説明

液晶表示装置

【課題】複数の独立に駆動できる領域に分割されたバックライトの輝度むらを低減する。
【解決手段】第1の液晶用基板及び又は第2の液晶用基板の前記液晶層側に共通電極を有し、前記第1の液晶用基板及び又は第2の液晶用基板の前記液晶層側に画素電極を有し、前記第2の液晶用基板の前記液晶層が配置されている反対側にバックライトを有し、前記バックライトはバックライトの明るさを独立に制御できる領域を2つ以上有し、前記バックライトは発光領域と非発光層を有し、液晶駆動用のドライバを有し、バックライト駆動用のドライバを有し、入力される映像信号が前記液晶駆動用ドライバと前記バックライト駆動用ドライバに分離できる回路を有し、前記入力される映像信号の最大値を検出できる機構を有する液晶表示装置において,前記バックライトの前記液晶層側に配置されている最表面の層の前記非発光領域のみに、光を拡散させる拡散層を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)等に代表される自発光型のディスプレイと異なり、バックライトの透過光量を調節することで画像を表示する非発光型のディスプレイである。液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電力といった特徴を有している。
しかしながら、他の自発光型のディスプレイと比較してコントラスト比が低い欠点を有する。そこで、この課題を解決する手段として、画像の明るさに応じてバックライトの明るさを制御することでコントラスト比を向上させる方法が考えられている。
【0003】
従来、バックライトを複数の分割領域単位で駆動し、画像信号に応じてバックライト輝度を制御することにより、消費電力を削減しながら、コントラスト比を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
通常、液晶表示装置のバックライトには、CCFLやLEDが使用されている。上述したバックライトを複数の分割領域単位で駆動する場合は、LEDバックライトを用いる場合が多い。
また、従来、有機発光表示装置(以後OLED:Organic Light Emitting Diode)をバックライトに使用した駆動法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
バックライトを複数の分割領域単位で駆動する場合、課題となるのは光源の均一性である。これは、各領域の光むらや、領域と領域の境界に生じる光むらによるものである。
LEDを使用する場合は、LEDと液晶パネルの距離を十分に離し、LEDと液晶パネルの間に拡散板等を挿入することで改善しなければならない。
そのため、バックライトの厚さが厚くなってしまう。一方、OLEDを使用した場合は、面光源であるために各領域の光むらの影響がない。
【0005】
そのため、光源から液晶パネルの距離を離す必要がなく薄型化が可能である。しかしながら、分割している領域と領域の間は非発光部となるため、その部分が光むらとなってしまい、表示品位を低下させる。
この課題を解決するための方法として、非発光領域を液晶画素の保持容量配線の下に配置する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。前述した方法を用いることで非発光部を隠すことができるために光むらが軽減できる。
しかしながら、補助容量配線は通常は10μm以下である。そのため、バックライトの非発光領域と補助容量配線の位置を合わせることは難しく、作製コストを上げる要因となる。
【特許文献1】特開2005−258403
【特許文献2】特願2002−98957
【特許文献3】特開2002−98957
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、領域分割OLEDバックライトを有し、その領域分割OLEDバックライトと液晶パネルへの信号を制御するための回路を有し、分割OLEDバックライトの非発光部に斜め方向から入射された光を液晶パネル正面方向へ曲げる拡散層を有する液晶表示装置である。
【0007】
本発明は、液晶表示装置の輝度むらを軽減し、消費電力を低下させながら、コントラスト比を高めた液晶表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の液晶用基板と、第2の液晶用基板を有し、前記第1の液晶用基板と前記第2の液晶用基板に挟持された液晶層を有し、
前記第1の液晶用基板及び又は第2の液晶用基板の前記液晶層側に共通電極を有し、前記第1の液晶用基板及び又は第2の液晶用基板の前記液晶層側に画素電極を有し、前記第2の液晶用基板の前記液晶層が配置されている反対側にバックライトを有し、前記バックライトはバックライトの明るさを独立に制御できる領域を2つ以上有し、前記バックライトは発光領域と非発光層を有し、液晶駆動用のドライバを有し、液晶駆動用のドライバを有し、バックライト駆動用のドライバを有し、入力される映像信号が前記液晶駆動用ドライバと前記バックライト駆動用ドライバに分離できる回路を有し、前記入力される映像信号の最大値を検出できる機構を有する液晶表示装置において,前記バックライトの前記液晶層側に配置されている最表面の層の前記非発光領域のみに、光を拡散させる拡散層を設けて構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、輝度むらを軽減し、消費電力を低下させながら、コントラスト比を高めた液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
《第1の実施形態》
以下、本発明を実施するための最良の形態の第1の実施形態について、図1〜図13を用いて詳細に説明する。
第1の実施形態は、液晶表示装置において、領域分割OLEDバックライトを有し、その領域分割OLEDバックライトと、液晶パネルへの信号を制御するための回路とを有し、分割OLEDバックライトの非発光部に斜め方向から入射された光を、曲げて液晶パネル正面方向へ出力する拡散層を設けた点を特徴としている。
【0011】
図1には、本発明を実施するための最良の形態の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成が示されている。
なお、簡単化のために、ガンマ特性については、記述を省略している。
図1において、入力映像信号18は、画面メモリ15に蓄積すると共に、最大値検出回路17に入力することで画面内の信号の最大値を得る。
また、信号分離回路13は、画面メモリ15から画素毎の信号を入力し、最大値検出回路から画面内の信号の最大値を入力する。
【0012】
