説明

液滴吐出装置および液滴吐出方法

【課題】光硬化性を有する液状材料を用い、高精度な液滴吐出を実現することができる液滴吐出装置および液滴吐出方法を提供すること。
【解決手段】本発明の液滴吐出装置1は、光透過性を有する板状またはシート状のワークWの一方の面の描画領域に向けて、光硬化性を有する液状材料を液滴として吐出し、描画領域に付与された液状材料Lに、当該液状材料を硬化し得る光を照射するものであり、ワークW内に光を入射させるように設けられた光出射部71を備え、液状材料の屈折率をnとし、空気の屈折率をnとしたときに、これらの屈折率は、n<nなる関係を満たし、光出射部71からワークW内に入射した光を、描画領域のうち液状材料Lが付与されていない領域では、ワークWと空気との界面で反射させ、描画領域のうち液状材料Lが付与された領域では、ワークWと液状材料Lとの界面を通過させて当該液状材料Lに入射させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置および液滴吐出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液状材料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置は、インクジェットプリンターのように民生用として用いられるだけでなく、産業用としても用いられている。産業用の液滴吐出装置は、例えば、液晶表示装置におけるカラーフィルターや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線等の導体層や絶縁膜を形成したりするのに使用される。
【0003】
ところで、液滴吐出装置としては、光硬化性を有する液状材料を用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1にかかる液滴吐出装置では、UV硬化性のインクをプリントメディアに付与するインクジェットヘッドと、プリントメディアに付与されたインクにUVを照射するUV照射手段とをプリントメディア上方で移動させる。これにより、プリントメディアに付与されたインクをUVにより硬化させることができる。
【0004】
しかし、特許文献1にかかる液滴吐出装置では、インクジェットヘッドおよびUV照射手段が共にプリントメディアの上方に設けられているので、UV照射手段とプリントメディアとの相対的移動がインクジェットヘッドとプリントメディアとの相対的移動による制限を受ける。
そのため、プリントメディア上のインクに対するUV照射時間やUV照射タイミングを所望のものとすることが難しい。例えば、プリント速度を上げた場合、UV照射時間が短くなり、インクを十分に硬化することができないと言う問題がある。
【0005】
また、UV照射手段によりUVが照射されるインクの表面付近には、空気が存在しているため、その空気中の酸素により、インクの硬化が阻害され、この点でも、インクを十分に硬化することができないと言う問題がある。
インクを十分に硬化できなかったり、プリントメディアに対するインクの着弾からその着弾したインクに対するUV照射タイミングまでに長時間を要したりすると、プリントメディア上に付与された液状材料が濡れ広がってしまい、高精度な液滴吐出を実現することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−358769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、光硬化性を有する液状材料を用い、高精度な液滴吐出を実現することができる液滴吐出装置および液滴吐出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液滴吐出装置は、光透過性を有する板状またはシート状のワークを載置する載置部を備えるステージと、
前記ワークの一方の面の描画領域に向けて、光硬化性を有する液状材料を液滴として吐出するノズルを備える液滴吐出ヘッドと、
前記ステージと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
前記描画領域に付与された前記液状材料に、当該液状材料を硬化し得る光を照射する光照射手段とを有し、
前記光照射手段は、前記ワーク内に前記光を入射させるように設けられた光出射部を備え、
前記液状材料の屈折率をnとし、空気の屈折率をnとしたときに、これらの屈折率は、
<n
なる関係を満たし、
前記光出射部から前記ワーク内に入射した前記光を、前記描画領域のうち前記液状材料が付与されていない領域では、前記ワークと空気との界面で反射させ、前記描画領域のうち前記液状材料が付与された領域では、前記ワークと前記液状材料との界面を通過させて当該液状材料に入射させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、光硬化性を有する液状材料を用い、高精度な液滴吐出を実現することができる。
【0009】
本発明の液滴吐出装置では、前記ワークの屈折率をnとしたときに、
<n
なる関係を満たすことが好ましい。
これにより、描画領域のうち液状材料が付与されていない領域で、ワーク内に入射した光をワークの両面間で全反射させることができる。そのため、ワーク内に入射した光が不本意にワーク外へ出射するのを防止することができる。その結果、液滴吐出ヘッドのノズル付近での液状材料の硬化によるノズルの詰まり等を防止することができる。
【0010】
本発明の液滴吐出装置では、前記ワークの屈折率をnとしたときに、
<n
なる関係を満たすことが好ましい。
