説明

渦電流式減速装置

【課題】小型化を実現することができ、圧縮空気タンクなどを格別に搭載しない中小型車両であっても導入することが可能な渦電流式減速装置を提供する。
【解決手段】減速装置は、車両の回転軸11に固定される制動ディスク1と、制動ディスク1の主面に対向して円周方向にわたり磁極が交互に異なって配置される永久磁石5と、永久磁石5を保持するととともにスイッチブレーキディスク6を有し、回転軸11に回転可能に支持される回転部材3と、スイッチブレーキディスク6を間に挟むブレーキパッド8a、8bを有し、車両の非回転部に固定されるスイッチブレーキキャリパ7と、電動モータ10の回転運動を直線運動に変換してブレーキパッド8a、8bを直線駆動させる電動式直動アクチュエータ9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を用いる渦電流式減速装置に関し、特に、圧縮空気タンクなどを格別に搭載しない中小型のバスやトラックなどに好適な渦電流式減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやバスなどの大型車両においては、主ブレーキであるフットブレーキ(摩擦ブレーキ)の他に、補助ブレーキとしてエンジンブレーキや排気ブレーキが用いられる。近年では、車両エンジンの小排気量化が進展し、これに伴いエンジンブレーキや排気ブレーキの能力が低下することから、渦電流式減速装置(以下、単に「減速装置」ともいう)を導入して補助ブレーキを強化する場合が多い。
【0003】
減速装置は、制動力をもたらす磁界を発生させるために、電磁石を用いる方式と、永久磁石を用いる方式に大別されるが、昨今、制動時に通電を必要としない永久磁石方式のものが主流となっている。
【0004】
例えば、特許文献1には、大型車両に導入される永久磁石方式の減速装置の一般的な構成が開示されている。同文献に開示される減速装置では、プロペラシャフトなどの回転軸に制動部材としてドラム状のロータを固定し、このロータの内側に、複数の永久磁石を周設したリング部材を配置し、そのリング部材を所定の位置に移動させることにより、制動と非制動の切替えを行うようにしている。
【0005】
通常、大型車両では、各種装備を駆動させる動力源に圧縮空気を用いることから、圧縮空気を貯留する圧縮空気タンクを搭載している。このため、大型車両に導入される減速装置においては、制動と非制動を切替えるために、永久磁石を保持するリング部材を移動させる駆動装置として、圧縮空気タンクからの圧縮空気を動力源に活用する空気圧式のアクチュエータが採用される。
【0006】
ところで、大型車両のみならず中小型のトラックやバスなどにおいても、補助ブレーキの強化が望まれており、従来よりも小型で軽量化された永久磁石方式の減速装置を導入する要請が高まっている。
【0007】
しかし、これらの中小型車両は、圧縮空気タンクを搭載しないことが多い。このため、中小型車両に導入される減速装置においては、制動と非制動を切替える際に、リング部材を移動させる動力源に圧縮空気を用いることができず、空気圧式のアクチュエータは採用できない。
【0008】
これに加え、前記特許文献1に開示される減速装置では、リング部材を制動位置と非制動位置に移動させるアクチュエータのストロークが大きく、その所要力も高いことから、アクチュエータのサイズが大きくならざるを得ず、中小型車両への導入で要求される減速装置の小型化を実現するのが困難である。
【0009】
これらの問題に対応する技術として、例えば、特許文献2、3には、永久磁石を周設したリング部材を移動させることなく、制動と非制動の切替えを行う減速装置が提案されている。同文献に提案される減速装置は、回転軸に制動部材としてドラム状のロータを固定し、このロータの内側で、複数の永久磁石を外周面に固着した支持リングを、軸受を介して回転軸に回転可能に支持し、さらに、支持リングにブレーキディスクを取り付け、このブレーキディスクに対してスイッチブレーキを設けた構成である。
【0010】
前記特許文献2、3に提案される減速装置によれば、非制動時は、スイッチブレーキを作動させない状態にあり、回転軸とともにロータが回転するのに伴い、支持リングが永久磁石とロータとの磁気吸引作用によりロータと同期して一体的に回転し、制動力は発生しない。
【0011】
一方、制動時は、スイッチブレーキを構成するアクチュエータを作動させることにより、支持リングと一体で回転しているブレーキディスクにブレーキパッドを圧接し、支持リングの回転を停止させる。これにより、停止した支持リングにおける永久磁石からの磁界の作用で、回転中のロータの内周面に渦電流が発生し、ロータに制動力が発生する。
【0012】
前記特許文献2、3に提案された減速装置では、制動と非制動を切替えるスイッチブレーキにディスクブレーキを採用することから、アクチュエータのストロークを小さくすることができ、減速装置の小型化が期待できる。
