説明

流水監視システムおよび流水監視プログラム

【課題】監視対象にある水路の流水異常を経済的に有利な構成で効率よく検知し報知することができる流水量監視システムを提供する。
【解決手段】流水(Wb)部分を含む水路1の画像を撮影する単眼カメラ(一つのカメラ)11と、このカメラ11で撮影した水路1の画像をキャプチャするキャプチャ部12と、このキャプチャ部12でキャプチャした時系列の複数の画像から背景画像を作成し、背景画像の時系列に従う領域変化から水路1の流水量を判定する画像処理部13と、画像処理部13の判定結果の情報を出力する出力手段(表示部)19とを備える流水監視システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単眼カメラ(1つのカメラ)で撮影した水路の流水部分の時系列の画像をもとに水路の流水量を判定する流水監視システムおよび流水監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水路の流水状態を監視する監視手段として、従来では、監視員の直視若しくはモニタ画面による目視観察、若しくは、水流計、水圧計、流量計などの計測機器類を用いた自動計測による監視が実施されてきた。監視員による目視観察は、常時、監視員を配備しておかなければならず、人的負担が大きいとともに、流水量の異常を看過する虞があり、信頼にも問題がある。また、自動計測による監視は計測機器を水路内に装備する必要があり、設備の設置並びに保守点検作業に多くの時間と労力を要するとともに、経済性の面でも問題があった。さらに監視の対象となる水路が複数存在する施設や設備(例えば工業用冷却放水設備や人工落差水路等)においては、水路毎に上記した計測機器を設けなければならず、より問題が顕著であった。
【0003】
監視員のモニタ画面による水路監視技術として、従来では、監視カメラを用いて河川の流れ幅、流速、水位等を監視し、河川における土石流の発生を検知・予測する土石流発生予知装置が存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−208075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来では、水路の流水状態を監視する設備において、監視対象となる水路内に計測機器を装備する必要があることから、設備の設置並びに保守点検作業に多くの時間と労力を要するとともに、経済性の面でも問題があった。さらに、監視対象となる水路が複数存在する場合は、各水路について水路毎に計測機器を装備する必要があることから、上記問題がより顕著であった。
【0006】
本発明の実施形態は、監視対象にある水路の流水異常を経済的に有利な構成で効率よく検知し報知することのできる流水監視システムおよび流水監視プログラムを提供することを目的とする。
【0007】
また、監視対象にある複数の水路に対して、単眼カメラ(一つの撮像カメラ)を用いた簡単なシステム構成で各水路の流水異常を水路別に効率よく検知し報知することのできる流水監視システムおよび流水監視プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、流水部分を含む水路を撮影する単眼カメラと、前記単眼カメラで撮影した時系列の複数の画像から背景画像を作成する背景画像作成処理手段と、前記背景画像作成処理手段により作成された時系列の複数の背景画像から変化画素領域を抽出する差分処理手段と、前記差分処理手段が抽出した変化画素領域をもとに前記水路の流水量が正常状態にあるか否かを判定する判定処理手段と、を具備した流水監視システムを提供する。
【0009】
また、単眼カメラで撮影した水路の画像をもとに前記水路の流水量を監視する流水監視システムとしてコンピュータを機能させるための流水監視プログラムであって、前記単眼カメラで撮影した時系列の複数の画像から背景画像を作成する背景画像作成処理機能と、前記背景画像作成処理が作成した時系列の複数の背景画像から変化画素領域を抽出する差分処理機能と、前記差分処理機能が抽出した変化画素領域をもとに前記水路の流水量が正常状態にあるか否かを判定する判定処理機能とをコンピュータに実現させる流水監視プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、監視対象にある水路の流水異常を経済的に有利な構成で効率よく検知し報知することができる。また、監視対象にある複数の水路に対して、単眼カメラ(一つの撮像カメラ)を用いた簡単なシステム構成で各水路の流水異常を水路別に効率よく検知し報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る流水監視システムの構成を示すブロック図。
【図2】上記実施形態における監視対象と監視対象を撮像するカメラの配置例を示す図。
【図3】上記図2に示す監視対象とカメラの配置例を示す側面図。
【図4】上記実施形態においてカメラで撮影した画像中の監視対象領域区分の一例を示す図。
【図5】上記実施形態の流水監視システムにおける超過判定処理を説明するための図。
