説明

流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置

【課題】油溜まり部に溜まった気泡に起因するハーフホワールの発生を防止することが可能な流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置を提供する。
【解決手段】流体軸受装置20では、スリーブ11と、スリーブ11に形成された軸受孔11a内に挿入されたシャフト11と、の間に形成される隙間に潤滑油26が充填された流体軸受装置20において、軸方向に並んで形成された2つのラジアル動圧発生溝11c,11dの間に円環状の溝として形成された油溜まり部11e内に、非対称部としての突出部31を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク駆動装置等に搭載される動圧流体軸受およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスク駆動装置(以下、HDDと示す。)等のディスク駆動装置に搭載されるスピンドルモータは、非接触回転によって低NRRO(Non-Repetitive Run Out)や低騒音が実現できる動圧流体軸受(以下、流体軸受装置と示す。)が用いられている。
流体軸受装置は、静止部と回転部の間に流体(以下、潤滑剤と示す。)を充填した構造であり、精度よく動作させるために、潤滑剤の漏洩や蒸発による液面の低下を防ぐことが重要である。
例えば、特許文献1〜3には、シャフトとスリーブとの間の隙間に形成される軸方向に並んで配置された2つのラジアル軸受部の間におけるスリーブ側に、ラジアル軸受部を分割し、潤滑剤を溜めておくための円環状の溝であるオイル溜まり部(油溜まり部)を設けた流体軸受装置が開示されている。このように、2つのラジアル軸受部の間にオイル溜まり部を設けることで、オイル溜まり部の上下に形成されたラジアル動圧発生溝に対して潤滑剤を十分に供給するとともに、軸方向に2つのラジアル軸受部を設けて動圧バランスを良好な状態で維持することができる。
【特許文献1】特開2004−183865号公報(平成16年7月2日公開)
【特許文献2】特開2004−190775号公報(平成16年7月8日公開)
【特許文献3】特開2006−038179号公報(平成18年2月9日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の流体軸受装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された流体軸受装置では、スリーブに形成されたオイル溜まり部に気泡が溜まった場合の問題については、特に考慮された設計にはなっていない。
具体的には、例えば、スリーブに連通孔が形成された循環タイプの流体軸受装置では、循環する間に衝撃や振動等によって潤滑剤の中に発生した気泡がオイル溜まり部に溜まっていって大きくなると、ドーナツ状の気泡がオイル溜まり部内に形成される。このとき、このようなドーナツ状の気泡の固まりがさらに大きくなってオイル溜まり部の溝から一気に排出されると、隣接するラジアル動圧発生溝内に一気にドーナツ状の気泡の固まりが入り込んで、ラジアル動圧発生溝の中に潤滑剤がスムーズに供給されなくなる場合がある。そして、この場合、ラジアル軸受部における動圧バランスが崩れてしまうため、いわゆるハーフホワール(NRRO(非繰り返し性振れ))が発生するおそれがある。なお、ハーフホワールとは、NRRO成分の一種であって、FFT(Fast Fourier Transform(高速フーリエ変換))を用いて計測したデータにおいて1次RRO周波数(回転周波数)の約1/2の周波数帯域に現れるピーク波形をいう。
【0004】
上記公報に開示された流体軸受装置では、特に、オイル溜まり部の溝形状が円周方向において一定の深さ、幅を有しているため、ドーナツ状になるまで成長した気泡が一気にラジアル軸受部側へと排出されやすいものと考えられ、上述した問題が発生するおそれが高い。
本発明の課題は、油溜まり部に溜まった気泡に起因するハーフホワールの発生を防止することが可能な流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る流体軸受装置は、スリーブと、シャフトと、潤滑剤と、ラジアル軸受部と、油溜まり部と、非対称部と、を備えている。スリーブは、軸受穴を有している。シャフトは、軸受穴内に相対回転可能な状態で配置されている。潤滑剤は、スリーブとシャフトとの間の隙間に充填されている。複数のラジアル軸受部は、シャフトの外周面とスリーブの内周面との間に形成されており、シャフトの軸方向に並んで形成されたラジアル動圧発生溝を含んでいる。油溜まり部は、軸方向に沿って配置された複数のラジアル軸受部の間における、スリーブ側に溝状に形成されている。非対称部は、油溜まり部に形成されており、シャフトの回転中心からみて径方向に非対称な形状を有している。
ここでは、ラジアル軸受部の間におけるスリーブ側の面に形成された溝状の油溜まり部に、シャフトの回転中心から見て径方向において非対称な形状を含む非対称部を設けている。
【0006】
なお、非対称部には、例えば、溝の深さや幅を偏芯形状にしたものや、溝内に形成された凹凸等が含まれる。
ここで、油溜まり部は、軸方向に並んで配置された複数のラジアル軸受部の間に位置するため、それぞれのラジアル軸受部における潤滑剤の流れる方向によっては負圧状態となり、気泡が発生し易く、かつ発生した気泡が膨張し易い状況にある。
本発明の流体軸受装置では、このような気泡が発生、膨張し易い油溜まり部の構成に、非対称部を追加して設けている。
