説明

洗剤組成物

高効率のリパーゼ酵素及び封入香料を含有する粒子を含む洗剤組成物。好ましい香料は、36KNm−2(760mmHg)の沸点が260℃以下、CLogP計算値が少なくとも3.0である。
封入香料粒子は、洗浄の全段階にて、特に洗濯段階で有効な香料デリバリーを提供するために洗濯組成物に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤組成物、特に洗濯洗剤組成物に関し、特に脂肪分解酵素又はリパーゼ酵素を含む洗剤に関する。
【背景技術及び従来技術】
【0002】
リパーゼ酵素は、脂汚れを除去するために1980年代後半から洗剤に使用されている。リパーゼ酵素は、それらを含有する洗剤組成物の香料に影響を及ぼすことが知られている。リパーゼ酵素を含む洗剤組成物中に使用するための香料の選択は、EP−A−430315に詳述されており、ここでリパーゼ酵素を用いることで生じる悪臭に対処するために、規定の香料材料を少なくとも25重量%、及び1〜7個の炭素原子を有する脂肪酸類から誘導されるエステル類を50重量%未満含む香料を使用するべきであることが記載されている。
【0003】
比較的最近まで、主要な市販のリパーゼ酵素は、洗浄プロセスの乾燥期間において水分濃度が低いとき、特に有効に作用していた。しかし、つい最近では、さらに効率の良いリパーゼ類が開発され、清浄プロセスの洗浄期間中でも有効に作用する。こうした酵素の例は、PCT国際公開特許WO00/60063及び技術公開IP6553Dに記載されている通りである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これにより、洗浄プロセスの全ての段階に心地よい香料を望む消費者の期待が高まる状況で、消費者が許容可能な香料を製造することは、洗剤配合者にとってさらにより困難になる。洗剤組成物中の香料に対するリパーゼの影響が消費者にとって最も顕著になり得る特定領域の1つは、貯蔵後であり、結果として洗浄プロセス中である。これは、手洗いプロセスにて使用する洗剤には特に問題となる場合がある。本発明者らは、新規な効率の良いリパーゼ酵素を含む洗剤配合物に対しても上述の問題を軽減できることを見出した。さらに、本発明者らは、こうした洗剤配合物に使用するのに特定の好ましい香料を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の定義
次を含む本発明による洗剤組成物を提供する:
1.(a)フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)菌株DSM4109由来の野生型リパーゼとの同一性が少なくとも90%であり、(b)前記野生型リパーゼと比較した場合に、E1又はQ249から15オングストローム以内の三次元構造表面における電気的に中性の又は負に荷電したアミノ酸の正に荷電したアミノ酸による置換を含み、(c)該C末端においてペプチド付加を含み、及び/又は(d)該N末端においてペプチド付加を含み、及び/又は(e)次の制限を満たすアミノ酸配列を有するポリペプチドであるリパーゼ:i)前記野生型リパーゼのE210の位置に負のアミノ酸を含む;ii)前記野生型リパーゼの90〜101の位置に対応する領域に負に荷電したアミノ酸を含む;及びiii)前記野生型リパーゼのN94に対応する位置に中性又は負のアミノ酸を含み、及び/又は前記野生型の90〜101の位置に対応する領域に負又は中性の正味の電荷を有する;並びに
2.封入香料粒子であって、(a)1以上の水溶性ヒドロキシル化合物、好ましくはデンプンを含む、少なくとも部分的に水溶性の固体マトリックス;及び(b)前記固体マトリックスによって封入された香油、を含む封入香料粒子、
を含む、洗剤組成物。
【0006】
リパーゼ酵素は、条件(a)と(b)と(c)及び/又は(e)を満たす上述定義されるようなポリペプチドであってもよい。
【0007】
本発明のさらなる実施形態において、前記封入香油が、少なくとも1重量%、又は少なくとも5重量%、又はさらに少なくとも10重量%、又はさらに少なくとも20重量%、30、40、50、60、70、80又は90重量%の少なくとも1つの香料成分を含み、この香料成分は、36KNm−2(760mmHg)における沸点が260℃以下であり、そのオクタノール/水係数Pのlog10計算値(ClogP)が少なくとも3.0である。さらなる実施形態において、封入香油は、1〜7個の炭素原子を有する脂肪酸類から誘導される少なくとも1つのエステルを含み、一般に封入香料粒子における香油の総重量に対して少なくとも1重量%又は少なくとも5重量%又はさらに少なくとも10重量%、又はさらに少なくとも20重量%、30、40、50、60、70、80又は90重量%のエステルを含む。本発明者らは、2つの特定香料エステル類が、リパーゼ酵素の存在に対して特に感応性であり、結果として本発明は、封入香油がベンジルアセテート及び/又はフェニルエチルアセテートを含む場合に特に有益であることを見出した。
【0008】
本発明のさらなる実施形態において、香料組成物を含む洗剤組成物が提供され、前記香料組成物は、封入香料粒子中の香油及び任意のいずれかの追加香油を含み、前記香料組成物は、0を越えるが、350ダルトン以下の分子量を有する1以上の香料構成成分を少なくとも10重量%、又は少なくとも20、30、40、50、60、70、80又はさらに90重量%を含み、前記1以上の香料構成成分の少なくとも80重量%は少なくとも2.4のcLogPを有し、前記香料組成物は、少なくとも2.4のcLogPを有する1以上の香料構成成分を少なくとも5重量%含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書の百分率及び比率はすべて、特に指示がない限り、重量で計算される。百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体を基準にして計算される。例えばアミノ酸の修飾、アミノ酸のグループ化及びアミノ酸の同定に関連して、酵素を記載する本明細書に使用される命名法は、PCT国際公開特許WO00/60063の通りである。
【0010】
本発明に使用するのに好適なリパーゼ酵素は、EC番号3.1によって分類されるエステル結合を加水分解可能な酵素、好ましくはEC番号3.1.1によって分類されるカルボン酸のエステル結合を加水分解する酵素から成る群から選択されてもよい。この分類内において、特に好ましいのは、EC番号3.1.1.3によって分類されるリパーゼ類であり、最も好ましいのは、例えばPCT国際公開特許WO00/60063、PCT国際公開特許WO99/42566、PCT国際公開特許WO02/062973、PCT国際公開特許WO97/04078、PCT国際公開特許WO97/04079及び米国特許第5869438号に記載されるような一次洗浄性能を有するものである。
【0011】
