説明

波長変換構造およびその製造方法並びに使用方法

【課題】UVCを可視光に効果的に変換することができ、これにより大面積の可視光光源を提供できる、波長変換構造およびその製造方法並びに使用方法の提供。
【解決手段】基材と、上記基材上に設けられ、(a)UVCに励起される蛍光体粉末および(b)抗UVCバインダーを含む波長変換コート層と、を備える波長変換構造であって、上記波長変換コート層の厚みが蛍光体粉末の平均粒径の2〜10倍であり、上記波長変換コート層における上記蛍光体粉末含量が、下記条件の少なくとも1つに合致する波長変換構造:(i)波長変換コート層における蛍光体粉末の体積率が(蛍光体粉末とバインダーとの合計体積を基準として)30〜85%である、(ii)蛍光体粉末とバインダーとの重量比が1:1〜20:1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は波長変換構造に関し、特に紫外光、とりわけ波長280nm以下の紫外光(UVC)を可視光に変換するための波長変換コート層を有する構造に関する。上記コート層は空気が存在する状態においてUVC光源と組み合わせて使用され、UVC波長を可視光波長に変換する。上記波長変換構造は製造工程が容易であり、簡易な手段で大面積の平面光源を提供できる。本発明はさらに、上記波長変換構造の発光モジュールおよびバックライトモジュールにおける応用に関する。
【背景技術】
【0002】
発光面積の大きい平面光源は、現段階で光源開発の主流であり、特に大パネル液晶ディスプレイのバックライトモジュールにとって非常に重要である。従来公知の光源のうち、エネルギー/波長変換方式を用いて可視光波長を提供する手段には、冷陰極管技術(cold cathode fluorescent lamp;CCFL)、外部電極蛍光管技術(external electrode fluorescent lamp;EEFL)、発光ダイオード技術(light emitting diode;LED)、カーボンナノチューブ技術(carbon nanotube;CNT)、平面光源技術(Flat Fluorescent Lamp;FFL)および有機発光ダイオード技術(organic light emitting display;OLED)等がある。
【0003】
上記エネルギー/波長変換方式により可視光波長を提供する各手段のうち、CCFLはガラス管内壁に蛍光体を塗布し、蛍光管内部に少量の不活性ガスおよび水銀蒸気を封入しており、水銀蒸気は電極放電過程において電子の衝突により紫外光が発生し、紫外光はランプ壁上の蛍光体を介して可視光に変換されて放出され、可視光波長が提供される。CCFLは製造技術が成熟していること、コストが他の技術と比べて低廉なこと等の利点があるが、蛍光コート層を発光源と同じ真空ランプ中に配置する必要があり、大型化が容易でなく、大面積での波長変換を提供し辛いという制約がある。さらに従来のCCFLではランプを長くして大きな発光面積を提供しようとの試みもあったが、収率は尚低く、コストが大幅に向上するといった欠点があった。
【0004】
EEFLとCCFLの最大の相違は、電極をランプ外部に配置することであり、同一の変換器を用いて複数本の蛍光ランプを駆動できるため、変換器のコストは低減し、電力利用効率は向上する。しかし、EEFLには尚応用上の制約があり、例えばEEFLランプ源の輝度が不足しているとき、ランプ電圧の向上により電流を増加して出力輝度を上げようとすれば、変換器の体積が急激に増加し、放熱効果が劣ってしまう。この他、CCFL、EEFLもまた大きな発光面積を提供できないという欠点を有している。
【0005】
LEDは、半導体材料から作製される発光素子であって、III−V族化学元素(リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)等)を材料とし、化合物半導体に対して印加された電流を透過させ、電子とホールの結合により光の態様で放出されて、発光効果を達成する。LEDは体積が小さく、寿命が長く、駆動電圧が低く、反応速度が早い等の利点を有する。しかし、LEDはその製造において、混色の問題、製造コストが高い、均一度が低い、放熱に劣る、電力効率が低い等の課題が尚存在する。
【0006】
CNTは高電界を用いて電子を先端から放出し、さらに高圧で蛍光板への衝突を促して光波長エネルギーに変換するもので、この技術は省エネ、無水銀、低温等の利点を有するが、その製造工程は複雑で、コストが高く、輝度の安定性に欠け、均一度が劣る。また、CNTの大型化への製造技術は未だ開発途上にある。
【0007】
FFLは不活性ガスの放電時に発生する紫外光で彩色の蛍光体粉末を励起した後に、人の目が許容可能な可視光波長に変換するものである。FFLは水銀を含まず、寿命が長く、光学設計が簡素化される等の利点を有するが、現階段では尚製造工程が困難で、製造コストが高く、効率が悪く、放熱に課題を有する等欠点がある。
【0008】
OLEDでは、外部バイアス電圧を用いてホール/電子を駆動して各々を正/負極から注入し、その後電界の作用下でホールと電子を対向移動させ、再結合させて光波長エネルギーを放出する。OLEDは厚みが薄く、輝度が高く、操作温度範囲が広く、低消費電力、低駆動電圧である等利点があるが、現階段では尚大型化が困難で、製造コストが高く、効率が不足し、使用寿命が短い等欠点を有する。
【0009】
上記説明からわかるように、従来の可視光光源では、製造技術が未成熟(LED、CNT、OLED、FFL等)であるか、あるいは元来の製造上の制約によって大型化はできない(CCFL、EEFL)等課題を有し、いずれも容易かつ低コストの手段で大面積の波長変換を提供するという業界のニーズを満たすことはできなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記ニーズに対してなされた研究開発の成果であり、簡易な手段により、従来の技術と組み合わせて、大面積の波長変換方法の提供、すなわち波長変換構造およびその製造方法並びに使用方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願において、いわゆる「UVC」とは波長280nm以下の紫外光、例えば200〜280nm、特に250〜260nm、とりわけ253.7nmの光を指す。いわゆる「UVB」とは、波長280〜320nmの光を指し、いわゆる「UVA」とは波長320〜400nmの光を指す。いわゆる「マクロマー」(Macromer)とは、分子量が1,000を超える分子を指し、オリゴマー(Oligomer)およびポリマー(Polymer)を含む。いわゆる「紫外光(UVC、UVAまたはUVB)に励起される蛍光体」とは、紫外光(UVC、UVAまたはUVB)の照射を受けた際に、紫外光(UVC、UVAまたはUVB)を吸収し可視光を放出する材料を指す。
【0012】
本発明の目的は、基材と、上記基材上に設けられ、(a)UVCに励起される蛍光体粉末および(b)抗UVCバインダーを含む波長変換コート層と、を備える波長変換構造であって、上記波長変換コート層の厚みが蛍光体粉末の平均粒径の2〜10倍であり、上記波長変換コート層における上記蛍光体粉末含量が、下記条件の少なくとも1つに合致する波長変換構造を提供することである:(i)波長変換コート層における蛍光体粉末の体積率が(蛍光体粉末とバインダーとの合計体積を基準として)30〜85%である、(ii)蛍光体粉末とバインダーとの重量比が1:1〜20:1である。
【0013】
本発明の波長変換構造はUVC光源と組み合わせて、大面積の可視光平面光源を提供できる。上記可視光光源はさらにバックライトモジュールに用いることができ、簡易な手段で大面積の表示パネルを提供できる。
【0014】
本発明の第2の目的は、基材を提供する工程と、上記基材表面に、(a)UVCに励起される蛍光体粉末、(b)抗UVCバインダーおよび(c)有機溶媒を含んで貯溜部に貯溜されるペーストを塗布する工程とを含み、上記蛍光体粉末と上記バインダーとの重量比が1:1〜20:1であり、および上記塗布した基材を乾燥させる、波長変換構造の製造方法を提供することである。
【0015】
後に記載する実施形態を参照すれば、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の基本主旨、その他発明の目的および本発明で用いる技術手段や好ましい実施態様を容易に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発光面積の大きい平面光源を提供するために、本発明者らは、蛍光体により紫外光を可視光に変換し、特に蛍光体粉末を含むペーストを平面基材に直接塗布して波長変換構造を形成させた。これにより紫外光、特にUVC波長域を、上記波長変換構造を介して可視光に変換する。すなわち、紫外光で蛍光体粉末を励起するとともに、可視光を生成させる。この波長変換構造は、発光の均一度を向上させ、所望の発光面積を必要に応じて提供できる。
【0017】
前述したように、CCFLは製造技術が成熟し、低コストである等の利点があるが、蛍光コート層を発光源と同じ真空ランプ内に配置する必要があり、大型化が難しく、大面積の波長変換を提供し辛いという制約がある。詳述すれば、CCFLは蛍光体ペースト溶液(蛍光粉、有機物、無機物および溶媒を組み合わせてなる組成物成分)をガラス管内部に塗布し、その後上記組成物中の有機物成分を焼結させて除去し、ガラス管内壁に蛍光層を形成させる。さらにガラス管内に水銀蒸気を注入し、次いでガラス管を封止して、電極にて水銀蒸気を励起してUVCを放出させる。UVCはガラス壁上の蛍光層を介して可視光に変換される。
【0018】
上記従来のCCFL製法において、蛍光層の塗布は直立方式で行われる。すなわちサイフォン原理を用いて先ず蛍光体ペーストを直立ランプ上端に吸込み、さらに重力によりそれを上から下へランプ内壁に塗布し、その後コート層内の有機物成分を焼結させて除去し、所望の蛍光層を形成する。上記塗布方式では、重力差によってランプの上下端で厚みの不均一現象が起こりがちで、この不均一現象のために、ランプ寸法に対する要求が高い状況(すなわち、長いランプが必要な状況)が特に発生する。
【0019】
さらに、従来のCCFLの構造では、蛍光体をガラス管壁上で焼結するが、蛍光層蛍光体の間隙からの紫外光の漏洩を防止することは難しい。現有の液晶ディスプレイ技術を例に挙げると、CCFLの紫外光漏洩は、拡散板、輝度増強フィルム等光学材料の特性に影響し、上記材料の劣化を引き起こす。したがって、多くの材料では製品寿命を延ばすために、抗紫外光コート層による処理を要する。
【0020】
上記課題に対して、本発明者らは、蛍光体ペーストをガラス管内壁ではなく、個々の基材上に直接塗布し、ランプと蛍光層を分離させる方式で可視光光源を提供し、CCFL蛍光層の厚みが不均一であるという課題を回避し、その発光均一度を向上させ、所望の発光面積を必要に応じて提供することを試みた。さらに研究を重ねた結果、特殊な溶媒およびバインダーを使用し、そしてバインダーと蛍光体粉末の含量を制御することにより、形成される組成物ペーストは、焼結工程に付さないで、紫外光を可視光に効果的に変換できる波長変換コート層を基材上に形成できるとの知見を得た。上記ペーストは相対的に簡易な塗布方式(ロールトゥロール(roll−to−roll)等)を用いて基材上に塗布することにより、その量産性が大いに向上される。他の塗布方式は、例を挙げれば(但しこれに限らない)、ディップコーティング法(dip coating)、ナイフコーティング法(comma coating)、スプレーコーティング法(spraying coating)、スピンコーティング法(spin coating)、スロットコーティング法(slot coating)、カーテンコーティング法(curtain coating)、グラビアコーティング法(gravure coating)またはバーコーティング法等を使用できる。特に、必要に応じて、いずれか好適な方式でこれを乾燥させる。例を挙げると(但しこれに限らない)、自然揮発方式、または通気および/または加熱して強制揮発させる方式(熱空気を通入等)でこの乾燥を行う。上記処理されたコート層と基材の組合せは、簡単な波長変換コート層の組合せ構造となり、従来のバックライト源、ランプ源、固体照明(LEDやOLED等)等と共に使用することで元の構造設計を変更する必要がなく、高い応用性を備える。
【0021】
さらに、上記波長変換コート層構造は、従来のCCFLにおける蛍光体粉末が劣化する問題を効果的に回避できる。すなわち、公知のCCFLが放電過程において発生する185nm光は、蛍光体粉末に吸收スペクトルまたは発光スペクトル(color center,「色中心」ともいう)を発生させ、新たな吸收帯の発生を招き、蛍光体粉末の輝度を低下させる(上記現象は米国特許第6402987号の説明参照。上記特許の内容はここでは参考にとどめる)。次に、水銀イオンと電子がランプ壁で複合するとき、10.42eVのエネルギーを放出し、このエネルギーは蛍光体粉末の格子を破壊するため、輝度が低下する。さらに、CCFLランプ内では通常ナトリウムイオンが存在し、CCFLランプの放電時に生成される電子と複合するため、ナトリウム原子が形成される。ナトリウム原子は蛍光体粉末の結晶に拡散進入し、蛍光体粉末の性能低下を招く。本波長変換構造を発光モジュールに使用するとき、波長変換コート層はUVC光源とは分離され、すなわち、蛍光体とUVC光源が分離するので、従来のCCFLにおける蛍光体粉末とUVC光源とを同じランプに配設するために起こる上記課題が効果的に回避される。
【0022】
具体的には、本発明は波長変換構造を提供でき、その具体的な実施態様は図1Aの例示により説明できる。図中、○、●および、

