説明

液体噴射ヘッドおよびプリンタ

【課題】ノズル孔が高密度に配置された液体噴射ヘッドおよびこれを有するプリンタを提供する。
【解決手段】本発明に係る液体噴射ヘッド1000は、第1基板10と、第1基板の上方に形成された第2基板20と、第2基板に形成された複数の圧力室26と、第2基板に形成され、各圧力室にインクを貯留するためのリザーバ22と、圧力室の上方に形成された振動板30と、振動板の上方であって、各圧力室に対応する位置に形成された圧電素子40と、圧電素子と電気的に接続された内部配線70と、ノズル孔52を有するノズルプレート部材50と、を含み、圧力室は、該圧力室の水平方向の一端においてリザーバと連通し、該圧力室の水平方向の他端においてノズル孔と連通している、ユニットヘッド100を複数含み、複数のユニットヘッドは、上下方向に積層され、各ユニットヘッドは、平面視において、それぞれ重なっていない配線接続領域80を有し、内部配線と外部配線とが、配線接続領域で電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッドおよびプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとして、例えばインクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドが知られている。インクジェットヘッドは、一般的に、インク滴を吐出するためのノズル孔が形成されたノズルプレートと、ノズル孔に連通する圧力室を有するキャビティプレートと、を備え、駆動部により圧力室に圧力を加えることにより、インク滴をノズル孔から吐出する。このようなインクジェットヘッドでは、印刷速度の高速化を目的として、ノズル孔を高密度に配置することが求められている。
【0003】
従来のインクジェットヘッドは、例えば、特許文献1に示すように、ノズルプレートの厚さ方向と、キャビティプレートの厚さ方向とが、同一の方向であり、キャビティプレートの厚さ方向にインク滴を吐出していた。
【特許文献1】特開2007−38570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ノズル孔が高密度に配置された液体噴射ヘッドおよびこれを有するプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る液体噴射ヘッドは、
第1基板と、
前記第1基板の上方に形成された第2基板と、
前記第2基板に形成された複数の圧力室と、
前記第2基板に形成され、各前記圧力室にインクを貯留するためのリザーバと、
前記圧力室の上方に形成された振動板と、
前記振動板の上方であって、各前記圧力室に対応する位置に形成された圧電素子と、
前記圧電素子と電気的に接続された内部配線と、
ノズル孔を有するノズルプレート部材と、を含み、
前記圧力室は、該圧力室の水平方向の一端において前記リザーバと連通し、該圧力室の水平方向の他端において前記ノズル孔と連通している、ユニットヘッドを複数含み、
複数の前記ユニットヘッドは、上下方向に積層され、
各前記ユニットヘッドは、平面視において、それぞれ重なっていない配線接続領域を有し、
前記内部配線と外部配線とが、前記配線接続領域で電気的に接続されている。
【0006】
本発明に係る液体噴射ヘッドは、後述するようにノズル孔が高密度に配置されることができる。
【0007】
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。
【0008】
また、本発明に係る記載では、「電気的に接続」という文言を、例えば、「特定の部材(以下「C部材」という)に「電気的に接続」された他の特定の部材(以下「D部材」という)」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、C部材とD部材とが、直接接して電気的に接続されているような場合と、C部材とD部材とが、他の部材を介して電気的に接続されているような場合とが含まれるものとして、「電気的に接続」という文言を用いている。
【0009】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記配線接続領域は、前記第1基板に設けられていることができる。
【0010】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記配線接続領域は、前記第2基板に設けられていることができる。
【0011】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
さらに、前記圧電素子を制御する駆動ICを有することができる。
【0012】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
さらに、前記ユニットヘッドと接合されている第3基板を有し、
前記駆動ICは、前記第3基板に形成されることができる。
【0013】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第3基板は、前記ユニットヘッドの前記配線接続領域に接合されていることができる。
【0014】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記駆動ICは、前記第1基板または前記第2基板のいずれかに形成されることができる。
【0015】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記駆動ICは、前記第1基板の上面側に形成されることができる。
【0016】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記駆動ICは、前記第1基板の下面側に形成されることができる。
【0017】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
各前記ノズルプレート部材は、積層された前記ユニットヘッドの間で連続し、一体のノズルプレートを構成していることができる。
