説明

混合弁装置

【課題】ウォーターハンマーが発生した場合の温水の外部漏れを安価な構成で確実に防止できる混合弁装置を提供する。
【解決手段】蒸気と冷水を混合室4内で混合して温水を生成する混合弁装置であって、混合室4を形成するボディ1とその開口部1aを閉止する蓋体23とを有するケース20と、混合室4への蒸気導入量を調節する蒸気弁14と、混合室4への冷水導入量を調節する冷水弁18と、蒸気弁14および冷水弁18を開閉移動させる弁棒8と、混合室4の圧力と冷水の圧力とに基づいて弁棒8を作動させる弁駆動部材21と、ボディ1の開口部1aの内面に嵌合されて弁棒8を案内するガイド体31と、ガイド体31とボディ1との間に配置されて両者間の隙間を封止するシール部材43とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気と冷水を混合室内に導入して混合することにより温水を作る混合弁装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の一般的な混合弁装置Aは図6に示すような構成になっている(特許文献1参照)。すなわち、装置のケース20はボディ1の上端開口を蓋体23で施蓋して構成されており、ボディ1の相対向する位置に蒸気入口2と冷水入口3がそれぞれ開口されている。冷水入口3には冷水配管(図示せず)を通じて矢印Cのように冷水が導入され、この冷水は、冷水通路11を通じて混合室4内に流入する一方、図示しない内部通路とパイロット弁隙間を通って蓋体23とその内側のダイヤフラム21との間の感圧室に流入する。ボディ1と蓋体23とは、これらの間にダイヤフラム21の周縁部を挟持した状態で重ね合わされて固定ボルト25で固定されており、ダイヤフラム21の周縁部がガスケット(シール部材)として兼用されている。蒸気入口2には、蒸気配管(図示せず)を通じて矢印Hのように蒸気(又は高温水)が流入し、混合室4への蒸気導入量を調節する蒸気弁14が図示のように開かれることで混合室4内に導入されて、この蒸気Hと冷水Cが混合されて温水Mが作られる。また、蒸気入口2と冷水入口3の近傍にはそれぞれ、混合弁装置Aへ流入する方向には流体を通すが、その逆方向には通さない逆止弁CV1,CV2が接続されている。
【0003】
このような混合弁装置Aの下流側に連結された、すなわち、混合弁装置Aの温水流出口24に連結された温水配管28に温水弁(カラン)29を設けた場合、図7に示すように温水弁29を急閉すると、冷水入口3から運動エネルギを持って流入する冷水Cの慣性力によって温水Mが強く圧縮されることにより、一瞬の後に、いわゆるウォーターハンマーが発生し、混合室4内の圧力(ダイヤフラム21の下面の圧力)が上昇して、ダイヤフラム21が押し上げられる。蒸気弁14部においても、弁下流側の圧力が弁上流側の圧力よりも高い圧力逆転が生じるため、混合室4内の温水Mが蒸気弁14を通って逆流し、蒸気流路は逆止弁CV1まで満水となる。このウォーターハンマーの衝撃圧力が、例えば1.5MPa程度を越えると、ボディ1と蓋体23との間の隙間から温水Mの外部漏れが発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−49583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の温水Mの外部漏れを防止するためには以下のような対策が考えられる。第1の対策として、ボディ1と蓋体23との間を、ダイヤフラム21とは別のシール部材によりシ−ルして、シール性能を高める。第2の対策として、固定ボルト25を太いものに変更するとともに使用本数を増やすことにより、ボディ1と蓋体23とのシール箇所の面圧を高める。第3の対策として、蓋体23の厚みを大きくして、衝撃圧力による蓋体23の変形を低減させる。
【0006】
しかしながら、この第1ないし第3のいずれの対策も、混合弁装置のコストアップを招く。
【0007】
本発明は、ウォーターハンマーが発生した場合の温水の外部漏れの原因を精査した結果なされたもので、この外部漏れを安価な構成で確実に防止できる混合弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る混合弁装置は、蒸気と冷水を混合室内で混合して温水を生成する混合弁装置であって、前記混合室を形成するボディとその開口部を閉止する蓋体とを有するケースと、前記混合室への蒸気導入量を調節する蒸気弁と、前記混合室への冷水導入量を調節する冷水弁と、前記蒸気弁および冷水弁を開閉移動させる弁棒と、前記混合室の圧力と冷水の圧力とに基づいて前記弁棒を作動させる弁駆動部材と、前記ボディの開口部の内面に嵌合されて前記弁棒を案内するガイド体と、前記ガイド体と前記ボディとの間に配置されて両者間の隙間を封止するシール部材とを備えている。