【0013】
しかし、スイッチブレーキには、渦電流による制動力よりも大きいトルクを出力することができ、また支持リングの回転を速やかに停止させることができる性能が要求される。前記特許文献2、3に提案される減速装置では、その要求に応えるため、スイッチブレーキを構成するアクチュエータとして、油や圧縮空気を動力源とする流体圧アクチュエータを採用している。
【0014】
このため、前記特許文献2、3に提案された減速装置は、スイッチブレーキの動力源として圧縮空気を用いる場合は圧縮空気タンクを必要とし、油を用いる場合は油圧機器や配管系が必要となり、これらを格別に搭載しない中小型車両に導入することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平4−12659号公報
【特許文献2】特開平4−331456号公報
【特許文献3】実開平5−80178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、小型化を実現することができ、圧縮空気タンクなどを格別に搭載しない中小型のバスやトラックなどであっても導入することが可能な渦電流式減速装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、小型化を実現することと、圧縮空気タンクなどを格別に搭載しない中小型車両に導入することの両立を図るには、制動と非制動を切替えるスイッチブレーキとして、電動式直動アクチュエータを用いたブレーキディスクを採用するのが有効であることを知見し、本発明を完成させた。
【0018】
本発明の渦電流式減速装置は、車両の回転軸に固定される制動ディスクと、前記制動ディスクの主面に対向して円周方向にわたり磁極が交互に異なって配置される永久磁石と、前記永久磁石を保持するととともにスイッチブレーキディスクを有し、前記回転軸に回転可能に支持される回転部材と、前記スイッチブレーキディスクを間に挟むブレーキパッドを有し、車両の非回転部に固定されるスイッチブレーキキャリパと、電動モータの回転運動を直線運動に変換して前記ブレーキパッドを直線駆動させる電動式直動アクチュエータと、を備えたことを特徴とする。
【0019】
上記の減速装置において、前記電動式直動アクチュエータは、前記電動モータの主軸と一体で回転するロータ軸の外周面と、前記ロータ軸を同心状に包囲する外輪部材の内周面と、の間に複数の遊星ローラを介在させ、前記ロータ軸の回転に伴って前記各遊星ローラが前記ロータ軸の周りを自転しながら公転する構成であり、前記ロータ軸の外周面または前記外輪部材の内周面に螺旋凸条を設けるとともに、前記各遊星ローラの外周面に、前記螺旋凸条と等しいピッチで前記螺旋凸条が噛み合う円周溝、または前記螺旋凸条と等しいピッチでリード角が異なり前記螺旋凸条が噛み合う螺旋溝を設けて成り、前記各遊星ローラが前記ロータ軸の回転に伴って前記ロータ軸の周りを自転しながら公転しつつ軸方向に移動し、前記各遊星ローラの軸方向移動に伴って前記ブレーキパッドを直線駆動させる構成とすることが好ましい。
【0020】
また、上記の減速装置では、前記スイッチブレーキキャリパが車両の非回転部に対し緩衝材を介して固定される構成であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の渦電流式減速装置によれば、制動と非制動を切替えるスイッチブレーキにディスクブレーキを採用するため、そのディスクブレーキを駆動させるのに用いるアクチュエータのストロークを小さくすることができ、装置の小型化を実現することが可能になる。しかも、本発明の減速装置は、制動と非制動の切替えに、電流を動力源とする電動式直動アクチュエータを用いるため、圧縮空気タンクなどを格別に搭載しない中小型車両であっても容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の渦電流式減速装置の構成例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の渦電流式減速装置に好適な電動式直動アクチュエータの構成例を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)のA−A断面図をそれぞれ示す。
【図3】スイッチブレーキによる衝撃に対する構造上の緩和策の一例を示す模式図である。
【図4】スイッチブレーキによる衝撃に対する構造上の緩和策の別例を示す模式図である。
【図5】スイッチブレーキによる衝撃に対する構造上の緩和策のさらなる別例を示す模式図である。
【図6】アクチュエータに保持機能がある場合のスイッチブレーキによる衝撃に対する制御上の緩和策の一例を説明するタイムチャートである。
