るが、概して、入射光のスペクトルは、間隔の空いた複数のバンドを有すると考えられる。
【0028】
「入力ポート」および「出力ポート」という用語は、広い意味を有するように意図される。最も広い意味では、ポートは光がシステムに入射する、または離れる地点によって規定される。例えば、入力(または出力)ポートは光源(または検出器)の位置、または入力ファイバのダウンストリームの終点(または、出力ファイバのアップストリームの終点)の位置であり得る。特定の実施形態においては、ポート位置の構造は、ファイバを受信するファイバコネクタを含み得るか、またはファイバピグテールの終点を含み得、そのもう一方の終点は外部構成要素に接続される。実施形態のほとんどは、光が入力ポートを通過した後、波長ルータに入射すると分散し、出力ポートに接近するにつれて、波長ルータ内で収束すると考える。しかし、これは必要なことではない。
【0029】
国際電気通信連合(ITU)は、193,100GHzを中心とした周波数バンドおよび、193,100GHzの近くの100GHz毎の別のバンドを有する標準波長グリッドを規定した。これは、約1550nmを波長の中心として、その中心近くから約0.8nm毎の間隔を空けた波長空間に対応し、グリッドは周波数が均一であるが、波長はほぼ均一にすぎないと理解される。本発明の実施形態は、好ましくはITUグリッドに指定されるが、25GHzおよび50GHzの(約0.2nmおよび0.4nmの波長空間に対応する)より微細な周波数間隔(finer frequency intervals)もまた当該である。
【0030】
ITUはまた、標準データ変調率も規定する。OC−48は、約2.5GHz(実際は2.488GHz)に対応し、OC−192は約10GHzに対応し、OC−768は約40GHzに対応する。変調されないレーザバンド幅は、10GHzから15GHzのオーダにある。現在の実践では、データ率は、十分低い(例えば、100GHzチャネル空間のOC−192)ので、変調された信号のバンド幅は典型的には、バンド間隔を十分下回る。従って、チャネルの一部の能力だけが使用される。しかし、利用可能バンド幅のより多く(例えば、100GHzチャネル空間のOC−768)を使用しようとする試みがなされると、チャネルそのもののバンドの形状に関する問題が生じる。これらの問題に対処する技術は、以下に記載される。
【0031】
(球状の焦点合わせエレメントの実施形態)
図1A、図1B、および図1Cはそれぞれ、本発明の一実施形態による波長ルータ10の模式的な平面図、側面図、および端面図である。波長ルータ10の一般的な機能性は、入力ポート12において複数(例えば、N)の分光バンドを有する光を受け入れ、15(1...M)と表示される複数(例えば、M)の出力ポートのうちの所望の出力ポートに分光バンドのサブセットを選択的に方向付けることである。この出力ポートは、図1Aの平面図にほぼ垂直に延びる線17に沿って配置されるように図1Cの端面図に示される。入力ポートおよび出力ポートは、それぞれの入力光ファイバーおよび出力光ファイバーと連絡するように示されるが、この入力ポートはまた、光源から直接光を受け取り得、この出力ポートはまた、光検出器に直接結合され得ることが理解されるべきである。この図面は、一律の縮尺に従わない。
【0032】
入力ポート12から波長ルータ10に入射する光は、異なる分光バンドを含む発散光線18を形成する。この光線18はレンズ20に到達し、このレンズ20は光をコリメートして反射回折格子25へと方向付ける。この格子25は、光を分散させて、異なる波長のコリメートされた光線を異なる角度でレンズ20に戻らせる。このような光線の2つが明示的に示され、26および26’(後者は点線で描かれる)と表示される。これらのコリメートされた光線は、異なる角度でレンズに到達するため、横断焦点面内の線27に沿う異なる点で焦点を合わせられる。この線27は、図1Aの平面図内で延びる。
【0033】
焦点を合わせられた光線は、複数の逆反射体のそれぞれに到達し、これらの逆反射体は、30(1...N)と表示され、焦点面の近傍に配置される。これらの光線は、発散光線としてレンズ20に戻される。下記により詳細に示すように、各逆反射体は、線27に垂直な方向に変位させられ得る逆の経路に沿って遮断光線を送る。より詳細には、光線は、図1Bの側面図および図1Cの端面図の平面内の線17にほぼ平行に延びるそれぞれの線35(1...N)に沿って変位させられる。
【0034】
図示の特別な実施形態において、各光線の変位は、それぞれの線35(i)に沿って逆反射体の位置を変位させることにより引き起こされる。他の実施形態において、下記で説明するように、光線の変位は、逆反射体の再配置により引き起こされる。逆反射体は、図1Cの平面において出力ポートの上に示されるがこれは必須でなく、格子または他のエレメントの異なる配向に応じて、他の相対的な位置が生じ得ることが理解される。
【0035】
逆反射体から戻ってくる光線は、レンズ20によってコリメートされ、格子25にもう一度方向付けられる。この格子25は、2度目の到達において、異なる光線間の角度が分離することを取り除き、光線の焦点を合わせるレンズ20へとコリメートされた光線を戻させる。しかし、それぞれの逆反射体によって各光線が変位可能なため、光線は、線17に沿うおそらく異なる点において焦点を合わせられる。従って、各光線は、逆反射体の位置に応じて、出力ポート15(1...M)のうちの1つまたは別の1つに方向付けられる。
【0036】
要するに、各分光バンドは、波長に依存する角度で、コリメートされ、格子に到達し、格子を離れる。各分光バンドは、それぞれの逆反射体において焦点を合わせられて、逆反射体によって決定される所望の距離だけ変位させられる。各分光バンドは、再びコリメートされ、再び格子に到達して、以前の分散を格子に取り消させる。そして、各分光バンドは、逆反射体によって課せられた変位に対応する出力ポート上に焦点を合わせられる。上記の実施形態において、光は、ポートと格子との間の領域を4回横断する(各方向に2回)。
【0037】
この実施形態は、自由空間実施形態と呼ばれる実施形態のより一般的な種類の空気分離型(airspace)実施例である。下記で説明する他の自由空間実施形態のいくつかにおいて、種々の光線の全てはガラス本体内に存在する。用語「自由空間」は、本体内の光が伝播を横断する次元に限定されるのではなく、これらの横断する次元において回折すると考えられ得るという事実を参照する。分散エレメントへの第2の到達が、第1の到達によって誘発された分散を効果的に取り消すため、各分光バンドは、実質的に分散のない状態でルータを出る。
【0038】
図1A〜図1Cは、逆反射体30(1...M)に近づく際および離れる際の光線を遮断する四分の一波長板37を示す。この四分の一波長板を使用して、格子25に依存する任意の偏光を補償する。一般的には、入力ポート12から出現する光は、任意の偏光を有し得る。従って、2つの直交偏光状態に関する格子の効率係数が大きく異なる場合、波長ルータの全体の伝達効率は、偏光が時間の関数として変化する程度まで、時間の関数として変化し得、異なる分光バンドが異なる偏光を有する場合、波長の関数として変化し得る。図1Cは、線27の方向に対して45°の四分の一波長板の軸を模式的に示す。四分の一波長板37は、波長ルータの偏光に対する依存性を減少させるメカニズムに関する詳細を下記に提供する。これは、現在の目的として、波長ルータ10の偏光に対する依存性が、四分の一波長板37を使用することにより減少され得ることを注意するのに十分である。ファラデー回転板を使用して、四分の一波長板の機能を実行することも可能である。
【0039】
図2Aおよび図2Bはそれぞれ、本発明の実施形態によって10’と表示される波長ルータの模式的な平面図および側面図である。図1A〜図1C内のエレメントに対応するエレメントに関して、同じ参照番号、またはプライム符号(本明細書において、’はプライム符号を示す)を付けられるかもしくはサブインデックスを付加される参照番号が使用される。この実施形態は、透過回折格子25’ならびに一対のレンズ20aおよび20bを使用するという点で、図1A〜図1Cの実施形態と異なる。従って、この実施形態は、図1A〜図1Cの実施形態を折り畳まない変形例と考えられ得る。
【0040】
入力ポート12から波長ルータ10’に入射する光は、異なる分光バンドを含む発散光線18を形成する。この光線18は第1のレンズ20aに到達し、この第1のレンズ20aは光をコリメートして格子25’へと方向付ける。この格子25’は、光を分散させて、異なる波長にてコリメートされた光線を光線から出現させ、先に進ませる。そのうちの1つが示されるコリメートされた光線は、第2のレンズ20bに到達し、この第2のレンズ20bは、光線の焦点を合わせる。焦点を合わせられた光線は、焦点面の近傍に配置されるそれぞれの複数の逆反射体30(1...N)に到達する。光線は、反射され、発散光線としてレンズ20bに戻り、コリメートされて、格子25’に方向付けられる。この格子25’は、第2の到達の際、異なる光線間で角度が分離することを取り除き、これらの光線は、次いで、出力ポート15(1...M)の平面に焦点を合わせられる。
【0041】
この特定の実施形態において、入力ポート12、レンズ20a、格子25’、レンズ20b、および逆反射体は、ほぼ等しい間隔で間隔をあけ、この2つのレンズは同じ焦点距離を有し、入力ポートと逆反射体との間の距離は焦点距離の4倍(4×)である。従って、焦点距離および相対的な位置によって、入力ポート12および逆反射体の間の「4fのリレー(4f relay)」と呼ばれるものと、逆反射体および出力ポートの間の4fのリレーと呼ばれるものとが規定される。この構成は必須でないが、好適である。この光学系は好適にはテレセントリックである。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態による波長ルータ10”の模式的な平面図である。この実施形態は、第1の実施形態のレンズ20(または、第2の実施形態のレンズ20aおよび20b)の代わりに凹面反射器40を使用する固体ガラス(solid glass)の実施形態である。従って、この実施形態は、図1A〜図1Cの実施形態をさらに折り畳んだ変形例であると考えられ得る。上記のように、入力ポート12から波長ルータ10”に入射する光は、異なる分光バンドを含む発散光線18を形成する。この光線18は凹面反射器40に到達し、この凹面反射器40は光をコリメートして反射回折格子25へと方向付ける。この格子25は、光を分散させて、異なる波長のコリメートされた光線を異なる角度で反射器40に戻らせる。このような光線の2つが明示的に示され、1つは実線で、1つは点線で描かれる。これらのコリメートされた光線は、異なる角度で反射器に到達するため、横断焦点面内の異なる点で焦点を合わせられる。
【0043】
焦点を合わせられた光線は、焦点面の近傍に配置される逆反射体30(1...N)に到達する。この逆方向の動作は、上記の実施形態と関連して説明され、光線は、図3の平面に垂直な方向に変位する逆経路に従う。従って、逆経路は順経路の真下に横たわり、図3において可視でない。この逆経路において、光線は、凹面反射器40、反射格子25’、そして凹面反射器40に到達し、最後の凹面反射器40は、入力ポート12の下に横たわるため、所望の出力ポート(この図には示さず)に光線の焦点を合わせる最終的な到達点である。
【0044】
(屋根型プリズムベースの逆反射体の実施形態)
図4Aおよび図4Bは、本発明の実施形態に使用することが適切な可動屋根型プリズムに基づいて、逆反射体の別の実施形態を示す。この逆反射体は、30aおよび30bと表示され、上記の実施形態においてアレイ30(1...N)を実施する際に使用され得る。
【0045】
図4Aは、30aと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、光線に対して横方向の逆反射体の変位に依存する異なる量によって、入射光線を変位させるように動作する。図の左側は、第1の位置にある逆反射体を示す。遮断第2の下向きに変位した位置が想像で示される。図の右側は、第2の位置に変位させられた逆反射体を示し、ここで、反射光線は、逆反射体の変位に比例する量だけ下向きに変位させられる。逆反射体は屋根型プリズムとして示され、動作は内部反射の全体に基づく。逆反射体は、V型構成の一対のミラーとして実施されることも可能である。この種類の逆反射体は、プリズムの尖端に対する入射光線のオフセットに依存する量だけ、反射光線は入射光線からオフセットされるが、全体の経路の長さはオフセットと無関係であるという特性を有する。
【0046】
図4Bは、30bと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、屋根型プリズムエレメント50と、このプリズムエレメントからわずかに間隔をあけてV型に構成された一対の適合されたインデックスの上部および下部プレート51および52とを含む。入射光線の変位は、プレート51または52の一方または他方によってプリズムエレメント50に選択的に接触することにより引き起こされる。図の左側は、上部プレート51に接触するプリズムエレメントを示し、ここで、入射光線は、上部プレート内へと進み、まず、上部プレートおよびプリズムエレメントの下部表面によって反射される。図の右側は、下部プレート52に接触するプリズムエレメントを示し、ここで、入力光線は、まず、プリズムエレメントの上部表面によって反射され、下部プレート内へと進み、この下部プレートの下部表面において内部反射を経験する。この逆反射体は、プリズムエレメント変位に比べて大きな光線変位を提供するように考えられ得る。
【0047】
図4Cおよび図4Dは、単一のユニットとして組み立てられる屋根型プリズムアレイの側面図および平面図である。アレイ全体の均一性を維持するために、屋根型プリズムアレイは、まず、単一の細長いプリズムエレメントとして製造され、支持プレートの一端に取り付けられる。このアセンブリの上部および底部は、光学的に平らに研磨加工され、プリズムおよび支持プレートのアセンブリを通じてスロット53が切り込まれて、それぞれの支持歯(support tines)55上に個別のプリズムエレメント54のアレイを規定する。2つの止め金具57aおよび57bについて、1つはこの屋根型プリズムアレイの上に、1つはこの屋根型プリズムアレイの下に配置される。これらの止め金具もまた、光学的に平らに研磨加工される。それぞれのアクチュエータ58は、上部止め金具または下部止め金具のいずれかに対して各プリズムエレメントを移動させる。所定の止め金具に対して保持されている任意のプリズムは、非常に高い耐性を有して互いに対して調整される。なぜならば、スロットを切り込む前に細長いプリズムエレメントを平らに研磨加工する場合、光学的な正確さが必要とされるからである。
【0048】
アクチュエータが各逆反射体に関連する。これは、図4Aまたは図4Bに明示的に示されないが、図4Cはアクチュエータ58を明示的に示す。特定の種類のアクチュエータは本発明の一部分でなく、多くの種類のアクチュエータメカニズムが当業者に明らかである。図4Cは、アクチュエータを個別のエレメント(例えば、圧電性トランスデューサ)として明示的に示すが、支持プレートはバイモルフベンダー材料から製造され得、従って、アクチュエータとしても機能し得る。Piezo Systems,Inc.,186 Massachusetts Avenue,Cambridge,Massachusetts 02139によって提供される圧電性ベンダーは、2つの外部表面上の電極間の電圧の影響を受けると曲がるサンドイッチ状の構造である。
【0049】
(可動ミラーベースの逆反射体の実施形態)
図5Aは、30cと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、互いに対して傾けられた(図示のように、V型または開放型構成の)一対の固定ミラー60aおよび60bと、回転可能なミラー61とを含む。図の左側は、入射光線をミラー60aに方向付けるように配置された回転可能なミラーを示し、右側は、入射光線をミラー60bに方向付けるように配置された回転可能なミラーを示す。2つの方向付けのそれぞれにおいて、固定ミラーおよび回転可能なミラーは傾角90°を規定し、これにより逆反射動作を提供する。
【0050】
図5Bは、30dと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、マイクロミラーを使用する。図5Cは平面図である。一対のマイクロミラーアレイ62および63が、V型ブロック64の傾斜面に取り付けられる。マイクロミラーアレイ62内の1つのマイクロミラー65と、マイクロミラー63内のマイクロミラーの行66(1...M)とが、1つの逆反射体を規定する。マイクロメータアレイは、有利なことに、光の経路が可逆的であることを理解することにより、入力および出力マイクロミラーアレイと呼ばれ得る。図の左側は、入射光線をマイクロミラー66(1)に方向付けるための第1の配向にあるマイクロミラー65を示し、このマイクロミラー66(1)は、マイクロミラー65の第1の方向付けに対して90°に方向付けられて、入射方向と反対の方向に光線を戻す。図の右側は、入射光線をマイクロミラー66(M)に方向付けるための第2の配向にあるマイクロミラー65を示す。従って、マイクロミラー65は、光線の出力位置を選択するように動かされ、マイクロミラー66(1...M)は通常動作の間固定される。マイクロミラー65およびマイクロミラーの行66(1...M)は、図の平面に対して垂直な方向に折り返されたり、動かされ得る。マイクロミラーアレイ62は、たった一次元であればよく、別のマイクロミラーを提供して別の可撓性を提供することが有利であり得る。
【0051】
マイクロミラーアレイが平面であり、2つのマイクロミラーアレイが互いに90°で向き合うためにV型の溝が約90°の二面角を有することが好適である。この角度は、種々の目的のために相当の量変化し得るが、90°の角度は、マイクロミラーの角度変位が比較的小さい状態で入射光線の経路指定を促進する。例えば、市販のマイクロミラーアレイ(例えば、Texas Instruments)は、おおよそ±10°で反射することが可能である。マイクロミラーアレイは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の分野で周知の技術によって作製され得る。この実施例において、ミラーは、シリコンチップの表面上の微細加工された構造として形成される。これらのミラーは、チップの表面上の微細加工されたピボット構造にも取り付けられる。いくつかの実施例において、マイクロミラーは、静電引力を用いて、適切に方向付けられた軸の周りに選択的に傾けられる。
【0052】
図5Dは、30eと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、V型のブロック64ではなくプリズム69を使用するという点で、図5Cに示す実施例と異なる。対応する参照番号は、同様のエレメントに使用される。V型の溝の場合のように、62’および63’と表示されるマイクロミラーアレイが、90°の角度で互いに向き合うことが望ましい。このために、プリズムは、好適には、90°、45°、および45°の角度を有する面を有し、マイクロミラーアレイは、直角を規定するプリズム面に対面するマイクロミラーに取り付けられる。
【0053】
マイクロミラーアレイは、好適には、外部の環境から密封される。この密封は、シリコンチップ上のマイクロミラーアレイの表面とプリズムの表面との間に形成される密封キャビティ内に各マイクロミラーアレイを囲むことにより達成され得る。マイクロミラーアレイを組み込むこれらのシリコンチップは、その表面の周りにおいて、ミラーとプリズムの表面との間に適切な間隔を有する状態でプリズムの表面に結合し得る。この密封キャビティは、シリコンチップの表面の周りに尾根を提供することにより、適切な寸法に形成され得る。あるいは、この尾根の機能は、シリコンチップの表面とプリズムの表面との両方に結合されたいくつかの他の適切な表面密封スペーサによって実行され得る。所望であれば、各マイクロミラーは、チップ内の自身のキャビティ内にあり得る。プリズムの表面は、好適には、反射防止コーティングを有する。
【0054】
傾けられることが可能なマイクロミラーのアレイを2つ含む逆反射体の実施例が、現在好適である。入力マイクロミラーアレイ内の各マイクロミラーは、光の分散エレメントへの第1の到達の後に光を受け取り、出力マイクロミラーアレイ内のミラーにその光を方向付ける。入力アレイ内のミラーの角度を変化させることにより、逆反射された光は横方向に変位され、その光を分散エレメントに到達させ、選択された出力ポートから出させる。上記のように、本発明の実施形態は可逆的である。V型ブロックの実施例は、一般的には、光路のほとんどが空中にある実施形態に好適であり、プリズムの実施例は、一般的には、ほとんどの光路がガラス内にある実施形態に好適である。個別のプリズムまたはV型ブロックを提供する別の例として、入力アレイの取り付け面と出力アレイの取り付け面とは、ルータの光学ハウジングの一体型機能として形成され得る。
