説明

液体吐出装置

【課題】キャッピングされた状態においてノズル内の液体の乾燥を好適に抑制可能な液体
吐出装置を提供すること。
【解決手段】描画動作の開始終了時や、その最中において周期的に予備吐出を行う液体吐
出装置において、予備吐出の履歴が履歴パラメータによって管理される。履歴パラメータ
が所定値に達すると、液体吐出装置は補充吐出(ステップS12)によってキャップ内に
インクを補充し、続くキャップ内吸引(ステップS13)によって、補充したインクと共
にキャップ内に蓄積されていた古いインクを効率的に排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置、ディスプレー製造装置、電極形成装置、バイオ
チップ製造装置など、ノズルから液体を吐出して描画等を行う液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出装置として、紙への印刷に適したインクジェットプリンタ(以下、プリ
ンタとする)が知られており、一般的には、液体(インク)を吐出するための微細なノズ
ルを備えるヘッドを、紙に対向した状態で移動可能に配した構成となっている。
【0003】
このようなプリンタでは、ノズル内のインクが乾燥すると正常な吐出が行えなくなるた
め、このような乾燥を抑え、あるいは乾燥した状態からの回復を図るための技術が重要と
なる。もとより、プリンタにはノズルの開口を封止(キャッピング)するためのキャップ
が設けられており、非動作時にはキャッピングを行うことで、ノズル内のインクの乾燥を
抑えることができるようになっている。
【0004】
また、描画動作の前後やその最中において紙面外にインクの吐出を行うことにより、ノ
ズル内において乾燥の進行した古いインクを新しいインクに置換し、吐出性能の回復、維
持を図るようにしたプリンタも広く知られている。このようなノズルメンテナンスのため
の吐出は予備吐出と呼ばれ、キャップに対して吐出されることが多い。
【0005】
従来、キャップ内にはインクを保持するための吸収体が設けられていて、吸収体中に保
持されるインクの水分により、キャッピングされた封止空間内が高湿に保たれるようにさ
れていた。しかしながら、上述のような予備吐出を伴うプリンタにあっては、予備吐出さ
れたインクが、キャッピング時におけるノズル内の乾燥を却って促進させてしまう場合が
ある。これは、予備吐出の履歴が進むと共に、インクの保湿成分(グリセリン等)がその
保持水分を失った状態で吸収体に蓄積されてゆき、キャッピングされた時にノズル内のイ
ンクから積極的に水分を奪うように作用するためである。
【0006】
このことに鑑みて、本願出願人は先に、内部にインクが残留しないようなキャップの構
造に係る発明について、出願を行っている(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−251828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係るキャップでは、上述したインク中の保湿成分による弊
害を抑えることはできるが、水分の保持機能も失われてしまい、長期間の放置下において
ノズル内の乾燥を十分に抑えることはできない。
【0009】
また、吸収体を残したままのキャップの構成で、キャップに連通する吸引手段を用いて
予備吐出されたインクの強制排出を試みるとしても、当該インクは既に水分を多く失って
高粘度化しているためほとんど排出させることができない。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、キャッピングされた状態にお
いてノズル内の液体の乾燥を好適に抑制可能な液体吐出装置を提供することを目的として
いる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液体吐出装置は、液体をノズルから吐出する吐出ヘッドと、前記ノズルの開口
を封止可能なキャップと、前記キャップ内に配設される吸収体と、前記キャップに対して
前記ノズルのメンテナンスのための予備吐出を実行させる予備吐出手段と、前記キャップ
から前記液体の吸引を行う吸引手段と、前記吸引に先立って、前記キャップに対して前記
液体を当該キャップ内に補充するための補充吐出を実行させる補充吐出手段と、を備える
ことを特徴とする。
【0012】
この発明の液体吐出装置によれば、新規の液体を吸収体に補充(補充吐出)した上で吸
引を行うようになっているため、予備吐出によって吸収体内に蓄積された古い(湿潤成分
が失われ、保湿成分を多く含む)液体を、新規の液体で洗い流して好適に排出させること
ができる。また、吸収体には、補充した液体の一部が保持される。かくして、ノズルの開
口がキャッピングされた状態において、予備吐出された古い液体がノズル内の乾燥を促す
ことがなく、また、吸収体中に保持される液体の湿潤成分によって、ノズル内の乾燥が好
適に抑えられる。
尚、液体の湿潤成分とは主溶媒成分のことを、液体の保湿成分とは当該湿潤成分を保持
する性質を有する添加成分のことを表している。
【0013】
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記補充吐出の吐出量は、前記予備吐出
により前記吸収体に含まれることになった前記液体中の保湿成分の量よりも多いことを特
徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、吸収体に蓄積された保湿成分を好適に排出させるこ
とができる。
【0014】
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記補充吐出手段は、主電源がオフされ
