説明

液体循環装置および電子機器

【課題】密閉系の液体循環装置において、装置周辺の温度の変化に伴う内部圧力の変化を抑制する。
【解決手段】循環ポンプのポンプ室の容積を増大させることで、液室から逆止弁を介してポンプ室に液体を吸入した後、ポンプ室の容積を減少させることで、出口流路から液体流路に向けて液体を圧送する。また、液体流路を循環した液体を、液室と連通する入口バッファ部に流入させる。そして、この入口バッファ部は、液体流路内の液体の膨張または収縮に応じて容積を変更可能に形成しておく。こうすれば、装置周辺の温度の変化によって液体流路内の液体が膨張または収縮しても、液体の体積変化を入口バッファ部が変形する(容積が増減する)ことで吸収できるので、液体流路の内部圧力の変化を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体流路の液体を循環ポンプで循環させる液体循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体が流れる液体流路と、液体流路に向けて液体を圧送する循環ポンプとから構成される密閉系の液体循環装置が知られている(例えば、特許文献1)。密閉系の液体循環装置は、ポンプから圧送された液体が液体流路を巡って再びポンプに戻るようになっており、液体流路に冷却媒体としての液体を循環させるとともに、光源などの熱を発するデバイスの周囲に液体流路の一部を配することで、これらのデバイスを冷却する冷却装置として利用することができる。尚、密閉系とは、ポンプを含む液体流路が密閉され、液体が圧送されているときに外部の大気に極めて接触し難い類を示す。
【0003】
こうした液体循環装置では、液体流路が長くなる(例えば、冷却するデバイスが循環ポンプから離れている)と、液体流路の流路抵抗が大きくなるため、高い圧力で液体を送ることができる循環ポンプが求められる。そこで、循環ポンプとして容積型ポンプが採用されている。容積型ポンプは、容積を変更可能なポンプ室の容積を増大させて液体を吸い込んだ後、ポンプ室の容積を減少させて液体を加圧することで、高い圧力で液体を液体流路に向けて送り出すことが可能である。また、容積型ポンプを採用した液体循環装置は、液体流路が細くても(断面積が小さくても)高い圧力で液体を循環させることが可能であり、しかもポンプ自体の小型化も図れることから、電子機器(例えば、プロジェクターに取り付けられる光源の冷却など)に適用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−103820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、こうした密閉系の液体循環装置を電子機器に適用する場合には、装置周辺の温度の変化によって不具合が生じることがあるという問題があった。すなわち、機器の筐体内の温度が高い場合には、液体循環装置に充填された液体が熱膨張することから、装置全体で内部圧力が過度に高まり、接合の弱い部分から液体が漏れ出てしまうことがある。また逆に、電子機器が低温下に置かれる場合には、液体循環装置内の液体の収縮により負圧が発生して、接合の弱い部分から空気が混入することがあり、そうした空気が容積型ポンプのポンプ室に溜まると、加圧の妨げとなって循環能力が低下してしまう。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、密閉系の液体循環装置において、装置周辺の温度の変化に伴う内部圧力の変化を抑制することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体循環装置は次の構成を採用した。すなわち、
液体が流れる液体流路と、該液体流路の液体を循環させる循環ポンプとを含んで密閉系に構成される液体循環装置であって、
前記循環ポンプは、
容積が変更可能なポンプ室と、
前記ポンプ室の容積を変動させる駆動部と、
前記ポンプ室から前記液体流路に向けて液体が流出する出口流路と、
前記液体流路を循環した液体が流入する入口バッファ部と、
前記入口バッファ部から前記ポンプ室に液体を供給する液室と、
前記液室と前記ポンプ室との間に設けられた逆止弁と
を備え、
前記入口バッファ部は、前記液体流路内の液体の膨張または収縮に応じて容積を変更可能に形成されていることを要旨とする。
【0008】
このような本発明の液体循環装置においては、液体流路と循環ポンプとで密閉系が構成されており、ポンプ室の容積を増大させることで、液室から逆止弁を介してポンプ室に液体を吸入した後、ポンプ室の容積を減少させることで、出口流路から液体流路に向けて液体を送り出す。また、液体流路を循環した液体は、液室と連通する入口バッファ部に流入する。そして、この入口バッファ部は、液体流路内の液体の膨張または収縮に応じて容積を変更可能に形成されている。
【0009】
