説明

液体流量制御装置

【課題】微少な吐出量を制御可能な液体流量制御装置を提供すること。
【解決手段】電気制御装置200は、第2バルブ4を閉弁状態に維持しながら第1バルブ3を開弁することによって第1通路13をダイアフラムポンプ2に連通し、ダイアフラムポンプ2に通電することによって第1通路13内の液体をダイアフラムポンプ2内に吸引し、その後、第1バルブ3を閉弁することによって第1通路13を遮断するとともにダイアフラムポンプ2への通電を停止することによってダイアフラムポンプ2を原状へ復帰可能な停止状態に維持し、第2バルブ4を開弁開始することによってダイアフラムポンプ2を原状へ復帰開始させ、ダイアフラムポンプ2の原状への復帰途中で第2バルブ4を閉弁する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体流量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)や微細加工技術などの技術が進展し、生化学、免疫などの医用分析装置、遺伝子の識別や細胞の培養、操作に関する生命工学研究機器などにおいて、装置の小型化、可搬化が進んでいる。この種の装置においては、検査に用いる試薬が高価であり、また微量の検体を分析することが要求される。このため、バルブ、ポンプなどの流体制御デバイスに小型化が求められるとともに、微少流量を制御する必要性がある。
【0003】
従来、ステッピングモータをアクチュエータとするシリンジポンプを使用し、ステッピングモータに送るパルス数を制御することで微少な吐出量を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−18996公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術によると、ポンプが高価でしかも大型であり、また、大きな騒音を発生するため、装置の小型化、可搬化を達成することが困難である。
【0005】
本発明は、上記の点にかんがみなされたものであり、微少な吐出量を制御可能な液体流量制御装置を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、装置の小型化、可搬化を達成可能な液体流量制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体流量制御装置は、吸引口から液体を吸引し、吐出口から微量の液体を吐出する液体流量制御装置であって、ダイアフラムポンプと、前記吸引口から前記ダイアフラムポンプに至る第1通路を開放及び遮断する第1バルブと、前記ダイアフラムポンプから前記吐出口に至る第2通路を開放及び遮断する第2バルブと、前記ダイアフラムポンプ、前記第1バルブ及び前記第2バルブを各々駆動制御する電気制御装置とを備え、前記電気制御装置は、前記第2バルブを閉弁状態に維持しながら前記第1バルブを開弁することによって前記第1通路を前記ダイアフラムポンプに連通し、前記ダイアフラムポンプに通電することによって前記第1通路内の液体を前記ダイアフラムポンプ内に吸引し、その後、前記第1バルブを閉弁することによって前記第1通路を遮断するとともに前記ダイアフラムポンプへの通電を停止することによって前記ダイアフラムポンプを後述する原状へ復帰可能な停止状態に維持し、前記第2バルブを開弁開始することによって前記ダイアフラムポンプを原状へ復帰開始させ、該ダイアフラムポンプの原状への復帰途中で前記第2バルブを閉弁する制御を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明によると、ダイアフラムポンプの原状復帰前における第2バルブの開弁時間に応じて液体が吐出されるようになるため、第2バルブの開弁時間を短く設定することによりマイクロリットルオーダーの微量の液体を吐出することが可能になる。また、第2バルブの開弁時間を調整することにより、液体の吐出量を自由に制御することができる。
【0008】
また、本発明の液体流量制御装置は、吸引口から液体を吸引し、複数の吐出口の各吐出口から微量の液体を吐出する液体流量制御装置であって、ダイアフラムポンプと、前記吸引口から前記ダイアフラムポンプに至る第1通路を開放及び遮断する第1バルブと、前記ダイアフラムポンプから前記各吐出口に至る第2通路を開放及び遮断する第2バルブと、前記ダイアフラムポンプ、前記第1バルブ及び前記複数の第2バルブを各々駆動制御する電気制御装置とを備え、前記電気制御装置は、前記各第2バルブを閉弁状態に維持しながら前記第1バルブを開弁することによって前記第1通路を前記ダイアフラムポンプに連通し、前記ダイアフラムポンプに通電することによって前記第1通路内の液体を前記ダイアフラムポンプ内に吸引し、その後、前記第1バルブを閉弁することによって前記第1通路を遮断するとともに前記ダイアフラムポンプへの通電を停止することによって前記ダイアフラムポンプを原状へ復帰可能な停止状態に維持し、前記複数の第2バルブのうちの1つの第2バルブを開弁開始することによって前記ダイアフラムポンプを原状へ復帰開始させ、該ダイアフラムポンプの原状への復帰途中で当該開弁させた第2バルブを閉弁するとともに他の1つの第2バルブを開弁開始させ、前記ダイアフラムポンプの原状への復帰途中で当該開弁させた第2バルブを閉弁する制御を前記複数の第2バルブの全てに対して行うことを特徴とする。
【0009】
本発明によると、ダイアフラムポンプの原状復帰前における各第2バルブの開弁時間に応じて各吐出口から液体が吐出されるようになるため、各第2バルブの開弁時間を短く設定することによりマイクロリットルオーダーの微量の液体を吐出することが可能になる。また、各第2バルブの開弁時間を調整することにより、各吐出口間における液体の吐出量の比率を自由に制御することができる。
【0010】