る直前のタイミングで、前記補充吐出を実行させることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、長期的な非動作状態が予想される状況に臨んで吸収
体中の保湿成分の排出が行われるので、ノズル内の乾燥を好適に抑えることができる。
【0015】
また好ましくは、複数の液体種に対応して、前記ノズルおよび前記キャップがそれぞれ
設けられた前記液体吐出装置において、前記補充吐出手段は、対応する液体種ごとに前記
補充吐出の吐出量を設定することを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、対応する液体種ごとに適量の液体を補充して、吸収
体中の保湿成分を効率的に洗い流すことができる。
【0016】
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記吸引手段は、前記補充吐出の後、所
定の待機時間の経過を待って前記吸引を行うことを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、補充吐出によってキャップ内に補充された液体と吸
収体中に蓄積された保湿成分とを馴染ませるための待機時間を経てから吸引が行われるの
で、吸収体中の当該保湿成分を効率的に排出させることができる。
【0017】
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記予備吐出に係る履歴を管理する履歴
管理手段を備え、前記補充吐出手段は、前記履歴に基づいた条件で、前記補充吐出を実行
させることを特徴とする。
予備吐出の履歴が進むと、吸収体には古い保湿成分が多く含まれることになり、キャッ
ピング時のノズル内の乾燥の促進を招いたり、当該保湿成分を洗い流すことが困難になっ
たりする。この発明の液体吐出装置によれば、予備吐出に係る履歴情報に基づいて、好適
な条件で保湿成分を排出させることができる。
【0018】
また好ましくは、前記履歴管理手段を備える前記液体吐出装置において、前記補充吐出
手段は、前記履歴に基づいた吐出量で、前記補充吐出を実行させることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、吸収体に蓄積されている保湿成分の量に応じた適量
の液体を補充して当該保湿成分を効率的に洗い流すことができる。
【0019】
また好ましくは、前記補充吐出手段は、前記履歴に基づいたタイミングで、前記補充吐
出を実行させることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、予備吐出の履歴を反映した適切なタイミングで液体
の補充を伴う吸引を行うことにより、吸収体中の保湿成分を効率的に排出させることがで
きる。
【0020】
また好ましくは、前記履歴管理手段を備える前記液体吐出装置において、前記履歴管理
手段は、前記予備吐出の累積吐出量に係る情報を管理することを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、吸収体に蓄積された保湿成分の状態を好適に反映し
た履歴情報に基づいて、吸収体中の保湿成分を効率的に排出させることができる。
【0021】
また好ましくは、前記履歴管理手段を備える前記液体吐出装置において、前記履歴管理
手段は、描画動作の累積時間を管理することを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、吸収体に蓄積された保湿成分の状態を好適に反映し
た履歴情報に基づいて、吸収体中の保湿成分を効率的に排出させることができる。
【0022】
また好ましくは、前記液体吐出装置は、前記予備吐出により前記吸収体に含まれること
になった前記液体について、当該液体の乾燥履歴を管理する乾燥履歴管理手段を備え、前
記補充吐出手段は、前記乾燥履歴に基づいた吐出量で、前記補充吐出を実行させることを
特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、吸収体に蓄積された液体の乾燥状態を勘案した適切
な吐出量で補充吐出を行うことで、当該液体に含まれる保湿成分を効率的に排出させるこ
とができる。
【0023】
また好ましくは、前記液体吐出装置は、環境温度を検知する温度検知手段を備え、前記
補充吐出手段は、前記環境温度に基づいた吐出量で、前記補充吐出を実行させることを特
徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、環境温度による液体の粘度変化を勘案した適切な吐
出量で補充吐出を行うことで、吸収体中の保湿成分を効率的に排出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好まし
い種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定
する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、以下の説明で参
照する図では、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるよう
に表す場合がある。
【0025】
(液体吐出装置の構成)
(第1実施形態)
まずは、図1、図2、図3を参照して液体吐出装置の構成について説明する。
図1は、液体吐出装置の全体構成を示す概略斜視図である。図2は、キャップの周辺構
成を示す一部破断の側面図である。図3は、液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図
