説明

活性炭製造方法及び廃棄フイルムのリサイクルシステム

【課題】廃棄処分となったセルロースアシレートフイルムを活性炭の原料として再利用する。
【解決手段】活性炭製造設備10は炭化装置12と賦活装置13とを備える。炭化装置12は炭化炉20を有する。賦活装置13はロータリキルン30とガス供給源31を有する。炭化炉20において廃棄フイルム15から炭化フイルム24が生成される。ロータリキルン30の内部は電気ヒータ43により750℃以上950℃以下の温度に加熱される。ロータリキルン30の内部にはガス供給源31から炭酸ガス45が送り込まれる。このロータリキルン30に炭化フイルム24が投入される。炭化フイルム24は、ロータリキルン30の回転により攪拌されながら賦活される。これにより、炭化フイルム24から活性炭50が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄処分とされたセルロースアシレートフイルムを活性炭の原料として再利用する活性炭製造方法及び廃棄フイルムのリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフイルムは、優れた光透過性や柔軟性を有し、軽量薄膜化が可能であることから、光学機能性フイルムとして多岐に利用されている。この中でも、セルロースアシレート等を用いたセルロースアシレートフイルム(以下「フイルム」とする)は、前述の特性に加えて、さらに強靭性や低複屈折率を有している。このフイルムは、写真感光用フイルムを始めとして、近年市場が拡大している液晶表示装置(LCD)の表示部材であるパネルに組み込まれた偏光板の保護フイルム等に利用されている。
【0003】
偏光板を製造する偏光板製造工程では、この偏光板製造工程で使用されるフイルムのうち約30%が廃棄処分となる。急激な市場拡大に伴い廃棄処分とされたフイルム(以下「廃棄フイルム」とする)が増加の一途をたどっているにもかかわらず、ペーパの古紙リユースシステムや廃プラスチックのリサイクル樹脂化システムのような利活用システムが構築されていない。なお、廃棄フイルムについては、産廃処理費を別途支払って燃焼処理または埋め立て処理されていた。
【0004】
しかしながら、近年における環境問題や省資源化などの観点から、廃棄フイルムについても再利用することが求められている。廃棄フイルムを再利用する方法としては、廃棄フイルムからフイルムの原料となるセルロースアシレートを抽出する方法や、廃棄フイルムを成形用原料として用いる方法などが考えられる。しかしながら、前者の方法であれば、フイルムの製造の際に異なる何種類かの添加剤が加えられているため、廃棄フイルムからセルロースアシレートのみを抽出することは難しい。また、後者の方法であれば、セルロースアシレートは融点を持たず加熱により分解するため、廃棄フイルムは成形用材料とはなりえない。
【0005】
バイオマスである紙、木材、及びフェノール樹脂に代表される熱硬化樹脂は加熱で液状化することなく多孔体化することが知られている。また、熱可塑性樹脂は加熱により融解するため炭化させても多孔質化しないといわれている。一方、加熱により溶融しながら分解していくセルロースアシレートの炭化挙動については明らかにされていない。
【0006】
また、廃棄物の一つとされる新聞紙などの古紙を活性炭の原料として再利用する方法が知られている(特許文献1)。また、フェノール樹脂系廃棄物を活性炭として活用する方法が知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−171524号公報
【特許文献2】特開平7−172808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
廃棄フイルムのようなものが活性炭の原料になるかどうかについては、上記に示した通り、先行する文献や研究などが存在せず、これまで明らかにはされていない。新聞紙などパルプ類を活性炭の原料とする方法は、特許文献1に記載されているが、一般的に、廃棄物を炭化させたとしても、上記理由から、その炭化物は高い吸着性能を持たないことが多いため、活性炭などの吸着剤としては使用されず、ほとんどが土壌改良剤や燃料などにしか使用されない。
【0008】
本発明は、廃棄処分となったフイルムを活性炭の原料として再利用する活性炭の製造方法及び廃棄フイルムのリサイクルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の活性炭製造方法は、セルロースアシレートを主成分とする有機物を炭化して炭化物を生成し、前記炭化物を賦活することにより活性炭を製造することを特徴とする。
