説明

流量制御装置、流量制御方法及び流量制御装置の検定方法

【課題】半導体製造装置等の稼働中において、流路を流れる流体の流量制御の精度を検定することが可能な流量制御装置を提供する。
【解決手段】流路4の流量を流量設定値になるようにバルブ駆動制御情報を流量制御弁機構7に出力する制御手段8と、流体の流量を検出する流量検出手段5と、流体の圧力を検出する圧力検出手段6とを備えている。制御手段8は、流量制御弁機構7にバルブ駆動制御情報を出力したときに、出力したバルブ駆動制御情報と流路の流量との関係を示す情報を、流路の流体の圧力に関連付けして記憶したバルブ特性情報Kを予め備えている。流量の制御中に、流量設定値と圧力検出手段6が検出した圧力値とに関連付けされる基準となるバルブ駆動制御情報を、バルブ特性情報Kを参照して求め、この求めたバルブ駆動制御情報と制御手段8が流量制御弁機構7に出力したバルブ駆動制御情報との差異量を流量制御の検定情報としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路などの流路を流れる比較的小流量の流体の流量を制御する流量制御装置、流量制御方法、及びこの流量制御装置が制御した流量制御の精度を検定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の半導体製品や電子部品を製造するときには、例えば、CVD装置のチャンバーにウエハを載置し、このチャンバー内に成膜に必要な原料や化学反応物質を含むプロセスガスを供給してウエハ上に半導体集積回路が形成される。この原料ガスとしては、SiH、WF、NH、等が使用され、成膜後のエッチング処理においてはこのエッチング用ガスとして、CH、Cl2、等が使用されている。
【0003】
近年、半導体製品や電子部品の小型化、高機能化の要求によりウエハに形成する半導体集積回路は一層微細化している。このため、CVD装置等の半導体製造装置に供給するプロセスガスは、その流量を精密、かつ高速に制御を実施しないと、半導体集積回路の品質が低下することになる。また、CVD装置等の製造装置を備えた半導体製造ラインは、多額の設備投資を必要とするために、各種の半導体製造装置の稼働率を向上させることも強く要求されている。
【0004】
このような半導体製造装置にプロセスガスを高い精度の流量で供給するために、従来からプロセスガスを流す管路(流路)に質量流量制御装置(又はマスフローコントローラ)を設けることが実施されている。
従来から実施されている質量流量制御装置(以下、流量制御装置という)は、流路の流量を測定する流量センサと流路の流量を調整するための流量制御弁機構を備えると共に、流量が外部から指示された目標流量値(流量設定値)になるようにこの流量制御弁機構の作動を制御するための制御装置を備えた構成となっている。そして、この制御装置は、流量センサから入力した流量測定値と設定流量値との差異量(ズレ量)を算出し、このズレ量に基づいて流路を流れる流量が目標流量値になるように流量制御弁機構の作動を制御している。
【0005】
このような構成の流量制御装置においては、外部の制御装置、例えば上位制御システムから流量設定信号により指示された設定流量値に対して、流路を流れる流量が高精度で一致するように流量制御を実施することが必要である。しかし、半導体製造装置を含む各装置自体が導入初期と比較して経年変化した場合には、導入初期と同じバルブ駆動制御情報(例えば、駆動電圧)を流量制御弁機構のアクチュエータに印加(出力)しても、流量センサやバイパスへの生成物の付着等により流路を流れるプロセスガスの流量が流量設定値と比較してズレが発生することがある。
【0006】
上記の課題を解決するために、流路に設置した流量制御装置が設計仕様通りに流量を制御することができているか否かを検定する流量検定の操作が、定期的、あるいは不定期に、該当する半導体製造装置の稼働を停止して実施されている。
【0007】
この流量検定の操作は、例えば、次のようにして実施されている。すなわち、流量制御装置の上流側であってプロセスガスを供給する流路(管路)に容量が既知の検定用タンクを接続する。続いて、所定の流量のプロセスガスを安定的にこの流路に流して検定用タンクにこのガスを充填した後、ガスの供給を停止する。次に、この検定用タンク内に蓄積されたガスが流路の下流側に流れ出るときのガス圧を所定の時間間隔で測定して得たガス圧の時間変化に係る情報(H1)を求める。続いて、この流量制御装置を製造ラインに導入した初期に上記と同じ操作で測定して得たガス圧の時間変化に係る情報(H0)と上記時間変化に係る情報(H1)とを比較してそのズレ量等を求めて、流量制御を行うための基準データのズレ量の程度を判定する。そして、この判定結果に基づいて、流量を制御する流量制御弁機構のアクチュエータに出力する基準となる電圧値等のバルブ駆動制御情報に係る制御データを補正する操作を行なっていた。
【0008】
このような流量の検定操作機能を備えた流量制御装置としては、例えば、本出願人が先に出願した下記特許文献1に記載の発明が提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開2006−38832号公報
【0010】
特許文献1には、流路を開閉する検定用バルブと、所定の容量を有する検定用タンクと、流路を流れる流体の圧力を検出して圧力検出信号を出力する圧力検出手段を設け、これら検定用バルブと検定用タンクと圧力検出手段とを用いて流量検定動作を行なうように制御する検定制御手段を備えた流量制御装置が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記した特許文献1に記載の流量制御装置は、流量制御装置の流量の検定操作を行なうときには、半導体製造装置からこの流量制御装置を取り外すことなく、流路を流れる流量の制御が流量制御装置を設置した初期時点における精度のズレ量を検定することが可能である。そして、この検定結果に基いて、流量を制御するための基準となる制御データを補正することを可能にしている。しかし、この検定操作を行なう際には、半導体製造装置の稼働を停止する必要があった。別の表現をすれば、半導体製造装置、例えば、CVD装置によりウエハ上に成膜を行なっているときにはこの検定操作を行なうことができなかった。さらに、流量の検定操作を行なうときには、半導体製造装置の稼働を停止すると共に、流路の他に捨てガスラインを別途設ける必要があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、半導体製造装置等にプロセスガスを供給するガス管等の流路に設置されている流量制御装置をこのガス管から取り外すことなく、かつ、半導体製造装置等の稼働中においても、この流量制御装置の流量制御の精度に関する検定処理と、この検定処理結果に基づいて、流路を流れる流量を外部システムから指示された流量設定値になるように補正することができる流量制御装置、その流量の制御方法及びこの流量制御装置の検定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、流体を流す流路に、流量を検出してその流量検出値を出力する流量検出手段と、バルブ駆動制御情報により弁開度を変えることによって前記流量を制御する流量制御弁機構とを設け、外部システムから入力される流量設定値に基づいて前記流量制御弁機構を制御する制御手段を備えた流量制御装置であって、
前記流路に前記流体の圧力を検出して圧力検出値を出力する圧力検出手段を設けると共に、
予め、前記制御手段はその記憶手段に、前記流路に前記流体を流して前記流量制御弁機構に基準となるバルブ駆動制御情報を出力したときに、前記基準となるバルブ駆動制御情報と前記流量検出手段が検出した基準となる流量検出値との関係を示す情報を、前記流体の圧力に関連付けして記憶したバルブ特性情報を備え、
さらに、前記制御手段は、前記バルブ駆動制御情報を流量制御弁機構に出力して前記流路の流量を制御しているときに、
前記流量設定値あるいは前記流量検出手段が検出した前記流量検出値と、前記圧力検出手段が検出した前記圧力検出値とに関連付けされる前記基準となるバルブ駆動制御情報を、前記バルブ特性情報を参照して求める処理を行なうバルブ特性情報参照手段と、
前記バルブ特性情報参照手段により求めた前記基準となるバルブ駆動制御情報と、前記制御手段が前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報との差異を示すバルブ制御差異量に基づいて、前記流量制御装置を検定する処理を行なう流量検定手段と、
を備えていることを特徴としている。
【0014】
さらに、本発明の流量制御装置において前記流量検定手段は、
前記制御手段が前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報と、前記圧力検出手段が検出した前記圧力検出値とに関連付けされる前記基準となる前記流量検出値を、前記バルブ特性情報を参照して求める手段と、
前記求めた基準となる前記流量検出値と、前記流量設定値あるいは前記流量検出手段が検出した前記流量検出値との差異を示す流量変化量に基づいて、前記流量制御装置を検定する手段を備えていることを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明の流量制御装置において前記制御手段は、前記バルブ制御差異量が予め設定した閾値を超えていると、前記流量検定手段を実行することを特徴としている。
【0016】
さらに、本発明の流量制御装置において前記制御手段は、前記バルブ制御差異量又は前記流量変化量に基づいて求めたバルブ駆動制御情報を、前記流量制御弁機構に出力する流量補正手段を備えていることを特徴としている。
【0017】
さらに、本発明の流量制御装置において前記制御手段は、前記バルブ制御差異量又は前記流量変化量が予め設定した閾値を超えていると、前記流量補正手段を実行することを特徴としている。
【0018】
さらに、本発明の流量制御装置において前記制御手段は、前記バルブ制御差異量又は前記流量変化量が予め設定した閾値を超えていると、
