測角装置
【課題】1次元または2次元方向について基準となる不等間隔配置と同様の素子配置を、分割領域ごとに敷き詰めることにより、GLを抑圧するとともに測角処理への影響を打ち消して、有効に測角を行うことのできる測角装置を得る。
【解決手段】複数のアンテナ素子2が不等間隔に配置されたアレーアンテナ1と、受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段10、11と、複数のアンテナ素子2の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段10、12と、Σ信号およびΔ信号を用いてアレーアンテナ1における受信到来波の到来角を推定する位相モノパルス測角部13とを備えている。
【解決手段】複数のアンテナ素子2が不等間隔に配置されたアレーアンテナ1と、受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段10、11と、複数のアンテナ素子2の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段10、12と、Σ信号およびΔ信号を用いてアレーアンテナ1における受信到来波の到来角を推定する位相モノパルス測角部13とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1次元アレーアンテナまたは平面アレーアンテナ(以下、単に「アレーアンテナ」という)を備えた測角装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の測角装置においては、複数のアンテナ素子が等間隔に配置されたアレーアンテナについて、利得が等しくなるように分割を行うことにより、モノパルス測角が行われている(たとえば、非特許文献1参照)。
一方、アレーアンテナにおいては、グレーティングローブ(GL)の発生を抑圧するために、アンテナ素子を不等間隔に配置することが有効なことが知られている(たとえば、非特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、不等間隔に配置されたアレーアンテナは、等間隔アレーアンテナとは異なり、到来角に応じて位相中心が動くという問題が発生するので、不等間隔配置のアレーアンテナを用いた測角装置においては、アジマス(到来角)測角であるにも関わらず、エレベーション角の変化によって、アジマス測角結果が変化するという問題がある。
【0004】
以下、図15〜図17を参照しながら、一般的な等間隔アレーアンテナおよび不等間隔アレーアンテナを用いた従来の測角装置における問題点について説明する。
図15は従来の等間隔アレーアンテナ101を示す平面図であり、図16は従来の不等間隔アレーアンテナ201を示す平面図である。また、図17は図16の構成を2次元の平面アンテナに拡張した従来の不等間隔アレーアンテナ301を示す平面図である。
【0005】
図15において、等間隔アレーアンテナ101は、2次元(平面)的に等間隔に配置された複数のアンテナ素子102により構成されている。
等間隔アレーアンテナ101内の1点鎖線103は、エレベーション測角用の2領域分割境界線の例を示しており、破線104は、アジマス測角用の2領域分割境界線の例を示している。
【0006】
図15のような等間隔アレーアンテナ101を用いた場合、1点鎖線103および破線104のように、分割後の領域が等利得となるように領域分割境界を決定し、分割された2領域の観測信号を用いて、一般的な位相モノパルス測角により、1次元または2次元の測角処理を行うことができる。
【0007】
しかし、図15の等間隔アレーアンテナ101を用いた測角装置においては、各アンテナ素子102の間隔が波長に対して大きい場合には、所望とする方向以外であっても、各アンテナ素子102の信号が同じ位相状態となるので、メインローブと同じゲインを持つことになり、いわゆるグレーティングローブ(GL)を生じてしまう問題がある。
【0008】
このようなGLを生じる等間隔アレーアンテナ101を用いて電波を受信する場合を考えると、メインローブ以外の方向からも不要な電波を受信してしまうという問題があり、逆に送信時においても、他の通信から見て干渉源となってしまうという課題がある。
【0009】
また、図15の等間隔アレーアンテナ101をアダプティブアンテナに適用した場合には、GL方向から干渉波が到来する場合にメインローブも抑圧してしまう結果となり、大きなS/N低下を招くという問題がある。
【0010】
さらに、図15の等間隔アレーアンテナ101を電波到来方向探知装置に適用すると、受信位相状態が同じであるGLが存在した場合に、真の方向と対応するGL方向を識別できないという問題が生じてしまう。
【0011】
そこで、従来から、上記のようなGLの発生を抑圧するために、図16のように、複数のアンテナ素子102を不等間隔に配置した不等間隔アレーアンテナ201を用いることが提案されている。
【0012】
しかし、図17のように、図16の不等間隔アレーアンテナ201を2次元の平面アンテナに拡張した場合には、位相中心が受信波の到来方向によって変化するので、2次元の不等間隔アレーアンテナ301を用いて1次元または2次元の両方向の到来角についての測角を考えた場合に、分割後の2領域の位相中心が到来角によってそれぞれ異なる変化をする。そのため、エレベーション測角であるにも関わらずアジマス角の変化により測角結果が変化する(または、その逆にアジマス測角結果がエレベーション角によって変化する)という問題が生じることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】吉田孝監修、「改訂レーダ技術」、電子情報通信学会編、平成8年10月1日初版発行、第262頁―第264頁(コロナ社取次販売)
【非特許文献2】平田和史他、「グレーティングローブを抑圧する分散アレーアンテナの配置方法」電子情報通信学会、信学技報A・P2005−15、第35頁―第40頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の測角装置は、図15のような等間隔アレーアンテナ101を用いた場合には、高域周波数でGLを生じる課題があった。
また、仮に、図17のような不等間隔アレーアンテナ301を用いたとしても、測角処理を考えた場合に、等利得となる分割領域を確保するためには、アンテナ素子102の配置や、分割境界線304のように工夫が必要となるうえ、位相中心が定まらないことから、2次元の到来角の一方の角度変化が、他方の測角結果に影響を与えるという課題があった。
【0015】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、1次元方向または2次元方向について、アンテナ分割後の2領域のアンテナ素子数の測角方向に垂直な方向への空間分布が定数倍となるようにするとともに、測角方向に平行な各アンテナ素子列がある基準となるアンテナ配置(基調パターン)を測角方向にずらして足し合わせたアンテナとして構成されているとき、その基準のアンテナ配置が測角方向に平行な各アンテナ素子列すべてで同様であるようにアンテナを配置する。これにより、GLを抑圧するとともに、位相中心が定まらないことによる測角処理への影響を打ち消して、有効に測角を行うことのできる測角装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係る測角装置は、複数のアンテナ素子が不等間隔に配置されたアレーアンテナと、複数のアンテナ素子が受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段と、複数のアンテナ素子の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段と、Σ信号およびΔ信号を用いてアレーアンテナにおける受信到来波の到来角を推定する測角手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、1次元方向または2次元の両方向について、アンテナ分割後の2領域のアンテナ素子数の測角方向に垂直な方向への空間分布が定数倍となるようにするとともに、測角方向に平行な各アンテナ素子列がある基準となるアンテナ配置(基調パターン)を測角方向にずらして足し合わせたアンテナとして構成されているとき、その基準のアンテナ配置が測角方向に平行な各アンテナ素子列すべてで同様であるようにアンテナを配置することにより、GLを抑圧するとともに、位相中心が定まらないことによる測角処理への影響を打ち消して、有効に測角を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナを示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナを示す平面図である。
【図3】図2のアレーアンテナの各分割領域内におけるアンテナ素子数をヒストグラムで示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナの他の不等間隔配置例を示す平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る測角装置を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態1による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態1によるΔ/Σ信号の角度特性を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態2によるΔ/Σ信号の虚部の角度特性を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態3による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態3によるΔ/Σ信号の実部の角度特性を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態4に係る測角装置に用いられるアレーアンテナを示す平面図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係る測角装置を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態5に係る測角装置に用いられるアレーアンテナを示す平面図である。
