説明

海港などにおける運搬貨物の放射線走査

【課題】 走査のため放射線源と検出器との間に物品を移動させるクレーンシステムに隣接して配置された放射線源および検出器を具備してなる放射線走査システムを提供する。
【解決手段】 放射線源および/又は検出器はクレーンシステムにより支持させても、あるいはその近傍に配置させてもよい。好ましくは、放射線源および検出器はクレーンシステムにより支持させるか、又はクレーンシステムにより画成される輪郭内に配置させる。この放射線走査システムは船舶運搬貨物などの運搬貨物を、船舶に対する積み下ろしの際に走査するのに特に適している。物品を検査する方法も同じく開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品の放射線走査、特に、輸出入禁止品のための運搬貨物の放射線走査に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線は、手荷物、バッグ、書類カバンなどの物品を立ち入らずに(非侵入的に)検査し、隠された輸出入禁止品を識別するのに通常、使用されている。この輸出入禁止品には、例えば、拳銃、ナイフ、爆破装置、不法薬品などが含まれる。犯罪者およびテロリストは輸出入禁止品を隠蔽する方法がより巧みとなっており、そのため、より効果的な非侵入的検査技術の必要性が生じている。機内持込みバッグおよび手荷物に入れて輸出入禁止品を飛行機で密輸することがよく知られているが、現行の関心事で、あまり公になっていないが、より深刻な恐怖は、大きい貨物コンテナーに入れ、船舶で国境を越えて輸出入禁止品を密輸することである。船舶により米国に運ばれる1700万の貨物コンテナーの内、僅か2−10%が検査されるに過ぎない(“チェックポイント・テロ”、U.Sニュース・アンド・ワールド・レポート、2002年2月11日、第52頁)。
【0003】
1つの一般的検査システムはライン・スキャナーであり、この場合、検査されるべき物品、例えば手荷物は、固定放射線源、例えばX線放射と、固定検出器との間を通過させる。放射線は垂直扇形ビーム又は集束ビームに整光(collimate)され、物品はこのビームを水平に移動させる。この物品を透過した放射線は物品の内容物により様々な程度に減衰される。この放射線の減衰量は、放射線ビームが透過した物質の密度の関数となる。この減衰した放射線が検出され、この物品の内容物の放射線透過写真像が検査のため形成されることになる。この放射線透過写真像は、上記内容物の形状、大きさ、異なる密度を明らかにする。
【0004】
典型的な海港環境において、貨物船舶が港の波止場に付けられ、コンテナーがクレーンにより船舶から荷揚げされる。これらコンテナーはクレーンによりトラック上に下ろされる。コンテナーを輸出入禁止品について検査することが決定されると、このトラックによりコンテナーが、指定された検査所に運ばれる。
【0005】
典型的なX線検査システムは、貨物コンテナーのサイズのため、海港、空港環境での使用は実際的ではない。標準的貨物コンテナーは一般に、長さが20−50フィート(6.1m−15.2m)、高さが8フィート(2.4m)、幅が6−9フィート(1.8m−2.7m)である。航空貨物コンテナーは、航空機の本体に格納されるべき複数個の手荷物又は他の貨物を収容するのに使用され、そのサイズ(長さ、高さ、幅)は35×21×21インチ(0.89×0.53×0.53m)から240×118×96インチ(6.1×3.0×2.4m)の大きさまである。船舶貨物コンテナーは一般に、長さが40−50フィート、幅が8フィート、高さが8フィート(12.2m−15.2m×2.4m×2.4m)である。物品の大きな集積物、例えば手荷物の多数をパレットに支持させることもある。支持側壁を有することのあるパレットも貨物コンテナーと同様の大きさのこともある。本明細書で“貨物運搬”の用語は種々の貨物コンテナー(船舶貨物コンテナーを含む)およびパレットを包含するものとして使用されている。
【0006】
大きなコンテナーを検査するために、固定検査システムが提案されている。例えば、米国特許No.4,430,568(Yoshida)には、大きな船舶用コンテナーを含む包装物の検査のためのX線システムが開示されている。コンベヤーが包装物又はコンテナーを、床面上のX線源と、検出器列との間に水平に移動させるようになっている。米国特許No.4,599,740(Cable)には、固定検査システムが開示されており、この場合、X線源が放射線の連続的ビームを、コンベヤーを横切って伝達されるようになっており、検査すべきコンテナーはこのコンベヤーに沿って移動するようになっている。このコンテナーは連続的に、又はとびとびに移動させてもよい。コンテナーを透過させた放射線は、“折り畳まれた”センサー・スクリーン又は装置であって、2つの垂直アーム、すなわち、検査の間において、一方がコンテナーの1側に沿って垂直に延出し、他方がコンテナーの頂部の上を水平に延出するようにしたものにより検出される。この折り畳まれたセンサーにより、コンテナー全体を透過した放射線を検出するのに必要なそのままのサイズのものと比較して、検査システムの高さを小さくすることができる。
【0007】
携帯用X線画像化システムで、大きなコンテナーを走査することも提案されている。例えば、米国特許No.5,638,420(Armistead)には、ストラドル(straddle)検査システムが開示されている。この場合、放射線走査システム(放射線源および検出器)が可動フレームに固定され、このフレームがコンテナーの長手方向に沿って水平に移動するようになっており、その間、画像データが連続的に記録されるようになっている。更に、米国特許No.5,692,028(Geusら)には、放射線源および検出器を自動車に搭載させたX線検査システムが開示されている。この自動車は物品を通過するように駆動され、物品の内容物を走査するようにしている。このシステムで船舶用コンテナーを検査することが提案されている。
