液状食品加熱装置
【課題】手動による動作を減少させることにより手間を省くことが可能な液状食品加熱装置を提供する。
【解決手段】液状食品加熱装置1のエレベータ式可動装置は、各スプロケットの回転に伴って容器載置部21に載置された液状食品用容器2が自動的に上昇及び下降することにより、蒸気噴出ノズル6が液状食品用容器2の容器本体5内に自動的に挿入され、また容器本体5から蒸気噴出ノズル6を自動的に抜くことが可能である。これにより、手動によって行う動作を減少させることができ、手間を省くことができる。
【解決手段】液状食品加熱装置1のエレベータ式可動装置は、各スプロケットの回転に伴って容器載置部21に載置された液状食品用容器2が自動的に上昇及び下降することにより、蒸気噴出ノズル6が液状食品用容器2の容器本体5内に自動的に挿入され、また容器本体5から蒸気噴出ノズル6を自動的に抜くことが可能である。これにより、手動によって行う動作を減少させることができ、手間を省くことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルク、コーヒー、具入りスープ等の液状食品を蒸気により加熱する液状食品加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液状食品中に直接挿入した蒸気噴出ノズルから噴出する蒸気によって、液状食品を加熱する液状食品加熱装置が知られている(例えば、特許文献1)。この液状食品加熱装置40は、図10に示すように、容器本体41に収容された液状食品(例えばスープ42)に一端側を直接挿入し蒸気を噴出する蒸気噴出ノズル43と、蒸気噴出ノズル43を手動によって降下・上昇させるレバー44と、を備えている。
【0003】
このように構成された液状食品加熱装置40の作用について説明する。まず手動によってレバー44を降下させ、蒸気噴出ノズル43をスープ42に挿入した後にスタートスイッチをONする。そして、蒸気噴出ノズル43から噴出した蒸気によってスープ42を内部より加熱する。スープ42の加熱が終了した後、手動によってレバー44を上昇させてスープ42から蒸気噴出ノズル43を引き上げる。
【特許文献1】特開2003−70644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液状食品加熱装置40は、レバー44を降下させて蒸気噴出ノズル43をスープ42に挿入する動作、蒸気噴出を開始するためにスタートスイッチをONする動作、更にはレバー44を上昇させてスープ42から蒸気噴出ノズル43を引き上げる動作の全てを使用者が手動によって行う必要がある。これにより、手動によって行う動作が多く、手間が掛かってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、手動によって行う動作を減少させることにより手間を省くことが可能な液状食品加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の液状食品加熱装置は、液状食品用容器の容器本体に収容されたミルク、コーヒー、具入りスープ等の液状食品内に蒸気噴出ノズルを挿入し、蒸気噴出ノズルから蒸気を噴出して液状食品を加熱する液状食品加熱装置において、蒸気噴出ノズルを液状食品用容器の上方に固定するとともに、液状食品用容器を蒸気噴出ノズルに対して挿脱自在に上下動させる容器昇降装置を有する構造である。
【0007】
請求項1の発明によれば、容器昇降装置によって液状食品用容器が蒸気噴出ノズルに対して挿脱自在に上昇及び下降する。液状食品用容器が上昇した場合には、上方に固定された蒸気噴出ノズルが容器本体内に自動的に挿入され、液状食品を加熱する。また、液状食品用容器が下降した場合には、容器本体から蒸気噴出ノズルが自動的に抜ける。
【0008】
請求項2に記載の液状食品加熱装置は、請求項1記載の液状食品加熱装置において、容器昇降装置は、可逆転駆動源と、可逆転駆動源の回転運動により無端チェーン、無端ベルト等の無端伝動部材を上下方向に回転させる動力伝達機構と、液状食品用容器を載置する容器載置部と、容器載置部を支持し、無端伝動部材の回転に連動して容器載置部を上下動させる支持部材とを有する構造となっている。
【0009】
請求項2の発明によれば、請求項1の作用に加え、可逆転駆動源の回転運動が動力伝達機構に伝わり、この動力伝達機構によって無端伝動部材が上下方向に回転する。そして、この無端伝動部材の回転に連動して、容器載置部が支持部材によって上下動する。以上からなる容器昇降装置の作用により、容器載置部に載置された液状食品用容器が蒸気噴出ノズルに対して挿脱自在に上下動することができる。
【0010】
請求項3に記載の液状食品加熱装置は、請求項2記載の液状食品加熱装置において、容器昇降装置は、支持部材が無端伝動部材の下端部側に移動するとき支持部材を傾斜させる容器傾斜部を有する構造となっている。
【0011】
請求項3の発明によれば、請求項2の作用に加え、容器傾斜部によって容器載置部及び容器載置部に載置された液状食品用容器を自動的に傾斜させることができる。これにより、液状食品用容器の容器本体内に収容された加熱後の液状食品を別の容器に移す動作を自動的に行える。また、容器本体内に収容された加熱後の液状食品を自動的に別の容器に移すことが可能なので、別の容器に移す動作時に加熱後の液状食品を零してしまったり、零した加熱後の液状食品や熱くなった液状食品用容器によって使用者が火傷したりすることを防止できる。
【0012】
請求項4に記載の液状食品加熱装置は、請求項2又は請求項3に記載の液状食品加熱装置において、容器載置部は、容器本体の上端鍔部を保持する鍔保持部を有する構造となっている。
【0013】
請求項4の発明によれば請求項2又は請求項3の作用に加え、鍔保持部によって容器本体の上端鍔部が保持されることにより、容器載置部から液状食品用容器がずれたり、容器載置部及び容器載置部に載置された液状食品用容器を傾斜させた際に、液状食品用容器が容器載置部から抜け落ちたりすることを防止できる。
【0014】
請求項5に記載の液状食品加熱装置は、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の液状食品加熱装置の液状食品用容器が、液状食品を収容する上面開口の容器本体と、容器本体の上面開口を閉塞する蓋と、蓋の開封始端側に外方へ向かって突出して配置され、少なくとも1つ以上のフック用孔が設けられている摘み片と、を有する構造となっている。
