説明

測定装置、および測定システム

【課題】従来の測定装置等においては、生体内の情報を正確に測定できないという課題があった。
【解決手段】生体内に配置される測定装置であって、測定の対象となる物理量を受け付ける受付手段1011と、当該受付手段1011が受け付けた結果に対応した信号である検知信号を取得する信号取得手段1012とを有するセンサー部101と、検知信号を、無線により外部に出力する信号出力部102と、少なくとも、センサー部101の信号取得手段1012と、出力部102とを密封する容器106とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に配置される測定装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の測定装置としては、生体内に、測定装置本体に接続されたセンサーやカテーテル等を挿入し、これらのセンサーやカテーテルを介して得られる情報を、測定装置本体において測定するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2005−511111号公報(第15−18頁、第14−19図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の測定装置等においては、測定装置本体に接続したセンサーやカテーテル等を利用して生体内の情報を測定するため、測定時には、生体外に配置された測定装置本体に接続したセンサーやカテーテル等の先端部等を、生体内に挿入しておく必要があった。このため、例えば、人間の生体内の情報を測定する際には、測定の対象者は、センサーやカテーテル等がはずれないように、ベッドに横になった状態でいることを強いられる等、行動が拘束され、日常の同様の動作を送ることができなかった。この結果、日常生活を送っている状態等での生体内の情報を、正確に測定することができない、という課題があった。
【0004】
また、センサーやカテーテル等が挿入された状態で測定が行なわれるため、生体に対して、心理的なストレスや、肉体的なストレスを与えてしまい、生体が通常と異なる状態となり、正確な生体内の情報を測定できない、という課題があった。
【0005】
例えば、排尿障害等を有する患者の診断のために、膀胱内圧を測定する場合を考えると、従来の人間の膀胱内圧を測定する測定装置においては、カテーテル等を尿道内に挿入しておく必要がある。しかしながら、このような状態では、患者は、日常のように歩き回ったり、座ったり立ったり等を繰り返したりすることはできないことから、日常生活とは異なる、安静にした状態での膀胱内圧の情報を測定することとなってしまう。このようにして得られた結果は、日常生活を送っている状態での膀胱内圧の変化とは、異なってしまう恐れがある。この結果、患者の日常生活を送っている状態での、膀胱内圧の変化を正確に把握することができず、診断を適切に下せない可能性がある。また、測定時には、尿道にカテーテル等が常時挿入されていることにより、同時に尿流量測定に人為的な修飾が加わるとともに、患者が、心理的なストレスを受けたり、肉体的な痛みや、違和感を感じる場合が多い。この結果、これらの影響により、膀胱が通常とは異なる状態となり、膀胱内圧の情報と排尿効率との相関とを正確に測定できないことが考えられ、この結果、患者の診断を適切に下せないことが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の測定装置は、生体内に配置される測定装置であって、測定の対象となる物理量を受け付ける受付手段と、当該受付手段が受け付けた物理量に対応した信号である検知信号を取得する信号取得手段とを有するセンサー部と、前記検知信号を、無線により外部に出力する信号出力部と、少なくとも、前記センサー部の信号取得手段と、前記信号出力部とを密封する容器とを具備する測定装置である。
かかる構成により、生体の動作を拘束することがなく、また、測定装置による心理的なストレスや、肉体的なストレスを生体に対して与えにくくすることができ、生体内の情報を正確に測定することができる。また、無線により、リアルタイムに、測定データを得ることが可能となり、エラー等に対する対処を迅速に行なうことができる。
【0007】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、生体内に配置される測定装置であって、測定の対象となる物理量を受け付ける受付手段と、当該受付手段が受け付けた物理量に対応した信号である検知信号を取得する信号取得手段とを有するセンサー部と、前記検知信号を蓄積する蓄積部と、少なくとも、前記センサー部の信号取得手段と、前記蓄積部とを密封する容器とを具備する測定装置である。
かかる構成により、生体の動作を拘束することがなく、また、測定装置による心理的なストレスや、肉体的なストレスを生体に対して与えにくくすることができ、生体内の情報を正確に測定することができる。また、無線を送受信するための構造が不要とすることができ、装置を簡略化することができる。
【0008】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記容器には、外部に伸びる線状の部材である線状部材が取り付けられている測定装置である。
かかる構成により、測定装置を生体内に配置した状態で、線状部材の一端を生体外に配置することで、この一端を引っ張って、測定装置を容易に生体外に排出させることができる。
【0009】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記受付手段は、前記容器の外部に露出している測定装置である。
かかる構成により、生体や、生体内の液体や粘膜等に接した物理量の測定ができる
【0010】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記受付手段を覆う形状を有するプロテクターをさらに備えている測定装置である。
かかる構成により、受付手段に物体や生体等が直接接触することを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記測定装置は、生体内の液体内に配置され、当該測定装置の比重は、前記液体の比重以下である測定装置である。
かかる構成により、測定装置を液体内に沈まないようにして、液体を介した生体の物理量の測定ができるともに、生体外に排出されにくくすることができる。
【0012】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記測定装置は、生体内の液体内に配置され、当該測定装置は、前記液体に浮く構造を有している測定装置である。
かかる構成により、測定装置を液体内に沈まないようにして、液体を介した生体の物理量の測定ができるともに、生体外に排出されにくくすることができる。
【0013】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記受付手段が、前記容器の中心からずれた位置に配置されており、前記測定装置は、重心が、前記受付手段が配置されている側に位置している測定装置である。
かかる構成により、測定装置が激しく揺れたりした場合においても、測定装置の上部を、常に測定装置の上側に位置するようにできる。
【0014】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記容器内の下部に前記受付手段が配置されており、前記容器内の上部に空間が設けられている測定装置である。
かかる構成により、測定装置の上部を下部よりも軽くして、測定装置が激しく揺れたりした場合においても、測定装置の上部を、常に測定装置の上側に位置するようにできる。
【0015】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記受付手段は、前記容器の下部に配置されている測定装置である。
かかる構成により、測定装置の下部を重くして、測定装置が激しく揺れたりした場合においても、受付手段を、常に測定装置の下側に位置するようにできる。さらに、測定装置が液体内等に配置された場合、測定装置の受付手段が配置されている部分を常に液体内に配置でき、受付手段が、常に液体を介した生体の物理量を受け付けるようにできる。
【0016】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記受付手段は、圧力を受け付けるものである測定装置である。
かかる構成により、生体内の圧力を測定することができる。
【0017】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記測定装置は、外部から無線で送信される当該測定装置を制御する信号である制御信号を受信する受信部と、前記制御信号に基づいて当該測定装置の制御を行なう制御部とを具備する測定装置である。
