説明

流体の酸素化における改良

酸素化流体を生成するための方法と装置(100,206,222)。各種実施形態によると、加圧された流体(102,124)の流れが確立される。酸素(114,122)の流れは、加圧された流体の流れの中に注入され、流体/酸素混合物(126)を供給する。混合物は、隣接する磁石組立体(152,152)によって確立する磁界の存在下で、ベンチュリ組立体(134,136)を通過する。次に、混合物は、ベンチュリ組立体から気体/液体分離槽(164)に流れ、混合物の液体成分が選択された溶解酸素分とともに下流(170)に流れ、気体成分が戻って(176)加圧流体流の中に注入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、水のような、ただし必ずしも水に限定されることはないが、流体の酸素化における改良を目的とするものである。
【背景技術】
【0002】
溶解した酸素分を含む流体の製造に関しては、広く関心を引き続けている。高酸素流体を製造するためのある効果的な方法が、ハドレイ他に付与され、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第6,821,438号に説明されており、その内容を本明細書に援用するものである。
【0003】
ハドレイの特許によると、水のような流体は、処理シーケンスにかけられ、それによって流体と注入した酸素分が高速のベンチュリ組立体を通過し、強磁場にさらされる。この処理による酸素吸収率と、溶解した酸素の寿命は、従来の他の酸素化法より優れた結果を示している。
【0004】
水などのような飲み物に限ることなくそれを含む、溶解酸素分を含んだ流体に対する消費者の絶えざる要求とともに、酸素を流体に溶解し、流体によって保持できるように改良することに対する絶えることのないニーズも未だ残っている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の各実施形態は、上述の要求およびニーズに対する改善について、一般的に流体の酸素化のための方法と装置を目的とする。
【0006】
各実施形態によると、加圧された流体の流れを確立する。酸素の流れが加圧された流体の流れに注入されて流体/酸素の混合物ができる。混合物は、隣接する磁気組立体によって確立される磁場の存在下でベンチュリ組立体を通過する。混合物は、続いてベンチュリ組立体から気体/液体分離槽へ流れる。気体/液体分離槽では、混合物の液体成分が選択された溶解酸素分とともに下流へ流されて、気体成分が逆方向に向かって加圧流体の流れに注入される。
【0007】
本発明の各実施形態のこれら、そして他の局面については、下記に示す詳細な説明と添付の図面によって明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の各実施形態によって構成され、運転される酸素化装置の機能ブロック図である。
【図2】図1の装置での使用に適したコロイド状鉱物の例を列挙した表である。
【図3】図1の装置で使用する拡散装置を示す図である。
【図4】図1の装置の混合機を示す図である。
【図5A】図1の装置のベンチュリ組立体の側面図である。
【図5B】図1の装置のベンチュリ組立体の端面図である。
【図6】直列に接続した一対のベンチュリ組立体を示す図である。
【図7】図1の装置の気体/液体分離器の正面図である。
【図8】図1に示した装置と類似した酸素化装置を、商用の漁業環境の魚用水槽に酸素化した注入水を提供するために使用する様子を示す、本発明の別の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図9】図9は、図1に示したものと類似した酸素化装置を、工業環境におけるバーナに酸素化した注入燃料を提供するために使用する様子を示す、本発明のさらに別の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図10】本発明の各実施形態によって生成された酸素化水の酸素濃度レベルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の各実施形態によって構成および運転される酸素化装置100の機能ブロック図である。図1の装置は、比較的大容量の瓶詰め装置であって、大生産量のボトル入り水が生成される。水は、従来の密閉プラスチックボトルまたは他の適した容器に充填され、ボトル詰めされた水は、希望のレベルの溶解酸素を保持することができる。
