液晶表示装置
【課題】液晶層内に立設して形成される電極を形成した場合であっても、表示モード効率を向上させることが可能な液晶表示装置を提供することである。
【解決手段】
走査信号線と映像信号線とを有する第二の基板と、前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の底面側から伸延される下端側電極とからなる第一の電極と、前記画素の領域内に形成される第一の線状電極と、前記第二の基板側に形成され、前記前記第一の線状電極と対峙する第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記画素の領域は、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、第二の方向に延在する第二の画素領域とからなる液晶表示装置である。
【解決手段】
走査信号線と映像信号線とを有する第二の基板と、前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の底面側から伸延される下端側電極とからなる第一の電極と、前記画素の領域内に形成される第一の線状電極と、前記第二の基板側に形成され、前記前記第一の線状電極と対峙する第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記画素の領域は、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、第二の方向に延在する第二の画素領域とからなる液晶表示装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係わり、特に、基板面に平行な電界を印加する横電界方式の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横電界方式又はIPS(In-Plane Switching)方式と称される液晶表示装置は、液晶分子をパネル面に水平に配向させ、パネル面と平行な電界(横電界)を印加して液晶分子を水平面内で90度回転させる液晶表示装置である。このIPS方式の液晶表示装置は、映像信号線(ドレイン線)や走査信号線(ゲート線)及び薄膜トランジスタや画素電極等が形成される第1基板側に共通電極も形成され、画素電極と共通電極とに印加する電圧差で生じる第1基板の面内方向の電界により液晶層を駆動する。この構成からなるIPS方式の液晶表示装置では、例えば、透明導電膜で形成される面状の共通電極の上層に絶縁膜を介して線状の画素電極が重畳して配置される構成となっている。このために、線状電極の上層や隣接する線状電極との中間部分等では第1基板の法線方向の電界が生じるために、液晶分子がパネル面と水平にならずに傾斜してしまい、表示モード効率が低下してしまうことが知られている。
【0003】
この表示モード効率を向上させる方法として、例えば、特許文献1に記載の液晶表示装置がある。この特許文献1に記載の液晶表示装置では、薄膜トランジスタ等が形成される第1基板側の液晶面側に層間絶縁膜からなる凸状体を形成し、該凸状体の表面を覆うようにして画素電極と共通電極(対向電極)とを画素毎に形成する構成となっている。特に、各画素の対向する一対の辺縁部とその中心部に凸状体を形成し、一対の辺縁部の凸状体に覆う導電膜を画素電極とし、中心部の凸状体を覆う導電膜を共通電極とする構成となっている。さらには、画素電極の下層すなわち画素電極が形成される層間絶縁膜の下層に映像信号が出力される映像信号線が配置される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−258265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、液晶層内に突出される画素電極と共通電極により液晶層に第1基板の面内方向と平行な横電界を印加する方式では、液晶層に理想的な横電界を印加することができるが、一方で画素電極及び共通電極とその近傍では液晶配向を制御できないので、開口率が低下してしまうことが知られている。このために、従来の液晶表示装置では、液晶層内に突出する画素電極及び共通電極が画素の端部に形成されるブラックマトリクス等の遮光膜と重畳されるように配置する構成となっている。
【0006】
しかしながら、このような構成からなる液晶表示装置では、画素の端部において隣接する画素の画素電極が近接して配置されることとなるので、画素電極とその周辺に自画素と隣接画素の電位差に起因した電界分布が発生する。この電位差は画素毎反転駆動で白表示した際に最大になり、この場合に横電界分布に偏りが生じるため白表示の表示モード効率が低下してしまうことが懸念されている。同様にして、自画素が黒表示で隣接画素が白表示の場合に画素毎反転駆動したときには、黒表示時の輝度が増大してしまうすなわち黒表示時の透過率が上昇してしまうので、コントラスト比が低下してしまうことが懸念されている。
【0007】
また、画素の領域に占める画素電極の形成領域を低減させる構成として、隣接する画素を跨ぐようにして凸状体を形成し、該凸状体の側壁面にそれぞれの画素に対応した画素電極を形成する構成もある。この場合、1つの凸状体の側壁面に異なる画素(隣接する画素)の画素電極が凸状体を介して対向配置されることとなるので、隣接する画素の画素電極がさらに近接して配置されることとなり、その解決方法が切望されている。
【0008】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、液晶層内に立設して形成される電極を形成した場合であっても、表示モード効率を向上させることが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなる液晶表示装置である。
【0010】
(2)前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記側壁面電極が形成される前記第二の基板側の下側辺縁部から前記第一の基板側の上側辺縁部に至る前記第一の電極の高さは、当該第一電極に挟まれる画素の領域における前記液晶層の厚さよりも大きく形成されてなる液晶表示装置である。
【0011】
(3)前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記下端側電極よりも下層に形成され、前記下端側電極と絶縁膜を介して少なくともその一部が前記下端側電極と重畳して形成される第三の電極を備え、前記第三の電極と前記第一の電極とが電気的に接続されている液晶表示装置である。
【0012】
(4)前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記第一の基板側に形成され、平面的に見て前記第一の電極と重畳配置される第四の電極を有し、前記第四の電極と前記第二の電極に同じ信号が供給される液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液晶層内に立設して形成される電極を形成した場合であっても、表示モード効率を向上させることができる。
【0014】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素構成を説明するための平面図である。
【図3】図2に示すB−B’線での断面図である。
【図4】本発明の実施形態1の液晶表示装置における壁状電極の詳細構成を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態1の液晶表示装置における擬似壁共通電極での電界分布を説明するための図である。
【図6】従来の壁電極における電界分布を説明するための図である。
【図7】従来の共通電極における電界分布を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態1の擬似壁共通電極の位置合わせ精度を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態1の液晶表示装置における壁基材近傍での等電位面分布を示す図である。
【図10】本発明の実施形態1の液晶表示装置における1つの画素内における透過率分布の計測値の図である。
【図11】本発明の実施形態2の液晶表示装置における液晶表示パネルの概略構成を説明するための断面図である。
【図12】本発明の実施形態2の液晶表示装置における壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図である。
【図13】実施形態1の液晶表示装置を画素毎反転駆動した場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態2の液晶表示装置における液晶層厚と壁画素電極の高さとの差に対する画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図である。
【図15】実施形態1の液晶表示装置において画素毎反転駆動で自画素及び該自画素に隣接する隣接画素で共に白表示を行った場合の壁画素電極の近傍の等電位面分布を示す図である。
【図16】実施形態2の液晶表示装置において画素毎反転駆動により自画素で白表示を行うと共に隣接画素で黒表示を行った場合の壁画素電極の近傍の等電位面分布を示す図である。
【図17】実施形態2の液晶表示装置において液晶層LCよりも2μm高く壁基材WLを形成して画素毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布を示す図である。
【図18】本発明の実施形態3の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。
【図19】本発明の実施形態4の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。
【図20】本発明の実施形態4の液晶表示装置において画素毎反転駆動時に隣接画素間の電位差が最大となる場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図である。
【図21】本発明の実施形態4の液晶表示装置において画素毎反転駆動時に白表示画素と黒表示画素とが隣接する場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図である。
【図22】本発明の実施形態4の液晶表示装置における液晶層厚と壁画素電極の高さとの差と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図である。
【図23】本発明の実施形態4の液晶表示装置における液晶層厚と壁画素電極の高さとの差に対する画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図である。
【図24】本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。
【図25】本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素毎反転駆動時での壁画素電極の近傍における等電位面分布図である。
【図26】本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素毎反転駆動時での壁画素電極の近傍における等電位面分布図である。
【図27】本発明の実施形態5の液晶表示装置における壁画素電極と線状画素電極との間隔と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図である。
【図28】本発明の実施形態5の液晶表示装置における壁画素電極と線状画素電極との間の距離に対する画素毎反転駆動時でのコントラスト比を示す図である。
【図29】本発明の実施形態6の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図30】本発明の実施形態6の液晶表示装置における自画素と隣接画素が共に白を表示した際の等電位面の分布である。
【図31】本発明の実施形態6の液晶表示装置における自画素が白表示し、隣接画素が黒表示した際の等電位面の分布である。
【図32】本発明の実施形態7の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図33】本発明の実施形態7の他の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図34】本発明の実施形態8の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図35】本発明の擬似壁共通電極における第一の共通電極と第二の共通電極との位置合わせずれに対する画素毎反転駆動時における白表示画素の透過率を示す図である。
【図36】実施形態1の液晶表示装置において第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じていない場合と、3μmの合わせずれが生じている場合での画素内の透過率分布を示す図である。
【図37】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じていない場合の擬似壁共通電極部分の拡大図である。
【図38】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じている場合の擬似壁共通電極部分の拡大図である。
【図39】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じていない場合と、3μmの合わせずれが生じている場合での画素内の透過率分布を示す図である。
【図40】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極との合わせ位置が3μmずれた場合における画素毎反転駆動時での白表示透過率の第二の共通電極と液晶層との距離依存性を説明するための図である。
【図41】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第二の共通電極から液晶層に至るまでの距離と駆動電圧との関係を説明するための図である。
【図42】本発明の実施形態9の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。
【図43】本発明の実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じていない場合の擬似壁共通電極部分の拡大図である。
【図44】本発明の実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じている場合の擬似壁共通電極部分の拡大図である。
【図45】本発明の実施形態9の液晶表示装置において第一の共通電極と第二の共通電極との合わせ位置が3μmずれた場合における画素毎反転駆動時での白表示透過率の第一の共通電極と液晶層との距離依存性を説明するための図である。
【図46】本発明の実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極から液晶層に至るまでの距離と駆動電圧との関係を説明するための図である。
【図47】本発明の実施形態10の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図である。
【図48】図47に示すC−C’線での断面図である。
【図49】実施形態10の液晶表示装置における壁画素電極を形成する第一の透明導電膜の構成を説明するための図である。
【図50】実施形態10の液晶表示装置における第二の共通電極及び第四の共通電極を形成する第二の透明導電膜の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。また、X,Y,ZはそれぞれX軸、Y軸、Z軸を示す。
【0017】
〈実施形態1〉
〈全体構成〉
図1は本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための図であり、以下、図1に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の全体構成について説明する。なお、本願明細中においては、カラーフィルタCFや偏光板POL1,POL2などによる吸収の影響や開口率の影響を除いた透過率を表示モード効率とする。従って、バックライトユニット側の偏光板POL1から出射した直線偏光の振動方向が表示面側の偏光板POL2に入射する際に、90度回転している場合の表示モード効率を100%とする。
【0018】
図1に示すように、実施形態1の液晶表示装置は、第二の基板SU2に対向して配置されカラーフィルタ(着色層)やブラックマトリクスと称される遮光層等が形成される第一の基板SU1と、壁状の画素電極である壁画素電極(第一の電極)SEや薄膜トランジスタTFTが形成される第二の基板SU2と、第一の基板SU1と第二の基板SU2とで挟持される液晶層とで構成される液晶表示パネルPNLを有する。該液晶表示パネルPNLと該液晶表示パネルPNLの光源となる図示しないバックライトユニット(バックライト装置)とを組み合わせることにより、液晶表示装置が構成されている。第一の基板SU1と第二の基板SU2との固定及び液晶の封止は、第一の基板の周辺部に環状に塗布されたシール材SLで固定され、液晶も封止される構成となっている。ただし、実施形態1の液晶表示装置では、液晶が封入された領域の内で表示画素(以下、画素と略記する)の形成される領域が表示領域ARとなる。従って、液晶が封入されている領域内であっても、画素が形成されておらず表示に係わらない領域は表示領域ARとはならない。
【0019】
また、第一の基板SU1は、第二の基板SU2よりも小さな面積となっており、第二の基板SU2の図中下側の辺部を露出させるようになっている。この第二の基板SU2の辺部には、半導体チップで構成される駆動回路DRが搭載されている。この駆動回路DRは、表示領域ARに配置される各画素を駆動する。なお、以下の説明では、液晶表示パネルPNLの説明においても、液晶表示装置と記すことがある。また、第一の基板SU1及び第二の基板SU2としては、例えば周知のガラス基板が基材として用いられるのが一般的であるが、樹脂性の透明絶縁基板であってもよい。
【0020】
実施形態1の液晶表示装置では第二の基板SU2の液晶側の面であって表示領域AR内には、図1中X方向に延在しY方向に並設され、駆動回路DRからの走査信号が供給される走査信号線(ゲート線)GLが形成されている。また、図1中Y方向に延在しX方向に並設され、駆動回路からの映像信号(階調信号)が供給される映像信号線(ドレイン線)DLが形成されている。隣接する2本のドレイン線DLと隣接する2本のゲート線GLとで囲まれる領域が画素を構成し、複数の画素が、ドレイン線DL及びゲート線GLに沿って、表示領域AR内においてマトリックス状に配置されている。
【0021】
各画素は、例えば図1中丸印Aの等価回路図A’に示すように、ゲート線GLからの走査信号によってオン/オフ駆動される薄膜トランジスタTFTと、このオンされた薄膜トランジスタTFTを介してドレイン線DLからの映像信号が供給される壁画素電極SEと、コモン線CLを介して映像信号の電位に対して基準となる電位を有する共通信号が供給される第一の共通電極(第一の線状電極)CE1及び第二の共通電極(第二の線状電極)CE2とを備えている。図1中丸印Aの等価回路図A’においては、第一及び第二の共通電極CE1,CE2並びに壁画素電極SEを模式的に線状に記しているが、実施形態1の壁第一及び第二の共通電極CE1,CE2並びに壁画素電極SEの構成については、後に詳述する。なお、実施形態1の薄膜トランジスタTFTは、そのバイアスの印加によってドレイン電極とソース電極が入れ替わるように駆動するが、本明細書中においては、便宜上、ドレイン線DLと接続される側をドレイン電極、壁画素電極SEと接続される側をソース電極と記す。
【0022】
壁画素電極SEと第一及び第二の共通電極CE1,CE2との間には、第二の基板SU2の主面に平行な成分を有する電界が生じ、この電界によって液晶の分子を駆動させるようになっている。このような液晶表示装置は、いわゆる広視野角表示ができるものとして知られ、液晶への電界の印加の特異性から、IPS方式あるいは横電界方式と称される。また、このような構成の液晶表示装置において、液晶に電界が印加されていない場合に光透過率を最小(黒表示)とし、電界を印加することにより光透過率を増加させていくノーマリーブラックで表示を行うようになっている。
【0023】
各ドレイン線DL及び各ゲート線GLはその端部においてシール材SLを越えてそれぞれ延在され、外部システムからフレキシブルプリント基板FPCを介して入力される入力信号に基づいて、映像信号や走査信号等の駆動信号を生成する駆動回路DRに接続される。ただし、実施形態1の液晶表示装置では、駆動回路DRを半導体チップで形成し第二の基板SU2に搭載する構成としているが、映像信号を出力する映像信号駆動回路と走査信号を出力する走査信号駆動回路との何れか一方又はその両方の駆動回路をフレキシブルプリント基板FPCにテープキャリア方式やCOF(Chip On Film)方式で搭載し、第二の基板SU2に接続させる構成であってもよい。
【0024】
〈画素の詳細構成〉
図2は本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素構成を説明するための平面図、図3は図2に示すB−B’線での断面図、図4は本発明の実施形態1の液晶表示装置における壁状電極の詳細構成を説明するための図である。ただし、図2において、破線は第一の共通電極(コモン電極)CE1と第二の共通電極(コモン電極)CE2の輪郭を示し、一点鎖線は本願発明の壁基材(凸状体、壁構造)WLの輪郭(外形)を示す。
【0025】
図2に示すように、実施形態1の画素は、X方向に延在しY方向に並設されるドレイン線(映像信号線)DLと、Y方向に延在しX方向に並設されるゲート線(走査信号線)GLとで囲まれる領域となり、該画素が液晶表示パネルPNLの表示領域AR内にマトリクス状に配置されている。このとき、実施形態1の画素は、長手方向(Y方向)の図2中の上側領域(第一の領域)と下側領域(第二の領域)とにおいて、Y方向に対して対称をなすように異なる方向に傾斜され、画素の中央部分で上側領域と下側領域とが接続される構成となっている。ただし、液晶分子の配向方向は、上側領域及び下側領域においても図中の矢印ADで示す方向となるように、初期配向がされている。また、実施形態1の画素では、上側領域をY方向に対して反時計方向(第一の方向)に傾斜させ、下側領域を時計方向(第二の方向)に傾斜させる構成としたが、それぞれの逆方向に傾斜させる構成であってもよい。
【0026】
このように、実施形態1の液晶表示パネルでは、1つの画素を中央で屈曲させ、尚且つ液晶分子の配向方向を矢印ADで示す方向(図2中の縦方向)としている。これにより、上側領域と下側領域とが接する屈曲部の上下では、電圧印加時の液晶分子の回転方向は互いに逆方向となる。即ち、屈曲部の上側領域では液晶分子は反時計回りに回転し、屈曲部の下側領域では時計回りに回転する。一軸配向モデルによれば、液晶層はホモジニアス配向を保ったままその方位のみが回転するが、配向方向を含む方位角方向では白表示が青みがかり、その垂直方向では白表示が黄色味を帯びる。従って、実施形態1では、1つの画素内に回転方向が互いに逆となる領域を形成することにより、視角方向での着色を相殺して白色に近づけることができる。
【0027】
また、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、ドレイン線DLに重畳して形成されるコンタクトホールCH1を介して半導体層となるポリシリコン膜(ポリシリコン層)PSが電気的に接続されており、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極となる。このポリシリコン膜PSは、図2中の左下に示すように、図示しないゲート絶縁膜を介してゲート線GLと重畳され、この重畳領域において、ゲート電極GTが薄膜トランジスタTFTのゲート電極となる。また、ポリシリコン膜PSの他端側はドレイン電極となり、コンタクトホールCH2を介して、第一の透明導電膜(第一の導電膜)TCF1に電気的に接続されている。なお、実施形態1においては、半導体層(半導体膜)としてポリシリコン層を用いる場合について説明するが、アモルファスシリコン層や微結晶シリコン層等の他の半導体層を用いる構成であってもよい。
【0028】
第一の透明導電膜TCF1はドレイン線DLとゲート線GLとに沿って円環状に形成されており、図2中に実線L1で示す外側辺縁部と、実線L2で示す内側辺縁部との間の領域が第一の透明導電膜TCF1の形成領域となる。このとき、第一の透明導電膜TCF1の内でドレイン線DLに沿って伸延する部分は、各ドレイン線DLに近接する側すなわち外側辺縁が壁基材WLと重畳するようにして配置されている。これにより、実施形態1のドレイン線DLに沿って形成される一対の壁画素電極SEが、画素領域を挟むようにして立設して形成される。
【0029】
また、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、ゲート線GLに沿い当該ゲート線GLを跨ぐようにして、第二の透明導電膜(第二の導電膜)TCF2がX方向に延在しY方向に並設され、コモン線CLを兼ねている。また、画素領域のX方向の中間領域において、画素領域内の上端側及び下端側に形成される第二の透明導電膜TCF2を接続するようにして、第二の共通電極CE2が形成されている。このとき、第二の共通電極CE2においても、画素領域の上側領域と下側領域とにおいて、Y方向に対して傾斜するように形成されており、上側領域と下側領域との中間部分で電気的に接続されている。すなわち、第二の共通電極CE2においても、画素領域の上側領域と下側領域との中間部分で屈曲される形状となっている。このような構成の第二の共通電極CE2は、例えば、第二の基板SU2の液晶面側を覆うようにして形成された透明導電膜に点線L3,L4で示す開口領域を形成することによって成膜可能であり、一対の壁画素電極SEに挟まれた領域に中間部分で屈曲される線状の第二の共通電極CE2が形成される構成となっている。ただし、後に詳述するように、実施形態1の液晶表示パネルPNLにおいては、液晶層を介して対向配置される第一の基板SU1の液晶面側に、第二の共通電極CE2と対峙する位置に同電位の共通信号が供給される第一の共通電極CE1が形成されている。また、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とは、例えば、液晶表示パネルPNLの辺縁部等において、周知の技術で電気的に接続され、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とに同電位の共通信号が供給されている。
【0030】
このとき、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、壁画素電極SEを形成する第一の透明導電膜TCF1と第二の共通電極CE2を形成する第二の透明導電膜TCF2とが第三の絶縁膜IL3を介して形成されている。従って、図2中に斜線で示す画素領域内の上端側及び下端側の領域では、第一の透明導電膜TCF1と第二の透明導電膜TCF2とが第三の絶縁膜IL3を介して重畳するようになっており、実施形態1においては、第一の透明導電膜TCF1と第二の透明導電膜TCF2が重畳する領域(斜線で示す領域SC)を保持容量(蓄積容量)として用いる構成となっている。
【0031】
また、実施形態1の第一の透明導電膜TCF1では、画素の上側領域と下側領域との中間部分に図2中のX方向に突出する突出部が形成され、上側領域と下側領域とで液晶分子の回転方向が異なることに起因する異常ドメインを低減させる構成としている。同様にして、第二の共通電極CE2を形成する透明導電膜にも 画素の上側領域と下側領域との中間部分に図2中のX方向に突出する突出部が形成され、異常ドメインを低減させる構成としている。
【0032】
この構成からなる実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、図3に示すように、液晶層LCを介して第一の基板SU1と第二の基板SU2とが対向配置される。第一の基板SU1の液晶面側には、図示しないゲート線GLが形成され、該ゲート線GLを覆うようして第二の基板SU2の液晶面側の全面に第一の絶縁膜IL1が形成されている。このとき、第一の絶縁膜IL1は、薄膜トランジスタTFTの形成領域においては、ゲート絶縁膜として機能する構成となっている。
【0033】
第一の絶縁膜IL1の上層にはドレイン線DLが形成され、該ドレイン線DLを覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第二の絶縁膜IL2が形成されている。第二の絶縁膜IL2の上層にはドレイン線DLと重畳するようにして壁基材WLが立設されており、この壁基材WLの側壁面及び頭頂面並びに壁基材WLの近傍の第二の絶縁膜IL2の上層には壁画素電極SEを構成する第一の透明導電膜TCF1が形成されている。このとき、実施形態1の壁画素電極WLにおいては、前述するように、1つの壁基材WLの側壁面に隣接する画素の壁画素電極SEが形成されており、この隣接画素の壁画素電極SEは壁基材WLを介してゲート線GLの延在方向に対向配置される構成となっている。
【0034】
壁基材WL及び壁画素電極SEの上層には、当該壁基材WL及び壁画素電極SEを覆うようにして第二の基板SU2の全面に第三の絶縁膜IL3が形成されており、その上層に第二の共通電極CE2が形成されている。また、第三の絶縁膜IL3の上層には第二の共通電極CE2を覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第二の配向膜AL2が形成され、液晶層LCの各液晶分子LCMを図2中に矢印で示す初期配向方向ADHに配向させる構成となっている。特に、第二の配向膜AL2は周知の光配向膜であり、偏光紫外線を照射するとその振動方向に平行な方向に液晶分子LCMを配向させる性質を有する配向膜である。実施形態1において、第二の配向膜AL2に光配向膜を用いたことにより、ラビング法のような機械的な摩擦が不要となる格別の効果を得ることができる。その結果、壁基材WLを配置して凹凸が生じた第二の基板SU2の表面において、液晶分子LCMを配向させることが可能になる。ただし、ラビング法等を用いる周知の配向膜でも適用可能である。
【0035】
また、液晶層LCを介して対向配置される第一の基板SU1の液晶面側には、ドレイン線DLと対峙する位置に遮光膜となるブラックマトリクスBMが形成されており、該ブラックマトリクスBMを覆うようにして、着色層であるカラーフィルタCFが形成されている。カラーフィルタCFは画素領域毎に少なくとも赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の何れかに着色されており、RGBのカラー表示用の単位画素を構成している。
【0036】
カラーフィルタCFの上層にはオーバーコート層(オーバーコート膜、平坦化層)OCが形成されており、該オーバーコート層OCの上層に第1の共通電極CE1が形成されている。オーバーコート層OCの上層には、第一の共通電極CE1を覆うようにして、第一の配向膜AL1が形成されている。第一の配向膜AL1については、当該第一の配向膜AL1の液晶側面に大きく突出する壁基材WLが形成されない構成となるので、光配向膜やラビング法等を用いる配向膜の何れであってもよい。
【0037】
このとき、実施形態1の第1の共通電極CE1は液晶層LCを介して第二の共通電極CE2と重畳するように形成されると共に、第二の共通電極CE2よりも壁画素電極SEの配置方向の幅が大きく形成されている。この構成により、実施形態1においては、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とが重畳する領域内の液晶層LCに同電位となる領域を形成し、この領域を見かけ上の壁電極(擬似壁電極)とする擬似壁共通電極(第二の電極)を形成する構成としている。
【0038】
この場合、画像表示時にはおいては、擬似壁共通電極を中心として、図3中のB側では、B側の壁画素電極SEと擬似壁共通電極との間に第二の基板SU2の主面と平行な電界が生じ、B’側ではB’側の壁画素電極SEと擬似壁共通電極との間に第二の基板SU2の主面と平行な電界が生じ、このB側及びB’側の電界によりそれぞれの領域の液晶分子LCMが第二の基板SU2の主面と平行に回転駆動される。
【0039】
また、実施形態1の壁基材WLは第一の透明導電膜TCF1の内で、主に壁画素電極SEとなる領域と重畳する構成となっている。すなわち、第一の共通電極CE1や第二の共通電極CE2と対をなして液晶層LCに電界を印加する部分だけに壁基材WLが形成され、第一の透明導電膜TCF1と重畳される構成となっているので、ゲート線GLの近傍にまで壁基材WLが延在しない構成となっている。さらには、画素領域のゲート線GL側(Y方向側)の辺部にも壁基材WLが形成されない構成となっている。このように、壁構造WLはゲート配線GLとその近傍には形成されておらず、ドレイン配線DLの延在方向において画素間を跨らない不連続な構成となっている。従って、液晶層LCを形成する際に、真空封入法や滴下法等の何れの方法を用いる場合であっても、実施形態1の壁基材WLは液晶分子LCMの移動に与える障害を少なくして液晶層LCの形成を容易にしているので、液晶の注入を妨げない。例えば、液晶層LCの注入に際して、液晶分子LCMは壁基材WLの形成されていない部分を通って移動し、液晶層LCを形成する。また、壁基材WLは液晶層LCを保持してその厚さを一定に保つ機能を有する。
【0040】
なお、壁画素電極SE及び第一の共通電極CE1や第二の共通電極CE2を形成するための透明導電膜TCF1,TCF2を形成するための透明導電膜材料は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)及び酸化亜鉛系のAZO(Aluminum doped Zinc Oxide)やGZO(Gallium doped Zinc Oxide)等を用いることが可能である。
【0041】
特に、実施形態1の壁画素電極SEでは、図4の拡大図に示すように、壁基材WLの断面形状が長方形であり、壁基材WLの頭頂面に形成される第二の配向膜AL2が第一の基板SU1上に形成された第一の配向膜AL1に近接又は当接される構成となっている。なお、壁基材WLの側壁面は第二の基板SU2の主面に垂直又は垂直に近い傾斜であればよいので、壁基材WLの断面形状は長方形以外であってもよく、例えば台形や2次曲面、4次曲面等であってもよい。
【0042】
また、実施形態1の画素構造では、壁基材WLは隣接する画素を跨ぐようにして形成されているので、図4に示すように、当該壁基材WLのドレイン線DLの並設方向(図4中のB,B’方向)の側壁面には、それぞれ隣接する画素の壁画素電極SEが対向配置するように形成されている。すなわち、隣接する画素に面する側壁面であり、対向する一対の側壁面には、隣接画素の壁画素電極SEがそれぞれ形成されている。実施形態1の壁画素電極SEは、壁基材WLの側壁面に形成される垂直部(側壁面電極)VPと、壁基材WLの頭頂面に形成され垂直部VPの頭頂側の辺縁部から頭頂面に沿って延在する頭頂部TPと、壁基材WLの底面側(第二の基板SU2側)の辺縁部から下層の第二の絶縁膜IL2の表面に沿い擬似壁共通電極側に所定幅で延在してなる平坦部(下端側電極)HPから構成されている。
【0043】
このとき、壁基材WLの頭頂面には隣接画素の頭頂部TPがそれぞれ形成されるので、隣接画素の壁画素電極SEが最も近接されることとなる。従って、実施形態1の液晶表示パネルPNLにおいては、隣接画素の頭頂部TPの間隔よりも頭頂部TPの隣接方向への突出量(突出幅)が小さくなるように形成されている。なお、壁画素電極SEの構成はこれに限定されることはなく、例えば、頭頂部TPを形成することなく、垂直部VPと平坦部HPのみで壁画素電極SEを形成する構成であってもよい。
【0044】
また、実施形態1の壁画素電極SEでは、壁基材WLの下層(第二の基板SU2に近い側)にドレイン線DLが形成される、すなわち垂直部VPの辺縁部の内でドレイン線DLが形成される側に平坦部HPが形成される構成となっているので、ドレイン線DLが壁画素電極SEに及ぼす影響を遮蔽する効果がある。尚且つ、平坦部HPの先端すなわち垂直部VPから遠い側では擬似壁共通電極との距離がより近接するため、液晶層LCに印加される電界強度を強める効果がある。このように、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、壁基材WLが第二の基板SU2側から第一の基板SU1側に液晶層LCを貫くように形成され、尚且つその側壁面(斜面)が垂直若しくは垂直に近い斜面となるので、壁基材WLに形成した壁画素電極SEは液晶層LCにその層面内に対して平行な電界を印加することができる。層面内に平行な電界の印加により、液晶層に一様な配向変化が生じるので、高い透過率が得られ、表示モード効率を向上できる。
【0045】
〈壁画素電極及び擬似壁共通電極の電界分布〉
図5は本発明の実施形態1の液晶表示装置における擬似壁共通電極での電界分布を説明するための図、図6は従来の壁電極における電界分布を説明するための図、図7は従来の共通電極における電界分布を説明するための図、図8は本発明の実施形態1の擬似壁共通電極の位置合わせ精度を説明するための図である。
【0046】
図5に示すように、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、第一の基板SU1に形成した第一の共通電極CE1と、第二の基板SU2に形成した第二の共通電極CE2とが表示面側から見て重畳されるように配置されている。その結果、実施形態1の擬似壁共通電極では、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との近傍においては、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2のみをそれぞれ囲むようにした等電位面E1,E2が生じる。このとき、実施形態1においては、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2には同じ共通信号が供給される構成となっているので、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を共に囲むような等電位面E3、すなわち第一の基板SU1と第二の基板SU2とを結ぶような等電位面E3が生じる。このときの等電位面E3は、図6に示す壁状の電極IWEを形成した場合の等電位面と同様となる。尚且つ、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2の間には液晶層LCが存在するので、擬似壁共通電極で形成される等電位面E3も壁状の電極IWEを設けた場合と同様の効果を得ることができ、擬似壁共通電極自体が透過率を大きく低下させることはない。従って、画素端の壁基材WLに壁画素電極SE、画素中央に擬似壁共通電極を配置する構成により、WVGA対応の液晶表示パネルPNLのように、短手方向の画素幅が比較的に大きい場合であっても、高い透過率が得られる。