【図6】上記実施形態の流水監視システムにおける背景画像作成処理および背景差分処理を説明するための図。
【図7】上記実施形態に係る流水監視システムの処理手順を示すフローチャート。
【図8】上記実施形態に係る流水監視システムの背景画像作成用バッファの構成を示す図。
【図9】上記実施形態に係る流水監視システムの背景画像作成処理部の機能ブロック図。
【図10】上記実施形態に係る流水監視システムの背景画像作成処理部の動作概念を示す図。
【図11】上記実施形態に係る流水監視システムの差分処理イメージ図。
【図12】上記実施形態に係る流水監視システムの差分画素処理ロジックの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る流水監視システムは、[流水量の増加=背景の減少]、[流水量の減少=背景の増加]として捉え、背景画像の時系列の領域変化をもとに水路の流水量を認識するもので、流水部分を含む水路を単眼カメラで撮影し、撮影した時系列の複数の画像から背景と見做した画素集合を背景画像として認識し、認識した時系列の背景画像の領域の変化から上記水路の流水量を認識し、上記水路の流水量状態が正常な流水量状態にあるか否かを判定する。具体例を挙げると、工業用水路の複数の放水路から放水される流水(例えば複数の放水口の落差部分を流れる水)を一台のカメラ(単眼カメラ)で同時に撮影し、放水単位に切り出して、切り出した画像毎に背景画素と見做した画素領域を背景画像として認識し量子化して、時系列の複数の背景画像における領域差分から上記各放水路毎の流水量を認識し、上記各放水路の流水量を同時に監視する(図1乃至図7参照)。上記した背景画像の認識処理を実現する具体例として、上記カメラで撮影した画像を順次入力し、入力した一定期間内の複数の画像を対象に、画素あたりの輝度平均値および標準偏差を算出し、この算出で得た標準偏差若しくは輝度分散値をもとに、上記一定期間内の複数の画像の対応する画素を対象に、低輝度の一定の輝度変動範囲に収まる複数の画素を特定し、この特定した画素の平均輝度を用いて背景画像を作成する背景画像作成処理手段と、この背景画像作成処理手段が作成した背景画像と入力された現画像との画素毎の差分処理により背景変化画素を抽出し背景画像を更新する差分処理手段とを具備する。
【0013】
上記した実施形態の流水量監視機構は、それぞれ単眼カメラで撮影した画像から背景画像(背景画素と見做した画素領域)を認識し量子化して、背景画像の時系列変化に伴う領域の変化から水路の流水量を認識する画像処理技術により実現される。従って、水路の流水部分に直接センサを設けることなく、監視対象にある水路の流水異常を経済的に有利な構成で効率よく検知し報知することができる。また、監視対象にある複数の水路に対して、単眼カメラ(一つの撮像カメラ)を用いた簡単なシステム構成で各水路の流水異常を水路別に効率よく検知し報知することができる。
【0014】
以下図面を参照して本発明の実施形態に係る流水監視システムを説明する。
【0015】
この実施形態に係る流水監視システムは、図1に示すように、流水(Wb)部分を含む水路1の画像を撮影する単眼カメラ(一つのカメラ)11と、このカメラ11で撮影した水路1の画像をキャプチャするキャプチャ部12と、このキャプチャ部12でキャプチャした時系列の複数の画像から背景画像を作成し、背景画像の時系列に従う領域変化から上記水路1の流水量を判定する画像処理部13と、画像処理部13の判定結果の情報を出力する出力手段(表示部)19とを具備して構成される。
【0016】
カメラ11は、レンズユニットとレンズユニットの結像位置に設けられた撮像素子(例えばCCD固体撮像素子、若しくはCMOSイメージセンサ)とを具備して、流水部分を含む水路を対象に、撮像した一画面分の画像を所定の画素単位(例えば1フレーム320×240画素=QVGA)で出力する。
【0017】
カメラ11は、監視対象となる水路1の画像を一定の位置および画角で撮影する。この実施形態では、図2乃至図4に示すように、工業用の複数の放水路(例えば冷却用放水路)を監視対象水路として上記複数の放水路が1フレームの映像に収まるように予め設定された位置に固定され、上記複数の放水路を撮影した画像をフレーム単位の映像として出力する。図2は監視対象となる水路1の構成と同水路1に対するカメラ11の位置関係とを示す、水路を斜め上方からみたカメラ配置図、図3は図2に示す配置構成を側方からみたカメラ配置図、図4はカメラ11で撮影した水路1の切り出し画像を示す図である。
【0018】
図2および図3に示す構成では、カメラ11が撮影する流水(Wb)部分について、カメラ11に入射される水の揺らぎ(乱反射)をより際立たせるため、監視対象となる水路1に並設された複数本(n本)の放水口1d,1d,…,1dにおける落差部分1h,1h,…,1hを照明灯2により照明している。この照明灯2は、画像処理部13の処理動作に同期して点灯駆動される。この照明灯2による照明手段は、背景部分の静態画像と流水部分の動態画像との輝度差による識別を明確にするための手段であり、監視対象の周囲環境に応じて適宜設けられ、若しくは必要に応じて点灯駆動される。なお、ここでは、水路1を流れる放水用の流水(Wa)をm本の流水路の放水口1d,1d,…,1dに配分し、m本の流水路の放水口1d,1d,…,1dから落差部分1h,1h,…,1hに流水(Wb)を均等に放水して、被冷却部材(B)の表面を均一に冷却する工程を例に示している。