【0008】
上述のシステムは幾つかの欠点を有する。例えば、海港中の貴重な空間を占有することなる。上記のArmisteadおよびGeusの特許はX線施設に恒久的に占有される空間量を少なくするため携帯用に設計されているが、この双方のシステムとも依然として大きく、使用時には大きな占有領域を独占することになる。更に、これらシステムは全て、“大型コンテナー”環境内では容易に負かされてしまう。例えば、コンテナーが一旦船舶から下ろされ、検査ステーションへの搬送のためにドックに置かれると、検査前に輸出入禁止品を容易に除去してしまうことができる。これら上述のシステムは更に検査速度が遅い。コンテナーは一般には、スキャナーが検査を終了させるよりも、より迅速に船舶から下すことができる。従って、海港での船舶用コンテナーについての改良された検査システムの開発の必要性が存在する。
【0009】
クレーンシステムに放射線検出器を搭載し、このクレーンシステムにより運ばれつつある運搬貨物内の放射性物質により放出された放射線を検出することも提案されている。このようなシステムは、放射性でない輸出入禁止品、又はシールドされている輸出入禁止品を検出することはできない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1実施態様において、放射線走査システムは、放射線源、例えばX線照射源と、貨物、船舶用コンテナー、その他の運搬貨物などの物品を或る場所から他の場所に移動させるクレーンシステムに隣接させて設けた放射線検出器とを具備してなる。ここで、“クレーンシステム”とは、物品を第1の位置から持ち上げ、第2の異なる位置へ降下させるようにした如何なるシステムであってもよい。このクレーンシステムは、物品を、放射線源と、放射線検出器との間の空間を通るように移動させ、それにより当該物品を走査することができるようになっている。このクレーンシステムは、例えば、海港で船舶への、又は船舶からの物品、例えば船舶用コンテナー又は他の種類の運搬貨物の積み下ろしを行うことができる。放射線源および/又は放射線検出器は、このクレーンシステムに支持させてもよいし、クレーンシステムに近づけて例えば地面に設置させてもよい。この“近づけて”の意味は、ここではクレーンが物品を運ぶことのできる任意の場所を指すものである。放射線源および/又は放射線検出器がクレーンシステムにより支持されない場合は、これらはクレーンシステムにより画成される領域内に設け、放射線走査システムにより別の空間が占有されないようにすることが好ましい。
【0011】
海港の場合、船舶から下ろされる物品は、例えば、放射線源により放出された放射線ビームを通過して降下され、検出器により検出されるようにする。その他、船舶に積まれる物品は港から持ち上げられ、船舶に積まれる間に放射線ビームを通過しながら物品が上昇するようにする。このシステムによれば、大きな運搬貨物の検査が、積み込み又は積み下ろしの間に可能となり、分離した検査施設に貨物を運ぶことを要しない。更に、この実施態様によれば、放射線源および放射線検出器は好ましくはクレーンシステムにより支持され、又はその領域内にて支持されるものであるから、この検査システムにより占有される空間は、クレーンシステム自体により既に占有されている空間以外にそれ以上、必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1aは本発明の1実施態様に係わる放射線走査システム10を示す模式図である。この実施態様において、システム10は、放射線源14および放射線検出器16を支持するクレーンシステム12を具備してなる。このクレーンシステム12は船舶用コンテナー、パレットなどの運搬貨物18の海港22での船舶20に対する積み込み、積み下ろしのための公知の標準的クレーンであってもよい。本発明によれば、このクレーンシステム12は、物品を或る場所から持ち上げ、他の場所に物品を下ろすのに使用される如何なる装置であってもよい。
【0013】
このクレーンシステム12は、ブームアーム28を支持する両側の垂直構造体24,26を有する。このブームアーム28により運搬システム30が支持されている。この運搬システム30(細部は図示されていないが、当該分野で公知である)は、運搬貨物18又は他の同様の物品を固定するためのキャリッジ(運び台)又はスプレッダー・バー32を有するものであってもよい。このキャリッジ32は、モータ(図示しない)によりプーリーの周りに駆動されるチェーン又は金属ロープ34から懸垂されている。この運搬システム30は、矢線Aで示すように、運搬貨物18をキャリッジ32を介して船舶から垂直に持ち上げ、矢線Bで示すように、運搬貨物18を海港22に向けて水平に移動させ、更に矢線Cで示すように、トラック34又は海港自体に運搬貨物18を下ろすことになる。クレーンシステム12は、例えば制御室36内のオペレータにより操作してもよい。このキャリッジ32は、運搬システム30により開放され、船舶20に戻され、他の運搬貨物18に固定される。このプロセスは運搬貨物18を船舶20に積み込まれる場合は反転される。
【0014】
図1bは放射線走査システム10の背面図であり、垂直構造体24の一対の垂直支持部24a,24bを接続するクロス梁38(図1aにも示されている)上に支持された放射線源14を示している。検出器16(図1bには示されていない)も垂直構造体26の垂直支持部間に架設されたクロス梁上に同様に支持されている。ガイド40および船舶20も図1bには示されていない。放射線源14および検出器16は、運搬貨物18又は他の同様の物品が、これらの間を通って降下するのに十分な距離を以って互いに離間されている。図1bには更に、ブームアーム28を支持する上部クロス梁29が示されている。