【図15】従来の測角装置に用いられる等間隔アレーアンテナを示す平面図である。
【図16】従来の不等間隔アレーアンテナを示す平面図である。
【図17】従来の不等間隔アレーアンテナを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1はこの発明の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナ1を示す平面図である。
図1において、測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子2の列は、基準となる共通のアンテナ配置(基調パターン)を各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子2の列となっている。この場合、測角手段(後述する)は、2次元の任意の片方の角度のみを推定する。
【0020】
図1において、アレーアンテナ1は、2次元に不等間隔配置された複数のアンテナ素子2を有している。図1のアレーアンテナ1において、1点鎖線3は、縦方向の2領域を作り出すための領域分割における境界線の例を示している。
また、アレーアンテナ1はエレベーション測角だけに対応したアンテナ配置である。
【0021】
図1において、アンテナ配置を縦方向に領域分割した場合の各アンテナ素子2の数を、空間に対するヒストグラム7、8で示している。
ヒストグラム7、8は、1点鎖線3で縦方向(z軸方向)に領域を2分割した際の、上側および下側の各領域での横方向に対する素子数分布を示してり、不等間隔の関係が互いに一致している。
図1から明らかなように、領域分割後の2領域のヒストグラム同士が、定数倍の関係になっていることが分かる。図1の関係は、この発明の実施の形態1におけるエレベーション測角のための2つのアンテナ配置条件の1つとなる。
【0022】
図1において、アレーアンテナ1のすべての縦方向のアンテナ素子の列は、図1の基調パターンを縦方向にずらして足し合わせたものとなっている。一番左の列であれば基調パターンそのものであるし、左から3番目の列であれば基調パターンを縦方向にそれぞれずらした2つのアンテナ素子の列を足し合わせたものとなっている。
このように、測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、共通の基調パターンをずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっている。この点が、この発明の実施の形態1におけるエレベーション測角のための2つのアンテナ配置条件の2つ目となる。
【0023】
たとえば、図1において、1点鎖線3を用いて縦方向に2領域の分割を行い、縦方向の到来角について測角を行うことを考えた場合、2領域の各位相中心の関係は、横方向の到来角に対して不変でなければならない。
図1の場合、アレーアンテナ1が不等間隔配置であることから、2領域の位相中心は、前述のように、それぞれ横方向の到来角の変化によって変化する。
【0024】
しかし、図1のように、2次元に不等間隔配置されたアレーアンテナ1の場合には、位相中心が変化するものの、上記の2つの条件を満たしいている場合、2領域の両方においてその変化の仕方が同様なので、2領域間の位相中心の相対的な関係は変化しない。
【0025】
したがって、図1のアレーアンテナ1を用いたこの発明の実施の形態1に係る測角装置によれば、2次元不等間隔配置のアレーアンテナ1によりGLの抑圧を行いつつ、エレベーション角について、アジマス角の影響を受けずに独立して測角を行うことが可能である。
【0026】
また、ここではエレベーション測角の場合について記述したが、アジマス測角についても同様に考えることができる。
その場合、横方向にアンテナを2分割したそれぞれの領域の縦方向に対する素子数のヒストグラムが定数倍の関係になっていることと、横方向のすべての列が、共通の基調パターンをずらして足し合わせたもので構成されていることと、が条件となる。
【0027】
図2はこの発明の実施の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナ1を示す平面図である。
図2において、アレーアンテナ1は、2次元に不等間隔配置された複数のアンテナ素子2を有し、縦方向および横方向に、それぞれ異なるランダムな不等間隔配置が設定されている。また、アレーアンテナ1を構成する各アンテナ素子2は、縦横両方向について、上述の2つのアンテナ配置条件を満たしている。
【0028】
図2のアレーアンテナ1において、1点鎖線3は、縦方向の2領域を作り出すための領域分割における境界線の例を示しており、破線4は、横方向の2領域を作り出すための領域分割における境界線の例を示している。
なお、各境界線3、4は、図2内の1点鎖線および破線の位置に限定されることはなく、2領域に分割する方向に対して垂直な境界線であれば、どの位置に設定されてもよい。
【0029】
図3は各分割領域内の素子数を示す説明図であり、図2のようにアンテナ配置を領域分割した場合の各アンテナ素子2の数を、空間に対するヒストグラム5〜8で示している。
図3において、ヒストグラム5、6は、破線4で横方向(y軸方向)に領域を2分割した際の、左側および右側の各領域の縦方向に対する素子数分布を示しており、不等間隔の関係が互いに一致している。
【0030】
同様に、ヒストグラム7、8は、1点鎖線3で縦方向(z軸方向)に領域を2分割した際の、上側および下側の各領域での横方向に対する素子数分布を示してり、不等間隔の関係が互いに一致している。
図3から明らかなように、領域分割後の2領域のヒストグラム同士が、定数倍の関係になっている。
【0031】
また、図3のアレーアンテナ1においては、縦方向のアンテナの列と横方向のアンテナの列のそれぞれについて、各列は同じ構成となっているので、明らかに共通の基調パターンで構成されており、基調パターンについてのアンテナ配置条件も満たしている。
【0032】
なお、図1、図2では、ランダムな不等間隔配置例を示したが、たとえば図4に示すように、各アンテナ素子2の間隔が、上方向および右方向に一定量ずつ増加していく配置など、他の不等間隔配置を用いてもよい。
【0033】
図4の不等間隔配置は、GLを有効に抑圧できる不等間隔配置方法として、前述の非特許文献2に示された定量シフト配置法を縦方向および横方向に適用したものである。
図4の定量シフト配置を適用することにより、有効にGLを抑圧できるとともに、最適なシフト量をアンテナ数や視野角(GLを生じない角度)の条件から容易に設計することができる。
【0034】
図5はこの発明の実施の形態1に係る測角装置を示すブロック図であり、図1、図2または図4のアレーアンテナ1を用いた場合の概略構成を示している。
図5において、測角装置は、複数のアンテナ素子2から構成される不等間隔配置のアレーアンテナ1と、各アンテナ素子2に接続された移相器9と、移相器9の出力を分割領域ごとに合成する2つの合成器10と、2つの合成器10の各出力の和(Σ信号)を算出する合成器11と、2つの合成器10の各出力の差(Δ信号)を算出する差分器12と、合成器11および差分器12の各出力から測角結果を出力する位相モノパルス測角部13とを備えている。
【0035】
図5においては、1次元(横方向のみ)の測角装置を示しているが、2次元の測角を行う場合には、他方の到来角についても、同様の測角装置について、どのアンテナ素子2が2領域のうちのどちらに含まれるか(2つの合成器10のうちのどちらの入力になるか)という点のみを変更して、測角処理が行われる。
【0036】
図6は図5内の位相モノパルス測角部13の処理機能を示すブロック図である。
図6において、位相モノパルス測角部13は、除算部14と、絶対値算出手段15と、虚部抽出手段16と、極性判定手段17と、到来角導出手段18とを備えている。
【0037】
除算部14は、Δ信号をΣ信号で除算してΔ/Σ信号を生成し、絶対値算出手段15は、除算部14で算出されたΔ/Σ信号の絶対値を計算する。
虚部抽出手段16は、Δ/Σ信号の虚部を抽出し、極性判定手段17は、虚部抽出手段16で抽出されたΔ/Σ信号の虚部を用いて、Δ/Σ信号の極性を判定する。
【0038】
到来角導出手段18は、絶対値算出手段15で算出されたΔ/Σ信号の絶対値を用いて測角を行い、到来角を測角結果として出力する。
このとき、到来角導出手段18は、極性判定手段17で判定されたΔ/Σ信号の極性を用いることにより、一意に測角結果を得る。
【0039】
従来の位相モノパルス測角においては、Δ/Σ信号は純虚数となるが、図1、図2または図4のアレーアンテナ1を用いた場合には、従来のモノパルス測角とは異なり、分割後の領域間で利得が異なるので、Δ/Σ信号に実部が現れる。
そこで、到来角導出手段18は、Δ/Σ信号の絶対値から到来角を求める手法をとっている。
【0040】
図7はΔ/Σ信号の角度特性を示す説明図であり、到来角とΔ/Σ信号の絶対値との関係を示している。
図7において、横軸は到来角(degree)、縦軸はΔ/Σ信号の絶対値を表している。
【0041】
到来角導出手段18は、図7のΔ/Σ信号の絶対値と到来角との関係を参照することにより到来角を求める。
ただし、図7から分かるように、Δ/Σ信号の絶対値は極性を持たないので、一意に到来角を求めることはできない。
【0042】
そこで、位相モノパルス測角部13は、図6に示すように、虚部抽出部16で求めたΔ/Σ信号の虚部から極性を判定する極性判定手段17を備えており、到来角導出手段18は、極性判定手段17で導出された極性を用いることにより、一意に測角結果を得ることができる。
【0043】
