液晶表示装置の駆動装置
【課題】電源を簡素化し、また、耐圧を低くすることができる液晶表示装置の駆動装置を提供する。
【解決手段】コモンドライバ17は、正極性駆動時におけるコモン電極の電位を0Vに設定する。また、ソースドライバ14は、C=(Vs(P,n)+Vs(N,n))/2−ΔVgd(n)を満足するようにして定められた電位Vs(P,n),Vs(N,n)を階調nおよび正極性駆動か負極性駆動かに応じてソース配線に設定する。上記の式におけるCは定数であり、ΔVgd(n)は階調に応じたフィードスルー電圧である。
【解決手段】コモンドライバ17は、正極性駆動時におけるコモン電極の電位を0Vに設定する。また、ソースドライバ14は、C=(Vs(P,n)+Vs(N,n))/2−ΔVgd(n)を満足するようにして定められた電位Vs(P,n),Vs(N,n)を階調nおよび正極性駆動か負極性駆動かに応じてソース配線に設定する。上記の式におけるCは定数であり、ΔVgd(n)は階調に応じたフィードスルー電圧である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の駆動装置に関し、特に、観察者に焼き付きの発生を視認させないようにすることができるTFT液晶表示装置の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、TFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置の構成例を示す説明図である。TFT液晶表示装置には、画素毎に、TFT1と表示電極2が設けられる。図4では、TFT1と表示電極2を1つだけ図示し、他のTFTおよび表示電極の図示を省略している。TFT液晶表示装置には、各表示電極と対向するコモン電極3が設けられる。本例では、TFT液晶表示装置に設けられるコモン電極が1枚である場合を例にして説明する。コモン電極3と各表示電極2とによって液晶層(図示せず。)が挟持される。
【0003】
表示電極2は、TFT1のドレイン1bに接続される。また、TFT1のソース1cは、ソース配線4に接続され、TFT1のゲート1aは、ゲート配線5に接続される。ゲート配線5を介してゲート1aの電位が所定のオン電位に設定されると、ソース1cとドレイン1bとの間が導通状態となり、表示電極2がソース配線4と等しい電位に設定される。ゲート1aの電位が所定のオフ電位に設定されると、ソース1cとドレイン1bとの間が非導通状態となり、ソース配線4と表示電極2の間も非導通状態に切り替えられる。所定のオン電位とは、ソース1cとドレイン1bとの間を導通状態にするためのゲート1aの所定電位である。所定のオフ電位とは、ソース1cとドレイン1bとの間を非導通状態にするためのゲート1aの所定電位である。以下、所定のオン電位をVgHと表し、所定のオフ電位をVgLと表すことにする。なお、VgL<VgHの関係が成立する。
【0004】
表示電極2およびコモン電極3間の電位差に応じて、表示電極2とコモン電極3との間の液晶の配向状態が定まる。例えば、線順次駆動等によって各表示電極2の電位を設定していくことによって、各画素の液晶の配向状態を制御して画像を表示することができる。
【0005】
ただし、ゲート1aの電位がVgHからVgLに切り替えられると、表示電極2の電位が若干低下する。この電位の低下量をフィードスルー電圧と呼ぶ。図5は、フィードスルー電圧を示す説明図である。図5に示す細い実線は、ゲート配線5の電位変化を示す。図5に示す太い実線は、表示電極2の実際の電位変化を示す。図5に示す細い破線は、ソース配線4の電位変化を示す。正極性駆動時のソース配線の電位をVs(P)と表し、負極性駆動時のソース配線の電位をVs(N)と表す。正極性駆動とは、表示電極の電位がコモン電極の電位以上になるように駆動することである。負極性駆動とは、表示電極の電位がコモン電極の電位以下になるように駆動することである。図5に示す太い破線は、表示電極2の理想的な電位変化を示す。
【0006】
正極性駆動の場合、ゲート配線5の電位をVgLからVgHに切り替えると、ソース1cとドレイン1bとの間が導通状態となり、表示電極2の電位がソース配線4と等しい電位Vs(P)に上昇する。その後、ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えると、ゲート電位の下降に伴い、表示電極の電位が低下する。この電位の低下量がフィードスルー電圧である。フィードスルー電圧をΔVgdと表すこととする。表示電極とコモン電極間の液晶は、ソース配線の電位Vs(P)よりもΔVgd低下した表示電極電位とコモン電極電位との電位差に応じた配向状態となる。ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えた場合でも図5に太い破線で示すように表示電極電位が変化しないことが理想的であるが、実際には表示電極電位がΔVgd低下する。
【0007】
負極性駆動の場合、ゲート配線5の電位をVgLからVgHに切り替えると、ソース1cとドレイン1bとの間が導通状態となり、表示電極2の電位がソース配線4と等しい電位Vs(N)となる。その後、ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えると、ゲート電位の下降に伴い、表示電極の電位が低下する。表示電極とコモン電極間の液晶は、ソース配線の電位Vs(N)よりもΔVgd低下した表示電極電位とコモン電極電位との電位差に応じた配向状態となる。
【0008】
表示電極とコモン電極との間に配置された液晶に直流電圧が印加され続けると、イオン不純物(ion impurities)が電極に集まって層を形成することが知られている。この現象は焼き付きと呼ばれる。焼き付きが生じると、画素毎の焼き付きの程度の差によって、表示していた画像が表示停止後も観察者に認識されてしまう。
【0009】
TFT液晶表示装置を駆動する場合、焼き付きの発生を防止するため、正極性駆動と負極性駆動を交互に行うことによって液晶に直流電圧が印加されないようにしている。しかし、ゲート配線電位の切替時にフィードスルー電圧が生じるため、単に正極性駆動と負極性駆動を交互に行うだけでなく、正極性駆動時のコモン電極電位と負極性駆動時のコモン電極電位の平均値(コモン電極電位の振幅中心)を、フィードスルー電圧を考慮して定める必要があった。
【0010】
図6は、従来の正極性駆動時のコモン電極電位と負極性駆動時のコモン電極電位の平均値(コモン電極電位の振幅中心)の決定方法を示す説明図である。正極性駆動時にコモン電極に設定する電位をVCOMLと記す。正極性駆動時において、ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えた後の表示電極の電位をVpixel(P)と記す。Vpixel(P)は、ソース配線電位からフィードスルー電圧分下降した電位である。従って、Vpixel(P)=Vs(P)−ΔVgdである。また、負極性駆動時にコモン電極に設定する電位をVCOMHと記す。負極性駆動時において、ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えた後の表示電極の電位をVpixel(N)と記す。Vpixel(N)は、ソース配線電位からフィードスルー電圧分下降した電位であり、Vpixel(N)=Vs(N)−ΔVgdである。
【0011】
また、コモン電極電位の振幅中心をVCOMCとすると、VCOMC=(VCOMH+VCOML)/2である。