【0009】
発明者らが鋭意検討したところ、温水配管に設けられた温水弁が急激に閉弁操作されてウォーターハンマーが発生した場合、温水がガイド体とボディの開口部の内面との間を通ってボディと蓋体との間から外部へ漏れることが判明した。本発明の混合弁装置では、シール部材が、ボディの開口部の内面とガイド体との隙間を封止するので、前記温水の外部漏れが防止される。しかも、シール部材を別途設けるだけの簡単な構成であるから、大きなコストアップを招くことがない。
【0010】
本発明において、例えば、前記弁駆動部材は前記ボディと前記蓋体との間で周縁部が支持されたダイヤフラムであり、前記シール部材により、前記ガイド体と前記ボディとの間からダイヤフラムの周縁部を通って前記ケース内の流体が外部へ漏れるのを阻止する。ボディと蓋体とは、これらの間に挟持したダイヤフラムの周縁部をガスケットに兼用して相互に固定されているので、ガスケットを省略できて簡単な構造になるが、ボディと蓋体との間のシール力は不十分となり易い。このような簡単な構造において、ガイド体とボディの間に設けたシール部材により、ウォーターハンマーが発生したときに、温水がボディと蓋体との間から外部へ漏れるのを確実に防止できる。
【0011】
本発明において、前記ガイド体の外周面に環状の取付け溝が形成され、この取付け溝に環状の前記シール部材が取り付けられていることが好ましい。環状の取付け溝を、ボディの内周面に形成するよりもガイド体の外周面に形成する方が加工が容易である。また、傷み易いシール部材の保守点検やメンテナンスを行う際に、ボディの内周面に形成した取付け溝にシール部材を取り付けた場合には、混合弁装置の装置本体であるボディを配管から取り外す必要があるのとは異なり、ガイド体の外周面に形成した取付け溝にシール部材を取り付けたから、ボディの内面に嵌合されているガイド体をボディから取り出すだけで済むので、シール部材の保守点検やメンテナンスが容易となる。
【0012】
本発明において、前記ボディの棚部に前記ガイド体の底部が載置されており、前記底部に、前記棚部に向かって進出するジャッキ用ねじ体が螺合可能な複数のねじ孔が形成されていることが好ましい。これにより、保守点検などに際してガイド体をケースから取り出す場合に、各ねじ孔にジャッキ用ねじ体をねじ込み、ねじ体の先端がガイド体の底部からケースの棚部に当接したのちにねじ体をさらにねじ込むことにより、ねじ孔内を螺進するねじ体によってガイド体がボディから強制的に持ち上げられる。したがって、ガイド体は、ボディとの間に設けられたシール部材によって相対移動に対する摩擦抵抗が大きくなるために、ボディから取り出し難い状態になっているが、ねじ体をねじ孔にねじ込むだけの単純な作業によって、ボディから容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0013】
この混合弁装置によれば、シール部材が、ボディの開口部の内面に嵌合されたガイド体との間に配置されているので、ウォーターハンマーが発生した場合であっても、温水がガイド体とボディとの間を通ってボディと蓋体との間からが外部へ漏出するのが防止される。また、シール部材を別途設けるだけの簡単な構造であるから、大きなコストアップを招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る混合弁装置を示す縦断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】同上の混合弁装置を一部切欠して示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る混合弁装置を示す要部の縦断面図である。
【図5】(a),(b)はそれぞれ図4のガイド体をボディから取り外す作業の異なる例を示す要部の縦断面図である。
【図6】本発明の混合弁装置と温水弁との接続状態を示す縦断面図である
【図7】図6の混合弁装置における温水の不使用状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1ないし図3は本発明の第1実施形態に係る混合弁装置Aを示す。この混合弁装置Aは、図1に示すように、装置Aの外体をなすケース20がボディ1と、その上部の開口部1aを閉止する蓋体23とにより構成されている。ボディ1には、蒸気配管(図示せず)から第1の逆止弁CV1を通って矢印Hのように蒸気が供給される蒸気入口2と、冷水配管(図示せず)から第2の逆止弁CV2を通って矢印Cのように冷水が供給される冷水入口3とが相対向する位置にそれぞれ開口している。ボディ1の内部には温水を作るための混合室4が形成され、図2に示すように、相対向する位置で混合室4にそれぞれ連通する二つの温水流出口50が形成されている。すなわち、混合室4で作られた温水は二つの温水流出口50を通じて互いに逆方向に、温水配管(図示せず)を介して取り出し可能になっている。
