説明

液面検知装置および自動分析装置

【課題】容器に収容された液体の液面に加えて、その液面よりも上方に発生した泡を適確に検知することができる液面検知装置および自動分析装置を提供する。
【解決手段】導電性材料を用いて形成され、液体の吸引および吐出を行う第1の電極と、前記第1の電極と容器に収容された液体との接触を異なる2つの感度で電気的に検知し、この検知した結果に基づいて前記第1の電極と前記液体との接触状態を判定する判定手段と、を備える。前記第1の電極は、液体の吸引および吐出を行うプローブである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の容器に収容された液体の液面を検知する液面検知装置および当該液面検知装置を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体と試薬とを反応させることによってその検体の成分を分析する自動分析装置において、検体や試薬等の液体を細管状のプローブによって吸引する際にその液体の液面を検知する技術として、液体の導電性を利用して液面を検知する導通方式と、液体を介した導電体間の静電容量の変化に基づいて液面を検知する静電容量方式とが知られている。
【0003】
このうち導通方式では、導電性を有するプロ−ブと、このプローブの近傍に固設された導体棒(電極)との間に電圧を印加しておき、プローブおよび導体棒が液面と接触した際に液体を介して電気的に導通するのをプローブからの出力電圧の変化によって液面を検知する(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
他方、静電容量方式では、プローブ自身またはプローブの近傍に設けられる電極と、液体を収容する容器の近傍に配設された電極との間の静電容量の変化を検出することによって液面を検知する(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−132640号公報
【特許文献2】特開2003−57096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の導通方式による液面検知技術では、液面の上方に泡が発生している場合には、その泡を検知することができなかった。このため、プローブが液面を検知するまで下降すると、プローブの外側面やプローブの内側面のうち、通常は洗浄しないような箇所に泡が付着してしまうことがあった。このように泡が付着したままで次の分注を行うと、コンタミネーションを生じる恐れがあるため、液面だけでなく泡も適確に検知することができる技術が待望されていた。
【0007】
また、静電容量方式による液面検知技術では、液面の上方に泡が発生している場合、その泡を液面と検知してしまうという不具合があった。この場合、プローブによって液体を吸引する際に空気が混入してしまい、正常な吸引が行われないため、液面と泡とを適確に区別して検知することができる技術が待望されていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容器に収容された液体の液面に加えて、その液面よりも上方に発生した泡を適確に検知することができる液面検知装置および当該液面検知装置を備えた自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1記載の発明は、容器に収容された液体の液面を検知する液面検知装置であって、導電性材料を用いて形成された第1の電極と、前記第1の電極と前記液体との接触を異なる2つの感度で電気的に検知し、この検知した結果に基づいて前記第1の電極と前記液体との接触状態を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明における「液体」には、微量の固体成分を含有する液体も含まれる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第1の電極は、液体の吸引および吐出を行うプローブであることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、導電性材料を用いて形成され、前記第1の電極の近傍に前記第1の電極に対して離間して固設され、前記第1の電極の端部付近に端部を有する第2の電極と、前記第1または第2の電極に接続され、所定の周波数の信号を発生する発振回路と、をさらに備え、前記判定手段は、前記第1および第2の電極が前記液体と接触し、前記液体を介して前記第1および第2の電極が導通したときに前記第1の電極から出力される出力電圧を、互いに異なる値を有する第1および第2の基準電圧とそれぞれ比較する第1および第2の比較回路を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記第1および第2の基準電圧は、前記第1および第2の電極が前記液体の液面と接触したときの前記出力電圧との大小関係が同じである一方、前記第1および第2の電極が前記液体の泡と接触したときの前記出力電圧との大小関係が異なることを特徴とする。
【0014】