【0055】
入力マイクロミラーアレイは、好適には、少なくとも入力ポートと同じ数のマイクロミラーの行を有し(2つ以上ある場合)、出力マイクロミラーアレイに選択的に方向付けられる波長と同じ数のミラーの列を有する。同様に、出力マイクロミラーアレイは、好適には、少なくとも出力ポートと同じ数だけのマイクロミラーの行を有し、出力ポートに選択的に方向付けられる波長の数と同じだけのミラーの列を有する。
【0056】
倍率係数が1対1のシステムにおいて、入力アレイ内のマイクロミラーの行は互いに平行であり、入射光線をに対して横方向の軸に沿って互いに間隔をあける構成要素は入力ポートの間隔に相当する。同様に、出力アレイ内のマイクロミラーの行は、互いに平行であり、出力ポート間の間隔に対応する間隔によって互いに(横に)間隔をあける。異なる倍率を有するシステムにおいて、ミラーの行間の間隔は、それ相応に調整される。
【0057】
(円筒状の焦点合わせエレメントの実施形態)
図6Aおよび図6Bはそれぞれ、本発明の一実施形態による波長ルータ70の模式的な平面図および側面図である。この実施形態は、折り畳まれていない状態の実施形態であり、従って、図2Aおよび図2Bの実施形態に対応すると考えられ得る。この実施形態は、図2Aおよび図2Bの実施形態のように透過回折格子25’を含むが、波長ルータ70が、球状のレンズではなく円筒状のレンズを使用し、逆反射体ではなく傾けられることが可能なミラーを使用するという点で、それらの実施形態と異なる。波長ルータ70の一般的な機能性は、他の実施形態と同じであり、すなわち、入力ポート12において複数の分光バンドを有する光を受け取り、複数の出力ポート15(1...M)のうちの所望の出力ポートに分光バンドのサブセットを選択的に方向付けることである。
【0058】
円筒状のレンズは、それぞれが平面図(図6A)の面においてのみ屈折力を有する一対のレンズ72aおよび72bと、それぞれが側面図(図6B)の面においてのみ屈折力を有する一対のレンズ75aおよび75bとを含む。このようにして、レンズ72aおよび72bは、図6Bの面において矩形として描かれ、レンズ75aおよび75bは、図6Aの面において矩形として描かれる。
【0059】
入力ポート12から波長ルータ70に入射する光は、異なる分光バンドを含む発散光線18を形成する。この光線18はレンズ72aに到達し、このレンズ72aは、1つの横方向の次元に光をコリメートするが、他の方向にはコリメートせず、その結果、光線は円形から楕円形に変化する横方向の次元の断面図を有する(すなわち、光線は、図6Bの面において伸び続けるが、図6Aの面において伸び続けない)。光線は、レンズ75a、格子25’、およびレンズ75bに到達する。レンズ75aおよび75bは共に、図6Bの面において発散している光をコリメートして、一定の楕円形の断面図によって光線を伝播させる。格子25’は、図6Aの面において光を発散させて、図6Aの面において異なる波長の光線を異なる角度で伝達させるが、図6Bの面においては伝達させない。
【0060】
コリメートされた光線はレンズ72bに到達し、それぞれの線に焦点を合わせられる。焦点を合わせられた光線は、複数の傾けられることが可能なミラー80(1...N)のそれぞれに到達し、これらの傾けられることが可能なミラー80(1...N)は、焦点面の近傍に配置される。これらの光線は、図6Aの面においてのみ発散してレンズ72bに方向付けられる。それぞれのミラーの傾斜角に依存して、光線は図6Bの面において角度を付けて移動させられる。逆方向の光線は、下記で説明するように、図6Aの面と図6Bの面とで異なる変換を受ける。
【0061】
図6Aの面において、光線は、レンズ72bによってコリメートされ、格子25’にもう一度方向付けられる(この平面において、レンズ75bおよび75aは、コリメートされた光線の特性を変化させない)。格子25’は、この第2の到達の際、異なる光線間で角度が分離することを取り除き、コリメートされた光線をレンズ72aに戻して、これらの光線の焦点を出力ポート15(1...M)に合わせる(図6Aの面においてのみ)。図6Aにおいて、逆方向の光線は、個別に示されるのではなく、順方向の光線の投影と一致する投影を平面内に有する。
【0062】
図6Bの面において、光線は、レンズ75aおよび75bによって出力ポートに焦点を合わせられる。しかし、それぞれのミラーによって各光線の角度が変位可能なため、光線は、出力ポート15(1...M)の1つまたは別の1つに方向付けられる。図5Bにおいて、格子25’ならびにレンズ72bおよび72aは、光線の方向、または光線が発散する、コリメートされる、もしくは収束するかどうかに影響を与えない。レンズ75aおよび75bは、側面図の平面のミラー80(1...N)と出力ポート15(1...M)との間にフーリエ関係を提供する。このフーリエ関係は、出力ポートに移動させられた位置に対して、ミラーにおいて傾けられた波面をマッピングする。
【0063】
特定の実施例において、入力ポート12、レンズ72a、一対のレンズ75a/75b、レンズ72b、および傾けられることが可能なミラーは、おおよそ等しい間隔で間隔をあけられ、一対のレンズ75a/75bによって規定されるレンズの焦点距離は、レンズ72aおよび72bの焦点距離の2倍である。これは必須でないが、好適である。これらの焦点距離および相対的な位置によって、レンズ72aおよび72bは、入力ポート12と傾けられることが可能なミラーとの間に4fのリレーを規定する。さらに、2度到達される一対のレンズ75a/75b(1つのレンズとみなす)は、入力ポートと出力ポートとの間に4fのリレーを規定する。この光学系は好適にはテレセントリックである。
【0064】
図7Aおよび図7Bはそれぞれ、本発明の一実施形態による波長ルータ70’の模式的な平面図および側面図である。この実施形態は、図6Aおよび図6Bの実施形態を折り畳んだ変形例であり、図1A〜図1Cの実施形態が図2Aおよび図2Bの実施形態を折り畳んだ変形例である方法に類似する方法で図6Aおよび図6Bの実施形態に関連する。図1A〜図1Cの実施形態のように、波長ルータ70’は、反射回折格子25を使用する。折り畳まれていることによる性質を考慮すると、この実施形態は、図6Aおよび図6Bの実施形態における一対のレンズ72a/72bおよび75a/75bに対応して、単一の円筒状のレンズ72および75を使用する。
【0065】
動作は、光路が折り畳まれている点を除けば図6Aおよび図6Bの実施形態と実質的に同じである。この実施形態において、光は、入力ポートと傾けられることが可能なミラーとの間で2回、傾けられることが可能なミラーから出力ポートへの途中で2回の計4回各レンズに当たる。レンズ75に当たる発散光が一回目に当たった後、発散度が低くなり、二回目に当たった後、平行(コリメート)になることに留意されたい。
【0066】
(焦点合わせエレメント/分光素を組み込んだ実施形態)
図8Aおよび図8Bはそれぞれ、本発明の一実施形態による、波長ルータ90の模式的な平面図および側面図である。これは、概して、球面集光力が格子自体内に組み込まれている点を除けば、図1Aおよび図1Bに示す波長ルータに対応する。したがって、光出力および分散が一つのエレメント95内に組み込まれる。これは、曲がった表面上の格子を規制したり、平坦な表面上の曲がった格子線を規制することによって達成され得る。これらの格子線を提供する規制エンジンに代わってよく用いられる方法は、ホログラフィックな方法である。ホログラフィックな方法において、フォトレジストが格子の基板上で回転され、意図された光源および格子の焦点から発する二つの発散光線からの干渉パターンを用いて露光される。露光の光は、中帯域の波長であったり、中帯域の波長の整数倍であったりする。露光されたフォトレジストは、発展されたり、そのまま用いられたり、エッチングプロセス内のバリアとして用いられ得る。
【0067】
図9Aおよび図9Bはそれぞれ、本発明の一実施形態による、波長ルータ100の模式的な平面図および側面図である。これは、概して、円筒状の集光力が単一エレメント105を規制する格子内に組み込まれている点を除けば、円筒状のレンズおよび傾斜ミラーを用いる、図7Aおよび図7Bに示す波長ルータに対応する。図9Aの平面図の次元の集光力は、図9Bの平面図の次元の集光力の2倍である。この格子のホログラフィック版は、一つの発散光線からの干渉パターン、および意図された光源および格子の焦線から発する線光源を用いてフォトレジストを露光することによって構築され得る。
(プリズムの実施形態)
図10Aおよび図10Bはそれぞれ、上述の実施形態に示すような格子の代わりにプリズム107を用いる波長ルータ10’’’の模式的な平面図および側面図である。図10Aおよび図10Bの実施形態は、図2Aおよび図2Bの実施形態に対応し、対応する参照符号が用いられる。
【0068】
(制御エレクトロニクス)
図11は、波長ルータ112および代表的な制御エレクトロニクスを含む波長ルータシステム110を示す。波長ルータ112は、上述の実施形態のいずれかによって構築され得、種々の逆反射体および傾斜ミラーなどのルーティングエレメント、回折格子またはプリズムなどの分散エレメント、および(少なくとも動的な実施形態において)ルーティングエレメントを移動させるアクチュエータを含むと考えられる。図1Aに対応した参照符号を用いて、入力ポート12を一つならびに2つの出力ポート15(1)および15(2)を有するような波長ルータを図示する。具体的には、80本の波長チャネルを処理することが可能であるような波長ルータを図示する。波長ルータの上述の説明の名称において、M=2およびN=80である。動作は、二つの出力ポートにおいて、所望の波長の解体(disjoint)サブセットλ(出力_1)およびλ(出力_2)を提供することである。いくつかの環境下において、各サブセットは、入力波長をすべて含んだり、または入力波長をまったく含まなかったりし得る。
【0069】
制御エレクトロニクスは、波長ルータ110内のアクチュエータに適切な制御信号を提供するアクチュエータ制御回路部113を含む。アクチュエータ制御回路部は、制御器114によって制御され、制御器と波長ルータとの間のインターフェースとして見られ得る。アクチュエータ制御エレクトロニクスは、デジタルスイッチ、電力ドライバおよびデジタル−アナログ変換器(DAC)を含み得る。複数の状態を有するエレメントの状態を判定する制御器は、マイクロプロセッサ、組み込まれたマイクロ制御器、ASICまたはアクチュエータ制御回路部を制御することに適した任意の論理であり得る。制御器114とアクチュエータ制御回路部113との間のインターフェースは、一組の並列の制御ライン、またはマイクロプロセッサと互換性を有するアドレス/データ/制御バスなど、いくつかの通例の形態を取り得る。
【0070】
いくつかの場合において、別々のアクチュエータの制御回路部を無しで済ますことも可能であり得る。例えば、波長ルータは、波長ルータが制御器114からの直接命令に応答することを可能にするインターフェース回路部を有し得る。設計上の問題として、波長ルータ110と制御エレクトロニクスの作業を分けることが必須である。本発明は、波長ルータアクチュエータの制御に関して、任意の特定の割り当てられた機能に限定されない。現在の実施において、波長ルータは、単なるドライバ(アクチュエータエレクトロニクス)以外のすべてにおいて、いかなる制御エレクトロニクスも含まない。むしろ、すべての知能および制御回路部が、制御エレクトロニクス内に含まれる。
【0071】
制御器114は、好適には、標準または独自に開発したインターフェースおよびプロトコルを用いて、ネットワーク環境において他のコンピュータとも通信する。これをネットワーク管理インターフェース115として模式的に示す。これらの他のコンピュータは、通常、ネットワーク管理アプリケーションを実行する。
【0072】
(バンド形状および分解能の問題)
平面における逆反射体アレイの物理的位置は、格子の分散およびレンズの焦点距離によって決定される目盛係数を備えた周波数に対応する。格子の式は、Nmλ=sinα±sinβであり、Nは格子の溝の周波数であり、mは回折の順序であり、λは光波長であり、βは入射光角であり、αは回折角である。レンズは、式x=fsinαによって、回折角を背面焦点距離fにおける位置xにマッピングする。レンズの背面焦点距離においてミラーを用いると、ミラー平面における位置と波長との間に線形関係λNm=x/f±sinβが得られる。小さな波長に関しては、周波数の変化は波長の変化に比例する。これにより、位置と周波数との目盛係数Δx/Δν= fNmλ2/cが得られる。したがって、ミラー平面における目盛位置は、この比例定数を有する周波数目盛である。
【0073】
図12Aは、好適な実質的に台形のバンド形状を示す。すなわち、これは、格子の分解能を周波数領域をサンプリングするミラーのサイズより細かくすることによって達成される。格子のスポットサイズとミラーのサイズとの比率が極めて大きいことに関して、各チャネルに対するバンドパスの応答は単なる長方形の応答であり、これは格子の完全に分解された周波数平面におけるミラー位置によって与えられる。格子の分解能が有限であるため、バンドパス応答はスポットのコンボリューションであり、これはミラーの長方形のサンプリングを備えた格子からの回折によって決定される。ミラー平面においてミラーのサイズよりも細かい分解能を備えたスポットのようなガウスの格子に関する、このようなコンボリューションの結果を図11Aに示す。本発明の実施形態がミラー幅と格子の分解能との比率を大きく提供することが好適である。なぜならば、結果生じる台形のバンド形状は、バンド間の不安定な部分のサイズに比べて、利用可能な平坦な上部領域が大きいからであり、これにより、スペクトルがより効率的に利用される。図12Bは、格子からの回折角における光線の差分光路長(differential path lenght)も示す。この差分光路長は、格子の周波数の分解能を決定する。光線の断面形状によって判定される次数が一つの係数(order unity coefficient)内で、周波数の分解能は、この差分光路長によって除算された光速度である。特定の実施形態は、100GHzまたはより細かいITU空間だけ離された光バンドを有する。したがって、格子の分解能を10GHzまたはこれより細かくして、チャネル間に大きな平坦なバンド形状を可能にし、100GHzのチャネル空間上にOC−768のデータのローパス伝送を可能にしたり、25GHzの空間上にOC−192のデータのローパス伝送を可能にすることが好適である。この10GHzまたはより細かい格子の分解能は、3cmまたはより長い差分光路長を必要とする。図1Aの折り畳んだ形状寸法において、この3cmは、往復の差分光路長、すなわち片道の1.5cmの差分である。
【0074】
図12Cは、差分光路長がガラス楔117内にあるルータ10’’’を示す。この実施形態は図1Aの実施形態に対応する。これらの波長ルータの中心波長が温度に対して一定していることが非常に好適である。3cmの差分光路長は、1550nmの好適な中心波長においては約20、000の波に対応する。好適な設計は、少なくとも50℃であるという好適な温度範囲を越えると、20、000分の一より少ない差分光路長の変化を有する。これにより、差分光路長の変化が摂氏1度あたり100万分の一より少ないことが必要になる。この温度を一定することを達成する一つの方法は、差分光路長を含む波長ルータの一部を、100万分の一より少ない熱係数を有するガラスから図12Cに示すウェッジ17にすることである。
【0075】
(偏向の考慮)
回折格子の効率は、入射光の偏光状態に依存する。以下、/は^を示す。例えば、x/は、
【0076】
【数1】
を示す。任意に偏向された入射光信号の電界Eを、二本の直交軸x/およびy/に沿って線形に偏向された二つの電界の重ね合わせとして書き得る:
E=Exx/+Eyy/
x/は格子分散の方向であり、y/はこの分散方向に対して直交する。入射信号の強度I0は、直交方向に沿った電界の強度によって規定される:
I0=|Ex|2+|Ey|2
効率は、直交する偏光方向における独立した効率係数εによって左右されるため、格子によって反射された信号の電界E’は、全強度:
I’=εx|Ex|2+εy|Ey|2
を有した場合、
【0077】
【数2】
である。したがって、二本以上の直交軸のうちの一本に沿って線形に偏向された信号の強度は、明らかに、この方向に関する効率係数のみに依存する強度を有する回折格子によって反射される:
Ix=εx|Ex|2
Iy=εy|Ey|2
ほとんどの回折格子に関して、εx≠εyであるため、入射信号の偏光状態の関数として全体的な効率が非常に異なり得る。
【0078】
本発明の実施形態において、この変異は一つの偏光コンポーネントに沿って波の遅延を課すことによって、減少または排除される。これは、屈折の異なる指数が二つの直交する方向で達成されるように非対称的に構築された波長板を用いることによって達成され得る。したがって、入射光信号が波長板を透過する際、電界の一つのコンポーネントがもう一方のコンポーネントに対して遅延する。通常、波長板がπ(「半波長板」)またはπ/2(「四分の一波長板」)の位相差を課すように構築される。本発明の実施形態では、四分の一波長板(すなわち、約四分の一の遅延を提供する波長板)が用いられる。
【0079】
回折格子からの反射の効果に関する上に提供した解を用いると、反射回折格子からの二つの反射の後の電界は、
E0fin=εxExx/+εyEyy/
に見られ、全強度
I0fin=εx2|Ex|2+εy2|Ey|2
を有する。全システムの効率が潜在的に大きく変化し得ることは、逆反射体とレンズとの間に四分の一波長板(図1A〜図1Cの20または図2Aおよび図2Bにおける20b)を設けることによって排除される。このような位置決めによって、各サブ光線は、逆反射される前(すなわち、工程(5)の直前)および逆反射された後(すなわち、工程(5)の直後)の二回、四分の一波長板を透過する。四分の一波長板を最初に透過する直前(すなわち、回折格子からの一回目の反射の後)、電界は、
【0080】
【数3】
である。四分の一波長板を透過し、逆反射体内の二つの表面を反射し、四分の一波長板を二回目に透過した後、電界は、
【0081】
【数4】
である。四分の一波長板を二回透過することにより、電界のxコンポーネントがyの偏光に対して回転し、yのコンポーネントがxの偏光に対して回転する。したがって、二回目に反射格子Grを反射した後、電界は、
全強度:
Ifin=εxεy|Ex|2+εxεy|Ey|2≡εxεyI0
を有する
【0082】
【数5】
である。したがって、電界およびその強度は、入射波の偏光状態とは無関係であり、これにより、偏光に依存した損失が排除される。
【0083】
同様に、線形偏光を45度だけ回転させ、各パスを有するように設計された磁気光学リターダーはそれぞれ、2つが透過した後、x/およびy/の偏光それぞれをy/およびx/の偏光に回転させる。格子からの第一の反射と第二の反射との偏光を交換すると、格子の全効率に依存した偏光が排除される。
【0084】
四分の一波長板または磁気光学リターダーは、図1Aの光システム内の任意の位置に配置され得る。なぜならば、任意の配置により、格子からの第一の反射と第二の反射との間に重行路が達成されるからである。四分の一波長板または磁気光学リターダーをレンズと格子との間に配置すると、コンポーネントが光線がコリメートされた場所で動作することが可能になる。これにより、システムを、このエレメントに起因した光収差の低さに対応するように設計することが可能になり得る。これにより、波面板の性能も向上し得る。
【0085】
(システムアプリケーション)
以下の説明は、複数の波長ルータを用いて複数のシステムを説明する。入力ポートを一つおよび出力ポートを二つ有するような(具体的には、80個の波長チャネルを処理することが可能であるような)波長ルータをそれぞれ示す。波長ルータの上述の名称において、M=2およびN=80である。波長ルータは、参照符号110を付加して指定され、通常、図11に示すような制御エレクトロニクスを有する。しかし、純粋に光のみの概略図の場合、関連付けられた制御回路部を有さない波長ルータ112を代わりに用いてもよい。
【0086】
波長ルータを本発明の上述の実施形態のいずれかによって製造してもよいし、本明細書に説明するような波長経路設定の機能を提供する限り、他の方法で製造してもよい。概して、上述したように、本発明の上述の実施形態の波長ルータ内の光路は可逆的である。
【0087】
(光アド−ドロップマルチプレクサ(Add−Drop Multiplexer)(OADM))
図13は、一対の波長ルータ110aと110bとを、背中合わせの構成で組み合わせることによって形成される光アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)120を模式的に示す。OADMの一般的な機能は、入力ポート132において一組の波長チャネルを受け取り、(波長を介して)波長の(すべてまたは波長を全く含まない)サブセットを出力ポート133に伝播し、スルー経路からドロップポート135に伝播されない波長を分流し(落とし)、付加ポート137において落とされた波長(恐らく、新たな情報を供している波長)のいくつかまたはすべてを受け取り、付加された波長とスルー波長と組み合わせて、スルー波長および付加された波長が出力ポート133を出る。
