説明

浄水システム

本発明の実施形態は、浄水のためのシステムおよび方法を提供する。システムは、予熱器(30)、脱気装置(40)、蒸発室(50)、デミスタ(70)、および制御システム(120)を有し、制御システム(120)は、浄化システム(10)が、使用者の介入または洗浄を必要とせずに、繰り返されるサイクルを通して動作することを可能にする。システムは、汚染された水試料から、微生物的汚染物質、放射性汚染物質、金属、塩、揮発性有機物、不揮発性有機物を含めた、複数の汚染物質を除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水の分野に関する。特に、本発明の実施形態は、単位入力水当たりの生産水の収率が比較的高い、数カ月間から数年間にわたって洗浄も使用者も介入を必要としない自動化されたプロセスにおいて、一般的な不純物のすべてを水から実質的に除去するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水源が次第に乏しくなり、自治体の飲料水分配システムが経時劣化し、増大した水の使用により源泉および貯水池が枯渇し、塩水汚染を引き起こしているので、浄水技術は、急速に、現代生活の欠くことのできない側面となってきている。さらに、たとえば集約農業、ガソリン添加剤、および毒性重金属を含む様々な行為により、水源のさらなる汚染が生じている。こうした問題は、水道中に、ますます増加する好ましくないレベルの、病原菌、細菌、塩、MTBE、塩素酸塩、過塩素酸塩、ヒ素、水銀、またさらには、飲料水を消毒するために使用される化学物質をもたらしている。
【0003】
逆浸透(RO)、濾過、および化学処理など、従来の技術は、多様な範囲の水質汚染物質をほとんど処理することができない。さらに、それらは市販されてはいるが、許容可能な水質を達成するために、多数の処理段階または様々な技術の組合せを必要とすることが多い。紫外線(UV)光照射またはオゾン処理など、より最近の技術は、ウィルスおよび細菌に対して有効となる可能性があるが、溶存ガス、塩、炭化水素、および不溶性の固体など、他の汚染物質をほとんど除去しない。さらに、ほとんどの蒸留技術は、一部の汚染物質の除去において優れていることがあるが、すべての汚染物質類を処理することはできないことが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、連続的かつ自浄式であり、入力水の大部分を回収する高性能の蒸留システムが、増大しつつある水質汚染問題および水不足を解決するための最良の長期的選択肢であると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施態様は、改善された浄水システムを提供する。浄水システムは、入口、予熱器、脱気装置、蒸発室、デミスタ、生成物凝縮器、廃棄物出口、生成物出口、および制御システムを備えることができる。制御システムは、使用者の介入または洗浄を必要とせずに、繰り返されるサイクルを通して浄化システムの動作を可能にする。システムは、汚染された水が、表1、表2、または表3に示されるレベルよりも最大25倍高い汚染物質類のレベルを有するとき、システムで浄化された水が、表1、2、または3に示されるレベルよりも低い、すべての汚染物質類のレベルを有するように、微生物的汚染物質、放射性汚染物質、金属、塩、揮発性有機物、および不揮発性有機物を含めた複数の汚染物質類を、汚染された水の試料から除去することができる。本システムの実施態様では、生成される水の体積は、入力水の体積の約20%から約95%の間とすることができる。システムは、少なくとも約2カ月間、6カ月間、1年間、またはそれ以上の使用を通して、洗浄を必要としない。
【0006】
システムはまた、入口を通る水の流れを調節するための、入口スイッチを備えることができる。スイッチは、たとえばソレノイド、弁、絞りなどとすることができる機構を備えることができる。入口スイッチは、制御システムによって制御することができる。また、システムはさらに、遮断制御装置を備えることができる。遮断制御装置は、たとえば、手動制御装置、フラッディング制御装置、タンク容量制御装置、および蒸発室容量制御装置などとすることができる。制御システムは、蒸発室および/またはタンクフロートからのフィードバックに基づいて入口を制御することができる。制御システムは、浄化システムからのフィードバックに基づいてスイッチを制御することができる。フィードバックは、たとえば、生成水容器内の水量、生成物出口を通る生成水の流れ、流水時間、非流水時間、蒸発室内の水量、漏れの検出、蒸発室の圧力、出力水の品質(総溶解固形分)、蒸発室の両端間の差圧、蒸発室のオーバーフロー堰フロートなどに基づくことができる。システムはまた、流れ制御装置を備えることができる。流れ制御装置は、圧力調整器を備えることができる。圧力調整器は、水圧を、約0kPaから250kPa(0psiから36psi)の間に維持することができる。流れ制御装置は、水流を10ml/分から75ml/分の流量の間に維持することができる。システムは、堆積物トラップを備えることができる。
【0007】
また、システムは、蒸発室内を通過する予熱管を有することができる。予熱管を出る水は、少なくとも約96℃の温度を有することができる。予熱管は、少なくとも約15秒間の、予熱管内の水の滞留時間を可能にすることができる。予熱管は、コイルを含むことができる。コイルは、実質的に水平な正味の流れを有することができ、コイルを通って移動する水は、水平面を繰り返し通過することができる。予熱管は、水蒸気凝縮器との熱交換を含むことができる。予熱管の少なくとも一部を、水蒸気凝縮器の少なくとも一部と同心とすることができる。水蒸気凝縮器は、廃棄水蒸気を収容することができる。
【0008】
脱気装置は、実質的に鉛直の向きとすることができ、上端部および下端部を有する。加熱された水は、下端部付近で脱気装置を出ることができる。本システムでは、蒸発室からの水蒸気は、下端部付近で脱気装置に入ることができるが、上端部付近で脱気装置を出ることもできる。脱気装置は、水と水蒸気の混合を促進するようになされた充填材を備えることができる。充填材は、実質的に球形の粒子を含むことができる。ただし、充填材は、非球形の粒子を備えることもできる。充填材は、脱気装置内の均一な詰込みを可能にするように選択されたサイズを有する粒子を含むことができる。充填材は、異なるサイズの粒子を備えることもでき、粒子は、サイズ的勾配を持って脱気装置内に配列することができる。
【0009】
本システムでは、水は、実質的に有機物および揮発性ガスを含まないで脱気装置を出ることができる。蒸発室は、少なくとも1つの上部セグメントおよび下部セグメントを備えることができ、上部セグメントの水平断面は、下部セグメントの水平断面より大きい面積を有することができる。蒸発室は、上部セグメントと下部セグメントとの間の接合部を備えることができる。接合部は、実質的に水平とすることができる。蒸発室はまた、接合部またはその上方に配置することができる排水口を備えることができる。蒸発室はまた、複数の粒子を含む自浄媒体をさらに備え、排水口は開口部を有し、開口部は、粒子が排水口を通過できないサイズを有し、開口部はさらに、粒子の形状と相補的でない形状を有する。蒸発室は、蒸発室の加熱された部位に近接する少なくとも1つの領域内で沈殿物の蓄積を妨げる自浄媒体を備えることができる。媒体は、複数の粒子を備えることができる。粒子は、実質的に球形とすることができる。粒子はまた、蒸発室内の水の沸騰による、粒子の実質的に連続的な撹拌を可能にする特徴も備えることができる。この特徴は、たとえば、比重、サイズ、形態、集合の数などとすることができる。粒子は、粒子または蒸発室を実質的に侵食せずに、粒子による蒸発室の汚れ落としを可能にするように選択された硬度を有することができる。さらに、粒子は、セラミック、金属、ガラス、または石で構成することができる。粒子は、約1.0より大きく約8.0より小さい比重、または、より好ましくは約2.0から約5.0の間の比重を有することができる。蒸発室は、蒸発室の底部に隣接する加熱要素も備えることができる。加熱要素は、蒸発室の底部に隣接して蒸発室の外側に配置することができ、加熱要素は、蒸発室に接合させることができる。加熱要素は、蒸発の底部に隣接して蒸発室の内側に配置することもできる。
【0010】
デミスタは、蒸発室の上面に近接して配置することができる。蒸発室からの水蒸気は、圧力を受けてデミスタに入ることができる。デミスタは、差圧を有することができ、差圧は、125Pa以上から約2500Paとすることができる。デミスタは、サイクロン作用により廃棄水蒸気から清浄な水蒸気を分離するようになされることができる。清浄な水蒸気に対する廃棄水蒸気の比率は、約10:1より大きくすることができる。制御システムは、パラメータを調節して水蒸気の質を調整することができる。水蒸気の質は、たとえば、清浄な水蒸気の純度、清浄な水蒸気に対する排気水蒸気の比率などを含むことができる。パラメータは、清浄な水蒸気の出口の凹部の位置、デミスタの両端間の差圧、水蒸気入口の流れに対する抵抗、水蒸気出口の流れに対する抵抗など、少なくとも1つのパラメータを含むことができる。システムはまた、生成物凝縮器用の冷却装置を備えることができ、冷却装置はファンを備えることができる。生成物凝縮器はコイルを含むことができる。生産水は、生成物出口を通って生成物凝縮器を出ることができる。システムはまた、廃棄物凝縮器を備えることができる。廃水は、廃棄物出口を通って廃棄物凝縮器を出ることができる。
【0011】
システムはまた、生成水貯蔵タンクも備えることができる。貯蔵タンクは、少なくとも1つの制御機構を含むことができる。制御機構は、たとえば、フロート、導電率計などを含むことができる。制御システムはまた、サイクルの開始時に、選択された遅延期間中は水蒸気が生成物出口に送られないように、遅延を含むこともできる。遅延期間は、少なくとも約10分間から30分間とすることができる。制御システムは、少なくとも約10分間の、蒸発室内の水の平均滞在時間を有することができる。あるいは、制御システムは、少なくとも約45分間の、蒸発室内の水の平均滞在時間を有することができる。蒸発室内の水が廃棄部へと迅速に排水され、蓄積された不純物および沈殿物を蒸発室から除去することを可能にするように、制御システムはまた、蒸発室フラッシュを備えることもできる。
【0012】
蒸発室は、蒸発室のフラッシュ時に、ある残留体積の水が蒸発室の下方部分内に残るように構成することができる。システムの残留水は、次の浄化サイクルの開始中に、最初の水蒸気を脱気装置に供給することができる。本発明はまた、浄水方法を含む。そのような方法は、第1の濃度の少なくとも1つの汚染物質を含む流入水源を提供するステップと、流入水の温度を約90℃より高くすることができる条件下で、予熱器内に流入水を通すステップと、流入水を、脱気装置内の気体の反対方向の流れに対して逆流させることにより、基本的にすべての有機物、揮発性物質、および気体を、流入水から取り去るステップと、水を、水蒸気の形成を可能にする条件下で、10分間から90分間の平均滞在時間にわたり蒸発室内に維持するステップと、水蒸気を蒸発室からサイクロンデミスタへと排出するステップと、清浄な水蒸気の収率がデミスタからの廃棄物の少なくとも約4倍より高くなるように、デミスタ内の汚染物質を含有する廃棄物から清浄な水蒸気を分離するステップと、浄化された水をもたらすために、第1の濃度より低い第2の濃度の少なくとも1つの汚染物質を含有する清浄な水蒸気を凝縮するステップとを含む。この方法では、少なくとも1つの汚染物質は、たとえば、微生物、放射性核種、塩、または有機物を含む。第2の濃度は、たとえば、表1、表2、または表3に示される濃度以下とすることができ、第1の濃度は、第1の濃度の少なくとも約10倍とすることができる。ただし、第1の濃度は、第2の濃度よりも、少なくとも約25倍高くすることができる。気体は、たとえば、水蒸気、空気、窒素などとすることができる。本方法におけるプロセスのステップは、洗浄または保守を必要とせずに、少なくとも約3カ月間自動的に繰り返すことができる。他方において、プロセスのステップは、洗浄または保守を必要とせずに、少なくとも約1年間自動的に繰り返すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書において、本発明の実施形態を、いくつかの例では例示的な形態で、または1つもしくは複数の図面を参照することによって開示する。しかし、特定の実施形態のそのような開示は例示に過ぎず、本発明の完全な範囲を指示するものではない。
【0014】
