説明

清掃手段付き樹脂供給装置

【課題】生産性を向上させ、かつ、樹脂材料の損失の低減及び省人化を図ることができる清掃手段付き樹脂供給装置の提供。
【解決手段】圧縮成形装置は、押出機2、カッターホイール3、清掃装置4、金型ホイール5、出口ホイール6及び取出しコンベア7とからなっている。また、清掃手段付き樹脂供給装置1は、樹脂供給装置本体であるカッターホイール3と、保持ユニット35を清掃する清掃手段である清掃装置4とからなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃手段付き樹脂供給装置に関し、特に、樹脂供給装置本体の保持ユニットへの付着物を清掃する清掃手段を備えた清掃手段付き樹脂供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットボトルなどのプラスチック容器は、清涼飲料水などの容器として、急速に普及してきた。
上記プラスチック容器は、まず、圧縮成形法によりプリフォームが形成され、続いて、ブロー成形金型内に収納されたプリフォームに流体を吹き込み膨張形成するブロー成形方法によって製造されている。上記圧縮成形法では、通常、圧縮成形装置が用いられ、この圧縮成形装置は、押出機、樹脂供給装置、及び、圧縮成形機を備えている。
また、上記樹脂供給装置は、生産性や品質の向上などを目的として、様々な技術が開発されてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1には、カッターによって切断されたドロップ(溶融合成樹脂塊状体)を保持した保持手段の軌跡を、一定の範囲において圧縮成形機の成形金型の軌跡と一致させて、ドロップを圧縮成形機へ供給する技術が開示されている。
【0004】
ところで、押出機は、樹脂材料を加熱溶融させ、ダイヘッドから溶融樹脂を連続的に押し出している。この溶融樹脂は、加熱温度に応じて、アセトアルデヒドやオリゴマーなどが発生する。ペットボトルにアセトアルデヒドやオリゴマーが付着していると、風味に悪影響を及ぼすため、押出機は、低温で溶融樹脂を押し出し、アセトアルデヒドやオリゴマーの発生を抑制している。ただし、低温で溶融樹脂を押し出しても、微量の蒸気状のアセトアルデヒドやオリゴマーが発生しており、保持ユニットに触れ堆積する。また、溶融樹脂そのもの(たとえば、樹脂カスなど)が付着・堆積する場合もある。
この付着物(アセトアルデヒド、オリゴマー、樹脂カスなど)が所定量に達すると、溶融樹脂と保持ユニットとの摩擦係数が増大したり、あるいは、熱伝導率の低下にともない冷却不良となり、高温のままの溶融樹脂が保持ユニットにくっつきやすくなってしまうことによって、保持手段を開放しても溶融樹脂が落下しなくなり、溶融樹脂を圧縮成形機の金型に供給できなくなる。このような不具合を回避するため、作業者が数時間ごとに保持ユニットを清掃している。
【0005】
なお、金型に対する清掃装置や洗浄装置は、様々な技術が開発されてきた。
たとえば、特許文献2には、回転式粉末圧縮成形機の洗浄装置であって、昇降及び回転するノズル用パイプを備えた洗浄装置の技術が開示されている。この技術は、先端にブラシの付いたノズル用パイプから圧液を噴射させながら、金型を洗浄する構成となっている。
【特許文献1】WO2005/007378号公報
【特許文献2】特開平6−335517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、保持ユニットへの付着物を、作業者が手動で清掃していたのでは、作業時間を短縮するにも限界があり、生産性を向上させることができないといった問題があった。
また、清掃作業時間中も、ダイヘッドから溶融樹脂を連続的に押し出しており、清掃作業時間が長いと樹脂材料の損失が増大するといった問題があった。
さらに、数時間ごとの清掃のために、作業者を確保しておく必要があり、省人化を図ることができないといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記諸問題を解決すべく、生産性を向上させ、かつ、樹脂材料の損失の低減及び省人化を図ることができる清掃手段付き樹脂供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の清掃手段付き樹脂供給装置は、押出機から押し出された溶融樹脂を切断し保持する保持ユニットを搬送し、前記溶融樹脂を圧縮成形機に供給する樹脂供給装置本体と、この樹脂供給装置本体の近傍に設けられ、前記保持ユニットを清掃する清掃手段とを備えた構成としてある。