【0047】
また、図5に示す等電位面E3の形状から明らかなように、擬似壁共通電極によって形成される等電位面E3では、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間の領域、すなわち第一の基板SU1と第二の基板SU2との間の領域で、電極幅方向に対する等電位面E3の幅も小さくなるので、液晶分子の駆動に寄与しない電極幅を小さくすることが可能となる。その結果、表示効率を向上させることができる。
【0048】
ただし、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、第一の共通電極CE1の幅が第二の共通電極CE2よりも大きい(広い)構成としている。これはカラーフィルタCFを有する基板である第一の基板SU1の加工精度が第二の基板SU2よりも相対的に低いことを考慮しているからである。例えば、図8に示すように、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とがずれた場合であっても、第一の共通電極CE1の幅を大きく形成することにより、等電位面E3を形成することが可能となり、擬似壁共通電極を形成することができる。ただし、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2の電極幅は、異なる幅に限定されることはなく、同じ幅の構成であっても良い。より望ましくは、第一の共通電極CE1の幅を第二の共通電極CE2と同様にすれば良い。すなわち、第一の共通電極CE1の幅と第二の共通電極CE2の幅がより細いほど、図5に示す第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2を囲むように分布する等電位面E3の分布も狭くなるので、擬似壁共通電極近傍の透過率が増大する。
【0049】
前述する構成からなる擬似壁共通電極に対して、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2のうち一方だけしか設けない場合には、擬似壁共通電極と同様の効果は得られない。図7は第二の基板SU2の側にのみ共通電極を設けた、すなわち第二の共通電極CE2のみを設けた場合の等電位面を示した図であり、この図7に示すように、第二の共通電極CE2を囲む同心円状の等電位面が生じる。この場合、第二の共通電極CE2上の電界強度は弱く、充分大きな液晶配向変化が生じないためその近傍で透過率が著しく低下してしまう。
【0050】
一方、実施形態1の壁画素電極SEは、壁基材WLの対向する側壁面に自画素と隣接画素の壁画素電極SEが配置されるので、壁基材WLとその周辺に自画素と隣接画素の壁画素電極SEの電位差に起因した電界が発生する。このために、列毎反転駆動の場合には、自画素が白表示で隣接画素が黒表示の際に、同一の壁基材WLに形成される壁画素電極SE間での電位差が最大になる。このとき、白表示を行う画素内の電界強度に偏りが生じた場合には、白表示の透過率が低減する。また、黒表示を行う画素に電位の漏れが生じた場合には、黒表示の透過率が増大する。ここで、実施形態1の構成では、図3に示めすように、壁基材WLの高さを液晶層LCの厚さとほぼ等しく形成し、壁画素電極SEが平坦部HPを有している。この構成により、壁画素電極SEを構成する垂直部VPの表面からの電機力線が第二の基板SU2を介して、壁基材WLの対向面に形成される垂直部VPの表面に到達してしまうことに起因する横電界分布の偏りと隣接画素への電界漏れを低減することができるので、白表示の透過率を向上すると共に、黒表示の透過率を低減できる。すなわち、表示モード効率を向上できると共に、高コントラスト比が得られる。
【0051】
図9は本発明の実施形態1の液晶表示装置における壁基材近傍での等電位面分布を示す図であり、特に、図9中の壁基材WLの中央が画素境界であり、その右側の画素(自画素)では白表示、左側の画素(隣接する画素)では黒表示を行っている状態での等電位面分布を示している。また、図9に示す等電位面分布は、列毎反転駆動において隣接画素間の電位差が最大となる場合に相当する。
【0052】
列毎反転駆動において隣接画素で白表示と黒表示を行う場合、白表示を行う側の等電位面EF1は広く分布する。一方、黒表示を行う画素にも等電位面EF2が形成されているが、壁画素電極SE近傍に局在化している。このような等電位面EF1,EF2の分布が得られることは、図中右側の白表示画素の壁画素電極SEからの電界が黒表示画素の電界に影響を及ぼすことが低減できると共に、図中左側の黒表示画素の壁画素電極SEからの電界が白表示画素の電界に影響を及ぼすことが低減できることを示している。
【0053】
この構成からなる実施形態1の液晶表示パネルPNLとして、例えば、液晶層LCには、室温を含む広い温度範囲でネマチック相を示す高抵抗の液晶材料を用いる液晶表示パネルを形成した。この実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、壁基材WLに形成した壁画素電極SEを用いて液晶層LCの層平面すなわち液晶表示パネル面に平行な電界を印加した場合、液晶層LCは一軸配向モデルに近い配向状態となる。この場合に高透過率と無彩色を両立するには、液晶層のリタデーションΔndを300nm前後とすればよい。実施形態1では、液晶材料の複屈折率Δnは0.09、液晶層厚は3.3μmとし、液晶層のΔndは300nmとしている。
【0054】
このとき、壁基材WLが形成される領域には液晶層LCが存在しないため、壁基材WL自体は透過率低下の原因となる。そのため、実施形態1においては、壁基材WLは画素端部のブラックマトリクスBMの下に配置する構成となっている。例えば、WVGA(Wide Video Graphics Array)対応の画素の場合に画素幅(X方向の画素幅)は30μm程度である。従って、画素の端部に壁状の電極を形成し、一方の電極に映像信号を供給し、他方の電極に共通信号を供給する従来の壁電極構造では、壁基材WLを30μm間隔で配列すると電界強度分布が不均一になり透過率が低下してしまう。これに対して、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、画素中央に擬似壁共通電極を配置する構成となっているので、画素中央での電界強度を補うことが可能となり、透過率を向上させることができる。なお、前述するように、擬似壁共通電極は、一対の共通電極である第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2から構成される。
【0055】
次に、図10に本発明の実施形態1の液晶表示装置における1つの画素内における透過率分布の計測値の図を示し、以下、図10に基づいて、実施形態1の画素構成での効果について説明する。ただし、図10に示す計測値のグラフG1は、画素幅が30μmであり、画素端から15μmの位置に擬似壁共通電極が形成される画素の場合に、一方の画素端から他端側にかけての白表示時での透過率(白表示透過率)の計測値であり、白表示を行う自画素に隣接する画素は黒表示を行っている場合である。このように、自画素が白表示を行い、自画素に隣接する隣接画素が黒表示を行う場合、列毎反転駆動においては隣接画素間(自画素と隣接画素との間)の電位差が最大となる場合に相当する。
【0056】
グラフG1から明らかなように、擬似壁共通電極が形成される領域である画素端部から15μmの部分では透過率が低下しているが、他の部分ではほぼ一定の透過率が得られている。このことは、擬似壁共通電極近傍を除いた画素内でほぼ一定の強度の電界(横電界)が液晶層LCに印加されていることを示している。さらには、グラフG1から明らかなように、実施形態1の液晶表示装置では列毎反転駆動時において90%の透過率が得られる。また、隣接画素の黒表示透過率は0.08%であった。ただし、本願明細中における透過率は、カラーフィルタや偏光板等の各部材の吸収と開口率の影響を除いた値であり、液晶層の偏光変換能に対応する値である。
【0057】
これに対して、例えば、画素幅が30μmであり、面状の共通電極の上層に絶縁膜を介して線状の画素電極が形成されるIPS方式の液晶表示装置では、列毎反転駆動時における透過率は76%程度となるので、実施形態1の液晶表示装置では、透過率を大幅に向上できる。すなわち、表示モード効率を大幅に向上できる。
【0058】
以上説明したように、実施形態1の液晶表示装置では、1つの画素が2つ以上の傾斜した画素領域から形成され、各画素領域がゲート線GLの並設方向に対して対称をなすいわゆるマルチドメイン構成であると共に、壁画素電極SEが垂直部VP、平坦部HP及び頭頂部TPからなり、平面的に見て隣接画素の壁画素電極SEから露出しない範囲にドレイン線DLが形成され、さらには画素の辺縁部の内に形成される一対の壁画素電極SEの間の領域に擬似壁共通電極が形成される構成となっているので、画素の短手方向が比較的離間した構成となる画素であっても透過率を向上させることが可能となる。
【0059】
なお、本願発明の実施形態1の液晶表示装置では、1つの画素が2つの異なる方向に傾斜した領域(上側領域と下側領域)で形成するいわゆるマルチドメイン構成としたが、これに限定されることはない。例えば、1つの画素を3つ以上の領域で形成するマルチドメイン構成であってもよい。特に、1つの画素を3つ以上の領域で形成する場合には、各領域の傾斜角を全て異なる構成とすることも可能であるが、例えば、少なくとも2つ以上の傾斜角の異なる領域が適宜配置される構成であってもよい。
【0060】
〈実施形態2〉
図11は本発明の実施形態2の液晶表示装置における液晶表示パネルの概略構成を説明するための断面図であり、以下、図11に基づいて、実施形態2の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態2の液晶表示パネルは、一対の壁画素電極SEに囲まれる領域すなわち電界が印加される液晶層LCの部分の構成が異なるのみで、他の構成は実施形態1と同様の構成となる。従って、以下の説明では、この壁画素電極SEに挟まれる領域の構成について詳細に説明する。なお、実施形態2の画素構成においても、画素の中心部分で壁画素電極SEの平面内での傾斜角が異なるいわゆるマルチドメイン構成の場合について説明するが、直線状の壁画素電極SE及び擬似壁共通電極からなるいわゆるシングルドメイン構成にも適用可能である。
【0061】
図11に示すように、実施形態2の液晶表示パネルは、実施形態1と同様に、第二の基板SU2の上層に、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の絶縁膜IL2、壁基材WL及び壁画素電極SEが順番に積層されて形成されている。ここで、実施形態2の液晶表示パネルでは、一対の壁画素電極SEに挟まれて液晶分子LCMが駆動される領域(以下、透過領域と記す)毎に第四の絶縁膜(第一の絶縁厚膜)IL4が形成されている。すなわち、画素の領域の内で、壁基材WLの形成されない領域に第四の絶縁膜IL4が形成される構成となっている。
【0062】
実施形態2においては、第四の絶縁膜IL4は壁画素電極SEの高さH2を超えない厚さで形成されている。また、実施形態2の構成では、壁基材WLを含む壁画素電極の形成領域に沿った形状の貫通溝が第四の絶縁膜IL4に形成されており、この貫通溝の底面部露出される第二の絶縁膜IL2の表面(露出面)に壁基材WL及び壁画素電極SEが形成されている。これにより、実施形態2の液晶表示パネルPNLでは、第二の基板SU2の液晶側面に凹部(第一の溝)を形成し、この凹部の底面に壁基材WL及び壁画素電極SEが立設される構成とし、凹部の深さすなわち第四の絶縁膜IL4の膜厚分だけ、液晶層厚よりも壁画素電極SEの高さを大きく形成する構成としている。なお、実施形態2においては、第四の絶縁膜IL4にのみ貫通溝を設けることによって第二の基板SU2の表面(液晶側面)に凹部を形成する構成としたが、2つ以上の薄膜層を形成しそれぞれの薄膜層に貫通溝を設ける等によって凹部を形成する構成であってもよい。
【0063】
第四の絶縁膜IL4の上層には、壁画素電極SE及び壁基材WLの頭頂面を覆うようにして第三の絶縁膜IL3が形成されている。この第三の絶縁膜IL3の上層に擬似壁共通電極を形成する一方の透明電極である第二の共通電極CE2が形成され、その上層に配向膜AL2が形成されている。
【0064】
この構成からなる第二の基板SU2の形成は、壁基材WLを第二の絶縁膜IL2上に形成し、その高さH2をあらかじめ液晶層LCの厚さH1よりも高く形成する。その後、壁基材WLに壁画素電極SEを構成する垂直部VP、平坦部HP及び頭頂部TPをパターンニングして形成した後に、壁画素電極SE及び第二の絶縁膜IL2を含む第二の基板SU2の全面に第四の絶縁膜IL4を形成する。次に、壁基材WLを含む壁画素電極SEの形成領域に沿って、壁基材WL及び壁画素電極SEの上層に形成される第四の絶縁膜IL4を除去し、壁画素電極SEを構成する頭頂部TP、垂直部VP及び平坦部の一部、並びに壁基材WLを露出させる。この後に、第三の絶縁膜IL3、第二の共通電極CE2及び第二の配向膜AL2を形成することにより、壁画素電極SEを第四の絶縁膜IL4の膜厚分だけ液晶層LCの厚さH1よりも高く形成できる。このとき、第四の絶縁膜IL4に有機レジスト等の有機絶縁膜材料を用いることによりその膜厚を容易に増大できる。また、壁基材WLは液晶層LCの厚さH1よりも充分に高くする。
【0065】
一方、第一の基板SU1の構成は、前述する実施形態1の液晶表示パネルPNLの第一の基板SU1と同様の構成となる。その結果、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、液晶層LCの厚さH1を従来の液晶表示パネルPNLと同様の厚さとした場合であっても、壁画素電極SEの高さH2よりも透過領域の液晶層LCの厚さH1を小さく形成できる。すなわち、液晶層LCの厚さH1よりも壁画素電極SEの高さH2が大きく形成された構成となる。
【0066】
次に、図12に本発明の実施形態2の液晶表示装置における壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図、図13に実施形態1の液晶表示装置を画素毎反転駆動した場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図を示し、以下、図12及び図13に基づいて、実施形態2の液晶表示パネルPNLの画素構成について詳細に説明する。ただし、図12及び図13に示す等電位面分布は、画素毎反転駆動時における隣接画素間の電位差が最大となる場合に相当する。
【0067】
画素毎反転駆動では隣接する画素の電位が反転しているので、自画素と隣接画素とが共に白表示の場合に隣接画素間の電位差が最大になる。このとき、実施形態2の液晶表示パネルPNLにおいても、隣接画素の壁画素電極SEは壁基材WLを介して対向する位置に形成されている。このために、隣接する画素に極性の反転した最大電圧が印加される場合すなわち自画素及び隣接画素が共に白表示の場合には、列毎反転駆動における最大値の2倍近くの電位差が生じ、隣接画素の電位に及ぼす影響も大きくなる。
【0068】
ここで、図13に実施形態2の液晶表示装置における液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hd(=H2−H1)と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図を示し、以下、図12及び図13に基づいて、実施形態2の液晶表示パネルの詳細構成について説明する。ただし、グラフG3は壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdを変化させた場合における白表示時の自画素の透過率の計測値であり、グラフG4は壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdを変化させた場合における黒表示時の自画素の透過率の計測値である。
【0069】
グラフG3から明らかなように、実施形態2の液晶表示パネルPNLでは、壁基材WLの高さを変えるすなわち壁画素電極SEの高さH2を変えることにより、画素毎反転駆動時における表示特性を変化させることが可能である。
【0070】
すなわち、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、実施形態1の液晶表示装置において画素毎反転駆動を行った場合に相当し、この場合の白表示時の透過率は74%程度となる。これに対して、第四の絶縁膜IL4を形成し透過領域の液晶層厚H1を変化させずに壁画素電極SEの高さH2を大きくした場合、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdの増加に伴い白表示時の透過率も増加(向上)することが明らかとなった。例えば、Hd=0.5μm時には透過率は82%程度に増加し、Hd=1.0μm時は87%に増加する。さらにHdを大きくした場合、Hd=2.0μm以上で透過率は89%程度となり、それ以上Hdを大きくした場合であっても透過率は89%程度となり、Hd=2.0μmで透過率の増加が飽和する。
【0071】
同様にして、グラフG4から明らかなように、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、黒表示時の透過率は0.43%程度となる。一方、Hd=0.5μm時には透過率は0.21%程度に減少(向上)し、Hd=1.0μm時は0.14%に減少する。さらにHdを大きくした場合、Hd=2.0μm以上で透過率は0.08%程度となり、それ以上Hdを大きくした場合であっても透過率は0.08%程度となり、Hd=2.0μmで透過率の減少が飽和する。
【0072】
図14は本発明の実施形態2の液晶表示装置における液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hd(=H2−H1)と、画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図であり、特に、図13に示す黒表示時(暗表示時)と白表示時(明表示時)の表示モード効率から求めたコントラスト比である。図14のグラフG5から明らかなように、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、コントラスト比は170程度となる。これに対して、Hd=0.5μm時は390に向上し、Hd=1.0μm時は650、Hd=1.5μm時は870、Hd=2.0μm時は1000、Hd=2.5μm時は1020、Hd=3.0μm時は1030にそれぞれ向上する。このように、実施形態2の液晶表示装置では、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差Hdが増大するにつれてコントラスト比も増大することとなり、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=2μmの付近でコントラスト比の増大は頭打ちになり、なおかつコントラスト比は1000:1に到達する。
【0073】
コントラスト比は明表示透過率(白表示時の透過率)と暗表示透過率(黒表示時の透過率)の割り算で算出されるが、実施形態2の液晶表示装置においては、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μmとなる近傍では暗表示透過率が充分に低下し、明表示透過率が充分に増大する。従って、実施形態2の構成においては、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μm以上となるように第四の絶縁膜IL4及び壁画素電極SEを形成することにより、本願発明による効果が充分に得られ、高コントラスト比が得られる。よって、実施形態2の液晶表示装置においては、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μm以上となるように、第四の絶縁膜IL4及び壁画素電極SEを形成することが好適である。
【0074】
図17は実施形態2の液晶表示装置において壁基材WLを液晶層LCよりも2μm高く形成し、画素毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布を示す図である。特に、実線で示すグラフG6が実施形態2の液晶表示装置において、画素毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布を示すグラフである。他のグラフG1,G2は比較対象として示すものであり、グラフG1は実施形態1の液晶表示装置において列毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布を示すグラフ、グラフG2は実施形態1の液晶表示装置において画素毎反転駆動時で白表示を行った際の透過率分布を示すグラフである。
【0075】
グラフG3から明らかなように、実施形態1の液晶表示装置と同様に、擬似壁共通電極構造以外の部分では均一な透過率が得られている。このときの透過率は、グラフG1に示す実施形態1の液晶表示装置での列毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布と同等に向上することができる。すなわち、実施形態2の液晶表示装置では、壁基材WLを液晶層LCよりも2μm高くなるように第四の絶縁膜IL4を形成することにより、画素毎反転駆動においても隣接画素電位を完全に遮蔽できる。
【0076】
一方、実施形態1の液晶表示装置において画素毎反転駆動で自画素及び該自画素に隣接する隣接画素で共に白表示を行った場合には、グラフG2から明らかなように、擬似壁共通電極近傍の透過率が低下すると共に、擬似壁共通電極以外の部分でも透過率が一定にならず、特に壁画素電極SEの近傍でも透過率が低下することとなる。
【0077】
このときの壁画素電極SEの近傍の等電位面分布を示したのが図15であり、図9に示す列毎反転駆動時における白表示の画素での等電位面数よりも、画素毎反転駆動時の等電位面数が増大している。すなわち、図15に示す等電位面分布では、白表示を行う自画素の等電位面数は3つで同数となるが、黒表示を行う隣接画素の等電位面数は1つから3つに増大している。また、図15から明らかなように、図9に示す列毎反転駆動時に比較して、白表示を行う自画素における等電位面EF1の分布が壁構造WL側に偏ってしまう、すなわち、壁画素電極SEの近傍に等電位面FE1が局在化することとなる。これは壁基材WL内に列毎反転駆動時の約二倍の電位差が生じて等電位面の間隔が狭くなったことに起因するものであり、液晶層LC中の等電位面EF1の分布間隔も縮小して壁画素電極SE(壁基材WL)の側に偏った分布となる。これらのことから、実施形態1の液晶表示装置における画素毎反転駆動時でのグラフG6に見られる擬似壁共通電極近傍での透過率低下は、隣接画素電位の影響で画素内の電界強度分布が不均一になり、液晶層LC中の液晶分子LCMを十分に駆動することができなくなり、画素内の各部分の透過率が同一の電圧で最大値をとらなくなったことによると考えられる。その結果、実施形態1の液晶表示装置における画素毎反転駆動時の白表示時において十分な透過率を得ることができなくなってしまい、白表示透過率が75%に減少し、隣接画素が白表示における黒表示透過率も0.43%に増大してしまうこととなる。
【0078】
これに対して、実施形態2の液晶表装置では、図12に示すように、白表示の等電位面EF1は液晶層LC内において図9に示す白表示時の自画素(図中右側)と同程度に広がっており、均一な電界分布が得られることが判る。また、図中左側の隣接画素で黒表示を行うと共に、図中右側の自画素で白表示を行う場合、図16に示すように、壁基材WL近傍の等電位面分布の内で隣接画素の等電位面である黒表示画素の等電位面FE2は、前述する実施形態1の図9に示す等電位面分布と同程度に壁画素電極SEの近傍に広がることとなる。また、白表示を行う自画素の等電位面FE1も図9に示す等電位面EF1と同程度に、液晶層LC中に広がって分布される。その結果、実施形態2の液晶表示パネルPNLにおいて、画素毎反転駆動によって、黒表示の画素と白表示の画素とが隣接された場合であっても、白表示時の透過率を向上できる。
【0079】
以上説明したように、実施形態2の液晶表示装置では、傾斜した2つ以上の画素領域で1つの画素を形成し、画素の辺縁部に壁画素電極SEを配置すると共に、該壁画素電極SEとの間の透過領域内に擬似壁共通電極を配置し、さらには透過領域内に第四の絶縁膜IL4を形成することによって、壁画素電極SEの高さH2が液晶層の厚さH1よりも大きく形成している。その結果、前述する実施形態1の液晶表示装置の効果に加えて、1つの壁基材WLに対して隣接画素の壁画素電極SEを形成し、隣接する壁画素電極SEに画素毎反転駆動方式で映像信号を供給した場合であっても、液晶層中の等電位面分布を広くすることが可能となり、白表示時及び黒表示時の透過率を向上することができるという格別の効果を得ることができる。
【0080】
このように、実施形態2の液晶表示装置では、画素毎反転駆動時における透過率の向上等を目的として液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さを大きくするために、少なくとも第四の絶縁膜IL4を厚く形成する。さらには、実施形態2の液晶表示パネル厚を実施形態1の液晶表示パネル厚よりも厚く形成することにより、実施形態2の液晶層厚を実施形態1の液晶層厚と同じ厚さに形成している。
【0081】
〈実施形態3〉
図18は本発明の実施形態3の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。実施形態3の液晶表示装置は、画素の辺縁部分にそれぞれ対向配置される壁画素電極SEとの間に形成される第五の絶縁膜IL5の構成が異なるのみで、他の構成は実施形態2の液晶表示装置と同様の構成である。従って、以下の説明では、第五の絶縁膜IL5について詳細に説明する。
【0082】
図18に示すように、実施形態3の液晶表示装置においても第一の基板SU1の構成は実施形態1と同様の構成となる。第二の基板SU2には、液晶側の面に順に、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の絶縁膜IL2、壁基材WL及び壁画素電極SEが形成されている。ここで、実施形態3の液晶表示パネルPNLでは、壁基材WL及び壁画素電極SEを覆うようにして第二の基板SU2の全面に第五の絶縁膜(第二の絶縁厚膜)IL5が形成され、該第五の絶縁膜IL5の上層に第三の絶縁膜IL3が第二の基板SU2の全面に形成されている。この第三の絶縁膜IL3の上層には擬似壁共通電極を構成する第二の共通電極CE2が形成され、該第二の共通電極CE2を覆うようにして第二の基板SU2の全面に第二の配向膜AL2が形成されている。
【0083】
このとき、実施形態3の液晶表示パネルPNLにおいては、第二の基板SU2の全面に形成される第五の絶縁膜IL5の膜厚が、透過領域とこの透過領域を除く領域とにおいて異なる膜厚となるように形成されている。また、前述する実施形態2の液晶表示パネルPNLと同様に、実施形態3においても透過領域の第五の絶縁膜IL5の膜厚は2.0μmとなるように形成されている。ただし、第五の絶縁膜IL5の膜厚は、実施形態2の液晶表示装置と同様の理由により、2.0μm以上であってもよい。
【0084】
このような第五の絶縁膜IL5の形成は、例えば、壁基材WLの形成後に壁画素電極SEの形成し、この後に、低粘度の有機レジスト等の有機絶縁膜材料を第二の基板SU2の全面に塗布し、硬化させることによって形成可能である。すなわち、低粘度の有機レジスト等を用いることにより、スピンコータやスリットコータを用いて第二の基板SU2に塗布された有機レジストは、塗布後に流動して高い部分では薄く、低い部分では厚く分布することとなる。従って、本願発明の液晶表示パネルPNLのように、第二の基板SU2の液晶面側に立設される壁基材WLの側面に壁画素電極SEを形成する構成では、壁画素電極SEが形成される近傍においては、塗布時の有機レジストの表面張力によって第五の絶縁膜IL5の膜厚が壁基材WLの高さ程度に非常に厚くなるが、壁画素電極SEから離れた領域である透過領域においては平坦でかつ均一な膜厚(例えば、2μm)となる。さらには、壁基材WLの頭頂面では、その膜厚は他の絶縁膜と同様に薄く形成される。このように、実施形態3の液晶表示パネルPNLでは、低粘度の有機絶縁膜材料の塗布及び硬化のみの工程で所望位置に第五の絶縁膜IL5を形成することができるので、パターンニングに要する工程を削減することが可能となる。その結果、第二の基板SU2すなわち液晶表示装置の製造工程を簡略化でき、製造コストを低減できるという格別の効果を得られる。
【0085】
なお、第一の基板SU1と第二の基板SU2とを貼り合わせるシール材の密着性能を向上させる等のために、表示領域ARの外側部分に形成される第五の絶縁膜IL5や配向膜AL2等を除去する構成であってもよい。
【0086】
以上説明したように、実施形態3の液晶表示装置では、画素の辺縁部の内で長手方向に延在する辺縁部に、隣接する画素の壁画素電極がそれぞれ近接して形成されると共に、該一対の壁画素電極との間の透過領域内に擬似壁共通電極が形成され、さらには、透過領域を含む第二の基板の全面に低粘度の有機絶縁膜材料を塗布及び硬化させることによって第五の絶縁膜IL5を形成し、壁画素電極SEの高さが液晶層の厚さよりも大きくなるように形成されている。その結果、前述する実施形態2の液晶表示装置の効果に加えて、一対の壁画素電極との間の透過領域内に形成される絶縁膜である第五の絶縁膜IL5の形成に要する工程を簡略化できるという格別の効果を得ることができる。
【0087】
〈実施形態4〉
図19は本発明の実施形態4の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。ただし、実施形態4の液晶表示装置は、各画素の透過領域の液晶層厚を調整するための絶縁膜層として、第一の基板SU1の形成されるオーバーコート層OCを用いる構成及び壁画素電極SEの高さが異なるのみで、他の構成は実施形態1の液晶表示装置と同様の構成である。従って、以下の説明では、第一の基板SU1の構成について詳細に説明する。
【0088】
図19に示すように、実施形態4の第一の基板SU1の液晶面側には、隣接画素との境界部分に対峙する位置にブラックマトリクスBMが形成され、該ブラックマトリクスBMを覆うようにカラーフィルタCFが形成されている。このとき、カラーフィルタCFはRGBの各色に対応しており、ブラックマトリクスBMと重畳する領域でRGBの内の何れかのカラーフィルタCFが隣接する構成となっている。
【0089】
また、カラーフィルタCFの上層にはオーバーコート層OCが形成されている。このとき、実施形態4のオーバーコート層OCでは、壁基材WLと対峙する領域に沿って、凹部(第二の溝部)が形成されている。すなわち、オーバーコート膜OCをパターンニングして、壁基材WLに相対する部分からオーバーコート膜OCを除去することにより、オーバーコート層OCを貫通する貫通溝からなる凹部が第一の基板SU1の液晶面側に形成される。この上層にはオーバーコート層OC及び除去部分(凹部)を覆うようにして、第一の基板SU1の全面に第一の配向膜AL1が形成されている。
【0090】
一方、第二の基板SU2の液晶面側には第一の絶縁膜IL1が形成されており、第二の基板SU2の表面に形成される図示しないゲート電極(ゲート線)と、図示しない薄膜トランジスタの半導体層との間に形成されるゲート絶縁膜としても機能する構成となっている。この第一の絶縁膜IL1の上層には第二の共通電極CE2とドレイン線DLとが形成され、特に、実施形態4の液晶表示パネルPNLでは第二の共通電極CE2とドレイン線DLとが同層に形成されている。
【0091】
また、ドレイン線DLの上層には、前述する実施形態1〜3と同様に、ドレイン線DLを跨ぐようにして壁基材WLが形成されている。この壁基材WLの側壁面に壁画素電極SEを形成する垂直部VPが形成され、該垂直部VPの下端側には第一の絶縁膜IL1の上面に沿って平坦部HPが形成され、垂直部VPの上端側には壁基材WLの頭頂面に沿って頭頂部TPが形成されている。このとき、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、前述する実施形態2,3の液晶表示パネルPNLと同様に、液晶層LCの厚さH1よりも大きい高さH2で壁基材WLが形成されている。すなわち、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、壁基材WLは実施形態1と同様にドレイン線DLの下層の絶縁膜(実施形態4では第一の絶縁膜IL1)上に形成されるが、その高さH2をあらかじめ液晶層厚H1よりも高く形成する。
【0092】
この壁画素電極SEの上層には、当該壁画素電極SE及び第二の共通電極CE2等を覆うようにして、第二の基板SU2の全面には第二の配向膜AL2が形成される。この第二の配向膜AL2により、液晶層LCの液晶分子LCMの初期配向が制御される。
【0093】
このような構成からなる実施形態4の液晶表示パネルPNLでは、第一の基板SU1と第二の基板SU2との貼り合わせにより、オーバーコート層OCに形成される凹部の底面部分に壁画素電極SEの頭頂部TPが当接又は近接されるようにして形成されることとなる。この壁基材WLの頭頂部がオーバーコート層OCのない部分に近接するように組み合わされることにより、壁基材WLがオーバーコート層OCの膜厚分だけ液晶層厚H1よりも高くなる。その結果、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、各画素の透過領域内における液晶層LCの厚さはH1となり、液晶層厚H1よりも大きい高さH2の壁画素電極SEからの電界により、液晶分子LCMが駆動できる。
【0094】
このとき、ドレイン線DLやゲート線GL等の各種配線や壁画素電極SE等が形成される第二の基板SU2は、第一の基板SU1よりもその製造工程が複雑となる。これに対して、実施形態4の液晶表示装置では第一の基板SU1の側に壁画素電極SEが入り込むような凹部を形成することによって、液晶層厚H1よりも壁電極高さH2が大きく形成される構成となっている。従って、実施形態4の液晶表示装置では、第二の基板SU2の製造に要する工程数を低減させることができ、製造工程を簡略化できるという格別の効果を得ることができる。
【0095】
次に、図20に本発明の実施形態4の液晶表示装置において画素毎反転駆動時に隣接画素間の電位差が最大となる場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図、図21に本発明の実施形態4の液晶表示装置において画素毎反転駆動時に白表示画素と黒表示画素とが隣接する場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図を示し、以下、図20及び図21に基づいて、実施形態4の壁画素電極SEの構成による表示動作について説明する。ただし、図20及び図21に示す等電位面分布は、実施形態2,3と同様に、Hd=H2−H1=2.0μm時における等電位面分布である
図20から明らかなように、隣接する画素間の電位差が最大となる場合すなわち図20中の右側の自画素及び左側の隣接画素においても共に白表示を行う場合であっても、1つの壁基材WLを介して対向配置される壁画素電極SEからは、自画素と隣接画素にそれぞれ分布する等電位面FE1が壁電極SEから画素の中心部に形成される擬似壁共通電極の側に広く分布されている。すなわち、実施形態1の図9に示す白表示の画素における等電位面EF1と同程度に壁画素電極SEの近傍に等電位面EF1が広がることとなるので、液晶層LCに均一な電界(横電界)を印加することができ、実施形態2,3と同様に、透過率を向上させることができる。
【0096】
また、図21に示すように、画素毎反転駆動において、自画素が白表示であり、隣接画素が黒表示を行う場合の等電位面分布では、黒表示を行う隣接画素においては、ドレイン線DLと壁画素電極SEとを囲むような等電位面FE2が生じる。このとき、等電位面FE2は壁画素電極SEの近傍に局在することとなり、黒透過率は減少(向上)する。一方、白表示を行う自画素では、等電位面FE1は壁画素電極SEから画素の中心部に形成される擬似壁共通電極の側に広く分布されるので、白透過率も増加(向上)する。
【0097】
次に、図22に本発明の実施形態4の液晶表示装置における液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hd(=H2−H1)と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図を示し、以下、図22に基づいて、実施形態4の液晶表示パネルにおける液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hdと、透過率との関係について説明する。ただし、グラフG7は壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdを変化させた場合における白表示時の自画素の透過率の計測値であり、グラフG8は壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdを変化させた場合における黒表示時の自画素の透過率の計測値である。
【0098】
グラフG7から明らかなように、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、壁基材WLの高さを変えるすなわち壁画素電極SEの高さH2を変化させることにより、画素反転駆動時における表示特性を向上させることが可能である。
【0099】
すなわち、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、実施形態1の液晶表示装置において画素反転駆動を行った場合に相当し、白表示時の透過率は74%程度である。これに対して、壁画素電極SEすなわち壁基材WLと対峙するオーバーコート層OC部分に凹部を設けると共に、壁画素電極SEの高さH2が液晶層厚H1よりも大きく形成し、透過領域の液晶層厚H1を変化させずに壁画素電極SEの高さH2を大きくした場合、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdの増加に伴い白表示時の透過率も増加(向上)することが明らかとなった。例えば、Hd=0.5μm時には透過率は80%程度に増加し、以降、Hd=1.0μm時に84%、Hd=1.5μm時に87%、Hd=2.0μm時に88%、Hd=2.5μm時に89%、Hd=3.0μm時に89%に増加する。
【0100】
同様にして、グラフG8から明らかなように、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、黒表示時の透過率は0.43%程度となる。一方、Hd=0.5μm時には透過率は0.23%程度に減少(向上)し、Hd=1.0μm時は0.16%、Hd=1.5μm時は0.11%、Hd=2.0μm時は0.09%、Hd=2.5μm時は0.08%、Hd=3.0μm時は0.08%に減少する。