本発明における「泡」とは、容器に収容された液体の一部が液面よりも上方で薄膜状をなしているものであり、泡と泡との間または泡と液面との間には空気層が介在している。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、導電性材料を用いて形成され、前記容器と一体にまたは前記容器の近傍に配設された第2の電極と、所定の周波数の信号を発生し、この発生した信号を少なくとも前記第1の電極に供給する発振回路と、前記第1の電極と前記発振回路との間に直列に介在して接続される抵抗と、をさらに備え、前記判定手段は、前記第1の電極が前記液体と接触することによって生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の静電容量の変化に起因した前記抵抗の両端からの出力電圧の差を、互いに異なる値を有する第1および第2の基準電圧とそれぞれ比較する第1および第2の比較回路を有することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記第1および第2の基準電圧は、前記第1の電極が前記液体の液面と接触したときの前記抵抗の両端からの出力電圧の差との大小関係が同じである一方、前記第1の電極が前記液体の泡と接触したときの前記抵抗の両端からの出力電圧の差との大小関係が異なることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、検体と試薬とを反応させることによって前記検体の成分の分析を行う自動分析装置であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載した液面検知装置を含み、液体としての前記試薬を分注する試薬分注手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、請求項1〜6のいずれか一項に記載した液面検知装置を含み、液体としての前記検体を分注する検体分注手段をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る液面検知装置および自動分析装置によれば、導電性材料を用いて形成された第1の電極と、前記第1の電極と容器に収容された液体との接触を異なる2つの感度で電気的に検知し、この検知した結果に基づいて前記第1の電極と前記液体との接触状態を判定する判定手段と、を備えたことにより、容器に収容された液体の液面に加えて、その液面よりも上方に発生した泡を適確に検知することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る液面検知装置の構成を示す図である。同図に示す液面検知装置1は、液体の吸引または吐出を行う導電性プローブおよびこのプローブの近傍に設けられる電極が、液体の液面に到達したときに液体を介して導通するのを検出することにより、プローブと液面との接触の有無および接触がある場合の接触状態を判定する装置である。なお、ここでいう「液体」には、微量の固体成分を含有する液体も含まれ、具体的には後述するような検体や試薬が想定される。なお、本実施の形態1における液体は、導電性を有するものとする。
【0022】
液面検知装置1は、金属等の導電性材料から成り、容器20内に収容される液体Lqを吸引または吐出する細管状のプローブ2(第1の電極)と、プローブ2と同様の導電性材料から成り、プローブ2の近傍にプローブ2に対して離間して固設され、プローブ2との相対位置を変えずにプローブ2と連動可能な棒状の電極3(第2の電極)と、プローブ2および電極3を組として鉛直方向の昇降動作や水平方向の回転動作を行わせることによってプローブ2および電極3を移送する移送部4と、電極3に接続され、所定の周波数の交流信号を発生する発振回路5と、プローブ2の導通状態に応じてプローブ2と液体Lqとの接触状態を判定する判定部6と、判定部6からの出力に応じた液面検知装置1の動作制御を行うためにCPU、RAM、ROM等を用いて構成される制御部7と、所定の情報を出力する出力部8と、を備える。
【0023】
判定部6は、プローブ2および電極3が液体Lqと接触し、この接触した液体Lqを介してプローブ2と電極3とが導通したときにプローブ2から出力される出力電圧を、互いに異なる第1および第2の基準電圧とそれぞれ比較する比較回路61(第1の比較回路)および比較回路62(第2の比較回路)と、比較回路61および62からの出力に所定の信号処理を施す信号処理回路63と、を有する。
【0024】
図2は、比較回路61の構成を示す図である。同図に示す比較回路61は、逆相端子(−)側でプローブ2に接続され、プローブ2からの出力電圧Vを入力する比較器611と、この比較器611の正相端子(+)側に接続され、所定の電圧Vrefを抵抗612および613によって分圧する分圧回路614とを有する。分圧回路614は、比較器611に対して第1の基準電圧である基準電圧V1(>0)を入力する。比較回路62も比較回路62と同様の構成を有している。比較回路62では、正相端子側に接続される分圧回路から第2の基準電圧である基準電圧V2(>0)を入力している。2つの基準電圧V1およびV2の値は異なっており、V1<V2を満たしている。これらの基準電圧V1およびV2の値は、比較回路61および62が有する分圧回路の抵抗値を調整することによって定められる。
【0025】
判定部6では、2つの基準電圧V1およびV2を用いることによってプローブ2が液体Lqの液面と接触したか、またはプローブ2が液体Lqの液面上方に発生した泡と接触したかを判定する。以下、この点について説明する。プローブ2が液体Lqの液面と接触した場合、プローブ2の先端は液面から所定量だけ下降する(もぐり込む)ように設定されている。このため、プローブ2が液体Lqの液面と接触した場合には、その分だけプローブ2と液体Lqとの接触面積も多くなる。これに対して、プローブ2が液面上方に発生した泡と接触した場合、泡は表面が薄膜状であってその内部(泡と泡との間または泡と液面との間)には空気が介在しているため、プローブ2の先端には薄い膜状の液体Lqが付着するだけである。その結果、プローブ2と液体Lqとの接触面積は、プローブ2が液体Lqの液面と接触する場合よりも顕著に小さい。なお、電極3と液体Lqとの接触面積についても、ここで説明したプローブ2と液体Lqとの接触面積と同じことがいえる。
【0026】
