説明

流体圧駆動回路

【課題】エネルギ回収を効率良くできるようにした流体圧駆動回路を提供する。
【解決手段】エンジン21により駆動装置22を介して駆動したポンプ23により作動油を制御弁装置25により制御して、アクチュエータ41に供給するとともにアクチュエータ41から戻した流体をタンク24内に排出する。アクチュエータ41からタンク24に戻す作動油の余剰圧力エネルギを回収して駆動装置22に回生する回生モータ44をポンプ23に直結する。アクチュエータ41の流体戻り側圧力および流体入り側圧力を圧力センサ48,49により検出し、流体戻り側圧力が流体入り側圧力より高圧でかつ設定値より高圧の場合は、コントローラ61により、アクチュエータ41の流体戻り側41bを回生モータ44に連通し、低圧の場合はアクチュエータ41の流体戻り側41bをタンク24に連通するように切替弁装置55を切替制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ回生機能を有する流体圧駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8に示されるように、作業機械としての油圧ショベルは、下部走行体11に対し上部旋回体12が旋回可能に設けられ、この上部旋回体12にキャブ13および動力装置14とともに作業装置15が搭載され、この作業装置15は、上部旋回体12にブームシリンダ16cにより上下方向に回動されるブーム16が軸支され、このブーム16の先端部にスティックシリンダ17cにより回動されるスティック17が軸支され、このスティック17の先端部にバケットシリンダ18cによりリンケージ19を介して回動されるバケット18が軸支されている。
【0003】
このような油圧ショベルなどの作業機械においても動力装置14でのハイブリッド化が進められている。このハイブリッド化により期待される効果として省エネルギ化が上げられる。
【0004】
これに関する先行技術として、例えば油圧ショベルのブーム下げ操作時において、ブームシリンダ16cのボトム側に発生する高圧力のシリンダ戻り油をアキュムレータに回収蓄圧し再利用することにより、更に省エネルギ化を図る圧油回収再利用システムが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に示されたものは、圧力エネルギの貯蔵手段としてアキュムレータを用いているため、この貯蔵したエネルギを使わないときには短時間でエネルギが減少してしまう欠点がある。またアキュムレータの貯蔵量は、必要量に対しその容積が小さいという問題もあり、大きなエネルギを貯蔵するには大きなアキュムレータを要する問題もある。
【0006】
これに対し、油圧エネルギを電気エネルギに変換してバッテリに貯蔵することにより、大きなエネルギを比較的小さな容積で貯蔵できるようにしたものがある(例えば、特許文献2、3、4、5参照)。
【特許文献1】特公平3−33922号公報(第2−4頁、第1−2図)
【特許文献2】特開2000−136806号公報(第8−9頁、図1)
【特許文献3】特開2002−242234号公報(第4−5頁、図1)
【特許文献4】特開2002−322682号公報(第3−4頁、図1−2)
【特許文献5】WO01/88381号公報(第27−31頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの従来技術は、油圧エネルギの回収と再生とを交互に繰返して、無駄なくエネルギの回生を行なおうとするものであるが、油圧エネルギが回収不可能な場合もあり、このような場合は、逆に、油圧エネルギ回収手段が負荷となってエネルギ損失が発生し、エネルギ回収を効率良くできない。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、エネルギ回収を効率良くできるようにした流体圧駆動回路を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、ポンプを駆動する駆動装置と、ポンプによりタンク内から汲み上げた流体を制御してアクチュエータに供給するとともに、このアクチュエータから戻された流体をタンク内に排出する制御弁装置と、アクチュエータからタンクに戻される流体の余剰圧力エネルギを回収して駆動装置に回生する回生モータと、アクチュエータの流体戻り側圧力および流体入り側圧力を検出する圧力検出装置と、アクチュエータの流体戻り側を回生モータおよびタンクのいずれか一方に連通させる切替弁装置と、圧力検出装置により検出されたアクチュエータの流体戻り側圧力が流体入り側圧力より高圧でかつ設定値より高圧の場合はアクチュエータの流体戻り側を回生モータに連通し、流体戻り側圧力が流体入り側圧力より低圧の場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合はアクチュエータの流体戻り側をタンクに連通するように切替弁装置を切替制御するコントローラとを具備した流体圧駆動回路であり、そして、アクチュエータの余剰圧力エネルギを回生モータによって回収して駆動装置に回生する際に、圧力検出装置により検出されたアクチュエータの流体戻り側圧力が流体入り側圧力より高圧でかつ設定値より高圧の場合は、コントローラが切替弁装置を制御してアクチュエータの流体戻り側を回生モータに連通させることで、アクチュエータの流体戻り側から圧力エネルギを回収し、一方、流体戻り側圧力が流体入り側圧力より低圧の場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合で圧力エネルギを取り出すことができない場合は、切替弁装置によってアクチュエータの流体戻り側を回生モータから切り離してタンクに連通させるようにしたので、回生モータが駆動装置にとって負荷となる場合に生じるエネルギ損失を低減することが可能であり、エネルギ回収を効率良くでき、より省エネルギ化を図ることが可能である。