説明

流し台に取付けられる生ゴミ処理装置

【課題】 排水に混入して流れる生ゴミを処理する為の装置であって、悪臭を発生させることなく、あらゆる種類の生ゴミを乾燥処理することが出来る装置の提供。
【解決手段】 排水口の下方には排水中に混入している生ゴミを集めることが出来るように周囲及び底に小さな穴を形成して成る収集容器1を水平軸を基にして回転可能に取付け、そして収集容器1の下側には上方を開口可能とする上蓋25を有すと共に正面側には開閉扉を取付けた処理容器2を設け、該処理容器2は収集容器1が回転して逆向きになることで落下する生ゴミが収容される器28をテーブル上に載置し、該処理容器2の上蓋25には高周波発生器29を備えて、高周波発生器29から照射する高周波を生ゴミに当てて乾燥する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流し台から流出される生ゴミを排水と分離し、該生ゴミを肥料などに短時間で処理することが出来る生ゴミ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流し台から流される生ゴミは、排水口に凹部容器を着脱自在に取付け、該凹部容器の側面並びに底面には多数の穴を穿設している。そこで、排水に混入して流れ出る生ゴミは凹部容器に収集され、該収集容器を時々取り出して溜まった生ゴミを別の容器に移し替えるといったものである。しかし、このような方式では不便であることから、該収集容器を取り出すことなく容器内に溜まった生ゴミを別の容器又はゴミ袋に移し替える生ゴミ廃棄装置が知られている。
【0003】
特公昭60−24258号に係る「流しの流出ゴミ廃棄装置」はこの形式の従来例の1つであり、該装置はゴミ受筒を内蔵する太鼓型の曲壁体の上部に口を設け、該口を流しの底板に設けた排水口に固着し、下部にはゴミ落口を設けている。そして、上記受筒は中央に底板を設けて上下に仕切り、該底板の取着部に回転軸を設け、ハンドルにより受筒を回転させて流しの排水口から受筒上部に収集された生ゴミは受筒の回転によりゴミ落口からゴミ袋などに移される。
【0004】
又、特開平11−310946号に係る「流しの流出ゴミ廃棄装置」は、流しの排水口の下方に取付けされて、ゴミを混入した排水を回転容器に流し込んでゴミだけを網カゴに収集すると共に排水は下水管へ排出する流しの流出ゴミ廃棄装置であって、回転容器は本体ケースに回転可能に軸支された軸に設けられ、該軸には回転容器に流れ込んだ排水を流す流通路を形成し、本体ケースの流入口の内周面には嵌入溝を形成したシールを設け、一方の回転容器の上端周囲には嵌入片を形成し、回転容器を回転して起立することで嵌入片がシールの嵌入溝に嵌り込むようにしている。
【0005】
従って、流し台から排水と共に流される生ゴミは回転容器内に溜めて排出することが出来、排水は下水管へ流される。そして本体ケースの流入口から回転容器へ排水が流れ込んで、生ゴミだけが回転容器の網カゴに溜まることになるが、排水は本体ケース内に漏れないようにシールされている。
【0006】
ところで、上記回転容器内に溜まった生ゴミは一杯になったところで取出されて処分されることになるが、しかし取出した生ゴミの処分は面倒である。生ゴミは一時的にストックして置き、定められた収集日に合わせて所定の場所に出さなくてはならない。しかし、生ゴミを収集日まで保管する場合、発生する臭いが部屋に漂う。そこで、近年では生ゴミを即座に分解・処理する為の装置が普及し、多くの家庭で使用されているが、流し台の上記回転容器から取出した生ゴミを分解処理装置内に入れなくてはならないことも面倒である。
【0007】
特開2004−130247号に係る「流し台に取付けられる生ゴミ分解処理装置」は、排水に混入して流れる生ゴミを処理する為の装置であって、流し台に設けているゴミの収集容器に溜まった生ゴミを一々取出すことなく、分解処理することが出来るようにしたものである。そこで、排水口の下方には排水中に混入している生ゴミを集めることが出来るように収集容器を回転可能に取付け、収集容器の下方には分解処理容器を設け、収集容器から落下した生ゴミを収容して攪拌する攪拌羽根を取付け、そして温風を送り込む送風口を設け、更に分解処理容器から発生する悪臭を外へ逃がす為の排気路をSトラップを過ぎた排水管に連通した構造としている。
