説明

消臭剤

本発明は、組成が、sM(1)・tM(2)O・Al・uSiO・vR・wHO(式中、M(1)はAg、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上であり、M(2)はNa、KおよびHからなる群より選ばれる1種以上であり、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上であり、QはCO、SO、NO、およびClからなる群より選ばれる1種以上であり、sは0<s≦3、tは0≦t≦3、ただし、s+t=0.5〜3であり、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)であり、かつ比表面積が1m/g以上70m/g未満であるアルミノシリケート粒子の消臭のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、特定のアルミノシリケート粒子による消臭に関する。
【背景技術】
近年の生活環境の向上に伴い、悪臭除去のニーズが高まっている。悪臭としては、たとえば、アンモニアやアミンなどのアルカリ性臭、低級脂肪酸などの酸性臭、メルカプタンなどの含硫黄化合物臭、その他エステル、ケトン、アルデヒドなどの中性臭が挙げられ、これらの性質の異なる臭いを幅広く除去することが重要である。悪臭を除去する方法としては、マスキング法、オゾン酸化法、薬剤中和法、微生物分解法、吸着法等が知られている(例えば、執筆アイシーエス(株)、「新しい消臭・脱臭剤と技術の展望−アメニティ社会へのアプローチ−」、(株)東レリサーチセンター、1994年9月発行、p12〜24参照)。
しかしながら、上述の方法にはそれぞれ欠点がある。たとえば、マスキング法は本質的に悪臭を除去する方法とは言えず、オゾン酸化法はオゾンを取り扱うため、装置が大がかりになる。また、薬剤中和法は対象物質が中和可能な物質に限定されるため、対応できる悪臭に限りがあり、微生物分解法は即効性に欠ける。さらに、身体に適用した際の安全性にも問題がある。
一方、吸着法は簡便で即効性のある消臭方法であり安全性も高い。吸着剤には活性炭が広く用いられている。しかし、活性炭はアンモニアに対する消臭能が低く、また黒色のため身体に適用した場合に衛生感を損なう恐れがある、といった欠点がある。白色の消臭剤としてはゼオライト、活性白土等があるが、その消臭能としては活性炭に及ぶものではない。
また、生活悪臭のうち、メルカプタン類、硫化水素といった、含硫黄系悪臭は、それ自体が非常に閾値が低いことより、わずかな量であっても、強い悪臭として認識される。特に糞尿、生ごみなどから発生する悪臭成分では、含硫黄系の悪臭が大部分をしめ、これらの悪臭に対して、強い消臭力を有するものが望まれている。
発明の要約
本発明は、
〔1〕 組成が、sM(1)・tM(2)O・Al・uSiO・vR・wH
(式中、M(1)はAg、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上であり、M(2)はNa、KおよびHからなる群より選ばれる1種以上であり、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上であり、QはCO、SO、NO、およびClからなる群より選ばれる1種以上であり、sは0<s≦3、tは0≦t≦3、ただし、s+t=0.5〜3であり、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)であり、かつ比表面積が1m/g以上70m/g未満であるアルミノシリケート粒子の消臭のための使用、並びに
〔2〕 組成が、sM(1)・tM(2)O・Al・uSiO・vR・wH
(式中、M(1)はAg、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上であり、M(2)はNa、KおよびHからなる群より選ばれる1種以上であり、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上であり、QはCO、SO、NO、およびClからなる群より選ばれる1種以上であり、sは0<s≦3、tは0≦t≦3、ただし、s+t=0.5〜3であり、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)であり、かつ比表面積が1m/g以上70m/g未満であるアルミノシリケート粒子の消臭のための使用方法、
を提供する。
発明の詳細な説明
本発明は、前記の通りの従来技術に鑑みてなされたものであり、日常生活環境において発生する種々の原因物質に由来する悪臭、中でも含硫黄系悪臭の消臭能に優れた、身体にとって安全であり、適用した際には良好な外観を呈する、淡色の、好ましくは白色のアルミノシリケート粒子の、消臭のための使用に関する。
本発明のアルミノシリケート粒子は、たとえば、アンモニア、アミン、ピリジン等のアルカリ性臭、低級脂肪酸等の酸性臭、その他エステル、ケトン、アルデヒド等の中性臭からなる種々の悪臭に対して優れた消臭能を発揮しうる。中でも、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、硫化水素等の含硫黄系悪臭に対し特に優れた消臭能を発揮しうる。
なお、本発明のアルミノシリケート粒子は消臭に使用されるのであれば特に使用態様は限定されないが、消臭成分として使用されるという観点から、本明細書においては消臭剤と記載する場合がある。
本発明のアルミノシリケート粒子は、後述するような特定の組成ならびに特性を有することを1つの大きな特徴とする。かかる構成を有することから、種々の原因物質に由来する悪臭に対して優れた消臭能を発揮しうる。特に、該アルミノシリケート粒子が特定の金属元素を含んでなることから、含硫黄系悪臭に対し、優れた消臭能を発揮しうる。また、淡色、好ましくは白色のアルミノシリケート粒子であるので、身体にとって安全で、適用した際には良好な外観を呈する。