【0015】
放射線源14および検出器16は現存のクロス梁により支持させてもよいし、例えば、クレーンシステム12のサイズおよび構造並びに放射線源と検出器との間の所望の距離に応じて、補助のクロス梁および付随する支持構造体を追加して放射線源および/又は検出器を支持するようにしてもよい。標準的クレーンシステム12は、放射線源14および検出器16を含むように容易に改装することができるであろう。
【0016】
運搬貨物18を、放射線源14と検出器16との間を移動(降下又は上昇)させながら、放射線源から放射線ビーム43を運搬貨物18の面18aに照射させる。検出器16は運搬貨物18を透過した放射線を検出する。運搬貨物18を、放射線ビーム中を完全に通過させることにより運搬貨物全体を走査することができる。
【0017】
好ましくは、放射線ビーム43は水平に分岐するビームとする。より好ましくは、放射線ビームは水平に分岐する扇形ビームとする。円錐形ビームも同様に使用することができる。ここで、“扇形ビーム”とは、水平方向など基本的に単なる一次元の分岐放射線ビームを指すものである。又、“円錐形ビーム”とは、水平および垂直に分岐する放射線ビームなど二次元に分岐する放射線ビームを指すものである。この円錐形ビームは数学的に円錐である必要はなく、断面が例えば矩形、正方形、円形、楕円形などの任意の形状の円錐形であってもよい。放射線ビームは例えば矩形の非対称的円錐ビームであってもよい。この水平に分岐するビーム43は、1又はそれ以上の公知のコリメータにより画成することができる。このコリメータは放射線源14と一体化してもよい。
【0018】
テーパー状壁部42を有するガイド40は、放射線源14および検出器16に隣接させて設けることができ、それにより運搬貨物18が放射線源14と検出器16との間を移動する際に運搬貨物18を案内させる。図1aの実施態様のように運搬貨物18が下ろされる際に走査が行われる場合、ガイド40は放射線源14および検出器16のレベルよりも上に設置される。また、運搬貨物18が上に持ち上げられる際に走査が行われる場合、ガイド40は放射線源14および検出器16のレベルよりも下に設置される。ガイド40は、例えばクレーンの支持構造体24,26に取着された水平梁により支持させることができる。1対の両側のテーパー状壁部42が図1aに示されている。所望により、第2の一対の対向壁部を第1の1対の壁部を横切る方向に設けてもよい。
【0019】
図2には、放射線ビームを通って垂直に下ろされる運搬貨物18を走査する水平分岐の放射線ビーム43の平面図が示されている。従来技術では、対照的に、物品は一般に、垂直に分岐する放射線ビームを水平方向に通過移動するようになっている。放射線源14および検出器16も本図に示されている。
【0020】
検出器16は検出器列(アレイ)からなるものでもよい。検出器16は、運搬貨物18の背後に位置する1つの長尺部分16aと、この長尺部分16aに対し垂直に設けられ互いに平行な2つの短尺部分16b,16cとを有するものでもよい。短尺部分16b,16cは運搬貨物18の側壁18b,18cと対向するようになっている。これら短尺部分16b,16cは運搬貨物18の側壁18b,18cを通って透過した放射線を検出するようになっている。このような短い平行部分を設けることにより、検出器16をよりコンパクトにすることが可能となる。これら短尺部分18b,18cの代わりに、より長い長尺部分16aを設け、運搬貨物18を通って透過した放射線の全てを検出するようにしてもよい。検出器又は検出器列16は湾曲してもよい。例えば、半円形でもよい。
【0021】
放射線源14はX線源、例えば制動放射線源であってもよい。図1の実施態様の放射線走査システム10を用いて約5フィート(1.5m)より大きい幅“W”(図1aおよび図2参照)を有する運搬貨物を検査するために、放射線源14は、約1MeVよりも大きいピークエネルギーを有する放射線ビーム43を発生し得るものであることが好ましい。より好ましくは、例えば約6MeVよりも大きいエネルギーを有する放射線ビーム43を発生する放射線源14を用いる。X線源14は直線加速器、例えばLinatron (登録商標) 直線加速器(“Linatron”(登録商標); Varian Medical Systems Inc. Palo Alto, CA(“Varian”))であってもよい。他の型のX線源14、例えば静電加速器、マイクロトロン、ベータトロンも同じく使用することができる。X線管も特に約5フィート(1.5m)未満の幅“W”を有する運搬貨物および他の物品のために使用することもできる。
【0022】
扇形ビームを検出するため、検出器列16は、周知のように複数の検出素子のモジュールを含む一次元検出器列であってもよい。各一次元検出器モジュールは複数の検出素子の単一の列からなっている。これら検出素子は、当該分野で公知の放射線感応性検出器、例えばシンチレータ(放射線を当てられると光を出す蛍光体)、および感光性検出器、例えば光電管、フォトダイオードを具備してなるものであってもよい。高密度シンチレータ、例えばカドミューム・タングステンシンチレータを使用してもよい。このシンチレータは、例えば8g/cmの密度を有する。このカドミューム・タングステンシンチレータの適当なものが、例えば、Saint Gobain Crystals社(Solon,オハイオ州、米国);Spectra-Physics Hilger Crystals社(Kent,英国)から入手することができる。検出器モジュールとしては、約10%ないし80%の検出効率を有するものが好ましいが、これは放射線ビーム43の放射線スペクトルに依存する。
【0023】