は、それぞれ異なる色の蛍光体粉末を表す。波長変換構造102は、基材1021および波長変換コート層1023を含む。上記波長変換コート層1023は上記基材1021上に位置してUVCに励起される蛍光体粉末および抗UVCバインダーを含む。上記波長変換コート層1023の厚みは蛍光体粉末の平均粒径の2〜10倍であり、かつ上記波長変換コート層1023における上記蛍光体粉末の含量は下記条件の少なくとも1つに合致する。
(i)波長変換コート層における蛍光体粉末の体積率が(蛍光体粉末とバインダーの合計体積を基準として)30〜85%である、
(ii)蛍光体粉末とバインダーとの重量比が1:1〜20:1である。
【0023】
波長変換コート層には、UVCに励起されるいずれか好適な蛍光体粉末を使用できる。例を挙げると(但しこれに限らない)、上記蛍光体粉末は、ユウロピウム付活酸化イットリウム、テルビウム付活リン酸化ランタン−セリウム、ユウロピウム付活酸化バリウム−マグネシウム−アルミニウムおよびその組合せからなる群より選ばれる。あるいは上記波長変換コート層の蛍光体粉末として好適な製品を市場で直接購入してもよい。
【0024】
波長変換コート層において、使用されるバインダーは、蛍光体粉末を接着して波長変換層を提供できるが、通常はマクロマーバインダーから選ばれる。しかし、UVCと組み合わせて使用し、励起過程で自身の材料が劣化するのを防ぐため、上記波長変換コート層内に抗UVC特性を有するバインダーを使用することが好ましい。
【0025】
具体的には、253.7nm波長のUVC光源を例に挙げると、その光エネルギーは約113kcal/molであるため、理論的な制約を受けないものとすれば、マクロマーバインダーの繰り返し単位の化学構造中に少なくとも結合エネルギーが113kcal/molを超える化学結合が含まれるなら、UVC波長域のエネルギーに抵抗できるため、励起過程における自身の材料の劣化を回避できる。したがって、炭化フッ素結合の結合エネルギーは132kcal/molであるため、253.7nmのUVC光源を使用すれば、バインダーとして下記のようなフッ素含有ポリマーが使用できる:ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene,PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(poly(vinylidene fluoride),PVDF)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(poly(vinylidene fluoride−hexafluoropropylene),PVDF−HFP)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ethylene−tetrafluoroethylene copolymer,ETFE)、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(fluorinated ethylene propylene copolymer,FEP)、パーフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy,PFA)、フッ素ゴム(fluoro−rubber)、フルオロエラストマー(fluoro−elastomer)、非晶質フッ素ポリマー(amorphous fluoropolymers)およびそれらの組合せ。また、下記のようなケイ素含有ポリマーを使用してもよい:シリコンゴム(silicon rubber)、ポリシロキサン(polysiloxane)およびそれらの組合せ。その他、ポリイミド(polyimide,PI)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone,PES)等の高性能ポリマーや、UVC波長域の253.7nm波長の紫外光において、波長変換コート層としてバインダーを使用してもよい。好ましくは、炭化フッ素結合を含有するマクロマーをバインダーとして使用する。この他、他の接着機能を有するまたは蛍光体マトリクスとなり得る無機または有機−無機混合化合物、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム等の無機またはゾル−ゲル材料(sol−gel materials)等を使用でき、あるいは253.7nm波長のUVCと組み合わせて波長変換コート層中に適用してもよい。
【0026】
前述したように、波長変換コート層中の蛍光体粉末の含量は下記条件に合致するものとする。(1)30〜85%体積率(蛍光体粉末とバインダーの合計体積を基準とする)および/または(2)蛍光体粉末とバインダーとの重量比が1:1〜20:1。このため、バインダーの含量が低いほど、提供される蛍光層の蛍光体間、および蛍光体と上記蛍光層を適用する基材間の接着力は弱くなる。反対に、バインダーの含量が高いほど、強い接着効果を提供できるが、上記多量のバインダーがUVCから露出される可能性が高くなり、長期間の使用によりバインダーの性能劣化を引き起こすほか、提供された波長変換構造の発光効率の低下を導き易い。したがって、好適な波長変換コート層を提供するために、波長変換コート層中に下記条件に合致する蛍光体粉末含量を含み、バインダーがコート層中において、サチマ(中国のお菓子)のような構造、つまり、連続相ではなく、薄層形式で蛍光体粉末を被覆する構造を形成することが好ましい:(1)体積率50〜70%の蛍光体および/または(2)蛍光体粉末とバインダーとの重量比が2.5:1〜10:1。より好ましくは蛍光体粉末とバインダーとの重量比が3:1〜6:1である。
【0027】
発光効率に基づいて考えれば、蛍光体粉末の粒径分布は、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜10μmである。この他、2以上の粒径分布区間の蛍光体粉末の組合せを使用してその堆積効率を増加させ、提供される波長変換コート層の紫外光吸收効率と可視光発光効率を向上させることができる。このためには、粒径の1つが上記範囲であればよい。例を挙げれば、第1の粒径分布区間が1〜10μmであり、かつ第2の粒径分布が1〜1000nmの蛍光体粉末の組合せを採用できる。
【0028】
波長変換構造において、波長変換コート層の厚みが厚すぎると、変換され放出される可視光を遮断し、コート層の厚みが薄すぎると、UVCの吸收が不完全なためUVCの漏洩現象が発生し、波長変換構造の基材またはバインダー等の高分子材料が黄化する。したがって、好適なUVC変換効率を提供し、黄化を回避するため、波長変換コート層の厚みを制御することが好ましい。このためには、波長変換コート層の厚みが蛍光体粉末の平均粒径の2〜10倍のとき、コート層中に多層の蛍光体粉末が堆積され、これがコート層中でUVCを複数回反射および/または屈折させて、発光効率およびUVC遮断に効果を呈することが見出された。より好ましくは、上記波長変換コート層の厚みが蛍光体粉末の平均粒径の3〜5倍である。例を挙げると、蛍光粉の平均寸法が3〜4μmのとき、波長変換コート層の厚みは6〜40μmであることが好ましく、特に10〜20μmであることがより好ましい。
【0029】
波長変換構造の基材は可撓性膜であってよく、特にポリマー材質から構成されるものが、従来のロールトゥロール(roll−to−roll)の量産塗布方式に有利である。上記可撓性基材は好ましくは光透過性を有し、より好ましくは高い光透過性を有する。例を挙げれば(但しこれに限らない)、下記群から選ばれる材料で提供されるフィルム層を基材として使用できる:ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、トリアセチルセルロース(triacetyl−cellulose,TAC)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(poly(ethylene− 2,6−naphthalate),PEN)、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone,PES)、ポリビニリデンフルオライド(poly(vinylidene fluoride),PVDF)、エチレンオクテンコポリマー(poly(ethylene−co−octene),PE−PO)、プロピレンエチレンコポリマー(poly(propylene−co−ethylene),PP−PE)、アタクチックポリプロピレン(atactic polypropylene,aPP)、イソタクチックポリプロピレン(isotactic polypropylene,iPP)、官能化ポリオレフィン(functionalized polyolefin)および線形低密度ポリエチレン−g−無水マレイン酸(linear low density polyetylene−g−maleic anhydride,LLDPE−g−MA)であり、好ましくは光学レベルのPETおよびTACである。
【0030】
また、透明シートを波長変換構造の基材とすることもできる。例を挙げると(但しこれに限らない)、ガラス、石英、ポリメチルメタクリレート(poly(methyl methacrylate),PMMA)、ポリスチレン(polystyrene,PS)、ポリメチルメタクリレート−スチレンコポリマー(methyl methacrylate−co−styrene,MS)またはポリカーボネート(polycarbonate,PC)から提供されるシートを基材として使用でき、あるいは、光透過性の繊維織物(fabrics)を基材として使用でき、その材質は通常ガラスである。この他、2層以上の上記フィルム層および/またはシートから構成される複合層を基材として使用でき、ここではポリマー感圧接着剤で各層を接着してよい。
【0031】
上記波長変換構造は、基材を提供する工程と、(a)UVCに励起される蛍光体粉末、(b)抗UVCバインダーおよび(c)有機溶媒を含んで貯溜部に貯溜されるペーストを上記基材表面に塗布する工程とを含み、上記蛍光体粉末と上記バインダーがいずれも上記で定義されたものであり、かつ両者の重量比が1:1〜20:1であり、および上記塗布された基材を乾燥させる方法により製造できる。
【0032】
蛍光体粉末とバインダーのキャリア剤(carrier)として、いずれか好適な有機溶媒を使用できる。一般には、連続的塗布が容易であることから、通常はペースト粘度を10〜10000cpsの範囲内に制御し、このとき好ましくは低沸点の有機溶媒を使用して、コート層の乾燥過程において溶媒が迅速に揮発できずに蛍光体の沈殿が発生し、色偏差を招く等の問題を回避する。好適な低沸点の溶媒は(但しこれに限らない)、下記からなる群より選ばれる:C3−C4ケトン類、1以上のハロゲン基で置換されたC1−C4アルカン類、C5−C7アルカン類、C5−C6シクロアルカン類、C1−C4アルカノール類、C2−C4エーテル類、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル(acetonitrile)、テトラヒドロフラン、石油エーテル、フッ素溶媒およびそれらの組合せ。好ましくはC3−C4ケトン類、1以上のハロゲン基で置換されたC1−C4アルカン類、C5−C7アルカン類、C5−C6シクロアルカン類、アセトニトリル、および上記の組合せである。
【0033】
適用される低沸点有機溶媒の具体例は(但しこれに限らない)、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、エチルエーテル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル(acetonitrile)、テトラヒドロフラン、石油エーテル、およびそれらの組合せである。好ましい具体例は、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、1,2−ジクロロエタン、およびそれらの組合せである。
【0034】
ペースト中の有機溶媒の含量は本発明の重点ではないが、所望のペースト粘度に応じて調整する。一般に用いる有機溶媒含量(ペーストの全体重量を基準とする)は20〜80重量%で、好ましくは35〜55重量%である。
【0035】
必要に応じ、ペースト中にさらに他の成分を添加して、提供する波長変換構造の寿命を延ばすことができる。これら必要に応じて添加する他の成分には(但しこれに限らない)、安定剤、吸收剤、遮断剤およびそれらの組合せを含む。これについて、酸化アルミニウム、酸化亜鉛および二酸化チタンの金属酸化物(好ましくはナノメートルサイズのもの)等は、遮断効果を提供できる。ジフェニルケトンおよびベンゾトリアゾールの有機化合物等は、典型的な吸收剤であり、紫外光を吸収して熱を放出する。ヒンダードアミン(hindered amine)等の光安定剤は、励起された基を吸収してそれによる化学反応を防止できる。一般に、波長変換構造の効果に対する不利な影響を回避するために、これら必要に応じて添加する成分の全体量は、通常(ペーストの全体重量を基準として)10重量%以下とする。
【0036】
上記方法において、塗布の実施前または実施中に上記蛍光体粉末とバインダーを溶媒中に混合して所望のペーストを形成させる。その後、上記ペーストを基材表面に塗布し、乾燥させて溶媒を除去して、所望の波長変換コート層を得る。好ましくは、塗布過程で上記貯溜部のペーストを適度に攪拌して、密度差がもたらす固形物の沈殿または相分離現象を回避する。種々の好適な方式で上記攪拌を提供できる。例を挙げれば(但しこれに限らない)、機械攪拌方式、均質攪拌、混練、2軸攪拌、3本ロール攪拌、遊星式攪拌、ボールミル、またはインパルス加圧方式にて、貯溜部のペーストに乱流を形成し、攪拌の目的を達成する。
【0037】
いずれか好適な方式にて上記塗布操作を行ってよい。例を挙げれば(但しこれに限らない)、ディップコーティング法(dip coating)、ナイフコーティング法(comma coating)、スプレーコーティング法(spraying coating)、スピンコーティング法(spin coating)、スロットコーティング法(slot coating)、カーテンコーティング法(curtain coating)、グラビアコーティング法(gravure coating)、またはロールトゥロール法(roll−to−roll)を使用できる。必要に応じて,所望のコート層の厚みになるまで塗布操作を1回以上行ってよい。上記コート層はいずれか好適な方式で乾燥させる。例を挙げれば(但しこれに限らない)、自然揮発方式、または通気および/または加熱で補う強制揮発方式(熱空気通入等)により上記乾燥を行うことができる。
【0038】
上記波長変換構造は発光モジュールに使用できる。このためには、必要に応じて基材の波長変換コート層を塗布した側の反対側に、プリズムまたは粒子の光学増幅構造を形成し、別途光学效果を提供する。波長変換構造は必要に応じてさらにいずれかの好適な光学素子を含み、例えば拡散板、拡散フィルム、輝度増強フィルム(Brightness Enhancement Film;BEF)、反射式輝度増強フィルム(Dual Brightness Enhancement Film;DBEF)、プリズム板(prism plate)、レンズフィルム(Lenticular Film)、偏光板、または上記の組合せの光学フィルムシートがあり、輝度増強または偏光機能を提供できる。波長変換構造の別の実施態様は、図1B、1Cを参照しながら説明する。図中、○、●および