かかる構成により、例えば測定装置の主となる電源のオンを生体外から操作でき、これにより、測定開始直前まで、測定装置の主となる電源をオフとしておくことができ、電源供給部の電源を、温存させることができる。
【0018】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、柔軟性を有する保護容器と、前記保護容器内に、前記容器とともに封入された液体またはゲルとを、さらに具備する測定装置である。
かかる構成により、測定装置が直接生体と接触させることができない部位においても、保護容器とゲルを介した、生体の物理量の測定が可能となる。
【0019】
また、本発明の測定装置は、前記測定装置において、前記保護容器には、外部に伸びる線状の部材が取り付けられている測定装置である。
かかる構成により、線状部材を引っ張ることで、測定装置を保護容器とともに、生体の外部に容易に排出させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による測定装置等によれば、生体内の情報を正確に測定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、測定装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における測定システムのブロック図である。この測定システムは、測定装置10と、情報処理装置20とを備えている。各装置は、無線による情報の送受信が可能である。各装置は、例えば、ブルートゥース(登録商標)等の無線通信や、無線LAN等で相互に接続されている。ただし、情報の送受信の手段は、通信手段でも、放送手段等でも良い。
【0023】
測定装置10は、センサー部101、信号出力部102、電源供給部103、受信部104、および制御部105を具備する。センサー部101は、受付手段1011および信号取得手段1012を具備する。
【0024】
情報処理装置20は、信号受信部201、蓄積部202、制御指示受付部203、および送信部204を具備する。
【0025】
測定装置10は、生体内に配置される。「生体」とは、生物の生きているからだのことである。「生物」とは、人間を含む動物や、植物等のことである。
【0026】
センサー部101は、測定の対象となる物理量を受け付け、受け付けた物理量に対応した信号である検知信号を取得する。「測定の対象となる物理量」とは、圧力、加速度、音、光、温度、pH、物質の濃度、流量、電流、電圧等であり、ここでは、特に生体内におけるこれらの物理量を指す。「物理量」とは、物理的な性質や状態を表現する量である。ここでは、「物理量」は、例えば、圧力、加速度、音、光、温度、pH、物質の濃度、流量、電流、電圧等を表現する量である。センサー部101は、具体的には、受け付けた物理量を、電気信号に変換する。このセンサー部の測定の対象となる物理量がどのような物理量であるかは問わない。なお、上述したような圧力、加速度、流量等の物理量を検知信号に変換するセンサーは、それぞれ、圧力センサー、加速度センサー、流量センサー等として、通常、知られており、これらの基本的な構造は公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0027】
なお、ここでは、特に、センサー部101が受付手段1011および信号取得手段1012を具備する場合について、例に挙げて説明する。
【0028】
受付手段1011は、測定の対象となる物理量を受け付ける。受付手段1011は、例えば、測定対象の物理量に応じて、形状や性質等が変化するものである。受付手段1011は、測定の際に必要であれば、生体や生体内に存在する物質等に、接する部分となる。受付手段1011は、例えば、圧力センサーや加速度センサーにおいては、ピエゾ抵抗を有する感圧ダイアフラムや、シリコン振動子等に相当する。
【0029】
信号取得手段1012は、受付手段1011が受け付けた物理量に対応した信号である検知信号を取得する。具体的には、信号取得手段1012は、受付手段1011が受け付けた物理量を、電気信号に変換する。例えば、信号取得手段1012は、受付手段1011の形状や性質の変化に対応した電気信号を取得する。例えば、受付手段1011がピエゾ抵抗を有する感圧ダイアフラムである場合、ダイアフラムへの圧力によってピエゾ抵抗に応力が働くことにより変化するピエゾ抵抗の抵抗値変化を、信号取得手段1012は、電気信号として取り出す。また、信号取得手段1012は、検知信号を増幅するアンプ等の増幅手段等を有していても良い。
【0030】
信号出力部102は、検知信号、具体的にはセンサー部101が取得した検知信号を、無線により外部に出力する。ここで述べる「外部」とは、容器106の外部のことであり、好ましくは、生体の外部のことである。なお、信号出力部102は、生体内に配置された容器106の外部の情報処理装置等に、検知信号を出力するようにしてもよい。信号出力部102は、検知信号をどのように外部に出力してもよい。例えば、信号取得手段1012が取得した検知信号をアナログ信号で送信しても良いし、検知信号をデジタル信号に変換して送信しても良い。また、検知信号を、パルス音等の音の信号等に変換して出力しても良い。なお、信号出力部102は、検知信号をデジタル信号として送信するために、センサー部101が取得したアナログの検知信号を、デジタル信号に変換するAD変換手段(図示せず)を備えていても良い。なお、AD変換手段は、上述したセンサー部101が有していても良い。信号出力部102は、検知信号を、例えば、所定の間隔、具体的には、一定の間隔あるいは不定期の間隔等で出力する。出力間隔等は、物理量の受け付けの精度や、物理量の受け付けに要する全時間、バッテリーの持続時間等から適宜決定し、設定しておく。信号出力部102は、例えば、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。例えば、信号出力部102は、無線の通信手段、具体的には、無線LAN等の通信手段、ブルートゥース等の近距離無線通信手段、或いは音の出力手段等により実現される。また、信号出力部102は、無線の放送手段により実現されてもよい。なお、信号出力部102は、検知信号を、測定装置10内に設けられた不揮発性のメモリ等の記憶媒体(図示せず)に対して出力して、検知信号を記憶媒体に蓄積するようにしても良い。出力とは、音出力、外部の装置への送信、記憶媒体等への蓄積等を含む概念である。また、信号出力部102は、検知信号を送信する際に利用するアンテナ等(図示せず)を有していても良い。信号出力部102は、例えばLSI(large scale integration)等の集積回路として実現可能である。
【0031】
電源供給部103は、センサー部101内の信号取得手段1012と信号出力部102とに電源を供給する。さらに、他の測定装置10内の処理部等に電源を供給しても良い。また、電源供給部103は、後述する制御部105からの指示等に基づいて、センサー部101や信号出力部102に供給する電源のオン、オフ等を切り替えられるようにしても良い。また、電源供給部103は、他の処理部に対する電源の供給の状況も切り替えられるようにしてもよい。また、電源供給部103は、制御部105からの指示以外の指示を受け付けることにより電源のオン、オフ等を行なうようにしても良い。例えば、電源供給部103に物理的に動作するスイッチを設け、このスイッチがオンされた場合に、電源供給部103は電源を供給するようにしても良い。なお、電源供給部103が電源のオンオフの制御を行なう構成を備えていない場合、センサー部101や信号出力部102が制御部105からの指示により電源供給部103からの電源の供給の制御等が可能なスイッチを備えているようにしてもよい。電源供給部103は、例えば電池や、電池及びスイッチング素子等により実現可能である。また、この電池は充電可能なものであっても充電できないものであってもよい。電池は、リチウム電池等、種類は問わない。ただし、電池は小型で、かつ電源を供給する持続時間の長いものが好ましい。なお、測定装置10内の回路等の消費電力が十分に少ない場合、いわゆるパッシブ型のRFIDタグにおける電源供給を行なう構成を電源供給部103の構成として、外部から送信される電波から電源を取り出して、測定装置10内の回路へ供給するようにしてもよい。なお、電波から電源を取り出すパッシブ型RFIDタグの構成については、公知技術であるのでここでは説明を省略する。
【0032】
受信部104は、外部から無線で送信される測定装置10を制御する信号である制御信号を受信する。ここでは特に、情報処理装置20から送信される制御信号を受信する。制御信号については後述する。受信部104は、無線の通信手段が好適であるが、放送を受信する手段でも実現可能である。受信部104は、例えば、無線LAN等の通信手段、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信手段等により実現される。また、受信部104は、制御信号を受信する際に利用するアンテナ等を有していても良い。受信部104は、例えば、LSI等の集積回路として実現可能である。また、受信部104と信号出力部102とを一つの集積回路等に集積してもよい。また、この場合、アンテナ等を共用してもよい。