【図7】アクチュエータの適正な押圧力を把握するために制動ディスクと回転部材との回転速度差とトルクの相関を示す模式図である。
【図8】アクチュエータに保持機能がない場合のスイッチブレーキによる衝撃に対する制御上の緩和策の一例を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の渦電流式減速装置の実施形態について詳述する。
【0024】
1.渦電流式減速装置の基本構成
図1は、本発明の渦電流式減速装置の構成例を示す縦断面図である。本発明の渦電流式減速装置は、永久磁石方式のものであり、同図に示すように、制動ディスク1と、永久磁石5を保持するとともにスイッチブレーキディスク6を有する回転部材3と、スイッチブレーキディスク6を間に挟むブレーキパッド8a、8bを有するスイッチブレーキキャリパ7と、スイッチブレーキキャリパ7を駆動させる電動式直動アクチュエータ9とを備える。
【0025】
制動ディスク1は、制動部材としてのロータであり、プロペラシャフトなどの回転軸11と一体で回転するように構成される。具体的には、回転軸11と同軸上に連結軸12がボルトなどによって固定され、フランジ付きのスリーブ13がその連結軸12にスプラインで噛み合いながら挿入されてナット14で固定されている。制動ディスク1は、回転軸11と一体化されたスリーブ13のフランジにボルトなどで固定され、これにより、回転軸11と一体で回転するようになる。
【0026】
制動ディスク1の外周には、放熱フィン2が設けられる。この放熱フィン2は、制動ディスク1と一体成形される。制動ディスク1には、鉄などの強磁性材料や、フェライト系ステンレス鋼などの弱磁性材料を用いることができる。
【0027】
回転部材3は、ロータである制動ディスク1に制動力を発生させるためのステータであり、回転軸11に対し回転可能に構成される。具体的には、回転部材3は、連結軸12と同心状の環状部材であり、回転軸11と一体化されたスリーブ13に軸受15a、15bを介して支持され、これにより、回転軸11に対し自由に回転が可能になる。軸受15a、15bには潤滑グリスが充填され、この潤滑グリスは、回転部材3の前後両端に装着されたリング状のシール部材16a、16bにより漏出を防止される。
【0028】
回転部材3は、制動ディスク1の主面に対向し永久磁石5を保持する磁石保持ディスク4を有する。この磁石保持ディスク4は、回転部材3と一体成形してもよいし、個別に成形しボルトなどで回転部材3に固定してもよい。磁石保持ディスク4には、制動ディスク1の主面と対向する面に、円周方向にわたり複数の永久磁石5が固着される。永久磁石5は、隣接するもの同士の磁極(N極、S極)が交互に異なるように配置される。
【0029】
さらに、回転部材3は、磁石保持ディスク4の後方にスイッチブレーキディスク6を有する。スイッチブレーキディスク6は、ボルトなどで回転部材3に取り付けられ、回転部材3と一体化される。
【0030】
スイッチブレーキキャリパ7は、前後で一対のブレーキパッド8a、8bを有しており、ブレーキパッド8a、8bの間にスイッチブレーキディスク6を配置し所定の隙間を設けて挟んだ状態で、バネを搭載したボルトなどによりブラケット17に付勢支持される。このブラケット17は、詳細は後述するように、車両のシャーシやクロスメンバーなどの非回転部に取り付けられる。
【0031】
また、図1に示すブラケット17は、スイッチブレーキディスク6の後方で回転部材3を包囲し、回転部材3に軸受18を介して回転可能に支持される。この軸受18にも潤滑グリスが充填され、この潤滑グリスは、ブラケット17の前後両端に装着されたリング状のシール部材19a、19bにより漏出を防止される。
【0032】
スイッチブレーキキャリパ7には、電動式直動アクチュエータ9がボルトなどで固定される。電動式直動アクチュエータ9は、電動モータ10に与える電流を動力源とするものであり、電動モータ10の回転運動を直線運動に変換して後側のブレーキパッド8bをスイッチブレーキディスク6に向け直線駆動させる。これにより、後側のブレーキパッド8bがスイッチブレーキディスク6を押圧し、これに伴う反力の作用で、前側のブレーキパッド8aがスイッチブレーキディスク6に向け移動し、その結果、スイッチブレーキディスク6を前後のブレーキパッド8a、8bで強力に挟み込むことができる。
【0033】
このような構成の減速装置によれば、非制動時は、電動モータ10に通電を行うことなく電動式直動アクチュエータ9を作動させない状態にある。このとき、回転軸11と一体で制動ディスク1が回転するのに伴い、回転部材3が、これと一体の磁石保持ディスク4で保持する永久磁石5と制動ディスク1との磁気吸引作用により、制動ディスク1と同期して一体的に回転する。このとき、ロータである制動ディスク1と、ステータである回転部材3における永久磁石5との間に相対的な回転速度差が生じないため、制動力は発生しない。
