説明

減圧乾燥装置

【課題】塗布膜に乾燥ムラが形成されるのを抑えることができる減圧乾燥装置を提供する。
【解決手段】基板Wを収容し、内部を減圧環境にすることにより基板Wの乾燥を行うチャンバ部と、チャンバ部の内外に基板Wを搬送する搬送装置と、乾燥時に基板Wを支持する基板支持部30と、基板Wの下面近傍の気流を制御する整流板41と、を備える減圧乾燥装置であって、チャンバ部に収容された基板Wの乾燥時には、搬送装置、基板支持部30、および整流板41を相対移動させることにより、基板支持部30の上端の乾燥当接点32が基板を支持し、かつ整流板41の上面が搬送装置の搬送当接点22よりも上方に位置する状態を形成して乾燥を行う構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された塗布膜を減圧環境下で乾燥させる減圧乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、基板上にレジスト液が塗布されたもの(塗布基板と称す)が使用されている。この塗布基板は、塗布装置により基板上にレジスト液が均一に塗布されることによって塗布膜が形成され、その後、減圧乾燥装置により塗布膜を乾燥させることにより生産される。
【0003】
この減圧乾燥装置は、例えば、下記特許文献1に示されるように、チャンバ部に基板が収容された状態で、チャンバ部を減圧させることにより基板上の塗布膜を乾燥させるようになっている。具体的には、基板がチャンバ部内で支持ピンに当接して支持された状態でチャンバ部内の大気を排気させ、チャンバ部内が減圧環境下になることにより、基板上の塗布膜に含まれる溶剤が揮発し、塗布膜が乾燥する。
【0004】
ここで、チャンバ部内外へ基板を搬入出する方法として、チャンバ部内外にローラコンベアを設け、基板が複数のローラと当接して支持された状態においてそれぞれのローラを一方向に回転させることによって、チャンバ部内外へ基板を搬入出する方法がなされている。図6は搬送時、乾燥時のチャンバ部内の基板の支持状態を表す概略図である。チャンバ部内へ基板を搬入した直後は、図6(a)に示すようにローラコンベアが有するローラ81に基板Wの下面が当接した状態で基板Wが支持されているが、減圧乾燥を行う際は、図6(b)に示すようにローラ81の下方から複数の支持ピン82が上方に突き出て基板の裏面に当接し、ローラの上端よりも支持ピン82の上端が高い位置となることで、基板Wはローラ81から離れて持ち上げられ、支持ピン82によって基板Wが支持される。こうすることにより基板Wに接触する部材の接触面積を減らし、これら部材の接触が原因で基板上面の塗布膜の乾燥にムラが発生することを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−329303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載された減圧乾燥装置では、減圧時にチャンバ内で発生する乱流によって基板に温度ムラが生じ、この温度ムラが塗布膜の乾燥ムラを発生させるという問題があった。
【0007】
減圧乾燥時にチャンバ部内の大気を排気するに伴い、チャンバ部内に気流が生じる。その気流の流路に障害物が存在すると、気流がそれと衝突し、そこで乱流が発生する。この減圧乾燥装置では、基板の下方にコンベアローラが存在するため、気流がそのローラと衝突し、図6の矢印で示すように基板の下方で乱流が発生していた。
【0008】
チャンバ部内での減圧中は、基板がその周囲を通る気流によって冷却され、基板付近に障害物が無い場合は、気流が一定となり、均一に基板が冷却される。それに対し、ローラなどの障害物が存在し、乱流が発生すると、気流の乱れにより冷却にムラが生じる。そのため、塗布膜中の溶剤の蒸発速度に差が生じ、基板温度の高い部分と低い部分とに含まれる溶剤の濃度に差が生じることになり、この状態で完全に乾燥させることにより、乾燥ムラが形成されてしまっていた。
【0009】