これにより、例えば、衝撃や振動等によって潤滑剤内に生じた気泡が油溜まり部に溜まっていった場合でも、シャフトの回転中心からみて非対称になるように形成された非対称部が油溜まり部の溝内に形成されているため、気泡がドーナツ状になることを抑制することができる。よって、気泡が集合して大きくなって油溜まり部から排出される場合でも、周方向においてばらばらに排出されて周方向においてつながったドーナツ状のまま排出されることを防止することができる。この結果、ラジアル動圧発生溝に対してドーナツ状の気泡の固まりが一気に入り込んで生じるハーフホワール(NRRO)の発生を効果的に防止することができる。
【0007】
第2の発明に係る流体軸受装置は、第1の発明に係る流体軸受装置であって、非対称部は、油溜まり部を構成する溝の形状を偏芯させることで形成されている。
ここでは、油溜まり部の溝形状(例えば、溝の深さ、幅)を偏芯させて形成している。
これにより、潤滑剤の中に生じた気泡が油溜まり部に集まって大きく成長した場合でも、溝部分の偏芯によってきれいな同心円のドーナツ状になることを効果的に抑制することができる。よって、ラジアル動圧発生溝に対してドーナツ状の気泡の固まりが一気に入り込んで生じるハーフホワール(NRRO)の発生を効果的に防止することができる。
第3の発明に係る流体軸受装置は、第1または第2の発明に係る流体軸受装置であって、非対称部は、油溜まり部を構成する溝内に形成された凸部である。
ここでは、油溜まり部を構成する溝内に、凸部を設けている。
【0008】
ここで、溝内に形成された凸部としては、油溜まり部の溝深さと同等の高さのものであってもよいし、溝深さよりも浅いものであってもよい。また、凸部は、シャフトを中心とする周方向に沿って複数形成されていてもよいし、1箇所だけ形成されていてもよい。
これにより、潤滑剤の中に生じた気泡が油溜まり部に集まって大きく成長した場合でも、溝内に形成された凸部によってドーナツ状の一部を分断することができる。よって、油溜まり部に溜まった気泡がドーナツ状になることを効果的に抑制することで、ラジアル動圧発生溝に対してドーナツ状の気泡の固まりが一気に入り込んで生じるハーフホワール(NRRO)の発生を効果的に防止することができる。
なお、上述した溝部分の偏芯形状と溝内の凸部とを組み合わせることで、油溜まり部に溜まった気泡がドーナツ状になることをさらに効果的に防止することができる。
【0009】
第4の発明に係る流体軸受装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、非対称部は、油溜まり部を構成する溝内に形成された凹部である。
ここでは、油溜まり部を構成する溝内に、凹部を設けている。
ここで、溝内に形成された凹部としては、シャフトを中心とする周方向に沿って複数形成されていてもよいし、1箇所だけ形成されていてもよい。また、凹部が形成されている方向についても、溝がさらに深くなる方向であってもよいし、シャフトの軸方向に沿って形成されていてもよい。
これにより、潤滑剤の中に生じた気泡が油溜まり部に集まって大きく成長した場合でも、溝内に形成された凹部によって気泡の固まりが非対称になるため、きれいな同心円のドーナツ状になることを抑制することができる。よって、ラジアル動圧発生溝に対してドーナツ状の気泡の固まりが一気に入り込んで生じるハーフホワール(NRRO)の発生を効果的に防止することができる。
【0010】
なお、上述した溝部分の偏芯形状や溝内の凸部と、溝内の凹部とを組み合わせることで、油溜まり部に溜まった気泡がドーナツ状になることをさらに効果的に防止することができる。
第5の発明に係る流体軸受装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、スリーブは、シャフトの軸方向に沿って形成された連通孔を有している。
ここでは、スリーブの一部に連通孔が形成された、いわゆる循環タイプの流体軸受装置であっても、ハーフホワールの発生を防止する。
通常、シャフトあるいはスリーブの回転によって軸受部を含むシャフトとスリーブとの間の隙間において潤滑剤が循環する循環タイプの流体軸受装置においては、潤滑剤の循環によって油溜まり部へ気泡が溜まり易い。
【0011】
このため、上述したように、油溜まり部を構成する溝内に非対称部を設けたことで、循環タイプの流体軸受装置においても、ドーナツ状の気泡が排出されてハーフホワールが発生することを効果的に防止することができる。
第6の発明に係る流体軸受装置は、第5の発明に係る流体軸受装置であって、潤滑剤は、ラジアル軸受部において、軸方向における開放端側とは反対側へ循環する。
ここでは、ラジアル軸受部における潤滑剤の流れる方向について規定している。
通常、ラジアル軸受部に形成された動圧発生溝は、潤滑剤の外部への漏洩を防止するために、開放端側とは反対側への流れを形成するような形状になっている。
これにより、油溜まり部から排出された気泡は、通常は装置外へ放出するために開放端側へ移動するため、潤滑剤の流れとは反対に移動することになる。この結果、潤滑剤の漏洩を防止しつつ、油溜まり部に溜まった気泡がドーナツ状に排出されることを抑制してハーフホワールの発生を防止することができる。
【0012】
第7の発明に係る流体軸受装置は、第5または第6の発明に係る流体軸受装置であって、ラジアル軸受部に含まれるラジアル動圧発生溝は、非対称ヘリングボーン形状である。
ここでは、開放端側とは反対側への潤滑剤の流れを形成する動圧発生溝として、非対称ヘリングボーン形状の溝を用いている。