【0010】
前記有機物は、廃棄処分とされた廃棄フイルムでありチップ状に切断されていることが好ましい。前記炭化物を賦活する際の温度は750℃以上950℃以下であることが好ましい。前記炭化物を賦活する際に、酸化性ガスを使用することが好ましい。前記炭化物の賦活は、前記炭化物を攪拌しながら行われることが好ましい。
【0011】
本発明の廃棄フイルムのリサイクルシステムは、上記発明の活性炭製造方法を用いて、前記廃棄フイルムから前記活性炭を製造し、前記廃棄フイルムを前記活性炭として利活用することを特徴とする。前記廃棄フイルムから製造された活性炭は、ヤシガラ活性炭同等の吸着性を有する。その一例として、前記フイルムの製造の際に発生する溶剤の吸着剤として使用することが挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、廃棄処分とされた廃棄フイルムから吸着性能をもつ活性炭を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための活性炭製造設備及びこの活性炭製造設備を含むリサイクルシステムを図1に示す。活性炭製造設備10は、ホッパ11、炭化装置12、賦活装置13を備えている。ホッパ11には、廃棄処分とされたフイルム(以下「廃棄フイルム」とする)15が投入される。廃棄フイルム15としては、フイルム製造設備において廃棄されるフイルムや、偏光板製造設備において廃棄されるフイルムなどがある。ホッパ11にはロータリカッタ16が取り付けられており、このロータリカッタ16により廃棄フイルム15が約1cm四方のチップにされる。チップにされた廃棄フイルム15は炭化装置12に送られる。
【0014】
廃棄フイルム15のもととなるフイルムは、フイルム製造設備において、以下のような原料を基にして製造される。フイルムの主成分であるセルロースアシレートとしては、トリアセチルセルロース(TAC)が好ましい。ここで、「主成分」とは、フイルムを構成する成分中で重量割合が最も大きい成分を意味する。
【0015】
セルロースアシレートを溶解する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなど)が挙げられる。
【0016】
上述したセルロースアシレートと溶媒とを用いて、ドープが調製される。このドープを用いてフイルムが製造される。ドープ調製の際には、フイルムの種類に応じて、可塑剤、劣化防止剤、紫外線吸収剤(UV剤)、光学異方性コントロール剤、レタデーション制御剤、染料、マット剤、剥離剤、剥離促進剤等の添加剤がドープに添加される。なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。また、溶媒及び可塑剤、劣化防止剤、紫外線吸収剤(UV剤)、光学異方性コントロール剤、レタデーション制御剤、染料、マット剤、剥離剤、剥離促進剤等の添加剤についても、同じく、特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
【0017】
炭化装置12は炭化炉20を備えており、この炭化炉20内にはコンベア21及び電気ヒータ22が設置されている。炭化炉20には、廃棄フイルム15を取り込む取込口23と、炭化炉20内で炭化された廃棄フイルム(以下「炭化フイルム」とする)24を排出する排出口25が設けられている。これら取込口23及び排出口25の付近には開閉シャッタ(図示省略)が取り付けられており、廃棄フイルム15の炭化を行う際には、開閉シャッタにより取込口23及び排出口25が塞がれ、炭化炉20内が密閉状態にされる。なお、本発明における炭化とは、炭素を含む物質を熱分解して加熱処理することにより、ほぼ炭素原子のみからなる物質にすることをいう。
【0018】
コンベア21は駆動機構27により駆動され、廃棄フイルム15を搬送する。電気ヒータ22は、炭化炉20内を加熱する。この電気ヒータ22の加熱によって、炭化炉20内の温度を450℃以上600℃以下にすることが好ましい。また、炭化を行う時間は、15分以上60分以下であることが好ましい。なお、コンベア21を用いて廃棄フイルム15を搬送させたが、廃棄フイルム15の搬送方法はこれに限らず、例えば、後述するロータリキルンによって搬送させてもよい。また、炭化炉20内に窒素を送り込んで、炭化炉20内の酸素濃度を低減させることで、炭化を促進させてもよい。