【0033】
制御部105は、受信部104が受信した制御信号に基づいて、測定装置10の制御を行なう。具体的には、制御部105は、測定装置10内のセンサー部101や、信号出力部102や、電源供給部103や、受信部104を制御するための指示を、制御信号に基づいて出力する。例えば、受信部104が測定装置10を起動するための制御信号を受信した場合、制御部105は、電源供給部103に対して、センサー部101や、信号出力部102に電源を供給する指示を出力する。また、例えば、受信部104が測定装置10の出力する検知信号に対してキャリブレーションを行なう制御信号を受信した場合、制御部105は、信号取得手段1012の出力する検知信号のキャリブレーション、例えば、0点合わせや、制御信号に含まれる温度情報等に基づく信号取得手段1012が出力する検知信号の補正等、を行なってもよい。また、例えば、受信部104が、測定装置10が出力する検知信号のリセットを行なう制御信号を受信した場合、制御部105は、信号取得手段1012の出力する検知信号を、工場出荷時等の初期状態に戻したり、信号出力部102の出力開始時間をリセットしたりしても良い。また、受信部104の受信した制御信号に基づき、電源供給部103の電源の残量を出力させるようにしても良い。なお、センサー等が出力する検知信号のキャリブレーションやリセット等を行なう構成や方法等は、公知技術であるので、詳細な説明は省略する。制御部105は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。制御部105の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0034】
なお、測定装置10内に、検知信号を一時的に蓄積して、蓄積された検知信号を、制御部105の指示により、検知信号出力部102より出力する蓄積部(図示せず)等を設けるようにしても良い。これにより検知信号が、所定のタイミング等で出力されるよりも、省電力化が可能となり、測定装置10に組み込まれている電源供給部103の保持電力を小さくすることができ、電源供給部103の小型化を図ることができ、この結果、測定装置10の小型化を図ることができる。このような蓄積部は、検知信号等を記憶するためのメモリやハードディスク等の記憶媒体等を、蓄積部自身が有していてもいなくてもよい。また、記憶媒体は、不揮発性の記憶媒体であっても良いし、揮発性の記憶媒体であっても良い。また、記憶媒体は、着脱可能なフラッシュメモリ等の記憶媒体であってもよい。
【0035】
情報処理装置20は、通常、生体外に配置される。ただし、必要に応じて、一部あるいは全体が生体内に埋め込まれていても良い。
信号受信部201は検知信号を受信する。信号受信部201は、具体的には、測定装置10から無線により送信される検知信号を受信する。信号受信部201は、無線の通信手段が好適であるが、放送を受信する手段でも実現可能である。信号受信部201は、例えば、無線LAN等の通信手段、ブルートゥース等の近距離無線通信手段等により実現される。また、信号受信部201は、検知信号を受信する際に利用するアンテナ等を有していても良い。
【0036】
蓄積部202は、信号受信部201が受信した検知信号を蓄積する。蓄積部202は、受信した検知信号を、図示しないメモリやハードディスク等の、記憶媒体等に記憶する。蓄積部202は、これらの記憶媒体を有していてもいなくてもよい。記憶媒体は、不揮発性の記憶媒体であっても良いし、揮発性の記憶媒体であっても良い。ただし、ここで述べる「蓄積」とは、信号の送信や受信等を行なう際の、メモリ等の記憶媒体に対する、データの一時的な記憶も含む概念である。
【0037】
制御指示受付部203は、測定装置10を制御する指示である制御指示を受け付ける。測定装置10を制御する指示は、例えば、測定装置10の電源をオン、オフする指示や、リセットを行なう指示、キャリブレーションを行なう指示、電池残量を表示させる指示等である。制御指示の入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。制御指示受付部203は、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
【0038】
送信部204は、制御指示に基づいて測定装置10を制御する信号である制御信号を送信する。送信部204は、例えば、制御指示に対応した制御信号をメモリ等に予め格納しており、制御指示受付部203が受け付けた制御指示に対応した制御信号をこのメモリ等から取得し、測定装置10に送信する。制御信号は、例えば、測定装置10に対するコマンドである。送信部204は、無線の通信手段が好適であるが、放送を受信する手段でも実現可能である。送信部204は、例えば、無線LAN等の通信手段、ブルートゥース等の近距離無線通信手段等により実現される。また、送信部204は、制御信号を送信する際に利用するアンテナ等を有していても良い。
【0039】
処理部205は、蓄積部202が蓄積した検知信号に対して、所定の処理を行なう。所定の処理は、どのような処理であっても良い。例えば、検知信号に対して、予め設定されている分析用のプログラムを実行させる処理でもよいし、検知信号に基づいて、生体が異常であるか否かを判定する処理でも良いし、検知信号に対して、補正やキャリブレーションを行なう処理でも良い。処理部205は、具体的には、蓄積部202が蓄積した検知信号をグラフとして出力してもよい。あるいは、例えば、蓄積部202が蓄積した検知信号が所定の区間において、所定の閾値以上の値のパルスが出力されたか否かを判定し、出力された場合に、生体に異常があることを示す分析結果を出力するようにしても良い。処理部205、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。処理部205の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0040】
出力部206は、蓄積部202が蓄積した検知信号、または処理部205が処理した検知信号を出力する。出力部206は、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部206は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタへの出力、外部の装置への送信等を含む概念である。
【0041】
図2は、本実施の形態にかかる測定装置10のハードウェアの構造を説明するための斜視図である。また、図3は、図2に示した測定装置10のIII−III線による断面図である。図において、図1と同一符号は同一または相当する部分を示している。
【0042】
容器106は、少なくとも、センサー部101の信号取得手段1012と、信号出力部102とを密封している。ここでは、例として、容器106は、センサー部101の信号取得手段1012と、信号出力部102と、電源供給部103と、受信部104と、制御部105とを内部に有し、これらを外部の環境に対して密封している。密封されている容器106内は、真空であってもよいし、空気や不活性ガス等の気体が充填されていてもよい。センサー部101の受付手段1011は、生体内の測定のために、生体内の環境等と接する必要がある場合、容器106の外部に露出していても良い。例えば、受付手段1011が容器106の表面に沿って露出していても良いし、受付手段1011が容器106の外部に突出していてもよい。本実施の形態においては、例として、容器106の下部、ここでは特に底面、において、容器106の外部に露出している。受付手段1011の周囲は容器106と密封されている。この密封の手段は問わない。ただし、受付手段1011が、生体内の測定のために、生体内の環境等と接する必要がない場合、受付手段1011も、容器106内に密封されていても良い。容器106の材質は、密封を保つことができれば、どのような材料であっても良いが、生体内に配置するものであるため、耐蝕性に優れた材質であることが好ましい。また、容器106の材質は、信号の送受信を妨げない材料であることが好ましい。容器106は、1つの材質により構成される単層または複数層により構成される構造であってもよいし、異なる材質の複数層により構成される構造であってもよい。また、容器106の材質は、生体内において、衝撃等で、破損しない材質であることが好ましい。また、容器106の少なくとも外装は、生体内に配置することから、なんらかの滅菌、例えば、低温滅菌に耐えることができる材質であることが好ましい。また、生体内に配置されるため、生体適合性のある材質が好ましい。例えば、容器106の外装の材質としては、医療用の器具等として実績のあるポリマー、例えばポリウレタンやポリスチレンや、セラミック等が好適である。容器106の形状は、ここでは、図に示すように、医薬品等を封入するカプセル等と同様の円筒形状としているが、どのような形状であっても良く、例えば、円錐や、円柱、円環等の、断面形状が、円形、半円形、楕円形、多角形、角の丸い多角形等の、回転体であっても良い。また、容器106は、多角形の柱状体でもよい。なお、容器106の角は、受付手段1011を生体内に挿入する際に、挿入時に接触する組織等を傷付けないよう、丸められていることが好ましい。また、容器106は、用途に応じた形状であることが好ましい。例えば、測定機器10を尿道等に挿入する場合、容器106は、管などに挿入しやすい形状、例えば楕円形の回転体等の、長細い形であることが好ましい。容器106の大きさは問わないが、生体内に挿入した状態で、生体に対して負担等をかけないよう、小型、できれば微少なサイズであることが好ましい。
