説明

減速装置、像担持体駆動装置及び画像形成装置

【課題】製造コストの増加を抑制するとともに、摩擦による駆動伝達を行う部材の回転軸方向のずれを抑え、回転速度の変動をより確実に抑制しつつ像担持体に対して減速駆動伝達を行うことができる減速装置、像担持体駆動装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動伝達部材85の回転方向への駆動軸86のずれを規制するための規制部材87aを有し駆動軸86を駆動伝達部材85の回転中心に向けて押圧する押圧規制手段88と、駆動軸86の回転軸方向への移動を規制する軸方向移動規制手段とを備える。軸方向移動規制手段は、駆動伝達部材85の両側面の少なくとも径方向外側の端縁がそれぞれ接するように、駆動伝達部材86の円周面が当接する駆動軸86の当接周面に軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに形成された段差部85cであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の回転数を減速して像担持体に伝達する減速装置、並びに、この減速装置を備えた像担持体駆動装置及び複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体等の像担持体を備えた画像形成装置にあっては、像担持体の回転に従って、像担持体に対して帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程等を施すことにより画像形成を行うようになっている。かかる画像形成装置においては、像担持体を回転駆動するためのモータ等の駆動源が設けられているが、駆動源の回転数は一般に、像担持体の回転に求められる回転数よりも大きい。そこで、従来より、歯車を用いた減速装置(例えば、特許文献1、特許文献2参照)、遊星ローラを用いた減速装置(例えば、特許文献3〜特許文献5参照)が用いられている。
【0003】
歯車を用いた減速装置では、上述の各工程の実施中に像担持体に回転負荷が生じたときなどに、バックラッシュに起因する、像担持体の回転速度の変動が生じうるため、画像品質が低下するおそれがあるという問題がある。これに対し、遊星ローラを用いた減速機構では、歯車を用いないためかかる変動が生じにくいという利点があるが、機構が比較的複雑であり、小型化、低コスト化が困難であるという問題がある。
【0004】
歯車を用いた減速機構における像担持体の回転速度の変動を抑制するための技術として、フライホイールを用いる技術が知られており、特に、駆動側と従動側との間の駆動の伝達を、歯車でなく、駆動ローラの周面と従動ローラの周面との摩擦によって行なう技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この技術では、バックラッシュによるフライホイールの回転速度の変動が抑制されるという利点がある。したがって、かかる摩擦による駆動伝達の技術を、減速装置に転用し、駆動ローラと従動ローラとの回転比により減速することが考えられる。しかしながら、かかる技術における構造は、単に駆動ローラの周面と従動ローラの周面との摩擦によって駆動伝達を行う構造となっているため、次の理由により、回転速度の変動を抑制しつつ駆動伝達を行うことが難しいという問題がある。
【0005】
すなわち、摩擦による駆動伝達を行うには、摩擦力を確保するために駆動ローラと従動ローラとを互いに圧接した状態としなければならないという要求がある。一方、回転速度の変動を抑制するには、駆動ローラ、従動ローラそれぞれの回転ずれを抑制した状態としなければならないという要求がある。これらの2つの要求がトレードオフの関係にある。
【0006】
つまり、摩擦力を確保するために駆動ローラと従動ローラとを互いに圧接させると、これらのローラの回転軸がたわむため、これらのローラの回転が偏心した状態となるなどして不安定となり、結果として回転速度の変動が生じる。かといって、回転軸のたわみを防止するために駆動ローラと従動ローラとを単に接した状態としたり、これらのローラの圧接力を弱くしたりすると、駆動の伝達が行われなくなったり、駆動の伝達が不十分となったりしてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本出願人は、摩擦による駆動伝達を用いながら回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができる減速装置、像担持体駆動装置及び画像形成装置を提案している(特願2008−171609号参照)。この減速装置では、駆動伝達部材の回転方向への駆動軸のずれを規制するための規制部材を有し駆動軸を駆動伝達部材の回転中心に向けて押圧する押圧規制手段を備える。この構成によれば、駆動伝達部材の回転方向への駆動軸のずれを防ぎ、回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができる。
【0008】
しかしながら、上記提案の構成の減速装置において、駆動軸の回転軸心と駆動伝達部材の回転軸との平行度が維持されないと、これらの回転軸間でスキュー角が生じ、駆動軸の回転にともなって、駆動軸と駆動伝達部材との接触部で両者をそれぞれスラスト方向(回転軸方向)に移動させようとする寄り力が発生するおそれがある。これら駆動軸と駆動伝達部材との間でスラスト方向に移動し得るガタがあると、このガタの分だけスラスト方向に移動して寄り力を吸収するが、寄り力の大きさが駆動軸と駆動伝達部材との接触部におけるスラスト方向の静止摩擦力を超えるとスリップしてガタの分だけスラスト方向の元の位置に戻ってしまう。スラスト方向でスリップが生じると、回転方向にもスリップが生じ、駆動伝達する回転角にずれを生じて回転速度の変動が生じてしまうおそれがある。
【0009】
上記寄り力を小さくするためには、減速装置を構成する各部品の精度を高めたり、組立精度を高めたりして、上記駆動軸の回転軸と駆動伝達部材の回転軸との間の平行度のずれを小さくしてスキュー角を僅少にすることで対応できるが、製造コストが高くなってしまう問題がある。
【0010】
本発明は、製造コストの増加を抑制するとともに、摩擦による駆動伝達を行う部材の回転軸方向のずれを抑え、回転速度の変動をより確実に抑制しつつ像担持体に対して減速駆動伝達を行うことができる減速装置、像担持体駆動装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、駆動源によって回転駆動される駆動軸と、前記駆動軸に当接する円周面を有し該駆動軸によって回転駆動される駆動伝達部材とを備え、前記駆動源からの駆動を減速して像担持体に伝達する減速装置であって、前記駆動伝達部材の回転方向への前記駆動軸のずれを規制するための規制部材を有し該駆動軸を該駆動伝達部材の回転中心に向けて押圧する押圧規制手段と、前記駆動軸の回転軸方向への移動を規制する軸方向移動規制手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の減速装置において、前記軸方向移動規制手段は、前記駆動伝達部材の両側面の少なくとも径方向外側の端縁がそれぞれ接するように、前記駆動伝達部材の円周面が当接する前記駆動軸の当接周面に軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに形成された段差部であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の減速装置において、前記段差部は、前記駆動軸の当接周面と、該当接周面よりも大きな径を有する、該駆動伝達部材の円周面に当接しない該駆動軸の非当接周面と、の境界に形成された段差部であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の減速装置において、前記段差部は、前記駆動軸の当接周面に軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに固設された2つの移動規制部材の互いに対向する側面それぞれに形成された段差部であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の減速装置において、
前記2つの段差部の互いに対向する側面はそれぞれ、径方向外側にいくに従って前記駆動伝達部材の側面から離れるように傾斜していることを特徴とするものである。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の減速装置において、前記駆動伝達部材の両側面の径方向外側の端縁部は、前記段差部の互いに対向する側面と同様な角度で傾斜した傾斜面を有することを特徴とするものである。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1に記載の減速装置において、前記軸方向移動規制手段は、前記駆動伝達部材の両側面それぞれの少なくとも一部に当接して従動回転するように、前記駆動伝達部材の円周面が当接する前記駆動軸の当接周面に軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに設けられた転がりガイド部材であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項1に記載の減速装置において、前記軸方向移動規制手段は、前記駆動伝達部材の両側面それぞれの少なくとも一部に当接して従動回転するように、前記押圧規制手段に設けられた転がりガイド部材であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の減速装置において、前記転がりガイド部材は、前記駆動伝達部材の側面に外輪が当接するように取り付けられた玉軸受又はコロ軸受であることを特徴とするものである。
【0020】
請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の減速装置において、前記駆動伝達部材を支持し前記像担持体の軸と連結されている出力軸を装置本体に対して軸方向に固定する手段を備えることを特徴とするものである。
【0021】
請求項11記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載の減速装置において、前記規制部材は、前記円周面に対向する位置に設けられ、この位置において前記駆動軸を規制しており、前記規制部材と前記駆動軸との接点を、該駆動軸の前記駆動伝達部材に対向する側の周面とは逆側の周面に少なくとも2箇所有することを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の減速装置において、前記接点の位置は、該接点において前記押圧規制手段が前記駆動軸を前記円周面に向けて押圧する力の合力が、該駆動軸が前記駆動伝達部材の回転中心に向かう方向とする位置であることを特徴とする。
【0023】
請求項13記載の発明は、請求項11又は12記載の減速装置において、前記接点の位置は、前記駆動軸の回転中心と前記駆動伝達部材の回転中心とを結ぶ直線に対して対称な位置であることを特徴とする。
【0024】
請求項14記載の発明は、請求項11乃至13のいずれかに記載の減速装置において、前記規制部材は前記駆動軸に当接し該駆動軸に従動回転可能な2つの圧接コロであることを特徴とする。
【0025】
請求項15記載の発明は、請求項14記載の減速装置において、前記2つの圧接コロは玉軸受又はコロ軸受であることを特徴とする。
【0026】
請求項16記載の発明は、請求項11乃至13のいずれかに記載の減速装置において、前記規制部材は、略U型又は略V型又は多角形型の窪みを有し、この窪みにおいて前記駆動軸に当接することを特徴とする。
【0027】
請求項17記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載の減速装置において、前記規制部材は、前記駆動軸を、この駆動軸の軸方向において前記駆動伝達部材の両側で回転自在に支持した軸受であることを特徴とする。
【0028】
請求項18記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載の減速装置において、前記規制部材は、前記駆動軸を、この駆動軸の軸方向において前記駆動伝達部材に対し前記駆動源とは逆側において回転自在に支持した軸受であることを特徴とする。
【0029】
請求項19記載の発明は、請求項1乃至18のいずれかに記載の減速装置において、前記駆動軸はその根元部に軸径を細めた可撓部を有することを特徴とする。
【0030】
請求項20記載の発明は、請求項1乃至19のいずれかに記載の減速装置において、前記駆動源を支持するための不動体に対し、該駆動源を変位可能に支持した変位手段を有することを特徴とする。
【0031】
請求項21記載の発明は、請求項20記載の減速装置において、前記変位手段は、前記駆動源を前記不動体に対し変位可能に支持した弾性部材を有することを特徴とする。
【0032】
請求項22記載の発明は、請求項20または21記載の減速装置において、前記変位手段は、前記押圧規制手段が前記駆動軸を前記駆動伝達部材に押圧する第1の方向に、前記駆動源を付勢する付勢部材を有することを特徴とする。
【0033】
請求項23記載の発明は、請求項20または21記載の減速装置において、前記付勢部材は、前記駆動源を第1の方向に付勢するための第1の付勢部材と、前記駆動源を第1の方向とは逆の第2の方向に付勢するための第2の付勢部材とを備え、第1の付勢部材が前記駆動源を第1の方向に付勢する付勢力は第2の付勢部材が前記駆動源を第2の方向に付勢する付勢力よりも大きいことを特徴とする。
【0034】