このようにすると、保持ユニットへの付着物を清掃することができ、付着物により溶融樹脂と保持ユニットとの摩擦係数が増大し、溶融樹脂を圧縮成形機に供給できなくなるといった不具合を確実に防止することができる。また、清掃手段を自動制御することにより、作業者による直接的な清掃作業を行なわなくてもすむので、省人化を図ることができる。
【0009】
また、好ましくは、前記樹脂供給装置本体が、回転板と、この回転板に回動自在に取り付けられ、揺動カムにより揺動する揺動ユニットと、この揺動ユニットに取り付けられ、前記保持ユニットをほぼ径方向に移動させる伸縮ユニットを備え、前記清掃手段が、前記伸縮ユニットにより回転中心側に移動した前記保持ユニットを清掃するとよい。
このようにすると、カッターホイール式の樹脂供給装置本体の保持ユニットに対して清掃を行なうことができる。また、清掃する際、生産時における保持ユニットの軌跡に対し、清掃時の軌跡が小径となり、保持ユニットが、押出機のダイヘッドから連続的に押し出される溶融樹脂と干渉しなくなるので、制御が容易になる。
【0010】
また、好ましくは、前記清掃手段が清掃具を備え、該清掃具が、ブラシ、スポンジ又は布の少なくとも一つ以上からなるとよい。
このようにすると、保持ユニットに対して、清掃を良好に行なうことができる。
【0011】
また、好ましくは、前記清掃具が複数個所に配設され、複数の前記清掃具が、前記保持ユニットを清掃するとよい。
このようにすると、複数の保持ユニットを同時に清掃することができ、清掃時間が短縮されるので、生産性を大幅に向上させることができる。また、清掃時間が短縮されると、清掃中に押し出される溶融樹脂量が低減され、樹脂材料の損失を大幅に低減することができる。
【0012】
また、好ましくは、前記清掃具が、昇降及び/又は回転するとよい。
このようにすると、保持ユニットへの付着物を効果的に清掃することができる。
【0013】
また、好ましくは、前記清掃具に、清掃液を供給する清掃液供給手段を備えるとよい。
このようにすると、保持ユニットへの付着物を剥離させやすくしたり、あるいは、溶かしながら清掃するので、清掃品質を向上させることができる。
【0014】
また、好ましくは、前記保持ユニットに、清掃液を吹き付ける清掃液吹付け手段を備えるとよい。
このようにすると、保持ユニットへの付着物をあらかじめ剥離させやすくしたり溶かしてから清掃するので、清掃品質を向上させることができる。
【0015】
また、好ましくは、前記清掃手段が、前記樹脂供給装置本体に対して、進退自在に設置されるとよい。
このようにすると、清掃具の交換などを容易に行なうことができるとともに、樹脂供給装置本体の製造を停止させることなく、次回の清掃の準備を行なうことができ、生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明における清掃手段付き樹脂供給装置によれば、生産性を向上させ、かつ、樹脂材料の損失の低減及び省人化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置を説明するための概略平面図を示している。
同図において、圧縮成形装置は、押出機2、カッターホイール3、清掃装置4、金型ホイール5、出口ホイール6及び取出しコンベア7とからなっている。また、本実施形態の清掃手段付き樹脂供給装置1は、樹脂供給装置本体であるカッターホイール3と清掃手段としての清掃装置4とからなっている。
【0018】
押出機2は、ほぼ筒状の外形を有しており、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂素材を加熱溶融及び混練して、溶融樹脂をギヤポンプ22に搬送する。ギヤポンプ22は、歯車の噛み合いによって、溶融樹脂を安定した状態で吐出する。ギヤポンプ22の吐出口は、導管を介して下向きのダイヘッド21と接続されている。ダイヘッド21は円筒断面を有しており、溶融状態の合成樹脂は、ダイヘッド21からほぼ円柱形状の状態で連続的に下方に押し出される。 なお、押出機2は、単位時間当たりの吐出量が、精度よく調整されている。この調整に長時間を要することから、保持ユニット35を清掃する間も、連続的に溶融樹脂が吐出される。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置の、製造状態を説明するための、要部の概略拡大平面図を示している。
また、図3は、図2のA−A断面図を示している。
図2,3において、清掃手段付き樹脂供給装置1は、カッターホイール3及び清掃装置4とからなっており、清掃装置4は、ダイヘッド21や金型ホイール5の金型51から離れ、かつ、保持ユニット35の下方の位置に設けられている。