【0019】
図4に示す切り出し画像は、カメラ11が撮影したフレーム単位の画像に含まれる、m本の流水路の放水口1d,1d,…,1dの落差部分1h,1h,…,1hにおける各流水(Wb)から、1つの放水口1dを切り出し単位に、流水(Wb)部分の画像を、切り出し画像p1,p2,…,pnとして切り出している。上記画像処理部13は、この切り出し画像p1,p2,…,pnのそれぞれについて、切り出し画像を処理単位に、流水(Wb)の流水量判定処理を実施する。すなわち、切り出し画像p1,p2,…,pnのそれぞれを監視対象の水路として、流水(Wb)の流水量判定処理を実施する。ここでは、切り出し画像p1,p2,…,pnのそれぞれを単に水路の画像と呼称する。
【0020】
キャプチャ部12は、カメラ11が撮像したフレーム単位の画像を画像処理部13の処理対象画像(入力画像)として取り込み、後述する画像バッファメモリ(BUF-A)14aに保持する処理機能をもつ。
【0021】
画像処理部13は、上記水路の画像において、上記流水(Wb)部分の揺らぎ画像(動態画像)が占める領域の割合が多くなる程、背景(静態画像)の領域が減少することに着目して、上述したように、[流水量の増加=背景の減少]、[流水量の減少=背景の増加]として捉え、背景画像の時系列の領域変化をもとに水路の流水量を認識するもので、背景画像作成処理部14と、差分処理部16と、流水量変化判定処理部17と、判定出力処理部18とを具備して構成される。
【0022】
背景画像作成処理部14は、画像バッファメモリ(BUF-A)14aと背景画像バッファメモリ(BUF-B)14bと背景画像作成用バッファメモリ15とを具備し、キャプチャ部12でキャプチャした時系列の複数の画像から、上記水路の画像を単位に、後述する特定の条件を満たす画素を背景画素と見做し、その背景画素と見做した画素領域を背景(背景画像)として認識し、新たに入力された最新画像の背景との差分を抽出して抽出した差分をもとに背景を更新する処理機能を有する。この実施形態では、入力した一定期間内の複数の画像を対象に、画素あたりの輝度平均値および標準偏差を算出し、この算出で得た標準偏差若しくは輝度分散値をもとに、上記一定期間内の複数の画像の対応する画素を対象に、低輝度の一定の輝度変動範囲に収まる複数の画素を特定し、この特定した画素の平均輝度を用いて背景画像を作成する背景画像処理機能と、この背景画像処理機能で作成された背景画像と新たに入力された最新画像の背景との差分を抽出し抽出した差分をもとに背景を更新して背景更新画像を作成する背景画像更新処理機能とを有する。この処理に供される背景画像作成用バッファメモリ15の構成並びに背景画像作成処理部14のより詳細な処理については図8乃至図12を参照して後述する。
【0023】
差分処理部16は、差分領域バッファメモリ(BUF-C)16aを具備し、背景画像作成処理部14が作成した最新の(今回の)背景更新画像と前回の背景更新画像との画素毎の差分処理により背景の変化画素を抽出し、抽出した変化画素を2値化処理およびラベリングにより量子化し領域化して、変化した画素領域(背景の変化画素領域)を差分領域バッファメモリ16aに貯える処理機能を有する。なお、この実施形態では上記差分処理で背景の変化画素が抽出されない場合(背景に変化がない場合)であっても背景画像を更新するものとする。この差分処理部16における処理の概要を図5に示している。差分処理部16は、図5(a)に示すように、背景更新画像が作成される都度、背景画像バッファメモリ14bに貯えられた最新の(処理対象となる現在の)背景更新画像について、当該画像を前回の背景更新画像と比較し、背景の変化画素を抽出して、抽出した背景の変化画素領域を背景画像バッファメモリ14bに貯える。この際、差分処理部16は、図5(b)に示すように、背景更新画像が作成されると、差分処理により背景の変化画素を抽出し、抽出した背景の変化画素を2値化処理およびラベリング処理により量子化し領域化して差分領域バッファメモリ16aに貯える。この差分処理部16のより詳細な更新処理についても図8乃至図12を参照して後述する。
【0024】
