説明

温感性透明起泡洗浄剤組成物

【課題】使用に際して温感を有し、水を加えて泡立たせることができる透明な洗浄剤組成物、即ち、温感性透明起泡洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】組成物の総重量を基準として、多価アルコールを60重量%以上、ポリグリセリン骨格を有し、前記多価アルコールに水分なしで透明溶解する1種以上の非イオン性界面活性剤を1〜40重量%含有し、且つ、水分量を0重量%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用に際して温感を有し、水を加えて泡立たせることができる透明均一な洗浄剤組成物、即ち、温感性透明起泡洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚への温感作用による血行促進でマッサージ効果が得られるとともに、皮膚上の汚れや皮脂の洗浄を行うことが可能な皮膚洗浄剤組成物が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の皮膚洗浄剤組成物は、多価アルコールと、温感付与物質と、アミノ酸系アニオン界面活性剤とが配合されたものであり、使用時には、多価アルコールと水分との水和熱によって皮膚に温熱感をもたらすことできる上、アミノ酸系アニオン界面活性剤によって皮膚上の汚れや皮脂を洗浄することができるとしている。
【0004】
一方、皮膚洗浄剤においては、清浄感、扱いやすさなどの観点から、透明液状や透明粘性液状のものが市場において高く評価されており、上記したような温感作用によるマッサージ効果を兼ね備えた皮膚洗浄剤においても、透明均一であることが強く要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−163767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の皮膚洗浄剤組成物は、水和することにより発熱する多価アルコールへの、アミノ酸系アニオン性界面活性剤やラウリルアミノジ酢酸ナトリウムやポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムやベタイン型両性界面活性剤等のイオン性界面活性剤の溶解性が悪い為、水溶液になっている界面活性剤を多く配合する必要があり、実際上は水分量が多い組成物にならざるを得ず強い温感を得ることができなかった。また、強い温感を得るために水分を少なくすると、イオン性界面活性剤が析出し、不透明不均一となってしまっていた。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、皮膚に強い温感をもたらすことができ、且つ、水を加えて泡立たせることができる透明均一な洗浄剤組成物、即ち、温感性透明起泡洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、ポリグリセリン骨格を有する非イオン性活性剤が水分なしで多価アルコールに透明溶解すること、さらには、ポリグリセリン骨格を有する非イオン性界面活性剤と多価アルコールを含有する組成物が水を加えて泡立たせることができるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物は、組成物の総重量を基準として、多価アルコールを60重量%以上、ポリグリセリン骨格を有する1種以上の非イオン性界面活性剤を1〜40重量%含有し、且つ、水分量が0重量%であることを特徴とする。
【0010】
あるいは、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物は、組成物の総重量を基準として、多価アルコールを60重量%以上、ポリグリセリン骨格を有する1種以上の非イオン性界面活性剤を1〜40重量%含有し、且つ、水分量が10重量%以下であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物では、前記非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有してもよい。
【0012】
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物では、前記非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリンアルキルエーテルを含有してもよい。
【0013】
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物では、前記非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリンアルキルエーテルを含有してもよい。
【0014】
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物では、組成物の総重量を基準として、カルボキシビニルポリマーを0.01〜2.0重量%含有してもよい。
【0015】
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物では、組成物の総重量を基準として、下記一般式(1)
【0016】
【化1】

【0017】
(但し、式中において、Rはアルキル基を示し、R’は、ステアリル基を表す。また、x、y、z、及びnは、それぞれ、1以上の整数を表す。)で示される(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマーを0.1〜5.0重量%含有してもよい。
【0018】
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物では、組成物の総重量を基準として、シリコーン系界面活性剤を0.1〜5.0重量%含有してもよい。
【0019】
