説明

洗浄装置

【課題】洗浄における異物の除去効率の向上した洗浄装置を得ること。
【解決手段】上部に達した異物を含んだ洗浄液Wの一部は、洗浄槽10の内壁14に沿って下方に向かう。下方に向かった洗浄液Wは、第1の出口16から排出される。ここで、導入口12と内壁14との間に導入口12を取り囲むように設けられた中間壁15が存在するため、内壁14に沿って下方に向かった洗浄液Wは、中間壁15に邪魔されて導入口12に向かいにくくなる。したがって、洗浄によって剥離された異物が、導入口12から噴出した洗浄液Wの流れによって再びウェーハー基板Sに向かいにくくなり、効率よく第1の出口16から排出され、洗浄槽10に滞留する異物の濃度を低くでき、異物がウェーハー基板Sに再付着する可能性の低い、洗浄における異物の除去効率の向上した洗浄装置100を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄槽の洗浄液に被洗浄物を浸漬し、洗浄液の流れを利用して被洗浄物を洗浄する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄装置として、洗浄槽の洗浄液に被洗浄物を浸漬して、被洗浄物を洗浄する装置が知られている。ここで、洗浄によって被洗浄物から剥離した異物の除去をフィルターで行なうために、洗浄槽とポンプとの間にフィルターを設け、洗浄液を洗浄槽からポンプへ、ポンプからフィルターへ、フィルターから洗浄槽へと、ポンプで循環させる装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
これらの装置では、洗浄液は、洗浄槽の下部から供給され、上部に流れる。上部に達した洗浄液は、洗浄槽の上部から溢れ、上部に設けられたオーバーフロー槽に受け止められる。その後、ポンプに向かい、フィルターを通過後、再び洗浄槽の下部から供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−39712号公報
【特許文献2】特公平4−13850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、洗浄によって被洗浄物から剥離した異物のうち、洗浄液の流れに乗ってオーバーフロー槽に溢れる異物のほかに、洗浄槽内の乱流により再度洗浄槽の下方に向かう異物もある。特に、比重の大きい異物は下方に向かい易い。
洗浄槽の下方に向かった異物は、洗浄槽内を循環して被洗浄物に再付着する。また、洗浄する被洗浄物の数が増えるにつれて、洗浄槽に滞留する異物の濃度が高まるので、被洗浄物に再付着する異物が多くなり、洗浄における異物の除去効率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
被洗浄物を洗浄液に浸漬して洗浄する洗浄装置であって、前記被洗浄物と前記洗浄液とを入れる洗浄槽と、前記洗浄槽内の下部に設けられ、前記洗浄槽に前記洗浄液を導入する導入口と、前記洗浄槽の下部に位置する底面から立ち上がり、前記導入口を取り囲むように、前記導入口と前記洗浄槽の内壁との間に設けられた中間壁と、前記中間壁より外側にあって、前記中間壁の高さよりも低い位置の前記洗浄槽に設けられた第1の出口と、前記洗浄槽の上部の外縁部に設けられ、前記洗浄槽から溢れる前記洗浄液を受け、受けた前記洗浄液を排出する第2の出口が設けられたオーバーフロー槽とを備えたことを特徴とする洗浄装置。
ここで、上部、下部とは、上部に対して重力方向の部分を下部という。
【0007】
この適用例によれば、洗浄槽の下部の導入口から噴出した洗浄液が被洗浄物の異物を剥離する。洗浄によって剥離された異物は、洗浄液の流れに乗って洗浄槽の上方に向かう。上部に達した異物を含んだ洗浄液の一部は、洗浄槽の上部の縁からオーバーフロー槽に向かって流れ、第2の出口から排出される。一方、上部に達した異物を含んだ洗浄液の一部は、洗浄槽の内壁に沿って下方に向かう。下方に向かった洗浄液は、中間壁の高さよりも低い位置に設けられた第1の出口から排出される。ここで、導入口と内壁との間に導入口を取り囲むように設けられた中間壁が存在するために、内壁に沿って下方に向かった洗浄液は、中間壁に邪魔されて導入口に向かいにくくなるので、洗浄によって剥離された異物も、導入口から噴出した洗浄液の流れによって再び被洗浄物に向かいにくくなる。したがって、被洗浄物に再付着する異物が少なく、異物が効率よく第1の出口から排出され、洗浄槽に滞留する異物の濃度の低い、洗浄における異物の除去効率の向上した洗浄装置が得られる。