【0088】
背中合わせの構成において、OADM120の入力ポート132は、波長ルータ110aの入力ポートであると考えられ、OADM120の出力ポート133は波長ルータ110bの入力ポートであると考えられる。スルー経路は、波長ルータの第一の出力ポートを結合することによって影響を受ける。ドロップポート135および付加ポート137は、波長ルータの第二の出力ポートであると考えられる。ドロップポートおよび付加ポートは、送信および/または受信端末機器または一つ以上の他のネットワークに結合され得る。用途に応じて、付加機能およびドロップ機能のうちの一つのみが必要であり得る。
【0089】
(波長選択の交差接続(WSXC))
図14は、四つの波長ルータ110a〜110dを、対になった、背中合わせの構成で組み合わせることによって形成される波長選択の交差接続(WSXC)を模式的に示す。WSXCの一般的な機能は、第一の入力ポート142および第二の入力ポート142’において第一の組の波長チャネルおよび第二の組の波長チャネルを受け取って、スルー経路上で伝播されない波長を交換しながら、第一の出力ポート143および第二の出力ポート143’に各スルー経路上の波長の選択されたサブセットを伝播することである。したがって、入力ポート142からの交換された波長は、波長ルータ110aおよび110cの交換出力ポート145および145’から出て、波長ルータ110dおよび110bのそれぞれの交換入力ポート147’および147に伝播される。交換入力ポートに入る交換された波長は、出力ポート143および143’から出るスルー経路上の波長と出力用に組み合わされる。ここでも、上述のOADMの場合のように、WSXC140の出力ポートは、波長ルータ110bおよび110dの入力ポートと考えられる。
【0090】
(OMSSPリング保護切替)
図15は、光学多重化セクション共有保護リング(OMSSPリング)の光ネットワーク内に保護切替を提供する切替構造150を模式的に示す。構成150は、四つの波長ルータ110a〜110dを、上述のWSXC140のラインに沿って一対になった背中合わせの構成で組み合わせることによって形成される。この構成は、二つの点でWSXCとは異なる。第一に、WSXCにおいて、波長ルータの上部の対および下部の対は両方、同じ方向に伝播する光を用いて動作し、切替構造においては、上部の対および下部の対は、対向する方向(任意に「東」および「西」と示す)におけるトラフィックを処理する。第二に、WSXCにおける交換ポートの代わりに、切替構成はループバックパス152および155を提供する。したがって、東のファイバ上の波長ルータ110aに入射するサブセットの波長を分流し、これらの波長を波長ルータ110cから出る西のファイバ上に戻るように方向付けることが可能である。同様に、西のファイバ上の波長ルータ110dに入射する波長(または恐らく異なる組の波長)は、分流されて、波長ルータ110bから出る東のファイバ上に方向付けされる。
【0091】
東のファイバからのサブセットの波長を西のファイバ上に分流することが可能なため、レーザの故障およびOADMエラーなど、サブセットの波長に影響を与える故障モードからリングを保護することが可能になる。
【0092】
(ドロップ−アンド−リピート(Drop−and−Repeat)OADM)
ドロップ−アンド−リピートOADM(時に「ブロードキャストモード」OADMと呼ばれる)は、上述のOADMの機能を有するが、出力ポート上に落とされた波長の伝送を継続する能力をさらに有する。以下の説明は、図13のOADMおよび図14のWSXCに基づいた実施形態を説明し、OADMまたはWSXCの他のフォームが用いられ得る。OADMおよびWSXCの対応するエレメントは、同じ参照符号を用いて示される。
【0093】
図16は、図13のOADMに基づいたドロップ−アンド−リピートOADM160を模式的に示す。このドロップ−アンド−リピートOADM160は、入力ポート132および出力ポート133、ならびにドロップポート135および付加ポート137を有する。ドロップ−アンド−リピートOADM160は、同じ入力ポートおよび出力ポートを有するが、OADMのドロップポート135と付加ポート137との間に設けられたエレメントもさらに有し、135’および137’と示され、ドロップ−アンド−リピートOADMの機能ドロップポートおよび機能付加ポートである他のポートを提供する。
【0094】
さらなるエレメントは、選択の光増幅器162、入力ポートならびに第一および第二の出力ポートを有する50%のタップ結合器(または他のスプリッタ)165、ならびに第一および第二の入力ポートならびに出力ポートを有する選択の結合器またはコンバイナー167を含む。光増幅器は、ドロップポート135から光を受け取り、必要に応じて、増幅された光はタップ結合器165において分割される。タップ結合器の第二の出力ポートからの光は、落とされた波長を構成し、ここで、第二の出力ポートは機能ドロップポート135’を規定する。したがって、この出力光は、図13のドロップポート135からの光に対応する。タップ結合器の第一の出力ポートからの出力と同じこれらの波長は、「リピート波長」と呼ばれ、光結合器167の第一の入力ポートに伝播される。
【0095】
「付加波長」と呼ばれるネットワークトラフィックに付加される波長は、光結合器167の第二の入力ポートに伝播され、このポートは機能付加ポート137’を規定する。これらの波長はリピート波長と組み合わされて、OADM構築ブロックの付加ポート137に伝播される。次いで、スルー波長、リピート波長および付加波長は、出力ポート133から出力される。
【0096】
図17は、図14のWSXCに基づいたドロップ−アンド−リピートOADM170を模式的に示す。このドロップ−アンド−リピートOADM170は、第一の入力ポート142および第二の入力ポート142’ならびに第一の出力ポート143および第二の出力ポート143’を有する。第一の入力ポート142および第一の出力ポート143はドロップ−アンド−リピートOADM160’の入力ポートおよび出力ポートとして機能するが、他のエレメントが第二の出力ポート143’と第二の入力ポート142’との間に設けられる。他のエレメントは、172および175と示され、ドロップ−アンド−リピートOADMの機能ドロップポートおよび機能付加ポートである他のポートを提供する。
【0097】
設けられたエレメントは、ドロップ−アンド−リピートOADM160の場合と同じであり、対応した参照符号が用いられる。上述のように、光増幅器162は、第二の出力ポート143’から光を受け取り、必要に応じて、増幅した光がタップ結合器165において分割される。タップ結合器の第二の出力ポートからの光は、落とされた波長を構成し、ここで、第二の出力ポートは機能ドロップポート172を規定する。したがって、この出力光は、図13のドロップポート135からの光に対応する。リピート波長は、光結合器167の第一の入力ポートに伝播され、光結合器167の第二の入力ポートに伝播された付加波長と組み合わされ、この第二の入力ポートは機能付加ポート175を規定する。これらの波長はリピート波長と組み合わされて、WSXC構築ブロックの入力ポート142’に伝播される。次いで、スルー波長、リピート波長および付加波長は、第一の出力ポート143から出力される。
【0098】
(結論)
上述の説明は、本発明の特定の実施形態の完全な説明であるが、種々の改変、代替の構成および均等物が用いられ得る。例えば、動的に構成可能なルーティングエレメント(逆反射体など)を移動可能なエレメントを含むように記載したが、切替は電子光学コンポーネントを用いることによって達成してもよい。例えば、電子光学のファブリ−ペロの反射器が用いられ得る。
【0099】
したがって、上述の説明は、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
(関連出願と相互参照)
本願は、1999年11月16日に出願された、米国特許出願第09/442,061号の一部継続出願であり、本出願の全開示(付属および付録を含む)は、本明細書のために完全に参考として援用する。
【0002】
(発明の背景)
本願は、概して、光ファイバ通信に関し、さらに詳細には、異なる出力ポートへの光線の異なるスペクトルバンドの経路を設定する(または逆に、入力ポートへの異なるスペクトルバンドの経路を、出力ポートで設定する)技術およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
インターネットおよびデータ通信は、バンド幅に対するグローバルな需要の拡大を引き起こしている。光ファイバ通信システムは現在、高密度波長分割多重方式(DWDM)と称する比較的新しい技術を展開して、この需要を満たす助けとなる新しい、および既存の光ファイバシステム能力を向上させている。DWDMにおいては、光の複数の波長が、単一の光ファイバを介して同時に情報を伝達する。各波長はデータのストリームを運ぶ個々のチャネルとして動作する。ファイバの伝達能力は、使用されるDWDMチャネルの数によって倍増される。80チャネルまで使用する今日のDWDMシステムは、複数の製造者から入手可能であり、将来においてはより有望である。
【0004】
あらゆる通信ネットワークにおいて、個々のチャネル(または回路)をエンドカスタマなどの個々の目標ポイント、または別のネットワークに接続する必要がある。これらの機能を行うシステムは交差接続(cross connection)と称される。さらに、中間ポイントで特定のチャネルを付加またはドロップ(drop)する必要がある。これらの機能を行うシステムは、アド−ドロップマルチプレクサー(ADMs)と称される。これらのネットワーク機能のすべてが、現在、電子装置、典型的には電子SONET/SDHシステムによって行われる。しかし、SONET/SDHシステムは単一の光チャネルだけを処理するように設計されている。多重波長システムは、多くの光チャネルを処理するのと並行して動作する複数のSONET/SDHシステムを必要とする。このために、SONET/SDH技術を使ってDWDMネットワークをスケールすることが困難で高価となる。
【0005】
この代替物は全光ネットワークである。波長レベルで動作するように設計された光ネットワークは、広く「波長経路設定ネットワーク」(wavelength routing networks)または「光伝達ネットワーク」(optical transport networks)(OTN)と呼ばれる。波長経路設定ネットワークにおいては、DWDMファイバにおける個々の波長は処理し易くなければならない。波長レベルで動作する新しいタイプの光ネットワークエレメントが、交差接続、ADMおよび他のネットワーク切換え機能を行うのに必要とされる。主要機能のうちの2つは、光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)および波長設定を行う交差接続(WSXC)である。
【0006】
今日、波長経路設定機能を任意に行うために、光ストリームは、最初に、各々が個々の光ファイバ上にある多くの個々の波長に、多重化を解除(de−multiplex)されるかまたはフィルタリングされなければならない。その後、個々の波長のそれぞれは、広く光交差接続(OXC)と呼ばれる光学スイッチの大きなアレイを用いて、ターゲットファイバに方向付けられなければならない。最後に、波長の全てが目的地ファイバを通って進行し続ける前に、再多重化されなければならない。この複合的なプロセスは、複雑で、非常に高価であり、システムの信頼性を低減し、システム管理を複雑にする。OXCは特に技術的に難問である。典型的な40チャネルから80チャネルのDWDMシステムは、波長のすべてを完全に交差接続するのに何千というスイッチが必要である。条件を満たす光学仕様を提供する光学機械式スイッチは大きすぎ、高価すぎ、広範囲に及ぶ展開に関しては信頼できない。新しい材料に基づいた新たな統合半導体技術が研究されてはいるが、いまだ商業的用途にはほど遠い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、業界は積極的に、高波長カウントシステムの、費用高価の高いおよび信頼し得るインプリメンテーションを可能にする、全光波長経路設定の解決策を探し求めている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、1つの入力ポートと1セットの出力ポートとの間(逆にまた、その複数の出力ポートとその1つの入力ポートとの間)に、スペクトルバンドの柔軟性のある有効な経路設定を可能とする波長ルータを提供する。
【0009】
本発明の一実施形態は入力ポートと出力ポートとの間に配置された自由空間の光学縦列および経路設定メカニズムを含む。自由空間光学縦列は空気分離型エレメントを含み得るか、または概してモノリシック構成であり得る。光学縦列は、回折格子のような分散エレメントを含み、任意の出力ポートに達する前に、入力ポートからの光が分散エレメントに2回当たるように構成される。経路設定メカニズムは、1つ以上のルーティングエレメントを含み、光学縦列内の他のエレメントと協力して、スペクトルバンドの所望のサブセットを所望の出力ポートに連結させる光路を提供する。ルーティングエレメントは、分散エレメントとの最初の当たることによって空間的に分離された後、異なるスペクトルバンドを遮断するように配置される。
【0010】
本発明は、動的(切換え)な実施形態および静的な実施形態を含む。動的な実施形態においては、経路設定メカニズムは、1つ以上のルーティングエレメントを含み、そのルーティングエレメントの状態がそのフィールドにおいて動的に変更され、切り換えをもたらし得る。静的な実施形態においては、ルーティングエレメントは、製造時または長期正常動作中にその構成が変更されないようになっている環境のもとで、構成される。
【0011】
最も全般的なケースでは、スペクトルバンドのヌルセット(スペクトルバンドは1つも存在しない)および全セットを含む、スペクトルバンドの任意のサブセットは、任意の出力ポートに方向付けられ得る。しかし、本発明が可能な限り全の経路設定を提供できなければならないという条件はない。更に、概して、スペクトルバンドの数が出力ポートの数より多いか少ないかに関しては制限がない。
【0012】
本発明の実施形態によっては、経路設定メカニズムが1つ以上の逆反射体を含み、各々が、分散エレメントとの第1の当たることの後、スペクトルバンドの各1つを遮断し、光を制御可能な横方向のオフセットを使って反対方向に方向付けるように配置される。他の実施形態においては、経路設定メカニズムは1つ以上に傾斜ミラーを含み、その各々が、制御可能な角度オフセットを使って、スペクトルバンドの1つを再方向付けし得る。逆反射体をインプリメントするのに多くの方法があり、その方法は、移動可能な屋根型プリズムとして、または固定および回転ミラーを含むサブアセンブリとしてなどが含まれる。
【0013】
実施形態によっては、ビームは分散エレメントに当たる前にコリメートされ、その結果、各スペクトルバンドが波長に伴って変化する角度で進むコリメートされたビームとして出ていく。分散されたビームは、その後、各ルーティングエレメントに再び焦点を定め、各ルーティングエレメントの性質によって決定されるように、出力ポートを抜け出る前に、光学縦列における同じエレメントおよび分散エレメントに当たるように方向を戻す。本発明のいくつかの実施形態は、他の実施形態が球面レンズを用いるのに対して、円筒形レンズを用いる。本発明の実施形態によっては、光出力および分散は、コンピュータ生成ホログラフのような単一のエレメント内で兼ね備えられる。
【0014】
経路を設定された各チャネルが、比較的平坦なトップを有するバンドの形状によって特徴付けられるスペクトル転送(spectral transfer)機能を有するように、本発明の実施形態を構成することが望ましい。これは、個々のルーティングエレメントのスペクトル許容範囲よりも微細な分解度を有するように、分散エレメントを構成することによって達成される。当該の多くのケースにおいて、ルーティングエレメントは大きさによって分けられ、間隔をあけられて、規則的な間隔で空間を入れたバンドを遮断する。バンドはバンド間隔より狭く、分散エレメントはバンド間隔よりかなり微細な分解度を有する。
【0015】
本発明の他の側面によると、光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)、波長設定交差接続(WSXC)、およびドロップ−アンド−リピートOADMが、背中合わせ、またはその反対に、向かい合わせの配置と呼ばれ得る種々の配置で波長ルータを使って構築され得る。各波長ルータは、「前方向」モードにある場合、1つの入力ポートおよび複数の出力ポートを有し、入力ポートでの複数のスペクトルバンドのサブセットを、所望の出力ポートに方向付けるという機能性を備える。波長ルータは可逆的であり、それで「後方向」モードでは、入力ポートは出力ポートとなり、出力ポートが入力ポートとなり、デバイスは、後方向モードで入力ポートと見なされる複数のポートで光を組み合わせ、後方向モードでは、出力ポートと見なされるポートから出ていくという機能性を備える。しかし、説明をわかりやすくするために、光の方向に関して波長ルータがどの方向に面しているかに関わらず、波長ルータは1つの入力ポートおよび複数の出力ポートを有するという観点から説明される。
【0016】
本発明の1つの側面による光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)は、各波長ルータが1つの入力ポートおよび複数の出力ポートを有する第1波長ルータを含む。第1および第2波長ルータは背中合わせの配置で接続される。第1波長ルータの出力ポートの第1サブセットは、第2波長ルータの出力ポートの対応する第1サブセットと光学的に通信し、第1波長ルータの出力ポートの第2サブセットがドロップ機能性を提供し、第2波長ルータの出力ポートの対応する第2サブセットは付加機能を提供する。従って、第1波長ルータの入力ポートに入射する光のうち、選定されたスペクトルバンドが第2の波長ルータに伝送され、第2の波長ルータの入力ポートを通って射出する。一方、選定されたスペクトルバンドは、終了したトラフィックとして、またはさらなる処理のためにドロップされる。第2波長ルータの出力ポートはスペクトルバンドを開始トラフィック(originating traffic)として受け入れ得、これらのスペクトルバンドは第1波長ルータから第2波長ルータに伝送されるスペクトルバンドと結合され、結合された光は第2波長ルータ入力ポートから射出する。
【0017】
本発明の1つの側面による波長設定交差接続(WSXC)は、背中合わせの配置で接続される第1および第2波長ルータ、ならびに背中合わせの配置で接続される第3および第4波長ルータを含む。光は、第1および第3波長ルータの入力ポートに入射し、第3および第4波長ルータの入力ポートから射出すると考えられる。各波長ルータの出力ポートは通しポート(through port)および交換ポートと呼ばれるものを含む。
【0018】
第1および第2波長ルータの通しポートは、第3および第4波長ルータの通しポートのように、互いに光学的に通信する。第1および第3波長ルータの交換ポートは、第4および第2波長ルータの交換ポートと光学的に通信する。従って、第1および第3波長ルータの入力ポートに入射するスペクトルバンドの第1選定セットはそこを通って伝送されて、第2および第4波長ルータの入力ポートからそれぞれ射出する。他方、第1および第3波長ルータの入力ポートに入射するスペクトルバンドの第2選定サブセットは交換され、それぞれ、第4および第2波長ルータの入力ポートから射出する。
【0019】
本発明の1局面による保護切換え構成は、背中合わせの配置で接続される第1および第2波長ルータ、ならびに背中合わせの配置で接続される第3および第4波長ルータを含む。1つの方向に進む光は第1波長ルータの入力ポートに入射し、第2波長ルータの入力ポートから射出すると考えられる。反対方向に進む光は第4波長ルータの入力ポートに入射し、第3波長ルータの入力ポートから射出すると考えられる。各波長ルータの出力ポートは、通しポートおよびループバックポートと呼ばれるポートを含む。
【0020】
第1および第2の波長ルータの通しポートは、第3および第4波長ルータの通しポートのように、互いに光学的に通信する。第1および第4波長ルータのループバックポートは、第3および第2波長ルータのループバックポートとそれぞれ光学的に通信する。従って、第1および第4波長ルータの入力ポートに入射するスペクトルバンドの第1選定サブセットは、第2および第3波長ルータの入力ポートを介してそれぞれ伝送される。他方、第1および第4波長ルータの入力ポートに入射するスペクトルバンドの第2選定サブセットは一巡して元に戻され、第3および第2波長ルータの入力ポートからそれぞれ射出する。
【0021】