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の流体圧駆動回路における駆動装置が、エンジンに接続された発電機と、この発電機に電気的に接続されるとともにポンプに機械的に接続され電動機および発電機として機能する電動発電機と、発電機および電動発電機にコンバータを介して接続された蓄電器とを具備し、ポンプおよび回生モータは、それぞれ容量可変用の斜板を有し、コントローラは、指令されたアクチュエータ速度が得られるように、切替弁装置の開度および電動発電機の回転速度を制御して、回生モータおよびポンプの回転速度を制御するとともに、これらの斜板の傾転角を制御するものであり、そして、エンジン、発電機および電動発電機がポンプに対し順次接続されたシリーズ方式の駆動装置においては、切替弁装置の開度および電動発電機の回転速度を制御することで、回生モータおよびポンプの回転速度を制御するとともに、これらの斜板の傾転角を制御して、指令されたアクチュエータ速度を得ることが可能である。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の流体圧駆動回路におけるポンプおよび回生モータが、それぞれ容量可変用の斜板を有し、駆動装置は、エンジンとポンプとの間に介在されたギアボックスと、ポンプに対しギアボックスを介してエンジンと並列に接続され電動機および発電機として機能する電動発電機と、電動発電機にコンバータを介して接続された蓄電器とを具備し、コントローラは、回生モータおよびポンプの斜板を制御して、指令されたアクチュエータ速度が得られるように回生モータおよびポンプの容量を制御するものであり、そして、ポンプに対しギアボックスを介してエンジンと電動発電機とが並列に接続されたパラレル方式の駆動装置においては、回生モータおよびポンプの斜板を制御することで、これらの容量を制御して、指令されたアクチュエータ速度を得ることが可能である。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の流体圧駆動回路における制御弁装置が、複数のアクチュエータを制御するスプール構造の複数のコントロール弁を備え、複数のコントロール弁は、ポンプとタンクとの間でタンデム接続されたセンタバイパス通路をそれぞれ有し、切替弁装置は、下流側のコントロール弁のドレンポートに接続されたものであり、そして、複数のコントロール弁により制御される複数のアクチュエータに対して、駆動装置および回生モータを共用することが可能であり、また、複数のコントロール弁のセンタバイパス通路をタンデム接続することで、上流側のアクチュエータを優先的に作動させた上で、下流側のアクチュエータから排出される余剰圧力エネルギが十分高い場合は、下流側のコントロール弁のドレンポートに接続された切替弁装置により、その余剰圧力エネルギを回生モータを通じてポンプおよび駆動装置に回生する。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の流体圧駆動回路における切替弁装置は、電磁比例弁を備えたものであり、そして、アクチュエータの流体戻り側の切替弁装置が電磁比例弁であるから、負荷が作用するアクチュエータの作動速度を制御するのに適したメータアウト制御機能が得られる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、アクチュエータの余剰圧力エネルギを回生モータによって回収して駆動装置に回生する際に、圧力検出装置により検出されたアクチュエータの流体戻り側圧力が流体入り側圧力より高圧でかつ設定値より高圧の場合は、コントローラが切替弁装置を制御してアクチュエータの流体戻り側を回生モータに連通させることで、アクチュエータの流体戻り側から圧力エネルギを回収し、一方、流体戻り側圧力が流体入り側圧力より低圧の場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合で圧力エネルギを取り出すことができない場合は、切替弁装置によってアクチュエータの流体戻り側を回生モータから切り離してタンクに連通させるようにしたので、回生モータが駆動装置にとって負荷となる場合に生じるエネルギ損失を低減することができ、エネルギ回収を効率良くでき、より省エネルギ化を図ることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、エンジン、発電機および電動発電機がポンプに対し順次接続されたシリーズ方式の駆動装置においては、切替弁装置の開度および電動発電機の回転速度を制御することで、回生モータおよびポンプの回転速度を制御するとともに、これらの斜板の傾転角を制御して、指令されたアクチュエータ速度を得ることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、ポンプに対しギアボックスを介してエンジンと電動発電機とが並列に接続されたパラレル方式の駆動装置においては、回生モータおよびポンプの斜板を制御することで、これらの容量を制御して、指令されたアクチュエータ速度を得ることができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、複数のコントロール弁により制御される複数のアクチュエータに対して、駆動装置および回生モータを共用することができ、また、複数のコントロール弁のセンタバイパス通路をタンデム接続することで、上流側のアクチュエータを優先的に作動させた上で、下流側のアクチュエータから排出される余剰圧力エネルギが十分高い場合は、下流側のコントロール弁のドレンポートに接続された切替弁装置により、その余剰圧力エネルギを回生モータを通じてポンプおよび駆動装置に回生できる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、アクチュエータの流体戻り側の切替弁装置が電磁比例弁であるから、負荷が作用するアクチュエータの作動速度を制御するのに適したメータアウト制御機能が得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を、図1に示される第1の実施の形態、図2に示される第2の実施の形態、図3に示される第3の実施の形態、図4に示される第4の実施の形態、図5に示される第5の実施の形態、図6に示される第6の実施の形態、図7に示される駆動装置の変形例を参照して説明する。