ここで、前記ダイアフラムポンプは導電性形状記憶部材を備え、該導電性形状記憶部材への通電により前記第1通路内の液体が当該ダイアフラムポンプ内に吸引可能となり、前記導電性形状記憶部材への通電の停止により当該ダイアフラムポンプが原状へ復帰可能となるよう構成すると、従来のシリンジポンプを使用した場合と比べ、安価でしかも小型化、可搬化が可能となり、また、騒音は殆どなくなる。
【0011】
また、前記吸引口、前記吐出口、及び前記第1、第2通路は、四角平板状の流路部材に形成され、前記第1、第2バルブは同一の平面視四角形状に構成されるとともに、前記ダイアフラムポンプは平面視四角形状に構成され、前記第1、第2バルブは、互いに接近した状態で前記流路部材の上面に一列に配置され、前記ダイアフラムポンプは、前記第1、第2バルブの列と同列であって該第1、第2バルブの一方に接近した状態で前記流路部材の上面に配置され、前記第1、第2バルブ及び前記ダイアフラムポンプは、平面視で前記流路部材の上面全域を占めるよう該流路部材の上面に配置されるよう構成すると、装置の全体形状を直方体状にすることが可能となり、装置の小型化、可搬化を図ることができる。
【0012】
また、前記吐出口、及び前記第1、第2通路は複数組からなるとともに、前記吸引口は各組共通の吸引口からなり、前記複数組からなる吐出口、及び第1、第2通路、並びに共通の吸引口は、四角平板状の流路部材に形成され、前記各組の第1、第2バルブは各々同一の平面視四角形状に構成されるとともに、前記各組のダイアフラムポンプは各々平面視四角形状に構成され、前記各組の第1、第2バルブは、各々互いに接近した状態で前記流路部材の上面に一列に配置され、前記各組のダイアフラムポンプは、各々同じ組の第1、第2バルブの列と同じ列上に位置するとともに該第1、第2バルブの一方に接近した状態で前記流路部材の上面に配置され、前記各組の第1、第2バルブ及びダイアフラムポンプは、各々隣の組の第1、第2バルブ及びダイアフラムポンプの列と平行な列上に位置するとともに隣の組の第1、第2バルブ及びダイアフラムポンプに接近した状態で前記流路部材の上面に配置され、前記複数組の第1、第2バルブ及びダイアフラムポンプは、全体として平面視で前記流路部材の上面全域を占めるよう該流路部材の上面に配置されるよう構成すると、共通の吸引口から液体を吸引し、複数の吐出口から各々微量の液体を吐出させる装置の全体形状を直方体状にすることが可能となり、装置の小型化、可搬化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る液体流量制御装置の本体部の左側面断面図を含む構成図、図2は、同本体部の左側面図、図3は、同本体部の平面図、図4は、同本体部の正面図、図5は、同本体部のブロック図、図6は、エアー抜き制御のタイミングチャート、図7は、微量吐出制御のタイミングチャート、図8は、吐出口からの吸引制御のタイミングチャート、図9は、本発明の他の実施形態に係る液体流量制御装置の本体部のブロック図、図10は、同本体部の左側面図、図11は、同本体部の平面図、図12は、同本体部の正面図、図13は、本発明のさらに他の実施形態に係る液体流量制御装置の本体部の左側面図、図14は、同本体部のブロック図、図15は、微量吐出制御のタイミングチャートをそれぞれ示す。
【0015】
図1〜図5において、液体流量制御装置は、本体部100と電気制御装置200とで構成される。
【0016】
本体部100は、四角平板状の流路部材1と、流路部材1の上面に配置される直方体状のダイアフラムポンプ2と、流路部材1の上面に配置される略直方体状の第1バルブ3と、流路部材1の上面に配置される略直方体状の第2バルブ4とで構成される。第1、第2バルブ3、4は、互いに接近した状態で一列に配置される。ダイアフラムポンプ2は、第1バルブ3に接近した状態で、第1、第2バルブ3、4の列と同列に配置される。第1、第2バルブ3、4及びダイアフラムポンプ2は、全体として平面視で流路部材1の上面全域を占めるよう流路部材1の上面に配置される。
【0017】
流路部材1は、左側面に吸引口つまり本体吸引口11を、下面に吐出口つまり本体吐出口12をそれぞれ有する。流路部材1には、本体吸引口11から第1バルブ3の入力ポートつまり第1入力ポート31に至る第1通路形成用前半通路部13Aが形成されている。また、流路部材1には、第1バルブ3の出力ポートつまり第1出力ポート32からダイアフラムポンプ2の吸引口つまりダイアフラムポンプ吸引口21に至る第1通路形成用後半通路部13Bが形成されている。また、流路部材1には、ダイアフラムポンプ2の吐出口つまりダイアフラムポンプ吐出口22から第2バルブ4の入力ポートつまり第2入力ポート41に至る第2通路形成用前半通路部14Aが形成されている。また、流路部材1には、第2バルブ4の出力ポートつまり第2出力ポート42から本体吐出口12に至る第2通路形成用後半通路部14Bが形成されている。
【0018】
ダイアフラムポンプ2は、直方体状のハウジング23を有する。ハウジング23は、上下方向に貫通しており、下部に弁室23aを、上部にアクチュエータ室23bをそれぞれ有する。弁室23aとアクチュエータ室23bは、スプリング室23cを介して連通している。
【0019】
弁室23aには、弁体としてのダイアフラム24と、ダイアフラム24に連結固定されたプランジャー25の弁体側連結部25aが収容される。ダイアフラム24は、流路部材1の上面に密着するように配され、その外周部24aは、ハウジング23の下端面と流路部材1の上面との間に固定されている。
【0020】