本発明の実施形態は、浄水用のシステム、方法、および装置を含む。好ましい実施形態は、完全に自動化され、非常に長い期間にわたって洗浄または使用者の介入を必要としない、広範囲の浄水を提供する。たとえば、本明細書において開示されるシステムは、2、4、6、8、10、または12カ月間、あるいはそれ以上にわたって、使用者による制御または介入を伴わずに稼動することができる。好ましい実施形態では、システムは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15年間、あるいはそれ以上にわたって、自動的に稼動することができる。
【0015】
したがって、本発明の実施形態は、入口、予熱器、脱気装置、蒸発室、デミスタ、生成物凝縮器,廃棄物出口、生成物出口、および制御システムを少なくとも備える浄水システムを提供し、出口から出る生成水は、実質的に純水であり、生成される生成水の体積は、入力水の少なくとも約10%、15%、または20%であり、制御システムは、繰り返されるサイクルにわたり、使用者の介入を必要とせずに、浄化システムの動作を可能にする。好ましい実施形態では、生成される生成水の体積は、入力水の体積の少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%、あるいはそれ以上である。したがって、本システムは、入力水の獲得および/または排水の処理に比較的高い費用または不都合が伴う条件において非常に有益である。本システムは、単位入力水または排水当たりの生成水の生成に関して、多くの他のシステムよりも大幅に高効率である。
【0016】
様々な異なる実施形態において、実質的な純水は、何らかの汚染物質に関して、入力水より少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、500、750、1000倍、またはそれ以上高い純度まで浄化された水であるという、上記いずれかの基準を満たす水である。他の実施形態では、実質的な純水は、入力水中に存在する複数の汚染物質に関して、上記レベルのうちの1つまで浄化された水である。すなわち、これらの実施形態では、水の純度または質は、一連の1つまたは複数の汚染物質の濃度の関数であり、実質的な純水とは、入力水中のこれらの汚染物質の濃度が、生成水中の同じ汚染物質の濃度に比べて、たとえば25倍またはそれ以上の比率を有する水である。
【0017】
他の実施形態では、水の純度は導電率によって測定することができ、超純水は、通常約1μジーメンス未満の導電率を有し、蒸留水は、通常約5の導電率を有する。そのような実施形態では、生成水の導電率は、一般に約1から7の間、通常2から6の間、好ましくは約2から5の間、2から4の間、および2から3の間である。導電率は、総溶解固形分(TDS)の尺度であり、塩、イオン、鉱物などに関する、水の純度の良好な指標である。
【0018】
あるいは、水の純度は、たとえば表1および表2に列挙されるような現在のEPA(米国環境保護庁)基準、ならびに表2に列挙されるような他の一般的に認められた基準など、様々な基準によって測定することができる。したがって、本発明の好ましい実施形態は、たとえば表1に列挙されるような何らかの汚染物質を含めた多種多様な汚染物質から、1つまたは複数の何らかの汚染物質を減少させることができ、最終的な生成水は、「MCL」と分類された列で指定されたレベル以下の、そのような汚染物質のレベルを有し、入力水は、指定されたMCLより最大約25倍多い、そのような汚染物質のレベルを有する。同様に、いくつかの実施形態において、またいくつかの汚染物質に関して、本発明のシステムは、入力水がMCLまたは生成水の、30、40、50、60、70、80、90、100、150、250、500、1000倍、またはそれ以上のより重度な汚染を有する場合に、汚染物質をMCLレベルまで除去することができる。
【0019】
入力水から汚染物質を除去するための何らかのシステムの能力は、ある程度まで入力水中の総不純物レベルの関数であるが、本発明のシステムは、特に、単一の供給流からの多種多様な類型の複数の異なる汚染物質の除去によく適しており、蒸留水と同等、および場合によっては超純水と同等の水を生成する。表1の「負荷水(challenge water)」の列は、EPA試験において使用される水中の汚染物質の濃度レベルを含むことに留意されたい。本発明の浄水システムの好ましい実施形態は、通常、この列に列挙される量より多量の初期汚染物質を除去することができる。しかし当然ながら、「負荷水」の列に記載されるレベルに相当する汚染物質レベルも同様に、本発明の実施形態の能力の範囲内に十分含まれる。
【0020】
【表1−1】

【0021】
【表1−2】

【0022】
【表1−3】

【0023】
【表1−4】

【0024】
【表1−5】

【0025】
【表1−6】

【0026】
【表1−7】

【0027】
【表1−8】

【0028】
【表1−9】

【0029】
【表1−10】

【0030】
【表1−11】

【0031】
【表1−12】

【0032】
水の純度および/または浄化性能の効率は、システムが多種多様な汚染物質を除去する能力に基づいて決定することができる。多くの生物的汚染物質については、実質的にすべての生存する汚染物質を除去することが目的である。表2は、源水のさらなる一般的な汚染物質、および汚染物質レベルを試験するための標準プロトコルを列挙する。表1および表2に列挙されるプロトコルは、一般的な汚染物質に関するハイパーテキスト転送プロトコルwww.epa.gov/safewater/mcl.html#mcls、飲用水中の有機化合物の測定方法(Methods for the Determination of Organic Compounds in Drinking Water)、EPA/600/4−88−039、1988年12月、1991年7月改訂、にて公的に入手可能である。方法547、550、および550.1は、飲用水中の有機化が凹部角測定方法−補足I、EPA/600−4−90−020、1990年7月、に含まれる。方法548.1、549.1、552.1、および555は、飲用水中の有機化が凹部角測定方法 補足II、EPA/600/R−92−129、1992年8月、に含まれる。方法502.2、504.1、505、506、507、508、508.1、515.2、524.2、525.2、531.1、551.1、および552.2は、飲用水中の有機化が凹部角測定方法−補足III、EPA/600/R−95−131、1995年8月に含まれる。方法1613は、「Tetra−through OctaChlorinated Dioxins and Furans byIsotope−Dilution HRGC/HRMS」、EPA/821−B−94−005、1994年10月という題名である。上記はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
好ましい実施形態では、入口スイッチは、浄化プロセス用の追加の水をシステムが受けることができることを指示する信号を受け取ったときに作動される(開かれる)ソレノイドである。より多くの流入水の要求のそのようなフィードバックは、たとえば、蒸発室内の水位、生成物貯蔵タンク内の水位、脱気装置に入る予熱された水の温度、蒸発室を出る蒸気の温度または体積などを含む、システムの様々なポイントからもたらされることができる。同様に、ソレノイドタイプのスイッチに代わる様々な代替物、たとえば、弁、絞り、ぜん動式のチューブ圧縮機構および栓、圧電スイッチなどを、当業者は利用することができる。
【0036】
流量制御装置に関して、流量制御装置は任意で、圧力を変えることによりシステム内への水の流れを調節することができ、そのような圧力変化は、流入水をより多く要求するシステム内の検出などにより信号を受けることができる。この流れの可変制御は、流れの二値制御よりはむしろ、システムにおけるいくつかの効率性の獲得を可能にすることができる。
【0037】
他の制御およびフィードバックポイントは、たとえば、システムの任意のポイントにおける水質の検出、システムの任意のポイントにおける水または水蒸気の体積の検出、システムの機能不全を示す漏れまたは温度の検出などを含めて、システムの自動化された機能においてさらなる利益を提供することができる。システムの実施形態は、すべてのそのような制御および制御の組合せを意図する。それらはたとえば、溢水、貯蔵タンク容量、蒸発室容量などの検出の制御を含む。様々な実施形態において、フィードバックは、定性的および/または定量的なものとすることができる。これらはたとえば、生成水容器内の水量、生成物出口を通る生成水の流れ、流水時間、非流水時間、蒸発室内の水量、漏れの検出、蒸発室の圧力、出力水の品質(たとえば、総溶解固形分の測定値など)、蒸発室の両端間またはシステムの他の地点の両端間の差圧、蒸発室のオーバーフロー堰フロートを横断する水の流れなどを含む。
【0038】
電力が供給され、システムがオンにされると、システムは、基本的にシステム耐用期間の全体を通して完全に自動制御するように構成される。システムは、正常な状況下での使用者の介入が不必要となるように、フラッディングを回避し、水流、圧力、出力、および洗浄サイクルを調整するための、様々なフィードバック機構を備える。これらの制御装置には、蒸発室内のフロートレベル検出器、サイドフロートスイッチ、タイマ、ファンスイッチ、および電力計がある。
【0039】
遮断制御装置は、手動制御装置、貯蔵タンクに隣接するシステムの基部内のフロートまたは湿度検出器とすることができるフラッディング制御装置、タンク容量制御装置、および蒸発室容量制御装置を含む。流入水および他のパラメータの二値のオン/オフ切替を提供する制御装置に加えて、システムはさらに、たとえば、圧力または体積に基づく流量制御装置、圧力調整器など、可変制御装置を意図する。好ましい実施形態では、圧力調整器は、流入水の圧力を、たとえば0から250kPaの間となるように調整することができる。他の実施形態では、圧力は、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、275、300、350、400、450、または500kPa、あるいはそれ以上とすることができる。圧力の調整は、任意で他のパラメータの調整と組み合わせて、システム内の水流の体積および速度を低減させることができる。たとえば、圧力調整をシステムの寸法と組み合わせて、5ml/分から1000ml/分の間、またはそれ以上の水の流量を提供することができる。本明細書に記載されるシステムは、主に比較的小規模の水の生成に関して説明されるが、システムは、いかなる体積の水の生成に拡大縮小可能である。したがって、水流の体積に上限はない。ただし、例示的な流量は、10〜500ml/分、20〜400ml/分、30〜300ml/分、40〜200ml/分、50〜150ml/分、60〜125ml/分、70〜100m/分、80〜90ml/分などの範囲を含む。
【0040】
システムは、堆積物によるシステムの早期汚損を回避するために、流入水から堆積物を除去することができる堆積物トラップをさらに備えることができる。多種多様な堆積物トラップが当業界で知られており、本発明のシステムとともに使用するために選択することができる。同様に、使用者の介入および洗浄の必要性を最低限に抑えるために、堆積物トラップ自体が、自浄特性を有することができる。たとえば、堆積物トラップは、回転スクリーンを有することができ、汚損されたスクリーンから新しいスクリーンへの回転を、この装置の両端間の水圧の差によって駆動することができ、それにより、スクリーンは、蓄積された堆積物に関する一定の飽和状態に到達したとき、堆積物によって汚損されていないスクリーンに切り換えられる。いくつかの実施形態では、スクリーンを本来横断する流れと反対方向に水がスクリーンを横断するように、汚損されたスクリーンを水の流路内に配置し、堆積物を廃棄物通路または排水口へと除去することができる。したがって、本明細書で開示されるシステムは、従来の堆積物トラップならびに自浄式堆積物トラップの使用を意図する。
【0041】
浄水システムの予熱機能は、好ましくは予熱管を含む。ただし、この機能は、システム内に流入する水が約90℃以上の温度で脱気装置に到着するという結果をもたらすのであれば、多くの異なる方法で実行することができる。したがって予熱機能は、たとえば、円筒形の管、螺旋、平坦なプレートまたは分岐したネットワーク、表面積に対する内容積の高い比率を可能にする設計を有する何らかの種類の中空構造、管腔間の壁部を横断する熱交換を可能にする、より大きいまたはより小さい管腔と同心の管腔など、多くの異なる形態で実施することができる。
【0042】