上述した説明から、液体Lqとの接触によってプローブ2と電極3とが導通したときのプローブ2と電極3との間の抵抗値は、プローブ2と液体Lqの液面と接触した場合の方が、プローブ2と泡状の液体Lqとが接触した場合よりも小さいことがわかる。したがって、プローブ2の出力電圧Vの振幅V0は、プローブ2が液面と接触した場合の方が、プローブ2が泡と接触する場合よりも大きくなる。この意味で、2つの基準電圧V1およびV2は、プローブ2と液体Lqとの接触状態すなわちプローブ2が液体Lqの液面と接触しているのか液体Lqの泡と接触しているのかを弁別可能な値として設定される。
【0027】
図3および図4は、プローブ2の出力電圧Vの時間変化を示す図である。これらの図においては、横軸が時間tを示し、縦軸がプローブ2からの出力電圧Vを示している。また、図3および図4では、時間t1に液体Lqとの接触し始めた場合を示している。
【0028】
図3は、プローブ2が液体Lqの液面と接触した場合を示す図であり、接触後の出力電圧Vの振幅V0は、比較回路62の基準電圧V2よりも大きい(V0>V2)。これに対し、図4は、プローブ2が液体Lqからなる泡と接触した場合を示す図であり、接触後の出力電圧Vの振幅V0は、比較回路61の基準電圧V1よりも大きく、比較回路62の基準電圧V2よりも小さい(V2>V0>V1)。なお、図3および図4では、発振回路5から正弦波が供給される場合を模式的に示しているが、発振回路5から矩形波を供給するようにしてもよい。
【0029】
信号処理回路63は、比較回路61および62からの出力に対して所定の信号処理を施すことにより、判定結果に対応する検知信号を制御部7へ出力する。例えば、出力電圧Vの振幅V0がV0>V2を満たす場合すなわち図3に示すような時間変化をする場合には、「液面」という判定結果に対応した検知信号を制御部7へ送信する。また、出力電圧Vの振幅V0がV2>V0>V1を満たす場合すなわち図4に示すような時間変化をする場合、「泡」という判定結果に対応する検知信号を制御部7へ送信する。
【0030】
なお、判定部6の前段にノイズ低減用のフィルタを設けることも可能である。この場合には、ノイズと判断し得るような一定値以上の出力範囲をカットするが、カットする出力範囲は、予め機械の性能等に応じて設定すればよい。
【0031】
引き続き、液面検知装置1の構成を説明する。液面検知装置1は、プローブ2に圧力を伝達する圧力伝達用媒体である洗浄液Waの吸排動作を行うシリンジ9と、プローブ2とシリンジ9とを接続し、洗浄液Waの流路をなすチューブ10と、を備える。なお、圧力伝達用媒体としての洗浄液Waは、イオン交換水や蒸留水等の非圧縮性流体から成る。
【0032】
シリンジ9は、シリンダ9aとピストン9bとを有し、ピストン駆動部11によってピストン9bがシリンダ9aの内部を図1で鉛直上下方向に摺動することにより、洗浄液Waを介してプローブ2に伝達すべき圧力を発生する。シリンジ9は、チューブ10とは異なるチューブ12にも接続されている。このチューブ12の他端は、洗浄液Waの流量を調整する電磁弁13に接続されている。電磁弁13は三方弁であり、チューブ12以外にも2本のチューブ14および15が接続されている。チューブ14の他端は、洗浄液Waの吸排動作を行うポンプ16に接続されている。ポンプ16は、さらに別のチューブ17に接続されており、このチューブ17の他端は、洗浄液Waを収容する洗浄液タンク18に達している。他方、チューブ15の他端は、プローブ2および電極3を一括して洗浄するプローブ洗浄部19に接続されている。電磁弁13およびポンプ16の動作は、制御部7によって制御されている。
【0033】
以上の構成を有する液面検知装置1が液体Lqの吸引または吐出を行う際には、制御部7の制御のもと、まず電磁弁13が有する3つの弁のうちチューブ15に接続していない2つの弁を開き、ポンプ16によって洗浄液Waを吸引し、シリンジ9、チューブ10およびプローブ2の順に洗浄液Waを順次流入し充填させた後、電磁弁13で開いていた2つの弁を閉じてポンプ16の動作を終了する。その後、プローブ2で液体Lqの吸引または吐出を行う際には、制御部7の制御のもと、ピストン駆動部11が駆動してシリンジ9のピストン9bを移動させることにより、洗浄液Waを介してプローブ2の先端部に適当な吸引圧(負圧)または吐出圧(正圧)を発生させる。なお、プローブ2の先端部で液体Lqを吸引したとき、液体Lqと洗浄液Waとの間には空気層が介在するため、液体Lqを吸引または吐出するときに液体Lqが洗浄液Waと混合することはない。
【0034】
次に、液面検知装置1が行う液面検知処理の概要を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、液面検知装置1が液体Lqの分注を1回行う過程で液面検知処理を行う場合を説明する。
【0035】
まず、制御部7からの制御信号に応じて移送部4が駆動し、所定の吸引位置でプローブ2を下降させる(ステップS101)。このステップS101において、プローブ2が下降する際に電極3も連動していることはいうまでもない。後述するステップでも、プローブ2が上昇、下降、または停止する際には、電極3も連動している。
【0036】
この後、プローブ2は液面を検知するかまたは所定の上限値hmaxに達するまで下降する。具体的には、プローブ2の初期位置からの下降量Δhが上限値hmaxよりも小さい(Δh<hmax)場合(ステップS102でYes)、判定部6から検知信号が出力されていれば(ステップS103でYes)、液体Lqと接触したとしてプローブ2を停止する(ステップS104)。これに対して、判定部6から検知信号が出力されなければ(ステップS103でNo)、ステップS101に戻ってプローブ2の下降を続ける。この意味で、ステップS102において判断の基準となる下降量の上限値hmaxは、容器20に液体Lqが収容されずに空の状態であっても下降を停止すべき値として設定されるのが好ましい。