本発明の消臭剤は、具体的には、以下の組成:
sM(1)・tM(2)O・Al・uSiO・vR・wH
(式中、M(1)はAg、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上であり、M(2)はNa、KおよびHからなる群より選ばれる1種以上であり、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上であり、QはCO、SO、NO、およびClからなる群より選ばれる1種以上であり、sは0<s≦3、tは0≦t≦3、ただし、s+t=0.5〜3であり、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)を有するアルミノシリケート粒子からなる。本明細書にいう消臭剤は、実質的にかかるアルミノシリケート粒子そのものからなるため、構成成分である当該粒子の各種物性は、そのまま消臭剤の物性を示す。
上記式中、M(1)は、含硫黄系悪臭に対する消臭力と粉末の白色度を高める観点から、好ましくはAg、Znである。なお、M(1)が2種以上の元素からなる場合、SM(1)の項は、各元素に対応した項ごとに分けて記載される。たとえば、M(1)が、金属元素DおよびD’からなる場合、sM(1)は、sx1y1・sD’x2y2(ただし、x1+x2=x、y1+y2=y、s+s=sである)と記載される。その他の項についても同様である。
M(2)は、高い消臭能の発現および経済性の観点から、好ましくはNaおよび/またはHである。また、Rは、M(2)と同様の観点から、好ましくはNa、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上、より好ましくはNaである。Qは、粒子の形態制御の容易性の観点から、好ましくはCOおよび/またはNOである。
sは、高い消臭能の発現と経済性の観点から、好ましくは0<s≦2、より好ましくは0<s≦1である。tは、本発明の消臭剤の水分散液(後述の1重量%水分散液)のpHを良好に保つ観点から、好ましくは0≦t≦2、より好ましくは0≦t≦1である。なお、s+tとしては、好ましくは0.5〜1.8、より好ましくは0.6〜1.5である。uは、高い消臭能の発現という観点から、好ましくは0.5≦u≦5、より好ましくは0.5≦u≦4である。vは、粒子形態制御の容易性という観点から、好ましくは0<v≦1.5、より好ましくは0<v≦1である。wはアルミノシリケート粒子に含まれる水の含有率(モル比)であり、アルミノシリケート粒子の存在形態、たとえば、粉末状、スラリー状などの形態によって変化する。xとy、およびmとnは、それぞれ、M(1)とOとの組み合わせにより、RとQとの組み合わせにより、任意に決まる。
また、当該アルミノシリケート粒子の比表面積は、該粒子中、M(1)としての特定の金属元素を適度に固定または担持させ、含硫黄系悪臭に対して優れた消臭能を発揮させる観点から、1m/g以上70m/g未満であり、好ましくは1〜65m/g、より好ましくは30〜65m/gである。比表面積は後述の方法により求めることができる。なお、本明細書において「固定または担持」とは、M(1)としての特定の金属元素のアルミノシリケート粒子への物理的及び/又は化学的な結合力による結合を意味する。
本発明の消臭剤を構成するアルミノシリケート粒子の比表面積は、たとえば、後述するように、原料アルミノシリケート粒子(原料として用いられるアルミノシリケート粒子)を酸処理して、所定の範囲に調整することができる。酸処理によりアルミノシリケート粒子の比表面積等が増加するが、過度の酸処理を行わず、酸処理の程度を制御することで比表面積を70m/g未満とすることができる
また、本発明の消臭剤を構成するアルミノシリケート粒子としては、含硫黄系悪臭の消臭能に優れることから、該粒子の1重量%水分散液のpHが7以上であるものが好ましく、8以上であるものがより好ましく、9以上であるものがさらに好ましい。本発明のアルミノシリケート粒子の1重量%水分散液のpHは、後述方法により求められる。
本発明のアルミノシリケート粒子の色は、その外観と高い消臭能の発現の観点から、日本電色工業社製「分光式色彩計SE2000」で測定されるL値で好ましくは90以上、より好ましくは95以上であることが望ましい。
本発明のアルミノシリケート粒子では、M(1)成分が、含硫黄系悪臭を吸着することにより、消臭能が発現する。従って、優れた消臭力を発現させる観点から、本発明の消臭剤粒子の表面近傍にM(1)成分が多く存在することが好ましい。M(1)成分の表面濃度は、後述の方法に示すように、ESCAにより測定した表面のM(1)成分原子とSi原子のモル比〔M(1)/Si〕やM(1)成分原子とAl原子のモル比〔M(1)/Al〕によって表すことができる。M(1)/Siは、好ましくは0.021以上、より好ましくは0.040以上である。また、M(1)/Alは、好ましくは0.025以上、より好ましくは0.040以上である。
本発明のアルミノシリケート粒子の平均粒子径としては、良好な消臭速度および良好な粉末流動性の確保の観点から、好ましくは0.1〜1000μm、より好ましくは0.4〜600μm、さらに好ましくは1〜100μmである。平均粒子径は、たとえば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて相対屈折率1.16にて測定する。
また、該アルミノシリケート粒子の形態としては、特に限定されるものではないが、身体に適用する場合には、のびやなめらかさといった使用感の観点より球状が好ましい。あるいは任意の担体への添加、たとえば、紙、不織布等へ添着した際の歩留りの向上という観点から、針状、板状、柱状等であるのが好ましい。中でも、紙、不織布等への付着性が特に優れ、消臭能の発揮の観点からも優れた形態であることから、本発明のアルミノシリケート粒子としては、カンクリナイト様の形態を有するものが好適である。また、カンクリナイト様の形態としては、ウニ型またはテトラポッド型が好ましく、ウニ型がより好ましい。