ここで、画面メモリ15は、両者の信号を同期させる役割を有する。画面内の信号の最大値は、必要最小限のバックライト光量を算出するために用いる。そして、算出した表示信号は、液晶パネル10の第1のドライバ11と第2のドライバ12に、バックライト信号は、バックライトドライバ14に伝達する。そして液晶パネル10とバックライト16を駆動することで表示画面を形成する。
入力する映像信号に時間的に大きな変動がなければ、検出と表示の画面がずれていても画質の影響が少ない。検出した最大値についても、フレーム間で変化が小さくなるように補正を加えてから利用するならば、検出と表示がずれても画質には影響がない。このような場合には、画素メモリ15を省略することで、回路構成を簡略化できる。
【0013】
次に、入力映像信号から、液晶パネル10とバックライト16の駆動信号を算出する原理を説明する。
なお、簡単のためガンマ特性は、省略する。(Tは0から1で単位は無し、KとLは同じ単位とする)
表示出力Kは、液晶パネル10の透過率Tと、バックライト光量Lの掛け算であるとする(K=T×L)。
一般にバックライト光量Lは、固定して、表示出力Kが入力映像信号と一致(比例)するように液晶透過率T=K/Lを設定する。
ここで画面内の表示の最大値Kmaxを検出して、その最大値を表示するバックライト光量Lmax(=Kmax)とする。
そして、前記掛け算の関係式が成り立つように、透過率T=K/Lmaxを算出して、パネル駆動する。
【0014】
これより表示出力Kは維持できて、また最大値をとる画素では、T=1(=Kmax/Tmax)となる。
最大値は、例えば、図2に図示のように、画面内の信号値の頻度(ヒストグラム)を測定することで検出することができる。
このように、バックライト光量を必要最小限の大きさにすることで、バックライトの消費電力を低減できる。消費電力低減の効果を高めるためには、前記ヒストグラム上端の画素について、信号値を下方修正するなどの工夫を取り込むことができる。
【0015】
図3には、液晶パネル10の構成例が示されている。
図3において、偏光板101は、ヨウ素を吸着させ延伸したPoly Vinyl Alcohol層とそれを保護する保護フィルムによって構成される。
偏光板の吸収軸配置は、液晶の表示方式などによって変える必要がある。本実施例内においてはIPS(In-Plane Switching)−Pro(Provectus)方式を例にとって説明をする。
IPS−Pro方式の場合は、偏光板吸収軸は上下で直交とすることが望ましい。
【0016】
また、図4,図5には、液晶セル102の1画素の断面が模式的に示されている。
図4,図5の切断面は、液晶表示装置の1画素の平面図として図6に示されている。
第1の実施形態において、液晶セル102は、IPS-Pro方式について説明するが、これに限定するものではなく、例えば、TN(Twisted Nematic)方式や、VA(Vertical Aligned)方式、OCB(Optically Compensated bend)方式でも同様な効果が得られる。
図4に図示の切断面は、後述する画素電極のストライプ構造に対して平行であり、図5に図示の切断面は、これを横断する方向である。
【0017】
液晶表示装置は、図4に図示のように主に第一の基板108aと、第二の基板108bと、液晶層111とからなっいる。そして、この第一の基板108aと第二の基板108bは、液晶層111を狭持している。
第一の基板108aと第二の基板108bは、それぞれ液晶層111に近接する面上に、液晶層111の配向状態を安定化するための配向膜110a,110bを備えている。
また、第二の基板108bの液晶層111に近接する面上には、液晶層111に電圧を印加するための手段を備えている。
【0018】
第一の基板108aは、透明性と平坦性に優れ、かつイオン性不純物の含有が少ないホウケイサンガラス製で構成されている。そして、この第一の基板108aの厚さは、約0.3mmである。
そして、この第一の基板108aには、液晶層111に近接する側より第一の配向膜110a、平坦化膜109、カラーフィルタ118、ブラックマトリクス112が順次積層されている。
【0019】
第一の配向膜110aは、ポリイミド系の有機高分子膜で形成されており、ラビング法により配向処理されている。
そして、この第一の配向膜110aは、近接する液晶層111に約1度のプレチルト角を付与する所謂水平配向膜である。このプレチルト角を最小限の角度としたことにより、暗表示における視角特性を良好にできる。
【0020】
平坦化膜109は、アクリル系樹脂で形成されており、透明性に優れ、下地の凹凸を平坦化し、かつ溶剤の浸透を防ぐ機能を有している。
カラーフィルタ118は、赤色、緑色、青色を呈するストライプ状の各部分が繰り返し配列された平面構造を有している。
ブラックマトリクス112は、黒色顔料を含むレジストからなり、画素境界部に対応するように格子状の平面分布構造を有している。
【0021】
第二の基板108bは、第一の基板108aと同様に、ホウケイサンガラス製で形成されている。そして、この第二の基板108bの厚さは、約0.3mmである。
また、第二の基板108bには、液晶層111に近接する側より順に、主に第二の配向膜110b、画素電極106、層間絶縁膜116、共通電極117、アクティブ素子105、走査配線103、信号配線104が積層されている。
【0022】
第二の配向膜110bは、第一の配向膜110aと同様に、ポリイミド系の有機高分子膜からなる水平配向膜である。
画素電極106と共通電極117は、いずれも透明性と導電性に優れたITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)であり、層厚は、80nmである。そして、画素電極106と共通電極117とは、窒化珪素(SiN)製の層間絶縁膜116によって隔たれている。
この層間絶縁膜116の層厚は、300nmである。
画素電極106の平面形状は櫛歯状であるのに対し、共通電極117は、後述する共通電極空孔部を有するものの、各画素のほぼ全面に渡って分布している。
【0023】
以上のように。画素電極106と共通電極117を、それぞれストライプ状、ベタ平面状の平面分布とし、画素電極106と共通電極117を層間絶縁膜116で隔てたIPS−Pro構造とし、かつ層間絶縁膜116の膜厚を十分に薄くすることによって、画素電極106と共通電極117の間にアーチ状の電気力線が形成される。
この時、電気力線は層間絶縁膜116を貫いて主に液晶層11中に分布し、なおかつ基板平面に対して平行な成分を有する所謂横電界を形成する。
これにより、電圧印加時において液晶配向方向が主に層平面内で回転するように変化する、IPS方式に特有の配向変化が実現される。
【0024】
このIPS方式は、VA方式やECB(Electrically Controlled Birefringence)方式に比較して電圧印加時の液晶配向方向のチルト角増大が少ない。このため、電圧印加に伴うΔndの変化も小さい。