これにより、循環タイプの流体軸受装置において、開放端側とは反対側への潤滑剤の流れを容易に形成することができる。この結果、開放端側からの潤滑剤の漏れ出しを効果的に防止することができる。
第8の発明に係る流体軸受装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、油溜まり部は、シャフトを中心とする径方向に沿って略台形形状の断面を有している。
【0013】
ここでは、溝部分の断面形状が略台形形状の油溜まり部を用いている。
これにより、油溜まり部にある程度気泡の固まりが溜まると、略台形形状の傾斜面に沿って小さい固まりの気泡をスムーズに排出することができる。この結果、ラジアル軸受部のラジアル動圧発生溝の中に気泡の固まりが侵入した場合でも、ハーフホワールの発生を効率良く低減することができる。
第9の発明に係るスピンドルモータは、第1から第8の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置と、シャフトあるいはスリーブのうち回転する側に固定されたハブと、ハブに取り付けられた回転磁石と、回転磁石に対して磁束を付与するステータコイルが巻回されたステータと、を備えている。
これにより、ハーフホワールの発生を効果的に防止することが可能なスピンドルモータを得ることができる。
【0014】
第10の発明に係る記録再生装置は、第9の発明に係るスピンドルモータと、ハブに装着された記録媒体に対して情報の記録再生を行う記録再生ヘッド部と、を備えている。
これにより、ハーフホワールの発生を効果的に防止することが可能な記録再生装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る流体軸受装置によれば、ラジアル動圧発生溝に対してドーナツ状の気泡の固まりが一気に入り込んで生じるハーフホワール(NRRO)の発生を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施形態1]
本発明の一実施形態に係る流体軸受装置20を搭載したスピンドルモータ10について、図1〜図5(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
[スピンドルモータ10全体の構成]
本実施形態に係るスピンドルモータ10は、図1に示すように、ロータハブ(ハブ)15、ロータマグネット(回転磁石)16、ステータ17、ベース18および流体軸受装置20等を備えている。
ロータハブ15は、略お椀状の形状をしており、略中心部分には貫通孔が形成されており、シャフト12の上端部が圧入接着工法等によって固着されている。ロータハブ15には、スピンドルモータのロータマグネット16が取り付けられており、ステータ17に対して半径方向において対向している。ロータハブ15には、図示しない磁気記録ディスク等が固定され、他の構成とともに全体でハードディスク装置のような磁気記録再生装置を構成する。
【0017】
また、ラジアル動圧発生溝(ラジアル軸受部)11c,11d(図2参照)およびスラスト動圧発生溝を含むシャフト12とスリーブ11の軸受孔11aとの間、およびスラストフランジ13とスリーブ11との間およびスラストフランジ13とスラスト板14との間の隙間には、潤滑油(潤滑剤)26が充填されている。この潤滑油26は、シャフト12等の回転側が回転するとラジアル動圧発生溝11c,11d等へ流れ込んでポンピング圧力を発生させる。
ロータマグネット16は、ロータハブ15の内周面側において、円周方向に等間隔で取り付けられており、対向するステータ17との間において引き付け、反発を繰り返すことで、シャフト12を中心としてロータハブ15を回転させる。
ベース18は、ステータ17やロータマグネット16等を含むモータ部を収容する凹部18aが形成されている。そして、その凹部18aの略中心部分には、スリーブ11を固着するための穴18bが設けられている。そのベース18の穴18bを形成する部分には、コイルが巻線されたコアからなるステータ17が接着等によって固定されている。
【0018】
流体軸受装置20は、ロータハブ15に装着された磁気記録ディスク等を、回転側であるシャフト12を中心に回転させるために、シャフト12を含む回転側の部材をスリーブ11等を含む固定側に対してスムーズに回転させる。なお、流体軸受装置20の構成については、後段にて詳述する。
[流体軸受装置20の構成]
流体軸受装置20は、スリーブ11、シャフト12、スラストフランジ13、スラスト板14、およびスリーブキャップ19を有している。
スリーブ11は、軸受孔11aを有しており、鉄、鉄合金、銅、銅合金等の金属材料等によって形成され、ベース18に対して固定されている。また、スリーブ11は、図2に示すように、シャフト12と対向する軸受孔11aの内周面側に、連通孔11bと、ラジアル動圧発生溝11c,11dと、円環状の溝(油溜まり部11e)と、を有している。
【0019】
連通孔11bは、スリーブ11を軸方向に貫通するように形成された貫通穴であって、図2に示すように、ラジアル動圧発生溝11c等によって形成された潤滑油26の流れによって潤滑油26を、軸受部を含む隙間内において循環させるために設けられている。
ラジアル動圧発生溝11c,11dは、ヘリングボーン形状の動圧発生溝であって、回転側であるシャフト12が回転することにより動圧を発生させる。また、軸方向上側に形成されたラジアル動圧発生溝11cは、軸方向において非対称のヘリングボーン形状となっている。このため、シャフト12との間の隙間(ラジアル軸受部)において図2に矢印で示す軸方向下向きに潤滑油26の流れが形成される。これにより、シャフト12とスリーブキャップ19との間の隙間、つまり開放端側とは反対側へ潤滑油26を誘導することができる。よって、開放端側からの潤滑油26の漏れ出しを防止することができる。