以上のように、この発明の実施の形態1(図2〜図7)に係る測角装置は、複数のアンテナ素子2が不等間隔に配置されたアレーアンテナ1と、複数のアンテナ素子2が受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段(合成器10、11)と、複数のアンテナ素子2の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段(合成器10、差分器12)と、Σ信号およびΔ信号を用いて、アレーアンテナ1における受信到来波の到来角を推定する測角手段(位相モノパルス測角部13)と、を備えている。
【0044】
複数のアンテナ素子2は、アレーアンテナ1において、図5のように、1次元(y軸)上に不等間隔に配置されてもよい。
図5において、複数のアンテナ素子2は、アレーアンテナ1において、2次元の各方向(y−z方向)に不等間隔に配置されている。
【0045】
この場合、分割された2領域間での空間に対する複数のアンテナ素子2の素子数の各ヒストグラムは、図3に示すように、一方が他方の定数倍の関係にあり、かつ測角方向に平行な各アンテナ列が共通の基調パターンの足し合わせによって構成されている。これにより、2領域間の位相中心の変化による測角への影響は打ち消されるようになっている。
【0046】
また、Δ信号算出手段は、2次元の両方向について、複数のアンテナ素子2の配列を2分割した各分割領域で受信した複素信号の和信号の差を、2つのΔ信号としてそれぞれ算出する。
測角手段(位相モノパルス測角部13)は、Σ信号および2つのΔ信号を用いて、2次元の両方の角度について独立に測角を行う。
【0047】
複数のアンテナ素子2の不等間隔配置は、素子間隔がランダムに設定されたランダム配置(図2)であってもよく、素子間隔が一定量ずつ増加していく定量シフト配置(図4)であってもよい。
【0048】
この発明の実施の形態1によれば、不等間隔配置のアレーアンテナ1を用いることにより、GLを抑圧しつつ有効に測角を行うことができる。
【0049】
また、2次元の不等間隔配置を適用した場合にも、2次元の両方向について、分割後の2領域間で空間に対する素子数のヒストグラムが定数倍の関係になるように、かつ縦方向の各アンテナ列が共通の基調パターンで構成されており、かつ横方向の各アンテナ列も縦方向とは異なるか、または同一の基調パターンをすべての列が共有するようにアンテナ素子を配置することにより、GLの抑圧を行いながら、縦方向および横方向の各到来角について、他方の到来角の影響を受けずに独立して測角を行うことが可能となる。
【0050】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図6)では、位相モノパルス測角部13の測角処理においてΔ/Σ信号の絶対値および虚部の両方を用いたが、Δ/Σ信号の虚部のみを用いて測角してもよい。すなわち、図6に示した位相モノパルス測角部13に代えて、図8に示す位相モノパルス測角部13Aを用いてもよい。
【0051】
図8はこの発明の実施の形態2による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
図8において、前述(図6参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
【0052】
この場合、位相モノパルス測角部13Aは、Δ/Σ信号を生成する除算部14と、虚部抽出手段16と、到来角導出手段18Aとを備えている。
到来角導出手段18Aは、前述(図6)の処理機能とは異なり、虚部抽出手段16で抽出されたΔ/Σ信号の虚部のみを用いて測角を行う。
【0053】
図9はΔ/Σ信号の角度特性を示す説明図であり、到来角(横軸)とΔ/Σ信号の虚部(縦軸)との関係を示している。
図9においては、到来角とΔ/Σ信号の虚部とが1対1で対応していることが分かる。
したがって、この場合、到来角導出手段18Aは、図9のΔ/Σ信号の虚部と到来角との関係を参照することにより、到来角を一意に求めることができる。
【0054】
以上のように、この発明の実施の形態2(図8、図9)に係る測角装置によれば、前述と同様に、GLの抑圧を行いながら、2次元の到来角それぞれについて、他方の到来角の影響を受けずに独立して測角を行うことが可能となる。
【0055】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態2(図8)では位相モノパルス測角部13Aの測角処理においてΔ/Σ信号の虚部のみを用いたが、Δ/Σ信号の実部および虚部の両方を用いて測角してもよい。
すなわち、前述の実施の形態1、2(図6、図8)の位相モノパルス測角部13、13Aに代えて、図10の位相モノパルス測角部13Bを用いてもよい。
【0056】
図10はこの発明の実施の形態3による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
図10において、前述(図6参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「B」を付して詳述を省略する。
【0057】
この場合、位相モノパルス測角部13Bは、Δ/Σ信号を生成する除算部14と、虚部抽出手段16と、実部抽出手段16Bと、到来角導出手段18Bとを備えている。
到来角導出手段18Bは、前述(図8)の処理機能とは異なり、虚部抽出手段16と実部抽出手段16Bで抽出されたΔ/Σ信号の実部と虚部の両方を用いて測角を行う。
【0058】
図11はΔ/Σ信号の角度特性を示す説明図であり、到来角(横軸)とΔ/Σ信号の実部(縦軸)との関係を示している。
図11においては、到来角とΔ/Σ信号の実部とが、極性が無いために1対1で対応していないものの、前述(図9)の虚部と同時に用いることで、一意に測角結果を求めることができる。
【0059】
以上のように、この発明の実施の形態3(図10、図11)に係る測角装置によれば、前述と同様に、GLの抑圧を行いながら、縦方向の到来角それぞれについて、他方の到来角の影響を受けずに独立して測角を行うことが可能となる。
【0060】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1、2、3(図2〜図11)では、アンテナ素子2をアレーアンテナ1において不等間隔に配置したが、図12のように、複数のアンテナ素子2からなるサブアレーアンテナ20の位相中心位置を、アレーアンテナ1Cにおいて不等間隔に配置してもよい。
【0061】
図12はこの発明の実施の形態4に用いられるアレーアンテナ1Cを示す平面図であり、サブアレーアンテナ20の配置を示している。また、図13はこの発明の実施の形態4に係る測角装置の処理機能を示すブロック図である。
図12および図13において、前述(図2〜図5参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「C」を付して詳述を省略する。
【0062】
図12において、アレーアンテナ1Cは、前述(図2、図3)のアンテナ素子2の位置の代わりに、複数のサブアレーアンテナ20の位相中心位置を不等間隔配置とし、複数のサブアレーアンテナ20を敷き詰めることにより構成されている。
【0063】
図12においては、サブアレーごとにアンテナ素子2の数が異なり、複数のサブアレーアンテナの各々における複数のアンテナ素子の配置は、すべてが同一ではない。
ただし、2領域間での空間に対する複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあり、かつ、測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、共通の基調パターンを各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっている。
【0064】
すなわち、この場合、複数のアンテナ素子2からなるサブアレーアンテナ20ごとに、サブアレーアンテナ20の大きさも不等に設定することにより、アンテナ素子2をより密に配置して、利得を増大させる構成となっている。
また、各サブアレーアンテナ20は、互いに不等であるものの、前述(図3)と同様に、測角処理における領域分割後の各分割領域でのアンテナ素子2の素子数の空間に対するヒストグラムは、定数倍の関係を保ち、かつ縦横の各アンテナ列それぞれにおいて共通の基調パターンを持つという関係も保っている。
【0065】
図12内の1点鎖線3Cは、エレベーション測角用の領域分割における境界線の例を示し、破線4Cは、アジマス測角用の領域分割における境界線の例を示している。
各境界線3C、4Cは、1点鎖線および破線の位置に限定されることはなく、前述と同様に、2領域に分割する方向に対して垂直であり、かつアンテナ素子数の空間に対するヒストグラムが定数倍となっている条件を満たしていれば、どの位置に設定されてもよい。
【0066】
また、図12においては、各サブアレーアンテナ20の大きさが不等に設定されているが、すべてのサブアレーアンテナ20を同様の構造にしてもよい。
さらに、各サブアレーアンテナ20の位相中心位置の配置として、定量シフト配置を適用したが、他のランダム配置などの不等間隔配置を適用してもよい。
【0067】
図13は図12のサブアレーアンテナ20を用いた測角装置の構成を示しており、2次元不等間隔アレー配置を適用した場合を示している。
図13において、サブアレーアンテナ20は、複数のアンテナ素子2と、各アンテナ素子2の受信信号を合成する合成器21とを備えている。
【0068】
各サブアレーアンテナ20の出力は、前述(図5)と同様に、移相器9Cと、領域分割に対応した2つの合成器10Cと、Σ信号作成用の合成器11Cと、Δ信号作成用の差分器12Cとを介して、Σ信号およびΔ信号となり、位相モノパルス測角部13Cに入力される。
位相モノパルス測角部13Cは、前述(図5〜図8)の位相モノパルス測角部13と同様に、2次元の両方向の到来角を測角結果として出力する。
【0069】