【0015】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至請求項4の何れか一項の作用に加え、まず液状食品用容器の蓋の開封始端側に外方へ向かって突出して配置された摘み片を、蓋の開封始端から開封終端に向かって移動させる。この摘み片の移動に伴って、蓋が開封方向へ誘導され開封される。摘み片を開封始端側から開封終端側に向かって移動させる手段としては、摘み片を手指で直に摘んで移動させる手動による手段、又は、フック等の機械的開封手段をフック用孔に挿通させ移動させる機械的手段が挙げられる。これにより、液状食品用容器の蓋の開封手段は、手動による開封手段のみならず、フック等の機械的開封手段をフック用孔に挿通させて蓋を開封することができる。したがって、蓋の開封動作も自動化できるので、一層手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、容器昇降装置によって液状食品用容器が上昇及び下降し、液状食品用容器が上昇した場合には、上方に固定された蒸気噴出ノズルが液状食品用容器の容器本体内に自動的に挿入され、また、液状食品用容器が下降した場合には、液状食品用容器から蒸気噴出ノズルを自動的に抜くことが可能である。これにより、手動によって行う動作を減少させることができ、手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1乃至図9は本発明の第1実施形態を示すもので、図1は第1実施形態に係る液状食品加熱装置の全体概略図、図2は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図、図3は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す平面図、図4は第1実施形態に係る鍔保持部と容器本体の概略断面図、図5は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図、図6は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図、図7は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図、図8は第1実施形態に係る液状食品用容器の他の一例を示す概略断面図、図9は第1実施形態に係る液状食品用容器の他の一例を開封するエレベータ式可動装置を示す正面図である。
【0018】
本実施形態の液状食品加熱装置1は、図1に示すように、液状食品用容器2と、液状食品(本実施形態では具入りスープ4)内に挿入した後に噴出孔6aから蒸気6bを噴出して具入りスープ4を加熱する蒸気噴出ノズル6と、蒸気開閉弁7が設けられた蒸気配水管8を介して蒸気噴出ノズル6と接続されたボイラ9と、ポンプ10を介してボイラ9と接続された水タンク11とから主に構成されている。また、液状食品用容器2は、容器本体5と、容器本体5の上面開口を閉塞する蓋3と、容器本体5に収容された具入りスープ4とから構成されている。
【0019】
このように構成された液状食品加熱装置1の作用について説明する。まず、ポンプ10によって水タンク11からボイラ9に水を給送する。給送された水はボイラ9によって加熱され蒸気6bを生成し、この蒸気6bが蒸気配水管3を通って蒸気噴出ノズル6に供給される。供給された蒸気6bは、蒸気噴出ノズル6の噴出孔6aから容器本体5に収容された具入りスープ4内に噴出される。これにより、具入りスープ4が加熱される。尚、蒸気噴出ノズル6による蒸気6bの噴出開始及び終了は、マイクロコンピューター(図示しない。以下、「マイコン」という)によって制御されている。
【0020】
以上のような液状食品加熱装置1の構成及び作用は周知のものであり、本実施形態の特徴的構成は、液状食品加熱装置1のエレベータ式可動装置(容器昇降装置)の構造にある。この構造を主に図2及び図3を参照して説明する。
【0021】
本実施形態の液状食品加熱装置1のエレベータ式可動装置20は、図2及び図3に示すように、液状食品用容器2を載置する容器載置部21と、一対のスプロケット(動力伝達機構)22に巻き掛けられた無端チェーン(無端伝動部材)23と、容器載置部21とスプロケット22との間に設けられ、チェーン23の回転に伴い容器載置部21を上昇及び下降させる支持部材24と、容器載置部21及び支持部材24を傾斜させる容器傾斜部25とから主に構成されている。
【0022】
容器載置部21は、図1、図3及び図4に示すように、円形状の輪になるようにワイヤで形成されたものであり、容器本体5の鍔5aがこの周縁上に載置するようになっている。また、容器載置部21の周縁の一部には、容器載置部21に載置した液状食品用容器2内の具入りスープ4を別の容器に移し易くするために、注ぎ口用載置部21aが設けられている。また、容器載置部21は、容器載置部21から液状食品用容器2がずれたり、容器載置部21及び容器載置部21に載置された液状食品用容器2を傾斜させた際に液状食品用容器2が容器載置部21から抜け落ちたりすることを防止するために、容器本体5の鍔5aを保持する鍔保持部21bを有する。
【0023】
一対のスプロケット22は、図2及び図3に示すように、上下にチェーン23が巻き掛けられたスプロケット22(以下、「上下のスプロケット22a」という)が4組と、左右にチェーン23が巻き掛けられたスプロケット22(以下、「左右のスプロケット22b」という)が1組とから構成されている。
【0024】
4組の上下のスプロケット22aは、図3に示すように、2組毎に回転軸26a又は26bで連結されている。この回転軸26aと26bとの間は、チェーン23が巻き掛けられた左右のスプロケット22bによって連結されており、一方の回転軸の動きが他方の回転軸に伝わるようになっている。また、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aのうち、一方の上下のスプロケット22aは、可逆転駆動源であるモータ27と接続され、モータ27の駆動により回転するようになっている。即ち、モータ27を駆動させると、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aのうち、一方の上下のスプロケット22aが回転し、同時に回転軸26aで連結している他方の上下のスプロケット22aも回転するようになっている。尚、各スプロケット22の回転の開始及び停止は、マイコン(図示しない)によって制御されている。
【0025】
チェーン23は、図2及び図3に示すように、多数のリンク28と、各リンク28同士を回転自在に連結する多数の連結ピン29とからなる。
【0026】
支持部材24は、図3に示すように、ワイヤ24a,24b,24c,24d及び24eから構成されている。このワイヤ24a,24b,24c,24d及び24eについて以下に説明する。
【0027】