【0010】
現在、好ましい実施形態では水の酸素化について説明しているが、それに限定するものではなく、例えば、図1の装置100は、それに限定するものではないが、スポーツドリンク、エネルギードリンク、炭酸ガス入りのソフトドリンクなどのような、他の種類の流体を酸素化するために容易に適用することができるものであることは明らかである。処理後の流体は、人が消費するため、または別の目的のために調製してもよい。
【0011】
水源102は、まず、装置100に水を供給するために設けられる。実施形態によっては、水源102に供給された水は、逆浸透処理にかけられる。この、いわゆる「RO水」は、百万分の5〜20程度(ppm、またはミリグラム/リットル、mg/l)の合計の総溶解固形分(TDS)を含んでいてもよい。微生物レベルを減らすための、あるいは他の態様で処理用に水を調整するための紫外線照射や濾過などを含む水のその他の処理もこの段階で行うことができる。
【0012】
水源102からの水は、水にTDSを実質的に含まない、いわゆる「DIウォーター」を生成する脱イオン処理にかけてもよい。その他の実施形態では、水は、適当な所望の前処理を伴って、公共の水処理システム、天然の湧き水、川、その他の水源等から供給される。一般的に、装置100の様々な設定をその初期の水に合わせて変えることができるように適度な限度の範囲内で、初期の水の特性を指定および制御することが望ましい。
【0013】
水源102からの水は、ポンプ103によってくみ上げるか、あるいは他の方法で、1平方インチ(psi)に対して50ポンド程度のような適度な圧力で供給され、冷却器104に供給される。冷却器は、水の温度を適当な温度レベルまで下げる。冷却器104は、圧縮した冷媒または他のメカニズムを使って水を冷却する。
【0014】
一般的に、冷たい水の方が溶解した酸素を受け入れ易く、保持し易い。実施形態では、水は摂氏10から13度(華氏50〜55度)程度のような、良好に制御された温度まで冷却される。水は、冷却操作の間、摂氏6〜14度(華氏10〜25度)程度、温度が低下する。水は、曲がりくねった一連の導管を通過することによって一定の流れのプロセスで、滞留時間と水からの熱の除去量を増やす。あるいは、水は、貯留容器に貯め、必要なときに下流に引き出せばよい。
【0015】
冷却した水は、一定圧力液体ポンプ105によってオゾン反応槽106に送られる。装置100では、ポンプ103,105を使用しているが、装置内に流体を通過させるための付加的圧力が必要ないように、高い位置に置いた貯蔵槽や家庭用電源等から、適した初期圧力で、液体を装置100に供給してもよいということが企図される。
【0016】
反応槽106は、耐微生物目的のため、一定の量のオゾン(O)を水の中に導入する。実施形態によっては、ベンチュリ108または他の注入手段を使ってオゾンをオゾン生成器110から導入することもできる。反応槽106からの余分な酸素やオゾンは、過剰酸素ラインに解放されて残りの酸素をステーション188の酸素槽の中に回収する。
【0017】
槽106を通って出る水とオゾンの混合物には、コロイド状鉱物源112からコロイド状鉱物を導入する。上記のハドレイの特許でさらに詳しく説明しているように、コロイド状鉱物は、注入された酸素を吸収し保持する水の能力を高めることができる静電面イオン吸収特性をもたらす。水に加えるコロイド状鉱物の量と種類は、所与の適用法の要求事項による。
【0018】
実施形態によっては、コロイド状鉱物は、米国、オクラハマ州、タルサのTRC栄養学研究所Inc.からTRC鉱物という登録商標で入手される。77LPPM TRC鉱物の適した配合剤については、図2の表に説明している。配合剤は、55ガロンのドラムで供給することができ、微生物の量が少なく、pHが2.6から3.8までの範囲であり、明るい黄色/小麦色である。
【0019】
水と鉱物の混合物は、流体の加圧流として酸素注入ステーション114に送られる。ステーション114は、選択した率と濃度で気体の酸素(O)の流れを水の中に注入して流体/酸素混合物を形成するように稼動する。ブロック拡散器116を図3に示すように使用して、注入酸素(流れの矢印118で示す)は高圧によって多孔ブロック120を通過させられ、細かい泡122を周囲の水124の中に提供する。