本発明の1局面によるドロップ−アンド−リピートOADMは、1つの入力ポートならびに第1および第2出力ポートを有する、タップ結合器またはスプリッタのような分配エレメント、ならびに第1および第2入力ポートならびに出力ポートを有する光結合器またはコンバイナーなどの結合エレメントを備えたOADMを含む。分配エレメントの入力ポートは、OADMのドロップポートと光学的に通信し、分配エレメントの第1出力ポートは、結合エレメントの第1入力ポートと光学的に通信し、結合エレメントの出力ポートは、OADMの付加ポートと光学的に通信する。分配エレメントの第2出力ポートおよび結合エレメントの第2入力ポートはドロップ−アンド−リピートOADMのドロップ−アンド付加ポートを規定する。
【0022】
本発明の1局面によるドロップ−アンド−リピートOADMは、第一および第2入力ポート、ならびに第1および第2出力ポートを有するWSXCを含み、1つの入力ポートならびに第1および第2の出力ポートを有するタップ結合器またはスプリッタのような分配エレメント、ならびに第1および第2入力ポートならびに1つの出力ポートを有する光結合器またはコンバイナーのような結合エレメントを備える。分配エレメントの入力ポートはWSXCの第2出力ポートと光学的に通信し、分配エレメントの第1出力ポートは、結合エレメントの第1入力ポートと光学的に通信し、結合エレメントの出力ポートはWSXCの第2入力ポートと光学的に通信する。分配エレメントの第2出力ポートおよび結合エレメントの第2入力ポートは、ドロップ−アンド−リピートOADMのドロップ−アンド付加ポートを規定する。
【0023】
本発明の性質および利点を更に理解することは、仕様および図面の残りの部分を参照することによって達成され得る。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1) 複数のスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドのサブセットを複数の出力ポートそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートと該出力ポートとの間に配置され、該スペクトルバンドを経路設定する光路を提供する自由空間光学縦列であって、該入力ポートから出てくる光を阻止するように配置された分散エレメントを備え、該分散エレメントに光が2回当たった後に該出力ポートのうちいずれかに到達するように構成される、光学縦列と、
少なくとも1つの動的に構成可能なルーティングエレメントを有する経路設定メカニズムであって、該ルーティングエレメントは、該動的に構成可能なエレメントの状態に依存して所与のスペクトルバンドを異なる出力ポートに方向付ける、経路設定メカニズムと、
を備える、波長ルータ。
(項目2) 前記入力ポートは入力ファイバの端部に配置される、項目1に記載の波長ルータ。
(項目3) 前記出力ポートは、複数の出力ファイバの各端部に配置される、項目1に記載の波長ルータ。
(項目4) 前記経路設定メカニズムは、少なくとも2つのスペクトルバンドを単一の出力ポートに方向付ける構成を有する、項目1に記載の波長ルータ。
(項目5) 前記経路設定メカニズムの構成は、スペクトルバンドを受け取らない出力ポートが少なくとも1つ得られる構成である、項目1に記載の波長ルータ。
(項目6) 前記スペクトルバンドの数は前記出力ポートの数よりも多く、該出力ポートの数は2よりも多い、項目1に記載の波長ルータ。
(項目7) 前記経路設定メカニズムは複数の反射エレメントを備え、該複数の反射エレメントはそれぞれ、前記スペクトルバンドのそれぞれと関連付けられる、項目1に記載の波長ルータ。
(項目8) 前記動的に構成可能なエレメントは、並進自由度を有する、項目1に記載の波長ルータ。
(項目9) 前記動的に構成可能なエレメントは、回転する自由度を有する、項目1に記載の波長ルータ。
(項目10) 前記動的に構成可能なエレメントは、超微細電子機器システム(MEMS)エレメントから構成された鏡を備える、項目1に記載の波長ルータ。
(項目11) 前記分散エレメントは格子であり、
前記光学縦列は前記格子に取り込まれる光パワーを含む、
項目1に記載の波長ルータ。
(項目12) 前記光学縦列はレンズを含み、
前記分散エレメントは反射格子であり、
前記経路設定メカニズムは、複数の動的に構成可能なエレメントを含み、
前記入力ポートから来る光は、該レンズによってコリメートされ、前記スペクトルバンドに対応する複数の角度別に区別されるビームとして該反射格子から反射され、
該角度別に区別されるビームは、該レンズによって該動的に構成可能なエレメントの各エレメント上に焦点が合わされ、
所与の動的に構成可能なエレメントはそれぞれ複数の状態を有し、該状態はそれぞれ、該動的に構成可能なエレメントの各角度別に区別されるビームを複数の経路のうち所望の1つに沿って方向付けるように適合され、これにより、該動的に構成可能なエレメントから出て行く光が該レンズによって再度コリメートされ、該反射格子によって反射され、該レンズによリ、該出力ポートのうち該複数の経路のうち所望の経路に対応する出力ポート上に再度焦点を合わせる、
項目1に記載の波長ルータ。
(項目13) 前記分散エレメントは、スペクトルバンド間の間隔よりもずっと小さな分解能を有する格子である、項目1に記載の波長ルータ。
(項目14) 前記分解能は、差分経路長さが約3cmよりも大きい場合に達成される、項目13に記載の波長ルータ。
(項目15) 項目1に記載の第1の波長ルータおよび第2の波長ルータであって、該第2の波長ルータの出力ポートの対応する第1のサブセットと光通信状態にある該第1の波長ルータの出力ポートの第1のサブセットと反対方向に接続され、該第1の波長ルータの入力ポートは上流ファイバと光通信状態にあり、該第2の波長ルータの入力ポートは下流ファイバと光通信状態にあり、該第1の波長ルータの出力ポートおよび該第2の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットはそれぞれ、該出力ポートの第2のサブセットのうち一方から来る光を受け取り、該出力ポートの第2のサブセットのうち他方上に光を通信させるするネットワーク端子機器と通信状態にある、第1の波長ルータおよび第2の波長ルータ、
を備える、波長アド−ドロップマルチプレクサ。
(項目16) 第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートの各々に方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートと該出力ポートとの間に配置され、該スペクトルバンドを経路設定する光路を提供し、該入力ポートから出てくる光を遮断するように配置された分散エレメントを備え、かつ、光が該格子エレメントに2回当たった後に該出力ポートのうちいずれかに到達するように構成される自由空間光学縦列を備え、Mは2よりも大きい、
波長ルータ。
(項目17) 前記分散エレメントは反射格子であり、前記光学縦列は、
前記入力ポートからの光を遮断するように配置され、該遮断された光をコリメートし、該コリメートされた光を該反射格子に方向付け、該反射格子から反射された光を遮断し、該光の焦点を合わせ、各スペクトルバンドが異なる地点において焦点が合わされた状態で該焦点が合わされた光を経路に沿って方向付ける、レンズと、
該焦点が合わされたスペクトルバンドの各々を遮断し、該各スペクトルバンドを方向付けるように配置された複数のN個の反射エレメントであって、これにより、該レンズ、該反射格子、該レンズ、および各出力ポートとが当たった、反射エレメントと、
を備える、項目16に記載の波長ルータ。
(項目18) 前記分散エレメントは透過型格子であり、前記光学縦列は、
該透過型格子と前記入力ポートとの間に配置されたレンズと、
該入力ポートから離れた該透過型格子の側部上に設けられた複数のN個の反射エレメントであって、これにより、光を該格子を通過させ、該反射エレメント上に到達させて、該透過型格子、該レンズおよび該出力ポートを通過させる、反射エレメントと、
を備える、項目16に記載の波長ルータ。
(項目19) 前記分散エレメントは反射格子であり、前記光学縦列は、
前記入力ポートからの光を遮断し、該遮断された光をコリメートし、該コリメートされた光を該反射格子に方向付け、該反射格子から反射した光を遮断し、該光の焦点を合わせ、各スペクトルバンドが異なる地点において焦点が合わされた状態で該焦点が合わされた光を経路に沿って方向付けるように配置された曲面反射器と、
各焦点が合わされたスペクトルバンドを遮断し、該曲面反射器、該反射格子、該曲面反射器および各出力ポートとが当たるように該焦点が合わされたスペクトルバンドを方向付けるように配置された複数のN個の反射エレメントと、
を備える、項目16に記載の波長ルータ。
(項目20) 前記分散エレメントはプリズムである、項目16に記載の波長ルータ。
(項目21) 前記光路は、超微細電子機器システム(MEMS)エレメントから構成された鏡を含む、項目16に記載の波長ルータ。
(項目22) 第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートのそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートから放射される光を第1の横方向の次元においてコリメートする第1の円筒型レンズと、
該光を第2の横方向の次元においてコリメートする第2の円筒型レンズであって、該第2の横方向の次元は該第1の横方向の次元に対して直角である、第2の円筒型レンズと、
該光を該第1の横方向の次元において特定の方向に分散させる透過型分散エレメントと、
該光を該第1の横方向の次元に焦点を合わせる第3の円筒型レンズと、
該第3の円筒型レンズの焦点面における複数のN個の傾斜可能な鏡であって、それぞれが各スペクトルバンドを遮断し、該スペクトルバンドを該第3の円筒型レンズに再度方向付ける、傾斜可能な鏡と、
複数のアクチュエータであって、それぞれが各鏡に結合され、これにより該各スペクトルバンドの光経路の傾斜が選択的に実行される、アクチュエータと、
を備え、
各スペクトルバンドは、該第3の円筒型レンズによって該第1の横方向の次元においてコリメートされ、該格子によって該第1の横方向の次元に該特定の方向と反対方向に分散され、該第2の円筒型レンズによって該第2の横方向の次元に焦点が合わされ、該第1の円筒型レンズによって該第1の横方向の次元に焦点が合わされ、その結果、各スペクトルバンドは、該各傾斜可能な鏡によって決定された各位置において該第1の横方向の次元および該第2の横方向の次元の両方に焦点が合わされる状態になる、
波長ルータ。
(項目23) 前記復帰経路からの光を受け取るように配置された一列の出力ファイバをさらに備え、該出力ファイバの位置は、前記第2の円筒型レンズを通じてフーリエ関係にある前記複数の傾斜可能な鏡の傾斜に対応する、
項目22に記載の波長ルータ。
(項目24) 前記鏡は超微細電子機器システム(MEMS)エレメントから構成される、項目22に記載の波長ルータ。
(項目25) 第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートのそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートから出てくる光をコリメートする第1の球形レンズと、
該光を第1の横方向の次元において特定の方向に分散させて、該スペクトルバンドを空間的に分離させる透過型分散エレメントと、
該分散エレメントから出てくる光の焦点を合わせる第2の球形レンズと、
該第2の球形レンズの焦点面にある複数の逆反射体であって、それぞれ、各スペクトルバンドを遮断し、該スペクトルバンドを該第2の球形レンズに再度方向付ける、その結果、該第1の横方向の次元に対して直角な第2の横方向の次元において横方向に変位し、該横方向の変位は該逆反射体の状態によって異なる、逆反射体と、
を備え、
各スペクトルバンドは、該第2の球形レンズによってコリメートされ、該格子によって該第1の横方向の次元において該特定の方向と反対の方向に分散され、該第1の球形レンズによって焦点が合わされ、その結果、各スペクトルバンドは、該各逆反射体によって決定された各位置において焦点が合わされた状態となる、波長ルータ。
(項目26) 第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートのそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートから出てくる光をコリメートするように配置された正の光パワーを含む光学エレメントと、
該光学エレメントから来る光を第1の横方向の次元において特定の方向に分散させて、該スペクトルバンドを空間的に分断させる反射分散エレメントであって、該スペクトルバンドを再度該光学エレメントに方向付け、その結果、該分散エレメントから来る光は焦点が合わされる、反射分散エレメントと、
該光学エレメントの焦点面にある複数の逆反射体であって、それぞれ、各スペクトルバンドを遮断し、該スペクトルバンドを該光学エレメントに再度方向付けて、該光学エレメントを第1の横方向の次元に対して直角な第2の横方向の次元において横方向の変位をさせ、該横方向の変位は該逆反射体の状態に依存する、逆反射体と、
を備え、
スペクトルバンドはそれぞれ、該光学エレメントによってコリメートされ、該分散エレメントによって該第1の横方向の該特定の方向と反対方向に分散され、該光学エレメントによって焦点が合わされ、その結果、各スペクトルバンドは、該各逆反射体によって決定された各位置において焦点が合わされた状態となる、
波長ルータ。
(項目27) 前記光学エレメントは球形レンズである、項目26に記載の波長ルータ。
(項目28) 前記光学エレメントは凹面反射器である、項目26に記載の波長ルータ。
(項目29) 各逆反射体は屋根型プリズムを備え、
該逆反射体の状態は、該逆反射体の屋根型プリズムの横方向の位置によって規定される、
項目26に記載の波長ルータ。
(項目30) 各逆反射体は、屋根型プリズムと、相対運動が可能であり、透明材料で構成された関連ボディであって、該逆反射体の屋根型プリズムと光学的に接触するように構成された関連ボディとを備え、
該逆反射体の状態は、該逆反射体の屋根型プリズムが該関連ボディと光学的に接触するか否かによって少なくとも部分的に規定される、
項目26に記載の波長ルータ。
(項目31) 第1の取付け面および第2の取付け面を有する支持エレメントであって、該第1の取付け面および該第2の取付け面の間の角度は、およそ90°を規定する、支持エレメントと、
各第1の基板および第2の基板上に配置され、該支持エレメントの第1の取付け面および第2の取付け面上に取り付けられる第1のMEMS超小型鏡アレイおよび第2のMEMS超小型鏡アレイと、
該第2のアレイ中の複数のM個の超小型鏡と関連付けられた該第1のアレイ中の所与の超小型鏡と、
該第1のアレイ中の各所与の超小型鏡に結合されて、該所与の超小型鏡のM個の別個の配向を提供するアクチュエータであって、各配向は、光を入射方向に沿って該第2のアレイ中の異なる超小型鏡に方向付ける、アクチュエータと、
を備え、
該第2のアレイ中の複数のM個の超小型鏡は、該所与の鏡が該第2のアレイ中の該超小型鏡に光を方向付けるような配向にあると、該第1のアレイ中の所与の鏡の配向に対して実質的に90°となるような各配向を有する、
構成可能な逆反射体アレイ。
(項目32) 前記支持エレメントは、相互に向かい合う支持面を有するV字型ブロックであり、
前記第1のアレイおよび前記第2のアレイは、該アレイ中の超小型鏡と前記第1の取付け面および前記第2の取付け面との間に配置された前記第1の基板および前記第2の基板と共に取り付けられる、
項目31に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
(項目33) 前記支持エレメントは、相互に外側に向いた支持面を有するプリズムであり、
前記第1のアレイおよび前記第2のアレイは、前記第1の基板および前記第2の基板と前記第1の取付け面および前記第2の取付け面との間に配置されたアレイ中の超小型鏡と共に取り付けられる、
項目31に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
(項目34) 前記超小型鏡は±10°のオーダーの偏向に限定される、項目31に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
(項目35) 相互に特定の角度で固定され、交差軸を規定する第1の平面鏡および第2の平面鏡と、
該交差軸に平行な回転軸を中心にした回転のために取り付けられる第3の平面鏡と、
該第3の平面鏡に結合され、該回転軸を中心にした第1の角度位置および第2の角度位置を提供するように構成されたアクチュエータであって、該第1の角度位置は、該第1の平面鏡と該第3の平面鏡との間の角度がおよそ90°になるように規定し、該第2の角度位置は、該第2の平面鏡と該第3の平面鏡との間の角度がおよそ90°になるように規定する、アクチュエータと、
を備える、動的に構成可能な逆反射体。
(項目36) 一列の屋根型プリズムを作製する方法であって、
細長いプリズムエレメントを提供する工程と、
所望のレベルの平面度を有する面を有する一対の細長いストップエレメントを提供する工程と、
所望のレベルの平面度になるまで該細長いプリズムエレメントの表面を光学的に研磨する工程と、
該光学的に研磨された細長いプリズムエレメントに、該アレイを構成する複数の屋根型プリズムを提供する一連の操作を行う工程と、
各位置決めエレメントを該屋根型プリズムのアレイに提供して、該一対の細長いストップエレメント間で移動させる工程と、
を包含する、方法。
(項目37) 前記細長いプリズムエレメントは単一の構成要素であり、
該一連の操作は、前記細長いプリズムエレメントを個々のプリズムに物理的に切断する工程を包含する、
項目36に記載の方法。
(項目38) 前記細長いプリズムエレメントは、個々のプリズムが結合された構成要素であり、
前記一連の操作は、該個々のプリズム間で該結合を分解する工程を包含する、項目36に記載の方法。
(項目39) それぞれが入力ポートと呼ばれるポートと、出力ポートと呼ばれる複数のさらなるポートとを有し、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを少なくとも備える第1の波長ルータおよび第2の波長ルータであって、それぞれ、複数のスペクトルバンドを有する光を該波長ルータの入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドの選択されたサブセットを該波長ルータの各出力ポートに方向付けるように構成される第1の波長ルータおよび第2の波長ルータ、
を備え、
該第1の波長ルータおよび該第2の波長ルータは、該第2の波長ルータの出力ポートの対応する第1のサブセットと光通信状態にある該第1の波長ルータの出力ポートの第1のサブセットと反対方向に接続され、該波長ルータの出力ポートの第1のサブセットはそれぞれ、該波長ルータの複数の出力ポートよりも小さいため、該波長ルータはそれぞれ、出力ポートの第2のサブセットを有し、
これにより、
該第1の波長ルータの入力ポートは、OADMのための入力ポートとして機能し、
該第2の波長ルータの入力ポートは、該OADMのための出力ポートとして機能し、
該第1の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットは、該OADMのためのドロップポート機能を提供し、
該第2の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットは、該OADMのためのアドポート機能を提供する、
光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)。
(項目40) 各波長ルータは、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートのみを有し、該第1の出力ポートおよび該第2の出力ポートは、該波長ルータの出力ポートの第1のサブセットおよび第2のサブセットを規定する、項目39に記載のOADM。
(項目41) 項目39に記載のOADMと、
入力ポートならびに第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを有する分割エレメントと、
第1の入力ポートおよび第2の入力ポートならびに出力ポートを有する連結(combining)エレメントと、
前記OADMのドロップポートと該分割エレメントの入力ポートとの間と、該分割エレメントの第1の出力ポートと該連結エレメントの第1の入力ポートとの間と、該連結エレメントの出力ポートと該OADMのアドポートとの間に光通信を提供する一連の光路と、
を備える、ドロップ−アンド−リピートOADM。
(項目42) 前記OADMのドロップポートと前記分割エレメントの入力ポートとの間の光路に配置された光学増幅器をさらに備える、項目41に記載のドロップ−アンド−リピートOADM。