ワイヤ24aは、その一端側が容器載置部21と注ぎ口用載置部21aとの節目となる箇所A1,A2において溶接されている。また、ワイヤ24aの中央付近は、ワイヤ24cの両端と接合箇所A3,A4で溶接されている。更には、ワイヤ24aの他端側は、図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aに巻き掛けられたチェーン23にスプロケット22aの邪魔にならないように固着することによって、チェーン23と連動するようになっている。尚、ワイヤ24aの他端側にはカラー30を取り付けられているので、容器載置部21の支持力が増加している。
【0028】
ワイヤ24bは、その一端が容器載置部21と接合箇所A5において溶接され、またワイヤ24cと接合箇所A6,A7において溶接されている。
【0029】
ワイヤ24cは、ワイヤ24a側から図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22a側に向かってコの字の形状をなすように延在して設けられている。このワイヤ24cの両端は、ワイヤ24aと接合箇所A3,A4において溶接され、またワイヤ24bと接合箇所A6,A7において溶接され、更にはワイヤ24eと接合箇所A8,A9において溶接されている。そして、ワイヤ24cの図3に向かって右端部は、ワイヤ24dに溶接されることなく支持されている。
【0030】
ワイヤ24dの一端側は、ワイヤ24cの図3に向かって右端部を支持している。また、ワイヤ24dの他端側は、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aに巻き掛けられたチェーン23に、スプロケット22aの邪魔にならないように固着することによって、チェーン23と連動するようになっている。
【0031】
ワイヤ24eは、ワイヤ24cと接合箇所A8,A9において溶接され、また容器傾斜部25に溶接されることなく支持されている。
【0032】
容器傾斜部25は、図3に示すように、回転軸26bと直角を成して一体に設けられ、ワイヤ24eを支持している。即ち、容器傾斜部25には、回転軸26bを通じて図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aの回転が伝達される。そして、容器傾斜部25は、この伝達された動きを容器傾斜部25が支持しているワイヤ24eに伝達することができる。
【0033】
また、本実施形態の容器本体5の上面開口を閉塞する蓋3は、液状食品用容器2が不注意で傾いた場合であっても容器本体5内に収容された具入りスープ4が零れることがなく、且つ蒸気噴出ノズル6を挿入することが可能な材質、強度及び張り具合に設定されている。
【0034】
更に、本実施形態の蒸気噴出ノズル6は、液状食品用容器2を台12に置いた際に蒸気噴出ノズル6が液状食品用容器2から完全に抜けて、液状食品用容器2の動きを妨げないようになっている。即ち、蒸気噴出ノズル6の位置は、図1に示すように、液状食品用容器2を台12に置いた際に蓋3と蒸気噴出ノズル6の先端とが触れ合うことのない間隔xをおいて固定されている。また、本実施形態の蒸気噴出ノズル6は、具入りスープ4内に挿入する際に蓋3を突き破ることができるよう先端が鋭角になるよう形成されている。
【0035】
以上のように構成された液状食品加熱用容器1のエレベータ式可動装置20の作用について説明する。
【0036】
まず、図5に示すように、容器載置部21に液状食品用容器2を載置する。次に、モータ27を駆動させると、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aが図5に示す白抜き矢印の方向に回転する。この回転と同時に、左右のスプロケット22bによって回転軸26aの回転が回転軸26bに伝えられ、図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aも図5に示す白抜き矢印の方向に回転し始める。
【0037】
続いて、この各上下のスプロケット22aの回転に伴って、ワイヤ24a,24dが図5に示す黒色矢印の方向に上昇し始める。そして、ワイヤ24aの上昇に伴って容器載置部21が、ワイヤ24dの上昇に伴ってワイヤ24c,24b、容器載置部21がそれぞれ上昇することにより、容器載置部21に載置された液状食品用容器2も黒色矢印の方向に上昇する。そして、上昇する液状食品用容器2の蓋3の一部分は蒸気噴出ノズル6によって突き破られる。これにより、蒸気噴出ノズル6が具入りスープ4内に挿入される。このとき、容器傾斜部25は、図5に示す破線矢印の方向に回転し、図6に示す位置まで移動する。
【0038】
容器載置部21に載置された液状食品用容器2が設定された高さまで更に上昇し、蒸気噴出ノズル6が具入りスープ4内に確実に挿入されたとマイコンが判断すると、図6に示すように、蒸気噴出ノズル6の噴出孔6aから具入りスープ4内に向かって蒸気6bの噴出が開始される。これにより、具入りスープ4が蒸気6bによって加熱される。そして、温度センサ等の検知器(図示しない)によって具入りスープ4の状態が検知され、設定した加熱停止条件に至ると蒸気噴出ノズル6の噴出孔6aからの蒸気6bの噴出を停止する。
【0039】
その後、モータ27を逆転駆動させて、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aが図6に示す白抜き矢印の方向に逆回転する。この回転と同時に、回転軸26aの回転が左右のスプロケット22bによって回転軸26bに伝えられ、図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aも図6に示す白抜き矢印の方向に回転し始める。
【0040】
続いて、この各上下のスプロケット22aの回転に伴って、ワイヤ24a,24dが図6に示す黒色矢印の方向に下降し始める。そして、ワイヤ24a,24dの下降に伴って容器載置部21に載置された液状食品用容器2も黒色矢印の方向に下降する。このとき、容器傾斜部25は、図6に示す破線矢印の方向に回転し、図5に示す位置まで移動する。
【0041】
以上からなる液状食品加熱用容器1のエレベータ式可動装置20の作用より、液状食品用容器2の容器本体5内に収容された具入りスープ4の加熱が行われる。更に、容器本体5内に収容された具入りスープ4を別の容器に移す際のエレベータ式可動装置20の作用について説明する。
【0042】
まず、モータ27を逆転駆動させ、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aが図7に示す白抜き矢印の方向に逆回転する。この回転と同時に、回転軸26aの回転が左右のスプロケット22bによって回転軸26bに伝えられ、図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aも図7に示す白抜き矢印の方向に回転し始める。
【0043】