【0012】
正極性駆動時における液晶への印加電圧(Vlcd(P)と記す。)は、以下に示す式1で表される。
【0013】
Vlcd(P)=Vpixel(P)−VCOML
=Vs(P)−ΔVgd−VCOML (式1)
【0014】
また、負極性駆動時における液晶への印加電圧(Vlcd(N)と記す。)は、以下に示す式2で表される。
【0015】
Vlcd(N)=Vpixel(N)−VCOMH
=Vs(N)−ΔVgd−VCOMH (式2)
【0016】
従って、液晶に印加される平均電圧をVDCとすると、VDCは以下に示す式3で表される。
【0017】
VDC=(Vlcd(P)+Vlcd(N))/2
=(Vs(P)+Vs(N))/2−ΔVgd−VCOMC (式3)
【0018】
VDC≠0Vであるならば、正極性駆動と負極性駆動を交互に切り替えて駆動したとしても液晶に直流電圧が印加され続けることになる。従って、焼き付きを防止するために、VDC=0VとなるようにVCOMCが定められる。すなわち、VCOMCは以下の式4を満足するように定められる。
【0019】
VCOMC=(Vs(P)+Vs(N))/2−ΔVgd (式4)
【0020】
引用文献1においても、対向電極電位の振幅中心を、信号配線電位の中心電位よりもフィードスルー電圧分程度低くすることが記載されている。
【0021】
なお、フィードスルー電圧ΔVgdは、階調毎に変化し、ソース配線電位Vs(P)およびVs(N)も階調毎に決定される。しかし、TFT液晶表示装置では、階調によらずVCOMLを一定とする。そこで、最大階調と最小階調との中間の階調におけるVs(P)、Vs(N)、ΔVgdからVCOMCを決定し、直流電圧を最小に抑えている。例えば、第0階調から第63階調までの全64階調表示を行うTFT液晶表示装置では、第32階調におけるおけるVs(P)、Vs(N)、ΔVgdから式4を用いてVCOMCを決定している。
【0022】
図7に、階調毎に変化するフィードスルー電圧ΔVgd、階調毎に定められたソース配線電位Vs(P),Vs(N)、および従来の方法で定められたVCOMCの例を示す。
【0023】
【特許文献1】特開2006−3512号公報(段落0023,0024)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
従来のVCOMCの決定方法では、式4に示す式からVCOMCを決定している。式4からわかるように、フィードスルー電圧ΔVgdでの減算を行っている。この減算のためにVCOMCは、フィードスルー電圧のない理想的なVCOMCよりも低くなってしまう。そして、VCOMCがΔVgdの減算によって、低く決定されると、正極性駆動時におけるコモン電極電位VCOMLも低くなり、VCOMLはグランド電圧(0V。以下、GNDと記す。)よりも低くなる。
【0025】
図8は、従来のコモン電極電位の変化を示す駆動波形である。図8に示すように、GNDよりも低いVCOMLをコモン電極に印加する場合、そのような負電圧のVCOMLを供給する電源回路の構成が複雑化してしまう。
【0026】
また、液晶表示装置の駆動装置の耐圧は低いことが好ましい。例えば、駆動装置がICとして構成されている場合、そのICの耐圧は低いことが好ましい。耐圧は、例えば、AVDD−VCOMLである。VCOML<GNDであると、駆動装置の耐圧も増加してしまう。なお、AVDDは、ソース配線に設定される最も高い電位よりも高い値に昇圧された電圧である。各ソース配線の電位を設定するソースドライバにAVDDが供給されることで、ソースドライバは、ソース配線の電位を各階調に応じた電位に設定することができる。
【0027】
また、階調に応じてソース配線に設定する電位等の駆動条件をより簡便に決定できるようにすることが好ましい。
【0028】
そこで、本発明は、電源を簡素化し、また、耐圧を低くすることができる液晶表示装置の駆動装置を提供することを目的とする。また、焼き付きの発生を観察者に認識させないようにするとともに、階調に応じてソース配線に設定する電位およびコモン電極の電位を簡便に決定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明による液晶表示装置の駆動装置は、マトリクス状に配置された複数の表示電極と表示電極に対向するコモン電極との間に液晶を備え、各表示電極毎にTFTが設けられ、表示電極の列毎にTFTを介して表示電極に接続されるソース配線が設けられた液晶表示装置の駆動装置であって、各列のソース配線の電位を設定するソースドライバを備え、1つの階調に応じてソースドライバが正極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(P,n)とし、その階調に応じてソースドライバが負極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(N,n)とし、その階調でのフィードスルー電圧をΔVgd(n)とし、Cを定数としたときに、C=(Vs(P,n)+Vs(N,n))/2−ΔVgd(n)という関係が、最小階調から最大階調までの各階調で成立することを特徴とする。
【0030】
正極性駆動時であるか負極性駆動時であるかに応じてコモン電極の電位を設定するコモンドライバを備え、コモンドライバが、正極性駆動時にコモン電極の電位を0V以上に設定することが好ましい。
【0031】
また、ソースドライバおよびコモンドライバに正極性駆動とするか負極性駆動とするかを指示する制御部を備え、制御部が、フレーム毎に正極性駆動と負極性駆動とを切り替えることが好ましい。そのような構成によれば、フリッカの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、コモン電極の電位を設定するための電源を簡素化し、また、駆動装置の耐圧を低くすることができる。また、焼き付きの発生を観察者に認識させないようにするとともに、階調に応じてソース配線に設定する電位およびコモン電極の電位を簡便に決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の駆動装置の構成例を示す説明図である。本発明の駆動装置11は、TFT液晶表示装置20を駆動する。TFT液晶表示装置20は、図4に例示したように、TFT1および表示電極2を各画素毎に備え、また、各表示電極2と対向するコモン電極3を備えている。各表示電極2とコモン電極3との間には液晶が挟持される。既に説明したように、表示電極2はTFT1のドレイン1bに接続される。また、TFT1と表示電極2の組み合わせは、マトリクス状に配置されている。
【0034】
駆動装置11は、制御部12と、ソースドライバ14と、ゲートドライバ15と、電源16とを備える。なお、本発明の駆動装置11は、例えばICとして構成されるが、ICとして構成されていなくてもよい。
【0035】
各ゲート配線5(図4参照。)は行毎に、1行におけるそれぞれのTFT1のゲート1aに接続される。また、各ゲート配線5は、ゲートドライバ15(図1参照。)に接続される。各ソース配線4(図4参照。)は列毎に、1列におけるそれぞれのTFT1のソース1cに接続される。また、各ソース配線4は、ソースドライバ14(図1参照。)に接続される。
【0036】