流水量変化判定処理部17は、占有率バッファメモリ17aを具備し、差分処理部16により更新された時系列の複数の背景画像(背景更新画像)から、一定の時間経過(サンプリング周期)に伴い変化した領域(変化領域)について、当該変化領域が水路の画像領域に対して占める割合を算出し、算出した占有率(=流水量)が予め設定された領域パラメータ(Pa)により示された閾値を超過しているか否かを判定する処理機能を有する。この流水量変化判定処理部17の処理の概要を図6に示している。流水量変化判定処理部17は、図6に示すように、1つの水路の画像領域(Sz)について、領域変化の妥当性を判定する領域(Aa)を定める領域パラメータ(Pa)によって与えられた閾値をもとに流水量の正常/異常を判定する。領域パラメータ(Pa)は変化領域の変化率(画素の変化の割合)を判定する閾値である。この判定は、1つの水路の画像領域(Sz)について、上記時間経過に伴う背景画素の変化領域(Av)が領域パラメータ(Pa)によって与えられた閾値の領域(Sz−Aa)を超えて変化したとき、流水(Wb)の流水量が異常状態に陥ったと判定し、当該異常判定を示す判定結果情報を判定出力処理部18に出力する。これにより、各水路について、流水量が欠乏した異常状態を水路毎に検出し外部に報知することができる。上記した判定は、上記領域(Sz−Aa)の画素数と上記変化領域(Av)の画素数との差分により判定することができる。
【0025】
判定出力処理部18は流水量変化判定処理部17から複数(m本)の水路について水路毎に正常/異常を示す判定結果情報を受け、例えば、或る1つの水路について、異常判定を示す判定結果情報を受けると、同水路の流水量が異常状態に陥ったことを外部に報知すべく表示部14を含む所定の出力手段(例えばアラーム報知機器、無線通信機器等)を起動制御する処理機能を有する。また、定常状態においても上記m本の流水路の放水口1d,1d,…,1dについて、放水口毎に流水量の正常/異常を表示部14の表示画面に表示する処理機能を有する。
【0026】
上記構成による流水監視システムの処理手順について図7に示すフローチャートを参照して説明する。この処理では、背景画像作成処理部14により時系列の背景画像(背景更新画像)を作成し、この時系列の背景更新画像をもとに、差分処理部16により差分画素の抽出、量子化、領域化の各処理を実施して(ステップS1)、その領域の変化をもとに水路の流水量の正常/異常を判定し、判定結果の情報を出力する(ステップS2〜S4)。この処理を監視対象となる複数の水路について繰り返し継続して実施する。
【0027】
カメラ11は、監視対象となる水路1の画像を一定の位置および画角で撮影し、水路1の流水(Wb)部分における水の揺らぎを光の乱反射による輝度の変動を伴う画像として捉える。ここでは、m本の流水路の放水口1d,1d,…,1dの落差部分1h,1h,…,1hにおける流水(Wb)部分の画像をフレーム単位で撮影する。
【0028】
このカメラ11で撮影した画像はフレーム単位でキャプチャ部12にキャプチャされ画像処理部13の背景画像作成処理部14に設けられた画像バッファメモリ14aに貯えられる。画像バッファメモリ14aは、複数フレーム(例えば30フレーム)の画像を貯えるバッファメモリ領域を有し、最新の画像が入力される度に、最古の画像を破棄し、最新の画像を保持して、常時、最新の画像を含む一定フレーム数(30フレーム)の画像を更新し保持する。
【0029】
背景画像作成処理部14は、入力した一定期間内の複数の画像を対象に、画素あたりの輝度平均値および標準偏差を算出し、この算出で得た標準偏差若しくは輝度分散値をもとに、上記一定期間内の複数の画像の対応する画素を対象に、低輝度の一定の輝度変動範囲に収まる複数の画素を特定し、この特定した画素の平均輝度を用いて背景画像(背景画素の平均画像)を作成し、この背景画像と新たに入力された最新画像の背景(最新背景画像)との差分をとった背景の更新画像(背景更新画像)を作成して、この背景更新画像を背景画像バッファメモリ14bに貯える(ステップS1a)。
【0030】
差分処理部16は、背景画像作成処理部14が作成した最新の(今回の)背景更新画像と前回の背景更新画像との画素毎の差分処理により背景の変化画素を抽出し、抽出した変化画素を2値化処理およびラベリングにより量子化し領域化して、変化した画素領域(背景の変化画素領域)を差分領域バッファメモリ16aに貯える(ステップS1b〜S1e)。
【0031】
流水量変化判定処理部17は、差分処理部16により更新された時系列の複数の背景画像(背景更新画像)から、一定の時間経過(サンプリング周期)に伴い変化した領域(変化領域)について、当該変化領域が水路の画像領域に対して占める割合を算出し、算出した占有率(=流水量)が予め設定された領域パラメータ(Pa)により示された閾値を超過しているか否かを判定する(ステップS2,S3)。この処理では、図6に示すように、1つの水路の画像領域(Sz)について、領域変化の妥当性を判定する領域(Aa)を定める領域パラメータ(Pa)によって与えられた閾値をもとに流水量の正常/異常を判定する。この判定は、1つの水路の画像領域(Sz)について、放水口1dから落差部分1hに放水された流水(Wb)の流水量の差分(Av)が領域パラメータ(Pa)によって与えられた閾値を超えて変化したとき、流水(Wb)の流水量が異常状態に陥ったと判定し、異常判定を示す判定結果情報を判定出力処理部18に出力する。
【0032】
