説明

洗浄剤組成物

【課題】洗浄成分であるアニオン界面活性剤とともに配合した場合であっても毛髪や皮膚に良好な使用感とコンディショニング効果が損なわれることなく、かつ低刺激で毛髪および頭皮、皮膚に対して温和であるカチオン界面活性剤を含有し、特にダメージヘアに対する洗髪時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感が良好な洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)特定のヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤、(B)アニオン界面活性剤及び(C)両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含有してなる洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄成分であるアニオン界面活性剤とともに配合した場合であっても毛髪や皮膚への良好な使用感とコンディショニング効果が損なわれず、かつ低刺激で毛髪および頭皮、皮膚に対して温和であるカチオン界面活性剤を含有し、特にダメージヘアに対する洗髪時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感が良好な洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄剤組成物にはアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩、高級脂肪酸塩等のアニオン界面活性剤が用いられる。アニオン界面活性剤は優れた洗浄性、起泡性を有するが皮膚や毛髪の汚れのみならず必要以上の皮脂成分等を除去してしまい、感触面できしみ感やつっぱり感を生じ、また安全性の面で比較的刺激性が高いなどの欠点がある。
【0003】
そこで、これらを改良するために特許文献1には特定のアニオン界面活性剤と特定のカチオン界面活性剤を配合した洗い上がりの良い透明液体シャンプー組成物が提案され、特許文献2には特定のアニオン界面活性剤と特定のカチオン界面活性剤を特定の割合で配合した皮膚に対する作用が温和で、しかも洗浄力、油可溶化能及び液性などに優れた液体洗剤組成物の提案されている。また特許文献3には特定の両性界面活性剤と特定のアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を配合したシャンプー−コンディショナー兼用組成物が提案され、特許文献4には特定のアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とアミドアルキルベタイン型両性界面活性剤を配合したリンスの効果である整髪性及び調髪性(柔軟性)を備えたシャンプー組成物が提案され、特許文献5には特定のカチオン界面活性剤と特定のアニオン界面活性剤と特定の非イオン界面活性剤および水を特定の割合で配合した肌を刺激することなく殺菌効果を与え、毛髪を軟らげ起泡力、洗浄力が良好で、しかも保存安定性の優れた液状のシャンプー組成物が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらに用いられているカチオン界面活性剤は、柔軟性には優れるものの洗浄時の滑り性、乾燥時の滑らかさが不十分であり、時として刺激性が問題となる場合がある。また、アニオン界面活性剤と配合するとコンプレックスを生じ析出してしまい安定性が問題となる場合があり、アルキル鎖長を短くし水溶性を高め安定性を向上させる方法などもあるが、コンディショニング効果が不十分となり満足のいく感触が得られない。更に、洗浄成分であるアニオン界面活性剤と配合すると、洗浄中にカチオン界面活性剤等のコンディショニング剤が洗い流されてしまい効果を発揮しない場合もあり、毛髪や皮膚に十分作用させるため配合量を多くするなどの対応が必要となるが、コスト面或いは安全性面での問題もあり配合量に制約を受ける場合がある。
【0005】
一方、特許文献6には特定のアニオン界面活性剤とアルキロイルアミドベタインとアルキロールアミド型非イオン界面活性剤を特定の割合で配合した洗浄剤組成物には起泡性、洗浄性等の洗浄剤としての必須要因を満足しながら、皮膚に対する刺激性を低下させた洗浄剤組成物が提案されているが、近年増加しているダメージヘアに対しては、十分満足のいく洗浄時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感は得られていなかった。
【0006】
更に、特許文献7にはヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤とアニオン界面活性剤と特定の低級アルコールを配合した安定な液体洗浄剤組成物が提案されているが、低級アルコールを配合した場合、安定性には優れるものの、起泡性に影響を与えたり、臭気等が問題となる場合がある。
【特許文献1】特開昭52―35203号公報(1−5頁)
【特許文献2】特開昭54―159416号公報(1−5頁)
【特許文献3】特開昭50―23407号公報(1−5頁)
【特許文献4】特開昭63―313711号公報(1−7頁)
【特許文献5】特開昭53―133206号公報(1−7頁)
【特許文献6】特開昭60―86198号公報(1−7頁)
【特許文献7】特開昭55―80500号公報(1−7頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、洗浄成分であるアニオン界面活性剤とともに配合した場合であっても毛髪や皮膚への良好な使用感とコンディショニング効果が損なわれることなく、かつ低刺激で毛髪および頭皮、皮膚に対して温和であるカチオン界面活性剤を含有し、特にダメージヘアに対する洗髪時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感が良好な洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
(A)下記一般式(1)