以上のように、この発明の実施の形態4(図12、図13)に係る測角装置は、複数のアンテナ素子2を含むサブアレーアンテナ20が複数個配置されたアレーアンテナ1Cと、複数のサブアレーアンテナ20が受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段(合成器10C、11C)と、複数のサブアレーアンテナ20の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段(合成器10C、差分器12C)と、Σ信号およびΔ信号を用いてアレーアンテナ1Cにおける受信到来波の到来角を推定する測角手段(位相モノパルス測角部13C)とを備えている。
【0070】
複数のサブアレーアンテナ20の各々の位相中心位置は、アレーアンテナ1Cにおいて不等間隔に配置されている。
複数のサブアレーアンテナ20の各々における複数のアンテナ素子2の配置は、すべて同一であってもよい。
【0071】
複数のサブアレーアンテナ20の各々における複数のアンテナ素子2の配置は、同一でなくてもよい。
ただし、アンテナ分割後の2領域間での空間に対する複数のアンテナ素子2の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係に設定されている。
なおかつ、測角方向に平行な各アンテナ素子列が共通の基調パターンの足し合わせによって構成されている。
【0072】
測角手段(位相モノパルス測角部13C)は、測角方向に対して垂直な直線を任意の位置に境界として設定することにより領域分割を行い、位相モノパルス測角を用いて、アレーアンテナ1Cにおける受信到来波の到来角の測角を行う。
【0073】
また、測角手段(位相モノパルス測角部13C)は、位相モノパルス測角の際に、前述(図6)のように、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の絶対値と、Δ/Σ信号の虚部から判定されたΔ/Σ信号の極性と、を用いて測角を行うか、または、前述(図8)のように、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の虚部のみを用いて測角を行うか、または、前述(図10)のように、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の実部と虚部の両方を用いて測角を行う。
【0074】
この発明の実施の形態4によれば、サブアレーアンテナ20の位相中心位置に対して、前述と同様に2次元の不等間隔配置を適用し、複数のサブアレーアンテナ20を配置してアレーアンテナ1Cを構成し、なおかつ各分割領域でのアンテナ素子2の素子数の空間に対するヒストグラムが定数倍の関係を保ちつつ、縦横の各アンテナ列それぞれにおいて共通の基調パターンを持つという関係も保っているので、サブアレーアンテナ20を用いた場合でも、GLの抑圧を行いつつ、縦方向および横方向の到来角のそれぞれについて、他方の到来角の影響を受けずに、独立して測角を行うことが可能となる。
【0075】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態4(図12)では、複数個のサブアレーアンテナ20を敷き詰めていくという実装手法を適用したが、図14(破線枠参照)のように、複数のアンテナ素子2が等間隔に配置されたアレーアンテナ1Dに対して、不等にグループ分けを行うことにより、複数のサブアレーアンテナ20Dを形成してもよい。
【0076】
図14はこの発明の実施の形態5に用いられるアレーアンテナ1Dを示す平面図であり、前述と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「D」を付して詳述を省略する。
【0077】
図14においては、元々複数のアンテナ素子2が等間隔配置されているアレーアンテナ1Dが、不等領域でグループ分けされており、グループ分けされた各領域が、結果的にサブアレーアンテナ20Dとして隔離されている。
【0078】
こうして実装された複数のサブアレーアンテナ20Dにおいて、各分割領域のアンテナ素子2の素子数の空間に対するヒストグラムは、前述(図12)と同様に、定数倍の関係を満たしている。また共通の基調パターンを持つという関係も明らかに満たしている。
したがって、図14のようなアレーアンテナ1Dを用いても、前述と同様に、有効に測角を行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
1、1C、1D アレーアンテナ、2 アンテナ素子、3、3C、4、4C 境界線、5〜8 ヒストグラム、9、9C 移相器、10、10C、11、11C 合成器(Σ信号算出手段)、12、12C 差分器(Δ信号算出手段)、13、13A、13B、13C 位相モノパルス測角部(測角手段)、14 除算部、15 絶対値算出手段、16、16B 虚部抽出手段、17 極性判定手段、18、18A、18B 到来角導出手段。
【技術分野】
【0001】
この発明は、1次元アレーアンテナまたは平面アレーアンテナ(以下、単に「アレーアンテナ」という)を備えた測角装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の測角装置においては、複数のアンテナ素子が等間隔に配置されたアレーアンテナについて、利得が等しくなるように分割を行うことにより、モノパルス測角が行われている(たとえば、非特許文献1参照)。
一方、アレーアンテナにおいては、グレーティングローブ(GL)の発生を抑圧するために、アンテナ素子を不等間隔に配置することが有効なことが知られている(たとえば、非特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、不等間隔に配置されたアレーアンテナは、等間隔アレーアンテナとは異なり、到来角に応じて位相中心が動くという問題が発生するので、不等間隔配置のアレーアンテナを用いた測角装置においては、アジマス(到来角)測角であるにも関わらず、エレベーション角の変化によって、アジマス測角結果が変化するという問題がある。
【0004】
以下、図15〜図17を参照しながら、一般的な等間隔アレーアンテナおよび不等間隔アレーアンテナを用いた従来の測角装置における問題点について説明する。
図15は従来の等間隔アレーアンテナ101を示す平面図であり、図16は従来の不等間隔アレーアンテナ201を示す平面図である。また、図17は図16の構成を2次元の平面アンテナに拡張した従来の不等間隔アレーアンテナ301を示す平面図である。
【0005】
図15において、等間隔アレーアンテナ101は、2次元(平面)的に等間隔に配置された複数のアンテナ素子102により構成されている。
等間隔アレーアンテナ101内の1点鎖線103は、エレベーション測角用の2領域分割境界線の例を示しており、破線104は、アジマス測角用の2領域分割境界線の例を示している。
【0006】
図15のような等間隔アレーアンテナ101を用いた場合、1点鎖線103および破線104のように、分割後の領域が等利得となるように領域分割境界を決定し、分割された2領域の観測信号を用いて、一般的な位相モノパルス測角により、1次元または2次元の測角処理を行うことができる。
【0007】
しかし、図15の等間隔アレーアンテナ101を用いた測角装置においては、各アンテナ素子102の間隔が波長に対して大きい場合には、所望とする方向以外であっても、各アンテナ素子102の信号が同じ位相状態となるので、メインローブと同じゲインを持つことになり、いわゆるグレーティングローブ(GL)を生じてしまう問題がある。
【0008】
このようなGLを生じる等間隔アレーアンテナ101を用いて電波を受信する場合を考えると、メインローブ以外の方向からも不要な電波を受信してしまうという問題があり、逆に送信時においても、他の通信から見て干渉源となってしまうという課題がある。
【0009】
また、図15の等間隔アレーアンテナ101をアダプティブアンテナに適用した場合には、GL方向から干渉波が到来する場合にメインローブも抑圧してしまう結果となり、大きなS/N低下を招くという問題がある。
【0010】
さらに、図15の等間隔アレーアンテナ101を電波到来方向探知装置に適用すると、受信位相状態が同じであるGLが存在した場合に、真の方向と対応するGL方向を識別できないという問題が生じてしまう。
【0011】
そこで、従来から、上記のようなGLの発生を抑圧するために、図16のように、複数のアンテナ素子102を不等間隔に配置した不等間隔アレーアンテナ201を用いることが提案されている。
【0012】
しかし、図17のように、図16の不等間隔アレーアンテナ201を2次元の平面アンテナに拡張した場合には、位相中心が受信波の到来方向によって変化するので、2次元の不等間隔アレーアンテナ301を用いて1次元または2次元の両方向の到来角についての測角を考えた場合に、分割後の2領域の位相中心が到来角によってそれぞれ異なる変化をする。そのため、エレベーション測角であるにも関わらずアジマス角の変化により測角結果が変化する(または、その逆にアジマス測角結果がエレベーション角によって変化する)という問題が生じることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】吉田孝監修、「改訂レーダ技術」、電子情報通信学会編、平成8年10月1日初版発行、第262頁―第264頁(コロナ社取次販売)
【非特許文献2】平田和史他、「グレーティングローブを抑圧する分散アレーアンテナの配置方法」電子情報通信学会、信学技報A・P2005−15、第35頁―第40頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の測角装置は、図15のような等間隔アレーアンテナ101を用いた場合には、高域周波数でGLを生じる課題があった。
また、仮に、図17のような不等間隔アレーアンテナ301を用いたとしても、測角処理を考えた場合に、等利得となる分割領域を確保するためには、アンテナ素子102の配置や、分割境界線304のように工夫が必要となるうえ、位相中心が定まらないことから、2次元の到来角の一方の角度変化が、他方の測角結果に影響を与えるという課題があった。