はそれぞれ異なる色の蛍光体粉末を表す。図1Bにおいて、波長変換構造104は、基材1041および基材1041上方に位置する波長変換コート層1043を含み、基材1041はPETの透明フィルム層1045と例えばPMMA、MS、またはPCのような透明シート1047とが、ポリマー感圧接着剤1049によって接着されてなる複合層である。図1Cは波長変換構造106が基材1061と基材1061上方に位置する波長変換コート層1063を含むことを示しており、基材1061が一方の側にプリズム構造または拡散構造を有する光学増幅構造になっている。さらに必要に応じて基材上に保護フィルム(PETフィルム等)を使用して保護してもよい。
【0039】
図2Aは、上記波長変換構造を使用した発光モジュールの分解図である。発光モジュール20のフレーム体201内にUVC光源203を設けている。光源203は通常はランプ(lamp)である。ランプ位置を固定し、それを移動させないように、従来は光源203とフレーム体201底部との間に光源ホルダ(holder)207(図2B参照)が設置される。上記光源ホルダ207は通常、背板2071、複数の固定フレーム2073および支持柱2075を有する。固定フレーム2073と支持柱2075はいずれも背板2071上に設置され、背板2071はフレーム体201内の底部に固定される。固定フレーム2073は上記光源203を挟持してそれを適所に固定させ、支持柱2075はフレーム体201上方の光学素子(図には未表示)を支持してそれを下垂させない。光源ホルダ207を保護して光源203が発生するUVCによる損壊が生じないように、必要に応じて光源ホルダ207の表面に上記波長変換コート層(図には未表示)を塗布してもよい。
【0040】
下記発光モジュール(バックライトモジュールを含む)はいずれも必要に応じて光源ホルダを設置してよいが、簡略化するために、下記内容では特に指摘しない限り、光源ホルダを設置しない態様により説明を行うものとする。
【0041】
図2Aからわかるように、フレーム体201は開口2011を有し、開口2011に波長変換構造205を設置して、フレーム体201とともに空気を含む密閉空間2013を形成する。波長変換構造205は波長変換コート層2051および基材2053を含み、波長変換コート層2051は基材2053の光源203に面した側の面(すなわち、基材2053の面光源側)に塗布される。発光モジュール20内で、光源203がUVCを発生し波長変換構造205に照射するとき、波長変換コート層2051中の蛍光体粉末はUVCに励起され、可視光を放出する。
【0042】
上記可視光の色は、光混色原理により得られ、例えば赤色、緑色および青色を混合した可視光等、実質的に白色の可視光が得られる。
【0043】
図3Aは上記波長変換構造を使用した発光モジュール30の断面略図である。発光モジュール30はフレーム体301、波長変換構造305、フレーム体301と波長変換構造305とに包囲された空気を含む密閉空間3013、および密閉空間3013内に位置するUVC光源303を含む。波長変換構造305は第1の波長変換コート層3051および基材3053を含み、第1の波長変換コート層3051は基材3053の光源303に面した側の面(すなわち、基材3053の面光源側)に塗布される。第1の波長変換コート層3051はUVCに励起され、第1の可視光を放出する蛍光体粉末を含む。フレーム体301の内側壁に第2の波長変換コート層307が設けられ、UVCに励起され第2の可視光を放出する蛍光体粉末を含む。光源303がUVCを発生し波長変換構造305および第2の波長変換コート層307に照射されるとき、波長変換構造305の第1の波長変換コート層3051中の蛍光体粉末はUVCに励起されて第1の可視光を放出し、第2の波長変換コート層307の蛍光体粉末はUVCに励起されて第2の可視光を放出する。上記第2の可視光は波長変換構造305を透過した後、構造305が放出した第1の可視光と光混合を行って第3の可視光が生成される。
【0044】
図3Aの発光モジュール30において、第1の可視光と第2の可視光の色が同じであるとき、色は第1の可視光および第2の可視光と同じであるが、輝度は高い第3の可視光が提供され、第1の可視光と第2の可視光の色が異なるとき、光混合作用が発生し、第1の可視光および第2の可視光と異なる色の可視光が提供される。例を挙げれば、上記第1の可視光が赤色の可視光および緑色の可視光を含み、かつ上記第2の可視光が青光であるとき、上記光混合により白色可視光が生成される。
【0045】
上記第2の波長変換コート層307の形成は、フレーム体301内側壁に直接塗布する(図3A参照)方式を使用できるほか、先ず第2の波長変換コート層307を適切な可撓性基材(図には未表示)に塗布し、第2の波長変換構造(図には未表示)を形成してから、さらに上記構造をフレーム体301内側壁に設ける方式によっても達成でき、所望の光混合の効果が提供される。
【0046】
図3Bは上記波長変換構造を使用した別の発光モジュール32の断面略図である。発光モジュール32は、フレーム体321、波長変換構造325、およびフレーム体321と波長変換構造325とに包囲された空気を含む密閉空間3213を含む。密閉空間3213内には、UVCを発生できる光源3231や可視光(青色可視光等)を発生できる光源3233を含む、複数の光源が設置される。波長変換構造325は波長変換コート層3251および基材3253を含み、波長変換コート層3251は基材3253の光源に面した側の面(すなわち、基材3253の面光源側)に塗布される。波長変換コート層3251はUVCに励起されて可視光を放出する蛍光体粉末を含む。上記図3Aの発光モジュール30のように、発光モジュール32内において、光源3231がUVCを発生し、波長変換構造325に照射されるとき、波長変換コート層3251中の蛍光体粉末はUVCに励起され、第1の可視光を放出する。上記第1の可視光と光源3233が発生する第2の可視光とが光混合し、第3の可視光が発生される。上記第3可視光の色は、第1の可視光および第2の可視光と同じであるか(第1の可視光の色が第2の可視光と同じであるとき)、または第1の可視光と第2の可視光の光混合の結果(第1の可視光の色が第2の可視光と異なるとき)である。
【0047】
周知のとおり、一般にUVC光源が発光するとき、UVC波長域の紫外光のほか、少量のUVA波長域および/またはUVB波長域の紫外光が提供される。UVCを効果的に利用するため、本出願中の蛍光体粉末はUVC波長を吸収する蛍光体粉末、および他の紫外光波長を吸収する蛍光体粉末の組合せを使用しており、例えば波長が実質的に365nmのUVBまたは400nmのUVAを吸収できる蛍光体粉末を用いて、光源が発生する紫外光を十分に変換させている。
【0048】
上記微量のUVA波長域および/またはUVB波長域の紫外光が引き起こすであろう影響を回避するため、発光モジュールの波長変換コート層中に、UVC、UVAおよびUVBを吸収可能な蛍光粉を同時に含有させるほか、発光モジュールの波長変換構造中にさらに紫外光波長遮断コート層を備えさせ、紫外光漏洩のあらゆる可能性を低減させることもできる。この紫外光波長遮断コート層を有する発光モジュールの実施態様の略図を図4A〜4Cに示した。図4Aは発光モジュールの分解図、図4B、図4Cは、図4A中のA−A’線における波長変換構造の局部断面略図であり、波長変換構造の2つの異なる態様を示している。
【0049】
図4Aに示したように、発光モジュール40は、開口4011を有するフレーム体401を含み、フレーム体401内にUVC光源403が設けられる。開口4011上に波長変換構造405が設けられ、波長変換構造405とフレーム体401を組み合わせて空気を含む密閉空間4013が形成される。波長変換構造405の実施態様の一つは、図4Bに示したように、下から上へ波長変換コート層4051、基材4053および紫外光波長遮断コート層4055を含んでおり、すなわち,波長変換コート層4051と紫外光波長遮断コート層4055が基材4053の両側に設けられている。紫外光波長遮断コート層4055は必要に応じて、図4Cに示したように、波長変換コート層4051とともに基材4053の同一側に設けてもよい。
【0050】
紫外光波長遮断コート層4055の材料は、紫外光を遮断するいずれかであってよく、例えば、紫外光遮断材、紫外光安定材、紫外光吸收材、紫外光反射材、および上記の組合せ等がある。常用される紫外光遮断材には金属酸化物があり、具体的な態様は、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、および上記の組合せがある。好ましくは粒径が実質的に1μm未満の金属酸化物を使用する。使用できる紫外光安定材は、例えばヒンダードアミン(hindered Amine)であり、かつ使用できる紫外光吸收材の具体例には、例えばジフェニルケトン、ベンゾトリアゾール、および上記の組合せがある。
【0051】
紫外光漏洩をさらに遮断するために、発光モジュールのフレーム体内側壁にさらに保護層を設置してもよい。図5は、別の発光モジュールのフレーム体部分における断面略図であり、発光モジュールは図4Aと同様であるが、フレーム体内側壁にさらに保護層を有している。図5に示したように、この実施態様は、フレーム体501を含み、その内部にUVC光源503が設置され、かつ内側壁上に保護層505が設けられて、UVC光源が発生する光が上記フレーム体501を透過しないようにしている。保護層505は、上記紫外光波長遮断コート層に含まれる紫外光遮断可能材料または反射層(金属層等)を含む。フレーム体501の内側壁には必要に応じて波長変換コート層(図3A参照)が設けられ、この波長変換コート層を設けるとき、保護層505はフレーム体内壁と波長変換コート層との間に設置される。
【0052】
上記各種の発光モジュールはまた、例えば側光式バックライトモジュールや直下式バックライトモジュール等、表示装置の各種バックライトモジュールに使用できる。図6は、上記発光モジュールを使用した側光式バックライトモジュール60の略図である。バックライトモジュール60はフレーム体61を含み、フレーム体61内の片側に、UVC光源63が設置され、光源63の片側に波長変換構造65が設けられる。フレーム体61の適所に必要な光学フィルムシート、例えば拡散フィルム671、プリズムシート673、導光板675、反射シート679等が設置される。
【0053】
図7は、上記発光モジュールを直下式バックライトモジュールで使用した態様を示す略図である。図7において、直下式バックライトモジュール70は開口を有するフレーム体701を含み、フレーム体701内にUVC光源703が設置され、フレーム体701開口に波長変換構造705が設けられ、波長変換構造705に光学フィルムシート707が設置される。波長変換構造705は波長変換コート層7051および基材7053を含む。基材7053は通常、光透過性基材であり、かつ波長変換コート層7051は通常、基材7053の面光源側に設置される。
【0054】
上記図2Bで示したように、光学フィルムシートの発光モジュール(バックライトモジュールを含む)における使用に関して、従来は発光モジュールのフレーム体内に支持柱を含む光源ホルダを設置していた。支持柱は主に、光学フィルムシートの下垂を防止し、フィルムシート表面の非平坦性現象を低減するために用いられ、これにより引き起こされる輝度の不均一性や不正確性の結果が除去されていた。図8は従来の直下式バックライトモジュールの一実施態様を示す図である。直下式バックライトモジュール80は開口を有するフレーム体81を含み、フレーム体81内に光源83が設置され、フレーム体81の開口に光学フィルムシート85が設けられ、かつフレーム体81内に支持柱87が存在して光学フィルムシート85を支持し、フィルムシート85表面の非平坦さによる不利な結果を除去している(簡略化したために、当該図中では光源ホルダの支持柱部分のみを表示した)。
【0055】
しかし、図7に示した直下式バックライトモジュール70に公知の手段を用いて、支持柱で光学フィルムシート707を支持したとき、光学フィルムシート707が波長変換構造705上に設置され、かつ波長変換コート層7051が波長変換構造705の面光源側に設置されるため、波長変換コート層7051が支持柱と直接接触することがわかった。これは、長時間の使用や、あるいはバックライトモジュールの搬送または据付の過程で、支持柱が波長変換コート層7051を損傷する(例えばスクラッチ)等、バックライトモジュールの発光欠陥を引き起こし易い。
【0056】
上記支持柱による波長変換構造の損傷や波長変換構造の剛性不足による表面の非平坦性の現象を回避するため、バックライトモジュール中にさらに波長変換構造に張力を提供できる固定装置を設置し、上記波長変換構造の表面を実質的に平坦に保ち、かつ支持柱を使用しないようにした。特に、波長変換構造をバックライトモジュールに設置する前に、先ず上記波長変換構造に張力を前印加し、その表面を実質的に平坦にして、その後、波長変換構造の表面が実質的に平坦な状態下で、固定装置によりその形状を固定化し、こうしてその表面の実質的な平坦性を維持させる。
【0057】
各種の好適な固定装置が使用できる。例えば、固定装置は互いに対応する第1要素および第2要素を含んでよく、上記2つの要素が互いに結合するとき、波長変換構造の形状を固定でき、上記波長変換構造に実質的に平坦な表面が具備される。あるいは、固定装置は形状がフレーム体と組み合わさる要素を含んでもよく、フレーム体と結合するとき波長変換構造の形状が固定される。