アクチュエータ室23bには、プランジャー25のアクチュエータ側連結部25bが収容される。また、アクチュエータ室23bには、プランジャー25のアクチュエータ側連結部25bに連結され、プランジャー25を上方へ駆動するアクチュエータとしての紐状の導電性形状記憶部材26が収容される。導電性形状記憶部材26は、プランジャー25のアクチュエータ側連結部25bに設けられた2つのプーリー25c、25dと、ハウジング23のアクチュエータ室23bに設けられたプーリー23dとの間に、図1に示すようにW字状に掛渡されており、その両端部は、電気制御装置200へのリード線27と電気的に接続された状態でハウジング23の上端部にねじ止めされている。導電性形状記憶部材26は、通電により発熱すると短縮し、通電停止後は冷却するにしたがって伸長する性質を与えてある。
【0021】
スプリング室23cには、プランジャー25のアクチュエータ側連結部25bと弁体側連結部25aとを繋ぐ軸部25eと、この軸部25eの外周に配され、プランジャー25の弁体側連結部25aを下方へ付勢するスプリング28とが収容される。
【0022】
次に、上記の如き構成のダイアフラムポンプ2の基本的動作、つまりダイアフラムポンプ単体での動作を説明すると、電気制御装置200が導電性形状記憶部材26に対して通電をしていないときには、導電性形状記憶部材26は伸長状態にあり、プランジャー25の弁体側連結部25aに対しスプリング28による下方への付勢力が加わっており、ダイアフラム24は流路部材1の上面に密着している。
【0023】
電気制御装置200が導電性形状記憶部材26に対して通電を開始すると、導電性形状記憶部材26が発熱して短縮してゆき、スプリング28の下方への付勢力に抗してプランジャー25は上昇してゆき、ダイアフラム24は上方に引き上げられる。
【0024】
その後、電気制御装置200が導電性形状記憶部材26に対する通電を停止すると、導電性形状記憶部材26は冷却されるにしたがって伸長してゆき、スプリング28の下方への付勢力によってプランジャー25は下降してゆき、ダイアフラム24は流路部材1の上面に密着する。
【0025】
第1バルブ3は、直方体状のソレノイドバルブで構成される。第1バルブ3は、第1ボビン33aに第1コイル33bを巻回して構成される第1ソレノイド33を有する。第1コイル33bは、電気制御装置200への第1リード線34と電気的に接続されている。第1ボビン33aの上部中空部には、第1固定鉄心35が固定されている。第1ボビン33aの下部中空部には、第1可動鉄心36が上下方向へ移動可能に配される。第1可動鉄心36は、第1ばね37によって下方への付勢力を受けている。第1可動鉄心36の下端には、第1弁体としての第1ダイアフラム38が連結固定されている。第1ダイアフラム38は、第1バルブ3の入力ポートつまり第1入力ポート31、又は第1バルブ3の出力ポートつまり第1出力ポート32を塞ぐように配され、その外周部38aは、第1バルブボデー39によって固定されている。
【0026】
次に、上記の如き構成の第1バルブ3の基本的動作、つまり第1バルブ単体での動作を説明すると、電気制御装置200が第1コイル33bに対して通電をしていないときには、第1可動鉄心36に対し第1ばね37による下方への付勢力が加わっており、第1ダイアフラム38は第1入力ポート31、第1出力ポート32間を遮断している。
【0027】
電気制御装置200が第1コイル33bに対して通電を開始すると、第1固定鉄心35に磁力が発生し、第1可動鉄心36は第1固定鉄心35に向かって磁気吸引力を受けるようになり、第1ばね37の下方への付勢力に抗して第1可動鉄心36は上昇し、第1ダイアフラム38は第1入力ポート31、第1出力ポート32間を開放する。
【0028】
その後、電気制御装置200が第1コイル33bに対する通電を停止すると、第1固定鉄心35の磁力は消失し、第1可動鉄心36は、第1固定鉄心35から磁気吸引力を受けなくなり、第1ばね37の下方への付勢力によって下降し、第1ダイアフラム38は第1入力ポート31、第1出力ポート32間を遮断する。
【0029】
第2バルブ4は、第1バルブ3と同様に構成される。すなわち、第2バルブ4は、直方体状のソレノイドバルブで構成される。第2バルブ4は、第2ボビン43aに第2コイル43bを巻回して構成される第2ソレノイド43を有する。第2コイル43bは、電気制御装置200への第2リード線44と電気的に接続されている。第2ボビン43aの上部中空部には、第2固定鉄心45が固定されている。第2ボビン43aの下部中空部には、第2可動鉄心46が上下方向へ移動可能に配される。第2可動鉄心46は、第2ばね47によって下方への付勢力を受けている。第2可動鉄心46の下端には、第2弁体としての第2ダイアフラム48が連結固定されている。第2ダイアフラム48は、第2バルブ4の入力ポートつまり第2入力ポート41、又は第2バルブ4の出力ポートつまり第2出力ポート42を塞ぐように配され、その外周部48aは、第2バルブボデー49によって固定されている。
【0030】
第2バルブ4の基本的動作、つまり第2バルブ単体での動作は、第1バルブ3の基本的動作と同様である。すなわち、電気制御装置200が第2コイル43bに対して通電をしていないときには、第2可動鉄心46に対し第2ばね47による下方への付勢力が加わっており、第2ダイアフラム48は第2入力ポート41、第2出力ポート42間を遮断している。電気制御装置200が第2コイル43bに対して通電を開始すると、第2固定鉄心45に磁力が発生し、第2可動鉄心46は第2固定鉄心45に向かって磁気吸引力を受けるようになり、第2ばね47の下方への付勢力に抗して第2可動鉄心46は上昇し、第2ダイアフラム48は第2入力ポート41、第2出力ポート42間を開放する。その後、電気制御装置200が第2コイル43bに対する通電を停止すると、第2固定鉄心45の磁力は消失し、第2可動鉄心46は、第2固定鉄心45から磁気吸引力を受けなくなり、第2ばね47の下方への付勢力によって下降し、第2ダイアフラム48は第2入力ポート41、第2出力ポート42間を遮断する。
【0031】