これによって、IPS方式液晶表示装置では、視角方向での階調表示特性に優れた表示が得られる。
【0025】
また、図3に図示されているIPS−Pro構造の断面図では、画素電極106と共通電極117が、層間絶縁膜116を介して重畳する部分が多数存在する。しかし、この部分は、液晶層111に対して並列に結合しているため、保持期間中に液晶層111に印加される電圧値を一定に保つ保持容量として機能している。
なおかつ、前記重畳部は透明であるため、IPS−Pro構造では開口率を低下させることなく電圧保持特性を向上することができる。
なお、図6において、スリット構造の方向は、画素内において一様であり、走査配線103の方向を0度とし、方位角を反時計回りに定義すると、各ストライプ構造の方向は、90度であり、液晶配向方向は、82.5度である。
【0026】
図7には、図6に図示のスリット構造とは異なるスリット構造の例が示されている。
図7に図示のスリット構造では、スリット構造の方向の角度が7.5度である領域と、−7.5度である領域が、画素内にほぼ一対一の面積比で存在している。
2領域では、電圧印加時における液晶配向方向の回転方向が互いに異なる。すなわち、液晶配向方向の回転方向が、一方において時計回りであれば、他方において反時計回りとなっている。
各領域は、黄色い着色を示す視角方向と、水色の着色を示す視角方向とをそれぞれ有するが、両者が重なって観察されることにより、視角方向での着色が低減される効果が得られる。その結果、視角方向においてより無着色の表示が得られ、かつより広い色再現範囲が確保される。
【0027】
IPS−Pro構造において、上述のような2領域を形成する画素構造の例を図7に示す。
図7において、液晶配向方向は水平方向である。
図7(a)においては、スリットの形状がくの字型であり、くの字の屈曲部が液晶配向方向の回転方向が異なる2領域の境界になり、2領域の境界が画素長辺方向に対して平行に形成される。
図7(b)においては、長方形の画素の上半分と下半分で液晶配向方向の回転方向が異なり、2領域の境界がアクティブ素子やスルーホールがある画素中央において、画素短辺方向に対して平行に形成される。
【0028】
図6に図示のように、信号配線104と走査配線103は、互いに交差しており、交差部の近傍にはそれぞれアクティブ素子105を有し、画素電極106と1対1に対応している。
アクティブ素子105は、図6において、画素電極106よりも下層に位置するため、図6においては、そのチャネル部を破線で記載してある。
画素電極106には、アクティブ素子105を介して信号配線104より画像信号に対応した電位が付与される。
また、アクティブ素子105の動作は、走査配線103の走査信号により制御される。アクティブ素子105は、薄膜トランジスタであり、そのチャネル部は、電子移動度の比較的高いポリシリコン層から成っている。ポリシリコン層は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成したアモルファスシリコン層をレーザー光線で加熱溶融して形成される。
【0029】
各画素電極106は、長方形状で互いに独立に制御され、かつ第二の基板108b上に格子状に配置されている。この画素電極106は、スルーホール部においてアクティブ素子105に接続している。
スルーホールは、共通電極117を貫くが、スルーホール周辺の共通電極117には、スルーホールよりも一回り大きい空孔部を配置して共通電極117と画素電極106との短絡を防いでいる。
【0030】
液晶層111には、室温を含む広い温度範囲でネマティック相を示し、液晶配向方向の誘電率がその垂直方向よりも大きい正の誘電率異方性を示す液晶材料を用いる。
正の誘電率異方性の液晶材料は、負の誘電率異方性の液晶材料に比較して低粘度であり、より良好な応答特性を示す。
また、ネマティック相を示す温度範囲がより広く、高抵抗であるという特徴を有する。このうち後者により、アクティブ素子105がオフとなる保持期間中における電圧低下が十分に少ないという効果が得られる。
【0031】
第一の配向膜110aと第二の配向膜110bにラビング法で配向処理を施した後、第一の基板108aと第二の基板108bを組み立て、液晶材料を真空封入して、前述の液晶層111とする。
第一の配向膜110aと第二の配向膜110bの配向処理方向を反平行としたことにより、液晶層111を配向状態が安定なホモジニアス配向とする。
その配向方向は、走査配線103に対して7.5度を成している。電圧印加時の電界方向と配向方向のなす角度が82.5度と大きいため、電圧印加時において充分に大きな液晶層の配向変化が得られる。
なおかつ、横電界印加時における液晶層111の配向変化方向、すなわち液晶層111の回転方向が基板法線方向から観察して時計回りか、若しくは反時計回りかが一義的に定まるため、電圧印加時の配向変化が安定化する。
【0032】
本発明は、液晶表示装置用のバックライトにOLEDを用いる。このOLEDは、有機発光層によって形成されている。
図8には、有機発光層202について断面構造図が示されている。
有機発光層202は、下記の構造をとるものをいう。すなわち、順次、/第1注入層206/第1輸送層207/発光層208/第2輸送層209/第2注入層210/から構成される。
さらにOLEDを発光させるために、上部電極211および下部電極205を有している。さらに下部電極205の発光層と反対側には第1のOLED用基板201Aを有している。上部電極211の発光層と反対側には、保護層212を有している。
【0033】
第1のOLED用基板201aは、絶縁性の材料であれば広い範囲から選択することが可能である。
具体的には、ガラス、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド膜、ポリエステル膜、ポリエチレン膜、ポリフェニルレンスルフィド膜、ポリパラキシレン膜等の各種絶縁性プラスチック等が使用可能である。
下部電極205と上部電極211は2通りの組合せがある。まず、下部電極205が陽極、上部電極211が陰極の構成である。この場合、第1注入層206、第1輸送層207は、それぞれ、正孔注入層、正孔輸送層となる。
また、第2輸送層209、第2注入層210は、それぞれ、電子輸送層、電子注入層となる。
【0034】
他の組合せは、下部電極205が陰極、上部電極211が陽極の構成である。この場合、第1注入層206、第1輸送層207は、それぞれ、電子注入層、電子輸送層となる。
また、第2輸送層209、第2注入層210は、それぞれ、正孔輸送層、正孔注入層となる。
上記構成において、第1注入層206、あるいは第2注入層210を有さない構造も考えられる。また、第1輸送層207、あるいは第2輸送層209が発光層に兼ねられる構造も考えられる。