ここで、上方とは重力方向とは逆方向、下方とは重力方向をいう。
【0008】
[適用例2]
上記洗浄装置において、前記中間壁の高さは、前記洗浄槽の前記底面から前記被洗浄物の下端以上で、前記被洗浄物の中央部以下であることを特徴とする洗浄装置。
この適用例では、導入口から噴出した洗浄液は、洗浄槽の底面から被洗浄物の下端以上の高さの中間壁によって中間壁の外側への流れが抑えられ、洗浄液は確実に被洗浄物に向かい、被洗浄物を洗浄する。また、被洗浄物の下端以上の高さの中間壁によって、洗浄槽の内壁に沿って下方に向かう洗浄液の流れが、被洗浄物および導入口に向かうのを抑えられる。
中間壁が上部近くまである場合は、洗浄液は一旦上部まで達して、上部の外縁部に向かう流れと下部に向かう流れとに別れやすい。ここで、中間壁の高さを、被洗浄物の中央部以下とすることにより、中間壁の内側から出た洗浄液の流れは、中間壁が上部近くまである場合と比較して、上部へ向かう流れのほかに直接上部の外縁部に向かう流れも生じ、上部の外縁部により向かいやすくなる。
したがって、洗浄によって剥離された異物が、効率よくオーバーフロー槽に流れ、洗浄槽に滞留する異物の濃度がより低くなり、被洗浄物に再付着する異物のより少ない、洗浄における異物の除去効率のより向上した洗浄装置が得られる。
【0009】
[適用例3]
上記洗浄装置において、前記第1の出口および前記第2の出口から前記導入口へ前記洗浄液を送るポンプと、前記ポンプと前記導入口との間に設けられたフィルターとを備えたことを特徴とする洗浄装置。
この適用例では、フィルターによって異物の取り除かれた洗浄液がふたたび洗浄槽に戻る。したがって、洗浄槽に滞留する異物の濃度がより低くなり、被洗浄物に再付着する異物のより少ない、洗浄における異物の除去効率のより向上した洗浄装置が得られる。
【0010】
[適用例4]
上記洗浄装置において、前記第1の出口は、前記洗浄槽の前記底面に設けられていることを特徴とする洗浄装置。
この適用例では、第1の出口が洗浄槽のドレインを兼ねる洗浄装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る洗浄装置の概略斜視図。
【図2】(a)は洗浄装置の概略平面図、(b)は図1および(a)における洗浄装置のA−A概略断面構成図。
【図3】(a)および(b)は、従来における洗浄装置の概略断面構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る洗浄装置100の概略斜視図である。図2(a)は洗浄装置100の概略平面図、(b)は図1および(a)における洗浄装置100のA−A概略断面構成図である。洗浄装置100は、被洗浄物であるウェーハー基板Sを洗浄液Wで洗浄する装置である。
図中には、洗浄装置100の幅方向をX軸、奥行き方向をY軸、高さ方向をZ軸として示した。ここで、重力方向は−Z軸方向である。
また、以下の説明の中で、上部に対して重力方向の部分を下部という。また、上方とは重力方向とは逆方向を、下方とは重力方向をいう。
【0013】
図1および図2において、洗浄装置100は、洗浄槽10とオーバーフロー槽20とポンプ30とフィルター40とを備えている。図2では、ポンプ30およびフィルター40が省略されている。
洗浄槽10には、洗浄液Wとウェーハー基板Sとが入れられ、洗浄液Wにウェーハー基板Sが浸漬されている。ウェーハー基板Sは、カセット200に立てて並べてセットされている。図2(a)では、ウェーハー基板Sおよびカセット200を省略して描いている。
洗浄槽10から溢れた洗浄液Wは、オーバーフロー槽20に流れ込む。洗浄液Wは、洗浄槽10およびオーバーフロー槽20からポンプ30によってフィルター40に送られ、再び洗浄槽10へ戻る。フィルターのろ過性能は、洗浄液にもよるが、0.05〜0.5ミクロンが典型的に用いられる。洗浄液Wの流れは、図中矢印で示した。
【0014】
実施形態では、洗浄槽10は、上部に位置する上面が開口した立方体形状である。開口からウェーハー基板Sがセットされたカセット200が洗浄槽10に入れられる。
なお、洗浄槽10の形状は、上面が開口した直方体形状、円柱状形状、多角柱形状等であってもよい。