【0020】
図4に示すように、結果として生成される水/気体の混合物126は、受動混合器128を通って誘導される。この混合器は、制御された混合を誘発し泡を減らす、円形に延在するブレード132を有する中央導管130を有する。これによって、混合物に気体状の酸素を確実に分散させることができる。
【0021】
次に、一対のベンチュリ組立体を、図1の134,136で示す。実施形態によっては、ベンチュリ組立体134,136は通常、同一であり、平行に配置される。他の実施形態では、異なる構成、流量等を有するベンチュリ組立体を使用することができる。別体の弁および流量制御性を設けることにより、装置の全体的なスループット要件によって、いずれか一方もしくは両方のベンチュリ組立体が一度に動作可能となる。ベンチュリ組立体134、136は、一般的にハドレイ特許に説明したような構造とすることができる。
【0022】
図5Aおよび5Bは、ベンチュリ組立体134をさらに詳しく示しており、第1の全体的な断面積区間140から第2の狭窄された断面積区間142へと抜ける中央導管138を含む。実施形態によっては、第1の区間140は、例えば円形の導管(PVCまたは金属製管)でよく、第2の区間142は、図5Bに示すような楕円形の導管でよい。「楕円形」とは、長さより幅が大きい断面形状を意味し、必ずしも一定な曲率の面でなくてもよい。実施形態によっては、図4Bにおいて144,146で示すプレキシグラスまたはそれに類似した基板材料の平行なプレートを、スペーサ148、150で分けて、楕円形の第2の区間142を形成することができる。
【0023】
セラミックブロック磁石152、154は、第2の区間142に隣接して配置されており、隣接する磁石組立体を形成することによって、流体がベンチュリ組立体134を通って流れるに従って、強い磁場を通過する。レア・アース磁石、電磁石などのような他の形態の磁石組立体も、希望にあわせた代替として使用することができる。磁場にさらされた後、流体は第2の区間142を出て第3の区間156に入る。実施形態によっては、第3の区間156は、第1の区間140と直径も、断面形状も同じである。図5Aに示すように、流れ制御楔158、160を第1と第3の区間140、156のそれぞれの導管の中に挿入して乱流を低減することができる。下流の層状のフローグリッド162をさらに設けて、流体の下流方向の層状の流れを生じさせるようにすることも可能である。
【0024】
図1の個々の平行通路それぞれは、単一のベンチュリ組立体134,136を示しているが、さらに別の実施形態においては、図6に示すベンチュリ組立体134Aおよび134Bのように、複数のベンチュリ組立体を直列に配置することもできる。図6のような複数のベンチュリ組立体を使用することにより、流体が磁場を通過する際の滞留時間が長くなる。異なる形状構成のベンチュリ組立体、磁場の強度および/または構成が異なるベンチュリ組立体等も含め、所望により他の任意の配置も容易に使用可能である。実施形態によっては、ベンチュリの通過する流体が、流体の流れの方向に垂直に向いた磁束に出会うものもあるが、実証的分析に基づいて他の方向も利用可能である。
【0025】
ベンチュリ組立体は、水/気体混合物の流れを超音速に加速するリニアフロー加速器として作動する。液体と酸素の泡の2相の混合物における音速は、混合物における液体と酸素の濃度によって異なるが、毎秒約15メートル(50フィート/秒)程度である。比較すると、空気中の音速は、約330メートル/秒(1100フィート/秒)であり、水中での音速は、約1500メートル/秒(5000フィート/秒)である。
【0026】
混合物は、各ベンチュリ組立体の出口で突然減速され、亜音速に戻る。超音速の流れは衝撃波と称する薄い領域を横切ると、亜音速まで減速される。衝撃波は、酸素の泡を顕微鏡サイズまで砕き、液体とガスの混合を促進する。よって、流れを図6に示すような、直列に並んだ二つ以上のベンチュリ組立体に通すことにより、連続的な超音速−亜音速パルスを流れに与えることができ、酸素の保持性がさらに向上する。
【0027】
引き続き図1を参照すると、流体がベンチュリ組立体134,136を一度通過すると、流体は気体/液体分離槽164に進む。槽164は、全体として図7に示すような構成でよく、中間区分障壁168の一方の側の流入口167を介して流入した流体混合物が導入されるメインチャンバ166を有する。障壁またはバッフル168がチャンバを2つの半体166Aおよび168Bに分けている。流入した流体はチャンバ166Aの第1の半体を充填し、その時点から流入した流体はバッフル168上に溢れ、チャンバ166Bの第2の半体に流れて流出口170へ進む。