このとき、容器傾斜部25は図7に示す破線矢印の方向に傾斜し、この回転に伴って容器傾斜部25に支持されていたワイヤ24eも破線矢印の方向に移動する。これにより、ワイヤ24cの図3に向かって右端部がワイヤ24dから離れ、破線矢印の方向に移動する。即ち、水平方向に位置していたワイヤ24aとワイヤ24cは、容器傾斜部25の傾斜によって垂直方向に位置するようになる。
【0044】
このワイヤ24c,24eの移動に伴って、容器載置部21に載置された液状食品用容器2が黒色矢印の方向に傾斜する。これにより、液状食品用容器2の容器本体5内に収容された具入りスープ4を別の容器に移すことができる。
【0045】
本実施形態によれば、各スプロケット22の回転に伴って容器載置部21に載置された液状食品用容器2が自動的に上昇及び下降することにより、蒸気噴出ノズル6が液状食品用容器2の容器本体5内に自動的に挿入され、また容器本体5から蒸気噴出ノズル6を自動的に抜くことが可能である。これにより、手動によって行う動作を減少させることができ、手間を省くことができる。
【0046】
また、容器傾斜部25を有することにより、容器載置部21及び容器載置部21に載置された液状食品用容器2を自動的に傾斜可能なので、液状食品用容器2の容器本体5に収容された加熱後の具入りスープ4を別の容器に移す動作を容易に自動的に行える。これにより、別の容器に移す動作時に加熱後の具入りスープ4を零してしまったり、零した加熱後の具入りスープ4や熱くなった液状食品用容器2によって使用者が火傷したりすることを防止できる。
【0047】
尚、本実施形態では、上述したようにエレベータ式可動装置20によって液状食品用容器2の容器本体5内に収容された具入りスープ4を別の容器に移す前に、容器本体5の上面開口を閉塞する蓋3の注ぎ口部分を開封しておくことが好ましい。この蓋3の注ぎ口部分を開封する方法としては、蓋3の開封始端側に外方へ向かって突出して配置された摘み片を手指で直に摘んで移動させる手動による手段、又は、液状食品加熱装置に予め固定して設けたフック等の機械的開封手段によって開封する方法がある。このうち機械的開封手段であるフックによって開封可能な液状食品用容器について、図8を用いて説明する。
【0048】
液状食品用容器31は、液状食品である具入りスープ4を収容する容器本体5と、容器本体5の上面開口を閉塞する蓋34とから主に構成されている。蓋34は、開封方向(図8に示す白抜き矢印の方向)の始端側に、外方へ向かって突出して配置された摘み片36を有している。この摘み片36には、機械的開封手段であるフック37を挿通可能なフック用孔35が1つ設けられている。
【0049】
このように構成された液状食品用容器31の蓋34がフック37によって開封される際の作用について、図9を用いて説明する。
【0050】
上述した手順で容器本体5内に収容された具入りスープ4の加熱が行われた後の液状食品用容器31のフック用孔35には、フック37が挿入されるようになっている。そして、上述したようにモータ27を逆転駆動させることにより図9に示す破線矢印の方向に移動した容器傾斜部25によって、容器本体5が図9に示す黒色矢印の方向に傾動する。このとき、フック37が挿通された摘み片36は蓋34の開封始端から開封終端に向かって移動する。これにより、容器本体5と摘み片36を有する蓋34との接着箇所が剥がれ、蓋34が開封される。したがって、蓋34の開封動作も自動化できるので、一層手間を省くことができる。
【0051】
また、本実施形態では、無端伝動部材として一対のスプロケット22に巻き掛けられた無端チェーン23を用いて説明したが、これに限られない。例えば、一対のプーリに巻き掛けられた無端ベルトを用いても良い。
【0052】
さらに、本実施形態のワイヤ24a,24dの各他端側は、それぞれチェーン23に固着させてチェーン23と連動するようにしているが、これに限られない。例えば、ワイヤ24a,24dの各他端側を連結ピン29のように各リンク28に挿通させることにより、チェーン23と連動するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液状食品加熱装置の全体概略図
【図2】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図
【図3】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す平面図
【図4】第1実施形態に係る鍔保持部と容器本体の概略断面図
【図5】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図
【図6】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図
【図7】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図
【図8】第1実施形態に係る液状食品用容器の他の一例を示す斜視図
【図9】第1実施形態に係る液状食品用容器の他の一例を開封するエレベータ式可動装置を示す正面図
【図10】本発明の従来例に係る液状食品加熱装置を示す斜視図
【符号の説明】
【0054】
1…液状食品加熱装置、2…液状食品用容器、3…蓋、4…具入りスープ、5…容器本体、6…蒸気噴出ノズル、6a…噴出孔、20…エレベータ式可動装置、21…容器載置部、22…スプロケット、23…チェーン、24…支持部材、25…容器傾斜部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルク、コーヒー、具入りスープ等の液状食品を蒸気により加熱する液状食品加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液状食品中に直接挿入した蒸気噴出ノズルから噴出する蒸気によって、液状食品を加熱する液状食品加熱装置が知られている(例えば、特許文献1)。この液状食品加熱装置40は、図10に示すように、容器本体41に収容された液状食品(例えばスープ42)に一端側を直接挿入し蒸気を噴出する蒸気噴出ノズル43と、蒸気噴出ノズル43を手動によって降下・上昇させるレバー44と、を備えている。
【0003】
このように構成された液状食品加熱装置40の作用について説明する。まず手動によってレバー44を降下させ、蒸気噴出ノズル43をスープ42に挿入した後にスタートスイッチをONする。そして、蒸気噴出ノズル43から噴出した蒸気によってスープ42を内部より加熱する。スープ42の加熱が終了した後、手動によってレバー44を上昇させてスープ42から蒸気噴出ノズル43を引き上げる。