好ましい実施形態では、予熱管は、蒸発室の近傍または蒸発室内部を通過し、また、予熱管を通る流入水の流量が予熱管内の水温を約90℃以上に上昇させるのに十分となる、蒸発室内または付近での様々な滞留時間を可能にするように構成される。システムの規模、およびシステムの水の処理量に応じて、予熱機能は、効率的な熱交換を可能にする材料および構成からの利益を受けることができる。あるいは、いくつかの実施形態では、構造の耐久性、空間的考慮、保守の容易性、材料の可用性または費用、ならびに他の要件が、本発明のこの態様における設計上の選択に影響を及ぼす可能性がある。
【0043】
好ましい実施形態では、予熱機能は、熱伝導率が比較的低いにも関わらず有利な耐久特性を有する、ステンレス鋼の管である。そのような実施形態では、ステンレス鋼の管は、熱源と管内の水との間の熱交換の効率を向上させるような、壁厚、内径、および他の特性を備える。特に好ましい実施形態では、予熱管は、蒸発室内を通過するコイルである。好ましくは、コイルの向きは水平であり、コイルに出入りする水は、蒸発室内で大体同じ高さにあり、コイル内を通過する水はコイル内で、水と気泡の混合を助け大きい泡の合体を回避する一連の上下運動を受ける。大きい気泡のそのような合体は、大きい泡が、予熱器を通る脱気装置内への水の正常な流れを妨げる可能性があり、かつ/または脱気装置の正常な機能を妨げる可能性があるという点で、一般に望ましくない。ただし、いくつかの実施形態では、脱気装置の機能は、流入水から来る大量の水蒸気に耐えるために十分強固であり、そのような実施形態では、予熱機能の設計は、そのような合体の回避を特に問題にする必要はない。
【0044】
いくつかの実施形態において、システムは、たとえば高高度など非標準的な環境条件下で有利に機能することができる。高高度では、水の沸点は100度未満であり、したがって、蒸発室への通常の加熱速度で、より大量の水蒸気が発生し、システムにおけるより高い処理量が可能になる。そのような実施形態では、予熱温度も影響を受ける可能性があることは明らかである。蒸発室温度がより低いと、たとえば管を、同じ流量でより大きい体積を有し、または同じ体積でより少ない流量を有するように構成することにより、予熱管内の水の滞留時間をより長くすることを可能にすることによって、所望の温度までの予熱を達成することができる。ただし、蒸発室内の水蒸気発生レベルが高められるので、ほとんどの実施形態においては、有利な滞留時間および所望の予熱温度を達成するために予熱管内の流量を低く調節することは好ましくない。これは、より多量の水蒸気発生は、より高い流入水の要求を伴うことを意味するからである。
【0045】
予熱管が他の管と同心である実施形態では、システムの任意の高熱部分と低熱流入水との間の熱交換が生じる可能性がある。そのような熱交換は、同心領域の構造によって決定される可能性があり、たとえば熱交換材料の壁厚構成などのファクターにより大幅に影響を受ける可能性がある。好ましい実施形態では、水蒸気の凝縮は、流入水との熱交換によって達成され、廃棄水蒸気または生成水蒸気からの過剰な熱を、より低温の流入水へと伝達することを可能にし、予熱機能を助け、いくつかの例では、蒸発室内のより短い滞留時間および/またはシステムを通る水のより大きい総流量を可能にする。さらに、そのような熱交換のさらなる利点は、エネルギー効率が高められること、およびシステムから周囲環境内に出る過剰な熱がより少ないことである。同心構成の代替形態は、たとえば隣接する平坦なプレートなど、熱交換能力の任意の従来の構造を含み、究極的には、高温水から低温水へのエネルギーの伝導を可能にする、高温の水または水蒸気を低温の水に隣接して配置するいかなる構造も、熱交換効果を達成することができ、本発明の一実施形態として意図される。
【0046】
脱気装置の性能における主要なファクターは、質量移動比、すなわち、垂直な脱気装置内で下方に進む水の質量と比較した、上方に移動する水蒸気の質量である。実際、脱気機能は、気体を用いた水の質量移動の逆流を可能にする様々な構成を用いて達成することができる。いくつかの実施形態では、気体は水蒸気であり、他の実施形態では、気体は、空気、窒素などとすることができる。水と蒸気との混合の速度および活動度は、脱気装置コラムの媒体のサイズ、構造、および詰込み、ならびに媒体の粒子間の空洞体積による影響を受ける。好ましい実施形態では、媒体の粒子は、螺旋を形成するように詰め込まれる。脱気装置の性能は、そこを通る水蒸気および水の速度および体積による影響を受け、これらは、水蒸気入口および出口オリフィスのサイズ、水の流量などのファクターによって制御することができる。脱気装置の機能および設計に関する有用な情報は、Robert Williams著「The Geometrical Foundation of Natural Structure:A SourceBook of Design」,ニューヨーク、Dover社、1979年において提供されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
したがって、流入水流量の制御、予熱管内の大きな水蒸気泡の回避などは、脱気装置の効率的な機能を助けることができる。これらのパラメータが所望の範囲内にない場合、脱気装置内でフラッディングまたはジェッティングが生じる可能性がある。流入水のフラッディングは、脱気装置内の水の詰まりを形成し、ジェッティングは、水を水蒸気とともに脱気装置の外に噴射し、それらはいずれも、脱気装置の性能を妨げる可能性がある。したがって、フラッディングおよびジェッティングを最低限に抑える、水の流入と蒸気の流出との間の良好なバランスを有する領域内で動作することが望ましい。本発明の実施形態の脱気装置は、多くの従来の脱気装置のように厳密に1つの汚染物質を除去するように設計されないことが、特に重要である。そうではなく、脱気装置は様々な汚染物質を非常に有効に除去する。流入水がたとえば1ppmの汚染物質を有する典型的な設定では、プロセスは、50、40、10、5、2、または1ppbまでの減少の達成を図る。
【0048】
蒸発室は、システムの所望の処理量に応じて、基本的にいかなるサイズおよび構成とすることもでき、システム設計に影響を及ぼすファクターに基づいて、他の設計上の選択がなされる。たとえば、蒸発室は、約1ガロンまたは2〜10ガロン、11〜100ガロン、101〜1000ガロン、またはそれ以上の容積容量を有することができる。本発明のシステムは、完全に拡大縮小可能であるので、蒸発室のサイズは変えることができ、所望されるように選択することができる。同様に、蒸発室の構成も、所望されるように変えることができる。たとえば蒸発室は、円筒形、球形、矩形、またはその他任意の形状とすることができる。
【0049】
好ましい実施形態では、蒸発室の下部は、チャンバの上部断面より小さい断面積を有するように段差が付けられている。段差の上方は、排出時に残留水が段差の下方に留まるように、好ましくは排水口である。蒸発室の段差の下方の部分はまた、排水後にすべての洗浄媒体およびいくらかの残留水が下方部分内で保持されるように、洗浄媒体を収容することもできる。下方部分の利点は、蒸発室の迅速な排水後に、蒸発室を再び加熱し、最初の新しい流入水が蒸発室内に到着する前に、蒸気の迅速な発生を可能にすることができることである。この水蒸気の初期発生は、新しいサイクルが開始するときに、脱気装置を通る蒸気の流れが定常状態に到達することを可能にし、これは、流入水の効率的な脱気に有利である。同様に、蒸発室内の残留水は、蒸発室自体および自浄媒体の耐久性および安定性に不利益となる可能性がある、蒸発室の乾熱を回避する。
【0050】
いくつかの実施形態では、蒸発室を重力のみによって排水し、他の実施形態では、蒸発室の排水はポンプ作用によって駆動される。堆積物、塩、およびその他の粒子などの沈降を回避するために、蒸発室を迅速に排水することが望ましい。迅速な排水は、好ましくは30秒未満程度であるが、より迅速でない排水でも依然として、沈降を回避するという所望の利益を実質的に達成することができる。
【0051】
自浄媒体は、任意の適当な多数の代替物から選択することもできる。そのような代替物は、ガラスまたはセラミックのビーズまたはボール、石、様々な形状の任意の合成構造などを含む。すべての例において、自浄媒体の特性は、沸騰水による撹拌によって自浄媒体の個々の粒子が移動させられるが、そのような移動に自浄媒体の物理的特性が勝り、各粒子を蒸発室の底部へと再び落としてぶつけ、何らかの堆積物または被膜を除去するように選択される。たとえば、比較的高い比重を有するが比較的小さい面積対体積比を有する自浄媒体は、より低い比重を有するが比較的より高い面積対体積比を有する第2の自浄媒体とほぼ同様のやり方で機能することができる。それぞれの例において、当業者は、所望の結果を達成するために、形態および組成の組合せを選択することができる。いくつかの実施形態では、たとえば超音波エネルギーの適用など、自浄のための代替アプローチが用いられる。
【0052】
自浄媒体の設計上の選択における他の考慮要件は、その硬度である。一般に、硬度は、蒸発室を構成する材料の硬度と大体同様となるべきである。これは、媒体、または蒸発室の壁部もしくは底部の大幅な侵食を伴わずに、自浄媒体を長期間にわたり持続的に使用することを可能にする。蒸発室の加熱要素が蒸発室の内部にあるいくつかの実施形態では、加熱要素ならびに蒸発室自体への侵食および/またはその他の損傷を回避するように、自浄媒体の硬度および他の特性を選択することができる。
【0053】
蒸発室および蒸発室洗浄媒体の構造によってもたらされる自浄機能により、本発明の実施形態のシステムは、正常な耐用期間中の洗浄を必要としない。いくつかの実施形態では、洗浄は、2、3、4、5、または6カ月間にわたり必要とされない。他の実施形態では、洗浄は、9、12、18、24、30、または36カ月間にわたり必要とされない。他の実施形態では、洗浄は、4、5、6、7、8、9、10年間、またはそれ以上にわたり必要とされない。
【0054】
加熱要素は、蒸発室内、蒸発室の真下のいずれかに配置することができ、または蒸発室と一体化することができる。たとえば、好ましい実施形態では、加熱要素は、蒸発室の底部の真下に配置され、たとえば鑞付けなどにより蒸発室の底部に接合される。加熱器を蒸発室に取り付ける方法は、自浄媒体の洗浄および撹拌、ならびにシステムの効率に影響を及ぼす可能性がある。半田付けとほぼ同様である鑞付けは、異なる金属への合金融合を形成するプロセスであり、加熱要素から蒸発室への非常に密接な接触および熱伝導を可能にする。好ましい実施形態では、加熱要素および蒸発室底部は、好ましくは水への熱伝導用の、また好ましくは自浄機能用の水平プレートを形成する。
【0055】
蒸発室内の水の滞留時間は、流入水の性質およびシステムの所望の性能に基づく範囲内で変化させることができる。適当な範囲は、生物的汚染物質が入力水中に存在するかどうかを含む様々なファクターによって決定することができる。生物的汚染物質の有効な除去では、蒸発室内で高温に曝露される時間の長さを可変とすることを必要とすることができる。いくつかの生物的汚染物質は、他の生物的汚染物質よりも高温からより急速に影響を受けやすい。多くの実施形態では、10分ほどの短い滞留時間が、ほとんどの生物的汚染物質を死滅させるのに十分である。他の実施形態では、より広範囲の生物的汚染物質をより完全になくすために、より長い滞留時間が望ましいことがある。蒸発室内の滞留時間の範囲の上限は、通常、選択された体積の水を沸点に維持するために必要なエネルギーに対する生成水の所望の生成率に関する効率性の検討によって決定される。したがって、蒸発室内の滞留時間は、たとえば10、15、20、25、30、35、40、45分など、水が沸点に到達し水蒸気として放出されるのに必要な最短時間から、生物的汚染物質の除去に有利な時点までとすることができる。さらに、たとえば50、60、70、80、90分またはそれ以上など、より長い滞留時間を、いくつかの実施形態において選択することができる。
【0056】
蒸発室を出る蒸気には、一般に、粒子、堆積物、および他の汚染物質が存在しない。ただし、沸騰作用は、たとえば空気/水界面にて形成されるミストの微小液滴上の表面上などの、いくつかの汚染物質を気相中に運ぶ可能性がある。デミスタを用いて、そのような汚染物質をもつミストから清浄な水蒸気を分離することができる。水蒸気をサイズおよび移動度に基づいてミストから分離するための、スクリーン、バッフルなどを用いるものを含めた種々のデミスタが当業界で知られている。好ましいデミスタは、サイクロン作用を用いて水蒸気を密度差に基づいてミストから分離させるものである。サイクロンは、流体または気体を半径方向運動で高速に動かし、流体または気体の成分に遠心力を加えるという原理に基づいて作用する。従来のサイクロンは、いくつかの例では、角加速度を助けることができる円錐部分を有する。しかし、好ましい実施形態では、システムにおいて使用されるサイクロンデミスタは、円錐部分をもたず、その代わり基本的に平坦である。サイクロン分離の効率を制御する主要なパラメータは、蒸気入口のサイズ、清浄な蒸気用および汚染物質をもつミスト用の2つの出口のサイズ、ならびに入口点と出口点との間の差圧である。
