説明

液滴吐出ヘッド

【課題】 インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向する電極とを備え、振動板を静電力で変形させてノズルからインク滴を吐出させる静電型インクジェットヘッドにおいて、振動板と電極基板とのギャップを高精度に維持して接合できる、低コストでインク滴吐出性能に優れた液叶出ヘッドの提供。
【解決手段】 振動板10と電極基板3のギャップスペーサ部13とをシリコンを含有した金属薄膜20で接合した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置を含む。)に用いられるインクジェット記録装置における液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとして、インク滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する吐出室(インク流路、インク室、液室、圧力室、加圧室、加圧液室などとも称される。)と、吐出室の壁面を形成する第一電極を兼ねる振動板と、これに対向する電極(第二電極)とを備え、振動板を静電力で変形変位させてノズルからインク滴を吐出させる静電型インクジェットヘッドが知られている。
【0003】従来の静電型インクジェットヘッドとしては、例えば特開平6−71882号公報や特開平5−50601号公報に開示されているように、吐出室及び振動板を形成する基板(これを「振動板基板」という。)にシリコン基板を用い、電極を設ける基板(これを「電極基板」という。)に硼珪酸ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)やシリコン基板を用いて、これらの振動板基板と電極基板とを接合している。
【0004】この静電型インクジェットヘッドにおいては、振動板の機械的変形特性がインク吐出特性に大きく影響し、また、振動板と電極との間のギャップ精度もインク滴吐出特性に大きく影響を与えるので、振動板基板と電極基板とを高精度ギャップを維持して接合しなければならない。
【0005】そこで、従来、特開平9−286101号公報に記載されているように電極基板と振動板基板の接合に水ガラス(珪酸ナトリウム溶液)を用いるもの、特開平10−286954号公報に記載されているように、電極基板と振動板基板とをポリシラザンを介して接合するもの、特開平9−286101号公報に記載されているように電極基板と振動板基板とを陽極接合するもの、特開平6−8449号公報に記載されているように電極基板と振動板基板とを直接接合するもの、特開平6−126956号公報や特開平9−20007号公報に記載されているようにギャップを規定するギャップスペーサ部を金属材料で形成して、この金属材料からなるギャップスペーサ部材を介して振動板基板と電極基板とを共晶接合するものなどが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ギャップスペーサ部全体を金属材料で形成して、これを接着層として用いる場合には、所定のギャップ長を高精度に安定して低コストで製造することが困難になる。
【0007】また、シリコン或いはシリコンの化合物から振動板基板と電極基板とを形成して、これらの基板を金属薄膜を接着層として共晶接合で接合する場合、熱処理によっては、金属薄膜と接しているシリコン、シリコン化合物部分のSi原子が金属薄膜中に拡散し、金属薄膜の金属原子がSi中へと拡散することになるが、振動板は板厚が薄く、少しの組成変化においても機械的変位特性が大きく影響を受けるため、このような拡散が生じると、インクの吐出特性が変化して画像品質が低下するという課題が生ずる。
【0008】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、低コストでインク滴吐出性能に優れた液滴吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板と電極を設けた基板に形成したギャップスペーサ部とが金属薄膜を介して接合されている構成としたものである。
【0010】ここで、振動板及びギャップスペーサ部がシリコン又はシリコンの化合物であることが好ましい。また、金属薄膜がSiと合金をなす金属材料で形成されていることが好ましい。さらに、金属薄膜にはSiを含有していることが好ましい。この場合、金属薄膜に含有するSiの量が10wt%を超えないことが好ましい。
【0011】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板と電極を設けた基板とがSiを含有した金属薄膜を介して接合されている構成としたものである。