好ましいリパーゼ酵素は、PCT国際公開特許WO00/60063に記載される。PCT国際公開特許WO00/60063に記載されるような本発明に用いるのに好適で好ましいリパーゼ類は、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola Lanuginosa)菌株DSM4109由来の野生型リパーゼ(参照リパーゼ)であるリパーゼを参照して記載される。参照リパーゼはまた、リポラーゼ(Lipolase)(ノボザイムズ(Novozymes)の登録商標名)と呼ばれる。それはEP258068及びEP305216に記載され、米国特許第5869438号の配列ID番号2の1〜269の位置に示されるアミノ酸配列を有する。
【0012】
本発明に用いるのに最も好ましい一次洗浄リパーゼは、突然変異T231R及びN233Rを含むフミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)(サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus))リパーゼ(ノボザイムズ(Novozymes)からのリポラーゼ(Lipolase)登録商標名)の変異型である商標名LIPEX(ノボザイムズ(Novozymes)からの登録商標名)の下で入手可能である。
【0013】
本発明の洗剤組成物に組み込まれるリパーゼ酵素は、一般に洗剤組成物の10〜20000LU/g、又はさらに100〜10000LU/gの量で存在する。リパーゼ活性に関するLU単位は、PCT国際公開特許WO99/42566にて定義される。洗浄溶液中のリパーゼ用量は、通常、酵素タンパク質として0.02〜2mg/L酵素、より典型的には0.1〜2mg/Lである。
【0014】
リパーゼ酵素は、いずれかの都合の良い形態、一般にはダスティングされていない粒状形態、安定化された液体又はコーティングされた酵素粒子の形態で洗剤組成物に組み込まれてもよい。あるいはスラリーが好適な場合もある。
【0015】
本明細書で有用な少なくとも部分的に水溶性のヒドロキシル化合物は、i)単純な糖類(又は単糖類);ii)オリゴ糖類(2〜10個の単糖類分子から成る炭水化物鎖として規定される);iii)多糖類(少なくとも11個又はより典型的には少なくとも35個の単糖類分子から成る炭水化物鎖として規定される);及びiv)デンプン類のいずれか又は混合物であることができる炭水化物類から選択されることが好ましい。
【0016】
直鎖及び分枝状炭水化物鎖の両方が使用されてもよい。さらに、化学的に修飾されたデンプン類及び/又は多糖類/オリゴ糖類が使用されてもよい。典型的な修飾としては、こうした化合物に特定の表面活性を付与するために、界面活性剤に見出されるものと同一の、アルキル、アリールなどの形態の疎水性部分の付加が挙げられる。
【0017】
好適な封入材料のその他の例としては、あらゆる天然又は合成ガム類、例えばアルギネートエステル類、カラギーナン、寒天、ペクチン酸、及び天然ガム類、例えばアラビアゴム、トラガカントゴム及びカラヤゴム、キチン及びキトサン、i)酢酸セルロース及び酢酸フタル酸セルロース(CAP);ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);iii)カルボキシメチルセルロース(CMC);iv)あらゆる腸溶性/水性コーティングを含むセルロース及びセルロース誘導体及びこれらの混合物)が挙げられる。
【0018】
特に好ましい封入マトリックス材料はデンプン類を含む。好適な例は、生デンプン、前ゼラチン化デンプン、塊茎とマメ科植物と穀草類及び穀類から誘導された加工デンプン、例えばコーンデンプン、小麦デンプン、コメデンプン、ワキシーコーンデンプン、オートデンプン、カッサバデンプン、ワキシー大麦、ワキシーコメデンプン、スウィートコメデンプン、アミオカ、ポテトデンプン、タピオカデンプン、オートムギデンプン、キャッサヴァデンプン及びこれらの混合物から調製できる。
【0019】
本発明の封入マトリックスとしての使用に好適な加工デンプンには、加水分解デンプン、酸で薄めたデンプン、長鎖炭化水素類のデンプンエステル類、デンプンアセテート類、オクテニルコハク酸デンプン(starch octenyl succinate)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
「加水分解デンプン」という用語は、デンプン、好ましくはコーンデンプンの酸及び/又は酵素による加水分解で典型的に得られるオリゴ糖型物質を意味する。本発明に包含するのに適切な加水分解デンプン類には、マルトデキストリン類及び固形コーンシロップ類が挙げられる。デンプンエステル類の混合物と共に包含される加水分解デンプン類は、デキストロース当量(DE)価が約10〜約36DEである。DE価は、デキストロースを基準とした加水分解デンプンの還元当量の尺度であり、(ドライベースで)パーセントとして表示される。DE価が高くなるほど、より多くの還元糖が存在する。DE価の決定方法は、「トウモロコシ業界会員企業研究財団の標準分析法(Standard Analytical Methods of the Member Companies of Corn Industries Research Foundation)」(第6版、トウモロコシ精製協会(Corn Refineries Association,Inc.)、ワシントンDC、1980年刊、D−52)に見いだすことができる。
【0021】
約0.01%〜約10.0%の範囲の置換度を有するデンプンエステル類を使用して、本発明の香油を封入してよい。修飾エステルの炭化水素部分は、C〜C16炭素鎖であるべきである。好ましくは、様々な種類のオクテニルコハク酸(OSAN)置換されたろう状のコーンデンプンであって、例えば、1)ろう状のデンプン:酸薄膜化されかつOSAN置換されたもの、2)固形コーンシロップのブレンド:ろう状のデンプンであって、OSAN置換されかつデキストリン化されたもの、3)ろう状デンプン:OSAN置換されかつデキストリン化されたもの、4)固形コーンシロップ又はマルトデキストリンと、ろう状デンプンとのブレンド:酸薄膜化OSAN置換された後、加熱されかつスプレー乾燥されたもの、5)ろう状デンプン:酸薄膜化されかつOSAN置換された後、加熱されかつスプレー乾燥されたもの、ならびに6)高粘度及び低粘度の(酸処理レベルに基づく)上述修飾物なども、本発明で使用できる。
【0022】
オクテニルコハク酸デンプンのように、乳化性及びエマルション安定性を有する加工デンプン類は、デンプン加工剤の疎水性に起因して、香油液滴をエマルション中に取り込む能力を有する。香油は、洗浄溶液に溶け出すまで、熱力学要素、すなわち、立体障害を原因とするエマルションの疎水性の相互作用及び安定化のために加工デンプン内に取り込まれたまま留まる。香料は、封入の前にキャリア上に吸着(adsorb)又は吸着(adsorb)されてもよい。キャリアの好適な例は、PCT国際公開特許WO97/11151に記載される通りであるか、又はポリマー材料であってもよい。ゼオライトは、例えばPCT国際公開特許WO97/11151により詳細に記載されるように、特に好ましいキャリアである。