【0057】
デミスタは通常、蒸発室内または蒸発室上方に配置され、蒸発室からの蒸気が入口オリフィスを通ってデミスタに入ることを可能にする。そのようなオリフィスを通ってデミスタに入る蒸気は、主に蒸発室とデミスタとの間の差圧およびオリフィスの構成の関数である初速度を有する。通常、デミスタの両端間の差圧は、約0.5から10水柱インチ、すなわち約125から2500Paである。入口オリフィスは、一般に、サイクロン内への水蒸気の進入に対する著しい抵抗をもたらさないように設計される。次いで水蒸気は、たとえば入口オリフィスより大幅に狭い加速オリフィスを通過することによって、さらに加速することができる。高速状態で、ミストよりも相対的に密度が大幅に低い清浄な水蒸気はサイクロンの中心に向かって移動するが、ミストは周辺に向かって動く。サイクロンの中心に配置された清浄な蒸気出口は、清浄な水蒸気のための出口点を提供し、サイクロンの周辺付近に配置されたミスト出口は、デミスタからのミストの流出を可能にする。清浄な蒸気は、デミスタから凝縮器へと進むが、ミストは排出されることになる。通常の動作では、清浄な水蒸気対ミストの比は、少なくとも約2:1であり、より一般的には、3:1、4:1、5:1、または6:1であり、好ましくは、7:1、8:1、9:1、または10:1であり、最も好ましくは、10:1より大きい。デミスタの選択度は、たとえば清浄な蒸気出口の位置およびサイズ、デミスタの両端間の差圧、デミスタの構成および寸法などを含むいくつかのファクターに基づいて調節されることができる。デミスタの設計に関するさらなる情報は、「IMPROVED CYCLONE DEMISTER」という名称の、2005年7月6日出願の米国仮特許出願第60/697107号において提供され、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で開示されるデミスタは、サブミクロンレベルの汚染物質の除去において極めて効率的である。一方、たとえばスクリーン型およびバッフル型など、他の設計のデミスタは、サブミクロンレベルの汚染物質の除去における効率が大幅に低い。
【0058】
生成および廃棄水蒸気は、通常、システム内で凝縮される。過剰な熱を、ヒートシンク、ファン、熱交換機、またはヒートパイプによって排出することができる。凝縮する水蒸気から流入水へと熱を伝導するためのヒートパイプに関する議論は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「ENERGY−EFFICIENT DISTILLATION SYSTEM」(代理人整理番号SYLVAN.010A)という名称の、2005年10月14日出願の米国仮特許出願第 号において提供されている。
【0059】
凝縮されて純水となった生成蒸気は、たとえば生成物出口または貯蔵タンクへと運ばれる。貯蔵タンクは、腐敗または酸化に耐性のある任意の適当な組成物のものとすることもできる。貯蔵タンクの好ましい組成物は、ステンレス鋼、ポリプロピレンを含めたプラスチックなどを含む。いくつかの実施形態では、貯蔵タンクは、オーバーフローを回避し、かつ/または水位を検出するための制御装置を備える。そのような制御装置は、流入水の流れおよび/またはシステムの他の機能を、生成水の生成が要求に対応するように弱めることができる。貯蔵タンクに入る生成水は、極めて清浄であり、基本的に殺菌されているが、外部汚染物質がタンク内に入りその純度を損なう場合に備えて、任意の洗浄/殺菌機能を貯蔵タンク内に設けることが望ましいことがある。
【0060】
制御システム全体にフィードバックするための様々な制御装置が、貯蔵タンク内に存在することができる。好ましい実施形態では、これらの制御装置は、流入水の流れを制御するためのフィードバック用のフロートスイッチ、および、生成水中の溶解固形分を検出するための導電率計を備えることができる。通常の動作では、生成水中の溶解固形分は極めて低くなる。ただし、たとえば齧歯類または昆虫などにより汚染物質が貯蔵タンク内に入れられていた場合、それによりもたらされる汚染によって水の導電率が上昇する。導電率計は、そのような導電率の上昇を検出し、貯蔵タンクの蒸気殺菌サイクルを開始することが望ましいかもしれないという指示を提供することができる。制御システムは、貯蔵タンクから水を排水し、貯蔵タンク内に蒸気を連続的に供給して貯蔵タンクを洗浄および殺菌し、水浄化サイクルを再開する能力を有することができる。これらの動作は、本発明の様々な実施形態において、手動制御または自動制御することができる。
【0061】
水は、貯蔵タンクから蛇口など出口へと送達することができ、そのような送達は、重力によって、かつ/またはポンプによって調整することができる。好ましい実施形態では、ポンプは、出口からの水の流れが十分かつ一定となるように出口での一定の圧力を維持する、オンデマンドポンプである。出口ポンプは、タンク内の水位が臨界レベルより低い場合にポンプのドライランを回避するように、貯蔵タンク内のセンサによって制御することができる。
【0062】
例示的な浄水システム
以下の議論は、本発明の実施形態による例示的な浄水システムの構造的な特徴について言及する。参照番号は、図1〜図6に示される番号に対応する。
【0063】
動作に際して、浄化システム10は、流入水管22に連結された入口ポート20を備え、流入水管22を通って水が入口ポート20から入口スイッチ24へと進む。入口スイッチ24は、制御システムからの、1つまたは複数の様々な可能なフィードバック源によって制御することができる。図示の実施形態では、スイッチ24は、制御システム120からのフィードバック、主に蒸発室50内の水位のフィードバックに基づいて開閉することができるソレノイドである。入口スイッチ24は、堆積物によるシステム10の汚損を回避するための堆積物トラップ25を備える。入口スイッチ24に隣接して、流れ調整器26がある。流れ調整器26は、水圧を制御し、一般に水圧を0から250kPaの間に維持することによって、流れを調整する。
【0064】
水は、流れ調整器26から、水を予熱器30に送達する予熱器供給管28へと出る。任意で、予備フィルタを、入口ポート20、スイッチ24、および流入水管22、流れ調整器26、および加熱器供給管28の間の、1つまたは複数の場所に設置することができる。水は、入口32にて予熱器30に入り、コイル34を通り、出口36にて予熱器から出る。コイル34は、コイル34を通る正味の水流が実質的に水平の向きとなるように向けられるが、コイル34を通る水の実際の経路は、コイル34を通る上向きおよび下向きの流れ、ならびにコイル34のそれぞれの巻きの頂部および底部での水平な水流を含む、水平面を通る多数の経路を伴う。このようにして向けられたコイルに温水を通すことは、気体または蒸気の大きい泡の形成を回避することができる水の所望の混合を維持しながら、水の予熱を可能にすると考えられる。好ましい実施形態では、予熱器は、実質的に蒸発室50内に配置され、好ましくは、加熱要素56と接する蒸発室の一部に密接に近接する。
【0065】
出口36にて予熱器30を出た水は、予熱された水管38に入り、そこを通過して脱気装置40に到達する。水が予熱器30を出るとき、水は、少なくとも約96℃、好ましくは約97℃、98℃、99℃、またはそれ以上である。好ましくは、脱気装置30は、実質的に垂直の向きである。実質的に垂直とは、好ましい実施形態では、鉛直からのずれが0から5度以内、または真に垂直であることを意味する。他の実施形態では、実質的に垂直とは、約5から20度のずれを意味することができる。他の実施形態では、実質的に垂直とは、約20から45度のずれを意味することができる。脱気装置40の構成は、概ね円筒形であり、好ましくは直径よりも大きい高さを有する。したがって、予熱された水は、脱気装置頂部42付近で脱気装置40に入り、脱気装置底部44付近で脱気装置40を出て、蒸発室50に入る。近接とは、ちょうどそこ、またはその近くを意味し、よって、たとえば頂部42「付近」の水入口点とは、頂部42にて、またはそこを通って水が入ることを示すことができ、または、底部44よりも頂部42に実質的に近い脱気装置40の領域内で水が入ることを示すことができる。
【0066】
垂直に向けられた脱気装置40を通る下方向への水の通路は、水を、脱気媒体45と密接に接触する流れパターンに置く。好ましい実施形態では、脱気媒体は球形の粒子を含む。球形の粒子は、好ましくはガラスである。代替実施形態では、粒子は、異なる組成物とすることができ、かつ/または、非球形および/または不規則な形状とすることができる。様々な脱気装置の改善および構成のより詳細な議論は、本明細書の以下の脱気装置という表題の項で行う。
【0067】
蒸発室50からの蒸気は、底部44付近で脱気装置40に入り、媒体45と接触して垂直に上昇し、頂部42付近で脱気装置蒸気出口46を通って脱気装置を出る。脱気装置40を通って下方へと流れる水は、脱気媒体45を通って上方へと上昇する蒸気と出会い、基本的にすべての気体および有機物が取り去られる。下向きの予熱された水および脱気媒体45を通る上向きの蒸気の極めて非線形の向流は、揮発性化合物および気体の形の実質的にすべての化合物の除去を促進する。有利には、また予想外に、この脱気装置40の構成および機能はまた、それ以外の方法では除去が極度に困難である水中の有機汚染物質の除去も可能にする。たとえば、このシステムは、水からのイソプロピルアルコールの除去を可能にする。イソプロピルアルコールは、その特性が水の特性と類似しているので、ほとんどのシステムにとって除去が特に困難である。
【0068】
蒸気出口46を通って脱気装置40を出た蒸気は、廃棄凝縮器48に入り、そこで凝縮され、流れて廃棄される。一代替実施形態では、廃棄凝縮器48の全部または一部の機能は、脱気廃棄蒸気からの熱が流入水を加熱するように交換される効果を用いて、入口管22、予熱器供給管28、または予熱器30のいずれかの部分との熱交換によって実行することができる。この熱交換は、脱気前に流入水を予熱するためのエネルギーを提供することにより効率を増大させるだけでなく、システム10の局所環境に放出されないように過剰な熱をシステム10から排出するという、二重の利点を有する。熱交換構成は、熱交換のための様々な手法を含むことができる。いくつかの好ましい実施形態では、熱交換は、廃棄蒸気管および予熱管を同心に向けることによって達成される。
【0069】
脱気された水は、脱気装置40の底部44付近で、蒸発室50内へと流れる。蒸発室50は、好ましくは、少なくとも2つのセグメント、すなわち上部セグメント52および下部セグメント53を備える。セグメントは、セグメント接合部54にて接合される。好ましい実施形態では、蒸発室50は、概ね円筒形であり、上部セグメント52は下部セグメント53よりも大きい直径を有する。いくつかの実施形態では、セグメント接合部54は実質的に水平であるが、他の実施形態では、傾斜した向きを有することができる。下部セグメント53の底部55にそれと密接に接触して、蒸発室加熱要素56がある。接合部54またはその付近に、蒸発室排水口60が配置される。
【0070】
また、蒸発室50内に、蒸発室洗浄媒体58が収容されている。好ましい実施形態では、蒸発室洗浄媒体58は、セラミック粒子59の集合体であり、実質的に球形である。粒子59は、沸騰水による撹拌にもかかわらず、粒子59が蒸発室50の底部55付近に留まることを可能にするように選択されたサイズおよび密度を有するが、沸騰作用が粒子59を撹拌するようなサイズおよび密度などの特性を有する。同様に、蒸発室粒子59はまた、好ましくは、粒子59または底部55の好ましくない劣化を伴わずに底部55の摩擦を延長できる硬度を有する。動作の際に、沸騰作用は、粒子59を撹拌し、それらを沸騰水中に上昇させる。沸騰作用によって粒子59が撹拌され、持ち上げられると、粒子は後に落下し、蒸発室の底部に衝突する。この連続的な上昇、落下、および衝突作用は、蒸発室50の底部55の汚れを落とし、被膜または他の沈殿物を防止する。
【0071】
蒸発室セグメント接合部54またはその上方に、蒸発室排水口60がある。洗浄サイクルにおける蒸発室50の排水時に、水が上部セグメント52から流れるが下部セグメント53からは流れないように、蒸発室排水口60を、接合部54またはその上方に配置することが好ましい。排水サイクル後に、下部セグメント53は、蒸発室洗浄媒体58および蒸発室水を収容する。これにより、基本的に他のサイクルの開始の直後の、蒸気の発生を可能にするのに十分な水が提供され、この水蒸気は、上昇して脱気装置40に入ることができる。蒸発室排水口60の構成は、好ましくは、堆積物の沈下を回避する、蒸発室50の非常に迅速な排水を可能にするのに十分な内部寸法のものである。さらに、蒸発室排水口60は、好ましくは、蒸発室洗浄媒体58の粒子59の形状と相補的とならないように構成された開口を有する。この非相補的な設計は、蒸発室洗浄粒子59が蒸発室排水口60とかみ合って適正な排水を妨げることを回避する。