請求項24記載の発明は、請求項1乃至23のいずれかに記載の減速装置において、前記駆動軸及び前記駆動伝達部材は金属製であり、該駆動軸と前記円周面との間を潤滑剤により潤滑させた状態とする潤滑手段を有することを特徴とする。
【0035】
請求項25記載の発明は、請求項24記載の減速装置において、前記潤滑剤がトラクションオイルであることを特徴とする。
【0036】
請求項26記載の発明は、請求項1乃至25のいずれかに記載の減速装置において、前記駆動伝達部材の回転速度を検出する回転速度検出手段と、この回転速度検出手段が検知する前記回転速度を一定に保つように前記駆動軸の回転速度を制御する回転速度制御手段とを有することを特徴とする。
【0037】
請求項27記載の発明は、請求項1乃至26のいずれかに記載の減速装置と、前記駆動軸を有する前記駆動源とを備え、前記駆動伝達部材を介して前記駆動源の駆動力により像担持体を回転駆動する像担持体駆動装置にある。
【0038】
請求項28記載の発明は、請求項27記載の像担持体駆動装置と、この像担持体駆動装置によって回転駆動される像担持体とを備えた画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、駆動源によって回転駆動される駆動軸と、前記駆動軸に当接する円周面を有し該駆動軸によって回転駆動される駆動伝達部材とを備え、駆動源からの駆動を減速して像担持体に伝達する減速装置であって、前記駆動伝達部材の回転方向への前記駆動軸のずれを規制するための規制部材を有し該駆動軸を前記駆動伝達部材の回転中心に向けて押圧する押圧規制手段を備え、前記駆動軸の回転軸方向への移動を規制する軸方向移動規制手段を有するので、製造コストの増加を抑制するとともに、摩擦による駆動伝達を行う部材の回転軸方向のずれを抑え、回転速度の変動をより確実に抑制しつつ駆動伝達を行うことができるとともに、歯車に比べて高減速比で小型とすることが可能であり、またモータのロータをフライホイールとして機能させ回転変動を抑制することが可能な減速装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられた像担持体、像担持体駆動装置等の概略斜視図である。
【図3】図2に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図4】図3に示した駆動伝達部材と、駆動軸と、押圧部材との軸方向移動規制手段の概略側面図である。
【図5】図3に示した像担持体駆動装置、減速装置においてフィードバック制御を行うための制御構成を示したブロック線図である。
【図6】図3に示した原則装置に備えられた軸方向移動規制手段の別の構成例を示した概略図であって、(a)は駆動軸にガイドリングを設けた概略側断面図、(b)は駆動伝達部材と押圧部材との円周面両端部にテーパを設けた概略正面図である。
【図7】図3に示した減速装置に備えられた軸方向移動規制手段のさらに別の構成例を示した概略図であって、(a)は駆動軸に軸受を設けるとともに駆動伝達部材の両側面に段差部を形成した概略側断面図、(b)は駆動伝達部材の両側面にテーパを形成した概略正面図である。
【図8】図3に示した減速装置に備えられた軸方向移動規制手段のさらに別の構成例を示した概略図であって、(a)は押圧規制手段に軸受を設けた概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図9】図3に示した減速装置に備えられた押圧規制手段の別の構成例を示した概略正面図である。
【図10】図9に押圧規制手段に備えられた支持部材の構成例を示しが概略正面図である。
【図11】従来の減速装置の特性を示したグラフであって、(a)は時間領域、(b)は周波数領域におけるかかる特性を示したグラフである。
【図12】本発明にかかる減速装置の特性を示したグラフであって、(a)は時間領域、(b)は周波数領域におけるかかる特性を示したグラフである。
【図13】図3に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置の、特に変位手段を備えたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図14】図13に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置の、特にモータの軸の全体を細くしたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図15】図3に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置の、特に押圧規制手段が規制部材として駆動軸の軸受を有することに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図16】図15に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、変位手段を備えたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図17】図16に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、モータの軸の全体を細くしたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図18】図15に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、軸方向移動規制手段として軸受を有することに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図19】図15に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、変位手段を備えたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図20】図16に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、モータの軸の全体を細くしたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図21】図15に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、駆動軸の軸受を片持ちの態様としたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図22】図21に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、変位手段を備えたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図23】図22に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、モータの軸の全体を細くしたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図24】図22に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、変位手段が付勢部材を備えたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図25】図22に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、変位手段が弾性部材を備えず第1、第2の付勢部材を備えたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図26】図24に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、モータの軸の全体を細くしたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図27】図25に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、モータの軸の全体を細くしたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図28】図24に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、押圧規制手段が付勢部材を備えていないことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図29】図25に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、押圧規制手段が付勢部材を備えていないことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図30】図28に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、モータの軸の全体を細くしたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図31】図29に示した像担持体駆動装置及びこれに備えられた減速装置に対し、モータの軸の全体を細くしたことに関する別の構成例の概略図であって、(a)は概略側断面図、(b)は概略正面図である。
【図32】駆動伝達部材(ホイール)を支持し感光体ドラムの軸と連結されている出力軸を装置本体に対して軸方向に固定する軸固定機構の一構成例を示す概略部分側断面図である。
【図33】圧接コロの押圧中心と、駆動伝達部材(ホイール)の回転中心面とのズレを示す概略正面図である
【図34】駆動伝達部材(ホイール)と駆動軸との回転軸心のズレに関する概略図であって、(a)は概略斜視図、(b)は概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1に本発明を適用した、カラー画像を形成可能な多色画像形成装置である画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラーレーザプリンタとファクシミリとの複合機であるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。これは画像形成装置100がファクシミリとして用いられる場合も同様である。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。
【0042】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な複数の像担持体としての潜像担持体である円筒状の感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを並設したタンデム構造を採用したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式の画像形成装置である。
【0043】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、同一径であり、画像形成装置100の本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端ベルトである転写搬送ベルトとしての転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に、等間隔で並んでいる。
【0044】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、転写ベルト11の移動方向であるA1方向の上流側からこの順で並設されている。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための、画像形成部としての作像部たる画像ステーション60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
【0045】
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11によって搬送される記録媒体である転写媒体たる転写紙に対しそれぞれ重畳転写されるようになっている。
【0046】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11により転写紙がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写紙の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのそれぞれに対向する位置に配設された転写チャージャとしての転写器12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと転写ベルト11と対向位置である転写位置にて行われる。
【0047】
転写ベルト11は、その全層をゴム剤等の弾性部材を用いて構成した弾性ベルトである。転写ベルト11は、単層の弾性ベルトであっても良いし、その一部を弾性部材とした弾性ベルトであっても良いし、従来から用いられている、フッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等を用いても良く、非弾性ベルトであっても良い。
【0048】
画像形成装置100は、4つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた転写搬送装置であるベルトユニットとしての転写ベルトユニット10とを有している。
【0049】