【0035】
上部電極211と下部電極205では、一方の電極が発光光の透過性を有し、他方の電極が発光光の反射性を有する組合せが望ましい。その場合、透過性を有する電極から光を取出すため、同電極を光取出し電極と称する。一方、反射性を有する電極を反射電極と称する。
上部電極211が光取出し電極となる場合、トップエミッション構造と称する。一方、下部電極205が光取出し電極となる場合、ボトムエミッション構造と称する。
ここでいう陽極とは、正孔の注入効率を高める仕事関数の大きな導電膜が望ましい。具体的には、金,白金、が挙げられるが、これらの材料に限定されるわけではない。
【0036】
また、陽極として、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムゲルマニウム等の2元系、或いは酸化インジウムスズ亜鉛等の3元系であってもよい。
また、酸化インジウム以外にも酸化スズ、酸化亜鉛等を主成分とした組成であってもよい。また、ITOであれば、酸化インジウムに対して5−10wt%の酸化スズを含む組成が良く用いられる。酸化物半導体の製造法は、スパッタ法、EB蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
ITO膜、IZO膜の仕事関数は、それぞれ、4.6eV、4.6eVであるが、UVオゾン照射、酸素プラズマ処理、等により、5.2eV程度まで増大させることが可能である。
【0037】
ITO膜では、スパッタ法において、基板温度を200℃程度まで高めた条件で作製すると多結晶状態になる。多結晶状態では、結晶粒により、表面平坦性が悪いため、表面を研磨したものが望ましい。また、他の方法として、アモルファス状態で形成したものを加熱して多結晶状態にしたものが望ましい。
また、陽極は、前記正孔注入層を設けることにより、仕事関数を大きい材料を用いる必要がなくなり、通常の導電膜でよくなる。
具体的には、アルミニウム、インジウム、モリブテン、ニッケル、等の金属や、これら金属を用いた合金や、ポリシリコン、アモルファスシリコン、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(ITO)等の無機材料が望ましい。
また、陽極を反射電極として用いる場合、金属膜の反射電極の上に透明導電膜を形成した積層膜も考えられる。各層は上記材料が望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0038】
また、形成プロセスが簡便な塗布法を用いたポリアニリン,ポリチオフェン等の有機材料、導電性インクが望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
ここでいう正孔注入層とは、陽極と正孔輸送層の注入障壁を下げるため、適当なイオン化ポテンシャルを有する材料が望ましい。
また、下地層の表面凹凸を埋める役割を果たすことが望ましい。具体的には、銅フタロシアニン、スターバーストアミン化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン、酸化バナジウム、酸化モリブテン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、等が挙げられるが、これらに限定されない。
ここでいう正孔輸送層とは、正孔を輸送し、発光層へ注入する役割を有する。そのため、正孔移動度が高い正孔輸送性材料からなることが望ましい。また、化学的に安定であることが望ましい。また、イオン化ポテンシャルが小さいことが望ましい。また、電子親和力が小さいことが望ましい。また、ガラス転移温度が高いことが望ましい。
【0039】
具体的には、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ]ベンゼン(p−DPA−TDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾール)トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5−トリス[N,N−ビス(2−メチルフェニル)−アミノ]−ベンゼン(o−MTDAB)、1,3,5−トリス[N,N−ビス(3−メチルフェニル)−アミノ]−ベンゼン(m−MTDAB)、1,3,5−トリス[N,N−ビス(4−メチルフェニル)−アミノ]−ベンゼン(p−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス[1−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(1−TNATA)、4,4’,4’’−トリス[2−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(2−TNATA)、4,4’,4’’−トリス[ビフェニル−4−イル−(3−メチルフェニル)アミノ]トリフェニルアミン(p−PMTDATA)、4,4’,4’’−トリス[9,9−ジメチルフルオレン−2−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(TFATA)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾイル)トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5−トリス−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ]ベンゼン(p−DPA−TDAB)、1,3,5−トリス{4−[メチルフェニル(フェニル)アミノ]フェニル}ベンゼン(MTDAPB)、N,N’−ジ(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニル[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(p−BPD)、N,N’−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルフルオレン−2,7−ジアミン(PFFA)、N,N,N’,N’−テトラキス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(FFD)、(NDA)PP、4−4’−ビス[N,N’−(3−トリル)アミノ]−3−3’−ジメチルビフェニル(HMTPD)が望ましい。もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0040】
また、正孔輸送層は、上記正孔輸送性材料に酸化剤を含有して、陽極との障壁を低下させる、あるいは電気伝導度を向上させることが望ましい。