【0018】
本発明に係るライン型液体噴射ヘッドは、
本発明に係る液体噴射ヘッドを複数有することができる。
【0019】
本発明に係るプリンタは、
本発明に係る液体噴射ヘッドを有することができる。
【0020】
本発明に係るライン型プリンタは、
本発明に係るライン型液体噴射ヘッドを有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図中で示すX方向、Y方向、Z方向は、互いに直交している。
【0022】
1.液体噴射ヘッド
図1は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド1000を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド1000を模式的に示す断面図である。なお、図2は、図1で示した断面Sに相当する。図3は、液体噴射ヘッド1000を模式的に示す断面図であり、図2に示すA−A線の断面に相当する。図4は、液体噴射ヘッド1000を模式的に示す断面図であり、図3で示すB−B線の断面に相当する。なお、図3では、外部配線72は、省略した。
【0023】
液体噴射ヘッド1000は、図1および図2に示すように、ユニットヘッド100を複数有数する。複数のユニットヘッド100は、Y方向(上下方向)に積層される。なお、図1および図2において、ユニットヘッド100を3個示したが、その数は特に限定されない。またノズル孔52の数も、特に限定されない。
【0024】
(1)まず、ユニットヘッド100について説明する。
【0025】
図2に示すように、ユニットヘッド100は、第1基板10と、第2基板20と、振動板30と、圧電素子40と、ノズル孔52を有するノズルプレート部材50と、内部配線70と、配線接続領域80と、を有する。
【0026】
第1基板10としては、例えば、(100)単結晶シリコン基板を用いることができる。第1基板10は、第2基板20に形成されたリザーバ22、インク供給路24および圧力室26の一方を封止することができる。第1基板10のX方向(水平方向)の長さは、ユニットヘッド100ごとに異なっていることができる。
【0027】
第2基板20は、第1基板10上に形成される。第2基板20は、例えば、(110)単結晶シリコン基板であることができる。このため、第2基板20は、水酸化カリウム(KOH)による異方性エッチングにより、精度良く加工されることができる。第2基板20のX方向(水平方向)の長さは、ユニットヘッド100ごとに異なっていることができる。第2基板20は、リザーバ22と、インク供給路24と、圧力室26と、を有する。
【0028】
リザーバ22は、インク供給室(図示しない)から供給されたインクを一時的に貯留する。インクは、リザーバ22と連通しているインク供給路24を通って、各圧力室26へ供給される。インク供給路24は、図3に示すように、Y方向からみたとき、Z方向の幅が圧力室26より小さい。
【0029】
圧力室26は、Y方向からみたとき、矩形であることができる。圧力室26は、X方向(水平方向)の一端において、インク供給路24を介してリザーバ22と連通し、水平方向の他端においてノズルプレート部材50のノズル孔52と連通している。したがって、ユニットヘッド100は、水平方向(X方向)にインク滴を吐出することができる。圧力室26は、複数設けられ、その数は特に限定されない。圧力室26は、振動板30の変形により容積可変になっている。圧力室26の容積変化により、ユニットヘッド100は、ノズル孔52からインク滴を吐出することができる。
【0030】
ノズルプレート部材50は、ノズル孔52が各圧力室26に連通するように配置される。ノズルプレート部材50は、第1基板10および第2基板20の一方の側面を覆うことができる。ノズルプレート部材50は、圧力室26のX方向の一方の端を覆うことができる。ノズルプレート部材50は、複数のノズル孔52を有し、その数は特に限定されない。ノズル孔52は、図3に示すように、Z方向に沿って配列している。ノズルプレート部材50は、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)からなることができる。
【0031】
振動板30は、第2基板20上に形成される。振動板30は、例えば、第2基板20側から、酸化シリコン(SiO)と酸化ジルコニウム(ZrO)とを積層させた積層体からなることができる。振動板30の厚さは、例えば、1μm〜2μmであることができる。振動板30は、圧電素子40の動作によりY方向に変位することができ、圧力室26の容積を変化させることができる。
【0032】
圧電素子40は、振動板30上に形成される。圧電素子40は、複数形成され、その数は特に限定されない。圧電素子40は、各圧力室26に対応する位置に形成される。すなわち、圧電素子40は、振動板30を介して、各圧力室26の上方に形成される。圧電素子40は、下部電極42と、圧電体層44と、上部電極46と、を有する。
【0033】
下部電極42は、振動板30上に形成される。下部電極42は、圧電体層44に電圧を印加するための一方で電極である。下部電極42は、例えば、白金、イリジウム、それらの導電性酸化物からなることができる。下部電極42は、前記例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。下部電極42の厚さは、例えば、50nm〜300nmとすることができる。
【0034】
圧電体層44は、下部電極42上に形成される。圧電体層44は、ペロブスカイト型酸化物の圧電材料からなる。圧電体層44は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O:PZTN)からなることができる。圧電体層44の厚さは、例えば、300nm〜3000nmとすることができる。圧電体層44は、優先的に(100)に配向していることができる。なお、「優先的に(100)に配向している」とは、(100)にすべての結晶が配向している場合と、例えば、70%以上の結晶が(100)に配向しており、(100)に配向していない残りの結晶が(110)などに配向している場合と、を含むことを意味する。圧電体層44の結晶構造は、例えば、モノクリニック構造であることができる。圧電体層44の分極方向は、例えば、膜面垂直方向(圧電体層44の厚さ方向)に対して、一定の角度だけ傾いているエンジニアード・ドメイン配置であることができる。