【0058】
例を挙げれば、図9A〜9Fは、本バックライトモジュールの一実施態様を示しており、上記固定装置の特定態様を含み、図9Aはバックライトモジュールの分解図であり、図9B〜9Fは図9A中のB−B’線における波長変換構造の局部断面図であり、波長変換構造の異なる態様を示している。
【0059】
図9Aに示したように、バックライトモジュール90は、開口911を有するフレーム体91を含み、開口911に波長変換構造93が設置され、フレーム体91内にUVC光源95が設けられている。波長変換構造93は波長変換コート層931および基材933を含み、波長変換コート層931は基材933の面光源側に位置している。波長変換構造93は固定装置を介してその形状が固定され、固定装置は第1フレーム971および第2フレーム973を含み、かつフレーム971とフレーム973は実質的に同じ寸法を有する。図9Bに示したように、バインダー等の好適な方式によりフレーム971およびフレーム973をそれぞれ波長変換構造93の上下両側面に固定して、上記波長変換構造93の形状を固定し、実質的に平坦な表面を具備させる。
【0060】
固定装置に含まれる2つのフレームは同じ寸法でなくてもよく、異なる寸法でもよい(図9C参照)。図9Cにおいて、固定装置は第1フレーム975および第2フレーム977を含み、第2フレーム977の寸法は第1フレーム975より小さく(または逆に、第1フレーム977の寸法が第2フレーム975より小さい)、かつ第1フレーム975に嵌設される。こうして、フレーム975とフレーム977が嵌設されるとき、波長変換構造93をその中に固定させ、その表面を実質的に平坦に維持できる。
【0061】
さらに図9Dに示したように、フレーム979だけを用いて、バインダーまたは他の適切な方式により、波長変換構造93をフレーム979に固定させ、波長変換構造93の表面を実質的に平坦に維持して、フレーム体91上に配置することができる。または、図9Eおよび図9Fに示したように、外径が開口911より小さいフレーム981または内径が開口911側のフレーム体91断面より大きいフレーム983を用いて、フレーム981または983とフレーム体91を嵌設する方式により、波長変換構造93の形状を固定して、実質的に平坦な表面を具備させてもよい。
【0062】
上記各実施態様のフレームは一体成形のフレームまたは複数の片状物を組み合わせたフレームであってよい。この他、フレームの形状は長方形に限らず、使用上必要な他の形状(楕円形等)にしてもよい。
【0063】
また、固定装置に特殊な形状設計を設けてもよく、形状間の組合せにより波長変換構造を固定する。図10A〜10Eを参照されたい。図10Aは本バックライトモジュールの別の実施態様の略図を示しており、図10Aはバックライトモジュールの分解図、図10B〜10Eは図10A中のC−C’線における波長変換構造の局部断面図であり、波長変換構造の異なる態様を表している。図10Aにおいて、バックライトモジュール100のフレーム体101は開口1011を有し、開口1011に波長変換構造103を設置し、フレーム体101内にUVC光源105を設けている。波長変換構造103は波長変換コート層1031および基材1033を含み、波長変換コート層1031は基材1033の面光源側に位置している。図10Bに示したように、固定装置は凹状構造を有する第1要素1071,および凸状構造を有する第2要素1073を含む。第1要素1071の凹状構造の位置は少なくとも第2要素1073の凸状構造の位置に対応している。
【0064】
当然ながら、固定装置も凸状構造を有する第1要素1075、および凹状構造を有する第2要素1077を含んでもよい(図10C参照)。上記凹状構造の位置は少なくとも上記凸状構造の位置に対応している。好ましくは、上記凹状構造と凸状構造はそれぞれ片状の凹状構造と片状の凸状構造である。こうして、凹状構造と凸状構造が互いに嵌設するとき、波長変換構造103をその中に固定でき、表面が実質的に平坦に維持される。
【0065】
また、フレーム体と固定装置の組合せにより、所望の波長変換構造の固定効果を提供できる。図10Dはこの組合せの一実施態様の略図である。フレーム体101aは頂端にさらに凸状構造を有し、固定装置は凹状構造を有する第1要素1079を含み、上記凹状構造の位置は少なくとも凸状構造の位置に対応している。両者が相互に嵌設されるとき、波長変換構造103が固定され、実質的に平坦な表面が維持される。または、フレーム体頂端に凹状構造を有して、固定装置には上記凹状構造に対応する凸状構造を有する部材が含まれる(図10E参照)。図10Eに示したように、フレーム体101bはさらに頂端に凹状構造を有し、固定装置は凸状構造を有する第1要素1081を含み、凹状構造の位置は少なくとも凸状構造の位置に対応している。
【0066】
上記各実施態様において、第1要素1071,1075,1079,1081および第2要素1073,1077は波長変換構造103の一部側辺に設けられるが、これに限定されない。第1要素1071,1075,1079,1081および第2要素1073,1077はまた、波長変換構造103の全ての側辺または他の適所に設置してもよい。各凹状構造および凸状構造も、図の形状に制限されない。この他、固定装置は必要に応じて2以上の第1要素または第2要素を含んでもよい。
【0067】
例を挙げれば、開口が長方形のフレーム体について言えば、第1要素と第2要素は取り囲んで長方形を構成する片状物であってもよく、あるいはL形またはI形の片状物が嵌合してなる長方形であってもよい。これにより、フレーム体と固定装置の組合せを用いて、その凹/凸構造の嵌設により波長変換構造が固定されるとき、固定装置がフレーム体の頂端に対応する凹/凸状構造を有する2つのI形片状物を含んで、フレーム体の頂端に対向する側と嵌設することにより波長変換構造の対応する側辺を固定して、表面の実質的な平坦性を維持できる。さらに固定装置がフレーム体の頂端に対応する凹/凸状構造を有する2つのL形片状物を含んで、フレーム体の頂端に対応する角に嵌設して波長変換構造の対応する側の角を固定することにより、表面の実質的な平坦性を維持することもできる。
【0068】
固定装置はまた他の態様であってもよい。図11A〜11Dを参照されたい。図11Aはバックライトモジュール110を示している。図11Aはバックライトモジュールの分解図であり、図11B〜11Dは、図11A中のD−D’線における波長変換構造の局部断面図であり、波長変換構造の異なる態様を表している。図11Aに示したように、バックライトモジュール110はフレーム体111を含み、フレーム体111は開口1111を有し、開口1111に波長変換構造113が設けられ、フレーム体111にUVC光源115が内設されている。波長変換構造113は波長変換コート層1131および基材1133を含み、波長変換コート層1131は基材1133の面光源側に位置している。図11Bに示したように、固定装置は連接部材を有する第1要素1171および連接孔を有する第2要素1173を含み、上記連接部材は上記連接孔に嵌合される。こうして、上記連接部材と上記連接孔により第1要素1171と第2要素1173が結合されて、波長変換構造113が固定され、実質的に平坦な表面が具備される。
【0069】
別のバックライトモジュールの実施態様を図11Cに示した。バックライトモジュールは図11Aと同様であるが、含まれるフレーム体111aはさらに連接孔を有し、固定装置は連接部材を有する第1要素1175を含み、フレーム体111aの連接孔と第1要素1175の連接部材が嵌合される。こうして、連接部材と連接孔によりフレーム体111aと固定装置の第1要素1175が結合されて、波長変換構造113の形状が固定され、実質的に平坦な表面が具備される。同様に、図11Dに示したように、バックライトモジュールのフレーム体111bがさらに連接部材(図に示した横の凸部分)を有し、固定装置は連接孔を有する第1要素1177を含み、上記連接部材と上記連接孔が嵌合される。連接孔と連接部材によりフレーム体111bと固定装置の第1要素1177が結合され、波長変換構造113の形状を固定し、実質的に平坦な表面を具備させる。上記実施態様において、第1要素1177または第2要素1173は長片状であるが、これに限定されず、他の適切な形状であってもよい。具体的には、連接部材はネジ、連接孔はナットであってよく、または連接部材はほぞ、連接孔は掛け溝であってよく、または本分野で一般的な知識を持つ者が周知の他の組合せ形状であってもよい。
【0070】
さらに、別のバックライトモジュールの実施態様を図12A〜12Cに示した。図12Aはバックライトモジュールの分解図であり、図12Bおよび12Cは図12A中のE−E’線における波長変換構造の局部断面図であり、波長変換構造の異なる態様を表している。図12Aに示すように、バックライトモジュール120はフレーム体121を含み、フレーム体121は開口1211を有し、開口1211に波長変換構造123が設けられ、フレーム体121にUVC光源125が内設されている。波長変換構造123は波長変換コート層1231および基材1233を含み、波長変換コート層1231は基材1233の面光源側に位置している。図12Bに示すように、バックライトモジュール120はさらに固定装置を含み、固定装置はフレーム1271および弾性部材1273(クリップ等)を含む。固定装置により、弾性部材1273は波長変換構造123をフレーム1271上に固定しその形状を固定化し、実質的に平坦な表面を具備させる。別の固定装置の態様を図12Cに示した。フレーム体121aは頂縁に凸出形状を有し、固定装置は弾性部材を有する第1要素1275(クリップ等)を含む。固定装置の第1要素1275を介して、波長変換構造123をフレーム体121aに固定させてその形状を固定化し、実質的に平坦な表面を具備させる。上記実施態様において、上記弾性部材は図中の形式に限定されず、螺旋形式や他の使用に供される形式であってよい。
【0071】
次に具体的な実施形態を挙げて本発明の波長変換構造およびその使用をさらに例示して詳述する。
【0072】
[実施例]
下記実施例において使用した成分、材料および装置:
(1)バインダー成分:
バインダー溶液A:築光社製20重量%フッ素マクロマー含有溶液(Chipaste)、バインダー溶液Aより得た厚み約100μmの湿膜は50℃下において30秒で完全に乾燥する。
バインダー溶液B:PVDF(polyvinylidene difluoride,ポリビニリデンフロライド)(Dyneon社製)をアセトンに溶解し、調製して得る7重量%PVDF含有アセトン溶液、バインダー溶液Bより得た厚み約100μmの湿膜は50℃下において20秒で完全に乾燥する。
バインダー溶液C:PVDF−HFP(polyvinylidene difluoride−co−hexafluoropropylene,ポリビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン)(Atofina社製,型番Kynar2801)をアセトンに溶解し、調製して得た7重量%PVDF−HFP含有アセトン溶液、バインダー溶液Cより得た厚み約100μmの湿膜は50℃下において20秒で完全に乾燥する。
(2)蛍光体粉末:日本化成株式会社製,型番LP−W1,色番EX−D。
(3)輝度試験方法I:
測定モジュール:UVC光源(253.7nm)のモジュール、上記モジュール寸法は長さ60cm幅36cm、16本のUVCランプ(長さ590cm、管径3.5cm、管壁厚み0.7cm、ランプ強度3100μW/cm2)が配置される、ランプ間の距離は2cm、ランプ源下方はアルミニウム反射シートであり、上記モジュール上方にサンプル配置エリアがある。
試験方法:蛍光含有コート層をUVCランプ源に対向させて、測定するサンプルをランプ源上方に配置し、サンプル上方0.5cmの箇所に光学測定用プローバ(宇宏企業製,型番RK828)を配置して色度座標および輝度値を測定する。
(4)輝度試験方法II:
測定モジュール:UVC光源(253.7 nm)のモジュール、上記モジュール寸法は長さ72cm幅42cm、16本のUVCランプ(長さ710cm,管径3.5cm,管壁厚み0.7cm,ランプ強度3450μW/cm2)が配置される、ランプ間の距離3.5cm、ランプ源下方は同じ波長変換コート層を塗布した反射シートであり、上記モジュール上方にサンプル配置エリアがある。
試験方法:蛍光含有コート層をUVCランプ源に対向させて、測定するサンプルをランプ源上方に配置し、サンプル上方50cmの箇所に輝度色度計(中惠科技製,型番Topcon BM7)を配置し、色度座標および輝度値を測定する。
【実施例1】
【0073】
バインダー溶液A900gを2000mlビーカーに入れ、マグネットで10分間攪拌した。さらに蛍光体粉末900gを添加し、室温下で機械攪拌翼にて20分間混合し、均一に混合されたペーストを得た。ペーストを均一に混合した後、気圧式パルス循環器中に加えて30分間攪拌し、その後、スロットコーティング法でPET基材(厚み125μm)に塗布した。スロット口とPET基材間の距離15μm、吐出圧力0.12MPa、塗布速度15m/分。湿膜完成後、さらに50℃の熱風で乾燥させ、PET基材上に12〜15μm厚みの波長変換コート層サンプルが提供された。
【0074】
輝度試験方法Iを用いて、サンプル配置エリアのサイズ長さ30cm幅20cm、サンプルと光源間の距離1.5cmとし、CIE1931の色座標測定方式で得られたサンプルのx値、y値および輝度値を測定し、その結果を表1に示した。
【0075】
[表1]