(項目43) 第1の波長ルータ、第2の波長ルータ、第3の波長ルータおよび第4の波長ルータを備える波長選択性交差接続部(WSXC)であって、
該第1の波長ルータ、該第2の波長ルータ、該第3の波長ルータおよび該第4の波長ルータはそれぞれ、入力ポートと呼ばれるポートと、出力ポートと呼ばれる複数のさらなるポートとを有し、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを少なくとも含み、各波長ルータは、複数のスペクトルバンドを有する光を該波長ルータの入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドの選択されたサブセットを該波長ルータの出力ポートの各々に方向付けるように構成され、
該第1の波長ルータおよび該第2の波長ルータは、該第2の波長ルータの第1の出力ポートと光通信状態にある該第1の波長ルータの第1の出力ポートと反対方向に接続され、
該第3の波長ルータおよび該第4の波長ルータは、該第4の波長ルータの第1の出力ポートと光通信状態にある該第3の波長ルータの第1の出力ポートと反対方向に接続され、
該第1の波長ルータの第2の出力ポートは、該第4の波長ルータの第2の出力ポートと光通信状態にあり、
該第3の波長ルータの第2の出力ポートは、該第2の波長ルータの第2の出力ポートと光通信状態にあり、
これにより、
該第1の波長ルータの入力ポートおよび該第2の波長ルータの入力ポートは、該WSXCのための第1の入力ポートおよび第2の入力ポートとして機能し、
該第3の波長ルータの入力ポートおよび該第4の波長ルータの入力ポートは、該WSXCのための第1の出力ポートおよび第2の出力ポートとして機能し、
該第1の波長ルータの第1の出力ポートと該第2の波長ルータの第1の出力ポートとの間の光通信と、該第3の波長ルータの第1の出力ポートと該第4の波長ルータの第1の出力ポートとの間の光通信は、該WSXCのための通過経路を提供し、
該第1の波長ルータの第2の出力ポートと該第4の波長ルータの第2の出力ポートとの間の光通信と、該第3の波長ルータの第2の出力ポートと該第2の波長ルータの第2の出力ポートとの間の光通信とは、該WSXCのための交換経路を提供する、
WSXC。
(項目44) 項目43に記載のWSXCと、
入力ポートならびに第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを有する分割エレメントと、
第1の入力ポートおよび第2の入力ポートならびに出力ポートを有する連結エレメントと、
該WSXCの第2の出力ポートと該分割エレメントの入力ポートとの間と、該分割エレメントの第1の出力ポートと該連結エレメントの第1の入力ポートと、該連結エレメントの出力ポートと該WSXCの第2の入力ポートとの間に光通信を提供する一連の光路と、
を備える、ドロップ−アンド−リピートOADM。
(項目45) 前記WSXCの第2の出力ポートと前記分割エレメントの入力ポートとの間の光路中に配置された光学増幅器をさらに備える、項目44に記載のドロップ−アンド−リピートOADM。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】図1Aは、球面焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図1B】図1Bは、球面焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図1C】図1Cは、球面焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略端面図である。
【図2A】図2Aは、球面焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図2B】図2Bは、球面焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図3】図3は、球面焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態の使用に適した、移動可能な屋根型プリズムに基づいた逆反射体の代替インプリメンテーションを示す図である。
【図4B】図4Bは、本発明の実施形態の使用に適した、移動可能屋根型プリズムに基づいた逆反射体の代替インプリメンテーションを示す図である。
【図4C】図4Cは、単一ユニットとして組み立てられる屋根型プリズムアレイの側面図である。
【図4D】図4Dは、単一ユニットとして組み立てられる屋根型プリズムアレイの平面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態の使用に適した、移動可能ミラーに基づいた逆反射体のインプリメンテーションを示す図である。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態の使用に適した、マイクロミラーに基づいた逆反射体レイのインプリメンテーションを示す側面図である。
【図5C】図5Cは、本発明の実施形態の使用に適した、マイクロミラーに基づいた逆反射体レイのインプリメンテーションを示す平面図である。
【図5D】図5Dは、マイクロミラーに基づいた逆反射体レイの代替インプリメンテーションの側面図である。
【図6A】図6Aは、円筒形焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図6B】図6Bは、円筒形焦点エレメントを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図7A】図7Aは、円筒形焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図7B】図7Bは、円筒形焦点エレメントを使用する本発明の別の実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図8A】図8Aは、単一エレメント内で球面焦点パワーおよび分散を結合させる本発明の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図8B】図8Bは、単一エレメント内で球面焦点パワーおよび分散を結合させる本発明の一実施形態による波長ルータの概略側面端面図である。
【図9A】図9Aは、単一エレメント内で円筒形焦点パワーおよび分散を結合させる本発名の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図9B】図9Bは、単一エレメント内で円筒形焦点パワーおよび分散を結合させる本発名の一実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図10A】図10Aは、分散エレメントとしてプリズムを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略平面図である。
【図10B】図10Bは、分散エレメントとしてプリズムを使用する本発明の一実施形態による波長ルータの概略側面図である。
【図11】図11は、波長ルータの代表的な制御システムを示す図である。
【図12A】図12Aは、好適なバンド形状を示す図である。
【図12B】図12Bは、図1Aからの代表的な光路の差分光路長(differential path length)を示す図である。
【図12C】図12Cは、図1Aからの代表的な光路の差分光路長(differential path length)を示す図である。
【図13】図13は、光学追加−ドロップマルチプレックス(OADM)を提供する波長ルータの組み合わせを示す概略図である。
【図14】図14は、波長選定交差接続(WSXC)を提供する波長ルータの組み合わせを示す概略図である。
【図15】図15は、光学多重化セクション共有保護リング(OMSSPRing)光学ネットワークにおける保護切換えを提供する、波長ルータの組み合わせを示す概略図である。
【図16】図16は、図13のOADMに基づいたドロップ−アンド−リピートOADMの実施形態を示す概略図である。
【図17】図17は、図14のWSXCに基づいたドロップ−アンド−リピートOADMの実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(特定実施形態の説明)
(1.導入)
以下の記載は、本発明による全光波長ルータの実施形態を示す。本発明の実施形態は、アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)、波長設定交差接続(WSXC)のようなネットワークエレメントに適用され得、光学ネットワークシステムの目的を達成する。
【0026】
波長ルータの一般的な機能は、入力ポートの複数の(例えば、N個の)スペクトルバンドを有する光を受け入れ、複数の(例えば、M個の)出力ポートのうち、所望の出力ポートにスペクトルバンドのサブセットを選択的に方向付けることである。説明のほとんどは、経路設定メカニズムが、切換えがもたされ得るように、動的にフィールド内で状態が変更する1つ以上のルーティングエレメントを含む動的な(切換え)実施形態に関するものである。本発明はまた、ルーティングエレメントが製造時、または長期正常動作中に、構成が変更されないようになっている環境のもとで構成される、静的な実施形態も含む。
【0027】
本発明の実施形態は、波長依存量によって入射する光を偏向させるように動作する回析格子またはプリズムのような、分散エレメントを含む。偏向された光の種々の部分が、異なるルーティングエレメントによって遮断される。入射光は連続スペクトルを有し、その近傍部分は異なるスペクトルバンドとみなされ得るが、概して、入射光のスペクトルは、間隔の空いた複数のバンドを有すると考えられる。
【0028】
「入力ポート」および「出力ポート」という用語は、広い意味を有するように意図される。最も広い意味では、ポートは光がシステムに入射する、または離れる地点によって規定される。例えば、入力(または出力)ポートは光源(または検出器)の位置、または入力ファイバのダウンストリームの終点(または、出力ファイバのアップストリームの終点)の位置であり得る。特定の実施形態においては、ポート位置の構造は、ファイバを受信するファイバコネクタを含み得るか、またはファイバピグテールの終点を含み得、そのもう一方の終点は外部構成要素に接続される。実施形態のほとんどは、光が入力ポートを通過した後、波長ルータに入射すると分散し、出力ポートに接近するにつれて、波長ルータ内で収束すると考える。しかし、これは必要なことではない。
【0029】
国際電気通信連合(ITU)は、193,100GHzを中心とした周波数バンドおよび、193,100GHzの近くの100GHz毎の別のバンドを有する標準波長グリッドを規定した。これは、約1550nmを波長の中心として、その中心近くから約0.8nm毎の間隔を空けた波長空間に対応し、グリッドは周波数が均一であるが、波長はほぼ均一にすぎないと理解される。本発明の実施形態は、好ましくはITUグリッドに指定されるが、25GHzおよび50GHzの(約0.2nmおよび0.4nmの波長空間に対応する)より微細な周波数間隔(finer frequency intervals)もまた当該である。
【0030】
ITUはまた、標準データ変調率も規定する。OC−48は、約2.5GHz(実際は2.488GHz)に対応し、OC−192は約10GHzに対応し、OC−768は約40GHzに対応する。変調されないレーザバンド幅は、10GHzから15GHzのオーダにある。現在の実践では、データ率は、十分低い(例えば、100GHzチャネル空間のOC−192)ので、変調された信号のバンド幅は典型的には、バンド間隔を十分下回る。従って、チャネルの一部の能力だけが使用される。しかし、利用可能バンド幅のより多く(例えば、100GHzチャネル空間のOC−768)を使用しようとする試みがなされると、チャネルそのもののバンドの形状に関する問題が生じる。これらの問題に対処する技術は、以下に記載される。
【0031】
(球状の焦点合わせエレメントの実施形態)
図1A、図1B、および図1Cはそれぞれ、本発明の一実施形態による波長ルータ10の模式的な平面図、側面図、および端面図である。波長ルータ10の一般的な機能性は、入力ポート12において複数(例えば、N)の分光バンドを有する光を受け入れ、15(1...M)と表示される複数(例えば、M)の出力ポートのうちの所望の出力ポートに分光バンドのサブセットを選択的に方向付けることである。この出力ポートは、図1Aの平面図にほぼ垂直に延びる線17に沿って配置されるように図1Cの端面図に示される。入力ポートおよび出力ポートは、それぞれの入力光ファイバーおよび出力光ファイバーと連絡するように示されるが、この入力ポートはまた、光源から直接光を受け取り得、この出力ポートはまた、光検出器に直接結合され得ることが理解されるべきである。この図面は、一律の縮尺に従わない。
【0032】
入力ポート12から波長ルータ10に入射する光は、異なる分光バンドを含む発散光線18を形成する。この光線18はレンズ20に到達し、このレンズ20は光をコリメートして反射回折格子25へと方向付ける。この格子25は、光を分散させて、異なる波長のコリメートされた光線を異なる角度でレンズ20に戻らせる。このような光線の2つが明示的に示され、26および26’(後者は点線で描かれる)と表示される。これらのコリメートされた光線は、異なる角度でレンズに到達するため、横断焦点面内の線27に沿う異なる点で焦点を合わせられる。この線27は、図1Aの平面図内で延びる。
【0033】
焦点を合わせられた光線は、複数の逆反射体のそれぞれに到達し、これらの逆反射体は、30(1...N)と表示され、焦点面の近傍に配置される。これらの光線は、発散光線としてレンズ20に戻される。下記により詳細に示すように、各逆反射体は、線27に垂直な方向に変位させられ得る逆の経路に沿って遮断光線を送る。より詳細には、光線は、図1Bの側面図および図1Cの端面図の平面内の線17にほぼ平行に延びるそれぞれの線35(1...N)に沿って変位させられる。
【0034】
図示の特別な実施形態において、各光線の変位は、それぞれの線35(i)に沿って逆反射体の位置を変位させることにより引き起こされる。他の実施形態において、下記で説明するように、光線の変位は、逆反射体の再配置により引き起こされる。逆反射体は、図1Cの平面において出力ポートの上に示されるがこれは必須でなく、格子または他のエレメントの異なる配向に応じて、他の相対的な位置が生じ得ることが理解される。
【0035】
逆反射体から戻ってくる光線は、レンズ20によってコリメートされ、格子25にもう一度方向付けられる。この格子25は、2度目の到達において、異なる光線間の角度が分離することを取り除き、光線の焦点を合わせるレンズ20へとコリメートされた光線を戻させる。しかし、それぞれの逆反射体によって各光線が変位可能なため、光線は、線17に沿うおそらく異なる点において焦点を合わせられる。従って、各光線は、逆反射体の位置に応じて、出力ポート15(1...M)のうちの1つまたは別の1つに方向付けられる。
【0036】
要するに、各分光バンドは、波長に依存する角度で、コリメートされ、格子に到達し、格子を離れる。各分光バンドは、それぞれの逆反射体において焦点を合わせられて、逆反射体によって決定される所望の距離だけ変位させられる。各分光バンドは、再びコリメートされ、再び格子に到達して、以前の分散を格子に取り消させる。そして、各分光バンドは、逆反射体によって課せられた変位に対応する出力ポート上に焦点を合わせられる。上記の実施形態において、光は、ポートと格子との間の領域を4回横断する(各方向に2回)。
【0037】
この実施形態は、自由空間実施形態と呼ばれる実施形態のより一般的な種類の空気分離型(airspace)実施例である。下記で説明する他の自由空間実施形態のいくつかにおいて、種々の光線の全てはガラス本体内に存在する。用語「自由空間」は、本体内の光が伝播を横断する次元に限定されるのではなく、これらの横断する次元において回折すると考えられ得るという事実を参照する。分散エレメントへの第2の到達が、第1の到達によって誘発された分散を効果的に取り消すため、各分光バンドは、実質的に分散のない状態でルータを出る。
【0038】
図1A〜図1Cは、逆反射体30(1...M)に近づく際および離れる際の光線を遮断する四分の一波長板37を示す。この四分の一波長板を使用して、格子25に依存する任意の偏光を補償する。一般的には、入力ポート12から出現する光は、任意の偏光を有し得る。従って、2つの直交偏光状態に関する格子の効率係数が大きく異なる場合、波長ルータの全体の伝達効率は、偏光が時間の関数として変化する程度まで、時間の関数として変化し得、異なる分光バンドが異なる偏光を有する場合、波長の関数として変化し得る。図1Cは、線27の方向に対して45°の四分の一波長板の軸を模式的に示す。四分の一波長板37は、波長ルータの偏光に対する依存性を減少させるメカニズムに関する詳細を下記に提供する。これは、現在の目的として、波長ルータ10の偏光に対する依存性が、四分の一波長板37を使用することにより減少され得ることを注意するのに十分である。ファラデー回転板を使用して、四分の一波長板の機能を実行することも可能である。
【0039】
図2Aおよび図2Bはそれぞれ、本発明の実施形態によって10’と表示される波長ルータの模式的な平面図および側面図である。図1A〜図1C内のエレメントに対応するエレメントに関して、同じ参照番号、またはプライム符号(本明細書において、’はプライム符号を示す)を付けられるかもしくはサブインデックスを付加される参照番号が使用される。この実施形態は、透過回折格子25’ならびに一対のレンズ20aおよび20bを使用するという点で、図1A〜図1Cの実施形態と異なる。従って、この実施形態は、図1A〜図1Cの実施形態を折り畳まない変形例と考えられ得る。
【0040】
入力ポート12から波長ルータ10’に入射する光は、異なる分光バンドを含む発散光線18を形成する。この光線18は第1のレンズ20aに到達し、この第1のレンズ20aは光をコリメートして格子25’へと方向付ける。この格子25’は、光を分散させて、異なる波長にてコリメートされた光線を光線から出現させ、先に進ませる。そのうちの1つが示されるコリメートされた光線は、第2のレンズ20bに到達し、この第2のレンズ20bは、光線の焦点を合わせる。焦点を合わせられた光線は、焦点面の近傍に配置されるそれぞれの複数の逆反射体30(1...N)に到達する。光線は、反射され、発散光線としてレンズ20bに戻り、コリメートされて、格子25’に方向付けられる。この格子25’は、第2の到達の際、異なる光線間で角度が分離することを取り除き、これらの光線は、次いで、出力ポート15(1...M)の平面に焦点を合わせられる。
【0041】
この特定の実施形態において、入力ポート12、レンズ20a、格子25’、レンズ20b、および逆反射体は、ほぼ等しい間隔で間隔をあけ、この2つのレンズは同じ焦点距離を有し、入力ポートと逆反射体との間の距離は焦点距離の4倍(4×)である。従って、焦点距離および相対的な位置によって、入力ポート12および逆反射体の間の「4fのリレー(4f relay)」と呼ばれるものと、逆反射体および出力ポートの間の4fのリレーと呼ばれるものとが規定される。この構成は必須でないが、好適である。この光学系は好適にはテレセントリックである。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態による波長ルータ10”の模式的な平面図である。この実施形態は、第1の実施形態のレンズ20(または、第2の実施形態のレンズ20aおよび20b)の代わりに凹面反射器40を使用する固体ガラス(solid glass)の実施形態である。従って、この実施形態は、図1A〜図1Cの実施形態をさらに折り畳んだ変形例であると考えられ得る。上記のように、入力ポート12から波長ルータ10”に入射する光は、異なる分光バンドを含む発散光線18を形成する。この光線18は凹面反射器40に到達し、この凹面反射器40は光をコリメートして反射回折格子25へと方向付ける。この格子25は、光を分散させて、異なる波長のコリメートされた光線を異なる角度で反射器40に戻らせる。このような光線の2つが明示的に示され、1つは実線で、1つは点線で描かれる。これらのコリメートされた光線は、異なる角度で反射器に到達するため、横断焦点面内の異なる点で焦点を合わせられる。
【0043】
焦点を合わせられた光線は、焦点面の近傍に配置される逆反射体30(1...N)に到達する。この逆方向の動作は、上記の実施形態と関連して説明され、光線は、図3の平面に垂直な方向に変位する逆経路に従う。従って、逆経路は順経路の真下に横たわり、図3において可視でない。この逆経路において、光線は、凹面反射器40、反射格子25’、そして凹面反射器40に到達し、最後の凹面反射器40は、入力ポート12の下に横たわるため、所望の出力ポート(この図には示さず)に光線の焦点を合わせる最終的な到達点である。
【0044】
(屋根型プリズムベースの逆反射体の実施形態)