画像形成装置100はまた、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙を積載したシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙を、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと転写ベルト11との転写部に向けて繰り出すレジストローラ対13と、転写紙の先端がレジストローラ対13に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0050】
画像形成装置100はまた、トナー像を転写された転写紙に同トナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着装置6を経た転写紙を本体99の外部に排出する排紙ローラ7と、本体99の側部に配設され排紙ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙を積載する排紙部としての排紙トレイ17と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーホッパとしての図示しないトナーボトルとを有している。
【0051】
画像形成装置100はまた、図示しないCPUと、図示しないROM、RAM等の記憶手段等とを備え、図2に示すように、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの駆動制御など、画像形成装置100の動作全般を制御する制御手段40を有している。
【0052】
図1に示すように、転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、転写ベルト11を巻き掛けられた、複数の巻き掛け部材としての、駆動部材である駆動ローラを兼ねた転写入口ローラ72と、従動ローラ73とを有している。
【0053】
転写ベルトユニット10はまた、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11を除電する除電手段としての除電器74と、A1方向において除電器74より上流側で転写ベルト11に対向して配設され位置ズレ検知モードにおいて転写ベルト11上に形成された各色によるパターンを検知する位置ズレ検知センサ75と、A1方向において除電器74より下流側で転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングする図示しない転写クリーニングブラシを備えた転写ベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置18とを有している。
【0054】
転写入口ローラ72は、図示しない駆動源としてのモータの駆動により回転駆動され、これによって、転写ベルト11がA1方向に回転駆動される。転写入口ローラ72は図示しない電源に接続され、転写ベルト11が転写紙を静電吸着するよう転写ベルト11を帯電する帯電手段としての帯電ローラとして機能するようになっている。
従動ローラ73は、転写ベルト11が一定の張力で回転駆動されるように転写ベルト11を付勢するテンションローラとして機能するようになっている。
【0055】
除電器74は、転写入口ローラ72によって帯電された転写ベルト11表面上の電荷を除電し、転写ベルト11上のパターンその他のトナー、紙粉等がクリーニング装置18によって除去され易い状態とする。
【0056】
位置ズレ検知センサ75は、位置ズレ検知モードにおいて画像ステーション60Y、60M、60C、60BKのそれぞれによって転写ベルト11上に形成された各色のパターンをそれぞれ検知して、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKそれぞれによる画像形成位置の位置ズレを読み取る。読み取られた位置ズレに基づき、この位置ズレが解消されるように、制御手段40によって、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによる画像形成位置が調整される。位置ズレ検知センサ75には反射型フォトセンサまたは透過型フォトセンサが用いられる。
【0057】
定着装置6は、図示しない熱源を有する加熱ローラである定着ローラ62と、定着ローラ62に圧接された加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持した転写紙を定着ローラ62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙の表面に定着するようになっている。
シート給送装置61は、転写紙を積載した給紙カセットである給紙トレイ15と、給紙トレイ15上に積載された転写紙を送り出す給紙コロ16とを有している。
【0058】
画像ステーション60Y、60M、60C、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像ステーションの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、画像ステーション60Yの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像ステーションの構成に付し、また詳細な説明については適宜省略することとし、符号の末尾にY、M、C、Kが付されたものはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
【0059】
感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中時計方向であるその回転方向B1に沿って、転写器12Yと、感光体ドラム20Yをクリーニングするためのクリーニング手段としてのクリーニング装置70Yと、感光体ドラム20Yを高圧に帯電するための帯電手段としての帯電器である帯電装置30Yと、感光体ドラム20Yを現像するための現像手段としての現像装置50Yとを有している。
【0060】
画像ステーション60Yはまた、感光体ドラム20Yの上方に配設され、方向B1における帯電装置30Yと現像装置50Yとの間の位置において感光体ドラム20Yに露光を行う書き込み手段である光書き込み装置としての書込装置たる光走査装置8Yを有している。光走査装置8Yは、感光体ドラム20Yの表面によって構成された被走査面をそれぞれ走査して露光し、静電潜像を形成するための、画像信号に基づくレーザービームとしてのレーザー光であるビームLYを発するものである。
【0061】
画像ステーション60Yはまた、図2に示すように、感光体ドラム20Yを回転駆動する駆動源としてのモータ81Yを備えモータ81Yの駆動力により感光体ドラム20Yを回転駆動する駆動ユニットとしての像担持体駆動装置80Yを有している。像担持体駆動装置80Yの詳細については後述する。
【0062】
以上のような構成により、感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電装置30Yにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのビームLYの露光走査によりイエロー色に対応した静電潜像を形成される。この静電潜像の形成は、ビームLYが、紙面垂直方向である主走査方向に走査するとともに、感光体ドラム20YのB1方向への回転により、感光体ドラム20Yの円周方向である副走査方向へも走査することによって行われる。
【0063】
このようにして形成された静電潜像には、現像装置50Yにより供給される帯電したイエロー色のトナーが付着し、イエロー色に現像されて顕像化され、現像により得られたイエロー色の可視画像たるトナー像は、転写器12YによりA1方向に移動する転写紙に転写され、転写後に残留したトナー等の異物はクリーニング装置70Yにより掻き取り除去され備蓄されて、感光体ドラム20Yは、帯電装置30Yによる次の帯電に供される。
【0064】
他の感光体ドラム20C、20M、20BKにおいても同様に各色のトナー像が形成等され、形成された各色のトナー像は、転写器12C、12M、12BKにより、A1方向に移動する転写紙上の同じ位置に順次転写される。
【0065】
感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと転写ベルト11との間に搬送されてきた転写紙は、シート給送装置61から繰り出され、レジストローラ対13によって、センサによる検出信号に基づいて、感光体ドラム20Y上のトナー像の先端部が転写ベルト11に対向するタイミングで送り出されたものである。
【0066】
転写紙は、すべての色のトナー像を順次転写され、担持すると、転写ベルト11から剥離して定着装置6に進入し、定着ローラ62と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、この定着処理により、転写紙上に合成カラー画像たるカラー画像が形成される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙は、排紙ローラ7を経て、排紙トレイ17上にスタックされる。一方、転写紙の搬送を終えた転写ベルト11は、除電器74によって除電されてからクリーニング装置18によってクリーニングされ、次の転写紙の搬送に備える。
【0067】
画像形成装置100において、像担持体駆動装置80Y、80M、80C、80BKは互いに略同様の構成となっている。以下、像担持体駆動装置80Y、80M、80C、80BKを像担持体駆動装置80として説明する。またこれに伴い、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを感光体ドラム20として説明し、モータ81Y、81M、81C、81BKをモータ81として説明する。
【0068】
図3に示すように、像担持体駆動装置80は、モータ81と、モータ81の回転数を感光体ドラム20の回転に求められる回転数に減じて感光体ドラム20に伝達し感光体ドラム20を駆動するための減速装置82と、減速装置82と感光体ドラム20とを連結するカップリング83とを有している。
【0069】
モータ81は、その出力軸であるモータ軸81aと、このモータ軸81aの先端に固定された駆動軸86とを有している。駆動軸86は、モータ81における出力の回転中心軸上に位置しモータ81によって回転駆動され、実質的にモータ81の出力軸言い換えるとモータ81の駆動力を伝達する伝達用シャフトとして備えられていれば良く、モータ軸81a自体によって構成しても良い。
【0070】
カップリング83は、感光体ドラム20の回転中心をその回転中心とする軸21の端部に配設されたカップリング83aと、減速装置82の出力軸84の端部に配設されカップリング83aと噛み合うカップリング83bとを有している。カップリング83は、カップリング83aとカップリング83bとが着脱自在であることによって分離可能となっている。カップリング83aとカップリング83bとは、噛み合った状態ではガタなく嵌合し、また軸21と出力軸84が同軸上に位置するため、カップリング83において感光体ドラム20の回転精度の低下は無視できる程度となっている。
【0071】
ここで、かりに、減速装置82が歯車を用いてモータ81の回転を減速するものであるとすると、上述のように、バックラッシュに起因して感光体ドラム20の回転速度の変動が生じうる。感光体ドラム20の回転速度が変動すると、画像の位置ズレや濃度ムラによる筋等が発生して画像品質が低下するため問題である。この問題は、画像形成装置100のように、各色のトナー像を重ね合わせて画像を得る構成においては色ずれとして際立って現れるため、感光体ドラム20の回転速度は高精度に行う必要がある。また、減速装置82が遊星ローラを用いてモータ81の回転を減速するものであるとすると、上述のように、小型化、低コスト化が困難となる。
【0072】
そこで、減速装置82は、感光体ドラム20を正確且つ滑らかに駆動するとともに、比較的小型で低コストの機構とするために、出力軸84に固定支持され感光体ドラム20の回転中心をその回転中心とし、言い換えると感光体ドラム20と同軸に設けられ、駆動軸86に当接する駆動伝達部材としての回転伝達用ホイール(以下、「ホイール」という。)85であって、駆動軸86の回転半径よりも大きな回転半径を有するホイール85を備えている。減速装置82は、このホイール85を駆動軸86によって感光体ドラム20と一体回転するように回転駆動することで、歯車、遊星ローラを用いることなく、駆動軸86とホイール85との摩擦を利用して減速を行うものとなっている。駆動軸86とホイール85とは、少なくとも互いに当接する部分がその回転中心を軸中心とする円柱状をなし、この円柱状の部分の円周面86a、85aにおいて互いに当接している。この方式では、駆動伝達が滑らかな円周面同士によって行われるため、バックラッシュなど歯車による駆動伝達で生じる回転ムラが抑制される。しかも、円周面の表面を精度良く仕上げることが歯車加工より容易であり、真円度等では歯車よりも一桁高い精度が容易に得られるため、駆動伝達が極めて正確且つ滑らかに行われるという利点がある。
【0073】
ただし、円周面86a、85a同士の摩擦で駆動の伝達を行うには、円周面86a、85a同士を圧接した状態としなければならないが、単に駆動軸86、ホイール85の配置位置の調整によって円周面86a、85a同士を圧接した状態とすると、上述のように、駆動軸86やホイール85の回転速度の変動を抑制しつつ駆動伝達を行うことが難しい。
【0074】
そのため、減速装置82は、駆動軸86をホイール85の回転中心に向けて押圧する圧接規制手段としての押圧規制手段88を備えている。なお、この押圧規制手段88には、後述するように種々の構成例があるが、各構成例に共通して、ホイール85の回転方向への駆動軸86のずれを規制するために、駆動軸86に所定の態様で係合し駆動軸86を円周面85aに押圧する規制部材を備えている。図3に示した構成例における規制部材は駆動軸86に当接し駆動軸86に従動回転する従動部材としての2つの圧接コロ87aを備えたものとなっている。