洗浄槽10の内部の下部には、洗浄液Wを洗浄槽10に導入するための3本の導入管11が引きこまれ、導入管11には上部に向けて洗浄液Wが噴出する導入口12が設けられている。
ここで、導入管11の本数は、3本に限らない。1本、2本であってもよいし、4本以上であってもよい。導入口12の数も具体的には図示していないが、いくつであってもよい。
洗浄液Wが噴出する方向は、Z軸方向のみでなく、上方に向かって噴出する方向であれば、Z軸方向と角度をなす方向であってもよい。
【0015】
洗浄槽10には、洗浄槽10の下部に位置する底面13から立ち上がる中間壁15が設けられている。より詳しくは、中間壁15は、導入口12と洗浄槽10の内壁14との間で、導入口12を取り囲むように設けられている。
実施形態では、中間壁15を平面視した形状は矩形であるが、導入口12を取り囲むように設けられていれば、平面視した形状が円形、多角形等であってもよい。
ここで、図2(b)において、中間壁15の高さは、洗浄槽10の底面13からウェーハー基板Sの下端S1以上であって、ウェーハー基板Sの中央部S2以下であるのが好ましい。
【0016】
図2において、中間壁15の内側で、導入口12の上方には、カセット200を置くための台座210が設けられている。台座210は、中間壁15に設けられていてもよいし、台座210に設けられた脚によって底面13に支持されていてもよい。
図2(a)において、台座210には、複数の孔211が形成されており、導入口12から上方に向かって噴出した洗浄液Wが、孔211を通過してウェーハー基板Sおよびカセット200に向かう。カセット200の下部には、図示しないスリット等が形成されており、導入口12から噴出した洗浄液Wは、ウェーハー基板Sに向かう。ウェーハー基板Sは、カセット200に立てて並べてセットされているので、洗浄液Wはウェーハー基板S間を上方に向かって流れる。
また、カセット200および台座210は、洗浄装置100の一部として含めてもよいし、含めなくてもよい。
【0017】
導入管11は、洗浄槽10の上方から引き込まれ、内壁14に沿って下方に向かい、中間壁15を突き抜けて中間壁15内に引き込まれている。なお、導入管11は底面13から引き込まれていてもよいし、内壁14を突き抜けて引き込まれていてもよい。
【0018】
洗浄槽10の底面13には、中間壁15と洗浄槽10の内壁14との間の4ヵ所に第1の出口16が設けられている。
第1の出口16は、中間壁15より外側にあって、中間壁15の高さよりも低い位置に設けられていれば、設けられる位置は実施形態の位置に限らない。例えば、中間壁15の高さよりも低い位置の内壁14に形成されていてもよいし、底面13と内壁14とに設けられていてもよい。また、第1の出口16を設ける場所は、実施形態の4ヶ所に限らず、1ヵ所〜3ヵ所、4ヵ所以上であってもよい。
【0019】
オーバーフロー槽20は、洗浄槽10の上部の縁を取り囲むように設けられている。洗浄槽10上部の縁から溢れた洗浄液Wは、オーバーフロー槽20で受け止められる。また、オーバーフロー槽20は、その底面の一部が傾いて形成されている。具体的には、Y軸方向に向かうにつれて重力方向に向けて傾いている。
また、オーバーフロー槽20の底面には、洗浄槽10をオーバーフローした洗浄液Wを排出する第2の出口21が設けられている。第2の出口21は、オーバーフロー槽20の底面の最下部の両端に2ヵ所設けられている。
【0020】
オーバーフロー槽20は、受け止めた洗浄液Wが下方に集められる構造であれば、実施形態の構造に限らない。例えば、1ヵ所に洗浄液Wが集まる構造で、第2の出口21が1ヵ所設けられる構造であってもよいし、2ヵ所より多い場所に第2の出口21が設けられていてもよい。
【0021】
図2に、洗浄液Wの流れを矢印で示した。
導入口12から噴出した洗浄液Wは、カセット200の下部から、ウェーハー基板Sに向かい、ウェーハー基板Sの表面の異物を剥離する。異物には、レジスト残り、金属片等のパーティクルがある。
【0022】
洗浄によって剥離された異物は、洗浄液Wの流れに乗って洗浄槽10の上方に向かう。洗浄液Wの一部は、洗浄槽10の上部の縁からオーバーフロー槽20に向かって流れ、第2の出口21から排出される。
洗浄液Wの一部は、内壁14に沿って下方に向かう。下方に向かった洗浄液Wは、第1の出口16から排出される。
【0023】