図4Aおよび図4Bは、本発明の実施形態に使用することが適切な可動屋根型プリズムに基づいて、逆反射体の別の実施形態を示す。この逆反射体は、30aおよび30bと表示され、上記の実施形態においてアレイ30(1...N)を実施する際に使用され得る。
【0045】
図4Aは、30aと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、光線に対して横方向の逆反射体の変位に依存する異なる量によって、入射光線を変位させるように動作する。図の左側は、第1の位置にある逆反射体を示す。遮断第2の下向きに変位した位置が想像で示される。図の右側は、第2の位置に変位させられた逆反射体を示し、ここで、反射光線は、逆反射体の変位に比例する量だけ下向きに変位させられる。逆反射体は屋根型プリズムとして示され、動作は内部反射の全体に基づく。逆反射体は、V型構成の一対のミラーとして実施されることも可能である。この種類の逆反射体は、プリズムの尖端に対する入射光線のオフセットに依存する量だけ、反射光線は入射光線からオフセットされるが、全体の経路の長さはオフセットと無関係であるという特性を有する。
【0046】
図4Bは、30bと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、屋根型プリズムエレメント50と、このプリズムエレメントからわずかに間隔をあけてV型に構成された一対の適合されたインデックスの上部および下部プレート51および52とを含む。入射光線の変位は、プレート51または52の一方または他方によってプリズムエレメント50に選択的に接触することにより引き起こされる。図の左側は、上部プレート51に接触するプリズムエレメントを示し、ここで、入射光線は、上部プレート内へと進み、まず、上部プレートおよびプリズムエレメントの下部表面によって反射される。図の右側は、下部プレート52に接触するプリズムエレメントを示し、ここで、入力光線は、まず、プリズムエレメントの上部表面によって反射され、下部プレート内へと進み、この下部プレートの下部表面において内部反射を経験する。この逆反射体は、プリズムエレメント変位に比べて大きな光線変位を提供するように考えられ得る。
【0047】
図4Cおよび図4Dは、単一のユニットとして組み立てられる屋根型プリズムアレイの側面図および平面図である。アレイ全体の均一性を維持するために、屋根型プリズムアレイは、まず、単一の細長いプリズムエレメントとして製造され、支持プレートの一端に取り付けられる。このアセンブリの上部および底部は、光学的に平らに研磨加工され、プリズムおよび支持プレートのアセンブリを通じてスロット53が切り込まれて、それぞれの支持歯(support tines)55上に個別のプリズムエレメント54のアレイを規定する。2つの止め金具57aおよび57bについて、1つはこの屋根型プリズムアレイの上に、1つはこの屋根型プリズムアレイの下に配置される。これらの止め金具もまた、光学的に平らに研磨加工される。それぞれのアクチュエータ58は、上部止め金具または下部止め金具のいずれかに対して各プリズムエレメントを移動させる。所定の止め金具に対して保持されている任意のプリズムは、非常に高い耐性を有して互いに対して調整される。なぜならば、スロットを切り込む前に細長いプリズムエレメントを平らに研磨加工する場合、光学的な正確さが必要とされるからである。
【0048】
アクチュエータが各逆反射体に関連する。これは、図4Aまたは図4Bに明示的に示されないが、図4Cはアクチュエータ58を明示的に示す。特定の種類のアクチュエータは本発明の一部分でなく、多くの種類のアクチュエータメカニズムが当業者に明らかである。図4Cは、アクチュエータを個別のエレメント(例えば、圧電性トランスデューサ)として明示的に示すが、支持プレートはバイモルフベンダー材料から製造され得、従って、アクチュエータとしても機能し得る。Piezo Systems,Inc.,186 Massachusetts Avenue,Cambridge,Massachusetts 02139によって提供される圧電性ベンダーは、2つの外部表面上の電極間の電圧の影響を受けると曲がるサンドイッチ状の構造である。
【0049】
(可動ミラーベースの逆反射体の実施形態)
図5Aは、30cと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、互いに対して傾けられた(図示のように、V型または開放型構成の)一対の固定ミラー60aおよび60bと、回転可能なミラー61とを含む。図の左側は、入射光線をミラー60aに方向付けるように配置された回転可能なミラーを示し、右側は、入射光線をミラー60bに方向付けるように配置された回転可能なミラーを示す。2つの方向付けのそれぞれにおいて、固定ミラーおよび回転可能なミラーは傾角90°を規定し、これにより逆反射動作を提供する。
【0050】
図5Bは、30dと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、マイクロミラーを使用する。図5Cは平面図である。一対のマイクロミラーアレイ62および63が、V型ブロック64の傾斜面に取り付けられる。マイクロミラーアレイ62内の1つのマイクロミラー65と、マイクロミラー63内のマイクロミラーの行66(1...M)とが、1つの逆反射体を規定する。マイクロメータアレイは、有利なことに、光の経路が可逆的であることを理解することにより、入力および出力マイクロミラーアレイと呼ばれ得る。図の左側は、入射光線をマイクロミラー66(1)に方向付けるための第1の配向にあるマイクロミラー65を示し、このマイクロミラー66(1)は、マイクロミラー65の第1の方向付けに対して90°に方向付けられて、入射方向と反対の方向に光線を戻す。図の右側は、入射光線をマイクロミラー66(M)に方向付けるための第2の配向にあるマイクロミラー65を示す。従って、マイクロミラー65は、光線の出力位置を選択するように動かされ、マイクロミラー66(1...M)は通常動作の間固定される。マイクロミラー65およびマイクロミラーの行66(1...M)は、図の平面に対して垂直な方向に折り返されたり、動かされ得る。マイクロミラーアレイ62は、たった一次元であればよく、別のマイクロミラーを提供して別の可撓性を提供することが有利であり得る。
【0051】
マイクロミラーアレイが平面であり、2つのマイクロミラーアレイが互いに90°で向き合うためにV型の溝が約90°の二面角を有することが好適である。この角度は、種々の目的のために相当の量変化し得るが、90°の角度は、マイクロミラーの角度変位が比較的小さい状態で入射光線の経路指定を促進する。例えば、市販のマイクロミラーアレイ(例えば、Texas Instruments)は、おおよそ±10°で反射することが可能である。マイクロミラーアレイは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の分野で周知の技術によって作製され得る。この実施例において、ミラーは、シリコンチップの表面上の微細加工された構造として形成される。これらのミラーは、チップの表面上の微細加工されたピボット構造にも取り付けられる。いくつかの実施例において、マイクロミラーは、静電引力を用いて、適切に方向付けられた軸の周りに選択的に傾けられる。
【0052】
図5Dは、30eと表示される逆反射体の動作を模式的に示し、この逆反射体は、V型のブロック64ではなくプリズム69を使用するという点で、図5Cに示す実施例と異なる。対応する参照番号は、同様のエレメントに使用される。V型の溝の場合のように、62’および63’と表示されるマイクロミラーアレイが、90°の角度で互いに向き合うことが望ましい。このために、プリズムは、好適には、90°、45°、および45°の角度を有する面を有し、マイクロミラーアレイは、直角を規定するプリズム面に対面するマイクロミラーに取り付けられる。
【0053】
マイクロミラーアレイは、好適には、外部の環境から密封される。この密封は、シリコンチップ上のマイクロミラーアレイの表面とプリズムの表面との間に形成される密封キャビティ内に各マイクロミラーアレイを囲むことにより達成され得る。マイクロミラーアレイを組み込むこれらのシリコンチップは、その表面の周りにおいて、ミラーとプリズムの表面との間に適切な間隔を有する状態でプリズムの表面に結合し得る。この密封キャビティは、シリコンチップの表面の周りに尾根を提供することにより、適切な寸法に形成され得る。あるいは、この尾根の機能は、シリコンチップの表面とプリズムの表面との両方に結合されたいくつかの他の適切な表面密封スペーサによって実行され得る。所望であれば、各マイクロミラーは、チップ内の自身のキャビティ内にあり得る。プリズムの表面は、好適には、反射防止コーティングを有する。
【0054】
傾けられることが可能なマイクロミラーのアレイを2つ含む逆反射体の実施例が、現在好適である。入力マイクロミラーアレイ内の各マイクロミラーは、光の分散エレメントへの第1の到達の後に光を受け取り、出力マイクロミラーアレイ内のミラーにその光を方向付ける。入力アレイ内のミラーの角度を変化させることにより、逆反射された光は横方向に変位され、その光を分散エレメントに到達させ、選択された出力ポートから出させる。上記のように、本発明の実施形態は可逆的である。V型ブロックの実施例は、一般的には、光路のほとんどが空中にある実施形態に好適であり、プリズムの実施例は、一般的には、ほとんどの光路がガラス内にある実施形態に好適である。個別のプリズムまたはV型ブロックを提供する別の例として、入力アレイの取り付け面と出力アレイの取り付け面とは、ルータの光学ハウジングの一体型機能として形成され得る。
【0055】
入力マイクロミラーアレイは、好適には、少なくとも入力ポートと同じ数のマイクロミラーの行を有し(2つ以上ある場合)、出力マイクロミラーアレイに選択的に方向付けられる波長と同じ数のミラーの列を有する。同様に、出力マイクロミラーアレイは、好適には、少なくとも出力ポートと同じ数だけのマイクロミラーの行を有し、出力ポートに選択的に方向付けられる波長の数と同じだけのミラーの列を有する。
【0056】
倍率係数が1対1のシステムにおいて、入力アレイ内のマイクロミラーの行は互いに平行であり、入射光線をに対して横方向の軸に沿って互いに間隔をあける構成要素は入力ポートの間隔に相当する。同様に、出力アレイ内のマイクロミラーの行は、互いに平行であり、出力ポート間の間隔に対応する間隔によって互いに(横に)間隔をあける。異なる倍率を有するシステムにおいて、ミラーの行間の間隔は、それ相応に調整される。
【0057】
(円筒状の焦点合わせエレメントの実施形態)
図6Aおよび図6Bはそれぞれ、本発明の一実施形態による波長ルータ70の模式的な平面図および側面図である。この実施形態は、折り畳まれていない状態の実施形態であり、従って、図2Aおよび図2Bの実施形態に対応すると考えられ得る。この実施形態は、図2Aおよび図2Bの実施形態のように透過回折格子25’を含むが、波長ルータ70が、球状のレンズではなく円筒状のレンズを使用し、逆反射体ではなく傾けられることが可能なミラーを使用するという点で、それらの実施形態と異なる。波長ルータ70の一般的な機能性は、他の実施形態と同じであり、すなわち、入力ポート12において複数の分光バンドを有する光を受け取り、複数の出力ポート15(1...M)のうちの所望の出力ポートに分光バンドのサブセットを選択的に方向付けることである。
【0058】
円筒状のレンズは、それぞれが平面図(図6A)の面においてのみ屈折力を有する一対のレンズ72aおよび72bと、それぞれが側面図(図6B)の面においてのみ屈折力を有する一対のレンズ75aおよび75bとを含む。このようにして、レンズ72aおよび72bは、図6Bの面において矩形として描かれ、レンズ75aおよび75bは、図6Aの面において矩形として描かれる。
【0059】
入力ポート12から波長ルータ70に入射する光は、異なる分光バンドを含む発散光線18を形成する。この光線18はレンズ72aに到達し、このレンズ72aは、1つの横方向の次元に光をコリメートするが、他の方向にはコリメートせず、その結果、光線は円形から楕円形に変化する横方向の次元の断面図を有する(すなわち、光線は、図6Bの面において伸び続けるが、図6Aの面において伸び続けない)。光線は、レンズ75a、格子25’、およびレンズ75bに到達する。レンズ75aおよび75bは共に、図6Bの面において発散している光をコリメートして、一定の楕円形の断面図によって光線を伝播させる。格子25’は、図6Aの面において光を発散させて、図6Aの面において異なる波長の光線を異なる角度で伝達させるが、図6Bの面においては伝達させない。
【0060】
コリメートされた光線はレンズ72bに到達し、それぞれの線に焦点を合わせられる。焦点を合わせられた光線は、複数の傾けられることが可能なミラー80(1...N)のそれぞれに到達し、これらの傾けられることが可能なミラー80(1...N)は、焦点面の近傍に配置される。これらの光線は、図6Aの面においてのみ発散してレンズ72bに方向付けられる。それぞれのミラーの傾斜角に依存して、光線は図6Bの面において角度を付けて移動させられる。逆方向の光線は、下記で説明するように、図6Aの面と図6Bの面とで異なる変換を受ける。
【0061】
図6Aの面において、光線は、レンズ72bによってコリメートされ、格子25’にもう一度方向付けられる(この平面において、レンズ75bおよび75aは、コリメートされた光線の特性を変化させない)。格子25’は、この第2の到達の際、異なる光線間で角度が分離することを取り除き、コリメートされた光線をレンズ72aに戻して、これらの光線の焦点を出力ポート15(1...M)に合わせる(図6Aの面においてのみ)。図6Aにおいて、逆方向の光線は、個別に示されるのではなく、順方向の光線の投影と一致する投影を平面内に有する。
【0062】
図6Bの面において、光線は、レンズ75aおよび75bによって出力ポートに焦点を合わせられる。しかし、それぞれのミラーによって各光線の角度が変位可能なため、光線は、出力ポート15(1...M)の1つまたは別の1つに方向付けられる。図5Bにおいて、格子25’ならびにレンズ72bおよび72aは、光線の方向、または光線が発散する、コリメートされる、もしくは収束するかどうかに影響を与えない。レンズ75aおよび75bは、側面図の平面のミラー80(1...N)と出力ポート15(1...M)との間にフーリエ関係を提供する。このフーリエ関係は、出力ポートに移動させられた位置に対して、ミラーにおいて傾けられた波面をマッピングする。
【0063】
特定の実施例において、入力ポート12、レンズ72a、一対のレンズ75a/75b、レンズ72b、および傾けられることが可能なミラーは、おおよそ等しい間隔で間隔をあけられ、一対のレンズ75a/75bによって規定されるレンズの焦点距離は、レンズ72aおよび72bの焦点距離の2倍である。これは必須でないが、好適である。これらの焦点距離および相対的な位置によって、レンズ72aおよび72bは、入力ポート12と傾けられることが可能なミラーとの間に4fのリレーを規定する。さらに、2度到達される一対のレンズ75a/75b(1つのレンズとみなす)は、入力ポートと出力ポートとの間に4fのリレーを規定する。この光学系は好適にはテレセントリックである。
【0064】
図7Aおよび図7Bはそれぞれ、本発明の一実施形態による波長ルータ70’の模式的な平面図および側面図である。この実施形態は、図6Aおよび図6Bの実施形態を折り畳んだ変形例であり、図1A〜図1Cの実施形態が図2Aおよび図2Bの実施形態を折り畳んだ変形例である方法に類似する方法で図6Aおよび図6Bの実施形態に関連する。図1A〜図1Cの実施形態のように、波長ルータ70’は、反射回折格子25を使用する。折り畳まれていることによる性質を考慮すると、この実施形態は、図6Aおよび図6Bの実施形態における一対のレンズ72a/72bおよび75a/75bに対応して、単一の円筒状のレンズ72および75を使用する。
【0065】
動作は、光路が折り畳まれている点を除けば図6Aおよび図6Bの実施形態と実質的に同じである。この実施形態において、光は、入力ポートと傾けられることが可能なミラーとの間で2回、傾けられることが可能なミラーから出力ポートへの途中で2回の計4回各レンズに当たる。レンズ75に当たる発散光が一回目に当たった後、発散度が低くなり、二回目に当たった後、平行(コリメート)になることに留意されたい。
【0066】
(焦点合わせエレメント/分光素を組み込んだ実施形態)
図8Aおよび図8Bはそれぞれ、本発明の一実施形態による、波長ルータ90の模式的な平面図および側面図である。これは、概して、球面集光力が格子自体内に組み込まれている点を除けば、図1Aおよび図1Bに示す波長ルータに対応する。したがって、光出力および分散が一つのエレメント95内に組み込まれる。これは、曲がった表面上の格子を規制したり、平坦な表面上の曲がった格子線を規制することによって達成され得る。これらの格子線を提供する規制エンジンに代わってよく用いられる方法は、ホログラフィックな方法である。ホログラフィックな方法において、フォトレジストが格子の基板上で回転され、意図された光源および格子の焦点から発する二つの発散光線からの干渉パターンを用いて露光される。露光の光は、中帯域の波長であったり、中帯域の波長の整数倍であったりする。露光されたフォトレジストは、発展されたり、そのまま用いられたり、エッチングプロセス内のバリアとして用いられ得る。
【0067】
図9Aおよび図9Bはそれぞれ、本発明の一実施形態による、波長ルータ100の模式的な平面図および側面図である。これは、概して、円筒状の集光力が単一エレメント105を規制する格子内に組み込まれている点を除けば、円筒状のレンズおよび傾斜ミラーを用いる、図7Aおよび図7Bに示す波長ルータに対応する。図9Aの平面図の次元の集光力は、図9Bの平面図の次元の集光力の2倍である。この格子のホログラフィック版は、一つの発散光線からの干渉パターン、および意図された光源および格子の焦線から発する線光源を用いてフォトレジストを露光することによって構築され得る。
(プリズムの実施形態)
図10Aおよび図10Bはそれぞれ、上述の実施形態に示すような格子の代わりにプリズム107を用いる波長ルータ10’’’の模式的な平面図および側面図である。図10Aおよび図10Bの実施形態は、図2Aおよび図2Bの実施形態に対応し、対応する参照符号が用いられる。
【0068】
(制御エレクトロニクス)
図11は、波長ルータ112および代表的な制御エレクトロニクスを含む波長ルータシステム110を示す。波長ルータ112は、上述の実施形態のいずれかによって構築され得、種々の逆反射体および傾斜ミラーなどのルーティングエレメント、回折格子またはプリズムなどの分散エレメント、および(少なくとも動的な実施形態において)ルーティングエレメントを移動させるアクチュエータを含むと考えられる。図1Aに対応した参照符号を用いて、入力ポート12を一つならびに2つの出力ポート15(1)および15(2)を有するような波長ルータを図示する。具体的には、80本の波長チャネルを処理することが可能であるような波長ルータを図示する。波長ルータの上述の説明の名称において、M=2およびN=80である。動作は、二つの出力ポートにおいて、所望の波長の解体(disjoint)サブセットλ(出力_1)およびλ(出力_2)を提供することである。いくつかの環境下において、各サブセットは、入力波長をすべて含んだり、または入力波長をまったく含まなかったりし得る。
【0069】
制御エレクトロニクスは、波長ルータ110内のアクチュエータに適切な制御信号を提供するアクチュエータ制御回路部113を含む。アクチュエータ制御回路部は、制御器114によって制御され、制御器と波長ルータとの間のインターフェースとして見られ得る。アクチュエータ制御エレクトロニクスは、デジタルスイッチ、電力ドライバおよびデジタル−アナログ変換器(DAC)を含み得る。複数の状態を有するエレメントの状態を判定する制御器は、マイクロプロセッサ、組み込まれたマイクロ制御器、ASICまたはアクチュエータ制御回路部を制御することに適した任意の論理であり得る。制御器114とアクチュエータ制御回路部113との間のインターフェースは、一組の並列の制御ライン、またはマイクロプロセッサと互換性を有するアドレス/データ/制御バスなど、いくつかの通例の形態を取り得る。
【0070】
いくつかの場合において、別々のアクチュエータの制御回路部を無しで済ますことも可能であり得る。例えば、波長ルータは、波長ルータが制御器114からの直接命令に応答することを可能にするインターフェース回路部を有し得る。設計上の問題として、波長ルータ110と制御エレクトロニクスの作業を分けることが必須である。本発明は、波長ルータアクチュエータの制御に関して、任意の特定の割り当てられた機能に限定されない。現在の実施において、波長ルータは、単なるドライバ(アクチュエータエレクトロニクス)以外のすべてにおいて、いかなる制御エレクトロニクスも含まない。むしろ、すべての知能および制御回路部が、制御エレクトロニクス内に含まれる。
【0071】
制御器114は、好適には、標準または独自に開発したインターフェースおよびプロトコルを用いて、ネットワーク環境において他のコンピュータとも通信する。これをネットワーク管理インターフェース115として模式的に示す。これらの他のコンピュータは、通常、ネットワーク管理アプリケーションを実行する。