ゲートドライバ15は、表示電極を行毎に順次選択する。具体的には、ゲートドライバ15は、ゲート配線を順次選択しながら走査し、選択したゲート配線の電位をVgHに設定し、選択していないゲート配線の電位をVgLに設定する。ゲートドライバ15によって、行(ゲート配線)が選択されている間、ソースドライバ14は、選択された行に対応する1行分の画像データに応じて、各ソース配線の電位を設定する。この結果、選択された行の各表示電極は、ソースドライバ14によって、選択された行の画像データに応じた電位に設定され、選択された1行分の各表示電極2とコモン電極3(図4参照。)との間の液晶に、画像データに応じた電圧が印加される。また、その各表示電極2とコモン電極3との間にそれぞれ電荷が蓄積される。以降、同様にゲート配線を順次選択していくことにより、1画面分の画像が液晶表示パネル1に表示される。
【0037】
なお、ゲートドライバ15が選択していた行のゲート配線の電位をVgHからVgLに切り替えると、その行の表示電極の電位はフィードスルー電圧分下降する。
【0038】
電源16は、ゲートドライバ15に電圧VgH,VgLを供給する。また、電源16は、ソースドライバ14に、電圧AVDD(ソース配線に設定される最も高い電位よりも高い値に昇圧された電圧)を供給する。ソースドライバ14はソース配線の電位を各階調に応じた電位に設定するが、各階調に応じた電位はいずれもAVDDよりも低い値である。
【0039】
また、電源16は、TFT液晶表示装置20に設けられるコモン電極の電位を設定するコモンドライバ17を含む。電源16は、そのコモンドライバ17によって、正極性駆動時にコモン電極の電位をVCOMLに設定し、負極性駆動時にコモン電極電位をVCOMHに設定する。なお、VCOML<VCOMHである。
【0040】
画像データが示す階調に応じてソースドライバ14が正極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(P,n)と記す。同様に、画像データが示す階調に応じてソースドライバ14が負極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(N,n)と記す。ここで、nは階調を表す値である。例えば、正極性駆動時に第3階調に応じて設定されるソース配線の電位は、Vs(P,3)である。また、nの値が等しければ、Vs(P,n)およびVs(N,n)は、正極性駆動時に設定される電位か負極性駆動時に設定される電位かという点では異なるが、いずれも同一の階調に応じて設定される電位である。例えば、Vs(P,3)およびVs(N,3)は、いずれも第3階調に応じて設定される電位である。
【0041】
各階調に応じてソース配線に設定される電位Vs(P,n)およびVs(N,n)は、所定の条件を満たすように予め決定されている。Vs(P,n),Vs(N,n)の決定方法については後述する。
【0042】
制御部12は、選択行の切り替えを指示する制御信号(以下、行切替信号と記す。)をソースドライバ14およびゲートドライバ15に出力する。また、制御部12は、正極性駆動とするか負極性駆動とするかを示す制御信号(以下、極性信号と記す。)をソースドライバ14およびコモンドライバ17に出力する。制御部12は、極性信号をフレーム毎に切り替える。すなわち、制御部12は、フレーム毎に正極性駆動と負極性駆動とを切り替える。フレームとは、ゲートドライバ15が第1行のゲート配線の選択を開始してから、次に第1行のゲート配線の選択を開始するまでの期間である。
【0043】
次に、Vs(P,n),Vs(N,n)の決定方法について説明する。この決定方法では、以下に示す式5を満たすようにVs(P,n),Vs(N,n)を決定する。以下の説明では、TFT液晶表示装置20における階調が第0階調から第63階調までの全64階調である場合を例にして説明する。
【0044】
C=(Vs(P,n)+Vs(N,n))/2−ΔVgd(n) 式5
【0045】
式5におけるCは定数である。以下、Vs(P,n),Vs(N,n)の決定方法について具体的に説明する。また、あわせてコモン電極電位VCOML,VCOMHの決定方法についても説明する。
【0046】
まず、各階調に応じて液晶に印加される電圧を特定し、各階調におけるフィードスルー電圧を特定する。既に説明したように、フィードスルー電圧は階調によって異なるので、最初に各階調におけるフィードスルー電圧を特定する。式5におけるΔVgd(n)は各階調に応じたフィードスルー電圧である。nは階調を表す値であり、Vs(P,n)およびVs(N,n)におけるnと同じ階調を表している。例えば、第3階調でのフィードスルー電圧は、ΔVgd(3)である。各階調に応じたフィードスルー電圧ΔVgd(n)は、例えば、TFT液晶表示装置20のメーカの仕様から特定してもよい。あるいは、実際にTFT液晶表示装置20のフィードスルー電圧を階調毎に測定してもよい。
【0047】
各階調におけるフィードスルー電圧ΔVgd(n)を特定した後、TFT液晶表示装置20に要求されるコントラストを満たすように、コモン電極電位の振幅(以下、VCOM振幅と記す。)と、いずれか1つの階調(第k階調とする。)におけるソース配線の設定電位Vs(P,k),Vs(N,k)とを決定する。ここでkはいずれか1つの階調であるが、例えば、TFT液晶表示装置20がポジ型である場合には、第0階調(黒表示時)におけるVs(P,0),Vs(N,0)とVCOM振幅とを決定すればよい。また、例えば、TFT液晶表示装置20がネガ型である場合には、第63階調(白表示時)におけるVs(P,63),Vs(N,63)とVCOM振幅とを決定すればよい。ここで例示した第0階調や第63階調は例示であり、他の階調におけるVs(P,k),Vs(N,k)を決定すればよい。ここでは、第0階調におけるVs(P,0),Vs(N,0)とVCOM振幅とを決定したものとする。なお、VCOM振幅は、VCOMHとVCOMLとの差の絶対値である。
【0048】
続いて、決定したVs(P,0),Vs(N,0)と、その階調(本例では第0階調)におけるフィードスルー電圧ΔVgd(0)とを式5に代入して、定数Cを算出する。この結果得られたCを式5における定数として決定する。
【0049】
また、正極性駆動時のコモン電極電位VCOMLを0V以上の値として決定する。特に、VCOML=0Vとすることが好ましい。VCOMLにVCOM振幅を加算した値を負極性駆動時のコモン電極電位VCOMHと決定する。このように、VCOML,VCOMHは、VCOML≧0(特にVCOML=0が好ましい。)という条件と、VCOM振幅から決定され、式5に依らずに簡便にVCOML,VCOMHを決定できる。また、コモン電極電位の振幅中心であるVCOMC(=(VCOML+VCOMH)/2)は、VCOML=0Vとした場合、通常、上記の定数Cよりも大きな値となる。
【0050】
定数Cを決定した後、その定数Cを用いて、式5を満足するように、各階調におけるソース配線の設定電位Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する。
【0051】
なお、各Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する場合には、液晶への印加電圧が、液晶表示装置のV−T特性における透過率が変化する電圧範囲に属するように各Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する。V−T特性とは、液晶への印加電圧と液晶表示装置の透過率との関係を示す特性である。図2は、V−T特性の例を示す説明図である。図2に示す例では、液晶への印加電圧がV1〜V2の範囲では、印加電圧の変化に伴い液晶表示装置の透過率も変化している。一方、液晶への印加電圧がV1未満あるいはV2より大きい範囲では、印加電圧が変化しても透過率は変化しない。