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物では、組成物の総重量を基準として、油分を0.01〜5.0重量%含有してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、皮膚に強い温感をもたらすことができ、且つ、水を加えて泡立たせることができる透明均一な洗浄剤組成物、即ち、温感性透明起泡洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の温感性透明起泡洗浄剤組成物は、多価アルコールと、ポリグリセリン骨格を有する1種以上の非イオン性界面活性剤とを必須成分として含有する。
【0023】
<多価アルコール>
多価アルコールとしては、一般的に公知の多価アルコールをいずれも使用することができ、具体的には、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、イソプレングリコール、1,2―ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール等を使用することができる。なお、これらの多価アルコールは、単独で使用されても、2種以上が併用されて使用されてもよい。
【0024】
これらの多価アルコールは、本発明の温感性透明起泡洗浄剤組成物の使用時、皮膚の水分との水和熱によって皮膚に温感をもたらす。このため、本発明において、多価アルコールの含有量は、皮膚の水分との水和熱によって皮膚に温感をもたらすことができる量とされていればよく、具体例としては、組成物全体に対して、60重量%以上であることが好ましく、75重量%以上であることが特に好ましい。多価アルコールの含有量が組成物全体に対して60重量%未満である場合、皮膚に十分な温感をもたらすことができないおそれがある。
【0025】
<非イオン性界面活性剤>
本発明において使用される非イオン性界面活性剤は、ポリグリセリン骨格を有する構造のもの、即ち、多価アルコールに水分なしで透明溶解し、他の成分との配合により起泡性を有するものであれば、特に限定されるものではない。なお、非イオン性界面活性剤が水分なしで多価アルコールに透明溶解しているか否かは、目視による判断の他、非イオン性界面活性剤を多価アルコールに水分なしで溶かした溶液を室温にて日本電色社製の色差計SE2000を用いて測定したときのL値が90以上、より好ましくは95以上であるか否かで判断することができる。
【0026】
本発明において、ポリグリセリン骨格を有する非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテルを挙げることができる。ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリンアルキルエーテルは、起泡性を有する上、多価アルコールに水分なしで透明溶解する。
【0027】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、炭素数が8〜22の飽和、不飽和または分岐のアルキル基の脂肪酸と、重合数が2〜12のポリグリセリンとのエステルが好ましく、具体例としては、デカグリセリンモノカプリン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグルセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンジラウリン酸エステル、デカグリセリンジミリスチン酸エステル、ペンタグリセリンモノカプリン酸エステル、ペンタグリセリンモノラウリン酸エステル、ペンタグリセリンモノミリスチン酸エステル、ペンタグリセリンモノパルミチン酸エステル、ペンタグリセリンモノオレイン酸エステル等を挙げることができる。
【0028】
また、ポリグリセリンアルキルエーテルの具体例としては、炭素数が8〜22の飽和、不飽和または分岐のアルキル基が、重合数が2〜12のポリグリセリンとエーテル結合したものが好ましく、具体例としては、テトラグリセリンデシルエーテル、テトラグリセリンラウリルエーテル、テトラグリセリンミリスチルエーテル、テトラグリセリンパルミチルエーテル、テトラグリセリンオレイルエーテル、ヘキサグリセリンデシルエーテル、ヘキサグリセリンラウリルエーテル、ヘキサグリセリンミリスチルエーテル、ヘキサグリセリンパルミチルエーテル、ヘキサグリセリンオレイルエーテル等を使用することができる。また、このようなポリグリセリンアルキルエーテルは、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルと比べて、目にしみにくいことから、顔用の温感性透明起泡洗浄剤組成物への配合に好適である。
【0029】
上記した非イオン性界面活性剤は、単独で使用されても、2種以上が併用されて使用されてもよい。
【0030】
また、本発明において、上記した1種以上の非イオン性界面活性剤の総含有量は、上記した多価アルコールに溶かすことができ、且つ組成物が皮膚に対する洗浄性をもたらすことができる量とされていればよく、組成物全体に対して、1〜40重量%であることが好ましく、3.0〜20.0重量%であることがより好ましい。上記非イオン性界面活性剤の含有量が組成物全体に対して、1重量%未満である場合には、十分な洗浄性を得ることができないおそれがあり、40重量%よりも多い場合には、洗浄力が強すぎたり、刺激感を感じたりするおそれがある。
【0031】
<増粘剤>
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物には、組成物に増粘性を付与する目的で、増粘剤が配合されていてもよい。増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、及び上記一般式(1)で表される(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマーを挙げることができる。特に、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマーは、増粘性に優れ、且つ上記多価アルコールに溶けやすいことから、本発明において好適に使用できる。
【0032】
