説明

液滴吐出装置

【課題】ゲル状異物を効率よく排出させる液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッド内の機能液を吸引する吸引部と、前記液滴吐出ヘッドに対して前記機能液が供給される流路に設けられたフィルターと、前記フィルターを加温する加温部と、前記液滴吐出ヘッド内の機能液を吸引させる第1クリーニングモードと、前記フィルターを加温させながら前記液滴吐出ヘッド内の機能液を吸引させる第2クリーニングモードと、を選択的に切り替える制御部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置では、液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニット等を備えている。メンテナンスユニットは、液滴吐出ヘッド内の機能液を吸引する吸引部を含み、当該吸引部を駆動させることにより、液滴吐出ヘッド内の気泡や異物を排出させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−160788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液滴吐出ヘッドの上流側の流路途中にフィルターが設けられている場合がある。当該フィルターは、機能液中に含まれる異物等を捕集する機能を有している。しかしながら、ゲル状異物の場合には、一旦はフィルターで捕集されるものの、ゲル状異物自体が柔軟性を有しているため、変形しながらフィルターを通過してしまう場合がある。この場合、液滴吐出ヘッド内への付着や堆積により吐出不良が発生してしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッド内の前記機能液を吸引する吸引部と、前記液滴吐出ヘッドに対して前記機能液が供給される流路に設けられたフィルターと、前記フィルターを加温する加温部と、前記液滴吐出ヘッド内の前記機能液を吸引させる第1クリーニングモードと、前記フィルターを加温させながら前記液滴吐出ヘッド内の前記機能液を吸引させる第2クリーニングモードと、を選択的に切り替える制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、液滴吐出ヘッドの上流側にフィルターが設けられ、当該フィルターを加温する加温部が設けられている。そして、第1クリーニングモードと第2クリーニングモードとを選択的に切り替える制御部を有している。第1クリーニングモードでは、通常に液滴吐出ヘッドのクリーニングが行われる。この通常クリーニングにおいて、主に液滴吐出ヘッド内の気泡やノズル付近に高粘度化した機能液等を排出させることができる。そして、第2クリーニングモードでは、加温部を駆動させることによりフィルターを加温させた状態で液滴吐出ヘッド内の機能液を吸引する。このため、フィルターの加熱によって捕集されたゲル状異物の粘度が低下し、ゲル状異物はフィルターを通過しやすい状態となる。この状態で吸引することにより、ゲル状異物をフィルターから容易に通過させ、液滴吐出ヘッドから排出させることができる。これにより、液滴吐出ヘッド内からゲル状異物が排除され、液滴吐出性を向上させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記第2クリーニングモードを実行した後に、前記第1クリーニングモードを実行させることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、第2クリーニングモードの実行後において、フィルターから液滴吐出ヘッドまでの間に存在するゲル状異物を確実に排出させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部は、前記流路における前記機能液の滞留状態に応じて、前記第2クリーニングモードを実行することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、例えば、機能液の滞留状態が長期間続いた場合に、ゲル状異物が発生する傾向にある。このため、機能液の滞留時間等を管理して、第2クリーニングモードを実施することにより、ゲル状異物を適時に排出させることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、前記液滴吐出ヘッドに供給する前記機能液を貯留する機能液貯留部を備え、前記制御部は、前記機能液を交換した後に、前記第2クリーニングモードを実行することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、機能液交換時に、機能液が空気に接触する機会がある。この場合、ゲル状異物が発生する傾向にあるため、このような場合に、第2クリーニングモードを実施することにより、ゲル状異物を適時に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図2】液滴吐出装置の一部構成を示す概略図。