判定出力処理部18は流水量変化判定処理部17から複数(m本)の水路について水路毎に正常/異常を示す判定結果情報を受け、例えば、或る1つの水路について、異常判定を示す判定結果情報を受けると、同水路の流水量が異常状態に陥ったことを外部に報知すべく表示部14を含む所定の出力手段(例えばアラーム報知機器、無線通信機器等)を起動制御する(ステップS4)。なお、上記m本の流水路の放水口1d,1d,…,1dについて、放水口の流水量が正常である定常状態においても上記各流水路の放水口について、放水口毎に流水量が正常である旨を表示部14の表示画面に表示する。
【0033】
上記した処理(ステップS1〜S4)を上記m本の流水路の放水口1d,1d,…,1dの切り出し画像p1,p2,…,pnのそれぞれについて、順次、繰り返し実行する。
【0034】
上記したように、単眼カメラ11で撮影した画像から水の揺らぎの度合いを認識し量子化して流水量の異常を判定する画像処理機構が実現でき、これによって、水路の流水部分に直接センサを設けることなく、監視対象にある水路の流水異常を経済的に有利な構成で効率よく検知し報知することができるとともに、監視対象にある複数の水路に対して、一つの撮像カメラを用いた簡単なシステム構成で各水路の流水異常を水路別に効率よく検知し報知することができる。
【0035】
ここで、上記した実施形態に係る、背景画像作成処理部14および差分処理部16により実現される背景の画像更新技術について、その具現化した構成並びに動作を図8乃至図12を参照して説明する。
【0036】
単眼カメラ(一つのカメラ)で撮影した時系列の複数の画像から変化画素を含む矩形の領域を抽出する領域抽出処理機能を有する画像処理装置において、本出願人は、自動閾値の算出処理機能を備えた画像処理技術(特開2008−250892参照)を応用して、現在画像と過去画像から停止物を検知し、停止物と動物体を区別して画面上に表示することを可能にした停止物検知処理機能を実現した(特願2009−046885)。この停止物検知処理機能では、動きの多い画像の画素は輝度値のバラツキ(分散)が大きく、動きのない画像の画素は輝度値のバラツキが小さく低輝度の狭い輝度範囲内に安定して収まっていることに着目し、入力した一定期間内の複数の画像を対象に、画素あたりの輝度分散値と標準偏差を算出し、この輝度分散値または標準偏差を閾値に利用して、輝度値の分散が大きいところの画素は棄て、低輝度の狭い輝度範囲内に安定して収まっている画素のみを背景画素と見做し抽出して画素集合による背景画像を作成している。
【0037】
本発明の実施形態に係る背景画像作成処理機能の概要は、画面変動のない画素=背景画素と定義し、背景画素の平均画像と最新背景画素との差分をとり、背景変化画素を抽出する機能である。
【0038】
この実施形態では、カメラ(単眼カメラ)から取り込んだ1フレーム(1画面)分の画像データを、単に画像若しくは画面上の画像若しくは一画面分の画像と称している。
【0039】
背景画像作成処理部14は、背景画像作成用バッファ15をリード(R)、ライト(W)アクセスして、背景画像作成用バッファ15に格納された各種の情報をもとに、キャプチャ12より入力した時系列の複数の画像から画素毎の標準偏差を求める自動閾値処理の結果(輝度分散値または標準偏差)を利用して、低輝度値の変動の無い画素を特定し、その画素の平均輝度を利用して背景画像を作成するとともに、最新背景輝度と差分処理を実施して背景変化画素を抽出する処理機能を有する。
【0040】
背景画像作成処理部14は、カメラ11で撮影した画像をキャプチャ部12を介して順次入力し、入力した一定期間内の複数の画像を対象に、画素あたりの輝度平均値および標準偏差を算出し、この算出で得た標準偏差若しくは輝度分散値をもとに、上記一定期間内の複数の画像の対応する画素を対象に、低輝度の一定の輝度変動範囲に収まる複数の画素を特定し、この特定した画素の平均輝度を用いて背景画像を作成する背景画像作成手段と、この背景画像作成手段が作成した背景画像と入力された現画像との画素毎の差分処理により背景変化画素を抽出し背景画像を更
新する背景変化画素抽出手段とを具備して構成される。
【0041】
背景画像作成用バッファメモリ15は背景画像作成処理部14の背景画像作成処理に供される各種の記憶領域を提供する作業用のバッファメモリであり、代表的な背景画像作成用のバッファ構造を図8に示している。この背景画像作成用バッファ15には、背景輝度総和(ΣBi)を貯えるバッファ151、複数の背景画素の平均輝度である背景輝度(Ave_Bi)を貯えるバッファ155、30画面分の画像の背景画像=背景輝度(B0〜B29)画素単位でを貯えるバッファ153、背景輝度バッファ番号(BufNum)を画素毎に貯えるバッファ154、背景輝度登録数(EntryNum)を画素毎に貯えるバッファ155、背景輝度登録フレームカウンタ情報(EntryFrmCtr)を画素毎に貯えるバッファ156等の各領域が設けられる。さらに、演算途中の各種データ、内部パラメータ等を貯える領域、外部パラメータを貯える領域等が設けられる。なお、実際の構成では、この背景画像作成用バッファメモリ15に、キャプチャ部12から入力された1画面単位の画像データ(カラー)を貯える画像バッファメモリ14a、作成した背景画像(背景更新画像)を貯える背景画像バッファメモリ14b、および差分領域バッファメモリ16aが設けられる。