(式中、R、Rの少なくとも一方/又は両方は、下記一般式(2)

(Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基)で表され、残りは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基、Aはエチレン基および/又はプロピレン基、nは0又は1以上の整数、mは1〜5の整数、Xは一価のアニオンを表す。)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤、(B)アニオン界面活性剤及び(C)両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含有することにより、上記要件を満たす洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明によれば(A)ヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤、(B)アニオン界面活性剤及び(C)両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物が、アニオン界面活性剤との共存下でも毛髪や皮膚に良好な使用感とコンディショニング効果が損なわれることなく、かつ低刺激で毛髪および頭皮、皮膚に対して温和で、特にダメージヘアに対する洗髪時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の毛髪用組成物について詳述する。
前記一般式(1)において、R、Rの少なくとも一方/又は両方は、前記一般式(2)で表され、一般式(2)においてRは直鎖又は分岐した炭素数6〜30、好ましくは炭素数12〜24、更に好ましくは炭素数14〜22のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基であるが、特にアルキル基が好ましい。R、Rの残りは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜2のアルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0011】
、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基であり、好ましくは炭素数1〜2のアルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0012】
Aはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。またnは0又は1以上の整数であり、好ましくは0又は1〜50、更に好ましくは0又は1〜20、最も好ましくは0又は1〜5である。mは1〜5の整数であり、1〜2が特に好ましい。Xは一価のアニオンであり、ハロゲン化イオン、硫酸メチルイオン等が挙げられるが、特に塩化物イオンが好ましい。
【0013】
本発明に使用される(A)成分のヒドロキシエーテル型カチオン化合物の製造方法としては特に限定されない。まず、高級アルコール(1モル)に触媒として対高級アルコール0.5〜1%のKOHを加え、100〜130℃で脱水後、180℃まで昇温し3atmを維持しつつ、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド(1〜50モル)を導入し、目的のポリオキシアルキレン(以下POAと略す)アルキルエーテルが得られる。得られたPOAアルキルエーテルは減圧蒸留等で精製し用いることもできる。POAアルキルエーテルは他の方法でも製造でき、製造方法としては特に限定はない。
【0014】
得られたPOAアルキルエーテル(又は高級アルコール(n=0の場合))(1モル)とBFエーテル錯体(BF純分対高級アルコール0.5%)を仕込み、常温〜90℃の範囲(融点がある場合は融点以上の温度)で撹拌しながらエピクロルヒドリン(1〜1.5モル)を1〜2時間かけて滴下し、更にそのままの温度で約5時間熟成を行い、1−クロロ−3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロパン(又は1−クロロ−3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロパン)を得る。また、得られた1−クロロ−3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロパン(又は1−クロロ−3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロパン)は減圧蒸留等を行い精製することも出来る。次に、1−クロロ−3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロパン(又は1−クロロ−3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロパン)(1モル)と25%NaOH(1.5〜2モル)を仕込み50〜90℃で8時間熟成を行い、熟成後撹拌を止め2層分離し、水層をカット後必要で有れば更に温水で洗浄し、脱水して1,2−エポキシ−3−POAアルコキシプロパン(又は1,2−エポキシ−3−アルコキシプロパン)得る。また、得られた1,2−エポキシ−3−POAアルコキシプロパン(又は1,2−エポキシ−3−アルコキシプロパン)は減圧蒸留等を行い精製することも出来る。
【0015】
次に、1,2−エポキシ−3−POAアルコキシプロパン(又は1,2−エポキシ−3−アルコキシプロパン)(1モル或いは2モル)にジアルキルアミン(1〜1.5モル)(或いはモノアルキルアミン(0.8〜1.0モル))のガス或いは水溶液を常温〜120℃で速やかに添加し、同温度で5時間〜20時間熟成する。またジアルキルアミンの代わりにジヒドロキシアルキルアミン(又はモノアルキルアミンの代わりにモノヒドロキシアルキルアミン)を用いて合成することもできる。本反応にはアセトン等のケトン類或いはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコールなどの溶剤を用いても良い。更に、同温で過剰のジメチルアミン(或いはモノメチルアミン)及び溶剤、水を用いた場合はそれらを減圧留去し、目的の3級アミン化合物(N−(3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジアルキルアミン或いはN,N−ビス−(3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−アルキルアミン)(又はN−(3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジアルキルアミン或いはN,N−ビス−(3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−アルキルアミン))が得られる。また、得られた3級アミン化合物は減圧蒸留等で精製し用いることもできる。
【0016】