【0037】
制御部7は、判定部6の信号処理回路63から出力される検知信号に基づいた制御を行う。まず、プローブ2からの出力電圧Vの振幅V0が比較回路62における基準電圧V2以上であり、「液面」と判定した場合(ステップS105で(A))、プローブ2による液体Lqの分注動作を行う(ステップS106)。具体的には、制御部7の制御のもと、ピストン9bを駆動してプローブ2の先端部に吸引圧(負圧)を発生させ、所定量の液体Lqを吸引する。その後、移送部4がプローブ2を所定の吐出位置まで移送し、ピストン9bを駆動してプローブ2の先端部に吐出圧(正圧)を発生させ、プローブ2の先端部で保持している液体Lqを所定の容器へ吐出する。続いて、移送部4がプローブ2をプローブ洗浄部19まで移送し、プローブ2(および電極3)を洗浄する(ステップS107)。洗浄されたプローブ2は、制御部7の制御のもと、移送部4によって次の分注の初期位置へ移送される(ステップS108)。このときプローブ2が移送される初期位置は、次の分注動作の内容によって異なる。
【0038】
他方、プローブ2からの出力電圧Vの振幅V0が基準電圧V1より大きくかつ基準電圧V2より小さく、接触した液体Lqを「泡」と判定した場合(ステップS105で(B))には、分注異常処理を行う(ステップS110)。ここでいう分注異常処理としては、液体Lqの液面の上方に泡が存在していることを出力部8から出力し報知する処理などが含まれる。このような分注異常処理の後は、プローブ2の洗浄(ステップS107)およびプローブ2の次の分注の初期位置への移送(ステップS108)を行い、一連の処理を終了する。
【0039】
ここまで、プローブ2の初期位置からの下降量Δhが上限値hmaxよりも小さい場合、その後に続く処理を説明してきたが、プローブ2の初期位置からの下降量Δhが上限値hmaxに達した場合(ステップS102でNo)には、それ以上プローブ2を下降しても液体Lqと接触する可能性がないので、プローブ2を停止し(ステップS109)、分注異常処理(ステップS110)、プローブ洗浄処理(ステップS107)、および次の分注の初期位置への移送処理(ステップS108)を順次行う。なお、この場合には、プローブ2が液体Lqと接触することがないので、分注異常処理や洗浄処理を行わずにステップS108へ進み、プローブ2を次の分注の初期位置へ移送するようにしてもよい。
【0040】
以上説明した液面検知処理では、2つの異なる基準電圧V1およびV2を用いることにより、プローブ2および電極3の各先端部が液体Lqと接触した場合、その接触した液体Lqが液面なのか泡なのかを弁別することができる。したがって、プローブ2が液体Lqの泡と接触した場合であっても、プローブ2がさらに下降することによって泡がプローブ2の上方に付着してしまうのを防止することができる。この結果、液体Lqの液面の上方に存在する泡に起因する分注異常が発生したとしても、特別な洗浄処理を行わずに済み、コンタミネーションも防止することができる。
【0041】
本実施の形態1に係る液面検知装置1は、検体の成分の分析を行う自動分析装置に適用することができる。図6は、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置要部の構成を模式的に示す図である。同図に示す自動分析装置100は、液体Lqに相当する検体と試薬とを所定の容器にそれぞれ分注し、その容器内部に収容された液体に対して光学的な測定を行う測定機構101と、この測定機構101を含む自動分析装置100の制御を行うとともに測定機構101における測定結果の分析を行う制御分析機構102とを有し、これら二つの機構が連携することによって複数の検体の成分の生化学的な分析を自動的かつ連続的に行う装置である。
【0042】
最初に、自動分析装置100の測定機構101について説明する。測定機構101は、主として一般検体を収容する検体容器21が搭載された複数のラック22を収納して順次移送する検体移送部31と、一般検体以外の各種検体(検量線作成用のスタンダード検体、精度管理検体、緊急検体、STAT検体、再検査用検体等)を収容する検体容器23を保持する検体容器保持部32と、試薬容器24を保持する試薬容器保持部33と、検体と試薬とを反応させる容器である反応容器25を保持する反応容器保持部34と、反応容器25の内部に収容された液体を攪拌する攪拌部35と、反応容器25内部を通過した光の波長成分ごとの強度等を測定する測光部36と、を備える。
【0043】
また、測定機構101は、検体移送部31上の検体容器21や検体容器保持部32上の検体容器23に収容された検体を反応容器25に分注する検体分注部37と、試薬容器保持部33上の試薬容器24に収容された試薬を反応容器25に分注する試薬分注部38と、反応容器25の洗浄を行う容器洗浄部39と、を備える。このうち、検体分注部37および試薬分注部38は、上述した液面検知装置1と同様の機能構成を有しており、プローブ2とプローブ洗浄部19とをそれぞれ具備している。検体分注部37は、液体Lqとして検体容器21の内部に収容されている検体の液面検知を行う一方、試薬分注部38は、液体Lqとして試薬容器24の内部に収容されている試薬の液面検知を行う。
【0044】