【0020】
なお、動圧発生溝は、スリーブ11側ではなく、シャフト12側に形成されていてもよい。また、ラジアル動圧発生溝としては、ヘリングボーン形状ではなく、2つのスパイラル形状(略ハの字形状)であってもよい。また、スリーブ11は、表面にニッケルメッキ処理などが施されているものであってもよい。
油溜まり部11eは、図2に示すように、軸方向に並んで配置された2つのラジアル動圧発生溝11c,11dを分断するように形成されている。これにより、シャフト12を2点で支持することになるため、軸方向における動圧バランスを確保して振れ回りに対する剛性を向上させることができる。そして、油溜まり部11eは、軸方向における上下に形成されたラジアル動圧発生溝11c,11dに対して供給される十分な量の潤滑油26を、気泡A(図4参照)やゴミ等とともに保持する。また、油溜まり部11eは、径方向に沿った断面形状が回転中心に向かって広がる略台形の溝として形成されている。このため、油溜まり部11e内に溜まった気泡Aが固まってドーナツ状になる前の段階でスムーズに開放端側へと排出することができる。さらに、油溜まり部11eでは、図3(a)に示すように、軸方向上下に配置されたラジアル動圧発生溝11c,11dへの潤滑油26の流れ込みにより、ラジアル動圧発生溝11cの下半分では軸方向上向きの流れが生じ、ラジアル動圧発生溝11dの上半分では軸方向下向きの流れが生じる。このため、その間に位置する油溜まり部11eでは、潤滑油26が流出していくことになることから、図3(b)に示すように、負圧部分が発生する。そして、NRRO不良の発生を回避するという観点では、油溜まり部11eの溝幅Dは0.5〜1.0mm、溝深さHは0.10〜0.15mmであることが好ましい。
【0021】
なお、この油溜まり部11eにおける負圧発生による気泡への影響については、後段にて詳述する。
シャフト12は、焼結体ではない金属材料で構成された、直径が約3.0mmの円筒状の外周面を有する部材(例えば、円柱状部材、円筒状部材)であって、軸受孔11a内に回転可能な状態で挿入されている。また、シャフト12の下端部には、段差部が形成されており、この段差部の部分に、中心部分に円形の開口を有する円板状のスラストフランジ13が溶接によって接合される。なお、シャフト12は回転中心の軸として用いられることから、例えば、SUS等の素材的には硬いものが使われており、成型バイト等によって加工される。
スラストフランジ13は、中心部分に円形の開口を有する円板状の部材であって、上述したように、シャフト12の下端部に形成された段差部に対して溶接によって取り付けられている。そして、スラストフランジ13は、スリーブ11とスラスト軸受部材であるスラスト板14とで囲まれた空間に収納されている。スラストフランジ13の下面は、スラスト板14に対向し、上面の周辺部はスリーブ11の下方に形成された段部に対向している。また、スラストフランジ13の上面に対向するスリーブ11の段部の面には、スラスト動圧発生溝が形成されている。
【0022】
スラスト板14は、流体軸受装置20の下部を覆うように取り付けられた略円板状の部材であって、その上部表面にはスラスト動圧発生溝が形成されている。なお、スラスト動圧発生溝が形成される面は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、軸方向に隙間を形成しつつ対向する部材のいずれか一方に形成されていればよい。すなわち、スラストフランジ13の下面、あるいはスラストフランジ13の上面にスラスト動圧発生溝が形成されていてもよい。
スリーブキャップ19は、スリーブ11の軸方向上側の端部に固定される環状の部材であって、スリーブ11との間の隙間に、環状のオイル溜まり部が形成される。
<油溜まり部11e周辺における気泡の動き>
本実施形態の流体軸受装置20では、上述したような構成を備えており、特に、スリーブ11の軸受孔11a内におけるシャフト12との対向面に、油溜まり部11eを有している。
【0023】
ここでは、この油溜まり部11eに溜まった気泡の動きについて、図4を用いて説明すれば以下の通りである。
すなわち、流体軸受装置20は、スリーブ11の一部に連通孔11bを有する循環型の流体軸受装置であって、図4に示すように、連通孔11bと、スリーブ11とシャフト12との間に形成される軸受隙間との間において図中矢印方向に沿って潤滑油26を循環させている。そして、流体軸受装置20では、スリーブ11の軸受孔11aの内周面側に形成された円環状の溝である油溜まり部11eが、シャフト12を中心として円周方向に非対称になるように形成されている。
具体的には、油溜まり部11eは、図4、図5(a)および図5(b)に示すように、円周方向において径方向に突出する突出部(非対称部、凸部)31を有している。これにより、シャフト12の回転軸を中心とする油溜まり部11eの非対称性を形成している。
【0024】
突出部31は、図5(b)に示すように、スリーブ11の軸受孔11aの内周面に形成された油溜まり部11eの溝内においてシャフト12の方向に突出している。このため、油溜まり部11eに気泡Aが溜まってきた場合でも、ドーナツ状になることなく、その一部が分断された略C形状となる。
ここで、油溜まり部11e内に気泡Aが溜まっていくメカニズムについて説明する。