電気制御装置200は、ダイアフラムポンプ2を駆動するダイアフラムポンプ駆動部201と、第1、第2バルブ3、4を駆動するバルブ駆動部202を有する。
【0032】
電気制御装置200は、本体部100に対し、エアー抜き制御(図6)と微量吐出制御(図7)と吐出口からの吸引吐出制御(図8)とを行うための駆動制御信号を出力する。以下、各制御モードを順に説明する。
【0033】
a.エアー抜き制御(図6)
エアー抜き制御は、微量吐出制御に先立って行われる制御モードであり、本体吸引口11は、液体供給源(図示せず)に連通され、本体吐出口12は、液体吐出対象つまり吐出した液体の送り先(図示せず)と連通される。
【0034】
電気制御装置200は、第2バルブ4の第2コイル43bへの通電をしない状態で第1バルブ3の第1コイル33bへの通電を開始する。第1コイル33bへの通電開始と略同時に、第1固定鉄心35に磁力が発生し、第1可動鉄心36は第1ばね37の付勢力に抗して第1固定鉄心35へ向かって移動し、第1ダイアフラム38は第1入力ポート31、第1出力ポート32間を開放する。このため、第1通路形成用前半通路13Aと第1通路形成用後半通路13Bとが連通し、つまり第1通路13が開放状態となり、第1通路13を介してダイアフラムポンプ吸引口21が本体吸引口11と連通状態となる。
【0035】
その後、電気制御装置200は、ダイアフラムポンプ2の導電性形状記憶部材26への通電を開始する。導電性形状記憶部材26への通電が開始されると、導電性形状記憶部材26は、発熱し始め、徐々に短縮してゆく。この導電性形状記憶部材26の短縮にしたがい、プランジャー25が上昇してゆき、ダイアフラム24は上昇してゆく。このダイアフラム24の上昇に伴い、ダイアフラムポンプ2に吸引力が発生し、第1通路13内のエアーがダイアフラムポンプ2の内部に吸引されるとともに、液体供給源から本体吸引口11を介して第1通路13内に液体が吸引される。
【0036】
導電性形状記憶部材26の短縮が終了してダイアフラム24が上昇位置まで上昇した後、第1バルブ3の第1コイル33bへの通電を停止する。第1バルブ3の第1コイル33bへの通電停止により、第1固定鉄心35の磁力が消失し、第1可動鉄心36は第1ばね37の付勢力によって下降し、第1ダイアフラム38が第1入力ポート31、第1出力ポート32間を遮断する。このため、第1通路13内に吸引された液体は、第1通路13内に保持されたままとなる。
【0037】
その後、電気制御装置200は、第2バルブ4の第2コイル43bへの通電を開始する。第2コイル43bへの通電開始と略同時に、第2固定鉄心45に磁力が発生し、第2可動鉄心46は第2ばね47の付勢力に抗して第2固定鉄心45へ向かって移動し、第2ダイアフラム48は第2入力ポート41、第2出力ポート42間を開放する。このため、第2通路形成用前半通路14Aと第2通路形成用後半通路14Bとが第2バルブ4を介して連通し、つまり第2通路14が開放状態となり、第2通路14を介してダイアフラムポンプ吐出口22が本体吐出口12と連通状態となる。
【0038】
第2コイル43bへの通電を開始した後、電気制御装置200は、ダイアフラムポンプ2の導電性形状記憶部材26への通電を停止する。導電性形状記憶部材26は通電停止により徐々に冷却され、伸長を開始する。ダイアフラムポンプ吐出口22が本体吐出口12と連通状態になると、ダイアフラムポンプ2の導電性形状記憶部材26の伸長にしたがい、プランジャー25がスプリング28の付勢力によって下降してゆき、ダイアフラム24は下降してゆく。このダイアフラム24の下降に伴い、ダイアフラムポンプ2の内部のエアーがダイアフラムポンプ吐出口22から第2通路14内へ押し出される。
【0039】
ダイアフラム24が下降位置まで下降した後、電気制御装置200は、第2バルブ4の第2コイル43bへの通電を停止する。この第2コイル43bへの通電停止により、第2固定鉄心45の磁力が消失し、第2可動鉄心46は第2ばね47の付勢力によって下降し、第2ダイアフラム48が第2入力ポート41、第2出力ポート42間を遮断する。
【0040】
その後、電気制御装置200は、再び第1コイル33bへの通電を開始し、以後上述した制御と同様な制御を繰り返し行う。この繰り返し制御により、本体吸引口11から本体吐出口12に至る第1、第2通路13、14内からエアーが抜け出て第1、第2通路13、14内が液体で満たされることになる。
【0041】
b.微量吐出制御(図7)
電気制御装置200は、第2バルブ4の第2コイル43bへの通電をしない状態で第1バルブ3の第1コイル33bへの通電を開始する。第1コイル33bへの通電開始と略同時に、第1固定鉄心35に磁力が発生し、第1可動鉄心36は第1ばね37の付勢力に抗して第1固定鉄心35へ向かって移動し、第1ダイアフラム38は第1入力ポート31、第1出力ポート32間を開放する。このため、第1通路形成用前半通路13Aと第1通路形成用後半通路13Bとが第1バルブ3を介して連通し、つまり第1通路13が開放状態となり、第1通路13を介してダイアフラムポンプ吸引口21が本体吸引口11と連通状態となる。
【0042】
その後、電気制御装置200は、ダイアフラムポンプ2の導電性形状記憶部材26への通電を開始する。導電性形状記憶部材26への通電が開始されると、導電性形状記憶部材26は、発熱し始め、徐々に短縮してゆく。この導電性形状記憶部材26の短縮にしたがい、プランジャー25が上昇してゆき、ダイアフラム24は上昇してゆく。このダイアフラム24の上昇に伴い、ダイアフラムポンプ2に吸引力が発生し、第1通路13内の液体がダイアフラムポンプ2の内部に吸引されるとともに、液体供給源から本体吸引口11を介して第1通路13内に液体が吸引される。
【0043】