である。
【0026】
図1において、液体吐出装置としてのプリンタ1は、スチール板等で形成されたガイド
フレーム3と、用紙2を搬送する搬送ローラ4と、微小なノズルが並設されたノズル面1
0aを有する吐出ヘッド10と、吐出ヘッド10のノズルメンテナンスを行うためのメン
テナンスユニット5と、を備えている。吐出ヘッド10は、キャリッジ6に搭載されて、
ガイドロッド8に沿って往復動(走査)されるようになっている。ガイドフレーム3は、
その剛性と重量によって装置全体の土台をなすと共に、電気的なアースとしての機能も果
たしている。
【0027】
キャリッジ6には、液体としての4色の着色インク(インク)をそれぞれ収容するイン
クカートリッジ7a〜7dが搭載されており、吐出ヘッド10にはこれら各色の着色イン
クがそれぞれ供給される。そして、キャリッジ6の走査および用紙2の搬送に同期して吐
出ヘッド10のノズル毎の吐出制御が行われ(描画動作)、液滴化されたインクによって
用紙2上に画像等が形成される。
【0028】
メンテナンスユニット5は、吐出ヘッド10のノズル面10aに密着してノズルの開口
を封止(キャッピング)可能なキャップ11と、ゴム等で形成された板状部材であるワイ
パブレード12とを備えている。キャップ11は、ノズルを粉塵や乾燥などから保護する
役割を果たすほか、後述するノズルメンテナンス動作の際にも用いられる。また、ワイパ
ブレード12は、ノズル面10aに付着したインクを払拭するのに用いられる。
【0029】
図2において、吐出ヘッド10は、対応するインク種ごとにノズル面10aにライン状
に並設されたノズル21と、各ノズル21と連通する圧力発生室22とを備えている。圧
力発生室22の壁面の一部は圧電素子等により変形するようになっており、当該圧電素子
の駆動により圧力発生室22に圧力を発生させることで、インクの吐出が行われる。
【0030】
キャップ11は、吐出ヘッド10と対向する側に開口を有する箱型の部材である。キャ
ップ11は、その開口縁部11aにおいて弾性を有しており、当該開口縁部11aをノズ
ル面10aに密着させることでノズル21の開口を封止(キャッピング)することができ
る。また、キャップ11内には、スポンジや不織布などで形成された吸収体13が配設さ
れている。これは、吸収体13の持つインクの保持機能により、キャッピングの状態にお
いてキャップ11内を高湿に保つためのものである。
【0031】
キャップ11は、図示しないスライダー機構によって保持されており、吐出ヘッド10
の走査方向への移動に連動して上下方向(ノズル面10aに対する遠近方向)に移動する
。かくして、吐出ヘッド10の走査制御により、キャッピングおよびその解除を自在に行
うことができる。
【0032】
キャップ11の底部には連通管11bが形成されており、連通管11bは連通チューブ
14の一端と接続されている。連通チューブ14は、キャップ11がスライダー機構によ
って移動可能に構成されることに鑑みて、適度な可撓性を有していることが好ましい。ま
た、キャッピングされた状態において、キャップ11内の封止空間と連通される空間を形
成することに鑑みて、壁面からの蒸気透過が起こりにくい材質であることが好ましい。
【0033】
連通チューブ14の他端は、吸引手段としての吸引ポンプ15(模式化して図示)と接
続されている。吸引ポンプ15には、小型で効率の良いチューブポンプなどが好適に用い
られる。吸引ポンプ15は、キャッピング状態でノズル21内からインクを吸引する(ノ
ズル内吸引)ほか、キャッピングしない状態でキャップ11内に溜まったインクを吸引す
る(キャップ内吸引)ことができる。吸引されたインクは、吸引ポンプ15の排出口と連
通する廃液チューブ16を通って、廃液タンク17内に収容される。
【0034】
ノズル内吸引は、ノズル21内のインクが乾燥して、固化もしくは吐出がほとんど不能
なほどに高粘度化した場合に、乾燥したインクを強制的に排出して吐出性能の回復を図る
目的で実行される。また、キャップ内吸引は、ノズル内吸引によりキャップ11内に排出
されたインクを回収したり、予備吐出(詳しくは後述する)により吐出されたインクを回
収したりする目的で実行される。
【0035】
図3において、プリンタ1は、動作に係る各種制御を行う制御部120を備えている。
制御部120は、外部インターフェース(I/F)121を介してホストコンピュータ1
19と接続されている。また、内部I/F122を介して、吐出ヘッド10の吐出駆動回
路131、キャリッジ6(図1参照)の走査駆動を行うための走査モータ104、搬送ロ
ーラ4(図1参照)駆動用の搬送モータ105、吸引ポンプ15(図2参照)駆動用のポ
ンプモータ106と接続されている。
【0036】
制御部120は、CPU123と、CPU123のワークメモリや吐出制御に係るデー
タのバッファメモリとして機能するRAM124と、各種制御情報を記憶するROM12
5と、クロック信号(CK)を生成する発信回路126と、駆動信号(COM)を生成す
る駆動信号生成回路127と、を備えている。尚、ROM125は、EEPROMのよう
な書き換え可能なものとすることもできる。
【0037】
吐出駆動回路131は、シフトレジスタ132からなるシフトレジスタ回路と、ラッチ
回路133と、レベルシフタ134と、スイッチ135とを備え、圧電素子136の個々
に選択的に駆動信号(COM)を印加できるように構成されている。尚、駆動信号(CO
M)は、充放電のパルスの組み合わせにより構成されている。
【0038】
印刷動作は、用紙2(図1参照)におけるインク滴の配置を表したいわゆるビットマッ
