液滴吐出装置
【課題】従来の液滴吐出装置では、吐出ヘッドの信頼性を高めることが困難である。
【解決手段】液状体が液滴の状態で吐出されるノズルを有する吐出ヘッド33と、吐出ヘッド33の前記ノズルが設けられている面であるノズル面35に付着した前記液状体の少なくとも一部を払拭するワイパー23a及びワイパー23bと、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bとを互いに対向させた状態で、ワイパー23a及びワイパー23bに対する吐出ヘッド33の位置を変化させる変位装置と、を有し、吐出ヘッド33とワイパー23a及びワイパー23bとが互いに対向した状態において、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bとは、隙間91を介して互いに離間している、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【解決手段】液状体が液滴の状態で吐出されるノズルを有する吐出ヘッド33と、吐出ヘッド33の前記ノズルが設けられている面であるノズル面35に付着した前記液状体の少なくとも一部を払拭するワイパー23a及びワイパー23bと、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bとを互いに対向させた状態で、ワイパー23a及びワイパー23bに対する吐出ヘッド33の位置を変化させる変位装置と、を有し、吐出ヘッド33とワイパー23a及びワイパー23bとが互いに対向した状態において、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bとは、隙間91を介して互いに離間している、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
液状体を液滴として吐出することができる液滴吐出装置の1つとして、インクジェット装置が知られている。インクジェット装置では、インクなどの液状体を吐出ヘッドから液滴として吐出することができる。このようなインクジェット装置では、従来から、吐出ヘッドのノズルプレートを、ワイパーブレードや清掃布などで払拭する方法が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3412149号公報
【特許文献2】特開2001−171135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吐出ヘッドのノズルプレートには、インクなどの液状体が付着することがある。
上記特許文献1や特許文献2に記載されたインクジェット装置では、ノズルプレートに付着した液状体を、ワイパーブレードや清掃布などで払拭することができる。
ところで、ノズルプレートには、種々のコーティングや処理などが施されていることがある。これらのコーティングや処理などの表面処理によって、液状体の吐出性能を向上させることができる。
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2に記載されたインクジェット装置では、ノズルプレートをワイパーブレードや清掃布などで払拭するので、表面処理が破壊されやすくなる。
つまり、従来の液滴吐出装置では、吐出ヘッドの信頼性を高めることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0006】
[適用例1]液状体が液滴の状態で吐出されるノズルを有する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドの前記ノズルが設けられている面であるノズル面に付着した前記液状体の少なくとも一部を払拭する払拭部材と、前記ノズル面と前記払拭部材とを互いに対向させた状態で、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を変化させる変位装置と、を有し、前記吐出ヘッドと前記払拭部材とが互いに対向した状態において、前記ノズル面と前記払拭部材とは、隙間を介して互いに離間している、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0007】
この適用例の液滴吐出装置は、吐出ヘッドと、払拭部材と、変位装置と、を有している。
吐出ヘッドは、ノズルを有している。ノズルからは、液状体が液滴の状態で吐出される。吐出ヘッドにおいて、ノズルが設けられている面は、ノズル面と呼ばれる。
払拭部材は、ノズル面に付着した液状体の少なくとも一部を払拭する。
変位装置は、ノズル面と払拭部材とを互いに対向させた状態で、払拭部材に対する吐出ヘッドの位置を変化させる。
この液滴吐出装置では、吐出ヘッドと払拭部材とが互いに対向した状態において、ノズル面と払拭部材とが、隙間を介して互いに離間している。このため、ノズル面と払拭部材との摩擦を避けやすくすることができる。これにより、ノズル面の表面状態を維持しやすくすることができる。この結果、吐出ヘッドの信頼性を高めやすくすることができる。
【0008】
[適用例2]上記の液滴吐出装置であって、前記ノズル面と前記払拭部材との間の離間距離は、前記液滴を付着させる対象であるワークと前記ノズル面との間の離間距離よりも短い、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0009】
この適用例では、ノズル面と払拭部材との間の離間距離は、液滴を付着させる対象であるワークとノズル面との間の離間距離よりも短い。これにより、ノズル面に付着した液状体のうち、ノズル面と払拭部材との間の離間距離を超える大きさの液状体を、払拭部材で払拭することができる。これにより、ノズル面と払拭部材との間の離間距離を超える大きさの液状体がワークに付着することを抑えやすくすることができる。
【0010】
[適用例3]上記の液滴吐出装置であって、前記吐出ヘッドは、複数の前記ノズルが配列したノズル列を有しており、前記変位装置は、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を、平面視で前記ノズル列の延在方向とは交差する方向に変化させる、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0011】
この適用例では、吐出ヘッドは、ノズル列を有している。ノズル列では、複数のノズルが配列している。そして、変位装置は、払拭部材に対する吐出ヘッドの位置を、平面視でノズル列の延在方向とは交差する方向に変化させる。
上記の構成により、払拭部材によって払拭される液状体が、他のノズルに付着することを避けやすくすることができる。
【0012】
[適用例4]上記の液滴吐出装置であって、前記払拭部材は、前記液状体でパターンを描画することができる領域である描画領域の外側に設けられており、前記パターンを描画するときに、前記変位装置は、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を、平面視で、前記払拭部材の前記描画領域側とは反対側から前記払拭部材を越えて前記描画領域内に変化させ、且つ、前記描画領域内から前記払拭部材を越えて前記描画領域外に変化させる、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0013】
この適用例では、払拭部材は、描画領域の外側に設けられている。描画領域は、液状体でパターンを描画することができる領域である。
そして、パターンを描画するときに、変位装置は、払拭部材に対する吐出ヘッドの位置を、平面視で、払拭部材の描画領域側とは反対側から払拭部材を越えて描画領域内に変化させ、且つ、描画領域内から払拭部材を越えて描画領域外に変化させる。
上記により、パターンを描画するときに、吐出ヘッドのノズル面を払拭部材で払拭することができる。
【0014】
[適用例5]上記の液滴吐出装置であって、前記変位装置は、前記吐出ヘッドを、平面視で、前記描画領域の外側と前記描画領域の内側との間を所定の経路で往復移動させるヘッド移動装置を含んでおり、前記払拭部材は、平面視で、前記経路の途中に設けられている、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0015】
この適用例では、変位装置は、ヘッド移動装置を含んでいる。ヘッド移動装置は、吐出ヘッドを、平面視で、描画領域の外側と描画領域の内側との間を所定の経路で往復移動させる。そして、払拭部材は、平面視で、上記経路の途中に設けられている。
上記の構成によれば、払拭部材は、吐出ヘッドの通り道の途中に設けられる。このため、例えば、払拭部材の位置を固定しても、平面視で吐出ヘッドと払拭部材とを交差させることができる。これにより、例えば、払拭部材の大きさを必要最小限にとどめやすくすることができる。この結果、払拭部材を小型化しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示す斜視図。
【図2】第1実施形態におけるヘッドユニットを図1中のA視方向に見たときの正面図。
【図3】第1実施形態における吐出ヘッドの底面図。
【図4】図2中のB−B線における断面図。
【図5】図1中のC−C線における断面図。
【図6】第1実施形態におけるワークテーブルを図1中のA視方向に見たときの正面図。
【図7】本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示すブロック図。
【図8】第1実施形態における描画処理の流れを示す図。
【図9】第2実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示す斜視図。
【図10】第2実施形態における吐出ヘッドの底面図。
【図11】第2実施形態におけるワークテーブル及びワイピングユニットを図9中のD視方向に見たときの側面図。
【図12】第2実施形態における描画処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、各図面において、それぞれの構成を認識可能な程度の大きさにするために、構成や部材の縮尺が異なっていることがある。
【0018】
第1実施形態における液滴吐出装置1は、概略の構成を示す斜視図である図1に示すように、ワーク搬送装置3と、ヘッドユニット5と、キャリッジ7と、キャリッジ搬送装置8と、キャッピング装置9と、とを有している。
液滴吐出装置1では、基板などのワークWとヘッドユニット5との平面視での相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット5から液状体を液滴として吐出させることによって、ワークWに液状体で所望のパターンを描画することができる。なお、図中のY方向はワークWの移動方向を示し、X方向は平面視でY方向とは直交する方向を示している。また、X方向及びY方向によって規定されるXY平面と直交する方向は、Z方向として規定される。
【0019】
このような液滴吐出装置1は、例えば、液晶表示パネル等に用いられるカラーフィルターの製造や、有機EL装置の製造などに適用され得る。
赤、緑及び青の3色のフィルターエレメントを有するカラーフィルターの場合、液滴吐出装置1は、例えば、基板に赤、緑及び青の各着色層を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット5から各着色層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれのフィルターエレメントのパターンが描画される。
また、有機EL装置の製造では、例えば、赤、緑及び青の画素ごとに、各色に対応する機能層(有機層)を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット5から各色の機能層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれの機能層のパターンが描画される。
【0020】
ここで、液滴吐出装置1の各構成について、詳細を説明する。
ワーク搬送装置3は、図1に示すように、定盤11と、ガイドレール13aと、ガイドレール13bと、ワークテーブル15と、テーブル位置検出装置17と、を有している。
定盤11は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料で構成されており、Y方向に沿って延びるように据えられている。ガイドレール13a及びガイドレール13bは、定盤11の上面11a上に配設されている。ガイドレール13a及びガイドレール13bは、それぞれ、Y方向に沿って延在している。ガイドレール13aとガイドレール13bとは、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んでいる。
【0021】
ワークテーブル15は、ガイドレール13a及びガイドレール13bを挟んで定盤11の上面11aに対向した状態で設けられている。ワークテーブル15は、定盤11から浮いた状態でガイドレール13a及びガイドレール13b上に載置されている。
ワークテーブル15は、ガイドレール13a及びガイドレール13bによってY方向に沿って案内され、定盤11上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
テーブル位置検出装置17は、定盤11の上面11aに設けられており、Y方向に延在している。テーブル位置検出装置17は、ガイドレール13aとガイドレール13bとの間に設けられている。テーブル位置検出装置17は、ワークテーブル15のY方向における位置を検出する。
ところで、ワークテーブル15には、ワーク領域18と、ワイピング領域19aと、ワイピング領域19bと、が設定されている。ワーク領域18は、ワークWの載置が許可される領域であり、ワークWが載置される面である載置面15aを有している。載置面15aは、定盤11側とは反対側(上側)に向けられている。
ワイピング領域19a及びワイピング領域19bは、それぞれ、ワーク領域18の外側に設けられている。ワイピング領域19aとワイピング領域19bとは、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙している。
【0022】
ワイピング領域19aには、フラッシングユニット21aと、ワイパー23aと、が設けられている。ワイピング領域19bには、フラッシングユニット21bと、ワイパー23bと、が設けられている。
フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21b、並びに、ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ヘッドユニット5における液滴を吐出する性能(以下、吐出性能と呼ぶ)を維持する装置である。
フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21bは、それぞれ、X方向に延在している。フラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとは、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙している。
【0023】