【特許文献1】特開2003−70644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液状食品加熱装置40は、レバー44を降下させて蒸気噴出ノズル43をスープ42に挿入する動作、蒸気噴出を開始するためにスタートスイッチをONする動作、更にはレバー44を上昇させてスープ42から蒸気噴出ノズル43を引き上げる動作の全てを使用者が手動によって行う必要がある。これにより、手動によって行う動作が多く、手間が掛かってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、手動によって行う動作を減少させることにより手間を省くことが可能な液状食品加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の液状食品加熱装置は、液状食品用容器の容器本体に収容されたミルク、コーヒー、具入りスープ等の液状食品内に蒸気噴出ノズルを挿入し、蒸気噴出ノズルから蒸気を噴出して液状食品を加熱する液状食品加熱装置において、蒸気噴出ノズルを液状食品用容器の上方に固定するとともに、液状食品用容器を蒸気噴出ノズルに対して挿脱自在に上下動させる容器昇降装置を有する構造である。
【0007】
請求項1の発明によれば、容器昇降装置によって液状食品用容器が蒸気噴出ノズルに対して挿脱自在に上昇及び下降する。液状食品用容器が上昇した場合には、上方に固定された蒸気噴出ノズルが容器本体内に自動的に挿入され、液状食品を加熱する。また、液状食品用容器が下降した場合には、容器本体から蒸気噴出ノズルが自動的に抜ける。
【0008】
請求項2に記載の液状食品加熱装置は、請求項1記載の液状食品加熱装置において、容器昇降装置は、可逆転駆動源と、可逆転駆動源の回転運動により無端チェーン、無端ベルト等の無端伝動部材を上下方向に回転させる動力伝達機構と、液状食品用容器を載置する容器載置部と、容器載置部を支持し、無端伝動部材の回転に連動して容器載置部を上下動させる支持部材とを有する構造となっている。
【0009】
請求項2の発明によれば、請求項1の作用に加え、可逆転駆動源の回転運動が動力伝達機構に伝わり、この動力伝達機構によって無端伝動部材が上下方向に回転する。そして、この無端伝動部材の回転に連動して、容器載置部が支持部材によって上下動する。以上からなる容器昇降装置の作用により、容器載置部に載置された液状食品用容器が蒸気噴出ノズルに対して挿脱自在に上下動することができる。
【0010】
請求項3に記載の液状食品加熱装置は、請求項2記載の液状食品加熱装置において、容器昇降装置は、支持部材が無端伝動部材の下端部側に移動するとき支持部材を傾斜させる容器傾斜部を有する構造となっている。
【0011】
請求項3の発明によれば、請求項2の作用に加え、容器傾斜部によって容器載置部及び容器載置部に載置された液状食品用容器を自動的に傾斜させることができる。これにより、液状食品用容器の容器本体内に収容された加熱後の液状食品を別の容器に移す動作を自動的に行える。また、容器本体内に収容された加熱後の液状食品を自動的に別の容器に移すことが可能なので、別の容器に移す動作時に加熱後の液状食品を零してしまったり、零した加熱後の液状食品や熱くなった液状食品用容器によって使用者が火傷したりすることを防止できる。
【0012】
請求項4に記載の液状食品加熱装置は、請求項2又は請求項3に記載の液状食品加熱装置において、容器載置部は、容器本体の上端鍔部を保持する鍔保持部を有する構造となっている。
【0013】
請求項4の発明によれば請求項2又は請求項3の作用に加え、鍔保持部によって容器本体の上端鍔部が保持されることにより、容器載置部から液状食品用容器がずれたり、容器載置部及び容器載置部に載置された液状食品用容器を傾斜させた際に、液状食品用容器が容器載置部から抜け落ちたりすることを防止できる。
【0014】
請求項5に記載の液状食品加熱装置は、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の液状食品加熱装置の液状食品用容器が、液状食品を収容する上面開口の容器本体と、容器本体の上面開口を閉塞する蓋と、蓋の開封始端側に外方へ向かって突出して配置され、少なくとも1つ以上のフック用孔が設けられている摘み片と、を有する構造となっている。
【0015】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至請求項4の何れか一項の作用に加え、まず液状食品用容器の蓋の開封始端側に外方へ向かって突出して配置された摘み片を、蓋の開封始端から開封終端に向かって移動させる。この摘み片の移動に伴って、蓋が開封方向へ誘導され開封される。摘み片を開封始端側から開封終端側に向かって移動させる手段としては、摘み片を手指で直に摘んで移動させる手動による手段、又は、フック等の機械的開封手段をフック用孔に挿通させ移動させる機械的手段が挙げられる。これにより、液状食品用容器の蓋の開封手段は、手動による開封手段のみならず、フック等の機械的開封手段をフック用孔に挿通させて蓋を開封することができる。したがって、蓋の開封動作も自動化できるので、一層手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、容器昇降装置によって液状食品用容器が上昇及び下降し、液状食品用容器が上昇した場合には、上方に固定された蒸気噴出ノズルが液状食品用容器の容器本体内に自動的に挿入され、また、液状食品用容器が下降した場合には、液状食品用容器から蒸気噴出ノズルを自動的に抜くことが可能である。これにより、手動によって行う動作を減少させることができ、手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1乃至図9は本発明の第1実施形態を示すもので、図1は第1実施形態に係る液状食品加熱装置の全体概略図、図2は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図、図3は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す平面図、図4は第1実施形態に係る鍔保持部と容器本体の概略断面図、図5は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図、図6は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図、図7は第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図、図8は第1実施形態に係る液状食品用容器の他の一例を示す概略断面図、図9は第1実施形態に係る液状食品用容器の他の一例を開封するエレベータ式可動装置を示す正面図である。
【0018】
本実施形態の液状食品加熱装置1は、図1に示すように、液状食品用容器2と、液状食品(本実施形態では具入りスープ4)内に挿入した後に噴出孔6aから蒸気6bを噴出して具入りスープ4を加熱する蒸気噴出ノズル6と、蒸気開閉弁7が設けられた蒸気配水管8を介して蒸気噴出ノズル6と接続されたボイラ9と、ポンプ10を介してボイラ9と接続された水タンク11とから主に構成されている。また、液状食品用容器2は、容器本体5と、容器本体5の上面開口を閉塞する蓋3と、容器本体5に収容された具入りスープ4とから構成されている。