【0008】
さらに、特開平9−328202号に係る「生ゴミ処理装置」、特開平8−117731号に係る「生ゴミ処理装置」、特開平8−24827号に係る「生ゴミ醗酵処理装置」などが従来技術として知られている。
【特許文献1】特公昭60−24258号に係る「流しの流出ゴミ廃棄装置」
【特許文献2】特開平11−310946号に係る「流しの流出ゴミ廃棄装置」
【特許文献3】特開2004−130247号に係る「流し台に取付けられる生ゴミ分解処理装置」
【特許文献4】特開平9−328202号に係る「生ゴミ処理装置」
【特許文献5】特開平8−117731号に係る「生ゴミ処理装置」
【特許文献6】特開平8−24827号に係る「生ゴミ醗酵処理装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、流し台には生ゴミが下水管へ流れないように収集する為の収集容器、又収集容器に溜まった生ゴミを収容する回転容器が取付けられているが、該回転容器に溜まった生ゴミは出来る限り短時間で処理することが必要である。上記特開2004−130247号に係る「流し台に取付けられる生ゴミ分解処理装置」などの場合、温風を供給して生ゴミを乾燥処理することは出来るが、その乾燥には時間がかかり、又乾燥処理に伴って悪臭が発生する。この臭いは外へ流出して台所内を漂う。
【0010】
一方、乾燥する際のヒータから発生する熱によって、生ゴミ内に紙やビニール類などの可燃物が混入している場合には、加熱によって発火する場合もある。さらに、生ゴミの種類によっては十分に乾燥することなく残ってしまうことも多い。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、流し台にて生ゴミを短時間で悪臭の発生を抑えると共に、燃焼することなく均一に乾燥処理することが出来る生ゴミ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る生ゴミの処理装置は流し台に取付けられ、流し台から排水と共に流された生ゴミは乾燥処理される。すなわち、従来の「流しの流出ゴミ廃棄装置」と生ゴミ乾燥処理装置を流し台の一部として組み合わせた構造としている。
【0012】
生ごみが溜まる収集容器は流し台の排水口下方に設けられて、水平軸を中心として回転することが出来、その向きが逆方向になる。通常は上方を開口した容器であって、周囲及び底は穴が形成されて該収集容器に生ゴミと共に流れ落ちた排水は穴を通過して排出される。そして、該収集容器が回転して向きが逆になるならば、収集されている生ゴミは落下して乾燥処理容器へ移される。
【0013】
乾燥処理容器には、例えば2.45GHz(ギガヘルツ)といった非常に高い電波を発生する為の高周波発生装置が備えられ、水切りされた生ゴミに高周波が照射されて乾燥する。乾燥処理容器のテーブルは必要に応じてゆっくり回転し、テーブルに配置している器に収容された生ゴミに高周波が均等に照射されるように成っている。乾燥処理容器の上方は生ゴミが落下してテーブルに載置される容器に入るように上蓋が開口し、又正面には正面扉が取付けられている。正面扉は開閉可能と成っており、乾燥した生ゴミは正面扉を開いて取出すことが出来る。そして、落下した生ゴミの重量を計測する為の計測器が組み込まれ、生ゴミが乾燥するに必要な高周波照射時間が制御可能と成っている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の生ゴミ処理装置は流し台の排水口下方に収集容器を設けていて、排水に混入して流れる生ゴミは該収集容器に集められる。収集容器は網カゴなどから成っていて、排水は網目を通過して底及び側面から流れ出して排水管へ導き出される。そして、収集容器は回転してその向きを逆転し、生ゴミは落下して下方に設けている処理容器の器に収容される。
【0015】
そして、処理容器から照射される高周波は生ゴミに当って該生ゴミを均等に乾燥する。すなわち、野菜であっても肉であっても、全てが均等に乾燥されるために取り出して廃棄することが容易である。しかも、従来のようなヒータで加熱する場合と異なり、紙類、ビニール類が混ざっていても燃焼することはなく安全である。