第1の出口16および第2の出口21から排出された洗浄液Wは、ポンプ30によってフィルター40に送られる。フィルター40では、洗浄液Wに含まれる異物が除去され、異物が除去された洗浄液Wは、再び導入管11を通り、導入口12から噴出する。
【0024】
洗浄液Wとしては、例えば、RCA洗浄液、硫酸、硝酸、レジスト剥離液等を用いることができる。
【0025】
(従来例)
図3(a)および(b)に、従来例における洗浄装置300および洗浄装置400の概略断面構成図を示した。実施形態との主な違いは、中間壁15がない点、第1の出口16がない点、導入管11の位置および導入口12の向きである。実施形態と同じ構成要素には形状等が異なっても同じ符号を付した。また洗浄液Wの流れは、実施形態と同様に矢印で示した。
【0026】
図3(a)において、洗浄装置300では、導入管11は実施形態と同様に台座210の下方に設けられている。一方、導入口12は下方の底面13に向かって設けられている。
洗浄液Wは、底面13に向かい、底面13から内壁14に沿って上方に向かう。
上部に達した洗浄液Wの一部は、洗浄槽10の上部の縁からオーバーフロー槽20に向かって流れ、第2の出口21から排出される。
上部に達した洗浄液Wの一部は、洗浄槽10の上部の中心に向かい、上部の中心から下方に向かう。上部の中心から下方に向かう洗浄液Wは、ウェーハー基板Sの表面の異物を剥離する。
洗浄によって剥離された異物は、洗浄液Wの流れに乗って底面13に向かい、再び内壁14に沿って上方に向かう。したがって、異物の一部は、洗浄槽10の上部の中心に向かう洗浄液Wの流れに乗り、オーバーフロー槽20に流れ込まず、再びウェーハー基板Sに向かう。ウェーハー基板Sに向かった異物は、ウェーハー基板Sに再付着する可能性がある。また、異物が洗浄槽10内を循環するために、ウェーハー基板Sに再付着する可能性がより高まる。
【0027】
図3(b)において、洗浄装置400では、導入管11は実施形態と異なり、台座210の上方に設けられている。一方、導入口12は実施形態と同様に上方に向かって設けられている。より詳しくは、ウェーハー基板Sに向かって設けられている。
洗浄液Wは、ウェーハー基板Sに向かい、洗浄槽10の中心を上方に向かって流れる。下部の中心から上方に向かう洗浄液Wは、ウェーハー基板Sの表面の異物を剥離する。
上部に達した洗浄液Wは、洗浄槽10の上部の縁に向かう。上部の縁に向かった洗浄液Wの一部は、洗浄槽10の上部の縁からオーバーフロー槽20に向かって流れ、第2の出口21から排出される。このとき、異物の一部も第2の出口21から排出される。
上部の縁に向かった洗浄液Wの一部は、内壁14に沿って下方に向かう。この流れは、導入口12から噴出した洗浄液Wの流れとともに、再びウェーハー基板Sに向かう。ウェーハー基板Sに向かった異物は、ウェーハー基板Sに再付着する可能性がある。また、異物が洗浄槽10内を循環するために、ウェーハー基板Sに再付着する可能性がより高まる。
【0028】
以上に述べた実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)洗浄槽10の下部の導入口12から噴出した洗浄液Wがウェーハー基板Sの異物を剥離する。洗浄によって剥離された異物は、洗浄液Wの流れに乗って洗浄槽10の上方に向かう。上部に達した異物を含んだ洗浄液Wの一部は、洗浄槽10の上部の縁からオーバーフロー槽20に向かって流れ、第2の出口21から排出される。一方、上部に達した異物を含んだ洗浄液Wの一部は、洗浄槽10の内壁14に沿って下方に向かう。下方に向かった洗浄液Wは、中間壁15の高さよりも低い位置に設けられた第1の出口16から排出される。ここで、導入口12と内壁14との間に導入口12を取り囲むように設けられた中間壁15が存在するために、内壁14に沿って下方に向かった洗浄液Wは、中間壁15に邪魔されて導入口12に向かいにくくなるので、洗浄によって剥離された異物も、導入口12から噴出した洗浄液Wの流れによって再びウェーハー基板Sに向かいにくくできる。したがって、ウェーハー基板Sに再付着する異物を少なくでき、異物を効率よく第1の出口16から排出でき、洗浄槽10に滞留する異物の濃度の低い、洗浄における異物の除去効率の向上した洗浄装置100を得ることができる。
【0029】