検体容器21および23には、内部に収容する検体を識別する識別情報をバーコードまたは2次元コード等の情報コードにコード化して記録した情報コード記録媒体がそれぞれ貼付されている(図示せず)。同様に、試薬容器24にも、内部に収容する試薬を識別する識別情報を情報コードにコード化して記録した情報コード記録媒体が貼付されている(図示せず)。このため、測定機構101には、検体容器21に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR1、検体容器23に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR2、および試薬容器24に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR3が設けられている。
【0045】
検体容器保持部32、試薬容器保持部33、および反応容器保持部34は、検体容器23、試薬容器24および反応容器25をそれぞれ収容保持するホイールと、このホイールの底面中心に取り付けられ、その中心を通る鉛直線を回転軸としてホイールを回転させる駆動手段とを有する(図示せず)。
【0046】
各容器保持部の内部は一定の温度に保たれている。例えば、試薬容器保持部33内は、試薬の劣化や変性を抑制するために室温よりも低温に設定される。また、反応容器保持部34内は、人間の体温と同程度の温度に設定される。
【0047】
測光部36は、白色光を照射する光源と、反応容器25を透過してきた白色光を分光する分光光学系と、分光光学系で分光した光を成分ごとに受光して電気信号に変換する受光素子とを有する。
【0048】
なお、検体の成分の生化学的な分析を行う際には一つの検体に対して2種類の試薬を用いることが多いため、第1試薬用の試薬容器保持部33と第2試薬用の試薬容器保持部33とを別個に設けてもよい。この場合には、個々の試薬容器保持部33に対応した試薬分注部38を2個設ければよい。また、検体または試薬の分注後の適当なタイミングで複数の反応容器25内部の液体の攪拌を同時に行うため、攪拌部35を複数個設けてもよい。
【0049】
ところで、図6では、測定機構101の主要な構成要素を模式的に示すことを主眼としているため、構成要素間の位置関係は必ずしも正確ではない。正確な構成要素間の位置関係は、試薬容器保持部33の数や分注動作のインターバルにおける反応容器保持部34のホイールの回転態様などの各種条件に応じて定められるべき設計的事項である。
【0050】
次に、自動分析装置100の制御分析機構102について説明する。制御分析機構102は、検体の分析に必要な情報や自動分析装置100の動作指示信号などを含む情報の入力を受ける入力部41と、検体の分析に関する情報を出力する出力部42と、測定機構101における測定結果に基づいて検体の分析データを生成するデータ生成部43と、検体の分析に関する情報や自動分析装置100に関する情報を含む各種情報を記憶する記憶部44と、制御分析機構102内の各機能または各手段の制御を行うとともに測定機構101の駆動制御を行う制御部45と、を備える。
【0051】
入力部41は、キーボードやマウスを有している。この入力部41として、トラックボール、トラックパッドなどのポインティングデバイスや、音声入力用のマイクロフォン等のユーザインターフェースをさらに有してもよい。
【0052】
出力部42は、各種情報を表示する液晶、プラズマ、有機EL、CRT等のディスプレイ装置を有している。この出力部42として、音声出力用のスピーカや、紙などに情報を印刷して出力するプリンタをさらに有してもよい。なお、出力部42は、液面検知装置1の出力部8の機能を兼備している。
【0053】
データ生成部43は、測定機構101の測光部36から受信した測定結果の分析演算を行う。この分析演算では、測光部36から送られてくる測定結果に基づいて反応容器25内部の液体の吸光度を算出したり、吸光度の算出結果と検量線や分析パラメータ等の各種情報とを用いて反応容器25内部の液体の成分を定量的に求める成分量算出処理等を行ったりすることにより、検体ごとの分析データを生成する。このようにして生成された分析データは、出力部42から出力される一方、記憶部44に書き込まれて記憶される。
【0054】
記憶部44は、分析項目、検体情報、試薬の種類、検体や試薬の分注量、検体や試薬の有効期限、分析に使用する検量線に関する情報、検量線の有効期限、各分析項目の参照値や許容値などの分析に必要なパラメータ、およびデータ生成部43で生成した分析データなどを記憶する。
【0055】
制御部45は、記憶部44で記憶する各種プログラムを記憶部44から読み出すことによって自動分析装置100の各種動作の制御および演算を実行する。この制御部45は、液面検知装置1の制御部7の機能を兼備している。
【0056】
以上の構成を有する自動分析装置100においては、液体Lqの泡の発生を検知した場合には、それ以上プローブ2を下降させることなくプローブ2の洗浄を行うため、正常時と同じ箇所だけプローブ2を洗浄すればよい。このため、泡がプローブ2の上方であって通常の洗浄の際には洗浄しない箇所に付着してしまう恐れがなく、余分な洗浄を行わないで済む。したがって、洗浄時間の増加を抑制し、分析速度を向上させることができる。また、洗浄に使用する洗浄液Waの消費量を抑えることも可能となり、コストの削減を実現することができる。
【0057】
ところで、試薬容器24は、搬送される際に試薬容器24内部の試薬が揺れて泡が発生しやすい。このため、従来の自動分析装置では、試薬容器24を試薬容器保持部へ設置するときに泡発生の有無を調べておく必要があり、オペレータの負担となっていた。これに対して、本実施の形態1に係る自動分析装置100では、試薬容器24を試薬容器保持部33へ設置した後は、分注動作の前に泡検知を自動的に行う設定とすることができるので、オペレータの負担が減り、より効率的な分析を行うことが可能となる。また、自動分析装置100のメインテナンスに要するコストを削減することもできる。この点に鑑みて、試薬分注部38のみに液面検知装置1の機能を具備させる構成とすることも可能である。