【0075】
減速装置82は、出力軸84、ホイール85の他に、ホイール85及び押圧規制手段88を内蔵しモータ81を支持したハウジング89と、出力軸84をハウジング89に対し回転自在に支持した軸受90と、ハウジング89内部において出力軸84に固定支持され出力軸84の回転中心をその回転中心とする、言い換えると出力軸84と同軸に設けられたエンコーダディスク91と、エンコーダディスク91の周縁を受け入れるようにハウジング89内面に固定支持され出力軸84の回転数言い換えると回転速度を検知する回転速度検出手段としてのエンコーダセンサ92とを有している。
【0076】
減速装置82はまた、ハウジング89内部の下方に位置しホイール85の周縁を受け入れる凹部93aを有するオイル貯め部材93と、凹部93aに貯容され凹部93aに進入したホイール85の、円周面85aを含む周縁が浸される潤滑剤としてのオイル94と、エンコーダセンサ92の出力に基づいてモータ81の回転速度、タイミング等を制御するためのモータ制御回路41とを有している。
【0077】
駆動軸86は、金属製で焼入れ焼き戻しの熱処理が施されたシャフト状の部材であり、モータ軸81aに圧入によって固定されている。モータ軸81aに対する駆動軸86の固定態様は、溶接等の他の態様であっても良い。駆動軸86としては一般的に針状コロ軸受に使われる針状コロを用いると、熱処理、寸法精度ともに安定であり好ましい。なお、駆動軸86を、モータ軸81a自体によって構成する場合には、モータ軸81aの先端を熱処理して必要寸法に加工することで、駆動軸86を形成する。
【0078】
図4に駆動軸86と、ホイール85と、圧接コロ87aとの接触部の概略側面図を示す。駆動軸86には、ホイール85及び圧接コロ87aと接触する円周面86aの直径を外周より小さくして、回転軸方向(スラスト方向)の移動を規制するための軸方向移動規制手段としての段差部を有するガイド部86bが形成されている。ガイド部86bの軸方向両側部分の段差部には傾斜面86cが形成され、ガイド部86の段差側面がホイール85の側面と圧接コロ87aの側面とに擦れ合うことを防止している。駆動軸86のガイド部86bは、熱処理する前に旋盤で切削加工しておくことにより、低コストで容易に形成することができる。また、駆動軸86に形成されたガイド部86bの円周面86aの幅をS、ホイール85の幅をT1、圧接コロ87aの幅をT2とすると、これらの関係は次の数式(1)を満たすのが好ましい。
T2≦T1<S ・・・(1)
この数式(1)の関係を満たすことにより、駆動軸86のガイド部86bが、ホイール85のスラスト方向の位置を基準にして、ホイール85によって主にガイドされ、駆動軸86の回転軸方向(スラスト方向)の移動を確実に規制することができる。
【0079】
ホイール85は一対の軸受90で支持されているのでスラスト方向には移動しないが、駆動軸86はモータ内部のバネ座金の変形量だけスラスト方向に移動し、圧接コロ87aも支持部のガタの分だけスラスト方向に移動する。よって、上記数式(1)の関係において、ガイド部86bの円周面86aの幅Sを、できるだけホイール85の幅T1及び圧接コロ87aの幅T2に近似させることにより、ホイール85のスラスト方向の位置を基準にして、駆動軸86aと圧接コロ87aとのスラスト方向の移動が規制される。これにより、圧接コロ87aの押圧力Pの作用方向と、ホイール85のホイール中心線CLとのズレδが無くなり、駆動軸86が回転駆動した際にスキューが生じず、ホイール85の軸心と、駆動軸86の軸心と、圧接コロ87aの軸87a1の軸心との平行度を維持することができる。また、減速装置82の組立誤差によりホイール85の軸心と、駆動軸86の軸心と、圧接コロ87aの軸87a1の軸心との平行度にずれが生じていた場合であっても、上記ガイド部86bにより平行度を維持することができる。従って、駆動軸86とホイール85との間で寄り力が発生せず、寄り力に起因する接触部でのスリップが抑えられ、回転速度の変動が無い安定した回転駆動が得られる。
【0080】
ここで、図33に圧接コロ87aの押圧によって生じる駆動軸86からホイール85への押圧力P1の作用方向と、ホイール85のホイール中心線CLとの間にずれδがある場合の比較例を示す。押圧力P1の作用方向と、ホイール中心線CLとの間にずれδがあると、駆動軸86を回転駆動したときに、駆動軸86の回転軸心とホイール85の回転軸心との平行度が維持されず、スキュー角が生じてしまう場合がある。また、減速装置82の組立誤差により駆動軸86の回転軸心とホイール85の回転軸心との間にスキュー角が生じてしまう場合がある。このように駆動軸86の回転軸心とホイール85の回転軸心との間にスキュー角が存在すると、駆動軸86の回転に伴って、駆動軸86とホイール85とを回転軸方向(スラスト方向)に移動させようとする寄り力が発生してしまう。図34は、寄り力が発生する現象の説明図であり、(a)は概略斜視図、(b)は概略上面図である。同図(a)において、駆動軸86の駆動軸心86sとホイール85のホイール軸心85sとの平行度が維持されず、駆動軸86の円周面86aとホイール85の円周面85aとの接触部で鉛直軸Z周りにスキュー角θずれるものとする。駆動源81が稼動すると駆動軸86がG方向に回転し、ホイール85をH方向に回転させる駆動力を伝達すると、駆動軸86とホイール85との接触部において、ホイール85の円周面には回転方向に対して上記スキュー角θと同角度ずれた方向に駆動力Iが作用することになる。この駆動力Iの駆動伝達成分Icosθはホイール85に伝達されるが、ずれ成分Isinθはホイール85を同図(b)中左側に移動させる寄り力Jとして作用し、この反力として駆動軸86にも寄り力Kが作用する。なお、駆動源81が稼動を停止すると、駆動系のイナーシャにより、駆動軸86には反対方向の寄り力K’が作用し、ホイール85には反対方向の寄り力J’が作用する。特に、駆動軸86に関しては、寄り力K、K’により、駆動源81に対して押し付けられたり、引っ張られたりする力を繰り返し受けてしまうことになる。一般的に、駆動源81としてモータを用いる場合には、モータ駆動軸はスラスト方向に僅かに移動可能な隙間が設けられていて、この移動を規制するためにバネ座金を用い、その付勢力で片側に押し付ける構造となっている。従って、いずれか一方向の寄り力については、その寄り力がバネ座金の付勢力以下であれば駆動軸86のスラスト方向への移動は生じないが、寄り力がバネ座金の付勢力よりも大きいと、バネ座金の付勢力に抗してバネ座金の変形量だけ駆動軸86がスラスト方向に移動する。しかし、駆動軸86がバネ座金の変形量分移動すると、それ以上は移動できないため、駆動軸86とホイール85との接触部で一時的にスリップが生じ、バネ座金の付勢力で駆動軸86がスラスト方向の元の位置に戻る。このように、いずれか一方向の寄り力がバネ座金の付勢力よりも大きいと、駆動軸86とホイール85との接触部でスリップしながら、駆動軸86はスラスト方向にバネ座金の変形量の往復移動を繰り返すことになる。一方、反対方向の寄り力により、駆動軸86とホイール85との接触部でスリップが生じる場合もある。ところが、駆動軸86とホイール85との接触部でスリップが生じると、回転方向にもスリップが生じるので、伝達する回転角にずれを生じ、回転速度の変動を生じてしまうおそれがある。
【0081】
また、上記圧接コロ87aとして、コロ軸受や玉軸受等の軸受を用いる場合、これらの軸受の軸心と駆動軸心86sとが平行に維持されていないと、軸受にもスラスト方向の寄り力が発生してしまう。例えば圧接荷重を500N、圧接部の摩擦係数を0.1とすると、寄り力は50Nとなる。圧接コロ87aとして用いる軸受は、構造的に径方向(ラジアル方向)の荷重に対する剛性は高いが、スラスト方向の荷重に対する剛性は低いものとなっている。特に、コロ軸受の場合には、スラスト方向の大きな力が加わると、軸受の外輪が軸受の構成部品である側板と擦れたり、リテーナと擦れたりして、発熱や磨耗が生じ、回転速度の変動を生じてしまうおそれがある。
【0082】
上記寄り力を小さくするためには、減速装置を構成する各部品の精度や剛性を高めたり、組立精度を高めたりして、上記ずれδや軸心の平行度のずれを小さくしてスキュー角θを僅少にすることで対応できるが、製造コストが高くなってしまう問題がある。
【0083】
さらに、上記減速装置では、駆動軸86の円周面とホイール85の円周面とが接触部において高い精度で維持することが要求される。特に減速比が大きい場合(例えば、1/10〜1/20)には、直径数mmの駆動軸85と直径数十mmのホイール85とを用いるため、接触部で駆動軸86の円周面とホイール85の円周面との平行度が悪いと、駆動軸86の曲率が大きいため、接触面積が大幅に減少し、大きな伝達ロスを生じやすくなってしまう。平行度の誤差を許容して駆動軸86とホイール85とを確実に接触させるためには、過大な圧接力が必要になってしまう。駆動軸86の円周面とホイール85の円周面との接触部における平行度を高い精度で維持するためには、減速装置を構成する各部品の精度や剛性を高めたり、組立精度を高めたりすることで対応できるが、やはり製造コストが高くなってしまう。
【0084】
モータ軸81aは、モータ81本体に近い根元部分に緩衝部である可撓部としての凹状、言い換えるとU字状の溝81bを備えており、この部分の軸径が細められている。これは、駆動軸86、モータ軸81aの位置が、これらの直径の誤差や磨耗によって僅かに変動する可能性を考慮したものである。すなわち、駆動軸86、モータ軸81aが本来の回転中心からずれて回転し、これらに曲げ応力が働いた場合に、軸径の細い溝81bの形成部分でモータ軸81aを撓ませることで、駆動軸86、モータ軸81aの破損が生じたり、駆動軸86とホイール85との間の摩擦力に変動が生じたりすることを緩和し、ホイール85に対する駆動軸86の安定した圧接力を維持する。駆動軸86、モータ軸81aは、長くなると、材料力学的に先端部の位置が変動してもその単位長さ当りにかかる荷重が少なくなり、また、先端部の位置の変形量が同じであるとすると、先端部にかかる荷重は軸長の3乗に逆比例する。よって、撓みより、駆動軸86、モータ軸81aの破損や、駆動軸86とホイール85との間の摩擦力の変動を防止するには、駆動軸86、モータ軸81aを長くすることも考えられるが、これでは減速装置82が大型化するため、溝81bを設けている。
【0085】
ホイール85は、金属製で焼入れ焼き戻しの熱処理が施されたディスク状の部材で、出力軸84に圧入で固定されている。出力軸84に対するホイール85の固定態様は他の態様であってもよい。ホイール85は円周面85aが出力軸84の同軸上に位置することが重要であるため、出力軸84への固定後に切削加工することで、必要な精度を出している。ホイール85の素材となる金属材料としては、転がり軸受けに用いられるSUJ2などの材料が、硬度、耐磨耗性の点で好ましい。
【0086】
ハウジング89は、本体99の側板89aの一部と、側板89aに固定された駆動側板89bとを有している。側板89a、駆動側板89bは本体99に対して不動の不動体であり、ハウジング89も本体99に対して不動の不動体となっている。モータ81は駆動側板89bに固定支持されている。
【0087】
軸受90は、側板89a、駆動側板89bのそれぞれに配設され、出力軸84を2箇所で回転自在に支持している。カップリング83bは、側板89a側の、ハウジング89外部において、出力軸84に固定されている。
【0088】
エンコーダディスク91は、出力軸84の、側板89aとホイール85との間に位置している。エンコーダディスク91は、放射状のスリットを多数設けられている。エンコーダセンサ92は、側板89a内面に固設されている。エンコーダセンサ92は、エンコーダディスク91のスリットを検出することで出力軸84の回転数を検知する。
【0089】
モータ制御回路41は、感光体ドラム20の回転数を一定に保つため、エンコーダセンサ92によって検知された出力軸84の回転数に基づき、この回転数を一定に保つように駆動軸86の回転数をフィードバック制御する回転速度制御手段として機能するものであり、制御手段40の一機能として実現されている。
【0090】
このようなフィードバック制御は、感光体ドラム20の駆動が、駆動軸86とホイール85との摩擦によって行われるために行う。すなわち、摩擦伝達では、モータ81の回転数を一定に保っても、感光体ドラム20の回転数は、ホイール85の径の加工精度や磨耗、さらには微小な滑り等の影響でモータ81の回転数に一致するとは限らず、ズレが生じ得るために行う。
【0091】
かかるフィードバック制御は、図5に示すブロック線図の構成にしたがって行われる。はじめに感光体ドラム20上に適正な画像を形成するための、感光体ドラム20の回転速度の目標値がモータ制御回路41に設定されると、これに基づいて、モータ制御回路41のコントローラ42により駆動信号が発生し、この信号によってモータ81のドライバ43を駆動し、ドライバ43からの通電によりモータ81が駆動される。モータ81の回転数は駆動軸86とホイール85との回転半径の比、いわゆる減速比によって減速されて出力軸84に伝達される。出力軸84の回転速度は、出力軸84と同軸に設けられたエンコーダディスク91のスリットを検出することでエンコーダセンサ92(図5においては「エンコーダ」と図示)により発生するパルス周期によって検出される。このパルス周期はモータ制御回路41に入力され、このパルス周期が一定となるようにコントローラ42により駆動信号がドライバ43に向けて発生される。
【0092】