【0020】
カッターホイール3は、回転板31、揺動カム32、揺動ユニット33、伸縮ユニット34及び保持ユニット35を備えている。
回転板31は、円板状部材としてあり、周縁部に等角度間隔で、六つの揺動ユニット33が回動自在に配設されている。この回転板31は、モータ(図示せず)によって、上方から見て時計回り方向に回転する。 揺動ユニット33は、下部にカムフォロワーが設けられており、回転板31が回転すると、カムフォロワーが揺動カム32に形成された溝に沿って移動することにより、揺動する。
【0021】
伸縮ユニット34は、ほぼ径方向に延びた棒状部材としてあり、外周側先端部に、保持ユニット35が設けられている。この伸縮ユニット34は、リニアベアリングなどを介して、揺動ユニット33の上部に径方向に往復移動自在に設けられており、例えばエアシリンダ(図示せず)などによって、ほぼ径方向に往復移動する。 保持ユニット35は、揺動ユニット33の揺動運動と伸縮ユニット34の往復移動とによって、運転時の軌跡30に沿って回転し、金型ホイール5の金型51に溶融樹脂を受け渡しする前後においては、金型51の回転軌跡50に沿って移動する。これにより、高速運転した場合であっても、溶融樹脂の受け渡しを確実に行なうことができる。
【0022】
図4は、本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置の、保持ユニットの構造を説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は上面図を、(b)は右側面図を、(c)は背面図を、(d)は開いた状態の上面図を示している。
同図において、保持ユニット35は、半円柱状の収納凹部353が形成され、かつ、上部に回転方向斜め上方に向かって突出したカッター351が形成された基部350と、この基部350に回動自在に取り付けられた、一対の保持部352とからなっている。保持部352は、例えばロータリアクチュエータなどの回動手段によって、ダイヘッド21の上流側で開き、ダイヘッド21を通過した直後に閉じる。これにより、図示してないが、カッター351によって切断されながら収納凹部353に収納された溶融樹脂を保持する。また、保持ユニット35は、切断し保持した溶融樹脂を、保持部352を閉じた状態で搬送し、金型51の上方に達すると、保持部352を開き溶融樹脂を下方の金型51に落下させる。
【0023】
清掃装置4は、架台41、昇降板42、清掃具43、スプロケット44、モータ45及び塗布ノズル46、47を備えている。 架台41は、昇降板42が昇降自在に取り付けられた台である。この架台41は、ガイドレールなどのスライド手段(図示せず)を介して、カッターホイール3に対して進退自在に設置される。これにより、清掃具43の交換やメンテナンスなどを容易に行なうことができるとともに、カッターホイール3を回転させた状態で、次回の清掃の準備を行なうことができ、生産性をより向上させることができる。
【0024】
昇降板42は、ほぼ鉤状の平板としてあり、昇降ガイド421及びエアシリンダ422によって、架台41に対して上下方向に昇降する。また、昇降板42は、両端部及び中央部の三箇所に、清掃具43が着脱自在に立設される回転軸48が配設されており、さらに、中央部外周側にモータ45が設けられている。各回転軸48には、スプロケット44が設けられており、スプロケット44及びモータ45にはチェーン441が掛けられており、モータ45が回転すると、回転軸48及びこの回転軸48に取り付けられた清掃具43が回転する。
【0025】
図5は、本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置の、清掃具の概略拡大断面図を示している。
同図において、清掃具43は、金属や樹脂などからなる棒433と、この棒433に巻き付けられたスポンジ431と、スポンジ431を覆うように被せた、ポリエステルなどからなる布432とからなっている。このようにすると、清掃具43からの異物の発生を防止するとともに、付着物を良好に清掃することができる。
なお、本実施形態の清掃具43は、スポンジ431と布432を使用しているが、清掃具43はこの構成に限定されるものではなく、たとえば、スポンジ単体、あるいは、布(繊維)単体でもよいし、ブラシなどを使用してもよい。
【0026】