前記流量補正手段の実行可否に係る制御コマンドを前記外部システムに送信する手段と、前記送信した制御コマンドの応答として前記外部システムから送信される前記実行可否に係る応答コマンドに基づいて、前記流量補正手段を実行する手段を備えていることを特徴としている。
【0019】
さらに、本発明の流量制御装置において前記制御手段は、前記バルブ特性情報参照手段と前記流量検定手段とを、所定の時間間隔で実行させる手段を備えていることを特徴としている。
【0020】
さらに、本発明の流量制御装置において前記制御手段は、前記流量補正手段を所定の時間間隔で実行させる手段を備えていることを特徴としている。
【0021】
さらに、本発明の流量制御装置において前記制御手段は、前記バルブ特性情報参照手段と前記流量検定手段とを所定の時間間隔で実行させることにより求めた複数の前記バルブ制御差異量に基づいて、前記流量制御装置を検定する第2の流量検定手段を備えていることを特徴としている。
【0022】
また、本発明は、流体を流す流路に、制御手段が出力したバルブ駆動制御情報により弁開度を変えることによって前記流体の流量を制御する流量制御弁機構を設けて、前記流路を流れる流体の流量を外部システムから入力される流量設定値になるように制御する流量制御方法であって、
予め、前記制御手段の記憶手段に、前記流路に前記流体を流して前記流量制御弁機構に基準となるバルブ駆動制御情報を出力したときに、前記基準となるバルブ駆動制御情報と前記流体の流量検出値との関係を示す情報を、前記流体の圧力に関連付けしてバルブ特性情報テーブルとして記憶するステップと、
前記バルブ駆動制御情報を流量制御弁機構に出力して前記流路の流量を制御しているときに、
前記流量設定値あるいは前記流体の前記流量検出値と、前記流体の圧力検出値とに関連付けされる前記基準となるバルブ駆動制御情報を、前記バルブ特性情報テーブルを参照して求めるバルブ特性情報参照ステップと、
前記バルブ特性情報参照ステップにより求めた前記基準となるバルブ駆動制御情報と、前記制御手段が前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報との差異を示すバルブ制御差異量を算出し、前記算出したバルブ制御差異量に基づいて前記流路の流量制御の精度を検定する流量検定ステップと、
前記バルブ制御差異量に基づいて求めたバルブ駆動制御情報を、前記流量制御弁機構に出力する流量補正ステップを備えていることを特徴としている。
【0023】
さらに、本発明の流量制御方法は、前記バルブ制御差異量が予め設定した閾値を超えると、前記流量補正ステップを実行するステップを備えていることを特徴としている。
【0024】
さらに、本発明の流量制御方法は、前記バルブ制御差異量が予め設定した閾値を超えると、前記流量補正ステップの実行の可否に係る制御コマンドを前記外部システムに送信するステップと、
前記送信した制御コマンドの応答として前記外部システムから送信される応答コマンドに基づいて、前記流量補正ステップを実行するステップを備えていることを特徴としている。
【0025】
さらに、本発明の流量制御方法は、前記バルブ特性情報参照ステップと、前記流量検定ステップと、前記流量補正ステップとを、所定の時間間隔で実行させるステップを備えていることを特徴としている。
【0026】
さらに、本発明の流量制御方法は、前記バルブ特性情報参照ステップと前記流量検定ステップとを所定の時間間隔で実行させることにより求めた複数の前記バルブ制御差異量に基づいて、前記流路の流量制御の精度を検定する第2の流量検定ステップを備えていることを特徴としている。
【0027】
また、本発明は、流体を流す流路に、流量を検出してその流量検出値を出力する流量検出手段と、バルブ駆動制御情報により弁開度を変えることによって前記流量を制御する流量制御弁機構とを設け、外部システムから入力される流量設定値に基づいて前記流量制御弁機構を制御する制御手段を備えた流量制御装置の検定方法であって、
予め、前記制御手段の記憶手段に、前記流路に前記流体を流して前記流量制御弁機構に基準となるバルブ駆動制御情報を出力したときに、前記基準となるバルブ駆動制御情報と前記流体の流量検出値との関係を示す情報を、前記流体の圧力に関連付けしてバルブ特性情報テーブルとして記憶するステップと、
前記バルブ駆動制御情報を流量制御弁機構に出力して前記流路の流量を制御しているときに、
前記流量設定値あるいは前記流体の前記流量検出値と、前記流体の圧力検出値とに関連付けされる前記基準となるバルブ駆動制御情報を、前記バルブ特性情報を参照して求めるバルブ特性情報参照ステップと、
前記バルブ特性情報参照ステップにより求めた前記基準となるバルブ駆動制御情報と、前記制御手段が前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報との差異を示すバルブ制御差異量を算出し、前記算出したバルブ制御差異量に基づいて前記流路の流量制御の精度を検定する流量検定ステップと、
を備えていることを特徴としている。
【0028】
さらに、本発明の流量制御装置の検定方法において、前記流量検定ステップは、
前記制御手段が前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報と、前記圧力検出手段が検出した前記圧力検出値とに関連付けされる前記基準となる前記流量検出値を、前記バルブ特性情報テーブルを参照して求めるステップと、
前記求めた基準となる前記流量検出値と、前記流量設定値あるいは前記流量検出手段が検出した前記流量検出値との差異を示す流量変化量に基づいて、前記流路の流量制御の精度を検定するステップを備えていることを特徴としている。
【0029】
さらに、本発明の流量制御装置の検定方法は、前記バルブ特性情報参照ステップと前記流量検定ステップを、所定の時間間隔で実行させるステップを備えていることを特徴としている。
【0030】
さらに、本発明の流量制御装置の検定方法は、前記バルブ特性情報参照ステップと、前記流量検定ステップとを所定の時間間隔で実行させることにより求めた複数の前記バルブ制御差異量に基づいて、前記流路の流量制御の精度を検定する第2の流量検定ステップを備えていることを特徴としている。
【0031】
なお、本発明において、上記した「流量制御装置を検定する」、及び「流量制御の精度を検定する」とは、流路を流れる流体の流量が外部システムから指示された流量設定値R0になるように上記構成の流量制御装置で流量の制御を行っているときに、この流量制御装置の記憶手段に予め記憶した検定の基準となる情報を参照して、この流量制御の精度に係る情報(検定情報)をプログラム処理により求めることを示す。この検定情報としては、流路の流量を流量設定値R0にするために流量制御弁機構に出力すべき基準となるバルブ駆動制御情報Vsと実際に出力されたバルブ駆動制御情報V1との差異量、この実際にバルブ駆動制御情報V1が出力されたときの実際の流量検出値R1と流量設定値R0との変化(差異)量、等を示す。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、次の効果を発揮することができる。
本発明の流量制御装置は、半導体製造装置の稼働中においても、流量制御の精度に関する検定をプログラム処理により自動的に行なうことができる。このため、この検定処理を行なうときに、流路から流量制御装置を取り外すことなく、かつ、半導体製造装置等の稼働を停止する必要がないので、プロセスガスなどの流体を供給する半導体製造装置等の装置の稼働率を向上させることが可能な流量制御装置を提供することができる。さらに、本発明の流量制御装置は、この検定処理により得た情報に基づいて、直ちに、あるいは外部システムからの指示により、流路を流れる流量を流量設定値に一致するように流量の補正制御を行なう手段を設けているので、半導体製造装置で製造する半導体製品等の品質向上に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の流量制御装置に係る実施形態の一例を示す構成図、図2は図1に示す制御手段のハードウエアの構成例を示す図である。なお、以下に説明する流量制御装置の実施形態は、CVD装置等の半導体製造装置に供給するプロセスガス等の流量を制御する装置として使用する場合を例にして説明する。
【0034】
[流量制御装置の構成]
図1において、本発明の一実施形態を示す流量制御装置1は、半導体製造装置2にプロセスガス等のガス流体(以下、単に流体という)を矢印F方向に流す流路、例えば材質がステンレススチール製のガス管3内に形成されている流路4の途中に設置されている。そして、流量制御装置1は半導体製造装置2内に設けられているチャンバー(図示せず)に供給する流体の流量を制御するために使用される。なお、半導体製造装置2が成膜処理等を行なう稼働中においては、チャンバーは真空引きされて所定の減圧雰囲気の状態に設定され、この減圧雰囲気中のチャンバーに流体が供給される。
【0035】
流量制御装置1は、流路4を流れる流体の流量を検出する流量検出手段5と、流路4を流れる流体の圧力を検出する圧力検出手段6と、流路4の流体の流量を制御する流量制御弁機構7と、流量制御装置1の動作を制御する制御手段(制御装置)8、等を備えている。なお、圧力検出手段6は必ずしも流量制御装置1と一体に設ける必要はなく、ガス管3が形成する流路4の適所に設置してその検出信号を制御手段8に入力させるようにしてもよい。
【0036】
半導体製造装置2が成膜処理等を行なうときには、例えば、各種の半導体製造装置が設置された製造ライン全体の稼働を制御するホストコンピュータ等の上位の外部制御装置(以下、外部システムという)9は、該当する半導体製造装置2に供給すべき流体の流量を示す流量設定値(目標流量値)を流量設定信号S0として制御手段8に送信する。そして、制御手段8はこの流量設定信号S0を受信すると、予め備えている流量制御用ソフトウエア(以下、単にプログラムという)を作動させて、流路4を流れる流量が流量設定信号S0で指示された流量設定値に一致するように流量制御弁機構7の作動をPID制御等により制御する。
【0037】