酸化剤の具体例としては、塩化第2鉄、塩化アンモニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモン等のルイス酸化合物であり、トリニトロフルオレン等の電子受容性化合物である。もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
ここでいう発光層とは、注入された正孔、電子が再結合し、材料固有の波長で発光する層をさす。
発光層を形成するホスト材料自体が発光する場合とホストに微量添加したドーパント材料が発光する場合がある。
【0041】
具体的なホスト材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体(DPVBi)、骨格にベンゼン環を有するシロール誘導体(2PSP)、トリフェニルアミン構造を両端に有するオキソジアゾール誘導体(EM2)、フェナンスレン基を有するペリノン誘導体(P1)、トリフェニルアミン構造を両端に有するオリゴチオフェン誘導体(BMA−3T)、ペリレン誘導体(tBu−PTC)、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体が望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0042】
次に、具体的なドーパント材料としては、キナクリドン、クマリン6、ナイルレッド、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、ジカルバゾール誘導体、ポルフィリン白金錯体(PtOEP)、イリジウム錯体(Ir(ppy)3)が望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0043】
ここでいう電子輸送層とは、電子を輸送し、発光層へ注入する役割を有する。そのため、電子移動度が高い電子輸送性材料からなることが望ましい。
具体的には、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、亜鉛ベンゾチアゾール錯体、バソキュプロイン(BCP)が望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
また、電子輸送層は、上記電子輸送性材料に還元剤を含有して、陰極との障壁を低くすること、或いは電気伝導度を向上させることが望ましい。
還元剤の具体例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、アルカリ金属と芳香族化合物で形成される錯体である。特に、好ましいアルカリ金属はCs、Li、Na、Kである。もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0044】
ここでいう電子注入層とは、陰極から電子輸送層への電子注入効率を向上させるために用いる。
具体的には、弗化リチウム、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化ストロンチウム、弗化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムが望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られず、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0045】
ここでいう陰極は、電子の注入効率を高める仕事関数の小さな導電膜が望ましい。
具体的には、マグネシウム・銀合金、アルミニウム・リチウム合金、アルミニウム・カルシウム合金、アルミニウム・マグネシウム合金,金属カルシウムが挙げられるが、これらの材料に限定されるわけではない。
また、前述の電子注入層を設ければ、陰極の条件として、低仕事関数の材料を用いる必要がなくなり、一般的な金属材料を用いることが可能となる。
具体的には、アルミニウム、インジウム、モリブテン、ニッケル、等の金属や、これら金属を用いた合金や、ポリシリコン、アモルファスシリコンが望ましい。
【0046】
ここでいう保護層とは、上部電極上に形成され、大気内HO、Oが上部電極、或いはその下の有機層に入りこむことを防ぐことを目的とする。
具体的に、SiO、SiN、Al等の無機材料やポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド等の有機材料が挙げられるが、これらの材料に限定されるわけではない。
【0047】
本発明に係るOLEDバックライトは、上記有機発光素子を用いることが望ましい。
OLEDには、単純マトリクス駆動方式とアクティブマトリクス駆動方式がある。本実施例では、単純マトリクス駆動方式について述べるが、どちらの方式を用いても同様な効果が得られる。
単純マトリクス駆動方式は、複数の陽極ラインと陰極ラインが交差した位置に正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の有機層が形成されている。
【0048】
図9には、バックライト16の平面図が示されている。また、図10には、図9に図示のC−C’間の断面構造図が、図11には、図9に図示のD−D’間の断面構造図が、それぞれ示されている。
本発明の液晶表示装置に用いられるバックライトは、図9に示したように発光領域と非発光領域に分割されている。分割する領域の数や形は目的と効果に応じて選択することができる。
第1の実施形態においては3×4のマトリクス状に発光領域を分割し、略正方形の発光領域を有している場合について述べる。
【0049】
上部電極211と下部電極205は、それぞれバックライト16の長手方向に平行および垂直に、それぞれが交差するように配置されている。上部電極211と下部電極205が交差する位置が発光領域となる。
バックライト16は、第1のOLED用基板201aと第2のOLED用基板201bと、その間に有機発光層202と拡散層204と、各々のOLED用基板の間にスペースを作るための支持部材203によって構成されている。
第2のOLED用基板201bは、第1のOLED用基板201aと同様に、絶縁性の材料であれば広い範囲から選択することが可能である。
具体的には、ガラス、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド膜、ポリエステル膜、ポリエチレン膜、ポリフェニルレンスルフィド膜、ポリパラキシレン膜等の各種絶縁性プラスチック等が使用可能である。
【0050】
支持部材203は、OLED用基板201a,201bのギャップを一定に保つために設けられている。支持部材203は、例えば、アクリル系樹脂によって形成されが、これらの部材に限定されるわけではない。