【0043】
なお、測定装置10が生体内の液体中、例えば体液中や尿中等、に配置される場合、測定装置10は、この液体内において浮く構造、すなわち、浮くための形状や、大きさ、重さ、を有していることが好ましい。ここで述べる「浮く」とは、液体中に沈まずに浮遊している状態も含む意味である。例えば、測定装置10は、比重が、生体内の液体の比重以下となるような構造を有していることが好ましく、生体内の液体の比重未満となるような構造を有していることがより好ましい。例えば、容器106が中空であって、容器内の空間が十分に広ければ、比重が軽くなるため、測定装置10を液体に浮かせることが可能となる。なお、ここで述べる空間とは、気体以外の、処理部等の物体が配置されていない領域のことである。また、容器106の材質や、センサー部101や信号出力部102や電源供給部103の重量が十分に軽ければ、容器106は中空でなくてもよく、具体的には、容器106とセンサー部101や信号出力部102等との隙間等があいていなくても良い。測定装置10を生体内の液体中に浮かせるためには、測定装置10の比重は0.9以下であることが好ましい。また、重量も、測定装置10がぶつかった場合に、生体に衝撃や、違和感等を与えたりすることのないように、軽量であることが好ましく、例えば0.6g以下であることが好ましい。
【0044】
容器106内における受付手段1011、信号取得手段1012、信号出力部102、電源供給部103、受信部104、制御部105の配置は、問わない。ただし、受付手段1011を、容器106の外部に露出させる場合等には、受付手段1011の配置は、容器106上の、露出させたい位置により決定される。なお、受付手段1011と信号取得手段1012とは、例えば、MEMS(micro electro mechanical systems)を製造する技術等を用いることで、同一の基板に集積してもよい。例えば、一方を基板の表面に、他方を基板の裏面に作製してもよい。また、制御部105や、信号出力部102のAD変換を行なう回路や、電源供給部103のスイッチングを行なう回路等の回路についても、センサー部101と同一の基板上に集積しても良い。また、信号出力部102と受信部104とを通信モジュールとして、一つの集積回路に集積してもよい。なお、各処理部をどのように集積化するかということ等については、設計に応じて適宜変更可能である。
【0045】
なお、測定装置10が特に生体内の液体内に配置される場合、上述したように、測定装置10がこの液体内において浮く構造とした上で、受付手段1011が測定装置10の中心からずれた位置に配置されるとともに、測定装置10の重心が測定装置10の中心よりも、受付手段1011が配置されている側に位置するようにすることが好ましい。このような構造とすることで、液体中においては、測定装置10の受付手段1011が配置されていない側が液体上面側に向く、あるいは液体表面から浮き上がり、受付手段1011は、常時、液体中に配置されることとなる。これにより、受付手段1011は、常に液体を介して、生体内の物理量を受け付けることが可能となる。なお、このような構成を得るためには、例えば、容器106の下部に、センサー部101、信号出力部102、電源供給部103、受信部104、制御部105を配置するとともに、容器106の上部に気体以外にはなにも配置されていない空間30を設けるようにすればよい。この場合、図3に示すように、受付手段1011を容器106の最下部に設け、最下部において容器106の外部に露出させることが好ましい。
【0046】
プロテクター107は、容器106の外部に露出している受付手段1011を覆う形状を有する。プロテクター107は、容器106に、露出している受付手段1011を覆うように、取り付けられている。プロテクター107は、受付手段1011の表面を保護し、受付手段1011に物体が接触して、受付手段1011が破損したり、受付手段1011に生体が接触していることにより正確な測定ができなくなることを防ぐために設けられている。プロテクター107の形状は、受付手段1011が物理量を受け付ける際の妨げにならなければ、どのような形状であっても良い。例えば、受付手段1011が、生体内の液体に接触して、その液体から生体に関連する物理量を受け付けるものである場合、プロテクター107の形状は、受付手段1011と、固体や生体との接触を防ぐことができる形状であって、液体が受付手段1011の表面上に十分に流入可能な形状であればよい。例えばプロテクター107はメッシュ状であってもよい。ここでは、プロテクター107は、1本の湾曲した帯状形状を有している。プロテクター107の材質としては、通常、容器106と同じ材質が用いられが、プロテクター107の材質は問わない。なお、プロテクター107は、測定の対象となる物理量や、測定装置10が配置される生体内の位置等によっては、省略可能である。
【0047】
線状部材108は、容器106の外部に伸びる線状の部材であり、容器16に取り付けられている。なお、線状部材108は、測定装置10の容器106以外の箇所、例えばセンサー部101等に接着等により取り付けられていても良い。線状部材108は、生体内に配置された容器16を、生体の外部から引き出すために用いられる。ここでは、例として、線状部材108の一端は、容器16のプロテクター107の最下部に結ばれている。線状部材108の材料等は問わない。線状部材108は、糸、ロープ、テグス、ポリマーを線状に伸ばしたもの、微細なグラスファイバー等、でもよい。線状部材108は、細く、強度が高く、軽量、かつ表面がなめらかなものが好ましい。ここでは、例としてナイロン糸を用いている。線状部材108の太さは、線状部材108が生体内や、生体外に配置された場合に、違和感等を与えないような太さであることが好ましく、例えば0.5mm以下であることが好適である。例えば、2−0(0.3mm)や、1−0(0.4mm)の単ナイロン糸等が好適である。また、線状部材108の容器106に対する取り付け方は、接着等、問わない。線状部材108は、プロテクター107以外の部分に取り付けられていても良い。線状部材108は、受付手段1011による物理量の受け付けの邪魔にならない箇所に取り付けることが好ましい。
【0048】
次に、測定装置10の動作について説明する。
測定装置10の受信部104が、外部、ここでは情報処理装置20からの制御信号を受信すると、この制御信号に基づいて制御部105が、測定装置10の電源をオンとする制御を行なう。これにより、電源供給部103から、センサー部101や信号出力部102に電源が供給される。センサー部101に電源が供給されると、受付手段1011が受け付けた生体に関連する物理量を、信号取得手段1012が、電気信号に変換して検知信号を取得する。信号出力部102は、信号取得手段1012が取得した検知信号を情報処理装置20に対して送信する。信号出力部102は、検知信号を、変調して情報処理装置20に対して送信してもよいし、検知信号をデジタル信号に変換して情報処理装置20に対して送信してもよい。なお、これらの検知信号を取得し、送信する処理は、電源オフや処理終了の割り込みが行なわれるまで、繰り返し行なわれる。
【0049】
次に情報処理装置20の動作について説明する。
信号受信部201が検知信号を受信したか否かを判定し、受信した場合には、蓄積部202が、信号受信部201が受信した検知信号を、メモリ等の記憶媒体に蓄積する。処理部205は、蓄積部202が蓄積した検知信号に対して所定の処理を行ない、処理結果を出力部206が出力する。そして、再度検知信号を受信したか否かの判定処理を行なう。一方、信号受信部201が検知信号を受信していない場合、制御指示受付部203が、制御指示を受け付けたか否かを判定し、受け付けていない場合、上述した検知信号を受信したか否かの判定を再度行なう。制御指示を受け付けた場合、送信部204は、制御指示に対応した制御信号を測定装置10に送信し、その後、上述した検知信号を受信したか否かの判定を再度行なう。なお、これらの処理は、電源オフや処理終了の割り込みが行なわれるまで、繰り返し行なわれる。