なお、外部システム9は、必ずしも、製造ライン全体の稼働を制御するホストコンピュータ等の外部制御装置でなくてもよい。また、制御手段8は、流量検出手段5や圧力検出手段6等が検出した検出値及び演算して求めた各種の情報を、出力信号SOUTとして外部システム9に送信する処理を行なう。
【0038】
外部システム9から制御手段8に流量設定信号S0として送信される流量設定値に係る情報は、アナログ信号、又はデジタル情報として送信される。流量設定信号S0として送信される流量設定値の種別は、電圧値(V)、又は流量値(cc/min)として送信される。例えば、電圧値(V)が送信される場合には「0V〜5V」の範囲の値、流量値が送信される場合には例えば「0cc/min〜100cc/min」の範囲の値がアナログ信号、又はデジタル情報として送信される。
【0039】
例えば、外部システム9から制御手段8に上記した流量設定値が電圧値(V)として送信される場合、「0V」は流路4を流れる流体の流量を0に制御することを示し、「5V」は流量制御装置1が流路4に流すことができる最大の流量(フルスケール流量)、例えば、100cc/minに制御することを示す。
【0040】
図1には、流路4の上流側4a方向から下流側4b方向に、流量制御装置1を構成する圧力検出手段6、流量検出手段5、流量制御弁機構7をこの順序で配置した例を示しているが、流量検出手段5と圧力検出手段6は流量制御弁機構7の下流側4bに配置してもよい。
【0041】
流量検出手段5は、流路4の上流側4aから下流側4b方向に設けられた複数のバイパス管を束ねて構成された所定の長さを有するバイパス管群10と、このバイパス管群10の両端の開口部側にバイパス管群10を迂回するように配置したセンサ管11aを備えている。これにより、流路4を流れる流体のうちセンサ管11aに流れる流量を、バイパス管群10を流れる流量と比較して少量、かつ一定の比率で流すことができるようになる。すなわち、このセンサ管11aには流路4を流れる流量に対して、常に一定比率の流量を流すことが可能になる。
【0042】
また、センサ管11aが流路4の外側に位置する部分には、直列に接続された一対の電気抵抗線R1、R4が巻回されている。また、図示していない2つの基準電気抵抗線R2、R3と電気抵抗線R1、R4とは、いわゆるブリッジ回路を形成している。電気抵抗線R1、R4は、温度によってその電気抵抗値が変化する材質から構成されている。そして、このブリッジ回路に一定の電流を流したときの電位差をセンサ回路11bにより求め、この電位差を流量検出信号S1として、例えば、0V〜5Vの電圧値として制御手段8に出力するようになっている。なお、センサ回路11bで求めた電圧値は、増幅回路28(図2参照)で増幅処理を行なってA/D変換回路24a(図2参照)を介して制御手段8に入力するとよい。
【0043】
制御手段8は、流量検出手段5から流量検出信号S1、すなわち、流路4に流れている現時点の流体の流量値に係る情報(電圧値)を入力すると、この情報に基づいて現在流路4に流れている流体の流量を、例えば、「0cc/min〜100cc/min」の範囲の流量に換算する処理を行なって、この流量が外部システム9から受信した流量設定信号S0で表される流量設定値(例えば、60cc/min)に一致するように、流量制御弁機構7が備えている流量制御弁の開度を制御するための演算処理を行なう。
【0044】
圧力検出手段6は、例えば、圧力トランデューサから構成されている。そして、圧力検出手段6は、制御手段8の制御により、流路4を流れる流体の圧力を検出した圧力値に係る情報を圧力検出信号S2として、A/D変換回路を介して制御手段8に出力するようになっている。
【0045】
流量制御弁機構7は、上記したバイパス管群10の下流側4bに設けた流量制御弁12を有している。この流量制御弁12は、流路4を流れる流体の流量を直接的に制御するための弁体としての機能を発揮するために、例えば、Ni−Co合金からなる金属薄板であって屈曲可能なダイヤフラム13を備えている。また、流路4には、金属製薄坂13a等を固定して弁口14を形成している。そして、ダイヤフラム13を弁口14に向けて適宜屈曲変形させる(前進と後退)ことによって、弁口14の弁開度を任意に制御し得るようにしている。さらに、ダイヤフラム13を屈曲変形させることにより流量制御弁12が形成する弁開度を任意に制御する手段として、ダイヤフラム13の上面にアクチュエータ15を接続している。
【0046】
アクチュエータ15としては、例えば、積層型圧電素子(ピエゾ素子)、あるいは電磁式推力発生手段、等を使用することができる。アクチュエータ(以下、積層型圧電素子という)15の下端部には、例えば金属製の押し台16が取り付けられており、さらに、ダイヤフラム13の上面にもこの押し台16に対向させて、例えば金属製のベース台17が取り付けられている。そして、これら押し台16とベース台17とが対向するそれぞれの面部の中央部には断面がV型形状をなす凹部を形成し、このV型凹部内に、例えば、剛球18を介在させて全体を剛的に、かつ連続的に接続した構成にしている。積層型圧電素子15からなるアクチュエータをこのような構成にして適度な電圧を印加することにより、推力発生手段となる積層型圧電素子15で発生した直線方向の微小な変位(伸縮)による推力を、直接的に、かつ均一にダイヤフラム13に伝えることができる。
【0047】
積層型圧電素子15は、多数のPZTセラミック板に電極を形成して積層した構成からなっている。そして、この積層型圧電素子15に直流電圧を印加するとその電圧値に応じて長手方向に微小な伸縮が生じて、この伸縮に対応する微小な推力が積層した方向に発生する。なお、流量制御弁機構7を構成する積層型圧電素子15、押し台16、ベース台17、剛球18、ダイヤフラム13等は、ケース19内に収納されている。
【0048】
上記したように制御手段8は、プログラムの演算処理により流量制御弁機構7の流量制御弁12の開度を制御する作用を行なう。この制御を実施するために、制御手段8は制御プログラムによる演算処理で求めたこのバルブ駆動制御情報を、バルブ駆動信号S3としてバルブ駆動回路20に出力する。このバルブ駆動信号S3は、積層型圧電素子15に所定の電圧を印加するためのアナログ又はデジタルの制御情報となる。
【0049】
なお、積層型圧電素子15は、一般に0V〜150V程度の直流電圧を印加することによりこの印加した電圧値に応じて微小な変位(伸縮)を発生させることができる。従って、制御手段8は、例えば、「0V〜150V」を、例えば、一旦「0V〜5V」に換算したアナログ信号(又はデジタル信号)をバルブ駆動信号S3としバルブ駆動回路20に出力する処理を行なうようにする。
【0050】
一方、バルブ駆動回路20は、このバルブ駆動信号S3である電圧値を、積層型圧電素子15に微小な変位(推力)を発生させるためのバルブ駆動電圧に変換するための回路から構成する。そして、この変換されたバルブ駆動電圧(バルブ駆動制御情報)が積層型圧電素子15にバルブ駆動電圧信号S4として印加(出力)されると、このバルブ駆動制御情報に応じて積層型圧電素子15には微小な変位(下方向又は上方向の伸縮)が発生する。これにより、流量制御弁機構7の流量制御弁12の弁開度が変化し、流路4を流れる流体の流量が制御されることになる。
【0051】
なお、図1には示していないが、流路4の上流には半導体製造装置2に供給するプロセスガスを収容したタンク等のガス供給源が接続されている。さらに、このガス供給源と流量制御装置1とを連結するガス管3の適所にガス供給源から供給される流体の圧力を適度な値に調整するための圧力制御装置が設置されている。
【0052】
[制御手段の構成]
流路4を流れる流体の流量を外部システム9から流量設定信号S0により指示された流量設定値R0なるように制御する制御手段8は、CPUを備えたマイクロコンピュータからなる制御装置(制御基板)から構成されている。図2は、この制御手段8のハードウエアの構成例を示している。
【0053】
図2に示すように、制御手段8は、主としてCPU21、ROM22、RAM23、A/D変換回路24a、24b、24c、24d、D/A変換回路25、通信用インターフェース(I/F)回路26a及び26b等を搭載した回路(制御)基板から構成されている。また、CPU21、ROM22、RAM23、A/D変換回路24a、24b、24c、24d、D/A変換回路25、通信用I/F回路26a及び26bは、バス線27に接続されている。なお、A/D変換回路24a等、D/A変換回路25は入出力用I/F回路を介してバス線27に接続されるが、図2にはこれら入出力用I/F回路は示していない。
【0054】
CPU21は、ROM22に記憶されているプログラムを解析して流量制御装置1の動作を制御するための中央演算装置であって、32ビット等からなる高速のCPUを使用することが望ましい。ROM22には流量制御装置1の動作を制御するためのプログラムが記憶されている。なお、プログラムを記憶するROM22としては、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、あるいはフラッシュメモリを使用する。
【0055】
RAM23は、上記プログラムが計算領域(ワークエリア)、及びROM22に記憶されているプログラムが流量制御装置1の動作を制御するための基準データ(後記するバルブ特性情報など)を予め記憶させておくための記憶手段(メモリ)であって、制御手段8の電源がOFFになってもその記憶内容が保持されるメモリを使用する。なお、上記したバルブ特性情報はフラッシュメモリに記憶させてもよい。また、RAM23はCPU21に内蔵されているCPU内蔵RAMを使用して、プログラムの高速処理が実行されるようにしてもよい。
【0056】
上記したA/D変換回路24a、24b、24c、24dには、それぞれ流量検出手段5、圧力検出手段6、バルブ駆動回路20、温度検出手段30等が接続されている。なお、流量検出手段5は増幅回路28を介してA/D変換回路24aに接続するようにしてもよい。また、D/A変換回路25にはバルブ駆動回路20が接続され、バルブ駆動回路20により調整されたバルブ駆動制御情報(バルブ駆動電圧)がバルブ駆動電圧信号S4として積層型圧電素子15に印加される。