【0019】
このように構成された液状食品加熱装置1の作用について説明する。まず、ポンプ10によって水タンク11からボイラ9に水を給送する。給送された水はボイラ9によって加熱され蒸気6bを生成し、この蒸気6bが蒸気配水管3を通って蒸気噴出ノズル6に供給される。供給された蒸気6bは、蒸気噴出ノズル6の噴出孔6aから容器本体5に収容された具入りスープ4内に噴出される。これにより、具入りスープ4が加熱される。尚、蒸気噴出ノズル6による蒸気6bの噴出開始及び終了は、マイクロコンピューター(図示しない。以下、「マイコン」という)によって制御されている。
【0020】
以上のような液状食品加熱装置1の構成及び作用は周知のものであり、本実施形態の特徴的構成は、液状食品加熱装置1のエレベータ式可動装置(容器昇降装置)の構造にある。この構造を主に図2及び図3を参照して説明する。
【0021】
本実施形態の液状食品加熱装置1のエレベータ式可動装置20は、図2及び図3に示すように、液状食品用容器2を載置する容器載置部21と、一対のスプロケット(動力伝達機構)22に巻き掛けられた無端チェーン(無端伝動部材)23と、容器載置部21とスプロケット22との間に設けられ、チェーン23の回転に伴い容器載置部21を上昇及び下降させる支持部材24と、容器載置部21及び支持部材24を傾斜させる容器傾斜部25とから主に構成されている。
【0022】
容器載置部21は、図1、図3及び図4に示すように、円形状の輪になるようにワイヤで形成されたものであり、容器本体5の鍔5aがこの周縁上に載置するようになっている。また、容器載置部21の周縁の一部には、容器載置部21に載置した液状食品用容器2内の具入りスープ4を別の容器に移し易くするために、注ぎ口用載置部21aが設けられている。また、容器載置部21は、容器載置部21から液状食品用容器2がずれたり、容器載置部21及び容器載置部21に載置された液状食品用容器2を傾斜させた際に液状食品用容器2が容器載置部21から抜け落ちたりすることを防止するために、容器本体5の鍔5aを保持する鍔保持部21bを有する。
【0023】
一対のスプロケット22は、図2及び図3に示すように、上下にチェーン23が巻き掛けられたスプロケット22(以下、「上下のスプロケット22a」という)が4組と、左右にチェーン23が巻き掛けられたスプロケット22(以下、「左右のスプロケット22b」という)が1組とから構成されている。
【0024】
4組の上下のスプロケット22aは、図3に示すように、2組毎に回転軸26a又は26bで連結されている。この回転軸26aと26bとの間は、チェーン23が巻き掛けられた左右のスプロケット22bによって連結されており、一方の回転軸の動きが他方の回転軸に伝わるようになっている。また、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aのうち、一方の上下のスプロケット22aは、可逆転駆動源であるモータ27と接続され、モータ27の駆動により回転するようになっている。即ち、モータ27を駆動させると、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aのうち、一方の上下のスプロケット22aが回転し、同時に回転軸26aで連結している他方の上下のスプロケット22aも回転するようになっている。尚、各スプロケット22の回転の開始及び停止は、マイコン(図示しない)によって制御されている。
【0025】
チェーン23は、図2及び図3に示すように、多数のリンク28と、各リンク28同士を回転自在に連結する多数の連結ピン29とからなる。
【0026】
支持部材24は、図3に示すように、ワイヤ24a,24b,24c,24d及び24eから構成されている。このワイヤ24a,24b,24c,24d及び24eについて以下に説明する。
【0027】
ワイヤ24aは、その一端側が容器載置部21と注ぎ口用載置部21aとの節目となる箇所A1,A2において溶接されている。また、ワイヤ24aの中央付近は、ワイヤ24cの両端と接合箇所A3,A4で溶接されている。更には、ワイヤ24aの他端側は、図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aに巻き掛けられたチェーン23にスプロケット22aの邪魔にならないように固着することによって、チェーン23と連動するようになっている。尚、ワイヤ24aの他端側にはカラー30を取り付けられているので、容器載置部21の支持力が増加している。
【0028】
ワイヤ24bは、その一端が容器載置部21と接合箇所A5において溶接され、またワイヤ24cと接合箇所A6,A7において溶接されている。
【0029】
ワイヤ24cは、ワイヤ24a側から図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22a側に向かってコの字の形状をなすように延在して設けられている。このワイヤ24cの両端は、ワイヤ24aと接合箇所A3,A4において溶接され、またワイヤ24bと接合箇所A6,A7において溶接され、更にはワイヤ24eと接合箇所A8,A9において溶接されている。そして、ワイヤ24cの図3に向かって右端部は、ワイヤ24dに溶接されることなく支持されている。
【0030】
ワイヤ24dの一端側は、ワイヤ24cの図3に向かって右端部を支持している。また、ワイヤ24dの他端側は、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aに巻き掛けられたチェーン23に、スプロケット22aの邪魔にならないように固着することによって、チェーン23と連動するようになっている。
【0031】
ワイヤ24eは、ワイヤ24cと接合箇所A8,A9において溶接され、また容器傾斜部25に溶接されることなく支持されている。
【0032】
容器傾斜部25は、図3に示すように、回転軸26bと直角を成して一体に設けられ、ワイヤ24eを支持している。即ち、容器傾斜部25には、回転軸26bを通じて図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aの回転が伝達される。そして、容器傾斜部25は、この伝達された動きを容器傾斜部25が支持しているワイヤ24eに伝達することができる。
【0033】
また、本実施形態の容器本体5の上面開口を閉塞する蓋3は、液状食品用容器2が不注意で傾いた場合であっても容器本体5内に収容された具入りスープ4が零れることがなく、且つ蒸気噴出ノズル6を挿入することが可能な材質、強度及び張り具合に設定されている。
【0034】
