説明

液体コーティング装置および方法

【課題】ウエハに液体を塗布際、気流の影響を最小化し、安定した雰囲気で噴霧コーテイングするための液体コーティング装置を提供する。
【解決手段】液体コーティング装置は、低速で回転するウエハ上で移動して液体を噴霧するノズル部材130およびノズル部材周辺に強制気流を生成する層流形成部材140を備え、渦流や後流の生成を防止することで液滴の流失による汚染を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧により特定液体を塗布するスプレイ設備に関し、より詳細には、スプレイ過程を繰り返したとしても噴霧される微細液滴が対象物に均等に塗布されるようにする液体コーティング装置および液体コーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ上にフォトレジスト液を塗布する方法としては、一般的にスピンコーティング(spin coating)が用いられている。スピンコーティングは、回転するウエハ上に一定量の感光液を滴下し、遠心力によって感光液がウエハ上に広がることを利用してウエハ上に感光液を塗布する方法である。スピンコーティングでは大部分の感光液がウエハから外に飛び散り、少量の感光液のみがウエハ上に残留する。従って、スピンコーティングは、感光液を必要以上に消費する傾向があり、飛び散る感光液は周辺設備を汚染させる原因となる恐れがある。
【0003】
これを解決するため、スプレイを用いて感光液をウエハ上に噴霧する噴霧コーティングが開示されている。噴霧コーティングは感光液を適量だけ用いれば良いため、感光液が無駄に消費されることを防止することができる。
【0004】
しかし、噴霧コーティングを行なうとき、基板上部で下降する気流およびノズルの移送による影響によって噴霧ノズル周辺に渦流および後流(wake)が発生することがある。このような渦流および後流による影響によって基板にコーティングされる液膜の厚さ均一度が低下し、また噴霧された液滴中の一部が飛び散り、ウエハに付着せずに周辺設備などに付着して汚染を惹き起こす恐れがあるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点を克服するために成されたものであり、ノズル周辺を層流流動で維持させ、発生する渦流の強度を減らすことができるコーティング装置および方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、気流の影響を最小化し、安定した雰囲気中で噴霧コーティングをすることができ、液滴の流失による汚染問題を防止することができるコーティング装置および方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明のコーティング装置は、対象物上に特定の液体を塗布するために、ノズル部および層流形成部を含む。
【0008】
噴霧コーティング(spray coating)によって感光液のような特定の液体を塗布するようにすると、遠心力によって飛び散る液体の量を減らすことができるため、特定の液体を適量だけ用いれば良くなる。しかし、ノズル部が対象物上を通過するため、ノズル部周辺に渦流および後流が形成されることがあり、渦流および後流によって、噴霧された微細液滴中の一部が飛び散り、対象物上に塗布されずにノズル部後面に付着することがある。処理する対象物の数が増加するにつれて、コーティング装置内部からノズル部周辺に付着する液体の量も増加する可能性があり、増加した液体は対象物上に落下し液体が均一に塗布されたコーティングの状態を阻害する恐れがある。
【0009】
特に、ウエハ上に感光液を塗布する場合、ウエハ汚染を防ぐためにウエハの上部で約0.4m/sの下降気流を形成する。下降気流内でノズル部が移動をする時、ノズル部による渦流および後流は、下降気流がない場合よりも更に悪化することがある。
【0010】
ノズル部周辺の渦流および後流の生成を抑制するために層流形成部が形成される。層流形成部は、ノズル部の周辺で層流を形成するための強制的な気流の形成を助長する。強制的な気流は吸入(suction)または送風(blowing)によって助長される。ノズル部周辺に少なくとも一つの吸入口または送風口を形成することによってノズル部周辺で渦流および後流といった空気の剥離流(flow separation)が生じることを防止することができる。一例として、吸入口は、放射状に形成されてノズル部の後端で剥離流が生じることを抑制することができ、送風口は、ノズル部の表面に沿って空気を送風することでノズル部の後端で剥離流が生じることを抑制することができる。
【0011】
前記層流形成部は、吸入または送風を用いてノズル部周辺に渦流や後流ではなく層流を形成することができ、気流の影響を最小にして安定した噴霧コーティングを遂行することができる。
