測距センサを備える距離測定装置および距離測定方法
【課題】装置に要求される距離範囲内における測距精度を向上させるとともに、センサの個体バラツキを補正した出力値―距離変換を実現する距離測定装置、距離測定方法、および該距離測定装置を備えた表示装置を提供する。
【解決手段】出力値と距離とが反比例の関係を有するPSDセンサ20において、装置に要求される距離範囲内における最長距離での出力値に応じたオフセット補正を行う調整部21と、該装置に要求される距離範囲における最短距離での出力値に応じてゲイン補正を行う増幅部22を設ける。さらに、中間距離での出力値を測定し、最長距離・最短距離・中間距離の3点での出力値に基づいて、測距センサ固有の特性曲線を求め、PSDセンサ20の出力値を該特性曲線に当てはめることによって、測定対象物までの距離を算出する算出部23を設ける。
【解決手段】出力値と距離とが反比例の関係を有するPSDセンサ20において、装置に要求される距離範囲内における最長距離での出力値に応じたオフセット補正を行う調整部21と、該装置に要求される距離範囲における最短距離での出力値に応じてゲイン補正を行う増幅部22を設ける。さらに、中間距離での出力値を測定し、最長距離・最短距離・中間距離の3点での出力値に基づいて、測距センサ固有の特性曲線を求め、PSDセンサ20の出力値を該特性曲線に当てはめることによって、測定対象物までの距離を算出する算出部23を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力値と測定距離とが反比例の関係を有する測距センサを備える距離測定装置、距離測定方法、および前記距離測定装置を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は赤外LED(Light Emitting Diode)と位置検出素子PSD(Position Sensitive Detector)を用いた光学式アナログ出力型三角測量方式測距センサの模式図である。赤外LEDから出力した赤外光を投光レンズにて十分に鋭い指向角で前方の測定対象物に照射し、測定対象物で拡散反射した反射光のうち受光レンズに入射する光をPSD上に集光して、スポット光入射位置(光量重心位置)を電気的に検出し、そのスポット光入射位置が、測距センサから測定対象物までの距離に応じて変化することを利用して当該距離を測定する。
【0003】
このとき、スポット光入射位置は、投光レンズ(測距センサ前面)から測定対象物までの距離(変数d)と投光レンズ―受光レンズ間ピッチ(設計値p)で形成される直角三角形と、受光レンズ―PSD間距離(設計値f)とPSD上のスポット光入射位置の変位量(変数x)で形成される直角三角形の相似関係から、前記センサの設計値pとfを定数とすれば、dとxは連動して変化し、その関係は下記式のとおり反比例の関係となる。
d / p = f / x
∴ d = ( p*f )/ x
【0004】
ここで変数xは、測定対象物が無限遠にあるときのスポット光入射位置、すなわち受光レンズの中心からPSD上に垂直に入射する光の位置と、測定対象物が測定距離にあるときのスポット光入射位置との差分を表す。PSDはスポット光入射位置を光電流として検出することができ、前記光電流を電圧に変換して取り出すことで変数xを測定でき、設計値pおよび設計値fが既知であれば、上記式を用いて変数dを測定することができる。
【0005】
アナログ出力型三角測量方式測距センサの基本特性、すなわちセンサの出力電圧が測定対象物までの距離と反比例の関係をもつ特性は、図2に示す幾何学的な関係が保たれている限り成り立つ。ただ、アナログ出力型三角測量方式測距センサのこのような基本特性によって、測定対象物がアナログ出力型三角測量方式測距センサから遠ざかるにつれて、距離の測定値の分解能が低くなって、距離の測定精度が低下するという問題が生じる。
【0006】
そこで、測定対象物が遠ざかるにつれて距離の測定精度が低下することを防止できる光学式測距センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−10556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、いかに個々のセンサの測定精度(特に、遠距離での測定精度)を向上させたとしても、実際の測距センサには、電気的バラツキ、構造バラツキ、物性上のバラツキなどがあり、これらの個体バラツキによって個々のセンサで出力電圧の特性がばらついてしまう。図3に測距センサにおける電圧―距離変換の概念図を示す。図3から、任意の測定距離doに対して、個々のセンサでそれぞれ異なる出力電圧VoおよびV’oが対応づけられてしまうことが分かる。
【0009】
このため、測距センサの使用に際しては、個々のセンサに対して、あらかじめ出力電圧Vと測定対象物までの距離dを1対1に対応づけておくキャリブレーション工程(電圧―距離変換)が必要である。