【0042】
この実施形態では複数枚の背景画素(平均輝度)の平均輝度を背景輝度として算出し利用するものとする(画素によって背景輝度の更新タイミングが異なるようになる)。この背景画像(平均輝度の平均)(Ave_Bi)と、背景輝度総和(ΣBi)に加え、画素によって背景更新タイミングが異なることから、画素毎に背景輝度(B0〜29)を作成するためのバッファ(30枚)153と、背景輝度バッファ番号を貯えるバッファ154、背景輝度登録数(最大29)を貯えるバッファ155、背景輝度登録フレームカウンタ情報(フレームカウント値)を貯えるバッファ15をそれぞれ準備する。
【0043】
この背景輝度(B0〜29)を作成するためのバッファ153には、背景画像作成処理部14で抽出処理した低輝度の安定画素がバッファ番号、フレームカウンタ情報等の指定に従い1画素単位で登録され、画素集合による背景画像が生成される。
【0044】
背景画像作成処理部14の機能ブロックを図9に示している。背景画像作成処理部14は、キャプチャ部12から入力した画像を貯える画像バッファメモリ21(画像バッファメモリ14aに相当)と、標準偏差を用いた自動閾値算出機能をもつ変動画素抽出部22と、背景画素の更新処理を実施する背景画像更新部23と、背景画像更新部23の更新処理を制御する背景画像更新管理部24と、間隔の開いた背景画素をリフレッシュ処理する背景画像リフレッシュ部25と、背景画像作成用のデータを貯えるバッファ26と、作成した背景画像を貯える背景画像バッファメモリ27(背景画像バッファメモリ14bに相当)とを具備して構成される。画像バッファメモリ21、背景画像作成用データバッファ26、背景画像バッファメモリ27等は図1に示す背景画像作成用バッファ15に置かれる。変動画素抽出部22には、低輝度の安定画素を抽出するための最低閾値(上下む限値)、利用フレーム数等が外部パラメータとして入力される。
【0045】
変動画素抽出部22は、画像バッファメモリ21から複数画面分の画像をリード(R)して、画素毎に、輝度平均、輝度分散、標準偏差の各値を算出する。背景画像更新管理部24は、現在フレームカウンタ情報に基づき、画素単位で、前回更新からの経過時間をチェックし、長時間にわたり更新されずに残っている画素について、背景画像リフレッシュ部25にリフレッシュを指示する。背景画像リフレッシュ部25はこの指示に従い、該当する背景画素をリフレッシュ処理する。一方、背景画像更新部23は、変動画素抽出部22から背景画素およびその輝度値と、輝度分散値若しくは標準偏差をリードし、当該背景画素(注目画素)の輝度分散値若しくは標準偏差が低輝度の安定画素であるか否かを判定し、低輝度の安定画素であると判定したとき、当該画素を背景画素と判定し、平均画像データを利用して、背景画像作成データの更新を実施し、更新処理した背景画像を背景画像バッファメモリ27に登録する。この背景画像バッファメモリ27への背景画像のバッファリングは、パラメータにより指定された間隔で実施される。
【0046】
上記背景画像作成処理部14における動作概念を図10に示している。本出願人により実現された自動閾値設定技術は、入力した一定期間内の複数の画素を対象に、画素あたりの輝度平均値と標準偏差を算出し、算出した画素毎の標準偏差を変化画素を抽出するための、対応する画素の閾値に設定している(特開2008−250892参照)。この自動閾値は、輝度の変動の大きい画素において高い閾値を自動的に設定し、変動の小さい画素=背景と思われる画素においては、低く安定した閾値を設定する。この特性を利用し、自動閾値が低い状態=背景の変動がない=背景画素と判断し、そのときの平均輝度を背景輝度として利用し、その集合にて平均画像を作成し、背景画像とする。そして、最新の登録背景輝度と現在の背景画像との差分処理を実施し、背景変化画素を抽出することを基本とする。この動作概念を図4に示している。この考え方により、動きのある画像中でも機能し、動物体検知している場所と同じ場所での停止物を高い認識率で認識可能にしている。一方、輝度の変動時間が長い画素は、背景画素として判定された状態から更新されない期間が長い状態となり、現状との乖離が発生している可能性が考えられるため、その場合は、背景画像をリフレッシュする機能を具備する。なお、図中の符号Taは最低閾値、SAは最低閾値(Ta)以下の低輝度安定範囲である。背景画像作成処理部14は、注目画素が最低閾値(Ta)以下の低輝度安定範囲(SA)にあるか否かを判定し、最低閾値(Ta)以下であるときに、背景画素の更新処理を実施する。
【0047】
この背景画像作成処理部14における背景画像作成処理では、入力された最新の画像(モノクロ/カラーの画像データ)をセットし、現在のフレームカウンタ情報を取得する。上記入力画像について、上記した画素毎の自動閾値の算出処理を実施する。この算出処理で算出された画素毎の輝度分散値若しくは標準偏差を利用して背景画素の作成並びに更新処理を実施する。
【0048】