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、X方向に延在している。
ワイパー23aは、ワーク領域18とフラッシングユニット21aとの間に設けられている。ワイパー23bは、ワーク領域18とフラッシングユニット21bとの間に設けられている。
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ワーク領域18のX方向における幅を網羅する距離にわたって設けられている。
【0024】
ワークテーブル15は、図示しない移動機構及び動力源によって、Y方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、ワークテーブル15をY方向に沿って移動させるための動力源として、後述するワーク搬送モーターが採用されている。ワーク搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
ワーク搬送モーターからの動力は、移動機構を介してワークテーブル15に伝達される。これにより、ワークテーブル15は、ガイドレール13a及びガイドレール13bに沿って、すなわちY方向に沿って往復移動することができる。つまり、ワーク搬送装置3は、ワークテーブル15の載置面15aに載置されたワークWを、Y方向に沿って往復移動させることができる。
【0025】
ヘッドユニット5は、ヘッドユニット5を図1中のA視方向に見たときの正面図である図2に示すように、ヘッドプレート31と、吐出ヘッド33と、を有している。
吐出ヘッド33は、底面図である図3に示すように、ノズル面35を有している。ノズル面35には、複数のノズル37が形成されている。なお、図3では、ノズル37をわかりやすく示すため、ノズル37が誇張され、且つノズル37の個数が減じられている。
複数のノズル37は、X方向に沿って所定のピッチPで配列形成されており、X方向に延在するノズル列39を構成している。
【0026】
吐出ヘッド33は、図2中のB−B線における断面図である図4に示すように、ノズルプレート41と、キャビティープレート43と、振動板45と、複数の圧電素子47と、を有している。
ノズルプレート41は、ノズル面35を有している。複数のノズル37は、ノズルプレート41に設けられている。
キャビティープレート43は、ノズルプレート41のノズル面35とは反対側の面に設けられている。キャビティープレート43には、複数のキャビティー51が形成されている。各キャビティー51は、各ノズル37に対応して設けられており、対応する各ノズル37に連通している。各キャビティー51には、図示しないタンクから機能液53が供給される。
【0027】
振動板45は、キャビティープレート43のノズルプレート41側とは反対側の面に設けられている。振動板45は、Z方向に振動(縦振動)することによって、キャビティー51内の容積を拡大したり、縮小したりする。
複数の圧電素子47は、それぞれ、振動板45のキャビティープレート43側とは反対側の面に設けられている。各圧電素子47は、各キャビティー51に対応して設けられており、振動板45を挟んで各キャビティー51に対向している。各圧電素子47は、駆動信号に基づいて、伸張する。これにより、振動板45がキャビティー51内の容積を縮小する。このとき、キャビティー51内の機能液53に圧力が付与される。その結果、ノズル37から、機能液53が液滴55として吐出される。吐出ヘッド33による液滴55の吐出法は、インクジェット法の1つである。
【0028】
上記の構成を有する吐出ヘッド33は、図2に示すように、ノズル面35がヘッドプレート31から突出した状態で、ヘッドプレート31に支持されている。
キャリッジ7は、図1に示すように、ヘッドユニット5を支持している。ここで、ヘッドユニット5は、ノズル面35(図2)がZ方向の下方に向けられた状態でキャリッジ7に支持されている。
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電素子47が採用されているが、機能液53に圧力を付与するための加圧手段は、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子も採用され得る。また、加圧手段としては、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなども採用され得る。さらに、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液に圧力を付与する構成も採用され得る。
【0029】
キャリッジ搬送装置8は、図1に示すように、架台61と、ガイドレール63と、キャリッジ位置検出装置65と、を有している。
架台61は、X方向に延在しており、ワーク搬送装置3及びキャッピング装置9をX方向にまたいでいる。架台61は、ワークテーブル15の定盤11側とは反対側で、ワーク搬送装置3及びキャッピング装置9のそれぞれに対向している。架台61は、支柱67aと支柱67bとによって支持されている。支柱67a及び支柱67bは、定盤11を挟んでX方向に互いに対峙する位置に設けられている。支柱67a及び支柱67bは、それぞれ、ワークテーブル15よりもZ方向の上方に突出している。これにより、架台61とワークテーブル15との間、及び架台61とキャッピング装置9との間には、それぞれ隙間が保たれている。
【0030】
ガイドレール63は、架台61の定盤11側に設けられている。ガイドレール63は、X方向に沿って延在しており、架台61のX方向における幅にわたって設けられている。
前述したキャリッジ7は、ガイドレール63に支持されている。キャリッジ7がガイドレール63に支持された状態において、吐出ヘッド33のノズル面35は、Z方向においてワークテーブル15側に向いている。キャリッジ7は、ガイドレール63によってX方向に沿って案内され、X方向に往復動可能な状態でガイドレール63に支持されている。なお、平面視で、キャリッジ7がワークテーブル15に重なっている状態において、ノズル面35とワークテーブル15の載置面15aとは、互いに隙間を保った状態で対向する。
キャリッジ位置検出装置65は、架台61とキャリッジ7との間に設けられており、X方向に延在している。キャリッジ位置検出装置65は、キャリッジ7のX方向における位置を検出する。
【0031】
キャリッジ7は、図示しない移動機構及び動力源によって、X方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、キャリッジ7をX方向に沿って移動させるための動力源として、後述するキャリッジ搬送モーターが採用されている。キャリッジ搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
キャリッジ搬送モーターからの動力は、移動機構を介してキャリッジ7に伝達される。これにより、キャリッジ7は、ガイドレール63に沿って、すなわちX方向に沿って往復移動することができる。つまり、キャリッジ搬送装置8は、キャリッジ7に支持されたヘッドユニット5を、X方向に沿って往復移動させることができる。
【0032】
キャッピング装置9は、吐出ヘッド33に蓋をする装置である。液滴吐出装置1では、吐出ヘッド33のノズル37から、液状体(機能液53)の液体成分が蒸発することがある。一般的に、液状体における液体成分が蒸発すると、液状体の粘度が高くなる。吐出ヘッド33内の液状体における液体成分がノズル37から蒸発すると、ノズル37が目詰まりすることがある。キャッピング装置9は、吐出ヘッド33に蓋をすることで、液状体における液体成分がノズル37から蒸発することを低く抑える。これにより、ノズル37に目詰まりが発生することを低く抑えることができる。
【0033】
キャッピング装置9は、図1中のC−C線における断面図である図5に示すように、支持台71と、キャップ部73と、チューブ75と、吸引ポンプ77と、を有している。キャップ部73は、筐体79と、ばね81と、枠83と、パッキン85と、ストッパー87と、を有している。
キャップ部73は、支持台71に載置されている。支持台71は、キャップ部73の筐体79を支持している。
ばね81は、筐体79内に収容されており、筐体79の底部79aに支持されている。
枠83は、筐体79内に収容されており、ばね81を介して筐体79に支持されている。
【0034】
ばね81は、筐体79の底部79aと枠83の底面83aとの間に挟持されており、枠83の底面83aを上方に向けて付勢している。
パッキン85は、ゴムやエラストマなどの弾性体で構成され、断面がZ方向の下方に向かって凹となる形状を有している。パッキン85は、枠83内に収容されている。パッキン85が吐出ヘッド33の周縁部に当接すると、パッキン85の凹形状と吐出ヘッド33とに囲まれた領域に空間89が形成される。パッキン85は、空間89の気密性を高める機能を有している。
ストッパー87は、筐体79の上面に設けられ、ばね81によって付勢されている枠83が筐体79外に突出してしまうことを規制している。
【0035】
チューブ75は、一端が吸引ポンプ77に接続され、他端がパッキン85に接続されている。吸引ポンプ77は、チューブ75によって、支持台71内から、筐体79、枠83及びパッキン85を経て空間89に連通している。吸引ポンプ77としては、エジェクタポンプなどの流体作動式ポンプや、機械式ポンプ、回転式ポンプ等の種々の真空ポンプが採用され得る。
ここで、キャッピング装置9では、吸引ポンプ77を作動させることによって、吐出ヘッド33のノズル37から液状体を吐出ヘッド33の外に吸引することができる。ノズル37から液状体を吐出ヘッド33の外に吸引する動作は、吸引動作と呼ばれる。吸引動作は、吐出ヘッド33のノズル37から液状体を強制的に排出させるときに実施される。
なお、図5では、吸引ポンプ77が支持台71内に図示されているが、吸引ポンプ77の位置は、支持台71外であってもよい。この場合、チューブ75は、パッキン85から支持台71内を経て支持台71外に引き出される。吸引ポンプ77が支持台71外にあれば、吸引ポンプ77の駆動にともなう振動を吐出ヘッド33に伝えにくくすることができる。
【0036】
ここで、吸引動作は、例えば、ノズル37における液滴55を吐出する性能(以下、吐出性能と呼ぶ)を回復させるときなどに実施される。例えば、ノズル37内の液状体の粘度が高くなってしまったときなどに、吐出された液滴55の飛行経路が曲がったり、液滴55の吐出が阻害されたりすることがある。吸引動作を実施することによって、これらのような吐出性能の低下を回復させることができる。
【0037】
液滴吐出装置1では、吐出性能の低下を避けやすくするための動作として、フラッシング動作がある。フラッシング動作は、ワークWへのパターンの描画とは無関係に、吐出ヘッド33から液状体を吐出させる動作である。フラッシング動作には、例えば、液状体がノズル37内で固化してしまうことを予防する効果がある。前述したフラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21b(図1)は、それぞれ、フラッシング動作のときに、吐出ヘッド33から吐出される液状体を受ける装置である。
フラッシング動作は、図6に示すように、吐出ヘッド33と、フラッシングユニット21a又はフラッシングユニット21bとを互いに対向させた状態で実施される。
【0038】
液滴吐出装置1では、ワークWと吐出ヘッド33とを互いに対向させた状態でワークWをY方向に往復移動させつつ、吐出ヘッド33から液滴55を吐出させることによって、ワークWに対するパターンの描画が行われる。そして、本実施形態では、フラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとが、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙している。このため、例えば、往復移動の往動から復動への折り返しや復動から往動への折り返しのときに、吐出ヘッド33と、フラッシングユニット21a又はフラッシングユニット21bとを互いに対向させやすい。従って、ワークWに対するパターンの描画の途中でも、わずかな時間でフラッシング動作が可能となる。この結果、吐出性能を維持しつつ、描画時間の長期化を避けやすくすることができる。
【0039】
また、液滴吐出装置1では、ワークWへのパターンの描画の過程で吐出ヘッド33に液状体が付着することがある。このとき、吐出ヘッド33のノズル面35に液状体が付着すると、吐出性能が低下することがある。ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ノズル面35に付着している液状体の少なくとも一部を払拭することができる。これにより、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。ノズル面35に付着している液状体を、ワイパー23aやワイパー23bで払拭する動作は、ワイピング動作と呼ばれる。
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ゴムなどの弾性体で構成されており、載置面15aから吐出ヘッド33側に向かって突出したブレード状を呈している。
ワイピング動作は、吐出ヘッド33とワイパー23a又はワイパー23bとを互いに対向させながら、吐出ヘッド33に対するワイパー23a又はワイパー23bの位置をY方向に変化させることによって行われる。
【0040】
本実施形態では、ワイパー23aによるワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23aの位置を、吐出ヘッド33をY方向にまたぐ距離にわたって変化させることによって行われる。また、ワイパー23bによるワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23bの位置を、吐出ヘッド33をY方向にまたぐ距離にわたって変化させることによって行われる。
そして、本実施形態では、ワイパー23aとワイパー23bとが、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙している。このため、例えば、往復移動の往動から復動への折り返しや復動から往動への折り返しのときに、ワイパー23a又はワイパー23bの位置を、吐出ヘッド33をまたいで変化させやすい。従って、ワークWに対するパターンの描画の途中でも、わずかな時間でワイピング動作が可能となる。この結果、吐出性能を維持しつつ、描画時間の長期化を避けやすくすることができる。
【0041】
ところで、本実施形態では、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれと、ノズル面35との間には、隙間91が設けられている。つまり、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれと、ノズル面35とは、互いに対向した状態において、離間している。このため、ワイピング動作において、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとは、互いに接触しない。