こうした密閉系の液体循環装置を電子機器に組み込む場合、電子機器は筐体内の温度が高温になったり、低温下で保管されたりするので、液体循環装置には装置周辺の温度(環境温度)の変化に対する安定性が求められる。本発明の液体循環装置では、循環ポンプに入口バッファ部が設けられており、装置周辺の温度の上昇によって液体流路内の液体が熱膨張しても、その体積が増加した分の液体が入口バッファ部に流入するのに伴って入口バッファ部が変形して容積が増加することで、液体流路の内部圧力の増加を抑制することができる。また、これとは逆に、装置周辺の温度の低下によって液体流路内の液体が収縮しても、その体積が減少した分の液体が入口バッファ部から供給されるのに伴って入口バッファ部が変形して容積が減少することで、液体流路の内部圧力が負圧になることを抑制できる。このように、装置周辺の温度の変化に伴う液体流路内の液体の膨張または収縮(体積変化)を、入口バッファ部が変形することで吸収するので、液体流路の内部圧力の変化を抑制することができる。結果として、液体流路の内部圧力が過大になって液体漏れが生じたり内部圧力が負圧になって外部から空気が混入したりすることはなく、装置周辺の温度の変化に対する液体循環装置の安定性を確保できるので、液体循環装置を電子機器に適用することが可能となる。
【0010】
また、入口バッファ部は、ポンプ室に液体を供給する液室と連通して設けられている。これにより、ポンプ室に液体を吸入する際には、入口バッファ部から液体が供給されるのに伴って入口バッファ部が変形して容積が減少することで、液室や入口バッファ部に負圧が残ることはなく、ポンプ室に液体を遅滞なく安定して供給することができる。
【0011】
こうした液体循環装置では、入口バッファ部を、フィルムを袋状に封止して形成されるフィルムパックで構成してもよい。また、フィルムパックのフィルムは、耐熱性であってもよい。
【0012】
フィルムパックは、フィルムの変形による容積変更の自由度が高いので、装置周辺の温度の変化に伴う液体流路内の液体の膨張または収縮を吸収するのに好適である。しかも、フィルムパックであれば、フィルムを熱圧着で封止することで簡単に形成することができる。
【0013】
さらに、フィルムパックに用いるフィルムは、多重のフィルムとしてもよく、アルミで形成されたフィルムを少なくとも含んでいてもよい。
【0014】
フィルムパックのフィルムを多層構造とすることで、耐衝撃性、耐液体性、耐熱性を高めることができる。特に、多層構造にアルミの層を含めておけば、フィルムの強度を高めるだけでなく、ガスバリア性や遮光性に優れたフィルムとすることができる。
【0015】
また、こうした液体循環装置では、循環ポンプの入口バッファ部を着脱可能に構成してもよい。この場合、液体流路を巡って循環ポンプに戻った液体が液室を通ってポンプ室に流入する循環経路から分岐した位置に入口バッファ部を設けてもよい。こうすることで、液体の循環経路を崩すことなく、簡便に着脱可能な入口バッファ部の構成を実現することができる。結果として、入口バッファ部の交換などのメンテナンスが容易となる。
【0016】
また、入口バッファ部を液体の循環経路から分岐した位置に設けておけば、液体に含まれる気泡(空気)を除去するためのトラップとして利用することも可能である。例えば、液体の循環経路との接続部を入口バッファ部の下端側に配置すれば、液体が接続部から入口バッファ部に流入すると、液体に含まれる気泡は液体の上向きの流れ及び浮力の作用によって入口バッファ部の上部に浮き上がるので、入口バッファ部内の液体を下端側の接続部から気泡を含まない状態でポンプ室に供給することができる。仮に、液体に含まれる気泡がポンプ室に溜まると、液体を加圧する妨げとなって循環能力(液体を圧送する能力)が低下するところ、入口バッファ部を気泡のトラップとして利用すれば、気泡に起因する循環能力の低下を抑制することができる。
【0017】
さらに、入口バッファ部の上端側に開閉可能な開放口を設けておいてもよく、こうすれば、開放口を開けることで、入口バッファ部の上部に溜まった気泡を開放口から排出することができる。また、このような開放口は、入口バッファ部に液体を補充するための注入口として利用することも可能である。すなわち、ポンプ室から圧送される液体が液体流路(例えば、チューブ)に浸透する等によって入口バッファ部内の液体が減少した場合には、開放口を開けて入口バッファ部に液体を簡単に補充することができる。
【0018】
また、前述の液体循環装置では、入口バッファ部を、液体の循環経路から分岐した位置ではなく、液体の循環経路の一部として含まれるように設けてもよい。こうすれば、入口バッファ部内の液体を含めて循環経路を循環する液体の総量(入口バッファ部内の液体の循環する割合)が、入口バッファ部を液体の循環経路から分岐した位置に設ける場合に比べて多くなる。このため、冷却媒体を循環させる冷却装置に液体循環装置を適用する場合において、冷却媒体として循環する液体の総量が多くなり、熱容量が増加するので、冷却効率を向上させることができる。さらに、入口バッファ部の表面積を広く確保しておくことで、液体の放熱を促進することができる。
【0019】
また、上述した本発明の液体循環装置は、装置周辺の温度の変化に伴う内部圧力の変化を抑制し、装置周辺の温度の変化に対する安定性を確保することができる。このため、機器の筐体内の温度が高温になったり、低温下で保管されたりすることのある電子機器に組み込む液体循環装置として特に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施例の液体循環装置の構成を示した説明図である。
【図2】循環ポンプの動作により液体チューブ内を液体が循環する様子を示した説明図である。
【図3】フィルムパックの構成を示した説明図である。
【図4】液体循環装置を電子機器に適用する例を示した説明図である。