【図3】液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図4】液滴吐出装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図5】液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャート。
【図6】液滴吐出装置の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材ごとに縮小を異ならせて図示している。
【0016】
(液滴吐出装置の構成)
液滴吐出装置の構成について説明する。なお、本実施形態にかかる液滴吐出装置は、例えば、カラーフィルター、EL(Electro−Luminescence)発光部材、シリカガラス前駆体、金属化合物等の導電部材、誘電体部材の製造に適宜適用することができる。図1は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。図1において、液滴吐出装置30は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド50を有するヘッド機構部32と、液滴吐出ヘッド50から吐出された液滴の吐出対象である基材10を載置するワーク機構部33と、液滴吐出ヘッド50に液状体を供給する材料供給部34と、液滴吐出ヘッド50の保守を行うメンテナンス機構部35と、これら各機構部および供給部を統括的に制御する制御部36等を備えている。
【0017】
液滴吐出装置30は、床上に設置された複数の支持脚41と、支持脚41の上側に設置された定盤42を備えている。定盤42の上側には、ワーク機構部33が定盤42の長手方向(X軸方向)に延在するように配置されている。ワーク機構部33の上方には、定盤42に固定された2本の支持柱52で支持されているヘッド機構部32が、ワーク機構部33と直交する方向(Y軸方向)に延在して配置されている。また、定盤42の一方の端部には、ヘッド機構部32の液滴吐出ヘッド50から連通して液状体を供給する材料供給部34が配置されている。そして、ヘッド機構部32の一方の支持柱52近傍には、メンテナンス機構部35がワーク機構部33と並んでX軸方向に延在するように配置されている。さらに、定盤42の下側には、制御部36が備えられている。
【0018】
ヘッド機構部32は、機能液を吐出する液滴吐出ヘッド50と、液滴吐出ヘッド50を懸架したヘッドキャリッジ51と、ヘッドキャリッジ51のY軸方向への移動をガイドするY軸ガイド53と、Y軸ガイド53の側方にY軸ガイド53と平行に設置されたY軸リニアモーター54等を備えている。
【0019】
ワーク機構部33は、ヘッド機構部32の下方に位置し、ヘッド機構部32とほぼ同様の構成でX軸方向に延在するように配置されており、基材10を載置している載置台61と、載置台61の移動をガイドするX軸ガイド63と、X軸ガイド63の側方にX軸ガイド63と平行に設置されたX軸リニアモーター64等を備えている。
【0020】
これらの構成により、液滴吐出ヘッド50と基材10とは、それぞれY軸方向およびX軸方向に往復自在に移動することができる。最初に、液滴吐出ヘッド50の移動について説明する。液滴吐出ヘッド50を懸架したヘッドキャリッジ51は、Y軸ガイド53に移動可能に取り付けられている。図示しないが、ヘッドキャリッジ51からY軸リニアモーター54側へ張り出している突起部が、Y軸リニアモーター54と係合して駆動力を得ることにより、ヘッドキャリッジ51がY軸ガイド53に沿って任意の位置に移動する。同様に、載置台61に搭載された基材10もX軸方向に自在に移動する。
【0021】
このように、液滴吐出ヘッド50は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にある基材10のX軸方向の移動に同調して、液滴を吐出する構成となっている。X軸方向に移動する基材10と、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド50とを相対的に制御することにより、基材10上に機能液を吐出することができる。
【0022】
液滴吐出ヘッド50に液状体を供給する材料供給部34は、機能液貯留部としてのメインタンク75と、サブタンク76と、メインタンク75とサブタンク76とを接続する流路チューブ77と、サブタンク76と液滴吐出ヘッド50とを接続する流路としての流路チューブ78を備えている。
【0023】
