説明

消防用設備設置台

【課題】火災が発生した場合に,火災を感知して,消防用設備の存在場所を確実にユーザーに知らせるとともに,火災発生時にユーザーが取るべき行動を示唆することが可能な消防用設備設置台を提供すること。
【解決手段】消防用設備設置部と,火災の感知を行う火災感知手段と,該火災感知手段から出力される火災感知信号を受信し,該受信信号を演算処理するとともに報知手段に向けて報知信号を出力する信号処理部と,該信号処理部からの報知信号を受信した場合に動作し,周囲に火災を感知したことを報知する報知手段とを備えたことを特徴として消防用設備設置台を提供した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件の発明は,火災を感知するとともに,火災を感知したことを周囲に報知する消防用設備設置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,住居内において電気の使用量に関する情報を得られるようにして,過電流など電気的な異常が発生したことをユーザーが確実に得られるようにする装置や,また,過電流など電気的な異常が発生した場合には,自動的に電気器具を電路から強制的に切り離すことで全停電を防止する装置(特許文献1)が公知である。
【0003】
【特許文献1】特開2004−170276号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように,電気的な異常に着目して,電気の使用量などの電気に関する情報や電気的な異常の発生をユーザーに知らせることにより,ユーザーが電気的な弊害を被ることを防止する装置はあるが,近年,住宅火災による被害が増加傾向にあり,火災が発生した場合においても,ユーザーが火災発生に関する情報を確実に得ることができ,また,火災発生時においてユーザーが取るべき行動を知らせてくれる装置が望まれていた。
【0005】
火災発生時においては,通常であれば初期消火活動を行うことが分かっていても,動転して何をすべきか判断できなくなる場合があり,消火が遅れることにより火災による被害が広がる恐れがあった。
【0006】
また,火災の発生をユーザーに知らせるものとしては住宅用火災警報器があるが,火災が発生した場合に,大きな非常音が突然鳴ることで,特に夜間など暗がりにおいて動作した場合には,ユーザーは不安が募り,パニックに陥る場合があることが予想され,場合によっては混乱を招くおそれがあった。
【0007】
そこで,本件の発明はこのような課題や実情に鑑みてなされたものであり,
火災が発生した場合に,火災を感知して,消防用設備の存在場所を確実にユーザーに知らせるとともに,火災発生時にユーザーが取るべき行動を示唆することが可能な消防用設備設置台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために,請求項1の発明では,消防用設備設置部と,火災の感知を行う火災感知手段と,該火災感知手段から出力される火災感知信号を受信し,該受信信号を演算処理するとともに報知手段に向けて報知信号を出力する信号処理部と,該信号処理部からの報知信号を受信した場合に動作し,周囲に火災を感知したことを報知する報知手段とを備えたことを特徴として消防用設備設置台を提供したものである。
【0009】
これにより,消防用設備を設置してある台が,火災を感知するとともに火災が発生したことを報知するため,ユーザーは報知場所を認識することで,可能な場合には消防用設備を使って消火活動を行う必要があることを直感的に判断でき,パニックに陥る可能性を極力低減できるうえ,初期の消火活動を早期に行うことで火災の拡大や,火災による弊害を極力低減させることが可能である。
【0010】
また,信号処理部と接続され,該信号処理部から出力される報知信号を外部に伝送する送信手段を備えて消防用設備設置台を構成してもよい。
【0011】
これにより,火災を感知したことを,外部に対して伝送することが可能となるため,消防用設備設置台の付近にユーザーが居ない場合でも,外部の伝送先にユーザーが居れば火災の発生を迅速に知ることができ,なおかつ,初期の消火活動を早期に行うことで火災の拡大や,火災による弊害を極力低減させることが可能である。
【0012】
また,前記送信手段は,無線信号送受信部を含んで構成されたことを特徴として消防用設備設置台を提供してもよい。
【0013】