組成物に増粘性を付与する場合に配合されるカルボキシビニルポリマーの含有量は、組成物全体に対して0.01〜2.0重量%であることが好ましい。カルボキシルポリマーの含有量が、組成物全体に対して、0.01重量%未満である場合には、十分な増粘性を得ることができないおそれがあり、2.0重量%より多い場合には、粘度が高すぎて使用中ののびが悪くなるおそれがある。
【0033】
組成物に増粘性を付与する場合に配合される(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマーの含有量は、組成物全体に対して0.1〜5.0重量%であることが好ましい。(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマーの含有量が、組成物全体に対して、0.1重量%未満である場合には、十分な増粘性を得ることができないおそれがあり、5.0重量%より多い場合には、粘度が高すぎて使用中ののびが悪くなるおそれがある。
【0034】
カルボキシビニルポリマー及び(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマーの中和剤としては、通常、増粘のために用いられる塩基性物質を問題なく使用することができる。
【0035】
例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等を挙げることができる。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等無機電解質の溶解にはごく微量の水を用いてよい。
【0036】
<シリコーン系界面活性剤>
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物には、シリコーン系界面活性剤が配合されていてもよい。シリコーン系界面活性剤の配合によれば、組成物に油性のメイクアップ化粧品を落とす効果が付与される。
【0037】
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサンを骨格とし、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン基が付加したものであればよく、具体例としては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサンコポリマー、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサンコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルポリシロキサン・ポリオキシプロピレンアルキルポリシロキサン・ジメチルポリシロキサンコポリマー、メチルポリシロキサン・アルキルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサンコポリマー等が挙げられる。
【0038】
メイク落とし効果を付与する場合に配合されるシリコーン系界面活性剤の含有量は、組成物全体に対して0.1〜5.0重量%であることが好ましい。シリコーン系界面活性剤の含有量が、組成物全体に対して0.1重量%未満である場合には、十分なメイク落とし効果を得ることができないおそれがあり、5.0重量%より多い場合には、系への溶解が不十分となり不透明不均一になるおそれがある。
【0039】
<油分>
また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物には、油分の配合により、メイク落とし効果が付与されていてもよい。
【0040】
油分としては、公知のものをいずれも使用することができ、例えば、流動パラフィン、イソパラフィン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、各種植物油、スクワラン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ミリスチン酸ミリスチル、コハク酸ジエトキシエチル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等を使用することができる。
【0041】
メイク落とし効果を付与する際に配合される油分の含有量は、組成物全体に対して0.01〜5.0重量%であることが好ましい。油分の含有量が、組成物全体に対して0.01重量%未満である場合には、十分なメイク落とし効果を得ることができないおそれがあり、5.0重量%より多い場合には、界面活性剤により可溶化されず、不透明不均一になるおそれがある。
【0042】
<水分量>
本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物中の水分量は、10重量%以下であることが強い温感を得るために必須である。より好ましくは5重量%以下である。
【0043】
水分量が、10重量%より多いと、組成物中で多価アルコールと水とが製造時に反応して水和熱が発生するために、使用時に発生する水和熱が少なく、皮膚に十分な温感が得られなくなる。逆に言えば、水分量が少ない程、使用時に十分な水和熱が発生し、皮膚に十分な温感が得られるため、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物中の水分量は少ない程よく、0重量%であることが特に好ましい。
【0044】
<その他成分>
本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、洗浄剤組成物に通常配合される成分、例えば、EDTA塩やヘキサメタリン酸塩等の金属イオン封鎖剤、殺菌剤、防腐剤、消炎剤等各種薬剤、顆粒、カプセル、色素、香料等が配合されていてよい。
【0045】
上記したような本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物は、例えば、ボトル式、ポンプ式、及びチューブ式等の各種の容器に充填して保存することができる。また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物は、温感性と起泡性を有しているため、皮膚に塗布してマッサージすることにより、温感作用による血行促進効果を得ながら、皮膚上の汚れや皮脂の洗浄を行うことができ、また、マッサージ終了後には、水を加えて泡立てて洗い流すことにより、さっぱり感を得ることができる。また、本発明に係る温感性透明起泡洗浄剤組成物は、透明均一であるため、清浄感があり、扱い易く、市場価値が高い。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