図2は、液滴吐出装置の一部構成を示す概略図である。具体的には、サブタンク76から液滴吐出ヘッド50までの構成を示している。図2に示すように、本実施形態における液滴吐出装置30では、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド50と、液滴吐出ヘッド50に対して機能液が供給される流路としての流路チューブ78に設けられたフィルター200と、フィルター200を加温する加温部210を備えている。さらに、フィルター200の温度を取得する温度取得部としての第1温度センサー221を備えている。フィルター200は、サブタンク76から液滴吐出ヘッド50に供給される機能液に含まれる異物等を捕集するものである。これにより、液滴吐出ヘッド50における吐出安定性を維持することができる。加温部210は、フィルター200を加温するものであり、例えば、ヒーター等を用いることができる。本実施形態における加温部210は、フィルター200の加温状態を維持するため、フィルター200を覆うチャンバー210aとチャンバー210a内に設置されたヒーター210b等で構成されている。このように構成することにより、ヒーター210bを駆動させると、フィルター200の全体を均等に加温させることができる。
【0024】
図3は、液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図である。図3に示すように、液滴吐出ヘッド50は、ノズルプレート115を備え、ノズルプレート115には、ノズル120が形成されている。ノズルプレート115の上側であってノズル120と相対する位置には、ノズル120に連通するキャビティ111が形成されている。そして、キャビティ111には、材料供給部34から機能液が供給される。
【0025】
キャビティ111の上側には、上下方向(Z方向:縦振動)に振動して、キャビティ111内の容積を拡大縮小する振動板114と、上下方向に伸縮して振動板114を振動させる加圧手段としての圧電素子113が配設されている。そして、液滴吐出ヘッド50が圧電素子113を制御駆動するための駆動信号を受けると、圧電素子113が伸張して、振動板114がキャビティ111内の容積を縮小する。その結果、ノズル120から縮小した容積分の機能液が液滴121として吐出される。なお、本実施形態では、加圧手段として、縦振動型の圧電素子113を用いたが、特に、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子を用いてもよい。また、圧力発生手段として、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液を液滴として吐出させる構成を有する吐出ヘッドであってもよい。
【0026】
図1に戻り、次に、メンテナンス機構部35について説明する。メンテナンス機構部35は、吸引部としてのキャッピングユニット86、ワイピングユニット87、およびフラッシングユニット88のメンテナンスユニットを備えている。さらに、メンテナンスユニットを載置するメンテキャリッジ81と、メンテキャリッジ81の移動をガイドするメンテキャリッジガイド82と、メンテキャリッジ81と一体の螺合部85と、螺合部85が螺合するボールねじ84と、ボールねじ84を回転させるメンテモーター83とを備えている。これにより、メンテモーター83が正逆回転すると、ボールねじ84が回転し、螺合部85を介してメンテキャリッジ81が、X軸方向に移動する。メンテキャリッジ81が液滴吐出ヘッド50のメンテナンスのために移動するときには、Y軸ガイド53に沿って液滴吐出ヘッド50が移動して、メンテナンスユニットの直上部に臨んでいる。
【0027】
メンテナンスユニットのキャッピングユニット86は、液滴吐出装置30が稼動していない時に、液滴吐出ヘッド50に密着してキャッピングし、機能液が乾燥してノズル120が詰まるなどの不具合が生じないようにする。さらに、キャッピングユニット86は、液滴吐出ヘッド50に密着してキャッピングした後、図示しないポンプを駆動させて、キャッピングされた内部を負圧状態とし、液滴吐出ヘッド50内の機能液を強制的に吸引する。これにより、液滴吐出ヘッド50内の気泡や異物を排出させることができる。ワイピングユニット87は、液状体の連続吐出後やキャッピング時にノズル120に付着した液状体などを、洗浄液を含むワイピング布で拭い、全ノズルの清浄な状態を維持する。フラッシングユニット88は、液滴吐出装置30の稼動開始時や基材10への加工前に、ノズル120から吐出(フラッシング)される機能液を受け、ノズル120の吐出状態(メニスカス)を常に良好な状態にする。
【0028】
これらのメンテナンスユニットにより、液滴吐出装置30の非稼動時や基材10を交換載置している加工待ち時などに、液滴吐出ヘッド50の状態を保全して良好な吐出状態を保つことができる。