【0076】
波長変換の結果を図13Aおよび図13Bに示した。図13Aは上記UVC光源を提供するモジュールの元の光源スペクトルであり、図13Bは得られたサンプルを介して放出されたスペクトルである。得られた波長変換コート層サンプルがUVCを効果的に可視光に変換していることがわかる。
【実施例2】
【0077】
実施例1のペースト調製、塗布および乾燥工程を繰り返すが、得られたペーストをスロットコーティングで125μmのPET基材に塗布し、PET基材に厚み12〜15μmの波長変換コート層サンプルを得た。
【0078】
次いで、25μm厚みのアクリル樹脂(全科企業製、型番S3277)を、得られたサンプルの波長変換コート層を塗布していない面にナイフコーティングした。塗布完成後、上記サンプルとアクリル基材(厚み2cm)およびPET保護基材(厚み25μm)を、ローラコーティング装置(志聖工業製、型番CSL−M25R)で貼り合せた。サンプルの樹脂面を上記アクリル基材に、PET保護基材を上記アクリル(ポリメチルメタクリレート)基材の他方の面に貼り合せた。貼合速度1.5m/分、圧力3kgf/cm2、温度40℃。同様に、上記工程を繰り返したが、上記アクリル基板に替えてポリカーボネート基材(厚み2cm)を使用した。
【0079】
輝度試験方法Iを用いて、サンプル配置エリアサイズ長さ30cm幅20cm、サンプルと光源間の距離2cmとし、CIE1931の色座標測定方式で得られたサンプルのx値、y値および輝度値を測定し、結果を表2に示した。
【0080】
[表2]