【0023】
本発明のデンプン封入剤の他の知られた製造方法には、流動床アグロメレーション、押出し、冷却/結晶化法及び界面重合を促進させる相間移動触媒の使用が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0024】
他の好適なマトリックス材料及び方法の詳細は、例えば、米国特許第3,971,852号(ブレンナー(Brenner)ら、1976年7月27日)に開示されている。
【0025】
香油
本明細書で使用する時、「香油」という表現は、香料原料又は香料成分、あるいはこれらの組み合わせについて言及することを意図する。これらは一般に、温度及び圧力の標準条件下にて水と不混和性であるが、いくつかは水と混和性である場合もある。香油は、1つの香料成分又は1を超える香料成分の混合物を含んでいてもよい。封入香料粒子を介して本発明の洗剤組成物に存在する香油に加えて、追加の香油が、以下で論じられるようなその他のデリバリーシステムを介して洗剤に存在してもよい。封入香油に存在する香料成分及びいずれか任意の追加香油の足し合わせた全体は、洗剤組成物の香料組成物を提供する。
【0026】
本発明者らは、本発明に必須の、リパーゼ酵素、特に効率の良いリパーゼ酵素は、貯蔵時の香料安定性に関してしばしば問題があることを見出し、これは消費者が気付く香料の香りが洗剤配合物に添加された香料の量よりも減るだけでなく、負の影響を受けて香料製造者が選択した香料とは異なってしまう場合もあることを意味する。この問題は、洗浄プロセス中に消費者が特に注目する問題であり、本発明者らは、封入香料が貯蔵時にある程度保護されるだけでなく、驚くべきことに、封入香料は封入剤によって洗浄水の表面にシャペロン(chaperoned)され、使用される香料原料に関して最大限の効力を引き出すことを見出した。特定のリパーゼ類と組み合わせた封入香料を使用することによってまた、これら特定のリパーゼ感応性香料原料をある程度保護する。
【0027】
好ましくは、封入香料粒子中に存在する香油は、その沸点(B.P.)及びそのオクタノール/水分配係数(P)によって特徴付けられる1以上の香料成分を含む。香料成分のオクタノール/水の分配係数とは、オクタノール中の平衡濃度と水中の平衡濃度との比である。本発明の好ましい香料成分は、約36KNm−2(760mmHg)の常用標準圧力にて測定される場合に、約260℃以下、好ましくは約255℃未満、より好ましくは約250℃未満のB.P.及びは約1,000以上のオクタノール/水分配係数Pを有する。本発明の好ましい香料成分の分配係数は高い値を有するので、それらの10を底とする対数、logPの形で示すことがより便利である。故に、本発明の好ましい香料成分は、少なくとも3、好ましくは3.1を超え、さらにより好ましくは3.2を超えるlogPを有する。
【0028】
多くの香料成分の沸点は、例えば、著者、ステファン・アークタンダー(Steffen Arctander)により1969年に出版された「香料及び香味剤化学(Perfume and Flavor Chemicals)(アロマケミカルズ(Aroma Chemicals))」に示されており、本明細書に参考として組み込まれる。
【0029】
多くの香料成分のlogPが報告されている;例えば、カリフォルニア州アーヴァイン(Irvine)のデイライト・ケミカル・インフォメーション・システムズ社(Daylight Chemical Information Systems,Inc.)(デイライトCIS(Daylight CIS))より入手可能なポモナ92データベース(Pomona92 database)には、元の文献の引用と共に多くのものが入れられている。しかし、logP値は、最も簡便には、同様にデイライト(Daylight)CISから入手可能な「CLOGP」プログラムにより計算される。このプログラムはまた実測logP値も、それらがポモナ92データベースにおいて入手可能な場合には、一覧にしている。「logPの計算値」(ClogP)は、ハンシュ(Hansch)及びレオ(Leo)のフラグメント手法により求められる(参考として本明細書に組み込まれる、A.レオ、「総括医薬品化学(Comprehensive Medicinal Chemistry)」、第4巻、C.ハンシュ(C.Hansch)、P.G.サメンス(P.G.Sammens)、J.B.テイラー(J.B.Taylor)、及びC.A.ラムスデン(C.A.Ramsden)編、295頁、パーガモン出版、1990年を参照)。このフラグメント手法は、各香料成分の化学構造を基にして、原子の数と種類、原子の連結性、及び化学結合を考慮に入れる。この物理化学的特性のために最も信頼できかつ広く用いられている推定値であるClogP値は、好ましくは、本発明で有用な香料成分の選択において実測logP値の代わりに用いられる。
【0030】
故に、約260℃以下のB.P.及び約3以上のClogP又は実測logPを有する成分を含む香料組成物が洗剤組成物に使用される場合、香料は、製品が使用される場合に極めて拡散性(effusive)であり、非常に際立つ。表1に、本発明の洗剤組成物に有用な好ましい香料成分のいくつかの非限定例を示す。封入のための特に好ましい香油としては、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド(ドデカナール又はラウリル酸アルデヒド(aldehye))、ジフェニルオキシド、α−イオニン、リリア−ル及びα−イソ「γ」メチルイオノンから選択される1つ又は1つを超える成分の混合物が挙げられる。これらは、脂肪酸の臭いから生じる悪臭をマスキングするのに特に有用であることがわかった。これらの特に好ましい香油は、単独で、あるいは他の好ましい(すなわち、以下の表1に列挙される)又は特に好ましい香油との混合物の一部として、又は他の香油との混合物の一部として封入されてもよい。
【表1−1】

【表1−2】

【0031】
封入香料粒子中の香油は、封入の前にキャリア上に吸着又は吸収されてもよい。好適なキャリアは、PCT国際公開特許WO97/11151に記載される。特に好ましいキャリアはゼオライトである。
【0032】
本明細書の洗剤組成物は、約0.01%〜50%の封入香料粒子を含む。より好ましくは、本明細書の洗剤組成物は、0.05%〜8.0%、さらにより好ましくは0.5%〜3.0%の香料粒子を含む。最も好ましくは、本明細書の洗剤組成物は、0.05%〜1.0%の封入香料粒子を含有する。封入香料粒子は、好ましくは1ミクロン〜1000ミクロン、より好ましくは50ミクロン〜500ミクロンの大きさを有する。
【0033】