【図5】装置周辺の温度の変化に伴う液体チューブの内部圧力の変化を測定した結果を示した説明図である。
【図6】液体に含まれる気泡(空気)がフィルムパックで除去される様子を示した説明図である。
【図7】変形例の液体循環装置の構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.液体循環装置の構成:
B.循環ポンプの動作:
C.フィルムパックの構成:
D.電子機器への適用例:
E.変形例:
【0022】
A.液体循環装置の構成 :
図1は、本実施例の液体循環装置10の構成を示した説明図である。図示されているように、本実施例の液体循環装置10では、液体が流れる液体チューブ200や、液体チューブ200の液体を循環させる循環ポンプ100などによって密閉系の循環経路が構成されている。
【0023】
本実施例の循環ポンプ100は、大まかには、圧電素子ケース110と流路ケース140とを合わせて構成されている。圧電素子ケース110には、流路ケース140と合わさる面のほぼ中央に、圧電素子ケース110を貫通する円形断面の貫通穴110hが形成されており、貫通穴110hの底部は、底板112によって堅固に塞がれている。この圧電素子ケース110の貫通穴110hには、積層型の圧電素子114が収納されており、圧電素子114の底部は、底板112に固着されている。また、圧電素子114の上端には、円形の補強板116が取り付けられており、更に、補強板116の上面には、金属薄板などで形成された円形のダイアフラム118が固着されている。ダイアフラム118の外径は、貫通穴110hの内径よりも大きくなっており、ダイアフラム118を補強板116に固着した状態では、ダイアフラム118が圧電素子ケース110の上面(流路ケース140と合わさる面)に接するように補強板116の厚さが設定されている。
【0024】
一方、流路ケース140には、圧電素子ケース110と合わさる面に円形の凹部140cが形成されており、この凹部140cには、環状をした環状部材120が嵌め込まれている。環状部材120の内径はダイアフラム118の外径よりも小さくなっており、流路ケース140と圧電素子ケース110とを合わせてネジ止め等で固定すると、ダイアフラム118が環状部材120と圧電素子ケース110との間に挟まれた状態となる。その結果、流路ケース140の凹部140c、環状部材120の内周面、およびダイアフラム118によって囲まれたポンプ室130が形成される。尚、詳しくは後述するが、圧電素子114が伸長または収縮してダイアフラム118が変形すると、ポンプ室130の容積が変化することになる。
【0025】
また、流路ケース140には、ポンプ室130に液体を導く液室146や、流路ケース140の側面に接続された液体チューブ200の一端までポンプ室130内の液体を導く出口流路142や、流路ケース140の側面に接続された液体チューブ200の他端から供給される液体を液室146へと導く入口流路144が設けられている。
【0026】
液室146は、一端が流路ケース140の上面側(圧電素子ケース110と合わさる面とは反対側)に開口するとともに、他端がポンプ室130に開口しており、ポンプ室130側に向かって細く(断面積が小さく)形成されている。入口流路144は、液室146の途中に接続されている。また、液室146のポンプ室130側の端部には、逆止弁148が設けられており、液室146からポンプ室130への液体の流入は許容するが、ポンプ室130から液室146への液体の逆流は阻止するようになっている。さらに、流路ケース140の上面側に開口する液室146の端部には、ガスバリア性と耐熱性とを備えた柔軟なフィルムによって形成されたフィルムパック160の接続部材162が気密に嵌め込まれている。尚、本実施例のフィルムパック160は、流路ケース140に対して着脱可能となっている。このフィルムパック160の構成については、後ほど別図を用いて詳しく説明する。
【0027】
また、液体チューブ200には、耐圧性を有するシリコンチューブや樹脂チューブが採用されている。以上のように構成された液体循環装置10では、循環ポンプ100の圧電素子114を駆動することによって、次のようにして液体チューブ200内の液体を循環させるようになっている。
【0028】
B.循環ポンプの動作 :
図2は、循環ポンプ100の動作により液体チューブ200内を液体が循環する様子を示した説明図である。先ず、図2(a)には、循環ポンプ100が動作していない状態(圧電素子114に駆動電圧を印加する前の状態)が示されている。この状態で、ポンプ室130には全て液体が満たされている。
【0029】
図2(a)のようにポンプ室130に液体が満たされた状態で、圧電素子114に駆動電圧を印加すると、図2(b)に示すように圧電素子114が駆動電圧の増加によって伸長し、補強板116を介してダイアフラム118をポンプ室130に向けて押すので、ポンプ室130の容積が減少し、ポンプ室130内の液体が加圧される。このとき、逆止弁148は閉鎖状態となり、ポンプ室130から液室146への液体の逆流が阻止されるので、ポンプ室130の容積が減少した分の液体が出口流路142を通って、液体チューブ200に向けて圧送される。尚、本実施例の圧電素子114は、本発明の「駆動部」に相当している。
【0030】