【実施例3】
【0081】
計量した蛍光体粉末とバインダー溶液とをそれぞれ表3に記載した重量比を有する混合物に調製し、それぞれを50ml封口ガラス瓶に入れて10分間マグネット攪拌し、さらに10分間超音波発振して、6部のペーストを得た。
【0082】
幅10cm長さ15cmのPET基材(厚み125μm)を真空吸気台に吸着させ、バーコーティング法で各ペーストをPET基材に塗布速度10m/分で塗布し、各ペーストの塗布を繰り返した。6部の異なるペーストを塗布したPET基材を流通空気中に置き3分間自然乾燥させ、コート層厚み約15〜18μmのサンプルを得た。
【0083】
輝度試験方法Iを用いて、サンプル配置エリアのサイズ長さ30cm幅20cm、サンプルと光源間の距離2cmとし、CIE1931の色座標測定方式で得られたサンプルのx値、y値および輝度値を測定し、結果を表3に示した。
【0084】
[表3]

【実施例4】
【0085】
I.炭化フッ素結合含有バインダー
実施例3のペースト調製、塗布および乾燥工程を繰り返すが、バインダー溶液A、バインダー溶液Bおよびバインダー溶液Cを使用し、各蛍光体粉末とバインダー溶液に含まれるバインダーとの重量比を5:1とした。調製して得たペーストをそれぞれ厚み125μmのPET基材に塗布し、コート層厚み12〜15μmのサンプルを得た。バインダー溶液A、BおよびCを用いて得たサンプルはそれぞれ、サンプルA、BおよびCと呼称する。
【0086】
輝度試験方法Iを用いて、サンプル配置エリアのサイズ長さ10cm幅10cm、サンプルと光源間の距離2cmとし、CIE1931の色座標測定方式で得られたサンプルのx値、y値および輝度値を測定し、結果を表4−1に示した。
【0087】
[表4−1]

【0088】
さらに下記方式により、サンプルAおよびサンプルCに加速実験を行った。サンプルAおよびサンプルCをそれぞれ1本のUVランプ製装置に配置し、サンプルと光源間の距離0.5cm、UV強度10000μW/cm2、サンプル照射面積2cm×2cmとし、開始時と1000時間持続照射した後の強度および色度をそれぞれ測定し、結果を下記表に示した。
【0089】

【0090】
II.炭化水素系バインダー(比較例)
蛍光体粉末とバインダー溶液Aを、蛍光体粉末とバインダーとの重量比5:1の割合で50ml封口ガラス瓶中に入れ、10分間マグネット攪拌し、攪拌後、10分間超音波発振し、フッ素系ペーストを得た。別にポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)バインダー溶液(脱イオン水を溶媒とし20重量%のPVAを含む)を調製し、等重量の蛍光体粉末を乳鉢で均一に混合し、炭化水素系ペースト(炭化水素結合の結合エネルギーは98kcal/mol)を得た。
【0091】
次いで、幅10cm長さ15cmのPET基材(厚み125μm)を真空吸気台に吸着させ、2つのペーストをそれぞれナイフコーティング法によりナイフ間隙50μm,塗布速度10m/分で各PET基材に塗布した。その後、フッ素系ペーストを塗布したPET基材を流通空気中に置き3分間自然乾燥させ、炭化水素系ペーストを塗布したPET基材を80℃の熱風乾燥機で30分加熱した。得られたコート層の厚みは約17〜20μmであった。
【0092】
輝度試験方法Iを用いて、サンプルの配置エリアサイズ長さ30cm幅20cm、サンプルと光源間の距離1.5cmとし、CIE1931の色座標測定方式で得られたサンプルおよび光源照射180時間後のx値、y値および輝度値を測定し、結果を表4−2に示した。
【0093】
[表4−2]

【0094】
表4−2の結果からわかるように、炭化水素系ペーストにおける輝度が低減率50%に達しているのに比べ、本発明のバインダー中に炭化フッ素結合を含んでなる波長変換コート層を使用したものは、光源照射180時間後も尚、初期と同程度の輝度が提供できた。
【0095】
III.他のバインダー溶液
テトラエトキシシラン(Tetraethoxysilane,TEOS)10gに、メチルトリエトキシシラン(Methyltriethoxysilane,MTEOS)10g、アルコール3g、脱イオン水2g、および1%塩酸(HCl)水溶液1mlを添加し、室温下で30分間均相になるまで攪拌した。さらに、この無機水溶液中に蛍光粉8gを添加し、60分間マグネット攪拌し、攪拌後、10分間超音波発振し、再び30分間マグネット攪拌し、ペーストを得た。
【0096】
上記II部分に記載した方式に基づき、上記ペーストを厚み100μmのPET基材に塗布した。塗布したPET基材は100℃乾燥機中で60分乾燥させ、冷却後取り出した。
【0097】
次に輝度試験方法Iを用いて、サンプルの配置エリアサイズ直径5cm(19.6cm2)、サンプルと光源間の距離2cmとし、CIE1931の色座標測定方式で得られたサンプルのx値、y値および輝度値を測定し、結果を表4−3に示した。
【0098】
[表4−3]