【0016】
図1に示す冷水入口3から導入された冷水Cは、図2に示す冷水通路11および後述の冷水弁18を介して混合室4内に流入する一方、蓋体23とその下側(内側)のダイヤフラム21との間に形成された感圧室6内に流入して、蒸気弁14および冷水弁18を駆動するための駆動圧力として作用する。これの詳細については後述する。ボディ1の内部中央部には、円筒状の弁座部材10が取り付けられおり、この弁座部材10における蒸気入口2に連通する箇所には、蒸気Hを混合室4内に導く導入口10aが形成され、この導入口10aは、温水流出口50の下流に接続された温水弁29(図2)を開かない限り、弁体スプリング13のばね力により弁体12で閉じられている。混合室4への蒸気導入量を調整する蒸気弁14は、導入口10aを有する弁座10、弁体12および弁体スプリング13により構成されている。図1は、蒸気弁14の全閉状態を示しており、この状態からダイヤフラム21により弁棒8を介し、図2の二点鎖線で示すように弁体12が押し下げられることにより、蒸気弁14が開かれる。弁棒8は上下に2分割されて互いに接続されている。
【0017】
図1に示すように、蓋体23は、ダイヤフラム21の周縁部21aをボディ1の開口部端面との間で挟持した状態で、ボルト25によりボディ1に固定されている。ダイヤフラム21はゴムのような弾性部材により形成されており、これによって、ダイヤフラム21の周縁部21aがボディ1と蓋体23との間を封止するガスケットの機能も兼ねている。蓋体23とダイヤフラム21との間には感圧室6が形成されており、この感圧室6には、冷水入口3からの冷水Cが以下に説明する経路で流入する。
【0018】
すなわち、図3に示すように、冷水入口3からの冷水Cは、スクリーン7を経てパイロット用第1通路R1から蒸気弁駆動用の冷水Cの駆動圧力を調整するパイロット弁PVに入る。パイロット弁PVのボールからなる弁体40は、混合室4から温水流出口50に向かう温水通路16に臨んだバイメタル33の変形に連動して軸方向X−Yに移動する感温制御ロッド9により、ばね51のばね力に抗して軸方向X−Yに移動される。これにより、弁体40は、弁座38との間の隙間の大きさが調整されて、感圧室6に入る冷水の圧力、つまり駆動圧力が、温水通路16内の温水温度に応じて調節される。その結果、蒸気弁14の開度が調節されて、温水通路16内、つまり混合室4内の温水が設定温度に保持される。調温ハンドル41は、前記弁座38の軸方向位置を調整することにより、設定温度を調節する。混合室4内で生成された温水Mは温水通路16を通って一方の温水流出口50から吐出され、他方の温水流出口50は、この例ではプラグ15により閉塞されて使用されない。
【0019】
平面視で四角形のダイヤフラム21には、これの中央部に弁棒8が吊り下げ状態で取り付けられている。弁棒8は、ボディ1に取り付けられたガイド体31のガイド孔45に挿通されて、ガイド体31により円滑に上下動するよう案内される。ガイド体31は、底部を形成する円盤状の底壁31aと周壁31bとを有する短い円筒状であり、図1に示すボディ1の開口部1aの内面に嵌合され、かつボディ1の棚部1bに自体の底部31aが載置された状態でボディ1に取り付けられている。ただし、図2に示すように、ボディ1における二つの温水流出口50が設けられる箇所には、ガイド体31の底部31aを載置するための棚部1bが設けられていない。このガイド体31の底部31aに、ダイヤフラム21の下側の作動室5を混合室4に連通させる連通孔46が形成されている。ガイド体31の周壁31bの外周面には環状の取付け溝42が形成され、この取付け溝42に、0リングからなる環状のシール部材43が取り付けられている。ガイド体31の上面とダイヤフラム21との間には、ダイヤフラム21および弁棒8を上方に付勢する復帰用スプリング22が設けられている。ダイヤフラム21、弁棒8、蒸気弁14および冷水弁18は、弁軸心C1上に同心状に配置されている。
【0020】