このように、エンコーダセンサ92のパルス出力をモータ制御回路41に入力し、感光体ドラム20の回転数が目標の一定値になるように、モータ81の回転数を制御することで、駆動軸86の周面86a、ホイール85の周面85aの径、形状が、その加工精度、磨耗等によってばらついても、感光体ドラム20の回転速度が正確に一定に保たれる。
【0093】
押圧規制手段88は、圧接コロ87a、87aの他、圧接コロ87a、87aを支持した支持部材であるブラケットとしての圧接アーム95と、圧接アーム95を駆動側板89bに搖動自在に支持した圧接アーム支点としての軸96と、その一端が圧接アーム95に当接し圧接コロ87a、87aが駆動軸86を押圧するように圧接アーム95を軸96中心に付勢し駆動軸86を円周面85aに押圧する押圧部材としての圧接スプリングであるバネ97と、バネ97を位置決めするネジ98とを有している。
【0094】
圧接コロ87a、87aはそれぞれ、金属製で焼入れ焼き戻しの熱処理が施された、圧接アーム95によって支持された軸87a1を有し、この軸87a1によって回転自在に支持されている。圧接コロ87a、87aはそれぞれ、通常の玉軸受、針状のコロ軸受で構成することが可能である。
【0095】
圧接コロ87a、87aはそれぞれ、駆動軸86の回転中心に平行な周面により、駆動軸86を挟むようにして駆動軸86に当接している。圧接コロ87a、87aと駆動軸86との接点は、駆動軸86の、ホイール85に対向する側の周面とは逆側の周面において2箇所となっている。これにより、駆動軸86は、ホイール85との接点を合わせて計3箇所の接点で位置保持されており、その位置ズレが防止されている。
【0096】
また、圧接コロ87a、87aとの接点の位置は、この接点において圧接コロ87a、87aが駆動軸86を円周面85aに向けて押圧する力の合力が、駆動軸86がホイール85の回転中心に向かう方向とするように、駆動軸86の回転中心とホイール85の回転中心とを結ぶ直線に対して対称な位置となっている。これにより、圧接コロ87a、87aとの接点によって生じる押圧力において、駆動軸86を、かかる直線に交差する方向へ移動させる力が打ち消され、駆動軸86の位置決めがさらに精度良く行われるとともに、駆動軸86がホイール85にまっすぐに押圧される。
【0097】
ネジ98は、その一端部にバネ97の他端が当接し、また先端部が、固定ブラケットとして機能する駆動側板89bに螺合することによって駆動側板89bに支持されている。よって、駆動側板89bに対するネジ98の螺合位置を調整することで、バネ97による圧接アーム95の付勢力が調整され、これによって駆動軸86に対するバネ97による圧接コロ87a、87aの押圧力が調整され、駆動軸86とホイール85との圧接力が調整され、これらの間の摩擦力が調整される。
【0098】
図6に、軸方向移動規制手段の変形例を示す。この軸方向移動規制手段では、駆動軸86にガイド部86bを形成する構成に代えて、一対の移動規制部材としてのガイドリング(円筒状部材)111を用いている。同図において単に符号を付した部分は上記の構成と同様の構成であり、説明を省略する。
図6(a)は駆動軸86に円周面86aの幅Sを確保しつつ、一対のガイドリング111をそれらの傾斜面111aを対向させて固設する構成を示しており、一対のガイドリング111でホイール85と圧接コロ87aとを挟み込むようにしてスラスト方向の移動を規制する。この構成では、駆動軸86として上記針状コロを用いる場合のように、その直径が小さくて上記ガイド部86bを加工することが困難な場合に有利である。
図6(b)はホイール85の円周面両端部と圧接コロ87aの円周面両端部とに、それぞれガイドリング111の傾斜面111aの傾斜角と同一角度のテーパ部85b、87bを形成した構成を示しており、この構成では、ホイール85及び圧接コロ87aとの接点を、面である接触面とし、比較的広く取ることが出来るため、磨耗に対して有利である。
【0099】
図7に、軸方向移動規制手段の他の変形例を示す。この軸方向移動規制手段では、図6で示した一対のガイドリング111を用いる構成に代えて、駆動伝達部材であるホイール85と転がり接触するガイド部材としての一対の軸受112を用いている。
図7(a)は駆動軸86に一対の軸受112を配設し、その内側に一対のカラー113を設け、ホイール85の両側面の段差部85cを軸受112の外輪112bの側面に接触し、カラー113及び内輪112aには接触しないように形成した構成を示している。この構成では、駆動軸86に配設された一対の軸受112の外輪112bの側面と、ホイール85の段差部85cの両側面とが接触して、ホイール85に対して駆動軸86のスラスト方向の移動が規制される。また、駆動軸86に固設された一対の軸受112の内輪112aと、一対のカラー113とにより、圧接コロ87aの両側面を挟み込むことにより、駆動軸86に対して圧接コロ87aのスラスト方向の移動が規制される。これにより、ホイール85のスラスト方向の位置を基準にして、駆動軸86と圧接コロ87aとのスラスト方向の移動が規制される。駆動軸86の回転により、ホイール85の段差部85cの両側面と、外輪112bの側面とが摺動するが、外輪112bは回転自在なので、摺動摩擦を小さく抑えることができる。
【0100】
軸受112としては、玉軸受やコロ軸受を用いることができるが、スラスト方向の耐荷重を考慮すると、玉軸受を用いることが望ましい。また、カラー113と圧接コロ87aの側面とが摺動するので、カラー113の材質は、樹脂あるいは金属の、軸受の材料とすることが望ましい。具体的には、ポリアセタール、ナイロン、テフロン(登録商標)などをベースにした樹脂材料、含油焼結などの金属材料(オイレスメタル)を用いることが好ましい。
【0101】
図7(b)はホイール85の両側面にテーパ部85dを形成した構成を示しており、この構成では、軸受112の外輪112bの角部と、ホイール85のテーパ部85dとが点で接触するため、摺動摩擦が生じない点が有利である。
【0102】
図8に、軸方向移動規制手段のさらに他の変形例を示す。この軸方向移動規制手段では、図7で示した一対の軸受112を駆動軸86に配設する構成に代えて、一対の軸受115を圧接アーム95に備えている。
図8(a)は圧接アーム95に形成した2箇所のシャフト取付け部95aに、それぞれシャフト114がその軸心がホイール85の出力軸84の軸心に向くようにして螺合し、これらのシャフト114に軸受115が配設された構成を示している。この構成では、一対の軸受115がホイール85の両側面と転がり接触しながら、ホイール85に対する圧接コロ87aのスラスト方向の移動を規制する。一対の軸受115とホイール85の両側面との接触部では摺接することがないため、磨耗を防ぐことができるとともに、摩擦による駆動伝達ロスを低減することが可能となる。軸受115には通常の玉軸受、ニードル軸受等を用いることが可能である。なお、図示の例はシャフト114に軸受115を備えた構成であるが、シャフトと軸受とが一体で形成されたカムフォロアを用いてもよい。また、一対の軸受115又はカムフォロアのうち少なくとも一方に、外周面に曲率を持った球面外輪を備えたものを用いても良い。球面外輪とホイール85の側面とが点接触するので、組立時の軸心のずれを吸収し、偏荷重の緩和に有利となる。
図8(b)は上記構成の概略正面図を示しており、上述したようにシャフト114がホイール85の出力軸84の軸心に向けてシャフト取付け部95aに螺合している。
【0103】
図9に、押圧規制手段88の変形例を示す。この押圧規制手段88では、規制部材として、圧接コロ87a、87aに代えて、駆動軸86を支持する支持部材87bを用いている。同図において単に符号を付した部分は上記の構成と同様の構成であり、説明を省略する。
【0104】
支持部材87bは、駆動軸86との接点が、駆動軸86の、ホイール85に対向する側の周面とは逆側の周面において少なくとも生じるように、駆動軸86がホイール85に当接する側とは逆側から駆動軸86に当接し支持することで、駆動軸86をホイール85に当接するように支持した部材であり、駆動軸86を位置決めした状態で支持するために駆動軸86を受け入れ嵌合する窪みである嵌合部87b1を有している。
【0105】
支持部材87bはバネ97による押圧力により駆動軸86をホイール85に加圧する加圧部材としても機能している。支持部材87bは、駆動軸86の回転に対し、嵌合部87b1において摺動するようになっている。そのため、支持部材87bの材質は、樹脂あるいは金属の、軸受の材料とすることが望ましい。具体的には、ポリアセタール、ナイロン、テフロン(登録商標)などをベースにした樹脂材料、含油焼結などの金属材料を用いることが好ましい。ここでの注意点は、支持部材87bが磨耗しても、駆動軸86がホイール85との接点における周面85aの接線方向に移動しないようにしっかりと固定されることが重要であることである。
【0106】
図10に、嵌合部87b1の具体的な種々の形状を示す。
図10(a)は嵌合部87b1がU字型の溝として支持部材87bに形成されている支持部材87bの形状を示しており、この形状では、駆動軸86との接点を、面である接触面とし、比較的広く取ることが出来るため、磨耗に対して有利である。
図10(b)は嵌合部87b1がV字型の溝として支持部材87bに形成されている支持部材87bの形状を示しており、駆動軸86との接点は図10(a)に示した例よりも少ないが、磨耗しても駆動軸86の位置がしっかりと固定される点で有利である。
図10(c)は嵌合部87b1が多角形、具体的にはホームベース状の溝として支持部材87bに形成されている支持部材87bの形状を示しており、この形状では、駆動軸86との接点が図10(b)に示した例よりも多いため、各接点における面の接触圧が分散されるため、磨耗に対して有利である。
【0107】
以上述べた各圧接手段88において、規制部材と駆動軸86との接点は、図3に示した構成のように、2箇所に限らず、図10(c)に示したように3箇所以上にしても良く、また図10(a)に示したようにかかる接点を面で構成することで3箇所以上にしても良い。また、接点は、図10に示した例においてもそうであるように、駆動軸86の回転中心とホイール85の回転中心とを結ぶ直線に対して対称な位置とすることが望ましい。
【0108】
オイル貯め部材93は、駆動軸86とホイール85との間、並びに駆動軸86と圧接コロ87aもしくは支持部材87bとの間をオイル94により潤滑させた状態とする潤滑手段として機能する。駆動軸86、ホイール85、圧接コロ87a、支持部材87bは、高剛性、高耐久性、回転伝達の滑らかさを得るために、上述のように、焼入れ等の熱処理を施した金属材料等によって形成されている。そのため、これらの部材間には潤滑剤が必要であることから、オイル貯め部材93にオイル94を蓄え、ホイール85をこれに常時浸すとともに、ホイール85の回転により、ホイール85を介してオイル94をホイール85と駆動軸86との接点に供給し、また駆動軸86の回転により、駆動軸86を介してオイル94を駆動軸86と圧接コロ87aあるいは支持部材87bとの接点に供給している。
【0109】
オイル94としては、一般的な工業用オイルを用いてもよいが、本形態では、摩擦伝達駆動用オイルとして知られた公知のトラクションオイルを用いている。トラクションオイルは、極圧状態でガラス化する傾向の潤滑剤であり、極圧下で摩擦係数を0.1程度に維持する。よってトラクションオイルは滑り開始トルクを高めることに優れており、駆動軸86とホイール85との間での摩擦による駆動伝達すなわち転がり摩擦による駆動伝達に適している。トラクションオイルを用いると、高圧力時の摩擦係数が通常のオイル使用時の摩擦係数に対し50%高まり、伝達可能なトルクも50%高まる。
【0110】
ここで、伝達トルクと圧接力の関係について述べると、ホイール85として直径が60mmのものを用いて、1N・m(約10Kg・cm)のトルク伝達を行なう場合、駆動軸86とホイール85との圧接部では、1/0.03=33.3Nの摩擦力が必要となる。摩擦力は加圧力と摩擦係数μの積であるから、オイル94としてトラクションオイルを用いた場合の加圧力は33.3/0.1=333N(約33.3Kg)以上で伝達が出来ることになる。
【0111】
このような構成の減速装置82における減速比について述べる。駆動軸86の軸径は、少ないトルクであれば直径1mm程度でホイール85を駆動するのに十分である。駆動軸86の軸径が直径1mmであるとき、減速比を1/20とすると、ホイール85の直径は20mmとなり、減速装置82が非常に小型となる。かりに、駆動軸86の軸径が直径4mmであるとしても、減速比が1/20のときのホイール85の直径は80mmに収まり、感光体ドラム20の相互間隔が100mm程度の場合は、それぞれの感光体ドラム20に対する減速装置82の配置スペースが十分に確保される。なお、感光体ドラム20の相互間隔については、感光体ドラム20の通常の直径が30mm〜60mmであり、それぞれの感光体ドラム20に上述のような現像手段やクリーニング手段等を設けることを考慮すると、かかる相互間隔は70mm〜100mmであることが一般的である。よって、駆動軸86の軸径を直径4mmとしても各感光体ドラム20に対する減速装置82の配置スペースが十分に確保されることが分かる。
【0112】
以上のような構成の像担持体駆動装置80の動作を簡略に説明する。
駆動源であるモータ81が駆動されると、駆動軸86が回転する。駆動軸86は押圧規制手段88により、ホイール85に対しホイール85の円周方向、回転方向へのずれを規制された状態で圧接され、駆動伝達する。その駆動力によりホイール85は回転し、軸受90、90にて回転自在に支持されている出力軸84を回転させることにより、カップリング83を介して軸21が回転し、感光体ドラム20が回転する。また、ホイール85はオイル貯め部材93に貯められたオイル94により駆動伝達面である円周面85aが潤滑されている。出力軸84上に設けたエンコーダディスク91の回転をエンコーダセンサ92にて読取ることにより出力軸84の回転変動を検出し、モータ制御回路41はエンコーダセンサ92で検出した出力軸84の回転変動を打ち消すようにモータ81を駆動するフィードバック制御を行なう。