【0019】
このように、炭化装置12で廃棄フイルム15を炭化することにより、廃棄フイルム15を燃焼処理する際に発生していたダイオキシンが発生することがなくなる。さらには、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出も抑制される。
【0020】
賦活装置13は、ロータリキルン30と、ガス供給源31とを備えている。ロータリキルン30は円筒状のパイプであり、その内周面に螺旋状(ねじれ構造)の羽根30aが固着されている。また、ロータリキルン30には、炭化装置12からの炭化フイルム24を取り込む取込口34と、ロータリキルン30内で賦活された炭化フイルム24を排出する排出口35とが設けられている。これら取込口34及び排出口35の近傍には開閉シャッタ(図示省略)が取り付けられている。炭化フイルム24の賦活を行う際には、開閉シャッタにより取込口34及び排出口35が塞がれ、ロータリキルン30内は密閉状態にされる。
【0021】
また、ロータリキルン30の外周面はローラ36により支持され、ロータリキルン30は回転自在とされる。ロータリキルン30にはスプロケットホイル40が取り付けられており、このスプロケットホイル40は駆動機構41により回転する。スプロケットホイル40が回転することにより、炭化フイルム24が搬送されるとともに、その搬送中に炭化フイルム24はロータリキルン30内で攪拌される。
【0022】
ロータリキルン30内には電気ヒータ43が設置されており、この電気ヒータ43はロータリキルン30内を加熱する。この電気ヒータ43の加熱によりロータリキルン30内の温度を、750℃以上950℃以下とすることが好ましい。750℃未満であると吸熱反応である賦活化の進行が著しく悪く、950℃を超えると過度に賦活が進み炭素揮散による収率低下を招き、且つ、耐熱性確保のために設備コストが嵩むため好ましくない。
【0023】
ガス供給源31からの炭酸ガス45が、ロータリキルン30に取り付けられたガス導入管47を介して、ロータリキルン30内に送られる。なお、ロータリキルン内に送り込むガスとしては炭酸ガスに限る必要はなく、酸化性のガスであればよい。酸化性のガスとしては、例えば水蒸気、空気、または、これらのガスを混合させた混合ガスが挙げられる。
【0024】
この賦活装置13により、炭化フイルム24は賦活され、その賦活された炭化フイルム24には微細な炭化物が排除されるとともに、多くの微細孔が形成される。これにより、賦活された炭化フイルム24は、賦活装置13を経る前の炭化フイルム24と比較して、吸着性が格段に向上する。すなわち、賦活装置13により炭化フイルム24から活性炭50が生成される。また、ロータリキルン30により炭化フイルム24を攪拌しながら賦活を行うことで、ヤシガラを原料とする活性炭と同等の活性炭50を生成することができる。これにより、廃棄フイルム15を活性炭50として利活用するリサイクルシステム71が構築される。なお、原料となる廃棄フイルムにおける添加物の構成が異なったとしても、その添加物の構成に関係なく吸着性の高い活性炭50を生成することができる。
【0025】
賦活装置13の下流には粉砕器52が設置されており、この粉砕器52により活性炭50が粉状にされる。得られた粉状の活性炭50は、フイルム製造設備で発生する溶媒ガスを吸着する吸着剤として使用される。溶媒ガスは、塩化メチレンなどの揮発性有機溶媒である。なお、活性炭50は、様々な用途に対応させて、焼結剤や結着剤を用いて粒状にしてもよい。焼結剤とは、加熱による熔融や構造変化により、活性炭と活性炭とを連結して固化させるものであり、結着剤とは、いわゆるバインダであり、高分子構造で、活性炭を連結して固化させるものである。
【0026】
次に、活性炭製造設備10の作用を示す。まず、フイルム製造設備や偏光板製造設備で廃棄処分とされた廃棄フイルム15は、ホッパ11に入れられる。この廃棄フイルム15は、ロータリカッタ16によりチップ状に細かくされる。細かくされた廃棄フイルム15は、炭化炉20の取込口23を介して、走行中のコンベア21に載せられる。ある程度の量の廃棄フイルム15がコンベア21に載せられると、コンベア21は停止され、取込口23が開閉シャッタにより塞がれる。これにより、炭化炉20は密閉状態とされ、廃棄フイルム15の炭化が開始される。このとき、炭化炉20内の温度は、電気ヒータ22により450℃以上600℃以下にされることが好ましい。また、炭化を行う時間は、15分以上60分以下であることが好ましい。