また、ローラと気流との衝突の影響を受けにくくするために支持ピンによる持ち上げ高さをさらに高くすると、その分チャンバ部内部の容積が大きくなるため、減圧するのに時間がかかるようになり、塗布装置の運用タクトおよび運用費用の増大につながる。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、運用タクトおよび費用を増大させることなく塗布膜に乾燥ムラが形成されるのを抑えることができる減圧乾燥装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明の減圧乾燥装置は、基板を収容し、内部を減圧環境にすることにより基板の乾燥を行うチャンバ部と、基板の下面と当接する搬送当接点を有し、該搬送当接点を基板の下面に当接させることにより基板を支持した状態で該チャンバ部の内外に基板を搬送する搬送装置と、基板の下面と当接する乾燥当接点を有し、該乾燥当接点を基板の下面に当接させることにより、乾燥時に基板を支持する基板支持部と、前記チャンバ部に基板を収容した状態において基板の下方に位置し、基板の下面近傍の気流を制御する整流板と、を備える減圧乾燥装置であって、前記チャンバ部に収容された基板の乾燥時には、前記搬送装置、前記基板支持部、および前記整流板を相対移動させることにより、前記乾燥当接点が基板を支持し、かつ前記整流板の上面が前記搬送当接点よりも上方に位置する状態を形成して乾燥を行うことを特徴としている。
【0012】
上記の基板保持装置によれば、基板の乾燥時には、整流板の上面が搬送当接点よりも上方に位置することにより、基板下面と整流板との隙間に搬送装置が突出しない状態で減圧乾燥を行うことができる。こうすることにより、減圧時に整流板と基板下面との隙間において生じる気流が搬送装置に衝突することを防ぐことができる。すなわち、整流板と基板下面との隙間において乱流を発生させなくすることができ、これにより、乱流が基板下面に接触して基板の冷却にムラが発生することを無くすことができる。その結果、基板上面の塗布膜の乾燥ムラの少ない減圧乾燥を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の減圧乾燥装置によれば、塗布膜に乾燥ムラが形成されるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における減圧乾燥装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態における減圧乾燥装置の搬送時、乾燥時のチャンバ部内の基板の支持状態を表す概略図である。
【図3】減圧乾燥装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】他の実施形態における減圧乾燥装置の搬送時、乾燥時のチャンバ部内の基板の支持状態を表す概略図である。
【図5】他の実施形態における減圧乾燥装置の搬送時、乾燥時のチャンバ部内の基板の支持状態を表す概略図である。
【図6】従来の減圧乾燥装置における搬送時、乾燥時のチャンバ部内の基板の支持状態を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
【0016】
本発明の一実施形態における減圧乾燥装置を図1に示す。減圧乾燥装置1は、内部を減圧環境に維持することができるチャンバ部10、基板Wをチャンバ部10の内外へ搬入出させる搬送装置20、乾燥時に基板Wを支持する基板支持部30、および基板Wの下面近傍の気流を制御する整流板部40を有している。減圧乾燥装置1外の図示しない搬送機構および搬送装置20によって基板Wがチャンバ部10内に搬入されると、チャンバ部10が密閉状態となり、基板Wの減圧乾燥が実施される。
【0017】
チャンバ部10はチャンバ本体11とこれに接離可能なチャンバ蓋部12とを有しており、チャンバ蓋部12がチャンバ本体11に当接することによりチャンバ部10内部に密閉空間が形成される。また、チャンバ部10の内部には、搬送装置20、基板支持部30、および整流板部40が備えられており、基板支持部30が基板Wを支持した状態で、このチャンバ部10内部に密閉空間を形成し、減圧環境に維持することによって基板Wを乾燥できるようになっている。
【0018】
チャンバ本体11は、水平に載置された平板状の平板部11aと、この平板部11aの外周縁から上方に突出する側壁部11bとを有しており、平板部11aには搬送装置20、基板支持部30、および整流板部40が載置され、側壁部11bがこれらの側方を隙間無く囲む構造となっている。また、この側壁部11bの上端面は、シール部材11cを有しており、シール部材11cが後述するチャンバ蓋部12に圧接されることにより、チャンバ部10の内部が密閉されるようになっている。また、平板部11aには、図示しない排気口が備えられており、チャンバ部10内部に密閉された状態でこの排気口を通じてチャンバ部10の外部への排気が行われることにより、チャンバ部10内部が減圧環境となる。
【0019】