【0101】
図23は本発明の実施形態4の液晶表示装置における液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hd(=H2−H1)と、画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図である。ただし、図23は図22に示す黒表示時(暗表示時)と白表示時(明表示時)の表示モード効率から求めたコントラスト比である。
【0102】
図23のグラフG9から明らかなように、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、コントラスト比は180程度となる。これに対して、Hd=0.5μm時は340に向上し、Hd=1.0μm時は540、Hd=1.5μm時は800、Hd=2.0μm時は990、Hd=2.5μm時は1040、Hd=3.0μm時は1050にそれぞれ向上する。このように、実施形態4の液晶表示装置においても、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差Hdが増大するにつれてコントラスト比も増大することとなり、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=2μm以上でコントラスト比の増大は頭打ちになり、なおかつコントラスト比はほぼ1000:1に到達する。
【0103】
従って、実施形態4の液晶表示装置においても、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μm以上となるように、オーバーコート層OC及び壁画素電極SEを形成することにより、本願発明による効果が充分に得られ、高コントラスト比が得られる。よって、実施形態4の液晶表示装置においては、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μm以上となるように、オーバーコート層OC及び壁画素電極SEを形成することが好適である。
【0104】
このように、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、実施形態1の液晶表示パネルPNLと同様に、液晶層厚H1よりも壁画素電極SEの高さH2が2.0μm以上となるように、オーバーコート層OC及び壁画素電極SEを形成することにより、白透過率及び黒透過率を共に向上することができる。すなわち、実施形態4の構成であっても、同一の壁基材WLに配置される隣接画素に対応する壁画素電極SEによる電位を効果的に遮蔽することが可能である。
【0105】
なお、実施形態4の液晶表示装置では、第一の基板SU1に凹部を設ける構成により、液晶層厚H1よりも壁画素電極SEの高さH2を大きく形成する構成としたが、これに限定されることはない。例えば、実施形態4の第一の基板SU1と実施形態2又は実施形態3の第二の基板SU2の構成とを組み合わせる構成であってもよい。この場合、第四の絶縁膜IL4又は第五の絶縁膜IL5の膜厚を薄く形成できると共に、オーバーコート層OCに形成する凹部の深さも小さくすることができるという格別の効果を得ることができる。
【0106】
〈実施形態5〉
図24は本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。ただし、実施形態5の液晶表示装置は第二の基板SU2に形成される画素電極を壁状の画素電極である壁画素電極SE1と線状の画素電極である線状画素電極SE2とで形成する構成を除く他の構成は、実施形態1の液晶表示装置と同様の構成となる。従って、以下の説明では、壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2について詳細に説明する。
【0107】
図24に示すように、実施形態5の第一の基板SU1の液晶面側には、第一の絶縁膜IL1が全面に形成され、該第一の絶縁膜IL1の上層にドレイン線DLと線状画素電極(第三の電極)SE2とが近接して形成されている。特に、実施形態5においては、壁画素電極(第一の画素電極)SE1の下層に線状画素電極(第二の画素電極)SE2が配置される構成となっているので、隣接画素のそれぞれの線状画素電極SE2が1つのドレイン線DLを挟むような構成となっている。すなわち、2本の線状画素電極SE2の間に1つのドレイン線DLが配置される構成となっている。このとき、線状画素電極SE2は壁画素電極SE1と同電位とするために、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2は、共に自画素内の薄膜トランジスタのソース電極に電気的に接続され、同じ映像信号が供給される構成となっている。
【0108】
ドレイン線DL及び線状画素電極SE2の上層には、実施形態1と同様に、当該ドレイン線DL及び線状画素電極SE2を覆うようにして第二の基板SU2の全面に第二の絶縁膜IL2が形成されている。このとき、実施形態5の液晶表示パネルPNLでは、実施形態1の第二の絶縁膜IL2の厚さよりも実施形態5の第二の絶縁膜IL2の厚さが厚い(大きい)方が好ましい。
【0109】
第二の絶縁膜IL2の上層には、壁基材WL及び壁画素電極SEが形成され、第二の基板SU2の全面に形成される第三の絶縁膜IL3に覆われている。該第三の絶縁膜IL3の上層には第二の共通電極CE2が形成され、その上面に第二の配向膜AL2が形成されている。また、第二の基板SU2の裏面側すなわちバックライト光の照射面側には第二の偏光板PL2が配置されている。
【0110】
一方、第一の基板SU1側の構成は実施形態1と同様の構成であり、第一の基板SU1の液晶面側には、順番に、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第一の共通電極CE1及び第一の配向膜AL1が順番に形成されている。
【0111】
次に、図25及び図26に本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素毎反転駆動時での壁画素電極の近傍における等電位面分布図を示し、実施形態5の液晶表示装置の動作を説明する。ただし、図25は図中右側の自画素及び図中左側の隣接画素が共に白表示の場合における等電位面分布図であり、図26は自画素が白表示であり、隣接画素が黒表示の場合における等電位面分布図である。
【0112】
図25から明らかなように、実施形態5の液晶表示パネルPNLでは、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とへの映像信号の印加により、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とを囲むようにして等電位面EF1が形成される。このとき、線状画素電極SE2は壁画素電極SE1の基板(第二の基板SU2)側に形成される平坦部HPよりも基板に近い層に形成されている。従って、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とからなる見かけ上の画素電極(擬似壁画素電極)を液晶表示パネルPNLの厚さ方向(Z方向)に伸延した壁状の画素電極とすることができる。すなわち、前述する実施形態2〜4と同様に、液晶層厚よりも高い壁状の画素電極を形成することが可能となり、高い遮蔽効果を得ることができる。その結果、隣接する画素に印加される映像信号による影響を受けることなく、それぞれの映像信号に対応した画素の電界によって液晶層LC中の液晶分子LCMを駆動することができる。また、自画素の壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2と、隣接画素の壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2とに間に最大電圧差が生じた場合であっても、実施形態2〜4の液晶表示パネルPNLと同様に、自画素及び隣接画素の何れにおいても等電位面FE1が液晶層LC中に広く分布する。
【0113】
また、図26から明らかなように、自画素を白表示させると共に隣接画素を黒表示させる場合においても、白表示となる自画素においては壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とを囲むようにして等電位面EF1が形成される。また、黒表示となる隣接画素においては、図26ではドレイン線DLにも0V(ゼロボルト)の電圧が印加されているので、壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2並びにドレイン線DLを囲むようにして等電位面EF2が形成される。従って、白表示と黒表示の画素が隣接した場合であっても高い遮蔽効果を得ることができ、隣接する画素に印加される映像信号による影響を受けることなく、各画素の液晶層LC中の液晶分子LCMを駆動することができる。
【0114】
次に、図27に本発明の実施形態5の液晶表示装置における壁画素電極と線状画素電極との間隔と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図を示し、以下、図27に基づいて、実施形態5の液晶表示パネルにおける壁画素電極と線状画素電極との間隔と、透過率との関係について説明する。ただし、図27において、グラフG10は壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間の間隔H3を変化させた場合における白表示時の自画素の透過率の計測値であり、グラフG11は壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間の間隔H3を変化させた場合における黒表示時の自画素の透過率の計測値である。なお、第二の絶縁膜IL2の膜厚(厚さ)が壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2の膜厚よりも非常に大きい場合には、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間の間隔H3は第二の絶縁膜IL2の膜厚と略同一となる。
【0115】
図27のグラフG10から明らかなように、実施形態5の液晶表示パネルPNLにおいても、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3を変えるすなわち壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2とからなる擬似壁画素電極の高さH4を変化させることにより、画素反転駆動時における表示特性を向上させることが可能である。このとき、擬似壁画素電極の高さH4(=H2+H3)を変化させた場合であっても、液晶層厚H1は壁画素電極SE1の高さと略同一となり、前述する実施形態2〜4と同様に、液晶層厚H1は変化しないこととなり、画素反転駆動時における表示特性を向上させることができる。
【0116】
すなわち、擬似画素電極の高さH4と液晶層厚H1との差となる壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=0(ゼロ)μmの場合には、実施形態1の液晶表示装置において画素反転駆動を行った場合と同等となり、白表示時の透過率は80%程度である。これに対して、H3=0.5μm時には透過率は83%程度に増加し、以降、H3=1.0μm時に88%、H3=1.5μm時に89%、H3=2.0μm時に90%、H3=2.5μm時に90%、H3=3.0μm時に90%に増加する。
【0117】
同様にして、グラフG11から明らかなように、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=0(ゼロ)μmの場合には、黒表示時の透過率は0.42%程度となる。一方、H3=0.5μm時には透過率は0.22%程度に減少(向上)し、H3=1.0μm時は0.14%、H3=1.5μm時は0.10%、H3=2.0μm時は0.09%、H3=2.5μm時は0.08%、H3=3.0μm時は0.08%に減少する。
【0118】
図28は本発明の実施形態5の液晶表示装置における壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3と、画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図である。ただし、図28も図27に示す黒表示時(暗表示時)と白表示時(明表示時)の表示モード効率から求めたコントラスト比である。
【0119】
図28のグラフG12から明らかなように、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=0(ゼロ)μmの場合には、コントラスト比は190程度となる。これに対して、H3=0.5μm時は390に向上し、H3=1.0μm時は640、H3=1.5μm時は830、H3=2.0μm時は1030、H3=2.5μm時は1100、H3=3.0μm時は1120にそれぞれ向上する。このように、実施形態5の液晶表示装置においても、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3が増大するにつれてコントラスト比も増大することとなり、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=2μm以上でコントラスト比の増大は頭打ちになり、なおかつコントラスト比は1000:1に到達する。
【0120】
従って、実施形態5の液晶表示装置においては、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=2μm以上となるように、第二の絶縁膜IL2を形成することにより、本願発明による効果が充分に得られ、実施形態5の液晶表示装置において高コントラスト比が得られる。よって、実施形態5の液晶表示装置では、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=2μm以上となるように、第二の絶縁膜IL2を形成することが好適である。
【0121】
このように、実施形態5の液晶表示パネルPNLにおいても、実施形態2〜4の液晶表示パネルPNLと同様に、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とからなる擬似壁画素電極の高さH4が液晶層厚H1よりも2.0μm以上高くなるように、第二の絶縁膜IL2を形成することにより、実施形態2〜4の液晶表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0122】
さらには、実施形態5の液晶表示装置では、ドレイン線DLと同層に線状画素電極SE2を形成すると共に、第二の絶縁膜IL2を2.0μmに形成するのみで擬似壁画素電極を形成することが可能となるので、第二の基板SU2の形成に要する工程を増加させることなく擬似壁画素電極の高さH4を液晶層厚H1よりも厚くできるという格別の効果を得ることができる。
【0123】
〈実施形態6〉
図29は本発明の実施形態6の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。ただし、実施形態6の液晶表示装置は、第一の基板SU1に形成される第三の共通電極CE3の構成を除く他の構成は、実施形態1の液晶表示装置と同様となる。従って、以下の説明では、第一の基板SU1の構成について詳細に説明する。
【0124】
図29から明らかなように、実施形態6の液晶表示パネルPNLでは、第一の基板SU1の液晶面側に、ブラックマトリクスBMが形成され、該ブラックマトリクスBMの上層にカラーフィルタCFが形成されている。このとき、実施形態6の液晶表示パネルPNLでは、カラーフィルタCFの上層であり、かつカラーフィルタCFの境界部分にブラックマトリクスBMと重畳するようにして、導電性薄膜からなる第三の共通電極(第四の電極)CE3が形成されている。このとき、実施形態6の第三の共通電極CE3は、表示面側又は裏面側から見たときに第一の基板SU1に形成される壁画素電極SEと重畳する位置すなわち壁画素電極SEと対峙する位置に形成され、隣接画素との間の第三の共通電極CE3はコモン線で接続されている。ただし、第三の共通電極CE3の形状は、壁画素電極SEと対峙する領域に限定されることはなく、例えば、ドレイン線DLと同様に、隣接画素との境界部分に沿ってY方向に延在する形状であってもよい。また、後述する第一の共通電極CE1と同様に、第三の共通電極CE3には映像信号の基準となる共通信号が供給される構成となっている。さらには、第三の共通電極CE3はブラックマトリクスBMと重畳して形成されるので、透明導電膜に限定されることはなく、金属薄膜等の透明性を有しない他の導電性薄膜で形成してもよい。
【0125】
第三の共通電極CE3の上層には、当該第三の共通電極CE3を覆うようにして第一の基板SU1の全面にオーバーコート層OCが形成されている。該オーバーコート層OCの上層には擬似壁共通電極を形成する第一の共通電極CE1が形成され、該第一の共通電極CE1を覆うようにして第一の基板SU1の全面に第一の配向膜AL1が形成されている。すなわち、第一の基板SU1の壁基材WLと相対する部分のカラーフィルタCFとオーバーコート層OCとの間に、第三の共通電極CE3を配置する構成としている。
【0126】
また、第二の絶縁膜IL2は実施形態1の第二の基板SU2と同様に、その液晶面側に、第一の絶縁膜IL1が全面に形成され、該第一の絶縁膜IL1の上層にドレイン線DLが形成され、図示しない薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続されている。このドレイン線DLの上層には、当該ドレイン線DLを覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第二の絶縁膜IL2が形成されている。この第二の絶縁膜IL2の上層には、壁基材WL及び壁画素電極SEが形成され、該壁基材WL及び壁画素電極SEを覆うようにして第二の基板SU2の全面に第三の絶縁膜IL3が形成されている。該第三の絶縁膜IL3の上層には第二の共通電極CE2が形成され、その上面と第三の絶縁膜IL3を覆うようにして第二の配向膜AL2が形成されている。また、第二の基板SU2の裏面側すなわちバックライト光の照射面側には第二の偏光板PL2が配置されている。
【0127】
このように、実施形態6の液晶表示装置では、画素境界の第一の基板SU1の側に電位を制御するための構造である第三の共通電極CE3を配置することによって、隣接画素電位が第一の基板SU1及びその表面上に形成されたカラーフィルタCF、オーバーコート層OC等を介して、自画素電位に影響を及ぼす隣接画素電位を遮蔽する構成としている。
【0128】
図30は本発明の実施形態6の液晶表示装置における自画素と隣接画素が共に白を表示した際の等電位面の分布であり、図31は本発明の実施形態6の液晶表示装置における自画素が白表示し、隣接画素が黒表示した際の等電位面の分布である。ただし、このときのドレイン配線DLの電位は0(ゼロ)Vである。
【0129】
図30に示すように、隣接する画素が共に白表示を行う場合には、図15に示す実施形態1の液晶表示装置と同様に、等電位面EF1が壁基材WLに対して図中で左右対称の分布となる。
【0130】
一方、自画素が白表示であり、隣接画素が黒表示である場合のように、第三の共通電極CE3の近傍で電位が0Vに近づくことにより、図31に示すように、壁画素電極SEと第三の共通電極CE3とが含まれる等電位面EF2が形成される。このとき、壁画素電極SEから第三の共通電極CE3にかけて領域である第一の基板SU1の側の第一の配向膜AL1及びオーバーコート層OCを介して、等電位面FE2が形成されることとなる。従って、図31中の右側に配置される白表示を行う自画素の壁画素電極SEの電位が、カラーフィルタCFやオーバーコート層OC内に広がるのを等電位面FE2が抑制することとなる。その結果、実施形態1の液晶表示装置における効果に加えて、画素毎反転駆動時において自画素が白表示で隣接画素が黒表示の場合の黒透過率の増大を抑制することができ、隣接画素が白表示の場合であっても隣接画素の黒表示時の透過率を0.09%に低下(向上)できるという格別の効果を得ることが可能となる。
【0131】
以上説明したように、実施形態6の液晶表示装置では、第一の基板SU1の液晶面側に、壁基材WLに沿って当該壁基材WLと対峙するように第三の共通電極CE3を形成すると共に、第一の共通電極CE1と同じ共通信号を供給する構成としている。その結果、壁基材WLを介して対向配置される壁画素電極SEが黒表示等で第三の共通電極CE3の電圧に近づくことにより、壁画素電極SEから第三の共通電極CE3に等電位面FE2が消される。すなわち、同一の壁基材WLに対向配置される壁画素電極SEの内で、少なくとも一方の壁画素電極SEに印加される映像信号が共通信号とほぼ同じ電圧となる場合において、この壁画素電極SEと第三の共通電極CE3とからなる擬似壁画素電極が形成されることとなる。従って、前述する実施形態1の効果に加えて、自画素が白表示で隣接画素が黒表示の場合の黒透過率の増大を抑制することができるという格別の効果を得ることができる。
【0132】
なお、実施形態6では、実施形態1の液晶表示装置に本願発明の第三の共通電極CE3を形成する場合について説明したが、これに限定されることはなく、他の実施形態2〜5の液晶表示装置にも適用可能であり、第三の共通電極CE3を形成することにより、前述する効果を得られる。
【0133】
〈実施形態7〉
図32は本発明の実施形態7の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図であり、以下、図32に基づいて、実施形態7の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態7の液晶表示装置は、第三の共通電極CE3の形成位置を除く他の構成は実施形態6の液晶表示装置と同様である。従って、以下の説明では、第三の共通電極CE3について詳細に説明する。
【0134】
図32に示すように、実施形態7の液晶表示パネルPNLにおいても、実施形態1の液晶表示パネルPNLと同様に、第一の基板SU1の液晶面側に順次、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OCが形成されている。ここで、実施形態7の液晶表示パネルPNLでは、第一の共通電極CE1と同層すなわちオーバーコート層OCの上面に、第三の共通電極CE3が形成されている。また、第一の共通電極CE1及び第三の共通電極CE3の上層には、当該第一の共通電極CE1及び第三の共通電極CE3を覆うようにして、第一の配向膜AL1が第一の基板SU1の全面に形成されている。このとき、実施形態7においても、実施形態6の第三の共通電極CE3と同様に、当該第三の共通電極CE3は透明導電膜に限定されることはなく、アルミニウム等の金属薄膜等のように透明性を有しない導電性薄膜であってもよい。ただし、実施形態7の液晶表示パネルPNLでは、第三の共通電極CE3の上層には第一の配向膜AL1が形成されるのみとなっているので、ITO等の耐腐食性等に優れる導電性薄膜が好ましい。
【0135】
このように、実施形態7の液晶表示パネルPNLでは、第二の共通電極CE2と第三の共通電極CE3は何れもオーバーコート層OCと第一の配向膜AL1との間に形成されている。このため、壁画素電極SEと第三の共通電極CE3とは、壁画素電極SEの上層に形成される第三の絶縁膜IL3及び第二の配向膜AL2、並びに第一の基板SU1に形成される第一の配向膜AL1を介して少なくとも近接配置されることとなるが、壁画素電極SEと第三の共通電極CE3は電気的に接続されない構成となっている。
【0136】
従って、実施形態7の液晶表示パネルPNLにおいても、第一の基板SU1及びその表面上に形成されたカラーフィルタCF、オーバーコート層OC等を介して、隣接画素電位が自画素電位に影響を及ぼすことを遮蔽することができる。従って、実施形態6の液晶表示パネルPNLと同様に、実施形態1の液晶表示装置における効果に加えて、画素毎反転駆動時において自画素が白表示で隣接画素が黒表示の場合の黒透過率の増大を抑制することができるという格別の効果を得ることができる。
【0137】
さらには、第三の共通電極CE3を第一の共通電極CE1と同様に、透明導電膜で形成する場合には、第一の共通電極CE1の形成工程で第三の共通電極CE3も同時に形成することができるので、第三の共通電極CE3を形成するための新たな工程を追加することなく、第三の共通電極CE3を形成することができるという格別の効果を得ることもできる。
【0138】
また、実施形態7の液晶表示装置では、図32に示す構成に限定されることはなく、例えば、図33に示す構成であってもよい。図33に示す実施形態7の他の液晶表示装置は、第一の基板SU1の液晶面側にブラックマトリクスBMが形成され、該ブラックマトリクスBMの上層にカラーフィルタCFが形成されている。ここで、実施形態7の他の液晶表示装置では、カラーフィルタCFの上層に第一の共通電極CE1と第三の共通電極CE3とが同層に形成され、その上層には第一の共通電極CE1と第三の共通電極CE3とをそれぞれ覆うようにして、第一の基板SU1の全面にオーバーコート層OC及び第一の配向膜AL1が順番に形成されている。すなわち、実施形態7の他の液晶表示装置では、第二の共通電極CE2と第三の共通電極CE3とが何れもオーバーコート層OCと第一の配向膜AL1の間に形成される構成となっているので、前述する実施形態7の液晶表示装置における効果に加えて、第一の基板SU1と第二の基板SU2とを貼り合わせる際の位置ずれ、すなわち合わせずれが生じた場合であっても、透過率の低減抑制効果が得られるといく格別の効果を得ることができる。なお、実施形態7の他の構成の液晶表示装置における合わせずれの許容量を大きくできる効果の詳細は、前述する第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との合わせずれと同様の理由である。
【0139】
〈実施形態8〉
図34は本発明の実施形態8の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。ただし、実施形態8の液晶表示装置は実施形態2の液晶表示装置における第二の共通電極CE2の形成位置が異なるのみで、他の構成は実施形態2の液晶表示装置と同様の構成となる。従って、以下の説明では、第二の共通電極CE2について詳細に説明する。
【0140】
図34に示すように、実施形態8の液晶表示装置は、実施形態2の液晶表示装置と同様に、第二の基板SU2の液晶側面に、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の絶縁膜IL2、壁基材WLが順次形成されている。壁基材WLの頭頂面から側壁面及び壁基材WLの近傍の第二の絶縁膜IL2の上面には壁画素電極SEが形成されると共に、画素のB−B’方向の中心部分には、画素の長手方向に延在する第二の共通電極CE2が形成されている。一対の壁画素電極SEに挟まれる画素の透過領域には、壁画素電極SEの平坦部HPの端部及び第二の共通電極CE2並びに第二の絶縁膜IL2の露出面を覆うようにして第四の絶縁膜IL4が形成されている。また、壁基材WLの頭頂面の露出面や壁画素電極SEの露出面等を覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第三の絶縁膜IL3及び第二の配向膜AL2が順番に形成されている。このとき、実施形態8の液晶表示装置においても、第四の絶縁膜IL4の膜厚が他の絶縁膜よりも2.0μm以上厚く形成され、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さが2.0μm以上高くなるように形成されている。
【0141】
一方、第一の基板SU1の液晶面側には、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第一の共通電極CE1、第一の配向膜AL1がこの順番で積層されており、該第一の基板SU1と第二の基板SU2とが液晶層LCを介して対向配置され、実施形態8の液晶表示パネルPNLが形成されている。このとき、実施形態8の液晶表示装置においても、第四の絶縁膜IL4が2.0μm以上の膜厚で形成されているので、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さを第四の絶縁膜IL4の膜厚分である2.0μmだけ高くすることができるので、実施形態2の液晶表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0142】
さらには、実施形態8の液晶表示装置は、第四の絶縁膜IL4の下層に第二の共通電極CE2を形成する構成となっている。すなわち、第二の絶縁膜IL2と第四の絶縁膜IL4との間に、第二の共通電極CE2が形成されている。従って、実施形態8の液晶表示装置では、後述する効果の項に示すように、第一の基板SU1と第二の基板SU2との貼り合わせに伴う位置ずれが生じた場合であっても、位置ずれに伴う透過率の低下を抑制することができるという格別の効果を得ることができる。その結果、第一の基板SU1と第二の基板SU2とを貼り合わせる際の合わせずれに伴う不良の発生割合を低減することが可能となり、液晶表示装置の生産性を向上させることができるという格別の効果を得ることもできる。
【0143】
ただし、実施形態8の液晶表示装置では、実施形態2の液晶表示装置に本願発明を適用した場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、実施形態3の液晶表示装置の第二の共通電極CE2を、第五の絶縁膜IL5の下層に形成することによって、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置関係は実施形態8の液晶表示装置と同様となる。従って、実施形態8と同様の効果を得ることができる。
【0144】
〈第一及び第二の共通電極の位置ずれ時の透過率の低下抑制効果について、〉
第一の基板SU1と第二の基板SU2を組み立てる(貼り合わせる)際にずれ(位置合わせずれ)が生じた場合、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2の位置関係も変わることになる。例えば、図3に示す実施形態1の液晶表示装置において、第二の基板SU2に対して第一の基板SU1がB方向へずれる位置合わせずれが生じた場合、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との近傍の等電位面分布は、前述する図8に示すように、図中の左右方向すなわち擬似壁共通電極の並設方向に傾斜して、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を共に囲むような等電位面E3が生じる。この図8に示す位置合わせずれでは、第二の基板SU2に対して第一の共通電極CE1が図8中の左方向に合わせずれが生じているので、第一の共通電極CE1の図8中の左側部で第二の共通電極CE2と重畳する面積が減少する。その結果、擬似壁電極の図8中の左側で透過率が低下してしまう。
【0145】
図35は本発明の擬似壁共通電極における第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置合わせずれに対する画素毎反転駆動時における白表示画素の透過率を示す図であり、グラフG13は実施形態1の液晶表示装置における第一の基板SU1と第二の基板SU2との位置合わせずれに対する白表示画素の透過率を示す。
【0146】
グラフG13から明らかなように、実施形態1の擬似壁電極構成では、合わせずれが生じていない、すなわちずれ量SHが0(ゼロ)μmの場合には、透過率は89%となる。一方、ずれ量SHがSH=0.5μm時に89%、SH=1.0μm時に89%、SH=1.5μm時に87%、SH=2.0μm時に83%、SH=2.5μm時に78%、SH=3.0μm時に70%となる。
【0147】
このように、実施形態1の構成では、第一の基板SU1と第二の基板SU2がずれていない場合に白表示透過率は89%であるが、ずれの増大と共に白表示透過率が低下し、3μmずれた場合には70%にまで低下する。従って、実施形態1の構成では、第一の基板SU1と第二の基板SU2との貼り合わせに伴う位置合わせずれは、SH=1.5μm以下とすることが好ましい。
【0148】
図36は実施形態1の液晶表示装置での第一の基板SU1と第二の基板SU2とに合わせずれが生じていない場合と、合わせずれが3μmの場合における画素内の透過率分布を示す図であり、点線で示すグラフG16は図8に示すずれ量SHがSH=3.0μm時、実線で示すグラフG17はSH=0μm時をそれぞれ示す。ただし、図36に示す画素は、短手方向の画素ピッチが30μmであり、その中心位置に第一及び第二の共通電極CE1,CE2が配置される場合の透過率分布である。また、グラフG16,G17は画素毎反転駆動時において自画素及び自画素に隣接する画素(隣接画素)が共に白色表示を行っている場合の透過率分布である。
【0149】
グラフG17から明らかなように、第一の基板SU1と第二の基板SU2とに位置合わせずれが生じていない場合には、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とからなる擬似壁共通電極の中心位置である15μmの近傍領域では透過率が大きく低下することとなる。しかしながら、擬似壁共通電極の形成領域を除く領域では、その透過率はほぼ89%程度となる。
【0150】
一方、図8に対応するずれ量SH=3.0μmの合わせずれが生じている場合には、第二の基板SU2に対して第一の共通電極CE1が左方向(画素端部からの距離が小さい方向)に合わせずれが生じているので、等電位面E3に傾斜が生じることとなる。この結果、画素端部からの距離が小さい領域において、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との重畳面積が減少してしまうので、グラフG16に示すように、この領域における透過率が60%程度に低下してしまう。
【0151】
これに対して、図37に示す本発明の実施形態8の液晶表示装置における擬似壁共通電極部分の拡大図に示すように、実施形態8の液晶表示装置では、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間には、第一及び第二の配向膜AL1,AL2、液晶層LC、及び第三の絶縁膜IL3が形成されることとなる。従って、位置合わせずれが生じていない場合には、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間に生じる等電位面の分布は、第一の共通電極CE1を囲む等電位面E1は液晶層LC中を含む第一の共通電極CE1の周辺に形成され、第二の共通電極CE2を囲む等電位面E2は第三の絶縁膜IL3中を含む第二の共通電極CE2の周辺に形成される。また、擬似壁共通電極を形成する第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を共に囲む等電位面E3は、第一及び第二の配向膜AL1,AL2を含む液晶層LC及び第三の絶縁膜IL3を含むようにして形成される。このとき、実施形態8の液晶表示装置では、液晶層LCの厚さは実施形態1の液晶表示装置と同じ厚さとなるように形成されているので、等電位面E3は液晶表示パネルPNLの厚さ方向に引き伸ばされたように形成される。さらには、より幅の広い第一のコモン電極CE1が液晶層LCから遠ざかったことにより、液晶層LC中に分布する等電位面の幅が狭まって擬似壁共通電極が形成される。
【0152】
一方、前述する図8と同様な位置合わせずれが生じた場合、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間に生じる等電位面分布は、図38に示すように、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を囲む等電位面E3が合わせずれ方向に傾斜して形成される。このとき、実施形態8の構成では、図38から明らかなように、等電位面E3の傾きが小さくなっており、これは第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との距離が増大したことで、同じずれ量であっても等電位面E3の変化が小さくなったことによる。
【0153】
図39は本発明の実施形態8の液晶表示装置での第一の基板SU1と第二の基板SU2とに合わせずれが生じていない場合と、合わせずれが3μmの場合における画素内の透過率分布を示す図であり、点線で示すグラフG18はずれ量SHがSH=3.0μmの場合、実線で示すグラフG19は合わせずれがない場合(SH=0μm時)をそれぞれ示す。
【0154】
図39から明らかなように、実施形態8の液晶表示装置においては、第一の基板SU1と第二の基板SU2との間に合わせずれが生じていない場合(グラフG19)と、SH=3μmの合わせずれが生じた場合(グラフG18)との画素内の透過率分布は、合わせずれの発生の有無によらずにほぼ同一である。これは図38に示すように、第三の絶縁膜IL3の下層に第二の共通電極CE2を形成することによって、等電位面E3の傾斜が小さくなったことによる効果である。
【0155】
図35に示すグラフG15は実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置合わせずれに対する画素毎反転駆動時における白表示画素の透過率を示すグラフである。このグラフG15から明らかなように、実施形態8の擬似壁電極構成では、合わせずれが生じていない(合わせずれ量SH=0μm)場合には、透過率は88%となる。また、ずれ量SHがSH=0.5μm時に88%、SH=1.0μm時に88%、SH=1.5μm時に88%、SH=2.0μm時に88%、SH=2.5μm時に87%、SH=3.0μm時に86%となる。
【0156】
このように、実施形態8の構成では、ずれ量SHが3.0μm時であっても透過率が86%となり、第一の基板SU1と第二の基板SU2との位置合わせずれに伴う透過率の減少を2%程度に抑制でき、第一の基板SU1と第二の基板SU2の位置合わせずれによらず、ほぼ一定の白表示透過率が得られるという格別の効果を得ることができる。
【0157】
図40は第一の基板SU1と第二の基板SU2との合わせ位置が3μmずれた場合における画素毎反転駆動時での白表示透過率の第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離依存性を説明するための図である。図40のグラフG20から明らかなように、第二の共通電極CE2と液晶層LCが近接している場合に白表示透過率は70%であるが、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離K2の増大と共に増大し、K2=0.5μm時には78%、K2=1.0μm時には83%、K2=1.5μm時には87%、K2=2.0μm時には88%、K2=2.5μm時には89%、K2=3.0μm時には89%となる。このように、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離K2がK2=2.0μm以上の場合には透過率は88%以上となり、第一の基板SU1と第二の基板SU2がずれていない場合と同様な白表示透過率が得られる。