これにより,消防用設備設置台の報知信号を外部の受信装置に伝送することが可能となり,該外部の受信装置を設置する際に,通信媒体として通信線を用いた有線の形態では設置が困難な場合でも,無線電波が届く範囲であれば容易に,なおかつ後付の場合でも容易に行え,消防用設備設置台から送信される報知信号を受信したい場所に利便性良く設置が可能である。
【0014】
また,前記送信手段は,電力線搬送送受信部を含んで構成されたことを特徴として消防用設備設置台を提供してもよい。
【0015】
これにより,消防用設備設置台の報知信号を外部の受信装置に伝送することが可能となり,該外部の受信装置を設置する際に,通信媒体として通信線を用いた有線の形態では設置が困難な場合や,外部の受信装置の設置場所が,無線を用いた場合に,電波が届きにくい場所である場合においても,商用電源が供給されている場所であれば,無線電波の到達具合に左右されることなく必要な場所に確実に信号を受信できるように容易に設置が行え,なおかつ後付の場合でも容易に行え,利便性のよい設置が可能である。
【0016】
また,報知手段は,発光手段を含んで構成され,信号処理部から報知信号を受信した場合には点灯動作もしくは点滅動作し,周囲に火災を感知したことを報知することを特徴として消防用設備設置台を提供してもよい。
【0017】
これにより,火災の発生状況によっては,例えば火災の発生が夜間や暗がりで起こった場合に,速やかに消防用設備の場所を知らせることができ,また,停電時においては周囲を照らす照明の代わりにも使用できる。
【0018】
また,報知手段は,発声手段もしくは発音手段を含んで構成され,信号処理部から報知信号を受信した場合には,音声もしくは音を用いて周囲に火災を感知したことを報知することを特徴として消防用設備設置台を提供してもよい。
【0019】
これにより,ユーザーが取るべき行動を具体的に指示することで,ユーザーは次に行うべき行動を直感的に理解でき,パニックに陥ることなく消火の活動などの行動を行うことができる。ひいては,火災の延焼や,火災による弊害の発生を極力小さく抑えることが可能である。
【0020】
また,報知手段は,発光手段ならびに発声手段もしくは発音手段を含んで構成され,信号処理部から報知信号を受信した場合には,点灯動作もしくは点滅動作するとともに,音声もしくは音を用いて周囲に火災を感知したことを報知することを特徴として消防用設備設置台を提供してもよい。
【0021】
これにより,消防用設備の設置場所をより気がつきやすいように設けることができ,前述した照明効果が得られるとともに,ユーザー自身が次に取るべき行動が把握しやすい消防用設備設置台を提供することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば,火災が発生した場合に,火災を感知して,消防用設備の存在場所を確実にユーザーに知らせることができるとともに,火災発生時にユーザーが取るべき行動を示唆することで,パニックに陥る可能性を極力低減でき,火災の延焼防止のために初期消火活動を早期に行うことをユーザーが認識できる消防用設備設置台を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本件発明の実施の形態に係る消防用設備設置台について,図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
図1は,本件発明の消防用設備設置台の第一の実施形態を示す図である。消防用設備設置台1は,該消防用設備設置台1単体で火災の感知と報知を行うよう設けられ,消防用設備の設置部に設置された消防用設備を用いることで早期の初期消火を行うことが可能な消防用設備の設置台である。
【0025】
図1において,消防用設備設置台1は,消防用設備設置部10と,火災感知手段11と,信号処理部13と,報知手段14と,電源回路部15と,バックアップ電源部16とが設けられている。
【0026】
消防用設備設置部10は,消防用設備を設置する部分であり,例えば消火器や,消火用砂,消火用水,消火布などを設置可能に設けられている。
【0027】
火災感知手段11は,火災の発生を感知するセンサーを含んで構成された電子回路であり,具体的には,火災による煙の発生を感知するセンサーや,火災による熱の発生を感知するセンサーを用いて構成されている。一般的には,煙の発生を感知するものを煙式と呼び,熱の発生を感知するものを熱式と呼んでいる。また,煙式には,その煙感知方式に応じて,光電式およびイオン化式といった感知方式がある。該センサーにより火災の発生を感知した場合には,感知信号を出力する。なお,使用するセンサーは,一つであってもよいし,複数のセンサーを設けて構成してもよい。複数のセンサーを使用することで,火災の原因となる要素をより早く見つけ出すことが可能である。