【0028】
これにより、中間区分の両側での相対的な流体レベルによって、制御された気体空間172が液体の上方に形成されると共に、中間区分障壁の余水路を介して空気混入作用を与えることができる。フロートバルブ組立体174は、チャンバ166の流体/気体レベルに関して縦方向に起動される。組立体174が沈むと、第2の流出口176との流体連通が確立する。よって、流入した流体(実質的に溶解した酸素を含む)の液体部分は第1の口170を通って流出し、余分な、溶解していない気体は第2の口176から出て回収され、下流にて酸素化工程に戻る。
【0029】
続いて図1を参照すると、第1の口170を通って出た液体は、水中の溶解酸素(DO)の量を検出するセンサを含む各種のセンサやモニタを備えた検知ステージ178を通る。流量メータを使って流量を検知することができる。実施形態によっては、検知は、光学的、電子的等により実施可能である。検知モジュールは、加圧された流れに不可欠な圧力にて動作可能である。他の監視データは、工程に沿った他の適した位置と同様にこのステージで獲得することができる。
【0030】
液体は、適当な量の酸素化水を182で示すようなボトルに詰めるボトル詰め装置180に進む。液体は、例えば、ボトル詰め装置180のような最終的な適用範囲に進む前に吐出制御弁を通過する。吐出圧力の例としては、吐出制御弁の前で約30psiである。バイパス通路184により、余分な酸素化水は、処理フローの中の適した以前の位置まで戻ることができる。
【0031】
図1では、口176(図7)からの余分な気体は、前記気体の中のいかなるオゾン成分をも破壊し、残りの酸素は、流入した酸素を注入ステーション114に供給するステーション188の酸素槽または他の容器に回収するように動作するオゾン消滅ステーション186に流れる。ステーション188は、約90%から93%程度の純度レベルのような、病院レベルの質の圧縮空気から酸素を生成するのに使用することができる。酸素ボトル源190を使って必要な酸素を槽又は他の加圧容器から供給するのに使用することができる。
【0032】
図1の装置100は、上は約70ppm(70mg/l)以上程度の溶解酸素レベルを提供できるので有利であることが分かった。溶解酸素は、実質的に改善されたレベルの持続性、すなわち、より長い時間、例えば、数ヶ月間、溶解酸素をかなりのレベルに保持できる水の能力を示している。下記に示すように、経験的試験によると、ボトル詰めの水の40ppmを優に超える溶解レベルを3ヶ月以上の貯蔵期間に渡り保てることを示している。
【0033】
図8は、図1〜7の代替実施形態を示すものであり、ここで述べた構成要素のうちのいくつかを組み込むことができるものである。図8では、酸素化水は、人が消費するための飲み物としてではなく、商用の漁業環境での魚用水槽200の環境で魚202(例えば、鮭など)に使用するものを示す。
【0034】
図8に示すように、新鮮な水が、図1に挙げた様々な水源のような初期水源204から供給される。この新鮮な流入水は、図1に示す(ボトル詰め工程と、他の適した工程を除く)様々なステップを組み込むことができる酸素化工程ブロック206に進み、酸素化水の流れを供給する。このような水は、約70mg/l程度、またはその他の数値の初期溶解酸素濃度を有するものでよい。用途によっては、この濃度は、魚202の健康には高すぎる場合も有る。よって、ブロック206から流出する酸素化水は、希釈通路208などによって、約5−14mg/l程度のような、より適したレベルまで希釈することができる。
【0035】
槽の中の水には廃棄成分が蓄積されるため、槽の水の一部を出して、濾過、沈殿(腐敗物処理などを含む)、抗菌処理、脱窒素、CO除去などのような適した水処理が実施可能な水処理ブロック210へ送ることができる。ブロック210の水処理は、インライン処理工程や局所民間処理装置などを表すものである。処理した水、またはその構成成分の一部は、その後、希釈通路208内に合流させることができる。このように、槽200内の魚202の数を保つのに必要な新鮮な水の量は、従来の装置のいかなるものより、著しく少なくてすむ。
【0036】