【0012】
本発明の液体コーティング装置は、液体噴霧のためのノズル部材および空気の吸入により層流を形成する層流形成部材を含む。ノズル部材は、液体を供給する液体供給源、液体供給源から液体を一定圧力で供給する供給ポンプおよび対象物上で移動して供給ポンプから供給される液体を噴霧するノズルを含む。また、層流形成部材は、吸入口が形成された上にノズル周辺を覆ったカバーおよび空気を吸入するための吸入ポンプを含み、カバーには吸入口に対応する空気ホールが形成される。カバーはノズルの周辺に形成されることで二重構造を有するため、内側構造を形成するノズルは微細液滴で噴霧することができ、外側構造を形成するカバーの壁面では層流形成のための吸入が可能となる。
【0013】
本発明の液体コーティング装置は、液体噴霧のためのノズル部材および空気の送風により層流を形成する層流形成部材を含む。ノズル部材は、液体を供給する液体供給源、液体供給源から液体を一定圧力で供給する供給ポンプおよび対象物上で移動して供給ポンプから供給される液体を噴霧するノズルを含む。また、層流形成部材は、送風口が形成された上にノズル周辺を覆ったカバーおよび空気を送風するための送風ポンプを含み、カバーには送風口に対応する空気ホールが形成される。カバーはノズルの周辺に形成されることで二重構造を有するため、内側構造を形成するノズルは微細液滴で噴霧することができ、外側構造を形成するカバーの壁面では層流形成のための送風が可能となる。空気ホールは、送風口を介して空気がカバーの接線に接近して移動するように表面に沿って送風されるように傾いて形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体コーティング装置は、フォトレジスト感光液はもちろん、その他の液体を対象物に塗布するための用途として用いることができる。
【0015】
ノズル周辺を層流流動で維持させて渦流や後流の影響を弱化させ、気流の影響を最小化して安定した雰囲気中で噴霧コーティングを遂行することができる。従って、塗布膜の厚さの均一度を向上させることができ、また液滴の飛び散りによる設備汚染を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下で説明される実施形態によって制限されたり限定されたりするものではない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による液体コーティング装置を説明するための断面図である。
【0018】
図1に示すように、液体コーティング装置(100)は、中央の支持台(110)を含み、支持台(110)上にはウエハ(120)が置かれている。ウエハ(120)が置かれた支持台(110)の上部にはノズル部材(130)が移動可能に装着されており、層流形成部材(140)は、ノズル部材(130)の周辺で送風力である強制的な気流(compulsory air flow)を形成するためにノズル部材(130)およびその周辺に装着されている。なお、ノズル部材(130)の周辺での送風力は、送風のために相対的な高圧を形成する図示しない送風ポンプによって生成される。
【0019】
ノズル部材(130)は、ウエハ(120)上で一定経路に沿って移動し、層流形成部材(140)は、ノズル部材(130)の外壁に形成されて空気を送風することができる。層流形成部材(140)が空気を送風することによってノズル部材(130)周辺で剥離流(flow separation)が生じることを防止することができ、ノズル部材(130)は渦流や後流の影響を受けることなく層流を形成してウエハ(120)の上部を移動することができる。
【0020】
図2は、図1の液体コーティング装置(100)を説明するためのノズル部材および層流形成部材の断面図であり、図3は、図2のノズル部材および層流形成部材の側面図である。
【0021】
図2および図3を参照すると、ノズル部材(130)は、液体を噴霧するためのノズル(132)を含む。ノズル(132)は感光液やその他の液体を微細液滴状態で噴霧することができ、中央の供給路を介して持続的に液体の供給を受けることができる。ノズル部材(130)の周辺に層流形成部材(140)が形成される。層流形成部材(140)はノズル(132)の周辺を覆うカバー(142)を含み、カバー(142)はノズル(132)から一定間隔だけ離隔して二重構造を形成する。
【0022】
カバー(142)には複数の空気ホール(144)が形成され、空気ホール(144)は4つの列を成してノズル(132)の周辺に位置する。図2に示されているように、空気ホール(144)はノズル(132)を中心として略4つ形成され、4つの空気ホール(144)は左右および上下対称を成す。ノズル(132)が左右に動くと仮定すると、空気ホール(144)は、ノズル(132)の進行方向に対して上下に約45〜135度の角度範囲で分布されるのが好ましい。より好ましくは、上下に約60〜75および105〜120度の角度範囲に分布されるのが好ましい。