【0028】
信号処理部13は,前記感知手段11から出力された感知信号を受信するための感知信号受信部を含み,受信した感知信号を演算処理し,後述する報知手段14に向けて出力信号を送出する部分である。
【0029】
報知手段14は,発光手段もしくは発声手段,発音手段を含んで構成され,周囲に対して発光することにより,もしくは鳴動することにより,火災が発生したことを知らせる。なお,報知手段14は信号処理部13からの出力信号を受けて動作するものである。
【0030】
前記発光手段としては,LED照明を用いており低電力で,高照度の照明効果が得られるようにしている。該発光手段は,信号処理部13から出力信号を受けた場合,あらかじめ定められたように動作し,点灯動作もしくは点滅動作を行うことで周囲に火災の発生を知らせるとともに,消防用設備が点灯場所にあることを知らせる。
【0031】
前記発声手段としては,スピーカを用いており,信号処理部13にあらかじめ記憶された音声データを信号処理部13にて処理し,再生することで,周囲に的確に,ユーザーが取るべき行動を周知することができる。例えば「火災が発生しました。消火器はこちらです。消火活動を行ってください。」などと報知することで,ユーザーは明確に何をすべきか直感的に理解することができる。単に「火災が発生しました。」と報知する場合に比べて,ユーザー自身が何をしたらよいか,どうしたらよいか,といったことを考えやすくなり,動転している場合において,具体的な次の行動を取ることが可能になり,パニックを起こす可能性が低減する。
【0032】
発音手段としては,同様にスピーカを用いており,信号処理部13にあらかじめ記憶されたパターン音を信号処理部13にて処理し,再生することで,周囲に的確に,火災が発生したことを周知することができる。パターン音は,非常音のように,びっくりさせるような音ではなく,ユーザーの感情を必要以上に高ぶらせることがないよう,柔らかい音を用いることで,動転させる可能性を低減させる。
【0033】
なお,発音手段は,前述した発声手段と組み合わせて利用することでより確実にユーザーが取るべき行動を周知することができる。例えば「ポポーン。ポポーン。火災が発生しました。消火器はこちらです。消火活動を行ってください。」というように組み合わせて用いることで,ユーザーを慌てさせることなく,ユーザーは迅速に次の行動に移ることが可能である。
【0034】
電源回路部15は,商用電源に接続して用い,内部回路の駆動に適した直流電源に変換するAC/DCコンバータを含んで構成されている。
【0035】
電池16は,停電時や電気点検時など,商用電源の供給が行われなくなった場合においても,消防用設備設置台1の動作が引き続き行うことができるように,内部回路のバックアップ電源として用いることが可能なように設けられている。なお,電池は一次電池,二次電池どちらを用いて構成してもよい。二次電池を用いる場合には,充電回路を電源回路部もしくは,電池部に設けて構成するとよい。
【0036】
なお,消防用設備設置台1の構成において,商用電源の供給を受けずに,電池駆動のみで駆動するように構成してもよい。電池駆動を行うことで,消防用設備設置台1の設置場所の束縛条件が緩くなり,設置可能範囲を広げることができ,ユーザーが消防用設備設置台1を必要とする場所に電波が届く範囲で自由に設置を行うことが可能となる。
【0037】
図2は,本件発明の消防用設備設置台の第二の実施形態を示す図である。消防用設備設置台100は,該消防用設備設置台100単体で火災の感知と報知を行うとともに,外部に報知信号を伝送するよう設けられ,設置台の周囲のみならず報知信号が伝送可能な範囲に設けられた報知信号受信部にて火災の発生を認識でき,消防用設備の設置部に設置された消防用設備を用いることで早期の初期消火を行うことが可能な消防用設備の設置台である。
【0038】
図2において,消防用設備設置台100は,消防用設備設置部10と,火災感知手段11と,信号処理部13と,報知手段14と,電源回路部15と,バックアップ電源部16と,送信手段17とが設けられている。
【0039】
消防用設備設置部10は,消防用設備を設置する部分であり,例えば消火器や,消火用砂,消火用水,消火布などを設置可能に設けられている。
【0040】