チャンバ蓋部12は、図示しない昇降機構を駆動制御することにより昇降動作可能に構成されており、チャンバ本体11に対して接離可能になっている。具体的には、チャンバ蓋部12は、チャンバ本体11の上方に離れた位置と、チャンバ本体11に当接する位置とに昇降動作可能に設定されており、チャンバ蓋部12がチャンバ本体11の上方に位置する状態ではチャンバ部10が開状態となり、チャンバ蓋部12がチャンバ本体11に当接する位置ではチャンバ部10が閉状態となる。すなわち、チャンバ部10が閉状態の場合、チャンバ部10の内部は密閉状態となる。
【0020】
このチャンバ蓋部12は、チャンバ本体11の平板部11aと対面する平板状の平板部12aと、チャンバ本体の側壁部11bに対向するように平板部12aの外周縁からチャンバ本体11側に突出する側壁部12bとを有しており、チャンバ本体11と当接することで搬送装置20、基板支持部30、および整流板部40を囲む箱を形成する。この側壁部12bは、チャンバ本体11の側壁部11bと対向する面が平滑な平坦状に形成されている。そして、チャンバ部10が閉状態では、側壁部12bの平坦部分が、先述のシール部材11cに圧接することにより、チャンバ部10の内部が密閉される。
【0021】
搬送装置20は、一方向に配列されたローラユニット21を複数有するローラコンベアであって、このローラコンベアにより、ローラユニット21の配列方向に基板Wを搬送できるようになっている。
【0022】
ローラユニット21は、一方向に延びる軸部材21aと、この軸部材21aの軸方向にほぼ等間隔で固定される複数のローラ21bとを有しており、軸部材21aの長手方向が基板Wの搬送方向と直交する状態で所定間隔で配列されている。そして、各軸部材21aが同一の高さ位置に設けられており、各ローラ21bすべてが、円盤状でほぼ同径に形成されている。これにより、各ローラ21bの最上位置がほぼ同一高さとなり、このローラ21bの最上位置部分が基板Wの裏面に当接することにより、基板Wがローラユニット21のローラ21b上に支持されるようになっている。ここで、本発明では、基板Wの裏面に当接するこのローラ21bの最上位置を、搬送当接点22と呼ぶ。
【0023】
また、各軸部材21aの端部には、プーリ23aが取付けられており、全ての軸部材21aのプーリ23aがベルト23bで連結されている。したがって、ベルト23bを駆動させるモータを作動させると、ベルト23bが回転することにより、各軸部材21aが軸心回りに回転し、ローラ21bが軸心回りに回転する。これにより、搬送装置20に支持された基板Wがローラユニット21の配列方向(基板搬送方向)に搬送できるようになっている。すなわち、ローラユニット21のローラ21bに基板Wの一部が載置されると、チャンバ部10内の所定位置まで基板Wを搬送することができ、また、減圧乾燥処理終了後には、基板Wを下流側に搬送することにより、基板Wをチャンバ部10の外部へ搬出することができるようになっている。
【0024】
基板支持部30は、本実施形態では、先端が尖った形状を有する複数のピン31である。ピン31は、上端に乾燥当接点32を有しており、基板Wをチャンバ部10の内部で減圧乾燥させる際、乾燥当接点32が基板Wの裏面と当接することで、基板Wとの接触面積が小さい状態で基板Wを支持することができる。また、各乾燥当接点32は、同一の高さになるよう設けられており、基板Wを水平を維持しながら支持する。
【0025】
整流板部40は、整流板41および整流板駆動機構42を有し、整流板駆動機構42が駆動することで、整流板41が昇降動作することができる。
【0026】
整流板41は平板であり、整流板駆動機構42に組み付けられている。また、先述のピン31が、この整流板41の上面に組み付けられており、整流板駆動機構42によって整流板41が昇降するときにピン31も同様に昇降する。
【0027】
また、整流板41は、ローラ21bの配置に合わせ、複数のスリット43を備えている。整流板41が下降し、搬送装置20に近接させた場合に、各ローラ21bの上部がこれらのスリット43を通って整流板41に対して上方へ突出した状態となり、搬送当接点22が基板Wと当接することが可能となる。
【0028】
整流板駆動機構42は、エアシリンダなどの直動機構であり、あらかじめ位置が設定された上側および下側の2種類のポジションをとることができる。これにより、図示しない制御装置から整流板駆動機構42へ指示が与えられることによって、整流板駆動機構42が駆動し、基板Wの乾燥時は上側に位置し、搬送時は下側に位置するよう、整流板41を2種類のポジションに位置させることが可能である。なお、以降の説明では、上側のポジションを乾燥ポジションと呼び、下側のポジションを搬送ポジションと呼ぶ。