【0034】
一方、制動時は、電動モータ10に通電を行い電動式直動アクチュエータ9を作動させる。これにより、回転部材3と一体で回転しているスイッチブレーキディスク6がブレーキパッド8a、8bによって挟み込まれ、回転部材3の回転を速やかに停止させることができる。制動ディスク1が回転している際に回転部材3のみが停止すると、ロータである制動ディスク1と、ステータである回転部材3における永久磁石5との間に相対的な回転速度差が生じるため、永久磁石5からの磁界の作用で、制動ディスク1の主面に渦電流が発生し、制動ディスク1を介して回転軸11に制動力を発生させることができる。
【0035】
このように、本発明の減速装置は、制動と非制動を切替えるスイッチブレーキにディスクブレーキを採用するため、そのディスクブレーキを駆動させるのに用いるアクチュエータのストロークを小さくすることができ、減速装置の小型化を実現することが可能になる。しかも、本発明の減速装置は、制動と非制動の切替えに、電流を動力源とする電動式直動アクチュエータを用いるため、圧縮空気タンクなどを格別に搭載しない中小型車両であっても容易に導入することができる。
【0036】
さらに、本発明の減速装置では、回転部材と一体の磁石保持ディスクにおける制動ディスクの主面と対向する面に永久磁石が固着される構成であることから、従来の減速装置のように、支持リングの外周面に永久磁石が固着される構成と比較して、永久磁石の製作を容易に行え、低コスト化を実現できる。従来の減速装置で用いる永久磁石は、支持リングの外周面に沿った曲面形状に加工する必要があるが、本発明の減速装置で用いる永久磁石は、加工が容易な平面形状であるからである。
【0037】
2.電動式直動アクチュエータの構成
本発明の減速装置においては、制動と非制動を切替える電動式直動アクチュエータとして、ボールねじ機構やボールランプ機構のものを採用することができる。ボールねじ機構やボールランプ機構の電動式直動アクチュエータは、リードを有するねじ筋や傾斜カム面にボールを沿わせる運動変換機構により、電動モータの回転運動を直線運動に変換するものである。
【0038】
もっとも、ボールねじ機構などの電動式直動アクチュエータは、直線運動の駆動力をある程度増力する機能を有するが、スイッチブレーキディスクすなわち回転部材の回転を速やかに停止させるほどの増力機能を十分に確保できない場合がある。増力機能を拡大するには、ねじのリード角やカム面の傾斜角を小さくすればよいが、ボールねじ機構の場合は、ねじのリード角を小さくするとボール径が小さくなり、負荷容量が低下する。また、ボールランプ機構の場合は、カム面の傾斜角を小さくすると直線運動のストロークを十分に確保できない。
【0039】
これらの不都合に対応するため、本発明の減速装置においては、直線運動の駆動力の増力機能を十分に確保できる電動式直動アクチュエータを採用するのが好ましく、例えば、下記図2に示すような遊星ローラ機構の電動式直動アクチュエータを採用するのが好ましい。
【0040】
図2は、本発明の渦電流式減速装置に好適な電動式直動アクチュエータの構成例を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)のA−A断面図をそれぞれ示す。電動式直動アクチュエータ9は、その外郭を円筒状のケーシング21で構成され、その後端に電動モータ10が取り付けられている。
【0041】
ケーシング21は、前記図1に示すスイッチブレーキキャリパ7に固定される。ケーシング21には円筒状の外輪部材22が内嵌され、その中心には電動モータ10の主軸に相当するロータ軸24が配置される。このロータ軸24は、電動モータ10の主軸と別体で成形し、その主軸と連結する構成にすることもできる。
【0042】
ロータ軸24の外周面と外輪部材22の内周面との間には、円筒状の遊星ローラ25が複数配置される。図2では、4つの遊星ローラ25が配置された例を示す。
【0043】
各遊星ローラ25は、電動モータ10の出力に伴ってロータ軸24が回転することにより、ロータ軸24の周りを自転しながら公転するように構成される。具体的には、ロータ軸24には、遊星ローラ25の前方にフランジ付きのキャリア部材27が挿嵌され、このキャリア部材27は、ロータ軸24とともに回転する一方、ロータ軸24の軸方向に移動を許容される。各遊星ローラ25には、キャリア部材27のフランジを貫通しキャリア部材27に支持された支持軸28がそれぞれ挿入され、各遊星ローラ25は、それぞれの支持軸28に針状ころ軸受29を介して回転可能に支持されるとともに、キャリア部材27のフランジとの間に配置したスラスト玉軸受30によりキャリア部材27に対しても回転可能に支持されている。
【0044】