該アルミノシリケート粒子は非晶質であっても結晶質であってもよいが、含硫黄系悪臭の消臭能向上の観点から結晶質であるのがより好ましい。アルミノシリケート粒子は、その製造条件によっては針状結晶、板状結晶、柱状結晶等の集合体として得られる。また、それらの結晶が集合して球状、テトラポッド状、塊状の集合体等を形成したものであってもよく、それらの二次凝集体でもよい。
なお、本明細書において、針状の形態とは、太さが500nm以下で、長さが太さに対してアスペクト比で2.0以上のものをいい、板状の形態とは、厚さが300nm以下で、板状径が厚さに対してアスペクト比で2.0以上のものをいい、柱状の形態とは、太さが50nm以上で、長さが太さに対してアスペクト比で1.0以上2.0未満のものをいう。また、カンクリナイト様の形態とは、JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)発行の粉末X線回折ファイル No.20−379、20−743、25−776、25−1499、25−1500、30−1170、31−1272、34−176、35−479、35−653、38−513、38−514、38−515および45−1373からなる群より選ばれる1種以上のX線回折パターンを有するものをいう。また、X線回折パターンでは、d=0.365±0.015nmに主たるピークを有するものが好ましい。
本発明の消臭剤を構成するアルミノシリケート粒子としては、たとえば、無水物の組成が:
aMO・Al・bSiO・cR
(式中、MはNaおよび/またはKであり、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上であり、QはCO、SO、NO、およびClからなる群より選ばれる1種以上であり、aは0.5≦a≦3、bは0.5≦b≦6、cは0<c≦2、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)である原料アルミノシリケート粒子を、原料アルミノシリケート粒子100g当たり0〜300meq(0〜300meq/100g)の酸を用いて酸処理する工程、ならびにAg、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上の金属のイオンでイオン交換する工程に供して得られたものであるのが好ましい。
上記式中、Mは、好ましくはNaである。なお、MがNaおよびKからなる場合、aMOは、aNaO・aO(ただし、a+a=aである)で表わされる。その他の項についても同様である。また、Rは、好ましくはNa、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上、より好ましくはNaである。Qは、好ましくはCOおよび/またはNOである。さらに、aは、好ましくは0.5≦a≦2.5であり、より好ましくは0.5≦a≦2である。bは、好ましくは0.5≦b≦5であり、より好ましくは0.5≦b≦4である。cは、好ましくは0<c≦1.5であり、より好ましくは0<c≦1てある。mとnは、RとQとの組み合わせにより、任意に決まる。
原料アルミノシリケート粒子の比表面積としては、本発明の消臭剤を構成するアルミノシリケート粒子と同程度であるのが好ましい。また、その平均粒子径も、本発明の消臭剤を構成するアルミノシリケート粒子と同程度であるのが好ましい。さらに、その形態としては、特に限定されるものではないが、たとえば、本発明の消臭剤を構成するアルミノシリケート粒子と同様な前記形態であるのが好ましい。特に、原料アルミノシリケート粒子がカンクリナイト様の形態を有する場合、それから得られる消臭剤としてのアルミノシリケート粒子の形態の制御が容易となり、好適である。
本発明に用いられる原料アルミノシリケート粒子を製造する方法には特に限定はないが、たとえば、アルミナ原料とシリカ原料とをCO2−、SO2−、NO、Cl等の存在下、アルカリ水溶液中で反応させる方法等が挙げられる。
アルミナ原料としては、たとえば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等が挙げられ、アルミン酸ナトリウムが好適である。シリカ原料としては、たとえば、ケイ砂、ケイ石、水ガラス、ケイ酸ナトリウム、シリカゾル等が挙げられ、水ガラスが好適である。あるいは、アルミナ原料およびシリカ原料の両者の原料となるものとして、たとえば、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、タルク等の粘土鉱物およびムライト等のアルミノケイ酸塩鉱物を用いてもよい。
CO2−の原料としては、たとえば、炭酸ガス、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、炭酸ナトリウムが好適である。SO2−の原料としては、たとえば、硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムカリウム等が挙げられ、硫酸、硫酸ナトリウムが好適である。NOの原料としては、たとえば、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が挙げられ、硝酸、硝酸ナトリウムが好適である。Clの原料としては、たとえば、塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられ、塩酸、塩化ナトリウムが好適である。