香油及び/又は香料組成物は、一般に、0.001%〜約5%、好ましくは0.01%〜5%、より典型的には0.05%〜3%の量で、本発明の洗剤組成物に存在する。本発明の洗剤組成物に存在する場合、好ましい香料成分は、100%の香油を含んでいてもよいが、より典型的にはその他の香料成分に加えて使用される。1つを超える好ましい香料成分の混合物、例えば、少なくとも2又はさらに少なくとも5、6、又は7つの異なる好ましい香料成分が存在してもよい。さらに、封入香料粒子は、こうした好ましい香料成分を少なくとも1、5、又は10重量%又はさらに少なくとも20、30、40、50、60、70、80又は90重量%含有していてもよい。
【0034】
天然源又は合成源から誘導される最も一般的な香料成分は、多数の構成成分から構成される。例えば、オレンジテルペン類は約90%〜約95%のd−リモネンを含有するが、その他の多くの微量成分も含有する。このような各物質が本発明の香油の配合に使用されるときには、本発明を定義する目的では、それら各物質は、一つの成分として数えられる。
【0035】
洗剤組成物は、封入香油に加えて、洗剤組成物中の香料組成物全体の一部を形成する追加の香油を含んでいてもよい。追加の香油は、その他のいずれかのデリバリー方法によって、例えば最終洗剤組成物上、又は最終洗剤組成物を形成するために混合する前にそれらの構成成分上に単にスプレーすることによって、洗剤洗剤組成物に組み込まれてもよい。
【0036】
封入香料粒子はまた、1〜7個の炭素原子を有する脂肪酸類から誘導されるエステル類を含む香油を含んでもよい。洗剤組成物が追加の香油をさらに含む場合、1〜7個の炭素原子を有する脂肪酸から誘導されるエステルの少なくとも60重量%、又は少なくとも80若しくは90、あるいは実質的に全てが、封入香料粒子に存在する。
【0037】
本発明のさらなる態様において、洗剤組成物中の封入香油及び/又は香料組成物は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又はさらに90%の、0を越えるが350ダルトン以下、約100ダルトン〜約350ダルトン、約130ダルトン〜約270ダルトン、又はさらに約140ダルトン〜約230ダルトンの分子量を有する1つ以上の香料成分を含み;前記1つ以上の香料成分の少なくとも80%、85%、90%又はさらに95%が、少なくとも2.4、約2.75〜約8.0又はさらに約2.9〜約6.0のcLogPを有し、この香料組成物は、少なくとも5%、15%、25%、35%、45%、55%、65%、75%、85%、又はさらに95%の、少なくとも2.4、約2.75〜約8.0又はさらに約2.9〜約6.0の範囲のcLogPを有する前記1つ以上の香料成分を含む。本発明の前記態様において、前記1つ以上の香料成分は、シッフ塩基、エーテル、フェノール、ケトン、アルコール、エステル、ラクトン、アルデヒド、ニトリル、天然油又はこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。シッフ塩基及びニトリル類はあまり好ましくない場合がある。上記で記載した本発明の特定の態様において、前記1以上の香料成分は、表2の香料成分又はこれらの混合物、又はさらに表2の香料成分1〜28又はこれらの混合物を包含してもよい。ケトン類及びアルデヒド類が、200ダルトン未満の分子量を有するのが好ましい場合がある。
【0038】
本発明の別の態様において、前記香料組成物は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又はさらに90%の、以下の表2に列挙される成分及びこれらの混合物から成る群から選択される香料成分を含む。
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【0039】
上述の態様のいずれかにおいて、香油又は組成物がエステル香料成分を含むとき、前記香油又は組成物がエステル香料構成成分を含む場合、前記エステル香料は、1以上の次の特性を有していてもよい:少なくとも1つのα、β又はγ位置における分枝又はペンダント環;少なくとも1つのα又はβ位置における分枝又はペンダント環;又はα位置における少なくとも1つの三級炭素原子。理論に束縛されないが、上述の香料エステル特性は、前記香料エステルが、エステル結合を加水分解できる酵素、例えばEC3.1.1に分類される酵素が、例えばリパーゼ類の存在下にある場合に、香料エステル安定性、ひいては香料組成物安定性を増大させると考えられている。
【0040】
本発明の上述の態様のいずれかにおいて、前記香油又は組成物は、通常、酢酸,フェニルメチルエステル;ベンゼンエタノール;ブタン酸,2−メチル−,エチルエステル;4H−ピラン−4−オン,2−エチル−3−ヒドロキシ−;ベンズアルデヒド,4−ヒドロキシ−3−メトキシ−;ベンズアルデヒド,3−エトキシ−4−ヒドロキシ−;3−ヘキセン−1−オール,アセテート,(Z)−;ブタン酸,2−メチル−,1−;メチルエチルエステル;3−デカノン,1−ヒドロキシ−;2−ヘプタノン;ベンズアルデヒド;プロパンニトリル,3−(3−ヘキセニルオキシ)−,(Z)−;2−ブタノン,4−フェニル−;2ヘキセン−1−オール;2(3H)−フラノン,5−ブチルジヒドロ−から成る群から選択される香料構成成分を約5%以下含有し、又はさらに全く含有しない。
【0041】
香料組成物の製造方法
本発明の香料組成物は、通常、液体である香料原料の混合によって製造されてもよい。特定の香料原料は固体材料であり、香料の残りと均質化するために穏やかな加熱が必要な場合がある。香料ブレンドはまた、多量の希釈剤(例えばジプロピレングリコール)、酸化防止剤又は可溶化材料を含むことができる。水性液体洗浄剤のような主に親水性のマトリックスに香料を分散させるために界面活性剤濃度を低くする場合、可溶化剤(Solubilisers)が特に有利な場合がある。
【0042】
香料デリバリー方法
香料組成物の上述の態様のいずれかは、追加の香油を洗剤組成物にデリバリーするための次のデリバリーシステムのいずれかを製造するために他の材料と合わせられてもよい:洗剤組成物又はそれらの構成成分上に直接スプレーされたスプレーオン香油、デンプン封入デリバリーシステム、多孔質キャリア材料デリバリーシステム、コーティングされた多孔質キャリア材料デリバリーシステム、マイクロ封入デリバリーシステム。好ましくは、本発明の洗剤組成物は封入剤及びスプレーオン香料を含む。上述のデリバリーシステムを製造するための好適な方法は、次の米国特許第6,458,754号;米国特許第5,656,584号;米国特許第6,172,037号;米国特許第5,955,419号及び米国特許第5,691,383号、並びにWIPO公開PCT国際公開特許WO94/28017、PCT国際公開特許WO98/41607、PCT国際公開特許WO98/52527の1以上に見出すことが可能である。こうしたデリバリーシステムは、単独で又は他と組み合わせて使用してもよく、さらに消費者製品における本発明の非希釈形態のスプレーオン又は混合式香料組成物と組み合わせて使用してもよい。