【実施例5】
【0099】
輝度試験方法IIを用いて、同一の管電圧、電流および測定方式の条件下で、従来のCCFLモジュールと実施例2で調製したアクリル基板サンプルの性能を比較し、比較結果を表5−1および表5−2に示した。
【0100】
[表5−1]

【0101】
[表5−2]

【0102】
上記結果からわかるように、本波長変換コート層の性能は従来のCCFLよりも優れている。
【0103】
次いで、輝度試験方法IIを用いて、得られたアクリル基板サンプル(すなわち表5−2に示した「波長変換コート層+下拡散板」)を上記UVCモジュール内で長時間照射し、その色座標および輝度を表6および図14に示した。各点灯(照射)時間において、それぞれ2組の同一の上記アクリル基板サンプルに2回の輝度試験を行い、試験結果をサンプルA、Bの結果としてそれぞれ表6に示した。この結果からわかるように、長時間の照射後も、本発明の波長変換コート層は尚相当の輝度を提供できる。
【0104】
[表6]

【実施例6】
【0105】
(紫外光波長遮断コート層の効果)
バインダー溶液A20gと蛍光体粉末20gを50ml封口ガラス瓶に入れ10分間マグネット攪拌し、攪拌後、10分間超音波発振した。上記ペーストをナイフコーティング法で幅10cm長さ10cmの石英表面に、ナイフ間隙50μm、塗布速度10m/分で塗布し、塗布した石英を流通空気中に置き3分間自然乾燥させた。上記条件で作製したコート層の厚みは約17〜20μm。これを紫外光波長遮断コート層を備えない波長変換コート層サンプルとした。
【0106】
別の波長変換コート層サンプルを同一の方式で処理するが、石英表面に先にバーコーティング法(RDSコード06)で紫外光遮断機能を有するナノメートル酸化亜鉛材料(豪州Advanced Nanotechnology製,型番NanoZ)を塗布速度10m/分で塗布し、塗布後、100℃の熱風乾燥機内で30分乾燥させた。
【0107】
次いで輝度試験方法Iを用いて、サンプル配置エリアサイズ長さ30cm幅20cm、サンプルと光源間の距離2cmとし、CIE1931の色座標測定方式で得られたサンプルのx値、y値および輝度値を測定し、結果を表6、図15A(紫外光波長遮断コート層無し)および図15B(紫外光波長遮断コート層有り)に示した。
【0108】
[表7]

【0109】
図15Aおよび図15Bの比較からわかるように、紫外光波長遮断コート層を設けないとき、発光モジュールからは、少量の使用しきれなかった紫外光UVC波長域、および使用されなかった紫外光UVA波長域とUVB波長域が尚漏洩しているが、紫外光波長遮断コート層を設けたとき、紫外光UVC波長域、UVA波長域およびUVB波長域はいずれも遮断された。また、表7からわかるように、紫外光波長遮断コート層の使用は、発光モジュールの性能に基本的に影響しない。
【実施例7】
【0110】
(紫外光波長遮断コート層の効果)
実施例6と同様であるが、PET(polyethylene terephthalate)を基材とし、紫外光透過率を測定した。図16Aは紫外光波長遮断コート層未設置の発光モジュールの紫外光透過スペクトルであり、図16Bは紫外光波長遮断コート層を設けた発光モジュールの紫外光透過スペクトルである。図中点線で囲んだところは紫外光UVC波長域およびUVB波長域の波長である。図16Aと図16Bの比較からわかるように、紫外光波長遮断コート層を設けたとき、ほぼ完全に紫外光の漏洩が遮断された。
【実施例8】
【0111】
(光混合の効果)
2組の図3Aに示した構造を準備し、第1組の第1波長変換コート層は第2波長変換コート層と同一、第2組の第1波長変換コート層は第2波長変換コート層と異なるようにした。使用したバインダー溶液はバインダー溶液A、蛍光体粉末は日本化成株式会社製の製品である。
【0112】
第1組の第1波長変換コート層と第2波長変換コート層は下記方式により得た。UVCに励起されて赤色可視光を放出する蛍光体粉末(以下「R蛍光体粉末」という)、UVCに励起されて緑色可視光を放出する蛍光体粉末(以下「G蛍光体粉末」という)およびUVCに励起されて青色可視光を放出する蛍光体粉末(以下「B蛍光体粉末」)を、4.4:1.6:4.0の割合で混合し、蛍光体粉末混合物を提供した。上記蛍光体粉末混合物を50ml封口ガラス瓶の10gバインダー溶液A中に入れ、10分間マグネット攪拌し、次いで10分間超音波発振し、ペーストを提供した。幅10cm長さ15cmのPET基材(厚み100μm)を真空吸気台に吸着させ、得られた上記ペーストをナイフコーティング法で上記PET基材に、ナイフ間隙50μm、塗布速度10m/分で塗布し、その後、塗布したPET基材を流通空気中に置き3分間自然乾燥させ、コート層厚み約17〜20μmを得た。
【0113】
第2組の構造の第1波長変換コート層の調製は、第1組の構造と同様であるが、使用したペーストは6.4gのR蛍光体粉末とG蛍光体粉末を4.9:1.5の割合で混合した蛍光体粉末混合物を、6.4gのバインダー溶液A中に入れて得たものである。
【0114】
第2組の構造の第2波長変換コート層の調製も第1組の構造と同様であるが、10gの蛍光体粉末と10gのバインダー溶液Aを混合して得たペーストであり、厚み225μmのPET基材に塗布した。
【0115】
それぞれ上記2組の第1波長変換コート層を有するPET基材を2組のフレーム体の開口に設置し、および第2波長変換コート層を有するPET基材を2組のフレーム体の内側壁上に設置した。その後、それぞれ2組の構造の光学特性を測定し、結果を表8に示した。
【0116】
[表8]