清掃装置4は、各清掃具43に水、または、エタノール水溶液などの清掃液を吹き付ける塗布ノズル46を備えている。すなわち、塗布ノズル46が、清掃開始前に清掃具43に清掃液を吹き付けるので、清掃液が水などの場合、適度に湿った状態の清掃具43が、保持ユニット35の付着物を剥離しやすくするとともに清掃することができ、清掃品質を向上させることができる。また、清掃液がエタノール水溶液など溶剤を含む場合には、適度に湿った状態の清掃具43が、保持ユニット35の付着物を溶かしながら清掃することができ、さらに清掃品質を向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態の清掃装置4は、清掃具43によって清掃される保持ユニット35に、前もってエタノール水溶液などの清掃液を吹き付ける塗布ノズル47を備えている(図8参照)。この塗布ノズル47は、架台41の上流側であって、清掃時の軌跡40(図6参照)上に設けられている。また、塗布ノズル47は、保持ユニット35の上方及び下方に設けられており、上方及び下方から、カッター351、収納凹部353及び保持部352内面に清掃液を吹き付ける。これにより、保持ユニット35への付着物をあらかじめ溶かしてから清掃することができるので、清掃品質を向上させることができる。
【0028】
金型ホイール5は、複数の金型51を備えており、上方から見て反時計回り方向に回転する。この金型ホイール5は、回転軌跡50に沿って移動する保持ユニット35と金型51が同期するように回転し、供給された溶融樹脂を圧縮成形し、プリフォームを成形する。
この成形されたプリフォームは、出口ホイール6及び取出しコンベア7を介して排出される。
また、図示してないが、押出機2、カッターホイール3、清掃装置4、金型ホイール5、出口ホイール6及び取出しコンベア7は、図示してないが、情報処理部及び記憶部などを有する制御手段によって制御される。
【0029】
次に、上記構成の清掃手段付き樹脂供給装置の動作について、図面を参照して説明する。 まず、清掃手段付き樹脂供給装置1は、カッターホイール3の定常運転状態において、図2に示すように、保持ユニット35が運転時の軌跡30に沿って高速で回転しながら、溶融樹脂を切断するとともに保持し、保持した溶融樹脂を金型51に供給している。
【0030】
図6は、本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置の、清掃準備状態及び清掃状態を説明するための、要部の概略拡大平面図を示している。
また、図7は、清掃準備状態における図5のB−B断面図を示している。
次に、清掃手段付き樹脂供給装置1は、入力された清掃サイクルにもとづいて制御手段から清掃開始信号を入力すると、図6,7に示すように、溶融樹脂を保持していない保持ユニット35の伸縮ユニット34が距離Lだけ回転中心側に移動する。また、溶融樹脂を保持している保持ユニット35は、溶融樹脂を金型51に供給した後、同様に伸縮ユニット34が回転中心側に移動し、全ての伸縮ユニット34が回転中心側に移動した後、回転板31の回転を停止させる。
【0031】
次に、清掃手段付き樹脂供給装置1は、図7に示すように、各塗布ノズル46から清掃液を吹き出し、清掃具43に適度の湿り気を与える。また、回転板31が回転を開始し、図8に示すように、保持ユニット35が塗布ノズル47上に位置すると一時停止し、塗布ノズル47が清掃液を保持ユニット35に吹き付ける。この吹付けを順次三つの保持ユニット35に対して行なった後、これらの保持ユニット35を、清掃具43の上方(清掃位置)に移動させる。
【0032】
図9は、清掃状態における図5のB−B断面図を示している。
次に、清掃手段付き樹脂供給装置1は、図9に示すように、モータ45を回転させながら昇降板42を上昇させる。これにより、保持ユニット35は、回転している清掃具43によって、カッター351、収納凹部353及び保持部352内面が清掃される。この際、予想される付着量に応じて、清掃具43の回転数、回転方向、昇降速度、昇降回数、清掃時間などが設定されている。このように、清掃具43を回転させたり昇降させたりすることにより、保持ユニット35を効果的に清掃することができる。
【0033】
また、清掃装置4は、3つの保持ユニット35を同時に清掃することができるので、清掃時間を短縮することができ、生産効率を向上させることができる。また、清掃時間が短縮されると、清掃中に押し出される溶融樹脂量が低減され、樹脂材料の損失を大幅に低減することができる。
なお、清掃具43の数量は少なくとも一つ以上あればよいが、本実施形態の保持ユニット35は6つ設けられているので、清掃具43の数量は、例えば3つ又は2つといった、保持ユニット数の約数(1と保持ユニット数(この例では6)を除く。)とするのが、より好ましい。このようにすると、複数の清掃具43を有効利用することができる。
【0034】