【0072】
(バンド形状および分解能の問題)
平面における逆反射体アレイの物理的位置は、格子の分散およびレンズの焦点距離によって決定される目盛係数を備えた周波数に対応する。格子の式は、Nmλ=sinα±sinβであり、Nは格子の溝の周波数であり、mは回折の順序であり、λは光波長であり、βは入射光角であり、αは回折角である。レンズは、式x=fsinαによって、回折角を背面焦点距離fにおける位置xにマッピングする。レンズの背面焦点距離においてミラーを用いると、ミラー平面における位置と波長との間に線形関係λNm=x/f±sinβが得られる。小さな波長に関しては、周波数の変化は波長の変化に比例する。これにより、位置と周波数との目盛係数Δx/Δν= fNmλ2/cが得られる。したがって、ミラー平面における目盛位置は、この比例定数を有する周波数目盛である。
【0073】
図12Aは、好適な実質的に台形のバンド形状を示す。すなわち、これは、格子の分解能を周波数領域をサンプリングするミラーのサイズより細かくすることによって達成される。格子のスポットサイズとミラーのサイズとの比率が極めて大きいことに関して、各チャネルに対するバンドパスの応答は単なる長方形の応答であり、これは格子の完全に分解された周波数平面におけるミラー位置によって与えられる。格子の分解能が有限であるため、バンドパス応答はスポットのコンボリューションであり、これはミラーの長方形のサンプリングを備えた格子からの回折によって決定される。ミラー平面においてミラーのサイズよりも細かい分解能を備えたスポットのようなガウスの格子に関する、このようなコンボリューションの結果を図11Aに示す。本発明の実施形態がミラー幅と格子の分解能との比率を大きく提供することが好適である。なぜならば、結果生じる台形のバンド形状は、バンド間の不安定な部分のサイズに比べて、利用可能な平坦な上部領域が大きいからであり、これにより、スペクトルがより効率的に利用される。図12Bは、格子からの回折角における光線の差分光路長(differential path lenght)も示す。この差分光路長は、格子の周波数の分解能を決定する。光線の断面形状によって判定される次数が一つの係数(order unity coefficient)内で、周波数の分解能は、この差分光路長によって除算された光速度である。特定の実施形態は、100GHzまたはより細かいITU空間だけ離された光バンドを有する。したがって、格子の分解能を10GHzまたはこれより細かくして、チャネル間に大きな平坦なバンド形状を可能にし、100GHzのチャネル空間上にOC−768のデータのローパス伝送を可能にしたり、25GHzの空間上にOC−192のデータのローパス伝送を可能にすることが好適である。この10GHzまたはより細かい格子の分解能は、3cmまたはより長い差分光路長を必要とする。図1Aの折り畳んだ形状寸法において、この3cmは、往復の差分光路長、すなわち片道の1.5cmの差分である。
【0074】
図12Cは、差分光路長がガラス楔117内にあるルータ10’’’を示す。この実施形態は図1Aの実施形態に対応する。これらの波長ルータの中心波長が温度に対して一定していることが非常に好適である。3cmの差分光路長は、1550nmの好適な中心波長においては約20、000の波に対応する。好適な設計は、少なくとも50℃であるという好適な温度範囲を越えると、20、000分の一より少ない差分光路長の変化を有する。これにより、差分光路長の変化が摂氏1度あたり100万分の一より少ないことが必要になる。この温度を一定することを達成する一つの方法は、差分光路長を含む波長ルータの一部を、100万分の一より少ない熱係数を有するガラスから図12Cに示すウェッジ17にすることである。
【0075】
(偏向の考慮)
回折格子の効率は、入射光の偏光状態に依存する。以下、/は^を示す。例えば、x/は、
【0076】
【数1】
を示す。任意に偏向された入射光信号の電界Eを、二本の直交軸x/およびy/に沿って線形に偏向された二つの電界の重ね合わせとして書き得る:
E=Exx/+Eyy/
x/は格子分散の方向であり、y/はこの分散方向に対して直交する。入射信号の強度I0は、直交方向に沿った電界の強度によって規定される:
I0=|Ex|2+|Ey|2
効率は、直交する偏光方向における独立した効率係数εによって左右されるため、格子によって反射された信号の電界E’は、全強度:
I’=εx|Ex|2+εy|Ey|2
を有した場合、
【0077】
【数2】
である。したがって、二本以上の直交軸のうちの一本に沿って線形に偏向された信号の強度は、明らかに、この方向に関する効率係数のみに依存する強度を有する回折格子によって反射される:
Ix=εx|Ex|2
Iy=εy|Ey|2
ほとんどの回折格子に関して、εx≠εyであるため、入射信号の偏光状態の関数として全体的な効率が非常に異なり得る。
【0078】
本発明の実施形態において、この変異は一つの偏光コンポーネントに沿って波の遅延を課すことによって、減少または排除される。これは、屈折の異なる指数が二つの直交する方向で達成されるように非対称的に構築された波長板を用いることによって達成され得る。したがって、入射光信号が波長板を透過する際、電界の一つのコンポーネントがもう一方のコンポーネントに対して遅延する。通常、波長板がπ(「半波長板」)またはπ/2(「四分の一波長板」)の位相差を課すように構築される。本発明の実施形態では、四分の一波長板(すなわち、約四分の一の遅延を提供する波長板)が用いられる。
【0079】
回折格子からの反射の効果に関する上に提供した解を用いると、反射回折格子からの二つの反射の後の電界は、
E0fin=εxExx/+εyEyy/
に見られ、全強度
I0fin=εx2|Ex|2+εy2|Ey|2
を有する。全システムの効率が潜在的に大きく変化し得ることは、逆反射体とレンズとの間に四分の一波長板(図1A〜図1Cの20または図2Aおよび図2Bにおける20b)を設けることによって排除される。このような位置決めによって、各サブ光線は、逆反射される前(すなわち、工程(5)の直前)および逆反射された後(すなわち、工程(5)の直後)の二回、四分の一波長板を透過する。四分の一波長板を最初に透過する直前(すなわち、回折格子からの一回目の反射の後)、電界は、
【0080】
【数3】
である。四分の一波長板を透過し、逆反射体内の二つの表面を反射し、四分の一波長板を二回目に透過した後、電界は、
【0081】
【数4】
である。四分の一波長板を二回透過することにより、電界のxコンポーネントがyの偏光に対して回転し、yのコンポーネントがxの偏光に対して回転する。したがって、二回目に反射格子Grを反射した後、電界は、
全強度:
Ifin=εxεy|Ex|2+εxεy|Ey|2≡εxεyI0
を有する
【0082】
【数5】
である。したがって、電界およびその強度は、入射波の偏光状態とは無関係であり、これにより、偏光に依存した損失が排除される。
【0083】
同様に、線形偏光を45度だけ回転させ、各パスを有するように設計された磁気光学リターダーはそれぞれ、2つが透過した後、x/およびy/の偏光それぞれをy/およびx/の偏光に回転させる。格子からの第一の反射と第二の反射との偏光を交換すると、格子の全効率に依存した偏光が排除される。
【0084】
四分の一波長板または磁気光学リターダーは、図1Aの光システム内の任意の位置に配置され得る。なぜならば、任意の配置により、格子からの第一の反射と第二の反射との間に重行路が達成されるからである。四分の一波長板または磁気光学リターダーをレンズと格子との間に配置すると、コンポーネントが光線がコリメートされた場所で動作することが可能になる。これにより、システムを、このエレメントに起因した光収差の低さに対応するように設計することが可能になり得る。これにより、波面板の性能も向上し得る。
【0085】
(システムアプリケーション)
以下の説明は、複数の波長ルータを用いて複数のシステムを説明する。入力ポートを一つおよび出力ポートを二つ有するような(具体的には、80個の波長チャネルを処理することが可能であるような)波長ルータをそれぞれ示す。波長ルータの上述の名称において、M=2およびN=80である。波長ルータは、参照符号110を付加して指定され、通常、図11に示すような制御エレクトロニクスを有する。しかし、純粋に光のみの概略図の場合、関連付けられた制御回路部を有さない波長ルータ112を代わりに用いてもよい。
【0086】
波長ルータを本発明の上述の実施形態のいずれかによって製造してもよいし、本明細書に説明するような波長経路設定の機能を提供する限り、他の方法で製造してもよい。概して、上述したように、本発明の上述の実施形態の波長ルータ内の光路は可逆的である。
【0087】
(光アド−ドロップマルチプレクサ(Add−Drop Multiplexer)(OADM))
図13は、一対の波長ルータ110aと110bとを、背中合わせの構成で組み合わせることによって形成される光アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)120を模式的に示す。OADMの一般的な機能は、入力ポート132において一組の波長チャネルを受け取り、(波長を介して)波長の(すべてまたは波長を全く含まない)サブセットを出力ポート133に伝播し、スルー経路からドロップポート135に伝播されない波長を分流し(落とし)、付加ポート137において落とされた波長(恐らく、新たな情報を供している波長)のいくつかまたはすべてを受け取り、付加された波長とスルー波長と組み合わせて、スルー波長および付加された波長が出力ポート133を出る。
【0088】
背中合わせの構成において、OADM120の入力ポート132は、波長ルータ110aの入力ポートであると考えられ、OADM120の出力ポート133は波長ルータ110bの入力ポートであると考えられる。スルー経路は、波長ルータの第一の出力ポートを結合することによって影響を受ける。ドロップポート135および付加ポート137は、波長ルータの第二の出力ポートであると考えられる。ドロップポートおよび付加ポートは、送信および/または受信端末機器または一つ以上の他のネットワークに結合され得る。用途に応じて、付加機能およびドロップ機能のうちの一つのみが必要であり得る。
【0089】
(波長選択の交差接続(WSXC))
図14は、四つの波長ルータ110a〜110dを、対になった、背中合わせの構成で組み合わせることによって形成される波長選択の交差接続(WSXC)を模式的に示す。WSXCの一般的な機能は、第一の入力ポート142および第二の入力ポート142’において第一の組の波長チャネルおよび第二の組の波長チャネルを受け取って、スルー経路上で伝播されない波長を交換しながら、第一の出力ポート143および第二の出力ポート143’に各スルー経路上の波長の選択されたサブセットを伝播することである。したがって、入力ポート142からの交換された波長は、波長ルータ110aおよび110cの交換出力ポート145および145’から出て、波長ルータ110dおよび110bのそれぞれの交換入力ポート147’および147に伝播される。交換入力ポートに入る交換された波長は、出力ポート143および143’から出るスルー経路上の波長と出力用に組み合わされる。ここでも、上述のOADMの場合のように、WSXC140の出力ポートは、波長ルータ110bおよび110dの入力ポートと考えられる。
【0090】
(OMSSPリング保護切替)
図15は、光学多重化セクション共有保護リング(OMSSPリング)の光ネットワーク内に保護切替を提供する切替構造150を模式的に示す。構成150は、四つの波長ルータ110a〜110dを、上述のWSXC140のラインに沿って一対になった背中合わせの構成で組み合わせることによって形成される。この構成は、二つの点でWSXCとは異なる。第一に、WSXCにおいて、波長ルータの上部の対および下部の対は両方、同じ方向に伝播する光を用いて動作し、切替構造においては、上部の対および下部の対は、対向する方向(任意に「東」および「西」と示す)におけるトラフィックを処理する。第二に、WSXCにおける交換ポートの代わりに、切替構成はループバックパス152および155を提供する。したがって、東のファイバ上の波長ルータ110aに入射するサブセットの波長を分流し、これらの波長を波長ルータ110cから出る西のファイバ上に戻るように方向付けることが可能である。同様に、西のファイバ上の波長ルータ110dに入射する波長(または恐らく異なる組の波長)は、分流されて、波長ルータ110bから出る東のファイバ上に方向付けされる。
【0091】
東のファイバからのサブセットの波長を西のファイバ上に分流することが可能なため、レーザの故障およびOADMエラーなど、サブセットの波長に影響を与える故障モードからリングを保護することが可能になる。
【0092】
(ドロップ−アンド−リピート(Drop−and−Repeat)OADM)
ドロップ−アンド−リピートOADM(時に「ブロードキャストモード」OADMと呼ばれる)は、上述のOADMの機能を有するが、出力ポート上に落とされた波長の伝送を継続する能力をさらに有する。以下の説明は、図13のOADMおよび図14のWSXCに基づいた実施形態を説明し、OADMまたはWSXCの他のフォームが用いられ得る。OADMおよびWSXCの対応するエレメントは、同じ参照符号を用いて示される。
【0093】
図16は、図13のOADMに基づいたドロップ−アンド−リピートOADM160を模式的に示す。このドロップ−アンド−リピートOADM160は、入力ポート132および出力ポート133、ならびにドロップポート135および付加ポート137を有する。ドロップ−アンド−リピートOADM160は、同じ入力ポートおよび出力ポートを有するが、OADMのドロップポート135と付加ポート137との間に設けられたエレメントもさらに有し、135’および137’と示され、ドロップ−アンド−リピートOADMの機能ドロップポートおよび機能付加ポートである他のポートを提供する。
【0094】
さらなるエレメントは、選択の光増幅器162、入力ポートならびに第一および第二の出力ポートを有する50%のタップ結合器(または他のスプリッタ)165、ならびに第一および第二の入力ポートならびに出力ポートを有する選択の結合器またはコンバイナー167を含む。光増幅器は、ドロップポート135から光を受け取り、必要に応じて、増幅された光はタップ結合器165において分割される。タップ結合器の第二の出力ポートからの光は、落とされた波長を構成し、ここで、第二の出力ポートは機能ドロップポート135’を規定する。したがって、この出力光は、図13のドロップポート135からの光に対応する。タップ結合器の第一の出力ポートからの出力と同じこれらの波長は、「リピート波長」と呼ばれ、光結合器167の第一の入力ポートに伝播される。
【0095】
「付加波長」と呼ばれるネットワークトラフィックに付加される波長は、光結合器167の第二の入力ポートに伝播され、このポートは機能付加ポート137’を規定する。これらの波長はリピート波長と組み合わされて、OADM構築ブロックの付加ポート137に伝播される。次いで、スルー波長、リピート波長および付加波長は、出力ポート133から出力される。
【0096】
図17は、図14のWSXCに基づいたドロップ−アンド−リピートOADM170を模式的に示す。このドロップ−アンド−リピートOADM170は、第一の入力ポート142および第二の入力ポート142’ならびに第一の出力ポート143および第二の出力ポート143’を有する。第一の入力ポート142および第一の出力ポート143はドロップ−アンド−リピートOADM160’の入力ポートおよび出力ポートとして機能するが、他のエレメントが第二の出力ポート143’と第二の入力ポート142’との間に設けられる。他のエレメントは、172および175と示され、ドロップ−アンド−リピートOADMの機能ドロップポートおよび機能付加ポートである他のポートを提供する。
【0097】
設けられたエレメントは、ドロップ−アンド−リピートOADM160の場合と同じであり、対応した参照符号が用いられる。上述のように、光増幅器162は、第二の出力ポート143’から光を受け取り、必要に応じて、増幅した光がタップ結合器165において分割される。タップ結合器の第二の出力ポートからの光は、落とされた波長を構成し、ここで、第二の出力ポートは機能ドロップポート172を規定する。したがって、この出力光は、図13のドロップポート135からの光に対応する。リピート波長は、光結合器167の第一の入力ポートに伝播され、光結合器167の第二の入力ポートに伝播された付加波長と組み合わされ、この第二の入力ポートは機能付加ポート175を規定する。これらの波長はリピート波長と組み合わされて、WSXC構築ブロックの入力ポート142’に伝播される。次いで、スルー波長、リピート波長および付加波長は、第一の出力ポート143から出力される。
【0098】
(結論)
上述の説明は、本発明の特定の実施形態の完全な説明であるが、種々の改変、代替の構成および均等物が用いられ得る。例えば、動的に構成可能なルーティングエレメント(逆反射体など)を移動可能なエレメントを含むように記載したが、切替は電子光学コンポーネントを用いることによって達成してもよい。例えば、電子光学のファブリ−ペロの反射器が用いられ得る。
【0099】
したがって、上述の説明は、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートのそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートから放射される光を第1の横方向の次元においてコリメートする第1の円筒型レンズと、
該光を第2の横方向の次元においてコリメートする第2の円筒型レンズであって、該第2の横方向の次元は該第1の横方向の次元に対して直角である、第2の円筒型レンズと、
該光を該第1の横方向の次元において特定の方向に分散させる透過型分散エレメントと、
該光を該第1の横方向の次元に焦点を合わせる第3の円筒型レンズと、
該第3の円筒型レンズの焦点面における複数のN個の傾斜可能な鏡であって、それぞれが各スペクトルバンドを遮断し、該スペクトルバンドを該第3の円筒型レンズに再度方向付ける、傾斜可能な鏡と、
複数のアクチュエータであって、それぞれが各鏡に結合され、これにより該各スペクトルバンドの光経路の傾斜が選択的に実行される、アクチュエータと
を備え、
各スペクトルバンドは、該第3の円筒型レンズによって該第1の横方向の次元においてコリメートされ、該格子によって該第1の横方向の次元に該特定の方向と反対方向に分散され、該第2の円筒型レンズによって該第2の横方向の次元に焦点が合わされ、該第1の円筒型レンズによって該第1の横方向の次元に焦点が合わされ、その結果、各スペクトルバンドは、該各傾斜可能な鏡によって決定された各位置において該第1の横方向の次元および該第2の横方向の次元の両方に焦点が合わされる状態になる、波長ルータ。
【請求項2】
前記復帰経路からの光を受け取るように配置された一列の出力ファイバをさらに備え、該出力ファイバの位置は、前記第2の円筒型レンズを通じてフーリエ関係にある前記複数の傾斜可能な鏡の傾斜に対応する、請求項1に記載の波長ルータ。
【請求項3】
前記鏡は超微細電子機器システム(MEMS)エレメントから構成される、請求項1に記載の波長ルータ。
【請求項4】
第1の取付け面および第2の取付け面を有する支持エレメントであって、該第1の取付け面および該第2の取付け面の間の角度は、およそ90°を規定する、支持エレメントと、
各第1の基板および第2の基板上に配置され、該支持エレメントの第1の取付け面および第2の取付け面上に取り付けられる第1のMEMS超小型鏡アレイおよび第2のMEMS超小型鏡アレイと、
該第2のアレイ中の複数のM個の超小型鏡と関連付けられた該第1のアレイ中の所与の超小型鏡と、
該第1のアレイ中の各所与の超小型鏡に結合されて、該所与の超小型鏡のM個の別個の配向を提供するアクチュエータであって、各配向は、光を入射方向に沿って該第2のアレイ中の異なる超小型鏡に方向付ける、アクチュエータと
を備え、
該第2のアレイ中の複数のM個の超小型鏡は、該所与の鏡が該第2のアレイ中の該超小型鏡に光を方向付けるような配向にあると、該第1のアレイ中の所与の鏡の配向に対して実質的に90°となるような各配向を有する、構成可能な逆反射体アレイ。
【請求項5】
前記支持エレメントは、相互に向かい合う支持面を有するV字型ブロックであり、
前記第1のアレイおよび前記第2のアレイは、該アレイ中の超小型鏡と前記第1の取付け面および前記第2の取付け面との間に配置された前記第1の基板および前記第2の基板と共に取り付けられる、請求項4に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
【請求項6】
前記支持エレメントは、相互に外側に向いた支持面を有するプリズムであり、