【0020】
先ず、図1に示された第1の実施の形態を説明する。
【0021】
エンジン21に駆動装置22を介してポンプ23が接続され、駆動装置22は、エンジン21の回転を受けてポンプ23を駆動し、タンク24内の流体としての作動油を制御弁装置25に加圧供給する。ポンプ23は、容量可変用の斜板26を有する油圧ポンプである。
【0022】
駆動装置22は、エンジン21に発電機31が接続され、この発電機31に、ポンプ23に機械的に直結された電動機および発電機として機能する電動発電機32が、電気的に接続され、発電機31および電動発電機32にコンバータ33を介して蓄電器34が接続されたシリーズ型のシステムである。
【0023】
ポンプ23の吐出通路35には、制御弁装置25が接続されている。この制御弁装置25は、ポンプ23の吐出通路35とタンク24との間で、電気信号に応じて開く開度のみを調整可能な4つの電磁比例弁36,37,38,39によりブリッジ回路を形成したものである。
【0024】
この制御弁装置25を構成する4つの電磁比例弁36,37,38,39は、ポンプ23によりタンク24内から汲み上げた作動油を方向制御および流量制御して、アクチュエータ41に供給するとともにこのアクチュエータ41から戻された作動油をタンク24内に排出する機能を有する。アクチュエータ41は、例えば図8に示されたブームシリンダ16cである。
【0025】
ポンプ23の吐出通路35には、リリーフ弁42とアンロード弁43が接続されている。リリーフ弁42は、圧力設定用の安全弁として作用し、アンロード弁43は、アクチュエータ41が駆動されない場合、ポンプ23の最低吐出流量により高圧が生じることを防止する圧力解除作用を持つ。
【0026】
ポンプ23には、アクチュエータ41からタンク24に戻される高圧油の余剰圧力エネルギを回収して駆動装置22に回生する回生モータ44が直結されている。この回生モータ44は、最小流量をほとんど0に設定可能な容量可変用の斜板45を有する油圧モータである。
【0027】
アクチュエータ41のボトム側通路46およびロッド側通路47には、アクチュエータ41の流体戻り側としてのボトム側41bの圧力すなわち流体戻り側圧力としてのボトム側圧力、およびアクチュエータ41の流体入り側としてのロッド側41rの圧力すなわち流体入り側圧力としてのロッド側圧力を検出する圧力検出装置としての圧力センサ48,49と、アクチュエータ圧力設定用のリリーフ弁51,52と、メイクアップ用のチェック弁53,54とがそれぞれ接続されている。
【0028】
アクチュエータ41の流体戻り側としてのボトム側41bを回生モータ44およびタンク24のいずれか一方に連通させる切替弁装置55が設けられている。この切替弁装置55は、回生モータ44とタンク24との間で、電気信号に応じて開く開度のみを調整可能な4つの電磁比例弁38,39,56,57によりブリッジ回路を形成したものである。
【0029】
そのうちの2つの電磁比例弁38,39は、制御弁装置25と切替弁装置55とを兼ね、これらの電磁比例弁38,39の出力側はタンク24に接続されている。他の2つの電磁比例弁56,57の出力側は、合流して回生通路58により、回生モータ44と、回生圧力設定用のリリーフ弁59と、回生通路メイクアップ用のチェック弁60とに接続されている。
【0030】
チェック弁60があるため、回生通路58内などに負圧が発生しそうになった場合、例えば回生モータ44が回生状態になく、ポンプ23の負荷として回転される場合は、タンク24内の作動油をチェック弁60を経て回生通路58に吸込ませることで、回生通路58内などに負圧が発生したり、ポンプ負荷が増大することを防止できる。
【0031】
アクチュエータ41の流体戻り側圧力および流体入り側圧力を検出する各圧力センサ48,49は、コントローラ61の入力側に接続され、また、このコントローラ61の出力側は、電磁比例弁36,37,38,39,56,57などのソレノイドに接続されている。
【0032】
そして、アクチュエータ41に重量や負荷が作用している状態では、アクチュエータ41の流体戻り側圧力が流体入り側圧力より高圧となる場合があるので、コントローラ61は、一方の圧力センサ48により検出されたアクチュエータ41のボトム側41bの流体戻り側圧力が、他方の圧力センサ49により検出されたアクチュエータ41のロッド側41rの流体入り側圧力より高圧であって、かつ所定の設定値より高圧の場合は、アクチュエータ41のボトム側41bを回生モータ44に連通し、また、一方の圧力センサ48により検出されたアクチュエータ41のボトム側圧力が、他方の圧力センサ49により検出されたアクチュエータ41のロッド側圧力より低圧となるか、あるいは所定の設定値より低圧となった場合は、アクチュエータ41のボトム側41bをタンク24に連通するように、切替弁装置55の電磁比例弁38,39,56,57を切替制御する。
【0033】
すなわち、コントローラ61は、一方の圧力センサ48により検出されたアクチュエータ41のボトム側41bからの流体戻り側圧力が、他方の圧力センサ49により検出されたアクチュエータ41のロッド側41rへの流体入り側圧力より高圧であって、かつ所定の設定値圧力より高圧の場合は、アクチュエータ41のボトム側41bからの高圧油を電磁比例弁56および回生通路58を通して回生モータ44に加圧供給することで、高圧油のエネルギを回生モータ44の回転トルクエネルギに代えて回生させる。回生されたエネルギの一部は回生モータ44に直結されたポンプ23で消費され、余剰分は電動発電機32の発電作用により電気エネルギに変換され、蓄電器34に充電される。