【0043】
リパーゼ酵素及び封入香料粒子に加えて、本発明の洗剤組成物は1つ以上の従来の洗剤成分及び/又は洗剤補助成分も含有する。
【0044】
任意の洗浄性補助剤
本発明の洗剤組成物は、粉末又は粒状固体、バー、錠剤、又はゲル及びペースト形態を含む非水性液体のようないずれかの従来の形態であってもよい。洗浄組成物の他の形態には、他の施設及び/又は家庭用洗浄組成物、例えば液体又は固体洗浄剤及び抗菌洗浄剤を含む消毒剤、車又はカーペット用シャンプー、義歯洗浄剤、硬質面洗浄剤、例えば台所及び/又は浴室用のもの、任意に金属洗浄用、毛髪シャンプー、シャワージェル、バスフォーム、並びに洗浄補助剤、例えば漂白添加剤及び「ステイン・スティック」又は前処理型が含まれる。粒状形態で存在する場合、本発明の洗剤組成物は、350〜1200g/L、より好ましくは450〜1000g/L又はさらに500〜900g/Lの全体の嵩密度を有するものが好ましい。好ましくは、粒状形態の洗剤組成物の洗剤粒子は、200μm〜2000μm、好ましくは350μm〜600μmの平均粒径を有する。
【0045】
一般に本発明の洗剤組成物は、粒塊、スプレー乾燥粉末及び/又は乾燥添加材料、例えば漂白剤、酵素などの組み合わせを包含するその他の洗剤粒子と混合される。
【0046】
好ましい実施形態として、従来の洗剤成分は、代表的な洗剤組成物構成成分、例えば洗浄性界面活性剤及び洗浄性ビルダーから選択される。任意に、洗剤成分は、洗浄性能、洗浄されるべき基材の処理を補助若しくは向上させる、又は洗剤組成物の審美性を改善するために、1以上の他の洗浄性補助剤又はその他の材料を包含することができる。洗剤組成物の通常の洗浄性補助剤としては、米国特許第3,936,537号(バスカービレ(Baskerville)ら)及び英国特許出願9705617.0(トリン(Trinh)ら、1997年9月24日公開)に記載される成分が挙げられる。こうした補助剤は、洗剤組成物にて、それらの従来技術にて確立された使用濃度、一般には洗剤成分の0%〜約80%、好ましくは約0.5%〜約20%で含まれ、それらとしては、カラースペックル(color speckles)、起泡促進剤、起泡抑制剤、変色及び/又は腐食防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ放出剤、染料、充填剤、光学的光沢剤、殺菌剤、アルカリ性源、向水性物質、酸化防止剤、酵素、酵素安定化剤、溶媒、可溶化剤、キレート剤、粘土汚れ除去剤/再付着防止剤、ポリマー分散剤、加工助剤、布地柔軟化成分、静電気制御剤、漂白剤、漂白活性化剤、漂白安定化剤などを挙げることができる。
【0047】
上述のように、本発明の粒子を含む洗剤組成物は、粒塊、押出品、本発明のものとは異なる組成を有する、他のスプレー乾燥粒子又は乾燥追加材料のような通常の洗剤補助剤材料のいくつかを少なくとも含む。慣習的に、界面活性剤を、粒塊、押出品又はスプレー乾燥した粒子の中に固体材料(通常はビルダー)と共に組み込んで、これらを本発明のスプレー乾燥した粒子と混合してもよい。しかしながら、上述のように、固体材料のうちのいくらか又は全てを本発明の前記粒子に置き換えてもよい。
【0048】
洗剤補助剤材料は、典型的に、洗浄性界面活性剤、ビルダー、高分子コビルダー、漂白剤、キレート剤、酵素、再付着防止ポリマー類、汚れ放出ポリマー類、高分子汚れ分散剤及び/又は汚れ懸濁剤、移染防止剤、布地保全剤(fabric integrity agents)、起泡抑制剤、柔軟仕上げ剤、凝集剤、香料、増白剤、光漂白剤、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0049】
これら付加的な構成成分の厳密な性質及びそれらの組み込み濃度は、組成物又は構成成分の物理的形態、及びそれが使用される洗浄操作の厳密な性質に依存する。
【0050】
極めて好ましい補助構成成分の1つは、界面活性剤である。好ましくは、洗剤組成物は、1つ以上の界面活性剤を含む。典型的には、洗剤組成物は、(当該組成物の)0重量%〜50重量%、好ましくは5重量%から、より好ましくは10重量%から、又はさらに15重量%〜40重量%、若しくは30重量%まで、若しくは20重量%までの1つ以上の界面活性剤を含む。好ましい界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物である。
【0051】
好ましい陰イオン性界面活性剤は、カーボネート、ホスフェート、サルフェート、スルホネート、及びこれらの混合物から成る群から選択される1つ以上の部分を含む。好ましい陰イオン性界面活性剤は、C8〜18アルキルサルフェート類及びC8〜18アルキルスルホネート類である。本発明の組成物中に単独で又は混合物として組み込まれる好適な陰イオン性界面活性剤は、更に、所望によりC8〜18アルキルサルフェート及び/又はC8〜18アルキルスルホネート1モル当たり1〜9モルのC1〜4アルキレンオキシドと縮合されたC8〜18アルキルサルフェート類及び/又はC8〜18アルキルスルホネート類である。C8〜18アルキルサルフェート類及び/又はC8〜18アルキルスルホネート類のアルキル鎖は、直鎖又は分枝状であってよく、好ましい分枝状アルキル鎖は、C1〜6アルキル基である1つ以上の分枝状部分を含む。他の好ましい陰イオン性界面活性剤は、C8〜18アルキルベンゼンサルフェート類及び/又はC8〜18アルキルベンゼンスルホネート類である。C8〜18アルキルベンゼンサルフェート類及び/又はC8〜18アルキルベンゼンスルホネート類のアルキル鎖は、直鎖又は分枝状であってよく、好ましい分枝状アルキル鎖は、C1〜6アルキル基である1つ以上の分枝状部分を含む。
【0052】
その他の好ましい陰イオン性界面活性剤は、C8〜18アルケニルサルフェート類、C8〜18アルケニルスルホネート類、C8〜18アルケニルベンゼンサルフェート類、C8〜18アルケニルベンゼンスルホネート類、C8〜18アルキルジメチルベンゼンサルフェート、C8〜18アルキルジメチルベンゼンスルホネート、脂肪酸エステルスルホネート類、ジアルキルスルホサクシネート類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。陰イオン性界面活性剤は、塩の形態で存在してもよい。例えば、陰イオン性界面活性剤は、次から成る群から選択される1以上の化合物のアルカリ金属塩であってもよい:C8〜18アルキルサルフェート、C8〜18アルキルスルホネート、C8〜18アルキルベンゼンサルフェート、C〜C18アルキルベンゼンスルホネート、及びこれらの組み合わせ。好ましいアルカリ金属は、ナトリウム、カリウム及びこれらの混合物である。典型的には、洗剤組成物は、10重量%〜30重量%の陰イオン性界面活性剤を含む。
【0053】