【0158】
図41は本発明の実施形態8の液晶表示装置における第二の共通電極から液晶層に至るまでの距離と駆動電圧との関係を説明するための図であり、図34に示す実施形態8の構成において、第二の共通電極から液晶層に至るまでの距離H5(図37中に示す)を変化させた場合に、所定の透過率での表示(白表示)を行うために必要となる壁画素電極SEと擬似壁共通電極との間の印加電圧(駆動電圧)を示す図である。
【0159】
図41のグラフG21から明らかなように、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5がH5=0(ゼロ)μmの場合には、駆動電圧VpcはVpc=4.5Vとなる。また、距離H5がH5=0.5μm時にはVpc=4.8Vとなり、以降、H5=1.0μm時にはVpc=4.9V、H5=1.5μm時にはVpc=5.0V、H5=2.0μm時にはVpc=5.0V、H5=2.5μm時にはVpc=5.1V、H5=3.0μm時にはVpc=5.1Vとなる。
【0160】
このように、実施形態8の構成では、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5が増大すると共に、駆動電圧Vpcが増大する傾向にある。しかしながら、駆動電圧Vpcの増大は飽和する傾向にあり、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5が1.5μm以上では増大が緩やかになる。即ち、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5を1.5μm以上とすることにより、駆動電圧Vpcの増大を抑えながら高い白表示透過率を得ることができることが明らかである。従って、実施形態8の液晶表示装置では、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5が1.5μm以上で形成することが好適である。さらには、駆動電圧VpcをVpc=5.0V程度とすることが好ましい。
【0161】
以上説明したように、実施形態8の液晶表示装置では、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さを大きくするために設けた第四の絶縁膜IL4の下層に、擬似壁共通電極を形成する一方の共通電極である第二の共通電極CE2を形成する構成としているので、擬似壁共通電極を形成する他方の共通電極である第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間隔を大きくすることが可能となる。その結果、第一の共通電極CE1が形成される第一の基板SU1と第二の共通電極CE2が形成される第二の基板SU2との貼り合わせ等に伴う第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置ずれによる擬似壁共通電極における電界分布の傾斜を小さくすることが可能となるので、実施形態2の液晶表示装置における効果に加えて、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置ずれに伴う透過率を向上させることができ、さらに表示品質を向上できるという格別の効果を得ることができる。
【0162】
また、実施形態8の液晶表示装置では、壁画素電極SEと第二の共通電極CE2とが同層に形成され、共に第四の絶縁膜IL4の上層に形成されているので、壁画素電極SEを第二の共通電極CE2と同様に透明導電膜で形成する場合には、第四の絶縁膜IL4と第二の共通電極CE2とを同じ工程で形成できるという格別の効果を得ることができる。
【0163】
なお、実施形態8の液晶表示装置では、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さを大きく形成するため、すなわち画素反転駆動における透過率を向上させるために設けた第四の絶縁膜IL4の下層側(第四の絶縁膜IL4の第二の基板SU2の側)に第二の共通電極CE2を形成している。この構成により、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との距離を液晶層LCの厚さよりも大きく形成しているが、実施形態1に示すように、壁画素電極SEの高さと液晶層LCの厚さとがほぼ同じ大きさの液晶表示装置であっても、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間の距離を液晶層LCの厚さよりも大きく形成することによって、列毎反転駆動での駆動を行う場合には、合わせずれに対して前述と同様の効果が得られる。
【0164】
〈実施形態9〉
図42は本発明の実施形態9の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図であり、第一の共通電極CE1の形成位置を除く他の構成は、実施形態4の液晶表示装置と同様の構成となる。従って、以下の説明では、第一の共通電極CE1及び擬似壁共通電極について詳細に説明する。
【0165】
図42に示すように、実施形態9の液晶表示装置は、実施形態4の液晶表示装置と同様に、第二の基板SU2の液晶面側には、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の共通電極CE2、壁基材WLが形成されている。また、壁基材WLの頭頂面から側壁面及び壁基材WLの近傍の第二の絶縁膜IL2の上面には壁画素電極SEが形成され、第二の絶縁膜IL2がこれらの露出面を覆うように形成され、その上層に第二の配向膜AL2が形成され、第二の基板SU2が形成されている。
【0166】
一方、第一の基板SU1の液晶面側には、ブラックマトリクスBMが形成され、該ブラックマトリクスBMを覆うようにして、カラーフィルタCFが形成されている。ここで、実施形態9の液晶表示パネルPNLでは、カラーフィルタCFの上層に第一の共通電極CE1が形成され、該第一の共通電極CE1を覆うようにして、オーバーコート層OCが形成されている。このとき、実施形態9の液晶表示パネルPNLにおいても、実施形態4のオーバーコート層OCと同様に、壁基材WLが形成される領域に沿って、オーバーコート層OCを貫通してカラーフィルタCFの上面が露出される凹部がオーバーコート層OCに形成される構成となっている。該オーバーコート層OCの上層には、当該オーバーコート層OC及び露出されたカラーフィルタCFの露出面を覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第一の配向膜AL1が形成されている。
【0167】
この構成からなる第一の基板SU1と第二の基板SU2は液晶層LCを介して対向配置され、オーバーコート層OCに形成された凹部に壁基材WLを含む壁画素電極SEの一方の端部が入り込むようにして、実施形態9の液晶表示パネルPNLが形成される。このとき、実施形態9の液晶表示装置においては、オーバーコート層OCが比較的厚い膜厚(好適には2.0μm以上の膜厚)で形成されているので、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さをオーバーコート層OCの膜厚分だけ大きくすることができ、実施形態4の液晶表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0168】
また、実施形態9の液晶表示装置は、オーバーコート層OCの下層に第一の共通電極CE1が形成される構成となっている。すなわち、オーバーコート層OCとカラーフィルタCFとの間に、第一の共通電極CE1が形成されている。従って、実施形態9の液晶表示装置においても、後述の効果の項に示すように、第一の基板SU1と第二の基板SU2との貼り合わせに伴う位置ずれに起因する第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置ずれが生じた場合であっても、この位置ずれに伴う透過率の低下を抑制することができるという格別の効果を得ることができる。さらには、第一の基板SU1と第二の基板SU2との位置合わせずれに伴う不良の発生割合を低減することが可能となり、生産性を向上させることができるという格別の効果を得ることができる。
【0169】
〈第一及び第二の共通電極の位置ずれ時の透過率の低下抑制効果について、〉
図43は本発明の実施形態9の液晶表示装置における擬似壁共通電極部分の拡大図、図44は図43に示す擬似壁共通電極に位置合わせずれが生じた場合における等電位面分布を示す図である。
【0170】
図43からに示すように、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間には、第一及び第二の配向膜AL1,AL2、液晶層LC、及びオーバーコート層OCが形成されている。従って、位置合わせずれが生じていない場合には、第一の共通電極CE1を囲む等電位面E1はオーバーコート層OC中を含む第一の共通電極CE1の周辺に形成され、第二の共通電極CE2を囲む等電位面E2は液晶層LC中を含む第二の共通電極CE2の周辺に形成される。また、擬似壁共通電極を形成する第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を共に囲む等電位面E3は、第一及び第二の配向膜AL1,AL2を含む液晶層LC及びオーバーコート層OCを含むようにして形成される。
【0171】
このとき、実施形態9の液晶表示装置も実施形態8と同様に、液晶層LCの厚さは実施形態1の液晶表示装置と同じ厚さとなるように形成されているので、等電位面E3は液晶表示パネルPNLの法線方向すなわち厚さ方向に引き伸ばされたように形成される。さらには、第一の共通電極CE1がオーバーコート層OCの下層に形成されているので、実施形態1の液晶表示装置に比較して、幅の広い側の電極である第一の共通電極CE1が液晶層LCから遠ざかった位置に形成されることとなり、液晶層LC中に分布する等電位面E3の幅が狭まっている。
【0172】
一方、図8と同様な位置合わせずれが生じた場合、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間に生じる等電位面分布は、図44に示すように、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を囲む等電位面E3が合わせずれ方向に傾斜して形成される。このとき、実施形態9の構成では、図44から明らかなように、等電位面E3の傾きが小さくなっており、これは第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との距離が増大したことで、同じずれ量であっても液晶表示パネルPNLの法線方向に対する等電位面E3の傾斜角が小さくなったことによる。
【0173】
図35に示すグラフG14は実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置合わせずれに対する画素毎反転駆動時における白表示画素の透過率を示すグラフである。このグラフG14から明らかなように、実施形態9の擬似壁電極構成では、合わせずれが生じていない(合わせずれ量SH=0μm)場合には、透過率は87%となる。また、ずれ量SHがSH=0.5μm時に87%、SH=1.0μm時に87%、SH=1.5μm時に87%、SH=2.0μm時に86%、SH=2.5μm時に85%、SH=3.0μm時に84%となる。
【0174】
このように、実施形態9の構成であっても、ずれ量SHが3.0μm時であっても透過率が84%となり、第一の基板SU1と第二の基板SU2との位置合わせずれに伴う透過率の減少を3%程度に抑制でき、第一の基板SU1と第二の基板SU2の位置合わせずれによらず、ほぼ一定の白表示透過率が得られるという格別の効果を得ることができる。
【0175】
図45は実施形態9の液晶表示装置において第一の基板SU1と第二の基板SU2との合わせ位置が3μmずれた場合における画素毎反転駆動時での白表示透過率の第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離依存性を説明するための図である。
【0176】
図45のグラフG22から明らかなように、第一の共通電極CE1と液晶層LCが近接している場合に白表示透過率は70%であるが、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離K1の増大と共に増大し、K1=0.5μm時には77%、K1=1.0μm時には81%、K1=1.5μm時には84%、K1=2.0μm時には86%、K1=2.5μm時には87%、K1=3.0μm時には88%となる。このように、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離K1がK1=2.0μm以上の場合には透過率は86%以上となり、第一の基板SU1と第二の基板SU2がずれていない場合とほぼ同様な白表示透過率が得られる。
【0177】
図46は本発明の実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極から液晶層に至るまでの距離と駆動電圧との関係を説明するための図であり、図42に示す実施形態9の構成において、第一の共通電極から液晶層に至るまでの距離H6(図43中に示す)を変化させた場合に、所定の透過率での表示(白表示)を行うために必要となる壁画素電極SEと擬似壁共通電極との間の印加電圧(駆動電圧)を示す図である。
【0178】
図46のグラフG23から明らかなように、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6がH6=0(ゼロ)μmの場合には、駆動電圧VpcはVpc=4.5Vとなる。また、距離H6がH6=0.5μm時にはVpc=4.8Vとなり、以降、H6=1.0μm時にはVpc=4.8V、H6=1.5μm時にはVpc=4.9V、H6=2.0μm時にはVpc=5.0V、H6=2.5μm時にはVpc=5.0V、H6=3.0μm時にはVpc=5.1Vとなる。
【0179】
このように、実施形態9の構成においても、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6が増大すると共に、駆動電圧Vpcが増大する傾向にある。しかしながら、駆動電圧Vpcの増大は飽和する傾向にあり、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6が1.5μm以上では増大が緩やかになる。即ち、実施形態9の液晶表示装置においては、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6を1.5μm以上とすることにより、駆動電圧Vpcの増大を抑えながら高い白表示透過率を得ることができることが明らかである。従って、実施形態9の液晶表示装置においては、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6が1.5μm以上となるように形成することが好適である。さらには、駆動電圧VpcをVpc=5.0V程度とすることが好ましい。
【0180】
なお、実施形態9の液晶表示装置では、オーバーコート層OCの下層側(オーバーコート層OCの第一の基板SU1の側)に第一の共通電極CE1を形成することにより、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との距離を液晶層LCの厚さよりも大きく形成している(画素毎反転駆動に対応した構成)が、実施形態1に示すように、壁画素電極SEの高さと液晶層LCの厚さとがほぼ同じ大きさの液晶表示装置であっても、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間の距離を液晶層LCの厚さよりも大きく形成することによって、列毎反転駆動での駆動を行う場合には、合わせずれに対して前述と同様の効果が得られる。
【0181】
〈実施形態10〉
図47は本発明の実施形態10の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図、図48は図47に示すC−C’線での断面図である。また、図49は実施形態10の液晶表示装置における壁画素電極を形成する第一の透明導電膜の構成を説明するための図、図50は実施形態10の液晶表示装置における第二の共通電極及び第四の共通電極を形成する第二の透明導電膜の構成を説明するための図である。ただし、実施形態10の液晶表示装置は、第四の共通電極CE4及び第六の絶縁膜IL6の構成を除く他の構成は実施形態1の液晶表示装置と同様である。従って、以下の説明では、第四の共通電極CE4及び第六の絶縁膜IL6の構成について詳細に説明する。
【0182】
実施形態1の液晶表示装置では、第二の共通電極CE2を形成する第二の透明導電膜TCF2と、壁画素電極SEを形成する第一の透明導電膜TCF1とがゲート線GLに近接する画素端部(図2中に斜線で示す領域SC)において重畳して保持容量を形成しているが、この領域SCでは液晶層LCに電界が印加されないため非開口部(非透過領域)となる。一方でIPS方式等の液晶表示装置では、平面(平板)状の共通電極とスリット状(線状)の画素電極とを重畳して、開口部に保持容量を形成している。このように、液晶層LCへの電圧印加に用いる電極を保持容量として兼用できれば開口率を向上でき、透過率を向上できる。
【0183】
これに対して、図48から明らかなように、実施形態10の液晶表示装置では、第二の共通電極CE2と第四の共通電極CE4は第一の絶縁層IL1と第二の絶縁層IL2の間に配置され、壁基材WLは第三の絶縁層IL3上に形成されている。更には、その上層に壁画素電極SEが形成されており、該壁画素電極SEの平坦部分HPは第四の共通電極CE4と第二の絶縁層IL2を介して重畳している。この壁画素電極SEの平坦部分HPと第四の共通電極CE4とが重畳した部分が保持容量となる。
【0184】
特に、実施形態10の液晶表示装置では、第四の共通電極CE4を壁画素電極SEの平坦部分HPよりも内側に分布するように配置している。もしこれが壁画素電極SEの平坦部分HPよりも外側に分布するならば、近接して配置された壁画素電極SEと第四の共通電極CE4の間に電界が集中し、液晶層LCに印加される電界が大幅に弱まり、透過率が低下する。実施形態10では、第四の共通電極CE4を壁画素電極SEの平坦部分HPよりも内側に配置したことにより、液晶層LCに印加される電界強度を保持している。
【0185】
図47において、破線は第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2の輪郭を表しており、一点鎖線は壁基材WLの輪郭を示している。前述するように、第二の共通電極CE2は壁画素電極SEよりも下層に配置されるので、コンタクトホールCH2は第二の共通電極CE2を貫いており、図47においてもコンタクトホールCH2の周囲は第二の共通電極CE2の境界を表す破線で囲まれている。第二の共通電極CE2と壁画素電極SEが重畳している部分は保持容量として作用し、図47中に斜線で示す部分が保持容量となる部分である。この図47に示す実施形態10の液晶表示装置を図2と比較して明らかなように、実施形態10の保持容量の分布はゲート線GLにより近い側にシフトしており、その結果、壁基材WLの分布もゲート線GLにより近い側まで延長し、開口部(透過部)が拡大している。ここで、図47に示す実施形態10の液晶表示装置と図2に示す実施形態1では保持容量の面積は同一であり、それでいて実施形態10の液晶表示装置において開口部(透過部)が拡大したのは、ドレイン線DLの近傍にも保持容量を配置したことによる。
【0186】
すなわち、図47に示すように、実施形態10の液晶表示装置においても実施形態1の液晶表示装置と同様に、画素の領域はドレイン線DLとゲート線GLとで囲まれる領域となる。また、画素の領域は長手方向(Y方向)の上側領域と下側領域とからなり、該上側領域と下側領域とはY方向に対して対称をなすように異なる方向に傾斜され、画素の中央部分で上側領域と下側領域とが接続される構成となっている。このとき、上側領域及び下側領域においても、液晶分子の初期配向方向が同じとなるように、図中の矢印ADで示す方向の初期配向処理がされている。
【0187】
実施形態10の液晶表示装置も、図48に示すように、カラーフィルタ等が形成される第一の基板SU1と薄膜トランジスタ等が形成される第二の基板SU2とが液晶層LCを介して対向配置される構成となっている。また、第一の基板SU1の外側面(表示面側)には第一の偏光板PL1が配置され、第二の基板SU2の外側面(裏面)には第二の偏光板PL2が配置されている。
【0188】
第一の基板SU1の液晶面側には、実施形態1の液晶表示装置と同様に、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第一の共通電極CE1、及び第一の配向膜AL1が順次形成されている。
【0189】
一方、第二の基板SU2の液晶面側には、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の絶縁膜IL2、第二の共通電極CE2が順番に形成されている。このとき、実施形態10の液晶表示装置では、少なくとも壁画素電極SEと重畳するようにして、第二の共通電極CE2と同層に、第四の共通電極CE4が形成されている。第四の共通電極CE4及び第二の共通電極CE2の上層には、当該第四の共通電極CE4及び第二の共通電極CE2を覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第六の絶縁膜IL6が形成されている。該第六の絶縁膜IL6の上層には、壁基材WL及び壁画素電極SEの平坦部が形成され、該壁基材WLの側壁面及び頭頂面には壁画素電極SEの垂直部及び頭頂部がそれぞれ形成され、これらの露出面を覆うようにして第二の配向膜AL2が形成されている。
【0190】
特に、実施形態10の液晶表示装置では、図50に示すように、第一の基板SU1の全面に第二の透明導電膜TCF2が形成されており、画素毎にその画素の透過領域内の第二の透明導電膜TCF2に開口部OP2,OP3が形成され、2つの開口部OP2,OP3に挟まれた領域が第二の共通電極CE2を形成している。また、第二の透明導電膜TCF2に形成される自画素の開口部OP2と隣接画素の図示しない開口部OP3とに挟まれた領域が第四の共通電極CE4を形成している。
【0191】
また、図49に示すように、壁画素電極SEを形成する第一の透明導電膜TCF1はドレイン線DLとゲート線GLとに沿って円環状に形成されており、外側辺縁部L1と内側辺縁部(開口部OP1の辺縁部)L2との間の領域(ハッチング領域)が第一の透明導電膜TCF1の形成領域となる。このとき、実施形態10の液晶表示装置においても、実施形態1の液晶表示装置と同様に、画素の長手方向に延在する部分が壁画素電極SEとなっている。
【0192】
このとき、実施形態10の液晶表示装置では、実施形態1の液晶表示装置と同様に、画素領域内の上端側及び下端側の領域において、第六の絶縁膜IL6を介して第一の透明導電膜TCF1と第二の透明導電膜TCF2とが重畳される構成となっている。さらには、図50から明らかなように、第二の透明導電膜TCF2に形成される自画素の開口部OP2と隣接画素の図示しない開口部OP3とに挟まれた領域の第二の透明導電膜TCF2、すなわち隣接画素との間の領域に形成される第二の透明導電膜TCF2により第四の共通電極CE4が形成され、該第四の共通電極CE4が第六の絶縁膜IL6を介して壁画素電極SEと重畳される構成となっている。
【0193】
この構成により、実施形態10の液晶表示装置では、図47中に斜線で示す領域SCが画素領域の辺縁部に沿って画素の透過領域を囲むようにして形成され、この領域SCが当該画素の保持容量(蓄積容量)となる。すなわち、実施形態10の液晶表示装置では、実施形態1の液晶表示装置と同様に、画素領域の上端部と下端部とからなる画素領域の短手方向(Y方向)の辺部領域で保持容量を形成すると共に、画素領域の長手方向(X方向)の辺部においても保持容量を形成する構成となっている。
【0194】
このとき、壁画素電極SEを構成する平坦部と第四の共通電極CE4との重畳領域の面積が大きくなるように、第四の共通電極CE4及び壁画素電極SEを形成することにより、保持容量も大きくできる。なお、実施形態10では、実施形態1の液晶表示装置に本願発明の第四の共通電極CE4を形成する構成としたが、これに限定されることはない。例えば、実施形態2〜4及び実施形態6〜9の液晶表示装置に第四の共通電極CE4を形成することにより、保持容量を増加させることが可能となるので、実施形態10と同様の効果を得ることができる。
【0195】
以上説明したように、実施形態10の液晶表装置では、壁画素電極SEを利用して保持容量を形成する構成、すなわち、長手方向に延在する壁画素電極SEと第六の絶縁膜IL6とが第六の絶縁膜IL6を介して重畳する領域SC2によって形成される容量も保持容量として用いる構成としている。従って、実施形態1と同じ容量の保持容量を形成する場合には、ゲート線GLに近接する画素端部に配置する保持容量の面積を縮小できる、すなわち、画素領域の長手方向の上端側及び下端側に形成される重畳領域SCの面積を減少させることができる。その結果、実施形態1と同様の効果を得ることができると共に、保持容量を減少させることなく液晶分子を駆動させることが可能な透過領域を増加させることができ、開口率を実施例1の63%から69%に増大でき、実施形態1に比較して実施形態10では透過率を10%程度向上させることができるという格別の効果を得ることができる。
【0196】
なお、実施形態2〜4の発明では、第一の基板SU1又は第二の基板SU2の何れか一方の基板に膜厚の厚い薄膜層(厚膜層)を形成すると共に、壁画素電極を液晶層厚よりも大きく形成する構成としたが、第一の基板SU1及び第二の基板SU2に共に厚膜層を形成する構成であってもよい。
【0197】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0198】
PNL……液晶表示パネル、SU1……第一の基板、SU2……第二の基板
AR……表示領域、SL……シール材、DR……駆動回路、CL……コモン線
FPC……フレキシブルプリント基板、GL……ゲート線、DL……ドレイン線
SE,SE1……壁画素電極、SE2……線状画素電極、TFT……薄膜トランジスタ
CE1〜4……第一〜第四の共通電極、TCF1……第一の透明導電膜
TCF2……第二の透明導電膜、CH1,CH2……コンタクトホール、WL……壁基材PS……ポリシリコン膜(ポリシリコン層)、PL1……第一の偏光板
PL2……第二の偏光板、BM……ブラックマトリクス、CF……カラーフィルタ
OC……オーバーコート層、AL1……第一の配向膜、AL2……第二の配向膜
LC……液晶層、IL1〜6……第一〜第六の絶縁膜、LCM……液晶分子
TP……頭頂部、VP……垂直部、HP……平坦部、OP1〜3……開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係わり、特に、基板面に平行な電界を印加する横電界方式の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横電界方式又はIPS(In-Plane Switching)方式と称される液晶表示装置は、液晶分子をパネル面に水平に配向させ、パネル面と平行な電界(横電界)を印加して液晶分子を水平面内で90度回転させる液晶表示装置である。このIPS方式の液晶表示装置は、映像信号線(ドレイン線)や走査信号線(ゲート線)及び薄膜トランジスタや画素電極等が形成される第1基板側に共通電極も形成され、画素電極と共通電極とに印加する電圧差で生じる第1基板の面内方向の電界により液晶層を駆動する。この構成からなるIPS方式の液晶表示装置では、例えば、透明導電膜で形成される面状の共通電極の上層に絶縁膜を介して線状の画素電極が重畳して配置される構成となっている。このために、線状電極の上層や隣接する線状電極との中間部分等では第1基板の法線方向の電界が生じるために、液晶分子がパネル面と水平にならずに傾斜してしまい、表示モード効率が低下してしまうことが知られている。
【0003】
この表示モード効率を向上させる方法として、例えば、特許文献1に記載の液晶表示装置がある。この特許文献1に記載の液晶表示装置では、薄膜トランジスタ等が形成される第1基板側の液晶面側に層間絶縁膜からなる凸状体を形成し、該凸状体の表面を覆うようにして画素電極と共通電極(対向電極)とを画素毎に形成する構成となっている。特に、各画素の対向する一対の辺縁部とその中心部に凸状体を形成し、一対の辺縁部の凸状体に覆う導電膜を画素電極とし、中心部の凸状体を覆う導電膜を共通電極とする構成となっている。さらには、画素電極の下層すなわち画素電極が形成される層間絶縁膜の下層に映像信号が出力される映像信号線が配置される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−258265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、液晶層内に突出される画素電極と共通電極により液晶層に第1基板の面内方向と平行な横電界を印加する方式では、液晶層に理想的な横電界を印加することができるが、一方で画素電極及び共通電極とその近傍では液晶配向を制御できないので、開口率が低下してしまうことが知られている。このために、従来の液晶表示装置では、液晶層内に突出する画素電極及び共通電極が画素の端部に形成されるブラックマトリクス等の遮光膜と重畳されるように配置する構成となっている。
【0006】
しかしながら、このような構成からなる液晶表示装置では、画素の端部において隣接する画素の画素電極が近接して配置されることとなるので、画素電極とその周辺に自画素と隣接画素の電位差に起因した電界分布が発生する。この電位差は画素毎反転駆動で白表示した際に最大になり、この場合に横電界分布に偏りが生じるため白表示の表示モード効率が低下してしまうことが懸念されている。同様にして、自画素が黒表示で隣接画素が白表示の場合に画素毎反転駆動したときには、黒表示時の輝度が増大してしまうすなわち黒表示時の透過率が上昇してしまうので、コントラスト比が低下してしまうことが懸念されている。
【0007】
また、画素の領域に占める画素電極の形成領域を低減させる構成として、隣接する画素を跨ぐようにして凸状体を形成し、該凸状体の側壁面にそれぞれの画素に対応した画素電極を形成する構成もある。この場合、1つの凸状体の側壁面に異なる画素(隣接する画素)の画素電極が凸状体を介して対向配置されることとなるので、隣接する画素の画素電極がさらに近接して配置されることとなり、その解決方法が切望されている。
【0008】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、液晶層内に立設して形成される電極を形成した場合であっても、表示モード効率を向上させることが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなる液晶表示装置である。
【0010】
(2)前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記側壁面電極が形成される前記第二の基板側の下側辺縁部から前記第一の基板側の上側辺縁部に至る前記第一の電極の高さは、当該第一電極に挟まれる画素の領域における前記液晶層の厚さよりも大きく形成されてなる液晶表示装置である。
【0011】
(3)前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記下端側電極よりも下層に形成され、前記下端側電極と絶縁膜を介して少なくともその一部が前記下端側電極と重畳して形成される第三の電極を備え、前記第三の電極と前記第一の電極とが電気的に接続されている液晶表示装置である。
【0012】
(4)前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、前記第一の基板側に形成され、平面的に見て前記第一の電極と重畳配置される第四の電極を有し、前記第四の電極と前記第二の電極に同じ信号が供給される液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液晶層内に立設して形成される電極を形成した場合であっても、表示モード効率を向上させることができる。
【0014】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素構成を説明するための平面図である。
【図3】図2に示すB−B’線での断面図である。
【図4】本発明の実施形態1の液晶表示装置における壁状電極の詳細構成を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態1の液晶表示装置における擬似壁共通電極での電界分布を説明するための図である。
【図6】従来の壁電極における電界分布を説明するための図である。
【図7】従来の共通電極における電界分布を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態1の擬似壁共通電極の位置合わせ精度を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態1の液晶表示装置における壁基材近傍での等電位面分布を示す図である。
【図10】本発明の実施形態1の液晶表示装置における1つの画素内における透過率分布の計測値の図である。
【図11】本発明の実施形態2の液晶表示装置における液晶表示パネルの概略構成を説明するための断面図である。
【図12】本発明の実施形態2の液晶表示装置における壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図である。
【図13】実施形態1の液晶表示装置を画素毎反転駆動した場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態2の液晶表示装置における液晶層厚と壁画素電極の高さとの差に対する画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図である。
【図15】実施形態1の液晶表示装置において画素毎反転駆動で自画素及び該自画素に隣接する隣接画素で共に白表示を行った場合の壁画素電極の近傍の等電位面分布を示す図である。
【図16】実施形態2の液晶表示装置において画素毎反転駆動により自画素で白表示を行うと共に隣接画素で黒表示を行った場合の壁画素電極の近傍の等電位面分布を示す図である。
【図17】実施形態2の液晶表示装置において液晶層LCよりも2μm高く壁基材WLを形成して画素毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布を示す図である。
【図18】本発明の実施形態3の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。
【図19】本発明の実施形態4の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。
【図20】本発明の実施形態4の液晶表示装置において画素毎反転駆動時に隣接画素間の電位差が最大となる場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図である。
【図21】本発明の実施形態4の液晶表示装置において画素毎反転駆動時に白表示画素と黒表示画素とが隣接する場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図である。
【図22】本発明の実施形態4の液晶表示装置における液晶層厚と壁画素電極の高さとの差と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図である。
【図23】本発明の実施形態4の液晶表示装置における液晶層厚と壁画素電極の高さとの差に対する画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図である。
【図24】本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。
【図25】本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素毎反転駆動時での壁画素電極の近傍における等電位面分布図である。
【図26】本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素毎反転駆動時での壁画素電極の近傍における等電位面分布図である。
【図27】本発明の実施形態5の液晶表示装置における壁画素電極と線状画素電極との間隔と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図である。
【図28】本発明の実施形態5の液晶表示装置における壁画素電極と線状画素電極との間の距離に対する画素毎反転駆動時でのコントラスト比を示す図である。
【図29】本発明の実施形態6の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図30】本発明の実施形態6の液晶表示装置における自画素と隣接画素が共に白を表示した際の等電位面の分布である。
【図31】本発明の実施形態6の液晶表示装置における自画素が白表示し、隣接画素が黒表示した際の等電位面の分布である。
【図32】本発明の実施形態7の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図33】本発明の実施形態7の他の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図34】本発明の実施形態8の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図35】本発明の擬似壁共通電極における第一の共通電極と第二の共通電極との位置合わせずれに対する画素毎反転駆動時における白表示画素の透過率を示す図である。
【図36】実施形態1の液晶表示装置において第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じていない場合と、3μmの合わせずれが生じている場合での画素内の透過率分布を示す図である。
【図37】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じていない場合の擬似壁共通電極部分の拡大図である。
【図38】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じている場合の擬似壁共通電極部分の拡大図である。
【図39】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じていない場合と、3μmの合わせずれが生じている場合での画素内の透過率分布を示す図である。