【0015】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、1次元方向または2次元方向について、アンテナ分割後の2領域のアンテナ素子数の測角方向に垂直な方向への空間分布が定数倍となるようにするとともに、測角方向に平行な各アンテナ素子列がある基準となるアンテナ配置(基調パターン)を測角方向にずらして足し合わせたアンテナとして構成されているとき、その基準のアンテナ配置が測角方向に平行な各アンテナ素子列すべてで同様であるようにアンテナを配置する。これにより、GLを抑圧するとともに、位相中心が定まらないことによる測角処理への影響を打ち消して、有効に測角を行うことのできる測角装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係る測角装置は、複数のアンテナ素子が不等間隔に配置されたアレーアンテナと、複数のアンテナ素子が受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段と、複数のアンテナ素子の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段と、Σ信号およびΔ信号を用いてアレーアンテナにおける受信到来波の到来角を推定する測角手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、1次元方向または2次元の両方向について、アンテナ分割後の2領域のアンテナ素子数の測角方向に垂直な方向への空間分布が定数倍となるようにするとともに、測角方向に平行な各アンテナ素子列がある基準となるアンテナ配置(基調パターン)を測角方向にずらして足し合わせたアンテナとして構成されているとき、その基準のアンテナ配置が測角方向に平行な各アンテナ素子列すべてで同様であるようにアンテナを配置することにより、GLを抑圧するとともに、位相中心が定まらないことによる測角処理への影響を打ち消して、有効に測角を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナを示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナを示す平面図である。
【図3】図2のアレーアンテナの各分割領域内におけるアンテナ素子数をヒストグラムで示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナの他の不等間隔配置例を示す平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る測角装置を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態1による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態1によるΔ/Σ信号の角度特性を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態2によるΔ/Σ信号の虚部の角度特性を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態3による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態3によるΔ/Σ信号の実部の角度特性を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態4に係る測角装置に用いられるアレーアンテナを示す平面図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係る測角装置を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態5に係る測角装置に用いられるアレーアンテナを示す平面図である。
【図15】従来の測角装置に用いられる等間隔アレーアンテナを示す平面図である。
【図16】従来の不等間隔アレーアンテナを示す平面図である。
【図17】従来の不等間隔アレーアンテナを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1はこの発明の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナ1を示す平面図である。
図1において、測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子2の列は、基準となる共通のアンテナ配置(基調パターン)を各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子2の列となっている。この場合、測角手段(後述する)は、2次元の任意の片方の角度のみを推定する。
【0020】
図1において、アレーアンテナ1は、2次元に不等間隔配置された複数のアンテナ素子2を有している。図1のアレーアンテナ1において、1点鎖線3は、縦方向の2領域を作り出すための領域分割における境界線の例を示している。
また、アレーアンテナ1はエレベーション測角だけに対応したアンテナ配置である。
【0021】
図1において、アンテナ配置を縦方向に領域分割した場合の各アンテナ素子2の数を、空間に対するヒストグラム7、8で示している。
ヒストグラム7、8は、1点鎖線3で縦方向(z軸方向)に領域を2分割した際の、上側および下側の各領域での横方向に対する素子数分布を示してり、不等間隔の関係が互いに一致している。
図1から明らかなように、領域分割後の2領域のヒストグラム同士が、定数倍の関係になっていることが分かる。図1の関係は、この発明の実施の形態1におけるエレベーション測角のための2つのアンテナ配置条件の1つとなる。
【0022】
図1において、アレーアンテナ1のすべての縦方向のアンテナ素子の列は、図1の基調パターンを縦方向にずらして足し合わせたものとなっている。一番左の列であれば基調パターンそのものであるし、左から3番目の列であれば基調パターンを縦方向にそれぞれずらした2つのアンテナ素子の列を足し合わせたものとなっている。
このように、測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、共通の基調パターンをずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっている。この点が、この発明の実施の形態1におけるエレベーション測角のための2つのアンテナ配置条件の2つ目となる。
【0023】
たとえば、図1において、1点鎖線3を用いて縦方向に2領域の分割を行い、縦方向の到来角について測角を行うことを考えた場合、2領域の各位相中心の関係は、横方向の到来角に対して不変でなければならない。
図1の場合、アレーアンテナ1が不等間隔配置であることから、2領域の位相中心は、前述のように、それぞれ横方向の到来角の変化によって変化する。
【0024】
しかし、図1のように、2次元に不等間隔配置されたアレーアンテナ1の場合には、位相中心が変化するものの、上記の2つの条件を満たしいている場合、2領域の両方においてその変化の仕方が同様なので、2領域間の位相中心の相対的な関係は変化しない。
【0025】
したがって、図1のアレーアンテナ1を用いたこの発明の実施の形態1に係る測角装置によれば、2次元不等間隔配置のアレーアンテナ1によりGLの抑圧を行いつつ、エレベーション角について、アジマス角の影響を受けずに独立して測角を行うことが可能である。
【0026】
また、ここではエレベーション測角の場合について記述したが、アジマス測角についても同様に考えることができる。
その場合、横方向にアンテナを2分割したそれぞれの領域の縦方向に対する素子数のヒストグラムが定数倍の関係になっていることと、横方向のすべての列が、共通の基調パターンをずらして足し合わせたもので構成されていることと、が条件となる。
【0027】
図2はこの発明の実施の形態1に係る測角装置に用いられるアレーアンテナ1を示す平面図である。
図2において、アレーアンテナ1は、2次元に不等間隔配置された複数のアンテナ素子2を有し、縦方向および横方向に、それぞれ異なるランダムな不等間隔配置が設定されている。また、アレーアンテナ1を構成する各アンテナ素子2は、縦横両方向について、上述の2つのアンテナ配置条件を満たしている。
【0028】
図2のアレーアンテナ1において、1点鎖線3は、縦方向の2領域を作り出すための領域分割における境界線の例を示しており、破線4は、横方向の2領域を作り出すための領域分割における境界線の例を示している。
なお、各境界線3、4は、図2内の1点鎖線および破線の位置に限定されることはなく、2領域に分割する方向に対して垂直な境界線であれば、どの位置に設定されてもよい。
【0029】
図3は各分割領域内の素子数を示す説明図であり、図2のようにアンテナ配置を領域分割した場合の各アンテナ素子2の数を、空間に対するヒストグラム5〜8で示している。
図3において、ヒストグラム5、6は、破線4で横方向(y軸方向)に領域を2分割した際の、左側および右側の各領域の縦方向に対する素子数分布を示しており、不等間隔の関係が互いに一致している。
【0030】
同様に、ヒストグラム7、8は、1点鎖線3で縦方向(z軸方向)に領域を2分割した際の、上側および下側の各領域での横方向に対する素子数分布を示してり、不等間隔の関係が互いに一致している。
図3から明らかなように、領域分割後の2領域のヒストグラム同士が、定数倍の関係になっている。
【0031】
また、図3のアレーアンテナ1においては、縦方向のアンテナの列と横方向のアンテナの列のそれぞれについて、各列は同じ構成となっているので、明らかに共通の基調パターンで構成されており、基調パターンについてのアンテナ配置条件も満たしている。
【0032】
なお、図1、図2では、ランダムな不等間隔配置例を示したが、たとえば図4に示すように、各アンテナ素子2の間隔が、上方向および右方向に一定量ずつ増加していく配置など、他の不等間隔配置を用いてもよい。
【0033】
図4の不等間隔配置は、GLを有効に抑圧できる不等間隔配置方法として、前述の非特許文献2に示された定量シフト配置法を縦方向および横方向に適用したものである。
図4の定量シフト配置を適用することにより、有効にGLを抑圧できるとともに、最適なシフト量をアンテナ数や視野角(GLを生じない角度)の条件から容易に設計することができる。