【0012】ここで、振動板及び電極を形成した基板がシリコン又はシリコンの化合物であることが好ましい。また、金属薄膜がSiと合金をなす金属材料で形成されていることが好ましい。さらに、金属薄膜に含有するSiの量が10wt%を超えないことが好ましい。さらにまた、金属薄膜が振動板の全面に形成されていることが好ましい。
【0013】上記本発明に係る液滴吐出ヘッドにおいて、金属薄膜がAu、Pb、Mg、Al、In、Mo、Ti、Ag、Ni、Ge、Ta、Pb、An,Zn、Sbのいずれか又は二種以上の合金であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明を適用した静電型インクジェットヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドの振動板長手方向に沿う模式的断面説明図、図3は同ヘッドの振動板短手方向に沿う模式的断面説明図である。
【0015】このインクジェットヘッドは、第一基板である流路基板1と、流路基板1の下側に設けた第二基板である電極基板3と流路基板1の上側に設けた第三基板であるノズル板4との3つの基板を重ねて接合した積層構造からなり、複数のノズル5、各ノズル5が連通するインク流路である吐出室6、吐出室6に流体抵抗部7を介して連通する共通液室8などを形成している。
【0016】流路基板1には、例えば結晶面方位(110)のシリコン基板からなるベース基板21に熱酸化膜22を介して結晶面方位(100)のシリコン基板からなる活性層基板23を貼り合わせたSOI基板を用いて、吐出室6及びこの吐出室6の底部となる壁面を形成する振動板10、各吐出室6を隔てる隔壁を形成する凹部、共通液室8を形成する凹部などを形成している。ここでは、活性層基板23の厚さが3μmのものを用いた。
【0017】このような流路基板1は、ベース基板21側からKOH、TMAH、EDP、LiOHなどのアルカリ液による異方性エッチングを施すことにより、吐出室6、共通液室8、活性層基板23からなる振動板10などを形成することにより得られる。なお、異方性エッチングは熱酸化膜22に達したところでエッチングストップするので、振動板10の厚さは活性層基板23の厚さで制御できる。また、振動板10上の熱酸化膜22は除去している。
【0018】電極基板3には、シリコン基板を用いて、熱酸化膜11を形成し、この熱酸化膜11に電極形成用溝となる凹部12を形成している。各凹部12、12間の隔壁部分がギャップスペーサ部13となる。そして、この凹部12の底面に振動板10に所定のギャップ16を置いて対向する電極15を形成し、この電極15と振動板10によって、振動板15を変位させて吐出室6の内容積/圧力を変化させるアクチュエータ部を構成している。
【0019】この電極基板3の電極15上には振動板10との接触によって電極15が破損するのを防止するためのシリコン酸化膜(SiO2)などの絶縁層17を成膜している。また、電極15を電極基板3の端部付近まで延設して外部駆動回路と接続手段を介して接続するための電極パッド部15aを形成している。
【0020】この電極基板3は、酸化膜11などを形成したシリコン基板上に、HF水溶液などでエッチングにより凹部12及びギャップスペーサ部13を形成し、この凹部12に窒化チタンなどの高耐熱性を有する電極材料をスパッタ、CVD、蒸着などの成膜技術で所望の厚さに成膜し、その後、フォトレジストを形成してエッチングすることにより、凹部12の底面にのみ電極15を形成したものである。
【0021】ここでは、電極15は、シリコン基板に厚さ2μmで形成した酸化膜11にエッチングで形成した深さ0.3μmの凹部14内に窒化チタン膜を0.1μmの厚さに形成している。したがって、このヘッドにおいては、電極基板3と流路基板1とを接合した後のギャップスペーサ部13で規定されるギャップ16の長さ(振動板10と電極15との間隔)は、0.2μmとなっている。
【0022】ノズル板4は、厚さ50μmのステンレス材(SUS)を用いて、ノズル5、液体抵抗部7及び共通液室8へ外部からインクを供給するためのインク供給口19を形成している。
【0023】そして、このインクジェットヘッドにおいては、流路基板1の振動板10と電極基板3とは、流路基板1の振動板10の外面に形成したシリコンを含有する金属薄膜20を介して共晶接合している。この場合、振動板10の外面に形成する金属薄膜20としては、Siと合金をなす金属材料であれば良く、例えば、Au、Pb、Mg、Al、In、Mo、Ti、Ag、Ni、Ge、Ta、Pb、An,Zn、Sbのいずれか又は二種以上の合金などを用いることができる。
【0024】また、金属薄膜20をなす金属材料に含有するSiの量としては10wt%以下でよく、これを越えると接合強度が低下することがある。さらに、金属薄膜20の厚みとしては、振動板10の剛性に影響を与えない厚みであれば良く、好ましくは、振動板10の厚みの1/30〜1/100程度である。これより金属薄膜20の厚みが薄すぎるときには接合強度が得られないことがあり、厚すぎるときには振動板10の機械的変位特性に影響を与えることがある。