【0072】
蒸発室50内への水の流れ、および/または蒸発室の容積は、蒸発室50内の水が、約45分の平均滞留時間を有するように選択される。そのような滞留時間は、沸騰による殺菌のための一般に許容される時間を超え、よって水中のいかなる生物的汚染物質も死滅させる。蒸発室50は、蒸発室カバー61をさらに備える。蒸発室カバー61内の蒸発室水蒸気出口62は、水蒸気が蒸発室50を出てデミスタ70に入ることを可能にする。汚染物質が実質的にすべて、蒸発室50を出る水蒸気内ではなく蒸発室50内の液体の水の中に残っていると仮定すると、蒸発室からデミスタへと向かう水蒸気は、脱気装置40を通過した気体、揮発性物質、および有機物を実質的に含まず、同様に、堆積物、微粒子、生物、鉱物などを実質的に含まない。ただし、そのような水蒸気は、沸騰作用によって気相中に運ばれる少量の汚染物質を含有する可能性がある。したがって、蒸発室50からデミスタ70内へと向かう水蒸気は、清浄な水蒸気と汚染物を含有するミストへの分離を必要とする。
【0073】
デミスタ70は、サイクロンの原理に基づいて動作する。水蒸気は、デミスタ入口チャンバ72を通ってデミスタ70内に入る。水蒸気は、デミスタ入口チャンバ72から、デミスタオリフィス74を通り、デミスタサイクロンキャビティ75内へと流れる。サイクロンキャビティ75は実質的に円筒形であり、デミスタオリフィス74の形状および向きは、オリフィス74に入る水蒸気を、高速度でサイクロンキャビティ75の周辺に向け、サイクロン効果を生み出すように選択される。サイクロンキャビティ75の軸の周りでの水蒸気の高速の回転は、清浄な水蒸気と汚染されたミストの密度差に基づいた分離を可能にする。より低密度である清浄な水蒸気は、サイクロンキャビティ75の中心に向かって動かされ、デミスタの清浄な水蒸気の出口76を通ってサイクロンキャビティ75を出る。出口76を出る清浄な水蒸気は、清浄な水蒸気の出口管78内へと流れ、汚染されたミストは、デミスタの廃棄物出口80を通ってサイクロンキャビティ75を出る。
【0074】
清浄な水蒸気は、出口管78から生成物凝縮器90内へと流れる。生成物凝縮器は、好ましい実施形態では、効率的な熱交換を可能にするように選択された寸法および構成を有する、コイル状の管機構を備える。凝縮器ファン94は、生成物凝縮器コイル90および廃棄物コイル48を冷却する。凝縮された清浄な水蒸気は、生成水を形成し、生成物管96を通って貯蔵タンク100へと導かれる。生成物管96に沿って、3方向弁98が配置される。動作に際して、3方向弁98は、生成水を廃棄部または貯蔵タンク100へ導くことができる。
【0075】
通常の浄化サイクルでは、蒸発室50の暖機または充填中の初期期間中、すなわちシステムの予熱機能および脱気機能が完全に機能する前の、新しいサイクルの最初の数分が、予熱器30および脱気装置40内の温度上昇を伴う。最終的に、システムは、有効な脱気を可能にする予熱温度および水蒸気体積に到達する。よって、完全に有効な脱気前の、浄化サイクルにおける暖機中に、蒸気室50を出る水蒸気は、残留している揮発性物質および有機物で汚染される可能性がある。これらの汚染物質が貯蔵タンク100に入ることを防ぐために、サイクルの最初の20分の間、デミスタの清浄な水蒸気の出口管78に入って生成物凝縮器90内で凝縮されて水となる水蒸気は、3方向弁98によって廃棄部へとそらされる。20分のシステム暖機後、予熱器30および脱気装置40は完全に機能し、デミスタを出た清浄な水蒸気は揮発性物質および有機物を実質的に含まず、3方向弁は、精製水を貯蔵タンク100内へ収集できるように切り換わる。貯蔵タンク100から水が引き出されない場合、システムは、タンクの充填により、初始動から約24時間の間循環することができる。水が消費されている場合、システムは、約10時間で約2.5ガロンを生成することができる。貯蔵タンク100は、使用可能な6ガロンの容積を有する。使用者の介入および洗浄は要求されないが、そのような洗浄が望ましい場合、システムは、使用者が収集タンク100内の水蒸気殺菌サイクルを選択するのを可能にする。
【0076】
システムは、出口ポート104にて生成水を実質的に一定の圧力に維持する生成物ポンプ102をさらに備える。使用者インタフェースパネル110が、システムのオン/オフ状態を示すLED、ならびに、必要に応じて様々な任意の手動制御部を備える。
【0077】
制御回路
図7を参照してこの説明を補助する。主電源スイッチが通電されると、制御回路は、タンク内のフロートスイッチによって、貯蔵タンク内の水位状態を決定する。制御システムが、貯蔵タンク内に水を補充する必要があると決定する場合、制御システムは浄水シーケンスを開始する。
【0078】
浄水サイクル中に、制御回路は、蒸発室排水口の弁を閉じ、流入水弁を開き、「処理中」ランプ、蒸発室加熱要素、時間カウンタ、および冷却ファンを通電させる。制御回路はまた、フロートスイッチによって蒸発室内の水位を監視し、入ってくる水の流れを必要に応じて調節する。流れの調節は、入口スイッチ、および蒸発室内のフロートスイッチからのフィードバックを受けるソレノイドによって制御される。安全機能として、制御回路はまた、加熱器および蒸発室の温度も監視し、必要な場合は加熱器への電力を遮断する。
【0079】
システムがその間に熱的に安定する所定の時間間隔、好ましくは20分後に、制御回路は、純水出力の流れを、迂回モードから貯蔵タンクへと自動的に切り換える。貯蔵タンクが満たされていることを制御回路が判断した後、制御回路は、浄水シーケンスを停止し、システムの自浄機能を開始する。
【0080】
システムの制御回路は、貯蔵タンク内の水の状態を、たとえばフロートスイッチを介した量および導電率を介した質について連続的に監視する。水質が悪化している場合、制御回路は、注意灯を点灯するように信号を送る。水量が少ない場合、制御回路は、上記のように貯蔵タンクを補充するために純水の処理を自動的に開始する。
【0081】
制御回路はまた、水送達ポンプの点検を維持し、過負荷の場合、または純水を確実に供給するにはタンク内の水位が低すぎる場合に、ポンプへの電力を遮断する。最終的に、制御回路はまた、システムを収容する底部受皿内のフロートスイッチによって、水の漏れについてシステムを監視する。このスイッチは、受皿内にかなりの量の水が蓄積すると作動され、その場合、制御回路は漏れが原因でシステム全体を停止する。
【0082】
実施例1
脱気装置における不揮発性または揮発性有機物の除去
説明された本発明の実施形態における脱気装置の有効性の実証として、入力水中のイソプロピルアルコールを用いて試験が行われた。脱気装置の完全な機能が実現されるように、システムに負荷をかけた。システムは、予熱機能が達成されるように暖機され、定常状態の体積の水蒸気が、蒸発室から脱気装置内へと送達された。4ppmのイソプロピルアルコールを含有する入力水の試料がシステム内に導入され、そのような試料からの生成水は、イソプロピルアルコールの存在が定量的に試験された。ほぼ100倍の減少が認められ、出力水中のイソプロピルアルコールの濃度は、約40ppbであった。
【0083】
実施例2
生物的汚染物質の除去
全大腸菌群は、実験室で比較的容易に培養されるので、疾病を引き起こす生物の存在に関する主要な指示菌として選択されている。大腸菌群は、病原(疾病を引き起こす)生物ではなく、緩やかな感染性しかもたない。このため、これらの細菌は、実験室での扱いが比較的安全である。水中に多数の大腸菌が見出される場合、ジアルジアおよびクリプトスポリジウムなど、別の病原菌および生物が存在している確率が高い。公共飲料水供給は、飲料水100ml当たりに、全大腸菌が存在しないことを実証するように試験される。全大腸菌群の認可された試験には、メンブレンフィルタ法、多管発酵法、MPN法、およびMMO−MUG(「コリラート」)法がある。メンブレンフィルタ法は、細菌を保持できる微細な有孔フィルタを使用する。フィルタは、ペトリ(培養)皿内で、成長増菌培地(mEndo)を有するパッド上に配置され、35℃で24時間培養される。フィルタ上に集まる個々の細菌細胞が、ドーム形状のコロニーに成長する。大腸菌群は、金緑の光沢を持ち、皿から直接計数される。いくつかの他の細菌が同様の発色をする場合があるので、より特定的な培地を使用する確証試験が必要とされる。確証試験手順は、陽性が疑われている全大腸菌試験の試験を完了するために、さらに24から48時間を必要とする。
【0084】
流入水試料は、大腸菌群を検出するために培養される。100mlの水の試料が培養され、大腸菌コロニーが検出される。流入水は、本明細書で説明されるようにシステム内で処理され、対応する試剤である100mlの生成水が培養される。大腸菌コロニーは検出されず、生成水が生物的汚染物質を含まないことを示す。
【0085】
脱気装置の詳細および代替形態
水の脱気は通常、揮発性化合物の蒸気圧力を上昇させるために流入水を加熱することによって実現される。各化合物の沸点では、溶存ガスの溶解度がゼロに降下し、ガスが水から抜け出る。たとえば、飲料水中に見られる揮発性物質の多くは、通常は水の沸点よりかなり低い温度で非常に大きい分圧を有する塩素化合物である。したがって、これらの物質の多くは、適切な脱気を実行するために水を約200〜210℃F(93〜99℃)の温度に加熱することによって除去することができる。ただし、物質は即座に水を完全に離れず、よって、溶存ガスを完全に除去するためには、いくらか時間がかかる。
【0086】
たとえば、住宅用用途に使用される浄水システムなどにおける、従来の脱気装置の設計に伴う1つの困難は、それらが、脱気装置内の加熱される水の滞留時間をほとんど制御できないことである。その結果、過剰な量の揮発性物質が流入水中に存在する場合、すべての揮発性物質の脱気を実行するために与えられる滞留時間が不十分となることがある。さらに、多くの脱気装置は、圧力制御を行わずに動作し、これは、システムから揮発性化合物の質量移動を実行するために選択される媒体が水蒸気である場合、水蒸気の過剰な損失をもたらすおそれがある。
【0087】
脱気装置の設計における他の問題は、拡大縮小性である。大型の工業用脱気装置は、物質移動ひいては脱気にとって有効な、大幅な圧力降下ならびに大量の液体および気体の両方とともに動作するが、小型の脱気装置は、良好に縮小されず、それらを1日当たり10ガロン未満の処理量で動作させることは、困難であった。
【0088】
必要とされているのは、さらなる滞留時間を可能にし、使用地点および入口地点のためのシステム内の廃棄水蒸気の量を制限することもできる、より小型の脱気装置である。
【0089】
いくつかの実施形態では、同心状の粒子層を有する脱気装置が提供され、内側の粒子層は粒子間に比較的小さい空間をもたらすように構成され、外側の粒子層は粒子間に比較的大きい空間をもたらすように構成される。様々な実施形態において、粒子は、脱気装置内のランダムかつ構造化された充填を示す。粒子は、金属、ガラス、およびプラスチックなどの材料で製作することができる。脱気装置は、頂部に水入口を有することができる。脱気装置は、廃棄水蒸気用出口を頂部に有し、加熱された水蒸気用入口および水出口を底部に有することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、同心状の粒子層を保持する容器を有する脱気装置が提供され、内側の粒子層は粒子間に小さい空間をもたらすように構成され、中間の粒子層は粒子間に中間の空間をもたらすように構成され、外側の粒子層は粒子間により大きい空間をもたらすように構成される。中間の空間は、システム内の水蒸気が気相を脱して凝縮し始めるようなものであり、小さい空間は、水蒸気を液体の水に変換するようにこのプロセスを続けるのに十分小さい。
【0091】