これにより、描画領域のうち液状材料が付与された領域で、ワークと液状材料との間での反射を防止し、効率的に、ワーク内に入射した光をワーク上の液状材料に向けて出射させることができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記光出射部は、前記ワークの端面から前記ワーク内に光を入射させるように構成されていることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、不本意なワーク外への光の漏れを防止しつつ、ワーク内に光を入射させることができる。
【0011】
本発明の液滴吐出装置では、前記ワークは、互いに平行な第1の端面および第2の端面を有しており、
前記第1の端面には、前記光出射部が対向し、
前記第2の端面には、遮光性を有する遮光部材が対向していることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、不本意なワーク外への光の漏れをより確実に防止しつつ、ワーク内に光を入射させることができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記遮光部材は、光反射性を有することが好ましい。
これにより、ワーク内に入射した光の利用効率を高め、所望時における液状材料の硬化または固化を効率的に行うことができる。
【0012】
本発明の液滴吐出装置では、前記光照射手段は、前記液滴吐出ヘッドと前記ステージとの位置関係、および/または、前記液滴吐出ヘッドの前記液滴の吐出パターンに基づいて、前記第1の端面の長手方向における前記光出射部の所定範囲毎に光の出射・非出射を切り換えるように構成されていることが好ましい。
これにより、ワーク上の液状材料に対する光の照射時間を制御することができる。その結果、ワークの液状材料の硬化状態を所望のものとすることができる。また、ワーク内からの不本意な光の漏れを防止することもできる。
【0013】
本発明の液滴吐出装置では、前記光照射手段は、前記ステージの外部に設けられた光源と、該光源からの光を前記光出射部に導く導光手段とを備えることが好ましい。
これにより、高出力な光源を用いた場合であっても、ステージ上の荷重を抑えることができる。そのため、ステージを移動させる場合、ステージを安定かつ正確に移動させ、その結果、より高精度な液滴吐出を実現することができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記導光手段は、光ファイバーを備えることが好ましい。
これにより、ステージを移動させる場合、ステージの移動を妨げることなく、導光手段が光源から光出射部へ光を導光させることができる。
【0014】
本発明の液滴吐出装置では、前記光出射部は、光源を備えることが好ましい。
これにより、ステージからステージの外部へもたらされる光ファイバーのような導光手段が不要となる。そのため、光源からの光の損失が少なく、利用効率を高め、所望時における液状材料の硬化または固化を効率的に行うことができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記光源は、レーザーまたはLEDであることが好ましい。
これらの光源は、指向性が高い。そのため、ワーク内からワーク外への不本意な光の漏れを防止または抑制することができる。
【0015】
本発明の液滴吐出方法は、光硬化性を有する液状材料の屈折率をnとし、空気の屈折率をnとしたときに、これらの屈折率は、
<n
なる関係を満たし、
光透過性を有する板状またはシート状のワーク内に、前記液状材料を硬化し得る光を入射させるとともに、
前記ワークを載置する載置部を備えるステージと、前記ワークの一方の面の描画領域に向けて、前記液状材料を液滴として吐出するノズルを備える液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させながら、前記液滴吐出ヘッドから前記液滴を前記描画領域に付与し、
前記光出射部から前記ワーク内に入射した前記光を、前記描画領域のうち前記液状材料が付与されていない領域では、前記ワークと空気との界面で反射させ、前記描画領域のうち前記液状材料が付与された領域では、前記ワークと前記液状材料との界面を通過させて当該液状材料に入射させることを特徴とする。
これにより、光硬化性を有する液状材料を用い、高精度な液滴吐出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す液滴吐出ヘッドに備えられた液滴吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示す液滴吐出装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】図1に示す液滴吐出ヘッドに備えられたステージを示す斜視図である。
【図5】図1に示す液滴吐出ヘッドに備えられた光照射手段を説明するための模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる光照射手段を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の液滴吐出装置の好適な実施形態について、添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。なお、以下では、産業用の液滴吐出装置に本発明を適用した場合を一例として説明するが、本発明は、インクジェットプリンターのような民生用の液滴吐出装置にも適用可能である。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図、図2は、図1に示す液滴吐出ヘッドに備えられた液滴吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図、図3は、図1に示す液滴吐出装置の制御系を示すブロック図、図4は、図1に示す液滴吐出ヘッドに備えられたステージを示す斜視図、図5は、図1に示す液滴吐出ヘッドに備えられた光照射手段を説明するための模式図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1において、上下方向(鉛直方向)を「Z方向」、Z方向に垂直な(水平な)一方向を「X方向」、Z方向およびX方向に直交する方向を「Y方向」と言う。