次に、上記3つの保持ユニット35に対して清掃が終了すると、清掃手段付き樹脂供給装置1は、昇降板42を降下させ、残りの3つの保持ユニット35に対して、同様に清掃を行なう。 続いて、残りの保持ユニット35の清掃が終了し、昇降板42が降下すると、清掃手段付き樹脂供給装置1は、定常運転のために回転を開始する。そして、定常回転数に達すると、ダイヘッド21の上流側に位置する伸縮ユニット34が順次距離Lだけ外周方向に移動する。この際、先頭の保持ユニット35は、連続的に押し出された溶融樹脂を切断するだけであり、切断された溶融樹脂は、ダイヘッド21の下方に落下する。続いて、二番目以降の保持ユニット35は、溶融樹脂を所定の長さに切断するとともに保持し、保持した溶融樹脂を金型51に供給し、速やかにカッターホイール3の定常運転状態に復帰する。
【0035】
また、上記清掃を一回又は二回以上行なうと、清掃具43に付着物が付くので、清掃具43を交換する必要がある。かかる場合、本実施形態の清掃手段付き樹脂供給装置1は、図10に示すように、カッターホイール3が定常運転している間に、清掃装置4を外周方向に後退させることができる。このようにすると、カッターホイール3を停止させずに、清掃具43の交換や清掃装置4のメンテナンスなどを容易に行なうことができ、より生産性を向上させることができる。
【0036】
上述したように、清掃手段付き樹脂供給装置1によれば、保持ユニット35への付着物を清掃することができ、付着物により溶融樹脂と保持ユニット35との摩擦係数が増大し、溶融樹脂を金型51に供給できなくなるといった不具合を自動的に防止するので、生産性を向上させることができる。
また、効率よく清掃することができるので、生産性を大幅に向上させ、かつ、樹脂材料の損失の低減及び省人化を図ることができる。
【0037】
以上、清掃手段付き樹脂供給装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る清掃手段付き樹脂供給装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
たとえば、清掃手段付き樹脂供給装置1の樹脂供給装置本体は、回転、揺動及び往復移動する保持ユニット35を備えたカッターホイール3としてあるが、本発明における樹脂供給装置本体は、上記構成に限定されるものではなく、ほぼ長円に沿って移動する保持ユニットを備えた樹脂供給装置本体など、様々な構成の樹脂供給装置本体であってもよい。
また、揺動や往復移動しない保持ユニットを備えた樹脂供給装置本体に対しては、押出機を稼働させた状態のまま後退させて、ダイヘッドを避けて保持ユニットを清掃してもよい。
【0038】
また、清掃装置4を進退させるスライド手段を設けなくても、保持ユニット35を伸縮ユニット34によって回転中心側に移動させることにより、カッターホイール3を回転させたまま、清掃具43を交換することができ、あるいは、昇降板42を保持ユニット35の十分下方に退けられるように設計することにより、生産中であっても、清掃具43の交換や清掃装置4のメンテナンスを行なうことができる。
さらに、清掃手段付き樹脂供給装置1は、清掃具43を保持ユニット35の下方に配置・待機させる構成としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、清掃具43を保持ユニット35の上方に配置・待機させる構成としてもよい。
【0039】
また、清掃手段付き樹脂供給装置1は、一つの清掃具43が、一つの保持ユニット35を清掃する構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、最も上流側の清掃具43の代わりに、多量の清掃液を有するブラシを取り付け、このブラシにて付着物をより剥離・溶解させ、次の多めに清掃液を含んだ清掃具43にて、濡れ拭き清掃を行ない、次に、わずかに清掃液を含んだ清掃具43にて仕上げ清掃を行なったり、あるいは、乾いた繊維等からなる清掃具43にて乾燥仕上げ拭き清掃を行なうなどの段階的清掃を行なってもよい。このようにしても、清掃品質を向上させることができる。
また、昇降板42の下流側に、すすぎ用ノズルや乾燥用エアーノズルなどを設けてもよい。このようにすると、清掃品質をより向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の清掃手段付き樹脂供給装置における清掃手段は、たとえば、出口ホイールの保持ユニットに対する清掃手段としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置を説明するための概略平面図を示している。