火災感知手段11は,第一の実施形態と同様に,火災の発生を感知するセンサーを含んで構成された電子回路であり,具体的には,火災による煙の発生を感知するセンサーや,火災による熱の発生を感知するセンサーを用いて構成されている。一般的には,煙の発生を感知するものを煙式と呼び,熱の発生を感知するものを熱式と呼んでいる。また,煙式には,その煙感知方式に応じて,光電式およびイオン化式といった感知方式がある。該センサーにより火災の発生を感知した場合には,感知信号を出力する。なお,使用するセンサーは,一つであってもよいし,複数のセンサーを設けて構成してもよい。複数のセンサーを使用することで,火災の原因となる要素をより早く見つけ出すことが可能である。
【0041】
信号処理部13は,前記感知手段11から出力された感知信号を受信するための感知信号受信部を含み,受信した感知信号を演算処理し,後述する報知手段14に向けて出力信号を送出する部分である。
【0042】
報知手段14は,発光手段もしくは発声手段,発音手段を含んで構成され,周囲に対して発光することにより,もしくは鳴動することにより,火災が発生したことを知らせる。なお,報知手段14は信号処理部13からの出力信号を受けて動作するものである。
【0043】
前記発光手段としては,LED照明を用いており低電力で,高照度の照明効果が得られるようにしている。該発光手段は,信号処理部13から出力信号を受けた場合,あらかじめ定められたように動作し,点灯動作もしくは点滅動作を行うことで周囲に火災の発生を知らせるとともに,消防用設備が点灯場所にあることを知らせる。
【0044】
前記発声手段としては,スピーカを用いており,信号処理部13にあらかじめ記憶された音声データを信号処理部13にて処理し,再生することで,周囲に的確に,ユーザーが取るべき行動を周知することができる。例えば「火災が発生しました。消火器はこちらです。消火活動を行ってください。」などと報知することで,ユーザーは明確に何をすべきか直感的に理解することができる。単に「火災が発生しました。」と報知する場合に比べて,ユーザー自身が何をしたらよいか,どうしたらよいか,といったことを考えやすくなり,動転している場合において,具体的な次の行動を取ることが可能になり,パニックを起こす可能性が低減する。
【0045】
発音手段としては,同様にスピーカを用いており,信号処理部13にあらかじめ記憶されたパターン音を信号処理部13にて処理し,再生することで,周囲に的確に,火災が発生したことを周知することができる。パターン音は,非常音のように,びっくりさせるような音ではなく,ユーザーの感情を必要以上に高ぶらせることがないよう,柔らかい音を用いることで,動転させる可能性を低減させる。
【0046】
なお,発音手段は,前述した発声手段と組み合わせて利用することでより確実にユーザーが取るべき行動を周知することができる。例えば「ポポーン。ポポーン。火災が発生しました。消火器はこちらです。消火活動を行ってください。」というように組み合わせて用いることで,ユーザーを慌てさせることなく,ユーザーは迅速に次の行動に移ることが可能である。
【0047】
電源回路部15は,商用電源に接続して用い,内部回路の駆動に適した直流電源に変換するAC/DCコンバータを含んで構成されている。
【0048】
電池16は,停電時や電気点検時など,商用電源の供給が行われなくなった場合においても,消防用設備設置台1の動作が引き続き行うことができるように,内部回路のバックアップ電源として用いることが可能なように設けられている。なお,電池は一次電池,二次電池どちらを用いて構成してもよい。二次電池を用いる場合には,充電回路を電源回路部もしくは,電池部に設けて構成するとよい。
【0049】
送信手段17は,前記報知信号を外部に伝送するためのもので,無線信号送受信回路で構成されている。本送信手段17は,信号処理部から出力される報知信号を無線により外部に設けられた報知信号受信部に向けて送信する。無線方式には,特定小電力方式を用いて構成している。なお,この他,通信距離や省電力の必要性に応じて,適宜受信周波数を定めたり,インターフェースを設けて構成し,微弱無線方式や,最近注目されている短距離無線通信方式であるZigbee規格に適合した無線信号送受信部を設けた構成としてもよい。該規格を用いることで,低コストで低消費電力の無線送受信部を用いることができ,消防用設備設置台を使用するにあたり,初期導入コストやランニングコストの低減を行うことが可能である。