【0052】
液晶への印加電圧は、正極性駆動時の場合、|Vs(P,n)−ΔVgd(n)−VCOML|である。また、負極性駆動時の場合、|Vs(N,n)−ΔVgd(n)−VCOMH|である。よって、式5を満足し、また、|Vs(P,n)−ΔVgd(n)−VCOML|、|Vs(N,n)−ΔVgd(n)−VCOMH|がそれぞれ、透過率が変化する電圧範囲(図2に示す例ではV1〜V2の範囲)に属するように各Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する。
【0053】
本発明の駆動装置11は、以上のように決定されたVs(P,n),Vs(N,n),VCOML,VCOMHを用いてTFT液晶表示装置20を駆動する。なお、上記の説明では、階調数が全64階調である場合を例にしたが、全階調数は64でなくてもよい。
【0054】
次に、動作について説明する。制御部12は、フレームの開始時にソースドライバ14およびコモンドライバ17に正極性駆動を指示する極性信号を出力する。コモンドライバ17は、その極性信号に応じてコモン電極の電位をVCOMLに設定する。また、制御部12は、一定時間毎に行切替信号をソースドライバ14およびゲートドライバ15に出力する。ゲートドライバ15は、行切替信号が入力される毎に、選択する行(ゲート配線)を切り替える。
【0055】
ソースドライバ14は、行切替信号が入力されると、選択行の画像データが示す各画素の階調と制御部12からの極性信号に応じて各ソース配線の電位を設定する。ここでは極性信号が正極性駆動を指示しているので、ソースドライバ14は、選択行の画像データが示す各画素の階調に応じて、各ソース配線の電位をVs(P,n)に設定する。
【0056】
次のフレームの開始時に、制御部2は、ソースドライバ14およびコモンドライバ17に負極性駆動を指示する極性信号を出力する。コモンドライバ17は、その極性信号に応じてコモン電極の電位をVCOMHに設定する。また、正極性駆動時と同様に、制御部12は一定時間毎に行切替信号をソースドライバ14およびゲートドライバ15に出力し、ゲートドライバ15は行切替信号が入力される毎に選択する行を切り替える。
【0057】
また、極性信号が正極性駆動を指示しているので、ソースドライバ14は、選択行の画像データが示す各画素の階調に応じて各ソース配線の電位をVs(N,n)に設定する。
【0058】
次に、本発明の効果について説明する。本発明によれば、式5に依存せずに定めた電位VCOML,VCOMHを用いてTFT液晶表示装置20を駆動する。すなわち、ソース配線に設定する電位に依存せずに定めたVCOML,VCOMHをコモン電極に設定する。このように式5に依存せずにVCOML,VCOMHを定めるので、VCOMLを0V未満とせずに0V以上の電位として決定することができる。よって、電源16は負電圧を供給する必要がないので電源16の構成を簡素化することができる。特に、VCOMLを0V(GND)とする場合には、電源16の構成をより簡素にすることができる。
【0059】
また、VCOMLを0V以上の電位として決定することができるので、駆動装置の耐圧を低下させることができる。図3は、VCOMLを0Vに決定した場合のコモン電極電位の変化を示す駆動波形である。図8に示す従来の場合と比較して、VCOMLを0V以上にすることによって、耐圧(AVDD−VCOML)を小さくすることができることがわかる。
【0060】
また、本発明では、式5を満足するように定数Cを用いて、各階調におけるソース配線の設定電位Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する。このことは、正極性駆動と負極性駆動とを交互に切り替えても液晶に直流電圧が印加されることを意味する。ただし、Cを定数として式5を満足するように各階調におけるVs(P,n),Vs(N,n)を決定しているので、どの階調を表示させる場合であっても直流電圧の値は一定である。従って、個々の画素には、どの階調を表示するかに依存せずに一定の直流電圧が印加される。この結果、各画素に焼き付きが生じることになるが、各画素における焼き付きの程度が等しくなる。従来、画素毎の焼き付きの程度の差が異なっていたために、表示停止後も表示していた画像が観察者に認識されてしまっていたが、本発明では各画素における焼き付きの程度を等しくできるので、観察者に焼き付きの発生を認識させないようにすることができる。
【0061】
また、本発明では、液晶に直流電圧が印加されてもよいので、従来のように液晶に印加される直流電圧を0Vとするという条件を外して、ソース配線に設定する電位およびコモン電極の電位を決定することができる。このため、コントラストやγ特性等を考慮する場合であっても、ソース配線に設定する電位およびコモン電極の電位を少ない制約のもとで簡便に決定することができる。
【0062】
また、制御部12は、正極性駆動と負極性駆動とをフレーム毎に高周波数で交互に切り替えるのでフリッカの発生を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、TFT液晶表示装置の駆動装置に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の駆動装置の構成例を示す説明図。
【図2】V−T特性の例を示す説明図。
【図3】VCOMLを0Vに決定した場合のコモン電極電位の変化を示す駆動波形。
【図4】TFT液晶表示装置の構成例を示す説明図。
【図5】フィードスルー電圧を示す説明図。
【図6】従来のコモン電極電位の振幅中心の決定方法を示す説明図。
【図7】階調毎に定められたソース配線電位Vs(P),Vs(N)、および従来の方法で定められたVCOMCの例を示す説明図。
【図8】従来のコモン電極電位の変化を示す駆動波形。
【符号の説明】
【0065】
11 駆動装置
12 制御部
14 ソースドライバ
15 ゲートドライバ
16 電源
17 コモンドライバ
20 TFT液晶表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の駆動装置に関し、特に、観察者に焼き付きの発生を視認させないようにすることができるTFT液晶表示装置の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、TFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置の構成例を示す説明図である。TFT液晶表示装置には、画素毎に、TFT1と表示電極2が設けられる。図4では、TFT1と表示電極2を1つだけ図示し、他のTFTおよび表示電極の図示を省略している。TFT液晶表示装置には、各表示電極と対向するコモン電極3が設けられる。本例では、TFT液晶表示装置に設けられるコモン電極が1枚である場合を例にして説明する。コモン電極3と各表示電極2とによって液晶層(図示せず。)が挟持される。
【0003】