他の実施形態では、脱気装置容器は、容器の底部外縁部に蒸気入口を有する。水蒸気入口は、沸騰チャンバからの加熱用水蒸気が外縁部にて容器に入り、脱気装置の内側の外縁部を加熱することを可能にする。容器は、容器の頂部に蒸気出口を有し、そこから廃棄蒸気がシステムを出る。容器は、容器頂部に水入口を有することができる。容器は、容器の底部に浄水出口を有する。水出口は、たとえば、容器の中央底部内に配置される。容器は粒子で充填される。いくつかの実施形態では、3つの粒子サイズがあり、所与のサイズの各粒子が、同心区域内に配置される。したがって、そのような実施形態では、3つの同心区域があり、各区域はそれぞれ所与のサイズの粒子を有する。好ましい実施形態では、粒子はガラスビーズである。より好ましい実施形態では、3つの粒子サイズがあり、容器の最も外側の区域内に最も大きいサイズの粒子があり、容器の最も内側の区域内に最も小さいサイズの粒子がある。最も好ましい実施形態では、容器内に、8mmのガラスビーズを有する最も外側の区域または層、6mmのガラスビーズを有する中間区域または層、および、4mmのガラスビーズを有する中央区域または層がある。いくつかの実施形態では、ビーズは、ソーダ/石灰ガラス製である。そのような実施形態では、3mmのビーズ20個の重量を約0.7グラムとすることができ、4mmのビーズ20個の重量を約1.8グラムとすることができ、6mmのビーズ20個の重量を約5.7グラムとすることができ、8mmのビーズ20個の重量を、約14.4グラムとすることができる。
【0092】
いくつかの実施形態は、小型でより有効な脱気装置を備える。脱気装置は、好ましくは、水蒸気の通過を可能にする区域が脱気装置内に作り出され、水蒸気の凝縮を促進する別の区域が作り出されるように、可変空隙率の同心層を採用する。脱気装置は、脱気装置の内側の表面積を増す粒子を脱気装置の内側に備え、それにより、水を浄化するためのより長い滞留時間を可能にする。
【0093】
いくつかの実施形態では、システムの空隙率は、様々なサイズの粒子によって実現される。こうした実施形態では、外側層内の粒子は、加熱用水蒸気が、蒸発室など水蒸気源から脱気装置内へと、また脱気装置全体をより容易に通過することができるように、比較的大きいサイズを有する。蒸発室から来るこの加熱用水蒸気はまた、システムの内部温度を沸点付近に維持するための断熱物としても作用することができる。より大きいサイズの粒子の外側層の内側は、中間サイズの粒子の層である。この中間サイズの粒子の層は、適当な透過性および長い滞留時間をもたらし、より高い割合の揮発性物質の脱気を可能にする。この中間サイズの層の細孔および粒子は、粒子間の空間がより少ないので、蒸気から水をより凝縮させやすい。内側の層は、より小さいサイズの粒子を備え、そのため細孔の大部分が、重力により蒸発室内へ流れる脱気された水で充填される。
【0094】
図8は、典型的な脱気装置ユニット210の概念を図示する。好ましい実施形態では、脱気されるべき流入水および他の液体は、取入ポート220を通り脱気装置の頂部を通って流れる。好ましくは、流入水は温水または熱水である。水は、一連の粒子が詰め込まれた脱気装置を通り、自由に流れることができる。好ましくは、粒子はガラスビーズである。流入水はさらに、蒸発室からの水蒸気により脱気装置内で加熱される。外側の粒子230は、中間層の粒子240よりも大きく、中間層の粒子240は内側層の粒子250よりも大きい。ビーズの表面積が、脱気装置の中心軸に向かって増大することにより、より大量の揮発性ガスを水から取り去ることが可能になる。より大きい粒子は区域230をもたらし、そこを通して、加熱された水蒸気を迅速かつ効率的に脱気装置に加えることができ、一方、中間およびより小さいサイズの粒子は、区域240および250を脱気装置内にもたらし、取り去られた蒸気はそこで、液体の形に凝縮し、脱気装置から、たとえば好ましくは脱気装置の下方に配置される蒸発室装置内へと、排水される。当業者には理解されるように、符号230、240、250は、粒子自体、または、図示の実施形態では粒子間の空間により作り出される多孔区域を指すことができる。
【0095】
水蒸気270は、システムに熱を加える前に、脱気装置に加えられる。様々な気体が、好ましくはユニットの頂部または頂部付近に配置される出口ポート280を通ってシステムを出ることができる。水蒸気を水に戻す凝縮をもたらす脱気装置の区画は、より小さい粒子間間隔を有する区画であり、かつ、この区画は脱気装置の中央にあるので、この構成は水蒸気が循環し脱気装置の外側区画を加熱することを可能にするが、水蒸気は脱気装置の中央区画で凝縮して次の区画へと流入する。当業者には理解されるように、異なるサイズの粒子および異なる区域の位置は変えることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、より小さい粒子が脱気装置の外縁部上に、中間の粒子が内側に、より大きい粒子が中央に配置される。さらに、中間サイズのものを、中央または外縁部内に配置することができる。そのような実施形態では、水蒸気入口および出口の位置、および脱気された水用の出口は、好ましくはそれに応じて配置し直される。ただし、好ましい実施形態は図8に示される。
【0096】
脱気装置システムは、好ましくは蒸発室装置に密接に近接して配置される。好ましくは、脱気装置ユニットは蒸発室の頂部上に配置される。これにより、蒸発室からの蒸気は、蒸発室から脱気装置内へと直接上昇することが可能になる。これはまた、脱気装置から廃棄部へと向かう脱気された水を、直接蒸発室へと排水することを可能にする。当業者には理解されるように、蒸発室と脱気装置との間に何らかの有意な仕切りの必要はない。一実施形態では、粒子を保持するためのスクリーンのみが、脱気装置を蒸発室から分離する。
【0097】
粒子は、たとえば球形、半球形、不定形、矩形、楕円形、正方形、円形、多面体、(たとえば礫のような)不規則など、任意の形状にすることが可能である。粒子の表面は、たとえば、無孔であったり、多孔であったり、半多孔であったり、被覆されたり、または長い滞留時間をもたらすように構造化されたりするなど、必要に応じて変えることができる。好ましくは、粒子は、球形であり、無孔である。異なるサイズの粒子は、それらの間の異なるサイズの空間(間隙空間)を有することになることを、当業者は理解するであろう。たとえば、より大きいガラスの球体は、より小さいガラスの球体よりも大きい空間を有することになる。粒子間間隔のサイズは、粒子のサイズ、粒子の形状、およびその他のファクターに基づいて変えることができる。通則として、より大きなほぼ球形の粒子もまた、より大きな空隙率を持つ混合物をもたらす。すなわち、比較的大きい空間が、球形の間に存在することになる。同様に、より小さい粒子は、より小さい間隙空間を有し、より蒸気を液体の水に凝縮させやすい環境をもたらす。
【0098】
粒子はいかなる適当な材料で製作することもできる。例示的な材料は、限定ではないが、金属、ガラス、複合材料、セラミック、プラスチック、石、セルロール材料、繊維材料などを含む。必要に応じて、材料を混合して使用することができる。当業者は、それぞれの特定の目的に適した材料を決定することができる。好ましくは、材料はガラスで製作される。選択される材料は、好ましくは、亀裂、破砕、その他の損傷、または有毒な材料の水中への浸出を伴わずに、長期間にわたる高温での使用に耐えることができる。必要に応じて、様々なサイズの粒子を様々な材料で製作することができる。たとえば、外側の粒子を金属で作製し、中間の粒子を耐熱プラスチックで作製し、中央層をガラスで製作することができる。選択される材料は、好ましくは、加熱プロセスによる破損、錆、または亀裂に耐えることができる。
【0099】
粒子をいかなる所望のサイズになるように選択することもできることを、当業者は理解するであろう。たとえば、外側の粒子は、約5mmから約25mmまたはそれ以上の範囲の直径を有することができる。中間層の粒子は、たとえば約1mm以下から約15mm以上の範囲の直径を有することができる。中央層の粒子は、たとえば約0.1mm未満から約10mm以上の範囲の直径を有することができる。一般に、直径は、約0.1mmから約30mmの間の範囲とすることができる。
【0100】
好ましい実施形態では、同心層の粒子はガラスビーズであり、たとえば8mmのガラスビーズを有する最も外側層、6mmのガラスビーズを有する中間層、および4mmのガラスビーズを有する中央層を有する。外側粒子の直径と内側粒子の直径との比は、必要に応じて当業者が変えることができる。外側粒子サイズと内側粒子サイズとの比は、たとえば、約1:1から1000:1とすることができる。
【0101】
好ましくは、粒子の層化は、最も小さいサイズの粒子がユニットの中央にあり、最も大きいサイズの粒子がユニットの外壁に最も近い、同心円である。当業者には理解されるように、円は厳密である必要はなく、必ずしも同心でなくてもよい。たとえば、非同心円は、必ずしも図示の実施形態のすべての利点を有する必要はなく、水蒸気をより小さい多孔区域内へと導く大きい多孔区域を有する実施形態は、良好に機能し、本発明の主な利点をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、様々な区域または異なるサイズの粒子が、スクリーンの使用によって別個の群内に保持される。好ましい実施形態では、様々なサイズの粒子は、中間サイズの粒子の存在により小さい粒子が大きい粒子と混ざることを防止する、粒子を容器内に詰め込む方法によって、別個の群として保持される。
【0102】
必要に応じて、2層または3層より多い層を使用することができる。たとえば、4、5、6、または7、あるいはそれ以上の層を使用することができる。好ましい実施形態では、それぞれサイズが異なる3つの層が使用される。いくつかの実施形態では、粒子のサイズを変えるのではなく、粒子の表面特性など、粒子の別の特性が変えられる。さらに、必要に応じて、徐々により小さい粒子サイズで脱気装置の中央区域を充填することが可能になるように実行される詰め込み手順で、脱気装置に異なるサイズの粒子の混合物を詰め込むことができる。いくつかの実施形態では、層は、層全体を通して均質な粒子で詰め込むことができる。他の実施形態では、層は不均質であり、他の形状のビーズ、粒子、ガラスウールなどを含むことができる。粒子の不均質性は、サイズだけではなく、たとえば、組成、表面特性、密度、比熱、ぬれ性(疎水性対親水性)、硬度、延性なども含むことができる。好ましくは、上述したように、不均質性は、どんな形をとるとしても脱気装置内に同心環内で分布するが、同心状でない他の配置も、本発明のいくつかの実施形態において意図される。
【0103】
脱気装置の壁部および入口/出口ポートは、任意の適当な材料で製作することができる。例示的な材料としては、たとえば、金属、アルミニウム、ガラス、複合材料、耐熱ポリプロピレンなどがある。好ましくは、壁部の材料は防錆鋼である。好ましくは、材料は、亀裂、破砕、または有毒な材料の水中への浸出を伴わずに、長期間にわたる高温での使用に耐える。
【0104】
いくつかの実施形態では、脱気装置は、水が好ましくない量の揮発性物質を含有する場合でも、水を脱気するための適当な滞留時間をもたらすように使用される。したがって、脱気装置は、より安全な飲料水、または多くの別の用途のためのより毒性の低い水を生成するために使用することができる。
【0105】
本発明の方法を用いて水を処理することによって除去または減少させることができる揮発性汚染物質の例は、限定ではないが、メチル第3ブチルエーテル、ベンゼン、四塩化炭素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレントランス−1,2−ジクロロエチレン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、エチルベンゼン、スチレン、テトラクロロエチレン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、トルエン、塩化ビニル、キシレン、天然ガス、たとえば酸素、窒素、二酸化炭素、塩素、臭素、フッ素、および水素など、その他の揮発性有機化合物(VOC)、たとえばギ酸、エチルヒドラジン、メチルメタクリレート、ブチルエチルアミン、ブタノール、プロパノール、アセトアルデヒド、アセトニトリル、ブチルアミン、エチルアミン、エタノール、メタノール、アセトン、アリルアミン、アリルアルコール、メチルアセテート、水酸化アンモニウム、アンモニアなどを含む。
【0106】