続いて、得られた3級アミン化合物にエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール或いは水、低級アルコール/水混合液を加え、70〜100℃でメチルクロライド等の4級化剤を5〜10時間かけて加え、目的のヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤が得られる。得られたヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤は、そのまま本発明品の配合成分として用いることもできるが、通常の精製方法により精製し用いることもできる。本発明のヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤は他の方法でも製造でき、製造方法としては特に限定はない。
【0017】
(A)成分の洗浄剤組成物中の配合量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。(A)成分の配合量が少なすぎると皮膚、毛髪に十分なコンディショニング効果が得られず、多すぎても効果が向上せず好ましくない。
【0018】
本発明に使用される(B)成分のアニオン界面活性剤としては、硫酸エステル系アニオン界面活性剤、アミノ酸系アニオン界面活性剤、リン酸エステル系アニオン界面活性剤、カルボン酸系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤が挙げられ、具体的には、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルモノエタノールアミド硫酸塩、アシルグリシネート、アシルサルコシンネート、アシルアラニネート、アシルメチルアラニネート、アシルタウレート、アシルメチルタウレート、アシルグルタメート、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキルエチルエステルスルホン酸塩などが挙げられ、炭素数8〜18のアルキル基、特に炭素数10〜16のアルキル基が好ましく、これらの中でもラウリル硫酸エステルナトリウム、ラウリルエーテル(3)硫酸エステルナトリウム、ヤシ油脂肪酸タウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムが特に好適に用いられる。本発明では、これらのアニオン界面活性剤の中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0019】
(B)成分の洗浄剤組成物中の配合量は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。(B)成分の配合量が少なすぎると皮膚、毛髪洗浄時に十分な洗浄効果、泡立ちが得られず、多すぎても効果が向上せず好ましくない。
【0020】
(C)成分の両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤としては、次に示すようなものが挙げられる。両性界面活性剤としてはカルボキシベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、ヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤、アミドスルホベタイン型両性界面活性剤、ホスホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤などが挙げられ、具体的には、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−アルキロイル−N′−カルボキシメチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、アルキルジメチルアミノ酢酸ヒドロキシスルホベタインなどが挙げられ、炭素数8〜18のアルキル基、特に炭素数10〜16のアルキル基が好ましく、これらの中でもラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−ラウロイル−N′−カルボキシメチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムが特に好適に用いられる。
【0021】
また非イオン界面活性剤としては、アルカノールアミド類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコール類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、テトラポリオキシアルキレンエチレンジアミン縮合物類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド類、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンひまし油誘導体、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油誘導体、アルキルポリグリコシドなどが挙げられ、炭素数8〜18のアルキル基、特に炭素数10〜16のアルキル基が好ましく、これらの中でもラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドが特に好適に用いられる。本発明では、これらの両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤の中から選ばれる1種以上を任意に用いることができる。
【0022】
(C)成分の洗浄剤組成物中の配合量は、0.1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。(C)成分の配合量が少なすぎると皮膚、毛髪洗浄時に十分なコンディショニング効果、泡質が得られず、多すぎても効果が向上せず好ましくない。
【0023】
また(B)成分と(C)成分の合計の配合量((B)+(C))は、固型分中50質量%以上であり、70%以上がより好ましい。更に(B)成分と(C)成分の配合比((B):(C))は、固型分中の質量比で(1〜5):1であり、(1〜4):1がより好ましい。配合成分の配合量の合計が少なすぎても、配合比を超えて少な過ぎても、多過ぎても期待される効果が不十分となり悪くなり好ましくない。
【0024】
更に、本発明の洗浄剤組成物には、(D)成分の高級アルコールを配合することができ、具体的には、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、イソステアリルアルコール等が挙げられ、これらの中でもセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが特に好適に用いられる。本発明では、これらの高級アルコールの中から1種または2種以上を任意に用いることができる。
【0025】
(D)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.1〜20質量%が好ましく、特に3〜8質量%がより好ましい。(D)成分の配合量が少なすぎると期待される効果が不十分となり、また多すぎても使用後の感触が悪くなり好ましくない。
【0026】
更に、本発明の洗浄剤組成物には、(E)下記一般式(3)で表される3級アミン化合物を配合することができる。