表示電極2は、TFT1のドレイン1bに接続される。また、TFT1のソース1cは、ソース配線4に接続され、TFT1のゲート1aは、ゲート配線5に接続される。ゲート配線5を介してゲート1aの電位が所定のオン電位に設定されると、ソース1cとドレイン1bとの間が導通状態となり、表示電極2がソース配線4と等しい電位に設定される。ゲート1aの電位が所定のオフ電位に設定されると、ソース1cとドレイン1bとの間が非導通状態となり、ソース配線4と表示電極2の間も非導通状態に切り替えられる。所定のオン電位とは、ソース1cとドレイン1bとの間を導通状態にするためのゲート1aの所定電位である。所定のオフ電位とは、ソース1cとドレイン1bとの間を非導通状態にするためのゲート1aの所定電位である。以下、所定のオン電位をVgHと表し、所定のオフ電位をVgLと表すことにする。なお、VgL<VgHの関係が成立する。
【0004】
表示電極2およびコモン電極3間の電位差に応じて、表示電極2とコモン電極3との間の液晶の配向状態が定まる。例えば、線順次駆動等によって各表示電極2の電位を設定していくことによって、各画素の液晶の配向状態を制御して画像を表示することができる。
【0005】
ただし、ゲート1aの電位がVgHからVgLに切り替えられると、表示電極2の電位が若干低下する。この電位の低下量をフィードスルー電圧と呼ぶ。図5は、フィードスルー電圧を示す説明図である。図5に示す細い実線は、ゲート配線5の電位変化を示す。図5に示す太い実線は、表示電極2の実際の電位変化を示す。図5に示す細い破線は、ソース配線4の電位変化を示す。正極性駆動時のソース配線の電位をVs(P)と表し、負極性駆動時のソース配線の電位をVs(N)と表す。正極性駆動とは、表示電極の電位がコモン電極の電位以上になるように駆動することである。負極性駆動とは、表示電極の電位がコモン電極の電位以下になるように駆動することである。図5に示す太い破線は、表示電極2の理想的な電位変化を示す。
【0006】
正極性駆動の場合、ゲート配線5の電位をVgLからVgHに切り替えると、ソース1cとドレイン1bとの間が導通状態となり、表示電極2の電位がソース配線4と等しい電位Vs(P)に上昇する。その後、ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えると、ゲート電位の下降に伴い、表示電極の電位が低下する。この電位の低下量がフィードスルー電圧である。フィードスルー電圧をΔVgdと表すこととする。表示電極とコモン電極間の液晶は、ソース配線の電位Vs(P)よりもΔVgd低下した表示電極電位とコモン電極電位との電位差に応じた配向状態となる。ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えた場合でも図5に太い破線で示すように表示電極電位が変化しないことが理想的であるが、実際には表示電極電位がΔVgd低下する。
【0007】
負極性駆動の場合、ゲート配線5の電位をVgLからVgHに切り替えると、ソース1cとドレイン1bとの間が導通状態となり、表示電極2の電位がソース配線4と等しい電位Vs(N)となる。その後、ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えると、ゲート電位の下降に伴い、表示電極の電位が低下する。表示電極とコモン電極間の液晶は、ソース配線の電位Vs(N)よりもΔVgd低下した表示電極電位とコモン電極電位との電位差に応じた配向状態となる。
【0008】
表示電極とコモン電極との間に配置された液晶に直流電圧が印加され続けると、イオン不純物(ion impurities)が電極に集まって層を形成することが知られている。この現象は焼き付きと呼ばれる。焼き付きが生じると、画素毎の焼き付きの程度の差によって、表示していた画像が表示停止後も観察者に認識されてしまう。
【0009】
TFT液晶表示装置を駆動する場合、焼き付きの発生を防止するため、正極性駆動と負極性駆動を交互に行うことによって液晶に直流電圧が印加されないようにしている。しかし、ゲート配線電位の切替時にフィードスルー電圧が生じるため、単に正極性駆動と負極性駆動を交互に行うだけでなく、正極性駆動時のコモン電極電位と負極性駆動時のコモン電極電位の平均値(コモン電極電位の振幅中心)を、フィードスルー電圧を考慮して定める必要があった。
【0010】
図6は、従来の正極性駆動時のコモン電極電位と負極性駆動時のコモン電極電位の平均値(コモン電極電位の振幅中心)の決定方法を示す説明図である。正極性駆動時にコモン電極に設定する電位をVCOMLと記す。正極性駆動時において、ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えた後の表示電極の電位をVpixel(P)と記す。Vpixel(P)は、ソース配線電位からフィードスルー電圧分下降した電位である。従って、Vpixel(P)=Vs(P)−ΔVgdである。また、負極性駆動時にコモン電極に設定する電位をVCOMHと記す。負極性駆動時において、ゲート配線5の電位をVgHからVgLに切り替えた後の表示電極の電位をVpixel(N)と記す。Vpixel(N)は、ソース配線電位からフィードスルー電圧分下降した電位であり、Vpixel(N)=Vs(N)−ΔVgdである。
【0011】
また、コモン電極電位の振幅中心をVCOMCとすると、VCOMC=(VCOMH+VCOML)/2である。
【0012】
正極性駆動時における液晶への印加電圧(Vlcd(P)と記す。)は、以下に示す式1で表される。
【0013】
Vlcd(P)=Vpixel(P)−VCOML
=Vs(P)−ΔVgd−VCOML (式1)
【0014】
また、負極性駆動時における液晶への印加電圧(Vlcd(N)と記す。)は、以下に示す式2で表される。
【0015】
Vlcd(N)=Vpixel(N)−VCOMH
=Vs(N)−ΔVgd−VCOMH (式2)
【0016】
従って、液晶に印加される平均電圧をVDCとすると、VDCは以下に示す式3で表される。
【0017】
VDC=(Vlcd(P)+Vlcd(N))/2
=(Vs(P)+Vs(N))/2−ΔVgd−VCOMC (式3)
【0018】
VDC≠0Vであるならば、正極性駆動と負極性駆動を交互に切り替えて駆動したとしても液晶に直流電圧が印加され続けることになる。従って、焼き付きを防止するために、VDC=0VとなるようにVCOMCが定められる。すなわち、VCOMCは以下の式4を満足するように定められる。
【0019】
VCOMC=(Vs(P)+Vs(N))/2−ΔVgd (式4)
【0020】
引用文献1においても、対向電極電位の振幅中心を、信号配線電位の中心電位よりもフィードスルー電圧分程度低くすることが記載されている。
【0021】
なお、フィードスルー電圧ΔVgdは、階調毎に変化し、ソース配線電位Vs(P)およびVs(N)も階調毎に決定される。しかし、TFT液晶表示装置では、階調によらずVCOMLを一定とする。そこで、最大階調と最小階調との中間の階調におけるVs(P)、Vs(N)、ΔVgdからVCOMCを決定し、直流電圧を最小に抑えている。例えば、第0階調から第63階調までの全64階調表示を行うTFT液晶表示装置では、第32階調におけるおけるVs(P)、Vs(N)、ΔVgdから式4を用いてVCOMCを決定している。
【0022】
図7に、階調毎に変化するフィードスルー電圧ΔVgd、階調毎に定められたソース配線電位Vs(P),Vs(N)、および従来の方法で定められたVCOMCの例を示す。
【0023】
【特許文献1】特開2006−3512号公報(段落0023,0024)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