本発明のさらなる実施形態では、脱気装置の外側区画はまた、流入水の温度を水の沸点近くに維持するように、脱気装置の容積の内側区画の有効な断熱をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、粒子自体は、それらの熱保持能力のために選択される。これは、エネルギーを節約することができ、より効率的な脱気システムを生み出す。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明の脱気装置の設計は、脱気された水を蒸発室内へと運ぶための定常的な通路を提供し、同時に、水蒸気を過剰に発生させる必要性を回避する。これは、水蒸気が脱気装置の外装を加熱するからであり、また、水蒸気が1つの区域で脱気装置に容易に入ることができるが、別の区域では、脱気された水の凝縮およびシステムからの流出を可能にするからである。水蒸気の過剰な発生を防止することによって、粒子内に塩が沈殿する可能性があるという問題を回避することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、システムの様々な粒子サイズが大きい表面積をもたらすことができるので、脱気装置は、従来使用されているモデルよりも小型とすることができる。次いで、脱気装置の高さを最低限に抑え、より小型の設計をもたらすことができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、脱気装置は、従来の脱気装置に比べて、試料からの不純物除去における効率がより高い。たとえば、いくつかの実施形態では、図8の脱気装置は、最大30ml/分の流量の水から、40ppmの塩素を除去することができる。いくつかの実施形態では、脱気装置は、最大20ml/分の流量の水から最大2ppmのアンモニアを除去することができる。いくつかの実施形態では、脱気装置は、最大30ml/分の流量で、空気など一般的な気体を、最大でそれらの気体の溶解限度まで除去することができる。
【0110】
脱気装置の実施例
実施例3
脱気装置の準備
図8に示すように、幅1インチ×高さ12インチのステンレス鋼製のシリンダに、ステンレス鋼製の水入口ポートおよびステンレス鋼製の気体/水出口ポートが取り付けられている(代替実施形態では、幅1インチ×高さ8インチ、幅1.5インチ×高さ8インチ、または幅3.5インチ×高さ12インチの装置を使用することができる)。ユニットは、蒸発室装置の頂部に取り付けられる。次いでシリンダは、以下のように清浄な球形のガラスビーズで充填される。外側区域には、約8mmの直径を有するガラスビーズが詰め込まれる。次いで中間層には、約6mmの直径を有するビーズが詰め込まれる。中央区域には、約4mmの直径を有するガラスビーズが詰め込まれる。脱気装置には、ステンレス鋼製のカバーユニットが取り付けられる。蒸発室が加熱され、水蒸気が脱気装置を通過可能となる。脱気装置が暖められると、処理されるべき水が予熱され、次いで脱気装置の頂部に加えられる。脱気装置を出る水は、減少した量の揮発性化合物をその中に有することになる。装置が定常温度まで上昇すると、装置は、以下の濃度、すなわち40ppmの塩素、2ppmのアンモニア、および空気中のほとんどの天然の気体を含有する水から、気体をほぼ完全に、最大でそれらの溶解限度まで除去する。
【0111】
実施例4
飲料水を浄化するための、拡大された脱気装置の使用
実施例3の脱気装置は、2ガロンの蒸発室システムの頂部上に組み付けられる。次いで、浄化されるべき水は、5ml/分の流量から50ml/分の流量で、予熱された脱気装置の入口を通して汲み上げられる(他の実施形態では、最大数リットル/分を使用することができる。)。脱気装置に入る水は、約100℃の温度まで予熱される。水は、基本的に水の沸点にて脱気装置に入る。大量の水が処理される場合、脱気装置頂部での温度は、数度下がることがある(98℃まで降下)。流入水の処理量のほぼ10%から20%が、脱気装置を駆動するための水蒸気として使用され、その約半分が脱気装置内で再凝縮される(水蒸気の使用は水の処理量の1%未満まで低減することができるが)。浄化された水は、蒸発室内へと降下し、冷却が可能となり、揮発性汚染物質のレベル用に試料化される。この方法を用いることによって、揮発性汚染物質が除去され、水が浄化される。
【0112】
ユニットは、水を脱気する必要がある限り動作することができるように、連続的に動作させることができる。脱気装置からの排水速度は、ガラスビーズの詰め込みおよびサイズに依存し、1秒から数分まで変化する。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書においてその実施形態が開示される浄水用システムは、さらなる有利な特徴を提供するために、他のシステムおよび装置と組み合わせることができる。たとえば、システムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2005年5月2日出願の「SOLAR ALIGNMENT DEVICE」という名称の米国特許仮出願第60/676870号、2005年7月6日出願の「VISUAL WATER FLOW INDICATOR」という名称の米国特許仮出願第60/697104号、2005年7月6日出願の「APPARATUS FOR RESTORING THE MINERAL CONTENT OF DRINKING WATER」という名称の米国特許仮出願第60/697106号、2005年7月6日出願の「IMPROVED CYCLONE DEMISTER」という名称の米国特許仮出願第60/697107号、2004年12月1日出願のPCT出願US2004/039993号、2004年12月1日出願のPCT出願US2004/039991号、および2003年12月2日出願の米国特許仮出願第60/526,580号のそれぞれに開示される装置または方法のいずれかと共に使用することができる。
【0114】
これらの方法および装置は、目的を実行し、上述の目標および利益、ならびにその他様々な利点および利益を得るように適合され、また適合することができることを、当業者は理解するであろう。本明細書で説明される方法、手順、および装置は、現在の好ましい実施形態を示す例示的なものであり、本発明の範囲の限定は意図されていない。本発明の精神に包含され、本開示の範囲によって規定される、その中での変更およびその他の用途を、当業者は思いつくであろう。
【0115】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される本発明に様々な置換および修正を行うことができることが、当業者には明らかとなるであろう。
【0116】
本明細書で説明される本発明の態様および実施形態は、互いに別々に、または互いに関連付けて実行することができることを、当業者は理解する。したがって、個別の実施形態の組み合わせは、本明細書で開示されるような発明の範囲内に含まれる。
【0117】
すべての特許文献および出版物は、個別の出版物がそれぞれ、参照により組み込まれるよう具体的かつ個別に指示されるのと同様に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
本明細書において例示的に説明される発明は、本明細書で具体的に開示されない1つまたは複数の要素、1つまたは複数の制限を伴わずに、適当に実行することができる。用いられてきた用語および表現は、限定ではなく説明のために使用され、そのような用語および表現の使用は、図示および説明された特徴の、同等物またはその一部の除外を意図しない。開示された発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。したがって、本発明を好ましい実施形態および任意の特徴によって具体的に開示してきたが、当業者は本明細書における概念の変更および変形を行ってもよく、そのような変更および変形は、本開示によって規定されたような本発明の範囲内にあると、考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】浄水システムの一実施形態を示す前面図である。
【図2】浄水システムの一実施形態を示す断面正面図である。
【図3】予熱器の詳細を示す図である。
【図4】脱気装置の詳細を示す図である。
【図5】蒸発室の詳細を示す図である。
【図6】サイクロンデミスタの詳細を示す図である。
【図7】浄水システムの一実施形態の制御回路を示す図である。
【図8】例示的な脱気装置を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と、予熱器と、脱気装置と、蒸発室と、デミスタと、生成物凝縮器と、廃棄物出口と、生成物出口と、制御システムとを備える浄水システムであって、前記制御システムは、使用者の介入または洗浄を必要とせずに、繰り返されるサイクルを通して前記浄水システムの動作を可能にし、前記システムは、汚染された水が表1に示されるレベルよりも最大25倍高い汚染物質類のレベルを有するとき、前記システムで浄化された水が、表1に示されるレベルよりも低いすべての汚染物質類のレベルを有するように、微生物的汚染物質、放射性汚染物質、金属、塩、揮発性有機物、および不揮発性有機物を含む複数の汚染物質類を、前記汚染された水の試料から除去することができるシステム。
【請求項2】
生成された水の体積は入力水の体積の約20%から約95%の間である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、少なくとも約2カ月間の使用を通して洗浄を必要としない、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、少なくとも約1年間の使用を通して洗浄を必要としない、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記入口を通る水の流れを調整するための入口スイッチをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記スイッチは、ソレノイド、弁、および絞りからなる群から選択される機構を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記入口スイッチは前記制御システムによって制御される、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
遮断制御装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記遮断制御装置は、手動制御装置、フラッディング制御装置、タンク容量制御装置、および蒸発室容量制御装置からなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御システムは、蒸発室フロート、タンクフロート、およびフラッディング検出器のうちの少なくとも1つからのフィードバックに基づいて前記入口を制御する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記浄水システムからのフィードバックに基づいて前記スイッチを制御する、請求項4に記載のシステム。
【請求項12】
前記フィードバックは、生成水容器内の水量、前記生成物出口を通る生成水の流れ、流水時間、非流水時間、前記蒸発室内の水量、漏れの検出、蒸発室の圧力、出力水の品質(総溶解固形分)、前記蒸発室の両端間の差圧、および蒸発室オーバーフロー堰フロートを横断する水の運動からなる群から選択される少なくとも1つの特性に基づく、請求項5に記載のシステム。
【請求項13】
流れ制御装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記流れ制御装置は、圧力調整器を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記圧力調整器は、水圧を約0kPaから250kPa(0から36psi)の間に維持する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記流れ制御装置は、水流を10ml/分から75ml/分の流量の間に維持する、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