このような構成により、ロータ軸24が回転すると、キャリア部材27および支持軸28がロータ軸24を中心に回転し、これに伴って各遊星ローラ25はロータ軸24の周りを自転しながら公転することが可能になる。
【0045】
さらに、各遊星ローラ25は、ロータ軸24の周りを自転しながら公転するのに伴って、軸方向に移動するように構成される。具体的には、各遊星ローラ25が転接する外輪部材22の内周面には、2条の螺旋溝が設けられ、各螺旋溝に角形断面の条部材が周着される。これらの条部材で外輪部材22の内周面に2条の螺旋凸条23が形成される。一方、各遊星ローラ25の外周面には、外輪部材22の螺旋凸条23と等しいピッチでリード角が異なる台形断面の1条の螺旋溝26が設けられる。
【0046】
このような構成により、各遊星ローラ25は、その螺旋溝26が外輪部材22の螺旋凸条23と噛み合い、ロータ軸24の回転に伴って自転しながら公転する過程で軸方向に移動し、直線運動することが可能になる。このとき、ロータ軸24の回転量に対する遊星ローラ25の直線移動量は、螺旋凸条23と螺旋溝26のリード角の差によって定まり、そのリード角の差を小さくするほど、遊星ローラ25の直線移動量が小さくなり、その結果、直線運動の減速率が大きくなり、直線運動の駆動力を増力することができる。
【0047】
各遊星ローラ25が自転しながら公転しつつ軸方向に移動するのに伴い、各遊星ローラ25とともにキャリア部材27が軸方向に移動する。キャリア部材27には、直線駆動部材31がスラスト玉軸受32を介して支持され、この直線駆動部材31には、前記図1に示す後側のブレーキパッド8bが連結される。これにより、各遊星ローラ25の直線運動がキャリア部材27を介して直線駆動部材31に伝達され、後側のブレーキパッド8bをスイッチブレーキディスク6に向け直線駆動させることができる。
【0048】
なお、各遊星ローラ25の外周面、および各遊星ローラ25が転接する外輪部材22の外周面とロータ軸24の外周面は、耐摩耗性を確保するために表面硬化処理を施され、これらの転接面には潤滑グリスが充填されている。また、ケーシング21の内部は、直線駆動部材31の外周と外輪部材22との隙間に装着された可撓性を有するブーツ33で封止され、ロータ軸24が貫通する直線駆動部材31の内側は、膜状シール34で封止されている。
【0049】
図2に示す電動式直動アクチュエータ9では、外輪部材22の螺旋凸条23を2条とし、遊星ローラ25の螺旋溝26を1条としているが、これは、螺旋凸条23を多条とすることにより、両者のリード角の差の設定自由度を拡大できるからである。ただし、これらの条数は、両者のピッチが等しくて両者が噛み合う限り、両者の間に設定するリード角の差に応じて任意に設定することができる。
【0050】
また、図2に示す電動式直動アクチュエータ9では、遊星ローラ25の螺旋溝26に対応して、外輪部材22の内周面に螺旋凸条23を設ける構成であるが、ロータ軸24の外周面に螺旋凸条を設ける構成に変更することもできる。
【0051】
さらに、図2に示す電動式直動アクチュエータ9では、遊星ローラ25の外周面に螺旋溝26を設ける構成であるが、螺旋溝26に代え、螺旋凸条23と等しいピッチでこれと噛み合う円周溝を設ける構成とすることもできる。
【0052】
3.スイッチブレーキによる衝撃を緩和する構成
本発明の減速装置では、上述の通り、制動と非制動を切替えるスイッチブレーキにディスクブレーキを採用し、このスイッチブレーキには、優れた応答性で補助ブレーキとしての制動力を発生させるために、非制動状態から制動状態に速やかに切替える機能が要求される。この要求から、スイッチブレーキは、主ブレーキで用いられるディスクブレーキのようにタイヤの回転をロックさせることなく数秒間でその回転を停止させるものとは異なり、スイッチブレーキディスクをブレーキパッドで強力に挟み込み、回転部材の回転を長くても1秒程度の瞬時に停止させる。
【0053】
この場合、非制動から制動への切替えに伴って回転部材の回転が急速に低下することから、特に、回転部材が停止した瞬間に、その反動でスイッチブレーキキャリパに過大な衝撃が加わり易い。この衝撃は、スイッチブレーキキャリパを支持するブラケット、さらにブラケットを支持する車両の非回転部にも加わり、耐久性に支障を来たすおそれがある。
【0054】
このため、本発明の減速装置においては、スイッチブレーキによる衝撃を緩和する方策を講じることが好ましい。以下に、本発明の減速装置で適用することができる構造上の方策と、制御上の方策について、順に説明する。
【0055】
3−1.構造上の衝撃緩和策
図3は、スイッチブレーキによる衝撃に対する構造上の緩和策の一例を示す模式図である。同図では、減速装置を前方から軸方向視した状態において、スイッチブレーキキャリパのブレーキパッド8a、8bを表示し、このブレーキパッド8a、8bとの配置関係で、回転部材(ステータ)のスイッチブレーキディスク6を点線で示すとともに、その回転方向を矢印で示している。後述する図4および図5でも同様に示す。