【0113】
減速装置82では、歯車を用いていないため歯車に起因するバックラッシュが防止され、また押圧規制手段88によって駆動軸86とホイール85との間の摩擦が確保されるために駆動軸86自身とホイール85自身との位置調整によりこれらを互いに押圧する必要がなくこれらの回転変動が抑制されることで、回転ムラのない駆動伝達が行われる。また、押圧規制手段88を備えるものの、遊星ローラ機構を用いないため、装置の小型化が可能となっている。
【0114】
図11、図12により、感光体ドラム20の回転ムラの発生状況を、歯車を用いた減速装置を使用した場合と本形態の減速装置82を使用した場合とで比較する。
図11は、歯車を用いた減速装置を使用した場合であって、一段減速の場合の回転ムラの発生状況を示しており、同図(a)は回転数の変動を時間軸で示す図、同図(b)は回転むらを周波数分析した図となっている。図12は、減速装置82を使用した場合の回転ムラの発生状況を示しており、同図(a)は回転数の変動を時間軸で示す図、同図(b)は回転むらを周波数分析した図となっている。
【0115】
歯車減速の場合は、図11(a)から、歯ごとの振動が発生し、また、図11(b)から、周波数分析ではC:感光体軸一回転周期、D:モータ軸一回転周期、E:歯車の一歯周期の回転むら及びその高次周波数での変動が発生することがわかる。
これに対し、減速装置82を使用すると、図12(a)から、図11(b)においてEとして現れていた歯車の一歯周期の回転むらすなわち歯のピッチの回転変動が当然のことながら無くなり、また図12(b)から、C:感光体軸一回転周期、D:モータ軸一回転周期の回転むらも、低減されていることが分かる。これは、駆動軸86、ホイール85の真円度の向上やモータ81のロータによって発生するフライホイール効果等によって、もたらされたと考えられる。このように、減速装置82を使用すると、安定した駆動が得られる。
【0116】
モータ81のロータによるフライホイール効果が発生する理由について説明する。
まず通常のフライホイールの効果について説明すると、フライホイールは一般に感光体ドラムのような被駆動部と一体回転するように構成されており、被駆動部の回転速度が変動しようとするときにはフライホイールも一緒にその回転速度が変動しようとすることとなるが、フライホイールの慣性モーメントはかかる変動に対するブレーキとして作用するように大きく設定されているため、被駆動部の回転速度の変動も抑制されることとなる。これが通常のフライホイール効果である。
【0117】
次に、通常の歯車減速器の場合は歯車にはバックラッシュが必要であり、モータの回転は通常は正確に感光体等の被駆動部に伝達されるが、被駆動部に急に負荷が掛かったり、あるいは被駆動部が外力によって先送りされるような状態が発生したときにはバックラッシュによってモータと被駆動部の回転が離れてしまい、被駆動部自体がフリーに動く状態が発生するのが一般的である。従って歯車駆動ではモータのロータが持つ慣性モーメントがフライホイールとして働くことは無い。
【0118】
これに対し、減速装置82では、歯車を用いておらず、駆動伝達部が摩擦により常時接触しているためバックラッシュは存在しない。よって被駆動部に外力が加わってその回転角が変動しようとする場合は減速比の逆数の増速比でモータ81のロータを回転させないと被駆動部の回転変動が起こらない。そこで、ロータの回転モーメントの大きさを見てみると、慣性モーメントは通常のフライホイールと比較して小さな値ではあるが、ロータが持つ慣性モーメントはモータの増速比の2乗倍した値となるため、モータの増速比が10倍では慣性モーメントは100倍に、増速比20倍では慣性モーメントに400倍に相当するため、ロータでも、通常の大型フライホイールと同等の効果が得られることとなる。なお、モータの回転が正確に制御され、回転むらが少ない状態で維持されることが条件となる。
【0119】
以下、図13乃至図31に、減速装置82の種々の変形例をそれぞれ示す。各変形例において、すでに説明した構成と同様の構成には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0120】
図13に示す減速装置82について説明する。
図3に示した減速装置82ではモータ81の支持態様が固定支持による不動の支持態様とされているのに対して、図13に示す減速装置82ではモータ81の支持態様が変位可能な支持態様となっている。具体的には、図3に示した減速装置82ではモータ81が不動体である駆動側板89bに固定支持されているのに対して、図13に示す減速装置82ではモータ81を支持する不動体である駆動側板89bに対しモータ81を変位可能に支持した変位手段44を有している。
【0121】
変位手段44は後述するように種々の構成例があるが、いずれも、その配設目的は、モータ軸81aに設けたU字状の溝81bと同様であって、駆動軸86、モータ軸81aの位置が、これらの直径の誤差や磨耗によって僅かに変動する可能性を考慮し、駆動軸86、モータ軸81aが本来の回転中心からずれて回転し、これらに曲げ応力が働いた場合に、変位手段44よってかかる応力を吸収するようにモータ81を変位させることで、駆動軸86、モータ軸81aの破損が生じたり、駆動軸86とホイール85との間の摩擦力に変動が生じたりすることを緩和し、ホイール85に対する駆動軸86の安定した圧接力を維持することである。
【0122】
図13に示した変位手段44は、弾性部材としてのゴム44aを備えており、モータ81は、このゴム44aを介して駆動側板89bに支持され、駆動側板89bに対して変位可能となっている。ゴム44aはリング状をなしており、モータ81はこのゴム44aを駆動側板89bとの間に挟むようにして、図示しないねじによってねじ止めされている。なおモータ81の設置態様はこれに限らず、たとえばモータ81をゴム44aに接着しゴム44aを駆動側板89bに接着するようにしても良い。
【0123】
変位手段44を有していることにより、上述の曲げ応力が働いた場合に、ゴム44aの弾性変形によってかかる応力を吸収するようにモータ81が変位し、これによって駆動軸86、モータ軸81aの破損が生じたり、駆動軸86とホイール85との間の摩擦力に変動が生じたりすることを緩和し、ホイール85に対する駆動軸86の安定した圧接力を維持する。
【0124】
図14に示す減速装置82は、図13に示した変位手段44を備えているとともに、同図に示した形状と異なる形状のモータ軸81aを備えている。具体的に、図14に示したモータ軸81aは、溝81bを設ける代わりに、モータ軸81aの全体を細くして、上述の曲げ応力が働いた場合に、モータ軸81aの全体がかかる応力を吸収するように弾性変形することで、駆動軸86、モータ軸81aの破損が生じたり、駆動軸86とホイール85との間の摩擦力に変動が生じたりすることを緩和し、ホイール85に対する駆動軸86の安定した圧接力を維持する。
【0125】
図15に示す減速装置82は、図3、図9に示した構成例と異なる構成の押圧規制手段88を備えている。具体的には、図15に示した押圧規制手段88は、規制部材として、図3に示した圧接コロ87a、図9に示した支持部材87bのような、駆動軸86に当接、摺接の態様で係合した規制部材ではなく、駆動軸86に嵌合した態様で係合し、駆動軸86を圧接アーム95に対して回転自在に支持した軸受87cを備えている。同図において、軸受87cは、駆動軸86の軸方向においてホイール85の両側で、いわゆる両持ちの態様で、駆動軸86を回転自在に支持している。
【0126】
この構成では、両持ちの状態で駆動軸86を支持し、円周面85aに押圧するので、その軸方向の全体にわたって摩擦による駆動伝達の効率が向上する。また規制部材が駆動軸86に摺接することがないため、駆動軸86への負担が軽減されている。なお、駆動軸86は細い軸状の部材であるため、ホイール85との圧接によって生じる曲げモーメントによる撓みや破損を防止ないし軽減するために、軸受87c、87c相互間の間隔は可能な限り狭くすることが好ましい。軸受87cには通常の玉軸受、ニードル軸受等を用いることが可能である。
【0127】
図16に示す減速装置82は、図15に示した軸受87cを用いた押圧規制手段88と、図13に示した変位手段44とを同時に有する構成例を示したものとなっており、かかる押圧規制手段88、変位手段44の機能が同時に発揮されるようになっている。
【0128】
図17に示す減速装置82は、図16に示した減速装置82と比べて、モータ軸81aの形状が、溝81bを有するものである代わりに、その全体を細くして全体が撓むようにした形状となった構成例を示したものとなっている。
【0129】
図18に示す減速装置82は、図15に示した構成例と異なる構成の軸方向移動規制手段を備えている。具体的には、図18に示した軸方向移動規制手段は、図15に示した駆動軸86にガイド部86bを形成する構成ではなく、圧接アーム95のホイール85と対向する開口部の両側端部に設けられた一対のシャフト114に回転自在に支持され、駆動伝達部材であるホイール85と転がり接触するガイド部材としての一対の軸受115を備えている。同図において、一対のシャフト114の軸心はホイール85の回転軸84の中心に向けて設けられており、一対の軸受115はホイール85の両側面と転がり接触しながら、ホイール85に対する駆動軸86のスラスト方向の移動を規制する。一対の軸受115とホイール85の両側面との接触部では摺接することがないため、磨耗を防ぐことができるとともに、摩擦による駆動伝達ロスを低減することが可能となる。軸受115には通常の玉軸受、ニードル軸受等を用いることが可能である。なお、図示の例はシャフト114に軸受115を備えた構成であるが、シャフトと軸受とが一体で形成されたカムフォロアを用いてもよい。また、一対の軸受115又はカムフォロアのうち少なくとも一方に、外周面に曲率を持った球面外輪を備えたものを用いても良い。球面外輪とホイール85の側面とが点接触するので、組立時の軸心のずれを吸収し、偏荷重の緩和に有利となる。
【0130】
図19に示す減速装置82は、図18に示したシャフト114と軸受115とを用いた軸方向移動規制手段と、図13に示した変位手段44とを同時に有する構成例を示したものとなっており、かかる軸方向移動規制手段、変位手段44の機能が同時に発揮されるようになっている。
【0131】
図20に示す減速装置82は、図19に示した減速装置82と比べて、モータ軸81aの形状が、溝81bを有するものである代わりに、その全体を細くして全体が撓むようにした形状となった構成例を示したものとなっている。
【0132】
図21に示す減速装置82は、図15に示した軸受87cを用いた押圧規制手段88の別の構成例を示しており、この構成例の押圧規制手段88では、軸受87cは、駆動軸86の軸方向においてホイール85に対しモータ81本体とは逆側の片側で、いわゆる片持ちの態様で、駆動軸86を回転自在に支持している。
【0133】
この構成では、図15に示した両持ちによる駆動軸86の支持態様に比して押圧規制手段88の小型化が可能となり、減速装置82、像担持体駆動装置80の小型化が可能となる。またこの構成では、片持ちであるため、両持ちである場合に比べて、駆動軸86の先端がモータ81本体を中心に矢印Dで示すように僅かに搖動可能となっている。そのため、上述の曲げ応力が働いた場合に、かかる応力がより吸収されやすく、駆動軸86、モータ軸81aの破損が生じたり、駆動軸86とホイール85との間の摩擦力に変動が生じたりすることをより緩和し、ホイール85に対する駆動軸86のより安定した圧接力が維持される。
【0134】
なお、片持ちの態様は、図21に示したのと逆、すなわち、軸受87cは、駆動軸86の軸方向においてホイール85に対しモータ81本体側で駆動軸86を支持していても良いが、図21に示した態様で片持ちのほうが、上述の曲げ応力への対応が良好である。また、軸受87cは、自動調心機能を有していれば駆動軸86の軸心の傾きに対して良好に追従することができる。
【0135】
図22に示す減速装置82は、図21に示した軸受87cを用いた押圧規制手段88と、図13に示した変位手段44とを同時に有する構成例を示したものとなっており、かかる押圧規制手段88、変位手段44の機能が同時に発揮されるようになっている。
【0136】
図23に示す減速装置82は、図22に示した減速装置82と比べて、モータ軸81aの形状が、溝81bを有するものである代わりに、その全体を細くして全体が撓むようにした形状となった構成例を示したものとなっている。
【0137】
図24に示す減速装置82は、図22に示した減速装置82と比べて、変位手段44が、ゴム44aを備えていることに加え、押圧規制手段88が駆動軸86をホイール85に押圧する、図中下方である第1の方向E1にモータ81を付勢する付勢部材としてのバネ44bと、このバネ44bを支持したブラケット44cとを備えている構成例を示している。
【0138】
モータ81は、ゴム44aにより、第1の方向E1に弾性的に変位可能となっているため、バネ44bによって第1の方向E1に加圧することで、ホイール85の軸方向に対する駆動軸86の軸方向の平行度を向上した状態で駆動軸86が円周面85aに圧接される。平行度の向上のため、バネ44bによる付勢力は、駆動部86とホイール85との接点を中心にバネ97による付勢力の回転モーメントに釣り合う回転モーメントを生じさせる大きさとされている。なお、バネ44bは、駆動軸86をホイール85に押圧する機能を有するため押圧規制手段88に備えられた付勢部材であるともいえる。
【0139】