【0057】
通信用I/F回路26a及び26bは、外部の装置とのデータ通信を行なうためのI/F回路であって、通信用I/F回路26aには、例えば外部システム9となる上位のホストコンピュータが接続されている。また、I/F回路26bには、パーソナルコンピュータ等から構成されるモニタ装置29が接続されている。このモニタ装置29は、例えば、本発明の流量制御装置1を半導体製造ラインに導入した初期において、前記したバルブ特性情報をRAM23に記憶(登録)する処理を行なうとき、あるいは半導体製造装置2が稼働中に流量検出手段5や圧力検出手段6が検出した検出信号に係る情報をモニタリングするとき等、必要に応じて接続して使用する装置である。
【0058】
[バルブ特性情報のデータ構成]
続いて、制御手段8のRAM23に記憶しているバルブ特性情報のデータ構成例について説明する。このバルブ特性情報は、流量制御装置1が流路4を流れる流体の流量を制御しているときに、ROM22に記憶されている制御プログラムがその流量制御の精度を検定する処理と、この検定処理の結果に基いて流量を補正する処理を行なうために参照する情報をRAM23に予め記憶(登録)したデータテーブルである。
【0059】
流路4内を流量制御弁機構7の方向に流れる流体の圧力を所定の圧力値にして、この流量制御弁機構7を作動させるアクチュエータである積層型圧電素子15にバルブ駆動電圧信号S4に係るバルブ駆動電圧Vs(バルブ駆動制御情報)を印加したときに流路4を流れる流体の流量を測定して、このバルブ駆動電圧Vsと流体の流量Rsとの関係を求めると、図3に示すようになることが知られている。
【0060】
図3に示す線図は、流路4を流れる流体の圧力値を、それぞれ基準となる圧力値として、例えば、0.05MPa、0.1MPa、0.2MPa、0.3MPaに設定したときに、この流体の圧力値ごとに流量検出手段5が検出した基準となる流量検出値Rs(cc/min)と、積層型圧電素子15に印加した基準となるバルブ駆動電圧Vsとの関係を示している。なお、図3において、曲線L1は流体の圧力を0.05MPaに、曲線L2は流体の圧力を0.1MPaに、曲線L3は流体の圧力を0.2MPaに、曲線L4は流体の圧力を0.3MPaに設定したときの基準となるバルブ駆動電圧Vsと流量Rsとの関係を示す。
【0061】
図3に示すように、バルブ駆動電圧Vsが増加すると、流量制御弁12の弁開度が大きくなるので流路4を流れる流量は曲線的に増加する傾向になる。また、バルブ駆動電圧Vsを一定にしたときのバルブ駆動電圧Vsと流量Rsとの関係は、流体の圧力を0.05MPaから0.3MPaへと高くするほど流体の圧力差が大きくなるので、流路4の流量は多くなる
【0062】
本発明においては、流量制御装置1を製造して出荷前に、あるいは流量制御装置1の購入者がこの流量制御装置1を半導体製造ラインのCVD装置などのプロセスガスを供給するガス管3に設置した初期の時点に実稼働テストを行なって、プロセスガスの基準となる圧力値ごとに、積層型圧電素子15に基準となるバルブ駆動電圧信号S4に係るバルブ駆動電圧を種々変化させて印加したときの流量検出手段5が検出した流量検出値(cc/min、又は電圧値)を収集する作業を行なう。そして、これら収集したデータ(情報)から上記した図3に示すように、流量検出値Rsとバルブ駆動電圧Vsとの関係を示すデータ(情報)を流体の圧力値ごとに求めて、これらの情報をデータテーブル(以下、バルブ特性情報Kという)としてRAM23の所定の記憶領域に予め登録する操作を行なう。
【0063】
このバルブ特性情報Kは、本発明の流量制御装置1を半導体製造ライン等のプロセスガスを供給するガス管3に設置した後に、CVD装置等が稼働中であってこの流量制御装置1がプロセスガスの流量を制御しているときに、この流量制御装置1による流量制御の精度をプログラム制御に基づいて自動的に検定する処理を行なうために利用(参照)されるデータテーブルである。
【0064】
図4は、RAM23に記憶しているバルブ特性情報Kについて、そのデータ構成の一例を示している。図4に示すバルブ特性情報Kは、積層型圧電素子15に印加した基準となるバルブ駆動電圧Vs(V)と、このバルブ駆動電圧Vsを印加したときに流量検出手段5が流路4を流れる流体の流量を検出した基準となる流量検出値Rs(cc/min)との関係を、この検出したときの流体の基準となる圧力値Psである0.05MPa、0.1MPa、0.2MPa、及び0.3MPaごとに関連付けして登録した例を示している。
【0065】
図4に示すバルブ特性情報Kのデータ構成例では、基準となる流量検出値Rsは5cc/min刻みで、基準となる圧力値Psは0.05MPa、0.1MPa、0.2MPa、0.3MPaについて実稼働テストで収集した結果を示しているが、さらに、詳細な仕様の実稼働テストを行なって細かい刻みのバルブ駆動電圧Vsと流量検出値Rsで構成されるバルブ特性情報Kを作成してもよい。
【0066】
[プログラムの構成]
続いて、流量制御装置1の動作を制御するために制御手段8のROM22に記憶されているプログラムの構成を、図5に基づいて説明する。
【0067】
ROM22に記憶されているプログラムは、メイン制御プログラムPm、通信処理プログラムP1、流量検出信号入力プログラムP2、圧力検出信号入力プログラムP3、温度検出信号入力プログラムP4、バルブ駆動制御情報入力プログラムP5、流量制御(PID制御)プログラムP6、流量検定プログラムP7、バルブ特性情報登録プログラムP8、モニタリング処理プログラムP9、等から構成されている。
【0068】
メイン制御プログラムPmは、上記した各プログラムP1〜P9の作動を統括して制御するためのメインプログラムであって、流量制御装置1はメイン制御プログラムPmの制御に基づいて動作する。
通信処理(制御)プログラムP1は、外部システム9及びモニタ装置29との通信を行なうためのプログラムであって、サブプログラムとして外部システム9との通信処理を行なう通信プログラムP11、モニタ装置29との通信処理を行なう通信プログラムP12、補正許可問合せプログラムP13、等を備えている。
【0069】
流量検出信号入力プログラムP2は、流量検出手段5が検出した流量に係る検出信号S1を入力してRAM23に一旦記憶する処理を行なうためのプログラムである。圧力検出信号入力プログラムP3は、圧力検出手段6が検出した圧力値に係る検出信号S2を入力してRAM23に一旦記憶する処理を行なうためのプログラムである。温度検出信号入力プログラムP4は、温度検出手段30が検出した流体の温度に係る検出信号S5を入力してRAM23に一旦記憶する処理を行なうためのプログラムである。
【0070】
なお、温度検出手段30が検出した温度に係る情報は、流体の温度により流路4を流れる流量が微小に変化するので、制御手段8により流路4を流れる流量を制御するときに、必要に応じてこの入力した温度検出値を参照して、流量の制御量の補正をために使用する。
【0071】
また、バルブ駆動制御情報入力プログラムP5は、バルブ駆動回路20が積層型圧電素子15に印加したバルブ駆動制御情報に係るバルブ駆動電圧信号S4(電圧値)を、バルブ駆動電圧信号S6として制御手段8に入力してRAM23に一旦記憶する処理を行なうためのプログラムである。
【0072】
なお、バルブ駆動回路20は、制御手段8が演算して求めたバルブ駆動信号S3に係る電圧値を、バルブ駆動電圧信号S4に係る電圧値に変換する処理を行なう。従って、バルブ駆動制御情報入力プログラムP5は、制御手段8がバルブ駆動回路20に出力したバルブ駆動信号S3に係る電圧値に基づいて、バルブ駆動電圧信号S6(S4)を求める処理を行なうようにしてもよい。
【0073】
流量制御(PID制御)プログラムP6は、外部システム9から流量設定信号S0により受信した流量設定値R0に基づいて、流路4を流れる流体の流量をこの流量設定値R0に一致するように制御、いわゆるPID制御を実施するためのプログラムである。流量検定手段となる流量検定プログラムP7は、本発明に係る流量制御装置1の現在の流量制御の精度を検定する処理を行なうためのプログラムである。また、流量検定プログラムP7は、サブプログラムとしてバルブ特性情報参照プログラムP71、流量補正プログラムP72、検出データ解析プログラムP73、等を備えている。なお、メイン制御プログラムPmや流量検定プログラムP7等が実行する制御の処理手順については後記する。
【0074】
バルブ特性情報登録プログラムP8は、流量制御装置1を半導体製造装置2に設置した初期の段階において、前記したように実稼働テストを行なって収集したデータから、図4に示すデータ構成のバルブ特性情報KをRAM23に登録する処理を行なうためのプログラムである。
【0075】
また、モニタリング処理プログラムP9は、半導体製造装置2が稼働しているときに流量制御装置1が収集した流量検出値R1、圧力検出値P1、温度検出値、及び演算して求めた情報等をモニタ装置29にリアルタイムに送信する処理を行なうプログラムである。モニタ装置29はこれらの検出値等の情報を受信すると、受信した情報を表示装置に時系列的にグラフ表示する処理を行なう。モニタ装置29は、上記したように必要に応じて稼働させてもよい。
【0076】
なお、半導体製造装置2が稼働しているときには、上記したメイン制御プログラムPmは、通信処理プログラムP1、流量検出信号入力プログラムP2、圧力検出信号入力プログラムP3、温度検出信号入力プログラムP4、及びバルブ駆動制御情報入力プログラムP5、流量制御プログラムP6、流量検定プログラムP7等を、所定の時間間隔、例えば、10ms(10ミリ秒)ごとに作動させる制御を行う。
【0077】
[流量制御の手順]
続いて、制御手段8が上記したプログラムにより、流路4を流れる流体の流量を制御する手順と、流量の検定処理を行なう手順の一例を、図6に基づいて説明する。図6は、制御手段8が外部システム9から流量設定信号S0により流量設定値R0を受信したときに、メイン制御プログラムPmが実行する制御の手順を示すフローチャートである。
【0078】