【0058】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、導電性材料を用いて形成され、液体の吸引および吐出を行うプローブ(第1の電極)と、このプローブと容器に収容された液体との接触を異なる2つの感度で電気的に検知し、この検知した結果に基づいてプローブと液体との接触状態を判定する判定手段と、を備えたことにより、容器に収容された液体の液面に加えて、その液面よりも上方に発生した泡を適確に検知することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態1によれば、導通方式による液面検知を行うので、ノイズに強いという効果も得ることができる。
【0060】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る液面検知装置の構成を示す図である。同図に示す液面検知装置51は、液体の吸引または吐出を行う導電性のプローブ(第1の電極)と液体を収容する容器の近傍に設けられた電極(第2の電極)との間の静電容量の変化に基づいて、プローブと液面との接触の有無および接触がある場合の接触状態を判定する装置である。なお、図7において、上記実施の形態1で説明した液面検知装置1と同じ構成を有する部位については、同一の符号を付してある。
【0061】
本実施の形態2に係る液面検知装置51は、所定の周波数の交流信号を発生し、この発生した信号をプローブ2へ供給する発振回路52と、プローブ2と発振回路52との間に直列に介在する抵抗53と、抵抗53の端部であって発振回路52と接続される側の端部に発振回路52の側から抵抗53と並列に接続される基準回路54と、抵抗53の端部であってプローブ2と接続される側の端部にプローブ2の側から抵抗53と並列に接続され、基準回路54と同様の構成を有する電圧変化回路55と、基準回路54の出力電圧と電圧変化回路55の出力電圧とを比較することによってプローブ2と液体Lqとの接触の有無および接触がある場合の接触状態を判定する判定部56と、液体Lqを収容する容器20の近傍に設けられた電極57と、を備える。
【0062】
抵抗53の抵抗値は、プローブ2が液体Lqと接触したときに基準回路54の出力と電圧変化回路55の出力との間に充分な差が生じるように設定されている。
【0063】
基準回路54および電圧変化回路55は同じ構成を有しており、具体的には整流器と平滑コンデンサとを備え、直流化した信号を判定部56へ送出する。
【0064】
判定部56は、基準回路54の出力電圧と電圧変化回路55の出力電圧との差動増幅を行う差動増幅器561と、差動増幅器561の出力を互いに異なる第1および第2の基準電圧とそれぞれ比較する比較回路562(第1の比較回路)および比較回路563(第2の比較回路)と、2つの比較回路562および563からの出力に対して所定の信号処理を施すことによって得られる検知信号を制御部7へ送出する信号処理回路564と、を有する。差動増幅器561の正相端子側は基準回路54に接続される一方、差動増幅器561の逆相端子側は電圧変化回路55に接続される。
【0065】
比較回路562および563の構成は、上記実施の形態1における比較回路61の構成と同様である(図2を参照)。比較回路562は、差動増幅器561からの出力を逆相端子側に入力し、正相端子側に入力される第1の基準電圧である基準電圧ΔV1(>0)との大小を比較する。また、比較回路563は、差動増幅器561からの出力を逆相端子側に入力し、正相端子側に入力される第2の基準電圧である基準電圧ΔV2(>0)との大小を比較する。2つの基準電圧ΔV1およびΔV2の値は異なっており、ΔV1<ΔV2を満たしている。これらの基準電圧ΔV1およびΔV2の値は、比較回路562および563がそれぞれ有する分圧回路の抵抗値を調整することによって定められる。
【0066】
判定部56では、2つの基準電圧ΔV1およびΔV2を用いることによってプローブ2が液体Lqの液面と接触したか、またはプローブ2が液体Lqの液面上方に発生した泡と接触したかを判定する。以下、この点について説明する。プローブ2が液体Lqと接触していない状態では、基準回路54の出力と電圧変化回路55の出力とはほぼ同じである(以後、この出力電圧をVairとする)。プローブ2が液体Lqと接触すると、プローブ2と電極57との間の静電容量は大きくなるため、電圧変化回路55の出力が小さくなり、電圧降下を生じる。これに対して、基準回路54の出力は、プローブ2と液体Lqとの接触の有無に関わらずにほぼ一定である。
【0067】
プローブ2が液体Lqと接触したときのプローブ2と電極57との間の静電容量変化は、プローブ2が液体Lqの液面と接触した場合の方が、プローブ2が液体Lqの泡と接触した場合よりも大きい。したがって、液体Lqと接触後の電圧変化回路55の出力電圧をVLqとすると、このVLqの値は、プローブ2が液体Lqの液面と接触した場合の方が、液体Lqの泡と接触した場合より小さくなる。比較回路562および563における基準電圧ΔV1およびΔV2は、プローブ2が液体Lqと接触した後の差動増幅器561からの出力すなわち電圧降下ΔV=Vair−VLqの値を、プローブ2の液体Lqとの接触状態、より具体的には液体Lqの液面と接触しているか泡と接触しているかに応じて弁別することが可能な値として設定される。
【0068】
図8および図9は、電圧変化回路55の出力電圧Vの時間変化を示す図である。これらの図においては、横軸が時間tを示し、縦軸が電圧変化回路55の出力電圧Vを示している。また、図8および図9では、時間t2に液体Lqとの接触し始めた場合を示している。
【0069】