【0035】
上部電極46は、圧電体層44上に形成される。上部電極46は、圧電体層44に電圧を印加するための他方で電極である。上部電極46は、例えば、白金、イリジウム、それらの導電性酸化物からなることができる。上部電極46は、前記例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。上部電極46の厚みは、例えば、50nm〜300nmとすることができる。
【0036】
内部配線70は、圧電素子40と外部配線72を電気的に接続する。内部配線70と外部配線72とは、後述する配線接続領域80で電気的に接続される。内部配線70は、圧電素子40の上部電極46と電気的に接続される。内部配線70は、図2の例では、振動板30を介して、第2基板20上に形成される。内部配線70は、少なくとも第1基板10または第2基板20のいずれかに形成される。
【0037】
外部配線72は、外部コントローラ(図示しない)からの駆動信号を伝える配線である。図示の例では、外部配線72は、駆動IC(図示しない)を介して、内部配線70と、電気的に接続される。外部配線72は、駆動ICが第1基板10または第2基板20のいずれかに形成された場合、駆動ICを介さずに、内部配線70と電気的に接続されてもよい。
【0038】
駆動ICは、外部コントローラからの駆動信号に従って各圧電素子40を制御することができる。液体噴射ヘッド1000の例では、駆動ICは、液体噴射ヘッド1000とは別体に設けられることができる。
【0039】
スペーサ部60は、振動板30上に形成される。スペーサ部60は、圧電素子40と接触しないように形成される。スペーサ部60は、図示はしないが、圧電素子40を、空洞部を介して覆うように形成されていてもよい。スペーサ部60は、振動板30を介して、圧力室26が形成されていない第2基板20上に形成されることができる。このため、スペーサ部60は、例えば、振動板30の変位による圧力室26の容積変化を妨げることがない。スペーサ部60は、例えば、シリコンからなることができる。スペーサ部60は、少なくとも圧電素子40より厚くなるように形成される。
【0040】
(2)次に、ユニットヘッド100を積層させた液体噴射ヘッド1000について説明する。
【0041】
上述のように、液体噴射ヘッド1000は、図1および図2に示すように、ノズル孔52からX方向(水平方向)に向かってインク滴を吐出するユニットヘッド100を複数有する。
【0042】
ユニットヘッド100は、例えば、3個〜10個積層されるが、その数は特に限定されない。隣り合うユニットヘッド100同士は、図2に示すように、スペーサ部60と第1基板10とが接合されることにより、Y方向(上下方向)に積層される。これにより、ユニットヘッド100が有する圧電素子40は、隣り合うユニットヘッド100に接触することがない。ユニットヘッド100のうち、液体噴射ヘッド1000の端に位置し、スペーサ部60が隣り合うユニットヘッド100の第1基板10と接合していないユニットヘッド100は、圧電素子40が外部に露出しないように、蓋部(図示しない)を設けることができる。
【0043】
配線接続領域80は、図3に示すように、Y方向からみて、すなわち平面視において、各ユニットヘッド100のそれぞれ重なっていない領域である。配線接続領域80は、例えば、X方向(水平方向)に並んでいる。図示の例では、配線配線接続領域80は、振動板30を介して、第2基板20上に設けられる。
【0044】
配線接続領域80は、図2に示すように、第1基板10および第2基板20のX方向(水平方向)の長さをユニットヘッド100ごとに変えることにより設けられる。図示の例では、1のユニットヘッド100aの第1基板10および第2基板20のX方向(水平方向)の長さは、下方向に隣り合うユニットヘッド100bの第1基板10および第2基板20のX方向の長さよりも短い。したがって、各ユニットヘッド100は、Y方向からみて、それぞれ重なっていない配線接続領域80を有することができる。
【0045】
ノズルプレート150は、図2に示すように、複数のノズルプレート部材50からなる。すなわち、ノズルプレート部材50は、積層されたユニットヘッド100の間で連続しており、一体のノズルプレート150を構成することができる。ノズルプレート150は、第1基板10、第2基板20、圧力室26および振動板30に接することができる。
【0046】
液体噴射ヘッド1000は、例えば、以下のような特徴を有する。
【0047】
液体噴射ヘッド1000は、複数のユニットヘッド100がY方向(上下方向)に積層され、ユニットヘッド100は、ノズル孔52からX方向(水平方向)にインク滴を吐出することができる。これにより、液体噴射ヘッド1000は、例えば、Y方向にインク滴を吐出する液体噴射ヘッドに比べ、Y方向における隣り合うノズル孔52の距離52y(図1参照)を小さくすることができる。すなわち、液体噴射ヘッド1000は、ノズル孔52が高密度に配置されることができる。
【0048】
液体噴射ヘッド1000は、各ユニットヘッド100が、平面視において、それぞれ重なっていない配線接続領域80を有することができる。液体噴射ヘッド1000は、外部配線72が、配線接続領域80で内部配線70と電気的に接続されるため、各外部配線72が、互いに物理的に干渉することを避けることができる。したがって、液体噴射ヘッド1000は、ノズル孔52が高密度に配置されることができる。
【0049】
2.液体噴射ヘッドの製造方法