多重の隣接した平行扇形ビームも1又はそれ以上のコリメータにより画成 (define) することができる。その場合、複数の一次元検出器の列を各扇形ビームに対し設けることができる。
【0024】
検出器列は、コンピュータなどのプロセッサー46にアナログ・デジタル変換器48を介して電気的に接続させることができる。このプロセッサー46は検出器列16により出力されたデータを画像に再構築し、この画像は現場にて、又は他の場所にてモニター50に表示させることができる。なお、図面では1個のプロセッサー46およびA/D変換器48を示しているが、当該分野で公知のように、更なるプロセッサーおよびA/D変換器、並びに他の信号処理回路を設けてもよい。
【0025】
円錐形ビームを使用する場合、検出器列は二次元検出器モジュールの1又はそれ以上の列を具備するものでもよい。二次元検出器モジュールは検出素子の複数の行および列を有するものでもよい。
【0026】
運搬貨物18の面18aでの水平分岐ビーム43の水平長さは、この運搬貨物の幅よりも若干大きくてよい。この面18aでの扇形ビームの垂直高さは、例えば約2mmないし約10mmの範囲でよい。もし、円錐形ビームを使用する場合は、この面18aでのビームの垂直高さは、例えば約200mmないし約400mmの範囲でよい。
【0027】
コリメータ(図示しない)は、物品と、検出器列15との間に設けられ、散乱した放射線が検出器列15に届かないようにしてもよい。
【0028】
必要に応じて、遮蔽を設けてもよい。鉛カーテン・シールド52,53を検出器16の背後に設け、散乱した放射線を捕捉するようにしてもよい。カーテン53は、作業者がいるかも知れない船舶20のデッキ20bを散乱した放射線が横切らないようにする。放射線ストッパー54をクレーンシステム12により支持された検出器16の背後に設けてもよい。オペレータ室36を遮蔽し、オペレータを保護するようにしてもよい。遮蔽物、例えば更なる鉛カーテンを、所望によりクレーンシステム12の両側に設けてもよい。船舶20の船体20aは、放射線ストッパー54および/又は鉛カーテン52,53の長さの少なくとも一部の代わりに、又はこれらに加えて遮蔽を提供する。本発明のこの実施態様の利点は、通常占有されていない領域で放射線が使用され、少なくとも或る種の従来のシステムと比較して遮蔽要求を減少させることができる。
【0029】
放射線走査システム100は、一般に、運搬貨物18がクレーンシステム12により移動されるのと同じ速さで運搬貨物18を検査できることである。例えば、もしも放射線源が直線加速器であり、この直線加速器が運搬貨物18の面18aで約5−7mmの幅を有する扇形ビームを発生させるもので、毎秒300パルスの速度で放射線ビームを発生させるとすると、約2.5mの高さの運搬貨物18を走査するのに約2秒を要するに過ぎず、その空間解像度は約5mmである。
【0030】
典型的放射線源14の長手軸14a(図2に示す)に沿って放出される放射線ビーム43は、その長手軸に沿って最大の強度を有する。この強度は、この軸14aからの角度が増加するにつれ急速に降下する。従って、放射線ビームは余り広い角度で放出させないようにすることが好ましい。例えば、このビームの角度は30度を超えないようにすることが好ましい。しかしながら、長尺の物品(例えば船舶用コンテナー)の全面18aを狭いビームで照射するためには、放射線源14は物品の面から遠くしなければならない。その場合、放射線強度も、放射線源14と面18aとの間の距離の二乗で降下する。図2の例において、もし、運搬貨物が40フィート(12.2m)の長さLを有する船舶用コンテナーの場合、約25度の角度Xに亘って放出される放射線ビーム43は、物品の全面を照射するために面18aから43フィート(13.1m)離れていなければならない。放射線ビーム43の角度Xおよび放射線源と上記面18aとの間の距離は放射線走査システム10の設計において均衡させなければならない因子である。
【0031】
図3は放射線源14のための他の構造を示しており、これは放射線源を運搬貨物18により近づけて配置させることを可能し、しかも、図2の放射線源により放出されるビームよりもより均一な放射線ビームで運搬貨物の全面18aを照射することを可能にする。図3において、X線源100は“パノラマ”放射線源とも呼ばれるもので、本願発明と同一出願人に譲渡された出願No.10/199,781(2002年7月19日出願)に記載されており、この出願の内容はここに参照として組み込まれるものとする。このパノラマ放射線源100は直線加速器本体102(これは上述のVarian Linatron (登録商標)又は他の公知の構造のものであってもよい)を具備してなる。この直線加速器本体102は開口出力端部103を有する。電子ビーム104(仮想線で示す)は、直線加速器本体102の長手軸L1に沿う通路を通過するにつれて加速される。この電子ビーム104は出力端部103を介して加速器本体から放出される。ドリフト管として参照する管106の基端が直線加速器本体102の出力端103に接続され、この開口出力端と連通すると共に、そこから延出している。このドリフト管106は直径が例えば約6ないし10mmのものである。このドリフト管106は直線加速器102と同じ材料からなりドリフト管の直線加速器本体との接続を容易にするようにしてもよい。例えば、このドリフト管106および直線加速器102は金属からなるものでもよい。また、このドリフト管および直線加速器はその他の材料からなるものでもよい。
【0032】