<実施例1〜8及び比較例1〜6>
表1及び表2に示す配合成分及び配合量で実施例1〜8及び比較例1〜6に係る洗浄剤組成物を、次に示す用法により調製した。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
即ち、実施例1〜4及び比較例1に係る洗浄剤組成物は、ポリエチレングリコール400、濃グリセリン、及び1,3−ブチレングリコールから選択される2種以上の多価アルコールを混合した多価アルコール混合液に、デカグリセリンラウリン酸エステル及びテトラグリセリンラウリルエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を溶解することにより調製した。なお、実施例4に係る洗浄剤組成物には、さらに、精製水を加えた。
【0051】
また、実施例5に係る洗浄剤組成物は、多価アルコール混合液にテトラグリセリンラウリルエーテルを溶解した後、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサンコポリマー及び油分(オレンジ油)を添加溶解させ、さらに精製水を加えることにより調製した。
【0052】
また、実施例6及び比較例2〜3に係る洗浄剤組成物は、多価アルコール混合液にカルボキシビニルポリマーを溶解させた混合液にデカグリセリンラウリン酸エステル又はテトラグリセリンラウリルエーテルを溶解させた後、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサンコポリマー及び油分(オレンジ油)を添加溶解し、次いで、アルカリ(水酸化カリウム水溶液)で中和し、さらに精製水を加えることにより調製した。
【0053】
また、実施例7及び8に係る洗浄剤組成物は、濃グリセリンと(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマー液とを混合した溶液に、ポリエチレングリコール400を混合し、テトラグリセリンラウリルエーテルを溶解した後、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサンコポリマー及び油分(オレンジ油)を添加溶解し、次いで、アルカリ(水酸化カリウム水溶液)で中和し、さらに精製水を加えることにより調製した。なお、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマー液としては、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレスー20)コポリマーの水溶液、具体的には、日本エヌエスシー株式会社製のStructure2001(商品名)を使用した。
【0054】
また、比較例4〜6に係る洗浄剤組成物は、1,3−ブチレングリコール(多価アルコール)に、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム液(30%水溶液)、及びラウリン酸アミドプロピルベタイン液(30%水溶液)から選択される1種以上の界面活性剤と、精製水とを加えることにより調製した。さらに、比較例4に係る洗浄剤組成物には、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサンコポリマーを加えた。
【0055】
なお、表1及び表2において、水酸化カリウム水溶液、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマー液、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム液、及びラウリン酸アミドプロピルベタイン液については、それぞれ、括弧内に、洗浄剤組成物の総重量を基準とした水酸化カリウム水溶液、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマー液、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム液、又はラウリン酸アミドプロピルベタイン液に含まれる水の重量比率を示した。つまり、表1及び2中に総水分量として示される通り、実施例6の洗浄剤組成物は、0.05+8.65=8.7重量%の水分を実質的に含み、実施例7の洗浄剤組成物は、1.4+0.085+5=6.485重量%の水分を実質的に含み、実施例8の洗浄剤組成物は、7+0.43+2=9.43重量%の水分を実質的に含む。また、比較例2の洗浄剤組成物は、0.05+5=5.05重量%の水分を実質的に含み、比較例3の洗浄剤組成物は、0.05+29.05=29.1重量%の水分を実質的に含む。さらに、比較例4の洗浄剤組成物は、4.9+5.6+5=15.5重量%の水分を実質的に含み、比較例6の洗浄剤組成物は、16.8+3=19.8重量%の水分を実質的に含む。
【0056】
上記したようにして調製した実施例1〜8、及び比較例1〜6に係る洗浄剤組成物を試料として、「透明性」、「温感性」、及び「起泡性」を下記の評価基準により評価した。その結果を表1及び2に示した。
【0057】
まず、透明性は、日本電色社製色差計SE2000を用いて室温(25℃)条件下で試料のL値を測定し、下記評価基準により評価した。
【0058】
◎:透明性極めて良好(L値が95以上)。
○:透明性良好(L値が90以上95未満)。
△:透明性やや不良(L値が80以上90未満)。
×:透明性不良(L値が80未満、または、界面活性剤が析出)。
【0059】
また、温感性は、専門パネリスト10名により、試料の塗布時から洗い流し時までの効果を、下記評価基準により評価した。
【0060】
◎:10人中9人以上のパネリストが、十分な温感が得られると評価
○:10人中7〜8人のパネリストが、十分な温感が得られると評価
△:10人中5〜6人のパネリストが、十分な温感が得られると評価