背景画像の作成処理では、入力された画像を全画面分走査し、自動閾値の小さい(低輝度で安定している)画素(=最低閾値と同じ画素)を背景画素と判断する(閾値算出のタイミングに合わせる)。最新輝度登録フレームカウンタ情報と現在フレームカウンタ情報を比較し、フレームカウンタ値の乖離が大きい場合は、背景画像、背景輝度総和を0クリアし、背景輝度登録数を0で初期化、バッファカウンタ等も初期化する。最新輝度登録フレームカウンタ情報と現在フレームカウンタ情報を比較し、フレームカウンタ値の乖離が大きい場合は、背景画像、背景輝度総和を0クリアし、背景輝度登録数を0で初期化、バッファカウンタ等も初期化する(リフレッシュ処理)。背景輝度総和、最古背景輝度値、1フレーム前背景輝度を利用して、背景画像総和の更新、背景画像の更新、背景輝度バッファの更新を行う。なお、背景登録数が所定数(30フレーム)に達していない場合は、総和への足し込みのみを実行し、インクリメントする。この先入先出処理は[背景輝度(平均)=背景画素総和(29枚分)−最古背景輝度+1フレーム前の背景輝度/29]で表すことができる。また、現在平均輝度をバッファへ登録し、背景バッファカウンタのインクリメントを実施し、現在フレームカウンタ情報を背景画素更新フレームカウンタに格納する。背景画像は、最大30枚を、成熟/未成熟画像とセットでバッファリングするものとし、バッファリング周期(保存周期)は外部パラメータにて指定可能とする。また、現在バッファ番号+n秒前の背景画像、成熟/未成熟画像の取得関数を準備し、取得可能とする。なお、未成熟画像は、背景画像を作成可能な状態に至らない(背景輝度バッファ153に所定数の背景画像が登録されていない状態にある)背景輝度バッファ153上の背景画像であり、成熟画像は、背景画像を作成可能な状態にある(背景輝度バッファ153に所定数の背景画像が登録された状態にある)背景輝度バッファ153上の背景画像である。
【0049】
背景画像更新処理では、背景画像の更新対象画素数、および背景画像の更新画素数を初期化し、画像サイズ分ループして以下の処理を実施する。このループ処理では、処理対象となる注目画素の画素番号の取得し、その注目画素がマスク対象画素であるか否かを判定する。ここで、注目画素がマスク対象画素でない(更新対象画素である)とき、背景画像更新対象画素数をインクリメントし、その画素が所定の時間を経過した(リフレッシュ未更新間隔時間を超過した)リフレッシュ対象画素であるか否かを判定する。リフレッシュ対象画素でないとき、注目画素の背景画素更新処理を実施する。
【0050】
この注目画素の背景画素更新処理が正常終了したことを確認して、背景画像の更新画素数をインクリメントする。また、注目画素がマスク対象画素であるときは上記ループ内の各処理をスキップする。またリフレッシュ対象画素であるときは注目画素に対する背景情報の初期化処理を実施し、注目画素の背景画素更新処理を実施する。この背景情報の初期化処理では、背景画像輝度バッファの初期化、背景画像輝度現在バッファ番号の初期化、背景輝度登録数の初期化、背景輝度登録フレームカウンタの初期化、現在背景画像データの当該画素を初期化、最新登録背景画像データの当該画素を初期化、背景更新画像の当該画素を初期化、背景セットアップ画像の当該画素を初期化等が行われる。
【0051】
背景差分処理では、背景差分タイミングにおいて、入力画像を全画面走査し、注目背景輝度が、背景画像登録数が30に達している場合(成熟背景画像段階にあるとき)、現在バッファ番号背景輝度と背景画像(平均画像)を利用して図11に示す背景差分処理を実施する。なお、背景画像(平均画像)は、参照遅延時間を別途指定可能とする(何秒前に作成された背景画像と差分を実施するかを指定可能とする)。ここでの閾値は、図12に示すように、上限、下限の2値を有し、ヒステリシスをもった判定を行うようにする。
【0052】
上記したように、実施形態の流水量監視機構は、単眼カメラで撮影した水路の画像において、上記流水(Wb)部分の揺らぎ画像(動態画像)が占める領域の割合が多くなる程、背景(静態画像)の領域が減少することに着目して[流水量の増加=背景の減少]、[流水量の減少=背景の増加]として捉え、背景画像の時系列の領域変化をもとに水路の流水量を認識する画像処理技術により実現される。従って、水路の流水部分に直接センサを設けることなく、監視対象にある水路の流水異常を経済的に有利な構成で効率よく検知し報知することができる。また、監視対象にある複数の水路に対して、単眼カメラ(一つの撮像カメラ)を用いた簡単なシステム構成で各水路の流水異常を水路別に効率よく検知し報知することができる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。上記実施形態では、水路1を流れる放水用の流水(Wa)をm本の流水路の放水口1d,1d,…,1dに配分し、m本の流水路の放水口1d,1d,…,1dから落差部分1h,1h,…,1hに流水(Wb)を均等に放水して、被冷却部材(B)の表面を均一に冷却する工程を例に、背景画像の差分により流水量を正常/異常を判定する流水監視システムを例に挙げたが、これに限らず、例えば、河川の流水による路側幅の変化を背景の差分として捉え、背景画像の差分により河川の流水量を正常/異常を判定する流水監視システムを実現することも可能である。