更に、本実施形態の蒸気噴出ノズル6は、液状食品用容器2を台12に置いた際に蒸気噴出ノズル6が液状食品用容器2から完全に抜けて、液状食品用容器2の動きを妨げないようになっている。即ち、蒸気噴出ノズル6の位置は、図1に示すように、液状食品用容器2を台12に置いた際に蓋3と蒸気噴出ノズル6の先端とが触れ合うことのない間隔xをおいて固定されている。また、本実施形態の蒸気噴出ノズル6は、具入りスープ4内に挿入する際に蓋3を突き破ることができるよう先端が鋭角になるよう形成されている。
【0035】
以上のように構成された液状食品加熱用容器1のエレベータ式可動装置20の作用について説明する。
【0036】
まず、図5に示すように、容器載置部21に液状食品用容器2を載置する。次に、モータ27を駆動させると、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aが図5に示す白抜き矢印の方向に回転する。この回転と同時に、左右のスプロケット22bによって回転軸26aの回転が回転軸26bに伝えられ、図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aも図5に示す白抜き矢印の方向に回転し始める。
【0037】
続いて、この各上下のスプロケット22aの回転に伴って、ワイヤ24a,24dが図5に示す黒色矢印の方向に上昇し始める。そして、ワイヤ24aの上昇に伴って容器載置部21が、ワイヤ24dの上昇に伴ってワイヤ24c,24b、容器載置部21がそれぞれ上昇することにより、容器載置部21に載置された液状食品用容器2も黒色矢印の方向に上昇する。そして、上昇する液状食品用容器2の蓋3の一部分は蒸気噴出ノズル6によって突き破られる。これにより、蒸気噴出ノズル6が具入りスープ4内に挿入される。このとき、容器傾斜部25は、図5に示す破線矢印の方向に回転し、図6に示す位置まで移動する。
【0038】
容器載置部21に載置された液状食品用容器2が設定された高さまで更に上昇し、蒸気噴出ノズル6が具入りスープ4内に確実に挿入されたとマイコンが判断すると、図6に示すように、蒸気噴出ノズル6の噴出孔6aから具入りスープ4内に向かって蒸気6bの噴出が開始される。これにより、具入りスープ4が蒸気6bによって加熱される。そして、温度センサ等の検知器(図示しない)によって具入りスープ4の状態が検知され、設定した加熱停止条件に至ると蒸気噴出ノズル6の噴出孔6aからの蒸気6bの噴出を停止する。
【0039】
その後、モータ27を逆転駆動させて、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aが図6に示す白抜き矢印の方向に逆回転する。この回転と同時に、回転軸26aの回転が左右のスプロケット22bによって回転軸26bに伝えられ、図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aも図6に示す白抜き矢印の方向に回転し始める。
【0040】
続いて、この各上下のスプロケット22aの回転に伴って、ワイヤ24a,24dが図6に示す黒色矢印の方向に下降し始める。そして、ワイヤ24a,24dの下降に伴って容器載置部21に載置された液状食品用容器2も黒色矢印の方向に下降する。このとき、容器傾斜部25は、図6に示す破線矢印の方向に回転し、図5に示す位置まで移動する。
【0041】
以上からなる液状食品加熱用容器1のエレベータ式可動装置20の作用より、液状食品用容器2の容器本体5内に収容された具入りスープ4の加熱が行われる。更に、容器本体5内に収容された具入りスープ4を別の容器に移す際のエレベータ式可動装置20の作用について説明する。
【0042】
まず、モータ27を逆転駆動させ、図3に向かって右側に示される2組の上下のスプロケット22aが図7に示す白抜き矢印の方向に逆回転する。この回転と同時に、回転軸26aの回転が左右のスプロケット22bによって回転軸26bに伝えられ、図3に向かって左側に示される2組の上下のスプロケット22aも図7に示す白抜き矢印の方向に回転し始める。
【0043】
このとき、容器傾斜部25は図7に示す破線矢印の方向に傾斜し、この回転に伴って容器傾斜部25に支持されていたワイヤ24eも破線矢印の方向に移動する。これにより、ワイヤ24cの図3に向かって右端部がワイヤ24dから離れ、破線矢印の方向に移動する。即ち、水平方向に位置していたワイヤ24aとワイヤ24cは、容器傾斜部25の傾斜によって垂直方向に位置するようになる。
【0044】
このワイヤ24c,24eの移動に伴って、容器載置部21に載置された液状食品用容器2が黒色矢印の方向に傾斜する。これにより、液状食品用容器2の容器本体5内に収容された具入りスープ4を別の容器に移すことができる。
【0045】
本実施形態によれば、各スプロケット22の回転に伴って容器載置部21に載置された液状食品用容器2が自動的に上昇及び下降することにより、蒸気噴出ノズル6が液状食品用容器2の容器本体5内に自動的に挿入され、また容器本体5から蒸気噴出ノズル6を自動的に抜くことが可能である。これにより、手動によって行う動作を減少させることができ、手間を省くことができる。
【0046】
また、容器傾斜部25を有することにより、容器載置部21及び容器載置部21に載置された液状食品用容器2を自動的に傾斜可能なので、液状食品用容器2の容器本体5に収容された加熱後の具入りスープ4を別の容器に移す動作を容易に自動的に行える。これにより、別の容器に移す動作時に加熱後の具入りスープ4を零してしまったり、零した加熱後の具入りスープ4や熱くなった液状食品用容器2によって使用者が火傷したりすることを防止できる。
【0047】
尚、本実施形態では、上述したようにエレベータ式可動装置20によって液状食品用容器2の容器本体5内に収容された具入りスープ4を別の容器に移す前に、容器本体5の上面開口を閉塞する蓋3の注ぎ口部分を開封しておくことが好ましい。この蓋3の注ぎ口部分を開封する方法としては、蓋3の開封始端側に外方へ向かって突出して配置された摘み片を手指で直に摘んで移動させる手動による手段、又は、液状食品加熱装置に予め固定して設けたフック等の機械的開封手段によって開封する方法がある。このうち機械的開封手段であるフックによって開封可能な液状食品用容器について、図8を用いて説明する。
【0048】
液状食品用容器31は、液状食品である具入りスープ4を収容する容器本体5と、容器本体5の上面開口を閉塞する蓋34とから主に構成されている。蓋34は、開封方向(図8に示す白抜き矢印の方向)の始端側に、外方へ向かって突出して配置された摘み片36を有している。この摘み片36には、機械的開封手段であるフック37を挿通可能なフック用孔35が1つ設けられている。
【0049】
このように構成された液状食品用容器31の蓋34がフック37によって開封される際の作用について、図9を用いて説明する。