アルカリ水溶液のアルカリとしては、たとえば、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の酸化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム等の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩等が使用できる。所望により、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等の炭酸水素塩等を使用してもよい。
本発明に用いられる原料アルミノシリケート粒子は、前記の各種化合物を所定の割合で配合し混合して反応させることにより得ることができる。配合の割合については、得られる所望の原料アルミノシリケート粒子の組成により、適宜決定される。好適には、原料アルミノシリケート粒子の原料となる成分の仕込み割合としては、各成分の構成元素に基づいて当該成分をMO、Al、SiO、Rで表示した場合、モル比として、MO/SiOは好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.05〜80であり、Al/SiOは好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.05〜8であり、R/SiOは好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.05〜80であり、HO/MOは好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.05〜80である。
また、原料アルミノシリケート粒子を製造する際の反応温度は、原料アルミノシリケート粒子の結晶性を高め、形態を安定させる観点および反応容器への化学的、耐圧的負荷を低減させる観点から、好ましくは15〜300℃、より好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。反応時間は、結晶化反応を完全に行わせる観点から、2時間以上48時間以下が好ましい。
以上により、通常、水分散液(スラリー)として原料アルミノシリケート粒子が得られるが、該水分散液の固形分濃度としては、0.1〜50重量%であるのが好ましい。
次いで、得られた原料アルミノシリケート粒子を、原料アルミノシリケート粒子100g当たり0〜300meq(0〜300meq/100g)の酸を用いて酸処理する。酸処理は、原料アルミノシリケートにM(1)成分をイオン交換により固定または担持する際のスラリーのpH調整のために行う。その際、M(1)成分のイオン交換性の発現の観点から、スラリーのpHをpH7以下に調整することが好ましい。また、酸処理は、比表面積の調整のために行われる。酸処理量は消臭能の向上と良好な色の確保の観点から、6〜300meq/100gが好ましく、5〜250meq/100gがより好ましく、20〜140meq/100gがさらに好ましい。
なお、0meq/100gの酸を用いて酸処理する場合とは、酸処理を行わない場合を意味する。たとえば、原料アミノシリケート粒子が1m/g以上70m/g未満の比表面積を有するものである場合には原料アミノシリケートを酸処理に供さずともよい。
原料アルミノシリケート粒子の酸処理には、塩酸、硫酸、硝酸などの強酸を用いるのが好ましく、塩酸、硝酸を用いるのが特に好ましい。
酸処理は、具体的には前記酸を含む水溶液を原料アルミノシリケート粒子に対し徐々に、あるいは一度に添加して、酸と当該粒子とを接触させることにより行う。添加速度は原料アルミノシリケート粒子100gに対して、好ましくは0.01〜100mL/分、より好ましくは0.1〜10mL/分である。
酸処理の際には、原料アルミノシリケート粒子はスラリー状とするが、反応混合物の流動性を確保し、かつ酸処理の偏りを防止して処理効率を向上させる観点から、該混合物の固形分濃度としては、好ましくは1〜50重量%である。
酸処理時の温度は、比表面積の向上および反応容器への化学的、圧力的負荷の軽減の観点から、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜120℃である。また、適宜攪拌しながら酸処理を行うのが好ましい。酸処理の時間としては、酸と原料アルミノシリケートを接触させてから、好ましくは0.01〜100時間、より好ましくは0.1〜10時間である。
酸処理後は、反応混合物を、たとえば、60〜150℃にて0.1〜10時間程度、適宜熟成させるのが好ましい。
さらに、酸処理後のアルミノシリケート粒子を、Ag、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上の金属のイオンでのイオン交換に供する。あるいは、本発明においては、所望の比表面積を有する原料アルミノシリケート粒子を酸処理することなく、そのままイオン交換に供してもよい。イオン交換は、たとえば、該粒子を水に懸濁し、そこに、前記金属を含有する化合物(以下、金属含有化合物という)もしくは該化合物の水溶液を加えるか、または金属含有化合物の水溶液中に該粒子を浸漬することにより、実施することができる。
なお、上記の通りに原料アルミノシリケート粒子を酸処理した後にイオン交換しなければならないわけではなく、たとえば、酸処理時に金属含有化合物を共存させておけば、原料アルミノシリケート粒子の酸処理とイオン交換とを同時に行うことができる。
前記金属含有化合物としては、所望の金属を含む水溶性金属含有化合物であれば特に限定されず、たとえば、所望の金属を含む硝酸塩、硫酸塩、塩化物などが挙げられる。
イオン交換は、通常、原料アルミノシリケート粒子を水に懸濁し、攪拌下に行われるが、イオン交換の効率を向上させる観点から、原料アルミノシリケート粒子の水懸濁液の固形分濃度としては、好ましくは1〜50重量%である。