【0023】
再び図1を参照すると、液体コーティング装置(100)において、ウエハ(120)上に弱い下降気流が形成される。一般的に約0.4m/sの下降気流がウエハ(120)全体に向かって形成され、ウエハ(120)に向かった下降気流は、ウエハ(120)上に放射状に広がって進行される。
【0024】
また、支持台(110)は、約20〜30rpmの回転速度で回転させることができる。従来のスピンコーティングでは支持台が約1,000〜5,000rpmで回転させなければならないのに比べ、噴霧コーティングによる支持台(110)は遅い回転速度で回転させれば十分である。支持台(110)の周辺には外部に飛び散る液体を遮断するためにコーターボール(coater bowl)が形成される。回転速度が遅いためコーターボールの機能は従来ほど重要ではない。噴霧コーティングでも従来の設備をそのまま用いることができるが、従来の設備を使用する場合であってもコーターボールが除去されることもある。
【0025】
図4Aは、本実施形態による層流形成部材の使用及びその噴霧結果を説明するための平面図であり、図4Bは、従来の装置及び方法による噴霧結果を説明するための平面図である。図5Aは、本実施形態による層流形成部材の使用及びその噴霧結果を説明するための側面図であり、図5Bは、従来の装置及び方法による噴霧結果を説明するための側面図である。
【0026】
参考までに、図4A及び図4Bの二重波線は空気の流れを表現したものであり、図5A及び図5Bの波線はノズルから噴射された微細液滴の軌跡を表現したものである。
【0027】
まず、従来の装置及び方法によると、ノズル部材(530)の進行に沿ってノズル部材(530)の後面に渦流および後流が発生する。図示されたように、渦流および後流はノズル部材(530)の後方でくるくる回ったり、ノズル部材(530)の後面にぶつかったりする。このような渦流および後流によって、ノズル部材(530)から噴霧された微細液滴は、ウエハの表面にそのまま塗布されず、決められた経路以外の経路に沿って飛び散ることがある。言い換えれば、渦流および後流によってノズル部材(530)から噴霧された微細液滴の一部は、渦流および後流に沿ってノズル部材(530)の後方でくるくる回ったり、ノズル部材(530)の後面に付着したりする。ノズル部材(530)の後面に付着する微細液滴の量が増加することによって液体がウエハの表面に落下して液体がウエハ上で均一に塗布されることを妨害する恐れがある。
【0028】
本実施形態のように、ノズル部材(130)を下降気流内で移動させれば、その後面に渦流および後流が発生することを抑制させることができる。従って、ノズル部材(130)の周辺に層流が形成され、ノズル部材(130)の表面から剥離流が起きることを阻止することができる。たとえ渦流および後流があったとしても、渦流発生領域を最小限に抑制させることができる。
【0029】
また、図4B及び図5Bを参照すると、従来の装置では、ノズルから噴霧された微細液滴は一部ウエハ上に塗布されるが、残りの一部は渦流および後流と共に上昇してウエハ上部で保有された状態になったり、ノズル部材(130)の後端でくるくる回ったりする。しかし、本発明の装置では、ノズル(132)から噴霧された微細液滴は上に上昇したりくるくる回わったりせず、ウエハ(120)の表面に均一かつ効率的に塗布される。従って、ノズル部材(130)の後面には微細液滴が付着せずにそのままウエハ(120)上に塗布され、多数のウエハを繰り返し処理してもノズル部材(130)に液体が付着しない。液体がノズル部材(130)に付着しないためノズルを清潔に維持することができ、液体を塗布する工程を長期間遂行することが可能である。
【0030】
図6A及び図6Bは、本発明の他の実施形態による層流形成部材を説明するためのノズル部材および層流形成部材の断面図であり、図7A及び7Bは、本発明の更に他の実施形態による層流形成部材を説明するための側面図である。
【0031】
図6A及び図6Bを参照すると、ノズル部材(130)は、ノズル(132)の周辺を覆うカバー(152、162)を含む。カバー(152)は、ノズル(132)の外壁から所定の間隔だけ離隔しており、複数の空気ホールが形成されている。空気ホールの個数および位置は多様に選択されることができ、空気ホール(154、164)は2つまたは6つの列を成して形成されることがある。
【0032】
図6Aを見ると、カバー(152)には2つの空気ホール(154)が形成されている。ノズル部材が左右に動くと仮定する時、空気ホール(154)は進行方向に対して約90度の位置に形成されている。空気ホール(154)が最も外側に形成されたとしても、ノズル部材周辺に剥離流が生じることを阻止することができる。