次に、本実施形態に係る液体噴射ヘッド1000の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図5〜図7は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド1000の製造工程を概略的に示す断面図である。
【0050】
液体噴射ヘッド1000の製造方法は、複数のユニット体110を形成する工程と、複数のユニット体110を積層して、積層体1100を形成する工程と、積層体1100に、ノズルプレート150を接合する工程と、を含む。なお、ユニット体110は、ノズルプレート部材50が形成されていないユニットヘッド100に相当する。
【0051】
図5に示すように、第2基板20上に振動板30を形成する。振動板30は、例えば、酸化シリコン(SiO)と酸化ジルコニウム(ZrO)とを、この順に積層することにより形成される。酸化シリコンは、例えば、熱酸化法により形成される。酸化ジルコニウムは、例えば、ジルコニウムをスパッタした後、熱酸化法により形成される。
【0052】
次に、振動板30上に圧電素子40および内部配線70を形成する。圧電素子40は、下部電極42、圧電体層44および上部電極46を、この順に積層することにより形成される。
【0053】
下部電極42および上部電極46は、スパッタ法、めっき法、真空蒸着法等により形成される。
【0054】
圧電体層44は、例えば、ゾルゲル法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、MOD(Metal Organic Deposition)法、スパッタ法、レーザーアブレーション法により形成される。圧電体層44を形成するための焼成温度は、例えば、700℃程度である。
【0055】
内部配線70は、上部電極46と電気的に接続される。内部配線70は、スパッタ法等の公知の方法により形成される。
【0056】
図6に示すように、第2基板20をパターニングして、リザーバ22、インク供給路24および圧力室26を形成する。リザーバ22、インク供給路24および圧力室26は、例えば、同時に形成されることができる。圧力室26は、リザーバ22と対向するX方向(水平方向)の1つの端部が開口されるように形成される。パターニングは、例えば、酸化シリコン(SiO)をエッチングマスクとして、水酸化カリウム(KOH)による異方性のエッチングにより行われる。第2基板20のY方向におけるエッチング量は、例えば、水酸化カリウムに浸漬する時間で制御される。第2基板20のY方向におけるエッチング量は、例えば、振動板30がエッチングストッパ層となることにより制御される。第2基板20は、(110)単結晶シリコンからなることができるため、水酸化カリウムにより精度良く加工されることができる。
【0057】
次に、振動板30上にスペーサ部60を接合し、第2基板20の下に第1基板10を接合する。接合は、例えば、有機接着剤を用いて行われる。以下に示す工程において、接合は、本工程と同様に行われる。
【0058】
以上の工程により、ユニット体110を製造することができる。
【0059】
上述したユニット体110の製造方法において、ユニット体110ごとにX方向(水平方向)の長さが異なる第1基板10および第2基板20を用いることにより、X方向の長さが異なるユニット体110a、110bおよび110cを製造することができる。
【0060】
図7に示すように、複数のユニット体110a,110b、110cをY方向に積層して積層体1100を形成する。各ユニット体110a,110b,110cは、X方向の長さが異なるため、それぞれ重なっていない配線接続領域80が形成される。隣り合うユニット体110同士は、スペーサ部60と第1基板10とが接合することにより積層される。
【0061】
図2に示すように、積層体1100に、ノズル孔52を有するノズルプレート150を接合する。ノズルプレート150は、圧力室26の開口されている端部を覆うように接合される。
【0062】
次に、配線接続領域80で、内部配線70と外部配線72を電気的に接続する。電気的な接続は、例えば、ワイヤボンディング技術により行われる。
【0063】
以上の工程により、液体噴射ヘッド1000を製造することができる。
【0064】
液体噴射ヘッド1000の製造方法は、例えば、以下のような特徴を有する。
【0065】
液体噴射ヘッド1000の製造方法は、複数のユニット体110がY方向(上下方向)に積層され、液体噴射ヘッド1000は、ノズル孔52からX方向(水平方向)にインク滴を吐出するように形成されることができる。これにより、液体噴射ヘッド1000は、例えば、Y方向にインク滴を吐出する液体噴射ヘッドに比べ、Y方向において隣り合うノズル孔52の距離52y(図1参照)を小さくすることができる。すなわち、ノズル孔52が高密度に配置される液体噴射ヘッド1000を得ることができる。
【0066】
液体噴射ヘッド1000の製造方法は、各ユニットヘッド100が、平面視において、それぞれ重なっていない配線接続領域80を形成することができる。液体噴射ヘッド1000は、外部配線72が、配線接続領域80で内部配線70と電気的に接続されるため、各外部配線72が、互いに物理的に干渉することを避けることができる。したがって、ノズル孔52が高密度に配置される液体噴射ヘッド1000を得ることができる。
【0067】
3.変形例
次に、本実施形態に係る液体噴射ヘッドの変形例について説明する。なお、上述した液体噴射ヘッド1000の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0068】
(1)まず、第1の変形例について説明する。
【0069】
図8は、本変形例に係る液体噴射ヘッド2000を概略的に示す断面図である。
【0070】
液体噴射ヘッド1000の例では、駆動ICは別体に設けられたが、本変形例に係る液体噴射ヘッド2000は、図8に示すように、駆動IC90を有する。
【0071】
駆動IC90は、例えば、ユニットヘッド100と接合された第3基板92に形成されることができる。なお、図示の例では、駆動IC90は、駆動IC90が複数設けられた駆動ICパッケージ94にパッケージされ、第3基板92に実装されている。駆動IC90は、圧電素子40ごとに設けられることができる。