原子番号が大きく、融点が高い金属、例えばタングステン又は他の耐熱金属からなる標的材料108がドリフト管106の先端に設けられている。タングステン、鉄鋼、鉛などの遮蔽材料110がドリフト管106および標的材料108の周りに設けられているが、同じく直線加速器102の先端上まで延出していてもよい。この遮蔽材料110は例えば球状をなし、標的材料108は、この球の中央でドリフト管106内に設けられていてもよい。この遮蔽材料110はその他の形状であってもよい。これらドリフト管106、標的材料108および遮蔽材料を“遮蔽された標的111”と呼ぶことにする。
【0033】
視準スロット(collimating slot)112がドリフト管106の末端から直線加速器102の長手軸L1を横切り遮蔽材料110を通って延びている。このスロット112は、標的材料により放出されたX線ビームを、所望の形状、例えば扇形ビーム、円錐形ビームに整光するような形を有し、これらビームが直線加速器本体102の軸L1に対し垂直方向に向けて遮蔽された標的から放出されるようになっている。このスロット112は第1の角度θ1を有する。図4は図3の4−4線に沿う遮蔽された標的111の断面図であり、スロットの第2の角度θ2を示している。第1の角度θ1および第2の角度θ2は放射線ビーム43の形状を画成するものである。好ましい使用形態において、放射線源100は、以下に説明する図5に示すように、第1の角度θ1が放射線ビーム43の垂直高さを画成し、第2の角度θ2が放射線ビーム43の水平角度を画成するように配向される。
【0034】
直線加速器本体102により長手軸L1に沿って放出された電子ビーム104はドリフト管106を通過し標的材料108に衝突する。制動X線放射が標的材料108から全ての方向に放出される。視準スロット112の方向に放出された放射線は所望の形状に整光され、装置100から放出される。遮蔽材料110はその他の方向に放出された放射線を吸収する。標的材料と衝突する電子ビームの方向に対し垂直に放出される放射線の強度は、第2の角度θ2により水平角およびビームを画成することにより、順方向に放出される放射線の強度よりも可なり小さくなるが、放射線ビーム43全体に渡って放出される放射線は実質的に同じ強度を有する。この第2の角度θ2は180度以下の任意の角度でもよいことから、放射線源100は運搬貨物18の面18aに極めて接近させることができる。距離による強度降下は従って、他の構造におけるよりも可なり小さくなる。
【0035】
図5は、遮蔽された標的111を有する放射線源100がクレーンのクロス梁38により支持され、検出器16がクレーンのクロス梁27により支持され、運搬貨物18が金属ロープ34から垂れ下げられたキャリッジ32により支持された状態が示されている。このクレーンシステム12の他の部分は図示されていない。運搬貨物18は放射線源100と検出器34との間を移動しつつある。放射線源100は、垂直である直線加速器本体102の長手方向軸L1と共に配向されている。扇形ビームの垂直高さを画成するため、スロット112の第1の角度θ1を1度未満から約5度までの範囲とすることができる。円錐形ビームの垂直高さを画成するため、第1の角度θ1のビームを例えば約5度から約45度までの範囲とすることができる。第2の角度θ2は運搬貨物18の面18aの全幅を照射するのに必要な任意の角度とすることができる。その角度は例えば30度又はそれ以上とする。
【0036】
図6は、パノラマ放射線源100により放出された放射線ビーム113を通過しつつある運搬貨物18の平面図である。この例においては、第2の角度θ2は約135度である。この放射線源100は運搬貨物18の面18aから約8.5フィート(2.6m)の距離に配置することができる。加速器本体102の軸L1が運搬貨物18の面18aと平行であるから、放射線源100をクレーンシステム12のクロス梁上に容易に支持させることができる。
【0037】
図2および6に示すように、単一の水平に分岐する放射線ビームで運搬貨物18の面18aの全長をカバーしようとする代わりに、多重の放射線ビームを用い、各ビームがこの面18aの一部を走査するようにして、この面18a全体を走査するようにしてもよい。図7では、多重の放射線源202,204,206が設けられ、各々が各放射線ビーム202a,204a,206aを放出し、運搬貨物18の面18aの一部をそれぞれ照射するようになっている。各ビーム202a,204a,206aは好ましくはこの面18aの1/3より若干大きく照射するようにする。すなわち、各ビームが隣接するビームと若干重複するようにし、面18a全体を確実にカバーするようにすることが好ましい。例えば、各放射線源が角度、約10度を越え約30度の範囲で水平に分岐する放射線ビームを放射するようにする。各放射線源202,204,206は直線加速器、例えば上述のVarian Linatron (登録商標)であってもよい。これらの放射線源は上記面18aを同時に、又は交互に照射するものであってもよい。各放射線源202,204,206により交互に走査することが好ましい。各放射線源202,204,206は、例えば、約1msのデータ取得窓内の1又は複数のパルスについて交互にONとなるようにしてもよい。3つの放射線源202,204,206が3つの放射線ビーム202a,204a,206aを放出する例について述べたが、それ以上又はそれ以下の放射線源および放射線ビームを用いるものであってもよい。
【0038】
放射線ビーム202a,204a,206aの夫々が放射される角度が、単一の放射線源14、例えば単一の直線加速器(図2参照)を使用した場合に要求されるものよりも小さいから、運搬貨物18の面全体が、より均一で、より高い強度の放射線に曝されることになる。さらに、放射線源202,204,206を面18aに、より近づけて配置することができ、距離による強度損失を小さくすることができる。
【0039】