従来のVCOMCの決定方法では、式4に示す式からVCOMCを決定している。式4からわかるように、フィードスルー電圧ΔVgdでの減算を行っている。この減算のためにVCOMCは、フィードスルー電圧のない理想的なVCOMCよりも低くなってしまう。そして、VCOMCがΔVgdの減算によって、低く決定されると、正極性駆動時におけるコモン電極電位VCOMLも低くなり、VCOMLはグランド電圧(0V。以下、GNDと記す。)よりも低くなる。
【0025】
図8は、従来のコモン電極電位の変化を示す駆動波形である。図8に示すように、GNDよりも低いVCOMLをコモン電極に印加する場合、そのような負電圧のVCOMLを供給する電源回路の構成が複雑化してしまう。
【0026】
また、液晶表示装置の駆動装置の耐圧は低いことが好ましい。例えば、駆動装置がICとして構成されている場合、そのICの耐圧は低いことが好ましい。耐圧は、例えば、AVDD−VCOMLである。VCOML<GNDであると、駆動装置の耐圧も増加してしまう。なお、AVDDは、ソース配線に設定される最も高い電位よりも高い値に昇圧された電圧である。各ソース配線の電位を設定するソースドライバにAVDDが供給されることで、ソースドライバは、ソース配線の電位を各階調に応じた電位に設定することができる。
【0027】
また、階調に応じてソース配線に設定する電位等の駆動条件をより簡便に決定できるようにすることが好ましい。
【0028】
そこで、本発明は、電源を簡素化し、また、耐圧を低くすることができる液晶表示装置の駆動装置を提供することを目的とする。また、焼き付きの発生を観察者に認識させないようにするとともに、階調に応じてソース配線に設定する電位およびコモン電極の電位を簡便に決定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明による液晶表示装置の駆動装置は、マトリクス状に配置された複数の表示電極と表示電極に対向するコモン電極との間に液晶を備え、各表示電極毎にTFTが設けられ、表示電極の列毎にTFTを介して表示電極に接続されるソース配線が設けられた液晶表示装置の駆動装置であって、各列のソース配線の電位を設定するソースドライバを備え、1つの階調に応じてソースドライバが正極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(P,n)とし、その階調に応じてソースドライバが負極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(N,n)とし、その階調でのフィードスルー電圧をΔVgd(n)とし、Cを定数としたときに、C=(Vs(P,n)+Vs(N,n))/2−ΔVgd(n)という関係が、最小階調から最大階調までの各階調で成立することを特徴とする。
【0030】
正極性駆動時であるか負極性駆動時であるかに応じてコモン電極の電位を設定するコモンドライバを備え、コモンドライバが、正極性駆動時にコモン電極の電位を0V以上に設定することが好ましい。
【0031】
また、ソースドライバおよびコモンドライバに正極性駆動とするか負極性駆動とするかを指示する制御部を備え、制御部が、フレーム毎に正極性駆動と負極性駆動とを切り替えることが好ましい。そのような構成によれば、フリッカの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、コモン電極の電位を設定するための電源を簡素化し、また、駆動装置の耐圧を低くすることができる。また、焼き付きの発生を観察者に認識させないようにするとともに、階調に応じてソース配線に設定する電位およびコモン電極の電位を簡便に決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の駆動装置の構成例を示す説明図である。本発明の駆動装置11は、TFT液晶表示装置20を駆動する。TFT液晶表示装置20は、図4に例示したように、TFT1および表示電極2を各画素毎に備え、また、各表示電極2と対向するコモン電極3を備えている。各表示電極2とコモン電極3との間には液晶が挟持される。既に説明したように、表示電極2はTFT1のドレイン1bに接続される。また、TFT1と表示電極2の組み合わせは、マトリクス状に配置されている。
【0034】
駆動装置11は、制御部12と、ソースドライバ14と、ゲートドライバ15と、電源16とを備える。なお、本発明の駆動装置11は、例えばICとして構成されるが、ICとして構成されていなくてもよい。
【0035】
各ゲート配線5(図4参照。)は行毎に、1行におけるそれぞれのTFT1のゲート1aに接続される。また、各ゲート配線5は、ゲートドライバ15(図1参照。)に接続される。各ソース配線4(図4参照。)は列毎に、1列におけるそれぞれのTFT1のソース1cに接続される。また、各ソース配線4は、ソースドライバ14(図1参照。)に接続される。
【0036】
ゲートドライバ15は、表示電極を行毎に順次選択する。具体的には、ゲートドライバ15は、ゲート配線を順次選択しながら走査し、選択したゲート配線の電位をVgHに設定し、選択していないゲート配線の電位をVgLに設定する。ゲートドライバ15によって、行(ゲート配線)が選択されている間、ソースドライバ14は、選択された行に対応する1行分の画像データに応じて、各ソース配線の電位を設定する。この結果、選択された行の各表示電極は、ソースドライバ14によって、選択された行の画像データに応じた電位に設定され、選択された1行分の各表示電極2とコモン電極3(図4参照。)との間の液晶に、画像データに応じた電圧が印加される。また、その各表示電極2とコモン電極3との間にそれぞれ電荷が蓄積される。以降、同様にゲート配線を順次選択していくことにより、1画面分の画像が液晶表示パネル1に表示される。
【0037】
なお、ゲートドライバ15が選択していた行のゲート配線の電位をVgHからVgLに切り替えると、その行の表示電極の電位はフィードスルー電圧分下降する。
【0038】
電源16は、ゲートドライバ15に電圧VgH,VgLを供給する。また、電源16は、ソースドライバ14に、電圧AVDD(ソース配線に設定される最も高い電位よりも高い値に昇圧された電圧)を供給する。ソースドライバ14はソース配線の電位を各階調に応じた電位に設定するが、各階調に応じた電位はいずれもAVDDよりも低い値である。
【0039】
また、電源16は、TFT液晶表示装置20に設けられるコモン電極の電位を設定するコモンドライバ17を含む。電源16は、そのコモンドライバ17によって、正極性駆動時にコモン電極の電位をVCOMLに設定し、負極性駆動時にコモン電極電位をVCOMHに設定する。なお、VCOML<VCOMHである。
【0040】
画像データが示す階調に応じてソースドライバ14が正極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(P,n)と記す。同様に、画像データが示す階調に応じてソースドライバ14が負極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(N,n)と記す。ここで、nは階調を表す値である。例えば、正極性駆動時に第3階調に応じて設定されるソース配線の電位は、Vs(P,3)である。また、nの値が等しければ、Vs(P,n)およびVs(N,n)は、正極性駆動時に設定される電位か負極性駆動時に設定される電位かという点では異なるが、いずれも同一の階調に応じて設定される電位である。例えば、Vs(P,3)およびVs(N,3)は、いずれも第3階調に応じて設定される電位である。