なお、以下の説明において、外部システム9が流量設定信号S0として制御手段8に送信する流量設定値R0は、「0〜100cc/min」の範囲のデジタル値が送信される場合を例にして説明する。また、この流量設定値R0が「0」であると流路4を流れる流体の流量を「0」にすることを示し、「100」であると流量制御装置1が流路4に流すことができる最大の流量(フルスケール流量)、例えば、100cc/minに制御することを示す。
【0079】
また、外部システム9から流量設定信号S0により送信される流量設定値R0は、CVD装置等の稼働に追従させて、例えば、「0cc/min」を送信して所定の時間t1が経過した後に流量設定値R0として「60cc/min」が送信され、さらに所定の時間t2が経過した後に「30cc/min」が送信され、さらに所定の時間t3が経過した後に「0cc/min」が割込み通信処理により送信される。以下に、図6に示す処理手順をステップ順に説明する。
【0080】
(ステップS1)
メイン制御プログラムPmは、外部システム9から流量設定信号S0として流量設定値R0を割込み処理で受信すると、この受信した流量設定値R0をRAM23に記憶し、この流量設定値R0が「0」であるか否かを判定する処理を行なう。この判定の結果、流量設定値R0が「0」と判定されると、ステップS13に進んで流路4に流れる流量を「0」に制御する処理を行なう。一方、流量設定値R0が「0」を超えていると判定されると、ステップS2の処理に進む。
【0081】
なお、以下に説明するステップS2〜ステップS12の処理は、メイン制御プログラムPmにより、例えば、10msごとに作動するソフトウエア(タイマー)割込み処理Siにより実行されるように制御する。
【0082】
(ステップS2)
流量検出信号入力プログラムP2により、現時点において流量検出手段5が検出した流路4の流量の流量検出値R1に係る情報を流量検出信号S1として入力する処理を行なって、入力したこの流量検出値R1をRAM23に記憶する処理を行なう。制御手段8に入力される流量検出値R1は0〜5Vの電圧値として入力されるが、流量検出信号入力プログラムP2はこの入力した電圧値を例えば、「cc/min」で表される流量値に変換する処理を行なってRAM23に記憶する処理を行なう。なお、制御手段8に流量検出値R1として入力される0〜5Vの電圧値を、そのまま以下の処理で使用するようにしてもよい。
【0083】
(ステップS3)
メイン制御プログラムPmは流量制御プログラムP6を作動させて、例えばPID制御により流路4の流量を流量設定値R0にするためのバルブ駆動信号S3に係る電圧値を求める演算処理を行なう。続いて、この求めた電圧値をバルブ駆動回路20に出力する処理を行なう。
なお、PID制御により求めるバルブ駆動信号S3に係る電圧値は、流量設定値R0と流量検出値R1とを関連付けしたPID制御を実施するための基準制御情報を予めRAM23に登録しておくようにする。そして、流量制御プログラムP6は、流量設定値R0とステップS2で入力した流量検出値R1との差異量に基づいてRAM23に登録されているPID制御の基準制御情報を参照して、PID制御による流量の制御を実行する。
【0084】
(ステップS4)
上記ステップS1により、外部システム9から流量設定信号S0により指示された流量設定値R0(例えば、60cc/min)と、上記ステップS2で入力した流量検出値R1との差異量D1(D1=|R0−R1|)を算出し、この差異値D1が「0」か、あるいは予め設定した値α、例えば、「0.1cc/min」以下であるか否かを判定する処理を行なう。この判定処理により、D1はα以下と判定された場合にはステップS5に進む。一方、D1>αと判定された場合には、タイマー割込み処理Siに戻る処理を行なう。
【0085】
このステップS4は、現時点において流路4を流れている流量が外部システム9から指示された流量設定値R0に一致、又は流量設定値R0に対して、例えば「0.1cc/min」以下の精度の流量に達しているか否かを判定するための処理であって、上記差異量D1がαを超えていると判定されるとタイマー割込み処理Siに戻る処理を行なう。
【0086】
なお、ステップS4の処理を行なう理由は、次の通りである。例えば、流路4を流れる流体の流量を「0」(「0cc/min」)の状態から流量設定値R0である、例えば「60cc/min」になるようにプロセスガス供給源と流量制御装置1との間のガス管3に設置されている圧力制御装置を制御しても、流路4を流れる流量が直ちに「60cc/min」に達しないからである。
【0087】
(ステップS5)
バルブ駆動制御情報入力プログラムP5により、バルブ駆動回路20が積層型圧電素子15にバルブ駆動電圧信号S4として印加(出力)したバルブ駆動電圧値V1を、バルブ駆動電圧信号S6(図1参照)により入力してRAM23に記憶する処理を行なう。なお、このバルブ駆動電圧値V1は、前記したように、制御手段8がバルブ駆動回路20に出力したバルブ駆動信号S3に係る電圧値に基づいて、バルブ駆動電圧信号S4を求める処理を行なうようにしてもよい。
【0088】
(ステップS6)
圧力検出手段6が検出した流路4の圧力検出値P1に係る圧力検出信号S2を入力して、入力した圧力検出値P1をRAM23に記憶する処理を行なう。
【0089】
(ステップS7)
このステップS7〜ステップS10の処理は、流路4を流れる流体の流量の制御が流量制御装置1により精度高く実行されているか否かを検定する処理を行なう流量検定プログラムP7の制御に基づいて実行される。
【0090】
なお、流量制御装置1の検定処理を行なう理由は、前記したように、半導体製造装置を含む各装置自体が導入初期と比較して経年変化した場合には、導入初期と同じバルブ駆動制御情報(例えば、バルブ駆動電圧)を流量制御弁機構のアクチュエータに印加(出力)しても、この経年変化により、例えば、流量検出手段5のバイパス管群10やセンサ管11aへの生成物の付着等により流路4を流れるプロセスガスの流量が流量設定値R0と比較して制御のズレが発生することがあるからである。本発明の流量制御装置1は、この検定処理を、半導体製造装置が稼働中においても流量検定プログラムP7を作動させて図4に示すバルブ特性情報Kを参照して実行することに特徴がある。
【0091】
ステップS7においては、バルブ特性情報参照手段となるバルブ特性情報参照プログラムP71を作動させて、上記ステップS2の処理で入力した流量検出値R1と、上記ステップS6の処理で入力した圧力検出値P1との双方に関連付けされる基準となるバルブ駆動電圧Vsを、RAM23に記憶しているバルブ特性情報(バルブ特性情報テーブル)Kを参照して求める処理を行なう。なお、上記ステップS4の処理により、流量設定値R0と流量検出値R1とは一致あるいは極めて高い精度で近似しているので、このステップS7の処理においては上記流量検出値R1の代わりにこの流量設定値R0を採用してもよい。
【0092】
このステップS7の処理をデータ例に基づいて説明すると、次のようになる。例えば、ステップS2の処理で入力した流量検出値R1(又は流量設定値R0)が「60cc/min」、ステップS6の処理で入力した圧力検出値P1が「0.2MPa」であると、バルブ特性情報参照プログラムP71は、これら流量検出値R1と圧力検出値P1に係る圧力値「0.2MPa」の双方に関連付けされる基準となるバルブ駆動電圧Vsを、図4に示すバルブ特性情報Kを参照して求める処理を行なう。この例では、基準となるバルブ駆動電圧Vsとして図4の領域aに示す「53.609V」が求められることになる。
【0093】
なお、上記した流量検出値R1が「57cc/min」、圧力検出値P1が「0.25MPa」である場合には、この流量検出値R1と圧力値P1との双方に関連付けされる基準となるバルブ駆動電圧Vsをバルブ特性情報Kに登録されているデータから直接求めることができないので、直線近似補間等の演算処理を行なうプログラム(直線近似補間演算プログラム)により基準となるバルブ駆動電圧Vsを求める処理を行なうようにする。
【0094】
上記した流量検出値R1が「57cc/min」、圧力検出値P1が「0.25MPa」のときに、バルブ特性情報Kを参照して直線近似補間演算プログラムにより上記基準となるバルブ駆動電圧Vsを求める処理は、例えば、次の処理手順(1)〜(3)をプログラム化することにより求めることができる。
【0095】
(1)上記流量検出値R1「57cc/min」が含まれるバルブ特性情報Kの基準となる流量検出値Rsが「55cc/min」と「60cc/min」について、それぞれ流体の基準となる圧力値(Ps)が「0.2MPa」と「0.3MPa」に対応する4つの基準となるバルブ駆動電圧(Vs1)〜(Vs4)を求めてRAM23に記憶する。
(2)(57−55)/(60−55)の比例配分で、上記流量検出値R1「57cc/min」の圧力検出値P1が「0.2MPa」と「0.3MPa」にそれぞれ対応する2つのバルブ駆動電圧(Vs5)と(Vs6)を求めてRAM23に記憶する。
(3)上記(2)で求めた(Vs5)と(Vs6)について、((Vs6)−(Vs5))の値を、(0.25−0.2)/((0.3)−(0.2))の比例配分により求めた値を基準となるバルブ駆動電圧Vsとして決定する処理を行なう。
【0096】
(ステップS8)
このステップS8においては、上記ステップS5の処理でRAM23に記憶した積層型圧電素子15に印加した現時点のバルブ駆動電圧値V1と、ステップS7の処理で求めた基準となるバルブ駆動電圧値Vs、すなわち、現時点の流体の検出圧力値がステップS6で入力したP1であって、流量が流量設定値R0であるときの基準となるバルブ駆動電圧値Vsとの差異値(ズレ量)となるバルブ制御差異量D2(|V1−Vs|)を算出する処理を行なう。このバルブ制御差異量D2は、前記流量制御装置を検定するための検定情報となる。
【0097】
そして、ステップS8においては、このバルブ制御差異量D2が予め設定した閾値β、例えば、「0.01V」以上であるか否かを判定する処理を行なって、D2<βと判定された場合にはタイマー割込み処理Siに戻る処理を行なう。一方、D2がβ以上と判定された場合には次のステップS9に進む。
【0098】