また、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除した構成であってもよい。また上記実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1…水路、1d…放水口、1h…落差部、2…照明灯、11…カメラ(単眼カメラ)、12…キャプチャ部、13…画像処理部、14…背景画像作成処理部、14a…画像バッファメモリ(BUF-A)、14b…背景画像バッファメモリ(BUF-B)、15…背景画像作成用バッファメモリ、16…差分処理部、16a…差分領域バッファメモリ(BUF-C)、17…流水量変化判定処理部、17a…占有率バッファメモリ、18…判定出力処理部、19…出力手段(表示部)、p1,p2,…,pn…切り出し画像、Wb…流水、Pa…領域パラメータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水部分を含む水路を撮影する単眼カメラと、
前記単眼カメラで撮影した時系列の複数の画像から背景画像を作成する背景画像作成処理手段と、
前記背景画像作成処理手段により作成された時系列の複数の背景画像から変化画素領域を抽出する差分処理手段と、
前記差分処理手段が抽出した変化画素領域をもとに前記水路の流水量が正常状態にあるか否かを判定する判定処理手段と
を具備したことを特徴とする流水監視システム。
【請求項2】
前記カメラは、複数の水路を同時に撮影し、前記背景画像作成処理手段は、前記各水路毎に前記背景画像を作成することを特徴とする請求項1に記載の流水監視システム。
【請求項3】
前記カメラは、前記水路の放水口における落差部の流水部分を含んで前記水路を撮影することを特徴とする請求項1または2に記載の流水監視システム。
【請求項4】
前記背景画像作成処理手段は、
前記カメラで撮影した画像を順次入力し、入力した一定期間内の複数の画像を対象に、画素あたりの輝度平均値および標準偏差を算出し、この算出で得た標準偏差若しくは輝度分散値をもとに、前記一定期間内の複数の画像の対応する画素を対象に、低輝度の一定の輝度変動範囲に収まる複数の画素を特定し、この特定した画素の平均輝度を用いて背景画像を作成する処理手段を具備し、
前記差分処理手段は、
前記背景画像作成処理手段が作成した背景画像と入力された現画像との画素毎の差分処理により背景変化画素を抽出し背景画像を更新する処理手段を具備する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の流水監視システム。
【請求項5】
前記背景画像作成処理手段は、前記作成した背景画像を時系列に貯える複数の背景輝度バッファと、この背景輝度バッファに貯えられた背景画像の画素毎のリフレッシュタイミングを管理するバッファ管理手段とを具備したことを特徴とする請求項4に記載の流水監視システム。
【請求項6】
前記バッファ管理手段は、前記背景輝度バッファに対する背景画像の更新制御を行う更新制御手段を具備したことを特徴とする請求項5に記載の流水監視システム。
【請求項7】
前記差分処理手段は、2値の閾値を用いてヒステリシスをもった背景画素の差分処理を実施することを特徴とする請求項1に記載の流水監視システム。
【請求項8】
単眼カメラで撮影した水路の画像をもとに前記水路の流水量を監視する流水監視システムとしてコンピュータを機能させるための流水監視プログラムであって、
前記単眼カメラで撮影した時系列の複数の画像から背景画像を作成する背景画像作成処理機能と、
前記背景画像作成処理が作成した時系列の複数の背景画像から変化画素領域を抽出する差分処理機能と、
前記差分処理機能が抽出した変化画素領域をもとに前記水路の流水量が正常状態にあるか否かを判定する判定処理機能と
をコンピュータに実現させることを特徴とした流水監視プログラム。
【請求項9】
前記背景画像作成処理機能は、前記カメラで撮影した画像を順次入力し、入力した一定期間内の複数の画像を対象に、画素あたりの輝度平均値および標準偏差を算出し、この算出で得た標準偏差若しくは輝度分散値をもとに、前記一定期間内の複数の画像の対応する画素を対象に、低輝度の一定の輝度変動範囲に収まる複数の画素を特定し、この特定した画素の平均輝度を用いて背景画像を作成する処理機能を有し、
前記差分処理機能は、前記背景画像作成処理手段が作成した背景画像と入力された現画像との画素毎の差分処理により背景変化画素を抽出し背景画像を更新する処理機能を有することを特徴とする請求項8に記載の流水監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−60268(P2012−60268A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199378(P2010−199378)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000220620)東芝テリー株式会社 (116)
【Fターム(参考)】