【0050】
以下、本実施の形態における測定システムの具体例について説明する。測定システムの概念図は図4である。ここでは、例として、測定装置10が人間の膀胱内の膀胱内圧を測定する装置である場合について説明する。
【0051】
測定装置10は、ここでは、例として、プロテクター107の部分を除けば、図2および図3に示すような、薬剤カプセルと同様の、角の丸い円筒形の形状の外観を有している。このような筒状の形状としたのは、尿道を介して膀胱内に測定装置10を配置することから、尿道等に負担をかけないように、測定装置10の径をできる限り小さくすることが要求されることと、円筒形とすることで、高さをある程度自由に設定できることで、容器内に、センサー部101や信号出力部102や電源供給部103等を、十分に配置可能な広さを確保する上で好ましいからである。なお、容器106の大きさとしては、具体的には、直径が4〜8mmで、高さが8〜17mmであることが好ましい。容器106の上部には、空間30が設けられており、センサー部101、信号出力部102、電源供給部103、受信部104、および制御部105は、容器106の下部側に配置されている。このため、測定装置10の重心は、センサー部101が配置されている測定装置10の下部に位置している。測定装置10は、尿に沈まないような重力および比重を有する。ここでは、一例として、測定装置10の重量は、約0.5グラムで、比重は約0.8となるように容器の形状や重量、センサー部101、信号出力部102、電源供給部103、受信部104、および制御部105の形状や重量等が調整されている。
【0052】
センサー部101は、ここでは例として、膀胱内圧を測定するための、圧力センサーである。受付手段1011が、圧力を測定するために、測定装置10の表面に露出している。
【0053】
まず、膀胱内圧を測定するために、カテーテル等を利用して、尿道内に、予め滅菌された測定装置10を挿入していき、膀胱内に測定装置10を配置する。このとき、線状部材108の測定装置10と結ばれていない側の端部は、尿道から外部に出ているようにする。
【0054】
図5は、膀胱内に配置された測定装置10を説明するための図である。図5は、人体50の膀胱51近傍の断面を示している。図に示すように、測定装置10は、膀胱51内に配置されている。測定装置10は比重が尿よりも軽いため、膀胱51の尿52内に浮遊し、膀胱51の頂部に留まる。このため、排尿時に、測定装置10が尿とともに尿道53から排出されることを防ぐことができる。さらに、測定装置10は、容器106内の上部に空間30を有しており、重心が、センサー部101の設けられた下部に位置しているため、測定装置10は、膀胱51内においては、常に、センサー部101を下にした状態で、尿52内に浮遊する。このため、測定装置10の下部において露出したセンサー部101の受付手段1011は、常に尿51と接することとなり、尿51を介して伝達される圧力を受け付け可能となる。なお、図においては、説明の便宜上、測定装置10および人体等の、縮尺や、縦横比等は、実際とは異なる場合がある。かかることは、他の図においても同様である。
【0055】
次に、ユーザが、情報処理装置20の、メニュー等を操作して、測定装置10の電源をオンさせるための制御指示を与える。情報処理装置20の送信部204はこの制御指示に基づいて、測定装置10に、電源のオンを指示する制御信号を出力する。
【0056】
測定装置10の受信部104と制御部105は、通常は、信号の受信処理等が可能な程度の微弱な待機電源で動作しており、情報処理装置20の送信部204から送信される電源オンの制御信号を受信すると、制御部105は、電源供給部103から、センサー部101および信号出力部102に主となる電源が供給されるように、電源供給部103を制御する。
【0057】
センサー部101の信号取得手段1012は、電源が供給されると、受付手段1011の受け付けた物理量を、電気信号に変換した信号である検知信号を取得する。受付手段1011は、尿と接しているため、膀胱内圧が高くなると、尿を介して圧力が受付手段1011に伝わり、受付手段1011が、圧力が高くなったことを受け付ける。また、同様に、膀胱内圧が低くなると、受付手段1011が、圧力が低くなったことを受け付ける。信号取得手段1012は、この受付手段1011が受け付けた圧力に対応した検知信号を取得する。なお、検知信号を信号取得手段1012内に設けられたアンプ回路によって増幅するようにしても良い。
【0058】
なお、膀胱51内において測定装置10が揺れ動くことにより、測定装置10が横転して、膀胱51の内壁にぶつかったり、尿の排出により、膀胱内の尿が少なくなった場合においても、プロテクター107により、受付手段1011は、膀胱内の内壁に直接接触しない。このため、受付手段1011は、膀胱内の内壁との接触による圧力の影響を受けず、膀胱内圧とは関係のない圧力の受け付けを防ぐことができる。
【0059】
信号出力部102は、信号取得手段1012が取得した検知信号を、所定のタイミングでサンプリングして、信号出力部102内のAD変換回路(図示せず)によりデジタル信号に変換して、変換した検知信号を情報処理装置20に無線により送信する。信号出力部102は、検知信号をデジタル信号に変換するごとに、情報処理装置20へ検知信号を送信してもよいし、複数個のデジタル化した検知信号をパケット化して送信しても良い。信号出力部102のサンプリングの回数は、測定結果の正確さや、電源供給部103が供給可能な電源を考慮すると、毎秒10回前後であることが好ましい。膀胱内圧の測定においては、排尿障害等を診断するためには、72時間程度の膀胱内圧の測定データが通常要求される。測定装置10が毎秒10回の検知信号を72時間出力する場合、電源供給部103は、例えば、直径が約2mmで、高さが約5mmである円筒形のリチウム電池を利用すれば、実現可能である。
【0060】
情報処理装置20の信号受信部201が、測定装置10からの検知信号を受信すると、蓄積部202は、受信した検知信号を、メモリ等に蓄積する。そして、処理部205は、この蓄積部202が蓄積した検知信号を読み出し、所定の処理、ここでは、例として検知信号からグラフを表示するためのデータを構成する処理を行なう。そして、出力部206はこの検知信号に基づいたグラフをディスプレイ等に表示する。表示例は、例えば、図6に示すようになる。図において、1cmHO=98.0665Paである。また、横軸において、点線で示す位置より左側の単位は分であり、右側の単位は秒である。なお、ここでは、受信した検知信号の数を順次カウントし、そのカウント数と、予め設定されている測定装置10が検知信号を送信する送信間隔の情報とに基づいて、各検知信号を受信した受信時間を算出する。ただし、情報処理装置20に時計等(図示せず)を設けるようにし、各検知信号を受信した際の受信時間の情報を、蓄積部202が当該時計から順次取得して、メモリ等に蓄積するようにしても良い。また、測定装置10内に時計等(図示せず)を設けるようにし、測定装置10が、検出信号とともに、当該時計等から取得した検出信号を取得した時間である検出時間の情報を送信するようにし、情報処理装置20において、蓄積部202が、検出信号とともに、この検出時間の情報を、蓄積するようにしてもよい。なお、処理部205による処理や、出力部206により出力する処理は、検知信号の受信に応じて、一定または不定期の所定のタイミングで繰り返し実行してもよいし、信号受信部201が信号の受信を終了した場合や、ユーザからの指示があった場合に実行してもよい。
【0061】
測定装置10による測定が終了した場合、線状部材108の尿道外にでている端部を引くと、この線状部材108に引っ張られて、測定装置10が、膀胱から尿道を経て外部に排出される。なお、この線状部材108としては、有線のセンサーやカテーテル等とは異なり、細いナイロン糸等が利用されるため、測定装置10を体内にいれている人間が、この線状部材108に対して、違和感をほとんど持つことがなく、また、日常生活を送る上でも、何らの支障にもならない。
【0062】
以上、本実施の形態によれば、生体内に配置された測定装置10において、生体内の、測定の対象となる物理量を検知し、その検知した結果に対応した検知信号を、無線により、生体の外部に出力するようにしたから、生体内の物理量の検知のために、有線のセンサー等を生体内に挿入しておく必要がなくなる。このため、生体の動作を拘束することがなく、日常と同様の動作を行なっている状態での物理量の検知が可能となる。また、心理的なストレスや、肉体的なストレスを生体に対して与えにくい。この結果、正確な生体内の情報を測定することが可能となる。また、無線により、リアルタイムに、測定データを得ることが可能となり、エラーの発生等の不具合の発生を、瞬時に検出して、リセット等の対処が可能となる。
【0063】