図9は、図1のものといくらか類似した酸素化システム220の別の実施形態を示す図であり、酸素化工程222は、溶解酸素成分を燃料源224からの可燃(炭化水素など)燃料に追加するのに使用される。燃料は、ディーゼルのような重油でも、ガソリンのようなより揮発性の高い液体燃料でもよい。図1で実行する工程の一部または多くを処理工程222で用いることができ、希望の分量の溶解酸素を燃料に注入し、その後、燃料と酸素の混合物はバーナ226またはその他の工程(内燃エンジンなど)に進み得る。
【0037】
実施例
図1に示すものに準拠するフルスケール(最大毎分30ガロン)の装置は、湧き水の酸素化用に構成されたものである。湧き水は、RO処理にかけられ、5ミクロン(5×10−6メートル)まで濾過され、下記に示すような公称特性(すべての値が近似値である)となる。
総溶解固形分(TDS)=100万分の10から20;
pH=6.1;
初期溶解酸素レベル=7.2ミリグラム/リットル
温度=14℃(57°F)
【0038】
冷却器104は、湧き水の温度を10℃(50°F)まで下げた。一定圧液体ポンプ105が湧き水を装置に毎分30リットル(毎分7.9ガロン)の流量で292キロパスカル(42.4psi)で供給した。
【0039】
ポンプ105とボトル詰め装置180への排出との間の配管ネットワーク用の配管は、公称径が3.8cm(1.5インチ)であった。オゾン生成器110で、ベンチュリ108を介してオゾン反応槽106に、体積57リットル(15.1ガロン)、最大流量毎分150リットル(毎分39.6ガロン)のオゾンを供給した。オゾン反応槽106に続いて、容積式流体計量型ポンプ112が拡散器を介して流れにコロイド状鉱物を注入する。使用したコロイド状鉱物は、前述の図2でTRC栄養学研究所によって提供されたものである。
【0040】
注入したコロイド状鉱物の量は、生成した水内でTDSが30から50ppmの間のとなるように調整された。そして、水と鉱物の混合物は、酸素注入ステーション114に送られ、そこで、ステーション188または酸素ボトル源190、あるいはその組み合わせからの酸素が、水圧より高い約64キロパスカル(9.3psi)の圧力でブロック拡散器116を介して注入された。
【0041】
その結果得られた水/気体混合物は、次いで受動混合器128(図3)を通って、長さが約150mm(5.9インチ)から250mm(9.8インチ)、幅約80mm(3.1インチ)の、互いに約1mm(0.04インチ)から2mm(0.08インチ)の間隔を空けたプレキシグラスの平行なプレート144、146によって第2の区間142が形成されているベンチュリ組立体124に入った。第2の区間142を流れる間、その流れは、二つのセラミックブロック磁石152,154(100mm(3.9インチ)×50mm(2.0インチ)×25mm(0.98インチ))で形成された強い磁場にさらされた。ベンチュリ組立体134の下流方向では、液体/気体混合物が、長さが典型的には300〜400mmで、約2mmのステンレススチールの配管の束から構成される層状のフローグリッド162を通過した。
【0042】
層状のフローグリッド162を通過した後、液体/気体混合物は、150リットル(39.6ガロン)の気体/液体分離槽164に流入し、そこで、余分な非溶解酸素ガスが第2の流出口176から解放された。気体/液体分離槽164の下流では、流れは、温度、圧力および流量に関するセンサを通ってから流量制御弁を介して解放され、大気圧で0.5リットルのボトル(16.9オンス)が充填されるボトル詰め装置に進んだ。
【0043】
ボトル詰め時に、水の「初期の」酸素濃度を得るために、初期テストが行われた。これらの「初期」サンプルは、手持ち式のDOメータの範囲外の値である60mg/lを超えるDO値を示した。これは、湧き水の酸素化を行う前のDO値と比較すると、初期サンプルのDO値で約10倍増えたということを表す。
【0044】
それぞれにボトル詰め酸素化水が24本入った二つのボックスが、オクラホマ州、スティルウォーターのアキュレート研究所に送られ、独立した認定研究所による長期試験を行った。これらの毎週行われるテストの代表的な結果を図10に示した。ボトルの半分をほぼ室温(例えば摂氏約25度)に保管し、他の半分を冷蔵状態(摂氏約10度)に維持した。12週間、2本の室温の水ボトルと2本の冷蔵した水ボトルを毎週開け、内容物をDO分析にかけた。
【0045】