イオン交換を行う際の温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは20〜120℃、より好ましくは80〜110℃である。また、イオン交換の所要時間としては、原料アルミノシリケート粒子と金属含有化合物とを接触させてから、好ましくは0.01〜2時間、より好ましくは0.02〜1時間である。
イオン交換を行う際の、原料アルミノシリケート粒子と金属含有化合物との量比としては、原料アルミノシリケート粒子100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは0.2〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
また、イオン交換後は、反応混合物を、たとえば、60〜150℃にて0.1〜10時間程度、適宜熟成させるのが好ましい。
金属含有化合物中の金属成分は、上記のようなイオン交換により、本発明のアルミのシリケート粒子に固定または担持されるのが最も好ましいが、イオン交換にかえて、もしくはイオン交換に加えて、含浸法や沈殿法により金属含有化合物中の金属成分を、アルミノシリケート粒子に固定または担持させてもよい。本発明の消臭剤を構成するアルミノシリケート粒子の製造工程中、原料アルミノシリケート粒子を得た後、酸処理の後、イオン交換の後のそれぞれの時点で、アルミノシリケート粒子を、不純物等を除くことを目的として適宜洗浄してもよい。アルミノシリケート粒子の製造工程の最終段階、たとえば、原料アルミノシリケートを得た後およびイオン交換の後の洗浄の実施が好ましい。
洗浄は、たとえば、アルミノシリケート粒子の水懸濁液を濾過、水洗することにより行うことができる。濾過に使用する濾過器は特に限定されないが、たとえば、ヌッチェタイプ、フィルタープレスタイプ等の濾過器が使用できる。
水洗後、得られたアルミノシリケート粒子は直ちに本発明の消臭剤として使用できるが、該消臭剤の使用形態に応じ、所望の処理を行ってもよい。使用形態としては、濾過ケーク、スラリー、乾燥粉末等が挙げられる。使用形態は、消臭剤の用途や、消臭剤に対し任意に添加されるその他の成分との配合時の条件を勘案して選択すればよい。たとえば、乾燥粉末とする場合には、適宜、乾燥機を使用して、得られたアルミノシリケート粒子を乾燥すればよい。使用しうる乾燥機は特に限定されないが、たとえば、送風乾燥機、真空乾燥機、噴霧乾燥機等が挙げられる。
本発明の消臭剤は、たとえば、アンモニア、アミン、ピリジン等のアルカリ性臭、低級脂肪酸等の酸性臭、その他エステル、ケトン、アルデヒド等の中性臭からなる種々の悪臭に対して優れた消臭能を発揮しうる。中でも、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、硫化水素等の含硫黄系悪臭に対し特に優れた消臭能を発揮しうる。また、腋臭原因物質である3−メルカプト−3−メチルヘキサン−1−オール等にも極めて優れた消臭能を発揮しうる。
本発明の消臭剤は、所望の用途に応じて、粉末状、顆粒状、ペレット状等、任意の粒状または成形体の形で使用することができる。粉末状であれば、身体に適用した際にざらつきがなく良好な使用感を有し、また顆粒状、ペレット状であれば、飛散などが抑制でき、ハンドリング性が良好となる。粒状または成形体への成形には、各種粘土、水ガラス等の無機質バインダー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、各種オイル、各種ワックス等の有機質バインダーを使用することができる。さらに、本発明の消臭剤は、活性白土、活性炭、シリカゲル、ハイドロタルサイト、粘土鉱物、酸化チタン等の吸着剤、光触媒等と混合して用いることもできる。従って、本発明の一態様としては、本発明の消臭剤と、用途に応じて添加される上記するようなその他の成分とからなる消臭用組成物が提供される。当該組成物中における本発明の消臭剤の含有量としては好ましくは0.1〜50重量%、更には0.5〜50重量%、より好ましくは1〜50重量%である。かかる組成物は、本発明の消臭剤と同様な優れた消臭能を有する。
本発明の消臭剤の好適な使用態様の1つとして身体用デオドラント剤としての使用が挙げられる。その剤型としては、ポンプスプレー、スティック、ゲル、ソフトソリッド、ロールオン、パウダースプレー、クリーム、ローション、パウダー、シート等、特に限定されることなく設計が可能である。かかる用途においては、当該用途で使用される既知の成分とともに、本発明の消臭剤を適宜配合することにより製造することができる。それらの身体用デオドラント剤における本発明の消臭剤の含有量は、好ましくは0.01〜50重量%、更には0.1〜30重量%、より好ましくは0.3〜10重量%である。
【実施例】
本発明の実施態様の例として実施例を示す。実施例等で使用した試料(アルミノシリケート粒子)の物性測定法をまとめて以下に示す。
(物性測定法)
(1)比表面積測定法
測定にはフローソーブ2300型(島津製作所製)を使用した。試料は0.1gとし、吸着ガスにはN/He=30/70(容積比)混合ガスを用いた。
(2)消臭能測定法
i)アンモニアの消臭量
容量1Lのテドラーバッグ(三商器機社製)に25%アンモニア水を15μL添加し、窒素ガス1Lを注入し、密栓した。3時間室温で放置し、アンモニア水を気化させた。この1Lのガスを測定用アンモニアガス源とした。次に、摺りつき500mL三角フラスコに0.1gの試料を入れ、そこに、測定用アンモニアガス源より22mLのガス(500mL三角フラスコ内での濃度:80ppm)を採取し、注入し、密栓した。10分後、ガス検知管(ガステック社製No.3L)でガス濃度を測定し、測定値を80ppmより差し引いた値をアンモニアの消臭量(ppm/0.1g粒子)とした。
ii)メチルメルカプタンの消臭量