【0029】
次に、以上述べた構成を制御する制御部36の構成について説明する。図4は、制御部36の構成を示すブロック図である。制御部36は、指令部130と駆動部140とを備え、指令部130は、CPU132、記憶手段としてのROM133、RAM134および入出力インターフェイス131からなり、CPU132が入出力インターフェイス131を介して入力される各種信号を、ROM133、RAM134のデータに基づき処理し、入出力インターフェイス131を介して駆動部140へ制御信号を出力する。
【0030】
駆動部140は、ヘッドドライバー141、モータードライバー142、第1温度センサードライバー143、メンテドライバー145及びヒータードライバー146を備えている。モータードライバー142は、指令部130の制御信号により、X軸リニアモーター64、Y軸リニアモーター54を制御し、基材10、液滴吐出ヘッド50の移動を制御する。さらに、メンテモーター83を制御してメンテナンス機構部35の必要なユニットをメンテナンス位置へ移動させる。ヘッドドライバー141は、液滴吐出ヘッド50からの液状体の吐出を制御し、モータードライバー142の制御と同調して、基材10上の所定位置に吐出などが行えるようにする。第1温度センサードライバー143は、第1温度センサー221を制御する。メンテドライバー145は、メンテナンス機構部35のキャッピングユニット86、ワイピングユニット87およびフラッシングユニット88を制御する。そして、ヒータードライバー146は、ヒーター210bを制御する。
【0031】
そして、本実施形態における液滴吐出装置30の制御部36では、液滴吐出ヘッド50内の機能液を吸引させる第1クリーニングモードと、フィルター200を加温させながら液滴吐出ヘッド50内の機能液を吸引させる第2クリーニングモードとを選択的に切り替える。ここで、第1クリーニングモードを実施する目的としては、液滴吐出ヘッド50内の気泡等を排出させることにある。しかしながら、ゲル状異物は、フィルター200で捕集されるため、第1クリーニングモードでは排出しにくい。そこで、第2クリーニングモードを実施する目的としては、フィルター200で捕集されたゲル状異物を排出することにある。なお、ゲル状異物は、常にフィルター200に存在する訳ではなく、例えば、液滴吐出装置30が長期的に待機している場合、すなわち、流路において機能液が滞留する場合や、機能液を交換した場合などで、ゲル状異物が発生する傾向にあるため、このような場合に、第2クリーニングモードを実行することが好ましい。以下、第1クリーニングモード及び第2クリーニングモードにかかる液滴吐出装置の制御方法について具体的に説明する。
【0032】
図5は、液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャートであり、図6は、液滴吐出装置の動作を示した説明図である。
【0033】
まず、図5に示すように、ステップS11では、第1クリーニングモードを選択するか否かを判断する。判断方法としては、例えば、流路チューブ78における機能液の滞留状態や、機能液の交換の有無によって判断する。すなわち、ゲル異物が発生しやすい状態にあるか否かを判断し、ゲル状異物の発生が無い場合には、第1クリーニングモードを選択し(YES)、ステップS16に移行する。一方、ゲル状異物が発生し得る場合には、NOを選択し、ステップS12に移行する。これにより、第2クリーニングモードを選択することになる。
【0034】
ステップS11において、第1クリーニングモードを選択(YES)した場合には、ステップS16に移行する。ステップS16(第2吸引)では、液滴吐出ヘッド50内の機能液を吸引する。具体的には、図6(a)に示すように、キャッピングユニット86を駆動させ、まず、キャップ部86aを液滴吐出ヘッド50のノズル面に密着させることによりキャッピングする。そして、図示しないポンプを駆動させて、キャッピングされた内部を負圧状態とし、液滴吐出ヘッド50内の機能液を強制的に吸引する。その後、必要に応じてワイピングユニット87を駆動させ、液滴吐出ヘッド50のノズル面をワイピング布で拭う。
【0035】
一方、ステップS11において、第1クリーニングモードを選択しない(NO)場合には、ステップS12に移行する。ステップS12では、フィルター200を加温する。具体的には、図6(a)に示すように、加温部210のヒーター210bを駆動させ、フィルター200を加温する。ヒーター210bの駆動により、チャンバー210a内の温度が上昇するとともに、フィルター200が温められる。これに伴い、フィルター200を通過する機能液の温度が上昇し、機能液が低粘度化するとともに、ゲル状異物の粘度も低下する。
【0036】