(式中、R、Rの少なくとも一方/又は両方は、下記一般式(4)

(Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基)で表され、残りは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、Aはエチレン基および/又はプロピレン基、nは0又は1以上の整数、mは1〜5の整数を表す。)
【0027】
(E)成分の3級アミン化合物としては、上記一般式(3)において、R、Rの少なくとも一方/又は両方は、下記一般式(4)においてRは直鎖又は分岐した炭素数6〜30のアルキル基、好ましくは炭素数12〜24、更に好ましくは炭素数14〜22のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基であり、特にアルキル基が好ましく、残りは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはメチル基、エチル基である。Rは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはメチル基、エチル基である。更にAはエチレン基および/又はプロピレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。またnは0又は1以上の整数であり、好ましくは0〜50、更に好ましくは0〜20、最も好ましくは0〜5である。mは1〜5の整数であり、1〜2が特に好ましい。
【0028】
(E)成分の3級アミン化合物としては、本発明の(A)成分の製造中間体として得られる(N−(3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン或いはN,N−ビス−(3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミン)又は(N−(3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン或いはN,N−ビス−(3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミン)であり、高級アルコールにアルキレンオキサイドを付加させ、更にエピハロヒドリンを反応させ(n=0の場合は高級アルコールにエピハロヒドリンを反応させ)、次にアルカリによりエポキシを閉環し、モノ(ジ)アルキルアミン又はモノ(ジ)ヒドロキシアルキルアミンと反応させて得られる3級アミン化合物の中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0029】
(E)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。0.01質量%未満では毛髪に十分なコンディショニング効果が得られず、10質量%を超えても効果が向上せず好ましくない。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲で洗浄剤組成物に通常使用される成分を配合することができる。陽イオン変性水溶性高分子:具体的にはカチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化デンプン、カチオン化デキストラン、カチオン化ガラクトマンナン、ジアリル4級アンモニウム塩のホモポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合物、ビニルイミダゾリニウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/4級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミン共重合体等が挙げられる。
【0031】
ジメチコン/シリコーン誘導体:具体的にはジメチコン、ジメチコノール、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を有するシリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノ変性シリコーン、脂肪酸変性ポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、脂肪族変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0032】
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等の保湿剤、エチレングリコール脂肪酸エステル等のパール化剤、dl-α-トコフェロール等の酸化防止剤、高級脂肪酸類、炭化水素類、高級アルコール脂肪酸エステル、動植物油脂類、ツバキ油、オリーブ油、アボガド油、ホホバ油等の動植物油脂類等、香料、キレート剤、酵素、アミノ酸、薬効剤、保湿成分、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、有機および無機粉体、色素、香料などを必要に応じて配合することができる。
【0033】
また本発明の洗浄剤組成物は塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸及び/又は酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、コハク酸等の有機酸でpH調整されるが、これらの中で乳酸、クエン酸が特に好適に用いられる。本発明ではこれらの無機酸/有機酸の中から1種または2種以上を任意に用いることができ、洗浄剤組成物のpHは感触、製品の安定性よりpH3〜8、特に5〜7に調整されるのが好ましい。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物は、常法に従って製造可能で、例えば毛髪洗浄料、全身洗浄料、洗顔洗浄料、手洗い剤等の身体用洗浄剤とすることができる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、表1、2に本明細書記載の方法で合成したカチオン界面活性剤1〜4を示し、表3に比較に用いたカチオン界面活性剤(比較化合物)1〜2、表4に3級アミン化合物1〜2を示した。本発明に係わるヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤を用いて測定した、タンパク質変性率試験(試験方法1)、動摩擦係数測定(試験方法2)の比較化合物との比較を表5に示した。また、実施例1〜10及び比較例1〜5に示す洗浄剤組成物を常法により調製し、効果の測定を以下の試験方法(試験方法3、試験方法4)にて実施し、結果を表2〜表6に示した。含有量は質量%である。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
本実施例中で用いた試験方法は下記の通りである。
【0041】
試験方法1(タンパク質変性率試験)
水系高速液体クロマトグラフィーを用いて卵白アルブミンpH7緩衝溶液に試料濃度1%になるように試料を加え、添加24時間後の卵白アルブミン変性率を220nmの吸収ピークを用いて測定した。
変性率(%)=100×(Ho−Hs)/Ho
Ho:卵白アルブミンの220nm吸収ピークの高さ
Hs:卵白アルブミン緩衝溶液に試料を加えた時の220nm吸収
ピーク の高さ