ここで、本実施形態では、ノズル面35に、撥液処理などの表面処理が施されている。撥液処理によって、ノズル面35に付着した液状体がノズル面35にぬれ広がることを低く抑えることができる。これにより、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。
【0042】
従来、一般的なワイピング動作では、ノズル面35を、ゴムなどで構成されるワイパーブレードや、布や不織布などで構成される清掃布等でこすることによって、ノズル面35に付着した液状体を払拭する方法が多く採用されている。しかしながら、ワイパーブレードや清掃布等でノズル面35をこすると、ノズル面35に施されている表面処理が破壊されやすくなる。
これに対し、本実施形態では、ワイピング動作において、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとの摩擦を避けることができる。このため、本実施形態では、ノズル面35に施されている表面処理が破壊されにくい。この結果、ノズル面35の表面状態を維持しやすくすることができ、吐出性能を維持しやすくすることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、隙間91は、ノズル面35とワークWとの間の隙間93よりも狭い。
ここで、ノズル面35に付着した液状体(以下、付着液状体と呼ぶ)に新たな液状体が加わることによって、付着液状体のZ方向における高さ寸法が隙間93の距離に達することが考えられる。このような場合においても、本実施形態では、ワイピング動作によって、付着液状体のZ方向における高さ寸法を隙間93の距離よりも短く抑えやすくすることができる。これにより、付着液状体がワークWに付着することを避けやすくすることができる。
【0044】
液滴吐出装置1は、図7に示すように、上記の各構成の動作を制御する制御部111を有している。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)113と、駆動制御部115と、メモリー部117と、を有している。駆動制御部115及びメモリー部117は、バス119を介してCPU113に接続されている。
また、液滴吐出装置1は、キャリッジ搬送モーター121と、ワーク搬送モーター123と、入力装置129と、表示装置131と、を有している。キャリッジ搬送モーター121、ワーク搬送モーター123、入力装置129、及び表示装置131は、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0045】
キャリッジ搬送モーター121は、キャリッジ7を駆動するための動力を発生させる。ワーク搬送モーター123は、ワークテーブル15を駆動するための動力を発生させる。
入力装置129は、各種の加工条件を入力する装置である。表示装置131は、加工条件や、作業状況を表示する装置である。
液滴吐出装置1を操作するオペレーターは、表示装置131に表示される情報を確認しながら、入力装置129を介して種々の情報を入力することができる。
なお、キャリッジ位置検出装置65、テーブル位置検出装置17及び吐出ヘッド33も、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0046】
CPU113は、プロセッサーとして各種の演算処理を行う。駆動制御部115は、各構成の駆動を制御する。メモリー部117は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read-Only Memory)などを含んでいる。メモリー部117には、液滴吐出装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト135を記憶する領域や、各種のデータを一時的に展開する領域であるデータ展開部137などが設定されている。データ展開部137に展開されるデータとしては、例えば、描画すべきパターンが示される描画データや、描画処理等のプログラムデータなどが挙げられる。
駆動制御部115は、モーター制御部141と、位置検出制御部143と、吐出制御部145と、表示制御部149と、を有している。
【0047】
モーター制御部141は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ搬送モーター121の駆動と、ワーク搬送モーター123の駆動とを、個別に制御する。
位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ位置検出装置65と、テーブル位置検出装置17とを、個別に制御する。
位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ位置検出装置65にキャリッジ7のX方向における位置を検出させ、且つ検出結果をCPU113に出力する。
また、位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、テーブル位置検出装置17にワークテーブル15のY方向における位置を検出させ、且つ検出結果をCPU113に出力する。
吐出制御部145は、CPU113からの指令に基づいて、吐出ヘッド33の駆動を制御する。
表示制御部149は、CPU113からの指令に基づいて、表示装置131の駆動を制御する。
【0048】
ここで、液滴吐出装置1における描画処理について説明する。
液滴吐出装置1では、制御部111が入力装置129から入出力インターフェース133及びバス119を介して描画データを受け取ると、CPU113によって図8に示す描画処理が開始される。
ここで、描画データは、機能液53でワークWに描画すべきパターンを指示するものであり、描画すべきパターンがビットマップ状に表現されている。ワークWへのパターンの描画は、吐出ヘッド33をワークWに対向させた状態で、吐出ヘッド33とワークWとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴55を所定周期で吐出させることによって行われる。
【0049】
描画処理では、CPU113は、まず、ステップS1において、キャリッジ搬送指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7を描画領域の開始位置に移動させる。ここで、描画領域は、図1に示すワークWのY方向に沿った軌跡と、吐出ヘッド33のX方向に沿った軌跡とが重なり合う領域である。開始位置は、描画領域において、描画を開始する位置である。
次いで、ステップS2において、CPU113は、ワーク搬送指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、フラッシングユニット21aを描画領域に移動させる。
【0050】
次いで、ステップS3において、CPU113は、ワーク走査指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークテーブル15(図1)の往復移動を開始させる。ワークテーブル15の往復移動では、ワークテーブル15は、フラッシングユニット21aが描画領域に重なる位置である往路開始位置と、フラッシングユニット21bが描画領域に重なる位置である復路開始位置との間を往復移動する。
【0051】
次いで、ステップS4において、CPU113は、吐出指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、描画データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。
次いで、ステップS5において、CPU113は、ワークテーブル15の位置が復路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、ワークテーブル15の位置が復路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS6に移行する。他方で、ワークテーブル15の位置が復路開始位置に到達していない(No)と判定されると、ワークテーブル15の位置が復路開始位置に到達するまで処理が待機される。
ステップS6において、CPU113は、フラッシング指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、各ノズル37から液滴55をフラッシングユニット21b(図1)に向けて吐出させる。
次いで、ステップS7において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7をX方向に移動(改行)させる。
【0052】
次いで、ステップS8において、CPU113は、ワークテーブル15の位置が往路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、ワークテーブル15の位置が往路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS9に移行する。他方で、ワークテーブル15の位置が往路開始位置に到達していない(No)と判定されると、ワークテーブル15の位置が往路開始位置に到達するまで処理が待機される。
ステップS9において、CPU113は、フラッシング指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、各ノズル37から液滴55をフラッシングユニット21a(図1)に向けて吐出させる。
次いで、ステップS10において、CPU113は、描画データが終了したか否かを判定する。このとき、描画データが終了した(Yes)と判定されると、処理が終了する。他方で、描画データが終了していない(No)と判定されると、処理がステップS7に移行する。
【0053】
本実施形態において、機能液53が液状体に対応し、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれが払拭部材に対応し、ワーク搬送装置3が変位装置に対応している。
本実施形態では、吐出ヘッド33とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとが、隙間を介して互いに離間している。このため、ノズル面35とワイパー23aやワイパー23bとの摩擦を避けやすくすることができる。これにより、ノズル面35の表面状態を維持しやすくすることができる。この結果、吐出ヘッド33の信頼性を高めやすくすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとの間の隙間91は、ワークWとノズル面35との間の隙間93よりも短い。これにより、ノズル面35に付着した付着液状体のうち、隙間91を超える大きさの付着液状体を払拭することができる。これにより、付着液状体がワークWに付着することを抑えやすくすることができる。
また、本実施形態では、ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ワーク領域18のX方向における幅を網羅する距離にわたって設けられている。このため、描画処理において、キャリッジ7をX方向に改行させても、平面視で、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとを互いに交差させることができる。これにより、描画処理にかかる時間が長期化してしまうことを低く抑えやすくすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、ワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23aやワイパー23bの位置を、ノズル列39の延在方向とは交差する方向(本実施形態では、Y方向)に変化させることによって行われる。ワイピング動作において、吐出ヘッド33に対するワイパー23aやワイパー23bの位置を変化させる方向は、ワイピング方向と呼ばれる。
【0056】
例えば、ワイピング方向がノズル列39の延在方向(本実施形態では、X方向)である場合、ワイパー23aやワイパー23bは、ノズル列39における複数のノズル37を順次に交差することになる。このため、ワイパー23aやワイパー23bによって払拭される付着液状体が、ワイピング方向の下流側に位置するノズル37にかかりやすくなる。つまり、ワイピング方向がノズル列39の延在方向である場合、払拭される付着液状体が、ワイピング方向の下流側に位置するノズル37に付着しやすくなる。この結果、ワイピング方向の下流側に位置するノズル37の吐出性能を低下させることが考えられる。
これに対し、本実施形態では、ワイピング方向がノズル列39の延在方向とは交差しているので、払拭される付着液状体が他のノズル37に付着しにくい。この結果、ノズル列39における複数のノズル37にわたって、吐出性能を維持しやすくすることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、描画処理において、ワークテーブル15の往路及び復路のそれぞれが終了するたびに、フラッシング動作を実施する方法が採用されているが、フラッシング動作を実施する頻度は、これに限定されない。フラッシング動作を実施する頻度としては、任意の頻度が採用され得る。例えば、ワークテーブル15の1往復ごとにフラッシング動作を実施する頻度とすれば、描画処理にかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、本実施形態では、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙するフラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとが設けられているが、液滴吐出装置1の構成はこれに限定されない。液滴吐出装置1の構成としては、フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21bのいずれか一方を省略した構成も採用され得る。これにより、液滴吐出装置1の小型化を図りやすくすることができる。
【0058】
また、本実施形態では、描画処理において、ワークテーブル15の往路及び復路のそれぞれが終了するたびに、ワイピング動作を実施する方法が採用されているが、ワイピング動作を実施する頻度は、これに限定されない。ワイピング動作を実施する頻度としては、任意の頻度が採用され得る。例えば、ワークテーブル15の1往復ごとにワイピング動作を実施する頻度とすれば、描画処理にかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、本実施形態では、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙するワイパー23aとワイパー23bとが設けられているが、液滴吐出装置1の構成はこれに限定されない。液滴吐出装置1の構成としては、ワイパー23a及びワイパー23bのいずれか一方を省略した構成も採用され得る。これにより、液滴吐出装置1の小型化を図りやすくすることができる。
【0059】
第2実施形態について説明する。
第2実施形態における液滴吐出装置10では、ワークテーブル15の構成、吐出ヘッド33の方向、及びキャッピング装置9の方向が、液滴吐出装置1とは異なっている。また、液滴吐出装置10では、図9に示すように、ワイピングユニット151aと、ワイピングユニット151bとが設けられている点が、液滴吐出装置1とは異なっている。