【0056】
図3に示すように、ブレーキパッド8a、8bとともにスイッチブレーキキャリパを支持するブラケット17は、左右の側部からそれぞれアーム部41が突出する。各アーム部41は、車両シャーシと一体のクロスメンバー42に、ショックマウントブッシュ43および座金44を介し、ボルト45とナット46による締結で固定される。ショックマウントブッシュ43は、ゴムやウレタンなどの弾性材である。
【0057】
図3に示す構成によれば、制動時に、スイッチブレーキディスク6(回転部材)の停止に伴って生じる衝撃は、ショックマウントブッシュ43の弾性変形によって吸収され、緩和することができる。
【0058】
図4は、スイッチブレーキによる衝撃に対する構造上の緩和策の別例を示す模式図であり、図5は、そのさらなる別例を示す模式図である。図4および図5に示すように、ブラケット17は、左右の側部のうちの一方の側部からアーム部51が突出する。アーム部51は、車両シャーシに設けたステイ52に固定される。
【0059】
図4に示す構成では、リターン機能付きのショックアブソーバ54をステイ52に取り付け、アーム部51は、そのショックアブソーバ54の先端に当接するとともに、ステイ52から突き出す鉤状の突片53を宛がわれて保持される。ショックアブソーバ54には、オリフィス式のものやシリコンラバー内蔵式のものを採用できる。
【0060】
図5に示す構成では、アーム51は、ステイ52との間にコイルばね55を配置し、ボルト56とナット57による締結でステイ52に固定される。
【0061】
図4、図5に示す構成によれば、制動時に、スイッチブレーキディスク6(回転部材)の停止に伴って生じる衝撃は、ショックアブソーバ54、コイルばね55によって吸収され、緩和することができる。
【0062】
3−2.制御上の衝撃緩和策
スイッチブレーキによる回転部材(ステータ)の停止に伴って生じる衝撃を緩和するには、回転部材が停止する直前で、その回転速度の急激な低下を緩め、回転速度の時間的変化を抑えることが有効である。これは、電動モータに印加する電流を制御することにより実現することが可能である。この電動モータの電流制御の方法は、電動式直動アクチュエータに保持機能があるか否かによって若干異なる。
【0063】
アクチュエータの保持機能とは、制動時に、電動モータに電流を印加することによりアクチュエータが作動し、ブレーキパッドが直線運動により進出してスイッチブレーキディスクに押圧力を発生させるが、その後に電流印加を止めたときに、ブレーキパッドの位置が維持されてその押圧力が保持される機能のことをいう。保持機能がある場合は、電動モータに正負が逆の電流を印加することにより、ブレーキパッドが逆方向に直線運動して後退し、押圧力が解除される。保持機能がない場合は、電動モータへの通電を止めると、押圧力の反力でブレーキパッドが自然に後退し、押圧力が解除される。
【0064】
アクチュエータの保持機能は、例えば、前記図2に示す遊星ローラ機構のアクチュエータの場合、螺旋凸条23と螺旋溝26のリード角の差を0.3°以下と小さく設定すると発現する。ボールねじ機構やボールランプ機構のアクチュエータの場合も同様に、ねじのリード角やカム面の傾斜角を小さく設定すると保持機能が発現する。前記図2に示すアクチュエータは、螺旋凸条23と螺旋溝26のリード角の差を小さく設定して、直線運動の駆動力を増力させるものであることから、保持機能を有する。以下に、電動モータの制御上の衝撃緩和策について、アクチュエータに保持機能がある場合とない場合とに分けて説明する。
【0065】
(1)アクチュエータに保持機能がある場合
図6は、アクチュエータに保持機能がある場合のスイッチブレーキによる衝撃に対する制御上の緩和策の一例を説明するタイムチャートであり、同図(a)は回転部材(ステータ)の回転速度、同図(b)は電動モータへの印加電流値、同図(c)はアクチュエータの押圧力、同図(d)は制動力をそれぞれ示している。
【0066】
図6(a)にa点で示すように、回転部材(ステータ)が車両の回転軸および制動ディスク(ロータ)とともに回転している非制動状態から制動状態に切替えるとき、図6(b)に実線で示すように、電動モータに所定の電流値Iで電流を印加する。このとき、制動切替え時点での回転部材の回転速度に応じて、電動モータへの適正な印加電流値Iを設定する。これにより、アクチュエータが作動してブレーキパッドが進出し、図6(c)に実線で示すように、スイッチブレーキディスクに対してアクチュエータの押圧力が発生する。これに伴い、図6(a)に実線で示すように、回転部材の回転速度が低下し、これと同時に制動ディスクと回転部材の間に回転速度差が生じることから、図6(d)に示すように、制動ディスクに制動力が発生する。