【0033】
図6Bを見ると、カバー(162)には6つの空気ホール(164)が形成されている。ノズル部材が左右に動くと仮定する時、空気ホール(164)は進行方向に対して約60度、90度および120度の位置に形成されており、同時に空気吸入を遂行することができる。カバー(162)およびノズルの間に気流のための空間が形成されており、空気ホール(164)全体に対して吸入が同時に形成されることができる。実際の状況においては、ノズル部材周辺に様々な角度で剥離流が発生することがあるが、カバー(162)の様々な地点で吸入力を形成してノズル部材周辺に剥離流が生じることを効果的に阻止することができる。
【0034】
図7A及び図7Bを参照すると、ノズル部材(130)は、ノズル(132)の周辺を覆うカバーにおいて、空気ホール(174、184)は同一または相違した大きさを有することができ、その列(line)の長さも多様に選択されることができる。空気ホール(174)は一定した高さ程度で形成され、空気ホール(184)の大きさがノズル(132)の長さ方向に順に増加または減少する傾向で形成されることもある。
【0035】
図7Aを見ると、カバー(172)には空気ホール(174)が下部に形成されている。空気ホール(174)がノズル部材全体長さに対応して形成されず、ノズル部材の一部分の長さに対応してのみ形成されることもある。
【0036】
図7Bを見ると、カバー(182)には全体の長さに対応して空気ホール(182)が形成されている。但し、空気ホール(182)の大きさが一定しておらず、上に位置する空気ホール(182)ほど次第にその大きさが小さくなる傾向を有することがわかる。図面に示されてはいないが、空気ホールの大きさは、上に位置する空気ホール(182)ほど次第に大きくなる傾向を有することもある。
【0037】
前記図6A、図6B、図7Aおよび図7Bでは、空気ホールが円型で形成されているが、空気ホールは円型に限らず、楕円形などのように多様な形状で形成されることもある。また、図7(B)のように、空気ホールの大きさを多様にすることもあり、空気ホールの形状と空気ホールの大きさを共に多様に変更することもある。
【0038】
図8は、本発明の一実施形態による液体コーティング装置を説明するための構成図である。
【0039】
図8を参照すると、液体コーティング装置(200)は中央の支持台(210)を含み、支持台(210)上にはウエハ(220)が置かれている。ウエハ(220)が置かれた支持台(210)の上部にはノズル部材(235)の一部が移動可能に装着されており、層流形成部材(245)はノズル部材(235)の周辺で吸入力である強制的な気流(compulsory air flow)を形成するためにノズル部材(235)およびその周辺に装着されている。なお、ノズル部材(235)の周辺での吸入力は、外気吸入のために相対的な低圧を形成する吸入ポンプによって生成される。
【0040】
ノズル部材(235)は、ウエハ(220)上で一定経路に沿って移動をし、層流形成部材(245)は、ノズル部材(235)の外壁に形成されて空気を吸入することができる。層流形成部材(245)が空気を吸入することによってノズル部材(235)周辺で剥離流(flow separation)が生じることを防止することができ、ノズル部材(235)は渦流および後流なく層流を形成してウエハ(220)の上部を移動することができる。
【0041】
ノズル部材(235)は、ノズル(232)、移送ポンプ(234)および感光液保存部(236)を含む。本実施形態において、ノズル部材(235)は、フォトレジスト工程に必要な感光液を塗布するためのものであって、感光液は感光液保存部(236)からノズル(232)に供給され、ノズル(232)は回転するウエハ(220)上で移動をしてウエハ(220)の表面に感光液を均等に塗布することができる。移送ポンプ(234)は感光液保存部(236)およびノズル(232)の間に装着され、感光液を一定の圧力でノズル(232)に供給することができる。
【0042】
ノズル部材(235)中、ノズルはウエハ(220)上で移動し、ノズルと共に層流形成部材(245)の一部も共に移動しながら微細液滴の塗布を補助することができる。
【0043】
層流形成部材(245)は、カバー(242)、空気ホール(244)、フィルタ(246)および真空ポンプ(248)を含む。真空ポンプ(248)は吸入力を発生させ、吸入力はノズルとカバー(242)の間で相対的な低圧を形成してカバー(242)外部の空気が空気ホール(244)を介して流入されるようにする。空気ホール(244)に流入される空気は、微細液滴およびその他の異物を含むことがあり、真空ポンプ(248)に連結される経路上にフィルタ(246)が装着されて微細液滴や異物を排除することができる。