上記の判定処理において、ズレ量D2<βと判定された場合には、現時点の流量の制御は、導入初期に求めたバルブ特性情報Kに登録されている基準となる情報通りに精度の高い流量制御が実施されていると判定することができる。このことは、積層型圧電素子15に印加するバルブ駆動電圧を補正して流量設定値R0に対して流量の補正制御を行う必要がないことを示す。
【0099】
一方、D2がβ以上と判定された場合には、バルブ特性情報Kに登録されている基準となる情報通りに精度の高い制御が実施されていないと判定できる。すなわち、現時点の流量は目標となる流量設定値R0と比較して、微少ではあるが無視できないズレが発生していると判定することができる。このことは、積層型圧電素子15に印加するバルブ駆動電圧を補正して、流量が流量設定値R0になるように流量の補正制御を行なう必要があることを示す。なお、上記所定値βは、極めて精度の高い検定処理を行なうために適切な電圧値、あるいは(|V1−Vs|)/Vsの値(例えば、0.1%)を設定するようにする。
【0100】
(ステップS9)
流路4の流体の圧力値が、ステップS6の処理においてRAM23に記憶した圧力値P1を基準となる圧力値として、ステップS5の処理でRAM23に記憶したバルブ駆動電圧V1(積層型圧電素子15に印加した電圧値)に関連付けされる基準となる流量検出値Rsを、バルブ特性情報参照プログラムP71によりバルブ特性情報Kを参照して求め、求めたこの基準となる流量検出値RsをRAM23に記憶する処理を行なう。この処理においても、バルブ特性情報参照プログラムP71は、圧力値P1の値を判定してこのP1の値によっては前記した直線近似補間演算プログラムを作動させて、基準となる流量検出値Rsを求める処理を行なうように制御する。
【0101】
(ステップS10)
流量検定プログラムP7により、ステップS2の処理でRAM23に記憶した現時点の流量検出値R1と、上記ステップS9の処理でバルブ特性情報Kを参照して求めた基準となる流量検出値Rsとの差異量である流量変化量Rd(Rd=R1−Rs)を算出する処理を行なう。この流量変化量Rdは、流路4を流れる流量が外部システム9から指示された流量設定値R0になるようにステップS3によりバルブ駆動電圧を制御したときに、この流量設定値R0に対する流量のズレ量を示すことになる。この流量変化量Rdも流量制御装置1を検定するための検定情報とすることができる。
【0102】
この流量変化量Rdが発生する原因は、前記したように、経年変化により流量検出手段5のバイパス管群10及びセンサ管11aへの生成物の付着や、流量制御装置1を半導体製造装置2にプロセスガスを供給するガス管路3に設置した時点からの各装置及びガス管3内の経時変化に伴って発生する不可避な理由によるものである。
【0103】
従って、流路4の流量が流量設定値R0に一致するように制御するためには、流量変化量Rdに相当するバルブ駆動電圧を求めて、積層型圧電素子15に印加するバルブ駆動電圧を補正する必要がある。本発明の流量制御装置1は、積層型圧電素子15に印加するバルブ駆動電圧をプログラム処理により自動的に補正する手段と、必要に応じて外部システムからの指示信号に基づいてこの補正を実行する手段を備えている。このバルブ駆動電圧の自動補正処理は、次のステップS11〜ステップ12により実行される。
【0104】
(ステップS11)
流量補正手段となる流量補正プログラムP72は、まず、現時点の流量検出値R1に上記流量変化量Rdを加味した補正流量値Rh(Rh=R0−Rd)を算出する処理を行なう。続いて、この補正流量値Rhに対応して積層型圧電素子15に印加するためのバルブ駆動電圧Vhを、バルブ特性情報Kを参照して求める処理を行なう。このバルブ駆動電圧Vhを求める処理は、例えば、次の手順により求めることができる。
【0105】
すなわち、バルブ特性情報Kを参照して、ステップS5の処理でRAM23に記憶した圧力検出値P1と、上記処理で求めた補正流量値Rhとに関連付けされる基準となるバルブ駆動電圧(Vs)を求め、この処理で求めた基準となるバルブ駆動電圧(Vs)をバルブ駆動電圧Vhとする。例えば、圧力値P1が「0.2MPa」、補正流量値Rhが「55」であると、図4に示す基準バルブ特性情報Kを参照して、基準となるバルブ駆動電圧Vsは表示領域bに示す「52.653V」として求めることができる。なお、この処理においても、必要に応じて前記した直線近似補間演算プログラムを作動させて、基準となるバルブ駆動電圧Vsを求める処理を行なう。
【0106】
なお、ステップS11においては、上記各ステップで求めてRAM23に記憶した流量検出値R1、差異量D1、バルブ駆動電圧V1、圧力検出値P1、バルブ制御差異量D2、ステップS9で求めた基準となる流量検出値Rs、ステップS10の処理で求めた流量変化量Rd、及びこのステップS11で求めたバルブ駆動電圧Vhに係る各情報の全て、あるいはこれらの情報から予め取り決めた1種以上の情報を外部システム9に、また必要に応じてモニタ装置29に送信する処理を行なう。
【0107】
なお、外部システム9、及び必要に応じてモニタ装置29に上記した各情報を送信する処理を行なうタイミングは、流量検出値R1はステップS2で、差異量D1はステップS4で、バルブ駆動電圧V1はステップS5で、圧力検出値P1はステップS6で、バルブ制御差異量D2はステップS8で、流量変化量RdはステップS10で送信する等、各情報を求めたステップで送信する処理を行なうようにしてもよい。
【0108】
(ステップS12)
補正処理プログラムP72は、ステップS11の処理で求めたバルブ駆動電圧(Vh)に対応するバルブ駆動信号S3に係る電圧値を求める処理を行なって、この電圧値をバルブ駆動回路20に出力する。バルブ駆動回路20は、バルブ制御信号S3に係る電圧を積層型圧電素子15に印加する電圧値に変換し、この変換した電圧値に係るバルブ駆動信号S4を積層型圧電素子15に印加する。これにより、流路4を流れる流体の流量を流量設定R0に一致するように制御(補正制御)することが可能になる。
【0109】
(ステップS13)
流路4に流れる流量を「0」に制御する処理を行なう。この流量を「0」に制御する処理は、積層型圧電素子15に印加する電圧値を「0」にする処理を行なうことにより可能になる。
【0110】
上記したステップS12の処理が終了、すなわち、上記したステップS2の処理がスタートして、例えば10msが経過すると、タイマー割込み処理Siが作動して再びステップS2〜ステップS12の処理が実行されることになる。なお、このソフトウエア割込み処理Siは、外部システム9から次の新しい流量設定値R0に係る流量設定信号S0が送信されるまで繰り返されることになる。
【0111】
上記したステップS12の処理が実行されると、ステップS2の処理で入力した流量検出値R1と、ステップS9の処理でバルブ特性情報Kを参照して求めた基準となる流量検出Rsとの流量変化量Rdに基づいて、流路4を流れる流量を、外部システム9から指示された流量設定値R0に高い精度で一致するように補正する制御を実行することが可能になる。
【0112】
また、この流量を流量設定値R0に高い精度で一致するように補正する制御は、ソフトウエア割込み処理Siが作動する所定の時間間隔ごと、例えば、上記した10msごとに実行されるので、外部システム9から指示された流量設定値R0と実際の流量値とに、経年変化等に伴うズレが発生しても、半導体製造装置2が稼働中においても、極めて短時間で流路4を流れる流量を流量設定値R0に高い精度で一致させる制御を行うことができるようになる。
【0113】
また、前記ステップS10の処理において、算出した流量変化量Rdが予め設定した閾値より大きいか否かを判定して、この閾値より大きいと判定された場合にステップS11に進み、閾値以下と判定された場合にはタイマー割込み処理Siに戻る制御を行なうようにしてもよい。
【0114】
[第2の実施形態]
通常、外部システム9となるホストコンピュータは、半導体製造ラインに設置されている各種の半導体製造装置からリアルタイムで各種の製造条件に係る実績情報を収集し、これら収集した情報をモニタ装置に表示して、製造ラインに異常が発生していないか否かを監視者が監視する監視システムを備えている。
【0115】
以下に説明する本発明の第2の実施形態は、外部システム9の指示情報に基づいて、前記した流量の補正制御を実施する手段を採用したことに特徴がある。
すなわち、第2の実施形態においては、上記した流量変化量Rdが発生したときに、制御手段8は流量の補正制御を行なうか否かの補正許可依頼の信号を外部システム9に送信する。そして、制御手段8はこの補正許可依頼の応答信号として「補正許可」の信号を受信すると前記したステップS12に記載の流量補正の処理を実行し、「補正不許可」の信号を受信すると流量の補正を行なわないようにすることに特徴がある。
【0116】
この第2の実施形態を実施するためのハードウエアの構成は図1及び図2に示す構成と同一であるが、制御手段8が備えるプログラムの処理手順は図6に示す手順と異なる部分があるので、以下、本発明の第2の実施形態を実施するための処理手順の概要を図7と図8に基づいて説明する。
【0117】
図7は、メイン制御プログラムPmの制御に従って、外部システム9との通信を行なう通信プログラムP11の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、図7に示すステップ順にその処理内容の概要を説明する。
【0118】
(ステップS21)
外部システム9から割込み処理で受信した制御コマンドが如何なるコマンドであるかを判定する。
【0119】
(ステップS22)
ステップS21の判定処理の結果、受信した制御コマンドが流量設定信号S0に係る制御コマンドであると判定されるとステップS27に進み、流量設定信号S0以外の制御コマンドである場合にはステップS23に進む。
【0120】
(ステップS23)(ステップS24)
受信した制御コマンドが流量補正の許可コマンドであると判定されると、ステップS24により制御コマンドに「許可」に係る情報が含まれているか否かを判定し、「許可」情報が含まれているとステップS25に進む。一方、制御コマンドに「不許可」情報が含まれているとステップS26に進む。