【0034】
一方、アクチュエータ41のボトム側41bからの流体戻り側圧力が、流体入り側圧力より低圧であるか、または、所定の設定値圧力より低圧の場合は、回生モータ44においてエネルギ回生はできないので、この場合はコントローラ61が電磁比例弁38を開け、アクチュエータ41のボトム側41bからの戻り油をタンク24に流すようにする。
【0035】
このように、回生モータ44でエネルギ回生をするか否かは、左右の圧力センサ48,49の値を基にコントローラ61が判断し、エネルギ回生をしないときはアクチュエータ41からの戻り油を回生モータ44に供給しないようにする。
【0036】
さらに、このコントローラ61は、指令されたアクチュエータ速度が得られるように、電動発電機32の回転速度および切替弁装置55の電磁比例弁56の開度などを制御して、ポンプ23および回生モータ44の回転速度を制御するとともに、図示されない電磁比例弁により図示されないレギュレータを介してポンプ23および回生モータ44の斜板26,45の傾転角を制御するものである。
【0037】
なお、図面上は、例えば油圧ショベルのブーム系の電動発電機32に接続されたポンプ23と、このポンプ23に接続された制御弁装置25、回生モータ44によりアクチュエータ41が駆動されるが、同様に、走行系、旋回系、スティック系またはバケット系の図示しない他の電動発電機に接続された他のポンプと、このポンプに接続された他の制御弁装置、他の回生モータにより他のアクチュエータも駆動され、これらの電動機駆動には、共通の発電機31および蓄電器34の電力および回生された電力が供給されるようにする。
【0038】
次に、この第1の実施の形態の作用効果を説明する。
【0039】
アクチュエータ41が図8に示されたブームシリンダ16cである場合について説明する。このようなアクチュエータ41では、作業装置15の重量が作用し、ボトム側41bに高圧が立っており、ロッド側41rは低圧になる。
【0040】
ブーム下げ動作をさせるとき、アクチュエータ41のボトム側41bの高圧油は、電磁比例弁56を電磁駆動し開けることにより回生モータ44に流れ、この高圧油のエネルギにより回生モータ44に駆動トルクが発生し回転速度が上昇する。つまり高圧油のエネルギが回生されることになる。
【0041】
このように回生モータ44が回生状態に入ると、回生モータ44に入力された回生動力は、直結された電動発電機32の発電作用により電気エネルギに変換され、蓄電器34に蓄えられる。
【0042】
また、回生モータ44に直結されているポンプ23からの吐出流量が増加し、同時に電磁比例弁37を電磁駆動し開けると、ポンプ吐出圧油はアクチュエータ41のロッド側41rに流れる。このとき、電磁比例弁37,56を電磁比例駆動することによりモジュレーション機能を持たせ、起動時のショックを緩和できる。
【0043】
さらに、アクチュエータ41のボトム側41bに電磁比例弁56を接続したので、負荷が作用するアクチュエータ41の作動速度を制御するのに適したメータアウト制御機能を得ることができる。
【0044】
一方、回生動力が十分得られる状態まで電動発電機32に起動をかける、すなわち電力を供給する方法も採用し得る。回生動力が十分得られる状態では電動発電機32に発電作用させることになる。
【0045】
アクチュエータ41はオペレータの操作レバーによる速度指令により駆動される。この速度指令により、上記の回生時に回生モータ44の回転速度が速度指令に比例するよう制御される。ここで、ポンプ23および回生モータ44の斜板26,45は調整に使用される。制御される回転速度は、速度指令に対し誤差を生じる場合もあり、流量の微調整が必要になる。なお、本実施形態では回生モータ44とポンプ23に流量の微調整用の斜板45,26を設けたが、どちらか一方のみを制御することも可能である。
【0046】
一般的にポンプ23の動力は、回生モータ44により回生される動力に比べ小さいため余剰動力は電動発電機32の発電作用により電気エネルギに回生されコンバータ33を介して蓄電器34に充電される。
【0047】
アクチュエータ41のボトム側41bにロッド側41rよりも高圧が立っていることを検出するには、2つの圧力センサ48,49を用いる。アクチュエータ41のボトム側41bに高圧が立ってロッド側41rが低圧になる状態であって、かつボトム側圧力が、予め設定された圧力値よりも大きい場合は、回生可能な状態にあると判断し、回生モータ44に高圧油を導く。
【0048】
よって、その他のスティックシリンダ17cや、バケットシリンダ18cでも、重量や負荷が作用している状態では、アクチュエータ41の流体戻り側圧力が流体入り側圧力より高圧でかつ設定値より高圧となる場合があり、アクチュエータ41のボトム側41bの高圧油を回生モータ44に導く回生作用が適用可能となる。
【0049】
一方、ボトム側41bがロッド側41rより低圧となった場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合は、十分な回生動力が得られないため、アクチュエータ41のボトム側41bの低圧油は回生されず、開状態に電磁駆動された電磁比例弁38を経て、タンク24に排出される。また、電動発電機32への速度指令により上記の回生時にポンプ23の回転速度が速度指令に比例するよう制御される。
【0050】