放射線源14および/又は検出器16をクレーンシステム12上に支持させる代わりに、放射線源および検出器を図8に示すように海港22に支持させてもよい。放射線源14および/又は検出器16を1又はそれ以上の支持部材62,64上にそれぞれ搭載してもよい。支持部材62,64は移動自在のものであってもよい。例えば、図9の平面図に示すように、これらを海港22上のレール65a,65bに沿って移動自在にしてもよい。クレーンシステム12も同様に、海港22上のレール67a,67bに沿って移動自在にしてもよい。可動支持部材62,64により放射線源14および/又は検出器16を支持させることにより、クレーンシステム12のサイズに関係なく、放射線源14および検出器16のセットアップおよび正確な位置決めが容易となる。図9は放射線源14および検出器16が、クレーンシステム12の輪郭P内(すなわち、破線66,68および垂直部材24a,24b,26a,26bにより画成された範囲)の好ましい位置に配置されている状態を示している。従って、これら放射線源および検出器によって余分な空間が占有されることはない。しかし、放射線源14および検出器16は、クレーンシステム12が運搬貨物18をその間を通過させ得る限り、如何なる位置にあってもよい。例えば、ブームアーム28が垂直軸の周りに枢動し得るものであれば、運搬貨物18はクレーンシステム12の輪郭Pの外側の位置を介して移動させてもよい。
【0040】
本発明のこの実施態様は海港での放射線走査システムのより効率的使用を可能にする。図10はこの海港22の平面図である。2隻の船舶70,72が海港22の各ドッキング・ステーションに繋留されている。2つのクレーンシステム74,76がこれらドッキング・ステーションに配置され、それぞれ船舶70,72に対する運搬貨物(本図では示されていない)の荷下ろし又は積み込みが行われるようになっている。なお、これ以上の数のドッキング・ステーションを設け、各ステーションに専用のクレーンを設けてもよい。放射線源14および検出器16が第1のドッキング・ステーションのレール78a,78b上に移動自在に支持され、船舶70から下ろされる運搬貨物又は船舶70に積み込まれる運搬貨物の走査が行われるようになっている。船舶70での運搬貨物の荷下ろし又は積み込みが完了したのち、放射線源14および検出器16を第2のドッキング・ステーションに移動させ船舶72で下ろされる又は積み込まれる運搬貨物の走査を行うようにしてもよい。走査は2又はそれ以上のドッキング・ステーション間で調和させてもよく、従って、放射線源14および検出器16が1つのドッキング・ステーションでは船舶から下ろされる運搬貨物又は船舶70に積み込まれる運搬貨物の走査を行い、他の船舶では他のドッキング・ステーションでのドック入れ、又は運搬貨物の荷下ろし又は荷積みの準備を行うようにする。これにより、1又は少ない数の放射線走査システムを効率的に使用し、海港で複数の船舶に対し積み下ろしされる運搬貨物の検査を、各クレーンシステムにそれぞれ放射線走査システムを搭載するよりも、より安価に行うことが可能となる。放射線源14および検出器16を移動させるため、運搬システムを例えばレール78a,78bに沿って設けてもよい。
【0041】
上記実施態様においては、運搬貨物18は上下動される間に走査されるようにしたが、運搬貨物が運搬システム30により水平に移動させる間(例えば、図1aで矢線Bに沿って)に走査するようにしてもよい。その場合、放射線源14および検出器16をクレーンシステム12により、又は支持部材62,64により支持させ、運搬貨物18の水平方向の移動に対し垂直な軸に沿って放射線源14および検出器16を一直線上に合わせている。ついで、放射線源14から垂直に分岐するビームを放出させる。
【0042】
なお、本発明の精神および特許請求の範囲から逸脱することなく、上記実施態様に対し種々の変更をなし得ることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1a】本発明の1実施態様に従って、クレーンシステムにより支持された放射線走査システムを示す模式図。
【図1b】図1のクレーンシステムの背面図。
【図2】図1に示す実施態様において、直線加速器などの放射線源により放出された放射線ビームを通って降下される運搬貨物をしめす平面図。
【図3】図1に示す実施態様で使用される他の放射線源の側面図。
【図4】図3に示す放射線源の前面図。
【図5】図1の放射線走査システムで使用されている図3の放射線源の側面図。
【図6】図3の放射線源により放出された放射線ビームを通って降下されつつある運搬貨物の平面図。
【図7】図1に示す実施態様において、3つの別々の放射線源により放出された3つの放射線ビームを通って降下されつつある運搬貨物の部分平面図。
【図8】本発明の他の実施態様を示す側面図であって、この場合、クレーンシステム近傍の地面により放射線源および放射線検出器が支持されている。
【図9】図9の実施態様を示す平面図。
【図10】図8に示す放射線走査システムを組み込んだ本発明の実施態様に従うところの海港の平面図。
【符号の説明】
【0044】
10 放射線走査システム
12 クレーンシステム
14 放射線源
16 放射線検出器
18 運搬貨物
20 船舶
22 海港
24、26 垂直構造体
28 ブームアーム
30 運搬システム
32 キャリッジ
40 ガイド
43 放射線ビーム
100 パノラマ放射線源
102 直線加速器
104 電子ビーム
106 ドリフト管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を第1の位置から第2の位置へ物品を移動させるためのクレーンシステムと;
上記クレーンシステムに隣接する放射線源と;
上記クレーンシステムに隣接して設けられた放射線検出器であって、上記放射線源と上記放射線検出器との間の物品と相互作用する放射線を受理すべく配置されたものと,