好ましい非イオン性界面活性剤は、C8〜18アルコール1モル当たり1〜9のC〜Cアルキレンオキシドと縮合されたC8〜18アルコール類、C8〜18アルキルN−C1〜4アルキルグルカミド類、C8〜18アミドC1〜4ジメチルアミン類、C8〜18アルキルポリグリコシド類、グリセロールモノエーテル類、ポリヒドロキシアミド類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。典型的には、本発明の洗剤組成物は、0〜15重量%、好ましくは2〜10重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0054】
好ましい陽イオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物である。好ましい第四級アンモニウム化合物は、長鎖及び短鎖の炭化水素鎖の混合物、典型的には、アルキル鎖、及び/又はヒドロキシアルキル鎖、及び/又はアルコキシル化アルキル鎖を含む。典型的には、長鎖の炭化水素鎖は、C8〜18アルキル鎖、及び/又はC8〜18ヒドロキシアルキル鎖、及び/又はC8〜18アルコキシル化アルキル鎖である。典型的には、短鎖の炭化水素鎖は、C1〜4アルキル鎖、及び/又はC1〜4ヒドロキシアルキル鎖、及び/又はC1〜4アルコキシル化アルキル鎖である。典型的には、洗剤組成物は、(当該組成物の)0重量%〜20重量%の陽イオン性界面活性剤を含む。
【0055】
好ましい双極性界面活性剤は、1つ以上の四級化窒素原子と、カーボネート、ホスフェート、サルフェート、スルホネート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1つ以上の部分とを含む。好ましい双極性界面活性剤は、アルキルベタイン類である。他の好ましい双極性界面活性剤は、アルキルアミンオキシド類である。また、陽イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を含む複合物であるカタニオニック界面活性剤も含まれてよい。典型的には、複合物中の陽イオン性界面活性剤の陰イオン性界面活性剤に対するモル比は1:1より大きいので、複合物は、結果的に正味の正電荷を有する。
【0056】
更に好ましい補助構成成分は、ビルダーである。好ましくは、洗剤組成物は、(当該組成物の無水物基準で)20重量%〜50重量%のビルダーを含む。好ましいビルダーは、無機ホスフェート類とその塩類、好ましくはオルトホスフェート、ピロホスフェート、トリポリホスフェート、これらのアルカリ金属塩類、及びこれらの組み合わせ;ポリカルボン酸類とその塩類、好ましくはクエン酸、そのアルカリ金属塩類、及びこれらの組み合わせ;アルミノシリケート類、その塩類、及びこれらの組み合わせ、好ましくは非晶性アルミノシリケート類、結晶性アルミノシリケート類、非晶性/結晶性の混合アルミノシリケート類、これらのアルカリ金属塩類、及びこれらの組み合わせ、最も好ましくは、ゼオライトA、ゼオライトP、ゼオライトMAP、これらの塩類、及びこれらの組み合わせ;層状シリケート類のようなシリケート類、その塩、及びこれらの組み合わせ、好ましくは層状ケイ酸ナトリウム;並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0057】
好ましい補助構成成分の1つは、漂白剤である。好ましくは、洗剤組成物は、1つ以上の漂白剤を含む。典型的には、前記組成物は、(当該組成物の)1重量%〜50重量%の1つ以上の漂白剤を含む。好ましい漂白剤は、過酸化物源、過酸源、漂白促進剤、漂白触媒、光漂白剤、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましい過酸化物源は、過ホウ酸塩一水和物、過ホウ酸塩四水和物、過炭酸塩、これらの塩、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましい過酸源は、過ホウ酸塩又は過炭酸塩などの過酸化物源を典型的に伴う漂白活性化剤、事前に形成された過酸類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましい漂白活性化剤は、オキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤、ラクタム漂白活性化剤、イミド漂白活性化剤、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましい過酸源は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、及び過炭酸塩のような過酸化物源である。好ましいオキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤は、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(nonanoyl-oxy-benzene-sulponate)、6−ノナミドカプロイルオキシベンゼンスルホネート、これらの塩、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましいラクタム漂白活性化剤は、アシルカプロラクタム類及び/又はアシルバレロラクタム類である。好ましいイミド漂白活性化剤は、N−ノナノイル−N−メチルアセトアミドである。
【0058】
事前に形成された好ましい過酸類は、N,N−フタロイル−アミノペルオキシカプロン酸(N,N-pthaloyl-amino-peroxycaproic acid)、ノニルアミドペルオキシアジピン酸、これらの塩、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましくは、STW組成物は、1つ以上の過酸化物源と1つ以上の過酸源とを含む。好ましい漂白触媒は、1つ以上の遷移金属イオンを含む。他の好ましい漂白剤は、ジアシルペルオキシド類である。好ましい漂白促進剤は:双極性イミン類、陰イオン性イミンポリイオン類、四級オキサジリジニウム塩類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。極めて好ましい漂白促進剤は:アリールイミニウム双極性イオン類、アリールイミニウムポリイオン類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。好適な漂白促進剤は、米国特許第360568号(US360568)、米国特許第5360569号及び米国特許第5370826号に記載されている。
【0059】
好ましい補助構成成分の1つは、再付着防止剤である。好ましくは、洗剤組成物は、1つ以上の再付着防止剤を含む。好ましい再付着防止剤は、セルロース系ポリマー構成成分であり、最も好ましくはカルボキシメチルセルロース類である。
【0060】