摺りつき500mL三角フラスコに0.1gの試料を入れた。次にメチルメルカプタン標準液(和光純薬社製)40μL(500mL三角フラスコ内での濃度:28ppm)を注入し、密栓した。10分後、ガス検知管(ガステック社製No.71)でガス濃度を測定した。その時点でメチルメルカプタンの濃度が0ppmである場合は、さらにメチルメルカプタン標準液を40μL注入し、10分後のガス濃度を測定する。ガスが検出されるまで繰り返し、0.1gの試料が吸収したメチルメルカプタンの総吸収量をメチルメルカプタンの消臭量とした。
iii)硫化水素の消臭量
摺りつき500mL三角フラスコに0.1gの試料を入れた。次に5000ppmの硫化水素ガス8mLを注入(500mL三角フラスコ内での濃度:40ppm)し、密栓した。10分後、ガス検知管(ガステック社No.4LK)でガス濃度を測定した。その時点で硫化水素の濃度が0ppmである場合は、さらに5000ppmの硫化水素ガス8mLを注入し、10分後のガス濃度を測定する。ガスが検出されるまで繰り返し、0.1gの試料が吸収した硫化水素の総吸収量を消臭量とした。
(3)1重量%水分散液のpH測定法
試料1gを99gのイオン交換水(25℃)に添加し、2分間攪拌後のスラリーのpHを測定した。得られた値を1重量%水分散液のpHとした。
(4)試料表面のM(1)成分濃度測定法
試料をプレス機により薄片状に成形した。島津製作所製ESCA−1000で試料表面の元素測定〔M(1)成分原子、Si、Al〕を行い、得られた元素のピーク面積より表面原子濃度比(モル比)を求めた。
(5)色相の測定法
日本電色工業社製「分光式色彩計SE2000」を用い、試料の白色度Lを測定した。
(6)平均粒子径の測定法
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用い、試料をイオン交換水(相対屈折率1.16)を分散媒として超音波で1分間分散させた後の粒度分布を測定し、得られたメジアン径を平均粒子径とした。
調製例1
水酸化ナトリウム94gをイオン交換水1000mLに溶解し、さらに硝酸(61%)130gとアルミン酸ナトリウム溶液(NaO=19.8重量%、Al=25.9重量%、HO=54.3重量%)124gを混合した溶液に、水ガラス(NaO=9.8重量%、SiO=29.6重量%、HO=60.6重量%)127gを1分間かけて投入し、100℃で8時間反応させた。反応後、生成したアルミノシリケート粒子を濾過洗浄し、105℃で12時間乾燥して原料アルミノシリケート粒子の粉末を得た。得られた原料アルミノシリケート粒子は針状結晶が集合した多孔質な球形形態を有していた。粉末X線回折装置〔(株)リガク製、RINT2500〕を用いてX線回折を行った結果、その回折パターンはJCPDS発行の粉末X線回折ファイルNo.38−513に相当していた。
調製例2
水酸化ナトリウム103gをイオン交換水1000mLに溶解し、さらにアルミン酸ナトリウム溶液(NaO=19.8重量%、Al=25.9重量%、HO=54.3重量%)157gを混合した溶液に、水ガラス(NaO=9.8重量%、SiO=29.6重量%、HO=60.6重量%)259gを1分間かけて投入し、100℃で2時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム32gをイオン交換水110mLに溶解した溶液と硝酸(61%)124gを混合した溶液を1分間かけて追加添加し、さらに100℃で10時間反応させた。反応後、生成したアルミノシリケート粒子を濾過洗浄し、105℃で12時間乾燥して原料アルミノシリケート粒子の粉末を得た。得られた原料アルミノシリケート粒子は、柱状及び針状結晶が集合してテトラポッド状に発達した形態を有していた。得られた原料アルミノシリケート粒子について、粉末X線回折装置〔(株)リガク製、RINT2500〕を用いてX線回折を行った結果、その回折パターンはJCPDS No.38−513に相当していた。
調製例1及び2で得られた原料アルミノシリケートの組成及び物性を表1にまとめて示す。

[実施例1〜6及び比較例1〜2]
以下の表2の「消臭剤の調製例」の記載に従って実施例1〜6及び比較例1〜2の消臭剤をそれぞれ製造した。

調製例1又は2で得られた原料アルミノシリケート粒子100gをイオン交換水900mLに懸濁し、100℃に保持した。攪拌下、61%硝酸を1mL/分の速度で所定量滴下し、適宜酸処理を行った。次いで、硝酸銀3.94gをイオン交換水30gに溶解した硝酸銀水溶液を投入し、100℃で1時間保持してイオン交換を行った。その後、濾過、水洗し、105℃で12時間乾燥し、白色のアルミノシリケート系消臭剤を得た。
実施例1〜6及び比較例1〜2の消臭剤を構成するアルミノシリケート粒子の組成、物性、及び該消臭剤の消臭能を表3にまとめて示す。また、該アルミノシリケート粒子の平均粒子径を表4にまとめて示す。


表3より、比較例1及び2の消臭剤と比較して実施例1〜6の消臭剤は、アルカリ性臭であるアンモニアには同程度の消臭能を、一方、含硫黄系悪臭であるメチルメルカプタン及び硫化水素には特に優れた消臭能を発揮することが分かる。また、含硫黄系悪臭に対する消臭能は、アルミノシリケート粒子の粒子形態がテトラポッド型カンクリナイトであるものよりもウニ型カンクリナイトであるものの方が優れることが分かる。
試験例1 身体用デオドラント剤としての使用評価
アポクリン臭を有する被験者4名について、試験品として、片方の腋下に以下に示す消臭剤配合品(発明品)を0.5g、もう一方の腋下に対照(比較品)を0.5g塗布したあと、予め綿パッドを装着したTシャツを着用させた。
8時間後に各綿パッドを回収し、専門評価者3人によって匂いレベルを判定した。匂いレベルは以下の評価基準に従って、各レベルの中位点も含めた11段階にて評価した。各被験者についての平均値を求め、更に4名の匂いレベルを平均し、各試験品についての匂いレベルとした。
(匂い評価基準)