プ形式の描画パターンデータを、ホストコンピュータ119から制御部120に伝送する
ことで実行される。このとき制御部120は、描画パターンデータをデコードしてノズル
毎のON/OFF情報であるノズルデータを生成する。
【0039】
ノズルデータをシリアル信号化したノズルデータ信号(SI)は、クロック信号(CK
)に同期してシフトレジスタ回路に伝送され、ノズル毎のON/OFF情報がそれぞれシ
フトレジスタ132に記憶される。そして、ラッチ信号(LAT)によりラッチ回路13
3でラッチされた「ON」情報に係るノズルデータは、レベルシフタ134で所定の電圧
信号に変換されてスイッチ135に供給される。
【0040】
かくして、「ON」に対応する圧電素子136に駆動信号(COM)が印加され、ノズ
ルからインクが吐出される。このような描画パターンデータに基づく吐出制御(描画制御
)は、吐出ヘッド10の走査位置に同期して周期的に行われる。
【0041】
制御部120は、描画制御の処理に割り込ませるかたちで、対応するノズルデータ信号
(SI)や駆動信号(COM)等を発生させて、予備吐出や補充吐出を実行させることも
できる。すなわち、制御部120は、本発明の予備吐出手段および補充吐出手段としての
機能を有している。
【0042】
ここで、予備吐出とは、ノズルメンテナンスを目的として描画動作の前後やその最中に
キャップ11に対して行われる吐出のことであり、ノズル内の古いインクを新しいインク
に置換して吐出性能の回復、維持を図ったり、吸収体13(図2参照)に水分を与えてキ
ャッピング時の保湿性を向上させる目的で実行される。
【0043】
また、補充吐出とは、キャップ内吸引に先立って吸収体13(図2参照)にインクを補
充するために実行される吐出のことである。補充吐出は、予備吐出と同様、キャップ11
(図2参照)に対して行われる吐出であるが、常にキャップ内吸引と共に実行されるもの
であり、また一動作あたりの吐出量は予備吐出の数倍ないし数十倍程度となっている。
【0044】
(液体吐出装置のノズルメンテナンス)
次に、図2、図3を参照しながら、図4、図5のフローチャートに沿って液体吐出装置
のノズルメンテナンスについて説明する。
図4は、描画動作に係る処理を示すフローチャートである。図5は、主電源のオフ時の
ノズルメンテナンスに係る処理を示すフローチャートである。
【0045】
プリンタ1は、非動作時において、ノズル21の開口がキャッピングされた状態(キャ
ッピング状態)となっている。そして、ホストコンピュータ119から描画命令を受ける
と、プリンタ1は、図4に示すフローチャートに沿って処理を実行する。
【0046】
制御部120は、まず走査モータ104の駆動によりキャッピングを解除し(ステップ
S1)、次いでキャップ11に対する予備吐出を実行させると共に(ステップS2)、履
歴パラメータの更新(ステップS3)、および周期タイマの初期化(ステップS4)を行
う。
【0047】
ステップS2における予備吐出動作は、キャッピング状態の間に乾燥が進行したインク
をノズル21内から排出し、吐出性能の回復を図る目的で実行されるものである。尚、イ
ンクの種類によってはこのような予備吐出を行わないようにすることもできるし、直近の
描画動作からの経過時間を参照して、予備吐出の実行の要否を判断するようにすることも
できる。
【0048】
ステップS3における履歴パラメータとは、予備吐出の履歴をパラメータ化したもので
あり、具体的には、予備吐出動作毎の吐出量を積算した累積吐出量を表している。この履
歴パラメータは、吐出したインク滴の数、消費したインク量に相当する値とすることがで
きるほか、予備吐出の回数(吐出駆動回数、動作回数)に対応する値とすることもできる
。またこの場合において、1ノズル単位、1インク種単位、全ノズル単位のいずれに相当
する値としてもよい。このように、制御部120は、履歴パラメータによって予備吐出の
履歴を管理する履歴管理手段としての機能を有している。
【0049】
ステップS4における周期タイマは、描画動作中に定期的に実行する予備吐出動作(ス
テップS9)の実行タイミングを規定するためのタイマである。図4のフローチャートが
示すように、周期タイマは予備吐出(ステップS2およびステップS9)の直後を起算時
としてカウントされる。
【0050】
ステップS4の後、制御部120は、一走査分の描画制御を行い(ステップS5)、次
いで未処理の描画パターンデータが残っているか否かの判断を行う(ステップS6)。
【0051】
ステップS6において描画パターンデータが残っていないと判断される場合は、制御部
120は、描画動作の終了のためのノズルメンテナンス処理(ステップS15〜S17)
を行う。すなわち、キャップ11内への予備吐出(ステップS15)、および履歴パラメ
ータの更新(ステップS16)がなされた後、キャッピング(ステップS17)によって
ノズル21の保護が図られる。
【0052】
ステップS15における予備吐出は、キャップ11内の吸収体13を保湿させる目的で
実行されるものである。これにより、キャッピング状態において封止空間内は高湿状態に
保たれ、ノズル21内のインクの乾燥が好適に抑えられる。
【0053】
ステップS6において描画パターンデータが残っていると判断される場合は、制御部1
20は、周期タイマの値が所定値以上であるか否かの判断を行う(ステップS7)。
【0054】
ステップS7において周期タイマの値が所定値未満と判断される場合は、上述のステッ
プS5の処理に戻って上述の処理が繰り返される。すなわち、走査単位での描画制御(ス
テップS5)は、周期タイマの値が所定値に達するまで複数回繰り返される。
【0055】
ステップS7において周期タイマの値が所定値以上と判断される場合には、制御部12