【図40】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極との合わせ位置が3μmずれた場合における画素毎反転駆動時での白表示透過率の第二の共通電極と液晶層との距離依存性を説明するための図である。
【図41】本発明の実施形態8の液晶表示装置における第二の共通電極から液晶層に至るまでの距離と駆動電圧との関係を説明するための図である。
【図42】本発明の実施形態9の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。
【図43】本発明の実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じていない場合の擬似壁共通電極部分の拡大図である。
【図44】本発明の実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極と第二の共通電極とに合わせずれが生じている場合の擬似壁共通電極部分の拡大図である。
【図45】本発明の実施形態9の液晶表示装置において第一の共通電極と第二の共通電極との合わせ位置が3μmずれた場合における画素毎反転駆動時での白表示透過率の第一の共通電極と液晶層との距離依存性を説明するための図である。
【図46】本発明の実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極から液晶層に至るまでの距離と駆動電圧との関係を説明するための図である。
【図47】本発明の実施形態10の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図である。
【図48】図47に示すC−C’線での断面図である。
【図49】実施形態10の液晶表示装置における壁画素電極を形成する第一の透明導電膜の構成を説明するための図である。
【図50】実施形態10の液晶表示装置における第二の共通電極及び第四の共通電極を形成する第二の透明導電膜の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。また、X,Y,ZはそれぞれX軸、Y軸、Z軸を示す。
【0017】
〈実施形態1〉
〈全体構成〉
図1は本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための図であり、以下、図1に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の全体構成について説明する。なお、本願明細中においては、カラーフィルタCFや偏光板POL1,POL2などによる吸収の影響や開口率の影響を除いた透過率を表示モード効率とする。従って、バックライトユニット側の偏光板POL1から出射した直線偏光の振動方向が表示面側の偏光板POL2に入射する際に、90度回転している場合の表示モード効率を100%とする。
【0018】
図1に示すように、実施形態1の液晶表示装置は、第二の基板SU2に対向して配置されカラーフィルタ(着色層)やブラックマトリクスと称される遮光層等が形成される第一の基板SU1と、壁状の画素電極である壁画素電極(第一の電極)SEや薄膜トランジスタTFTが形成される第二の基板SU2と、第一の基板SU1と第二の基板SU2とで挟持される液晶層とで構成される液晶表示パネルPNLを有する。該液晶表示パネルPNLと該液晶表示パネルPNLの光源となる図示しないバックライトユニット(バックライト装置)とを組み合わせることにより、液晶表示装置が構成されている。第一の基板SU1と第二の基板SU2との固定及び液晶の封止は、第一の基板の周辺部に環状に塗布されたシール材SLで固定され、液晶も封止される構成となっている。ただし、実施形態1の液晶表示装置では、液晶が封入された領域の内で表示画素(以下、画素と略記する)の形成される領域が表示領域ARとなる。従って、液晶が封入されている領域内であっても、画素が形成されておらず表示に係わらない領域は表示領域ARとはならない。
【0019】
また、第一の基板SU1は、第二の基板SU2よりも小さな面積となっており、第二の基板SU2の図中下側の辺部を露出させるようになっている。この第二の基板SU2の辺部には、半導体チップで構成される駆動回路DRが搭載されている。この駆動回路DRは、表示領域ARに配置される各画素を駆動する。なお、以下の説明では、液晶表示パネルPNLの説明においても、液晶表示装置と記すことがある。また、第一の基板SU1及び第二の基板SU2としては、例えば周知のガラス基板が基材として用いられるのが一般的であるが、樹脂性の透明絶縁基板であってもよい。
【0020】
実施形態1の液晶表示装置では第二の基板SU2の液晶側の面であって表示領域AR内には、図1中X方向に延在しY方向に並設され、駆動回路DRからの走査信号が供給される走査信号線(ゲート線)GLが形成されている。また、図1中Y方向に延在しX方向に並設され、駆動回路からの映像信号(階調信号)が供給される映像信号線(ドレイン線)DLが形成されている。隣接する2本のドレイン線DLと隣接する2本のゲート線GLとで囲まれる領域が画素を構成し、複数の画素が、ドレイン線DL及びゲート線GLに沿って、表示領域AR内においてマトリックス状に配置されている。
【0021】
各画素は、例えば図1中丸印Aの等価回路図A’に示すように、ゲート線GLからの走査信号によってオン/オフ駆動される薄膜トランジスタTFTと、このオンされた薄膜トランジスタTFTを介してドレイン線DLからの映像信号が供給される壁画素電極SEと、コモン線CLを介して映像信号の電位に対して基準となる電位を有する共通信号が供給される第一の共通電極(第一の線状電極)CE1及び第二の共通電極(第二の線状電極)CE2とを備えている。図1中丸印Aの等価回路図A’においては、第一及び第二の共通電極CE1,CE2並びに壁画素電極SEを模式的に線状に記しているが、実施形態1の壁第一及び第二の共通電極CE1,CE2並びに壁画素電極SEの構成については、後に詳述する。なお、実施形態1の薄膜トランジスタTFTは、そのバイアスの印加によってドレイン電極とソース電極が入れ替わるように駆動するが、本明細書中においては、便宜上、ドレイン線DLと接続される側をドレイン電極、壁画素電極SEと接続される側をソース電極と記す。
【0022】
壁画素電極SEと第一及び第二の共通電極CE1,CE2との間には、第二の基板SU2の主面に平行な成分を有する電界が生じ、この電界によって液晶の分子を駆動させるようになっている。このような液晶表示装置は、いわゆる広視野角表示ができるものとして知られ、液晶への電界の印加の特異性から、IPS方式あるいは横電界方式と称される。また、このような構成の液晶表示装置において、液晶に電界が印加されていない場合に光透過率を最小(黒表示)とし、電界を印加することにより光透過率を増加させていくノーマリーブラックで表示を行うようになっている。
【0023】
各ドレイン線DL及び各ゲート線GLはその端部においてシール材SLを越えてそれぞれ延在され、外部システムからフレキシブルプリント基板FPCを介して入力される入力信号に基づいて、映像信号や走査信号等の駆動信号を生成する駆動回路DRに接続される。ただし、実施形態1の液晶表示装置では、駆動回路DRを半導体チップで形成し第二の基板SU2に搭載する構成としているが、映像信号を出力する映像信号駆動回路と走査信号を出力する走査信号駆動回路との何れか一方又はその両方の駆動回路をフレキシブルプリント基板FPCにテープキャリア方式やCOF(Chip On Film)方式で搭載し、第二の基板SU2に接続させる構成であってもよい。
【0024】
〈画素の詳細構成〉
図2は本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素構成を説明するための平面図、図3は図2に示すB−B’線での断面図、図4は本発明の実施形態1の液晶表示装置における壁状電極の詳細構成を説明するための図である。ただし、図2において、破線は第一の共通電極(コモン電極)CE1と第二の共通電極(コモン電極)CE2の輪郭を示し、一点鎖線は本願発明の壁基材(凸状体、壁構造)WLの輪郭(外形)を示す。
【0025】
図2に示すように、実施形態1の画素は、X方向に延在しY方向に並設されるドレイン線(映像信号線)DLと、Y方向に延在しX方向に並設されるゲート線(走査信号線)GLとで囲まれる領域となり、該画素が液晶表示パネルPNLの表示領域AR内にマトリクス状に配置されている。このとき、実施形態1の画素は、長手方向(Y方向)の図2中の上側領域(第一の領域)と下側領域(第二の領域)とにおいて、Y方向に対して対称をなすように異なる方向に傾斜され、画素の中央部分で上側領域と下側領域とが接続される構成となっている。ただし、液晶分子の配向方向は、上側領域及び下側領域においても図中の矢印ADで示す方向となるように、初期配向がされている。また、実施形態1の画素では、上側領域をY方向に対して反時計方向(第一の方向)に傾斜させ、下側領域を時計方向(第二の方向)に傾斜させる構成としたが、それぞれの逆方向に傾斜させる構成であってもよい。
【0026】
このように、実施形態1の液晶表示パネルでは、1つの画素を中央で屈曲させ、尚且つ液晶分子の配向方向を矢印ADで示す方向(図2中の縦方向)としている。これにより、上側領域と下側領域とが接する屈曲部の上下では、電圧印加時の液晶分子の回転方向は互いに逆方向となる。即ち、屈曲部の上側領域では液晶分子は反時計回りに回転し、屈曲部の下側領域では時計回りに回転する。一軸配向モデルによれば、液晶層はホモジニアス配向を保ったままその方位のみが回転するが、配向方向を含む方位角方向では白表示が青みがかり、その垂直方向では白表示が黄色味を帯びる。従って、実施形態1では、1つの画素内に回転方向が互いに逆となる領域を形成することにより、視角方向での着色を相殺して白色に近づけることができる。
【0027】
また、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、ドレイン線DLに重畳して形成されるコンタクトホールCH1を介して半導体層となるポリシリコン膜(ポリシリコン層)PSが電気的に接続されており、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極となる。このポリシリコン膜PSは、図2中の左下に示すように、図示しないゲート絶縁膜を介してゲート線GLと重畳され、この重畳領域において、ゲート電極GTが薄膜トランジスタTFTのゲート電極となる。また、ポリシリコン膜PSの他端側はドレイン電極となり、コンタクトホールCH2を介して、第一の透明導電膜(第一の導電膜)TCF1に電気的に接続されている。なお、実施形態1においては、半導体層(半導体膜)としてポリシリコン層を用いる場合について説明するが、アモルファスシリコン層や微結晶シリコン層等の他の半導体層を用いる構成であってもよい。
【0028】
第一の透明導電膜TCF1はドレイン線DLとゲート線GLとに沿って円環状に形成されており、図2中に実線L1で示す外側辺縁部と、実線L2で示す内側辺縁部との間の領域が第一の透明導電膜TCF1の形成領域となる。このとき、第一の透明導電膜TCF1の内でドレイン線DLに沿って伸延する部分は、各ドレイン線DLに近接する側すなわち外側辺縁が壁基材WLと重畳するようにして配置されている。これにより、実施形態1のドレイン線DLに沿って形成される一対の壁画素電極SEが、画素領域を挟むようにして立設して形成される。
【0029】
また、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、ゲート線GLに沿い当該ゲート線GLを跨ぐようにして、第二の透明導電膜(第二の導電膜)TCF2がX方向に延在しY方向に並設され、コモン線CLを兼ねている。また、画素領域のX方向の中間領域において、画素領域内の上端側及び下端側に形成される第二の透明導電膜TCF2を接続するようにして、第二の共通電極CE2が形成されている。このとき、第二の共通電極CE2においても、画素領域の上側領域と下側領域とにおいて、Y方向に対して傾斜するように形成されており、上側領域と下側領域との中間部分で電気的に接続されている。すなわち、第二の共通電極CE2においても、画素領域の上側領域と下側領域との中間部分で屈曲される形状となっている。このような構成の第二の共通電極CE2は、例えば、第二の基板SU2の液晶面側を覆うようにして形成された透明導電膜に点線L3,L4で示す開口領域を形成することによって成膜可能であり、一対の壁画素電極SEに挟まれた領域に中間部分で屈曲される線状の第二の共通電極CE2が形成される構成となっている。ただし、後に詳述するように、実施形態1の液晶表示パネルPNLにおいては、液晶層を介して対向配置される第一の基板SU1の液晶面側に、第二の共通電極CE2と対峙する位置に同電位の共通信号が供給される第一の共通電極CE1が形成されている。また、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とは、例えば、液晶表示パネルPNLの辺縁部等において、周知の技術で電気的に接続され、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とに同電位の共通信号が供給されている。
【0030】
このとき、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、壁画素電極SEを形成する第一の透明導電膜TCF1と第二の共通電極CE2を形成する第二の透明導電膜TCF2とが第三の絶縁膜IL3を介して形成されている。従って、図2中に斜線で示す画素領域内の上端側及び下端側の領域では、第一の透明導電膜TCF1と第二の透明導電膜TCF2とが第三の絶縁膜IL3を介して重畳するようになっており、実施形態1においては、第一の透明導電膜TCF1と第二の透明導電膜TCF2が重畳する領域(斜線で示す領域SC)を保持容量(蓄積容量)として用いる構成となっている。
【0031】
また、実施形態1の第一の透明導電膜TCF1では、画素の上側領域と下側領域との中間部分に図2中のX方向に突出する突出部が形成され、上側領域と下側領域とで液晶分子の回転方向が異なることに起因する異常ドメインを低減させる構成としている。同様にして、第二の共通電極CE2を形成する透明導電膜にも 画素の上側領域と下側領域との中間部分に図2中のX方向に突出する突出部が形成され、異常ドメインを低減させる構成としている。
【0032】
この構成からなる実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、図3に示すように、液晶層LCを介して第一の基板SU1と第二の基板SU2とが対向配置される。第一の基板SU1の液晶面側には、図示しないゲート線GLが形成され、該ゲート線GLを覆うようして第二の基板SU2の液晶面側の全面に第一の絶縁膜IL1が形成されている。このとき、第一の絶縁膜IL1は、薄膜トランジスタTFTの形成領域においては、ゲート絶縁膜として機能する構成となっている。
【0033】
第一の絶縁膜IL1の上層にはドレイン線DLが形成され、該ドレイン線DLを覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第二の絶縁膜IL2が形成されている。第二の絶縁膜IL2の上層にはドレイン線DLと重畳するようにして壁基材WLが立設されており、この壁基材WLの側壁面及び頭頂面並びに壁基材WLの近傍の第二の絶縁膜IL2の上層には壁画素電極SEを構成する第一の透明導電膜TCF1が形成されている。このとき、実施形態1の壁画素電極WLにおいては、前述するように、1つの壁基材WLの側壁面に隣接する画素の壁画素電極SEが形成されており、この隣接画素の壁画素電極SEは壁基材WLを介してゲート線GLの延在方向に対向配置される構成となっている。
【0034】
壁基材WL及び壁画素電極SEの上層には、当該壁基材WL及び壁画素電極SEを覆うようにして第二の基板SU2の全面に第三の絶縁膜IL3が形成されており、その上層に第二の共通電極CE2が形成されている。また、第三の絶縁膜IL3の上層には第二の共通電極CE2を覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第二の配向膜AL2が形成され、液晶層LCの各液晶分子LCMを図2中に矢印で示す初期配向方向ADHに配向させる構成となっている。特に、第二の配向膜AL2は周知の光配向膜であり、偏光紫外線を照射するとその振動方向に平行な方向に液晶分子LCMを配向させる性質を有する配向膜である。実施形態1において、第二の配向膜AL2に光配向膜を用いたことにより、ラビング法のような機械的な摩擦が不要となる格別の効果を得ることができる。その結果、壁基材WLを配置して凹凸が生じた第二の基板SU2の表面において、液晶分子LCMを配向させることが可能になる。ただし、ラビング法等を用いる周知の配向膜でも適用可能である。
【0035】
また、液晶層LCを介して対向配置される第一の基板SU1の液晶面側には、ドレイン線DLと対峙する位置に遮光膜となるブラックマトリクスBMが形成されており、該ブラックマトリクスBMを覆うようにして、着色層であるカラーフィルタCFが形成されている。カラーフィルタCFは画素領域毎に少なくとも赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の何れかに着色されており、RGBのカラー表示用の単位画素を構成している。
【0036】
カラーフィルタCFの上層にはオーバーコート層(オーバーコート膜、平坦化層)OCが形成されており、該オーバーコート層OCの上層に第1の共通電極CE1が形成されている。オーバーコート層OCの上層には、第一の共通電極CE1を覆うようにして、第一の配向膜AL1が形成されている。第一の配向膜AL1については、当該第一の配向膜AL1の液晶側面に大きく突出する壁基材WLが形成されない構成となるので、光配向膜やラビング法等を用いる配向膜の何れであってもよい。
【0037】
このとき、実施形態1の第1の共通電極CE1は液晶層LCを介して第二の共通電極CE2と重畳するように形成されると共に、第二の共通電極CE2よりも壁画素電極SEの配置方向の幅が大きく形成されている。この構成により、実施形態1においては、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とが重畳する領域内の液晶層LCに同電位となる領域を形成し、この領域を見かけ上の壁電極(擬似壁電極)とする擬似壁共通電極(第二の電極)を形成する構成としている。
【0038】
この場合、画像表示時にはおいては、擬似壁共通電極を中心として、図3中のB側では、B側の壁画素電極SEと擬似壁共通電極との間に第二の基板SU2の主面と平行な電界が生じ、B’側ではB’側の壁画素電極SEと擬似壁共通電極との間に第二の基板SU2の主面と平行な電界が生じ、このB側及びB’側の電界によりそれぞれの領域の液晶分子LCMが第二の基板SU2の主面と平行に回転駆動される。
【0039】
また、実施形態1の壁基材WLは第一の透明導電膜TCF1の内で、主に壁画素電極SEとなる領域と重畳する構成となっている。すなわち、第一の共通電極CE1や第二の共通電極CE2と対をなして液晶層LCに電界を印加する部分だけに壁基材WLが形成され、第一の透明導電膜TCF1と重畳される構成となっているので、ゲート線GLの近傍にまで壁基材WLが延在しない構成となっている。さらには、画素領域のゲート線GL側(Y方向側)の辺部にも壁基材WLが形成されない構成となっている。このように、壁構造WLはゲート配線GLとその近傍には形成されておらず、ドレイン配線DLの延在方向において画素間を跨らない不連続な構成となっている。従って、液晶層LCを形成する際に、真空封入法や滴下法等の何れの方法を用いる場合であっても、実施形態1の壁基材WLは液晶分子LCMの移動に与える障害を少なくして液晶層LCの形成を容易にしているので、液晶の注入を妨げない。例えば、液晶層LCの注入に際して、液晶分子LCMは壁基材WLの形成されていない部分を通って移動し、液晶層LCを形成する。また、壁基材WLは液晶層LCを保持してその厚さを一定に保つ機能を有する。
【0040】
なお、壁画素電極SE及び第一の共通電極CE1や第二の共通電極CE2を形成するための透明導電膜TCF1,TCF2を形成するための透明導電膜材料は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)及び酸化亜鉛系のAZO(Aluminum doped Zinc Oxide)やGZO(Gallium doped Zinc Oxide)等を用いることが可能である。
【0041】
特に、実施形態1の壁画素電極SEでは、図4の拡大図に示すように、壁基材WLの断面形状が長方形であり、壁基材WLの頭頂面に形成される第二の配向膜AL2が第一の基板SU1上に形成された第一の配向膜AL1に近接又は当接される構成となっている。なお、壁基材WLの側壁面は第二の基板SU2の主面に垂直又は垂直に近い傾斜であればよいので、壁基材WLの断面形状は長方形以外であってもよく、例えば台形や2次曲面、4次曲面等であってもよい。
【0042】
また、実施形態1の画素構造では、壁基材WLは隣接する画素を跨ぐようにして形成されているので、図4に示すように、当該壁基材WLのドレイン線DLの並設方向(図4中のB,B’方向)の側壁面には、それぞれ隣接する画素の壁画素電極SEが対向配置するように形成されている。すなわち、隣接する画素に面する側壁面であり、対向する一対の側壁面には、隣接画素の壁画素電極SEがそれぞれ形成されている。実施形態1の壁画素電極SEは、壁基材WLの側壁面に形成される垂直部(側壁面電極)VPと、壁基材WLの頭頂面に形成され垂直部VPの頭頂側の辺縁部から頭頂面に沿って延在する頭頂部TPと、壁基材WLの底面側(第二の基板SU2側)の辺縁部から下層の第二の絶縁膜IL2の表面に沿い擬似壁共通電極側に所定幅で延在してなる平坦部(下端側電極)HPから構成されている。
【0043】
このとき、壁基材WLの頭頂面には隣接画素の頭頂部TPがそれぞれ形成されるので、隣接画素の壁画素電極SEが最も近接されることとなる。従って、実施形態1の液晶表示パネルPNLにおいては、隣接画素の頭頂部TPの間隔よりも頭頂部TPの隣接方向への突出量(突出幅)が小さくなるように形成されている。なお、壁画素電極SEの構成はこれに限定されることはなく、例えば、頭頂部TPを形成することなく、垂直部VPと平坦部HPのみで壁画素電極SEを形成する構成であってもよい。
【0044】
また、実施形態1の壁画素電極SEでは、壁基材WLの下層(第二の基板SU2に近い側)にドレイン線DLが形成される、すなわち垂直部VPの辺縁部の内でドレイン線DLが形成される側に平坦部HPが形成される構成となっているので、ドレイン線DLが壁画素電極SEに及ぼす影響を遮蔽する効果がある。尚且つ、平坦部HPの先端すなわち垂直部VPから遠い側では擬似壁共通電極との距離がより近接するため、液晶層LCに印加される電界強度を強める効果がある。このように、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、壁基材WLが第二の基板SU2側から第一の基板SU1側に液晶層LCを貫くように形成され、尚且つその側壁面(斜面)が垂直若しくは垂直に近い斜面となるので、壁基材WLに形成した壁画素電極SEは液晶層LCにその層面内に対して平行な電界を印加することができる。層面内に平行な電界の印加により、液晶層に一様な配向変化が生じるので、高い透過率が得られ、表示モード効率を向上できる。
【0045】
〈壁画素電極及び擬似壁共通電極の電界分布〉
図5は本発明の実施形態1の液晶表示装置における擬似壁共通電極での電界分布を説明するための図、図6は従来の壁電極における電界分布を説明するための図、図7は従来の共通電極における電界分布を説明するための図、図8は本発明の実施形態1の擬似壁共通電極の位置合わせ精度を説明するための図である。
【0046】
図5に示すように、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、第一の基板SU1に形成した第一の共通電極CE1と、第二の基板SU2に形成した第二の共通電極CE2とが表示面側から見て重畳されるように配置されている。その結果、実施形態1の擬似壁共通電極では、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との近傍においては、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2のみをそれぞれ囲むようにした等電位面E1,E2が生じる。このとき、実施形態1においては、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2には同じ共通信号が供給される構成となっているので、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を共に囲むような等電位面E3、すなわち第一の基板SU1と第二の基板SU2とを結ぶような等電位面E3が生じる。このときの等電位面E3は、図6に示す壁状の電極IWEを形成した場合の等電位面と同様となる。尚且つ、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2の間には液晶層LCが存在するので、擬似壁共通電極で形成される等電位面E3も壁状の電極IWEを設けた場合と同様の効果を得ることができ、擬似壁共通電極自体が透過率を大きく低下させることはない。従って、画素端の壁基材WLに壁画素電極SE、画素中央に擬似壁共通電極を配置する構成により、WVGA対応の液晶表示パネルPNLのように、短手方向の画素幅が比較的に大きい場合であっても、高い透過率が得られる。
【0047】
また、図5に示す等電位面E3の形状から明らかなように、擬似壁共通電極によって形成される等電位面E3では、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間の領域、すなわち第一の基板SU1と第二の基板SU2との間の領域で、電極幅方向に対する等電位面E3の幅も小さくなるので、液晶分子の駆動に寄与しない電極幅を小さくすることが可能となる。その結果、表示効率を向上させることができる。
【0048】
ただし、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、第一の共通電極CE1の幅が第二の共通電極CE2よりも大きい(広い)構成としている。これはカラーフィルタCFを有する基板である第一の基板SU1の加工精度が第二の基板SU2よりも相対的に低いことを考慮しているからである。例えば、図8に示すように、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とがずれた場合であっても、第一の共通電極CE1の幅を大きく形成することにより、等電位面E3を形成することが可能となり、擬似壁共通電極を形成することができる。ただし、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2の電極幅は、異なる幅に限定されることはなく、同じ幅の構成であっても良い。より望ましくは、第一の共通電極CE1の幅を第二の共通電極CE2と同様にすれば良い。すなわち、第一の共通電極CE1の幅と第二の共通電極CE2の幅がより細いほど、図5に示す第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2を囲むように分布する等電位面E3の分布も狭くなるので、擬似壁共通電極近傍の透過率が増大する。
【0049】
前述する構成からなる擬似壁共通電極に対して、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2のうち一方だけしか設けない場合には、擬似壁共通電極と同様の効果は得られない。図7は第二の基板SU2の側にのみ共通電極を設けた、すなわち第二の共通電極CE2のみを設けた場合の等電位面を示した図であり、この図7に示すように、第二の共通電極CE2を囲む同心円状の等電位面が生じる。この場合、第二の共通電極CE2上の電界強度は弱く、充分大きな液晶配向変化が生じないためその近傍で透過率が著しく低下してしまう。
【0050】
一方、実施形態1の壁画素電極SEは、壁基材WLの対向する側壁面に自画素と隣接画素の壁画素電極SEが配置されるので、壁基材WLとその周辺に自画素と隣接画素の壁画素電極SEの電位差に起因した電界が発生する。このために、列毎反転駆動の場合には、自画素が白表示で隣接画素が黒表示の際に、同一の壁基材WLに形成される壁画素電極SE間での電位差が最大になる。このとき、白表示を行う画素内の電界強度に偏りが生じた場合には、白表示の透過率が低減する。また、黒表示を行う画素に電位の漏れが生じた場合には、黒表示の透過率が増大する。ここで、実施形態1の構成では、図3に示めすように、壁基材WLの高さを液晶層LCの厚さとほぼ等しく形成し、壁画素電極SEが平坦部HPを有している。この構成により、壁画素電極SEを構成する垂直部VPの表面からの電機力線が第二の基板SU2を介して、壁基材WLの対向面に形成される垂直部VPの表面に到達してしまうことに起因する横電界分布の偏りと隣接画素への電界漏れを低減することができるので、白表示の透過率を向上すると共に、黒表示の透過率を低減できる。すなわち、表示モード効率を向上できると共に、高コントラスト比が得られる。
【0051】
図9は本発明の実施形態1の液晶表示装置における壁基材近傍での等電位面分布を示す図であり、特に、図9中の壁基材WLの中央が画素境界であり、その右側の画素(自画素)では白表示、左側の画素(隣接する画素)では黒表示を行っている状態での等電位面分布を示している。また、図9に示す等電位面分布は、列毎反転駆動において隣接画素間の電位差が最大となる場合に相当する。
【0052】
列毎反転駆動において隣接画素で白表示と黒表示を行う場合、白表示を行う側の等電位面EF1は広く分布する。一方、黒表示を行う画素にも等電位面EF2が形成されているが、壁画素電極SE近傍に局在化している。このような等電位面EF1,EF2の分布が得られることは、図中右側の白表示画素の壁画素電極SEからの電界が黒表示画素の電界に影響を及ぼすことが低減できると共に、図中左側の黒表示画素の壁画素電極SEからの電界が白表示画素の電界に影響を及ぼすことが低減できることを示している。
【0053】
この構成からなる実施形態1の液晶表示パネルPNLとして、例えば、液晶層LCには、室温を含む広い温度範囲でネマチック相を示す高抵抗の液晶材料を用いる液晶表示パネルを形成した。この実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、壁基材WLに形成した壁画素電極SEを用いて液晶層LCの層平面すなわち液晶表示パネル面に平行な電界を印加した場合、液晶層LCは一軸配向モデルに近い配向状態となる。この場合に高透過率と無彩色を両立するには、液晶層のリタデーションΔndを300nm前後とすればよい。実施形態1では、液晶材料の複屈折率Δnは0.09、液晶層厚は3.3μmとし、液晶層のΔndは300nmとしている。
【0054】
このとき、壁基材WLが形成される領域には液晶層LCが存在しないため、壁基材WL自体は透過率低下の原因となる。そのため、実施形態1においては、壁基材WLは画素端部のブラックマトリクスBMの下に配置する構成となっている。例えば、WVGA(Wide Video Graphics Array)対応の画素の場合に画素幅(X方向の画素幅)は30μm程度である。従って、画素の端部に壁状の電極を形成し、一方の電極に映像信号を供給し、他方の電極に共通信号を供給する従来の壁電極構造では、壁基材WLを30μm間隔で配列すると電界強度分布が不均一になり透過率が低下してしまう。これに対して、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、画素中央に擬似壁共通電極を配置する構成となっているので、画素中央での電界強度を補うことが可能となり、透過率を向上させることができる。なお、前述するように、擬似壁共通電極は、一対の共通電極である第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2から構成される。
【0055】
次に、図10に本発明の実施形態1の液晶表示装置における1つの画素内における透過率分布の計測値の図を示し、以下、図10に基づいて、実施形態1の画素構成での効果について説明する。ただし、図10に示す計測値のグラフG1は、画素幅が30μmであり、画素端から15μmの位置に擬似壁共通電極が形成される画素の場合に、一方の画素端から他端側にかけての白表示時での透過率(白表示透過率)の計測値であり、白表示を行う自画素に隣接する画素は黒表示を行っている場合である。このように、自画素が白表示を行い、自画素に隣接する隣接画素が黒表示を行う場合、列毎反転駆動においては隣接画素間(自画素と隣接画素との間)の電位差が最大となる場合に相当する。
【0056】
グラフG1から明らかなように、擬似壁共通電極が形成される領域である画素端部から15μmの部分では透過率が低下しているが、他の部分ではほぼ一定の透過率が得られている。このことは、擬似壁共通電極近傍を除いた画素内でほぼ一定の強度の電界(横電界)が液晶層LCに印加されていることを示している。さらには、グラフG1から明らかなように、実施形態1の液晶表示装置では列毎反転駆動時において90%の透過率が得られる。また、隣接画素の黒表示透過率は0.08%であった。ただし、本願明細中における透過率は、カラーフィルタや偏光板等の各部材の吸収と開口率の影響を除いた値であり、液晶層の偏光変換能に対応する値である。
【0057】
これに対して、例えば、画素幅が30μmであり、面状の共通電極の上層に絶縁膜を介して線状の画素電極が形成されるIPS方式の液晶表示装置では、列毎反転駆動時における透過率は76%程度となるので、実施形態1の液晶表示装置では、透過率を大幅に向上できる。すなわち、表示モード効率を大幅に向上できる。
【0058】
以上説明したように、実施形態1の液晶表示装置では、1つの画素が2つ以上の傾斜した画素領域から形成され、各画素領域がゲート線GLの並設方向に対して対称をなすいわゆるマルチドメイン構成であると共に、壁画素電極SEが垂直部VP、平坦部HP及び頭頂部TPからなり、平面的に見て隣接画素の壁画素電極SEから露出しない範囲にドレイン線DLが形成され、さらには画素の辺縁部の内に形成される一対の壁画素電極SEの間の領域に擬似壁共通電極が形成される構成となっているので、画素の短手方向が比較的離間した構成となる画素であっても透過率を向上させることが可能となる。
【0059】
なお、本願発明の実施形態1の液晶表示装置では、1つの画素が2つの異なる方向に傾斜した領域(上側領域と下側領域)で形成するいわゆるマルチドメイン構成としたが、これに限定されることはない。例えば、1つの画素を3つ以上の領域で形成するマルチドメイン構成であってもよい。特に、1つの画素を3つ以上の領域で形成する場合には、各領域の傾斜角を全て異なる構成とすることも可能であるが、例えば、少なくとも2つ以上の傾斜角の異なる領域が適宜配置される構成であってもよい。
【0060】
〈実施形態2〉
図11は本発明の実施形態2の液晶表示装置における液晶表示パネルの概略構成を説明するための断面図であり、以下、図11に基づいて、実施形態2の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態2の液晶表示パネルは、一対の壁画素電極SEに囲まれる領域すなわち電界が印加される液晶層LCの部分の構成が異なるのみで、他の構成は実施形態1と同様の構成となる。従って、以下の説明では、この壁画素電極SEに挟まれる領域の構成について詳細に説明する。なお、実施形態2の画素構成においても、画素の中心部分で壁画素電極SEの平面内での傾斜角が異なるいわゆるマルチドメイン構成の場合について説明するが、直線状の壁画素電極SE及び擬似壁共通電極からなるいわゆるシングルドメイン構成にも適用可能である。
【0061】
図11に示すように、実施形態2の液晶表示パネルは、実施形態1と同様に、第二の基板SU2の上層に、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の絶縁膜IL2、壁基材WL及び壁画素電極SEが順番に積層されて形成されている。ここで、実施形態2の液晶表示パネルでは、一対の壁画素電極SEに挟まれて液晶分子LCMが駆動される領域(以下、透過領域と記す)毎に第四の絶縁膜(第一の絶縁厚膜)IL4が形成されている。すなわち、画素の領域の内で、壁基材WLの形成されない領域に第四の絶縁膜IL4が形成される構成となっている。
【0062】
実施形態2においては、第四の絶縁膜IL4は壁画素電極SEの高さH2を超えない厚さで形成されている。また、実施形態2の構成では、壁基材WLを含む壁画素電極の形成領域に沿った形状の貫通溝が第四の絶縁膜IL4に形成されており、この貫通溝の底面部露出される第二の絶縁膜IL2の表面(露出面)に壁基材WL及び壁画素電極SEが形成されている。これにより、実施形態2の液晶表示パネルPNLでは、第二の基板SU2の液晶側面に凹部(第一の溝)を形成し、この凹部の底面に壁基材WL及び壁画素電極SEが立設される構成とし、凹部の深さすなわち第四の絶縁膜IL4の膜厚分だけ、液晶層厚よりも壁画素電極SEの高さを大きく形成する構成としている。なお、実施形態2においては、第四の絶縁膜IL4にのみ貫通溝を設けることによって第二の基板SU2の表面(液晶側面)に凹部を形成する構成としたが、2つ以上の薄膜層を形成しそれぞれの薄膜層に貫通溝を設ける等によって凹部を形成する構成であってもよい。
【0063】
第四の絶縁膜IL4の上層には、壁画素電極SE及び壁基材WLの頭頂面を覆うようにして第三の絶縁膜IL3が形成されている。この第三の絶縁膜IL3の上層に擬似壁共通電極を形成する一方の透明電極である第二の共通電極CE2が形成され、その上層に配向膜AL2が形成されている。
【0064】
この構成からなる第二の基板SU2の形成は、壁基材WLを第二の絶縁膜IL2上に形成し、その高さH2をあらかじめ液晶層LCの厚さH1よりも高く形成する。その後、壁基材WLに壁画素電極SEを構成する垂直部VP、平坦部HP及び頭頂部TPをパターンニングして形成した後に、壁画素電極SE及び第二の絶縁膜IL2を含む第二の基板SU2の全面に第四の絶縁膜IL4を形成する。次に、壁基材WLを含む壁画素電極SEの形成領域に沿って、壁基材WL及び壁画素電極SEの上層に形成される第四の絶縁膜IL4を除去し、壁画素電極SEを構成する頭頂部TP、垂直部VP及び平坦部の一部、並びに壁基材WLを露出させる。この後に、第三の絶縁膜IL3、第二の共通電極CE2及び第二の配向膜AL2を形成することにより、壁画素電極SEを第四の絶縁膜IL4の膜厚分だけ液晶層LCの厚さH1よりも高く形成できる。このとき、第四の絶縁膜IL4に有機レジスト等の有機絶縁膜材料を用いることによりその膜厚を容易に増大できる。また、壁基材WLは液晶層LCの厚さH1よりも充分に高くする。
【0065】
一方、第一の基板SU1の構成は、前述する実施形態1の液晶表示パネルPNLの第一の基板SU1と同様の構成となる。その結果、実施形態1の液晶表示パネルPNLでは、液晶層LCの厚さH1を従来の液晶表示パネルPNLと同様の厚さとした場合であっても、壁画素電極SEの高さH2よりも透過領域の液晶層LCの厚さH1を小さく形成できる。すなわち、液晶層LCの厚さH1よりも壁画素電極SEの高さH2が大きく形成された構成となる。