【0027】
廃棄フイルム15の炭化が完了すると、開閉シャッタが開いて炭化炉20の排出口25が解放される。そして、再びコンベア21が駆動し、炭化フイルム24が排出口25から賦活装置13のロータリキルン30に送られる。
【0028】
炭化フイルム24は、ロータリキルン30の取込口34を介して、回転中のロータリキルン30内に投入される。ある程度の量の炭化フイルム24がロータリキルン30内に投入されると、取込口34が開閉シャッタにより塞がれる。これにより、ロータリキルン30内は密閉状態とされ、炭化フイルム24の賦活が開始される。ロータリキルン30内の温度は、電気ヒータ43により750℃以上950℃以下にされることが好ましい。また、ガス供給源31から炭酸ガス45が、ロータリキルン30内部に送り込まれる。さらに、ロータリキルン30の回転により、炭化フイルム24は攪拌されながら賦活される。賦活を行う時間は、活性炭50の収率が50%となるように、調整される。また、賦活を行う時間は、電気ヒータ43の加熱能力、ロータリキルン30の回転速度によっても、調整される。
【0029】
炭化フイルム24の賦活が完了すると、開閉シャッタが開いて排出口35が解放され、活性炭50がロータリキルン30の排出口35から排出される。排出された活性炭50は、粉砕器52により粉状にされる。
【0030】
なお、本実施形態では、活性炭50の原料を廃棄処分とされたセルロースアシレートフイルムとしたが、これに限らず、セルロースアシレートを主成分とする有機物であればよい。
【0031】
なお、本実施形態では、炭化フイルム24を攪拌する際にロータリキルン30を用いたが、これに限らず、熱伝導効率及びガス45との接触を高め得る機能であればよい。例えば、ガスによる攪拌、振動による攪拌などが挙げられる。
【0032】
なお、本実施形態では、炭化炉20内及びロータリキルン30内の加熱を電気ヒータ22,43により行ったが、これに限らず、ガスバーナー等であってもよい。また、場合によっては、炭化・賦活で発生する排ガスを燃焼させて加熱してもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、炭化装置12と賦活装置13を別体として設けたが、炭化装置12内において、炭化処理後にその炭化装置内に酸化性ガスを導入して賦活を行ってもよい。この場合には、小規模の製造設備に用いられる。
【0034】
活性炭製造設備10は、廃棄フイルム15をリサイクルして利活用するリサイクルシステム71の一部として用いられる。リサイクルシステム71は、セルロースアシレートと溶剤とを含むドープからセルロースアシレートフイルム(以下、単にフイルムと称する)72をつくる溶液製膜設備73と、活性炭製造設備10とを有する。溶液製膜設備73は、ドープを支持体に流延して剥がし、剥がされたフイルム72を乾燥するフイルム製造部75と、フイルム製造部で蒸発した溶剤を回収し、回収された溶剤を精製して再びフイルム製造部75に戻す溶剤回収部76とを有する。溶剤回収部76で精製された溶剤は、フイルム製造部75において、ドープの原料として再利用される。ただし、リサイクルシステム71は、この態様に限定されるものではない。
【0035】
溶剤回収部76には、気体となっている溶剤を吸着して脱着することにより回収する吸着装置(図示せず)が備えられおり、この吸着装置に、フイルム製造部75から、溶剤を含む空気が送られてくる。吸着装置には活性炭50が収容されており、フイルム製造部75からの気体から溶剤を活性炭50が吸着する。そして、脱着用のガスが吸着装置に送り込まれて活性炭50に接することにより、溶剤が脱着されて回収される。
【0036】
フイルム製造部75では、フイルム72とされずに廃棄処分とされるべき廃棄フイルム15も生じる。この廃棄フイルム15は、活性炭製造設備10に送られて活性炭50とされる。以上のように、本発明のリサイクルシステムによると、セルロースアシレートを主成分とする有機物から活性炭50を製造し、この活性炭50を、フイルム製造の際に発生する溶剤の吸着剤として使用することができる。
【実施例1】
【0037】
[比較実験1]
炭化炉20の内部温度を350℃以上600℃以下とし、この炭化炉20で廃棄フイルム15のチップを15分間炭化し、炭化フイルム24を得た。賦活は実施しなかった。炭化フイルム24の収率は10重量%であった。この収率の値は、炭化に供したチップの重量を基準とした値である。