【0019】
(液滴吐出装置の概略構成)
図1に示すように、液滴吐出装置1は、装置本体10と、ワークWが載置されるステージ(テーブル)20と、装置本体10に対してステージ20をY方向に移動させる第1の移動機構30(移動手段)と、ワークWに向けて光硬化性の液状材料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド40と、装置本体10に対して液滴吐出ヘッド40をX方向に移動させる第2の移動機構50(移動手段)と、液滴吐出装置1の各部の駆動を制御する制御手段60とを有している。
【0020】
このような液滴吐出装置1では、第1の移動機構30および第2の移動機構50の作動により液滴吐出ヘッド40をワークWに対してX方向およびY方向に相対的に移動させながら、液滴吐出ヘッド40から液状材料を液滴として吐出し、その液滴をワークW上に付与(着弾)させる。
また、後に詳述するが、ワークW上に付与された液滴は、ステージ20に設けられた光出射部71からの光により、硬化または固化する。
【0021】
以下、このような液滴吐出装置1を構成する各部を順次詳細に説明する。
装置本体10は、図1に示すように、基台11と、基台11上に設けられた1対の柱体12とを有している。
基台11上には、第1の移動機構30を介してステージ20が設けられている。
第1の移動機構30は、Y方向に沿って延在する1対のガイドレール31と、この1対のガイドレール31に沿って移動可能なスライダ32と、スライダ32を1対のガイドレール31に沿って移動させるリニアモーター等の駆動手段(図示せず)とを有している。
【0022】
スライダ32の上面には、調整機構33を介してステージ(載置部)20が取り付けられている。
調整機構33は、例えばモーターを含んで構成され、スライダ32に対するステージ20の位置および/または姿勢を調整し得るものである。より具体的には、調整機構33は、スライダ32に対してステージ20をθz方向に(Z方向に平行な軸線回りに)回転し得るものである。
【0023】
ステージ20は、液滴吐出(液滴付与)の対象となる基板等のワークWを設置・保持するものである。
このステージ20には、その上面(設置面)に開口する複数の穴21が形成されている。この各穴21には、図示しない吸引ポンプが接続されている。これにより、各穴21を負圧にすることで、ワークWをステージ20上に吸着させ、ワークWをステージ20上に所望の位置および姿勢で保持することができる。ここで、ステージ20の上面は、ワークWを載置する載置部を構成する。
このステージ20に載置されるワークWは、シート状または板状をなし、光透過性を有する。本実施形態では、ワークWの上面および下面は、互いに平行であり、かつ、それぞれ、平滑な面をなしている。
【0024】
本実施形態では、ワークWは、平面視にて、四角形(長方形)をなしている。すなわち、ワークWは、平面視にて、互いに平行な1対の長辺と、互いに平行な1対の短辺とを有し、各長辺と各短辺とが直交している。なお、ワークWの平面視形状は、前述した長方形に限らず、例えば、正方形であってもよいし、三角形、五角形等の他の多角形であってもよいし、また、円形、楕円形等であってもよい。
【0025】
また、ワークWの屈折率は、空気の屈折率よりも大きければよいが、液状材料Lの屈折率よりも小さいのが好ましい。これにより、ワークW上に液状材料Lが付与(液滴Dが着弾)したときに、ワークWの上面と下面との間で反射する光をワークW上の液状材料Lにより確実に入射させることができる。
このようなワークWの構成材料としては、光透過性および前述したような屈折率を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料、ガラス材料、水晶等が好適に用いられる。
【0026】
また、ステージ20上には、光出射部71および遮光部材73が設けられている。光出射部71は、後述する光源ユニット70からの光をワークW内に入射させるものである。ワークW内に入射した光は、ワークWの上面および下面で反射しながら遮光部材73側へ導光され、遮光部材73で光出射部71側へ反射する。なお、光出射部71および遮光部材73については、後に詳述する。
なお、ステージ20上には、液滴吐出ヘッド40が液状材料を捨打ちまたは試し打ち(予備吐出)するための予備吐出エリアが設けられていてもよい。
【0027】
また、基台11上には、キャッピングユニット13と、クリーニングユニット14とが設けられている。
キャッピングユニット13は、後述する液滴吐出ヘッド40のノズルの乾燥を防止するため、液滴吐出装置1の待機時にノズルを覆うものである。
また、クリーニングユニット14は、液滴吐出ヘッド40のノズルの目詰まりを取り除くため、ノズルの内部を吸引するものである。
【0028】
一方、1対の柱体12の上端部には、第2の移動機構50を介して液滴吐出ヘッド40が設けられている(架設されている)。