を具備してなる物品を走査するための放射線走査システムであって;
上記放射線源と放射線検出器が、その間を上記物品が上記クレーンシステムにより移動し得るように配置されている放射線走査システム。
【請求項2】
上記物品が上記クレーンシステムにより、上記放射線源と放射線検出器との間の空間を垂直に移動するようになっている請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項3】
上記放射線源が、水平に分岐するビームを上記検出器に向けて放出するようになっている請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項4】
上記放射線源が、扇形ビームを放出するようになっている請求項3記載の放射線走査システム。
【請求項5】
上記放射線源が、X線放射源である請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項6】
上記放射線源が、少なくとも約1MeVのピークエネルギーを有する放射線ビームを放出し得るものである請求項5記載の放射線走査システム。
【請求項7】
上記放射線源が、少なくとも約6MeVの放射線ビームを放出し得るものである請求項6記載の放射線走査システム。
【請求項8】
上記X線放射源が直線加速器である請求項5記載の放射線走査システム。
【請求項9】
上記放射線検出器と上記放射線源とが一直線上に合わされている請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項10】
少なくとも1つの上記放射線源および上記放射線検出器が地面に支持されている請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項11】
上記放射線源および上記放射線検出器が上記クレーンシステムにより画成される輪郭内に設けられている請求項10記載の放射線走査システム。
【請求項12】
上記地面が海港である請求項10記載の放射線走査システム。
【請求項13】
上記放射線源および上記放射線検出器に隣接する空間にガイドが更に設けられ、上記放射線源と上記放射線検出器との間での上記物品の移動を案内するようになっている請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項14】
上記放射線源が、
先端を有する垂直配向加速器本体と;
該加速器本体の先端に設けられ上記検出器に向けて放射線ビームを放出させる遮蔽された標的と;
を具備してなる請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項15】
上記クレーンシステムに隣接して設けられた複数の放射線源であって、その各々が上記放射線源と上記放射線検出器との間の上記物品の一部に放射線ビームを放出させ得るもの;
を具備してなる請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項16】
上記放射線源および上記放射線検出器が、船舶用運搬貨物を走査するのに十分な距離を以って離間されている請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項17】
上記クレーンシステムが、
少なくとも1つの垂直支持部材と;
少なくとも1つの水平支持部材であって、上記垂直支持部材により支持されたものと;
上記水平支持部材に接続された運搬システムであって、物品を第1の位置から持ち上げ、ついで水平に移動させ、更に第2の異なる位置へ上記物品を降下させるものと;
を具備してなる請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項18】
少なくとも1つのレールを更に具備し;
少なくとも1つの上記放射線源および上記放射線検出器が、上記レール上に移動自在に支持されている請求項1記載の放射線走査システム。
【請求項19】
物品を第1の位置から第2の位置へ物品を移動させるためのクレーンシステムと;
上記クレーンシステムにより支持された放射線源と;
上記クレーンシステムに支持された放射線検出器であって、上記放射線源と上記放射線検出器との間の物品と相互作用する放射線を受理すべく配置されたものと;
を具備してなる物品を走査するための放射線走査システムであって;
上記放射線源と放射線検出器が、その間を物品が走査の間において上記クレーンシステムにより垂直に移動し得るように配置されている放射線走査システム。
【請求項20】
上記放射線源が、
電子ビームを加速させるための先端を有する垂直配向加速器本体と;
該加速器本体の先端に設けられ上記検出器に向けて放射線ビームを放出させる遮蔽された標的と;
を具備してなる請求項19記載の放射線走査システム。
【請求項21】
上記遮蔽された標的が、
上記加速器本体から延出し、該加速器本体により加速された電子ビームを受理する管体と;
上記管体内に設けられ、電子ビームによる衝撃により放射線を放出する標的物質と;
上記標的の周りに設けられた遮蔽材料と;
を具備してなり、上記遮蔽材料は、発生した放射線を水平に分岐するビームに整光する請求項19記載の放射線走査システム。
【請求項22】
上記クレーンシステムが、
少なくとも1つの垂直支持部材と;
少なくとも1つの水平支持部材であって、上記垂直支持部材により支持されたものと;
上記水平支持部材に接続された運搬システムであって、物品を第1の位置から持ち上げ、第2の異なる位置へ物品を降下させるものと;
を具備してなる請求項19記載の放射線走査システム。
【請求項23】
上記運搬システムが、物品を水平軸に沿って運搬するようになっている請求項21記載の放射線走査システム。
【請求項24】