【0038】
[実験1]
比較実験1で生成させた炭化フイルム24をロータリキルン30に入れた。ロータリキルン30の内部温度を、750℃以上950℃以下に設定した。また、ロータリキルン30の内部には、ガス供給源31から1リットル/minの流量で炭酸ガス45を送り込んだ。このロータリキルン30を用いて、炭化フイルム24を0.75rpmで攪拌しながら賦活を行った。賦活を行った時間は90分であった。
【0039】
[実験2]
比較実験1で生成させた炭化フイルム24を電気炉(図示無し)に投入した。電気炉の内部温度は750℃以上950℃以下に設定した。また、電気炉内にはガス導入管(図示省略)が設置され、このガス導入管を介して、4リットル/minの流量で炭酸ガス45を送り込んだ。この電気炉を用いて、炭化フイルム24の賦活を行った。賦活を行った時間は75分であった。
【0040】
以上の実験1,2と比較実験1において得られた活性炭50及び炭化フイルム24を放冷した。なお、ここで、放冷とは、冷却手段等を特に用いることなく活性炭50及び炭化フイルム24を放置し、自然冷却させることである。放冷後の活性炭50及び炭化フイルム24に、それぞれヨウ素及び塩化メチレンの気体を通過させて、これらの物質の吸着性能を測定した。ヨウ素の吸着性能及び塩化メチレンの吸着性能は、JIS(K1474)の方法に従って測定した。この測定の結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1の「ヨウ素」の欄には、ヨウ素の吸着量(mg)を、用いた活性炭50または炭化フイルム24の量(g)で除した値を示し、「塩化メチレン」の欄には、塩化メチレンの吸着量(g)を、用いた活性炭50または炭化フイルム24の量(g)で除した値を示している。
【0043】
表1に示すように、実験1,2で得られた活性炭50は、ヤシガラを原料とする活性炭(表1及び以下の説明では「ヤシガラ活性炭」と称する)と同等の吸着性を有している。このヤシガラ活性炭のヨウ素の吸着性能は1064(mg/g)及び887(mg/g)で、その塩化メチレンの吸着性能は0.55(g/g)及び0.5(g/g)である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を実施するための活性炭製造設備の概略図を示している。
【符号の説明】
【0045】
10 活性炭製造設備
12 炭化装置
13 賦活装置
15 廃棄フイルム
30 ロータリキルン
31 ガス供給源
45 炭酸ガス
50 活性炭
71 リサイクルシステム
75 フイルム製造部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースアシレートを主成分とする有機物を炭化して炭化物を生成し、前記炭化物を賦活することにより活性炭を製造することを特徴とする活性炭製造方法。
【請求項2】
前記有機物は、廃棄処分とされた廃棄フイルムでありチップ状に切断されていることを特徴とする請求項1記載の活性炭製造方法。
【請求項3】
前記炭化物を賦活する際の温度は750℃以上950℃以下であることを特徴とする請求項1または2記載の活性炭製造方法。
【請求項4】
前記炭化物を賦活する際に、酸化性ガスを使用することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の活性炭製造方法。
【請求項5】
前記炭化物の賦活は、前記炭化物を攪拌しながら行われることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の活性炭製造方法。
【請求項6】
請求項2ないし5いずれか1項記載の活性炭製造方法を用いて、前記廃棄フイルムから前記活性炭を製造して、前記廃棄フイルムを前記活性炭として利活用する廃棄フイルムのリサイクルシステム。
【請求項7】
前記活性炭は、前記フイルムの製造の際に発生する溶剤の吸着剤として使用されることを特徴とする請求項6記載の廃棄フイルムのリサイクルシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2008−201664(P2008−201664A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309669(P2007−309669)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】