ダイアフラム24が上昇位置まで上昇した後、電気制御装置200は、第1バルブ3の第1コイル33bへの通電を停止する。第1バルブ3の第1コイル33bへの通電停止により、第1固定鉄心35の磁力が消失し、第1可動鉄心36は第1ばね37の付勢力によって下降し、第1ダイアフラム38が第1入力ポート31、第1出力ポート32間を遮断する。次に、ダイアフラムポンプ2の導電性形状記憶部材26への通電を停止する。導電性形状記憶部材26は通電停止により徐々に冷却され、伸長を開始する。導電性形状記憶部材26が十分に伸長した後も、ダイアフラムポンプ2の内部に吸引された液体は、ダイアフラムポンプ2の内部に保持されたままとなる。ダイアフラムポンプ2のこの状態を、原状へ復帰可能な停止状態という。
【0044】
その後、電気制御装置200は、第2バルブ4の第2コイル43bへ短時間tだけ通電するとともに、この第2コイル43bへの通電停止時点に合せて第1バルブ3の第1コイル33bへの通電を開始する。ここで、第2コイル43bへの通電時間tは、ダイアフラムポンプ2のダイアフラム24が下降を開始する時点から下降を終了し流路部材1の上面に密着する時点までの時間よりも短い時間に設定しておく。
【0045】
この第2コイル43bへの短時間tの通電により、第2バルブ4は短時間tだけ開弁し、第2通路14が開放状態となり、第2通路14を介してダイアフラムポンプ吐出口22が本体吐出口12と連通状態となる。そして、この間、ダイアフラムポンプ2は、スプリング28の付勢力によるダイアフラム24の下降により、ダイアフラムポンプ2の内部の液体をダイアフラムポンプ吐出口22から第2通路14内へ押し出し、第2通路14内の液体が本体吐出口12から液体吐出対象へ吐出される。
【0046】
上記第2コイル43bへの通電を停止した後は、第2バルブ4が閉弁状態となり、第1バルブ3が開弁状態となり、ダイアフラムポンプ吐出口22が第1通路13を介して本体吸引口11と連通状態となるため、ダイアフラムポンプ2の内部の液体は、ダイアフラムポンプ吐出口22から第1通路13内へ押し出され、第1通路13内の液体が本体吸引口11から液体供給源へ吐出され、第2通路14内の液体は本体吐出口12から液体吐出対象へ吐出されない。
【0047】
ダイアフラムポンプ2の内部から液体が全て吐出された後、電気制御装置200は、第1コイル33bへの通電を停止し、第一回目の微量吐出制御を終了する。
【0048】
以後、上述した制御と同様な制御を繰り返すことにより、本体吐出口12から微量の液体が繰り返し液体吐出対象へ吐出されるようになる。
【0049】
c.吐出口12からの吸引吐出制御(図8)
この制御モードは、本体部100を移動させて本体吐出口12に液体供給源と液体吐出対象を切換接続して行われる。
【0050】
液体供給源に本体吐出口12を連通させた状態で、電気制御装置200は、第1バルブ3の第1コイル33bへの通電をしない状態で第2バルブ4の第2コイル43bへの通電を開始する。第2コイル43bへの通電により第2バルブ4は開弁状態となり、第2通路14を介してダイアフラムポンプ吐出口22が本体吐出口12と連通状態となる。
【0051】
その後、電気制御装置200は、ダイアフラムポンプ2の導電性形状記憶部材26への通電を開始する。導電性形状記憶部材26への通電により、ダイアフラムポンプ2は吸引状態となり、第2通路14内のエアーがダイアフラムポンプ2の内部に吸引されるとともに液体供給源から本体吐出口12を介して第2通路14内に液体が吸引される。
【0052】
その後、電気制御装置200は、第2バルブ4の第2コイル43bへの通電を停止し、その後、ダイアフラムポンプ2の導電性形状記憶部材26への通電も停止する。これにより、ダイアフラムポンプ2の内部に吸引されたエアーは、ダイアフラムポンプ2の内部に保持されたままとなる。
【0053】
次に、本体部100を移動し、本体吐出口12と液体供給源との連通状態を解除して本体吐出口12を液体吐出対象と連通状態にする。
【0054】
その後、第2バルブ4の第2コイル43bへ短時間tだけ通電する。ここで、第2コイル43bへの通電時間tは、ダイアフラムポンプ2のダイアフラム24が下降を開始する時点から下降を終了し流路部材1の上面に密着する時点までの時間よりも短い時間に設定しておく。
【0055】
この第2コイル43bへの短時間tの通電により、第2バルブ4は短時間tだけ開弁し、第2通路14が開放状態となり、第2通路14を介してダイアフラムポンプ吐出口22が本体吐出口12と連通状態となる。そして、この間、ダイアフラムポンプ2は、スプリング28の付勢力によるダイアフラム24の下降により、ダイアフラムポンプ2の内部のエアーをダイアフラムポンプ吐出口22から第2通路14内へ押し出し、第2通路14内の液体が本体吐出口12から液体吐出対象へ吐出される。
【0056】
上記第2コイル43bへの通電を停止した後は、第2バルブ4が閉状態となる。本体部100を再度移動して本体吐出口12を液体供給源へと移す。その後、第2バルブ4の第2コイル43bへの通電を再び開始する。第2バルブ4は開弁状態となり、第2通路14を介してダイアフラムポンプ吐出口22が本体吐出口12と連通状態となり、第2通路14内の液体が本体吐出口12から液体供給源へ吐出される。ここで、本体吐出口12から吐出される液体は、液体供給源の代わりに排液タンクに回収するようにしてもよい。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の液体流量制御装置は、吸引口(本体吸引口11)から液体を吸引し、吐出口(本体吐出口12)から微量の液体を吐出する液体流量制御装置であって、ダイアフラムポンプ2と、吸引口11からダイアフラムポンプ2に至る第1通路13を開放及び遮断する第1バルブ3と、ダイアフラムポンプ2から吐出口12に至る第2通路14を開放及び遮断する第2バルブ4と、ダイアフラムポンプ2、第1バルブ3及び第2バルブ4を各々駆動制御する電気制御装置200とを備え、電気制御装置200は、第2バルブ4を閉弁状態に維持しながら第1バルブ3を開弁することによって第1通路13をダイアフラムポンプ2に連通し、ダイアフラムポンプ2に通電することによって第1通路13内の液体をダイアフラムポンプ2内に吸引し、その後、第1バルブ3を閉弁することによって第1通路13を遮断するとともにダイアフラムポンプ2への通電を停止することによってダイアフラムポンプ2を原状へ復帰可能な停止状態に維持し、第2バルブ4を開弁開始することによってダイアフラムポンプ2を原状へ復帰開始させ、ダイアフラムポンプ2の原状への復帰途中で第2バルブ4を閉弁する制御を行う。