【0050】
上述した手順で容器本体5内に収容された具入りスープ4の加熱が行われた後の液状食品用容器31のフック用孔35には、フック37が挿入されるようになっている。そして、上述したようにモータ27を逆転駆動させることにより図9に示す破線矢印の方向に移動した容器傾斜部25によって、容器本体5が図9に示す黒色矢印の方向に傾動する。このとき、フック37が挿通された摘み片36は蓋34の開封始端から開封終端に向かって移動する。これにより、容器本体5と摘み片36を有する蓋34との接着箇所が剥がれ、蓋34が開封される。したがって、蓋34の開封動作も自動化できるので、一層手間を省くことができる。
【0051】
また、本実施形態では、無端伝動部材として一対のスプロケット22に巻き掛けられた無端チェーン23を用いて説明したが、これに限られない。例えば、一対のプーリに巻き掛けられた無端ベルトを用いても良い。
【0052】
さらに、本実施形態のワイヤ24a,24dの各他端側は、それぞれチェーン23に固着させてチェーン23と連動するようにしているが、これに限られない。例えば、ワイヤ24a,24dの各他端側を連結ピン29のように各リンク28に挿通させることにより、チェーン23と連動するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液状食品加熱装置の全体概略図
【図2】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図
【図3】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す平面図
【図4】第1実施形態に係る鍔保持部と容器本体の概略断面図
【図5】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図
【図6】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図
【図7】第1実施形態に係るエレベータ式可動装置を示す正面図
【図8】第1実施形態に係る液状食品用容器の他の一例を示す斜視図
【図9】第1実施形態に係る液状食品用容器の他の一例を開封するエレベータ式可動装置を示す正面図
【図10】本発明の従来例に係る液状食品加熱装置を示す斜視図
【符号の説明】
【0054】
1…液状食品加熱装置、2…液状食品用容器、3…蓋、4…具入りスープ、5…容器本体、6…蒸気噴出ノズル、6a…噴出孔、20…エレベータ式可動装置、21…容器載置部、22…スプロケット、23…チェーン、24…支持部材、25…容器傾斜部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状食品用容器の容器本体に収容されたミルク、コーヒー、具入りスープ等の液状食品内に蒸気噴出ノズルを挿入し、該蒸気噴出ノズルから蒸気を噴出して該液状食品を加熱する液状食品加熱装置において、
前記蒸気噴出ノズルを前記液状食品用容器の上方に固定するとともに、該液状食品用容器を該蒸気噴出ノズルに対して挿脱自在に上下動させる容器昇降装置を有する
ことを特徴とする液状食品加熱装置。
【請求項2】
前記容器昇降装置は、
可逆転駆動源と、
前記可逆転駆動源の回転運動により無端チェーン、無端ベルト等の無端伝動部材を上下方向に回転させる動力伝達機構と、
前記液状食品用容器を載置する容器載置部と、
前記容器載置部を支持し、前記無端伝動部材の回転に連動して該容器載置部を上下動させる支持部材とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の液状食品加熱装置。
【請求項3】
前記容器昇降装置は、前記支持部材が前記無端伝動部材の下端部側に移動するとき該支持部材を傾斜させる容器傾斜部を有する
ことを特徴とする請求項2記載の液状食品加熱装置。
【請求項4】
前記容器載置部は、前記容器本体の上端鍔部を保持する鍔保持部を有する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液状食品加熱装置。
【請求項5】
前記液状食品用容器は、前記液状食品を収容する上面開口の容器本体と、
前記容器本体の上面開口を閉塞する蓋と、
前記蓋の開封始端側に外方へ向かって突出して配置され、少なくとも1つ以上のフック用孔が設けられている摘み片と、を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の液状食品加熱装置。
【請求項1】
液状食品用容器の容器本体に収容されたミルク、コーヒー、具入りスープ等の液状食品内に蒸気噴出ノズルを挿入し、該蒸気噴出ノズルから蒸気を噴出して該液状食品を加熱する液状食品加熱装置において、
前記蒸気噴出ノズルを前記液状食品用容器の上方に固定するとともに、該液状食品用容器を該蒸気噴出ノズルに対して挿脱自在に上下動させる容器昇降装置を有する
ことを特徴とする液状食品加熱装置。
【請求項2】
前記容器昇降装置は、
可逆転駆動源と、
前記可逆転駆動源の回転運動により無端チェーン、無端ベルト等の無端伝動部材を上下方向に回転させる動力伝達機構と、
前記液状食品用容器を載置する容器載置部と、
前記容器載置部を支持し、前記無端伝動部材の回転に連動して該容器載置部を上下動させる支持部材とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の液状食品加熱装置。
【請求項3】
前記容器昇降装置は、前記支持部材が前記無端伝動部材の下端部側に移動するとき該支持部材を傾斜させる容器傾斜部を有する
ことを特徴とする請求項2記載の液状食品加熱装置。
【請求項4】
前記容器載置部は、前記容器本体の上端鍔部を保持する鍔保持部を有する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液状食品加熱装置。
【請求項5】
前記液状食品用容器は、前記液状食品を収容する上面開口の容器本体と、
前記容器本体の上面開口を閉塞する蓋と、
前記蓋の開封始端側に外方へ向かって突出して配置され、少なくとも1つ以上のフック用孔が設けられている摘み片と、を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の液状食品加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−246949(P2006−246949A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64084(P2005−64084)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
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