上記クレーンシステムにより支持された複数の放射線源であって、その各々が物品の一部に放射線ビームを放出させるようにしたもの;
を具備してなる請求項19記載の放射線走査システム。
【請求項25】
上記放射線源が、水平に分岐する放射線ビームを放出するようになっている請求項24記載の放射線走査システム。
【請求項26】
上記放射線源が、水平に分岐する放射線ビームを放出するようになっている請求項19記載の放射線走査システム。
【請求項27】
物品を第1の位置から持ち上げ第2の位置へ物品を降下させるための移動手段と;
放射線を発生させる発生手段と;
上記物品と相互作用させた放射線を検出するための検出手段と;
を具備してなる放射線走査システムであって;
上記移動手段が、物品を上記発生手段と検出手段との間に移動させるようになっている放射線走査システム。
【請求項28】
物品を第1の垂直軸に沿って移動させる過程と;
上記物品を上記第1の垂直軸とは異なる第2の垂直軸に沿って移動させ、かつ、水平に分岐する放射線ビームを通過させる過程と;
上記物品と相互作用した放射線を検出する過程と;
を具備してなる物品の内容物を検査する方法。
【請求項29】
上記物品を第1の垂直軸に沿って第1の位置から上昇させる過程と;
上記物品を第2の垂直軸に沿って降下させ、放射線ビームを通って第2の位置へ移動させる過程と;
を具備してなる請求項28記載の方法。
【請求項30】
上記物品が運搬貨物であり、上記第1の位置が船舶上の位置であり、第2の位置が海港上の位置であり、
上記運搬貨物を船舶から上昇させる過程と;
上記物品を放射線ビームを通って海港上へ降下させる過程と;
を具備してなる請求項29記載の方法。
【請求項31】
上記物品を第1の垂直軸に沿って第1の位置から放射線ビームを通って上昇させる過程と;
上記物品を第2の垂直軸に沿って降下させ、第2の位置へ移動させる過程と;
を具備してなる請求項28記載の方法。
【請求項32】
上記物品が運搬貨物であり、上記第1の位置が海港上の位置であり、第2の位置が船舶上の位置であり、
運搬貨物を海港から放射線ビームを通って上昇させる過程と;
上記運搬貨物を船舶上へ降下させる過程と;
を具備してなる請求項31記載の方法。
【請求項33】
上記物品を扇形放射線を通って移動させる請求項28記載の方法。
【請求項34】
上記物品を円錐形放射線を通って移動させる請求項28記載の方法。
【請求項35】
上記物品をクレーンシステムで移動させる請求項28記載の方法。
【請求項36】
水平に分岐するビームの放射線源、および上記物品と相互作用した放射線を検出する検出器の少なくとも一方を操作のため或る位置へ移動させる過程を更に含む請求項28記載の方法。
【請求項37】
物品をクレーンシステムにより第1の位置から、放射線ビームを通って第2の位置へ移動させる過程と;
上記物品と相互作用した放射線を検出する過程と;
を具備してなる物品の内容物を検査する方法。
【請求項38】
上記物品をクレーンシステムにより第1の位置から上昇させる過程と;
上記物品をクレーンシステムにより第2の位置へ降下させる過程と;
降下しつつある上記物品を走査する過程と;
を具備してなる請求項37記載の方法。
【請求項39】
上記物品を船舶から上昇させる過程と;
上記物品を海港上へ降下させる過程と;
を具備してなる請求項37記載の方法。
【請求項40】
上記物品をクレーンシステムにより第1の位置から上昇させる過程と;
上昇しつつある上記物品を走査する過程と;
上記物品をクレーンシステムにより第2の位置へ降下させる過程と;
を具備してなる請求項37記載の方法。
【請求項41】
上記物品を海港から上昇させる過程と;
上記物品を船舶上へ降下させる過程と;
を具備してなる請求項40記載の方法。
【請求項42】
上記物品を第1の位置から移動させる過程と、該物品を第2の位置へ移動させる過程との間に、該物品を水平に移動させる過程を更に含む請求項37記載の方法。
【請求項43】
上記物品を放射線ビームを通って水平に移動させる過程を含む請求項42記載の方法。
【請求項44】
放射線源および放射線を検出する検出器の少なくとも一方を、クレーンシステムとの関連で所定位置へ移動させる過程を更に含む請求項37記載の方法。
【請求項45】
放射線源および放射線を検出する検出器の少なくとも一方を、クレーンシステムとの関連で所定位置へ各レールに沿って移動させる過程を含む請求項44記載の方法。
【請求項46】
複数のドッキング・ステーションと;
複数のクレーンシステムであって、各クレーンシステムが各ドッキング・ステーションに配置されたものと;
各ドッキング・ステーションを通る少なくとも1つのレールと;
放射線源と;
放射線源により放出され、検査物品と相互作用した放射線を検出する配置された放射線検出器と;
を具備してなり、放射線源および検出器の少なくとも一方が上記レール上に移動自在に支持され、一方のドッキング・ステーションから他方のドッキング・ステーションへ移動するようにした海港。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−518463(P2006−518463A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503147(P2006−503147)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/002525
【国際公開番号】WO2004/070421
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(501059660)ヴァリアン メディカル システムズ テクノロジーズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】