0は、履歴パラメータが所定値未満であるか否かの判断を行う(ステップS8)。
【0056】
ステップS8において履歴パラメータが所定値未満であると判断される場合は、制御部
120は、描画動作中における吐出性能維持のためのノズルメンテナンス処理(ステップ
S9〜S11)を行う。すなわち、キャップ11内への予備吐出(ステップS9)と共に
、周期タイマの初期化(ステップS10)および履歴パラメータ更新(ステップS11)
が行われる。
【0057】
ステップS9における予備吐出は、描画動作中に乾燥の進行したノズル21内の古いイ
ンクを新しいインクに強制置換する目的で実行させるものである。これにより、描画パタ
ーンデータに基づいた吐出の有無に関わらず最低限度のインクの吐出が確保され、描画動
作中における吐出性能が好適に維持される。
【0058】
ステップS11の後は、再びステップS5の処理に戻って上述の処理が繰り返される。
このように、予備吐出(ステップS9)は、描画動作中において周期的なタイミングで間
欠的に行われる。
【0059】
ステップS8において履歴パラメータが所定値以上と判断された場合は、制御部120
は、吸収体13に蓄積されたインクを強制排出するための処理を行う。すなわち、キャッ
プ11内への補充吐出(ステップS12)とキャップ内吸引(ステップS13)とが連続
して行われる。尚、ここで「連続して行われる」という表現を用いたが、これは二つの動
作が一体に実行されるという意味で使用したもので、実際上は、キャップ内吸引(ステッ
プS13)は、補充吐出(ステップS12)後、所定の待機時間の経過を待って実行され
る。
【0060】
予備吐出(ステップS2,S9,S15)が間欠的に実行され、履歴パラメータの値が
上昇した状態にあっては、予備吐出によって吸収体13に含まれることになったインクは
多くの水分を失って高粘度化した状態にある。そしてこのような水分を失った古いインク
は、当該インク中の保湿成分(グリセリン等)の働きにより、キャッピング状態において
ノズル21内の乾燥を促す働きをする。ステップS13のキャップ内吸引は、このような
悪影響を及ぼす古いインクを強制的に排出させる目的で行われるものである。
【0061】
高粘度化した古いインクは流動性の低下により排出が困難であるが、本実施形態では、
補充吐出(ステップS12)によって吸収体13に相当量のインクを補充した上でキャッ
プ内吸引(ステップS13)を行うことにより、当該古いインクの排出性を高めている。
吸収体13に蓄積された古いインクは、補充吐出した新しいインクによって洗い流される
ことで、好適に排出されるからである。尚、補充吐出(ステップS12)とキャップ内吸
引(ステップS13)との間に待機時間を設けたのは、高粘度化した古いインクと補充吐
出による新しいインクとを馴染ませて、当該古いインクの排出性をより高めるための配慮
である。
【0062】
また、補充吐出された新しいインクは、キャップ内吸引(ステップS13)後、その一
部が吸収体13に保持されて、キャッピングされた封止空間内を高湿状態に維持する役割
を果たす。
【0063】
補充吐出(ステップS12)によるインクの吐出量は、吸収体13に蓄積されているイ
ンク中の保湿成分量よりも多い量とすることが好ましく、より好ましくは、当該保湿成分
量の2〜3倍(重量比)程度の吐出量である。尚、本実施形態では、保湿成分を10〜2
0重量%含むインク(インク種によって含有比率が異なる)が用いられており、キャップ
11内に予備吐出されたインク総量の50%相当のインクが補充吐出(ステップS12)
されるようになっている。
【0064】
補充吐出(ステップS12)、キャップ内吸引(ステップS13)により、吸収体13
内に蓄積されていた古いインクのほとんどは排出されるため、履歴パラメータは続くステ
ップS14において初期化される。履歴パラメータは、予備吐出によって吸収体13内に
蓄積されてゆくインク量の指標となるものだからである。また、同様の理由から、履歴パ
ラメータの初期化は、ノズル21内方の固化インクや気泡の除去のためにノズル吸引動作
が実行された場合にも行われる。
【0065】
ステップS14の後は、再びステップS5に戻って上述の処理が繰り返される。すなわ
ち、予備吐出されたインクのキャップ11からの強制排出(ステップS12,S13)は
、履歴パラメータが所定値に到達したタイミングで、定期的に実行される。
【0066】
古いインクの強制排出(ステップS12,S13)を履歴パラメータを参照して定期的
に行うようにしたのは、当該古いインクの排出の効率化を図るためである。すなわち、吸
収体13に古いインクがあまりにも多く蓄積されてしまうと、このインクを排出させるた
めに著しく多量のインクの補充が必要になったり、また、十分な排出ができなくなってし
まったりするからである。
【0067】
描画動作を終えたプリンタ1は、非動作状態のままホストコンピュータ119等からの
命令を待ち、再び新たな描画命令を受けた場合には、上述のステップS1〜S17の処理
が行われる。この場合において、履歴パラメータは、前回の描画動作が終了した時点の値
が引き続き使用される。
【0068】
一方、プリンタ1の主電源スイッチをオフする操作が、図示しないハードウェアスイッ
チによって行われた場合には、プリンタ1は、図5に示すフローチャートに沿って処理を
実行する。
【0069】
制御部120は、まず走査モータ104の駆動によりキャッピングを解除する(ステッ
プS21)。次いで履歴パラメータを取得して(ステップS22)、取得した履歴パラメ
ータに基づいて次に行う補充吐出の吐出量の設定を行う(ステップS23)。そして、設