これに相当する作業には、ブームシリンダ16cではバケット18を地面に着けた後も、ブームシリンダ16cを縮め作動して機体を持ち上げることがある。この際、アクチュエータ41のボトム側41bは低圧となり、ロッド側41rには高圧が必要となる。この状態の検出は圧力センサ48,49を使用し、ロッド側41rの圧力センサ49が高圧で、ボトム側41bの圧力センサ48が低圧であるときと限定できる。
【0051】
このように、アクチュエータ41の余剰圧力エネルギを回生モータ44によって回収してポンプ23や駆動装置22に回生する際に、圧力センサ48,49により検出されたアクチュエータ41の流体戻り側圧力が流体入り側圧力より高圧でかつ設定値より高圧の場合は、コントローラ61が切替弁装置55を制御してアクチュエータ41のボトム側41bを回生モータ44に連通させることで、アクチュエータ41のボトム側41bから圧力エネルギを回収し、一方、流体戻り側圧力が流体入り側圧力より低圧の場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合、すなわち圧力エネルギを取り出すことができない場合は、切替弁装置55によってアクチュエータ41のボトム側41bを回生モータ44から切り離してタンク24に連通させるようにしたので、回生モータ44が駆動装置22にとって負荷となる場合に生じるエネルギ損失を低減することができ、エネルギ回収を効率良くでき、より省エネルギ化を図ることができる。
【0052】
また、エンジン21、発電機31および電動発電機32がポンプ23に対し順次接続されたシリーズ方式の駆動装置22においては、電磁比例弁56の開度および電動発電機32の回転速度を制御することで、回生モータ44およびポンプ23の回転速度を制御して、指令されたアクチュエータ速度を得ることができる。
【0053】
以上のように回生回路を設け、油圧エネルギを電気エネルギとして回生し、直接あるいは蓄電器34に一時充電した後必要に応じて他のアクチュエータの駆動系に供給することにより、省エネルギ化とエンジン21の小型化による有害排出ガスの削減を図る効果を有する。
【0054】
次に、図2に示された第2の実施の形態を説明する。なお、図1に示された第1の実施の形態と同様の部分には同一符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態との相違点のみを説明する。
【0055】
制御弁装置25は、ポンプ23とタンク24との間で、電気信号に応じて開く開度のみを調整可能な4つの電磁比例弁36,37,38,39によりブリッジ回路を形成した点は、図1に示されたものと同様であるが、切替弁装置55は、ブリッジ回路の流体排出部64に接続された戻り通路65を、タンク24へのタンク通路66から、電気信号に応じて、回生モータ44に至る回生通路58へと切替える電磁比例弁67を備え、図1に示された電磁比例弁38,39,56,57に代えて、この電磁比例弁67を接続する。
【0056】
そして、アクチュエータ41のボトム側41bに高圧が発生して、その高圧油を回生する場合、電磁比例弁38,67を開いて、高圧油を回生モータ44に供給する。
【0057】
次に、この第2の実施の形態の作用効果を説明する。第1の実施の形態との相違点は以下のとおりである。
【0058】
アクチュエータ41のボトム側41bの高圧油は電磁比例弁38,67を電磁駆動して開けることにより、回生モータ44に流れ、この高圧油のエネルギにより回生モータ44に駆動トルクが発生し回転速度が上昇する。つまり高圧油のエネルギが回生されることになる。
【0059】
一方、ボトム側41bがロッド側41rより低圧となった場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合は、十分な回生動力が得られないため、アクチュエータ41のボトム側41bの低圧油は、回生されず、開状態に電磁駆動された電磁比例弁38を経た後、非励磁の電磁比例弁67よりタンク24に排出される。
【0060】
次に、図3に示された第3の実施の形態を説明する。なお、図1に示された第1の実施の形態と同様の部分には同一符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態との相違点のみを説明する。
【0061】
制御弁装置25は、図1に示された電磁比例弁36,37,38,39の機能を、少なくとも4ポートを有するスプール構造のコントロール弁71に集約したものである。
【0062】
このコントロール弁71は、スプールが中立位置にあるとき、ポンプ23から供給された作動油がタンク24に流れるような内部通路72を設けることで、図1に示されたアンロード機能を持つアンロード弁43を省略できる。
【0063】
また、切替弁装置55は、コントロール弁71のドレンポート73に接続された戻り通路65を、タンク24へのタンク通路66から、電気信号に応じて、回生モータ44への回生通路58へと切替える電磁比例弁67を備え、図1に示された電磁比例弁38,39,56,57に代えて、この電磁比例弁67を接続する。
【0064】
この電磁比例弁67は、アクチュエータ41のボトム側41bの圧力が低いとき、すなわち、ブーム上げ時および機体持上げ時、戻り油を回生モータ44に通すと損失が大きくなるため、直接タンク24へ戻す構造である。
【0065】
次に、この第3の実施の形態の作用効果を説明する。第1の実施の形態との相違点は以下のとおりである。
【0066】
アクチュエータ41のボトム側41bの高圧油は、コントロール弁71を電磁駆動して左のポジションに切替え、同時に切替弁装置55の電磁比例弁67を電磁駆動して、戻り通路65をタンク通路66から回生通路58に切替えることにより、回生モータ44に高圧油が流れ込み、この高圧油のエネルギにより回生モータ44に駆動トルクが発生し、ポンプ23の回転速度が上昇する。つまり高圧油のエネルギが回生されることになる。
【0067】