【0058】
本実施形態によると、ダイアフラムポンプ2の原状復帰前における第2バルブ4の開弁時間だけ液体が吐出されるようになるため、第2バルブ4の開弁時間を短く設定することによりマイクロリットルオーダーの微量の液体を吐出することが可能になる。また、第2バルブ4の開弁時間を調整することにより、液体の吐出量を自由に制御することができる。
【0059】
また、ダイアフラムポンプ2は導電性形状記憶部材26を備え、導電性形状記憶部材26への通電により第1通路13内の液体がダイアフラムポンプ2内に吸引可能となり、導電性形状記憶部材26への通電の停止によりダイアフラムポンプ2が原状へ復帰可能となるよう構成すると、従来のシリンジポンプを使用した場合と比べ、安価でしかも小型化、可搬化が可能となり、また、騒音を抑制することができる。
【0060】
また、吸引口11、吐出口12、及び第1、第2通路13、14は、四角平板状の流路部材1に形成され、第1、第2バルブ3、4は同一の平面視四角形状に構成されるとともに、ダイアフラムポンプ2は平面視四角形状に構成され、第1、第2バルブ3、4は、互いに接近した状態で流路部材1の上面に一列に配置され、ダイアフラムポンプ2は、第1、第2バルブ3、4の列と同列であって第1、第2バルブ3、4の一方に接近した状態で流路部材1の上面に配置され、第1、第2バルブ3、4及びダイアフラムポンプ2は、平面視で流路部材1の上面全域を占めるよう流路部材1の上面に配置されるよう構成されるため、装置の全体形状を直方体状にすることが可能となり、装置の小型化、可搬化を図ることができる。
【0061】
図9〜図12において、本発明の他の実施形態に係る液体流量制御装置の本体部100は、吐出口12、及び第1、第2通路13、14は複数組(5組)からなるとともに、吸引口11は各組共通の吸引口11からなり、複数組からなる吐出口12、及び第1、第2通路13、14、並びに共通の吸引口11は、四角平板状の流路部材1に形成され、各組の第1、第2バルブ3、4は各々同一の平面視四角形状に構成されるとともに、各組のダイアフラムポンプ2は各々平面視四角形状に構成され、各組の第1、第2バルブ3、4は、各々互いに接近した状態で流路部材1の上面に一列に配置され、各組のダイアフラムポンプ2は、各々同じ組の第1、第2バルブ3、4の列と同じ列上に位置するとともに第1、第2バルブ3、4の一方に接近した状態で流路部材1の上面に配置され、各組の第1、第2バルブ3、4及びダイアフラムポンプ2は、各々隣の組の第1、第2バルブ3、4及びダイアフラムポンプ2の列と平行な列上に位置するとともに隣の組の第1、第2バルブ3、4及びダイアフラムポンプ2に接近した状態で流路部材1の上面に配置され、複数組の第1、第2バルブ3、4及びダイアフラムポンプ2は、全体として平面視で流路部材1の上面全域を占めるよう流路部材1の上面に配置されるよう構成される。このため、共通の吸引口11から液体を吸引し、複数の吐出口12から各々微量の液体を吐出させる装置の全体形状を直方体状にすることが可能となり、装置の小型化、可搬化を図ることができる。
【0062】
図13〜図15において、本発明のさらに他の実施形態に係る液体流量制御装置は、上述した実施形態と同様、本体部100と電気制御装置(図13〜図15には図示せず。)とで構成される。
【0063】
本体部100は、四角平板状の流路部材1と、流路部材1の上面に配置される直方体状のダイアフラムポンプ2と、流路部材1の上面に配置される略直方体状の第1バルブ3と、流路部材1の上面に配置される略直方体状の2つの第2バルブ4A、4Bとで構成される。第1、第2バルブ3、4A、4Bは、互いに接近した状態で一列に配置される。ダイアフラムポンプ2は、第1バルブ3に接近した状態で、第1、第2バルブ3、4A、4Bの列と同列に配置される。第1、第2バルブ3、4A、4B及びダイアフラムポンプ2は、全体として平面視で流路部材1の上面全域を占めるよう流路部材1の上面に配置される。
【0064】
流路部材1は、左側面に吸引口つまり本体吸引口11を、下面に2つの吐出口つまり本体吐出口12A、12Bをそれぞれ有する。
【0065】
ダイアフラムポンプ2は、図1図示のダイアフラムポンプ2と同様に構成され、同様に動作する。また、第1、第2バルブ3、4A、4Bは、図1図示の第1、第2バルブ3、4と同様に構成され、同様に動作する。
【0066】
流路部材1には、本体吸引口11から第1バルブ3の第1入力ポート31に至る第1通路形成用前半通路部13Aが形成されている。また、流路部材1には、第1バルブ3の第1出力ポート32からダイアフラムポンプ2のダイアフラムポンプ吸引口21に至る第1通路形成用後半通路部13Bが形成されている。第1通路形成用前半通路部13Aと第1通路形成用後半通路部13Bは、第1通路13を構成する。
【0067】
また、流路部材1には、ダイアフラムポンプ2のダイアフラムポンプ吐出口22から2つの第2バルブのうちの一方の第2バルブ4Aの第2入力ポート41Aに至る第2通路形成用前半通路部14Aaが形成されている。また、流路部材1には、第2バルブ4Aの第2出力ポート42Aから2つの本体吐出口のうちの一方の本体吐出口12Aに至る第2通路形成用後半通路部14Baが形成されている。第2通路形成用前半通路部14Aaと第2通路形成用後半通路部14Baは、2つの第2通路のうちの一方の第2通路14Aを構成する。