好ましい補助構成成分の1つは、キレート剤である。好ましくは、洗剤組成物は、1つ以上のキレート剤を含む。好ましくは、洗剤組成物は、(当該組成物の)0.01重量%〜10重量%のキレート剤を含む。好ましいキレート剤は、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチルホスホン)酸、エチレンジアミン二コハク酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0061】
好ましい補助構成成分の1つは、移染防止剤である。好ましくは、洗剤組成物は、1つ以上の移染防止剤を含む。典型的には、移染防止剤は、染料分子を捕捉し、染料分子を洗浄液に懸濁させることによって当該染料分子を保持する、ポリマー構成成分である。好ましい移染防止剤は、ポリビニルピロリドン類、ポリビニルピリジンN−酸化物類、ポリビニルピロリドン−ポリビニルイミダゾールコポリマー類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0062】
好ましい補助構成成分には他の酵素が挙げられる。好ましくは、洗剤組成物は、1以上の追加の酵素を含む。好ましい酵素は、アミラーゼ類、アラビノシダーゼ類、カルボヒドラーゼ類、セルラーゼ類、コンドロイチナーゼ類、クチナーゼ類、デキストラナーゼ類、エステラーゼ類、β−グルカナーゼ類、グルコ−アミラーゼ類、ヒアルロニダーゼ類、ケラタナーゼ類、ラッカーゼ類、リグニナーゼ類、リポキシゲナーゼ類、マラナーゼ類、マンナナーゼ類、オキシダーゼ類、ペクチナーゼ類、ペントサナーゼ類、ペルオキシダーゼ類、フェノールオキシダーゼ類、ホスホリパーゼ類、プロテアーゼ類、プルラナーゼ類、レダクターゼ類、タンナーゼ類、トランスフェラーゼ類、キシラナーゼ類、キシログルカナーゼ類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましい追加酵素は、アミラーゼ類、カルボヒドラーゼ類、セルラーゼ類、プロテアーゼ類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0063】
好ましい補助構成成分の1つは、布地保全剤(fabric integrity agent)である。好ましくは、洗剤組成物は、1つ以上の布地保全剤を含む。典型的には、布地保全剤は、洗濯プロセス中に布地表面に付着して布地の損傷を防ぐポリマー構成成分である。好ましい布地保全剤は、疎水変性セルロース類である。これら疎水変性セルロース類は、布地の磨耗を低減し、繊維間の相互作用を向上させて、布地の色落ちを軽減する。好ましい疎水変性セルロースは、PCT国際公開特許WO99/14245号に記載されている。他の好ましい布地保全剤は、イミダゾールとエピクロロヒドリンとを縮合させる工程を含むプロセスによって得ることが可能である、好ましくは得られる、ポリマー構成成分及び/又はオリゴマー構成成分である。
【0064】
好ましい補助構成成分の1つは、塩である。好ましくは、洗剤組成物は、1つ以上の塩類を含む。塩類は、アルカリ性剤、緩衝液、ビルダー、補助ビルダー(co-builder)、湯あか(encrustation)阻害物質、充填剤、pH調整剤、安定剤、及びこれらの組み合わせとして作用することができる。典型的には、洗剤組成物は、(当該組成物の)5重量%〜60重量%の塩を含む。好ましい塩類は、アルミン酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、塩化アルカリ金属塩、重炭酸アルカリ金属塩、硝酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ金属塩、ケイ酸アルカリ金属塩、硫酸アルカリ金属塩、及びこれらの組み合わせである。他の好ましい塩類は、アルミン酸アルカリ土類金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩、塩化アルカリ土類金属塩、重炭酸アルカリ土類金属塩、硝酸アルカリ土類金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩、ケイ酸アルカリ土類金属塩、硫酸アルカリ土類金属塩、及びこれらの組み合わせである。特に好ましい塩類は、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせである。所望により、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩類は、無水物であってもよい。
【0065】
好ましい補助構成成分の1つは、汚れ放出剤である。好ましくは、洗剤組成物は、1つ以上の汚れ放出剤を含む。典型的には、汚れ放出剤は、布地表面を変性させて布地に汚れが再付着するのを防ぐポリマー化合物である。好ましい汚れ放出剤は、1つ以上のテレフタレート単位を含むコポリマー類、好ましくはブロックコポリマー類である。好ましい汚れ放出剤は、ジメチルテレフタレート、1,2−プロピルグリコール、及びメチル末端保護された(methyl capped)ポリエチレングリコールから合成されるコポリマー類である。他の好ましい汚れ放出剤は、陰イオンで末端保護された(anionically end capped)ポリエステル類である。
【0066】
好ましい補助構成成分の1つは、汚れ懸濁剤である。好ましくは、洗剤組成物は、1つ以上の汚れ懸濁剤を含む。好ましい汚れ懸濁剤は、高分子ポリカルボキシレート類である。特に好ましいのは、アクリル酸から誘導されるポリマー類、マレイン酸から誘導されるポリマー類、及びマレイン酸とアクリル酸とから誘導されるコポリマー類である。高分子ポリカルボキシレート類は、その汚れ懸濁特性に加えて、洗濯洗剤に有用な補助ビルダーでもある。他の好ましい汚れ懸濁剤は、アルコキシル化ポリアルキレンイミン類である。特に好ましいアルコキシル化ポリアルキレンイミン類は、エトキシル化ポリエチレンイミン類、又はエトキシル化プロポキシル化ポリエチレンイミンである。他の好ましい汚れ懸濁剤は、次の式で表され、
ビス((CO)(CO)(CH)−N−C2x−N−(CH)−ビス((CO)(CO))、
式中、nは10〜50であり、xは1〜20である。所望により、上式で表される汚れ懸濁剤を硫酸化及び/又はスルホン酸化させることができる。
【0067】
柔軟化システム
本発明の洗剤組成物は、粘土のような、洗浄を通じて柔軟化させる柔軟化剤を含んでもよく、所望により凝集剤及び酵素も共に含んでよい。
【0068】
好適な洗剤構成成分についての更なる明確な記述は、PCT国際公開特許WO97/11151に見ることができる。
【0069】
洗浄方法
本発明はまた、ある位置、例えば表面又は布地を洗浄する、処理する及び/又は臭気のマスキングを含む繊維製品の洗浄方法を包含する。こうした方法は、本発明の洗剤組成物を含む水溶液と繊維製品のような位置とを接触させることを含む。本発明は、低い水温、例えば30℃未満又は25℃若しくは20℃未満のような低い水温にて特に有益な場合がある。通常、水性洗浄液は、少なくとも100ppm、又は少なくとも500ppmの洗剤組成物を含む。