【0034】
図5はこの発明の実施の形態1に係る測角装置を示すブロック図であり、図1、図2または図4のアレーアンテナ1を用いた場合の概略構成を示している。
図5において、測角装置は、複数のアンテナ素子2から構成される不等間隔配置のアレーアンテナ1と、各アンテナ素子2に接続された移相器9と、移相器9の出力を分割領域ごとに合成する2つの合成器10と、2つの合成器10の各出力の和(Σ信号)を算出する合成器11と、2つの合成器10の各出力の差(Δ信号)を算出する差分器12と、合成器11および差分器12の各出力から測角結果を出力する位相モノパルス測角部13とを備えている。
【0035】
図5においては、1次元(横方向のみ)の測角装置を示しているが、2次元の測角を行う場合には、他方の到来角についても、同様の測角装置について、どのアンテナ素子2が2領域のうちのどちらに含まれるか(2つの合成器10のうちのどちらの入力になるか)という点のみを変更して、測角処理が行われる。
【0036】
図6は図5内の位相モノパルス測角部13の処理機能を示すブロック図である。
図6において、位相モノパルス測角部13は、除算部14と、絶対値算出手段15と、虚部抽出手段16と、極性判定手段17と、到来角導出手段18とを備えている。
【0037】
除算部14は、Δ信号をΣ信号で除算してΔ/Σ信号を生成し、絶対値算出手段15は、除算部14で算出されたΔ/Σ信号の絶対値を計算する。
虚部抽出手段16は、Δ/Σ信号の虚部を抽出し、極性判定手段17は、虚部抽出手段16で抽出されたΔ/Σ信号の虚部を用いて、Δ/Σ信号の極性を判定する。
【0038】
到来角導出手段18は、絶対値算出手段15で算出されたΔ/Σ信号の絶対値を用いて測角を行い、到来角を測角結果として出力する。
このとき、到来角導出手段18は、極性判定手段17で判定されたΔ/Σ信号の極性を用いることにより、一意に測角結果を得る。
【0039】
従来の位相モノパルス測角においては、Δ/Σ信号は純虚数となるが、図1、図2または図4のアレーアンテナ1を用いた場合には、従来のモノパルス測角とは異なり、分割後の領域間で利得が異なるので、Δ/Σ信号に実部が現れる。
そこで、到来角導出手段18は、Δ/Σ信号の絶対値から到来角を求める手法をとっている。
【0040】
図7はΔ/Σ信号の角度特性を示す説明図であり、到来角とΔ/Σ信号の絶対値との関係を示している。
図7において、横軸は到来角(degree)、縦軸はΔ/Σ信号の絶対値を表している。
【0041】
到来角導出手段18は、図7のΔ/Σ信号の絶対値と到来角との関係を参照することにより到来角を求める。
ただし、図7から分かるように、Δ/Σ信号の絶対値は極性を持たないので、一意に到来角を求めることはできない。
【0042】
そこで、位相モノパルス測角部13は、図6に示すように、虚部抽出部16で求めたΔ/Σ信号の虚部から極性を判定する極性判定手段17を備えており、到来角導出手段18は、極性判定手段17で導出された極性を用いることにより、一意に測角結果を得ることができる。
【0043】
以上のように、この発明の実施の形態1(図2〜図7)に係る測角装置は、複数のアンテナ素子2が不等間隔に配置されたアレーアンテナ1と、複数のアンテナ素子2が受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段(合成器10、11)と、複数のアンテナ素子2の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段(合成器10、差分器12)と、Σ信号およびΔ信号を用いて、アレーアンテナ1における受信到来波の到来角を推定する測角手段(位相モノパルス測角部13)と、を備えている。
【0044】
複数のアンテナ素子2は、アレーアンテナ1において、図5のように、1次元(y軸)上に不等間隔に配置されてもよい。
図5において、複数のアンテナ素子2は、アレーアンテナ1において、2次元の各方向(y−z方向)に不等間隔に配置されている。
【0045】
この場合、分割された2領域間での空間に対する複数のアンテナ素子2の素子数の各ヒストグラムは、図3に示すように、一方が他方の定数倍の関係にあり、かつ測角方向に平行な各アンテナ列が共通の基調パターンの足し合わせによって構成されている。これにより、2領域間の位相中心の変化による測角への影響は打ち消されるようになっている。
【0046】
また、Δ信号算出手段は、2次元の両方向について、複数のアンテナ素子2の配列を2分割した各分割領域で受信した複素信号の和信号の差を、2つのΔ信号としてそれぞれ算出する。
測角手段(位相モノパルス測角部13)は、Σ信号および2つのΔ信号を用いて、2次元の両方の角度について独立に測角を行う。
【0047】
複数のアンテナ素子2の不等間隔配置は、素子間隔がランダムに設定されたランダム配置(図2)であってもよく、素子間隔が一定量ずつ増加していく定量シフト配置(図4)であってもよい。
【0048】
この発明の実施の形態1によれば、不等間隔配置のアレーアンテナ1を用いることにより、GLを抑圧しつつ有効に測角を行うことができる。
【0049】
また、2次元の不等間隔配置を適用した場合にも、2次元の両方向について、分割後の2領域間で空間に対する素子数のヒストグラムが定数倍の関係になるように、かつ縦方向の各アンテナ列が共通の基調パターンで構成されており、かつ横方向の各アンテナ列も縦方向とは異なるか、または同一の基調パターンをすべての列が共有するようにアンテナ素子を配置することにより、GLの抑圧を行いながら、縦方向および横方向の各到来角について、他方の到来角の影響を受けずに独立して測角を行うことが可能となる。
【0050】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図6)では、位相モノパルス測角部13の測角処理においてΔ/Σ信号の絶対値および虚部の両方を用いたが、Δ/Σ信号の虚部のみを用いて測角してもよい。すなわち、図6に示した位相モノパルス測角部13に代えて、図8に示す位相モノパルス測角部13Aを用いてもよい。
【0051】
図8はこの発明の実施の形態2による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
図8において、前述(図6参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
【0052】
この場合、位相モノパルス測角部13Aは、Δ/Σ信号を生成する除算部14と、虚部抽出手段16と、到来角導出手段18Aとを備えている。
到来角導出手段18Aは、前述(図6)の処理機能とは異なり、虚部抽出手段16で抽出されたΔ/Σ信号の虚部のみを用いて測角を行う。
【0053】
図9はΔ/Σ信号の角度特性を示す説明図であり、到来角(横軸)とΔ/Σ信号の虚部(縦軸)との関係を示している。
図9においては、到来角とΔ/Σ信号の虚部とが1対1で対応していることが分かる。
したがって、この場合、到来角導出手段18Aは、図9のΔ/Σ信号の虚部と到来角との関係を参照することにより、到来角を一意に求めることができる。
【0054】
以上のように、この発明の実施の形態2(図8、図9)に係る測角装置によれば、前述と同様に、GLの抑圧を行いながら、2次元の到来角それぞれについて、他方の到来角の影響を受けずに独立して測角を行うことが可能となる。
【0055】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態2(図8)では位相モノパルス測角部13Aの測角処理においてΔ/Σ信号の虚部のみを用いたが、Δ/Σ信号の実部および虚部の両方を用いて測角してもよい。
すなわち、前述の実施の形態1、2(図6、図8)の位相モノパルス測角部13、13Aに代えて、図10の位相モノパルス測角部13Bを用いてもよい。
【0056】
図10はこの発明の実施の形態3による位相モノパルス測角部の処理機能を示すブロック図である。
図10において、前述(図6参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「B」を付して詳述を省略する。
【0057】
この場合、位相モノパルス測角部13Bは、Δ/Σ信号を生成する除算部14と、虚部抽出手段16と、実部抽出手段16Bと、到来角導出手段18Bとを備えている。
到来角導出手段18Bは、前述(図8)の処理機能とは異なり、虚部抽出手段16と実部抽出手段16Bで抽出されたΔ/Σ信号の実部と虚部の両方を用いて測角を行う。
【0058】
図11はΔ/Σ信号の角度特性を示す説明図であり、到来角(横軸)とΔ/Σ信号の実部(縦軸)との関係を示している。
図11においては、到来角とΔ/Σ信号の実部とが、極性が無いために1対1で対応していないものの、前述(図9)の虚部と同時に用いることで、一意に測角結果を求めることができる。
【0059】
以上のように、この発明の実施の形態3(図10、図11)に係る測角装置によれば、前述と同様に、GLの抑圧を行いながら、縦方向の到来角それぞれについて、他方の到来角の影響を受けずに独立して測角を行うことが可能となる。
【0060】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1、2、3(図2〜図11)では、アンテナ素子2をアレーアンテナ1において不等間隔に配置したが、図12のように、複数のアンテナ素子2からなるサブアレーアンテナ20の位相中心位置を、アレーアンテナ1Cにおいて不等間隔に配置してもよい。
【0061】
図12はこの発明の実施の形態4に用いられるアレーアンテナ1Cを示す平面図であり、サブアレーアンテナ20の配置を示している。また、図13はこの発明の実施の形態4に係る測角装置の処理機能を示すブロック図である。
図12および図13において、前述(図2〜図5参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「C」を付して詳述を省略する。
【0062】
図12において、アレーアンテナ1Cは、前述(図2、図3)のアンテナ素子2の位置の代わりに、複数のサブアレーアンテナ20の位相中心位置を不等間隔配置とし、複数のサブアレーアンテナ20を敷き詰めることにより構成されている。