第2の移動機構50は、X方向に沿って延在する1対のガイドレール51と、この1対のガイドレール51に沿って移動可能なスライダ52と、このスライダ52を1対のガイドレール51に沿って移動させるリニアモーター等の駆動手段(図示せず)とを有している。
【0029】
スライダ52には、調整機構53を介して液滴吐出ヘッド40が取り付けられている。
調整機構53は、例えば複数のモーターを含んで構成され、スライダ52に対する液滴吐出ヘッド40の位置および/または姿勢を調整し得るものである。より具体的には、調整機構53は、スライダ52に対して液滴吐出ヘッド40をZ方向に移動する機能と、スライダ52に対して液滴吐出ヘッド40をα方向(Z方向に平行な軸線回りに)回動させる機能と、スライダ52に対して液滴吐出ヘッド40をβ方向(Y方向に平行な軸線回りに)回動させる機能と、スライダ52に対して液滴吐出ヘッド40をγ方向(X方向に平行な軸線回りに)回動させる機能とを有するものである。
【0030】
液滴吐出ヘッド40は、前述したステージ20上に載置されたワークWの一方の面(上面)の描画領域に向けて、光硬化性を有する液状材料Lを液滴Dとして吐出するものである。なお、上記描画領域は、液滴吐出ヘッド40から液滴Dの付与を受け得る領域である。本実施形態では、上記描画領域がワークWの上面の全域(略全域)であるものとして説明するが、上記描画領域はワークWの上面のうちの一部であってもよい。
【0031】
液滴吐出ヘッド40は、ピエゾ素子を用いたピエゾ方式を採用し、図2に示すように、ノズル基板41と、キャビティ基板42と、振動板43と、複数の圧電素子44と、カバー基板45とを有している。
ここで、ノズル基板41と振動板43とは、キャビティ基板42を介して接合されている。
【0032】
そして、キャビティ基板42には、厚さ方向に貫通する異形孔が形成され、これにより、ノズル基板41と振動板43との間には、複数のキャビティ421と、この複数のキャビティ421と連通するリザーバ422とが形成されている。
また、ノズル基板41には、前述した複数のキャビティ421に対応して、複数のノズル(ノズル孔)411が形成されている。
【0033】
一方、振動板43のキャビティ基板42側とは反対側の面には、前述した複数のキャビティ421に対応して、複数の圧電素子44が接合されている。この各圧電素子44は、前述した制御手段60によって駆動制御される。
また、振動板43のキャビティ基板42側とは反対側の面には、カバー基板45が接合されている。このカバー基板45には、複数の圧電素子44を収納するように凹部が形成され、その縁部が振動板43に接合されている。また、カバー基板45には、前述したリザーバ422に連通する供給孔451が形成されている。
この供給孔451には、図示しないが、供給管を介して、液状材料Lを貯蔵するタンクが接続されている。これにより、タンクから供給管を介して液滴吐出ヘッド40のリザーバ422に液状材料Lが供給される。
【0034】
このように構成された液滴吐出ヘッド40では、各圧電素子44を駆動することにより、駆動する圧電素子44に対応する振動板43の部分を変形(振動)させる。これにより、駆動する圧電素子44に対応するキャビティ421の容積(圧力)を変化させ、キャビティ421内からノズル411を通じて、液状材料Lが液滴Dとして吐出される(押し出される)。
【0035】
液状材料Lは、光硬化性を有するものである。
また、液状材料Lの屈折率nは、空気の屈折率nよりも大きい。これにより、後述するように、ワークW上に液状材料Lが付与(液滴Dが着弾)したときに、その付与領域(着弾領域)においてワークW内に導光された光をワークW内から出射させてワークW上の液状材料Lに入射させることができる。
【0036】
液状材料Lとしては、液滴吐出装置1の用途等によって決定されるものであり、光硬化性および前述したような屈折率を有するものであれば、特に限定されず、有機材料を溶媒に溶解した各種溶液、有機材料や無機材料を分散質とし分散媒に分散した各種分散液を用いることができる。例えば、液状材料Lが溶液である場合、その溶液が前述したような屈折率を有するものを選定すればよく、液状材料Lが分散液である場合、その分散液の分散媒が前述したような屈折率を有するものを選定すればよい。
【0037】
また、後述するように、液状材料Lの屈折率nは、ワークWの屈折率nよりも大きいのが好ましい。例えば、ワークWがポリカーボネイト(屈折率1.585)で構成されている場合、液状材料Lとして、屈折率が1.59よりも大きいものを用いればよい。
なお、液滴吐出ヘッド40は、ピエゾ方式のものに限定されず、例えば、液状材料を加熱して発生した泡(バブル)により液滴として吐出する方式、振動板43を静電引力により振動させる静電駆動方式等であってもよい。
【0038】
以上説明したような第1の移動機構30、第2の移動機構50および液滴吐出ヘッド40は、制御手段60により駆動制御される。また、制御手段60は、後述する光源ユニット70の駆動を制御する機能をも有する。
このような制御手段60は、図2に示すように、入力バッファメモリ61と、記憶手段62と、処理部63と、走査駆動部64と、ヘッド駆動部65と、光源駆動部66と、ヘッド位置検出手段67と、ステージ位置検出手段68とを備えている。
【0039】
入力バッファメモリ61と処理部63とは相互に通信可能に接続されている。処理部63と記憶手段62とは相互に通信可能に接続されている。処理部63と走査駆動部64とは相互に通信可能に接続されている。処理部63とヘッド駆動部65とは相互に通信可能に接続されている。また、走査駆動部64は、第1の移動機構30および第2の移動機構50と相互に通信可能に接続されている。また、ヘッド駆動部65は、複数の液滴吐出ヘッド40のそれぞれと相互に通信可能に接続されている。また、光源駆動部66は、光源ユニット70と相互に通信可能に接続されている。