【0025】ここでは、金属薄膜20としてAuの中に4%のSiを含有させた金属材料を用いて形成し、厚みを0.1μmとしている。
【0026】このように、流路基板1の振動板10と電極基板3とをSiを含有する金属薄膜20を介して接合することにより、振動板10と金属薄膜20との間及び電極基板3と金属薄膜20との間でSi−金属(ここではAu)の共晶結合が生じて低温で強固な信頼性の高い接合を行うことができる。そして、単に金属薄膜20を接着層として用いるだけでギャップスペーサ部としていないので、低コストで安定した高精度のギャップを形成することができ、インク滴吐出特性のバラツキが少なくなる。
【0027】また、接着層となる金属薄膜20にはSiを含有させているので、振動板10中のSiが金属薄膜20(ここではAu)中に拡散し、金属薄膜20(ここではAu)中の金属原子が振動板10中に拡散する相互拡散を抑制することができる。これにより、振動板10の組成変化による振動特性の変化を防止することができ、インク滴吐出特性が安定して印字品質が向上する。
【0028】上記のように構成したインクジェットヘッドにおいては、電極15に駆動回路によって0V〜35Vのパルス電位を印加すると、電極15の表面がプラスに帯電し、対応する振動板10の下面がマイナス電位に帯電するので、振動板10は静電気の吸引作用により電極15側に撓む。次に、電極15へのパルス電位の印加をオフにすると、振動板10が復元し、これにより、吐出室6内の圧力が急激に上昇し、ノズル5からインク滴が吐出される。さらに、振動板10が再び電極15側へ撓むことにより、インクが共通インク室8から流体抵抗部7を介して吐出室6内に補給される。
【0029】次に、このヘッドの製造工程について図4以降をも参照して説明する。先ず、電極基板3の形成工程について図4を参照して説明すると、同図(a)に示すように、Si基板からなる電極基板3に酸素及び水蒸気中で熱酸化処理を行って熱酸化膜11を2μmの厚みで形成し、この熱酸化膜11にレジストパターンを形成して、同図(b)に示すように、ドライエッチングにより深さが0.3μmの凹部12を形成する。
【0030】次いで、同図(c)に示すように、凹部12の底面に約0.1μmの厚みでTiNをスパッタし、ドライエッチングによりパターニングして、凹部12の底面積よりやや小さめのTiNからなる電極15を形成した。その後、同図(d)に示すように、酸化膜11の全面に電極15表面を含めてSiO2膜31をLP−CVDにより約0.1μmの厚みで成膜し、同図(e)に示すように、このSiO2膜31上にフォトレジストパターンを形成しドライエッチングを行うことで、電極15表面を覆う保護膜17を形成して、電極基板3を得た。
【0031】次に、インクジェットヘッド完成までの工程について図5及び図6参照して説明する。先ず、図5(a)に示すように、厚さ400μmのベース基板21の表面に膜厚0.5μmの熱酸化膜22を介して厚さ2μmの活性層基板23を接合したSOI基板41(ウエハ)を用いて、同図(b)に示すように、活性層基板22の表面に厚さ0.03μmでAu(Siを3%含有)を真空蒸着法で成膜することで金属薄膜20を形成した。
【0032】そして、同図(c)に示すように、上記した電極15を設けた電極基板3上にSOI基板41を重ね合わせた。このとき、IRアライナーを用いて位置合わせて行った。その後、これを400℃に加熱しながらスクラブ加圧することで、SOI基板41の振動板となる活性層基板23と電極基板3のギャップスペーサ部13として金属薄膜20を介して共晶接合した。
【0033】このとき、前述したように、振動板10となる活性層基板23と金属薄膜20と電極基板3との間でSi−Auの共晶結合が生じて低温で強固な接合が得られるとともに、金属薄膜20を形成するAu中にはSiが含有されているので、振動板10となる活性層基板23と金属薄膜20との間での相互拡散が抑制される。
【0034】次いで、同図(d)に示すように、厚さ400μmのベース基板21を厚さ100μmまで研磨によって薄くした。
【0035】その後、図6(a)に示すように、ベース基板21上にシリコン窒化(SiN)膜をLP−CVDにより成膜し、これをパターニングしてシリコン窒化膜42の流路パターンに形成する。そして、同図(b)に示すように、エッチング液として例えば25wt%の水酸化カリウム水溶液(KOH)によって温度80℃にてベース基板21の異方性エッチングを行うと、熱酸化膜22でエッチングがストップして凹部43が形成される。
【0036】続いて、露出している(凹部33の底面となっている。)熱酸化膜22をドライエッチングして除去することにより、同図(c)に示すように、活性層基板23からなる振動板10を底面とする吐出室6などが形成された流路基板1が得られる。そこで、シリコン窒化膜42を180℃に加熱したリン酸で除去し、ノズル板4を流路基板1上に接合してインクジェットヘッドを完成する。