【0121】
(ステップS25)
RAM23の所定の記憶領域に設定した補正許可フラグに、流量補正の許可を示す情報、例えば「1」を記憶する処理を行なって、外部システム9からの受信割込み処理を終了する。
【0122】
(ステップS26)
RAM23に設定した補正許可フラグに、流量補正の不許可を示す情報、例えば「9」を記憶する処理を行なって、外部システム9からの受信割込み処理を終了する。なお、補正許可フラグには初期値として、例えば「0」を記憶する処理を行なうようにする。
【0123】
(ステップS27)
流量設定信号S0に含まれている流量設定値R0に係る情報が「0」であるか否かを判定し、「0」の場合には図6に示すステップS13の処理を実行する。一方、流量設定値R0に係る情報が「0」以外の情報であると、図6に示すタイマー割込み処理Siを実行するように制御する。
【0124】
(ステップS28)
予め設定された制御コマンド以外のコマンドを受信したので、エラー処理を行なって外部システム9からの受信割込み処理を終了する。
【0125】
第2の実施形態を実施するためには、上記したステップS21〜ステップS28の処理に伴って、前記した制御手段8が実行する図6に示す流量の制御と検定処理の手順を示すステップS2〜ステップS12の処理手順の一部を変更する必要が生じる。図8は、この変更した処理手順を示している。
【0126】
第2の実施形態を実施するための手順が、図6に示す第1の実施形態を実施するため手順と異なる箇所は、図6に示すステップS11とステップS12との間に、図8に示すステップS11aとステップS11bの処理を挿入したことにある。
【0127】
すなわち、図8に示すステップS11aでは、補正許可問合せプログラムP12により、流量補正手段(流量補正プログラムP72)の実行可否に係る制御コマンド(補正許可問合せコマンド)を外部システム9に送信する。なお、このステップS11aにおいては、例えば、前記したバルブ制御差異量D2と流量変化量Rdの一方または双方が予め設定した閾値以上と判定されると、ステップS11aとステップS11bの処理を実行させる制御を行なうようにしてもよい。
【0128】
図8に示すステップS11bにおいては、前記したステップS25又はステップS26の処理で実行した処理、すなわち、補正許可フラグに記憶されている内容を判定する処理を行なう。そして、補正許可フラグに「1」が記憶されていると前記したステップS12に進んで、流量を補正する処理を実行する。一方、補正許可フラグに「0」又は「9」が記憶されていると、再びタイマー割込み処理Siに戻る処理を行なう。
【0129】
なお、上記した第2の実施形態において、外部システム9が制御手段8に送信する流量補正許可に係る情報を求める処理は、例えば、次の手段1、手段2の何れかを適宜採用することができる。
【0130】
(手段1)
外部システム9が備えている監視システムのモニタ装置を監視する監視者が、「流量補正許可」又は「流量補正不許可」に係る情報をキーボード等の入力手段から入力する。
なお、このように監視者に流量補正許可、又は不許可に係る情報を入力させるためには、前記したステップS11の処理で、流量制御装置1からSOUT信号として送信される流量検出値R1、差異量D1、バルブ駆動電圧V1、圧力検出値P1、流量差異値D2、基準流量Rs、流量変化量Rd、バルブ駆動電圧Vhに係る情報、等を監視システムのモニタ装置にリアルタイムにグラフィック表示を行なうようにする。
【0131】
(手段2)
前記ステップS11の処理により、制御手段8からリアルタイムでSOUT信号として送信される流量検出値R1、差異量D1、バルブ駆動電圧V1、圧力検出値P1、・・・に基づいて、プログラム処理により流量を補正するか否かを自動判定し、その判定結果である「流量補正許可」又は「流量補正不許可」に係る情報を制御手段8に送信する。
【0132】
[第3の実施形態]
上記した本発明の第1の実施形態においては、メイン制御プログラムPmは、所定の時間間隔で前記バルブ特性情報参照手段と、前記流量検定手段と、前記流量補正手段とを所定の時間間隔、例えば、10msごとに作動させる制御を行なう例について説明したが、本発明の第3の実施形態は、下記(処理1)〜(処理4)に記載の処理を行なう第2の流量検定手段を備えていることに特徴がある。
【0133】
(処理1)
図6に示す第1の実施形態の処理手順を示すフローチャートにおいて、ステップS2〜ステップS10は、所定の時間間隔、例えば、10msごとに作動させる。そして、ステップS10の処理で求めた流量変化量Rd、すなわち、ステップS2の処理で求めた現時点の流量検出値R1と、ステップS9の処理でバルブ特性情報Kを参照して求めた基準となる流量検出値Rsとの流量変化量Rd(Rd=R1−Rs)を、タイマー割込みSiが実施されるごとに、時系列的にRAM23に順次記憶する処理を行なう。
【0134】
(処理2)
ステップS9〜S10の処理は、タイマー割込みSiにより所定の時間間隔で実行されるので、RAM23に記憶した流量変化量Rdの数が予め設定した所定の数に達するまでカウント処理を行なう。そして、例えば、このカウント数が「500」に達すると検出データ解析プログラムP73(図5参照)を作動させる。
【0135】
(処理3)
検出データ解析プログラムP73は、RAM23に記憶した「500」個の流量変化量Rdの平均値を算出する処理を行なう。そして、この流量変化量Rdの平均値を、流量制御装置1を検定する検定情報とする。
(処理4)
上記(処理3)で求めた流量変化量Rdの平均値に基づいて、図6に示すステップS11とステップS12の処理を実行する。
【0136】
上記した第3の実施形態においては、時系列的に所定の時間間隔で求めた複数の流量変化量Rdの平均値に基づいて、流量制御の検定処理と積層型圧電素子15に印加するバルブ駆動電圧(バルブ駆動制御情報)を補正する処理を行なうので、流量検出手段や圧力検出手段が検出した検出値に異常値が含まれている場合には平均化されるので、ステップS12により流路4の流量制御を流量設定値R0に一致するようにより正確な補正を行なうことが可能になる。なお、流量変化量Rdの平均値に基づいて演算して求めた補正されたバルブ駆動電圧は、次の新しい所定の数の流量変化量RdがRAM23に記憶されるまでステップS12の処理により積層型圧電素子15に印加する制御を行うようにする。
【0137】
なお、この第3の実施形態においては、所定の時間間隔、例えば10秒間の間に求めた複数の流量変化量Rdの平均値に基づいて上記(処理4)の処理を行ない、10秒ごとにバルブ駆動電圧を補正する処理を行なうようにしてもよい。
【0138】
上記した本発明の実施形態において、流量制御弁機構7のアクチュエータを作動させる推力発生手段としては積層型圧電素子15を応用した例について説明したが、本発明の流量制御装置が備えている流量制御弁機構7の推力発生手段は、電磁力を応用した電磁式の推力発生手段(電磁バルブから構成されるアクチュエータ)を採用することも可能である。この電磁式アクチュエータを採用した場合には、制御手段8はバルブ駆動回路20に適切な範囲の電流値(バルブ駆動制御情報)を出力してその推力を制御する処理を行なうことになる。
【0139】
また、上記した本発明の流量制御装置に実施形態においては、プロセスガスを半導体製造装置に供給する例について説明したが、流路を流れる液体の流量制御についても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の流量制御装置の一実施形態について、その構成を説明するための構成図である。
【図2】図1に示す制御手段について、そのハードウエア構成の一例を説明するためのハードウエア構成図である。
【図3】図1に示す流量制御弁機構のアクチュエータとして積層型圧電素子を用いたときに、積層型圧電素子に印加した電圧値Vsと流路を流れる流体の流量Rsとの関係を、この流体の圧力ごとに表示した線図である。
【図4】図3に示す電圧値Vsと流量Rsとの関係を示す情報を、流体の圧力に対応させたデータテーブルとして図1に示す制御手段のRAM23に記憶したときのデータ構成の一例を説明するための図である。
【図5】本発明の流量制御装置の制御手段が流量を制御するために備えているプログラムについて、その構成例を説明するための図である。
【図6】本発明の流量制御装置が流量を制御するための第1の実施形態について、その処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態について、図1に示す制御手段が外部システムから受信した制御コマンドについて、その種別を判定する手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】同じく、本発明の第2の実施形態について、その処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0141】
1 :流量制御装置
2 :半導体製造装置
4 :流路
5 :流量検出手段
6 :圧力検出手段
7 :流量制御弁機構
8 :制御手段
9 :外部システム(ホストコンピュータ、等)
12 :流量制御弁
13 :ダイヤフラム
14 :弁口
15 :積層型圧電素子
20 :バルブ駆動回路
K :バルブ特性情報(バルブ特性情報データテーブル)
P6 :流量制御プログラム
P7 :流量検定プログラム
P71:バルブ特性情報参照プログラム
P72:流量補正プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流す流路に、流量を検出してその流量検出値を出力する流量検出手段と、バルブ駆動制御情報により弁開度を変えることによって前記流量を制御する流量制御弁機構とを設け、外部システムから入力される流量設定値に基づいて前記流量制御弁機構を制御する制御手段を備えた流量制御装置であって、
前記流路に前記流体の圧力を検出して圧力検出値を出力する圧力検出手段を設けると共に、