【0029】
次に、基板Wを搬送する場合および乾燥させる場合の、整流板41およびピン31とローラ21bとの位置関係の詳細を、図2に示す。
【0030】
基板Wをチャンバ部10の内外へ搬送する際は、整流板41は搬送ポジションに設定する。この搬送ポジションは、図2(a)の状態のように、ピン31の乾燥当接点32をローラ21bの搬送当接点22より下方に位置させる。すなわち、整流板41のスリット43からローラ21bの上部が突出した状態となる。これにより、基板Wは搬送当接点22に当接し、ローラコンベア(搬送装置20)が基板Wを搬送することが可能となっている。
【0031】
基板Wをチャンバ部10の内部で乾燥させる際は、整流板41は乾燥ポジションに設定する。この乾燥ポジションは、図2(b)の状態のように、整流板41の上面をローラ21bの搬送当接点22より上方に位置させる。これにより、基板Wの下面と整流板41との隙間にローラ21bが無い状態となり、また、整流板41の上に組み付けられたピン31の乾燥当接点32が基板Wに当接し、ピン31(基板支持部30)が基板Wを支持することが可能となっている。
【0032】
ここで、整流板41が乾燥ポジションに位置し、基板Wの下面と整流板41との隙間にローラ21bが無い状態となると、基板Wの下面と整流板41との隙間にはピン31を除いて障害物が無い状態となる。これにより、減圧時に基板Wの下面と整流板41との隙間で発生する気流がローラ21bに衝突して乱流を発生させることを防ぐことができ、その結果、基板Wに乾燥ムラが生じるを防止することができる。
【0033】
次に、本実施形態の減圧乾燥装置1の動作フローを図3に示す。
【0034】
まず、基板Wを、チャンバ部10内の所定位置まで搬入する(ステップS1)。このとき、減圧乾燥装置1は、チャンバ部10が開状態であり、整流板41は、搬送ポジションに設定されている。これにより、ローラ21bの搬送当接点22が整流板41よりも上方に位置した状態、すなわち、整流板41のスリット43からローラ21bの上部が突出した状態となっている。この状態で、基板Wがチャンバ部10の外部から搬送装置20に搬入されて、ローラ21bの搬送当接点22と当接すると、ローラ21bが回転することで、ここから搬送装置20が基板Wを搬送することが可能となり、基板Wはチャンバ部10内の所定位置まで搬送される。
【0035】
次に、基板Wが所定位置まで搬入されると、チャンバ蓋部12が下降し、チャンバ部10が閉状態となり、チャンバ部10の内部が密閉状態となる(ステップS2)。
【0036】
次に、整流板駆動機構42が駆動し、整流板41が乾燥ポジションまで上昇する(ステップS3)。この動作により、基板支持部30の各ピン31が基板Wを支持する状態となる。また、整流板41が搬送装置20の各ローラ21bの搬送当接点22よりも上方に位置し、基板Wの下面と整流板41の間にはピン31以外存在しなくなり、ほぼ障害物が無い状態となる。
【0037】
次に、外部の排気ポンプなどが作動することにより、チャンバ部10の排気口から排気が行われる。これにより、チャンバ部10内の基板Wの減圧乾燥が行われる(ステップS4)。このとき、基板Wの下面と整流板41との隙間にはローラ21bが無いため、乱流は発生しない。そのため、この隙間ではムラ無く減圧が進行し、基板Wは均一に冷却されてゆく。したがって、基板Wには温度ムラが生じず、塗布膜の乾燥ムラを生じることなく基板Wの乾燥が行われる。
【0038】
基板Wの減圧乾燥動作が終了すると(ステップS5)、チャンバ部10内の排気が解除され、チャンバ部10内の気圧は大気圧に戻る(ステップS6)。
【0039】
次に、整流板駆動機構42が駆動し、基板支持部30および整流板41が搬送ポジションまで下降する(ステップS7)。この動作により、搬送装置20の各ローラ21bが基板Wと当接し、基板Wの搬送が可能な状態となる。
【0040】
次に、チャンバ蓋部12が上昇し、チャンバ部10が開状態となる(ステップS8)。そして、搬送装置20が駆動してチャンバ部10の外部へ基板Wを搬出することにより(ステップS9)、基板Wの減圧乾燥動作は完了し、基板Wは次工程へと送られる。
【0041】
以上説明した減圧乾燥装置により、基板温度のムラが少なく、基板上面の塗布膜の乾燥ムラの少ない減圧乾燥を行うことが可能である。