液滴吐出装置10では、ワークテーブル15において、第1実施形態におけるワーク領域18並びにワイピング領域19a及び19b(図1)の設定が省略されている。
また、液滴吐出装置10では、吐出ヘッド33のノズル列39が、図10に示すように、Y方向に延在している。吐出ヘッド33の方向に合わせて、液滴吐出装置10では、キャッピング装置9の方向が、液滴吐出装置1とは異なっている。
【0060】
これらの異なる点を除いては、液滴吐出装置10は、液滴吐出装置1と同様の構成を有している。このため、以下においては、液滴吐出装置1と同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
ワイピングユニット151a及びワイピングユニット151bは、それぞれ、平面視で、定盤11の領域よりも外側に設けられている。ワイピングユニット151aと、ワイピングユニット151bとは、定盤11をX方向に挟んで互いに対峙している。また、ワイピングユニット151a及びワイピングユニット151bは、それぞれ、平面視で、ヘッド可動領域に重なっている。ヘッド可動領域は、キャリッジ搬送装置8によって可動する吐出ヘッド33が可動域内で描く軌跡に重なる領域である。
【0061】
なお、液滴吐出装置10では、描画領域は、ヘッド可動領域と、ワークWのY方向に沿った軌跡とが重なり合う領域である。
このため、液滴吐出装置10において、ワイピングユニット151a及びワイピングユニット151bは、それぞれ、平面視で、描画領域の外側に設けられている。
ワイピングユニット151aには、フラッシングユニット21aと、ワイパー23aとが設けられている。ワイピングユニット151bには、フラッシングユニット21bと、ワイパー23bとが設けられている。
フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21bは、それぞれ、Y方向に延在している。フラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとは、X方向にワーク搬送装置3を挟んで互いに対峙している。
【0062】
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、Y方向に延在している。
ワイパー23aは、ワーク搬送装置3とフラッシングユニット21aとの間に設けられている。ワイパー23bは、ワーク搬送装置3とフラッシングユニット21bとの間に設けられている。
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ノズル列39のY方向における長さを網羅する距離にわたって設けられている。
液滴吐出装置10においても、フラッシング動作は、図11に示すように、吐出ヘッド33と、フラッシングユニット21a又はフラッシングユニット21bとを互いに対向させた状態で実施される。
ワイピング動作は、吐出ヘッド33とワイパー23a又はワイパー23bとを互いに対向させながら、吐出ヘッド33に対するワイパー23a又はワイパー23bの位置をX方向に変化させることによって行われる。
【0063】
液滴吐出装置10では、ワイパー23aによるワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23aの位置を、吐出ヘッド33をX方向にまたぐ距離にわたって変化させることによって行われる。また、ワイパー23bによるワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23bの位置を、吐出ヘッド33をX方向にまたぐ距離にわたって変化させることによって行われる。つまり、液滴吐出装置10においても、ワイピング方向がノズル列39の延在方向に沿っている。なお、液滴吐出装置10では、ノズル列39の延在方向がY方向であるため、ワイピング方向は、X方向である。
また、液滴吐出装置10では、ワイピング動作は、キャリッジ搬送装置8でキャリッジ7をX方向に搬送することによって達成される。
また、液滴吐出装置10においても、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれと、ノズル面35との間に、隙間91が設けられている。液滴吐出装置10においても、隙間91は、隙間93よりも狭い。
【0064】
液滴吐出装置10における描画処理について説明する。
液滴吐出装置10では、制御部111が入力装置129から入出力インターフェース133及びバス119を介して描画データを受け取ると、CPU113によって図12に示す描画処理が開始される。
この描画処理では、CPU113は、まず、ステップS21において、キャリッジ搬送指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7を往路開始位置に移動させる。ここで、液滴吐出装置10では、往路開始位置は、図11に示す吐出ヘッド33のノズル面35が、平面視でフラッシングユニット21aに重なる位置である。
【0065】
次いで、ステップS22において、CPU113は、ワーク搬送指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWを描画領域に移動させる。
次いで、ステップS23において、CPU113は、キャリッジ走査指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7の往復移動を開始させる。キャリッジ7の往復移動では、キャリッジ7は、ノズル面35がフラッシングユニット21aに重なる位置である往路開始位置と、ノズル面35がフラッシングユニット21bに重なる位置である復路開始位置との間を往復移動する。
【0066】
次いで、ステップS24において、CPU113は、吐出指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、描画データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。
次いで、ステップS25において、CPU113は、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS26に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達するまで処理が待機される。
【0067】
ステップS26において、CPU113は、フラッシング指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、各ノズル37から液滴55をフラッシングユニット21b(図11)に向けて吐出させる。
次いで、ステップS27において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWをY方向に移動(改行)させ、ワークWにおいてパターンを描画すべき新たな領域を描画領域に移動させる。
【0068】
次いで、ステップS28において、CPU113は、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS29に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達するまで処理が待機される。
ステップS29において、CPU113は、フラッシング指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、各ノズル37から液滴55をフラッシングユニット21a(図11)に向けて吐出させる。
次いで、ステップS30において、CPU113は、描画データが終了したか否かを判定する。このとき、描画データが終了した(Yes)と判定されると、処理が終了する。他方で、描画データが終了していない(No)と判定されると、処理がステップS27に移行する。
【0069】
第2実施形態において、機能液53が液状体に対応し、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれが払拭部材に対応し、キャリッジ搬送装置8がヘッド移動装置に対応している。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
液滴吐出装置10では、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれが、平面視でヘッド可動領域内で描画領域の外側に設けられている。そして、描画処理において、キャリッジ搬送装置8は、キャリッジ7を往路から復路に折り返すときに、吐出ヘッド33の位置を、平面視で、描画領域内からワイパー23bを越えて描画領域外に変化させる。次いで、キャリッジ搬送装置8は、吐出ヘッド33の位置を、平面視で、ワイパー23bの描画領域側とは反対側からワイパー23bを越えて描画領域内に変化させる。
【0070】
キャリッジ7を復路から往路へ折り返すときも同様に、キャリッジ搬送装置8は、吐出ヘッド33の位置を、平面視で、描画領域内からワイパー23aを越えて描画領域外に変化させる。次いで、キャリッジ搬送装置8は、吐出ヘッド33の位置を、平面視で、ワイパー23aの描画領域側とは反対側からワイパー23aを越えて描画領域内に変化させる。
つまり、ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、吐出ヘッド33における走査の経路の途中に設けられている。
このため、ワークWに描画を行うときに、ワークWに対する描画を行いながら、ワイピング動作を行うことができる。
また、ワイパー23a及びワイパー23bの位置を固定しても、平面視で吐出ヘッド33とワイパー23aやワイパー23bとを交差させることができる。これにより、ワイパー23aやワイパー23bの大きさを必要最小限にとどめやすくすることができる。この結果、第1実施形態に比較して、ワイパー23aやワイパー23bを小型化しやすくすることができる。
【0071】
なお、第2実施形態では、描画処理において、キャリッジ7の往路及び復路のそれぞれが終了するたびに、フラッシング動作を実施する方法が採用されているが、フラッシング動作を実施する頻度は、これに限定されない。フラッシング動作を実施する頻度としては、任意の頻度が採用され得る。例えば、キャリッジ7の1往復ごとにフラッシング動作を実施する頻度とすれば、描画処理にかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、第2実施形態では、X方向にワーク搬送装置3を挟んで互いに対峙するフラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとが設けられているが、液滴吐出装置10の構成はこれに限定されない。液滴吐出装置10の構成としては、フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21bのいずれか一方を省略した構成も採用され得る。これにより、液滴吐出装置10の小型化を図りやすくすることができる。
【0072】
また、第2実施形態では、描画処理において、キャリッジ7の往路及び復路のそれぞれが終了するたびに、ワイピング動作を実施する方法が採用されているが、ワイピング動作を実施する頻度は、これに限定されない。ワイピング動作を実施する頻度としては、任意の頻度が採用され得る。例えば、キャリッジ7の1往復ごとにワイピング動作を実施する頻度とすれば、描画処理にかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、第2実施形態では、X方向にワーク搬送装置3を挟んで互いに対峙するワイパー23aとワイパー23bとが設けられているが、液滴吐出装置10の構成はこれに限定されない。液滴吐出装置10の構成としては、ワイパー23a及びワイパー23bのいずれか一方を省略した構成も採用され得る。これにより、液滴吐出装置10の小型化を図りやすくすることができる。
【0073】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、それぞれ、ゴムなどの弾性体で構成されたブレード状のワイパー23aやワイパー23bが採用されている。しかしながら、ワイパー23aやワイパー23bの材料としては、ゴムなどの弾性体に限定されず、例えば、樹脂や金属などの種々の材料が採用され得る。
また、ワイパー23aやワイパー23bの材料としては、例えば、布や、不織布、紙、スポンジなどの液状体を吸収する能力を有する吸収材も採用され得る。
さらに、ワイパー23aやワイパー23bの構成としては、ブレード状に限定されず、種々の形態が採用され得る。
上述した吸収材においても、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとの間に隙間91が設けられる。そして、付着液状体のZ方向における高さ寸法が隙間91の距離に達すると、付着液状体は吸収材に接する。このとき、付着液状体は、少なくとも一部は吸収材に吸収される。これにより、付着液状体の少なくとも一部を払拭することができ、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1,10…液滴吐出装置、3…ワーク搬送装置、5…ヘッドユニット、7…キャリッジ、8…キャリッジ搬送装置、15…ワークテーブル、18…ワーク領域、19a,19b…ワイピング領域、21a,21b…フラッシングユニット、23a,23b…ワイパー、33…吐出ヘッド、35…ノズル面、37…ノズル、39…ノズル列、53…機能液、55…液滴、61…架台、63…ガイドレール、65…キャリッジ位置検出装置、91…隙間、93…隙間、151a,151b…ワイピングユニット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
液状体を液滴として吐出することができる液滴吐出装置の1つとして、インクジェット装置が知られている。インクジェット装置では、インクなどの液状体を吐出ヘッドから液滴として吐出することができる。このようなインクジェット装置では、従来から、吐出ヘッドのノズルプレートを、ワイパーブレードや清掃布などで払拭する方法が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3412149号公報
【特許文献2】特開2001−171135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吐出ヘッドのノズルプレートには、インクなどの液状体が付着することがある。
上記特許文献1や特許文献2に記載されたインクジェット装置では、ノズルプレートに付着した液状体を、ワイパーブレードや清掃布などで払拭することができる。
ところで、ノズルプレートには、種々のコーティングや処理などが施されていることがある。これらのコーティングや処理などの表面処理によって、液状体の吐出性能を向上させることができる。
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2に記載されたインクジェット装置では、ノズルプレートをワイパーブレードや清掃布などで払拭するので、表面処理が破壊されやすくなる。
つまり、従来の液滴吐出装置では、吐出ヘッドの信頼性を高めることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0006】