【0066】
次に、図12に本発明の実施形態2の液晶表示装置における壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図、図13に実施形態1の液晶表示装置を画素毎反転駆動した場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図を示し、以下、図12及び図13に基づいて、実施形態2の液晶表示パネルPNLの画素構成について詳細に説明する。ただし、図12及び図13に示す等電位面分布は、画素毎反転駆動時における隣接画素間の電位差が最大となる場合に相当する。
【0067】
画素毎反転駆動では隣接する画素の電位が反転しているので、自画素と隣接画素とが共に白表示の場合に隣接画素間の電位差が最大になる。このとき、実施形態2の液晶表示パネルPNLにおいても、隣接画素の壁画素電極SEは壁基材WLを介して対向する位置に形成されている。このために、隣接する画素に極性の反転した最大電圧が印加される場合すなわち自画素及び隣接画素が共に白表示の場合には、列毎反転駆動における最大値の2倍近くの電位差が生じ、隣接画素の電位に及ぼす影響も大きくなる。
【0068】
ここで、図13に実施形態2の液晶表示装置における液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hd(=H2−H1)と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図を示し、以下、図12及び図13に基づいて、実施形態2の液晶表示パネルの詳細構成について説明する。ただし、グラフG3は壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdを変化させた場合における白表示時の自画素の透過率の計測値であり、グラフG4は壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdを変化させた場合における黒表示時の自画素の透過率の計測値である。
【0069】
グラフG3から明らかなように、実施形態2の液晶表示パネルPNLでは、壁基材WLの高さを変えるすなわち壁画素電極SEの高さH2を変えることにより、画素毎反転駆動時における表示特性を変化させることが可能である。
【0070】
すなわち、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、実施形態1の液晶表示装置において画素毎反転駆動を行った場合に相当し、この場合の白表示時の透過率は74%程度となる。これに対して、第四の絶縁膜IL4を形成し透過領域の液晶層厚H1を変化させずに壁画素電極SEの高さH2を大きくした場合、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdの増加に伴い白表示時の透過率も増加(向上)することが明らかとなった。例えば、Hd=0.5μm時には透過率は82%程度に増加し、Hd=1.0μm時は87%に増加する。さらにHdを大きくした場合、Hd=2.0μm以上で透過率は89%程度となり、それ以上Hdを大きくした場合であっても透過率は89%程度となり、Hd=2.0μmで透過率の増加が飽和する。
【0071】
同様にして、グラフG4から明らかなように、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、黒表示時の透過率は0.43%程度となる。一方、Hd=0.5μm時には透過率は0.21%程度に減少(向上)し、Hd=1.0μm時は0.14%に減少する。さらにHdを大きくした場合、Hd=2.0μm以上で透過率は0.08%程度となり、それ以上Hdを大きくした場合であっても透過率は0.08%程度となり、Hd=2.0μmで透過率の減少が飽和する。
【0072】
図14は本発明の実施形態2の液晶表示装置における液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hd(=H2−H1)と、画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図であり、特に、図13に示す黒表示時(暗表示時)と白表示時(明表示時)の表示モード効率から求めたコントラスト比である。図14のグラフG5から明らかなように、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、コントラスト比は170程度となる。これに対して、Hd=0.5μm時は390に向上し、Hd=1.0μm時は650、Hd=1.5μm時は870、Hd=2.0μm時は1000、Hd=2.5μm時は1020、Hd=3.0μm時は1030にそれぞれ向上する。このように、実施形態2の液晶表示装置では、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差Hdが増大するにつれてコントラスト比も増大することとなり、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=2μmの付近でコントラスト比の増大は頭打ちになり、なおかつコントラスト比は1000:1に到達する。
【0073】
コントラスト比は明表示透過率(白表示時の透過率)と暗表示透過率(黒表示時の透過率)の割り算で算出されるが、実施形態2の液晶表示装置においては、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μmとなる近傍では暗表示透過率が充分に低下し、明表示透過率が充分に増大する。従って、実施形態2の構成においては、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μm以上となるように第四の絶縁膜IL4及び壁画素電極SEを形成することにより、本願発明による効果が充分に得られ、高コントラスト比が得られる。よって、実施形態2の液晶表示装置においては、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μm以上となるように、第四の絶縁膜IL4及び壁画素電極SEを形成することが好適である。
【0074】
図17は実施形態2の液晶表示装置において壁基材WLを液晶層LCよりも2μm高く形成し、画素毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布を示す図である。特に、実線で示すグラフG6が実施形態2の液晶表示装置において、画素毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布を示すグラフである。他のグラフG1,G2は比較対象として示すものであり、グラフG1は実施形態1の液晶表示装置において列毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布を示すグラフ、グラフG2は実施形態1の液晶表示装置において画素毎反転駆動時で白表示を行った際の透過率分布を示すグラフである。
【0075】
グラフG3から明らかなように、実施形態1の液晶表示装置と同様に、擬似壁共通電極構造以外の部分では均一な透過率が得られている。このときの透過率は、グラフG1に示す実施形態1の液晶表示装置での列毎反転駆動で白表示を行った際の透過率分布と同等に向上することができる。すなわち、実施形態2の液晶表示装置では、壁基材WLを液晶層LCよりも2μm高くなるように第四の絶縁膜IL4を形成することにより、画素毎反転駆動においても隣接画素電位を完全に遮蔽できる。
【0076】
一方、実施形態1の液晶表示装置において画素毎反転駆動で自画素及び該自画素に隣接する隣接画素で共に白表示を行った場合には、グラフG2から明らかなように、擬似壁共通電極近傍の透過率が低下すると共に、擬似壁共通電極以外の部分でも透過率が一定にならず、特に壁画素電極SEの近傍でも透過率が低下することとなる。
【0077】
このときの壁画素電極SEの近傍の等電位面分布を示したのが図15であり、図9に示す列毎反転駆動時における白表示の画素での等電位面数よりも、画素毎反転駆動時の等電位面数が増大している。すなわち、図15に示す等電位面分布では、白表示を行う自画素の等電位面数は3つで同数となるが、黒表示を行う隣接画素の等電位面数は1つから3つに増大している。また、図15から明らかなように、図9に示す列毎反転駆動時に比較して、白表示を行う自画素における等電位面EF1の分布が壁構造WL側に偏ってしまう、すなわち、壁画素電極SEの近傍に等電位面FE1が局在化することとなる。これは壁基材WL内に列毎反転駆動時の約二倍の電位差が生じて等電位面の間隔が狭くなったことに起因するものであり、液晶層LC中の等電位面EF1の分布間隔も縮小して壁画素電極SE(壁基材WL)の側に偏った分布となる。これらのことから、実施形態1の液晶表示装置における画素毎反転駆動時でのグラフG6に見られる擬似壁共通電極近傍での透過率低下は、隣接画素電位の影響で画素内の電界強度分布が不均一になり、液晶層LC中の液晶分子LCMを十分に駆動することができなくなり、画素内の各部分の透過率が同一の電圧で最大値をとらなくなったことによると考えられる。その結果、実施形態1の液晶表示装置における画素毎反転駆動時の白表示時において十分な透過率を得ることができなくなってしまい、白表示透過率が75%に減少し、隣接画素が白表示における黒表示透過率も0.43%に増大してしまうこととなる。
【0078】
これに対して、実施形態2の液晶表装置では、図12に示すように、白表示の等電位面EF1は液晶層LC内において図9に示す白表示時の自画素(図中右側)と同程度に広がっており、均一な電界分布が得られることが判る。また、図中左側の隣接画素で黒表示を行うと共に、図中右側の自画素で白表示を行う場合、図16に示すように、壁基材WL近傍の等電位面分布の内で隣接画素の等電位面である黒表示画素の等電位面FE2は、前述する実施形態1の図9に示す等電位面分布と同程度に壁画素電極SEの近傍に広がることとなる。また、白表示を行う自画素の等電位面FE1も図9に示す等電位面EF1と同程度に、液晶層LC中に広がって分布される。その結果、実施形態2の液晶表示パネルPNLにおいて、画素毎反転駆動によって、黒表示の画素と白表示の画素とが隣接された場合であっても、白表示時の透過率を向上できる。
【0079】
以上説明したように、実施形態2の液晶表示装置では、傾斜した2つ以上の画素領域で1つの画素を形成し、画素の辺縁部に壁画素電極SEを配置すると共に、該壁画素電極SEとの間の透過領域内に擬似壁共通電極を配置し、さらには透過領域内に第四の絶縁膜IL4を形成することによって、壁画素電極SEの高さH2が液晶層の厚さH1よりも大きく形成している。その結果、前述する実施形態1の液晶表示装置の効果に加えて、1つの壁基材WLに対して隣接画素の壁画素電極SEを形成し、隣接する壁画素電極SEに画素毎反転駆動方式で映像信号を供給した場合であっても、液晶層中の等電位面分布を広くすることが可能となり、白表示時及び黒表示時の透過率を向上することができるという格別の効果を得ることができる。
【0080】
このように、実施形態2の液晶表示装置では、画素毎反転駆動時における透過率の向上等を目的として液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さを大きくするために、少なくとも第四の絶縁膜IL4を厚く形成する。さらには、実施形態2の液晶表示パネル厚を実施形態1の液晶表示パネル厚よりも厚く形成することにより、実施形態2の液晶層厚を実施形態1の液晶層厚と同じ厚さに形成している。
【0081】
〈実施形態3〉
図18は本発明の実施形態3の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。実施形態3の液晶表示装置は、画素の辺縁部分にそれぞれ対向配置される壁画素電極SEとの間に形成される第五の絶縁膜IL5の構成が異なるのみで、他の構成は実施形態2の液晶表示装置と同様の構成である。従って、以下の説明では、第五の絶縁膜IL5について詳細に説明する。
【0082】
図18に示すように、実施形態3の液晶表示装置においても第一の基板SU1の構成は実施形態1と同様の構成となる。第二の基板SU2には、液晶側の面に順に、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の絶縁膜IL2、壁基材WL及び壁画素電極SEが形成されている。ここで、実施形態3の液晶表示パネルPNLでは、壁基材WL及び壁画素電極SEを覆うようにして第二の基板SU2の全面に第五の絶縁膜(第二の絶縁厚膜)IL5が形成され、該第五の絶縁膜IL5の上層に第三の絶縁膜IL3が第二の基板SU2の全面に形成されている。この第三の絶縁膜IL3の上層には擬似壁共通電極を構成する第二の共通電極CE2が形成され、該第二の共通電極CE2を覆うようにして第二の基板SU2の全面に第二の配向膜AL2が形成されている。
【0083】
このとき、実施形態3の液晶表示パネルPNLにおいては、第二の基板SU2の全面に形成される第五の絶縁膜IL5の膜厚が、透過領域とこの透過領域を除く領域とにおいて異なる膜厚となるように形成されている。また、前述する実施形態2の液晶表示パネルPNLと同様に、実施形態3においても透過領域の第五の絶縁膜IL5の膜厚は2.0μmとなるように形成されている。ただし、第五の絶縁膜IL5の膜厚は、実施形態2の液晶表示装置と同様の理由により、2.0μm以上であってもよい。
【0084】
このような第五の絶縁膜IL5の形成は、例えば、壁基材WLの形成後に壁画素電極SEの形成し、この後に、低粘度の有機レジスト等の有機絶縁膜材料を第二の基板SU2の全面に塗布し、硬化させることによって形成可能である。すなわち、低粘度の有機レジスト等を用いることにより、スピンコータやスリットコータを用いて第二の基板SU2に塗布された有機レジストは、塗布後に流動して高い部分では薄く、低い部分では厚く分布することとなる。従って、本願発明の液晶表示パネルPNLのように、第二の基板SU2の液晶面側に立設される壁基材WLの側面に壁画素電極SEを形成する構成では、壁画素電極SEが形成される近傍においては、塗布時の有機レジストの表面張力によって第五の絶縁膜IL5の膜厚が壁基材WLの高さ程度に非常に厚くなるが、壁画素電極SEから離れた領域である透過領域においては平坦でかつ均一な膜厚(例えば、2μm)となる。さらには、壁基材WLの頭頂面では、その膜厚は他の絶縁膜と同様に薄く形成される。このように、実施形態3の液晶表示パネルPNLでは、低粘度の有機絶縁膜材料の塗布及び硬化のみの工程で所望位置に第五の絶縁膜IL5を形成することができるので、パターンニングに要する工程を削減することが可能となる。その結果、第二の基板SU2すなわち液晶表示装置の製造工程を簡略化でき、製造コストを低減できるという格別の効果を得られる。
【0085】
なお、第一の基板SU1と第二の基板SU2とを貼り合わせるシール材の密着性能を向上させる等のために、表示領域ARの外側部分に形成される第五の絶縁膜IL5や配向膜AL2等を除去する構成であってもよい。
【0086】
以上説明したように、実施形態3の液晶表示装置では、画素の辺縁部の内で長手方向に延在する辺縁部に、隣接する画素の壁画素電極がそれぞれ近接して形成されると共に、該一対の壁画素電極との間の透過領域内に擬似壁共通電極が形成され、さらには、透過領域を含む第二の基板の全面に低粘度の有機絶縁膜材料を塗布及び硬化させることによって第五の絶縁膜IL5を形成し、壁画素電極SEの高さが液晶層の厚さよりも大きくなるように形成されている。その結果、前述する実施形態2の液晶表示装置の効果に加えて、一対の壁画素電極との間の透過領域内に形成される絶縁膜である第五の絶縁膜IL5の形成に要する工程を簡略化できるという格別の効果を得ることができる。
【0087】
〈実施形態4〉
図19は本発明の実施形態4の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。ただし、実施形態4の液晶表示装置は、各画素の透過領域の液晶層厚を調整するための絶縁膜層として、第一の基板SU1の形成されるオーバーコート層OCを用いる構成及び壁画素電極SEの高さが異なるのみで、他の構成は実施形態1の液晶表示装置と同様の構成である。従って、以下の説明では、第一の基板SU1の構成について詳細に説明する。
【0088】
図19に示すように、実施形態4の第一の基板SU1の液晶面側には、隣接画素との境界部分に対峙する位置にブラックマトリクスBMが形成され、該ブラックマトリクスBMを覆うようにカラーフィルタCFが形成されている。このとき、カラーフィルタCFはRGBの各色に対応しており、ブラックマトリクスBMと重畳する領域でRGBの内の何れかのカラーフィルタCFが隣接する構成となっている。
【0089】
また、カラーフィルタCFの上層にはオーバーコート層OCが形成されている。このとき、実施形態4のオーバーコート層OCでは、壁基材WLと対峙する領域に沿って、凹部(第二の溝部)が形成されている。すなわち、オーバーコート膜OCをパターンニングして、壁基材WLに相対する部分からオーバーコート膜OCを除去することにより、オーバーコート層OCを貫通する貫通溝からなる凹部が第一の基板SU1の液晶面側に形成される。この上層にはオーバーコート層OC及び除去部分(凹部)を覆うようにして、第一の基板SU1の全面に第一の配向膜AL1が形成されている。
【0090】
一方、第二の基板SU2の液晶面側には第一の絶縁膜IL1が形成されており、第二の基板SU2の表面に形成される図示しないゲート電極(ゲート線)と、図示しない薄膜トランジスタの半導体層との間に形成されるゲート絶縁膜としても機能する構成となっている。この第一の絶縁膜IL1の上層には第二の共通電極CE2とドレイン線DLとが形成され、特に、実施形態4の液晶表示パネルPNLでは第二の共通電極CE2とドレイン線DLとが同層に形成されている。
【0091】
また、ドレイン線DLの上層には、前述する実施形態1〜3と同様に、ドレイン線DLを跨ぐようにして壁基材WLが形成されている。この壁基材WLの側壁面に壁画素電極SEを形成する垂直部VPが形成され、該垂直部VPの下端側には第一の絶縁膜IL1の上面に沿って平坦部HPが形成され、垂直部VPの上端側には壁基材WLの頭頂面に沿って頭頂部TPが形成されている。このとき、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、前述する実施形態2,3の液晶表示パネルPNLと同様に、液晶層LCの厚さH1よりも大きい高さH2で壁基材WLが形成されている。すなわち、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、壁基材WLは実施形態1と同様にドレイン線DLの下層の絶縁膜(実施形態4では第一の絶縁膜IL1)上に形成されるが、その高さH2をあらかじめ液晶層厚H1よりも高く形成する。
【0092】
この壁画素電極SEの上層には、当該壁画素電極SE及び第二の共通電極CE2等を覆うようにして、第二の基板SU2の全面には第二の配向膜AL2が形成される。この第二の配向膜AL2により、液晶層LCの液晶分子LCMの初期配向が制御される。
【0093】
このような構成からなる実施形態4の液晶表示パネルPNLでは、第一の基板SU1と第二の基板SU2との貼り合わせにより、オーバーコート層OCに形成される凹部の底面部分に壁画素電極SEの頭頂部TPが当接又は近接されるようにして形成されることとなる。この壁基材WLの頭頂部がオーバーコート層OCのない部分に近接するように組み合わされることにより、壁基材WLがオーバーコート層OCの膜厚分だけ液晶層厚H1よりも高くなる。その結果、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、各画素の透過領域内における液晶層LCの厚さはH1となり、液晶層厚H1よりも大きい高さH2の壁画素電極SEからの電界により、液晶分子LCMが駆動できる。
【0094】
このとき、ドレイン線DLやゲート線GL等の各種配線や壁画素電極SE等が形成される第二の基板SU2は、第一の基板SU1よりもその製造工程が複雑となる。これに対して、実施形態4の液晶表示装置では第一の基板SU1の側に壁画素電極SEが入り込むような凹部を形成することによって、液晶層厚H1よりも壁電極高さH2が大きく形成される構成となっている。従って、実施形態4の液晶表示装置では、第二の基板SU2の製造に要する工程数を低減させることができ、製造工程を簡略化できるという格別の効果を得ることができる。
【0095】
次に、図20に本発明の実施形態4の液晶表示装置において画素毎反転駆動時に隣接画素間の電位差が最大となる場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図、図21に本発明の実施形態4の液晶表示装置において画素毎反転駆動時に白表示画素と黒表示画素とが隣接する場合の壁基材近傍での等電位面分布を説明するための図を示し、以下、図20及び図21に基づいて、実施形態4の壁画素電極SEの構成による表示動作について説明する。ただし、図20及び図21に示す等電位面分布は、実施形態2,3と同様に、Hd=H2−H1=2.0μm時における等電位面分布である
図20から明らかなように、隣接する画素間の電位差が最大となる場合すなわち図20中の右側の自画素及び左側の隣接画素においても共に白表示を行う場合であっても、1つの壁基材WLを介して対向配置される壁画素電極SEからは、自画素と隣接画素にそれぞれ分布する等電位面FE1が壁電極SEから画素の中心部に形成される擬似壁共通電極の側に広く分布されている。すなわち、実施形態1の図9に示す白表示の画素における等電位面EF1と同程度に壁画素電極SEの近傍に等電位面EF1が広がることとなるので、液晶層LCに均一な電界(横電界)を印加することができ、実施形態2,3と同様に、透過率を向上させることができる。
【0096】
また、図21に示すように、画素毎反転駆動において、自画素が白表示であり、隣接画素が黒表示を行う場合の等電位面分布では、黒表示を行う隣接画素においては、ドレイン線DLと壁画素電極SEとを囲むような等電位面FE2が生じる。このとき、等電位面FE2は壁画素電極SEの近傍に局在することとなり、黒透過率は減少(向上)する。一方、白表示を行う自画素では、等電位面FE1は壁画素電極SEから画素の中心部に形成される擬似壁共通電極の側に広く分布されるので、白透過率も増加(向上)する。
【0097】
次に、図22に本発明の実施形態4の液晶表示装置における液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hd(=H2−H1)と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図を示し、以下、図22に基づいて、実施形態4の液晶表示パネルにおける液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hdと、透過率との関係について説明する。ただし、グラフG7は壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdを変化させた場合における白表示時の自画素の透過率の計測値であり、グラフG8は壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdを変化させた場合における黒表示時の自画素の透過率の計測値である。
【0098】
グラフG7から明らかなように、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、壁基材WLの高さを変えるすなわち壁画素電極SEの高さH2を変化させることにより、画素反転駆動時における表示特性を向上させることが可能である。
【0099】
すなわち、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、実施形態1の液晶表示装置において画素反転駆動を行った場合に相当し、白表示時の透過率は74%程度である。これに対して、壁画素電極SEすなわち壁基材WLと対峙するオーバーコート層OC部分に凹部を設けると共に、壁画素電極SEの高さH2が液晶層厚H1よりも大きく形成し、透過領域の液晶層厚H1を変化させずに壁画素電極SEの高さH2を大きくした場合、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差Hdの増加に伴い白表示時の透過率も増加(向上)することが明らかとなった。例えば、Hd=0.5μm時には透過率は80%程度に増加し、以降、Hd=1.0μm時に84%、Hd=1.5μm時に87%、Hd=2.0μm時に88%、Hd=2.5μm時に89%、Hd=3.0μm時に89%に増加する。
【0100】
同様にして、グラフG8から明らかなように、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、黒表示時の透過率は0.43%程度となる。一方、Hd=0.5μm時には透過率は0.23%程度に減少(向上)し、Hd=1.0μm時は0.16%、Hd=1.5μm時は0.11%、Hd=2.0μm時は0.09%、Hd=2.5μm時は0.08%、Hd=3.0μm時は0.08%に減少する。
【0101】
図23は本発明の実施形態4の液晶表示装置における液晶層厚H1と壁画素電極SEの高さH2との差Hd(=H2−H1)と、画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図である。ただし、図23は図22に示す黒表示時(暗表示時)と白表示時(明表示時)の表示モード効率から求めたコントラスト比である。
【0102】
図23のグラフG9から明らかなように、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=0(ゼロ)μmの場合には、コントラスト比は180程度となる。これに対して、Hd=0.5μm時は340に向上し、Hd=1.0μm時は540、Hd=1.5μm時は800、Hd=2.0μm時は990、Hd=2.5μm時は1040、Hd=3.0μm時は1050にそれぞれ向上する。このように、実施形態4の液晶表示装置においても、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差Hdが増大するにつれてコントラスト比も増大することとなり、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1との差HdがHd=2μm以上でコントラスト比の増大は頭打ちになり、なおかつコントラスト比はほぼ1000:1に到達する。
【0103】
従って、実施形態4の液晶表示装置においても、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μm以上となるように、オーバーコート層OC及び壁画素電極SEを形成することにより、本願発明による効果が充分に得られ、高コントラスト比が得られる。よって、実施形態4の液晶表示装置においては、壁画素電極SEの高さH2と液晶層厚H1の差HdがHd=2μm以上となるように、オーバーコート層OC及び壁画素電極SEを形成することが好適である。
【0104】
このように、実施形態4の液晶表示パネルPNLにおいても、実施形態1の液晶表示パネルPNLと同様に、液晶層厚H1よりも壁画素電極SEの高さH2が2.0μm以上となるように、オーバーコート層OC及び壁画素電極SEを形成することにより、白透過率及び黒透過率を共に向上することができる。すなわち、実施形態4の構成であっても、同一の壁基材WLに配置される隣接画素に対応する壁画素電極SEによる電位を効果的に遮蔽することが可能である。
【0105】
なお、実施形態4の液晶表示装置では、第一の基板SU1に凹部を設ける構成により、液晶層厚H1よりも壁画素電極SEの高さH2を大きく形成する構成としたが、これに限定されることはない。例えば、実施形態4の第一の基板SU1と実施形態2又は実施形態3の第二の基板SU2の構成とを組み合わせる構成であってもよい。この場合、第四の絶縁膜IL4又は第五の絶縁膜IL5の膜厚を薄く形成できると共に、オーバーコート層OCに形成する凹部の深さも小さくすることができるという格別の効果を得ることができる。
【0106】
〈実施形態5〉
図24は本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図である。ただし、実施形態5の液晶表示装置は第二の基板SU2に形成される画素電極を壁状の画素電極である壁画素電極SE1と線状の画素電極である線状画素電極SE2とで形成する構成を除く他の構成は、実施形態1の液晶表示装置と同様の構成となる。従って、以下の説明では、壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2について詳細に説明する。
【0107】
図24に示すように、実施形態5の第一の基板SU1の液晶面側には、第一の絶縁膜IL1が全面に形成され、該第一の絶縁膜IL1の上層にドレイン線DLと線状画素電極(第三の電極)SE2とが近接して形成されている。特に、実施形態5においては、壁画素電極(第一の画素電極)SE1の下層に線状画素電極(第二の画素電極)SE2が配置される構成となっているので、隣接画素のそれぞれの線状画素電極SE2が1つのドレイン線DLを挟むような構成となっている。すなわち、2本の線状画素電極SE2の間に1つのドレイン線DLが配置される構成となっている。このとき、線状画素電極SE2は壁画素電極SE1と同電位とするために、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2は、共に自画素内の薄膜トランジスタのソース電極に電気的に接続され、同じ映像信号が供給される構成となっている。
【0108】
ドレイン線DL及び線状画素電極SE2の上層には、実施形態1と同様に、当該ドレイン線DL及び線状画素電極SE2を覆うようにして第二の基板SU2の全面に第二の絶縁膜IL2が形成されている。このとき、実施形態5の液晶表示パネルPNLでは、実施形態1の第二の絶縁膜IL2の厚さよりも実施形態5の第二の絶縁膜IL2の厚さが厚い(大きい)方が好ましい。
【0109】
第二の絶縁膜IL2の上層には、壁基材WL及び壁画素電極SEが形成され、第二の基板SU2の全面に形成される第三の絶縁膜IL3に覆われている。該第三の絶縁膜IL3の上層には第二の共通電極CE2が形成され、その上面に第二の配向膜AL2が形成されている。また、第二の基板SU2の裏面側すなわちバックライト光の照射面側には第二の偏光板PL2が配置されている。
【0110】
一方、第一の基板SU1側の構成は実施形態1と同様の構成であり、第一の基板SU1の液晶面側には、順番に、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第一の共通電極CE1及び第一の配向膜AL1が順番に形成されている。
【0111】
次に、図25及び図26に本発明の実施形態5の液晶表示装置における画素毎反転駆動時での壁画素電極の近傍における等電位面分布図を示し、実施形態5の液晶表示装置の動作を説明する。ただし、図25は図中右側の自画素及び図中左側の隣接画素が共に白表示の場合における等電位面分布図であり、図26は自画素が白表示であり、隣接画素が黒表示の場合における等電位面分布図である。
【0112】
図25から明らかなように、実施形態5の液晶表示パネルPNLでは、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とへの映像信号の印加により、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とを囲むようにして等電位面EF1が形成される。このとき、線状画素電極SE2は壁画素電極SE1の基板(第二の基板SU2)側に形成される平坦部HPよりも基板に近い層に形成されている。従って、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とからなる見かけ上の画素電極(擬似壁画素電極)を液晶表示パネルPNLの厚さ方向(Z方向)に伸延した壁状の画素電極とすることができる。すなわち、前述する実施形態2〜4と同様に、液晶層厚よりも高い壁状の画素電極を形成することが可能となり、高い遮蔽効果を得ることができる。その結果、隣接する画素に印加される映像信号による影響を受けることなく、それぞれの映像信号に対応した画素の電界によって液晶層LC中の液晶分子LCMを駆動することができる。また、自画素の壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2と、隣接画素の壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2とに間に最大電圧差が生じた場合であっても、実施形態2〜4の液晶表示パネルPNLと同様に、自画素及び隣接画素の何れにおいても等電位面FE1が液晶層LC中に広く分布する。
【0113】
また、図26から明らかなように、自画素を白表示させると共に隣接画素を黒表示させる場合においても、白表示となる自画素においては壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とを囲むようにして等電位面EF1が形成される。また、黒表示となる隣接画素においては、図26ではドレイン線DLにも0V(ゼロボルト)の電圧が印加されているので、壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2並びにドレイン線DLを囲むようにして等電位面EF2が形成される。従って、白表示と黒表示の画素が隣接した場合であっても高い遮蔽効果を得ることができ、隣接する画素に印加される映像信号による影響を受けることなく、各画素の液晶層LC中の液晶分子LCMを駆動することができる。
【0114】
次に、図27に本発明の実施形態5の液晶表示装置における壁画素電極と線状画素電極との間隔と、画素毎反転駆動時における白表示時の透過率及び黒表示時の透過率との計測結果を示す図を示し、以下、図27に基づいて、実施形態5の液晶表示パネルにおける壁画素電極と線状画素電極との間隔と、透過率との関係について説明する。ただし、図27において、グラフG10は壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間の間隔H3を変化させた場合における白表示時の自画素の透過率の計測値であり、グラフG11は壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間の間隔H3を変化させた場合における黒表示時の自画素の透過率の計測値である。なお、第二の絶縁膜IL2の膜厚(厚さ)が壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2の膜厚よりも非常に大きい場合には、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間の間隔H3は第二の絶縁膜IL2の膜厚と略同一となる。
【0115】
図27のグラフG10から明らかなように、実施形態5の液晶表示パネルPNLにおいても、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3を変えるすなわち壁画素電極SE1及び線状画素電極SE2とからなる擬似壁画素電極の高さH4を変化させることにより、画素反転駆動時における表示特性を向上させることが可能である。このとき、擬似壁画素電極の高さH4(=H2+H3)を変化させた場合であっても、液晶層厚H1は壁画素電極SE1の高さと略同一となり、前述する実施形態2〜4と同様に、液晶層厚H1は変化しないこととなり、画素反転駆動時における表示特性を向上させることができる。
【0116】
すなわち、擬似画素電極の高さH4と液晶層厚H1との差となる壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=0(ゼロ)μmの場合には、実施形態1の液晶表示装置において画素反転駆動を行った場合と同等となり、白表示時の透過率は80%程度である。これに対して、H3=0.5μm時には透過率は83%程度に増加し、以降、H3=1.0μm時に88%、H3=1.5μm時に89%、H3=2.0μm時に90%、H3=2.5μm時に90%、H3=3.0μm時に90%に増加する。
【0117】
同様にして、グラフG11から明らかなように、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=0(ゼロ)μmの場合には、黒表示時の透過率は0.42%程度となる。一方、H3=0.5μm時には透過率は0.22%程度に減少(向上)し、H3=1.0μm時は0.14%、H3=1.5μm時は0.10%、H3=2.0μm時は0.09%、H3=2.5μm時は0.08%、H3=3.0μm時は0.08%に減少する。
【0118】
図28は本発明の実施形態5の液晶表示装置における壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3と、画素毎反転駆動時におけるコントラスト比を示す図である。ただし、図28も図27に示す黒表示時(暗表示時)と白表示時(明表示時)の表示モード効率から求めたコントラスト比である。
【0119】
図28のグラフG12から明らかなように、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=0(ゼロ)μmの場合には、コントラスト比は190程度となる。これに対して、H3=0.5μm時は390に向上し、H3=1.0μm時は640、H3=1.5μm時は830、H3=2.0μm時は1030、H3=2.5μm時は1100、H3=3.0μm時は1120にそれぞれ向上する。このように、実施形態5の液晶表示装置においても、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3が増大するにつれてコントラスト比も増大することとなり、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=2μm以上でコントラスト比の増大は頭打ちになり、なおかつコントラスト比は1000:1に到達する。
【0120】
従って、実施形態5の液晶表示装置においては、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=2μm以上となるように、第二の絶縁膜IL2を形成することにより、本願発明による効果が充分に得られ、実施形態5の液晶表示装置において高コントラスト比が得られる。よって、実施形態5の液晶表示装置では、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2との間隔H3がH3=2μm以上となるように、第二の絶縁膜IL2を形成することが好適である。
【0121】
このように、実施形態5の液晶表示パネルPNLにおいても、実施形態2〜4の液晶表示パネルPNLと同様に、壁画素電極SE1と線状画素電極SE2とからなる擬似壁画素電極の高さH4が液晶層厚H1よりも2.0μm以上高くなるように、第二の絶縁膜IL2を形成することにより、実施形態2〜4の液晶表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0122】