【0050】
前記外部に設けられた報知信号受信部として,報知手段14と同機能を有する報知手段と,無線による報知信号受信部を設けて構成した報知装置を構成してもよいし,消防用設備設置台1を複数用いて,該消防用設備設置台1の無線信号送受信回路を利用して,無線による報知信号を受信することにより,信号処理部にて演算処理し,報知手段から報知させるよう構成してもよい。
【0051】
なお,消防用設備設置台100の構成において,商用電源の供給を受けずに,電池駆動のみで駆動するように構成してもよい。電池駆動を行うことで,消防用設備設置台100の設置場所の束縛条件が緩くなり,設置可能範囲を広げることができ,ユーザーが消防用設備設置台100を必要とする場所に電波が届く範囲で自由に設置を行うことが可能となる。
【0052】
次に,図3を用いて,消防用設備設置台の第三の実施の形態を説明する。第三の実施形態における消防用設備設置台200は,該消防用設備設置台200単体で火災の感知と報知を行うとともに,電力線搬送にて外部に報知信号を伝送するよう設けられ,設置台の周囲のみならず報知信号が伝送可能な範囲に設けられた報知信号受信部にて火災の発生を認識でき,消防用設備の設置部に設置された消防用設備を用いることで早期の初期消火を行うことが可能な消防用設備の設置台である。
【0053】
図3において,消防用設備設置台200は,消防用設備設置部10と,火災感知手段11と,信号処理部13と,報知手段14と,電源回路部15と,バックアップ電源部16と,電力線搬送を用いた送信手段18とが設けられている。
【0054】
消防用設備設置部10は,前述したものと同様に,消防用設備を設置する部分であり,例えば消火器や,消火用砂,消火用水,消火布などを設置可能に設けられている。
【0055】
火災感知手段11は,第二の実施形態と同様に,火災の発生を感知するセンサーを含んで構成された電子回路であり,具体的には,火災による煙の発生を感知するセンサーや,火災による熱の発生を感知するセンサーを用いて構成されている。一般的には,煙の発生を感知するものを煙式と呼び,熱の発生を感知するものを熱式と呼んでいる。また,煙式には,その煙感知方式に応じて,光電式およびイオン化式といった感知方式がある。該センサーにより火災の発生を感知した場合には,感知信号を出力する。なお,使用するセンサーは,一つであってもよいし,複数のセンサーを設けて構成してもよい。複数のセンサーを使用することで,火災の原因となる要素をより早く見つけ出すことが可能である。
【0056】
信号処理部13は,前記感知手段11から出力された感知信号を受信するための感知信号受信部を含み,受信した感知信号を演算処理し,後述する報知手段14に向けて出力信号を送出する部分である。
【0057】
報知手段14は,発光手段もしくは発声手段,発音手段を含んで構成され,周囲に対して発光することにより,もしくは鳴動することにより,火災が発生したことを知らせる。なお,報知手段14は信号処理部13からの出力信号を受けて動作するものである。
【0058】
前記発光手段としては,第一の実施の形態と同様に,LED照明を用いており低電力で,高照度の照明効果が得られるようにしている。該発光手段は,信号処理部13から出力信号を受けた場合,あらかじめ定められたように動作し,点灯動作もしくは点滅動作を行うことで周囲に火災の発生を知らせるとともに,消防用設備が点灯場所にあることを知らせる。
【0059】
前記発声手段としては,第一の実施の形態と同様に,スピーカを用いており,信号処理部13にあらかじめ記憶された音声データを信号処理部13にて処理し,再生することで,周囲に的確に,ユーザーが取るべき行動を周知することができる。例えば「火災が発生しました。消火器はこちらです。消火活動を行ってください。」などと報知することで,ユーザーは明確に何をすべきか直感的に理解することができる。単に「火災が発生しました。」と報知する場合に比べて,ユーザー自身が何をしたらよいか,どうしたらよいか,といったことを考えやすくなり,動転している場合において,具体的な次の行動を取ることが可能になり,パニックを起こす可能性が低減する。
【0060】
発音手段としては,同様にスピーカを用いており,信号処理部13にあらかじめ記憶されたパターン音を信号処理部13にて処理し,再生することで,周囲に的確に,火災が発生したことを周知することができる。パターン音は,非常音のように,びっくりさせるような音ではなく,ユーザーの感情を必要以上に高ぶらせることがないよう,柔らかい音を用いることで,動転させる可能性を低減させる。