拡散層204は、斜めに入射された光を正面方向へ拡散するための部材である。具体的には、表面にミクロン構造の凹凸を設けたポリカーボネートを用いることができる。また、波長より充分に小さい粒子を粒子の屈折率と異なる屈折率を持つ媒体の中に分散させることで散乱特性を得ても良いが、これらの部材に限定されるわけではない。
また、図面においては、拡散層204は、第2のOLED用基板201bの有機発光層側に配置されているが、その反対側に配置してもかまわない。
【0051】
拡散層204を考慮した光学シミュレーションを実施した。シミュレーションモデルを図12(a)に示した。図12(a)は、簡略化して図示している。実際には発光層202には上下に電極などを要する。
図12(a)中のAは、発光層と発光層の間、つまり非発光層の距離を示している。Bは、発光層から拡散層までの高さを示している。
図12(b)に拡散層204の拡散プロファイルを示してある。拡散プロファイルとは、拡散層204へ入射する光の入射角に対する、入射光と正面方向へ出射する出射光の比を示している。
ここで、拡散プロファイルは二種類について検討することにする。発光層から発生する光はランバーシアンに従うものとして、下記の式によって表される。
I(θ)=I・cos(θ)
ここで、Iは、入射光強度、θは、出射角度、I(θ)は、角度θに出射される光強度を示している。
【0052】
非発光領域中心付近の正面方向へ出射される光強度と、発光層から正面方向へ出射される光強度が略等しくなるように、距離Aと高さBを設定する。設定した距離Aおよび高さBは、図12(c)に示してある。
計算結果は、図13に示されている。図13は、非発光部の距離を規格化した規格化位置に対する、正面方向へ出射する光強度を示している。プロファイル1、プロファイル2のどちらの場合においても正面方向へ出射する光強度は略1となっていることがわかる。
もし、拡散層204を配置しない場合は、正面方向へ出射する光はゼロとなるために、拡散層204を用いることで大幅に改善していることが確認できる。さらに、プロファイル1よりもプロファイル2を用いた方がより均一性が高くなっていることがわかる。斜め方向の輝度むらはバックライトと液晶パネルの間全面に拡散板を挿入することで軽減できる。
【0053】
第1の実施形態は、液晶表示装置において、領域分割OLEDバックライトを有し、その領域分割OLEDバックライトと液晶パネルへの信号を制御するための回路を有し、分割OLEDバックライトの非発光部に斜め方向から入射された光を液晶パネル正面方向へ曲げる拡散層を有することによって、輝度むらを軽減し、消費電力を低下させながら、コントラスト比を高めることができる。
【0054】
《第2の実施形態》
以下、本発明を実施するための最良の形態の第2の実施形態について、説明する。
第2の実施形態は、拡散層204の代わりに屈折層を用いることで、第1の実施形態と同様な効果を得ながら、生産を簡単化しようというものである。
【0055】
第2の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態との変更点のみについて説明する。
第2の実施形態では拡散層204の代わりに、屈折層を用いる。
屈折層は、斜め方向から入射される光を正面方向へ屈折させるための層である。正面方向へ屈折させるために、屈折層は、保護層212と屈折層が配置されている間の空間の屈折率よりも、屈折層の屈折率が大きい材料を用いる。
また、光が透過する必要があるので透明性が高い材料が好ましい。例えば、ポリカーボネートなどを用いることができる。また同様に屈折させる部材としてプリズムシートなどでも良い。
第2の実施形態は、液晶表示装置において、領域分割OLEDバックライトを有し、その領域分割OLEDバックライトと液晶パネル10への信号を制御するための回路を有し、分割OLEDバックライトの非発光部に斜め方向から入射された光を液晶パネル10の正面方向へ屈折させる屈折層を有することによって、輝度むらを軽減し、消費電力を低下させながら、コントラスト比を高めことができる。
【0056】
《第3の実施形態》
以下、本発明を実施するための最良の形態の第3の実施形態について、説明する。
第3の実施形態は、保護層212と第2のOLED用基板201bとの間の空間に透明層を有することで、不要反射を軽減し発光層の光取り出し効率を向上させながら、第1の実施形態と同様な効果を得ようというものである。
【0057】
第3の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態との変更点のみについて、図14を用いて説明する。
図14には、図9のC−C’間の断面図が示されている。
図14において、透明層214は、発光層から出射された光が第2のOLED基板201bで反射することなく、外部へ出射する、さらに、外光反射防止のために取り付けられている。透明層214の屈折率を1.4から1.6程度にすることで、第2のOLED基板201bの屈折率と保護層212との間で屈折率マッチングを取ることができ、上記の目的を達成することができる。
【0058】
透明層としては、例えば、下記のものが挙げられる。
モノマーを熱硬化,光硬化することにより重合させる熱硬化樹脂や、光硬化樹脂、或いはすでに重合が完了している熱可塑性の樹脂を挙げることができる。
保護層212と第2のOLED基板201bの間に透明層214を充填する方法としては、透明層214が接する部材の周縁部に必要に応じて図示しない土手を設け、透明層214としての熱硬化樹脂や光硬化樹脂のモノマーを保護層と第2のOLED基板との隙間に充填後、適切な熱、或いは光を与えることにより硬化させるという方法がある。これら樹脂のモノマーとしては、モノマー内の2重結合を用いて重合させるもの、脱水反応により重合させるもの、脱アルコール反応等が挙げられる。
【0059】
モノマー内の2重結合を用いて重合させるものとしてスチレン,メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,プロピルメタクリレート,イソプロピルメタクリレート,ブチルメタクリレート,イソブチルメタクリレート,ヘキシルメタクリレート,メチルアクリレート,エチルアクリレート,プロピルアクリレート,イソプロピルアクリレート,ブチルアクリレート,イソブチルアクリレート等が挙げられる。
これらを単独、あるいは複数種用いることで透明層を形成する。脱水反応により重合させるモノマーとしては、末端に2個以上の水酸基、あるいはグリシジル基、2個以上のアミノ基を有するものと、末端に2個以上のカルボキシル基、あるいはカルボン酸無水物構造を有するものが縮重合するものが挙げられる。
【0060】