[適用例1]液状体が液滴の状態で吐出されるノズルを有する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドの前記ノズルが設けられている面であるノズル面に付着した前記液状体の少なくとも一部を払拭する払拭部材と、前記ノズル面と前記払拭部材とを互いに対向させた状態で、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を変化させる変位装置と、を有し、前記吐出ヘッドと前記払拭部材とが互いに対向した状態において、前記ノズル面と前記払拭部材とは、隙間を介して互いに離間している、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0007】
この適用例の液滴吐出装置は、吐出ヘッドと、払拭部材と、変位装置と、を有している。
吐出ヘッドは、ノズルを有している。ノズルからは、液状体が液滴の状態で吐出される。吐出ヘッドにおいて、ノズルが設けられている面は、ノズル面と呼ばれる。
払拭部材は、ノズル面に付着した液状体の少なくとも一部を払拭する。
変位装置は、ノズル面と払拭部材とを互いに対向させた状態で、払拭部材に対する吐出ヘッドの位置を変化させる。
この液滴吐出装置では、吐出ヘッドと払拭部材とが互いに対向した状態において、ノズル面と払拭部材とが、隙間を介して互いに離間している。このため、ノズル面と払拭部材との摩擦を避けやすくすることができる。これにより、ノズル面の表面状態を維持しやすくすることができる。この結果、吐出ヘッドの信頼性を高めやすくすることができる。
【0008】
[適用例2]上記の液滴吐出装置であって、前記ノズル面と前記払拭部材との間の離間距離は、前記液滴を付着させる対象であるワークと前記ノズル面との間の離間距離よりも短い、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0009】
この適用例では、ノズル面と払拭部材との間の離間距離は、液滴を付着させる対象であるワークとノズル面との間の離間距離よりも短い。これにより、ノズル面に付着した液状体のうち、ノズル面と払拭部材との間の離間距離を超える大きさの液状体を、払拭部材で払拭することができる。これにより、ノズル面と払拭部材との間の離間距離を超える大きさの液状体がワークに付着することを抑えやすくすることができる。
【0010】
[適用例3]上記の液滴吐出装置であって、前記吐出ヘッドは、複数の前記ノズルが配列したノズル列を有しており、前記変位装置は、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を、平面視で前記ノズル列の延在方向とは交差する方向に変化させる、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0011】
この適用例では、吐出ヘッドは、ノズル列を有している。ノズル列では、複数のノズルが配列している。そして、変位装置は、払拭部材に対する吐出ヘッドの位置を、平面視でノズル列の延在方向とは交差する方向に変化させる。
上記の構成により、払拭部材によって払拭される液状体が、他のノズルに付着することを避けやすくすることができる。
【0012】
[適用例4]上記の液滴吐出装置であって、前記払拭部材は、前記液状体でパターンを描画することができる領域である描画領域の外側に設けられており、前記パターンを描画するときに、前記変位装置は、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を、平面視で、前記払拭部材の前記描画領域側とは反対側から前記払拭部材を越えて前記描画領域内に変化させ、且つ、前記描画領域内から前記払拭部材を越えて前記描画領域外に変化させる、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0013】
この適用例では、払拭部材は、描画領域の外側に設けられている。描画領域は、液状体でパターンを描画することができる領域である。
そして、パターンを描画するときに、変位装置は、払拭部材に対する吐出ヘッドの位置を、平面視で、払拭部材の描画領域側とは反対側から払拭部材を越えて描画領域内に変化させ、且つ、描画領域内から払拭部材を越えて描画領域外に変化させる。
上記により、パターンを描画するときに、吐出ヘッドのノズル面を払拭部材で払拭することができる。
【0014】
[適用例5]上記の液滴吐出装置であって、前記変位装置は、前記吐出ヘッドを、平面視で、前記描画領域の外側と前記描画領域の内側との間を所定の経路で往復移動させるヘッド移動装置を含んでおり、前記払拭部材は、平面視で、前記経路の途中に設けられている、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【0015】
この適用例では、変位装置は、ヘッド移動装置を含んでいる。ヘッド移動装置は、吐出ヘッドを、平面視で、描画領域の外側と描画領域の内側との間を所定の経路で往復移動させる。そして、払拭部材は、平面視で、上記経路の途中に設けられている。
上記の構成によれば、払拭部材は、吐出ヘッドの通り道の途中に設けられる。このため、例えば、払拭部材の位置を固定しても、平面視で吐出ヘッドと払拭部材とを交差させることができる。これにより、例えば、払拭部材の大きさを必要最小限にとどめやすくすることができる。この結果、払拭部材を小型化しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示す斜視図。
【図2】第1実施形態におけるヘッドユニットを図1中のA視方向に見たときの正面図。
【図3】第1実施形態における吐出ヘッドの底面図。
【図4】図2中のB−B線における断面図。
【図5】図1中のC−C線における断面図。
【図6】第1実施形態におけるワークテーブルを図1中のA視方向に見たときの正面図。
【図7】本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示すブロック図。
【図8】第1実施形態における描画処理の流れを示す図。
【図9】第2実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示す斜視図。
【図10】第2実施形態における吐出ヘッドの底面図。
【図11】第2実施形態におけるワークテーブル及びワイピングユニットを図9中のD視方向に見たときの側面図。
【図12】第2実施形態における描画処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、各図面において、それぞれの構成を認識可能な程度の大きさにするために、構成や部材の縮尺が異なっていることがある。
【0018】
第1実施形態における液滴吐出装置1は、概略の構成を示す斜視図である図1に示すように、ワーク搬送装置3と、ヘッドユニット5と、キャリッジ7と、キャリッジ搬送装置8と、キャッピング装置9と、とを有している。
液滴吐出装置1では、基板などのワークWとヘッドユニット5との平面視での相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット5から液状体を液滴として吐出させることによって、ワークWに液状体で所望のパターンを描画することができる。なお、図中のY方向はワークWの移動方向を示し、X方向は平面視でY方向とは直交する方向を示している。また、X方向及びY方向によって規定されるXY平面と直交する方向は、Z方向として規定される。
【0019】
このような液滴吐出装置1は、例えば、液晶表示パネル等に用いられるカラーフィルターの製造や、有機EL装置の製造などに適用され得る。
赤、緑及び青の3色のフィルターエレメントを有するカラーフィルターの場合、液滴吐出装置1は、例えば、基板に赤、緑及び青の各着色層を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット5から各着色層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれのフィルターエレメントのパターンが描画される。
また、有機EL装置の製造では、例えば、赤、緑及び青の画素ごとに、各色に対応する機能層(有機層)を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット5から各色の機能層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれの機能層のパターンが描画される。
【0020】
ここで、液滴吐出装置1の各構成について、詳細を説明する。
ワーク搬送装置3は、図1に示すように、定盤11と、ガイドレール13aと、ガイドレール13bと、ワークテーブル15と、テーブル位置検出装置17と、を有している。
定盤11は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料で構成されており、Y方向に沿って延びるように据えられている。ガイドレール13a及びガイドレール13bは、定盤11の上面11a上に配設されている。ガイドレール13a及びガイドレール13bは、それぞれ、Y方向に沿って延在している。ガイドレール13aとガイドレール13bとは、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んでいる。
【0021】
ワークテーブル15は、ガイドレール13a及びガイドレール13bを挟んで定盤11の上面11aに対向した状態で設けられている。ワークテーブル15は、定盤11から浮いた状態でガイドレール13a及びガイドレール13b上に載置されている。
ワークテーブル15は、ガイドレール13a及びガイドレール13bによってY方向に沿って案内され、定盤11上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
テーブル位置検出装置17は、定盤11の上面11aに設けられており、Y方向に延在している。テーブル位置検出装置17は、ガイドレール13aとガイドレール13bとの間に設けられている。テーブル位置検出装置17は、ワークテーブル15のY方向における位置を検出する。
ところで、ワークテーブル15には、ワーク領域18と、ワイピング領域19aと、ワイピング領域19bと、が設定されている。ワーク領域18は、ワークWの載置が許可される領域であり、ワークWが載置される面である載置面15aを有している。載置面15aは、定盤11側とは反対側(上側)に向けられている。
ワイピング領域19a及びワイピング領域19bは、それぞれ、ワーク領域18の外側に設けられている。ワイピング領域19aとワイピング領域19bとは、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙している。
【0022】
ワイピング領域19aには、フラッシングユニット21aと、ワイパー23aと、が設けられている。ワイピング領域19bには、フラッシングユニット21bと、ワイパー23bと、が設けられている。
フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21b、並びに、ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ヘッドユニット5における液滴を吐出する性能(以下、吐出性能と呼ぶ)を維持する装置である。
フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21bは、それぞれ、X方向に延在している。フラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとは、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙している。
【0023】
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、X方向に延在している。
ワイパー23aは、ワーク領域18とフラッシングユニット21aとの間に設けられている。ワイパー23bは、ワーク領域18とフラッシングユニット21bとの間に設けられている。
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ワーク領域18のX方向における幅を網羅する距離にわたって設けられている。
【0024】
ワークテーブル15は、図示しない移動機構及び動力源によって、Y方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、ワークテーブル15をY方向に沿って移動させるための動力源として、後述するワーク搬送モーターが採用されている。ワーク搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
ワーク搬送モーターからの動力は、移動機構を介してワークテーブル15に伝達される。これにより、ワークテーブル15は、ガイドレール13a及びガイドレール13bに沿って、すなわちY方向に沿って往復移動することができる。つまり、ワーク搬送装置3は、ワークテーブル15の載置面15aに載置されたワークWを、Y方向に沿って往復移動させることができる。
【0025】
ヘッドユニット5は、ヘッドユニット5を図1中のA視方向に見たときの正面図である図2に示すように、ヘッドプレート31と、吐出ヘッド33と、を有している。
吐出ヘッド33は、底面図である図3に示すように、ノズル面35を有している。ノズル面35には、複数のノズル37が形成されている。なお、図3では、ノズル37をわかりやすく示すため、ノズル37が誇張され、且つノズル37の個数が減じられている。
複数のノズル37は、X方向に沿って所定のピッチPで配列形成されており、X方向に延在するノズル列39を構成している。
【0026】
吐出ヘッド33は、図2中のB−B線における断面図である図4に示すように、ノズルプレート41と、キャビティープレート43と、振動板45と、複数の圧電素子47と、を有している。
ノズルプレート41は、ノズル面35を有している。複数のノズル37は、ノズルプレート41に設けられている。
キャビティープレート43は、ノズルプレート41のノズル面35とは反対側の面に設けられている。キャビティープレート43には、複数のキャビティー51が形成されている。各キャビティー51は、各ノズル37に対応して設けられており、対応する各ノズル37に連通している。各キャビティー51には、図示しないタンクから機能液53が供給される。
【0027】
振動板45は、キャビティープレート43のノズルプレート41側とは反対側の面に設けられている。振動板45は、Z方向に振動(縦振動)することによって、キャビティー51内の容積を拡大したり、縮小したりする。
複数の圧電素子47は、それぞれ、振動板45のキャビティープレート43側とは反対側の面に設けられている。各圧電素子47は、各キャビティー51に対応して設けられており、振動板45を挟んで各キャビティー51に対向している。各圧電素子47は、駆動信号に基づいて、伸張する。これにより、振動板45がキャビティー51内の容積を縮小する。このとき、キャビティー51内の機能液53に圧力が付与される。その結果、ノズル37から、機能液53が液滴55として吐出される。吐出ヘッド33による液滴55の吐出法は、インクジェット法の1つである。