【0072】
第3基板92は、図示の例では、Y方向に積層されたユニットヘッド100のうち最も上段のユニットヘッド100aのスペーサ部60上に形成される。第3基板92としては、例えばシリコン基板を用いることができる。第3基板92のX方向の長さは、隣り合うユニットヘッド100aの第1基板10および第2基板20のX方向の長さよりも短い。これにより、隣り合うユニットヘッド100aは、Y方向から視て、第3基板92と重ならない露出領域82を得ることができる。外部配線72と内部配線70とが、露出領域82および配線接続領域80で電気的に接続されることにより、各外部配線72が、互いに物理的に干渉することを避けることができる。
【0073】
外部配線72は、図示の例では、駆動IC90を介して、内部配線70と電気的に接続されている。外部配線72は、例えば、ボンディングワイヤであることができる。
【0074】
次に、本変形例に係る液体噴射ヘッド2000の製造方法について説明する。液体噴射ヘッド2000は、上述した液体噴射ヘッド1000の製造方法に、以下の工程を加えることで製造することができる。
【0075】
図8に示すように、第3基板92上に駆動IC90を形成する。駆動IC90は、半導体製造技術を利用したMEMSとして形成されることができし、あるいは、駆動ICパッケージ94でパッケージされた後、第3基板92に実装されることもできる。
【0076】
次に、最上段のユニットヘッド100aと第3基板92とを接合する。例えば、ユニットヘッド100aのスペーサ部60およびノズルプレート150と、第3基板92とを接合してもよい。
【0077】
次に、駆動IC90と内部配線70とを、電気的に接続する外部配線72を形成する。内部配線70と外部配線72とは、配線接続領域80で電気的に接続される。
【0078】
以上の工程により、液体噴射ヘッド2000を製造することができる。
【0079】
本変形例に係る液体噴射ヘッド2000は、ノズル孔52が高密度に配置されることができる。さらに、液体噴射ヘッド2000は、駆動IC90が設けられるため、別体に駆動IC90が設けられる場合より小型化が可能となる。
【0080】
(2)次に、第2の変形例について説明する。
【0081】
図9は、本変形例に係る液体噴射ヘッド3000を概略的に示す断面図である。
【0082】
液体噴射ヘッド1000の例では、駆動ICは別体に設けられたが、本変形例に係る液体噴射ヘッド3000は、図9に示すように、駆動IC90を有することができる。
【0083】
駆動IC90は、例えば、第3基板92の上面側に形成されることができる。駆動IC90は、圧電素子40ごとに設けられることができる。
【0084】
第3基板92は、第2基板20と、配線接続領域80で接合されることができる。これにより、各第3基板92は、互いに物理的に干渉することを避けることができる。図示の例では、第3基板92の側面と第2基板20の上面側が接合されている。第3基板92は、支持基板(図示しない)に支持されることによって、第2基板20に接合されていてもよい。第3基板92としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。第3基板92は、例えば、各ユニットヘッド100に設けられる。
【0085】
液体噴射ヘッド3000の製造方法は、以下の通りである。液体噴射ヘッド3000は、上述した液体噴射ヘッド1000の製造方法に、以下の工程を加えることで製造することができる。
【0086】
図9に示すように、まず、第3基板92に駆動IC90を形成する。
【0087】
次に、第2基板20と第3基板92とを、配線接合領域80で接合する。次に、内部配線70と駆動IC90を、外部配線72によって電気的に接続する。電気的な接続は、例えば、公知のワイヤボンディング技術によって行われる。
【0088】
以上の工程により、液体噴射ヘッド3000を製造することができる。
【0089】
本変形例に係る液体噴射ヘッド3000は、ノズル孔52が高密度に配置されることができる。さらに、液体噴射ヘッド3000は、駆動IC90が設けられるため、別体に駆動IC90が設けられる場合より小型化が可能となる。
【0090】
(3)次に、第3の変形例について説明する。
【0091】
図10は、本変形例に係る液体噴射ヘッド4000を概略的に示す断面図である。図11は、液体噴射ヘッド4000を模式的に示す断面図であり、図10に示すC−C線の断面に相当する。図12は、液体噴射ヘッド4000を模式的に示す断面図であり、図11で示すD−D線の断面に相当する。なお、図11では、外部配線72は省略した。
【0092】
液体噴射ヘッド1000の例では、駆動ICは別体に設けられ、配線接続領域80が第2基板20に設けられた。本変形例に係る液体噴射ヘッド4000は、図10に示すように、第1基板10の上面側に駆動IC90と配線接続領域80とが設けられることができる。
【0093】
ユニットヘッド100において、第1基板10は、図10に示すように、第2基板20よりもX方向(水平方向)に長い。また、1のユニットヘッド100aの第1基板10のX方向の長さは、下方向に隣り合うユニットヘッド100bの第1基板10の長さよりも短い。第2基板20についても同様である。これにより、配線接続領域80は、第1基板10の上面側に設けられることができる。
【0094】
駆動IC90は、図10に示すように、第1基板10の上面側に設けられる。駆動IC90は、例えば、第1基板10の上面側であって、圧力室26のY方向の一方を区画する領域に形成されることができる。このため、駆動IC90は、駆動することにより発熱しても、圧力室26内の液体により冷却されることができる。駆動IC90は、半導体製造技術を利用したMEMSとして形成されることができる。すなわち、駆動IC90は、第1基板10を直接加工することにより形成されることもできる。
【0095】