上述したように、油溜まり部11eの軸方向における上下にそれぞれ形成されたラジアル動圧発生溝11c,11dは、油溜まり部11eと隣接する側においてそれぞれ油溜まり部11eから離間する方向へ潤滑油26の流れを形成する。このため、その間に位置する油溜まり部11eの周辺においては、図3(b)に示すように、負圧が発生する。また、本実施形態のような循環型の流体軸受装置20では、潤滑油26が隙間内を循環する間に衝撃等が加えられると、潤滑油26内に気泡Aが混入する。そして、この気泡Aを含む潤滑油26が油溜まり部11eに達すると、気泡Aだけが油溜まり部11eに残される場合がある。このとき、油溜まり部11eでは、負圧が発生した状態であるため、気泡が発生し易い状態であるとともに、少しずつたまった気泡Aは負圧の影響によってさらに膨張し、シャフト12の外周面を取り囲むドーナツ状の気泡Aの固まりとなる。このドーナツ状に成長した気泡Aは、油溜まり部11eの大きさよりも大きく成長すると、ドーナツ状の固まりのまま軸方向上方へと排出される。この場合、気泡Aがラジアル動圧発生溝11c内に入り込むと、動圧発生のバランスが崩れてしまい、NRRO(ハーフホワール)の発生の要因となるおそれがある。
【0025】
本実施形態では、図4に示すように、油溜まり部11eとしてスリーブ11の内周面に円環状に形成された溝の一部に、径方向におけるシャフト12側へ突出した突出部31を設けている。
これにより、循環する潤滑油26内に含まれる気泡Aが油溜まり部11eに溜まっていき、かつ油溜まり部11eにおける負圧によって気泡Aが大きく膨張した場合でも、気泡Aが巨大化する前に少しずつ排出することで、突出部31によって気泡Aの固まりがドーナツ状につながった状態で排出されることを回避することができる。この結果、ドーナツ状に成長した気泡の固まりが一気に排出されて発生するNRRO(ハーフホワール)の発生を、効果的に抑制することができる。
[本流体軸受装置20の特徴]
(1)
本実施形態の流体軸受装置20では、図4に示すように、スリーブ11と、スリーブ11に形成された軸受孔11a内に挿入されたシャフト11と、の間に形成される隙間に潤滑油26が充填された流体軸受装置20において、軸方向に並んで形成された2つのラジアル動圧発生溝11c,11dの間に円環状の溝として形成された油溜まり部11e内に、非対称部としての突出部31を設けている。
【0026】
これにより、油溜まり部11e内に溜まった気泡Aがドーナツ状に固まりつつある場合でも、突出部31の存在によって気泡Aの固まりが、シャフト12を取り囲むドーナツ状となることを回避することができる。あるいは、気泡Aが固まってドーナツ状となったとしてもドーナツ状に固まったままで開放端側へと排出されることを防止することができる。よって、油溜まり部11eからは少しずつ気泡Aの固まりを排出することができる。この結果、油溜まり部11eの開放端側に形成されたラジアル動圧発生溝11cへのドーナツ状に固まった気泡Aが一気に混入することによるラジアル動圧発生溝11c内における圧力変動に起因するNRRO(ハーフホワール)の発生を効果的に防止することができる。
(2)
本実施形態の流体軸受装置20では、図5(b)等に示すように、上述した気泡Aがドーナツ状に固まって排出されることを回避するために設けられた非対称部として、径方向に沿ってシャフト12側へ突出する突出部31を用いている。
【0027】
これにより、油溜まり部11e内から突出する突出部31の存在によって気泡Aの固まりを分断して、気泡Aの固まりがドーナツ状になることを防止することができる。よって、簡易な構成により、NRRO(ハーフホワール)の発生を効果的に抑制することができる。
(3)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2〜図4等に示すように、スリーブ11の一部に、軸方向に沿ってスリーブ11を貫通する連通孔11bを有している。
これにより、スリーブ11とシャフト12との間の隙間等を潤滑油26が循環する循環タイプの流体軸受装置を構成することができる。よって、潤滑油26が循環しながら油溜まり部11eに達して気泡Aを残していった場合でも、気泡Aが固まってドーナツ状のまま油溜まり部11eから排出されることはない。この結果、油溜まり部11eに気泡Aが溜まり易い循環タイプの流体軸受装置20であっても、気泡Aの排出に伴うNRRO(ハーフホワール)の発生を抑制することができる。
【0028】
(4)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2および図4に示すように、スリーブ11とシャフト12との間の隙間におけるラジアル動圧発生溝11c,11dの部分において、潤滑油26を軸方向下向き、つまり開放端とは反対側へと誘導している。
これにより、スリーブキャップ19とシャフト12との間の隙間、すなわち開放端からの潤滑油26の漏れ出しを効果的に抑制することができる。
(5)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2等に示すように、ラジアル動圧発生溝11cを、軸方向において非対称なヘリングボーン形状の溝として形成している。
これにより、開放端側とは反対側への潤滑油26の流れを形成して、潤滑油26の漏れ出しを効果的に防止することができる。
【0029】
(6)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2に示すように、油溜まり部11eとして、断面形状がシャフト12側に広がる略台形の溝を用いている。
これにより、油溜まり部11eに溜まった気泡Aの固まりが必要以上に大型化する前に、効率よく排出することができる。この結果、ドーナツ状の気泡Aの固まりが一気に開放端側へと放出されて生じるNRRO(ハーフホワール)の発生を効果的に抑制することができる。