【0028】
上記の構成を有する吐出ヘッド33は、図2に示すように、ノズル面35がヘッドプレート31から突出した状態で、ヘッドプレート31に支持されている。
キャリッジ7は、図1に示すように、ヘッドユニット5を支持している。ここで、ヘッドユニット5は、ノズル面35(図2)がZ方向の下方に向けられた状態でキャリッジ7に支持されている。
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電素子47が採用されているが、機能液53に圧力を付与するための加圧手段は、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子も採用され得る。また、加圧手段としては、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなども採用され得る。さらに、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液に圧力を付与する構成も採用され得る。
【0029】
キャリッジ搬送装置8は、図1に示すように、架台61と、ガイドレール63と、キャリッジ位置検出装置65と、を有している。
架台61は、X方向に延在しており、ワーク搬送装置3及びキャッピング装置9をX方向にまたいでいる。架台61は、ワークテーブル15の定盤11側とは反対側で、ワーク搬送装置3及びキャッピング装置9のそれぞれに対向している。架台61は、支柱67aと支柱67bとによって支持されている。支柱67a及び支柱67bは、定盤11を挟んでX方向に互いに対峙する位置に設けられている。支柱67a及び支柱67bは、それぞれ、ワークテーブル15よりもZ方向の上方に突出している。これにより、架台61とワークテーブル15との間、及び架台61とキャッピング装置9との間には、それぞれ隙間が保たれている。
【0030】
ガイドレール63は、架台61の定盤11側に設けられている。ガイドレール63は、X方向に沿って延在しており、架台61のX方向における幅にわたって設けられている。
前述したキャリッジ7は、ガイドレール63に支持されている。キャリッジ7がガイドレール63に支持された状態において、吐出ヘッド33のノズル面35は、Z方向においてワークテーブル15側に向いている。キャリッジ7は、ガイドレール63によってX方向に沿って案内され、X方向に往復動可能な状態でガイドレール63に支持されている。なお、平面視で、キャリッジ7がワークテーブル15に重なっている状態において、ノズル面35とワークテーブル15の載置面15aとは、互いに隙間を保った状態で対向する。
キャリッジ位置検出装置65は、架台61とキャリッジ7との間に設けられており、X方向に延在している。キャリッジ位置検出装置65は、キャリッジ7のX方向における位置を検出する。
【0031】
キャリッジ7は、図示しない移動機構及び動力源によって、X方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、キャリッジ7をX方向に沿って移動させるための動力源として、後述するキャリッジ搬送モーターが採用されている。キャリッジ搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
キャリッジ搬送モーターからの動力は、移動機構を介してキャリッジ7に伝達される。これにより、キャリッジ7は、ガイドレール63に沿って、すなわちX方向に沿って往復移動することができる。つまり、キャリッジ搬送装置8は、キャリッジ7に支持されたヘッドユニット5を、X方向に沿って往復移動させることができる。
【0032】
キャッピング装置9は、吐出ヘッド33に蓋をする装置である。液滴吐出装置1では、吐出ヘッド33のノズル37から、液状体(機能液53)の液体成分が蒸発することがある。一般的に、液状体における液体成分が蒸発すると、液状体の粘度が高くなる。吐出ヘッド33内の液状体における液体成分がノズル37から蒸発すると、ノズル37が目詰まりすることがある。キャッピング装置9は、吐出ヘッド33に蓋をすることで、液状体における液体成分がノズル37から蒸発することを低く抑える。これにより、ノズル37に目詰まりが発生することを低く抑えることができる。
【0033】
キャッピング装置9は、図1中のC−C線における断面図である図5に示すように、支持台71と、キャップ部73と、チューブ75と、吸引ポンプ77と、を有している。キャップ部73は、筐体79と、ばね81と、枠83と、パッキン85と、ストッパー87と、を有している。
キャップ部73は、支持台71に載置されている。支持台71は、キャップ部73の筐体79を支持している。
ばね81は、筐体79内に収容されており、筐体79の底部79aに支持されている。
枠83は、筐体79内に収容されており、ばね81を介して筐体79に支持されている。
【0034】
ばね81は、筐体79の底部79aと枠83の底面83aとの間に挟持されており、枠83の底面83aを上方に向けて付勢している。
パッキン85は、ゴムやエラストマなどの弾性体で構成され、断面がZ方向の下方に向かって凹となる形状を有している。パッキン85は、枠83内に収容されている。パッキン85が吐出ヘッド33の周縁部に当接すると、パッキン85の凹形状と吐出ヘッド33とに囲まれた領域に空間89が形成される。パッキン85は、空間89の気密性を高める機能を有している。
ストッパー87は、筐体79の上面に設けられ、ばね81によって付勢されている枠83が筐体79外に突出してしまうことを規制している。
【0035】
チューブ75は、一端が吸引ポンプ77に接続され、他端がパッキン85に接続されている。吸引ポンプ77は、チューブ75によって、支持台71内から、筐体79、枠83及びパッキン85を経て空間89に連通している。吸引ポンプ77としては、エジェクタポンプなどの流体作動式ポンプや、機械式ポンプ、回転式ポンプ等の種々の真空ポンプが採用され得る。
ここで、キャッピング装置9では、吸引ポンプ77を作動させることによって、吐出ヘッド33のノズル37から液状体を吐出ヘッド33の外に吸引することができる。ノズル37から液状体を吐出ヘッド33の外に吸引する動作は、吸引動作と呼ばれる。吸引動作は、吐出ヘッド33のノズル37から液状体を強制的に排出させるときに実施される。
なお、図5では、吸引ポンプ77が支持台71内に図示されているが、吸引ポンプ77の位置は、支持台71外であってもよい。この場合、チューブ75は、パッキン85から支持台71内を経て支持台71外に引き出される。吸引ポンプ77が支持台71外にあれば、吸引ポンプ77の駆動にともなう振動を吐出ヘッド33に伝えにくくすることができる。
【0036】
ここで、吸引動作は、例えば、ノズル37における液滴55を吐出する性能(以下、吐出性能と呼ぶ)を回復させるときなどに実施される。例えば、ノズル37内の液状体の粘度が高くなってしまったときなどに、吐出された液滴55の飛行経路が曲がったり、液滴55の吐出が阻害されたりすることがある。吸引動作を実施することによって、これらのような吐出性能の低下を回復させることができる。
【0037】
液滴吐出装置1では、吐出性能の低下を避けやすくするための動作として、フラッシング動作がある。フラッシング動作は、ワークWへのパターンの描画とは無関係に、吐出ヘッド33から液状体を吐出させる動作である。フラッシング動作には、例えば、液状体がノズル37内で固化してしまうことを予防する効果がある。前述したフラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21b(図1)は、それぞれ、フラッシング動作のときに、吐出ヘッド33から吐出される液状体を受ける装置である。
フラッシング動作は、図6に示すように、吐出ヘッド33と、フラッシングユニット21a又はフラッシングユニット21bとを互いに対向させた状態で実施される。
【0038】
液滴吐出装置1では、ワークWと吐出ヘッド33とを互いに対向させた状態でワークWをY方向に往復移動させつつ、吐出ヘッド33から液滴55を吐出させることによって、ワークWに対するパターンの描画が行われる。そして、本実施形態では、フラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとが、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙している。このため、例えば、往復移動の往動から復動への折り返しや復動から往動への折り返しのときに、吐出ヘッド33と、フラッシングユニット21a又はフラッシングユニット21bとを互いに対向させやすい。従って、ワークWに対するパターンの描画の途中でも、わずかな時間でフラッシング動作が可能となる。この結果、吐出性能を維持しつつ、描画時間の長期化を避けやすくすることができる。
【0039】
また、液滴吐出装置1では、ワークWへのパターンの描画の過程で吐出ヘッド33に液状体が付着することがある。このとき、吐出ヘッド33のノズル面35に液状体が付着すると、吐出性能が低下することがある。ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ノズル面35に付着している液状体の少なくとも一部を払拭することができる。これにより、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。ノズル面35に付着している液状体を、ワイパー23aやワイパー23bで払拭する動作は、ワイピング動作と呼ばれる。
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ゴムなどの弾性体で構成されており、載置面15aから吐出ヘッド33側に向かって突出したブレード状を呈している。
ワイピング動作は、吐出ヘッド33とワイパー23a又はワイパー23bとを互いに対向させながら、吐出ヘッド33に対するワイパー23a又はワイパー23bの位置をY方向に変化させることによって行われる。
【0040】
本実施形態では、ワイパー23aによるワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23aの位置を、吐出ヘッド33をY方向にまたぐ距離にわたって変化させることによって行われる。また、ワイパー23bによるワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23bの位置を、吐出ヘッド33をY方向にまたぐ距離にわたって変化させることによって行われる。
そして、本実施形態では、ワイパー23aとワイパー23bとが、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙している。このため、例えば、往復移動の往動から復動への折り返しや復動から往動への折り返しのときに、ワイパー23a又はワイパー23bの位置を、吐出ヘッド33をまたいで変化させやすい。従って、ワークWに対するパターンの描画の途中でも、わずかな時間でワイピング動作が可能となる。この結果、吐出性能を維持しつつ、描画時間の長期化を避けやすくすることができる。
【0041】
ところで、本実施形態では、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれと、ノズル面35との間には、隙間91が設けられている。つまり、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれと、ノズル面35とは、互いに対向した状態において、離間している。このため、ワイピング動作において、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとは、互いに接触しない。
ここで、本実施形態では、ノズル面35に、撥液処理などの表面処理が施されている。撥液処理によって、ノズル面35に付着した液状体がノズル面35にぬれ広がることを低く抑えることができる。これにより、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。
【0042】
従来、一般的なワイピング動作では、ノズル面35を、ゴムなどで構成されるワイパーブレードや、布や不織布などで構成される清掃布等でこすることによって、ノズル面35に付着した液状体を払拭する方法が多く採用されている。しかしながら、ワイパーブレードや清掃布等でノズル面35をこすると、ノズル面35に施されている表面処理が破壊されやすくなる。
これに対し、本実施形態では、ワイピング動作において、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとの摩擦を避けることができる。このため、本実施形態では、ノズル面35に施されている表面処理が破壊されにくい。この結果、ノズル面35の表面状態を維持しやすくすることができ、吐出性能を維持しやすくすることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、隙間91は、ノズル面35とワークWとの間の隙間93よりも狭い。
ここで、ノズル面35に付着した液状体(以下、付着液状体と呼ぶ)に新たな液状体が加わることによって、付着液状体のZ方向における高さ寸法が隙間93の距離に達することが考えられる。このような場合においても、本実施形態では、ワイピング動作によって、付着液状体のZ方向における高さ寸法を隙間93の距離よりも短く抑えやすくすることができる。これにより、付着液状体がワークWに付着することを避けやすくすることができる。
【0044】
液滴吐出装置1は、図7に示すように、上記の各構成の動作を制御する制御部111を有している。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)113と、駆動制御部115と、メモリー部117と、を有している。駆動制御部115及びメモリー部117は、バス119を介してCPU113に接続されている。
また、液滴吐出装置1は、キャリッジ搬送モーター121と、ワーク搬送モーター123と、入力装置129と、表示装置131と、を有している。キャリッジ搬送モーター121、ワーク搬送モーター123、入力装置129、及び表示装置131は、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0045】
キャリッジ搬送モーター121は、キャリッジ7を駆動するための動力を発生させる。ワーク搬送モーター123は、ワークテーブル15を駆動するための動力を発生させる。
入力装置129は、各種の加工条件を入力する装置である。表示装置131は、加工条件や、作業状況を表示する装置である。
液滴吐出装置1を操作するオペレーターは、表示装置131に表示される情報を確認しながら、入力装置129を介して種々の情報を入力することができる。
なお、キャリッジ位置検出装置65、テーブル位置検出装置17及び吐出ヘッド33も、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0046】