定した吐出量の下で補充吐出(ステップS24)とそれに続くキャップ内吸引(ステップ
S25)を実行させ、履歴パラメータを初期化して(ステップS26)、キャッピングを
行う(ステップS27)。
【0070】
このように、主電源がオフされる際には、その時点での履歴パラメータの値に関係無く
、補充吐出(ステップS24)とキャップ内吸引(ステップS25)とを組み合わせたイ
ンクの排出動作が実行される。主電源がオフされる場合は、その後においてプリンタ1が
長期にわたって動作しないケースが想定されるため、吸収体13内に蓄積された古いイン
クを排出させて、ノズル21内の好適な乾燥防止を図ろうとするものである。
【0071】
また、ステップS24における補充吐出は、履歴パラメータを参照して設定された吐出
量に基づいて実行される。これは、吸収体13に蓄積されている古いインクの量に応じて
、当該古いインクの洗い流しに必要十分なインクを補充するようにすることで、補充吐出
(ステップS24)で無用のインクが浪費されないように配慮したものである。また、補
充吐出(ステップS24)の吐出量に応じて、キャップ内吸引(ステップS25)に係る
ポンプモータ106の駆動量も可変するように、その適性化が図られている。
【0072】
(変形例1)
次に、変形例1について、図6のフローチャートに沿って、先の実施形態との相違点を
中心に説明する。
図6は、変形例1における描画動作に係る処理を示すフローチャートである。
【0073】
変形例1における予備吐出に係る処理(ステップS33,S34,S37,S39,S
40,S44)や描画制御(ステップS35)、描画動作の終了判断の処理(ステップS
36)については、先の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0074】
変形例1では、補充吐出(ステップS41)およびキャップ内吸引(ステップS42)
の実行判断(ステップS38)は、履歴タイマに基づいて行われるようになっている。履
歴タイマは、描画動作の累積時間を計上するタイマであり、描画動作に係る予備吐出(ス
テップS33,S39,S44)が概ね周期的に実行されることから、予備吐出に係る履
歴を間接的に管理する手段としてカウントされるものである。この変形例1のように、予
備吐出に係る履歴は、関連する時間等によって間接的に管理することも可能である。
【0075】
履歴タイマは、具体的には、キャッピング解除(ステップS31)直後にカウントを開
始し(ステップS32)、キャッピング(ステップS46)直前にカウントを終了する(
ステップS45)。また、履歴タイマは、一の描画動作が終了した後においても維持され
るが、キャップ内吸引(ステップS42)が行われた際や、ノズル吸引動作が行われた際
に初期化される(ステップS43)。
【0076】
(変形例2)
次に、変形例2について、先の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0077】
この変形例2においては、インク種毎に対応してノズルをキャッピングするキャップが
独立または分割して設けられており、インク種毎に予備吐出や補充吐出、キャップ内吸引
を行うようになっている。この場合において、補充吐出における吐出量は、対応するイン
ク種ごとに設定される。これは、対応するインク種によって含まれる保湿成分量等が異な
り、吸収体からの洗い流しに要する補充インクの適正量に差が生じるため、その適正化を
図ることで補充吐出における無用なインクの消費を抑えるようにしたものである。尚、こ
の場合において、予備吐出の履歴を示す履歴パラメータはインク種ごとにカウントするよ
うにしてもよい。
【0078】
また、古いインクの洗い流しに要する補充インクの適正量は、保湿成分以外の成分(色
材など)の影響も受けるため、このような点にも配慮して適性化がなされることが好まし
い。例えば、顔料系のインクは、染料系のインクに比べて水分を失った際の流動性におい
て劣るため、顔料系のインクに対応するキャップに対して行う補充吐出の吐出量は、染料
系のインクに対応するキャップに対して行う補充吐出の吐出量よりも多く設定される。
【0079】
(第2実施形態)
次に、図2、図7、図8を参照して、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と
の相違点を中心に説明する。
図7は、第2実施形態における液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図である。図
8は、第2実施形態における描画動作に係る処理を示すフローチャートである。
【0080】
図7において、プリンタ1は、温度検知手段としてのサーミスタ140を吐出ヘッド1
0に備えており、周囲の環境温度を検知して、検知した環境温度に基づいた動作制御(詳
しくは後述する)を制御部120により行うことができる。このプリンタ1は、ホストコ
ンピュータ119から描画命令を受けて、図8に示すフローチャートに沿って描画動作に
係る処理を行う。
【0081】
すなわち、プリンタ1は、キャッピングを解除(ステップS31)して、キャップ11
に対してノズルメンテナンス(キャッピング間において高粘度化したインクの排出)を目
的とした予備吐出を行うと共に(ステップS32)、履歴パラメータAの更新を行う(ス
テップS33)。ここで、履歴パラメータAとは、予備吐出の累積吐出量に係るパラメー
タであって、第1実施形態における履歴パラメータと全く同じものである。
【0082】
ステップS33の後、プリンタ1は必要な描画制御を行い(ステップS34)、予備吐
出が必要なタイミング(第1実施形態において周期タイマが所定値に達するタイミングに