制御弁装置25のポンプ側の吐出通路35とタンク側の戻り通路65は、中立時連通する内部通路72の構造を持ち、中立時、ポンプ23の圧油はタンク24に流れるので、中立時のポンプ最低流量により高圧が立たないようになる。
【0068】
一方、アクチュエータ41のボトム側41bがロッド側41rより低圧となった場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合は、十分な回生動力が得られないため、ボトム側41bの低圧油は、回生されず、非励磁状態の電磁比例弁67を通してタンク24に排出される。
【0069】
そして、アクチュエータ41のボトム側41bと連通するコントロール弁71のドレンポート73に電磁比例弁67を接続したので、負荷が作用するアクチュエータ41の作動速度を制御するのに適したメータアウト制御機能が得られる。
【0070】
次に、図4に示された第4の実施の形態を説明する。なお、図1および図3に示された実施の形態と同様の部分には同一符号を付してその説明を省略し、それらの実施の形態との相違点のみを説明する。
【0071】
制御弁装置25としては、図1に示された電磁比例弁36,37,38,39に代えて、スプール構造のコントロール弁71を設け、このコントロール弁71は、中立時、吐出通路35と戻り通路65とが非連通状態となるので、ポンプ23からこのコントロール弁71への吐出通路35に対して、アンロード機能を有するアンロード弁43を設けたものである。
【0072】
切替弁装置55は、図1に示された電磁比例弁38,39,56,57に代えて、コントロール弁71のドレンポート73に接続された戻り通路65を、タンク24へのタンク通路66から、電気信号に応じて、回生モータ44への回生通路58へと切替える電磁比例弁67を備えている。
【0073】
この電磁比例弁67は、ブーム上げ時および機体持上げ時などのブームシリンダ16cのように、アクチュエータ41のボトム側41bの圧力が低いときは、このボトム側41bからの戻り油を回生モータ44に通すと損失が大きくなるため、直接タンク24へ戻す構造であり、その際、負荷が作用するアクチュエータ41の作動速度を制御するのに適したメータアウト制御機能が必要であるため、この電磁比例弁67を用いる。
【0074】
次に、この第4の実施の形態の作用効果を説明する。第1の実施の形態との相違点は以下のとおりである。
【0075】
アクチュエータ41のボトム側41bに高圧油が発生した場合は、コントロール弁71を電磁駆動して左のポジションに切替え、同時に切替弁装置55を電磁駆動して回生通路58に切替えることにより、アクチュエータ41のボトム側41bに発生した高圧油は、回生モータ44に高圧油が流れ込み、この高圧油のエネルギにより回生モータ44に駆動トルクが発生し回転速度が上昇する。つまり高圧油のエネルギがポンプ23および駆動装置22に回生されることになる。
【0076】
一方、ボトム側41bがロッド側41rより低圧となった場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合は、十分な回生動力が得られないため、アクチュエータ41のボトム側41bの低圧油は、回生されず、非励磁状態の電磁比例弁67よりタンク24に排出される。
【0077】
次に、図5に示された第5の実施の形態を説明する。なお、図1に示された第1の実施の形態と同様の部分には同一符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態との相違点のみを説明する。
【0078】
制御弁装置25は、図1に示された電磁比例弁36,37,38,39に代えて、スプール構造のコントロール弁71を備えている。
【0079】
また、切替弁装置55は、図1に示された電磁比例弁38,39,56,57に代えて、コントロール弁71からアクチュエータ41へのボトム側通路46に対して、電気信号に応じて開く開度のみを調整可能な複数の電磁比例弁76,77を備えている。
【0080】
すなわち、切替弁装置55は、コントロール弁71とアクチュエータ41のボトム側41bとを連通するボトム側通路46中に介在された一方の電磁比例弁76と、ボトム側通路46から分岐して回生モータ44に連通する回生通路58中に介在された他方の電磁比例弁77とを備えたものである。
【0081】
次に、この第5の実施の形態の作用効果を説明する。第1の実施の形態との相違点は以下のとおりである。
【0082】
アクチュエータ41のボトム側41bに高圧油が発生した場合は、制御弁装置25を電磁駆動して左のポジションに切替えるとともに、電磁比例弁77を電磁駆動して開くことで、アクチュエータ41のボトム側41bを回生通路58に切替えることにより、ボトム側41bの高圧油が回生モータ44に流れ込み、この高圧油のエネルギにより回生モータ44に駆動トルクが発生し回転速度が上昇する。つまり高圧油のエネルギがポンプ23および駆動装置22に回生されることになる。このとき、電磁比例弁76は非励磁の状態で閉じており、制御弁装置25には高圧油が流れない。
【0083】
一方、アクチュエータ41のボトム側41bがロッド側41rより低圧となった場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合は、十分な回生動力が得られないため回生せず、制御弁装置25を左ポジションに電磁駆動すると同時に、電磁比例弁76を電磁駆動し、この電磁比例弁76を通して、アクチュエータ41のボトム側41bの低圧油をタンク24に排出する。このとき、電磁比例弁77は非励磁の状態であり、回生モータ44には高圧油が流れない。
【0084】
次に、図6に示された第6の実施の形態を説明する。なお、図1に示された第1の実施の形態と同様の部分には同一符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態との相違点のみを説明する。
【0085】