【0067】
押圧力が所定の押圧力Pに達した後、図6(b)に実線で示すように、電動モータへの電流印加を止める。このとき、アクチュエータに保持機能があるため、図6(c)に実線で示すように、アクチュエータの押圧力がそのまま維持される。これに伴い、図6(a)に実線で示すように、さらに回転部材の回転速度が低下し、ついには、図6(a)のc点で示すように、回転部材が停止する。制動ディスクには、停止した回転部材との回転速度差により、継続して制動力が発生する。
【0068】
この状態から非制動に切替えるときは、図6(b)に示すように、電動モータに制動時の印加電流とは正負が逆の電流を印加する。これにより、アクチュエータが作動してブレーキパッドが後退し、図6(c)に示すように、アクチュエータの押圧力が解除され、非制動状態となる。
【0069】
このような制動への切替えに際し、応答性よく切替えを行い、回転部材の停止に伴って生じる衝撃を緩和するには、電動モータに印加する電流値を適正に設定することが重要である。
【0070】
例えば、図6(b)に破線で示すように、電動モータへの印加電流値を比較的低く設定した場合、図6(c)に破線で示すように、アクチュエータの押圧力が不十分となる。この場合、図6(a)に破線で示すように、回転部材の回転低下速度の変化が緩やかになり、回転部材を短時間で停止させることができない。
【0071】
また、図6(b)に一点鎖線で示すように、電動モータへの印加電流値を比較的高く設定した場合は、図6(c)に一点鎖線で示すように、アクチュエータの押圧力が過度に大きくなる。この場合、図6(a)に一点鎖線で示すように、回転部材の回転低下速度の変化が大きくなり、極めて短時間で回転部材を停止させることができる反面、その反動で衝撃が著しくなる。
【0072】
これらに対し、図6(b)に実線で示すように、電動モータに印加する電流値を適正な電流値Iに設定した場合、図6(c)に実線で示すように、アクチュエータの押圧力が適度な押圧力Pになる。この場合、図6(a)に実線で示すように、回転部材の回転速度が急速に低下した後、回転部材が停止する直前で、その回転低下速度の変化が緩やかになる。これにより、応答性よく切替えを行うことができ、回転部材の停止に伴って生じる衝撃を緩和することができる。
【0073】
ここで、回転部材の回転速度を急速に低下させると同時に、回転部材が停止する直前でその回転低下速度の変化を緩やかにすることが可能なアクチュエータの押圧力は、制動切替え時点での回転部材の回転速度に依存する。このため、電動モータへの適正な印加電流値を設定するにあたり、制動切替え時点での回転部材の回転速度ごとに、適正な押圧力を把握する必要がある。
【0074】
図7は、アクチュエータの適正な押圧力を把握するために制動ディスクと回転部材との回転速度差とトルクの相関を示す模式図である。同図に示す制動ディスク(ロータ)と回転部材(ステータ)との回転速度差は、制動切替え時点での回転部材の回転速度にも該当する。同図に破線で示すように、制動ディスクに発生する制動力に基づく制動トルクは、制動ディスクと回転部材との相対的な回転速度差が大きくなるのに伴って増加し、その回転速度差がある程度大きくなると飽和しほぼ一定になる。
【0075】
回転部材を停止させる場合、アクチュエータの押圧力によって発生するスイッチブレーキトルクとしては、少なくとも、制動トルクを超えるトルクが必要であり、さらに、制動切替え時点での回転部材の回転速度によって生じる慣性力に基づく慣性トルクを加えたトルクが必要である。但し、スイッチブレーキトルクが大き過ぎると、回転部材の停止に伴って過大な衝撃が生じる。
【0076】
これらのことから、スイッチブレーキトルクは、図7に範囲を斜線で示すように、制動切替え時点での回転部材の回転速度に対応して生じる制動トルクを基準とし、その制動トルクの120%以上で150%以下の範囲内とするのが好ましい。そして、アクチュエータの適正な押圧力は、その範囲内のスイッチブレーキトルクを発生させるものとし、その押圧力に対応して電動モータへの印加電流値を設定する。
【0077】
(2)アクチュエータに保持機能がない場合
図8は、アクチュエータに保持機能がない場合のスイッチブレーキによる衝撃に対する制御上の緩和策の一例を説明するタイムチャートであり、同図(a)は回転部材(ステータ)の回転速度、同図(b)は電動モータへの印加電流値、同図(c)はアクチュエータの押圧力、同図(d)は制動力をそれぞれ示している。
【0078】
アクチュエータに保持機能がない場合の制御は、上述した保持機能がある場合と以下の点で相違する。
【0079】
図8(a)に示すa点で電動モータに所定の電流値Iで電流を印加した後、同図にb点で示すように、所定の時間が経過したとき、図8(b)に示すように、電動モータへの印加電流値を下げる。これにより、アクチュエータに保持機能がないことから、図8(c)に示すように、アクチュエータの押圧力が低下する。これに伴い、図8(a)に示すように、回転部材の回転低下速度の変化が緩やかになり、同図のc点で回転部材が停止する。