【0040】
入力バッファメモリ61は、図示しない外部情報処理装置から、液状材料Lの液滴を吐出する位置に関するデータ、すなわち描画パターンデータを受け取る。入力バッファメモリ61は、この描画パターンデータを処理部63に入力し、処理部63は、描画パターンデータを記憶手段62に格納する。記憶手段62は、RAM、磁気記録媒体、光磁気記録媒体等で構成される。
【0041】
ヘッド位置検出手段67は、液滴吐出ヘッド40のX方向での位置(移動距離)を検出し、その検出信号を処理部63へ入力する。
ステージ位置検出手段68は、ステージ20(およびワークW)のY方向での位置(移動距離)を検出し、その検出信号を処理部63へ入力する。
ヘッド位置検出手段67およびステージ位置検出手段68は、それぞれ、例えばリニアエンコーダ、レーザー測長器等で構成される。
【0042】
処理部63は、ヘッド位置検出手段67およびステージ位置検出手段68の検出信号に基づき、走査駆動部64を介して、第1の移動機構30および第2の移動機構50の作動を制御(クローズドループ制御)する。これにより、液滴吐出ヘッド40とワークWとのX方向およびY方向での相対位置関係および相対移動速度を制御する。
また、処理部63は、上記の描画パターンデータに基づいて、後述する液滴吐出ヘッド40の各ノズル411に対応する所定時間間隔の吐出タイミング毎の液滴吐出のオン・オフを指定する選択信号をヘッド駆動部65へ与える。ヘッド駆動部65は、上記の選択信号に基づいて、液状材料Lの吐出に必要な吐出信号を液滴吐出ヘッド40に与える。この結果、液滴吐出ヘッド40における対応するノズル411から、液状材料Lが液滴として吐出される。
【0043】
また、処理部63は、ヘッド位置検出手段67およびステージ位置検出手段68の検出信号、および/または、上記の描画パターンデータに基づいて、光源駆動部66に光源ユニット70の駆動信号を生成させ、光源ユニット70の駆動を制御することができる。これにより、制御手段60は、液滴吐出ヘッド40とステージ20との位置関係、および/または、液滴吐出ヘッド40の液滴Dの吐出パターンに基づいて、光源ユニット70の駆動を制御することができる。
制御手段60は、例えば、CPU、ROM、RAMを含んだコンピュータである。この場合には、前述したような制御手段60の機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムを用いることによって実現することができる。もちろん、制御手段60は、専用の回路(ハードウェア)であってもよい。
【0044】
(液滴吐出装置の光照射手段)
ここで、液滴吐出装置1の光照射手段について詳述する。
前述したように、ステージ20上には、光出射部71および遮光部材73が設けられている(図1および図4参照)。また、図5に示すように、光出射部71には、導光手段72を介して光源ユニット70に接続されている。
【0045】
ここで、光出射部71、光源ユニット70および導光手段72は、ワークW上の液状材料Lに、当該液状材料Lを硬化または固化し得る光を照射する光照射手段を構成する。
かかる光照射手段は、光出射部71からワークW内に入射した光を、ワークWの描画領域(上面)のうち液状材料Lが付与されていない領域では、ワークWと空気との界面で反射させ、ワークWの描画領域のうち液状材料Lが付与された領域では、ワークWと液状材料Lとの界面を通過させて当該液状材料Lに入射させるように構成されている。
【0046】
これにより、ワークWの描画領域に液状材料Lが付与されるとほぼ同時に、当該液状材料Lに光を照射して硬化処理を行うことができる。そのため、ワークWへの液状材料Lの付与から光照射までの時間を短くかつ一定時間で行うことができる。また、ワークWの描画領域に付与された液状材料Lが完全に硬化するまで、当該液状材料Lに光を照射することができる。さらに、ワークWの描画領域に付与された液状材料Lに対しワークW側から光を照射するので、付与された液状材料Lの周辺の空気中の酸素によって液状材料Lの硬化が阻害されるのを防止または抑制することができる。
【0047】
以下、かかる光照射手段を構成する各部を順次詳細に説明する。
ワークWは互いに平行な1対の端面E1、E2を有し、一方(図5にて左側)の端面(第1の端面)E1には光出射部71が対向し、他方(図5にて右側)の端面(第2の端面)E2上には遮光部材73が対向している。
光出射部71は、液状材料Lを硬化(固化)し得る光をワークW内に入射させるものである。
【0048】
この光出射部71は、ワークWの端面E1の長手方向での全域に亘って設けられた光導波路711を備えている。
この光導波路711は、その導光方向(図5にて左右方向)にて、先端(図5にて右側の端)がワークWの端面E1に臨むように設けられ、基端(図5にて左側の端)が導光手段72を介して光源ユニット70に接続されている。
【0049】
このような光導波路711は、光源ユニット70から導光手段72を介して入射した光をワークWの端面E1へ導光する。これにより、光導波路711から出射した光を端面E1からワークW内に入射させることができる。また、ワークWの端面からワークW内に光を入射させることで、比較的簡単に、不本意なワークW外への光の漏れを防止しつつ、ワークW内に光を入射させることができる。
【0050】
ここで、ワークWは、液状材料Lが付与されていない領域において、光を導光する機能を有する。したがって、ワークW上に液状材料Lが付与されていない領域では、端面E1からワークW内に入射した光は、ワークW内を端面E2側に向けて進行する(導光される)。