【実施例】
【0016】
図1は本発明に係る生ゴミ処理装置を示す実施例であり、同図の1は生ゴミ収集容器、2は生ゴミの処理容器を表している。上記収集容器1は上部を開口した網カゴであり、側面及び底は数多くの小さな穴が形成され、流し台の排出口から流れた排水は収集容器1に溜まることなく流れ落ちる。しかし、排水中に混ざっている生ゴミは穴を通過しないで生ゴミ収集容器1に溜まることが出来る。
【0017】
排水口には球面10を形成したカバー9が配置され、該カバー9の周囲には穴が形成されているが大きなゴミは流れないように遮蔽することが出来る。そして上記収集容器1は回転支持部材3に取付けられ、回転支持部材3が回転するならば、収集容器1も回転してその向きを変えることが出来る。回転支持部材3には軸4と軸5が左右に設けられ、両軸4,5は排水口から下方へ延びて取付けられている外容器の側板6に形成した軸穴に嵌って軸支されている。回転支持部材3の底板7に設けた凸部8には上記収集容器1が載ってネジ止めされている。
【0018】
従って、収集容器1の底には凸部8の高さに相当する空間が形成され、収集容器1に流れ落ちた排水は底の網目を通過して底板7に流れ落ちる。そして、軸5は側板6から突出し、該軸5の先端には歯付きプーリー11が取着されていて、モータ12の主軸13に取着した歯付きプーリー14とベルト15を介して連結している。そこで、該モータ駆動によって上記歯付きプーリー11は回転し、回転支持部材3も回転して収集容器1はその向きを変えて逆転することが出来る。
【0019】
収集容器1には生ゴミが溜まっているが、収集容器1の向きが逆転することで生ゴミは落下し、下方に取付けられている処理容器2の中に収容される。ここで、両側板6,6には軸4,5を中心とした円形のガイド溝16,16が形成され、このガイド溝16,16に回転支持部材3の上端ガイド片17,17が嵌っていて、回転支持部材3が回転することでガイド片17,17はガイド溝16,16に沿って移動することが出来る。ここで、ガイド片17として回転自在なローラとするならば、該ローラは回転しながらガイド溝16を移動する。
【0020】
又、軸4は中空軸と成っていて、その先端にはガイド片18が外周へ突出して形成され、このガイド片18は排水管19に設けたガイド溝に嵌って、回転支持部材3の回転に伴ってガイド片18はガイド溝に沿って回転する。同図において、点線はその向きを逆転した回転支持部材3及び収集容器1の先端部を示している。
【0021】
図2は網カゴで構成した収集容器1を示している。上端にはリブ20が設けられ、底が回転支持部材3の底板から突出した凸部8に載ってネジ止めされると共に、リブ20は回転支持部材3の内面に形成している支持片21に載って取付けられている。
【0022】
図3は回転支持部材3を示しているが、上方を開口した容器であり、内部空間22には上記収集容器1が取付けられる。上端両側にはローラなどから成るガイド片17,17が設けられ、内側には収集容器1のリブ20が載る支持片21を有している。そして、下端部には軸4と軸5が外方向へ延び、中空軸4の先端にはガイド片18が形成され、軸5の先端には歯付きプーリー14を取付けている。
【0023】
ところで、流し台の排水口から流された排水は、中に混入している生ゴミを収集容器1に残して流れ出し、回転支持部材3の底板7に落下し、中空軸4の内部空間を流れて排水管19へ流れ出る。排水管19の入口には弁23が取付けられ、排水は該弁23を押し開いて排水管19へ入り、該排水管19の途中に設けているSトラップ24を通過して下方へ流れ落ちる。
【0024】
そして、収集容器1の下方には上記処理容器2が取付けられている。処理容器2はその上方に上蓋25が取付けられ、該上蓋25はスライドして上方を開口することが出来る。従って、収集容器1に収集された生ゴミは回転支持部材3が回転することで上記収集容器1が逆向きになって内部の生ゴミは落下する。そこで、回転支持部材3が回転して収集容器1が逆向きになる前に、上蓋25はスライドして上方が開口するように構成している。