前記第1のアレイおよび前記第2のアレイは、前記第1の基板および前記第2の基板と前記第1の取付け面および前記第2の取付け面との間に配置されたアレイ中の超小型鏡と共に取り付けられる、請求項4に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
【請求項7】
前記超小型鏡は±10°のオーダーの偏向に限定される、請求項4に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
【請求項8】
相互に特定の角度で固定され、交差軸を規定する第1の平面鏡および第2の平面鏡と、
該交差軸に平行な回転軸を中心にした回転のために取り付けられる第3の平面鏡と、
該第3の平面鏡に結合され、該回転軸を中心にした第1の角度位置および第2の角度位置を提供するように構成されたアクチュエータであって、該第1の角度位置は、該第1の平面鏡と該第3の平面鏡との間の角度がおよそ90°になるように規定し、該第2の角度位置は、該第2の平面鏡と該第3の平面鏡との間の角度がおよそ90°になるように規定する、アクチュエータと
を備える、動的に構成可能な逆反射体。
【請求項9】
一列の屋根型プリズムを作製する方法であって、
細長いプリズムエレメントを提供する工程と、
所望のレベルの平面度を有する面を有する一対の細長いストップエレメントを提供する工程と、
所望のレベルの平面度になるまで該細長いプリズムエレメントの表面を光学的に研磨する工程と、
該光学的に研磨された細長いプリズムエレメントに、該アレイを構成する複数の屋根型プリズムを提供する一連の操作を行う工程と、
各位置決めエレメントを該屋根型プリズムのアレイに提供して、該一対の細長いストップエレメント間で移動させる工程と
を包含する、方法。
【請求項10】
前記細長いプリズムエレメントは単一の構成要素であり、
該一連の操作は、前記細長いプリズムエレメントを個々のプリズムに物理的に切断する工程を包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記細長いプリズムエレメントは、個々のプリズムが結合された構成要素であり、
前記一連の操作は、該個々のプリズム間で該結合を分解する工程を包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
それぞれが入力ポートと呼ばれるポートと、出力ポートと呼ばれる複数のさらなるポートとを有し、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを少なくとも備える第1の波長ルータおよび第2の波長ルータであって、それぞれ、複数のスペクトルバンドを有する光を該波長ルータの入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドの選択されたサブセットを該波長ルータの各出力ポートに方向付けるように構成される第1の波長ルータおよび第2の波長ルータを備え、
該第1の波長ルータおよび該第2の波長ルータは、該第2の波長ルータの出力ポートの対応する第1のサブセットと光通信状態にある該第1の波長ルータの出力ポートの第1のサブセットと反対方向に接続され、該波長ルータの出力ポートの第1のサブセットはそれぞれ、該波長ルータの複数の出力ポートよりも小さいため、該波長ルータはそれぞれ、出力ポートの第2のサブセットを有し、
これにより、
該第1の波長ルータの入力ポートは、OADMのための入力ポートとして機能し、
該第2の波長ルータの入力ポートは、該OADMのための出力ポートとして機能し、
該第1の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットは、該OADMのためのドロップポート機能を提供し、
該第2の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットは、該OADMのためのアドポート機能を提供する、光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)。
【請求項13】
各波長ルータは、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートのみを有し、該第1の出力ポートおよび該第2の出力ポートは、該波長ルータの出力ポートの第1のサブセットおよび第2のサブセットを規定する、請求項12に記載のOADM。
【請求項14】
請求項12に記載のOADMと、
入力ポートならびに第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを有する分割エレメントと、
第1の入力ポートおよび第2の入力ポートならびに出力ポートを有する連結(combining)エレメントと、
前記OADMのドロップポートと該分割エレメントの入力ポートとの間と、該分割エレメントの第1の出力ポートと該連結エレメントの第1の入力ポートとの間と、該連結エレメントの出力ポートと該OADMのアドポートとの間に光通信を提供する一連の光路と
を備える、ドロップ−アンド−リピートOADM。
【請求項15】
前記OADMのドロップポートと前記分割エレメントの入力ポートとの間の光路に配置された光学増幅器をさらに備える、請求項14に記載のドロップ−アンド−リピートOADM。
【請求項16】
第1の波長ルータ、第2の波長ルータ、第3の波長ルータおよび第4の波長ルータを備える波長選択性交差接続部(WSXC)であって、
該第1の波長ルータ、該第2の波長ルータ、該第3の波長ルータおよび該第4の波長ルータはそれぞれ、入力ポートと呼ばれるポートと、出力ポートと呼ばれる複数のさらなるポートとを有し、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを少なくとも含み、各波長ルータは、複数のスペクトルバンドを有する光を該波長ルータの入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドの選択されたサブセットを該波長ルータの出力ポートの各々に方向付けるように構成され、
該第1の波長ルータおよび該第2の波長ルータは、該第2の波長ルータの第1の出力ポートと光通信状態にある該第1の波長ルータの第1の出力ポートと反対方向に接続され、
該第3の波長ルータおよび該第4の波長ルータは、該第4の波長ルータの第1の出力ポートと光通信状態にある該第3の波長ルータの第1の出力ポートと反対方向に接続され、
該第1の波長ルータの第2の出力ポートは、該第4の波長ルータの第2の出力ポートと光通信状態にあり、
該第3の波長ルータの第2の出力ポートは、該第2の波長ルータの第2の出力ポートと光通信状態にあり、
これにより、
該第1の波長ルータの入力ポートおよび該第2の波長ルータの入力ポートは、該WSXCのための第1の入力ポートおよび第2の入力ポートとして機能し、
該第3の波長ルータの入力ポートおよび該第4の波長ルータの入力ポートは、該WSXCのための第1の出力ポートおよび第2の出力ポートとして機能し、
該第1の波長ルータの第1の出力ポートと該第2の波長ルータの第1の出力ポートとの間の光通信と、該第3の波長ルータの第1の出力ポートと該第4の波長ルータの第1の出力ポートとの間の光通信は、該WSXCのための通過経路を提供し、
該第1の波長ルータの第2の出力ポートと該第4の波長ルータの第2の出力ポートとの間の光通信と、該第3の波長ルータの第2の出力ポートと該第2の波長ルータの第2の出力ポートとの間の光通信とは、該WSXCのための交換経路を提供する、WSXC。
【請求項17】
請求項16に記載のWSXCと、
入力ポートならびに第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを有する分割エレメントと、
第1の入力ポートおよび第2の入力ポートならびに出力ポートを有する連結エレメントと、
該WSXCの第2の出力ポートと該分割エレメントの入力ポートとの間と、該分割エレメントの第1の出力ポートと該連結エレメントの第1の入力ポートと、該連結エレメントの出力ポートと該WSXCの第2の入力ポートとの間に光通信を提供する一連の光路と
を備える、ドロップ−アンド−リピートOADM。
【請求項18】
前記WSXCの第2の出力ポートと前記分割エレメントの入力ポートとの間の光路中に配置された光学増幅器をさらに備える、請求項17に記載のドロップ−アンド−リピートOADM。
【請求項1】
第1の数Nのスペクトルバンドを有する光を入力ポートにおいて受け取り、該N個のスペクトルバンドのサブセットを第2の数Mの出力ポートのそれぞれに方向付ける波長ルータであって、
該入力ポートから放射される光を第1の横方向の次元においてコリメートする第1の円筒型レンズと、
該光を第2の横方向の次元においてコリメートする第2の円筒型レンズであって、該第2の横方向の次元は該第1の横方向の次元に対して直角である、第2の円筒型レンズと、
該光を該第1の横方向の次元において特定の方向に分散させる透過型分散エレメントと、
該光を該第1の横方向の次元に焦点を合わせる第3の円筒型レンズと、
該第3の円筒型レンズの焦点面における複数のN個の傾斜可能な鏡であって、それぞれが各スペクトルバンドを遮断し、該スペクトルバンドを該第3の円筒型レンズに再度方向付ける、傾斜可能な鏡と、
複数のアクチュエータであって、それぞれが各鏡に結合され、これにより該各スペクトルバンドの光経路の傾斜が選択的に実行される、アクチュエータと
を備え、
各スペクトルバンドは、該第3の円筒型レンズによって該第1の横方向の次元においてコリメートされ、該格子によって該第1の横方向の次元に該特定の方向と反対方向に分散され、該第2の円筒型レンズによって該第2の横方向の次元に焦点が合わされ、該第1の円筒型レンズによって該第1の横方向の次元に焦点が合わされ、その結果、各スペクトルバンドは、該各傾斜可能な鏡によって決定された各位置において該第1の横方向の次元および該第2の横方向の次元の両方に焦点が合わされる状態になる、波長ルータ。
【請求項2】
前記復帰経路からの光を受け取るように配置された一列の出力ファイバをさらに備え、該出力ファイバの位置は、前記第2の円筒型レンズを通じてフーリエ関係にある前記複数の傾斜可能な鏡の傾斜に対応する、請求項1に記載の波長ルータ。
【請求項3】
前記鏡は超微細電子機器システム(MEMS)エレメントから構成される、請求項1に記載の波長ルータ。
【請求項4】
第1の取付け面および第2の取付け面を有する支持エレメントであって、該第1の取付け面および該第2の取付け面の間の角度は、およそ90°を規定する、支持エレメントと、
各第1の基板および第2の基板上に配置され、該支持エレメントの第1の取付け面および第2の取付け面上に取り付けられる第1のMEMS超小型鏡アレイおよび第2のMEMS超小型鏡アレイと、
該第2のアレイ中の複数のM個の超小型鏡と関連付けられた該第1のアレイ中の所与の超小型鏡と、
該第1のアレイ中の各所与の超小型鏡に結合されて、該所与の超小型鏡のM個の別個の配向を提供するアクチュエータであって、各配向は、光を入射方向に沿って該第2のアレイ中の異なる超小型鏡に方向付ける、アクチュエータと
を備え、
該第2のアレイ中の複数のM個の超小型鏡は、該所与の鏡が該第2のアレイ中の該超小型鏡に光を方向付けるような配向にあると、該第1のアレイ中の所与の鏡の配向に対して実質的に90°となるような各配向を有する、構成可能な逆反射体アレイ。
【請求項5】
前記支持エレメントは、相互に向かい合う支持面を有するV字型ブロックであり、
前記第1のアレイおよび前記第2のアレイは、該アレイ中の超小型鏡と前記第1の取付け面および前記第2の取付け面との間に配置された前記第1の基板および前記第2の基板と共に取り付けられる、請求項4に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
【請求項6】
前記支持エレメントは、相互に外側に向いた支持面を有するプリズムであり、
前記第1のアレイおよび前記第2のアレイは、前記第1の基板および前記第2の基板と前記第1の取付け面および前記第2の取付け面との間に配置されたアレイ中の超小型鏡と共に取り付けられる、請求項4に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
【請求項7】
前記超小型鏡は±10°のオーダーの偏向に限定される、請求項4に記載の構成可能な逆反射体アレイ。
【請求項8】
相互に特定の角度で固定され、交差軸を規定する第1の平面鏡および第2の平面鏡と、
該交差軸に平行な回転軸を中心にした回転のために取り付けられる第3の平面鏡と、
該第3の平面鏡に結合され、該回転軸を中心にした第1の角度位置および第2の角度位置を提供するように構成されたアクチュエータであって、該第1の角度位置は、該第1の平面鏡と該第3の平面鏡との間の角度がおよそ90°になるように規定し、該第2の角度位置は、該第2の平面鏡と該第3の平面鏡との間の角度がおよそ90°になるように規定する、アクチュエータと
を備える、動的に構成可能な逆反射体。
【請求項9】
一列の屋根型プリズムを作製する方法であって、
細長いプリズムエレメントを提供する工程と、
所望のレベルの平面度を有する面を有する一対の細長いストップエレメントを提供する工程と、
所望のレベルの平面度になるまで該細長いプリズムエレメントの表面を光学的に研磨する工程と、
該光学的に研磨された細長いプリズムエレメントに、該アレイを構成する複数の屋根型プリズムを提供する一連の操作を行う工程と、
各位置決めエレメントを該屋根型プリズムのアレイに提供して、該一対の細長いストップエレメント間で移動させる工程と
を包含する、方法。
【請求項10】
前記細長いプリズムエレメントは単一の構成要素であり、
該一連の操作は、前記細長いプリズムエレメントを個々のプリズムに物理的に切断する工程を包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記細長いプリズムエレメントは、個々のプリズムが結合された構成要素であり、
前記一連の操作は、該個々のプリズム間で該結合を分解する工程を包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
それぞれが入力ポートと呼ばれるポートと、出力ポートと呼ばれる複数のさらなるポートとを有し、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを少なくとも備える第1の波長ルータおよび第2の波長ルータであって、それぞれ、複数のスペクトルバンドを有する光を該波長ルータの入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドの選択されたサブセットを該波長ルータの各出力ポートに方向付けるように構成される第1の波長ルータおよび第2の波長ルータを備え、
該第1の波長ルータおよび該第2の波長ルータは、該第2の波長ルータの出力ポートの対応する第1のサブセットと光通信状態にある該第1の波長ルータの出力ポートの第1のサブセットと反対方向に接続され、該波長ルータの出力ポートの第1のサブセットはそれぞれ、該波長ルータの複数の出力ポートよりも小さいため、該波長ルータはそれぞれ、出力ポートの第2のサブセットを有し、
これにより、
該第1の波長ルータの入力ポートは、OADMのための入力ポートとして機能し、
該第2の波長ルータの入力ポートは、該OADMのための出力ポートとして機能し、
該第1の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットは、該OADMのためのドロップポート機能を提供し、
該第2の波長ルータの出力ポートの第2のサブセットは、該OADMのためのアドポート機能を提供する、光学アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)。
【請求項13】
各波長ルータは、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートのみを有し、該第1の出力ポートおよび該第2の出力ポートは、該波長ルータの出力ポートの第1のサブセットおよび第2のサブセットを規定する、請求項12に記載のOADM。
【請求項14】
請求項12に記載のOADMと、
入力ポートならびに第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを有する分割エレメントと、
第1の入力ポートおよび第2の入力ポートならびに出力ポートを有する連結(combining)エレメントと、
前記OADMのドロップポートと該分割エレメントの入力ポートとの間と、該分割エレメントの第1の出力ポートと該連結エレメントの第1の入力ポートとの間と、該連結エレメントの出力ポートと該OADMのアドポートとの間に光通信を提供する一連の光路と
を備える、ドロップ−アンド−リピートOADM。
【請求項15】
前記OADMのドロップポートと前記分割エレメントの入力ポートとの間の光路に配置された光学増幅器をさらに備える、請求項14に記載のドロップ−アンド−リピートOADM。
【請求項16】
第1の波長ルータ、第2の波長ルータ、第3の波長ルータおよび第4の波長ルータを備える波長選択性交差接続部(WSXC)であって、
該第1の波長ルータ、該第2の波長ルータ、該第3の波長ルータおよび該第4の波長ルータはそれぞれ、入力ポートと呼ばれるポートと、出力ポートと呼ばれる複数のさらなるポートとを有し、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを少なくとも含み、各波長ルータは、複数のスペクトルバンドを有する光を該波長ルータの入力ポートにおいて受け取り、該スペクトルバンドの選択されたサブセットを該波長ルータの出力ポートの各々に方向付けるように構成され、
該第1の波長ルータおよび該第2の波長ルータは、該第2の波長ルータの第1の出力ポートと光通信状態にある該第1の波長ルータの第1の出力ポートと反対方向に接続され、
該第3の波長ルータおよび該第4の波長ルータは、該第4の波長ルータの第1の出力ポートと光通信状態にある該第3の波長ルータの第1の出力ポートと反対方向に接続され、
該第1の波長ルータの第2の出力ポートは、該第4の波長ルータの第2の出力ポートと光通信状態にあり、
該第3の波長ルータの第2の出力ポートは、該第2の波長ルータの第2の出力ポートと光通信状態にあり、
これにより、
該第1の波長ルータの入力ポートおよび該第2の波長ルータの入力ポートは、該WSXCのための第1の入力ポートおよび第2の入力ポートとして機能し、
該第3の波長ルータの入力ポートおよび該第4の波長ルータの入力ポートは、該WSXCのための第1の出力ポートおよび第2の出力ポートとして機能し、
該第1の波長ルータの第1の出力ポートと該第2の波長ルータの第1の出力ポートとの間の光通信と、該第3の波長ルータの第1の出力ポートと該第4の波長ルータの第1の出力ポートとの間の光通信は、該WSXCのための通過経路を提供し、
該第1の波長ルータの第2の出力ポートと該第4の波長ルータの第2の出力ポートとの間の光通信と、該第3の波長ルータの第2の出力ポートと該第2の波長ルータの第2の出力ポートとの間の光通信とは、該WSXCのための交換経路を提供する、WSXC。
【請求項17】
請求項16に記載のWSXCと、
入力ポートならびに第1の出力ポートおよび第2の出力ポートを有する分割エレメントと、
第1の入力ポートおよび第2の入力ポートならびに出力ポートを有する連結エレメントと、
該WSXCの第2の出力ポートと該分割エレメントの入力ポートとの間と、該分割エレメントの第1の出力ポートと該連結エレメントの第1の入力ポートと、該連結エレメントの出力ポートと該WSXCの第2の入力ポートとの間に光通信を提供する一連の光路と
を備える、ドロップ−アンド−リピートOADM。
【請求項18】
前記WSXCの第2の出力ポートと前記分割エレメントの入力ポートとの間の光路中に配置された光学増幅器をさらに備える、請求項17に記載のドロップ−アンド−リピートOADM。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−256929(P2010−256929A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152486(P2010−152486)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2001−538854(P2001−538854)の分割
【原出願日】平成12年11月14日(2000.11.14)
【出願人】(597154922)アルテラ コーポレイション (163)
【氏名又は名称原語表記】Altera Corporation
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2001−538854(P2001−538854)の分割
【原出願日】平成12年11月14日(2000.11.14)
【出願人】(597154922)アルテラ コーポレイション (163)
【氏名又は名称原語表記】Altera Corporation
【Fターム(参考)】
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