堆積物トラップをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記予熱管が前記蒸発室内を通過する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記予熱管を出る水は少なくとも約96℃の温度を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記予熱管は、少なくとも約15秒間の、前記予熱管内の水の滞留時間を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記予熱管はコイルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記コイルは、実質的に水平な正味の流れを有し、前記コイルを通って移動する水は、水平面を通って繰り返し通過する、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記予熱管は水蒸気凝縮器との熱交換を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記予熱管の少なくとも一部は、前記水蒸気凝縮器の少なくとも一部と同心である、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記水蒸気凝縮器は廃棄水蒸気を収容する、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記脱気装置は、実質的に垂直の向きであり、上端部および下端部を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記予熱管からの加熱された水は、前記上端部付近で前記脱気装置に入る、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記加熱された水は、前記下端部付近で前記脱気装置を出る、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記蒸発室からの水蒸気は、前記下端部付近で前記脱気装置に入る、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記水蒸気は、前記上端部付近で前記脱気装置を出る、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記脱気装置は、水と水蒸気の混合を促進するようになされた充填材を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
前記充填材は、実質的に球形の粒子を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記充填材は、非球形の粒子を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記充填材は、前記脱気装置内の均一な詰め込みを可能にするように選択されたサイズを有する粒子を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
前記充填材は異なるサイズの粒子を含み、前記粒子がサイズ的勾配を持って脱気装置内に配列される、請求項31に記載のシステム。
【請求項36】
前記脱気装置を出る水は、有機物および揮発性ガスを実質的にもたない、請求項1に記載のシステム。
【請求項37】
前記蒸発室は、少なくとも1つの上部セグメントおよび下部セグメントを備え、前記上部セグメントの水平断面は前記下部セグメントの水平断面よりも大きい面積を有し、前記蒸発室は、前記上部セグメントと前記下部セグメントとの間の接合部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項38】
前記接合部は実質的に水平である、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記蒸発室は排水口をさらに備え、前記排水口は前記接合部またはその上方にある、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記蒸発室は、複数の粒子を含む自浄媒体をさらに備え、前記排水口は開口部を有し、前記開口部は、前記粒子が前記排水口を通過することを可能にしないサイズを有し、前記開口部はさらに、前記粒子の形状と相補的でない形状を有する、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記蒸発室は、前記蒸発室の加熱された部位に近接する少なくとも一領域にて沈殿物の蓄積を妨げる自浄媒体を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項42】
前記媒体は複数の粒子を含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記粒子は実質的に球形である、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記粒子は、前記蒸発室内の水の沸騰による、前記粒子の実質的に連続的な撹拌を可能にする特性を有する、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記特性は、比重、サイズ、形態、集合の数、および構成からなる群から選択される、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記粒子は、選択された硬度を有し、前記硬度は、前記粒子または前記蒸発室を実質的に侵食せずに、前記粒子による前記蒸発室の汚れ落としを可能にする、請求項42に記載のシステム。
【請求項47】
前記粒子は、セラミック、金属、ガラス、または石で構成される、請求項42に記載のシステム。
【請求項48】
前記粒子は、約1.0より大きく、約8.0より小さい比重を有する、請求項42に記載のシステム。
【請求項49】
前記粒子は、約2.0から約5.0の間の比重を有する、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記蒸発室は、前記蒸発室の底部に隣接する加熱要素をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項51】
前記加熱要素は、前記蒸発室の底部に隣接して前記蒸発室の外側に配置され、前記加熱要素は前記蒸発室に接合される、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記加熱要素は、前記蒸発室の底部に隣接して前記蒸発室の内側に配置される、請求項50に記載のシステム。
【請求項53】
前記デミスタは、前記蒸発室の上面に近接して配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項54】
前記蒸発室からの水蒸気は、圧力を受けて前記デミスタに入る、請求項1に記載のシステム。
【請求項55】
前記デミスタは差圧を有し、前記差圧は125Pa以上から2500Paである、請求項1に記載のシステム。
【請求項56】
前記デミスタは、サイクロン作用によって、廃棄水蒸気から清浄な水蒸気を分離するようにされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項57】
清浄な水蒸気と廃棄水蒸気との比が、約10:1より大きい、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記制御システムは、水蒸気の質を調整するためにパラメータを調節する、請求項56に記載のシステム。
【請求項59】
前記水蒸気の質は、清浄な水蒸気の純度、清浄な水蒸気と廃棄水蒸気との比、および清浄な水蒸気の総体積からなる群から選択される少なくとも1つの質を含む、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記パラメータは、清浄な水蒸気の出口の凹部の位置、前記デミスタの両端間の差圧、水蒸気入口の流れに対する抵抗、水蒸気出口の流れに対する抵抗からなる群から選択される少なくとも1つのパラメータを含む、請求項58に記載のシステム。
【請求項61】
前記生成物凝縮器用の冷却装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項62】
前記冷却装置はファンを含む、請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記生成物凝縮器はコイルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項64】
生成水が、前記生成物出口を通って前記生成物凝縮器を出る、請求項1に記載のシステム。
【請求項65】
廃棄物凝縮器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項66】
廃水が、前記廃棄物出口を通って前記廃棄物凝縮器を出る、請求項65に記載のシステム。
【請求項67】
生成水貯蔵タンクをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項68】
前記貯蔵タンクは少なくとも1つの制御機構を備える、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記制御機構は、フロート、導電率計、および堰フロートからなる群から選択される少なくとも1つの機構を備える、請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
前記制御システムは、サイクルの開始時に、選択された遅延期間中は水蒸気が前記生成物出口に送られないように、遅延を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項71】
前記遅延期間は、少なくとも約10分間から30分間である、請求項70に記載のシステム。
【請求項72】
前記制御システムは、少なくとも約10分間の、前記蒸発室内での水の平均滞留時間を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項73】
前記制御システムは、少なくとも約45分間の、前記蒸発室内での水の平均滞留時間を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項74】
前記制御システムは、前記蒸発室内の水が廃棄部へと迅速に排水され、蓄積された不純物および沈殿物を前記蒸発室から除去することを可能にするように、蒸発室フラッシュを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項75】
前記蒸発室は、蒸発室のフラッシュ時に、ある残留体積の水が前記蒸発室の下方部分内に残るように構成される、請求項74に記載のシステム。
【請求項76】
前記残留水は、次の浄化サイクルの開始中に最初の水蒸気を前記脱気装置に供給する、請求項75に記載のシステム。
【請求項77】
浄水方法であって、
第1の濃度の少なくとも1つの汚染物質を含む、流入水源を提供するステップと、
前記流入水の温度を約90℃より高くすることができる条件下で、予熱器内に前記流入水を通すステップと、
前記流入水を、脱気装置内の気体の反対方向の流れに対して逆流させることにより、基本的にすべての有機物、揮発性物質、および気体を前記流入水から取り去るステップと、
前記水を、水蒸気の形成を可能にする条件下で、10分間から90分間の平均滞留時間にわたって蒸発室内に維持するステップと、
水蒸気を前記蒸発室からサイクロンデミスタへと排出するステップと、
清浄な水蒸気の収率が前記デミスタからの廃棄物の少なくとも約4倍より高くなるように、前記デミスタ内の汚染物質を含有する廃棄物から清浄な水蒸気を分離するステップと、
浄化された水をもたらすために、前記第1の濃度より低い第2の濃度の少なくとも1つの汚染物質を含有する前記清浄な水蒸気を凝縮するステップとを含む方法。
【請求項78】
前記少なくとも1つの汚染物質は、微生物、放射性核種、塩、および有機物からなる群から選択される汚染物質を含み、前記第2の濃度は表3に示される濃度以下であり、前記第1の濃度は前記第2の濃度の少なくとも約10倍である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第1の濃度は、前記第2の濃度より少なくとも約25倍高い、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記気体は、水蒸気、空気、および窒素からなる群から選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記プロセスのステップは、洗浄または保守を必要とせずに、少なくとも約3カ月間自動的に繰り返される、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記プロセスのステップは、洗浄または保守を必要とせずに、約1年間自動的に繰り返される、請求項77に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−512549(P2009−512549A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536697(P2008−536697)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/040103
【国際公開番号】WO2007/047443
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(506186433)シルバン ソース、 インク. (5)
【Fターム(参考)】