×:10人中4人以下のパネリストが、十分な温感が得られると評価
【0061】
また、起泡性は、炭酸カルシウム70ppmの人工硬水により試料濃度10%水溶液を400ml調製し、この試料濃度10%水溶液400mlの起泡量を温度40℃の条件下で攪拌機つき円筒型シリンダーを用いて測定し、下記評価基準により評価した。
【0062】
◎: 泡立ち極めて良好(起泡量が2300ml以上)。
○: 泡立ち良好(起泡量が2000ml以上2300ml未満)。
△: 泡立ちやや不良(起泡量が1500ml以上2000ml未満)。
×: 泡立ち不良(起泡量1500ml未満)。
【0063】
表1及び2に示す結果より、実施例1〜8に係る洗浄剤組成物は、比較例1〜6に係る洗浄剤組成物と比較して透明性、及び温感性に優れていることが認められた。また、実施例1〜8に係る洗浄剤組成物は、比較例1〜6に係る洗浄剤組成物と同等以上の起泡性を有することが認められた。
【0064】
具体的には、ポリグリセリン骨格を有するポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリンアルキルエーテルは、それぞれ、多価アルコールへの透明溶解性が極めて高く、デカグリセリンラウリン酸エステル(ポリグリセリン脂肪酸エステル)、及びテトラグリセリンラウリルエーテル(ポリグリセリンアルキルエーテル)から選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を界面活性剤として含有する実施例1〜8に係る洗浄剤組成物は、多価アルコールに水分なしで透明溶解しないココイルグルタミン酸カリウム、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等を界面活性剤として含有する比較例4〜6に係る洗浄剤組成物と比べて、透明性に極めて優れていることが認められた。
【0065】
また、本発明に係る実施例1〜8に係る洗浄剤組成物は、水分量が10重量%以下と微量であり、水分量が10重量%より多い比較例1、3、4及び6と比べて、良好な温感性を有することが認められた。
【0066】
また、多価アルコールの含有量が60重量%未満の比較例2は、多価アルコールの含有量が60重量%以上の実施例1〜8と比べて、温感性に劣ることが認められた。
【0067】
以上のことから、実施例1〜8に係る洗浄剤組成物は、温感性透明起泡洗浄剤組成物として良好に適用できることが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量を基準として、
多価アルコールを60重量%以上、
ポリグリセリン骨格を有する1種以上の非イオン性界面活性剤を1〜40重量%含有し、
且つ、水分量が0重量%であることを特徴とする温感性透明起泡洗浄剤組成物。
【請求項2】
組成物の総重量を基準として、
多価アルコールを60重量%以上、
ポリグリセリン骨格を有する1種以上の非イオン性界面活性剤を1〜40重量%含有し、
且つ、水分量が10重量%以下であることを特徴とする温感性透明起泡洗浄剤組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の温感性透明起泡洗浄剤組成物であって、
前記非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする温感性透明起泡洗浄剤組成物。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の温感性透明起泡洗浄剤組成物であって、
前記非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリンアルキルエーテルを含有することを特徴とする温感性透明起泡洗浄剤組成物。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の温感性透明起泡洗浄剤組成物であって、
前記非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリンアルキルエーテルを含有することを特徴とする温感性透明起泡洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の温感性透明起泡洗浄剤組成物であって、
組成物の総重量を基準として、カルボキシビニルポリマーを0.01〜2.0重量%含有することを特徴とする温感性透明起泡洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の温感性透明起泡洗浄剤組成物であって、
組成物の総重量を基準として、下記一般式(1)
【化1】

(但し、式中において、Rはアルキル基を示し、R’は、ステアリル基を示す、また、x、y、z、及びnは、それぞれ、1以上の整数を表す。)で示される(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス)コポリマーを0.1〜5.0重量%含有することを特徴とする温感性透明起泡洗浄剤組成物。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の温感性透明起泡洗浄剤組成物であって、
組成物の総重量を基準として、シリコーン系界面活性剤を0.1〜5.0重量%含有することを特徴とする温感性透明起泡洗浄剤組成物。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の温感性透明起泡洗浄剤組成物であって、
組成物の総重量を基準として、油分を0.01〜5.0重量%含有することを特徴とする温感性透明起泡洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−106258(P2010−106258A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220872(P2009−220872)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(593170702)株式会社ピーアンドピーエフ (27)
【Fターム(参考)】