こうして液体チューブ200に液体が送り込まれると、液体チューブ200内の液体が次々に下流側へ押し流されることになる。また、前述したように、本実施例の液体循環装置10では、液体チューブ200と循環ポンプ100とによって密閉系が構成されており、液体チューブ200から押し出されて循環ポンプ100に戻った液体は、入口流路144を通ってフィルムパック160へと流入する。ここで、フィルムパック160は、柔軟なフィルムで形成されているとともに、液体が充填されて完全に張った状態ではなく、未だ膨らむ余裕を残した状態で取り付けられている。従って、液体チューブ200から戻った液体がフィルムパック160に流入しても、フィルムパック160が膨らむことにより、フィルムパック160内や、フィルムパック160と連通する液室146内の圧力が高まることはない。尚、本実施例のフィルムパック160は、本発明の「入口バッファ部」に相当している。
【0031】
続いて、図2(c)に示すように圧電素子114が駆動電圧の減少によって収縮して元の長さに戻ると、それに伴ってポンプ室130の容積が増加(元の容積に復元)する。このとき、ポンプ室130内は負圧になるので、逆止弁148が開放状態となって、液室146からポンプ室130に液体が吸い込まれる。尚、ポンプ室130内の負圧は、出口流路142にも作用するが、出口流路142の流路抵抗は、液室146や逆止弁148の流路抵抗よりも小さく設定されているので、出口流路142よりも液室146からポンプ室130に液体が流入し易くなっている。また、液室146は、フィルムパック160と連通しており、フィルムパック160内に十分な量の液体が確保されているので、滞ることなく液体をポンプ室130に供給することができる。そして、フィルムパック160内の液体がポンプ室130に供給されるのに伴って、フィルムパック160が萎むことにより、液室146内やフィルムパック160内が負圧となり難い。
【0032】
こうして容積が回復したポンプ室130に液体が満たされた後、再び圧電素子114が駆動電圧の増加によって伸長すると、図2(b)のようにポンプ室130内で加圧された液体が液体チューブ200に向けて圧送される。循環ポンプ100が以上のような動作を繰り返すことによって、本実施例の液体循環装置10では、液体チューブ200内の液体を循環させることが可能となっている。
【0033】
C.フィルムパックの構成 :
図3は、フィルムパック160の構成を示した説明図である。図3(a)には、フィルムパック160の分解斜視図が示されている。フィルムパック160は、ガスバリア性と耐熱性とを備えた一対の柔軟なフィルム164と、連通穴162aが設けられてフィルムパック160を液室146と着脱可能に接続するための接続部材162と、開閉可能な開放口が設けられた開放口部材166とから構成されている。一対のフィルム164は、略長方形状に形成されており、長手方向の一端側に接続部材162を挟み、他端側に開放口部材166を挟んだ状態で一対のフィルム164の周囲を熱圧着などで気密に貼り合わせることによってフィルムパック160が形成される。
【0034】
図3(b)には、一対のフィルム164を貼り合わせて形成されたフィルムパック160が示されている。尚、図3(b)では、熱圧着などによって貼り合わされたシール部がハッチングを付して表されている。図3(b)に示すようにフィルムパック160は、内部に液体を収容していない状態では、一対のフィルム164が互いに接した状態となっている。
【0035】
これに対して、接続部材162の連通穴162aを通ってフィルムパック160に液体が流入すると、図3(c)に示すように、一対のフィルム164が互いに離れることによってフィルムパック160が膨らむ(容積が増加する)ので、一対のフィルム164の間に液体を収容することができる。また、フィルムパック160内の液体が接続部材162の連通穴162aを通って流出すると、一対のフィルム164が互いに接近してフィルムパック160が萎む(容積が減少する)ことになる。このようにフィルムパック160は、内部に収容する液体量に応じて変形可能となっている。
【0036】
図3(d)には、フィルムパック160に用いられるフィルム164の構造が例示されている。図示したフィルム164は、多層構造になっており、耐衝撃性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)の外層と、耐液体性に優れたポリプロピレン(PP)の内層との間にアルミ箔の中層が設けられ、各層が接着剤で貼り合わされている。このようにアルミ箔の中層を設けることによって、フィルムの強度を高めるとともに、ガスバリア性を高めることができる。このような構成のフィルムパック160は、耐熱性に優れ、高温(例えば、〜150℃)での取り扱いが可能であるとともに、柔軟性を有し、変形が容易である。また、軽量化を実現できることに加えて、熱圧着で簡単に形成することができるという特徴がある。
【0037】
尚、フィルムパック160に用いられるフィルム164の構造は、図3(d)に示した構造に限られるわけではなく、例えば、中層としてアルミ箔に代えて、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)や、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等を用いてもよい。また、ポリアミド(ナイロン)の外層とポリプロピレン(PP)の内層とを直接接着剤で貼り合わせて透明なフィルムとしてもよく、これにより、フィルムパック160の内部(液体の量や、液体の流れ)を視認することが可能となる。