図25に示す減速装置82は、図24に示した減速装置82と比べて、変位手段44が、ゴム44aを備えておらず、その一方で、バネ44b、ブラケット44cを備えていることに加え、図中上方であり第1の方向E1と逆の第2の方向E2にモータ81を付勢する付勢部材としてのバネ44dと、このバネ44dを支持したブラケット44eとを備えている構成例を示している。
【0140】
モータ81は第1の方向E1、第2の方向E2においては、バネ44b、44dのみによって支持されており、バネ44dは、モータ81を下方から支持するために配設されている。バネ44bがモータ81を第1の方向E1に付勢する付勢力はバネ44dがモータ81を第2の方向E2に付勢する付勢力よりも大きく、これら付勢力の合力は、図24に示した変位手段44におけるバネ44bがモータ81を第1の方向E1に付勢する付勢力と等しくなっている。このような構成でもホイール85の軸方向に対する駆動軸86の軸方向との平行度を向上した状態で駆動軸86が円周面85aに圧接される。この場合も、バネ44bは、駆動軸86をホイール85に押圧する機能を有するため押圧規制手段88に備えられた付勢部材であるともいえる。
【0141】
図26、図27に示す減速装置82はそれぞれ、図24、図25に示した減速装置82と比べて、モータ軸81aの形状が、溝81bを有するものである代わりに、その全体を細くして全体が撓むようにした形状となった構成例を示したものとなっている。
【0142】
図28、図29に示す減速装置82はそれぞれ、図24、図25に示した減速装置82と比べて、押圧規制手段88が、バネ97を備えておらず、圧接アーム95が駆動側板89bに直に支持されている構成例を示したものとなっている。圧接アーム95は、バネ97が駆動軸86をホイール85に押圧するのと同じ圧力で駆動軸86をホイール85に押圧し押圧部材として機能するように、その剛性、大きさ、配置位置が調整されている。
【0143】
この構成では、圧接アーム95によるかかる圧力により、モータ81が、駆動軸86とホイール85との接点を中心に、矢印Fで示すように僅かに搖動可能となっている。そのため、ホイール85の軸方向に対する駆動軸86の軸方向の平行度の向上のために、図28に示す構成では、バネ44bによる付勢力は、駆動部86とホイール85との接点を中心に圧接アーム95による圧力の回転モーメントに釣り合う回転モーメントを生じさせる大きさとされており、図29に示す構成では、バネ44bによる付勢力とバネ44dによる付勢力との合力は、駆動部86とホイール85との接点を中心に圧接アーム95による圧力の回転モーメントに釣り合う回転モーメントを生じさせる大きさとされている。なお、図28、図29に示した構成におけるバネ44bは、駆動軸86をホイール85に押圧する機能を有するため押圧規制手段88に備えられた付勢部材であるともいえる。
【0144】
図30、図31に示す減速装置82はそれぞれ、図28、図29に示した減速装置82と比べて、モータ軸81aの形状が、溝81bを有するものである代わりに、その全体を細くして全体が撓むようにした形状となった構成例を示したものとなっている。
【0145】
なお、上記各実施形態において、ホイール85を支持し感光体ドラム20の軸21と連結されている出力軸84を装置本体に対して軸方向に固定する手段としての軸固定機構を備えてもよい。
図32は、上記軸固定機構の一構成例を示す概略部分側断面図である。本構成例の軸固定機構では、出力軸84に段付き部84aとねじ部84bを設け、固定ナット84cをねじ部84bに締め付け、出力軸84を本体側板89a及び駆動側板89bに対して回転自在で且つ軸方向に固定するように構成されている。出力軸84の段付き部84aは軸受90Aと嵌合しているつば付き面に設けられ、ねじ部84bは軸受90Bと嵌合しているつば付き面に設けられている。また、固定ナット84cをねじ部84bに締め付けることによって、出力軸84は本体側板89aと駆動側板89bに対して軸方向に固定される。また、回転方向には各軸受90A,90Bで支持されているので出力軸84は回転自在となっている。
【0146】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0147】
たとえば、押圧規制手段は、従動部材と軸受との何れか一方のみでなく、これらの双方を備えていてもよい。変位手段は、第2の付勢部材を有する場合にも、弾性部材を備えていてもよい。
【0148】
また、本発明は、中間転写体上に順次、各色のトナー像を重ね合わせて転写し、重ね合わされたトナー像を一括して記録媒体に転写するいわゆる中間転写方式の画像形成装置にも適用可能である。本発明は、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも適用可能である。本発明は、モノクロのみの画像形成が可能な画像形成装置にも適用可能である。
【0149】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0150】
以上、上記実施形態によれば、駆動軸86の回転軸方向への移動を規制する軸方向移動規制手段として、ホイール85の両側面の少なくとも径方向外側の端縁がそれぞれ接するように、ホイール85の円周面が当接する駆動軸86の当接周面86aに軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに、ガイド部86bの段差部が形成されている。この段差部により、駆動軸86の回転軸方向への移動が規制されるので、駆動軸86の軸方向の位置決めを良好に行い、製造コストの増加を抑制するとともに、摩擦による駆動伝達を行う部材の回転軸方向のずれを抑え、回転速度の変動をより確実に抑制しつつ駆動伝達を行うことができる。しかも、歯車に比べて高減速比で小型とすることが可能であり、またモータのロータをフライホイールとして機能させ回転変動を抑制することができる。
【0151】
また、上記実施形態によれば、上記駆動軸86の当接周面86aに軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに2つの移動規制部材としてのガイドリング111が固設され、そのガイドリング111の互いに対向する側面それぞれに段差部が形成されている。この段差部を形成しているガイドリング111により、駆動軸86の回転軸方向への移動が規制されるので、駆動軸86の回転軸軸方向の位置決めを良好に行い、製造コストの増加を抑制するとともに、摩擦による駆動伝達を行う部材の回転軸方向のずれを抑え、回転速度の変動をより確実に抑制しつつ駆動伝達を行うことができる。
【0152】
また、上記実施形態によれば、上記ガイド部86b及びガイドリング111で形成される各段差部の互いに対向する側面はそれぞれ、径方向外側にいくに従ってホイール85の側面から離れるように傾斜している。これにより、各段差部の側面の摩耗を防止することができるとともに、各段差部とホイール85との摩擦による負荷が大きくなって回転精度に影響し回転むらが生じることを防止することができる。
更に、上記実施形態によれば、ホイール85の両側面の径方向外側の端縁部は、前記段差部の互いに対向する側面と同様な角度で傾斜した傾斜面(テーパ面)85bを有している。更に、圧接コロ87aの両側面の径方向外側の端縁部は、前記段差部の互いに対向する側面と同様な角度で傾斜した傾斜面(テーパ面)87bを有している。これらの傾斜面(テーパ面)85b、87bにより、上記各段差部の側面の摩耗、及び上記各段差部とホイール85との摩擦による負荷増大による回転むらをより確実に防止できる。
【0153】
また、上記実施形態によれば、上記軸方向移動規制手段として、ホイール85の両側面それぞれの少なくとも一部に当接して従動回転するように、ホイール85の円周面が当接する駆動軸86の当接周面86aに軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに、転がりガイド部材(コロ)である軸受112を設けている。この軸受112により、駆動軸86の回転軸方向への移動が規制される。特に、軸方向移動規制手段としての部材が、ホイール85の側面に当接しホイール85に従動回転可能な軸受112であるため、接触部で摺動することがなく駆動力の伝達ロスを抑え、製造コストの増加を抑制することができるとともに、摩擦による駆動伝達を行う部材の回転軸方向のずれを抑え、回転速度の変動をより確実に抑制しつつ駆動伝達を行うことができる。また、上記軸受112は玉軸受又はコロ軸受であるため、安価で高精度の市販品を用いることができ、製造コストの増加を抑制することができる。
【0154】
また、上記実施形態によれば、上記軸方向移動規制手段として、ホイール85の両側面それぞれの少なくとも一部に当接して従動回転するように転がりガイド部材である軸受115が前記押圧規制手段の圧接アーム95に設けられている。この軸受115により、駆動軸86の回転軸方向への移動が規制される。特に、軸方向移動規制手段としての部材が、ホイール85の側面に当接しホイール85に従動回転可能な軸受115であるため、接触部で摺動することがなく駆動力の伝達ロスを抑え、製造コストの増加を抑制することができるとともに、摩擦による駆動伝達を行う部材の回転軸方向のずれを抑え、回転速度の変動をより確実に抑制しつつ駆動伝達を行うことができる。また、上記軸受115は玉軸受又はコロ軸受であるため、安価で高精度の市販品を用いることができ、製造コストの増加を抑制することができる。
【0155】
また、上記実施形態によれば、上記玉軸受又はコロ軸受は、その外輪がホイール85のの側面に外輪が当接するように取り付けられているので、組立時の軸心のずれを吸収して偏荷重の緩和に有利である。
【0156】
また、上記実施形態によれば、ホイール85を支持し感光体ドラム20の軸21と連結されている出力軸84を装置本体に対して軸方向に固定する手段としての軸固定機構を備えることにより、出力軸84の軸方向の移動を防止することができる。
【0157】
また、上記実施形態によれば、前記規制部材としての圧接コロ87aは、前記円周面に対向する位置に設けられ、この位置において前記駆動軸86を規制しており、前記圧接コロ87aと前記駆動軸86との接点を、該駆動軸86の前記ホイール85に対向する側の周面とは逆側の周面に少なくとも2箇所有することとすれば、圧接コロ87aにより駆動軸86を撓ませることなくホイール85の円周面の全幅にわたって当接させ駆動軸86の位置決めを良好に行い摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながら回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができる。
【0158】
また、上記実施形態によれば、前記接点の位置は、同接点において前記押圧規制手段としての圧接コロ87aが前記駆動軸86を前記円周面に向けて押圧する力の合力が、該駆動軸86が前記ホイール85の回転中心に向かう方向とする位置であることとすれば、かかる接点を形成する圧接コロ87aにより駆動軸86の位置決めをより良好に行うことができる。
【0159】
また、上記実施形態によれば、前記接点の位置は、前記駆動軸86の回転中心と前記ホイール85の回転中心とを結ぶ直線に対して対称な位置であることとすれば、かかる接点を形成する圧接コロ87aにより駆動軸86の位置ずれを高度に抑制し位置決めを良好に行うことができる。
【0160】
また、上記実施形態によれば、前記圧接コロ87aは前記駆動軸86に当接し該駆動軸86に従動回転可能な2つの圧接コロ87aであることとすれば、2つの圧接コロ87aにより駆動軸86の磨耗を抑制することができる。
【0161】
また、上記実施形態によれば、前記2つの圧接コロ87aは玉軸受又はコロ軸受であることとすれば、回転の良好な2つの圧接コロ87aにより駆動軸86の磨耗を抑制することができる。
【0162】
また、上記実施形態によれば、前記規制部材としての支持部材87bは、略U型又は略V型又は多角形型の窪み87b1を有し、この窪み87b1において前記駆動軸86に当接することとすれば、比較的簡易な構成の規制部材により駆動軸86の位置決めを容易に良好に行うことができる。
【0163】
また、上記実施形態によれば、前記規制部材は、駆動軸86を、この駆動軸86の軸方向においてホイール85の両側で回転自在に支持した軸受87cであることとすれば、かかる軸受87cによって回転自在かつ高い位置決め精度で支持された駆動軸86により、高い効率での摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながら回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができる。
【0164】
また、上記実施形態によれば、前記規制部材は、駆動軸86を、この駆動軸86の軸方向において前記ホイール85に対し前記駆動源81とは逆側において回転自在に支持した軸受87cであることとすれば、かかる軸受87cによって回転自在かつ比較的簡易な構成で支持された駆動軸86により、摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながら回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができる。
【0165】
また、上記実施形態によれば、駆動軸86はその根元部に軸径を細めた可撓部としてのU字状の溝81bを有することとすれば、駆動軸86の撓みにより駆動軸86とホイール85との当接を良好に行うことができる。
【0166】
また、上記実施形態によれば、駆動源81を支持するための不動体89に対し、駆動源81を変位可能に支持した変位手段を有することとすれば、変位手段によってホイール85との当接により駆動軸86が撓むことを抑制しつつ、ホイール85との当接を良好に行うことができる。
【0167】