【0041】
各階調に応じてソース配線に設定される電位Vs(P,n)およびVs(N,n)は、所定の条件を満たすように予め決定されている。Vs(P,n),Vs(N,n)の決定方法については後述する。
【0042】
制御部12は、選択行の切り替えを指示する制御信号(以下、行切替信号と記す。)をソースドライバ14およびゲートドライバ15に出力する。また、制御部12は、正極性駆動とするか負極性駆動とするかを示す制御信号(以下、極性信号と記す。)をソースドライバ14およびコモンドライバ17に出力する。制御部12は、極性信号をフレーム毎に切り替える。すなわち、制御部12は、フレーム毎に正極性駆動と負極性駆動とを切り替える。フレームとは、ゲートドライバ15が第1行のゲート配線の選択を開始してから、次に第1行のゲート配線の選択を開始するまでの期間である。
【0043】
次に、Vs(P,n),Vs(N,n)の決定方法について説明する。この決定方法では、以下に示す式5を満たすようにVs(P,n),Vs(N,n)を決定する。以下の説明では、TFT液晶表示装置20における階調が第0階調から第63階調までの全64階調である場合を例にして説明する。
【0044】
C=(Vs(P,n)+Vs(N,n))/2−ΔVgd(n) 式5
【0045】
式5におけるCは定数である。以下、Vs(P,n),Vs(N,n)の決定方法について具体的に説明する。また、あわせてコモン電極電位VCOML,VCOMHの決定方法についても説明する。
【0046】
まず、各階調に応じて液晶に印加される電圧を特定し、各階調におけるフィードスルー電圧を特定する。既に説明したように、フィードスルー電圧は階調によって異なるので、最初に各階調におけるフィードスルー電圧を特定する。式5におけるΔVgd(n)は各階調に応じたフィードスルー電圧である。nは階調を表す値であり、Vs(P,n)およびVs(N,n)におけるnと同じ階調を表している。例えば、第3階調でのフィードスルー電圧は、ΔVgd(3)である。各階調に応じたフィードスルー電圧ΔVgd(n)は、例えば、TFT液晶表示装置20のメーカの仕様から特定してもよい。あるいは、実際にTFT液晶表示装置20のフィードスルー電圧を階調毎に測定してもよい。
【0047】
各階調におけるフィードスルー電圧ΔVgd(n)を特定した後、TFT液晶表示装置20に要求されるコントラストを満たすように、コモン電極電位の振幅(以下、VCOM振幅と記す。)と、いずれか1つの階調(第k階調とする。)におけるソース配線の設定電位Vs(P,k),Vs(N,k)とを決定する。ここでkはいずれか1つの階調であるが、例えば、TFT液晶表示装置20がポジ型である場合には、第0階調(黒表示時)におけるVs(P,0),Vs(N,0)とVCOM振幅とを決定すればよい。また、例えば、TFT液晶表示装置20がネガ型である場合には、第63階調(白表示時)におけるVs(P,63),Vs(N,63)とVCOM振幅とを決定すればよい。ここで例示した第0階調や第63階調は例示であり、他の階調におけるVs(P,k),Vs(N,k)を決定すればよい。ここでは、第0階調におけるVs(P,0),Vs(N,0)とVCOM振幅とを決定したものとする。なお、VCOM振幅は、VCOMHとVCOMLとの差の絶対値である。
【0048】
続いて、決定したVs(P,0),Vs(N,0)と、その階調(本例では第0階調)におけるフィードスルー電圧ΔVgd(0)とを式5に代入して、定数Cを算出する。この結果得られたCを式5における定数として決定する。
【0049】
また、正極性駆動時のコモン電極電位VCOMLを0V以上の値として決定する。特に、VCOML=0Vとすることが好ましい。VCOMLにVCOM振幅を加算した値を負極性駆動時のコモン電極電位VCOMHと決定する。このように、VCOML,VCOMHは、VCOML≧0(特にVCOML=0が好ましい。)という条件と、VCOM振幅から決定され、式5に依らずに簡便にVCOML,VCOMHを決定できる。また、コモン電極電位の振幅中心であるVCOMC(=(VCOML+VCOMH)/2)は、VCOML=0Vとした場合、通常、上記の定数Cよりも大きな値となる。
【0050】
定数Cを決定した後、その定数Cを用いて、式5を満足するように、各階調におけるソース配線の設定電位Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する。
【0051】
なお、各Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する場合には、液晶への印加電圧が、液晶表示装置のV−T特性における透過率が変化する電圧範囲に属するように各Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する。V−T特性とは、液晶への印加電圧と液晶表示装置の透過率との関係を示す特性である。図2は、V−T特性の例を示す説明図である。図2に示す例では、液晶への印加電圧がV1〜V2の範囲では、印加電圧の変化に伴い液晶表示装置の透過率も変化している。一方、液晶への印加電圧がV1未満あるいはV2より大きい範囲では、印加電圧が変化しても透過率は変化しない。
【0052】
液晶への印加電圧は、正極性駆動時の場合、|Vs(P,n)−ΔVgd(n)−VCOML|である。また、負極性駆動時の場合、|Vs(N,n)−ΔVgd(n)−VCOMH|である。よって、式5を満足し、また、|Vs(P,n)−ΔVgd(n)−VCOML|、|Vs(N,n)−ΔVgd(n)−VCOMH|がそれぞれ、透過率が変化する電圧範囲(図2に示す例ではV1〜V2の範囲)に属するように各Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する。
【0053】
本発明の駆動装置11は、以上のように決定されたVs(P,n),Vs(N,n),VCOML,VCOMHを用いてTFT液晶表示装置20を駆動する。なお、上記の説明では、階調数が全64階調である場合を例にしたが、全階調数は64でなくてもよい。
【0054】
次に、動作について説明する。制御部12は、フレームの開始時にソースドライバ14およびコモンドライバ17に正極性駆動を指示する極性信号を出力する。コモンドライバ17は、その極性信号に応じてコモン電極の電位をVCOMLに設定する。また、制御部12は、一定時間毎に行切替信号をソースドライバ14およびゲートドライバ15に出力する。ゲートドライバ15は、行切替信号が入力される毎に、選択する行(ゲート配線)を切り替える。
【0055】
ソースドライバ14は、行切替信号が入力されると、選択行の画像データが示す各画素の階調と制御部12からの極性信号に応じて各ソース配線の電位を設定する。ここでは極性信号が正極性駆動を指示しているので、ソースドライバ14は、選択行の画像データが示す各画素の階調に応じて、各ソース配線の電位をVs(P,n)に設定する。
【0056】
次のフレームの開始時に、制御部2は、ソースドライバ14およびコモンドライバ17に負極性駆動を指示する極性信号を出力する。コモンドライバ17は、その極性信号に応じてコモン電極の電位をVCOMHに設定する。また、正極性駆動時と同様に、制御部12は一定時間毎に行切替信号をソースドライバ14およびゲートドライバ15に出力し、ゲートドライバ15は行切替信号が入力される毎に選択する行を切り替える。