さらには、実施形態5の液晶表示装置では、ドレイン線DLと同層に線状画素電極SE2を形成すると共に、第二の絶縁膜IL2を2.0μmに形成するのみで擬似壁画素電極を形成することが可能となるので、第二の基板SU2の形成に要する工程を増加させることなく擬似壁画素電極の高さH4を液晶層厚H1よりも厚くできるという格別の効果を得ることができる。
【0123】
〈実施形態6〉
図29は本発明の実施形態6の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。ただし、実施形態6の液晶表示装置は、第一の基板SU1に形成される第三の共通電極CE3の構成を除く他の構成は、実施形態1の液晶表示装置と同様となる。従って、以下の説明では、第一の基板SU1の構成について詳細に説明する。
【0124】
図29から明らかなように、実施形態6の液晶表示パネルPNLでは、第一の基板SU1の液晶面側に、ブラックマトリクスBMが形成され、該ブラックマトリクスBMの上層にカラーフィルタCFが形成されている。このとき、実施形態6の液晶表示パネルPNLでは、カラーフィルタCFの上層であり、かつカラーフィルタCFの境界部分にブラックマトリクスBMと重畳するようにして、導電性薄膜からなる第三の共通電極(第四の電極)CE3が形成されている。このとき、実施形態6の第三の共通電極CE3は、表示面側又は裏面側から見たときに第一の基板SU1に形成される壁画素電極SEと重畳する位置すなわち壁画素電極SEと対峙する位置に形成され、隣接画素との間の第三の共通電極CE3はコモン線で接続されている。ただし、第三の共通電極CE3の形状は、壁画素電極SEと対峙する領域に限定されることはなく、例えば、ドレイン線DLと同様に、隣接画素との境界部分に沿ってY方向に延在する形状であってもよい。また、後述する第一の共通電極CE1と同様に、第三の共通電極CE3には映像信号の基準となる共通信号が供給される構成となっている。さらには、第三の共通電極CE3はブラックマトリクスBMと重畳して形成されるので、透明導電膜に限定されることはなく、金属薄膜等の透明性を有しない他の導電性薄膜で形成してもよい。
【0125】
第三の共通電極CE3の上層には、当該第三の共通電極CE3を覆うようにして第一の基板SU1の全面にオーバーコート層OCが形成されている。該オーバーコート層OCの上層には擬似壁共通電極を形成する第一の共通電極CE1が形成され、該第一の共通電極CE1を覆うようにして第一の基板SU1の全面に第一の配向膜AL1が形成されている。すなわち、第一の基板SU1の壁基材WLと相対する部分のカラーフィルタCFとオーバーコート層OCとの間に、第三の共通電極CE3を配置する構成としている。
【0126】
また、第二の絶縁膜IL2は実施形態1の第二の基板SU2と同様に、その液晶面側に、第一の絶縁膜IL1が全面に形成され、該第一の絶縁膜IL1の上層にドレイン線DLが形成され、図示しない薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続されている。このドレイン線DLの上層には、当該ドレイン線DLを覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第二の絶縁膜IL2が形成されている。この第二の絶縁膜IL2の上層には、壁基材WL及び壁画素電極SEが形成され、該壁基材WL及び壁画素電極SEを覆うようにして第二の基板SU2の全面に第三の絶縁膜IL3が形成されている。該第三の絶縁膜IL3の上層には第二の共通電極CE2が形成され、その上面と第三の絶縁膜IL3を覆うようにして第二の配向膜AL2が形成されている。また、第二の基板SU2の裏面側すなわちバックライト光の照射面側には第二の偏光板PL2が配置されている。
【0127】
このように、実施形態6の液晶表示装置では、画素境界の第一の基板SU1の側に電位を制御するための構造である第三の共通電極CE3を配置することによって、隣接画素電位が第一の基板SU1及びその表面上に形成されたカラーフィルタCF、オーバーコート層OC等を介して、自画素電位に影響を及ぼす隣接画素電位を遮蔽する構成としている。
【0128】
図30は本発明の実施形態6の液晶表示装置における自画素と隣接画素が共に白を表示した際の等電位面の分布であり、図31は本発明の実施形態6の液晶表示装置における自画素が白表示し、隣接画素が黒表示した際の等電位面の分布である。ただし、このときのドレイン配線DLの電位は0(ゼロ)Vである。
【0129】
図30に示すように、隣接する画素が共に白表示を行う場合には、図15に示す実施形態1の液晶表示装置と同様に、等電位面EF1が壁基材WLに対して図中で左右対称の分布となる。
【0130】
一方、自画素が白表示であり、隣接画素が黒表示である場合のように、第三の共通電極CE3の近傍で電位が0Vに近づくことにより、図31に示すように、壁画素電極SEと第三の共通電極CE3とが含まれる等電位面EF2が形成される。このとき、壁画素電極SEから第三の共通電極CE3にかけて領域である第一の基板SU1の側の第一の配向膜AL1及びオーバーコート層OCを介して、等電位面FE2が形成されることとなる。従って、図31中の右側に配置される白表示を行う自画素の壁画素電極SEの電位が、カラーフィルタCFやオーバーコート層OC内に広がるのを等電位面FE2が抑制することとなる。その結果、実施形態1の液晶表示装置における効果に加えて、画素毎反転駆動時において自画素が白表示で隣接画素が黒表示の場合の黒透過率の増大を抑制することができ、隣接画素が白表示の場合であっても隣接画素の黒表示時の透過率を0.09%に低下(向上)できるという格別の効果を得ることが可能となる。
【0131】
以上説明したように、実施形態6の液晶表示装置では、第一の基板SU1の液晶面側に、壁基材WLに沿って当該壁基材WLと対峙するように第三の共通電極CE3を形成すると共に、第一の共通電極CE1と同じ共通信号を供給する構成としている。その結果、壁基材WLを介して対向配置される壁画素電極SEが黒表示等で第三の共通電極CE3の電圧に近づくことにより、壁画素電極SEから第三の共通電極CE3に等電位面FE2が消される。すなわち、同一の壁基材WLに対向配置される壁画素電極SEの内で、少なくとも一方の壁画素電極SEに印加される映像信号が共通信号とほぼ同じ電圧となる場合において、この壁画素電極SEと第三の共通電極CE3とからなる擬似壁画素電極が形成されることとなる。従って、前述する実施形態1の効果に加えて、自画素が白表示で隣接画素が黒表示の場合の黒透過率の増大を抑制することができるという格別の効果を得ることができる。
【0132】
なお、実施形態6では、実施形態1の液晶表示装置に本願発明の第三の共通電極CE3を形成する場合について説明したが、これに限定されることはなく、他の実施形態2〜5の液晶表示装置にも適用可能であり、第三の共通電極CE3を形成することにより、前述する効果を得られる。
【0133】
〈実施形態7〉
図32は本発明の実施形態7の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図であり、以下、図32に基づいて、実施形態7の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態7の液晶表示装置は、第三の共通電極CE3の形成位置を除く他の構成は実施形態6の液晶表示装置と同様である。従って、以下の説明では、第三の共通電極CE3について詳細に説明する。
【0134】
図32に示すように、実施形態7の液晶表示パネルPNLにおいても、実施形態1の液晶表示パネルPNLと同様に、第一の基板SU1の液晶面側に順次、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OCが形成されている。ここで、実施形態7の液晶表示パネルPNLでは、第一の共通電極CE1と同層すなわちオーバーコート層OCの上面に、第三の共通電極CE3が形成されている。また、第一の共通電極CE1及び第三の共通電極CE3の上層には、当該第一の共通電極CE1及び第三の共通電極CE3を覆うようにして、第一の配向膜AL1が第一の基板SU1の全面に形成されている。このとき、実施形態7においても、実施形態6の第三の共通電極CE3と同様に、当該第三の共通電極CE3は透明導電膜に限定されることはなく、アルミニウム等の金属薄膜等のように透明性を有しない導電性薄膜であってもよい。ただし、実施形態7の液晶表示パネルPNLでは、第三の共通電極CE3の上層には第一の配向膜AL1が形成されるのみとなっているので、ITO等の耐腐食性等に優れる導電性薄膜が好ましい。
【0135】
このように、実施形態7の液晶表示パネルPNLでは、第二の共通電極CE2と第三の共通電極CE3は何れもオーバーコート層OCと第一の配向膜AL1との間に形成されている。このため、壁画素電極SEと第三の共通電極CE3とは、壁画素電極SEの上層に形成される第三の絶縁膜IL3及び第二の配向膜AL2、並びに第一の基板SU1に形成される第一の配向膜AL1を介して少なくとも近接配置されることとなるが、壁画素電極SEと第三の共通電極CE3は電気的に接続されない構成となっている。
【0136】
従って、実施形態7の液晶表示パネルPNLにおいても、第一の基板SU1及びその表面上に形成されたカラーフィルタCF、オーバーコート層OC等を介して、隣接画素電位が自画素電位に影響を及ぼすことを遮蔽することができる。従って、実施形態6の液晶表示パネルPNLと同様に、実施形態1の液晶表示装置における効果に加えて、画素毎反転駆動時において自画素が白表示で隣接画素が黒表示の場合の黒透過率の増大を抑制することができるという格別の効果を得ることができる。
【0137】
さらには、第三の共通電極CE3を第一の共通電極CE1と同様に、透明導電膜で形成する場合には、第一の共通電極CE1の形成工程で第三の共通電極CE3も同時に形成することができるので、第三の共通電極CE3を形成するための新たな工程を追加することなく、第三の共通電極CE3を形成することができるという格別の効果を得ることもできる。
【0138】
また、実施形態7の液晶表示装置では、図32に示す構成に限定されることはなく、例えば、図33に示す構成であってもよい。図33に示す実施形態7の他の液晶表示装置は、第一の基板SU1の液晶面側にブラックマトリクスBMが形成され、該ブラックマトリクスBMの上層にカラーフィルタCFが形成されている。ここで、実施形態7の他の液晶表示装置では、カラーフィルタCFの上層に第一の共通電極CE1と第三の共通電極CE3とが同層に形成され、その上層には第一の共通電極CE1と第三の共通電極CE3とをそれぞれ覆うようにして、第一の基板SU1の全面にオーバーコート層OC及び第一の配向膜AL1が順番に形成されている。すなわち、実施形態7の他の液晶表示装置では、第二の共通電極CE2と第三の共通電極CE3とが何れもオーバーコート層OCと第一の配向膜AL1の間に形成される構成となっているので、前述する実施形態7の液晶表示装置における効果に加えて、第一の基板SU1と第二の基板SU2とを貼り合わせる際の位置ずれ、すなわち合わせずれが生じた場合であっても、透過率の低減抑制効果が得られるといく格別の効果を得ることができる。なお、実施形態7の他の構成の液晶表示装置における合わせずれの許容量を大きくできる効果の詳細は、前述する第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との合わせずれと同様の理由である。
【0139】
〈実施形態8〉
図34は本発明の実施形態8の液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。ただし、実施形態8の液晶表示装置は実施形態2の液晶表示装置における第二の共通電極CE2の形成位置が異なるのみで、他の構成は実施形態2の液晶表示装置と同様の構成となる。従って、以下の説明では、第二の共通電極CE2について詳細に説明する。
【0140】
図34に示すように、実施形態8の液晶表示装置は、実施形態2の液晶表示装置と同様に、第二の基板SU2の液晶側面に、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の絶縁膜IL2、壁基材WLが順次形成されている。壁基材WLの頭頂面から側壁面及び壁基材WLの近傍の第二の絶縁膜IL2の上面には壁画素電極SEが形成されると共に、画素のB−B’方向の中心部分には、画素の長手方向に延在する第二の共通電極CE2が形成されている。一対の壁画素電極SEに挟まれる画素の透過領域には、壁画素電極SEの平坦部HPの端部及び第二の共通電極CE2並びに第二の絶縁膜IL2の露出面を覆うようにして第四の絶縁膜IL4が形成されている。また、壁基材WLの頭頂面の露出面や壁画素電極SEの露出面等を覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第三の絶縁膜IL3及び第二の配向膜AL2が順番に形成されている。このとき、実施形態8の液晶表示装置においても、第四の絶縁膜IL4の膜厚が他の絶縁膜よりも2.0μm以上厚く形成され、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さが2.0μm以上高くなるように形成されている。
【0141】
一方、第一の基板SU1の液晶面側には、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第一の共通電極CE1、第一の配向膜AL1がこの順番で積層されており、該第一の基板SU1と第二の基板SU2とが液晶層LCを介して対向配置され、実施形態8の液晶表示パネルPNLが形成されている。このとき、実施形態8の液晶表示装置においても、第四の絶縁膜IL4が2.0μm以上の膜厚で形成されているので、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さを第四の絶縁膜IL4の膜厚分である2.0μmだけ高くすることができるので、実施形態2の液晶表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0142】
さらには、実施形態8の液晶表示装置は、第四の絶縁膜IL4の下層に第二の共通電極CE2を形成する構成となっている。すなわち、第二の絶縁膜IL2と第四の絶縁膜IL4との間に、第二の共通電極CE2が形成されている。従って、実施形態8の液晶表示装置では、後述する効果の項に示すように、第一の基板SU1と第二の基板SU2との貼り合わせに伴う位置ずれが生じた場合であっても、位置ずれに伴う透過率の低下を抑制することができるという格別の効果を得ることができる。その結果、第一の基板SU1と第二の基板SU2とを貼り合わせる際の合わせずれに伴う不良の発生割合を低減することが可能となり、液晶表示装置の生産性を向上させることができるという格別の効果を得ることもできる。
【0143】
ただし、実施形態8の液晶表示装置では、実施形態2の液晶表示装置に本願発明を適用した場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、実施形態3の液晶表示装置の第二の共通電極CE2を、第五の絶縁膜IL5の下層に形成することによって、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置関係は実施形態8の液晶表示装置と同様となる。従って、実施形態8と同様の効果を得ることができる。
【0144】
〈第一及び第二の共通電極の位置ずれ時の透過率の低下抑制効果について、〉
第一の基板SU1と第二の基板SU2を組み立てる(貼り合わせる)際にずれ(位置合わせずれ)が生じた場合、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2の位置関係も変わることになる。例えば、図3に示す実施形態1の液晶表示装置において、第二の基板SU2に対して第一の基板SU1がB方向へずれる位置合わせずれが生じた場合、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との近傍の等電位面分布は、前述する図8に示すように、図中の左右方向すなわち擬似壁共通電極の並設方向に傾斜して、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を共に囲むような等電位面E3が生じる。この図8に示す位置合わせずれでは、第二の基板SU2に対して第一の共通電極CE1が図8中の左方向に合わせずれが生じているので、第一の共通電極CE1の図8中の左側部で第二の共通電極CE2と重畳する面積が減少する。その結果、擬似壁電極の図8中の左側で透過率が低下してしまう。
【0145】
図35は本発明の擬似壁共通電極における第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置合わせずれに対する画素毎反転駆動時における白表示画素の透過率を示す図であり、グラフG13は実施形態1の液晶表示装置における第一の基板SU1と第二の基板SU2との位置合わせずれに対する白表示画素の透過率を示す。
【0146】
グラフG13から明らかなように、実施形態1の擬似壁電極構成では、合わせずれが生じていない、すなわちずれ量SHが0(ゼロ)μmの場合には、透過率は89%となる。一方、ずれ量SHがSH=0.5μm時に89%、SH=1.0μm時に89%、SH=1.5μm時に87%、SH=2.0μm時に83%、SH=2.5μm時に78%、SH=3.0μm時に70%となる。
【0147】
このように、実施形態1の構成では、第一の基板SU1と第二の基板SU2がずれていない場合に白表示透過率は89%であるが、ずれの増大と共に白表示透過率が低下し、3μmずれた場合には70%にまで低下する。従って、実施形態1の構成では、第一の基板SU1と第二の基板SU2との貼り合わせに伴う位置合わせずれは、SH=1.5μm以下とすることが好ましい。
【0148】
図36は実施形態1の液晶表示装置での第一の基板SU1と第二の基板SU2とに合わせずれが生じていない場合と、合わせずれが3μmの場合における画素内の透過率分布を示す図であり、点線で示すグラフG16は図8に示すずれ量SHがSH=3.0μm時、実線で示すグラフG17はSH=0μm時をそれぞれ示す。ただし、図36に示す画素は、短手方向の画素ピッチが30μmであり、その中心位置に第一及び第二の共通電極CE1,CE2が配置される場合の透過率分布である。また、グラフG16,G17は画素毎反転駆動時において自画素及び自画素に隣接する画素(隣接画素)が共に白色表示を行っている場合の透過率分布である。
【0149】
グラフG17から明らかなように、第一の基板SU1と第二の基板SU2とに位置合わせずれが生じていない場合には、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2とからなる擬似壁共通電極の中心位置である15μmの近傍領域では透過率が大きく低下することとなる。しかしながら、擬似壁共通電極の形成領域を除く領域では、その透過率はほぼ89%程度となる。
【0150】
一方、図8に対応するずれ量SH=3.0μmの合わせずれが生じている場合には、第二の基板SU2に対して第一の共通電極CE1が左方向(画素端部からの距離が小さい方向)に合わせずれが生じているので、等電位面E3に傾斜が生じることとなる。この結果、画素端部からの距離が小さい領域において、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との重畳面積が減少してしまうので、グラフG16に示すように、この領域における透過率が60%程度に低下してしまう。
【0151】
これに対して、図37に示す本発明の実施形態8の液晶表示装置における擬似壁共通電極部分の拡大図に示すように、実施形態8の液晶表示装置では、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間には、第一及び第二の配向膜AL1,AL2、液晶層LC、及び第三の絶縁膜IL3が形成されることとなる。従って、位置合わせずれが生じていない場合には、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間に生じる等電位面の分布は、第一の共通電極CE1を囲む等電位面E1は液晶層LC中を含む第一の共通電極CE1の周辺に形成され、第二の共通電極CE2を囲む等電位面E2は第三の絶縁膜IL3中を含む第二の共通電極CE2の周辺に形成される。また、擬似壁共通電極を形成する第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を共に囲む等電位面E3は、第一及び第二の配向膜AL1,AL2を含む液晶層LC及び第三の絶縁膜IL3を含むようにして形成される。このとき、実施形態8の液晶表示装置では、液晶層LCの厚さは実施形態1の液晶表示装置と同じ厚さとなるように形成されているので、等電位面E3は液晶表示パネルPNLの厚さ方向に引き伸ばされたように形成される。さらには、より幅の広い第一のコモン電極CE1が液晶層LCから遠ざかったことにより、液晶層LC中に分布する等電位面の幅が狭まって擬似壁共通電極が形成される。
【0152】
一方、前述する図8と同様な位置合わせずれが生じた場合、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間に生じる等電位面分布は、図38に示すように、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を囲む等電位面E3が合わせずれ方向に傾斜して形成される。このとき、実施形態8の構成では、図38から明らかなように、等電位面E3の傾きが小さくなっており、これは第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との距離が増大したことで、同じずれ量であっても等電位面E3の変化が小さくなったことによる。
【0153】
図39は本発明の実施形態8の液晶表示装置での第一の基板SU1と第二の基板SU2とに合わせずれが生じていない場合と、合わせずれが3μmの場合における画素内の透過率分布を示す図であり、点線で示すグラフG18はずれ量SHがSH=3.0μmの場合、実線で示すグラフG19は合わせずれがない場合(SH=0μm時)をそれぞれ示す。
【0154】
図39から明らかなように、実施形態8の液晶表示装置においては、第一の基板SU1と第二の基板SU2との間に合わせずれが生じていない場合(グラフG19)と、SH=3μmの合わせずれが生じた場合(グラフG18)との画素内の透過率分布は、合わせずれの発生の有無によらずにほぼ同一である。これは図38に示すように、第三の絶縁膜IL3の下層に第二の共通電極CE2を形成することによって、等電位面E3の傾斜が小さくなったことによる効果である。
【0155】
図35に示すグラフG15は実施形態8の液晶表示装置における第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置合わせずれに対する画素毎反転駆動時における白表示画素の透過率を示すグラフである。このグラフG15から明らかなように、実施形態8の擬似壁電極構成では、合わせずれが生じていない(合わせずれ量SH=0μm)場合には、透過率は88%となる。また、ずれ量SHがSH=0.5μm時に88%、SH=1.0μm時に88%、SH=1.5μm時に88%、SH=2.0μm時に88%、SH=2.5μm時に87%、SH=3.0μm時に86%となる。
【0156】
このように、実施形態8の構成では、ずれ量SHが3.0μm時であっても透過率が86%となり、第一の基板SU1と第二の基板SU2との位置合わせずれに伴う透過率の減少を2%程度に抑制でき、第一の基板SU1と第二の基板SU2の位置合わせずれによらず、ほぼ一定の白表示透過率が得られるという格別の効果を得ることができる。
【0157】
図40は第一の基板SU1と第二の基板SU2との合わせ位置が3μmずれた場合における画素毎反転駆動時での白表示透過率の第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離依存性を説明するための図である。図40のグラフG20から明らかなように、第二の共通電極CE2と液晶層LCが近接している場合に白表示透過率は70%であるが、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離K2の増大と共に増大し、K2=0.5μm時には78%、K2=1.0μm時には83%、K2=1.5μm時には87%、K2=2.0μm時には88%、K2=2.5μm時には89%、K2=3.0μm時には89%となる。このように、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離K2がK2=2.0μm以上の場合には透過率は88%以上となり、第一の基板SU1と第二の基板SU2がずれていない場合と同様な白表示透過率が得られる。
【0158】
図41は本発明の実施形態8の液晶表示装置における第二の共通電極から液晶層に至るまでの距離と駆動電圧との関係を説明するための図であり、図34に示す実施形態8の構成において、第二の共通電極から液晶層に至るまでの距離H5(図37中に示す)を変化させた場合に、所定の透過率での表示(白表示)を行うために必要となる壁画素電極SEと擬似壁共通電極との間の印加電圧(駆動電圧)を示す図である。
【0159】
図41のグラフG21から明らかなように、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5がH5=0(ゼロ)μmの場合には、駆動電圧VpcはVpc=4.5Vとなる。また、距離H5がH5=0.5μm時にはVpc=4.8Vとなり、以降、H5=1.0μm時にはVpc=4.9V、H5=1.5μm時にはVpc=5.0V、H5=2.0μm時にはVpc=5.0V、H5=2.5μm時にはVpc=5.1V、H5=3.0μm時にはVpc=5.1Vとなる。
【0160】
このように、実施形態8の構成では、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5が増大すると共に、駆動電圧Vpcが増大する傾向にある。しかしながら、駆動電圧Vpcの増大は飽和する傾向にあり、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5が1.5μm以上では増大が緩やかになる。即ち、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5を1.5μm以上とすることにより、駆動電圧Vpcの増大を抑えながら高い白表示透過率を得ることができることが明らかである。従って、実施形態8の液晶表示装置では、第二の共通電極CE2と液晶層LCとの距離H5が1.5μm以上で形成することが好適である。さらには、駆動電圧VpcをVpc=5.0V程度とすることが好ましい。
【0161】
以上説明したように、実施形態8の液晶表示装置では、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さを大きくするために設けた第四の絶縁膜IL4の下層に、擬似壁共通電極を形成する一方の共通電極である第二の共通電極CE2を形成する構成としているので、擬似壁共通電極を形成する他方の共通電極である第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間隔を大きくすることが可能となる。その結果、第一の共通電極CE1が形成される第一の基板SU1と第二の共通電極CE2が形成される第二の基板SU2との貼り合わせ等に伴う第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置ずれによる擬似壁共通電極における電界分布の傾斜を小さくすることが可能となるので、実施形態2の液晶表示装置における効果に加えて、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置ずれに伴う透過率を向上させることができ、さらに表示品質を向上できるという格別の効果を得ることができる。
【0162】
また、実施形態8の液晶表示装置では、壁画素電極SEと第二の共通電極CE2とが同層に形成され、共に第四の絶縁膜IL4の上層に形成されているので、壁画素電極SEを第二の共通電極CE2と同様に透明導電膜で形成する場合には、第四の絶縁膜IL4と第二の共通電極CE2とを同じ工程で形成できるという格別の効果を得ることができる。
【0163】
なお、実施形態8の液晶表示装置では、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さを大きく形成するため、すなわち画素反転駆動における透過率を向上させるために設けた第四の絶縁膜IL4の下層側(第四の絶縁膜IL4の第二の基板SU2の側)に第二の共通電極CE2を形成している。この構成により、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との距離を液晶層LCの厚さよりも大きく形成しているが、実施形態1に示すように、壁画素電極SEの高さと液晶層LCの厚さとがほぼ同じ大きさの液晶表示装置であっても、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間の距離を液晶層LCの厚さよりも大きく形成することによって、列毎反転駆動での駆動を行う場合には、合わせずれに対して前述と同様の効果が得られる。
【0164】
〈実施形態9〉
図42は本発明の実施形態9の液晶表示装置における画素構成を説明するための断面図であり、第一の共通電極CE1の形成位置を除く他の構成は、実施形態4の液晶表示装置と同様の構成となる。従って、以下の説明では、第一の共通電極CE1及び擬似壁共通電極について詳細に説明する。
【0165】
図42に示すように、実施形態9の液晶表示装置は、実施形態4の液晶表示装置と同様に、第二の基板SU2の液晶面側には、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の共通電極CE2、壁基材WLが形成されている。また、壁基材WLの頭頂面から側壁面及び壁基材WLの近傍の第二の絶縁膜IL2の上面には壁画素電極SEが形成され、第二の絶縁膜IL2がこれらの露出面を覆うように形成され、その上層に第二の配向膜AL2が形成され、第二の基板SU2が形成されている。
【0166】
一方、第一の基板SU1の液晶面側には、ブラックマトリクスBMが形成され、該ブラックマトリクスBMを覆うようにして、カラーフィルタCFが形成されている。ここで、実施形態9の液晶表示パネルPNLでは、カラーフィルタCFの上層に第一の共通電極CE1が形成され、該第一の共通電極CE1を覆うようにして、オーバーコート層OCが形成されている。このとき、実施形態9の液晶表示パネルPNLにおいても、実施形態4のオーバーコート層OCと同様に、壁基材WLが形成される領域に沿って、オーバーコート層OCを貫通してカラーフィルタCFの上面が露出される凹部がオーバーコート層OCに形成される構成となっている。該オーバーコート層OCの上層には、当該オーバーコート層OC及び露出されたカラーフィルタCFの露出面を覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第一の配向膜AL1が形成されている。
【0167】
この構成からなる第一の基板SU1と第二の基板SU2は液晶層LCを介して対向配置され、オーバーコート層OCに形成された凹部に壁基材WLを含む壁画素電極SEの一方の端部が入り込むようにして、実施形態9の液晶表示パネルPNLが形成される。このとき、実施形態9の液晶表示装置においては、オーバーコート層OCが比較的厚い膜厚(好適には2.0μm以上の膜厚)で形成されているので、液晶層LCの厚さよりも壁画素電極SEの高さをオーバーコート層OCの膜厚分だけ大きくすることができ、実施形態4の液晶表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0168】
また、実施形態9の液晶表示装置は、オーバーコート層OCの下層に第一の共通電極CE1が形成される構成となっている。すなわち、オーバーコート層OCとカラーフィルタCFとの間に、第一の共通電極CE1が形成されている。従って、実施形態9の液晶表示装置においても、後述の効果の項に示すように、第一の基板SU1と第二の基板SU2との貼り合わせに伴う位置ずれに起因する第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置ずれが生じた場合であっても、この位置ずれに伴う透過率の低下を抑制することができるという格別の効果を得ることができる。さらには、第一の基板SU1と第二の基板SU2との位置合わせずれに伴う不良の発生割合を低減することが可能となり、生産性を向上させることができるという格別の効果を得ることができる。
【0169】
〈第一及び第二の共通電極の位置ずれ時の透過率の低下抑制効果について、〉
図43は本発明の実施形態9の液晶表示装置における擬似壁共通電極部分の拡大図、図44は図43に示す擬似壁共通電極に位置合わせずれが生じた場合における等電位面分布を示す図である。
【0170】
図43からに示すように、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間には、第一及び第二の配向膜AL1,AL2、液晶層LC、及びオーバーコート層OCが形成されている。従って、位置合わせずれが生じていない場合には、第一の共通電極CE1を囲む等電位面E1はオーバーコート層OC中を含む第一の共通電極CE1の周辺に形成され、第二の共通電極CE2を囲む等電位面E2は液晶層LC中を含む第二の共通電極CE2の周辺に形成される。また、擬似壁共通電極を形成する第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を共に囲む等電位面E3は、第一及び第二の配向膜AL1,AL2を含む液晶層LC及びオーバーコート層OCを含むようにして形成される。
【0171】
このとき、実施形態9の液晶表示装置も実施形態8と同様に、液晶層LCの厚さは実施形態1の液晶表示装置と同じ厚さとなるように形成されているので、等電位面E3は液晶表示パネルPNLの法線方向すなわち厚さ方向に引き伸ばされたように形成される。さらには、第一の共通電極CE1がオーバーコート層OCの下層に形成されているので、実施形態1の液晶表示装置に比較して、幅の広い側の電極である第一の共通電極CE1が液晶層LCから遠ざかった位置に形成されることとなり、液晶層LC中に分布する等電位面E3の幅が狭まっている。
【0172】
一方、図8と同様な位置合わせずれが生じた場合、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間に生じる等電位面分布は、図44に示すように、第一の共通電極CE1及び第二の共通電極CE2を囲む等電位面E3が合わせずれ方向に傾斜して形成される。このとき、実施形態9の構成では、図44から明らかなように、等電位面E3の傾きが小さくなっており、これは第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との距離が増大したことで、同じずれ量であっても液晶表示パネルPNLの法線方向に対する等電位面E3の傾斜角が小さくなったことによる。
【0173】
図35に示すグラフG14は実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との位置合わせずれに対する画素毎反転駆動時における白表示画素の透過率を示すグラフである。このグラフG14から明らかなように、実施形態9の擬似壁電極構成では、合わせずれが生じていない(合わせずれ量SH=0μm)場合には、透過率は87%となる。また、ずれ量SHがSH=0.5μm時に87%、SH=1.0μm時に87%、SH=1.5μm時に87%、SH=2.0μm時に86%、SH=2.5μm時に85%、SH=3.0μm時に84%となる。
【0174】
このように、実施形態9の構成であっても、ずれ量SHが3.0μm時であっても透過率が84%となり、第一の基板SU1と第二の基板SU2との位置合わせずれに伴う透過率の減少を3%程度に抑制でき、第一の基板SU1と第二の基板SU2の位置合わせずれによらず、ほぼ一定の白表示透過率が得られるという格別の効果を得ることができる。
【0175】
図45は実施形態9の液晶表示装置において第一の基板SU1と第二の基板SU2との合わせ位置が3μmずれた場合における画素毎反転駆動時での白表示透過率の第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離依存性を説明するための図である。
【0176】
図45のグラフG22から明らかなように、第一の共通電極CE1と液晶層LCが近接している場合に白表示透過率は70%であるが、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離K1の増大と共に増大し、K1=0.5μm時には77%、K1=1.0μm時には81%、K1=1.5μm時には84%、K1=2.0μm時には86%、K1=2.5μm時には87%、K1=3.0μm時には88%となる。このように、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離K1がK1=2.0μm以上の場合には透過率は86%以上となり、第一の基板SU1と第二の基板SU2がずれていない場合とほぼ同様な白表示透過率が得られる。
【0177】
図46は本発明の実施形態9の液晶表示装置における第一の共通電極から液晶層に至るまでの距離と駆動電圧との関係を説明するための図であり、図42に示す実施形態9の構成において、第一の共通電極から液晶層に至るまでの距離H6(図43中に示す)を変化させた場合に、所定の透過率での表示(白表示)を行うために必要となる壁画素電極SEと擬似壁共通電極との間の印加電圧(駆動電圧)を示す図である。
【0178】
図46のグラフG23から明らかなように、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6がH6=0(ゼロ)μmの場合には、駆動電圧VpcはVpc=4.5Vとなる。また、距離H6がH6=0.5μm時にはVpc=4.8Vとなり、以降、H6=1.0μm時にはVpc=4.8V、H6=1.5μm時にはVpc=4.9V、H6=2.0μm時にはVpc=5.0V、H6=2.5μm時にはVpc=5.0V、H6=3.0μm時にはVpc=5.1Vとなる。
【0179】
このように、実施形態9の構成においても、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6が増大すると共に、駆動電圧Vpcが増大する傾向にある。しかしながら、駆動電圧Vpcの増大は飽和する傾向にあり、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6が1.5μm以上では増大が緩やかになる。即ち、実施形態9の液晶表示装置においては、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6を1.5μm以上とすることにより、駆動電圧Vpcの増大を抑えながら高い白表示透過率を得ることができることが明らかである。従って、実施形態9の液晶表示装置においては、第一の共通電極CE1と液晶層LCとの距離H6が1.5μm以上となるように形成することが好適である。さらには、駆動電圧VpcをVpc=5.0V程度とすることが好ましい。