内部配線70は、外部配線72と、駆動IC90を介して、配線接合領域80で電気的に接続される。内部配線70は、圧電素子40と駆動IC90とを電気的に接続する第1内部配線70aと、駆動IC90と外部配線72とを電気的に接続する第2内部配線70bとから構成される。第1内部配線70aは、圧電素子40と駆動IC90とを、第2基板20および振動板30を貫通して形成された貫通電極(図示しない)を介して、電気的に接続してもよい。第2内部配線70bは、第1基板10上に形成され、配線接合領域80で外部配線72と電気的に接続されることができる。
【0096】
本変形例に係る液体噴射ヘッド4000の製造方法は、内部配線70の形成される箇所および第1基板10に駆動IC90が形成されること、以外については、基本的に上述した液体噴射ヘッド1000,2000,3000の製造方法と同じである。よってその説明を省略する。
【0097】
本変形例に係る液体噴射ヘッド4000は、ノズル孔52が高密度に配置されることができる。さらに、液体噴射ヘッド4000は、駆動IC90が第1基板10に設けられるため、別体に駆動IC90が設けられる場合より小型化が可能となる。
【0098】
液体噴射ヘッド4000は、駆動IC90が第1基板10の上面側に設けられることができる。このため、駆動IC90は、圧力室26内の液体(例えば、インク)により、冷却されることができる。したがって、液体噴射ヘッド4000は、高い信頼性を有することができる。また、特に耐熱性の高い駆動ICを形成する必要がないので、液体噴射ヘッド4000は、安価かつ簡易なプロセスで形成されることができる。
【0099】
(4)次に、第4の変形例について説明する。
【0100】
図13は、本変形例に係る液体噴射ヘッド5000を概略的に示す断面図である。
【0101】
液体噴射ヘッド1000の例では、駆動ICは別体に設けられ、配線接続領域80が第2基板20の上面側に設けられた。本変形例に係る液体噴射ヘッド5000の例では、図13に示すように、第1基板10の下面側に駆動IC90と配線接続領域80とが設けられる。
【0102】
駆動IC90は、第1基板10の下面側で、圧力室26と対応する位置に設けられることができる。第1基板10は、上述のようにシリコン基板からなることができるため熱伝導度が高い。そのため、駆動IC90は、液体(例えば、インク滴)が触れなくても冷却されることができる。
【0103】
内部配線70は、外部配線72と、駆動IC90を介して、配線接合領域80で電気的に接続される。内部配線70は、圧電素子40と駆動IC90とを電気的に接続する第1内部配線70aと、駆動IC90と外部配線72とを電気的に接続する第2内部配線70bとから構成される。第1内部配線70aは、圧電素子40と駆動IC90とを、振動板30、第2基板20および第1基板10を貫通して形成された貫通電極(図示しない)を介して接続してもよい。第2内部配線70bは、第1基板10の下面側に形成され、配線接合領域80で外部配線72と接続されることができる。
【0104】
配線接続領域80は、第1基板10および第2基板20のX方向の長さをユニットヘッド100ごとに変えることにより設けられることができる。図13に示すように、1のユニットヘッド100aの第1基板10および第2基板20のX方向(水平方向)の長さは、下方向に隣り合うユニットヘッド100bの第1基板10および第2基板20のX方向の長さよりも長い。したがって、ユニットヘッド100は、Y方向からみて、それぞれ重なっていない配線接続領域80を有することができる。
【0105】
本変形例に係る液体噴射ヘッド5000は、ノズル孔52が高密度に配置されることができる。さらに、液体噴射ヘッド5000は、駆動IC90が第1基板10に設けられるため、別体に駆動IC90が設けられる場合より小型化が可能となる。
【0106】
液体噴射ヘッド5000は、駆動IC90が第1基板10の下面側に設けられることができる。このため、第1基板10は、上述のようにシリコン基板からなることができるため熱伝導度が高い。そのため、駆動IC90は、液体(例えば、インク滴)が触れなくても冷却されることができる。そのため、液体噴射ヘッド5000は、高い信頼性を有することができる。また、特に耐熱性の高い駆動ICを形成する必要がないので、液体噴射ヘッド5000は、安価かつ簡易なプロセスで形成されることができる。
【0107】
4.ライン型液体噴射ヘッド
次に、本発明に係る液体噴射ヘッドを複数有するライン型液体噴射ヘッドについて説明する。
【0108】
図14は、本実施形態に係るライン型液体噴射ヘッド6000を模式的に示す斜視図である。以下、液体噴射ヘッド1000と実質的に同一の材料については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0109】
ライン型液体噴射ヘッド6000は、図14に示すように、液体噴射ヘッド1000を複数有する。液体噴射ヘッド1000の数は、特に限定されない。液体噴射ヘッド1000は、Y方向およびZ方向に、マトリックス状に配列されることができる。液体噴射ヘッド1000aとY方向において隣接する液体噴射ヘッド1000bは、図示はしないが、液体噴射ヘッド1000aが有するノズル孔52の位置に対し、Z方向にずれているノズル孔52を有することができる。液体噴射ヘッド1000bとZ方向において同列に配列された各液体噴射ヘッド1000が有する各ノズル孔52も、液体噴射ヘッド1000aとZ方向において同列に配列された各液体噴射ヘッド1000が有する各ノズル孔52に対し、Z方向においてずれていることができる。これにより、ライン型液体噴射ヘッド6000は、より高密度にインク滴を吐出することができる。なお、この場合、インク滴が吐出される媒体は、Y方向に移動することができる。また、各ノズルプレート150は、連続しており、一体のノズルプレートを構成していてもよい。
【0110】
ライン型液体噴射ヘッド6000は、例えば、以下のような特徴を有する。
【0111】