制御弁装置25は、図1に示された電磁比例弁36,37,38,39に代えて、複数のアクチュエータ41,81を制御するスプール構造の複数のコントロール弁71,82を備え、これらのコントロール弁71,82は、ポンプ23とタンク24との間でタンデム接続されたセンタバイパス通路83,84をそれぞれ有する。
【0086】
また、切替弁装置55は、下流側に配置されたコントロール弁71のドレンポート73に接続され、このドレンポート73に接続された戻り通路65を、タンク24へのタンク通路66から、電気信号に応じて回生モータ44への回生通路58へと切替える電磁比例弁67を備えており、図1に示された電磁比例弁38,39,56,57に代えて、この電磁比例弁67を設置する。
【0087】
この電磁比例弁67は、ブーム上げ時および機体持上げ時などのブームシリンダ16cのように、アクチュエータ41のボトム側41bの圧力が低いときは、このボトム側41bからの戻り油を回生モータ44に通すと損失が大きくなるため、直接タンク24へ戻す構造であり、その際、負荷が作用するアクチュエータ41の作動速度を制御するのに適したメータアウト制御機能が必要であるため、この電磁比例弁67を用いる。
【0088】
コントロール弁82,71は、ポンプ23からの圧油がタンク24に流れるセンタバイパス通路83,84を持っているので、これによりアンロード機能のアンロード弁を省略できる。
【0089】
また、このコントロール弁71の上流側に、センタバイパス通路83を有し他のアクチュエータ81を駆動する他のコントロール弁82を設け、ポンプ23からの高圧油を、このコントロール弁82のセンタバイパス通路83を経てコントロール弁71のポンプポート85に供給するように接続したタンデム回路である。
【0090】
このように、駆動装置22およびエネルギ回収用の回生モータ44を、一のアクチュエータ回路と他のアクチュエータ回路(特に走行系)とで共用する場合は、一のアクチュエータの上流側に他のアクチュエータ回路を配設して、それらのセンタバイパス通路83,84を接続連通させる。
次に、この第6の実施の形態の作用効果を説明する。第1の実施の形態との相違点は以下のとおりである。
【0091】
アクチュエータ41のボトム側41bに高圧油が発生した場合は、第1のコントロール弁71を電磁駆動して左のポジションに切替え、同時に切替弁装置55の電磁比例弁67を電磁駆動して、コントロール弁71のドレンポート73に接続された戻り通路65を、タンク24へのタンク通路66から、電気信号に応じて回生通路58へと切替えることにより、回生モータ44に高圧油が流れ込み、この高圧油のエネルギにより回生モータ44に駆動トルクが発生し、ポンプ23の回転速度が上昇する。つまり高圧油のエネルギが回生されることになる。
【0092】
一方、アクチュエータ41のボトム側41bがロッド側41rより低圧となった場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合は、十分な回生動力が得られないため、ボトム側41bの低圧油は回生されず、非励磁状態の電磁比例弁67よりタンク24に排出される。
【0093】
そして、一のアクチュエータ41を駆動する一のコントロール弁71と、他のアクチュエータ81を駆動する他のコントロール弁82とを同時操作する場合は、圧油の一部が先ず他のコントロール弁82より他のアクチュエータ81に流れ、その他の圧油がコントロール弁71よりアクチュエータ41に流れる。
【0094】
このとき、他のアクチュエータ81の速度を増加させる場合は、コントロール弁82の開度を大きくし、アクチュエータ41の速度を増加させる場合は、一のコントロール弁71の開度を大きくするとともに他のコントロール弁82の開度を絞る。
【0095】
この実施の形態によれば、複数のコントロール弁71,82により制御される複数のアクチュエータ41,81に対して、駆動装置22および回生モータ44を共用することができ、また、複数のコントロール弁82,71のセンタバイパス通路83,84をタンデム接続することで、上流側のアクチュエータ81を優先的に作動させた上で、圧力センサ48,49からの圧力検出信号より、コントローラが、下流側のアクチュエータ41から排出される余剰圧力エネルギが十分高いと判断した場合は、下流側のコントロール弁71のドレンポート73に接続された切替弁装置55により、その余剰圧力エネルギを回生モータ44を通じてポンプ23および駆動装置22に回生できる。
【0096】
次に、図7は、図1および図2に示されたシリーズ方式の駆動装置22に替えて設置するパラレル方式の駆動装置22aを示す。
【0097】
図7において、ポンプ23および回生モータ44は、それぞれ容量可変用の斜板26,45を有し、直結された点は、シリーズ方式と同様であるが、このパラレル方式の駆動装置22aは、エンジン21とポンプ23との間にギアボックス91が介在され、ポンプ23に対し、このギアボックス91を介して、電動機および発電機として機能する電動発電機92が、エンジン21と並列に接続され、電動発電機92の出力側にはコンバータ93を介して蓄電器94が接続されている。
【0098】
コントローラ(図示せず)は、ポンプ23および回生モータ44の斜板26,45を傾転作動するレギュレータ95,96を電磁比例弁97,98により制御して、指令されたアクチュエータ速度が得られるようにポンプ23および回生モータ44の容量を制御する。
【0099】
すなわち、このパラレル方式の駆動装置22aは、回生モータ44の回転軸がポンプ軸およびギアボックス軸を介しエンジン21と機械的に接続されており、これらの軸の回転速度はエンジン21の出力と負荷とのバランスで決まるため、アクチュエータ41の速度を制御するためには回生モータ44の斜板45の傾転角を制御する。つまり、低速では低流量を流すため斜板45を低位置にし、高速では高流量を流すため斜板45を高位置に制御する。ポンプ23についても同様に斜板26の傾転角を制御し流量を調節する。