CPU113は、プロセッサーとして各種の演算処理を行う。駆動制御部115は、各構成の駆動を制御する。メモリー部117は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read-Only Memory)などを含んでいる。メモリー部117には、液滴吐出装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト135を記憶する領域や、各種のデータを一時的に展開する領域であるデータ展開部137などが設定されている。データ展開部137に展開されるデータとしては、例えば、描画すべきパターンが示される描画データや、描画処理等のプログラムデータなどが挙げられる。
駆動制御部115は、モーター制御部141と、位置検出制御部143と、吐出制御部145と、表示制御部149と、を有している。
【0047】
モーター制御部141は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ搬送モーター121の駆動と、ワーク搬送モーター123の駆動とを、個別に制御する。
位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ位置検出装置65と、テーブル位置検出装置17とを、個別に制御する。
位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ位置検出装置65にキャリッジ7のX方向における位置を検出させ、且つ検出結果をCPU113に出力する。
また、位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、テーブル位置検出装置17にワークテーブル15のY方向における位置を検出させ、且つ検出結果をCPU113に出力する。
吐出制御部145は、CPU113からの指令に基づいて、吐出ヘッド33の駆動を制御する。
表示制御部149は、CPU113からの指令に基づいて、表示装置131の駆動を制御する。
【0048】
ここで、液滴吐出装置1における描画処理について説明する。
液滴吐出装置1では、制御部111が入力装置129から入出力インターフェース133及びバス119を介して描画データを受け取ると、CPU113によって図8に示す描画処理が開始される。
ここで、描画データは、機能液53でワークWに描画すべきパターンを指示するものであり、描画すべきパターンがビットマップ状に表現されている。ワークWへのパターンの描画は、吐出ヘッド33をワークWに対向させた状態で、吐出ヘッド33とワークWとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴55を所定周期で吐出させることによって行われる。
【0049】
描画処理では、CPU113は、まず、ステップS1において、キャリッジ搬送指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7を描画領域の開始位置に移動させる。ここで、描画領域は、図1に示すワークWのY方向に沿った軌跡と、吐出ヘッド33のX方向に沿った軌跡とが重なり合う領域である。開始位置は、描画領域において、描画を開始する位置である。
次いで、ステップS2において、CPU113は、ワーク搬送指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、フラッシングユニット21aを描画領域に移動させる。
【0050】
次いで、ステップS3において、CPU113は、ワーク走査指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークテーブル15(図1)の往復移動を開始させる。ワークテーブル15の往復移動では、ワークテーブル15は、フラッシングユニット21aが描画領域に重なる位置である往路開始位置と、フラッシングユニット21bが描画領域に重なる位置である復路開始位置との間を往復移動する。
【0051】
次いで、ステップS4において、CPU113は、吐出指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、描画データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。
次いで、ステップS5において、CPU113は、ワークテーブル15の位置が復路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、ワークテーブル15の位置が復路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS6に移行する。他方で、ワークテーブル15の位置が復路開始位置に到達していない(No)と判定されると、ワークテーブル15の位置が復路開始位置に到達するまで処理が待機される。
ステップS6において、CPU113は、フラッシング指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、各ノズル37から液滴55をフラッシングユニット21b(図1)に向けて吐出させる。
次いで、ステップS7において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7をX方向に移動(改行)させる。
【0052】
次いで、ステップS8において、CPU113は、ワークテーブル15の位置が往路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、ワークテーブル15の位置が往路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS9に移行する。他方で、ワークテーブル15の位置が往路開始位置に到達していない(No)と判定されると、ワークテーブル15の位置が往路開始位置に到達するまで処理が待機される。
ステップS9において、CPU113は、フラッシング指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、各ノズル37から液滴55をフラッシングユニット21a(図1)に向けて吐出させる。
次いで、ステップS10において、CPU113は、描画データが終了したか否かを判定する。このとき、描画データが終了した(Yes)と判定されると、処理が終了する。他方で、描画データが終了していない(No)と判定されると、処理がステップS7に移行する。
【0053】
本実施形態において、機能液53が液状体に対応し、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれが払拭部材に対応し、ワーク搬送装置3が変位装置に対応している。
本実施形態では、吐出ヘッド33とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとが、隙間を介して互いに離間している。このため、ノズル面35とワイパー23aやワイパー23bとの摩擦を避けやすくすることができる。これにより、ノズル面35の表面状態を維持しやすくすることができる。この結果、吐出ヘッド33の信頼性を高めやすくすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとの間の隙間91は、ワークWとノズル面35との間の隙間93よりも短い。これにより、ノズル面35に付着した付着液状体のうち、隙間91を超える大きさの付着液状体を払拭することができる。これにより、付着液状体がワークWに付着することを抑えやすくすることができる。
また、本実施形態では、ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ワーク領域18のX方向における幅を網羅する距離にわたって設けられている。このため、描画処理において、キャリッジ7をX方向に改行させても、平面視で、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとを互いに交差させることができる。これにより、描画処理にかかる時間が長期化してしまうことを低く抑えやすくすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、ワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23aやワイパー23bの位置を、ノズル列39の延在方向とは交差する方向(本実施形態では、Y方向)に変化させることによって行われる。ワイピング動作において、吐出ヘッド33に対するワイパー23aやワイパー23bの位置を変化させる方向は、ワイピング方向と呼ばれる。
【0056】
例えば、ワイピング方向がノズル列39の延在方向(本実施形態では、X方向)である場合、ワイパー23aやワイパー23bは、ノズル列39における複数のノズル37を順次に交差することになる。このため、ワイパー23aやワイパー23bによって払拭される付着液状体が、ワイピング方向の下流側に位置するノズル37にかかりやすくなる。つまり、ワイピング方向がノズル列39の延在方向である場合、払拭される付着液状体が、ワイピング方向の下流側に位置するノズル37に付着しやすくなる。この結果、ワイピング方向の下流側に位置するノズル37の吐出性能を低下させることが考えられる。
これに対し、本実施形態では、ワイピング方向がノズル列39の延在方向とは交差しているので、払拭される付着液状体が他のノズル37に付着しにくい。この結果、ノズル列39における複数のノズル37にわたって、吐出性能を維持しやすくすることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、描画処理において、ワークテーブル15の往路及び復路のそれぞれが終了するたびに、フラッシング動作を実施する方法が採用されているが、フラッシング動作を実施する頻度は、これに限定されない。フラッシング動作を実施する頻度としては、任意の頻度が採用され得る。例えば、ワークテーブル15の1往復ごとにフラッシング動作を実施する頻度とすれば、描画処理にかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、本実施形態では、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙するフラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとが設けられているが、液滴吐出装置1の構成はこれに限定されない。液滴吐出装置1の構成としては、フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21bのいずれか一方を省略した構成も採用され得る。これにより、液滴吐出装置1の小型化を図りやすくすることができる。
【0058】
また、本実施形態では、描画処理において、ワークテーブル15の往路及び復路のそれぞれが終了するたびに、ワイピング動作を実施する方法が採用されているが、ワイピング動作を実施する頻度は、これに限定されない。ワイピング動作を実施する頻度としては、任意の頻度が採用され得る。例えば、ワークテーブル15の1往復ごとにワイピング動作を実施する頻度とすれば、描画処理にかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、本実施形態では、Y方向にワーク領域18を挟んで互いに対峙するワイパー23aとワイパー23bとが設けられているが、液滴吐出装置1の構成はこれに限定されない。液滴吐出装置1の構成としては、ワイパー23a及びワイパー23bのいずれか一方を省略した構成も採用され得る。これにより、液滴吐出装置1の小型化を図りやすくすることができる。
【0059】
第2実施形態について説明する。
第2実施形態における液滴吐出装置10では、ワークテーブル15の構成、吐出ヘッド33の方向、及びキャッピング装置9の方向が、液滴吐出装置1とは異なっている。また、液滴吐出装置10では、図9に示すように、ワイピングユニット151aと、ワイピングユニット151bとが設けられている点が、液滴吐出装置1とは異なっている。
液滴吐出装置10では、ワークテーブル15において、第1実施形態におけるワーク領域18並びにワイピング領域19a及び19b(図1)の設定が省略されている。
また、液滴吐出装置10では、吐出ヘッド33のノズル列39が、図10に示すように、Y方向に延在している。吐出ヘッド33の方向に合わせて、液滴吐出装置10では、キャッピング装置9の方向が、液滴吐出装置1とは異なっている。
【0060】
これらの異なる点を除いては、液滴吐出装置10は、液滴吐出装置1と同様の構成を有している。このため、以下においては、液滴吐出装置1と同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
ワイピングユニット151a及びワイピングユニット151bは、それぞれ、平面視で、定盤11の領域よりも外側に設けられている。ワイピングユニット151aと、ワイピングユニット151bとは、定盤11をX方向に挟んで互いに対峙している。また、ワイピングユニット151a及びワイピングユニット151bは、それぞれ、平面視で、ヘッド可動領域に重なっている。ヘッド可動領域は、キャリッジ搬送装置8によって可動する吐出ヘッド33が可動域内で描く軌跡に重なる領域である。
【0061】
なお、液滴吐出装置10では、描画領域は、ヘッド可動領域と、ワークWのY方向に沿った軌跡とが重なり合う領域である。
このため、液滴吐出装置10において、ワイピングユニット151a及びワイピングユニット151bは、それぞれ、平面視で、描画領域の外側に設けられている。
ワイピングユニット151aには、フラッシングユニット21aと、ワイパー23aとが設けられている。ワイピングユニット151bには、フラッシングユニット21bと、ワイパー23bとが設けられている。
フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21bは、それぞれ、Y方向に延在している。フラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとは、X方向にワーク搬送装置3を挟んで互いに対峙している。
【0062】
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、Y方向に延在している。
ワイパー23aは、ワーク搬送装置3とフラッシングユニット21aとの間に設けられている。ワイパー23bは、ワーク搬送装置3とフラッシングユニット21bとの間に設けられている。
ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、ノズル列39のY方向における長さを網羅する距離にわたって設けられている。
液滴吐出装置10においても、フラッシング動作は、図11に示すように、吐出ヘッド33と、フラッシングユニット21a又はフラッシングユニット21bとを互いに対向させた状態で実施される。
ワイピング動作は、吐出ヘッド33とワイパー23a又はワイパー23bとを互いに対向させながら、吐出ヘッド33に対するワイパー23a又はワイパー23bの位置をX方向に変化させることによって行われる。
【0063】