また、上記実施形態によれば、前記変位手段は、駆動源81を不動体89に対し変位可能に支持した弾性部材44aを有することとすれば、弾性部材44aによってホイール85との当接により駆動軸86が撓むことを抑制することができる。
【0168】
また、上記実施形態によれば、前記変位手段は、前記押圧規制手段が駆動軸86をホイール85に押圧する第1の方向に、駆動源81を付勢する付勢部材44bを有することとすれば、付勢部材44bによって駆動軸86、ホイール85それぞれの回転中心軸の互いの平行度を向上することが可能となり、またホイール85との当接により駆動軸86が撓むことを抑制することができる。
【0169】
また、上記実施形態によれば、前記付勢部材は、駆動源81を第1の方向に付勢するための第1の付勢部材44bと、駆動源81を第1の方向とは逆の第2の方向に付勢するための第2の付勢部材44dとを有し、第1の付勢部材44bが駆動源81を第1の方向に付勢する付勢力は第2の付勢部材44dが前記駆動源81を第2の方向に付勢する付勢力よりも大きいこととすれば、第1、第2の付勢部材44b、44dによって駆動源81を支持しながら駆動軸86、ホイール85それぞれの回転中心軸の互いの平行度を向上することが可能となり、またホイール85との当接により駆動軸86が撓むことを抑制することができる。
【0170】
また、上記実施形態によれば、駆動軸86及びホイール85は金属製であり、駆動軸86とホイール85の円周面との間を潤滑剤により潤滑させた状態とする潤滑手段を有することとすれば、駆動軸86及びホイール85の変形、磨耗を抑制することができる。
【0171】
また、前記潤滑剤がトラクションオイルであることとすれば、駆動軸86とホイール85との摩擦係数を高めつつこれらの磨耗を抑制することができる。
【0172】
また、上記実施形態によれば、ホイール85の回転速度を検出する回転速度検出手段としてのエンコーダセンサ92と、このエンコーダセンサ92が検知する前記回転速度を一定に保つように駆動軸86の回転速度を制御する回転速度制御手段としてのモータ制御回路41とを有することとすれば、摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながらホイール85の回転速度を一定に保つように制御を行うことで回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができる。
【0173】
また、上記実施形態によれば、かかる減速装置82と、駆動軸86を有する駆動源81とを有し、ホイール85を介して駆動源81の駆動力により像担持体としての感光体ドラム20を回転駆動する像担持体駆動装置80にあるので、摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながら回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができるとともに、歯車に比べて高減速比で小型とすることが可能であり、またモータのロータをフライホイールとして機能させ回転変動を抑制することが可能な減速装置82により、駆動源81の回転速度を高度に一定の状態で減速して感光体ドラム20を駆動することで、感光体ドラム20を高い精度で一定速度で駆動することができ、良好な画像形成に寄与することができる像担持体駆動装置80を提供することができる。
【0174】
また、上記実施形態によれば、かかる像担持体駆動装置80と、この像担持体駆動装置80によって回転駆動される感光体ドラム20とを有する画像形成装置100にあるので、摩擦による滑らかな駆動伝達を用いながら回転速度の変動を抑制しつつ確実に駆動伝達を行うことができるとともに、歯車に比べて高減速比で小型とすることが可能であり、またモータのロータをフライホイールとして機能させ回転変動を抑制することが可能な減速装置82を備えた像担持体駆動装置80により、駆動源81の回転速度を高度に一定の状態で減速して感光体ドラム20を高い精度で一定速度で駆動することができ、良好な画像形成を行うことができる画像形成装置100を提供することができる。
【符号の説明】
【0175】
20、20Y、20M、20C、20BK 像担持体
41 回転速度制御手段
44 変位手段
44a 弾性部材
44b 付勢部材、第1の付勢部材
44d 第2の付勢部材
80、80Y、80M、80C、80BK 像担持体駆動装置
81、81Y、81M、81C、81BK 駆動源
82 減速装置
85 駆動伝達部材
85a 円周面
85c 段差部
85d テーパ部
86 駆動軸
86b ガイド部
86c 傾斜面
87a、87b、87c 規制部材
87a 圧接コロ
87b 支持部材
87b1 窪み
87c 軸受
88 押圧規制手段
89、89b 不動体
92 回転速度検出手段
93 潤滑手段
94 潤滑剤、トラクションオイル
95 圧接アーム
95a シャフト取付け部
100 画像形成装置
111 ガイドリング
112 軸受
113 カラー
114 シャフト
115 軸受
E1 第1の方向
E2 第2の方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0176】
【特許文献1】特開2001−134138号公報
【特許文献2】特開平10−288915号公報
【特許文献3】特開2002−171779号公報
【特許文献4】特開2000−346144号公報
【特許文献5】特許第2981295号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源によって回転駆動される駆動軸と、
前記駆動軸に当接する円周面を有し該駆動軸によって回転駆動される駆動伝達部材とを備え、前記駆動源からの駆動を減速して像担持体に伝達する減速装置であって、
前記駆動伝達部材の回転方向への前記駆動軸のずれを規制するための規制部材を有し該駆動軸を該駆動伝達部材の回転中心に向けて押圧する押圧規制手段と、
前記駆動軸の回転軸方向への移動を規制する軸方向移動規制手段と、を備えたことを特徴とする減速装置。
【請求項2】
請求項1記載の減速装置において、
前記軸方向移動規制手段は、前記駆動伝達部材の両側面の少なくとも径方向外側の端縁がそれぞれ接するように、前記駆動伝達部材の円周面が当接する前記駆動軸の当接周面に軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに形成された段差部であることを特徴とする減速装置。
【請求項3】
請求項2記載の減速装置において、
前記段差部は、前記駆動軸の当接周面と、該当接周面よりも大きな径を有する、該駆動伝達部材の円周面に当接しない該駆動軸の非当接周面と、の境界に形成された段差部であることを特徴とする減速装置。
【請求項4】
請求項2記載の減速装置において、
前記段差部は、前記駆動軸の当接周面に軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに固設された2つの移動規制部材の互いに対向する側面それぞれに形成された段差部であることを特徴とする減速装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載の減速装置において、
前記2つの段差部の互いに対向する側面はそれぞれ、径方向外側にいくに従って前記駆動伝達部材の側面から離れるように傾斜していることを特徴とする減速装置。
【請求項6】
請求項5記載の減速装置において、
前記駆動伝達部材の両側面の径方向外側の端縁部は、前記段差部の互いに対向する側面と同様な角度で傾斜した傾斜面を有することを特徴とする減速装置。
【請求項7】
請求項1記載の減速装置において、
前記軸方向移動規制手段は、前記駆動伝達部材の両側面それぞれの少なくとも一部に当接して従動回転するように、前記駆動伝達部材の円周面が当接する前記駆動軸の当接周面に軸方向から隣接する2つの隣接箇所それぞれに設けられた転がりガイド部材であることを特徴とする減速装置。
【請求項8】
請求項1に記載の減速装置において、
前記軸方向移動規制手段は、前記駆動伝達部材の両側面それぞれの少なくとも一部に当接して従動回転するように、前記押圧規制手段に設けられた転がりガイド部材であることを特徴とする減速装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載の減速装置において、
前記転がりガイド部材は、前記駆動伝達部材の側面に外輪が当接するように取り付けられた玉軸受又はコロ軸受であることを特徴とする減速装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の減速装置において、
前記駆動伝達部材を支持し前記像担持体の軸と連結されている出力軸を装置本体に対して軸方向に固定する手段を備えることを特徴とする減速装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の減速装置において、
前記規制部材は、前記駆動伝達部材の円周面に対向する位置に設けられ、この位置において前記駆動軸を規制しており、
前記規制部材と前記駆動軸との接点を、該駆動軸の前記駆動伝達部材に対向する側の周面とは逆側の周面に少なくとも2箇所有することを特徴とする減速装置。
【請求項12】
請求項11記載の減速装置において、
前記接点の位置は、該接点において前記押圧規制手段が前記駆動軸を前記円周面に向けて押圧する力の合力が、該駆動軸が前記駆動伝達部材の回転中心に向かう方向とする位置であることを特徴とする減速装置。
【請求項13】
請求項11又は12記載の減速装置において、
前記接点の位置は、前記駆動軸の回転中心と前記駆動伝達部材の回転中心とを結ぶ直線に対して対称な位置であることを特徴とする減速装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれかに記載の減速装置において、
前記規制部材は前記駆動軸に当接し該駆動軸に従動回転可能な2つの圧接コロであることを特徴とする減速装置。
【請求項15】
請求項14記載の減速装置において、
前記2つの圧接コロは玉軸受又はコロ軸受であることを特徴とする減速装置。
【請求項16】
請求項11乃至13のいずれかに記載の減速装置において、
前記規制部材は、略U型又は略V型又は多角形型の窪みを有し、この窪みにおいて前記駆動軸に当接することを特徴とする減速装置。
【請求項17】
請求項1乃至10のいずれかに記載の減速装置において、
前記規制部材は、前記駆動軸を、この駆動軸の軸方向において前記駆動伝達部材の両側で回転自在に支持した軸受であることを特徴とする減速装置。
【請求項18】
請求項1乃至10のいずれかに記載の減速装置において、
前記規制部材は、前記駆動軸を、この駆動軸の軸方向において前記駆動伝達部材に対し前記駆動源とは逆側において回転自在に支持した軸受であることを特徴とする減速装置。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれかに記載の減速装置において、
前記駆動軸はその根元部に軸径を細めた可撓部を有することを特徴とする減速装置。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかに記載の減速装置において、
前記駆動源を支持するための不動体に対し、該駆動源を変位可能に支持した変位手段を有することを特徴とする減速装置。
【請求項21】
請求項20記載の減速装置において、
前記変位手段は、前記駆動源を前記不動体に対し変位可能に支持した弾性部材を有することを特徴とする減速装置。
【請求項22】
請求項20または21記載の減速装置において、
前記変位手段は、前記押圧規制手段が前記駆動軸を前記駆動伝達部材に押圧する第1の方向に、前記駆動源を付勢する付勢部材を有することを特徴とする減速装置。
【請求項23】
請求項20または21記載の減速装置において、
前記付勢部材は、前記駆動源を第1の方向に付勢するための第1の付勢部材と、前記駆動源を第1の方向とは逆の第2の方向に付勢するための第2の付勢部材とを備え、第1の付勢部材が前記駆動源を第1の方向に付勢する付勢力は第2の付勢部材が前記駆動源を第2の方向に付勢する付勢力よりも大きいことを特徴とする減速装置。
【請求項24】
請求項1乃至23のいずれかに記載の減速装置において、
前記駆動軸及び前記駆動伝達部材は金属製であり、該駆動軸と前記円周面との間を潤滑剤により潤滑させた状態とする潤滑手段を有することを特徴とする減速装置。
【請求項25】
請求項24記載の減速装置において、
前記潤滑剤がトラクションオイルであることを特徴とする減速装置。
【請求項26】
請求項1乃至25のいずれかに記載の減速装置において、
前記駆動伝達部材の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
この回転速度検出手段が検知する前記回転速度を一定に保つように前記駆動軸の回転速度を制御する回転速度制御手段とを有することを特徴とする減速装置。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれかに記載の減速装置と、
前記駆動軸を有する前記駆動源とを備え、
前記駆動伝達部材を介して前記駆動源の駆動力により像担持体を回転駆動する像担持体駆動装置。
【請求項28】
請求項27記載の像担持体駆動装置と、この像担持体駆動装置によって回転駆動される像担持体とを備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate


【公開番号】特開2010−216533(P2010−216533A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62351(P2009−62351)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】