また、前記弁棒8の下部には円筒状の冷水弁18が弁座部材10の内周面に摺動する配置で放射状のステー34を介して取り付けられおり、この冷水弁18は、弁棒8により蒸気弁14と一体的に上下動されて、弁座部材10に設けられた複数の冷水流入孔10bを開閉する。したがって、ダイヤフラム21が弁棒8を押し下げたときには、弁棒8の先端面により蒸気弁14の弁体12が押し下げられて導入口10aから離間し、蒸気弁14が開いて混合室4内への蒸気流入量が増大する一方,冷水流入孔10bが冷水弁18により開口面積が減少するように絞られて、混合室4内への冷水導入量が減少する。
【0021】
つぎに、上記混合弁装置の作用について説明する。ダイヤフラム21は、上方の感圧室6から作用する冷水の駆動圧力と下方の混合室4から作用する温水の圧力および復帰用スプリング22のばね力との差が下向きの作動力である場合に、弁棒8を介して弁体12を二点鎖線で示すように押し下げ、逆に上向きの作動力である場合には、弁棒8を持ち上げるとともに弁体スプリング13が弁体12を上昇させる。また、冷水弁18は、弁棒8によって蒸気弁14と一体的に作動されて、冷水流入孔10bから混合室4への冷水導入量を調節する。
【0022】
一方、図3のパイロット弁PVは、混合室4で作られる温水Mの温度をバイメタル33で常時感知して、感知した温水温度が設定温度よりも高温になったときに、感圧室6への冷水の流入量を抑制する。それにより、ダイヤフラム21を上方に移動させ、弁棒8を介して冷水弁18を開弁方向(上方)に作動させるとともに、弁体スプリング13によって弁体12が閉弁方向(上方)に移動するのを許容する。逆に、設定温度よりも低温になったときには、感圧室6への冷水の流入量を増大させて、ダイヤフラム21を下方に移動させ、弁棒8を介して蒸気弁14を開弁方向(下方)に、かつ冷水弁18を閉弁方向(下方)にそれぞれ作動させる。すなわち、パイロット弁PVは、感圧室6に作用する冷水Cの駆動圧力を温水設定温度に応じて調整し、それにより、混合室4内で設定温度の温水が作られる。
【0023】
ここで、図2の温水弁29を全開状態にして温水を使用しているときに温水弁29を急激に全閉にすると、温水弁29の上流側の温水Mや流入する冷水Cの持つ運動エネルギ(慣性力)により、ウォーターハンマーが発生することがある。このウォーターハンマーによる衝撃圧力が高い場合、発明者らの精査の結果、混合室4内の温水Mはダイヤフラム21の下側の作動室5からボディ1と蓋体23との間を通るのではなく、ボディ1の開口部1aとガイド体31の周壁31bとの間を通り、ボディ1と蓋体23との間から外部に漏出しようとすることが判明した。
【0024】
そこで、実施形態の混合弁装置Aでは、ボディ1と蓋体23との間のシール性能を高めるのに代えて、ボディ1とガイド体31との間にシール部材43を配置して、ボディ1とガイド体31の間を封止している。これにより、ウォーターハンマーによる大きな衝撃圧力が発生したときに、温水Mがガイド体31とボディ1との間を通過するのが阻止される結果、ボディ1と蓋体23の間から温水Mが漏出するのを防止できる。このシール部材43の取付け箇所は、ボディ1と蓋体23との間の温水Mの外部漏れが発生し易い箇所の手前付近であるから、ボディ1と蓋体23との間に高圧の温水Mが侵入するのを効果的に阻止することができる。また、このシール構造は、固定ボルト25の太さや個数を増大させたり、蓋体23の厚みを大きくするのとは異なり、例えばOリングからなる単純なシール部材43を別途設けるのみの簡単な構造であるから、大きなコストアップを招くことがない。
【0025】
また、前記混合弁装置では、シール部材43が、ガイド体31の周壁31bの外周面に形成された環状の取付け溝42に圧入して取り付けられているから、環状の取付け溝を、ボディ1の開口部1aの内周面に形成する場合と比べて、ガイド体31の周壁31bの外周面に形成する方が加工が容易である。さらに、ボディ1の開口部1aの内周面に形成した取付け溝にシール部材43を取り付けた場合には、保守点検やメンテナンスを行う際に混合弁装置の装置本体であるボディ1を配管から取り外す必要があり、面倒であるのに対し、この実施形態は、ガイド体31の周壁31bに形成した取付け溝42にシール部材43を取り付けているから、ガイド体31をボディ1から取り出すだけでよいので、シール部材43の保守点検やメンテナンスが容易になる。
【0026】
また、図2から明らかなように、ボディ1における二つの温水流出口50が形成された箇所には、ガイド体31の底部31bを載置するための図1の棚部1bが形成されていないので、ガイド体31はその周壁31bのみでボディ1と接触することになるが、この周壁31bとボディ1との間にシール部材43が配置されているので、ボディ1と蓋体23との間を十分封止できる。
【0027】