予め、前記制御手段はその記憶手段に、前記流路に前記流体を流して前記流量制御弁機構に基準となるバルブ駆動制御情報を出力したときに、前記基準となるバルブ駆動制御情報と前記流量検出手段が検出した基準となる流量検出値との関係を示す情報を、前記流体の圧力に関連付けして記憶したバルブ特性情報を備え、
さらに、前記制御手段は、前記バルブ駆動制御情報を前記流量制御弁機構に出力して前記流路の流量を制御しているときに、
前記流量設定値あるいは前記流量検出手段が検出した前記流量検出値と、前記圧力検出手段が検出した前記圧力検出値とに関連付けされる前記基準となるバルブ駆動制御情報を、前記バルブ特性情報を参照して求めるバルブ特性情報参照手段と、
前記バルブ特性情報参照手段により求めた前記基準となるバルブ駆動制御情報と、前記制御手段が前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報との差異を示すバルブ制御差異量に基づいて、前記流量制御装置を検定する流量検定手段と、
を備えていることを特徴とする流量制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、さらに、
前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報と、前記圧力検出手段が検出した前記圧力検出値とに関連付けされる前記基準となる前記流量検出値を、前記バルブ特性情報を参照して求める手段と、
前記求めた基準となる前記流量検出値と、前記流量設定値あるいは前記流量検出手段が検出した前記流量検出値との差異を示す流量変化量に基づいて、前記流量制御装置を検定する手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の流量制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記バルブ制御差異量が予め設定した閾値を超えていると、前記流量検定手段を実行することを特徴とする請求項1に記載の流量制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記バルブ制御差異量又は前記流量変化量に基づいて求めたバルブ駆動制御情報を、前記流量制御弁機構に出力する流量補正手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の流量制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記バルブ制御差異量又は前記流量変化量が予め設定した閾値を超えていると、前記流量補正手段を実行することを特徴とする請求項4に記載の流量制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記バルブ制御差異量又は前記流量変化量が予め設定した閾値を超えていると、
前記流量補正手段の実行可否に係る制御コマンドを前記外部システムに送信する手段と、前記送信した制御コマンドの応答として前記外部システムから送信される前記実行可否に係る応答コマンドに基づいて、前記流量補正手段を実行する手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の流量制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記バルブ特性情報参照手段と前記流量検定手段とを、所定の時間間隔で実行させる手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の流量制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記流量補正手段を所定の時間間隔で実行させる手段を備えていることを特徴とする請求項4、請求項5、請求項7のいずれかに記載の流量制御装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記バルブ特性情報参照手段と前記流量検定手段とを所定の時間間隔で実行させることにより求めた複数の前記バルブ制御差異量に基づいて、前記流量制御装置を検定する第2の流量検定手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の流量制御装置。
【請求項10】
流体を流す流路に、制御手段が出力したバルブ駆動制御情報により弁開度を変えることによって前記流体の流量を制御する流量制御弁機構を設けて、前記流路を流れる流体の流量を外部システムから入力される流量設定値になるように制御する流量制御方法であって、
予め、前記制御手段の記憶手段に、前記流路に前記流体を流して前記流量制御弁機構に基準となるバルブ駆動制御情報を出力したときに、前記基準となるバルブ駆動制御情報と前記流体の流量検出値との関係を示す情報を、前記流体の圧力に関連付けしてバルブ特性情報テーブルとして記憶するステップと、
前記バルブ駆動制御情報を前記流量制御弁機構に出力して前記流路の流量を制御しているときに、
前記流量設定値あるいは前記流体の前記流量検出値と、前記流体の圧力検出値とに関連付けされる前記基準となるバルブ駆動制御情報を、前記バルブ特性情報テーブルを参照して求めるバルブ特性情報参照ステップと、
前記バルブ特性情報参照ステップにより求めた前記基準となるバルブ駆動制御情報と、前記制御手段が前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報との差異を示すバルブ制御差異量を算出し、前記算出したバルブ制御差異量に基づいて前記流路の流量制御の精度を検定する流量検定ステップと、
前記バルブ制御差異量に基づいて求めたバルブ駆動制御情報を、前記流量制御弁機構に出力する流量補正ステップを備えていることを特徴とする流路の流量制御方法。
【請求項11】
前記バルブ制御差異量が予め設定した閾値を超えると、前記流量補正ステップを実行するステップを備えていることを特徴とする請求項10に記載の流路の流量制御方法。
【請求項12】
前記バルブ制御差異量が予め設定した閾値を超えると、前記流量補正ステップの実行の可否に係る制御コマンドを前記外部システムに送信するステップと、
前記送信した制御コマンドの応答として前記外部システムから送信される応答コマンドに基づいて、前記流量補正ステップを実行するステップを備えていることを特徴とする請求項10に記載の流路の流量制御方法。
【請求項13】
前記バルブ特性情報参照ステップと、前記流量検定ステップと、前記流量補正ステップとを、所定の時間間隔で実行させるステップを備えていることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の流路の流量制御方法。
【請求項14】
前記バルブ特性情報参照ステップと前記流量検定ステップとを所定の時間間隔で実行させることにより求めた複数の前記バルブ制御差異量に基づいて、前記流路の流量制御の精度を検定する第2の流量検定ステップを備えていることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれかに記載の流路の流量制御方法。
【請求項15】
流体を流す流路に、流量を検出してその流量検出値を出力する流量検出手段と、バルブ駆動制御情報により弁開度を変えることによって前記流量を制御する流量制御弁機構とを設け、外部システムから入力される流量設定値に基づいて前記流量制御弁機構を制御する制御手段を備えた流量制御装置の検定方法であって、
予め、前記制御手段の記憶手段に、前記流路に前記流体を流して前記流量制御弁機構に基準となるバルブ駆動制御情報を出力したときに、前記基準となるバルブ駆動制御情報と前記流体の流量検出値との関係を示す情報を、前記流体の圧力に関連付けしてバルブ特性情報テーブルとして記憶するステップと、
前記バルブ駆動制御情報を前記流量制御弁機構に出力して前記流路の流量を制御しているときに、
前記流量設定値あるいは前記流体の前記流量検出値と、前記流体の圧力検出値とに関連付けされる前記基準となるバルブ駆動制御情報を、前記バルブ特性情報を参照して求めるバルブ特性情報参照ステップと、
前記バルブ特性情報参照ステップにより求めた前記基準となるバルブ駆動制御情報と、前記制御手段が前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報との差異を示すバルブ制御差異量を算出し、前記算出したバルブ制御差異量に基づいて前記流路の流量制御の精度を検定する流量検定ステップと、
を備えていることを特徴とする流量制御装置の検定方法。
【請求項16】
前記流量検定ステップは、前記制御手段が前記流量制御弁機構に出力したバルブ駆動制御情報と、前記圧力検出手段が検出した前記圧力検出値とに関連付けされる前記基準となる前記流量検出値を、前記バルブ特性情報テーブルを参照して求めるステップと、
前記求めた基準となる前記流量検出値と、前記流量設定値あるいは前記流量検出手段が検出した前記流量検出値との差異を示す流量変化量に基づいて、前記流路の流量制御の精度を検定するステップを備えていることを特徴とする請求項15に記載の流量制御装置の検定方法。
【請求項17】
前記バルブ特性情報参照ステップと前記流量検定ステップを、所定の時間間隔で実行させるステップを備えていることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の流量制御装置の検定方法。
【請求項18】
前記バルブ特性情報参照ステップと、前記流量検定ステップとを所定の時間間隔で実行させることにより求めた複数の前記バルブ制御差異量に基づいて、前記流路の流量制御の精度を検定する第2の流量検定ステップを備えていることを特徴とする請求項15から請求項17のいずれかに記載の流量制御装置の検定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−157578(P2009−157578A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334128(P2007−334128)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】