【0063】
図12においては、サブアレーごとにアンテナ素子2の数が異なり、複数のサブアレーアンテナの各々における複数のアンテナ素子の配置は、すべてが同一ではない。
ただし、2領域間での空間に対する複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあり、かつ、測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、共通の基調パターンを各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっている。
【0064】
すなわち、この場合、複数のアンテナ素子2からなるサブアレーアンテナ20ごとに、サブアレーアンテナ20の大きさも不等に設定することにより、アンテナ素子2をより密に配置して、利得を増大させる構成となっている。
また、各サブアレーアンテナ20は、互いに不等であるものの、前述(図3)と同様に、測角処理における領域分割後の各分割領域でのアンテナ素子2の素子数の空間に対するヒストグラムは、定数倍の関係を保ち、かつ縦横の各アンテナ列それぞれにおいて共通の基調パターンを持つという関係も保っている。
【0065】
図12内の1点鎖線3Cは、エレベーション測角用の領域分割における境界線の例を示し、破線4Cは、アジマス測角用の領域分割における境界線の例を示している。
各境界線3C、4Cは、1点鎖線および破線の位置に限定されることはなく、前述と同様に、2領域に分割する方向に対して垂直であり、かつアンテナ素子数の空間に対するヒストグラムが定数倍となっている条件を満たしていれば、どの位置に設定されてもよい。
【0066】
また、図12においては、各サブアレーアンテナ20の大きさが不等に設定されているが、すべてのサブアレーアンテナ20を同様の構造にしてもよい。
さらに、各サブアレーアンテナ20の位相中心位置の配置として、定量シフト配置を適用したが、他のランダム配置などの不等間隔配置を適用してもよい。
【0067】
図13は図12のサブアレーアンテナ20を用いた測角装置の構成を示しており、2次元不等間隔アレー配置を適用した場合を示している。
図13において、サブアレーアンテナ20は、複数のアンテナ素子2と、各アンテナ素子2の受信信号を合成する合成器21とを備えている。
【0068】
各サブアレーアンテナ20の出力は、前述(図5)と同様に、移相器9Cと、領域分割に対応した2つの合成器10Cと、Σ信号作成用の合成器11Cと、Δ信号作成用の差分器12Cとを介して、Σ信号およびΔ信号となり、位相モノパルス測角部13Cに入力される。
位相モノパルス測角部13Cは、前述(図5〜図8)の位相モノパルス測角部13と同様に、2次元の両方向の到来角を測角結果として出力する。
【0069】
以上のように、この発明の実施の形態4(図12、図13)に係る測角装置は、複数のアンテナ素子2を含むサブアレーアンテナ20が複数個配置されたアレーアンテナ1Cと、複数のサブアレーアンテナ20が受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段(合成器10C、11C)と、複数のサブアレーアンテナ20の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段(合成器10C、差分器12C)と、Σ信号およびΔ信号を用いてアレーアンテナ1Cにおける受信到来波の到来角を推定する測角手段(位相モノパルス測角部13C)とを備えている。
【0070】
複数のサブアレーアンテナ20の各々の位相中心位置は、アレーアンテナ1Cにおいて不等間隔に配置されている。
複数のサブアレーアンテナ20の各々における複数のアンテナ素子2の配置は、すべて同一であってもよい。
【0071】
複数のサブアレーアンテナ20の各々における複数のアンテナ素子2の配置は、同一でなくてもよい。
ただし、アンテナ分割後の2領域間での空間に対する複数のアンテナ素子2の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係に設定されている。
なおかつ、測角方向に平行な各アンテナ素子列が共通の基調パターンの足し合わせによって構成されている。
【0072】
測角手段(位相モノパルス測角部13C)は、測角方向に対して垂直な直線を任意の位置に境界として設定することにより領域分割を行い、位相モノパルス測角を用いて、アレーアンテナ1Cにおける受信到来波の到来角の測角を行う。
【0073】
また、測角手段(位相モノパルス測角部13C)は、位相モノパルス測角の際に、前述(図6)のように、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の絶対値と、Δ/Σ信号の虚部から判定されたΔ/Σ信号の極性と、を用いて測角を行うか、または、前述(図8)のように、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の虚部のみを用いて測角を行うか、または、前述(図10)のように、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の実部と虚部の両方を用いて測角を行う。
【0074】
この発明の実施の形態4によれば、サブアレーアンテナ20の位相中心位置に対して、前述と同様に2次元の不等間隔配置を適用し、複数のサブアレーアンテナ20を配置してアレーアンテナ1Cを構成し、なおかつ各分割領域でのアンテナ素子2の素子数の空間に対するヒストグラムが定数倍の関係を保ちつつ、縦横の各アンテナ列それぞれにおいて共通の基調パターンを持つという関係も保っているので、サブアレーアンテナ20を用いた場合でも、GLの抑圧を行いつつ、縦方向および横方向の到来角のそれぞれについて、他方の到来角の影響を受けずに、独立して測角を行うことが可能となる。
【0075】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態4(図12)では、複数個のサブアレーアンテナ20を敷き詰めていくという実装手法を適用したが、図14(破線枠参照)のように、複数のアンテナ素子2が等間隔に配置されたアレーアンテナ1Dに対して、不等にグループ分けを行うことにより、複数のサブアレーアンテナ20Dを形成してもよい。
【0076】
図14はこの発明の実施の形態5に用いられるアレーアンテナ1Dを示す平面図であり、前述と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「D」を付して詳述を省略する。
【0077】
図14においては、元々複数のアンテナ素子2が等間隔配置されているアレーアンテナ1Dが、不等領域でグループ分けされており、グループ分けされた各領域が、結果的にサブアレーアンテナ20Dとして隔離されている。
【0078】
こうして実装された複数のサブアレーアンテナ20Dにおいて、各分割領域のアンテナ素子2の素子数の空間に対するヒストグラムは、前述(図12)と同様に、定数倍の関係を満たしている。また共通の基調パターンを持つという関係も明らかに満たしている。
したがって、図14のようなアレーアンテナ1Dを用いても、前述と同様に、有効に測角を行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
1、1C、1D アレーアンテナ、2 アンテナ素子、3、3C、4、4C 境界線、5〜8 ヒストグラム、9、9C 移相器、10、10C、11、11C 合成器(Σ信号算出手段)、12、12C 差分器(Δ信号算出手段)、13、13A、13B、13C 位相モノパルス測角部(測角手段)、14 除算部、15 絶対値算出手段、16、16B 虚部抽出手段、17 極性判定手段、18、18A、18B 到来角導出手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子が不等間隔に配置されたアレーアンテナと、
前記複数のアンテナ素子が受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段と、
前記複数のアンテナ素子の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段と、
前記Σ信号および前記Δ信号を用いて前記アレーアンテナにおける受信到来波の到来角を推定する測角手段と
を備えたことを特徴とする測角装置。
【請求項2】
前記複数のアンテナ素子は、前記アレーアンテナにおいて、1次元上に不等間隔に配置され、
前記2領域間での空間に対する前記複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあることを特徴とする請求項1に記載の測角装置。
【請求項3】
前記複数のアンテナ素子は、前記アレーアンテナにおいて、2次元の各方向に不等間隔に配置され、
前記2領域間での空間に対する前記複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあり、
測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、基準となる共通のアンテナ配置を各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっており、
前記測角手段は、2次元の任意の片方の角度のみを推定することを特徴とする請求項1に記載の測角装置。
【請求項4】
前記複数のアンテナ素子は、前記アレーアンテナにおいて、2次元の各方向に不等間隔に配置されるとともに、
前記2領域間での空間に対する前記複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあり、
2次元の両方の角度について角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、基準となる共通のアンテナ配置を各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっており、