【0057】
また、極性信号が正極性駆動を指示しているので、ソースドライバ14は、選択行の画像データが示す各画素の階調に応じて各ソース配線の電位をVs(N,n)に設定する。
【0058】
次に、本発明の効果について説明する。本発明によれば、式5に依存せずに定めた電位VCOML,VCOMHを用いてTFT液晶表示装置20を駆動する。すなわち、ソース配線に設定する電位に依存せずに定めたVCOML,VCOMHをコモン電極に設定する。このように式5に依存せずにVCOML,VCOMHを定めるので、VCOMLを0V未満とせずに0V以上の電位として決定することができる。よって、電源16は負電圧を供給する必要がないので電源16の構成を簡素化することができる。特に、VCOMLを0V(GND)とする場合には、電源16の構成をより簡素にすることができる。
【0059】
また、VCOMLを0V以上の電位として決定することができるので、駆動装置の耐圧を低下させることができる。図3は、VCOMLを0Vに決定した場合のコモン電極電位の変化を示す駆動波形である。図8に示す従来の場合と比較して、VCOMLを0V以上にすることによって、耐圧(AVDD−VCOML)を小さくすることができることがわかる。
【0060】
また、本発明では、式5を満足するように定数Cを用いて、各階調におけるソース配線の設定電位Vs(P,n),Vs(N,n)を決定する。このことは、正極性駆動と負極性駆動とを交互に切り替えても液晶に直流電圧が印加されることを意味する。ただし、Cを定数として式5を満足するように各階調におけるVs(P,n),Vs(N,n)を決定しているので、どの階調を表示させる場合であっても直流電圧の値は一定である。従って、個々の画素には、どの階調を表示するかに依存せずに一定の直流電圧が印加される。この結果、各画素に焼き付きが生じることになるが、各画素における焼き付きの程度が等しくなる。従来、画素毎の焼き付きの程度の差が異なっていたために、表示停止後も表示していた画像が観察者に認識されてしまっていたが、本発明では各画素における焼き付きの程度を等しくできるので、観察者に焼き付きの発生を認識させないようにすることができる。
【0061】
また、本発明では、液晶に直流電圧が印加されてもよいので、従来のように液晶に印加される直流電圧を0Vとするという条件を外して、ソース配線に設定する電位およびコモン電極の電位を決定することができる。このため、コントラストやγ特性等を考慮する場合であっても、ソース配線に設定する電位およびコモン電極の電位を少ない制約のもとで簡便に決定することができる。
【0062】
また、制御部12は、正極性駆動と負極性駆動とをフレーム毎に高周波数で交互に切り替えるのでフリッカの発生を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、TFT液晶表示装置の駆動装置に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の駆動装置の構成例を示す説明図。
【図2】V−T特性の例を示す説明図。
【図3】VCOMLを0Vに決定した場合のコモン電極電位の変化を示す駆動波形。
【図4】TFT液晶表示装置の構成例を示す説明図。
【図5】フィードスルー電圧を示す説明図。
【図6】従来のコモン電極電位の振幅中心の決定方法を示す説明図。
【図7】階調毎に定められたソース配線電位Vs(P),Vs(N)、および従来の方法で定められたVCOMCの例を示す説明図。
【図8】従来のコモン電極電位の変化を示す駆動波形。
【符号の説明】
【0065】
11 駆動装置
12 制御部
14 ソースドライバ
15 ゲートドライバ
16 電源
17 コモンドライバ
20 TFT液晶表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の表示電極と前記表示電極に対向するコモン電極との間に液晶を備え、各表示電極毎にTFTが設けられ、表示電極の列毎にTFTを介して表示電極に接続されるソース配線が設けられた液晶表示装置の駆動装置であって、
各列のソース配線の電位を設定するソースドライバを備え、
1つの階調に応じてソースドライバが正極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(P,n)とし、前記階調に応じてソースドライバが負極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(N,n)とし、前記階調でのフィードスルー電圧をΔVgd(n)とし、Cを定数としたときに、
C=(Vs(P,n)+Vs(N,n))/2−ΔVgd(n)
という関係が、最小階調から最大階調までの各階調で成立する
ことを特徴とする液晶表示装置の駆動装置。
【請求項2】
正極性駆動時であるか負極性駆動時であるかに応じてコモン電極の電位を設定するコモンドライバを備え、
コモンドライバは、正極性駆動時にコモン電極の電位を0V以上に設定する
請求項1に記載の液晶表示装置の駆動装置。
【請求項3】
ソースドライバおよびコモンドライバに正極性駆動とするか負極性駆動とするかを指示する制御部を備え、
制御部は、フレーム毎に正極性駆動と負極性駆動とを切り替える
請求項2に記載の液晶表示装置の駆動装置。
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の表示電極と前記表示電極に対向するコモン電極との間に液晶を備え、各表示電極毎にTFTが設けられ、表示電極の列毎にTFTを介して表示電極に接続されるソース配線が設けられた液晶表示装置の駆動装置であって、
各列のソース配線の電位を設定するソースドライバを備え、
1つの階調に応じてソースドライバが正極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(P,n)とし、前記階調に応じてソースドライバが負極性駆動時にソース配線に設定する電位をVs(N,n)とし、前記階調でのフィードスルー電圧をΔVgd(n)とし、Cを定数としたときに、
C=(Vs(P,n)+Vs(N,n))/2−ΔVgd(n)
という関係が、最小階調から最大階調までの各階調で成立する
ことを特徴とする液晶表示装置の駆動装置。
【請求項2】
正極性駆動時であるか負極性駆動時であるかに応じてコモン電極の電位を設定するコモンドライバを備え、
コモンドライバは、正極性駆動時にコモン電極の電位を0V以上に設定する
請求項1に記載の液晶表示装置の駆動装置。
【請求項3】
ソースドライバおよびコモンドライバに正極性駆動とするか負極性駆動とするかを指示する制御部を備え、
制御部は、フレーム毎に正極性駆動と負極性駆動とを切り替える
請求項2に記載の液晶表示装置の駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−216363(P2008−216363A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50383(P2007−50383)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
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