測定結果を下記評価基準で評価した。
◎・・・卵白アルブミン変性率 30%未満
〇・・・卵白アルブミン変性率 30%以上60%未満
△・・・卵白アルブミン変性率 60%以上80%未満
×・・・卵白アルブミン変性率 80%以上

【0042】
試験方法2(動摩擦係数測定)
健常毛を10%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、すすぎ後各々0.5%に調整したカチオン界面活性剤溶液に40℃、5分間浸漬し、十分に洗い流した後乾燥した。乾燥後毛髪をプレパラート上に固定し、摩擦感テスター(カトーテック社製 KES−SE)で動摩擦係数(MIU)を以下の条件で測定した。
測定加重:50g/測定回数:10回

同時に測定したブランクからの減少率を以下で算出した。
減少率=(M−M)/M×100
:ブランクのMIU値
:カチオン界面活性剤のMIU値
評価の基準を次のように設定した。
〇・・・減少率 20%以上
△・・・減少率 10%以上20%未満
×・・・減少率 10%未満

【0043】
試験方法3(洗浄時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感)
健康黒髪にブリーチ処理を30分行った損傷毛髪束(20g×20cm)用いて、毛髪洗浄剤1.0gを塗布し、30秒間泡立て、その後すすいでタオルドライ後ドライヤーで乾燥した時の洗浄時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感を10名の専門パネラーにて、官能的に比較し、下記基準で評価した。

◎:良いと答えた人が9人以上の場合
○:良いと答えた人が6〜8人の場合
△:良いと答えた人が3〜5人の場合
×:良いと答えた人が2人以下の場合

【0044】
試験方法4(総合評価)
上記評価(洗浄時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感)の結果をポイント制(◎:3ポイント、○:2ポイント、△:1ポイント、×:0ポイント)にしてその合計より、下記基準で評価した。
ポイントの多いものが良い総合評価となる。
◎:12ポイント以上
○:8〜11ポイント
△:4〜7ポイント
×:3ポイント以下

【0045】
【表5】

【0046】
【表6】

【0047】
【表7】

【0048】
【表8】

【0049】
実施例1〜10及び比較例1〜4より明らかなように、本発明の洗浄剤組成物は、毛髪や皮膚に良好な洗浄時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感を付与することに良好な性能を示した。
【0050】
上記記載のごとく、本発明は、洗浄成分であるアニオン界面活性剤とともに配合した場合であっても毛髪や皮膚に良好な使用感とコンディショニング効果の付与に優れ、かつ低刺激で毛髪および頭皮、皮膚に対して温和で特にダメージヘアに対する洗髪時の滑り性と乾燥時の柔軟性、滑らかさ、しっとり感が良好な洗浄剤組成物を提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)

(式中、R、Rの少なくとも一方/又は両方は、下記一般式(2)

(Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、残りは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基、Aはエチレン基及び/又はプロピレン基、nは0又は1以上の整数、mは1〜5の整数、Xは一価のアニオンを表す。)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤、(B)アニオン界面活性剤及び(C)両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含有してなる洗浄剤組成物。
【請求項2】
洗浄剤組成物全量中に、前記(A)成分を0.1〜10質量%、(B)成分を0.1〜30質量%、(C)成分を0.1〜20質量%含有し、(B)成分と(C)成分の合計の配合量((B)+(C))は、固型分中50質量%以上であり、(B)成分と(C)成分の配合比((B):(C))は、固型分中の質量比で(1〜5):1である請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、(D)高級アルコールを0.01〜3質量%配合してなる請求項1または2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、(E)下記一般式(3)

(式中、R、Rの少なくとも一方/又は両方は、下記一般式(4)

(Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基)で表され、残りは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基、Aはエチレン基および/又はプロピレン基、nは0又は1以上の整数、mは1〜5の整数を表す。)で表される3級アミン化合物を0.01〜10質量%配合してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−37484(P2010−37484A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204276(P2008−204276)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】