【0044】
図9A乃至図9Cは、本発明の様々な実施形態によるノズル部材および層流形成部材を説明するための側面図である。
【0045】
図9Aを参照すると、ノズル部材および層流形成部材は図8に示されたものと同一である。ノズルは感光液やその他の液体を微細液滴状態で噴霧することができ、中央の供給路を介して液体の供給を持続的に受けることができる。ノズル部材(230)の周辺にカバー(242)および空気ホール(244)が形成される。カバー(242)はノズルの周辺を覆い、ノズルから一定間隔だけ離隔して二重構造を形成する。
【0046】
カバー(242)にはスリット(slit)形状の空気ホール(244)が形成され、4つの空気ホール(244)が対称を成してノズルの周辺に位置する。空気ホール(244)はノズル(232)を中心として略4つ形成され、4つの空気ホール(244)は左右および上下対称を成す。ノズル(232)が左右に動くと仮定すると、空気ホール(244)は、ノズル(232)の進行方向に対して上下に約45〜135度の角度範囲で分布されるのが好ましい。より好ましくは、上下に約60〜75および105〜120度の角度範囲に分布されるのが好ましい。
【0047】
支持台(210)は、約20〜30rpmの回転速度で回転させることができる。従来のスピンコーティングでは、回転支持台は、液体を均等に分散させなければならないために約1,000〜5,000rpmの高速で回転させる必要がある。しかし、本実施形態による支持台(210)は、噴霧される領域を均等にすることを目的として回転させるために高速で回転させる必要はなく、むしろ低速で回転させることが有利である。また、遅い回転速度で回転させるため塗布された液体がウエハの外に飛び散る恐れが少なく、塗布に必要な液体を適量で用いることができる。
【0048】
層流形成部材(245)が作動する場合には、ノズル部材(230)が下降気流内で移動してもその後面に渦流および後流が発生することを抑制することができる。従って、ノズル部材(230)の周辺に層流が形成されるため、スリット形状の空気ホール(244)で行なわれる吸入は、ノズル部材(230)の表面から剥離流が起きることを阻止することができる。たとえ渦流および後流があったとしても、渦流発生領域を最小限に抑制させることができる。
【0049】
ノズルから噴霧された微細液滴は、上に上昇したりくるくる回ったりせず、ほぼ全てウエハ(220)の表面に塗布される。従って、ノズル部材(230)の後面に微細液滴が付着せずにそのままウエハ(220)上に塗布され、多数のウエハを繰り返し処理してもノズル部材(230)に液体が付着しない。液体がノズル部材(230)に付着しないためノズルを清潔に維持することができ、液体を塗布する工程を長期間遂行することが可能である。
【0050】
図9Bを参照すると、カバー(252)には空気ホール(254)が下部に形成されている。空気ホール(254)がノズル部材の全体の長さに対応しては形成されず、ノズル部材の一部分の長さに対応してのみ形成されることもある。
【0051】
図9Cを見ると、カバー(252)には全体の長さに対応して空気ホール(254)が形成されている。但し、空気ホール(254)の幅が一定ではなく、ノズル(232)の長さ方向上に移動するほど次第に幅が狭くなる傾向を有することがある。図面に示されてはいないが、スリット形状で形成された空気ホールにおいて、その幅はノズル(232)の長さ方向上に移動するほど次第に大きくなる傾向を有することもある。
【0052】
図10は、本発明の一実施形態によるノズル部材および層流形成部材を説明するための断面図であり、図11は、図10のノズル部材および層流形成部材を説明するための側面図である。また、図12は、図10の層流形成部材の作動による噴霧結果を説明するための平面図である。
【0053】
図10ないし図12を参照すると、液体コーティング装置は、中央の支持台、ノズル部材(330)および層流形成部材(340)を含む。支持台上にはウエハが置かれ、ノズル部材(330)および層流形成部材(340)はウエハ上で移動しながらウエハ上に感光液などの液体を塗布することができる。
【0054】
ノズル部材(330)はウエハ上で一定経路に沿って移動をし、層流形成部材(340)はノズル部材(330)の外壁に形成されて空気を送風(blowing)することができる。層流形成部材(340)が空気を送風することによってノズル部材(330)周辺で強制的な気流が発生し、その結果、剥離流(flow separation)が起きることを防止することができる。
【0055】