特に、空気の屈折率をnとし、ワークWの屈折率をnとしたときに、これらの屈折率は、
<n
なる関係を満たす。
【0051】
これにより、図5に示すように、ワークW内に入射した光のうち、臨界角θよりも大きい角度でワークWの上面または下面へ入射した光は、ワークW上に液状材料Lが付与されていない領域で、ワークWの上面および下面のそれぞれで全反射する。これにより、ワークW内に入射した光のうちの少なくとも一部がワークWの上面と下面との間で反射しながら端面E2側に向けて進行する。
そのため、ワークW内に入射した光が不本意にワークW外へ出射するのを防止することができる。その結果、液滴吐出ヘッド40のノズル411付近での液状材料Lの硬化によるノズル411の詰まり等を防止することができる。
【0052】
また、液状材料Lの屈折率をnとし、空気の屈折率をnとしたときに、これらの屈折率は、
<n
なる関係を満たす。
これにより、ワークWの描画領域のうち液状材料Lが付与された領域では、光出射部71からワークW内に入射した光をワークWと液状材料Lとの界面を通過させて当該液状材料Lに入射させることができる。また、液状材料Lに入射した光は、液状材料Lと空気との界面で反射させることができる。そのため、当該光が液滴吐出ヘッド40へ及ぶのを防止することができる。
【0053】
特に、液状材料Lの屈折率をnとし、ワークWの屈折率をnとしたときに、これらの屈折率は、
<n
なる関係を満たすのが好ましい。
これにより、ワークWの描画領域のうち液状材料Lが付与された領域では、ワークW内に入射した光がワークWと液状材料Lとの間で反射するのを防止または抑制し、効率的に、ワークW内に入射した光をワークW上の液状材料Lに向けて出射させることができる。
このような光出射部71には、導光手段72を介して光源ユニット70が接続されている。
【0054】
すなわち、光照射手段は、ステージ20の外部に設けられた光源ユニット(光源)70と、この光源ユニット70からの光を光出射部71に導く導光手段72とを備える。これにより、高出力な光源ユニット70を用いた場合であっても、ステージ20上の荷重を抑えることができる。そのため、本実施形態のように第1の移動機構30によりステージ20を移動させる場合、ステージ20を安定かつ正確に移動させ、その結果、より高精度な液滴吐出を実現することができる。
【0055】
導光手段72は、複数の光ファイバー721で構成されている。この複数の光ファイバー721は、それぞれ、一端が光源ユニット70、他端が光出射部71の光導波路711に接続されている。これにより、導光手段72は、光源ユニット70から光導波路711へ導光することができる。
このような光ファイバーを備える導光手段72は、可撓性を有する。そのため、本実施形態のように第1の移動機構30によりステージ20を移動させる場合、ステージ20の移動を妨げることなく、導光手段72が光源ユニット70から光出射部71へ光を導光させることができる。
なお、導光手段72は、光源ユニット70から光導波路711へ導光することができるものであれば、前述したものに限定されず、例えば、光導波路で構成してもよいし、レンズ、ミラー、プリズム等の光学部品またはこれらの組み合わせにより構成してもよい。
【0056】
光源ユニット70は、液状材料Lを硬化し得る光を出射する(発する)もの(光源)である。
光源ユニット70は、液状材料Lを硬化し得る波長および強度の光を発するものであれば、特に限定されず、各種光源を用いることができるが、例えば、液状材料Lが紫外線硬化性である場合、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、YAGレーザー、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)等を用いることができる。
【0057】
中でも、光源ユニット70(光源)は、レーザーまたはLEDであるのが好ましい。これらの光源は、指向性が高い。そのため、光出射部71から出射した全光を前述した臨界角θ以上でワークW内に入射させることができる。その結果、ワークW外への不本意な光の漏れを防止または抑制することができる。
また、光源ユニット70は、導光手段72の各光ファイバーに光を入射させる1つの光源(発光素子)を有するものであってもよいし、導光手段72の複数の光ファイバーに対応した複数の光源(発光素子)を有するものであってもよい。
【0058】
また、光源ユニット70は、導光手段72の複数の光ファイバーに対応した複数の光源(発光素子)を有する場合、その複数の光源を選択的に点灯・消灯し得るように構成されているのが好ましい。
これにより、ワークWの端面E1の長手方向における光出射部71の所定範囲毎に光の出射・非出射を切り換え得ることができる。
【0059】
この場合、液滴吐出ヘッド40とステージ20との位置関係、および/または、液滴吐出ヘッド40の液滴Dの吐出パターンに基づいて、ワークWの端面E1の長手方向における光出射部71の所定範囲毎に光の出射・非出射を切り換えるのが好ましい。これにより、ワークW上の液状材料Lに対する光の照射時間を制御することができる。その結果、ワークWの液状材料Lの硬化状態を所望のものとすることができる。また、ワークW内からの不本意な光の漏れを防止することもできる。
なお、前述したように、光源ユニット70は、制御手段60に電気的に接続されており、制御手段60は、液滴吐出ヘッド40とステージ20との位置関係、および/または、液滴吐出ヘッド40の液滴Dの吐出パターンに基づいて、光源ユニット70を駆動制御することができる。
【0060】