図8は、プローブ2が液体Lqの液面と接触した場合を示す図である。この場合の接触後の電圧変化回路55の出力電圧VLqは、非接触時における比較回路563の出力電圧V4(=Vair−ΔV2)よりも小さい。換言すると、接触後の差動増幅器561からの出力ΔV=Vair−VLqは、ΔV2=Vair−V4よりも大きい(ΔV>ΔV2)。
【0070】
図9は、プローブ2が液体Lqの液面と接触した場合を示す図である。この場合の接触後の出力電圧VLqは、非接触時の比較回路562の出力電圧V3(=Vair−ΔV1)よりも小さく、非接触時の比較回路563の出力電圧V4(=Vair−ΔV2)よりも大きい。換言すると、接触後の差動増幅器561からの出力ΔV=Vair−VLqは、ΔV1=Vair−V3よりも大きく、ΔV2=Vair−V4よりも小さい(ΔV2>ΔV>ΔV1)。
【0071】
引き続き、判定部56の構成を説明する。信号処理回路564は、比較回路562および563からの出力に対して所定の信号処理を施すことにより、判定結果に対応する検知信号を制御部7へ出力する。例えば、差動増幅器561からの出力電圧ΔVがΔV>ΔV2を満たす場合すなわち電圧変化回路55の出力電圧Vが図8に示すような電圧降下を生じる場合、「液面」という判定結果に対応した検知信号を制御部7へ送信する。また、差動増幅器561からの出力電圧ΔVがΔV2>ΔV>ΔV1を満たす場合すなわち電圧変化回路55の出力電圧Vが図9に示すような電圧降下を生じる場合、「泡」という判定結果に対応する検知信号を制御部7へ送信する。
【0072】
電極57は、図7においては平板状をなす場合を図示しているが、平板状以外の形状をなしていてもよく、例えば容器20を覆うような形状でもよい。また、容器20を導電性材料によって形成することによって電極57の機能を兼備させてもよい。さらに、液面検知装置1の筐体を構成する金属部分(板金)を電極57としてもよい。
【0073】
以上の構成を有する液面検知装置51が行う液面検知処理の概要を説明する。本実施の形態2における液面検知処理は、上述した実施の形態1で説明した液面検知処理と同様の処理の流れを有する(図5を参照)。そこで、以下では、上記実施の形態1と異なる点についてのみ説明を行い、ステップ番号も図5と同じ番号を使用する。
【0074】
ステップS103において判定部56が検知信号を出力する場合(ステップS103でYes)、ステップS105において判定部56では、液体Lqと接触後の電圧変化回路55の電圧降下ΔVと基準電圧ΔV1およびΔV2との大小を比較し、液体Lqとの接触の有無、および接触がある場合の液体Lqとの接触状態(「液面」か「泡」か)を判定する。この判定において、電圧降下ΔVがΔV>ΔV2を満たしていれば、信号処理回路564は「液面」と判定したことに対応する検知信号を制御部7へ送出する。他方、電圧降下ΔVがΔV2>ΔV>ΔV1を満たしていれば、信号処理回路564は「泡」と判定したことに対応する検知信号を制御部7へ送出する。
【0075】
以上説明した液面検知処理によれば、2つの異なる基準電圧ΔV1およびΔV2を用いることにより、プローブ2の先端が液体Lqと接触した場合、その接触した液体Lqが液面なのか泡なのかを弁別することができる。したがって、プローブ2が液体Lqの泡と接触した場合であっても、プローブ2がさらに下降することによって泡がプローブ2の上方に付着してしまうのを防止することができる。この結果、液体Lqの液面の上方に存在する泡に起因する分注異常が発生したとしても、特別な洗浄処理を行わずに済み、コンタミネーションも防止することができる。
【0076】
本実施の形態2に係る液面検知装置51は、上記実施の形態1に係る液面検知装置1と同様に、検体の成分の分析を行う自動分析装置に適用することができる。
【0077】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、導電性材料を用いて形成され、液体の吸引および吐出を行うプローブ(第1の電極)と、このプローブと容器に収容された液体との接触を異なる2つの感度で電気的に検知し、この検知した結果に基づいてプローブと液体との接触状態を判定する判定手段と、を備えたことにより、容器に収容された液体の液面に加えて、その液面よりも上方に発生した泡を適確に検知することが可能となる。
【0078】
また、本実施の形態2によれば、抵抗の前段に配置された基準回路の出力とその抵抗の後段に配置された電圧変化回路の出力との差を差動増幅することにより、液体が微量であっても静電容量の変化を適確に検知することができ、高精度な液面検知を実現することが可能となる。また、装置の小型化にも好適である。
【0079】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を詳述してきたが、本発明は上記2つの実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、第1の電極としてプローブとは異なる棒状部材を配設してもよい。この場合、プローブは導電性を有していなくてもよい。
【0080】
また、本発明に係る液面検知装置を免疫分析用の自動分析装置の分注機構に適用してもよい。この場合、自動分析装置には、不均一系反応を用いた免疫分析に必要なB/F洗浄を行うB/F洗浄部と、測光部として発光物質の発光量をカウントする光電子増倍管とを設ければよい。これらの点を除く自動分析装置の構成は、上述した自動分析装置の構成とほぼ同様である。
【0081】
このように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液面検知装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】比較回路の構成を示す図である。
【図3】プローブが液面と接触した場合のプローブからの出力電圧の時間変化を示す図である。