【0025】
上蓋25の開口は手動操作とすることも可能であるが、モータを用いて開閉する構造とすることも可能である。この場合、上蓋25が開かない場合には回転支持部材3が回転しないようにモータ12が制御されている。ところで、図1に示す実施例では、上蓋25がスライド出来るように両側にガイド26,26を設けているが、背面側に設けた水平軸を中心として回転させることで上方を開口することも可能である。
【0026】
処理容器2の底にはテーブル27が設けられ、このテーブル27には皿状の器28が載置されている。そこで、上蓋25が開いて回転支持部材3が回転することで収集容器1内の生ゴミが落下すれば、該生ゴミは器28に収容される。ここで、上記テーブル27はゆっくり回転するように構成することもある。
【0027】
そして、処理容器2には高周波発生器29が上蓋25の下側に取付けられ、この高周波発生器29から発生する2.45GHzの高周波は上記生ゴミに照射される。高周波はあらゆる生ゴミの内部に浸透し、該生ゴミの水分を蒸発させると共に、乾燥させることが出来る。これは、生ゴミの種類を問わず、野菜クズ、肉クズ、魚の骨・・・など、全ての生ゴミを均等に乾燥することが出来る。そして、この際に悪臭を発生することなく乾燥し、乾燥した生ゴミは器ごと処理容器2から取り出されて廃棄される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】生ゴミ処理装置を示す実施例。
【図2】収集容器の具体例。
【図3】回転支持部材の具体例。
【符号の説明】
【0029】
1 収集容器
2 処理容器
3 回転支持部材
4 軸
5 軸
6 側板
7 底板
8 凸部
9 カバー
10 球面
11 歯付きプーリー
12 モータ
13 主軸
14 歯付きプーリー
15 ベルト
16 ガイド溝
17 ガイド片
18 ガイド片
19 排水管
20 リブ
21 支持片
22 内部空間
23 弁
24 Sトラップ
25 上蓋
26 ガイド
27 テーブル
28 器
29 高周波発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水に混入して流れる生ゴミを処理する為の装置において、排水口の下方には排水中に混入している生ゴミを集めることが出来るように周囲及び底に小さな穴を形成した網カゴなどから成る収集容器を水平軸を基にして回転可能に取付け、そして収集容器の下側には上方を開口可能とする上蓋を有すと共に正面側には開閉扉を取付けた処理容器を設け、該処理容器は収集容器が回転して逆向きになることで落下する生ゴミが収容される器をテーブル上に載置し、該処理容器の上蓋には高周波発生器を備えて、高周波発生器から照射する高周波を生ゴミに当てて乾燥することを特徴とする流し台に取付けられる生ゴミ処理装置。
【請求項2】
上記上蓋を水平方向にスライドして上方を開口可能とした請求項1記載の流し台に取付けられる生ゴミ処理装置。
【請求項3】
上記上蓋を背面側に設けた軸を中心として回転することで上方を開口可能とした請求項1記載の流し台に取付けられる生ゴミ処理装置。
【請求項4】
収集容器は底を浮かし回転支持部材に取付け、該回転支持部材は両側へ突出した軸を排水口から下方へ延びる側板に設けた軸穴に嵌めて回転可能とし、一方の軸は中空軸として内部空間を排水が流れて排水管と連通した請求項1、請求項2、又は請求項3記載の流し台に取付けられる生ゴミ処理装置。
【請求項5】
回転支持部材の上端にはガイド片を設け、上記側板に形成したガイド溝にガイド片を遊嵌した請求項4記載の流し台に取付けられる生ゴミ分解処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−106914(P2009−106914A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284936(P2007−284936)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(598065838)
【出願人】(598065849)
【Fターム(参考)】