すべてのサンプルのDO濃度レベルは上がっていた。室温に12週間保管されていたボトル詰め酸素化水は、時間の経過によりDO濃度がわずかに下がっていたが、すべてのDOレベルは、12週間のテスト期間の最後で38mg/l以上であった。一方、冷蔵状態に維持されたボトル詰め酸素化水は、約50mg/lから60mg/lの間程度のDO濃度を保ち、テスト期間中ほとんど、もしくは全くDO濃度の低下が見られなかった。
【0046】
12週間以上、冷蔵した状態で保存した水にもある程度のDO濃度の低下が実際には起きるだろうと予測されたが、図10に示すように、崩壊定数は、比較的低い。よって、図9に示す結果から、前述の酸素化処理を行った水に関しては、35mg/l(および、冷蔵水についてはおそらく45mg/l程度よりかなり上)を超えるDO濃度が数ヶ月は維持可能であろうことを示唆するものである。長期間倉庫に保存可能な酸素化流体に対する業界の要望が未だある中、本発明者は、このレベルの効果を出すことができる他の第三者の酸素化装置を知らない。
【0047】
以上述べた説明により、当業者にとって、他の多くの代替の実施形態や用途について想到可能であり、前記の実施形態は、様々な実施形態の例示のみを目的としたもので、本発明を限定するものではないことは明らかであろう。
【0048】
本発明の様々な実施形態の数多くの特徴や利点について、発明の様々な実施形態の構造および機能の詳細と共にこれまで説明してきたが、この詳細の説明は例示のみを目的としたものであり、詳細、特に本発明の本質の範囲内での構造や部品の配置に関しては、添付の請求の範囲で説明する内容を広く一般的な範囲において変更可能であることは理解できよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の加圧流を確立する工程と、
酸素の流れを前記流体に注入して流体/酸素混合物を生成する工程と、
前記流体/酸素混合物を隣接する磁石組立体からの磁場にさらしながら、前記混合物をベンチュリ組立体に通す工程と、
前記混合物を前記ベンチュリ組立体から気体/液体分離槽に流す工程とを含み、
選択した溶解酸素含有量を有する液体成分を下流に流し、気体成分を戻して前記加圧流体の流れに注入する、
酸素化流体を生成する方法。
【請求項2】
前記注入する工程は、さらに、前記流体/酸素混合物を受動混合器に通し、前記流体/酸素混合物の制御された混合と泡の低減を促す工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記流体/酸素混合物を並列に使用する一対のベンチュリ組立体に通過させることにより、前記流体/酸素混合物の第1の部分が前記ベンチュリ組立体のうちの第1のベンチュリ組立体を通り、前記流体/酸素混合物の第2の部分が前記ベンチュリ組立体のうちの第2のベンチュリ組立体を通る請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記流体/酸素混合物を直列に配置した複数のベンチュリ組立体に通す工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸素の流れを前記流体に注入する前記工程の前に、さらに、コロイド状鉱物を前記流体の前記流れに注入する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記確立する工程が、前記注入する工程の前に、さらに、前記流体の前記流れを摂氏約10から約13度のうちの選択した温度に冷却する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記気体成分を回収し、前記注入する工程の間に酸素を供給する酸素生成槽に気体成分を供給する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記流体が水を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記選択した溶解酸素含有量を有する前記流体は、人の消費用としてボトル詰めされる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記選択した溶解酸素含有量を有する前記流体は、多くの魚を収容する槽に供給される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記選択した溶解酸素含有量を含む前記流体がバーナに供給される可燃性燃料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記選択した溶解酸素含有量が約70mg/l程度である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