5:非常に強く臭う
4:強く臭う
3:やや強く臭う
2:臭いが認知できる
1:微かに臭う
0:無臭
(1)ポンプスプレー処方(実施例7、比較例3)
発明品 比較品
(原料) (重量%) (重量%)
アミノシリケート系消臭剤(実施例2) 0.5 0
アルミニウムクロロハイドレート
(ロクロンP、ヘキストジャパン社製) 3 3
オクタメチルシクロテトラシロキサン 96.5 97
(シリコーンSH−244,東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製)
合計 100 100
以上の消臭剤配合品(発明品)及び対照(比較品)について匂いレベルを求めたところ以下の通りであった。
消臭剤配合品(発明品):1.88
対照(比較品) :2.63
(2)スティック処方(実施例8、比較例4)
発明品 比較品
(原料) (重量%) (重量%)
アミノシリケート系消臭剤(実施例2) 1 0
ステアリルアルコール 16 16
ベヘニルアルコール 0.6 0.6
硬化ヒマシ油 3.25 3.25
PPG−14ブチルエーテル 3 3
C12−15アルキルベンゾエート 4 4
デカメチルシクロペンタシロキサン 41.15 42.15
(SH−245、東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製)
アルミニウムジルコニウムテトラクロロ 24 24
ハイドレックス・グリシンコンプレックス
(REACH AZP−908SUF,REHEIS社製)
タルク 7 7
合計 100 100
以上の消臭剤配合品(発明品)及び対照(比較品)について匂いレベルを求めたところ以下の通りであった。
消臭剤配合(発明品):2.38
対照(比較品) :3.13
前記(1)〜(2)の評価結果から明らかなように、発明品ではいずれの剤形のものも優れた消臭能が得られることが分かる。また、以下の(3)〜(6)についても同様の評価を行ったところ、優れた消臭能が得られた。
(3)パウダースプレー処方(実施例9)
LPGを除く各成分を均一に混合してエアゾール容器に充填し、クリンチした後にLPGを圧入し、パウダースプレー製品とした。
(原料) (重量%)
アミノシリケート系消臭剤(実施例1) 1
アルミニウムクロロハイドレート 3
(ロクロンP、ヘキストジャパン社製)
タルク 2.5
イソプロピルメチルフェノール 0.02
ミリスチン酸イソプロピル 2.5
ジメチルシリコーン(10cs) 0.06
BHT 0.02
香料 0.2
デカメチルシクロペンタシロキサン 0.7
(SH−245、東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製)
LPG 90
(4)ロールオン処方(実施例10)
以下に示す各成分を均一に混合した後、ロールオン容器に充填した。
(原料) (重量%)
アミノシリケート系消臭剤(実施例3) 0.5
シリコーンレジン(KMP−590、信越化学社製) 1
アルミニウムクロロハイドレート 15
(REACH 501 solution、REHEIS社製)
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 0.1
(エステモール N−01、日清製油社製)
ポリエチレングリコール(分子量400) 1
香料 0.3
95%エタノール 80
精製水 2.1
(5)ポンプスプレー処方(実施例11)
以下に示す各成分を均一に混合した後、ポンプ容器に充填した。
(原料) (重量%)
アミノシリケート系消臭剤(実施例2) 0.3
アルミニウムクロロハイドレート 5
(REACH 501 solution、REHEIS社製)
トリクロサン 0.2
ポリオキシエチレン(20EO)ヤシ油脂肪酸ソルビタン 0.3
(レオドールTW−L120、花王社製)
ブチレングリコール 5
香料 0.2
精製水 2
エタノール 87
(6)ポンプスプレー処方(実施例12)
以下に示す各成分を均一に混合した後、ポンプ容器に充填した。
(原料) (重量%)
アミノシリケート系消臭剤(実施例1) 3
トリクロサン 0.2
香料 0.2
パルミチン酸イソプロピル 5
オクタメチルシクロテトラシロキサン 91.6
(シリコーンSH−244,東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製)
試験例2 モデル腋臭に対する消臭能の評価
擬似わき臭汗として、3−メルカプト−3−メチルヘキサン−1−オール(S体:R体=72:28、重量比)の生理食塩水溶液(濃度:10、50、100ppm(重量比))を調製した。
ガラス製試験管に、10mgの実施例2で得られた消臭剤、タルク、活性炭1、活性炭2、活性白土、酸化亜鉛又は銀ゼオライトと、3−メルカプト−3−メチルヘキサン−1−オールの生理食塩水溶液とを、それぞれ6g入れて密栓した。ミキサーを用いて試験管を2分間攪拌した後、遠心分離(3000rpm/10分間)し、上澄み液をフィルター(セルロースアセテート、0.45μm、東洋濾紙社製)でろ過した。ろ液5gと塩化ナトリウム2.5gを別の試験管に入れて、1分間攪拌した。ヘキサン1gを加えて、2分間攪拌し、その後3分間静置した。ピペットで上澄み液0.5gを取りだし、GC−MS測定用バイアル瓶に入れた。GC−MS分析により、3−メルカプト−3−メチルヘキサン−1−オールに特徴的なマスフラグメントであるm/z=97に由来するピークの面積を測定した。
ブランク試験として、消臭剤を加えずに同一の操作を行った場合のピーク面積を測定した。これらより、下記式に従って、3−メルカプト−3−メチルヘキサン−1−オールの消臭率(%)を求めた。
消臭率(%)=〔1−(消臭剤を加えた場合のピーク面積/消臭剤を加えない場合
のピーク面積)〕×100
なお、GC−MS分析の条件は以下の通りである。