次いで、ステップS13では、フィルター200の温度が所定の温度に達したか否かを判断する。判断方法としては、例えば、フィルター200の温度を取得する温度センサーの値を読み取って判断する。そして、フィルター200が所定の温度に達した場合(YES)には、ステップS14に移行し、所定の温度に達しない場合(NO)には、ステップS12に移行する。
【0037】
次いで、ステップS14では、液滴吐出ヘッド50内の機能液を吸引(第1吸引)する。具体的には、図6(a)に示すように、キャッピングユニット86を駆動させ、まず、キャップ部86aを液滴吐出ヘッド50のノズル面に密着させることによりキャッピングする。そして、図示しないポンプを駆動させて、キャッピングされた内部を負圧状態とし、液滴吐出ヘッド50内の機能液を強制的に吸引する。すなわち、フィルター200を加温させた状態で、機能液を吸引する。そうすると、図6(b)に示すように、低粘度化されたゲル状異物300がフィルター200を通過する。そして、液滴吐出ヘッド50からゲル状異物300を排出させることができる。その後、必要に応じてワイピングユニット87を駆動させ、液滴吐出ヘッド50のノズル面をワイピング布で拭う。
【0038】
次いで、ステップS15では、フィルター200の加温を停止する。具体的には、加温部210のヒーター210bの駆動を停止させる。
【0039】
次いで、ステップS16では、液滴吐出ヘッド50内の機能液を吸引(第2吸引)する。具体的には、図6(a)に示すように、キャッピングユニット86を駆動させ、まず、キャップ部86aを液滴吐出ヘッド50のノズル面に密着させることによりキャッピングする。そして、図示しないポンプを駆動させて、キャッピングされた内部を負圧状態とし、液滴吐出ヘッド50内の機能液を強制的に吸引する。すなわち、フィルター200を加温させていない状態で、機能液を吸引する。換言すれば、第2クリーニングモードを実行した後に、第1クリーニングモードを実行する。これにより、例えば、フィルター200から液滴吐出ヘッド50に存在するゲル状異物を排出することができる。その後、必要に応じてワイピングユニット87を駆動させ、液滴吐出ヘッド50のノズル面をワイピング布で拭う。
【0040】
従って、上記の実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0041】
第1クリーニングモードと第2クリーニングモードを機能液の状態に応じて適宜選択して実行することにより、効率よく異物等を排出させることができる。また、第2クリーニングモードでは、フィルター200に付着したゲル状異物を容易に排出でき、液滴吐出性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0042】
30…液滴吐出装置、36…制御部、50…液滴吐出ヘッド、86…キャッピングユニット、86a…キャップ部、87…ワイピングユニット、88…フラッシングユニット、113…圧電素子、143…第1温度センサードライバー、200…フィルター、210…加温部、210a…チャンバー、210b…ヒーター、221…第1温度センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッド内の前記機能液を吸引する吸引部と、
前記液滴吐出ヘッドに対して前記機能液が供給される流路に設けられたフィルターと、
前記フィルターを加温する加温部と、
前記液滴吐出ヘッド内の前記機能液を吸引させる第1クリーニングモードと、前記フィルターを加温させながら前記液滴吐出ヘッド内の前記機能液を吸引させる第2クリーニングモードと、を選択的に切り替える制御部と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記第2クリーニングモードを実行した後に、前記第1クリーニングモードを実行させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部は、
前記流路における前記機能液の滞留状態に応じて、前記第2クリーニングモードを実行することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記液滴吐出ヘッドに供給する前記機能液を貯留する機能液貯留部を備え、
前記制御部は、
前記機能液を交換した後に、前記第2クリーニングモードを実行することを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−189235(P2011−189235A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55458(P2010−55458)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】