【実施例】
【0070】
実施例1:香料組成物
【表3】

【0071】
実施例2:実施例1からの組成物を用いて製造された香料。
【表4】

【0072】
次の封入及び洗剤組成物において、香料構成成分は、本発明及び/又は上記の実施例1及び2に従う香料である。
【0073】
加工デンプン封入香料粒子の製造
実施例3
1.キャプスル(CAPSUL)加工デンプン(ナショナル・スターチ&ケミカル(National Starch & Chemical))225gを24℃で水450gに添加する。
2.混合物を、62.8rad/s(600RPM)(直径5.08cm(2インチ)のタービン羽根車)で20分間攪拌する。
3.香油75gがデンプン溶液の渦の近くに添加される。
4.形成されたエマルションを更に20分間(62.8rad/s(600RPM)で)攪拌する。
5.15μm未満の香料液滴径を得ると、エマルションがポンプでスプレー乾燥タワーに送られて、回転ディスクから、乾燥用並流空気流と共に噴霧される。吸気温度は、205〜210℃に設定され、排気温度は98〜103℃に安定化される。
6.デンプン封入香油の乾燥粒子がドライヤ出口で収集される。
【表5】

【0074】
実施例4
好適な容器にて、500gのHiCap100加工デンプン(ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル(National Starch & Chemical)によって供給される)を1000gの脱イオン水に溶解させる。一旦均質溶液を得たら、40gの無水のクエン酸をデンプン溶液に添加する。混合物を10分間撹拌し、クエン酸を溶解する。この時点で、600gの香料を混合物に添加する。次いで、エマルションを高剪断混合機(ARD−Barico)でさらに10分間撹拌する。
【0075】
次いで、ニロ(Niro A/S)製のプロダクション・マイナー・コカレント・スプレー・ドライヤー(Production Minor cocurrent spray dryer)にて混合物をスプレー乾燥させる。回転噴霧ディスク・タイプFS1(これもニロ(Niro A/S)から)を使用する。吸気温度は200℃であり、排気温度は90℃である。ディスク速度は、2984.5rad/s(28,500rpm)に設定する。該エマルションをスプレー乾燥させる前に、水を30分間スプレーさせることで、塔をこれらの条件にて安定化する。乾燥した粒子をサイクロンに回収する。
【0076】
実施例3及び4の封入香料を含む洗剤組成物を以下の表3に例示する:
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤組成物であって、
1.(a)フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)菌株DSM4109由来の野生型リパーゼとの同一性が少なくとも90%であり、(b)前記野生型リパーゼと比較した場合に、E1又はQ249から15オングストローム以内の三次元構造表面における電気的に中性の又は負に荷電したアミノ酸の正に荷電したアミノ酸による置換を含み、(c)該C末端においてペプチド付加を含み、及び/又は(d)該N末端においてペプチド付加を含み、及び/又は(e)次の制限を満たすアミノ酸配列を有するポリペプチドであるリパーゼ:i)前記野生型リパーゼのE210の位置に負のアミノ酸を含む;ii)前記野生型リパーゼの90〜101の位置に対応する領域に負に荷電したアミノ酸を含む;及びiii)前記野生型リパーゼのN94に対応する位置に中性又は負のアミノ酸を含み、及び/又は前記野生型リパーゼの90〜101の位置に対応する領域に負又は中性の正味の電荷を有する;並びに
2.封入香料粒子であって、(a)1以上の水溶性ヒドロキシル化合物、好ましくはデンプンを含む、少なくとも部分的に水溶性の固体マトリックス;及び(b)前記固体マトリックスによって封入された香油、を含む封入香料粒子、
を含む、洗剤組成物。
【請求項2】
該封入香油が、少なくとも1重量%、又は少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%、又はさらに少なくとも40重量%の少なくとも1つの香料成分を含み、この香料成分は、36KNm−2(760mmHg)における沸点が260℃以下であり、そのオクタノール/水係数Pのlog10計算値(ClogP)が少なくとも3.0である、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項3】
該封入香油が、1〜7個の炭素原子を有する脂肪酸から誘導されるエステルを含む、請求項1又は2に記載の洗剤組成物。
【請求項4】
該封入香油に加えて、追加の香油がスプレーオン成分として存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項5】
該香油が、1〜7個の炭素原子を有する脂肪酸から誘導されるエステルを含み、1〜7個の炭素原子を有する脂肪酸から誘導される前記エステルの少なくとも90重量%が前記封入香料粒子中に存在する、請求項4に記載の洗剤組成物。
【請求項6】
該封入香料粒子が、ベンジルアセテート及び/又はフェニルエチルアセテートを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項7】
該封入香料粒子中の前記香油が、キャリア上に吸収又は吸着され、香油とキャリアの両方が封入される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項8】
前記封入香料粒子中の前記香油及び前記洗剤組成物中の任意のいずれかの追加香油が、香料組成物を構成し、前記香料組成物が、少なくとも1重量%又は少なくとも5重量%又はさらに少なくとも10重量%の、0は越えるが350ダルトン以下の分子量を有する1以上の香料成分を含み、前記1以上の香料成分の少なくとも80%が少なくとも2.4のcLogPを有し、前記香料組成物が、少なくとも2.4のcLogPを有する前記1以上の香料成分を少なくとも1%又はさらに少なくとも5%含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の洗剤組成物を含む、水溶液中で繊維物品を洗濯する工程を備える、洗浄方法。
【請求項10】
該水溶液が30℃未満の温度である、請求項9に記載の洗浄方法。

【公表番号】特表2008−520819(P2008−520819A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543571(P2007−543571)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/042941
【国際公開番号】WO2006/058296
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】