(7)
本実施形態のスピンドルモータ10は、図4等に示すように、上述した流体軸受装置20を備えている。
【0030】
これにより、油溜まり部11eからドーナツ状の気泡Aの固まりが一気に放出されて、開放端側のラジアル動圧発生溝11cに混入した気泡AによってNRRO(ハーフホワール)の発生を効果的に抑制することができる。
[実施形態2]
本発明の他の実施形態に係る流体軸受装置について、図6(a)および図6(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、上記実施形態1において説明した部材と同じ形状、機能を有する部材については、同一の符号を付しその説明は省略する。
本実施形態に係る流体軸受装置は、図6(a)および図6(b)に示すように、油溜まり部111eに形成された非対称部として、シャフト112をスリーブの中心から偏芯させた状態で配置したことで構成される偏芯部(非対称部)131を用いた点で、上記実施形態1とは異なっているが、その他の点については同様の構成を備えている。
【0031】
これにより、互いに偏芯させて配置されたシャフト112とスリーブとの位置関係によって、シャフト112の回転中心から見て非対称な形状を形成することができる。このため、油溜まり部111eに溜まった気泡Aの固まりは、偏芯部131におけるシャフト12との間隔が小さい側から順次排出される。よって、油溜まり部111eからドーナツ状になった気泡Aの固まりが一気に排出されることを防止して、NRRO(ハーフホワール)の発生を効果的に防止することができる。
[実施形態3]
本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置について、図7(a)および図7(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、上記実施形態1において説明した部材と同じ形状、機能を有する部材については、同一の符号を付しその説明は省略する。
【0032】
本実施形態に係る流体軸受装置は、図7(a)および図7(b)に示すように、油溜まり部211eに形成された非対称部として、スリーブ側に形成された複数の凹部(非対称部)32a〜32dを用いた点で、上記実施形態1とは異なっている。
これにより、シャフト12の回転中心から見て、油溜まり部211eの溝内に円周方向において凹凸が形成されることになるため、油溜まり部211e内を非対称形状とすることができる。この結果、油溜まり部211eに溜まった気泡の固まりは、シャフト12との間の距離が狭い部分から順次排出されるため、油溜まり部211eからドーナツ状になった気泡の固まりが一気に排出されることを防止して、NRRO(ハーフホワール)の発生を効果的に防止することができる。
なお、本実施形態では、凹部32a〜32dを複数設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、凹部を1つ、2つだけ設けた場合や、5つ以上設けた場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。また、複数の凹部を設けた場合でも、等間隔に配置する必要はなく、ランダムな間隔で配置されていてもよい。
【0033】
[実施形態4]
本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置について、図8(a)および図8(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、上記実施形態1において説明した部材と同じ形状、機能を有する部材については、同一の符号を付しその説明は省略する。
本実施形態に係る流体軸受装置は、図8(a)および図8(b)に示すように、油溜まり部311eに形成された非対称部として、スリーブの軸受孔における内周面側に形成されており円周方向において突出する複数の凹凸部(凹部(非対称部)33aおよび凸部(非対称部)33b)を用いた点で、上記実施形態1とは異なっている。
これにより、油溜まり部311eの溝内に凹部33aと凸部33bとを組み合わせて配置したことで、シャフト12との距離が不均一となるため、油溜まり部311eに溜まった気泡の塊は、狭い側の凸部33bとシャフト12との間から順次排出される。よって、油溜まり部311eからドーナツ状になった気泡の固まりが一気に排出されることを防止して、NRRO(ハーフホワール)の発生を効果的に防止することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、凹部33aと凸部33bとをほぼ等間隔で複数設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、凹部と凸部とを1つずつ設けた場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。また、複数の凹凸部を設けた場合でも、等間隔に配置する必要はなく、ランダムな間隔で配置されていてもよい。
[実施形態5]
本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置について、図9(a)および図9(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、上記実施形態1において説明した部材と同じ形状、機能を有する部材については、同一の符号を付しその説明は省略する。
【0035】