ライン型液体噴射ヘッド6000は、液体噴射ヘッド1000を複数有するため、広範囲にインク滴を吐出することができる。ライン型液体噴射ヘッド6000は、複数の液体噴射ヘッド1000を所定数、所定の配列に形成することができる。このため、用途や目的に応じたライン型液体噴射ヘッド6000を得ることができる。また、上述した液体噴射ヘッド1000の特徴を有するライン型液体噴射ヘッド6000を得ることができる。
【0112】
なお、ライン型液体噴射ヘッド6000の製造方法は、液体噴射ヘッド1000の製造方法と基本的には同じであり、液体噴射ヘッド1000を複数配置して形成されたものである。よって、その説明を省略する
5.プリンタ
次に、本発明に係る液体噴射ヘッドを有するプリンタについて説明する。ここでは、本実施形態に係るプリンタ7000がインクジェットプリンタである場合について説明する。
【0113】
図15は、本実施形態に係るプリンタ7000を概略的に示す斜視図である。
【0114】
プリンタ7000は、ヘッドユニット330と、駆動部310と、制御部360と、を含む。また、プリンタ7000は、装置本体320と、給紙部350と、記録用紙Pを設置するトレイ321と、記録用紙Pを排出する排出口322と、装置本体320の上面に配置された操作パネル370と、を含むことができる。
【0115】
ヘッドユニット330は、例えば、上述した液体噴射ヘッド1000から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット330は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ331と、ヘッドおよびインクカートリッジ331を搭載した運搬部(キャリッジ)332と、を備える。
【0116】
駆動部310は、ヘッドユニット330を往復動させることができる。駆動部310は、ヘッドユニット330の駆動源となるキャリッジモータ341と、キャリッジモータ341の回転を受けて、ヘッドユニット330を往復動させる往復動機構342と、を有する。
【0117】
往復動機構342は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸344と、キャリッジガイド軸344と平行に延在するタイミングベルト343と、を備える。キャリッジガイド軸344は、キャリッジ332が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ332を支持している。さらに、キャリッジ332は、タイミングベルト343の一部に固定されている。キャリッジモータ341の作動により、タイミングベルト343を走行させると、キャリッジガイド軸344に導かれて、ヘッドユニット330が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
【0118】
制御部360は、ヘッドユニット330、駆動部310および給紙部350を制御することができる。
【0119】
給紙部350は、記録用紙Pをトレイ321からヘッドユニット330側へ送り込むことができる。給紙部350は、その駆動源となる給紙モータ351と、給紙モータ351の作動により回転する給紙ローラ352と、を備える。給紙ローラ352は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラ352aおよび駆動ローラ352bを備える。駆動ローラ352bは、給紙モータ351に連結されている。制御部360によって供紙部350が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット330の下方を通過するように送られる。
【0120】
ヘッドユニット330、駆動部310、制御部360および給紙部350は、装置本体320の内部に設けられている。
【0121】
プリンタ7000は、例えば、以下のような特徴を有する。
【0122】
プリンタ7000は、液体噴射ヘッド1000を有することができる。液体噴射ヘッド1000は、上述のように、複数のノズル孔52が高密度に配置されることができる。従って、高速度印刷が可能な高性能なプリンタ7000を得ることができる。
【0123】
6.ライン型プリンタ
次に、本発明に係るライン型液体噴射ヘッドを有するライン型プリンタについて説明する。ここでは、本実施形態に係るライン型プリンタ8000がインクジェットプリンタである場合について説明する。
【0124】
図16は、ライン型プリンタ8000を概略的に示す斜視図である。以下、プリンタ7000と実質的に同一の材料については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0125】
ライン型プリンタ8000は、ライン型ヘッドユニット8330の構成と、駆動部310を有さないこと以外は、プリンタ7000の構成と同じである。
【0126】
ライン型ヘッドユニット8330は、ライン型液体噴射ヘッド6000を有する。記録用紙Pが移動する方向と直交する方向において、ライン型ヘッドユニット8330の幅は、記録用紙Pの幅以上であることができる。
【0127】
ライン型プリンタ8000は、例えば、以下のような特徴を有する。
【0128】
ライン型プリンタ8000は、ライン型液体噴射ヘッド6000を有することができる。ライン型液体噴射ヘッド6000は、上述のように、広範囲にインク滴を吐出することができる。そのため、ライン型ヘッドユニット8330は、往復動することなく、記録用紙Pの所望の位置に、インクを吐出することができる。また、ライン型液体噴射ヘッド6000は、上述のように、複数のノズル孔52が高密度に配置されることができる。従って、高速度印刷が可能な高性能なライン型プリンタ8000を得ることができる。
【0129】
なお、上述した例では、プリンタ7000およびライン型プリンタ8000がインクジェットプリンタである場合について説明したが、本発明のプリンタは、工業的な液滴吐出装置として用いられることもできる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。