加圧流体の流れを形成する装置内に流体を供給する液体源と、
前記流体源と流体連通し、前記流体の流れの温度を適当な温度レベルまで下げる冷却器と、
前記冷却器と流体連通し、耐微生物目的で一定量のオゾンを前記流れに導入して液体/オゾン混合物を生成するオゾン反応槽と、
前記オゾン反応槽と流体連通し、コロイド状鉱物を前記液体/オゾン混合物に注入するコロイド鉱物源と、
前記オゾン反応槽と流体連通し、気体酸素を前記液体/オゾン混合物に注入して液体/気体混合物を生成するように作動する酸素注入ステーションと、
前記酸素注入ステーションと流体連通するベンチュリ組立体であって、前記ベンチュリ組立体内の前記液体/気体混合物が磁石組立体による磁場にさらされるように構成されたベンチュリ組立体と、
前記ベンチュリ組立体と流体連通する気体/液体分離槽であって、前記液体/気体混合物の液体成分が選択された溶解酸素含有量を有する状態で下流に流れ、前記液体/気体混合物の気体成分は戻されて、前記加圧流体の流れ内に注入されるように構成された気体/液体分離槽とを備えた、
酸素化流体を生成する装置。
【請求項14】
前記流体に、前記冷却器に供給される前に逆浸透処理を施す請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記流体が水を含む請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記溶解酸素を有する前記流体が人の消費用としてボトル詰めされる請求項13に記載の装置。
【請求項17】
さらに、前記酸素注入ステーションと流体連通する受動混合器を備え、前記受動混合器が前記液体/気体混合物へ制御された混合と泡の低減を促す請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記ベンチュリ組立体が、
内側断面積がそのすぐ上流側と下流側の通路のそれぞれの断面積よりも小さい平坦なベンチュリと、
前記平坦なベンチュリに隣接し、前記内側断面積の主軸に沿って並び、前記平坦なベンチュリ内の前記流れに所望の磁界の強さを有する磁界を与え、前記流れが前記ベンチュリを通過する際に高速まで加速され、その後前記流れが前記ベンチュリを出ると減速されるように構成された磁石とを備えた請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記磁石がセラミックブロック磁石である請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記気体/液体分離槽が、
前記液体/気体混合物をメインチャンバに導入させる流入口と、
前記メインチャンバを2つの半体に分割するバッフルであって、前記液体/気体混合物が前記メインチャンバの第1の半体を充填し、その時点から前記液体/気体混合物が前記バッフル上にあふれ出て前記メインチャンバの第2の半体に入り、前記液体/気体混合物の前記液体成分が流出口から出るように構成されたバッフルと、
前記メインチャンバにおいて液体/ガス混合レベルに関連して起動するフロート弁組立体であって、前記フロート弁組立体が沈むと第2の流出口と流体連通が確立されて余分な非溶解気体を前記第2の流出口から出して回収し、下流で装置に再導入するように構成されたフロート弁組立体とを備えた請求項13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−512012(P2012−512012A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540983(P2011−540983)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/068286
【国際公開番号】WO2010/077962
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511143346)
【Fターム(参考)】