【0068】
また、流路部材1には、ダイアフラムポンプ2のダイアフラムポンプ吐出口22から2つの第2バルブのうちの他方の第2バルブ4Bの第2入力ポート41Bに至る第2通路形成用前半通路部14Abが形成されている。また、流路部材1には、第2バルブ4Bの第2出力ポート42Bから2つの本体吐出口のうちの他方の本体吐出口12Bに至る第2通路形成用後半通路部14Bbが形成されている。第2通路形成用前半通路部14Abと第2通路形成用後半通路部14Bbは、2つの第2通路のうちの他方の第2通路14Bを構成する。
【0069】
電気制御装置は、図1図示の電気制御装置200と同様、ダイアフラムポンプ2を駆動するダイアフラムポンプ駆動部201と、第1、第2バルブ3、4A、4Bを駆動するバルブ駆動部202を有する。
【0070】
電気制御装置は、図1図示の電気制御装置200が実行するエアー抜き制御(図6)、微量吐出制御(図7)、及び吐出口からの吸引吐出制御(図8)と同様な制御を行う。以下、微量吐出制御モードを図15に基づいて概略的に説明する。
【0071】
電気制御装置は、第2バルブ4A、4Bへの通電をしない状態で第1バルブ3への通電を開始する。この通電開始により、第1バルブ3は開弁し、第1通路13が開放状態となり、第1通路13を介してダイアフラムポンプ吸引口21が本体吸引口11と連通状態となる。
【0072】
その後、電気制御装置は、ダイアフラムポンプ2への通電を開始する。この通電開始により、ダイアフラムポンプ2は吸入動作を行い、第1通路13内の液体が徐々にダイアフラムポンプ2の内部に吸引されるとともに、液体供給源から本体吸引口11を介して第1通路13内に液体が吸引される。
【0073】
ダイアフラムポンプ2が吸入動作を終了した後、電気制御装置は、第1バルブ3への通電を停止する。この通電停止により、第1バルブ3は閉弁し、第1通路13は遮断状態となる。次に、ダイアフラムポンプ2への通電を停止する。この通電停止により、ダイアフラムポンプ2は吐出動作可能となるが、ダイアフラムポンプ2の内部に吸引された液体は、ダイアフラムポンプ2の内部に保持されたままとなる。
【0074】
その後、電気制御装置は、2つの第2バルブのうちの一方の第2バルブ4Aへ短時間tだけ通電する。この通電により第2バルブ4Aは短時間tだけ開弁し、2つの第2通路のうちの一方の第2通路14Aは開放状態となり、第2通路14Aを介してダイアフラムポンプ吐出口22が2つの本体吐出口のうちの一方の本体吐出口12Aと連通状態となる。そして、この間、ダイアフラムポンプ2は吐出動作を行い、ダイアフラムポンプ2の内部の液体をダイアフラムポンプ吐出口22から第2通路14A内へ押し出し、第2通路14A内の液体が本体吐出口12Aから2つの液体吐出対象のうちの一方の液体吐出対象へ吐出される。
【0075】
上記第2バルブ4Aへの通電を停止した後、2つの第2バルブのうちの他方の第2バルブ4Bへ通電を開始する。この通電開始により第2バルブ4Bは開弁し、2つの第2通路のうちの他方の第2通路14Bは開放状態となり、第2通路14Bを介してダイアフラムポンプ吐出口22が2つの本体吐出口のうちの他方の本体吐出口12Bと連通状態となる。そして、この間、ダイアフラムポンプ2は吐出動作を行い、ダイアフラムポンプ2の内部の残りの液体をダイアフラムポンプ吐出口22から第2通路14B内へ押し出し、第2通路14B内の液体が本体吐出口12Bから2つの液体吐出対象のうちの他方の液体吐出対象へ吐出される。
【0076】
ダイアフラムポンプ2の内部から液体が全て吐出された後、電気制御装置は、第2バルブ4Bへの通電を停止し、第一回目の微量吐出制御を終了する。
【0077】
以後、上述した制御と同様な制御を繰り返すことにより、本体吐出口12から微量の液体が繰り返し一方の液体吐出対象及び他方の液体吐出対象へ吐出されるようになる。
【0078】
以上説明したように、図13〜図15に示した液体流量制御装置によると、2つの本体吐出口12A、12Bから各々微量の液体を吐出させることができ、また、第2バルブ4Aへの通電時間t換言すると第2バルブ4Aの開弁時間を調整することによって、各本体吐出口12A、12B間における液体の吐出量の比率を自由に制御することができる。なお、第2バルブ4、第2通路14及び本体吐出口12がそれぞれ3つ以上の場合にも個々の第2バルブ4への通電時間を制御することにより、各本体吐出口12間における液体の吐出量の比率を自由に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体流量制御装置の本体部の左側面断面図を含む構成図である。
【図2】同本体部の左側面図である。
【図3】同本体部の平面図である。
【図4】同本体部の正面図である。
【図5】同本体部のブロック図である。
【図6】エアー抜き制御のタイミングチャートである。
【図7】微量吐出制御のタイミングチャートである。
【図8】吐出口からの吸引吐出制御のタイミングチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態に係る液体流量制御装置の本体部のブロック図である。
【図10】同本体部の左側面図である。
【図11】同本体部の平面図である。
【図12】同本体部の正面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係る液体流量制御装置の本体部の左側面図である。
【図14】同本体部のブロック図である。
【図15】微量吐出制御のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0080】
100 本体部
1 流路部材
11 本体吸引口(吸引口)
12、12A、12B 本体吐出口(吐出口)