【0130】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの一部を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態の第1の変形例に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態の第2の変形例に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態の第3の変形例に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図11】本実施形態の第3の変形例に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図12】本実施形態の第3の変形例に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図13】本実施形態の第4の変形例に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図14】本実施形態に係るライン型液体噴射ヘッドを模式的に示す斜視図。
【図15】本実施形態に係るプリンタを模式的に示す斜視図。
【図16】本実施形態に係るライン型プリンタを模式的に示す斜視図。
【符号の説明】
【0132】
10 第1基板、20 第2基板、22 リザーバ、24 インク供給路、26 圧力室、30 振動板、40 圧電素子、42 下部電極、44 圧電体層、46 上部電極、50 ノズルプレート部材、52 ノズル孔、60 スペーサ部、70 内部配線、72 外部配線、80 配線接続領域、82 露出領域、90 駆動IC、92 第3基板、94 駆動ICパッケージ、100 ユニットヘッド、110 ユニット体、150 ノズルプレート、310 駆動部、320 装置本体、321 トレイ、322 排出口、330 ヘッドユニット、331 インクカートリッジ、332 キャリッジ、341 キャリッジモータ、342 往復動機構、343 タイミングベルト、344 キャリッジガイド軸、350 給紙部、351 給紙モータ、352 給紙ローラ、360 制御部、370 操作パネル、1000 液体噴射ヘッド、1100 積層体、2000,3000,400,5000 液体噴射ヘッド、6000 ライン型液体噴射ヘッド、7000 プリンタ、8000 ライン型プリンタ、8330 ライン型ヘッドユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板の上方に形成された第2基板と、
前記第2基板に形成された複数の圧力室と、
前記第2基板に形成され、各前記圧力室にインクを貯留するためのリザーバと、
前記圧力室の上方に形成された振動板と、
前記振動板の上方であって、各前記圧力室に対応する位置に形成された圧電素子と、
前記圧電素子と電気的に接続された内部配線と、
ノズル孔を有するノズルプレート部材と、を含み、
前記圧力室は、該圧力室の水平方向の一端において前記リザーバと連通し、該圧力室の水平方向の他端において前記ノズル孔と連通している、ユニットヘッドを複数含み、
複数の前記ユニットヘッドは、上下方向に積層され、
各前記ユニットヘッドは、平面視において、それぞれ重なっていない配線接続領域を有し、
前記内部配線と外部配線とが、前記配線接続領域で電気的に接続されている、液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1において、
前記配線接続領域は、前記第1基板に設けられている、液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1において、
前記配線接続領域は、前記第2基板に設けられている、液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
さらに、前記圧電素子を制御する駆動ICを有する、液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項4において、
さらに、前記ユニットヘッドと接合されている第3基板を有し、
前記駆動ICは、前記第3基板に形成される、液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項5において、
前記第3基板は、各前記ユニットヘッドの前記配線接続領域に接合されている、液体噴射ヘッド。
【請求項7】
請求項4において、
前記駆動ICは、前記第1基板または前記第2基板のいずれかに形成される、液体噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項7において、
前記駆動ICは、前記第1基板の上面側に形成される、液体噴射ヘッド。
【請求項9】
請求項7において、
前記駆動ICは、前記第1基板の下面側に形成される、液体噴射ヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
各前記ノズルプレート部材は、積層された前記ユニットヘッドの間で連続し、一体のノズルプレートを構成している、液体噴射ヘッド。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを複数有する、ライン型液体噴射ヘッド。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを有する、プリンタ。
【請求項13】
請求項11に記載のライン型液体噴射ヘッドを有する、ライン型プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−17901(P2010−17901A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178841(P2008−178841)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】