(2)導入口12から噴出した洗浄液Wは、洗浄槽10の底面13からウェーハー基板Sの下端S1以上の高さの中間壁15によって中間壁15の外側への流れが抑えられ、洗浄液Wは確実にウェーハー基板Sに向かい、ウェーハー基板Sを洗浄できる。また、ウェーハー基板Sの下端S1以上の高さの中間壁15によって、洗浄槽10の内壁14に沿って下方に向かう洗浄液Wの流れを、ウェーハー基板Sおよび導入口12に向かうのを抑えることができる。
中間壁15が上部近くまである場合は、洗浄液Wは一旦上部まで達して、上部の外縁部に向かう流れと下部に向かう流れとに別れやすい。ここで、中間壁15の高さを、ウェーハー基板Sの中央部S2以下とすることにより、中間壁15の内側から出た洗浄液Wの流れは、中間壁15が上部近くまである場合と比較して、上部へ向かう流れのほかに直接上部の外縁部に向かう流れも生じ、上部の外縁部により向かいやすくできる。
したがって、洗浄によって剥離された異物が、効率よくオーバーフロー槽20に流れ、洗浄槽10に滞留する異物の濃度をより低くでき、ウェーハー基板Sに再付着する異物のより少ない、洗浄における異物の除去効率のより向上した洗浄装置100を得ることができる。
【0030】
(3)フィルター40によって異物の取り除かれた洗浄液Wがふたたび洗浄槽10に戻る。したがって、洗浄槽10に滞留する異物の濃度をより低くでき、ウェーハー基板Sに再付着する異物のより少ない、洗浄における異物の除去効率のより向上した洗浄装置100を得ることができる。
【0031】
(4)第1の出口16が洗浄槽10のドレインを兼ねる洗浄装置100を得ることができる。
【0032】
実施形態以外にも、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、被洗浄物の形状および種類、カセット200の形状等は、洗浄液Wが下部から上部へ向かうのを妨げるものでなければ実施形態に限定されない。
また、ドレインは、第1の出口16とは別に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…洗浄槽、11…導入管、12…導入口、13…底面、14…内壁、15…中間壁、16…第1の出口、20…オーバーフロー槽、21…第2の出口、30…ポンプ、40…フィルター、100…洗浄装置、200…カセット、210…台座、211…孔、S…被洗浄物としてのウェーハー基板、S1…ウェーハー基板の下端、S2…ウェーハー基板の中央部、W…洗浄液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄液に浸漬して洗浄する洗浄装置であって、
前記被洗浄物と前記洗浄液とを入れる洗浄槽と、
前記洗浄槽内の下部に設けられ、前記洗浄槽に前記洗浄液を導入する導入口と、
前記洗浄槽の下部に位置する底面から立ち上がり、前記導入口を取り囲むように、前記導入口と前記洗浄槽の内壁との間に設けられた中間壁と、
前記中間壁より外側にあって、前記中間壁の高さよりも低い位置の前記洗浄槽に設けられた第1の出口と、
前記洗浄槽の上部の外縁部に設けられ、前記洗浄槽から溢れる前記洗浄液を受け、受けた前記洗浄液を排出する第2の出口が設けられたオーバーフロー槽とを備えた
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄装置において、
前記中間壁の高さは、前記洗浄槽の前記底面から前記被洗浄物の下端以上で、前記被洗浄物の中央部以下である
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載の洗浄装置において、
前記第1の出口および前記第2の出口から前記導入口へ前記洗浄液を送るポンプと、
前記ポンプと前記導入口との間に設けられたフィルターとを備えた
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の洗浄装置において、
前記第1の出口は、前記洗浄槽の前記底面に設けられている
ことを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−104682(P2012−104682A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252563(P2010−252563)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】