本実施形態に係る流体軸受装置は、図9(a)および図9(b)に示すように、油溜まり部411eに形成された非対称部として、油溜まり部411eに形成された非対称部として、スリーブの軸受孔における内周面側に形成されており円周方向において凹凸する1組の凹凸部(凸部(非対称部)34aおよび凹部(非対称部)34b)を用いた点で、上記実施形態1とは異なっている。
これにより、油溜まり部411eの溝内に凸部34aおよび凹部34bを組み合わせて配置したことで、シャフト221との距離が不均一となるため、油溜まり部411eに溜まった気泡の塊は、狭い側の凸部34aとシャフト221との間から順次排出される。よって、油溜まり部411eからドーナツ状になった気泡の固まりが一気に排出されることを防止して、NRRO(ハーフホワール)の発生を効果的に防止することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、凸部34aと凹部34bとを、スリーブの内周面におけるほぼ対向する面に1組だけ設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、対向面に配置された1組の凹部と凸部とを複数組設けた場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。また、複数の凹凸部を設けた場合でも、等間隔に配置する必要はなく、ランダムな間隔で配置されていてもよい。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態1では、油溜まり部11eに形成された非対称部として、図4等に示すように、油溜まり部11eの溝内に形成された1つの突出部31を用いた例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
例えば、図10に示すように、油溜まり部11eを構成する溝内においてほぼ等間隔に形成された複数の突出部(非対称部)131a〜131dを、非対称部として用いることもできる。
この場合でも、シャフト12の周辺を取り囲むように形成される気泡Aの固まりがドーナツ状のままで一気に排出されることを防止することで、NRRO(ハーフホワール)の発生を抑制することができる。
(B)
上記実施形態1では、スリーブ11に連通孔11bが形成されており、潤滑油26が循環する循環タイプの流体軸受装置20を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
例えば、図11に示すように、スリーブ111に連通孔がない非循環タイプの流体軸受装置120およびこれを搭載したスピンドルモータ110であっても、本発明の適用は可能である。
ただし、回転中に潤滑剤が循環する循環タイプの方が、循環中に油溜まり部に気泡が溜まり易いことを考慮すると、上記実施形態のように、循環タイプの流体軸受装置に対して本発明を適用することがより効果的である。
(C)
上記実施形態1では、ラジアル軸受部に形成されたラジアル動圧発生溝11c,11dとして、非対称ヘリングボーン形状の溝を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
例えば、ラジアル動圧発生溝として、対称ヘリングボーン形状の溝や、2つのスパイラル形状(略ハの字形状)の溝等、他の形状の溝を用いることもできる。
ただし、ラジアル軸受部における潤滑剤の流れる方向を、テーパシール部が形成された開放端側とは反対側へ形成して潤滑剤の漏れ出しを防止するという意味では、上記実施形態のように、非対称ヘリングボーン形状とすることがより好ましい。
(D)
上記実施形態1では、油溜まり部11eを構成する溝として、断面が略台形形状の溝を設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、油溜まり部の溝形状としては、断面が略四角形の溝や、三角形、半円形状のものを用いてもよい。
【0040】
ただし、油溜まり部の断面形状を略台形形状とすることで、適度な大きさとなった気泡の固まりを、台形形状を構成する斜めの面に沿って比較的スムーズに排出できるという点では、上記実施形態のように、断面形状が略台形形状の溝を用いることがより好ましい。
(E)
上記実施形態1では、本発明を、流体軸受装置20を含むスピンドルモータ10に対して適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図12に示すように、記録再生ディスク51に対して記録再生を行う記録ヘッド(記録再生ヘッド部)52を有する磁気記録再生装置(記録再生装置)50に搭載されるスピンドルモータ10(流体軸受装置20)に対しても本発明の適用は当然に可能である。
【0041】
また、記録再生装置としては、磁気記録再生装置に限らず、例えば、光ディスク等の他の記録再生装置に対しても搭載可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の流体軸受装置は、油溜まり部に溜まった気泡に起因するハーフホワールの発生を防止することができるという効果を奏することから、軸方向に沿って配置されたラジアル軸受部の間に油溜まり部を有する流体軸受装置を搭載した、例えば、HDD用スピンドルモータや高密度光ディスク用スピンドルモータ等に搭載される流体軸受装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る流体軸受装置を搭載したスピンドルモータの構成を示す断面図。
【図2】図1のスピンドルモータに含まれる流体軸受装置の一部を示す拡大図。
【図3】(a),(b)は、図1に含まれる流体軸受装置のラジアル軸受部における圧力の向きと分布とを示す図。