【0117】
表8の結果からわかるように、第2組で提供された輝度値は、第1組より約5〜6%上昇した。
【0118】
上記各実施例および態様は、本発明の原理および効果機能を例示的に説明しかつ本発明の技術的特徴を概説しただけであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。例えば図に示した各要素の形状または形式は、本発明を限定するものではない。本技術に熟知した全ての者が、本発明の技術原理および主旨に違わない状況下で、容易になし得る改変または同等的な処置は、本発明が主張する範囲に属するものである。したがって、本発明の権利保護範囲は、特許請求の範囲に準拠する。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1A】本発明の波長変換構造の実施態様を示す略図である。
【図1B】本発明の波長変換構造の他の実施態様を示す略図であり、含有される基材は複合層である。
【図1C】本発明の波長変換構造のさらに他の実施態様を示す略図であり、含有される基材は光学増幅構造である。
【図2A】波長変換構造を用いた発光モジュールを示す図である。
【図2B】本発明の発光モジュールのフレーム体に用いられる光源ホルダを示す略図である。
【図3A】本発明の発光モジュールを用いた光混合態様を示す図である。
【図3B】本発明の発光モジュールを用いた光混合態様を示す図である。
【図4A】紫外光波長遮断コート層を備えた発光モジュールの実施態様を示す図である。
【図4B】紫外光波長遮断コート層を備えた発光モジュールの実施態様を示す図である。
【図4C】紫外光波長遮断コート層を備えた発光モジュールの実施態様を示す図である。
【図5】発光モジュールのフレーム体内側壁に設けた保護層を示す略図である。
【図6】波長変換構造を用いた側光式バックライトモジュールの実施態様を示す図である。
【図7】波長変換構造を用いた直下式バックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図8】従来の直下式バックライトモジュールを示す略図である。
【図9A】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図9B】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図9C】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図9D】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図9E】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図9F】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図10A】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図10B】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図10C】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図10D】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図10E】種々の固定装置を有するバックライトモジュールの実施形態を示す略図である。
【図11A】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図11B】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図11C】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図11D】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図12A】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図12B】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図12C】各種固定装置を有するバックライトモジュールの実施態様を示す略図である。
【図13A】実施例1のUVCモジュールの元の光源スペクトルを示す図である。
【図13B】図13AのUVCモジュールが本発明の波長変換構造を介して放出した光源のスペクトルを示す図である。
【図14】実施例2で得たサンプルを3400時間UVC照射した後の色座標および輝度の変化を示す図である。
【図15A】実施例6で得た紫外光波長遮断コート層を設置しない態様のスペクトルを示す図である。
【図15B】実施例6で得た紫外光波長遮断コート層を設置した態様のスペクトルを示す図である。
【図16A】実施例7で得た紫外光波長遮断コート層を設置しない態様のスペクトルを示す図である。
【図16B】実施例7で得た紫外光波長遮断コート層を設置した態様のスペクトルを示す図である。
【符号の説明】
【0120】
20,30,32,40 発光モジュール
60,70,80,90,100,110,120 バックライトモジュール
61,81,91,101,101a,101b,111,111a,111b,121,121a,201,301,321,401,501,701 フレーム体
63,83,95,105,115,125,203,303,403,503,703,3231,3233 光源
65,93,102,103,104,106,113,123,205,305,325,405,705 波長変換構造
85,707 光学フィルムシート
2075,87 支持柱
505 保護層
671 拡散フィルム
673 プリズムシート
675 導光板
679 反射片
911,1011,1111,1211,2011,4011 開口
307,931,1023,1031,1043,1063,1131,1231,2051,3051,3251,4051,7051 波長変換コート層
933,1021,1033,1041,1061,1133,1233,2053,3053,3253,4053,7053 基材
971,975 第1フレーム
973,977 第2フレーム
979,981,983,1271 フレーム
1045 透明フィルム層
1047 透明シート
1049 ポリマー感圧接着剤
1071,1075,1079,1081,1171,1175,1177,1275 第1要素
1073,1077,1173 第2要素
1273 弾性部材
2013,3013,3213,4013 密閉空間
4055 紫外光波長遮断コート層
207 光源ホルダ
2071 背板
2073 ランプ固定フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に設けられ、(a)UVCに励起される蛍光体粉末および(b)抗UVCバインダーを含む波長変換コート層と、を備える波長変換構造であって、
前記波長変換コート層の厚みが蛍光体粉末の平均粒径の2〜10倍であり、
前記波長変換コート層における前記蛍光体粉末含量が、
(i)波長変換コート層における蛍光体粉末の体積率が(蛍光体粉末とバインダーとの合計体積を基準として)30〜85%、
(ii)蛍光体粉末とバインダーとの重量比が1:1〜20:1、
のうち、少なくとも一つに合致することを特徴とする、
波長変換構造。
【請求項2】
前記波長変換コート層の厚みが、蛍光体粉末の平均粒径の3〜5倍であることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項3】
前記波長変換コート層における蛍光体粉末の体積率が、50〜70%であることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項4】
前記蛍光体粉末が、波長200〜280nmのUVC光に励起されることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項5】
前記蛍光体粉末が、波長250〜260nmのUVC光に励起されることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項6】
前記蛍光体粉末が、波長253.7nmのUVC光に励起されることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項7】
前記蛍光体粉末が、UVCに励起され可視光を放出することを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項8】
前記蛍光体粉末が、UVCに励起され白光を放出することを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項9】
前記蛍光体粉末の粒径分布が少なくとも2種の粒径分布を含み、第1の粒径分布は区間が1〜10μmであり、第2の粒径分布は1〜1000nmであることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項10】
前記バインダーがマクロマー構造であり、かつその繰り返し単位の少なくとも1つに分子結合エネルギーが113kcal/molを超える化学結合を含むことを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項11】
前記バインダーが、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene,PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(poly(vinylidene fluoride),PVDF)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(poly(vinylidene fluoride−hexafluoropropylene),PVDF−HFP)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ethylene−tetrafluoroethylene copolymer,ETFE)、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(fluorinated ethylene propylene copolymer,FEP)、パーフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy,PFA)、フッ素ゴム(fluoro−rubber)、フルオロエラストマー(fluoro−elastomer)、非晶質フッ素ポリマー(amorphous fluoropolymers)、シリコンゴム(silicon rubber)、ポリシロキサン(polysiloxane)およびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項12】
前記バインダーが、炭化フッ素結合を含むマクロマーであることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項13】
前記波長変換コート層がさらに、安定剤、吸收剤、遮断剤およびそれらの組合せからなる群より選ばれる成分を含むことを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項14】
前記安定剤が、ヒンダードアミン(hindered amine)であることを特徴とする請求項13記載の波長変換構造。
【請求項15】
前記吸收剤が、ジフェニルケトン、ベンゾトリアゾールおよびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項13記載の波長変換構造。
【請求項16】
前記遮断剤が金属酸化物であることを特徴とする請求項13記載の波長変換構造。
【請求項17】
前記遮断剤が、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項13記載の波長変換構造。
【請求項18】
前記金属酸化物がナノメートルサイズであることを特徴とする請求項16記載の波長変換構造。
【請求項19】
前記基材が透明基材であることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項20】
前記透明基材が、PET、TAC、PEN、PES、PVDF、PE−PO、PP−PE、aPP、iPP、官能化ポリオレフィン、LLDPE−g−MA、ガラス、石英、PMMA、PS、MS、PC、光透過性繊維織物およびそれらの組合せからなる群より選ばれる透明フィルム層またはシートを含むことを特徴とする請求項19記載の波長変換構造。
【請求項21】
前記基材は、波長変換コート層を塗布した側の反対側に光学増幅構造を備えることを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項22】
前記光学増幅構造が、プリズム構造または粒子構造であることを特徴とする請求項21記載の波長変換構造。
【請求項23】
前記基材が、ガラスシート、石英シート、PMMAシート、MSシート、PCシートまたは光透過性繊維織物上に、透明PETフィルム層をポリマー感圧接着剤で接着させてなる複合構造であることを特徴とする請求項19記載の波長変換構造。
【請求項24】
前記ガラスシート、石英シート、PMMAシート、MSシート、PCシートまたは光透過性繊維織物の他方の面に、さらにPETフィルムをポリマー感圧接着剤で接着させてなることを特徴とする請求項23記載の波長変換構造。
【請求項25】
拡散板、拡散フィルム、輝度増強フィルム、プリズム板、反射式輝度増強フィルム、偏光板、レンズフィルムおよびそれらの組合せからなる群より選ばれる光学材料をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項26】
UV遮断層をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の波長変換構造。
【請求項27】
前記UV遮断層が、安定剤、吸收剤、遮断剤およびそれらの組合せからなる群より選ばれる成分を含むことを特徴とする請求項26記載の波長変換構造。
【請求項28】
前記遮断剤が、金属酸化物であることを特徴とする請求項27記載の波長変換構造。
【請求項29】
前記遮断剤が、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項27記載の波長変換構造。
【請求項30】
前記金属酸化物が、ナノメートルサイズであることを特徴とする請求項28記載の波長変換構造。
【請求項31】
基材を提供する工程と、(a)UVCに励起される蛍光体粉末、(b)抗UVCバインダーおよび(c)有機溶媒を含んで貯溜部に貯溜されるペーストを前記基材表面に塗布する工程とを含む波長変換構造の製造方法であって、
前記蛍光体粉末と前記バインダーとの重量比が1:1〜20:1であり、および前記塗布した基材を乾燥させることを特徴とする波長変換構造の製造方法。
【請求項32】
前記塗布工程において前記貯溜部のペーストを乱状態に維持することを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記蛍光体粉末と前記バインダーとの重量比が2.5:1〜10:1であることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記蛍光体粉末と前記バインダーとの重量比が3:1〜6:1であることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記蛍光体粉末が、波長200〜280nmのUVC光に励起されることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記蛍光体粉末が、波長250〜260nmのUVC光に励起されることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項37】
前記蛍光体粉末が、波長253.7nmのUVC光に励起されることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項38】
前記蛍光体粉末が、UVCに励起され可視光を放出することを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項39】
前記蛍光体粉末が、UVCに励起され白光を放出することを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項40】
前記蛍光体粉末の粒径分布が少なくとも2種の粒径分布を含み、第1の粒径分布は区間が1〜10μmであり、第2の粒径分布は1〜1000nmであることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項41】
前記バインダーがマクロマー構造であり、かつその繰り返し単位の少なくとも1つに分子結合エネルギーが113kcal/molを超える化学結合を含むことを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項42】
前記バインダーが、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene,PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(poly(vinylidene fluoride),PVDF)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(poly(vinylidene fluoride−hexafluoropropylene),PVDF−HFP)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ethylene−tetrafluoroethylene copolymer,ETFE)、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(fluorinated ethylene propylene copolymer,FEP)、パーフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy,PFA)、フッ素ゴム(fluoro−rubber)、フルオロエラストマー(fluoro−elastomer)、非晶質フッ素ポリマー(amorphous fluoropolymers)、シリコンゴム(silicon rubber)、ポリシロキサン(polysiloxane)およびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項43】
前記バインダーが、炭化フッ素結合を含むマクロマーであることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項44】
前記有機溶媒が、C3−C4ケトン類、1以上のハロゲン基で置換されたC1−C4アルカン類、C5−C7アルカン類、C5−C6シクロアルカン類、C1−C4アルカノール類、C2−C4エーテル類、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル(acetonitrile)、テトラヒドロフラン、石油エーテル、フッ素溶媒およびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項45】
前記有機溶媒が、C3−C4ケトン類、1以上のハロゲン基で置換されたC1−C4アルカン類、C5−C7アルカン類、C5−C6シクロアルカン類、アセトニトリルおよびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記有機溶媒が、C1−C4アルカノール類、C2−C4エーテル類、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、石油エーテルおよびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項47】
前記有機溶媒が、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、1,2−ジクロロエタンおよびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項48】
前記ペーストがさらに、ペースト全体量の10重量%を超えない量の、安定剤、吸收剤、遮断剤およびそれらの組合せからなる群より選ばれる成分を含むことを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項49】
前記安定剤が、ヒンダードアミン(hindered amine)であることを特徴とする請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記吸收剤が、ジフェニルケトン、ベンゾトリアゾールおよびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項48記載の方法。
【請求項51】
前記遮断剤が、金属酸化物であることを特徴とする請求項48記載の方法。
【請求項52】
前記遮断剤が、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの組合せからなる群より選ばれることを特徴とする請求項48記載の方法。
【請求項53】
前記金属酸化物が、ナノメートルサイズであることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記乱状態は、前記ペーストに機械攪拌、均質攪拌、混練、2軸攪拌、3本ロール攪拌、遊星式攪拌またはインパルス加圧を施して、ペースト中に乱流を形成させることにより達成されることを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項55】
前記乱状態は、前記ペーストにインパルス加圧を施して、ペースト中に乱流を形成させることにより達成されることを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項56】
前記塗布工程が、ディップコーティング法(dip coating)、ナイフコーティング法(comma coating)、スプレーコーティング法(spraying coating)、スピンコーティング法(spin coating)、スロットコーティング法(slot coating)、カーテンコーティング法(curtain coating)、グラビアコーティング法(gravure coating)およびロールトゥロール法(roll−to−roll)からなる群より選ばれる方式で行われることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項57】
前記塗布工程において、前記貯溜部のペーストにインパルス加圧を施して前記ペーストを乱状態に維持し、かつスロットコーティング法またはナイフコーティング法にて前記塗布を行うことを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項58】
前記乾燥工程は、加熱乾燥または通気乾燥の方式で行われることを特徴とする請求項31記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2008−179781(P2008−179781A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321891(P2007−321891)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(507409173)金益世股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】