13 第1通路
14、14A、14B 第2通路
2 ダイアフラムポンプ
26 導電性形状記憶部材
3 第1バルブ
4、4A、4B 第2バルブ
200 電気制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引口から液体を吸引し、吐出口から微量の液体を吐出する液体流量制御装置であって、
ダイアフラムポンプと、前記吸引口から前記ダイアフラムポンプに至る第1通路を開放及び遮断する第1バルブと、前記ダイアフラムポンプから前記吐出口に至る第2通路を開放及び遮断する第2バルブと、前記ダイアフラムポンプ、前記第1バルブ及び前記第2バルブを各々駆動制御する電気制御装置とを備え、
前記電気制御装置は、前記第2バルブを閉弁状態に維持しながら前記第1バルブを開弁することによって前記第1通路を前記ダイアフラムポンプに連通し、前記ダイアフラムポンプに通電することによって前記第1通路内の液体を前記ダイアフラムポンプ内に吸引し、その後、前記第1バルブを閉弁することによって前記第1通路を遮断するとともに前記ダイアフラムポンプへの通電を停止することによって前記ダイアフラムポンプを原状へ復帰可能な停止状態に維持し、前記第2バルブを開弁開始することによって前記ダイアフラムポンプを原状へ復帰開始させ、該ダイアフラムポンプの原状への復帰途中で前記第2バルブを閉弁する制御を行うことを特徴とする液体流量制御装置。
【請求項2】
吸引口から液体を吸引し、複数の吐出口の各吐出口から微量の液体を吐出する液体流量制御装置であって、
ダイアフラムポンプと、前記吸引口から前記ダイアフラムポンプに至る第1通路を開放及び遮断する第1バルブと、前記ダイアフラムポンプから前記各吐出口に至る第2通路を開放及び遮断する第2バルブと、前記ダイアフラムポンプ、前記第1バルブ及び前記複数の第2バルブを各々駆動制御する電気制御装置とを備え、
前記電気制御装置は、前記各第2バルブを閉弁状態に維持しながら前記第1バルブを開弁することによって前記第1通路を前記ダイアフラムポンプに連通し、前記ダイアフラムポンプに通電することによって前記第1通路内の液体を前記ダイアフラムポンプ内に吸引し、その後、前記第1バルブを閉弁することによって前記第1通路を遮断するとともに前記ダイアフラムポンプへの通電を停止することによって前記ダイアフラムポンプを原状へ復帰可能な停止状態に維持し、前記複数の第2バルブのうちの1つの第2バルブを開弁開始することによって前記ダイアフラムポンプを原状へ復帰開始させ、該ダイアフラムポンプの原状への復帰途中で当該開弁させた第2バルブを閉弁するとともに他の1つの第2バルブを開弁開始させ、前記ダイアフラムポンプの原状への復帰途中で当該開弁させた第2バルブを閉弁する制御を前記複数の第2バルブの全てに対して行うことを特徴とする液体流量制御装置。
【請求項3】
前記ダイアフラムポンプは導電性形状記憶部材を備え、該導電性形状記憶部材への通電により前記第1通路内の液体が当該ダイアフラムポンプ内に吸引可能となり、前記導電性形状記憶部材への通電の停止により当該ダイアフラムポンプが原状へ復帰可能となることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体流量制御装置。
【請求項4】
前記吸引口、前記吐出口、及び前記第1、第2通路は、四角平板状の流路部材に形成され、
前記第1、第2バルブは同一の平面視四角形状に構成されるとともに、前記ダイアフラムポンプは平面視四角形状に構成され、
前記第1、第2バルブは、互いに接近した状態で前記流路部材の上面に一列に配置され、前記ダイアフラムポンプは、前記第1、第2バルブの列と同列であって該第1、第2バルブの一方に接近した状態で前記流路部材の上面に配置され、
前記第1、第2バルブ及び前記ダイアフラムポンプは、平面視で前記流路部材の上面全域を占めるよう該流路部材の上面に配置される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体流量制御装置。
【請求項5】
前記吐出口、及び前記第1、第2通路は複数組からなるとともに、前記吸引口は各組共通の吸引口からなり、前記複数組からなる吐出口、及び第1、第2通路、並びに共通の吸引口は、四角平板状の流路部材に形成され、
前記各組の第1、第2バルブは各々同一の平面視四角形状に構成されるとともに、前記各組のダイアフラムポンプは各々平面視四角形状に構成され、
前記各組の第1、第2バルブは、各々互いに接近した状態で前記流路部材の上面に一列に配置され、前記各組のダイアフラムポンプは、各々同じ組の第1、第2バルブの列と同じ列上に位置するとともに該第1、第2バルブの一方に接近した状態で前記流路部材の上面に配置され、
前記各組の第1、第2バルブ及びダイアフラムポンプは、各々隣の組の第1、第2バルブ及びダイアフラムポンプの列と平行な列上に位置するとともに隣の組の第1、第2バルブ及びダイアフラムポンプに接近した状態で前記流路部材の上面に配置され、
前記複数組の第1、第2バルブ及びダイアフラムポンプは、全体として平面視で前記流路部材の上面全域を占めるよう該流路部材の上面に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の液体流量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−304960(P2007−304960A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134023(P2006−134023)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(390006415)高砂電気工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】