【0180】
なお、実施形態9の液晶表示装置では、オーバーコート層OCの下層側(オーバーコート層OCの第一の基板SU1の側)に第一の共通電極CE1を形成することにより、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との距離を液晶層LCの厚さよりも大きく形成している(画素毎反転駆動に対応した構成)が、実施形態1に示すように、壁画素電極SEの高さと液晶層LCの厚さとがほぼ同じ大きさの液晶表示装置であっても、第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2との間の距離を液晶層LCの厚さよりも大きく形成することによって、列毎反転駆動での駆動を行う場合には、合わせずれに対して前述と同様の効果が得られる。
【0181】
〈実施形態10〉
図47は本発明の実施形態10の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図、図48は図47に示すC−C’線での断面図である。また、図49は実施形態10の液晶表示装置における壁画素電極を形成する第一の透明導電膜の構成を説明するための図、図50は実施形態10の液晶表示装置における第二の共通電極及び第四の共通電極を形成する第二の透明導電膜の構成を説明するための図である。ただし、実施形態10の液晶表示装置は、第四の共通電極CE4及び第六の絶縁膜IL6の構成を除く他の構成は実施形態1の液晶表示装置と同様である。従って、以下の説明では、第四の共通電極CE4及び第六の絶縁膜IL6の構成について詳細に説明する。
【0182】
実施形態1の液晶表示装置では、第二の共通電極CE2を形成する第二の透明導電膜TCF2と、壁画素電極SEを形成する第一の透明導電膜TCF1とがゲート線GLに近接する画素端部(図2中に斜線で示す領域SC)において重畳して保持容量を形成しているが、この領域SCでは液晶層LCに電界が印加されないため非開口部(非透過領域)となる。一方でIPS方式等の液晶表示装置では、平面(平板)状の共通電極とスリット状(線状)の画素電極とを重畳して、開口部に保持容量を形成している。このように、液晶層LCへの電圧印加に用いる電極を保持容量として兼用できれば開口率を向上でき、透過率を向上できる。
【0183】
これに対して、図48から明らかなように、実施形態10の液晶表示装置では、第二の共通電極CE2と第四の共通電極CE4は第一の絶縁層IL1と第二の絶縁層IL2の間に配置され、壁基材WLは第三の絶縁層IL3上に形成されている。更には、その上層に壁画素電極SEが形成されており、該壁画素電極SEの平坦部分HPは第四の共通電極CE4と第二の絶縁層IL2を介して重畳している。この壁画素電極SEの平坦部分HPと第四の共通電極CE4とが重畳した部分が保持容量となる。
【0184】
特に、実施形態10の液晶表示装置では、第四の共通電極CE4を壁画素電極SEの平坦部分HPよりも内側に分布するように配置している。もしこれが壁画素電極SEの平坦部分HPよりも外側に分布するならば、近接して配置された壁画素電極SEと第四の共通電極CE4の間に電界が集中し、液晶層LCに印加される電界が大幅に弱まり、透過率が低下する。実施形態10では、第四の共通電極CE4を壁画素電極SEの平坦部分HPよりも内側に配置したことにより、液晶層LCに印加される電界強度を保持している。
【0185】
図47において、破線は第一の共通電極CE1と第二の共通電極CE2の輪郭を表しており、一点鎖線は壁基材WLの輪郭を示している。前述するように、第二の共通電極CE2は壁画素電極SEよりも下層に配置されるので、コンタクトホールCH2は第二の共通電極CE2を貫いており、図47においてもコンタクトホールCH2の周囲は第二の共通電極CE2の境界を表す破線で囲まれている。第二の共通電極CE2と壁画素電極SEが重畳している部分は保持容量として作用し、図47中に斜線で示す部分が保持容量となる部分である。この図47に示す実施形態10の液晶表示装置を図2と比較して明らかなように、実施形態10の保持容量の分布はゲート線GLにより近い側にシフトしており、その結果、壁基材WLの分布もゲート線GLにより近い側まで延長し、開口部(透過部)が拡大している。ここで、図47に示す実施形態10の液晶表示装置と図2に示す実施形態1では保持容量の面積は同一であり、それでいて実施形態10の液晶表示装置において開口部(透過部)が拡大したのは、ドレイン線DLの近傍にも保持容量を配置したことによる。
【0186】
すなわち、図47に示すように、実施形態10の液晶表示装置においても実施形態1の液晶表示装置と同様に、画素の領域はドレイン線DLとゲート線GLとで囲まれる領域となる。また、画素の領域は長手方向(Y方向)の上側領域と下側領域とからなり、該上側領域と下側領域とはY方向に対して対称をなすように異なる方向に傾斜され、画素の中央部分で上側領域と下側領域とが接続される構成となっている。このとき、上側領域及び下側領域においても、液晶分子の初期配向方向が同じとなるように、図中の矢印ADで示す方向の初期配向処理がされている。
【0187】
実施形態10の液晶表示装置も、図48に示すように、カラーフィルタ等が形成される第一の基板SU1と薄膜トランジスタ等が形成される第二の基板SU2とが液晶層LCを介して対向配置される構成となっている。また、第一の基板SU1の外側面(表示面側)には第一の偏光板PL1が配置され、第二の基板SU2の外側面(裏面)には第二の偏光板PL2が配置されている。
【0188】
第一の基板SU1の液晶面側には、実施形態1の液晶表示装置と同様に、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第一の共通電極CE1、及び第一の配向膜AL1が順次形成されている。
【0189】
一方、第二の基板SU2の液晶面側には、第一の絶縁膜IL1、ドレイン線DL、第二の絶縁膜IL2、第二の共通電極CE2が順番に形成されている。このとき、実施形態10の液晶表示装置では、少なくとも壁画素電極SEと重畳するようにして、第二の共通電極CE2と同層に、第四の共通電極CE4が形成されている。第四の共通電極CE4及び第二の共通電極CE2の上層には、当該第四の共通電極CE4及び第二の共通電極CE2を覆うようにして、第二の基板SU2の全面に第六の絶縁膜IL6が形成されている。該第六の絶縁膜IL6の上層には、壁基材WL及び壁画素電極SEの平坦部が形成され、該壁基材WLの側壁面及び頭頂面には壁画素電極SEの垂直部及び頭頂部がそれぞれ形成され、これらの露出面を覆うようにして第二の配向膜AL2が形成されている。
【0190】
特に、実施形態10の液晶表示装置では、図50に示すように、第一の基板SU1の全面に第二の透明導電膜TCF2が形成されており、画素毎にその画素の透過領域内の第二の透明導電膜TCF2に開口部OP2,OP3が形成され、2つの開口部OP2,OP3に挟まれた領域が第二の共通電極CE2を形成している。また、第二の透明導電膜TCF2に形成される自画素の開口部OP2と隣接画素の図示しない開口部OP3とに挟まれた領域が第四の共通電極CE4を形成している。
【0191】
また、図49に示すように、壁画素電極SEを形成する第一の透明導電膜TCF1はドレイン線DLとゲート線GLとに沿って円環状に形成されており、外側辺縁部L1と内側辺縁部(開口部OP1の辺縁部)L2との間の領域(ハッチング領域)が第一の透明導電膜TCF1の形成領域となる。このとき、実施形態10の液晶表示装置においても、実施形態1の液晶表示装置と同様に、画素の長手方向に延在する部分が壁画素電極SEとなっている。
【0192】
このとき、実施形態10の液晶表示装置では、実施形態1の液晶表示装置と同様に、画素領域内の上端側及び下端側の領域において、第六の絶縁膜IL6を介して第一の透明導電膜TCF1と第二の透明導電膜TCF2とが重畳される構成となっている。さらには、図50から明らかなように、第二の透明導電膜TCF2に形成される自画素の開口部OP2と隣接画素の図示しない開口部OP3とに挟まれた領域の第二の透明導電膜TCF2、すなわち隣接画素との間の領域に形成される第二の透明導電膜TCF2により第四の共通電極CE4が形成され、該第四の共通電極CE4が第六の絶縁膜IL6を介して壁画素電極SEと重畳される構成となっている。
【0193】
この構成により、実施形態10の液晶表示装置では、図47中に斜線で示す領域SCが画素領域の辺縁部に沿って画素の透過領域を囲むようにして形成され、この領域SCが当該画素の保持容量(蓄積容量)となる。すなわち、実施形態10の液晶表示装置では、実施形態1の液晶表示装置と同様に、画素領域の上端部と下端部とからなる画素領域の短手方向(Y方向)の辺部領域で保持容量を形成すると共に、画素領域の長手方向(X方向)の辺部においても保持容量を形成する構成となっている。
【0194】
このとき、壁画素電極SEを構成する平坦部と第四の共通電極CE4との重畳領域の面積が大きくなるように、第四の共通電極CE4及び壁画素電極SEを形成することにより、保持容量も大きくできる。なお、実施形態10では、実施形態1の液晶表示装置に本願発明の第四の共通電極CE4を形成する構成としたが、これに限定されることはない。例えば、実施形態2〜4及び実施形態6〜9の液晶表示装置に第四の共通電極CE4を形成することにより、保持容量を増加させることが可能となるので、実施形態10と同様の効果を得ることができる。
【0195】
以上説明したように、実施形態10の液晶表装置では、壁画素電極SEを利用して保持容量を形成する構成、すなわち、長手方向に延在する壁画素電極SEと第六の絶縁膜IL6とが第六の絶縁膜IL6を介して重畳する領域SC2によって形成される容量も保持容量として用いる構成としている。従って、実施形態1と同じ容量の保持容量を形成する場合には、ゲート線GLに近接する画素端部に配置する保持容量の面積を縮小できる、すなわち、画素領域の長手方向の上端側及び下端側に形成される重畳領域SCの面積を減少させることができる。その結果、実施形態1と同様の効果を得ることができると共に、保持容量を減少させることなく液晶分子を駆動させることが可能な透過領域を増加させることができ、開口率を実施例1の63%から69%に増大でき、実施形態1に比較して実施形態10では透過率を10%程度向上させることができるという格別の効果を得ることができる。
【0196】
なお、実施形態2〜4の発明では、第一の基板SU1又は第二の基板SU2の何れか一方の基板に膜厚の厚い薄膜層(厚膜層)を形成すると共に、壁画素電極を液晶層厚よりも大きく形成する構成としたが、第一の基板SU1及び第二の基板SU2に共に厚膜層を形成する構成であってもよい。
【0197】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0198】
PNL……液晶表示パネル、SU1……第一の基板、SU2……第二の基板
AR……表示領域、SL……シール材、DR……駆動回路、CL……コモン線
FPC……フレキシブルプリント基板、GL……ゲート線、DL……ドレイン線
SE,SE1……壁画素電極、SE2……線状画素電極、TFT……薄膜トランジスタ
CE1〜4……第一〜第四の共通電極、TCF1……第一の透明導電膜
TCF2……第二の透明導電膜、CH1,CH2……コンタクトホール、WL……壁基材PS……ポリシリコン膜(ポリシリコン層)、PL1……第一の偏光板
PL2……第二の偏光板、BM……ブラックマトリクス、CF……カラーフィルタ
OC……オーバーコート層、AL1……第一の配向膜、AL2……第二の配向膜
LC……液晶層、IL1〜6……第一〜第六の絶縁膜、LCM……液晶分子
TP……頭頂部、VP……垂直部、HP……平坦部、OP1〜3……開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、
隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、
前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、
前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、
前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記第一の線状電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第二の基板の液晶面側に形成される第一の絶縁厚膜を有し、
前記第二の線状電極は前記第一の絶縁厚膜よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第一の線状電極から前記第二の線状電極に至る間隔と前記液晶層厚との差が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第一の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第二の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第一の電極は当該画素の辺縁部に沿って環状をなす第一の導電膜からなり、
前記第二の線状電極は、第2基板の液晶側面に全面を覆うように形成され、画素の短手方向に並列され、前記第二の線状電極を挟むようにして形成される2つの開口部を有する第二の導電膜からなり、
前記第一の導電膜と前記第二の導電膜とが各画素の辺縁部に沿って重畳され、該重畳領域が画素の領域を囲む環状であることを特徴とする請求項1乃至6の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、
隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、
前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、
前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、
前記側壁面電極が形成される前記第二の基板側の下側辺縁部から前記第一の基板側の上側辺縁部に至る前記第一の電極の高さは、当該第一電極に挟まれる画素の領域における前記液晶層の厚さよりも大きく形成されてなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
前記第二の基板の液晶面側に形成される第一の絶縁厚膜と、前記第一の絶縁厚膜に形成され、前記画素の領域の辺部に沿う第一の溝部とを有し、
前記側壁面電極の底面側の辺縁部が前記第一の溝部の底面で前記下端側電極と一体に接続されることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第一の溝部は前記第一の絶縁厚膜を貫通して下層の薄膜層の表面が露出する貫通溝からなり、
前記第一の溝部から露出される下層の薄膜層表面に前記凸状体が立設されると共に、前記下端側電極が前記第一の溝部から露出される下層の薄膜層表面に沿って形成されることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第二の線状電極は前記第一の絶縁厚膜よりも前記第二の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項9又は10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記凸状体が立設される絶縁膜と、前記絶縁膜及び前記第一の電極を覆うようにして形成される第二の絶縁厚膜とを有し、
前記第二の絶縁厚膜は、前記凸状体の頭頂部の膜厚よりも前記一対の第一の電極に挟まれる領域の膜厚が大きく形成され、
前記一対の第一の電極に挟まれる領域における前記液晶層の厚さよりも前記前記第一の電極の高さが大きく形成されることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記第一の電極を形成する前記側壁面電極は、前記第二の絶縁厚膜に覆われることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記第二の線状電極は前記第二の絶縁厚膜よりも前記第二の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記第二の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項11又は14に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記平坦化層に形成され、前記画素の領域の辺部に沿う第二の溝部を有し、
前記凸状体の頭頂側が前記第二の溝部内に配置されることを特徴とする請求項8乃至15の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記第一の線状電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記第一の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記第一の線状電極から前記第二の線状電極に至る間隔と前記液晶層厚との差が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項11、14又は17に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記第一の電極高さと前記液晶層厚との差が、2μm以上であることを特徴とする請求項8乃至19に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記第一の電極は当該画素の辺縁部に沿って環状をなす第一の導電膜からなり、
前記第二の線状電極は、第2基板の液晶側面に全面を覆うように形成され、画素の短手方向に並列され、前記第二の線状電極を挟むようにして形成される2つの開口部を有する第二の導電膜からなり、
前記第一の導電膜と前記第二の導電膜とが各画素の辺縁部に沿って重畳され、該重畳領域が画素の領域を囲む環状であることを特徴とする請求項8乃至20の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなることを特徴とする請求項8乃至21の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項23】
X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、
隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、
前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、
前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、
前記下端側電極よりも下層に形成され、前記下端側電極と絶縁膜を介して少なくともその一部が前記下端側電極と重畳して形成される第三の電極を備え、
前記第三の電極と前記第一の電極とが電気的に接続されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項24】
前記第一の電極と前記第三の電極との間に形成される絶縁膜は少なくとも第一の絶縁厚膜を有し、
前記第三の電極は、前記第一の絶縁厚膜よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項23に記載の液晶表示装置。
【請求項25】
前記第三の電極は、前記映像信号線と同層に形成されることを特徴とする請求項23又は24に記載の液晶表示装置。
【請求項26】
前記第一の電極と前記第三の電極とが、前記液晶層厚方向に2.0μm以上離間して形成されることを特徴とする請求項23乃至25の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項27】
前記第二の線状電極は前記第一の絶縁厚膜よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項23乃至26の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項28】
前記第二の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項27に記載の液晶表示装置。
【請求項29】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記第一の線状電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項23乃至28の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項30】
前記第一の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項29に記載の液晶表示装置。
【請求項31】
前記第一の線状電極から前記第二の線状電極に至る間隔と前記液晶層厚との差が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項27又は29に記載の液晶表示装置。
【請求項32】
前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなることを特徴とする請求項23乃至31の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項33】
X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、
隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、
前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、
前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、
前記第一の基板側に形成され、平面的に見て前記第一の電極と重畳配置される第四の電極を有し、
前記第四の電極と前記第二の電極に同じ信号が供給されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項34】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記第四の電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項33に記載の液晶表示装置。
【請求項35】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記第四の電極は前記平坦化層よりも前記液晶層に近い層に形成されることを特徴とする請求項33に記載の液晶表示装置。
【請求項36】
前記第一の線状電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項33乃至35の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項37】
前記第一の線状電極と前記第四の電極とが同層に形成されることを特徴とする請求項33乃至36の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項38】
前記第一の線状電極と前記第四の電極とが異なる層に形成されることを特徴とする請求項33乃至36の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項39】
前記第一の電極は当該画素の辺縁部に沿って環状をなす第一の導電膜からなり、
前記第二の線状電極は、第2基板の液晶側面に全面を覆うように形成され、画素の短手方向に並列され、前記第二の線状電極を挟むようにして形成される2つの開口部を有する第二の導電膜からなり、
前記第一の導電膜と前記第二の導電膜とが各画素の辺縁部に沿って重畳され、該重畳領域が画素の領域を囲む環状であることを特徴とする請求項33乃至38の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項40】
前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなることを特徴とする請求項33乃至39の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項1】
X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、
隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、
前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、
前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、
前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記第一の線状電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第二の基板の液晶面側に形成される第一の絶縁厚膜を有し、
前記第二の線状電極は前記第一の絶縁厚膜よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第一の線状電極から前記第二の線状電極に至る間隔と前記液晶層厚との差が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第一の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第二の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第一の電極は当該画素の辺縁部に沿って環状をなす第一の導電膜からなり、
前記第二の線状電極は、第2基板の液晶側面に全面を覆うように形成され、画素の短手方向に並列され、前記第二の線状電極を挟むようにして形成される2つの開口部を有する第二の導電膜からなり、
前記第一の導電膜と前記第二の導電膜とが各画素の辺縁部に沿って重畳され、該重畳領域が画素の領域を囲む環状であることを特徴とする請求項1乃至6の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、
隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、
前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、
前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、
前記側壁面電極が形成される前記第二の基板側の下側辺縁部から前記第一の基板側の上側辺縁部に至る前記第一の電極の高さは、当該第一電極に挟まれる画素の領域における前記液晶層の厚さよりも大きく形成されてなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
前記第二の基板の液晶面側に形成される第一の絶縁厚膜と、前記第一の絶縁厚膜に形成され、前記画素の領域の辺部に沿う第一の溝部とを有し、
前記側壁面電極の底面側の辺縁部が前記第一の溝部の底面で前記下端側電極と一体に接続されることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第一の溝部は前記第一の絶縁厚膜を貫通して下層の薄膜層の表面が露出する貫通溝からなり、
前記第一の溝部から露出される下層の薄膜層表面に前記凸状体が立設されると共に、前記下端側電極が前記第一の溝部から露出される下層の薄膜層表面に沿って形成されることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第二の線状電極は前記第一の絶縁厚膜よりも前記第二の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項9又は10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記凸状体が立設される絶縁膜と、前記絶縁膜及び前記第一の電極を覆うようにして形成される第二の絶縁厚膜とを有し、
前記第二の絶縁厚膜は、前記凸状体の頭頂部の膜厚よりも前記一対の第一の電極に挟まれる領域の膜厚が大きく形成され、
前記一対の第一の電極に挟まれる領域における前記液晶層の厚さよりも前記前記第一の電極の高さが大きく形成されることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記第一の電極を形成する前記側壁面電極は、前記第二の絶縁厚膜に覆われることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記第二の線状電極は前記第二の絶縁厚膜よりも前記第二の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記第二の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項11又は14に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記平坦化層に形成され、前記画素の領域の辺部に沿う第二の溝部を有し、
前記凸状体の頭頂側が前記第二の溝部内に配置されることを特徴とする請求項8乃至15の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記第一の線状電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記第一の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記第一の線状電極から前記第二の線状電極に至る間隔と前記液晶層厚との差が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項11、14又は17に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記第一の電極高さと前記液晶層厚との差が、2μm以上であることを特徴とする請求項8乃至19に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記第一の電極は当該画素の辺縁部に沿って環状をなす第一の導電膜からなり、
前記第二の線状電極は、第2基板の液晶側面に全面を覆うように形成され、画素の短手方向に並列され、前記第二の線状電極を挟むようにして形成される2つの開口部を有する第二の導電膜からなり、
前記第一の導電膜と前記第二の導電膜とが各画素の辺縁部に沿って重畳され、該重畳領域が画素の領域を囲む環状であることを特徴とする請求項8乃至20の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなることを特徴とする請求項8乃至21の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項23】
X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、
隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、
前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、
前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、
前記下端側電極よりも下層に形成され、前記下端側電極と絶縁膜を介して少なくともその一部が前記下端側電極と重畳して形成される第三の電極を備え、
前記第三の電極と前記第一の電極とが電気的に接続されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項24】
前記第一の電極と前記第三の電極との間に形成される絶縁膜は少なくとも第一の絶縁厚膜を有し、
前記第三の電極は、前記第一の絶縁厚膜よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項23に記載の液晶表示装置。
【請求項25】
前記第三の電極は、前記映像信号線と同層に形成されることを特徴とする請求項23又は24に記載の液晶表示装置。
【請求項26】
前記第一の電極と前記第三の電極とが、前記液晶層厚方向に2.0μm以上離間して形成されることを特徴とする請求項23乃至25の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項27】
前記第二の線状電極は前記第一の絶縁厚膜よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項23乃至26の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項28】
前記第二の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項27に記載の液晶表示装置。
【請求項29】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記第一の線状電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項23乃至28の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項30】
前記第一の線状電極と前記液晶層との距離が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項29に記載の液晶表示装置。
【請求項31】
前記第一の線状電極から前記第二の線状電極に至る間隔と前記液晶層厚との差が、1.5μm以上であることを特徴とする請求項27又は29に記載の液晶表示装置。
【請求項32】
前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなることを特徴とする請求項23乃至31の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項33】
X方向に伸延しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に伸延しX方向に並設される映像信号線とを有する第二の基板と、液晶層を介して前記第二の基板と対向配置される第一の基板とを備え、前記走査信号線と前記映像信号線とで囲まれる画素の領域がマトリクス状に配置される液晶表示装置であって、
隣接画素との画素境界に形成され、前記第二の基板の液晶面側から突出する凸状体と、
前記凸状体の側壁面に形成される側壁面電極と、前記側壁面電極の前記凸状体の底面側から延在し、前記第二の基板の液晶側面に沿って伸延される下端側電極とからなり、前記画素の領域を挟んで対向する少なくとも一対の辺部に形成される前記側壁面電極と前記下端側電極とからなる第一の電極と、
前記第一の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記第一の電極の延在方向に伸延してなる第一の線状電極と、前記第二の基板側の前記画素の領域内に形成され、前記前記第一の線状電極と前記液晶層を介して対峙するようにして伸延してなる第二の線状電極と、からなる第二の電極と、を有すると共に、
前記第一の基板側に形成され、平面的に見て前記第一の電極と重畳配置される第四の電極を有し、
前記第四の電極と前記第二の電極に同じ信号が供給されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項34】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記第四の電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項33に記載の液晶表示装置。
【請求項35】
前記第一の基板は、カラー表示に対応する着色層と、少なくとの前記着色層との間の領域に形成される遮光膜と、前記着色層と前記遮光膜との上層に形成され、液晶側面を平坦化する平坦化層とを備え、
前記第四の電極は前記平坦化層よりも前記液晶層に近い層に形成されることを特徴とする請求項33に記載の液晶表示装置。
【請求項36】
前記第一の線状電極は前記平坦化層よりも前記第一の基板に近い層に形成されることを特徴とする請求項33乃至35の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項37】
前記第一の線状電極と前記第四の電極とが同層に形成されることを特徴とする請求項33乃至36の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項38】
前記第一の線状電極と前記第四の電極とが異なる層に形成されることを特徴とする請求項33乃至36の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項39】
前記第一の電極は当該画素の辺縁部に沿って環状をなす第一の導電膜からなり、
前記第二の線状電極は、第2基板の液晶側面に全面を覆うように形成され、画素の短手方向に並列され、前記第二の線状電極を挟むようにして形成される2つの開口部を有する第二の導電膜からなり、
前記第一の導電膜と前記第二の導電膜とが各画素の辺縁部に沿って重畳され、該重畳領域が画素の領域を囲む環状であることを特徴とする請求項33乃至38の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項40】
前記画素の領域は、少なくとも、前記第一の電極と前記第二の電極とが第一の方向に延在する第一の画素領域と、前記第一の電極と前記第二の電極とが第二の方向に延在する第二の画素領域とからなることを特徴とする請求項33乃至39の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【公開番号】特開2013−20159(P2013−20159A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154440(P2011−154440)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
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