ノズル部材(330)は、ノズル、移送ポンプおよび感光液保存部を含み、感光液は、感光液保存部からノズルに供給されてウエハ上で噴霧される。移送ポンプは感光液保存部およびノズルの間に装着され、感光液を一定の圧力でノズルに供給することができる。
【0056】
ノズル部材(330)中、ノズルはウエハ上で移動し、ノズルと共に層流形成部材(340)の一部も共に移動しながら微細液滴の塗布を補助することができる。
【0057】
層流形成部材(340)は、カバー(342)およびカバー(342)に形成された空気ホール(344)を含む。空気ホール(344)からの排出口は傾いており、空気ホール(344)から送風される空気がカバー(342)の表面に沿って移動するようにカバー(342)の表面の接線に近く形成される。空気ホール(344)から送風される空気は、周辺空気がカバー(342)の表面に沿って流れるように強制的な気流を形成することができ、その結果、カバー(342)の周辺で剥離流が起きることを防止することができる。
【0058】
図10および図12を参照すると、空気ホール(344)は、外部から空気ホール(344)に隣接するように垂直な空気通路を形成する垂直通路(346)および垂直通路(346)から空気ホール(344)まで水平した空気通路を形成する水平通路(348)を含む。水平通路(348)は、空気ホール(344)から排出される気流を円滑にするために、若干曲線を成して形成されることもある。
【0059】
また、ノズル部材(330)および層流形成部材(340)の進行に対して後面に形成された空気ホール(344)から送風が成され、ノズル部材(330)の後面で渦流および後流が発生することを抑制させることができる。また、図示されたように、カバー(342)はノズルから必ず離隔する必要はなく、カバー(342)の内部に垂直通路(346)、水平通路(348)および空気ホール(344)が形成されるようにすることができ、カバー(342)の内面がそのままノズルのための通路として用いられることもある。
【0060】
本実施形態においては、空気ホール(344)が円型または楕円形で形成されているが、場合によっては図9のようにスリット形状で形成されることがあり、全体的に空気を送風することもできる。
【0061】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練された当業者にとっては、添付の請求範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明の多様な修正および変更が可能であることを理解することができるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、半導体の製造工程において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態による液体コーティング装置を説明するための断面図である。
【図2】図1の液体コーティング装置を説明するためのノズル部材および層流形成部材の断面図である。
【図3】図2のノズル部材および層流形成部材の側面図である。
【図4A】本実施形態による層流形成部材の使用及びその噴霧結果を説明するための平面図である。
【図4B】従来の装置及び方法による噴霧結果を説明するための平面図である。
【図5A】本実施形態による層流形成部材の使用及びその噴霧結果を説明するための側面図である。
【図5B】従来の装置及び方法による噴霧結果を説明するための側面図である。
【図6A】本発明の他の実施形態による層流形成部材を説明するためのノズル部材および層流形成部材の断面図である。
【図6B】本発明の他の実施形態による層流形成部材を説明するためのノズル部材および層流形成部材の断面図である。
【図7A】本発明の更に他の実施形態による層流形成部材を説明するための側面図である。
【図7B】本発明の更に他の実施形態による層流形成部材を説明するための側面図である。
【図8】本発明の一実施形態による液体コーティング装置を説明するための構成図である。
【図9A】本発明の様々な実施形態によるノズル部材および層流形成部材を説明するための側面図である。
【図9B】本発明の様々な実施形態によるノズル部材および層流形成部材を説明するための側面図である。
【図9C】本発明の様々な実施形態によるノズル部材および層流形成部材を説明するための側面図である。
【図10】本発明の一実施形態によるノズル部材および層流形成部材を説明するための断面図である。
【図11】図10のノズル部材および層流形成部材を説明するための側面図である。
【図12】図10の層流形成部材の作動による噴霧結果を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0064】
100 液体コーティング装置
110 支持台
120 ウエハ
130 ノズル部材
132 ノズル
140 層流形成部材