図4は本発明の第2実施形態に係る混合弁装置を示す要部の縦断面図であり、同図において、図1ないし図3と同一もしくは相当するものに同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この混合弁装置が第1実施形態と相違するのは、ガイド体31の底部31aにおけるボディ1の棚部1bに載置される箇所に、棚部1bに向かって進出する後述のジャッキ用ねじ体が螺合可能な二つのねじ孔37が、弁軸心C1の回りに180°離間した相対向する箇所において、上下方向に貫通して形成されていることのみである。
【0028】
この混合弁装置では、保守点検などに際して、蓋体23、ダイヤフラム21、復帰用スプリング22およびガイド体31で構成されたダイヤフラムユニット30がボディ1から取り外される。その際、ボディ1とシール部材43との相対移動に対する摩擦抵抗によって、ガイド体31をボディ1の内面から取り外すのが困難となる。また、ボディ1とガイド体31間の隙間にスケールが付着するような場合には、この摩擦抵抗が増大する。
【0029】
ところが、この第2実施形態の混合弁装置では、ガイド体31に二つのねじ孔37を設けているので、ガイド体31をボディ1から取り出す際に、図5(a)に示すように、二つのねじ孔37にそれぞれ、例えば六角孔付きの専用のジャッキ用ねじ体47をねじ込んでほぼ同等に螺進させ、ねじ体47の先端部がボディ1の棚部1bに当接したのち、ねじ体47をさらにねじ込むことにより、ねじ孔37内を螺進するねじ体47の先端部によって、ガイド体31がボディ1から浮き上がるように強制的に持ち上げられる。これにより、ガイド体31は、ねじ体47をねじ孔37にねじ込むだけの単純な作業によって、そのジャッキ作用によりボディ1から容易に取り出すことができる。
【0030】
また、図5(b)に示すように、ダイヤフラムユニット30をボディ1から取り外す際に、蓋体23をボディ1に固定している固定ボルト25を最初に取り外すので、この固定ボルト25をねじ孔37にねじ込むことにより、ジャッキ作用によってガイド体31をボディ1から取り出すことができる。
【0031】
本発明は上述した実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 ボディ
1a 開口部
1b 棚部
4 混合室
8 弁棒
14 蒸気弁
18 冷水弁
20 ケース
21 ダイヤフラム(弁駆動部材)
21a 周縁部
23 蓋体
25 固定ボルト(ジャッキ用ねじ体)
29 温水弁
31 ガイド体
31a 底部(底壁)
31b 周壁
37 ねじ孔
42 取付け溝
43 シール部材
47 ジャッキ用ねじ体
A 混合弁装置
C 冷水
H 蒸気
M 温水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気と冷水を混合室内で混合して温水を生成する混合弁装置であって、
前記混合室を形成するボディとその開口部を閉止する蓋体とを有するケースと、
前記混合室への蒸気導入量を調節する蒸気弁と、
前記混合室への冷水導入量を調節する冷水弁と、
前記蒸気弁および冷水弁を開閉移動させる弁棒と、
前記混合室の圧力と冷水の圧力とに基づいて前記弁棒を作動させる弁駆動部材と、
前記ボディの開口部の内面に嵌合されて前記弁棒を案内するガイド体と、
前記ガイド体と前記ボディとの間に配置されて両者間の隙間を封止するシール部材とを備えた混合弁装置。
【請求項2】
請求項1において、前記弁駆動部材は前記ボディと前記蓋体との間で周縁部が支持されたダイヤフラムであり、
前記シール部材により、前記ガイド体と前記ボディとの間から前記ダイヤフラムの周縁部を通って前記ケース内の流体が外部へ漏れるのを阻止する混合弁装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記ガイド体の外周面に環状の取付け溝が形成され、この取付け溝に環状の前記シール部材が取り付けられている混合弁装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項において、前記ボディの棚部に前記ガイド体の底部が載置されており、前記底部に、前記棚部に向かって進出するジャッキ用ねじ体が螺合可能な複数のねじ孔が形成されている混合弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−225380(P2012−225380A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91835(P2011−91835)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000137889)株式会社ミヤワキ (19)
【Fターム(参考)】