液滴吐出装置10では、ワイパー23aによるワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23aの位置を、吐出ヘッド33をX方向にまたぐ距離にわたって変化させることによって行われる。また、ワイパー23bによるワイピング動作は、吐出ヘッド33に対するワイパー23bの位置を、吐出ヘッド33をX方向にまたぐ距離にわたって変化させることによって行われる。つまり、液滴吐出装置10においても、ワイピング方向がノズル列39の延在方向に沿っている。なお、液滴吐出装置10では、ノズル列39の延在方向がY方向であるため、ワイピング方向は、X方向である。
また、液滴吐出装置10では、ワイピング動作は、キャリッジ搬送装置8でキャリッジ7をX方向に搬送することによって達成される。
また、液滴吐出装置10においても、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれと、ノズル面35との間に、隙間91が設けられている。液滴吐出装置10においても、隙間91は、隙間93よりも狭い。
【0064】
液滴吐出装置10における描画処理について説明する。
液滴吐出装置10では、制御部111が入力装置129から入出力インターフェース133及びバス119を介して描画データを受け取ると、CPU113によって図12に示す描画処理が開始される。
この描画処理では、CPU113は、まず、ステップS21において、キャリッジ搬送指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7を往路開始位置に移動させる。ここで、液滴吐出装置10では、往路開始位置は、図11に示す吐出ヘッド33のノズル面35が、平面視でフラッシングユニット21aに重なる位置である。
【0065】
次いで、ステップS22において、CPU113は、ワーク搬送指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWを描画領域に移動させる。
次いで、ステップS23において、CPU113は、キャリッジ走査指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7の往復移動を開始させる。キャリッジ7の往復移動では、キャリッジ7は、ノズル面35がフラッシングユニット21aに重なる位置である往路開始位置と、ノズル面35がフラッシングユニット21bに重なる位置である復路開始位置との間を往復移動する。
【0066】
次いで、ステップS24において、CPU113は、吐出指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、描画データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。
次いで、ステップS25において、CPU113は、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS26に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達するまで処理が待機される。
【0067】
ステップS26において、CPU113は、フラッシング指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、各ノズル37から液滴55をフラッシングユニット21b(図11)に向けて吐出させる。
次いで、ステップS27において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141(図7)に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWをY方向に移動(改行)させ、ワークWにおいてパターンを描画すべき新たな領域を描画領域に移動させる。
【0068】
次いで、ステップS28において、CPU113は、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS29に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達するまで処理が待機される。
ステップS29において、CPU113は、フラッシング指令を吐出制御部145(図7)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、各ノズル37から液滴55をフラッシングユニット21a(図11)に向けて吐出させる。
次いで、ステップS30において、CPU113は、描画データが終了したか否かを判定する。このとき、描画データが終了した(Yes)と判定されると、処理が終了する。他方で、描画データが終了していない(No)と判定されると、処理がステップS27に移行する。
【0069】
第2実施形態において、機能液53が液状体に対応し、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれが払拭部材に対応し、キャリッジ搬送装置8がヘッド移動装置に対応している。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
液滴吐出装置10では、ワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれが、平面視でヘッド可動領域内で描画領域の外側に設けられている。そして、描画処理において、キャリッジ搬送装置8は、キャリッジ7を往路から復路に折り返すときに、吐出ヘッド33の位置を、平面視で、描画領域内からワイパー23bを越えて描画領域外に変化させる。次いで、キャリッジ搬送装置8は、吐出ヘッド33の位置を、平面視で、ワイパー23bの描画領域側とは反対側からワイパー23bを越えて描画領域内に変化させる。
【0070】
キャリッジ7を復路から往路へ折り返すときも同様に、キャリッジ搬送装置8は、吐出ヘッド33の位置を、平面視で、描画領域内からワイパー23aを越えて描画領域外に変化させる。次いで、キャリッジ搬送装置8は、吐出ヘッド33の位置を、平面視で、ワイパー23aの描画領域側とは反対側からワイパー23aを越えて描画領域内に変化させる。
つまり、ワイパー23a及びワイパー23bは、それぞれ、吐出ヘッド33における走査の経路の途中に設けられている。
このため、ワークWに描画を行うときに、ワークWに対する描画を行いながら、ワイピング動作を行うことができる。
また、ワイパー23a及びワイパー23bの位置を固定しても、平面視で吐出ヘッド33とワイパー23aやワイパー23bとを交差させることができる。これにより、ワイパー23aやワイパー23bの大きさを必要最小限にとどめやすくすることができる。この結果、第1実施形態に比較して、ワイパー23aやワイパー23bを小型化しやすくすることができる。
【0071】
なお、第2実施形態では、描画処理において、キャリッジ7の往路及び復路のそれぞれが終了するたびに、フラッシング動作を実施する方法が採用されているが、フラッシング動作を実施する頻度は、これに限定されない。フラッシング動作を実施する頻度としては、任意の頻度が採用され得る。例えば、キャリッジ7の1往復ごとにフラッシング動作を実施する頻度とすれば、描画処理にかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、第2実施形態では、X方向にワーク搬送装置3を挟んで互いに対峙するフラッシングユニット21aとフラッシングユニット21bとが設けられているが、液滴吐出装置10の構成はこれに限定されない。液滴吐出装置10の構成としては、フラッシングユニット21a及びフラッシングユニット21bのいずれか一方を省略した構成も採用され得る。これにより、液滴吐出装置10の小型化を図りやすくすることができる。
【0072】
また、第2実施形態では、描画処理において、キャリッジ7の往路及び復路のそれぞれが終了するたびに、ワイピング動作を実施する方法が採用されているが、ワイピング動作を実施する頻度は、これに限定されない。ワイピング動作を実施する頻度としては、任意の頻度が採用され得る。例えば、キャリッジ7の1往復ごとにワイピング動作を実施する頻度とすれば、描画処理にかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、第2実施形態では、X方向にワーク搬送装置3を挟んで互いに対峙するワイパー23aとワイパー23bとが設けられているが、液滴吐出装置10の構成はこれに限定されない。液滴吐出装置10の構成としては、ワイパー23a及びワイパー23bのいずれか一方を省略した構成も採用され得る。これにより、液滴吐出装置10の小型化を図りやすくすることができる。
【0073】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、それぞれ、ゴムなどの弾性体で構成されたブレード状のワイパー23aやワイパー23bが採用されている。しかしながら、ワイパー23aやワイパー23bの材料としては、ゴムなどの弾性体に限定されず、例えば、樹脂や金属などの種々の材料が採用され得る。
また、ワイパー23aやワイパー23bの材料としては、例えば、布や、不織布、紙、スポンジなどの液状体を吸収する能力を有する吸収材も採用され得る。
さらに、ワイパー23aやワイパー23bの構成としては、ブレード状に限定されず、種々の形態が採用され得る。
上述した吸収材においても、ノズル面35とワイパー23a及びワイパー23bのそれぞれとの間に隙間91が設けられる。そして、付着液状体のZ方向における高さ寸法が隙間91の距離に達すると、付着液状体は吸収材に接する。このとき、付着液状体は、少なくとも一部は吸収材に吸収される。これにより、付着液状体の少なくとも一部を払拭することができ、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1,10…液滴吐出装置、3…ワーク搬送装置、5…ヘッドユニット、7…キャリッジ、8…キャリッジ搬送装置、15…ワークテーブル、18…ワーク領域、19a,19b…ワイピング領域、21a,21b…フラッシングユニット、23a,23b…ワイパー、33…吐出ヘッド、35…ノズル面、37…ノズル、39…ノズル列、53…機能液、55…液滴、61…架台、63…ガイドレール、65…キャリッジ位置検出装置、91…隙間、93…隙間、151a,151b…ワイピングユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状体が液滴の状態で吐出されるノズルを有する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドの前記ノズルが設けられている面であるノズル面に付着した前記液状体の少なくとも一部を払拭する払拭部材と、
前記ノズル面と前記払拭部材とを互いに対向させた状態で、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を変化させる変位装置と、を有し、
前記吐出ヘッドと前記払拭部材とが互いに対向した状態において、前記ノズル面と前記払拭部材とは、隙間を介して互いに離間している、
ことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記ノズル面と前記払拭部材との間の離間距離は、前記液滴を付着させる対象であるワークと前記ノズル面との間の離間距離よりも短い、
ことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記吐出ヘッドは、複数の前記ノズルが配列したノズル列を有しており、
前記変位装置は、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を、平面視で前記ノズル列の延在方向とは交差する方向に変化させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記払拭部材は、前記液状体でパターンを描画することができる領域である描画領域の外側に設けられており、
前記パターンを描画するときに、前記変位装置は、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を、平面視で、前記払拭部材の前記描画領域側とは反対側から前記払拭部材を越えて前記描画領域内に変化させ、且つ、前記描画領域内から前記払拭部材を越えて前記描画領域外に変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記変位装置は、前記吐出ヘッドを、平面視で、前記描画領域の外側と前記描画領域の内側との間を所定の経路で往復移動させるヘッド移動装置を含んでおり、
前記払拭部材は、平面視で、前記経路の途中に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項1】
液状体が液滴の状態で吐出されるノズルを有する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドの前記ノズルが設けられている面であるノズル面に付着した前記液状体の少なくとも一部を払拭する払拭部材と、
前記ノズル面と前記払拭部材とを互いに対向させた状態で、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を変化させる変位装置と、を有し、
前記吐出ヘッドと前記払拭部材とが互いに対向した状態において、前記ノズル面と前記払拭部材とは、隙間を介して互いに離間している、
ことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記ノズル面と前記払拭部材との間の離間距離は、前記液滴を付着させる対象であるワークと前記ノズル面との間の離間距離よりも短い、
ことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記吐出ヘッドは、複数の前記ノズルが配列したノズル列を有しており、
前記変位装置は、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を、平面視で前記ノズル列の延在方向とは交差する方向に変化させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記払拭部材は、前記液状体でパターンを描画することができる領域である描画領域の外側に設けられており、
前記パターンを描画するときに、前記変位装置は、前記払拭部材に対する前記吐出ヘッドの位置を、平面視で、前記払拭部材の前記描画領域側とは反対側から前記払拭部材を越えて前記描画領域内に変化させ、且つ、前記描画領域内から前記払拭部材を越えて前記描画領域外に変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記変位装置は、前記吐出ヘッドを、平面視で、前記描画領域の外側と前記描画領域の内側との間を所定の経路で往復移動させるヘッド移動装置を含んでおり、
前記払拭部材は、平面視で、前記経路の途中に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−115700(P2011−115700A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274225(P2009−274225)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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