末端に水酸基を有するものとしては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングリコール、1,3−ジヒドロキシシクロブタン、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,5−ジヒドロキシシクロオクタン等、末端にグリシジル基を有するものとしては、エチレングリコールモノグリシジルエーテル,エチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。末端にアミノ基を有するものとしては、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノベンゼン、2,6−ジアミノナフタレン,メラミン等が挙げられる。末端にカルボキシル基を有するものとしては、アジピン酸、1,3−フタル酸、1,4−フタル酸,フマル酸,マレイン酸,トリメリト酸,ピロメリト酸等が挙げられる。末端にカルボン酸無水物構造を有するものとしては、無水マレイン酸,無水フタル酸,無水ピロメリト酸等が挙げられる。脱アルコール反応により重合させるものとしては、アルコキシシラン基を有する化合物,アルコキシチタン基を有する化合物が挙げられる。具体的には、テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,メチルトリメトキシシラン,エトキシトリメトキシシラン,ブチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン,ブチルトリエトキシシラン,1−アミノプロピルトリエトキシシラン,1−クロルプロピルトリエトキシシラン,1−グリシジルプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0061】
また、ポリイソブチレンのように弾性の高い材料を用いることで、透明層214は、衝撃に対する緩衝作用を向上させることも可能である。透明層214の硬さとしては、ゴム硬度測定の規格JIS K 6253において、硬度5から硬度40が好適である。これは硬度5未満の場合は長期にわたって透明層214を保持する際の信頼性が下がるおそれがあり、また硬度40を超えると、衝撃に対する緩衝効果が低下する傾向がある。
なお、第3の実施形態は、透明層214が液体の場合を除外するものではない。この場合、以下のような方法で透明層を充填することができる。
まず、透明層214の接する部材(保護板、あるいは液晶セル)の周囲に図示しないバンクを設け、次に液状の透明層組成物を注入し、気泡が入っている場合は、オートクレーブ等の装置で加圧、あるいは加圧・加熱したり、バイブレータ等で振動を与えたり、吸引する等して気泡を除去する。
透明層214が液状の場合、例えばアルコール(炭素数6以上),ジオール(エチレングリコール,プロピレングリコール等),炭化水素(炭素数10以上),エチレングリコールのモノアルキルエーテル,エチレングリコールのモノアルキルエステル,ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル,ジエチレングリコールのモノアルキルエステル,トリエチレングリコールのモノアルキルエーテル,トリエチレングリコールのモノアルキルエステル等を用いることができる。
【0062】
このように、透明層214を液状として充填する場合、工程や構造が煩雑になる。このため、透明層214として液状素材の代わりにシート状の素材を適用することが、その扱い易さと加工性が良いことから望ましい。
この場合、シート状の透明層214としては、いわゆる透明エラストマーを用いればよく、その弾性率は、1×10〜3×10Paとし、厚さは0.1mm 〜1mm程度とすることが扱い易さの面から望ましい。
第3の実施形態は、保護層212と第2のOLED用基板201bとの間の空間に透明層214を有することで、不要反射を軽減し発光層の光取り出し効率を向上させながら、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0063】
《第4の実施形態》
以下、本発明を実施するための最良の形態の第4の実施形態について、説明する。
第4の実施形態は、保護層212と第2のOLED用基板201bとの間の空間に透明層を有することで、不要反射を軽減し発光層の光取り出し効率を向上させながら、第1の実施形態と同様な効果を得ようというものである。
【0064】
第4の実施形態の基本構成は、第3の実施形態と同様である。したがって、第3の実施形態との変更点のみについて、図14を用いて説明する。
第4の実施形態においては、拡散層204の代わりに、屈折層を用いる。
第4の実施形態で用いられる屈折層は、屈折率が1.6以上である必要がある。これは、透明層の屈折率が1.4から1.6程度であるため、屈折層の屈折率はそれ以上の大きさにする必要があるためである。
屈折層には、例えば、TiO(Titanium Oxide)、ITO、AZO(Aluminum Zinc Oxide)などを用いることができるが、これに限ったものではない。
第4の実施形態は、保護層212と第2のOLED用基板201bとの間の空間に透明層を有することで、不要反射を軽減し発光層の光取り出し効率を向上させながら、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0065】
《第5の実施形態》
以下、本発明を実施するための最良の形態の第5の実施形態について、説明する。
第5の実施形態は、非発光層に補助配線を有しており、第1の実施形態と同様な効果を得ながら、バックライトの輝度むらを軽減しようというものである。
【0066】
第5の実施形態の構成は、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態との変更点のみ説明する。
OLEDバックライトの光取出し側に配置されている電極は、ITOやIZOなどの透明電極で構成されている。ITOは、アルミなどの非透明金属と比較すると、1桁から2桁以上大きい比抵抗を有している。
そのため、バックライト16を分割している領域が大きい場合は、透明電極の抵抗により輝度傾斜が発生する場合がある。その課題を解決するために、アルミニウムなどの比抵抗の小さい材料を用いた補助配線を用いる。第5の実施形態においては、補助配線の位置が、非発光層の位置に配置されていることを特徴としている。
【0067】
第5の実施形態について、図15,図16を用いて説明する。
図15には、第5の実施形態の平面図が示されており、図16には、図15に図示のE−E’間の断面概略図が示されている。
図15において、補助配線215は、上部電極211の長辺のエッジ部に配置されている。
図面では、エッジ両端に補助配線215が配置されているが、どちらか一方でもかまわない。
補助配線215は、比抵抗が大きい透明電極が影響して発生する輝度傾斜を軽減するために配置する。補助配線215は、アルミニウムや銀、銅などの比抵抗が小さい材料が使用可能である。