前記Δ信号算出手段は、2次元の両方向について、前記複数のアンテナ素子の配列を2分割した各分割領域で受信した複素信号の和信号の差を、2つのΔ信号としてそれぞれ算出し、
前記測角手段は、前記Σ信号および前記2つのΔ信号を用いて、2次元の両方の角度について独立に測角を行うことを特徴とする請求項1に記載の測角装置。
【請求項5】
前記アレーアンテナにおける前記複数のアンテナ素子の不等間隔の配置は、一定方向に向かって素子間隔が一定量ずつ増加していく定量シフト配置であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の測角装置。
【請求項6】
前記アレーアンテナにおける前記複数のアンテナ素子の不等間隔の配置は、素子間隔がランダムに設定されたランダム配置であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の測角装置。
【請求項7】
複数のアンテナ素子を含むサブアレーアンテナが複数個配置されたアレーアンテナと、
前記複数のサブアレーアンテナが受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段と、
前記複数のサブアレーアンテナの配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段と、
前記Σ信号および前記Δ信号を用いて前記アレーアンテナにおける受信到来波の到来角を推定する測角手段とを備え、
前記複数のサブアレーアンテナの各々の位相中心位置は、前記アレーアンテナにおいて不等間隔に配置されたことを特徴とする測角装置。
【請求項8】
前記複数のサブアレーアンテナの各々における複数のアンテナ素子の配置は、すべて同一であることを特徴とする請求項7に記載の測角装置。
【請求項9】
前記複数のサブアレーアンテナの各々における複数のアンテナ素子の配置は、すべてが同一ではなく、
前記2領域間での空間に対する前記複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあり、かつ測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、基準となる共通のアンテナ配置を各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっていることを特徴とする請求項7に記載の測角装置。
【請求項10】
前記複数のサブアレーアンテナは、前記複数のアンテナ素子が等間隔に配置されたアレーアンテナを、不等にグループ分けを行うことによって形成されたことを特徴とする請求項7に記載の測角装置。
【請求項11】
前記測角手段は、測角方向に対して垂直な直線を任意の位置に境界として設定することにより領域分割を行い、位相モノパルス測角を用いて前記アレーアンテナにおける受信到来波の到来角の測角を行うことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の測角装置。
【請求項12】
前記位相モノパルス測角の際に、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の虚部のみを用いて測角を行うことを特徴とする請求項11に記載の測角装置。
【請求項13】
上記位相モノパルス測角の際に、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の絶対値と、前記Δ/Σ信号の虚部から判定された前記Δ/Σ信号の極性と、を用いて測角を行うことを特徴とする請求項11に記載の測角装置。
【請求項14】
上記位相モノパルス測角の際に、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の実部と虚部の両方を用いて測角を行うことを特徴とする請求項11に記載の測角装置。
【請求項1】
複数のアンテナ素子が不等間隔に配置されたアレーアンテナと、
前記複数のアンテナ素子が受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段と、
前記複数のアンテナ素子の配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段と、
前記Σ信号および前記Δ信号を用いて前記アレーアンテナにおける受信到来波の到来角を推定する測角手段と
を備えたことを特徴とする測角装置。
【請求項2】
前記複数のアンテナ素子は、前記アレーアンテナにおいて、1次元上に不等間隔に配置され、
前記2領域間での空間に対する前記複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあることを特徴とする請求項1に記載の測角装置。
【請求項3】
前記複数のアンテナ素子は、前記アレーアンテナにおいて、2次元の各方向に不等間隔に配置され、
前記2領域間での空間に対する前記複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあり、
測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、基準となる共通のアンテナ配置を各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっており、
前記測角手段は、2次元の任意の片方の角度のみを推定することを特徴とする請求項1に記載の測角装置。
【請求項4】
前記複数のアンテナ素子は、前記アレーアンテナにおいて、2次元の各方向に不等間隔に配置されるとともに、
前記2領域間での空間に対する前記複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあり、
2次元の両方の角度について角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、基準となる共通のアンテナ配置を各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっており、
前記Δ信号算出手段は、2次元の両方向について、前記複数のアンテナ素子の配列を2分割した各分割領域で受信した複素信号の和信号の差を、2つのΔ信号としてそれぞれ算出し、
前記測角手段は、前記Σ信号および前記2つのΔ信号を用いて、2次元の両方の角度について独立に測角を行うことを特徴とする請求項1に記載の測角装置。
【請求項5】
前記アレーアンテナにおける前記複数のアンテナ素子の不等間隔の配置は、一定方向に向かって素子間隔が一定量ずつ増加していく定量シフト配置であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の測角装置。
【請求項6】
前記アレーアンテナにおける前記複数のアンテナ素子の不等間隔の配置は、素子間隔がランダムに設定されたランダム配置であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の測角装置。
【請求項7】
複数のアンテナ素子を含むサブアレーアンテナが複数個配置されたアレーアンテナと、
前記複数のサブアレーアンテナが受信した各複素信号の和をΣ信号として算出するΣ信号算出手段と、
前記複数のサブアレーアンテナの配列を2領域に分割し、分割された各分割領域で受信した複素信号の各和信号の差をΔ信号として算出するΔ信号算出手段と、
前記Σ信号および前記Δ信号を用いて前記アレーアンテナにおける受信到来波の到来角を推定する測角手段とを備え、
前記複数のサブアレーアンテナの各々の位相中心位置は、前記アレーアンテナにおいて不等間隔に配置されたことを特徴とする測角装置。
【請求項8】
前記複数のサブアレーアンテナの各々における複数のアンテナ素子の配置は、すべて同一であることを特徴とする請求項7に記載の測角装置。
【請求項9】
前記複数のサブアレーアンテナの各々における複数のアンテナ素子の配置は、すべてが同一ではなく、
前記2領域間での空間に対する前記複数のアンテナ素子の素子数の各ヒストグラムは、一方が他方の定数倍の関係にあり、かつ測角対象の角度と平行な方向のすべてのアンテナ素子の列は、基準となる共通のアンテナ配置を各列ごとに任意にずらして足し合わせたアンテナ素子の列となっていることを特徴とする請求項7に記載の測角装置。
【請求項10】
前記複数のサブアレーアンテナは、前記複数のアンテナ素子が等間隔に配置されたアレーアンテナを、不等にグループ分けを行うことによって形成されたことを特徴とする請求項7に記載の測角装置。
【請求項11】
前記測角手段は、測角方向に対して垂直な直線を任意の位置に境界として設定することにより領域分割を行い、位相モノパルス測角を用いて前記アレーアンテナにおける受信到来波の到来角の測角を行うことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の測角装置。
【請求項12】
前記位相モノパルス測角の際に、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の虚部のみを用いて測角を行うことを特徴とする請求項11に記載の測角装置。
【請求項13】
上記位相モノパルス測角の際に、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の絶対値と、前記Δ/Σ信号の虚部から判定された前記Δ/Σ信号の極性と、を用いて測角を行うことを特徴とする請求項11に記載の測角装置。
【請求項14】
上記位相モノパルス測角の際に、Δ信号をΣ信号で除算したΔ/Σ信号の実部と虚部の両方を用いて測角を行うことを特徴とする請求項11に記載の測角装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−210337(P2010−210337A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55255(P2009−55255)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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