【図4】図1に含まれる流体軸受装置の内部構成を示す模式図。
【図5】(a),(b)は、図4の流体軸受装置内に設けられた油溜まり部周辺の構成を示す斜視図および断面図。
【図6】(a),(b)は、本発明の他の実施形態に係る流体軸受装置内に設けられた油溜まり部周辺の構成を示す斜視図および断面図。
【図7】(a),(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置内に設けられた油溜まり部周辺の構成を示す斜視図および断面図。
【図8】(a),(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置内に設けられた油溜まり部周辺の構成を示す斜視図および断面図。
【図9】(a),(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置内に設けられた油溜まり部周辺の構成を示す斜視図および断面図。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置内に設けられた油溜まり部周辺の構成を示す断面図。
【図11】本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置を搭載したスピンドルモータの構成を示す断面図。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置を搭載したスピンドルモータを含む記録再生装置の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0044】
10 スピンドルモータ
11 スリーブ
11a 軸受孔
11b 連通孔
11c ラジアル動圧発生溝(ラジアル軸受部)
11d ラジアル動圧発生溝(ラジアル軸受部)
11e 油溜まり部
12 シャフト
13 スラストフランジ
14 スラスト板
15 ロータハブ(ハブ)
16 ロータマグネット(回転磁石)
17 ステータ
18 ベース
18a 凹部
18b 穴
19 スリーブキャップ
20 流体軸受装置
26 潤滑油(潤滑剤)
31 突出部(非対称部、凸部)
32a〜32d 凹部(非対称部)
33a 凹部(非対称部)
33b 凸部(非対称部)
34a 凸部(非対称部)
34b 凹部(非対称部)
50 磁気記録再生装置(記録再生装置)
51 記録再生ディスク
52 記録ヘッド(記録再生ヘッド部)
111 スリーブ
111e 油溜まり部
112 シャフト
120 流体軸受装置
131 偏芯部(非対称部)
131a〜131d 突出部(非対称部)
211e 油溜まり部
221 シャフト
311e 油溜まり部
411e 油溜まり部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受穴を有するスリーブと、
前記軸受穴内に相対回転可能な状態で配置されたシャフトと、
前記スリーブと前記シャフトとの間の隙間に充填された潤滑剤と、
前記シャフトの外周面と前記スリーブの内周面との間に形成されており、前記シャフトの軸方向に並んで形成されたラジアル動圧発生溝を含む複数のラジアル軸受部と、
前記軸方向に沿って配置された複数の前記ラジアル軸受部の間における、前記スリーブ側に溝状に形成された油溜まり部と、
前記油溜まり部に形成されており、前記シャフトの回転中心からみて径方向に非対称な非対称部と、
を備えている流体軸受装置。
【請求項2】
前記非対称部は、前記油溜まり部を構成する溝の形状を偏芯させることで形成されている、
請求項1に記載の流体軸受装置。
【請求項3】
前記非対称部は、前記油溜まり部を構成する溝内に形成された凸部である、
請求項1または2に記載の流体軸受装置。
【請求項4】
前記非対称部は、前記油溜まり部を構成する溝内に形成された凹部である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項5】
前記スリーブは、前記シャフトの軸方向に沿って形成された連通孔を有している、
請求項1から4のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項6】
前記潤滑剤は、前記ラジアル軸受部において、前記軸方向における開放端側とは反対側へ循環する、
請求項5に記載の流体軸受装置。
【請求項7】
前記ラジアル軸受部に含まれる前記ラジアル動圧発生溝は、非対称ヘリングボーン形状である、
請求項5または6に記載の流体軸受装置。
【請求項8】
前記油溜まり部は、前記シャフトを中心とする径方向に沿って略台形形状の断面を有している、
請求項1から7のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の流体軸受装置と、
前記シャフトあるいは前記スリーブのうち、回転する側に固定されたハブと、
前記ハブに取り付けられた回転磁石と、
前記回転磁石に対して磁束を付与するステータコイルが巻回されたステータと、
を備えているスピンドルモータ。
【請求項10】
請求項9に記載のスピンドルモータと、
前記ハブに装着された記録媒体に対して情報の記録再生を行う記録再生ヘッド部と、
を備えている記録再生装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−215544(P2008−215544A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56032(P2007−56032)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】