また、測定装置10が尿などの液体内に沈まないことにより、測定装置10が、膀胱等の、測定の対象となる臓器等の内部に浮いた状態で留まる。このため、これらの臓器の下部から液体が排出される際においても、測定装置10を、臓器外に排出されにくくして、臓器内に留めておくことができる。
【0064】
また、測定装置10に線状部材108を取り付けておくようにしたことにより、この線状部材108の一部を生体外に取り出しておくことで、検知の終了した測定装置10を、線状部材108を引っ張ることで、容易に生体外に排出することができる。
【0065】
なお、上記具体例においては、膀胱内圧の測定に測定システムを利用した場合について説明したが、本実施の形態に係る測定システムを、上述した膀胱以外の、液体が溜まる臓器等、例えば、胃や、羊水を保持している子宮等の物理量の検知に利用しても良く、このような場合においても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。具体的には、これらの臓器内に測定装置10を配置すればよい。
例えば、上述した測定装置10を子宮内に配置するようにしてもよい。このようにすることで、子宮内圧を測定することが可能となる。なお、この場合、測定装置10が液体に浮く必要はないため、測定装置10の比重を、必ずしも液体に浮くような低比重とする必要はない。また、このように子宮内に配置する場合、心音を測定できるように、測定装置10内の受付手段1011を、音を測定する受付手段に変更してもよい。また、心音を測定するための音測定用の受付手段等を、圧力測定用の受付手段1011とは別に新たにセンサー部101内に追加するようにしてもよい。さらには、心音を測定するための音測定用のセンサー部等を、圧力測定用のセンサー部101とは別に新たに測定装置10内に追加するようにしてもよい。かかることは他の実施の形態においても同様である。
【0066】
なお、本実施の形態においては、測定装置10を線状部材108を引っ張ることで、生体外に排出するようにしたが、線状部材108を設けていない場合や、線状部材108か切れてしまった場合などには、尿道を通じて異物鉗子等を利用して計測装置を生体外に摘出しても良い。
【0067】
また、上記具体例においては、センサー部101として圧力センサーを用いた場合について説明したが、本発明においては、どのようなセンサーを用いてよい。具体的には、測定対象となる物理量に応じたセンサーを用いるようにすればよい。
【0068】
また、本実施の形態においては、情報処理装置20から送信される制御信号により、測定装置10の電源のオンを行なうようにしたが、本発明においては、同様の制御信号を測定装置10に対して適宜出力可能な装置であれば、どのような装置を用いて、測定装置10の電源のオン等を制御するようにしても良い。
【0069】
また、本実施の形態においては、測定装置10が制御信号を受信するための構成として受信部104や制御部105等を備えた場合について説明したが、測定装置10の電源のオンを、外部から制御する必要がなければ、これらの構成を省略してもよい。また、これらの構成を省略するとともに、測定装置10に、容器106による密封状態を保ったまま、電源をオンするためのスイッチを設けるようにしても良い。例えば、容器106が柔軟性を有していれば、容器106の上から押すことのできるスイッチ等を設けるようにしても良い。
【0070】
なお、本実施の形態において、測定装置10と情報処理装置20との間の検知信号等の情報の送受信には、無線による送受信を利用しているが、このような無線の送受信に用いられる電波の波長等は、ペースメーカー等の他の機器に影響を与えないものであることが好ましい。
【0071】
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。かかることは、他の実施の形態においても同様である。
【0072】
(実施の形態2)
本実施の形態は、上述した実施の形態1において、さらに腹腔内圧を測定するための測定装置をさらに設けるようにしたものである。
【0073】
図7は、本実施の形態にかかる測定システムの、腹腔内圧を測定するための測定装置のハードウェアの構造を説明するための断面図である。なお、以下、腹腔内圧を測定するための測定装置を、腹腔内圧測定装置と称す。
【0074】
腹腔内圧測定装置70は、測定部11、線状部材108、保護容器109、ゲル110、および取付部111を有している。測定部11は、受付手段1011、信号取得手段1012、信号出力部102、電源供給部103、受信部104、制御部105、および容器106を備えている。測定部11は、上述した実施の形態1において図2及び図3を用いて説明した測定装置10において、プロテクターと線状部材とを省略したものと同様の構成を有しており、説明は省略する。なお、この測定部11のセンサー部101は、ここでは、例として、圧力センサーである。
【0075】
保護容器109は、柔軟性を有する容器であり、密封された中空の容器である。保護容器109内には、図3に示した測定装置10と同様の測定部11を有している。保護容器109の形状は、容器106と同様、どのような形状であっても良い。保護容器109の材質は、柔軟性を有し、かつ生体内において破損しにくい強靱な材質であれば、どのような材質であっても良い。保護容器109の材料としては、例えば、ゴムでできた膜等の、ポリマー膜が利用可能である。保護容器109の材質としては、具体的には、保護容器109内に、後述する液体やゲル等を充填した状態で、外部からの圧力により保護容器109が変形し、外部からの圧力がなくなった時点で元の形状に戻るような材質が用いられる。また、生体適合性が高く、なんらかの滅菌処理が可能な材質であることが好ましい。保護容器109の大きさや形状は、肛門を経て、直腸内に挿入できる大きさおよび形状を有していることが好ましく、保護容器109が例えば球形であれば、直径が15〜25mm程度であることが好ましい。
【0076】
ゲル110は、測定部11ともに、保護容器109内に充填されている。ゲル110は、保護容器109に加えられた圧力を、測定部11に効率よく伝達できるゲルであれば、どのようなゲルであっても良い。ゲル110は、圧力を測定部11に均等に伝えられるよう、液状、もしくは液状に近い流動性を持つゲルであることが好ましい。測定部11は、このゲル110内に沈まず、浮遊するような、形状や比重等を有する構造を有するものとなるように設計する。なお、保護容器109に加えられた圧力を、測定部11に効率よく伝達可能であり、測定部11が沈まなければ、ゲル110の代わりに、水や、他の液体を用いても良い。また、液体は、高分子を含む液体等の、粘性を有する液体であっても良い。
【0077】
取付部111は、保護容器109に設けられた、線状部材108の一端を結ぶためのリング状の部材である。取付部111は、保護容器109と一体成形されていても良いし、保護容器109に接着されていても良い。この腹腔内圧測定装置70においては、実施の形態1とは異なり、線状部材108は、取付部111を介して、保護容器109に取り付けられている。なお、取付部111を省略して、線状部材108を直接、保護容器109に接着等により取り付けてもよい。
【0078】
図8は、本実施の形態に係る測定システムの構成を示すブロック図である。測定装置10および情報処理装置20の構成については、実施の形態1の測定システムと同様の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。腹腔内圧測定装置70の測定部11は、測定装置10と同様の構成を備えており、同一部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。ただし、この測定システムにおいては、複数の測定装置、すなわち測定装置10と腹腔内圧測定装置70とを備えているため、情報処理装置20は、それぞれの信号出力部102が出力する検知信号を受信し、それぞれを分別して蓄積できるような構成とする。もしくは識別情報を検知信号と関連付けて蓄積する等により、検知信号を測定装置別に分別可能な状態で蓄積できるようにする。具体的には、例えば、各信号出力部102が、それぞれの測定装置を識別するための識別情報を、検知信号とともに、情報処理装置20に対して出力するようにし、情報処理装置20では、例えば蓄積部202が、信号受信部201が検知信号とともに受信した識別信号に基づいて、どの測定装置から出力された検知信号であるかを判定し、その判定結果に基づいて、それぞれの測定装置別に検知信号を分別して蓄積するようにしてもよい。このような識別情報は、予め、測定装置10および測定部11が、それぞれ、例えばメモリ等に予め格納しておく。なお、複数の機器から送信される情報を分別して蓄積する構成については、公知技術であるので詳細な説明は省略する。
【0079】
なお、腹腔内圧測定装置70の動作については、上記実施の形態1において説明した測定装置10の動作と同様であるので、説明は省略する。