【0038】
以上のような構成を有する液体循環装置10は、液体チューブ200の流路抵抗が大きい(液体チューブ200が長く、断面積が小さい)場合であっても、循環ポンプ100のポンプ室130の容積変化を利用して液体を圧送するので、液体チューブ200内の液体を循環させることが可能である。また、駆動部として圧電素子114を用いることで循環ポンプ100自体の小型化も図れるので、電子機器への適用が期待される。以下では、液体循環装置10を電子機器に適用する例について簡単に説明する。
【0039】
D.電子機器への適用例 :
図4は、液体循環装置10を電子機器に適用する例を示した説明図である。図4には、電子機器として、プロジェクター300に本実施例の液体循環装置10を適用する例が示されている。図4(a)に示されるようにプロジェクター300は、複数の光学部品から構成される光学系と、光学部品を冷却する冷却装置330と、図示しない電源ユニットと、図示しない制御ユニットなどが、外装筺体320の内部に収納されることによって構成されている。光学系は、光束を射出する光源322と、画像情報に応じて光変調を行う液晶ライトバルブ324と、ダイクロイックプリズム326と、投射レンズ328などから構成されている。
【0040】
光源322としては、R色光を射出するR光源322Rと、G色光を射出するG光源322Gと、B色光を射出するB光源322Bの、3つの光源322R〜322Bが搭載されている。これら各色の光源322R〜322Bには、LED素子や、レーザーダイオード、有機EL素子、シリコン発光素子などの各種の固体発光素子を用いることができる。また、各色の光源322R〜322Bは、それぞれに設けられた液晶ライトバルブ324に向けて光束を射出する。
【0041】
液晶ライトバルブ324は透過型の液晶パネルであり、図示しない制御装置からの駆動信号に基づいて、液晶セル内の液晶分子の配列を変化させて光を透過あるいは遮断することによって、画像情報に応じた光学像を形成する。尚、液晶セルで光を透過させたり、遮断したりする動作を「光変調」と呼ぶことがある。液晶ライトバルブ324で光変調を行う結果、光源322Rからの光束を受ける液晶ライトバルブ324RではR光学像が形成され、光源322Gからの光束を受ける液晶ライトバルブ324GではG光学像が形成され、光源322Bからの光束を受ける液晶ライトバルブ324BではB光学像が形成される。こうして得られた各色の光学像は、ダイクロイックプリズム326に向けて射出される。
【0042】
ダイクロイックプリズム326は、4つの直角プリズムを貼り合わせて構成されたほぼ立方体形状の光学素子である。直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。誘電体多層膜は、膜厚の設定によって特定の波長の光のみを反射し、その他の光を透過する性質がある。この性質を利用して、ダイクロイックプリズム326では、液晶ライトバルブ324から射出された色光を投射レンズ328の方向に向けて反射する。それぞれの液晶ライトバルブ324R〜324Bからの色光が投射レンズ328に向けて反射される結果、各色光による光学像が合成されて、カラー画像として投射レンズ328に向けて射出される。そして投射レンズ328は、図示しないスクリーン上にカラー画像を投影することによって拡大表示する。
【0043】
ここで、光源322は光を射出すると同時に発熱する。そこで、前述した密閉系の液体循環装置10が、次のように各色の光源322R〜322Bを冷却するための冷却装置330として適用されている。尚、本実施例では、冷却装置330を用いて光源322を冷却しているが、他の部品(例えば液晶ライトバルブ324や、電源ユニットなど)を冷却してもよい。
【0044】
図4(b)は、冷却装置330の構成を示した説明図である。尚、図4(a)を用いて前述したように、冷却装置330は、各色の光源322R〜322Bのそれぞれに(合計で3つ)設けられているが、何れの構成も同様であるため、以下では、1つの冷却装置330について説明する。
【0045】
図示されるように冷却装置330は、前述した液体循環装置10を構成する循環ポンプ100及び液体チューブ200を備えている。液体チューブ200の途中には、光源322からの熱を液体に吸収させる受熱部334や、液体の熱を放熱させる放熱部336が設けられており、循環ポンプ100を駆動することによって、冷却媒体としての液体(例えば、水、エチレングリコール水溶液、プロピレングリコール水溶液、シリコンオイルなど)が液体チューブ200、受熱部334、放熱部336を循環するようになっている。尚、図4(b)は、冷却媒体が流れる方向が、破線の矢印によって示されている。
【0046】
受熱部334では、金属などの熱伝導率の高い材質で形成された図示しない伝熱部材に液体が接触して流れるようになっており、伝熱部材は、光源322の熱を持つ部分に接触している。このため、光源322の熱が伝熱部材を介して液体に伝達されて光源322が冷却される。放熱部336は、いわゆるラジエーターであり、内部を流れる液体の温度を、表面に形成された複数の放熱フィンから空気中に放熱する。その結果、放熱部336を通過した液体は冷やされた状態で、循環ポンプ100に還流される。