相当する)に達したか否かの判断を行う(ステップS35)。ここで、予備吐出が必要な
タイミングに達していればステップS36に移行する。また、予備吐出が必要なタイミン
グに達していなければステップS41に移行して、描画パターンデータが残っているか否
かの判断がなされる。
【0083】
ステップS41において、描画パターンデータが残っていると判断されれば、再びステ
ップS34に戻って上述のフローが繰り返される。また、描画パターンデータが残ってい
ないと判断されれば、プリンタ1は、ノズルメンテナンス(キャッピング時におけるキャ
ップ11内の保湿)を目的とした予備吐出(ステップS47)、および履歴パラメータA
の更新(ステップS48)を行い、キャッピング(ステップS49)により一連のフロー
を終了する。
【0084】
ステップS36では、履歴パラメータAが所定値未満か否かの判断がなされる。ステッ
プS36において履歴パラメータが所定値未満と判断された場合、プリンタ1は、ノズル
メンテナンス(描画動作中において高粘度化したインクの排出)を目的とした予備吐出動
作(ステップS37)を行い、履歴パラメータAを更新(ステップS38)する。またさ
らに、サーミスタ140により環境温度を検知して(ステップS39)、その検知した環
境温度に基づいて履歴パラメータBの更新を行う(ステップS40)。
【0085】
ステップS40の後はステップS41の処理に移行する。かくして、描画パターンデー
タが残っている限りにおいて、履歴パラメータAが所定値に達するまで、定期的に予備吐
出動作(ステップS37)が繰り返されることになる。これに伴い、キャップ11の吸収
体13内には予備吐出されたインクが蓄積されてゆき、また、予備吐出に係る累積吐出量
を示す履歴パラメータAの値が大きくなってゆく。
【0086】
ここで、ステップS40に係る履歴パラメータBとは、予備吐出によって吸収体13内
に蓄積されることになったインクの乾燥履歴を司るパラメータであり、本実施形態では、
当該インク中の水分の累積蒸発量の推定値を反映したパラメータとなっている。より具体
的には、サーミスタ140が検知(ステップS39)した環境温度に応じた所定の速度で
吸収体13から水分蒸発が起こると仮定して、予備吐出(ステップS37)の実行タイミ
ング毎にその累積蒸発量を制御部120が算出(更新)している。すなわち、サーミスタ
140と制御部120とは、本発明の乾燥履歴管理手段を構成している。
【0087】
履歴パラメータBの算出の基礎となる水分の蒸発速度は、環境温度の他、キャップ11
の開口面積や吸収体13の種類(材質、発泡密度等)などによっても変化する値である。
このため、制御部120は、あらかじめ実験により得られている当該蒸発速度のデータを
ROM125(図3参照)から読み出して、履歴パラメータBの算出を行うようになって
いる。
【0088】
ステップS36において、履歴パラメータAが所定値以上である場合は、プリンタ1は
、予備吐出により吸収体11に蓄積されることになった古いインクを強制排出するための
処理(ステップS42〜S46)を行う。具体的には以下のように処理が行われる。
【0089】
すなわち、サーミスタ140により環境温度の検知を行い(ステップS42)、検知さ
れた環境温度および履歴パラメータBに基づいて、この後実行されるステップS44〜S
45の動作条件(吐出量等)の設定を行う(ステップS43)。そして、設定した動作条
件下で、補充吐出(ステップS44)を行い、待機時間の経過を待ってキャップ内吸引(
ステップS45)を行うことで、吸収体13に蓄積されていた古いインクを排出させる。
これにより、吸収体13中のインクの状態が初期化されるため、当該インクの状態を反映
する履歴パラメータA、Bについても初期化を行い(ステップS46)、ステップS41
の処理に移行する。
【0090】
ステップS43では、環境温度と履歴パラメータBに基づいて、補充吐出(ステップS
44)の吐出量、補充吐出後の待機時間、キャップ内吸引(ステップS45)におけるポ
ンプモータ106の駆動量の設定を行うようになっている。具体的には、環境温度が低い
ほど、また履歴パラメータBの値が大きいほど(累積蒸発量が多いほど)、多くの吐出量
で補充吐出(ステップS44)を行い、長めの待機時間を経て、駆動量を多くしてキャッ
プ内吸引(ステップS45)を行う。これは、低温になるほどインク(補充吐出に係るイ
ンクも含む)の粘度が上昇し、また吸収体13におけるインクの乾燥が進むほど当該イン
クの粘度(インク中に占める保湿成分の濃度)が上昇して、吸収体13からのインクの排
出が困難になることに鑑みたものである。
【0091】
このように、第2実施形態におけるプリンタ1によれば、環境温度や吸収体13におけ
るインクの乾燥履歴(履歴パラメータB)に基づいて、より精細な動作条件の下で補充吐
出やキャップ内吸引が実行されるので、吸収体13に蓄積された古いインクが効率的に排
出され、キャッピング時におけるノズル内の乾燥が好適に抑えられる。
【0092】
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、本発明は予備吐出の履歴があることが前提となるが、予備吐出の実行に係る態
様は上述の実施形態に限定されるものではなく、ノズルメンテナンスの目的を有する限り
において様々な条件の変更および付加が可能である。
また、補充吐出とキャップ内吸引の実行タイミングや、その判断条件などについても、
本発明の趣旨を変えない範囲で自由な変更が可能である。
また、吸収体中の液体の乾燥履歴に関しては、描画動作中の蒸発のみならず、キャッピ
ング中の蒸発についても考慮してその値を算出するようにすることもできる。また、環境