【0080】
以下、本実施の形態における測定システムの具体例について説明する。測定システムの概念図は、図4に示した概略図において、さらに腹腔内圧測定装置70を設けたものであるので、ここでは省略する。この具体例においては、例として、測定装置10において、上記実施の形態1と同様に、人間の膀胱内の膀胱内圧を測定するとともに、同時に、腹腔内圧測定装置70を用いて、腹腔内圧を測定する場合について説明する。
【0081】
膀胱の排尿筋の正確な活動を評価するためには、膀胱内圧を測定するとともに、この膀胱内圧から、同時に測定した腹腔内圧を差し引くことが必要であることが分かっている。腹腔内圧の変化が、膀胱内圧にも影響を与えると考えられるからである。このため、本実施の形態においては、膀胱内圧と同時に腹腔内圧の測定も行なう。なお、ここでは、膀胱内圧から腹腔内圧を差し引いた値を、排尿筋収縮圧と称す。
【0082】
まず、上記実施の形態1と同様に、膀胱内圧を測定するために、膀胱内に測定装置10を配置するとともに、指等を利用して、腹腔内圧測定装置70を、肛門を経て直腸内に配置する。このとき、肛門から生体外に、線状部材108の一端が出ているようにする。
【0083】
図9は、膀胱内に配置された測定装置10と、直腸内に配置された腹腔内圧測定装置70とを説明するための図である。図9において、図5と同一符号は、同一または相当する部分を示している。図に示すように、腹腔内圧測定装置70は、直腸90内に配置されている。また、腹腔内圧測定装置70の線状部材108の一端は、肛門91を経て外部に配置されている。腹腔内圧測定装置70においては、内部の測定部11は、保護容器109により覆われているため、直腸90内の糞塊や、ガス等と直接接触せず、これらとの接触による腹腔内圧の測定に対する悪影響を受けにくい。また、測定部11は、容器106内の上部に空間30を有しており、重心が、センサー部101の設けられた下部に位置しているため、測定部11は、保護容器109内においては、常に、センサー部101を下にした状態で、ゲル110中に浮遊する。このため、測定部11の下部において露出したセンサー部101の受付手段1011は、常にゲル110と接することとなり、ゲル110を介して伝達される圧力を受け付け可能となる。
【0084】
次に、ユーザが、情報処理装置20の、メニュー等を操作して、測定装置10と、腹腔内圧測定装置70の電源をオンさせるための制御指示を与える。情報処理装置20の送信部204はこの制御指示に基づいて、測定装置10および腹腔内圧測定装置70に、電源のオンを指示する制御信号を出力する。
【0085】
測定装置10および腹腔内圧測定装置70の受信部104と制御部105は、通常は微弱な待機電源で動作しており、情報処理装置20の送信部204から送信される電源オンの制御信号を受信すると、制御部105は、電源供給部103から、センサー部101および信号出力部102に主となる電源が供給されるように、電源供給部103を制御する。
【0086】
センサー部101の信号取得手段1012は、電源が供給されると、受付手段1011の受け付けた物理量を、電気信号に変換した信号である検知信号を取得する。膀胱内の測定装置10が検知信号を取得し、これを情報処理装置20に出力する動作については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。腹腔内圧測定装置70内の測定部11の受付手段1011は、ゲル110と接しているため、腹腔内圧が高くなると、直腸90により保護膜109が押圧され、この圧力が保護膜109内のゲル110を介して測定部11の受付手段1011に伝達し、測定部11の受付手段1011が、圧力が高くなったことを受け付ける。また、同様に、腹腔内圧が低くなると、測定部11の受付手段1011が、圧力が低くなったことを受け付ける。測定部11の信号取得手段1012は、この受付手段1011が受け付けた圧力に対応した検知信号を取得する。なお、検知信号を測定部11の信号取得手段1012内に設けられたアンプ回路によって増幅するようにしても良い。
【0087】
なお、保護容器109内にはゲル110が充填されているため、測定装置10が急激に揺れ動きにくく、また、測定装置10が横転しても、ゲル110が緩衝材の役目を果たして、受付手段1011が保護容器109内の内壁に強くぶつかったりしない。このため、受付手段1011は、保護容器109の内壁との接触による圧力の影響を受けにくく、腹腔内圧とは関係のない圧力の受け付けを防ぐことができる。
【0088】
腹腔内圧測定装置70内の信号出力部102は、信号取得手段1012が取得した検知信号を、所定のタイミングでサンプリングして、AD変換回路によりデジタル信号に変換して、変換した検知信号を情報処理装置20に無線により送信する。信号出力部102は、検知信号をデジタル信号に変換するごとに、情報処理装置20へ検知信号を送信してもよいし、複数個のデジタル化した検知信号をパケット化して送信しても良い。
【0089】
情報処理装置20の信号受信部201が、測定装置10および腹腔内圧測定装置70からの検知信号を受信すると、蓄積部202は、受信した検知信号を、測定装置10から得られた検知信号と、腹腔内圧測定装置70から得られた検知信号とに分別して、メモリ等に蓄積する。そして、処理部205は、この蓄積部202が蓄積した検知信号を読み出し、所定の処理、ここでは、例として、各検知信号から、膀胱内圧のグラフと、腹腔内圧のグラフと、膀胱内圧から腹腔内圧を差し引いた場合のグラフ、すなわち排尿筋収縮圧のグラフと、を表示するためのデータを構成する処理を行なう。そして、出力部206はこの検知信号に基づいたグラフをディスプレイ等に表示する。表示例は、例えば、図10に示すようになる。なお、処理部205による処理や、出力部206により出力する処理は、検知信号の受信に応じて、一定または不定期の所定のタイミングで繰り返し実行してもよいし、信号受信部201が信号の受信を終了した場合や、ユーザからの指示があった場合に実行してもよい。
【0090】
腹腔内圧測定装置70による腹腔内圧の測定が終了した場合、腹腔内圧測定装置70の線状部材108の肛門から生体外にでている端部を引くと、この線状部材108に引っ張られて、腹腔内圧測定装置70が、直腸から肛門を経て外部に排出される。なお、この線状部材108としては、有線のセンサーやカテーテル等とは異なり、細いナイロン糸等が利用されるため、腹腔内圧測定装置70を体内にいれている人間が、この線状部材108に対して、違和感をほとんど持つことがなく、また、日常生活を送る上でも、何らの支障にもならない。
【0091】
以上、本実施の形態によれば、測定装置10を用いたことにより、上記実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、生体内に配置された腹腔内圧測定装置70により、生体内の、測定の対象となる物理量を検出し、その検出した結果に対応した検知信号を、無線により、生体の外部に出力するようにしたから、生体内の物理量の検知のために、有線のセンサー等を生体内に挿入しておく必要がなくなる。例えば、従来の腹腔内圧の測定においては、直腸内にバルンを配置して、そのバルン内に配置した有線のセンサーにより、バルン内に伝わる腹腔内圧を測定していたため、膀胱内圧を測定する場合と同様に、動作が拘束されるとともに、精神的や肉体的ストレスが与えられ、正確な測定ができなかった。しかしながら、本実施の形態によれば、上述した構成により、生体の動作を拘束することがなく、日常と同様の動作を行なっている状態での物理量の検知が可能となる。また、心理的なストレスや、肉体的なストレスを生体に対して与えにくい。この結果、正確な生体内の情報を測定することが可能となる。
【0092】
また、膀胱内圧と、腹腔内圧とを同時に測定することができ、膀胱の排尿筋の正確な活動等を評価することが可能となる。
【0093】
また、保護容器109とゲル110を介して、腹腔内圧が、受付手段1011に伝達されるため、受付手段1011が、直腸内の糞塊やガスと接触しない。このため、これらとの接触による誤った検知が行なわれたり、糞塊により受付手段1011が覆われて検知不能となるといった測定上の障害を防ぐことができる。
【0094】
また、腹腔内圧測定装置70に線状部材108を取り付けておくようにしたことにより、この線状部材108の一部を生体外に取り出しておくことで、検知の終了した腹腔内圧測定装置70を、線状部材108を引っ張ることで、容易に生体外に排出することができる。
【0095】