また、遮光部材73は、遮光性を有する機能を有する。この機能により、ワークW内を端面E1から端面E2側へ進行する光が端面E2から外部へ漏れるのを防止することができる。その結果、液滴吐出ヘッド40のノズル411付近に光が及ぶのを防止し、ノズル411の液状材料Lの硬化または固化による詰まりや吐出不良等を防止することができる。
また、遮光部材73は、光反射性を有するのが好ましい。これにより、ワークW内で端面E2へ進行した光を端面E1側に反射することで、光の利用効率を高め、所望時における液状材料Lの硬化または固化を効率的に行うことができる。
【0061】
次に、以上説明したように構成された液滴吐出装置1の作動(液滴吐出装置1を用いた液滴吐出方法)の一例について説明する。
まず、ステージ20上にワークWを載置する。
次に、光源ユニット70を作動させる。これにより、光出射部71から出射した光が端面E1からワークW内に入射する。そして、端面E1からワークW内に入射した光は、ワークWの両面間で反射しながら、ワークW内を端面E2側に向けて進行する。
【0062】
その状態で、ステージ20と液滴吐出ヘッド40とをX方向およびY方向に相対的に移動させながら、液滴吐出ヘッド40から液滴DをワークWの描画領域に付与する。
これにより、ワークWの描画領域のうち液状材料L(液滴D)が付与された領域では、光出射部71からワークW内に入射した光がワークW内から当該液状材料Lに向けて出射する。その結果、ワークWに付与された液状材料Lを硬化または固化させることができる。
このとき、ワークWの描画領域のうち液状材料L(液滴D)が付与されていない領域では、光出射部71からワークW内に入射した光がワークWの両面間で反射しながらワークW内を進行する。
【0063】
このようにして、ワークWに対する液状材料Lの付与、光硬化を行うことができる。なお、液滴吐出装置1では、ワークWの描画領域のうちの同一部位に対して液状材料Lの付与を複数回行って、厚膜化された膜(層)を形成することができる。この場合、液状材料Lの付与毎に、付与された液状材料Lを瞬時に光硬化することができるので、アスペクト比が高く、寸法精度に優れた膜(層)を形成することができる。
【0064】
以上説明したような第1実施形態にかかる液滴吐出装置1および液滴吐出方法(本発明の液滴吐出方法)によれば、ワークWの描画領域に液状材料Lが付与されるとほぼ同時に、当該液状材料Lに光を照射して硬化処理を行うことができる。そのため、ワークWへの液状材料Lの付与から光照射までの時間を短くかつ一定時間で行うことができる。また、ワークWの描画領域に付与された液状材料Lが完全に硬化するまで、当該液状材料Lに光を照射することができる。さらに、ワークWの描画領域に付与された液状材料Lに対しワークW側から光を照射するので、付与された液状材料Lの周辺の空気中の酸素によって液状材料Lの硬化が阻害されるのを防止または抑制することができる。
このようなことから、本実施形態の液滴吐出装置1および液滴吐出方法では、光硬化性を有する液状材料Lを用い、高精度な液滴吐出を実現することができる。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本発明の液滴吐出装置の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態にかかる光照射手段を説明するための模式図である。
本実施形態にかかる液滴吐出装置は、光照射手段の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる液滴吐出装置と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の液滴吐出装置に関し、第1実施形態の液滴吐出装置との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
【0066】
本実施形態の液滴吐出装置では、図6に示すように、ワークWの端面E1に、光出射部71Aが対向している。
この光出射部71Aは、液状材料Lを硬化(固化)し得る光をワークW内に入射させるものである。
この光出射部71Aは、ワークWの端面E1の長手方向での全域に亘って設けられた光源712および反射部材713を備えている。
【0067】
光源712は、ワークWの端面E1の長手方向での全域に亘って光を入射し得るものである。
このような光源712としては、特に限定されず、前述した第1実施形態の光源ユニット70と同様の光源を用いることができる。
このような光源712のワークWの端面E1とは反対側には、反射部材713が設けられている。
また、光源712は、制御手段60に電気的に接続され、制御手段60により駆動制御される。
反射部材713は、光源712からの光をワークWの端面E1に向けて反射するものである。
なお、この反射部材713は、光源712の種類によっては省略することができる。また、光源712とワークWとの間にレンズ等の集光手段が設けられていてもよい。
【0068】
このような光出射部71は、光源712を備えるので、ステージ20からステージ20の外部へもたらされる光ファイバーのような導光手段が不要となる。そのため、光源712からの光の損失が少なく、利用効率を高め、所望時における液状材料Lの硬化または固化を効率的に行うことができる。
以上説明したような第2実施形態にかかる液滴吐出装置によっても、前述した第1実施形態の液滴吐出装置1と同様の効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0069】