装置:6890GC−5973MSD(Agilent Technologies社製)
カラム:DB−1(60m×0.25mm×0.25μm)
昇温設定:40℃(1分間)→(6℃/分)→60℃→(2℃/分)→
300℃(40分間)
キャリアガス:He
イオン化電圧:70eV
以上の結果を表5に示す。

表5より、本発明の消臭剤(アルミノシリケート粒子)は、腋臭原因物質である3−メルカプト−3−メチルヘキサン−1−オールに対し極めて優れた消臭能を発揮しうることが分かる。活性炭1では本発明の消臭剤と同等以上の消臭能が発揮されているが、活性炭は黒色のため身体に適用した場合に衛生感を損なう恐れがある。一方、本発明の消臭剤は淡色〜白色であるため活性炭の場合のような心配はなく身体に何らの制限なく適用できることから、身体用デオドラント剤のためのより優れた消臭成分であると言える。
本発明によれば、日常生活環境において発生する種々の原因物質に由来する悪臭、中でも含硫黄系悪臭の消臭能に優れ、身体にとって安全であり、適用した際には良好な外観を呈する、淡色の、好ましくは白色のアルミノシリケート系消臭剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成が、sM(1)・tM(2)O・Al・uSiO・vR・wH
(式中、M(1)はAg、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上であり、M(2)はNa、KおよびHからなる群より選ばれる1種以上であり、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上であり、QはCO、SO、NO、およびClからなる群より選ばれる1種以上であり、sは0<s≦3、tは0≦t≦3、ただし、s+t=0.5〜3であり、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)であり、かつ比表面積が1m/g以上70m/g未満であるアルミノシリケート粒子の消臭のための使用。
【請求項2】
該アルミノシリケート粒子が、無水物の組成が、
aMO・Al・bSiO・cR
(式中、MはNaおよび/またはKであり、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上であり、QはCO、SO、NO、およびClからなる群より選ばれる1種以上であり、aは0.5≦a≦3、bは0.5≦b≦6、cは0<c≦2、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)である原料アルミノシリケート粒子を、原料アルミノシリケート粒子100g当たり0〜300meq(0〜300meq/100g)の酸を用いて酸処理する工程、ならびにAg、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上の金属のイオンでイオン交換する工程に供して得られたものである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
該アルミノシリケート粒子の1重量%水分散液のpHが7以上である請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
組成が、sM(1)・tM(2)O・Al・uSiO・vR・wH
(式中、M(1)はAg、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上であり、M(2)はNa、KおよびHからなる群より選ばれる1種以上であり、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上であり、QはCO、SO、NO、およびClからなる群より選ばれる1種以上であり、sは0<s≦3、tは0≦t≦3、ただし、s+t=0.5〜3であり、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)であり、かつ比表面積が1m/g以上70m/g未満であるアルミノシリケート粒子の消臭のための使用方法。
【請求項5】
該アルミノシリケート粒子が、無水物の組成が、
aMO・Al・bSiO・cR
(式中、MはNaおよび/またはKであり、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上であり、QはCO、SO、NO、およびClからなる群より選ばれる1種以上であり、aは0.5≦a≦3、bは0.5≦b≦6、cは0<c≦2、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす)である原料アルミノシリケート粒子を、原料アルミノシリケート粒子100g当たり0〜300meq(0〜300meq/100g)の酸を用いて酸処理する工程、ならびにAg、Cu、ZnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上の金属のイオンでイオン交換する工程に供して得られたものである、請求項4記載の使用方法。
【請求項6】
該アルミノシリケート粒子の1重量%水分散液のpHが7以上である請求項4または5記載の使用方法。

【国際公開番号】WO2005/014059
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【発行日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513032(P2005−513032)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011674
【国際出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】