【0037】なお、この場合、熱酸化膜22を必ずしも除去する必要はなく、インクに対する保護膜として用いることもでき、このときには振動板10は活性層基板23と熱酸化膜22の2層構造となる。
【0038】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドの他の実施形態について図7の製造工程を参照して説明する。この実施形態では、振動板10の電極基板3のギャップスペーサ部13との接合面にのみ金属薄膜20を成膜している。すなわち、同図(a)に示すように、前記した流路基板となるSOI基板41の活性層基板23の外面に、Auを0.03μm厚さに真空蒸着した後、電極基板3のギャップスペーサ部13と接合される領域のみを残すようにフォトレジストでパターニングした後、ドライエッチングにより、同図(b)に示すように金属薄膜20のパターンを形成した。こうして得られたSOI基板41と電極基板3とを400℃に加熱しながらスクラブ加圧して接合している。その後の工程は前述した工程と同様である。
【0039】このようにした場合には、振動板10の変形変位部分には金属薄膜20が形成されていないので、振動板10への金属の拡散を確実に防止することができるが、ギャップ16の長さが金属薄膜20の厚み分増加することになるので、金属薄膜20の厚みは0.05μm以下にすることが好ましい。
【0040】なお、上記各実施形態においては、本発明に係る液滴吐出ヘッドとして静電型インクジェットヘッドに適用した例で説明したが、これに限るものではなく、例えば、インク以外の液滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッドにも適用できる。
【0041】また、液滴吐出ヘッドとして、振動板変位方向とノズル滴吐出方向が同じになるサイドシュータ方式で説明しているが、振動板変位方向とノズル滴吐出方向が直交するサイドシュータ方式にすることもできる。さらに、上記実施形態では振動板と電極が平行状態で配置される液滴吐出ヘッドに本発明を適用したが、振動板と電極の全体若しくは一部が非平行状態で配置される液滴吐出ヘッドにも適用することができる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振動板と電極を設けた基板に形成したギャップスペーサ部とが金属薄膜を介して接合されているので、高精度のギャップを安定して低コストで形成することができて、インク滴吐出特性が向上し、画像品質が向上する。
【0043】ここで、振動板及びギャップスペーサ部がシリコン又はシリコンの化合物であることににより、金属薄膜との共晶接合が可能になって強固な接合を行うことができる。また、金属薄膜がSiと合金をなす金属材料で形成されていることで、Si又はSiの化合物との間で共晶接合が可能になって強固な接合を行うことができる。さらに、金属薄膜にはSiを含有していることにより相互拡散を防止することができて振動板の特性変化を抑制できる。この場合、金属薄膜に含有するSiの量が10wt%を超えないようにすることで接合強度の確保と相互拡散の抑制をより効果的に行うことができる。
【0044】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振動板と電極を設けた基板とがSiを含有した金属薄膜を介して接合されているので、振動板と金属薄膜との間での相互拡散が防止されて振動板の特性変化を抑制でき、低コストでインク滴吐出特性に優れ、画像品質が向上したヘッドを得ることができる。
【0045】ここで、振動板及び電極を形成した基板がシリコン又はシリコンの化合物であることにより、金属薄膜との共晶接合が可能になって強固な接合を行うことができる。また、金属薄膜がSiと合金をなす金属材料で形成されていることで、Si又はSiの化合物との間で共晶接合が可能になって強固な接合を行うことができる。さらに、金属薄膜に含有するSiの量が10wt%を超えない超えないようにすることで接合強度の確保と相互拡散の抑制をより効果的に行うことができる。さらにまた、金属薄膜が振動板の全面に形成されていることで、金属薄膜のパターニングが不要になって低コスト化を図れる。
【0046】上記本発明に係る液滴吐出ヘッドにおいて、金属薄膜がAu、Pb、Mg、Al、In、Mo、Ti、Ag、Ni、Ge、Ta、Pb、An,Zn、Sbのいずれか又は二種以上の合金であることにより、Si又はSiの化合物との強固な接合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した静電型インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向に沿う模式的断面説明図
【図3】同ヘッドの振動板短手方向に沿う模式的断面説明図