142 カバー
144 空気ホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物上に液体を塗布するための液体コーティング装置において、
前記対象物上で移動して前記液体を噴霧するノズル部と、
噴霧された液体を前記対象物上に塗布するため前記ノズル部周辺に強制的な気流を生成する層流形成部と、
を備えることを特徴とする液体コーティング装置。
【請求項2】
前記対象物を支持するための支持台を更に含み、
前記支持台は前記対象物を回転させ、前記ノズル部は前記対象物上で一定の経路を往復して前記液体を噴霧することを特徴とする請求項1に記載の液体コーティング装置。
【請求項3】
前記層流形成部は、前記ノズル部周辺の空気を吸入し強制的な気流を生成することを特徴とする請求項1に記載の液体コーティング装置。
【請求項4】
前記層流形成部は、前記ノズル部周辺の空気を送風し前記ノズル部の外部に沿って流れる強制的な気流を生成することを特徴とする請求項1に記載の液体コーティング装置。
【請求項5】
前記層流形成部は、前記ノズル部周辺を覆って所定の間隔だけ離隔したカバーを含み、
前記カバーには少なくとも一つの空気ホールが形成され前記空気ホールによって前記ノズル部周辺に吸入力または送風力を備えた強制的な気流を生成することを特徴とする請求項1に記載の液体コーティング装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの空気ホールは円型、楕円形またはスリット形状で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液体コーティング装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの空気ホールは、前記カバーの周辺に沿って形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液体コーティング装置。
【請求項8】
前記空気ホールは複数個設けられ、それぞれの空気ホールは、前記ノズル部の進行方向に対して45〜135度の角度範囲に分布されていることを特徴とする請求項7に記載の液体コーティング装置。
【請求項9】
前記空気ホールは複数個設けられ、前記ノズル部の長さ方向に沿って配列されていることを特徴とする請求項7に記載の液体コーティング装置。
【請求項10】
前記複数個の空気ホールは、前記ノズル部の長さ方向に沿って順に増加または減少する大きさで形成されていることを特徴とする請求項9に記載の液体コーティング装置。
【請求項11】
対象物上に液体を塗布するための液体コーティング装置において、
前記液体を供給する液体供給源、前記液体供給源から前記液体を一定圧力で供給する移送ポンプおよび前記対象物上で移動して前記移送ポンプから供給される前記液体を噴霧するノズルを含むノズル部材と、
前記ノズルの周辺に設けられ少なくとも一つの空気ホールが形成されたカバーおよび前記カバーと前記ノズルとの間で外気吸入のために相対的な低圧を形成する吸入ポンプを含み、
前記吸入ポンプは、前記少なくとも一つの空気ホールを介して外気を吸入して前記ノズル周辺の空気の剥離流の発生を抑制する層流形成部材と、
を備えることを特徴とする液体コーティング装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つの空気ホールは円型、楕円形またはスリット形状で形成されていることを特徴とする請求項11に記載の液体コーティング装置。
【請求項13】
前記少なくとも一つの空気ホールは、前記カバーの周辺に沿って形成されていることを特徴とする請求項12に記載の液体コーティング装置。
【請求項14】
前記空気ホールは複数個設けられ、それぞれの空気ホールは、前記ノズルの進行方向に対して45〜135度の角度範囲に分布されていることを特徴とする請求項11に記載の液体コーティング装置。
【請求項15】
対象物上に液体を塗布するための液体コーティング装置において、
前記液体を供給する液体供給源、前記液体供給源から前記液体を一定圧力で供給する供給ポンプおよび前記対象物上で移動して前記供給ポンプから供給される前記液体を噴霧するノズルを含むノズル部材と、
前記ノズルの周辺に設けられ貫通する少なくとも一つの空気ホールが形成されたカバーおよび前記カバーと前記ノズルの間で送風のために相対的な高圧を形成する送風ポンプを含み、
前記送風ポンプは、前記少なくとも一つの空気ホールを介して空気が前記カバー外壁に沿って移動するようにして前記ノズル周辺の空気の剥離流の発生を抑制する層流形成部材と、
を備えることを特徴とする液体コーティング装置。
【請求項16】
前記少なくとも一つの空気ホールは、空気が前記カバーの接線方向に接近して移動するように傾けて形成されていることを特徴とする請求項15に記載の液体コーティング装置。