【0047】
また、冷却装置330には、放熱部336での放熱を促進するための冷却促進ユニットも搭載されている。この冷却促進ユニットは、冷却ファン340と、冷却ファン340を回転させるファンモーター342と、ファンモーター342の動作を制御するモーター制御部344と、温度センサー346などから構成されている。温度センサー346は光源322の近傍に配置されており、光源322の温度を検出して、検出した温度をモーター制御部344に出力する。モーター制御部344は、検出された温度に基づいてファンモーター342の動作を制御する。例えば、温度センサー346で検出した温度が高い場合には、ファンモーター342の回転速度を増加させることによって放熱部336での放熱を促進させる。すると、放熱部336から流出する液体の温度が低下し、より温度の低い液体が受熱部334に供給される結果、光源322の温度を下げることが可能となる。
【0048】
以上のように密閉系の液体循環装置10を電子機器における冷却装置等に適用する場合、機器の筐体内の温度が高くなることがあることから、こうした装置周辺の温度の変化に対する安定性が液体循環装置10にも求められる。本実施例の液体循環装置10では、循環ポンプ100の液室146と連通するフィルムパック160が設けられていることから、装置周辺の温度の変化に対する安定性を確保することが可能となっている。以下では、この点について詳しく説明する。
【0049】
図5は、フィルムパック160を設けた場合と設けていない場合とで、装置周辺の温度の変化に伴う液体チューブ200の内部圧力の変化を測定した結果を示したグラフである。図5には、液体循環装置10の全体を恒温槽内に置き、恒温槽の設定温度を変えながら液体チューブ200の内部圧力を測定した結果が示されている。図中の黒塗りの丸印は、フィルムパック160を設けていない場合(フィルムパック160に代えて、単に液体を収容する容積変化のない液体収容室を設けた場合)を示しており、図中の白抜きの丸印は、フィルムパック160を設けた場合を示している。
【0050】
先ず、黒塗りの丸印で示すように、フィルムパック160が設けられていない場合は、恒温槽の温度を上昇させると、液体チューブ200の内部圧力が増加している。これは、装置周辺の温度の上昇により液体チューブ200内の液体が熱膨張することに起因する。つまり、液体の体積が増加しても、容積が定められた密閉系では液体の逃げ場がないので、液体チューブ200の内部圧力が増加することになる。図5に示した例では、恒温槽の温度を40℃まで上昇させると、液体チューブ200の内部圧力が0.4MPa付近にまで達し、更に恒温槽の温度を上昇させると、循環ポンプ100の接合の弱い部分から液体が漏れ出してしまい、液体チューブ200の内部圧力が低下する結果となった。
【0051】
これに対して、白抜きの丸印で示すように、フィルムパック160が設けられている場合は、恒温槽の温度を上昇させても、液体チューブ200の内部圧力に大きな変化はない。前述したようにフィルムパック160は、内部に収容する液体量に応じて変形可能である。このため、装置周辺の温度の上昇により液体チューブ200内の液体が熱膨張すると、その体積が増加した分の液体がフィルムパック160に流入して、フィルムパック160が膨らむ(一対のフィルム164が互いに離れて容積が増加する)ことになる。このように、液体チューブ200内の液体が熱膨張しても、その熱膨張をフィルムパック160が変形することで吸収できるので、液体チューブ200の内部圧力の増加が抑制される。
【0052】
また、上記とは逆に、機器が低温下(例えば、5℃)に置かれることがある。フィルムパック160が設けられていない場合は、装置周辺の温度の低下により液体チューブ200内の液体が収縮して液体チューブ200の内部圧力が負圧(大気圧よりも低い圧力)になる。その負圧によって循環ポンプ100の接合の弱い部分から空気が混入することがあり、混入した空気がポンプ室130に溜まると、液体を加圧する妨げとなって循環能力(液体を圧送する能力)が低下してしまう不具合が生じる。一方、フィルムパック160が設けられている場合は、装置周辺の温度の低下により液体チューブ200内の液体が収縮しても、その体積が減少した分の液体がフィルムパック160から供給されて、フィルムパック160が萎む(一対のフィルム164が互いに接近して容積が減少する)ことにより、液体チューブ200の内部圧力が負圧になることはなく、結果として、循環能力が低下する不具合の発生を防止することができる。
【0053】
以上に説明したように、本実施例の液体循環装置10では、循環ポンプ100の液室146に連通するフィルムパック160が設けられており、このフィルムパック160は、内部に収容する液体量に応じて変形可能となっている。そのため、装置周辺の温度の変化により液体チューブ200内の液体が膨張または収縮しても、そうした液体の体積変化をフィルムパック160が変形することで吸収できるので、装置周辺の温度の変化に伴う液体チューブ200の内部圧力の変化を抑制することができる。結果として、装置周辺の温度の変化に対する液体循環装置10の安定性を確保することができ、液体循環装置10を電子機器に適用することが可能となる。
【0054】