【0080】
これにより、回転部材の回転速度が急速に低下した後、回転部材が停止する直前で、その回転低下速度の変化が緩やかになるため、応答性よく切替えを行うことができ、回転部材の停止に伴って生じる衝撃を緩和することができる。図8に示す制御の場合、図7に示す制御の場合よりも、制動切替え時の印加電流値Iを大きく設定することができる。
【0081】
また、図8(a)に示すb点で電動モータへの印加電流値を下げるに際し、時間経過に代え、回転部材の回転速度が所定の回転速度に低下したときに、印加電流値の引き下げを行ってもよい。
【0082】
アクチュエータに保持機能がない場合、図8(b)に示すように、電動モータへの電流印加を止めると、アクチュエータの押圧力が解除されて直ちに非制動状態となるため、回転部材が停止した後であっても、制動中は電動モータへの電流印加を継続する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の渦電流式減速装置によれば、装置の小型化を実現することが可能であり、しかも、圧縮空気タンクなどを格別に搭載しない中小型車両であっても容易に導入することができる。従って、本発明の渦電流式減速装置は、あらゆる車両の補助ブレーキとして極めて有用である。
【符号の説明】
【0084】
1:制動ディスク、 2:放熱フィン、 3:回転部材、
4:磁石保持ディスク、 5:永久磁石、 6:スイッチブレーキディスク、
7:スイッチブレーキキャリパ、 8a、8b:ブレーキパッド、
9:電動式直動アクチュエータ、 10:電動モータ、 11:回転軸、
12:連結軸、 13:スリーブ、 14:ナット、
15a、15b:軸受、 16a、16b:シール部材、
17:ブラケット、 18:軸受、 19a、19b:シール部材、
21:ケーシング、 22:外輪部材、 23:螺旋凸条、
24:ロータ軸、 25:遊星ローラ、 26:螺旋溝、
27:キャリア部材、 28:支持軸、 29:針状ころ軸受、
30:スラスト玉軸受、 31:直線駆動部材、 32:スラスト玉軸受、
33:ブーツ、 34:膜状シール、
41:アーム部、 42:クロスメンバー、
43:ショックマウントブッシュ、 44:座金、
45:ボルト、 46:ナット、
51:アーム部、 52:ステイ、 53:突片、
54:ショックアブソーバ、 55:コイルばね、
56:ボルト、 57:ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の回転軸に固定される制動ディスクと、
前記制動ディスクの主面に対向して円周方向にわたり磁極が交互に異なって配置される永久磁石と、
前記永久磁石を保持するととともにスイッチブレーキディスクを有し、前記回転軸に回転可能に支持される回転部材と、
前記スイッチブレーキディスクを間に挟むブレーキパッドを有し、車両の非回転部に固定されるスイッチブレーキキャリパと、
電動モータの回転運動を直線運動に変換して前記ブレーキパッドを直線駆動させる電動式直動アクチュエータと、を備えたことを特徴とする渦電流式減速装置。
【請求項2】
前記電動式直動アクチュエータは、前記電動モータの主軸と一体で回転するロータ軸の外周面と、前記ロータ軸を同心状に包囲する外輪部材の内周面と、の間に複数の遊星ローラを介在させ、前記ロータ軸の回転に伴って前記各遊星ローラが前記ロータ軸の周りを自転しながら公転する構成であり、前記ロータ軸の外周面または前記外輪部材の内周面に螺旋凸条を設けるとともに、前記各遊星ローラの外周面に、前記螺旋凸条と等しいピッチで前記螺旋凸条が噛み合う円周溝、または前記螺旋凸条と等しいピッチでリード角が異なり前記螺旋凸条が噛み合う螺旋溝を設けて成り、
前記各遊星ローラが前記ロータ軸の回転に伴って前記ロータ軸の周りを自転しながら公転しつつ軸方向に移動し、前記各遊星ローラの軸方向移動に伴って前記ブレーキパッドを直線駆動させることを特徴とする請求項1に記載の渦電流式減速装置。
【請求項3】
前記スイッチブレーキキャリパが車両の非回転部に対し緩衝材を介して固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の渦電流式減速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−97696(P2011−97696A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247732(P2009−247732)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】