【請求項17】
前記少なくとも一つの空気ホールは円型、楕円形またはスリット形状で形成されていることを特徴とする請求項15に記載の液体コーティング装置。
【請求項18】
前記少なくとも一つの空気ホールは、前記カバーの周辺に沿って形成されていることを特徴とする請求項17に記載の液体コーティング装置。
【請求項19】
ウエハに感光液を塗布するための液体コーティング装置において、
ウエハを回転及び支持するための回転支持台と、
感光液を供給する感光液保存部、前記感光液保存部から感光液を移送する移送ポンプおよび前記回転支持台に支持されたウエハ上で移動して前記移送ポンプから供給される感光液を噴霧するノズルを含むノズル部材と、
前記ノズルの周辺を覆って二重構造を形成するカバーおよび前記カバーと前記ノズルとの間に連結されて空気を吸入する真空ポンプを含み、前記ノズルの進行方向を基準として前記カバーの両側面には少なくとも一つの空気ホールが形成された層流形成部材と、
を備えることを特徴とする液体コーティング装置。
【請求項20】
前記少なくとも一つの空気ホールは円型、楕円形またはスリット形状で形成されていることを特徴とする請求項19に記載の液体コーティング装置。
【請求項21】
前記少なくとも一つの空気ホールは、前記ノズルの進行方向に対して45〜135度の角度範囲で分布されていることを特徴とする請求項19に記載の液体コーティング装置。
【請求項22】
前記少なくとも一つの空気ホールは、前記ノズルの進行方向に対して60〜75度および105〜120度の角度範囲で分布されていることを特徴とする請求項21に記載の液体コーティング装置。
【請求項23】
ウエハに感光液を塗布するための液体コーティング装置において、
ウエハを支持するための回転支持台と、
感光液を供給する感光液保存部、前記感光液保存部から感光液を移送する移送ポンプおよび前記回転支持台に支持されたウエハ上で移動して前記移送ポンプから供給される感光液を噴霧するノズルを含むノズル部材と、
前記ノズルの周辺を覆って二重構造を形成するカバーおよび前記カバーと前記ノズルとの間に連結されて空気を送風する送風ポンプを含み、前記ノズルの進行方向を基準として前記カバーの両側面には少なくとも一つの空気ホールが形成され、前記少なくとも一つの空気ホールで送風される空気は、前記カバーの外壁に沿って流れるように傾いて排出される層流形成部材と、
を備えることを特徴とする液体コーティング装置。
【請求項24】
対象物上に液体を塗布する液体コーティング方法において、
前記対象物上にノズル部を移動させる段階と、
前記ノズル部を用いて前記液体を噴霧する段階と、
噴霧された液体を前記対象物上に塗布するため前記ノズル部周辺に強制的な気流を生成して前記ノズル部周辺に層流を形成する段階と、
を備えることを特徴とする液体コーティング方法。
【請求項25】
前記対象物上で前記対象物に向かう下降気流を生成することを特徴とする請求項24に記載の液体コーティング方法。
【請求項26】
前記ノズル部を移動させる段階は、前記対象物を所定の速度で回転させて前記対象物上で前記ノズル部を一定の経路に沿って往復移動させることを特徴とする請求項24に記載の液体コーティング方法。
【請求項27】
前記層流を形成する段階は、前記ノズル部周辺の空気を吸入して強制的な気流を生成することを特徴とする請求項24に記載の液体コーティング方法。
【請求項28】
前記層流を形成する段階は、前記ノズル部周辺に空気を送風して強制的な気流を生成することを特徴とする請求項24に記載の液体コーティング方法。
【請求項29】
前記層流を形成する段階は、前記ノズル部の外形に沿って空気が流れるように空気を傾けて送風することを特徴とする請求項28に記載の液体コーティング方法。
【請求項30】
吸入または送風のための少なくとも一つの空気ホールを前記ノズル部周辺に形成し、前記少なくとも一つの空気ホールは前記ノズル部の進行方向に対して45〜135度の角度範囲に分布させることを特徴とする請求項24に記載の液体コーティング方法。
【請求項31】
ノズル部の周辺を覆い、前記ノズルの周辺に層流を形成するカバーと、
前記カバーに形成され、前記層流の形成のために、前記ノズル部の周辺に強制的な空気の流れを生成する少なくとも一つの空気ホールと、を含むことを特徴とする層流形成部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−253145(P2007−253145A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314727(P2006−314727)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】