尚、フィルムパック160の大きさは、液体循環装置10が組み込まれる電子機器で想定される装置周辺の温度の範囲に応じて設定されることが望ましい。例えば、液体チューブ200内に水(膨張率:約0.02%/℃)が満たされており、プロジェクター300の筐体内の想定される装置周辺の温度の範囲が5℃から80℃である場合は、この「75℃」の装置周辺の温度の変化に伴って、液体チューブ200内の液体の体積が約1.5%変化することになるので、フィルムパック160の大きさは、液体チューブ200および循環ポンプ100の容積に対して、少なくとも1.5%の体積変化を吸収可能な大きさに設定されることが望ましい。
【0055】
また、本実施例のフィルムパック160は、ポンプ室130の直前の液室146に接続されている。これにより、循環ポンプ100を駆動してポンプ室130に液体を吸入する際には、フィルムパック160内の液体がポンプ室130に供給されるのに伴ってフィルムパック160が萎む(一対のフィルム164が互いに接近して容積が減少する)ことで、液室146やフィルムパック160が負圧になり難く、ポンプ室130に液体を遅滞なく安定して供給することができる。
【0056】
また、本実施例のフィルムパック160は、液体チューブ200を巡って循環ポンプ100に戻った液体が入口流路144および液室146を通ってポンプ室130に流入する循環経路に直接的に含まれているわけではなく、この循環経路から分岐させた位置に液室146と連通して設けられている。このため、本実施例のフィルムパック160は、液体に含まれる気泡(空気)を除去するトラップとして利用することができる。以下、この点について補足して説明する。
【0057】
図6は、液体に含まれる気泡(空気)がフィルムパック160で除去される様子を示した説明図である。図示されているように、連通穴162aを有する接続部材162が下端側となるようにフィルムパック160を配置しておけば、液体チューブ200を循環する液体が入口流路144を通って接続部材162の連通穴162aからフィルムパック160に流入すると、液体の上向きの流れ及び浮力の作用によって、液体に含まれる気泡はフィルムパック160の上部に浮き上がることになる。そして、フィルムパック160内の液体は下端側の連通穴162aから気泡を含まない状態でポンプ室130に供給される。前述したように、ポンプ室130に空気が溜まると、液体を加圧する妨げとなって循環能力(液体を圧送する能力)が低下するところ、本実施例の液体循環装置10では、ポンプ室130より上流側のフィルムパック160を、液体に含まれる気泡を除去するトラップとして利用できるので、気泡に起因する循環能力の低下を抑制することができる。
【0058】
また、本実施例のフィルムパック160では、接続部材162とは反対側の端部(図中の上端側)に、開放口166aを有する開放口部材166が取り付けられている。この開放口166aは、開閉弁166bを閉じることで密閉可能であるとともに、開閉弁166bを開けることで開放可能となっている。このため、フィルムパック160の上部に溜まった空気は、開閉弁166bを開けて開放口166aから排出することができる。さらに、このような開放口166aを設けておけば、フィルムパック160に液体を補充するための注入口として利用することも可能である。すなわち、液体チューブ200には、循環ポンプ100によって加圧された液体が流れることから、液体チューブ200に液体が浸透することによってフィルムパック160内の液体が徐々に減少することがある。この場合には、開閉弁166bを開けて開放口166aからフィルムパック160に液体を簡単に補充することができる。
【0059】
さらに、液体の循環経路から分岐した位置にフィルムパック160を接続することで、液体の循環経路を崩すことなく、簡便に着脱可能なフィルムパック160の構成を実現することができる。その結果、フィルムパック160の交換などのメンテナンスが容易となる。
【0060】
E.変形例 :
以上に説明した実施例の液体循環装置10では、液体の循環経路から分岐した位置にフィルムパック160が接続されていた。しかし、フィルムパック160が液体の循環経路一部として含まれる構成としてもよい。以下では、フィルムパック160が液体の循環経路に含まれている変形例について説明する。尚、変形例の説明にあたっては、前述した実施例と同様の構成部分については、先に説明した実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
図7は、変形例の液体循環装置10の構成を示した説明図である。図示されているように、変形例の循環ポンプ100では、流路ケース140に入口流路144が設けられておらず、代わりに、入口流路144を有する導入部材174がフィルムパック160の一対のフィルム164の間に挟まれた状態でフィルムパック160の一端に取り付けられており、この導入部材174に液体チューブ200が接続されている。従って、循環ポンプ100から圧送されて液体チューブ200を巡った液体は、導入部材174の入口流路144を通ってフィルムパック160に必ず流入することになる。
【0062】
また、フィルムパック160の一方のフィルム164面には、連通穴172aを有する接続部材172が熱圧着などで取り付けられており、この接続部材172が流路ケース140の液室146の端部に気密に嵌め込まれている。このため、循環ポンプ100の駆動によりポンプ室130に液体を吸入する際には、フィルムパック160内の液体が接続部材172の連通穴172aおよび液室146を通ってポンプ室130に供給される。