1……液滴吐出装置 10……装置本体 11……基台 12……柱体 13……キャッピングユニット 14……クリーニングユニット 20……ステージ 21…穴 30……第1の移動機構 31……ガイドレール 32……スライダ 33……調整機構 40……液滴吐出ヘッド 41……ノズル基板 411……ノズル 42……キャビティ基板 421……キャビティ 422……リザーバ 43……振動板 44……圧電素子 45……カバー基板 451……供給孔 50……第2の移動機構 51……ガイドレール 52……スライダ 53……調整機構 60……制御手段 61……入力バッファメモリ 62……記憶手段 63……処理部 64……走査駆動部 65……ヘッド駆動部 66……光源駆動部 67……ヘッド位置検出手段 68……ステージ位置検出手段 70……光源ユニット 71、71A……光出射部 711……光導波路 712……光源 72……導光手段 721……光ファイバー L……液状材料 D……液滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する板状またはシート状のワークを載置する載置部を備えるステージと、
前記ワークの一方の面の描画領域に向けて、光硬化性を有する液状材料を液滴として吐出するノズルを備える液滴吐出ヘッドと、
前記ステージと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
前記描画領域に付与された前記液状材料に、当該液状材料を硬化し得る光を照射する光照射手段とを有し、
前記光照射手段は、前記ワーク内に前記光を入射させるように設けられた光出射部を備え、
前記液状材料の屈折率をnとし、空気の屈折率をnとしたときに、これらの屈折率は、
<n
なる関係を満たし、
前記光出射部から前記ワーク内に入射した前記光を、前記描画領域のうち前記液状材料が付与されていない領域では、前記ワークと空気との界面で反射させ、前記描画領域のうち前記液状材料が付与された領域では、前記ワークと前記液状材料との界面を通過させて当該液状材料に入射させるように構成されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記ワークの屈折率をnとしたときに、
<n
なる関係を満たす請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記ワークの屈折率をnとしたときに、
<n
なる関係を満たす請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記光出射部は、前記ワークの端面から前記ワーク内に光を入射させるように構成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記ワークは、互いに平行な第1の端面および第2の端面を有しており、
前記第1の端面には、前記光出射部が対向し、
前記第2の端面には、遮光性を有する遮光部材が対向している請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記遮光部材は、光反射性を有する請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記光照射手段は、前記液滴吐出ヘッドと前記ステージとの位置関係、および/または、前記液滴吐出ヘッドの前記液滴の吐出パターンに基づいて、前記第1の端面の長手方向における前記光出射部の所定範囲毎に光の出射・非出射を切り換えるように構成されている請求項5または6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記光照射手段は、前記ステージの外部に設けられた光源と、該光源からの光を前記光出射部に導く導光手段とを備える請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記導光手段は、光ファイバーを備える請求項8に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記光出射部は、光源を備える請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記光源は、レーザーまたはLEDである請求項8ないし10のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
光硬化性を有する液状材料の屈折率をnとし、空気の屈折率をnとしたときに、これらの屈折率は、
<n
なる関係を満たし、
光透過性を有する板状またはシート状のワーク内に、前記液状材料を硬化し得る光を入射させるとともに、
前記ワークを載置する載置部を備えるステージと、前記ワークの一方の面の描画領域に向けて、前記液状材料を液滴として吐出するノズルを備える液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させながら、前記液滴吐出ヘッドから前記液滴を前記描画領域に付与し、
前記光出射部から前記ワーク内に入射した前記光を、前記描画領域のうち前記液状材料が付与されていない領域では、前記ワークと空気との界面で反射させ、前記描画領域のうち前記液状材料が付与された領域では、前記ワークと前記液状材料との界面を通過させて当該液状材料に入射させることを特徴とする液滴吐出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−214262(P2010−214262A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62097(P2009−62097)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】