【0100】
このパラレル式の場合、回生モータ44が回生状態に入ると、回生モータ44とエンジン21はギアボックス91などを介し機械的に接続されているので、ブームシリンダ16cとは別の系統、例えばスティックシリンダ17c(図8)が同時に動かされ、かつ要求動力が回生動力以上であるとこのスティック系に消費され、さらに不足あれば蓄電器94より電動発電機92を電動作用して動力を供給し、一方、同時に動かされている系統がない場合や要求動力が回生動力より小さい場合には、ギアボックス91に接続されている電動発電機92を発電作用することにより、余剰の回生動力が電気エネルギに変換され、蓄電器94に充電される。
【0101】
このように、ポンプ23に対しギアボックス91を介してエンジン21と電動発電機92とが並列に接続されたパラレル方式の駆動装置22aにおいては、回生モータ44およびポンプ23の斜板45,26の傾転角を制御することで、これらの容量を制御して、指令されたアクチュエータ速度を得ることができる。
【0102】
本発明は、油圧ショベル以外の作業機械にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係る流体圧駆動回路の第1の実施の形態を示す回路図である。
【図2】本発明に係る流体圧駆動回路の第2の実施の形態を示す回路図である。
【図3】本発明に係る流体圧駆動回路の第3の実施の形態を示す回路図である。
【図4】本発明に係る流体圧駆動回路の第4の実施の形態を示す回路図である。
【図5】本発明に係る流体圧駆動回路の第5の実施の形態を示す回路図である。
【図6】本発明に係る流体圧駆動回路の第6の実施の形態を示す回路図である。
【図7】同上流体圧駆動回路の駆動装置の他の例を示す構成図である。
【図8】油圧ショベルの側面図である。
【符号の説明】
【0104】
21 エンジン
22,22a 駆動装置
23 ポンプ
24 タンク
25 制御弁装置
26,45 斜板
31 発電機
32,92 電動発電機
33,93 コンバータ
34,94 蓄電器
38,39,56,57 電磁比例弁
41,81 アクチュエータ
44 回生モータ
48,49 圧力検出装置としての圧力センサ
55 切替弁装置
61 コントローラ
67,76,77 電磁比例弁
71,82 コントロール弁
73 ドレンポート
83,84 センタバイパス通路
91 ギアボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプを駆動する駆動装置と、
ポンプによりタンク内から汲み上げた流体を制御してアクチュエータに供給するとともに、このアクチュエータから戻された流体をタンク内に排出する制御弁装置と、
アクチュエータからタンクに戻される流体の余剰圧力エネルギを回収して駆動装置に回生する回生モータと、
アクチュエータの流体戻り側圧力および流体入り側圧力を検出する圧力検出装置と、
アクチュエータの流体戻り側を回生モータおよびタンクのいずれか一方に連通させる切替弁装置と、
圧力検出装置により検出されたアクチュエータの流体戻り側圧力が流体入り側圧力より高圧でかつ設定値より高圧の場合はアクチュエータの流体戻り側を回生モータに連通し、流体戻り側圧力が流体入り側圧力より低圧の場合、あるいは所定の設定値より低圧となった場合はアクチュエータの流体戻り側をタンクに連通するように切替弁装置を切替制御するコントローラと
を具備したことを特徴とする流体圧駆動回路。
【請求項2】
駆動装置は、
エンジンに接続された発電機と、
この発電機に電気的に接続されるとともにポンプに機械的に接続され電動機および発電機として機能する電動発電機と、
発電機および電動発電機にコンバータを介して接続された蓄電器とを具備し、
ポンプおよび回生モータは、それぞれ容量可変用の斜板を有し、
コントローラは、指令されたアクチュエータ速度が得られるように、切替弁装置の開度および電動発電機の回転速度を制御して、回生モータおよびポンプの回転速度を制御するとともに、これらの斜板の傾転角を制御するものである
ことを特徴とする請求項1記載の流体圧駆動回路。
【請求項3】
ポンプおよび回生モータは、それぞれ容量可変用の斜板を有し、
駆動装置は、
エンジンとポンプとの間に介在されたギアボックスと、
ポンプに対しギアボックスを介してエンジンと並列に接続され電動機および発電機として機能する電動発電機と、
電動発電機にコンバータを介して接続された蓄電器とを具備し、
コントローラは、回生モータおよびポンプの斜板を制御して、指令されたアクチュエータ速度が得られるように回生モータおよびポンプの容量を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の流体圧駆動回路。
【請求項4】
制御弁装置は、複数のアクチュエータを制御するスプール構造の複数のコントロール弁を備え、
複数のコントロール弁は、ポンプとタンクとの間でタンデム接続されたセンタバイパス通路をそれぞれ有し、
切替弁装置は、下流側のコントロール弁のドレンポートに接続された
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の流体圧駆動回路。
【請求項5】
切替弁装置は、電磁比例弁を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の流体圧駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−64071(P2006−64071A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247251(P2004−247251)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】