【0063】
このような変形例の液体循環装置10においても、前述した実施例と同様に、フィルムパック160は、内部に収容する液体量に応じて変形可能であり、装置周辺の温度の変化によって液体チューブ200内の液体が膨張または収縮しても、液体の体積変化をフィルムパック160が変形する(容積が増減する)ことで吸収できるので、装置周辺の温度の変化に伴う液体チューブ200の内部圧力の変化を抑制することができる。
【0064】
また、変形例の液体循環装置10では、フィルムパック160自体が液体の循環経路の一部を構成しているので、フィルムパック160内の液体を含めて循環経路を循環する液体の総量(フィルムパック160内の液体の循環する割合)が、前述した実施例(フィルムパック160が液体の循環流路から分岐した位置に接続されている場合)に比べて多くなる。このため、液体循環装置10を冷却装置として電子機器に適用する場合において、冷却媒体として循環する液体の総量が多くなり、熱容量が増加するので、冷却効果を向上させることができる。
【0065】
さらに、フィルムパック160が液体の循環経路の一部を構成することで、フィルムパック160の広い表面積を利用して液体の放熱を促進することができる。特に、前述したように、フィルムパック160のフィルムとして、熱伝導性の高いアルミ層を含むフィルムを用いれば、放熱部(いわゆるラジエター)として更に冷却効果を向上させることができる。
【0066】
以上、各種の実施形態を説明したが、本発明は上記すべての実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0067】
例えば、前述した実施例および変形例では、液室146に連通する入口バッファ部がフィルムパック160で構成されていたが、入口バッファ部は、液体チューブ200内の液体の膨張または収縮による体積変化(圧力変化)を吸収可能であれば、フィルムパック160の形態に限られるわけではない。例えば、フィルムパック160に代えて、一面がフィルムで構成された箱状の入口バッファ室を設けることとして、液体チューブ200内の液体の膨張または収縮を、入口バッファ室のフィルムの変形による容積変化で吸収するようにしてもよい。尚、前述した実施例や変形例のようにフィルムパック160であれば、フィルム164を熱圧着で封止して簡単に形成できるとともに、箱状の入口バッファ室に比べて小型化や軽量化を図ることができる。
【0068】
また、本発明は、あらゆる電子機器の液体循環装置として好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10…液体循環装置、 100…循環ポンプ、 110…圧電素子ケース、
114…圧電素子、 118…ダイアフラム、 130…ポンプ室、
140…流路ケース、 142…出口流路、 144…入口流路、
146…液室、 148…逆止弁、 160…フィルムパック、
162…接続部材、 162a…連通穴、 166…開放口部材、
166a…開放口、 200…液体チューブ、 300…内視鏡、
310…操作部、 320…接続部、 330…挿入部、
332…対物レンズ、 334…照明部、 336…鉗子口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れる液体流路と、該液体流路の液体を循環させる循環ポンプとを含んで密閉系に構成される液体循環装置であって、
前記循環ポンプは、
容積が変更可能なポンプ室と、
前記ポンプ室の容積を変動させる駆動部と、
前記ポンプ室から前記液体流路に向けて液体が流出する出口流路と、
前記液体流路を循環した液体が流入する入口バッファ部と、
前記入口バッファ部から前記ポンプ室に液体を供給する液室と、
前記液室と前記ポンプ室との間に設けられた逆止弁と
を備え、
前記入口バッファ部は、前記液体流路内の液体の膨張または収縮に応じて容積を変更可能に形成されている液体循環装置。
【請求項2】
前記入口バッファ部は、フィルムを袋状に封止して形成されるフィルムパックであることを特徴とする請求項1に記載の液体循環装置。
【請求項3】
前記フィルムパックは、アルミで形成されたフィルムを少なくとも含む多重のフィルムで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体循環装置。
【請求項4】
前記入口バッファ部は、前記循環ポンプに着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の液体循環装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の液体循環装置が組み込まれた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−108378(P2013−108378A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252355(P2011−252355)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】