【0061】
なお,発音手段は,前述した発声手段と組み合わせて利用することでより確実にユーザーが取るべき行動を周知することができる。例えば「ポポーン。ポポーン。火災が発生しました。消火器はこちらです。消火活動を行ってください。」というように組み合わせて用いることで,ユーザーを慌てさせることなく,ユーザーは迅速に次の行動に移ることが可能である。
【0062】
電源回路部15は,商用電源に接続して用い,内部回路の駆動に適した直流電源に変換するAC/DCコンバータ機能を含んで構成されている。
【0063】
電池16は,停電時や電気点検時など,商用電源の供給が行われなくなった場合においても,消防用設備設置台1の動作が引き続き行うことができるように,内部回路のバックアップ電源として用いることが可能なように設けられている。なお,電池は一次電池,二次電池どちらを用いて構成してもよい。二次電池を用いる場合には,充電回路を電源回路部もしくは,電池部に設けて構成するとよい。なお,この場合は火災警報器200にもバックアップ用の電源を設けておき,消防用設備設置台100の電力線搬送信号送受信部101と互いに電力線搬送による通信が行えるように構成しておく。
【0064】
送信手段18は,前記報知信号を外部に伝送するためのもので,電力線搬送信号送受信回路で構成されている。本送信手段18は,信号処理部から出力される報知信号を電力線搬送により外部に設けられた報知信号受信部に向けて送信する。
【0065】
本電力線搬送信号送受信回路を用いて構成された送信手段18は,電力線搬送に適合したインターフェースを設けて構成するとよい。該電力線搬送を用いて通信を行うことにより,外部に設けられる報知信号受信装置との通信のために,新たに通信線を引き回す必要がなく,該消防用設備設置台200の電源供給に用いられる電路と同一系統で通信ができるように商用電源が得られるところであれば,コンセントプラグを差し込むことにより,報知信号を受信することができる。このため,消防用設備設置台200を設けるにあたり,低コストでの設置が可能で,消防用設備設置台を使用するにあたり,初期導入コストやランニングコストの低減を行うことが可能である。
【0066】
なお,前記外部に設けられた報知信号受信部として,報知手段14と同機能を有する報知手段と,電力線搬送による報知信号受信部を設けて構成した報知装置を構成してもよいし,消防用設備設置台200を複数用いて,該消防用設備設置台200の電力線搬送信号送受信回路を利用して,電力線搬送による報知信号を受信することにより,信号処理部にて演算処理し,報知手段から報知させるよう構成してもよい。
【0067】
なお,第二の実施形態において,無線を用いて火災警報器と消防用設備設置台の間の通信を行う例は,種々想定でき,例えば,通信の媒体として赤外線を用い,特にIrDAで定められた通信方式に則った通信を行うよう構成してもよい。
【0068】
また,火災を感知した結果出力される報知信号を受信する報知信号受信装置を,消防用設備設置台との1対1の通信形態ではなく,1対多(不特定)の通信形態として設けてもよい。この場合,1対多(不特定)の通信形態であるブロードキャストの形態として報知信号を送信し,該報知信号が届く範囲において,該動作信号を受信する報知信号受信装置または消防用設備設置台を複数台設けるように構成してもよい。
【0069】
このように構成することで,住居内において,報知信号受信装置または消防用設備設置台を1台のみならず,複数台設けるような利用ができ,火災が発生したことを報知信号受信装置または消防用設備設置台を設置している場所で同時に周囲に向けて報知することが可能である。一台のみの報知信号受信装置または消防用設備設置台が設けられているような場合において,ユーザーが該報知信号受信装置または消防用設備設置台の付近にいない場合には,報知が認識できない場合があるという可能性が考えられるが,複数台の報知信号受信装置または消防用設備設置台が設けられている場合には,報知を認識できない可能性が極力低減する。
【0070】
また,ブロードキャストの形態として設けておくことで,ユーザーの住居のみならず,他の住居においても報知信号受信装置または消防用設備設置台が設けられているような場合には,動作信号が届く範囲であれば,近隣のユーザーにも火災が発生したことを報知でき,早期の非難や,消火活動が行うことができることが考えられる。
【0071】