ITOとアルミニウムや銅、銀などを直接接続すると、高温になるとコンタクト特性が悪化する。このことを改善するために、高融点材料を間に挟んでも良い。高融点材料は例えば、クロムやモリブデン、チタンやそれらの合金が使用可能である。
【0068】
第5の実施形態は、非発光領域に、比抵抗が小さい補助配線215を配置することによって、発光領域の比抵抗が大きい透明電極が影響して発生する輝度むらを、軽減することができる。つまり、発光面積を低減することなく、輝度むらを軽減し、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の表示装置の構成を示す図である。
【図2】図1に図示の表示装置の信号値と頻度の関係を示す図である。
【図3】本発明の表示装置の液晶パネルの構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る図6に示したA−A‘間の断面概略図である。
【図5】第1の実施形態に係る図6に示したB−B‘間の断面概略図である。
【図6】第1の実施形態に係る液晶セルの平面図である。
【図7】第1の実施形態に係る液晶セルの画素の平面図である。
【図8】第1の実施形態に係るバックライトの構成を表している図である。
【図9】第1の実施形態に係るバックライトの平面図である。
【図10】第1の実施形態に係る図9に示したC−C‘間の断面概略図である。
【図11】第1の実施形態に係る図9に示したD−D‘間の断面概略図である。
【図12】第1の実施形態の効果を確認するためのシミュレーション条件を示した図である。
【図13】第1の実施形態の効果を示した図である。
【図14】第3の実施形態に係る図9に示したC−C‘間の断面概略図である。
【図15】第5の実施形態に係るバックライトの平面図である。
【図16】第5の実施形態に係る図15に示したE−E‘間の断面概略図である。
【符号の説明】
【0070】
10…………………液晶パネル
11…………………第1のドライバ
12…………………第2のドライバ
13…………………信号分離回路
14…………………バックライトドライバ
15…………………画素メモリ
16…………………バックライト
17…………………最大値検出回路
18…………………入力映像信号
101………………偏光板
102………………液晶セル
103………………走査配線
104………………信号配線
105………………アクティブ素子
106………………画素電極
107………………コンタクトホール
108………………液晶用基板
109………………平坦化層
110………………配向膜
111………………液晶層
112………………ブラックマトリクス
113………………ソース電極
114………………走査配線絶縁膜
115………………共通電極絶縁膜
116………………層間絶縁膜
117………………共通電極
118………………カラーフィルタ
201………………OLED用基板
202………………有機発光層
203………………支持部材
204………………拡散層
205………………下部電極
206………………第1の注入層
207………………第1の輸送層
208………………発光層
209………………第2の輸送層
210………………第2の注入層
211………………上部電極
212………………保護層
213………………スペーサー
214………………透明層
215………………補助配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液晶用基板と、第2の液晶用基板を有し,
前記第1の液晶用基板と前記第2の液晶用基板に挟持された液晶層を有し,
前記第1の液晶用基板及び又は第2の液晶用基板の前記液晶層側に共通電極を有し,
前記第1の液晶用基板及び又は第2の液晶用基板の前記液晶層側に画素電極を有し,
前記第2の液晶用基板の前記液晶層が配置されている反対側に、バックライトを有し,
前記バックライトはバックライトの明るさを独立に制御できる領域を2つ以上有し,
前記バックライトは発光領域と非発光層を有し,
液晶駆動用のドライバを有し、バックライト駆動用のドライバを有し,
入力される映像信号が前記液晶駆動用ドライバと、前記バックライト駆動用ドライバに分離できる回路を有し,
前記入力される映像信号の最大値を検出できる機構を有している液晶表示装置において,
前記バックライトに第1のOLED用基板と第2のOLED用基板を設け,
前記第1のOLED用基板と前記第2のOLED用基板の間に有機発光層を形成し,
前記有機発光層を上部電極と下部電極に挟持するとともに、前記上部電極と前記下部電極の少なくともどちらか一方を透明電極で形成してなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記バックライトの前記液晶層側に配置されている最表面の層の前記非発光領域には,
光を拡散させる拡散層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記バックライトの前記液晶層側に配置されている最表面の層の前記非発光領域には,
光を屈折させる屈折層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1のOLED用基板と前記第2のOLED用基板との間には,
支持部材を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1のOLED用基板と前記第2のOLED用基板との間には,
透明層を設けたことを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記屈折層の屈折率は,
前記屈折層の前記発光層側に隣り合って配置されている層の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記屈折層は,
プリズム状形状であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記上部電極と前記下部電極は,
マトリクス状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記非発光領域に配置されている前記透明電極のエッジ部分の片方、もしくは両側には,
非透明金属材料が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−60858(P2010−60858A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226649(P2008−226649)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】