【図2】本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置の、製造状態を説明するための、要部の概略拡大平面図を示している。
【図3】図2のA−A断面図を示している。
【図4】本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置の、保持ユニットの構造を説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は上面図を、(b)は右側面図を、(c)は背面図を、(d)は開いた状態の上面図を示している。
【図5】本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置の、清掃具の概略拡大断面図を示している。
【図6】本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置の、清掃準備状態及び清掃状態を説明するための、要部の概略拡大平面図を示している。
【図7】清掃準備状態における図5のB−B断面図を示している。
【図8】清掃準備状態における図5のC−C断面図を示している。
【図9】清掃状態における図5のB−B断面図を示している。
【図10】本発明の一実施形態にかかる清掃手段付き樹脂供給装置の、清掃具交換状態を説明するための、要部の概略拡大平面図を示している。
【符号の説明】
【0042】
1 清掃手段付き樹脂供給装置2 押出機3 カッターホイール4 清掃装置5 金型ホイール6 出口ホイール7 取出しコンベア21 ダイヘッド22 ギヤポンプ30 運転時の軌跡31 回転板32 揺動カム33 揺動ユニット34 伸縮ユニット35 保持ユニット40 清掃時の軌跡41 架台42 昇降板43 清掃具44 スプロケット45 モータ46 塗布ノズル47 塗布ノズル48 回転軸50 金型の回転軌跡51 金型350 基部351 カッター352 保持部353 収納凹部421 昇降ガイド422 エアシリンダ431 スポンジ432 布433 棒441 チェーン451 スプロケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機から押し出された溶融樹脂を切断し保持する保持ユニットを搬送し、前記溶融樹脂を圧縮成形機に供給する樹脂供給装置本体と、
この樹脂供給装置本体の近傍に設けられ、前記保持ユニットを清掃する清掃手段と
を備えたことを特徴とする清掃手段付き樹脂供給装置。
【請求項2】
前記樹脂供給装置本体が、
回転板と、
この回転板に回動自在に取り付けられ、揺動カムにより揺動する揺動ユニットと、
この揺動ユニットに取り付けられ、前記保持ユニットをほぼ径方向に移動させる伸縮ユニットを備え、
前記清掃手段が、前記伸縮ユニットにより回転中心側に移動した前記保持ユニットを清掃することを特徴とする請求項1に記載の清掃手段付き樹脂供給装置。
【請求項3】
前記清掃手段が清掃具を備え、該清掃具が、ブラシ、スポンジ又は布の少なくとも一つ以上からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃手段付き樹脂供給装置。
【請求項4】
前記清掃具が複数個所に配設され、複数の前記清掃具が、前記保持ユニットを清掃することを特徴とする請求項3に記載の清掃手段付き樹脂供給装置。
【請求項5】
前記清掃具が、昇降及び/又は回転することを特徴とする請求項3又は4に記載の清掃手段付き樹脂供給装置。
【請求項6】
前記清掃具に、清掃液を供給する清掃液供給手段を備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の清掃手段付き樹脂供給装置。
【請求項7】
前記保持ユニットに、清掃液を吹き付ける清掃液吹付け手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の清掃手段付き樹脂供給装置。
【請求項8】
前記清掃手段が、前記樹脂供給装置本体に対して、進退自在に設置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の清掃手段付き樹脂供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−126438(P2008−126438A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311302(P2006−311302)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】