【0042】
また、以上の説明では、基板支持部30を整流板41に組み付け、それを整流板駆動機構42によって移動させる形態により、基板Wの搬送時は、搬送装置20の搬送当接点22が基板Wと当接する状態、基板Wの乾燥時は、基板支持部30の乾燥当接点32が基板Wと当接し、さらに整流板41が搬送当接点22よりも上方である状態を形成しているが、これとは別の形態をとって、これらの状態を形成させても良い。
【0043】
例えば、図4に示すように、整流板41と基板支持部30とが個別に動く形態としても良い。この場合、整流板41は整流板駆動機構42に組み付けられ、整流板駆動機構42が駆動することにより、整流板41が昇降動作することができる。また、基板支持部30は、図中にハッチングで示すように、基板支持部駆動機構51に組み付けられ、基板支持部駆動機構51が駆動することにより、基板支持部30が昇降動作することができる。基板Wを搬送する時は、図4(a)に示すように、基板支持部30の乾燥当接点32および整流板41は搬送装置20の搬送当接点22よりも下方に位置している。そして、基板Wを乾燥する時は、基板支持部30および整流板41が上昇し、図4(b)に示す状態となる。具体的には、基板支持部30が搬送当接点22よりも上方となるように、基板支持部30が上方へ移動し、その後、整流板41が搬送当接点22と乾燥当接点32との間に位置するように、整流板41が上昇する。こうすることにより、基板Wの下面と整流板41との隙間にローラ21bが無い状態となる。
【0044】
また、図5に示すように、搬送装置20が上下方向に移動する形態としても良い。この場合、搬送装置20は、搬送装置駆動機構52に組み付けられ、昇降動作することが可能となっている。基板Wを搬送する時は、図5(a)に示すように、搬送装置20の搬送当接点22は基板支持部30の乾燥当接点32および整流板41よりも上方に位置している。そして、基板Wを乾燥する時は、搬送当接点22が基板支持部30および整流板41よりも下方となるように、搬送装置20が下降し、図5(b)に示す状態となる。こうすることにより、基板Wの下面と整流板41との隙間にローラ21bが無い状態となる。
【0045】
すなわち、基板Wの乾燥時に基板Wの下面と整流板41との隙間にローラ21bが無い状態となるように、搬送装置20、基板支持部30、および整流板41が相対的に移動することができる形態であれば、本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 減圧乾燥装置
10 チャンバ部
11 チャンバ本体
11a 平板部
11b 側壁部
11c シール部材
12 チャンバ蓋部
12a 平板部
12b 側壁部
20 搬送装置
21 ローラユニット
21a 軸部材
21b ローラ
22 搬送当接点
23a プーリ
23b ベルト
30 基板支持部
31 ピン
32 乾燥当接点
40 整流板部
41 整流板
42 整流板駆動機構
43 スリット
51 基板支持部駆動機構
52 搬送装置駆動機構
81 ローラ
82 支持ピン
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容し、内部を減圧環境にすることにより基板の乾燥を行うチャンバ部と、
基板の下面と当接する搬送当接点を有し、該搬送当接点を基板の下面に当接させることにより基板を支持した状態で該チャンバ部の内外に基板を搬送する搬送装置と、
基板の下面と当接する乾燥当接点を有し、該乾燥当接点を基板の下面に当接させることにより、乾燥時に基板を支持する基板支持部と、
前記チャンバ部に基板を収容した状態において基板の下方に位置し、基板の下面近傍の気流を制御する整流板と、
を備える減圧乾燥装置であって、
前記チャンバ部に収容された基板の乾燥時には、前記搬送装置、前記基板支持部、および前記整流板を相対移動させることにより、前記乾燥当接点が基板を支持し、かつ前記整流板の上面が前記搬送当接点よりも上方に位置する状態を形成して乾燥を行うことを特徴とする、減圧乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−119527(P2012−119527A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268616(P2010−268616)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】