なお,不要動作を低減する観点から,他の住居から発生される報知信号を受信させないように設ける場合には,報知信号をブロードキャストの形態ではなく,1対多(特定)の通信形態であるマルチキャストの形態として送信するように構成するとよい。マルチキャストの通信先の区分けとして,例えば住居ごとに異なるチャンネルやシリアルナンバーを設け,予め定められた通信先を定めておくことにより,特定の複数の報知信号受信装置または消防用設備設置台のみに報知信号を受信させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように,本発明の消防用設備設置台は,例えば,新築住宅への消防用設備設置時容易に取り付けられ,また,既存住宅への消防用設備設置時に後付でも容易に取り付けられ,それ自身において火災を感知できるため,火災を感知できる場所が増えることにより,万が一火災が発生した場合には,より早くユーザーに確実に火災感知の場所を知らせるとともに消防用設備の場所を知らせられ,ユーザーが取るべき行動を具体的に指示することで,動転することを防止することができるよう有益に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す消防用設備設置台の構成を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の第二の実施形態を示す消防用設備設置台の構成を示すブロック構成図である。
【図3】本発明の第三の実施形態を示す消防用設備設置台の構成を示すブロック構成図である。
【図4】従来の例を示した図である。
【符号の説明】
【0074】
1 消防用設備設置台
10 消防用設備設置部
11 感知手段
13 信号処理部
14 報知手段
15 電源回路部
16 電池
100 消防用設備設置台
200 消防用設備設置台
17 送信手段
18 送信手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防用設備設置部と,火災の感知を行う火災感知手段と,該火災感知手段から出力される火災感知信号を受信し,該受信信号を演算処理するとともに報知手段に向けて報知信号を出力する信号処理部と,該信号処理部からの報知信号を受信した場合に動作し,周囲に火災を感知したことを報知する報知手段とを備えたことを特徴とする消防用設備設置台。
【請求項2】
前記信号処理部と接続され,該信号処理部から出力される報知信号を外部に伝送する送信手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の消防用設備設置台。
【請求項3】
前記送信手段は,無線信号送受信部を含んで構成されたことを特徴とする請求項2記載の消防用設備設置台。
【請求項4】
前記送信手段は,電力線搬送送受信部を含んで構成されたことを特徴とする請求項2記載の消防用設備設置台。
【請求項5】
前記報知手段は,発光手段を含んで構成され,信号処理部から報知信号を受信した場合には点灯動作もしくは点滅動作し,周囲に火災を感知したことを報知することを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の消防用設備設置台。
【請求項6】
前記報知手段は,発声手段もしくは発音手段を含んで構成され,信号処理部から報知信号を受信した場合には,音声もしくは音を用いて周囲に火災を感知したことを報知することを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の消防用設備設置台。
【請求項7】
前記報知手段は,発光手段ならびに発声手段もしくは発音手段を含んで構成され,信号処理部から報知信号を受信した場合には,点灯動作もしくは点滅動作するとともに,音声もしくは音を用いて周囲に火災を感知したことを報知することを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の消防用設備設置台。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−79629(P2007−79629A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262791(P2005−262791)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000109598)テンパール工業株式会社 (217)
【Fターム(参考)】