温度以外に、湿度の履歴によって乾燥履歴を管理するようにすることもできる。
また、本発明は工業用途で使用される描画装置にも適用することができ、この場合にお
いて、液体の湿潤成分には水だけでなく有機溶媒を含むこともできる。
また、各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他
の構成と組み合わせたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】液体吐出装置の全体構成を示す概略斜視図。
【図2】キャップの周辺構成を示す一部破断の側面図。
【図3】液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図。
【図4】描画動作に係る処理を示すフローチャート。
【図5】主電源のオフ時のノズルメンテナンスに係る処理を示すフローチャート。
【図6】変形例1における描画動作に係る処理を示すフローチャート。
【図7】第2実施形態における液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図。
【図8】第2実施形態における描画動作に係る処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0094】
1…液体吐出装置としてのプリンタ、5…メンテナンスユニット、10…吐出ヘッド、
10a…ノズル面、11…キャップ、12…ワイパブレード、13…吸収体、14…連通
チューブ、15…吸引手段としての吸引ポンプ、16…廃液チューブ、17…廃液タンク
、21…ノズル、22…圧力発生室、119…ホストコンピュータ、106…ポンプモー
タ、120…予備吐出手段および補充吐出手段および履歴管理手段および乾燥履歴管理手
段の構成要素としての制御部。140…温度検知手段および乾燥履歴管理手段の構成要素
としてのサーミスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体をノズルから吐出する吐出ヘッドと、
前記ノズルの開口を封止可能なキャップと、
前記キャップ内に配設される吸収体と、
前記キャップに対して前記ノズルのメンテナンスのための予備吐出を実行させる予備吐
出手段と、
前記キャップから前記液体の吸引を行う吸引手段と、
前記吸引に先立って、前記キャップに対して前記液体を当該キャップ内に補充するため
の補充吐出を実行させる補充吐出手段と、を備える液体吐出装置。
【請求項2】
前記補充吐出の吐出量は、前記予備吐出により前記吸収体に含まれることになった前記
液体中の保湿成分の量よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記補充吐出手段は、主電源がオフされる直前のタイミングで、前記補充吐出を実行さ
せることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
複数の液体種に対応して、前記ノズルおよび前記キャップがそれぞれ設けられた請求項
1ないし3のいずれか一項に記載の液体吐出装置であって、
前記補充吐出手段は、対応する液体種ごとに前記補充吐出の吐出量を設定することを特
徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
前記吸引手段は、前記補充吐出の後、所定の待機時間の経過を待って前記吸引を行うこ
とを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記予備吐出に係る履歴を管理する履歴管理手段を備え、
前記補充吐出手段は、前記履歴に基づいた条件で、前記補充吐出を実行させることを特
徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記補充吐出手段は、前記履歴に基づいた吐出量で、前記補充吐出を実行させることを
特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記補充吐出手段は、前記履歴に基づいたタイミングで、前記補充吐出を実行させるこ
とを特徴とする請求項6または7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記履歴管理手段は、前記予備吐出の累積吐出量に係る情報を管理することを特徴とす
る請求項6ないし8のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記履歴管理手段は、描画動作の累積時間を管理することを特徴とする請求項5ないし
7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記予備吐出により前記吸収体に含まれることになった前記液体について、当該液体の
乾燥履歴を管理する乾燥履歴管理手段を備え、
前記補充吐出手段は、前記乾燥履歴に基づいた吐出量で、前記補充吐出を実行させるこ
とを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
環境温度を検知する温度検知手段を備え、
前記補充吐出手段は、前記環境温度に基づいた吐出量で、前記補充吐出を実行させるこ
とを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−230204(P2007−230204A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102945(P2006−102945)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】