【図4】プローブが泡と接触した場合のプローブからの出力電圧の時間変化を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る液面検知装置が行う液面検知処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置要部の構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る液面検知装置の構成を模式的に示す図である。
【図8】プローブが液面と接触した場合の電圧変化回路の出力電圧の時間変化を示す図である。
【図9】プローブが泡と接触した場合の電圧変化回路の出力電圧の時間変化を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1、51 液面検知装置
2 プローブ
3、57 電極
4 移送部
5、52 発振回路
6、56 判定部
7、45 制御部
8 出力部
9 シリンジ
9a シリンダ
9b ピストン
10、12、14、15、17 チューブ
11 ピストン駆動部
13 電磁弁
16 ポンプ
18 洗浄液タンク
19 プローブ洗浄部
20 容器
21、23 検体容器
22 ラック
24 試薬容器
25 反応容器
31 検体移送部
32 検体容器保持部
33 試薬容器保持部
34 反応容器保持部
35 攪拌部
36 測光部
37 検体分注部
38 試薬分注部
39 容器洗浄部
41 入力部
42 出力部
43 データ生成部
44 記憶部
53、612、613 抵抗
54 基準回路
55 電圧変化回路
61、62、562、563 比較回路
63、564 信号処理回路
100 自動分析装置
101 測定機構
102 制御分析機構
561 差動増幅器
611 比較器
614 分圧回路
CR1、CR2、CR3 情報コード読取部
Lq 液体
Wa 洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された液体の液面を検知する液面検知装置であって、
導電性材料を用いて形成された第1の電極と、
前記第1の電極と前記液体との接触を異なる2つの感度で電気的に検知し、この検知した結果に基づいて前記第1の電極と前記液体との接触状態を判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする液面検知装置。
【請求項2】
前記第1の電極は、液体の吸引および吐出を行うプローブであることを特徴とする請求項1記載の液面検知装置。
【請求項3】
導電性材料を用いて形成され、前記第1の電極の近傍に前記第1の電極に対して離間して固設され、前記第1の電極の端部付近に端部を有する第2の電極と、
前記第1または第2の電極に接続され、所定の周波数の信号を発生する発振回路と、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記第1および第2の電極が前記液体と接触し、前記液体を介して前記第1および第2の電極が導通したときに前記第1の電極から出力される出力電圧を、互いに異なる値を有する第1および第2の基準電圧とそれぞれ比較する第1および第2の比較回路を有することを特徴とする請求項1または2記載の液面検知装置。
【請求項4】
前記第1および第2の基準電圧は、前記第1および第2の電極が前記液体の液面と接触したときの前記出力電圧との大小関係が同じである一方、前記第1および第2の電極が前記液体の泡と接触したときの前記出力電圧との大小関係が異なることを特徴とする請求項3記載の液面検知装置。
【請求項5】
導電性材料を用いて形成され、前記容器と一体にまたは前記容器の近傍に配設された第2の電極と、
所定の周波数の信号を発生し、この発生した信号を少なくとも前記第1の電極に供給する発振回路と、
前記第1の電極と前記発振回路との間に直列に介在して接続される抵抗と、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記第1の電極が前記液体と接触することによって生じる前記第1の電極と前記第2の電極との間の静電容量の変化に起因した前記抵抗の両端からの出力電圧の差を、互いに異なる値を有する第1および第2の基準電圧とそれぞれ比較する第1および第2の比較回路を有することを特徴とする請求項1または2記載の液面検知装置。
【請求項6】
前記第1および第2の基準電圧は、前記第1の電極が前記液体の液面と接触したときの前記抵抗の両端からの出力電圧の差との大小関係が同じである一方、前記第1の電極が前記液体の泡と接触したときの前記抵抗の両端からの出力電圧の差との大小関係が異なることを特徴とする請求項5記載の液面検知装置。
【請求項7】
検体と試薬とを反応させることによって前記検体の成分の分析を行う自動分析装置であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載した液面検知装置を含み、液体としての前記試薬を分注する試薬分注手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載した液面検知装置を含み、液体としての前記検体を分注する検体分注手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7記載の自動分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−26220(P2008−26220A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200796(P2006−200796)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】