【図4】同ヘッドの電極基板の製造工程を説明する説明図
【図5】同ヘッドの振動板基板と電極基板との接合までの製造工程を説明する説明図
【図6】同ヘッドの振動板形成工程を説明する説明図
【図7】本発明に係る液滴吐出ヘッドの他の実施形態の製造工程の説明に供する説明図
【符号の説明】
1…流路基板、3…電極基板、4…ノズル板、5…ノズル、6…吐出室、7…流体抵抗部、8…共通液室、10…振動板、11…熱酸化膜、12…凹部、13…ギャップスペーサ部、15…電極、20…金属薄膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 液滴を吐出するノズルに連通している液室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向する電極と、前記振動板を静電気力で変形変位させて前記ノズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板と前記電極を設けた基板に形成したギャップスペーサ部とが金属薄膜を介して接合されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項2】 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板及びギャップスペーサ部がシリコン又はシリコンの化合物であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記金属薄膜がSiと合金をなす金属材料で形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記金属薄膜にはSiを含有していることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項5】 請求項4に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記金属薄膜に含有するSiの量が10wt%を超えないことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項6】 液滴を吐出するノズルに連通している液室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向する電極と、前記振動板を静電気力で変形変位させて前記ノズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板と前記電極を設けた基板とがSiを含有した金属薄膜を介して接合されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項7】 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板及び前記電極を形成した基板がシリコン又はシリコンの化合物であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項8】 請求項6又は7に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記金属薄膜がSiと合金をなす金属材料で形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項9】 請求項6乃至8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記金属薄膜に含有するSiの量が10wt%を超えないことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項10】 請求項6乃至9のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記金属薄膜が振動板の全面に形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項11】 請求項3又は8に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記金属薄膜がAu、Pb、Mg、Al、In、Mo、Ti、Ag、Ni、Ge、Ta、Pb、An,Zn、Sbのいずれか又は二種以上の合金であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−59548(P2002−59548A)
【公開日】平成14年2月26日(2002.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−251735(P2000−251735)
【出願日】平成12年8月23日(2000.8.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】