なお、上記各実施の形態においては、信号出力部102が、検知信号を生体外の情報処理装置20に送信する場合を例に挙げて説明したが、本発明においては、図11に示す測定装置10aのように、測定装置10aに、フラッシュROM等の、記録可能な不揮発性の記憶媒体1100を設け、信号出力部102が、検知信号を外部に送信する代わりに、この記憶媒体1100に検知信号を蓄積するようにしても良い。この場合、測定が終了した後、測定装置10aを生体内から排出させた上で、容器106を開いて、記憶媒体1100を取り出し、この記憶媒体1100に蓄積された検知信号を、記憶媒体1100用の読み出し装置等を用いて読み出すことで、測定の結果である検知信号を取得することができる。なお、この場合、例えば、測定装置10aが時間を計測する時計等の計時部(図示せず)を有するようにし、信号出力部102が、検知信号を、計時部から得られる検知信号が得られた時間の情報とともに、記憶媒体1100に蓄積するようにしてもよい。このような構成とすることで、測定装置の検知信号を送信するための通信手段や、検知信号を受信するための装置等を不要とすることができる。なお、この構成は、測定部11にも適用可能であることは言うまでもない。
【0096】
また、本実施の形態においては、腹腔内圧測定装置70を、腹腔内圧の測定に用いた場合について説明したが、この腹腔内圧装置70と同様の構成を有する測定装置を、腹腔内圧以外の測定に利用してもよい。例えば、このような測定装置を用いることで、測定部が直接生体と接触させることができない部位においても、生体の物理量が測定可能となり、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
例えば、上述した腹腔内圧測定装置70と同様の構成を有する装置を子宮内に配置するようにしてもよい。このようにすることで、子宮内圧を測定することが可能となる。このように子宮内に配置する場合、心音を測定できるように、測定装置10内の受付手段1011を、音を測定する受付手段に変更してもよい。また、心音を測定するための音測定用の受付手段等を、圧力測定用の受付手段1011とは別に新たにセンサー部101内に追加するようにしてもよい。さらには、心音を測定するための音測定用のセンサー部等を、圧力測定用のセンサー部101とは別に新たに測定装置10内に追加するようにしてもよい。あるいは、腹腔内圧測定装置70内に、測定装置10とは別に、測定装置10内の受付手段1011を、音を測定する受付手段に変更した測定装置を新たに設けるようにしてもよい。
【0097】
また、本実施の形態においては、腹腔内圧測定装置70を、測定装置10とは別に、単独で利用するようにしても良いことは言うまでもない。
【0098】
なお、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段(信号出力部、受信部など)は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。かかることは、他の実施の形態においても同様である。
【0099】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明にかかる測定装置等は、生体内の物理量を測定する装置等として適しており、特に、生体内の液体中に配置される測定装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施の形態1における測定システムのブロック図
【図2】同測定装置の斜視図
【図3】同測定装置の断面図
【図4】同概念図
【図5】同測定装置の生体内における配置例を示す図
【図6】同表示例を示す図
【図7】実施の形態2における測定システムの腹腔内圧測定装置の断面図
【図8】実施の形態2における測定システムのブロック図
【図9】同腹腔内圧測定装置の生体内における配置例を示す図
【図10】同表示例を示す図
【図11】同測定装置の変形例を示す図
【符号の説明】
【0102】
10 測定装置
11 測定部
20 情報処理装置
70 腹腔内圧測定装置
101 センサー部
102 信号出力部
103 電源供給部
104 受信部
105 制御部
111 取付部
201 信号受信部
202 蓄積部
203 制御指示受付部
204 送信部
205 処理部
206 出力部
1011 受付手段
1012 信号取得手段
1100 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に配置される測定装置であって、
測定の対象となる物理量を受け付ける受付手段と、当該受付手段が受け付けた物理量に対応した信号である検知信号を取得する信号取得手段とを有するセンサー部と、
前記検知信号を、無線により外部に出力する信号出力部と、
少なくとも、前記センサー部の信号取得手段と、前記信号出力部とを密封する容器とを具備する測定装置。
【請求項2】
生体内に配置される測定装置であって、
測定の対象となる物理量を受け付ける受付手段と、当該受付手段が受け付けた物理量に対応した信号である検知信号を取得する信号取得手段とを有するセンサー部と、
前記検知信号を蓄積する蓄積部と、
少なくとも、前記センサー部の信号取得手段と、前記蓄積部とを密封する容器とを具備する測定装置。
【請求項3】
前記センサー部の信号取得手段と前記信号出力部とに電源を供給する電源供給部を具備する請求項1または請求項2いずれか記載の測定装置。
【請求項4】
前記容器には、外部に伸びる線状の部材である線状部材が取り付けられている請求項1から請求項3いずれか記載の測定装置。
【請求項5】
前記受付手段は、前記容器の外部に露出している請求項1から請求項4いずれか記載の測定装置。
【請求項6】
前記受付手段を覆う形状を有するプロテクターをさらに備えていることを特徴とする請求項5記載の測定装置。
【請求項7】
前記測定装置は、生体内の液体内に配置され、当該測定装置の比重は、前記液体の比重以下である請求項1から請求項6いずれか記載の測定装置。
【請求項8】
前記測定装置は、生体内の液体内に配置され、当該測定装置は、前記液体に浮く構造を有している請求項1から請求項7いずれか記載の測定装置。
【請求項9】
前記受付手段が、前記容器の中心からずれた位置に配置されており、
前記測定装置は、重心が、前記受付手段が配置されている側に位置している請求項7または請求項8いずれか記載の測定装置。
【請求項10】
前記容器内の下部に前記受付手段が配置されており、前記容器内の上部に空間が設けられている請求項7から請求項9いずれか記載の測定装置。
【請求項11】
前記受付手段は、前記容器の下部に配置されている請求項7から請求項10いずれか記載の測定装置。
【請求項12】
前記受付手段は、圧力を受け付けるものである請求項1から請求項11いずれか記載の測定装置。
【請求項13】
前記測定装置は、外部から無線で送信される当該測定装置を制御する信号である制御信号を受信する受信部と、
前記制御信号に基づいて当該測定装置の制御を行なう制御部とを具備する請求項1から請求項12いずれか記載の測定装置。
【請求項14】
柔軟性を有する保護容器と、
前記保護容器内に、前記容器とともに封入された液体またはゲルとを、さらに具備する請求項1から請求項13いずれか記載の測定装置。
【請求項15】
前記保護容器には、外部に伸びる線状の部材が取り付けられている請求項14記載の測定装置。
【請求項16】
生体内に配置される測定装置と、情報処理装置とを備えた測定システムであって、
前記測定装置は、
測定の対象となる物理量を受け付ける受付手段と、当該受付手段が受け付けた物理量に対応した信号である検知信号を取得する信号取得手段とを有するセンサー部と、
前記検知信号を、無線により外部に出力する信号出力部と、
少なくとも、前記センサー部の信号取得手段と、前記信号出力部とを密封する容器とを具備し、
前記情報処理装置は、
前記検知信号を受信する信号受信部と、
前記受信した検知信号を蓄積する蓄積部とを具備する測定システム。
【請求項17】
前記情報処理装置は、前記蓄積部が蓄積した検知信号に対して、所定の処理を行なう処理部をさらに具備する請求項16記載の測定システム。
【請求項18】
前記情報処理装置は、前記蓄積部が蓄積した検知信号、または前記処理部が処理した検知信号を出力する出力部をさらに具備する請求項16または請求項17いずれか記載の測定システム。
【請求項19】
前記情報処理装置は、
前記測定装置を制御する指示である制御指示を受け付ける制御指示受付部と、
前記制御指示に基づいて前記測定装置を制御する信号である制御信号を無線により送信する送信部とを具備し、
前記測定装置は、
前記情報処理装置から送信される前記制御信号を受信する受信部と、
前記制御信号に基づいて、当該測定装置を制御する制御部とを、前記容器内に、さらに具備する請求項16から請求項18いずれか記載の測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−152036(P2007−152036A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355519(P2005−355519)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(505457363)
【Fターム(参考)】