【0010】
電圧―距離変換の方法としては従来、個々のセンサに対して各測定距離d1,d2,d3,・・・における各出力電圧V1,V2,V3,・・・を複数点記憶させ、線形補間などにより特性曲線を近似する方法(線形補間法)が知られている。表1に、線形補間法による電圧―距離変換テーブルの概念図を示す。
【0011】
【表1】
【0012】
しかし、図3中のセンサαの出力電圧V―測定距離dの関係を示す線から明らかなように、この方法は測定点の個数を多くしなければ精度を高められず、個体バラツキの調整に多大な測定時間を要するなどの問題があった。
【0013】
また、測距センサには測定距離の保証範囲が仕様として定められており、前記範囲外での測距精度は保証されない。したがって、測距センサを備えた距離測定装置において測距センサを用いて距離の測定を行う場合、当該距離測定装置に要求される測定範囲と比較して十分に広い測定距離の保証範囲をもつ測距センサを用いる必要がある。なお、あらかじめ測定範囲が決まっている場合、測距センサの出力電圧範囲も一定の範囲に収まる。
【0014】
ここで、センサの出力電圧VはADC(Analog-to-Digital
Converter)などを介すことによってデジタルデータとして取得されるが、ADCの入力電圧範囲と入力分解能は有限であることから、距離分解能を高めるためには該当の距離測定装置に要求される測定範囲におけるダイナミックレンジをできる限り大きく取ることが望ましい。したがって、センサの出力電圧Vを直接ADCに入力するのではなく、事前に当該距離測定装置に要求される測定範囲における測距センサの出力電圧範囲を推定し、前記推定結果に基づいて増幅回路などを用いてADCの入力電圧範囲に合わせ込むように電圧範囲を最適化してからADCに入力することが有効である。
【0015】
図4にADCの入力電圧範囲と測距センサの出力電圧範囲の関係について示す。出力特性γはセンサの出力電圧Vを直接ADCに入力した例である。出力特性δは適切に電圧範囲を最適化してからADCに入力した例である。図4では4bitのADCに入力した場合を示しているが、明らかに出力特性δのほうが測定範囲内での距離分解能(プロットの個数)が高くなっていることがわかる。
【0016】
従来、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における測距センサの出力電圧範囲を推定するには、センサの個体バラツキを考慮する必要があったため、電圧範囲を最適化する際は、あらゆる個体バラツキを許容できるように設計マージンを大きく取らざるを得ず、この結果、ADCの入力電圧範囲に十分に合わせ込むことができずにダイナミックレンジが損なわれるという問題があった。
【0017】
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、該当の距離測定装置に要求される測定範囲に対して、その範囲での測距精度(距離分解能)の向上と、センサの特性曲線の個体バラツキを補正した電圧―距離変換とを、同時に、かつ短時間で高精度に行うことができる距離測定装置、距離測定方法、および該距離測定装置を備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の発明は、
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサと、
前記測距センサの出力値に基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離を算出する算出部とを備え、
該算出部は、前記測距センサの出力値を、前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記測距センサの出力値とに基づいて決定される前記測距センサから測定対象物までの距離と前記測距センサの出力値とに係る特性曲線に当てはめることにより、前記測距センサから測定対象物までの距離を算出することを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の発明は、
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサと、
前記測距センサの出力値に対してオフセット調整を行う調整部と、
前記オフセット調整された前記測距センサの出力値を増幅する増幅部と、
前記増幅された前記測距センサの出力値に基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離を算出する算出部とを備え、
該算出部は、前記増幅された前記測距センサの出力値を、前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記増幅された前記測距センサの出力値とに基づいて決定される前記測距センサから測定対象物までの距離と前記増幅された前記測距センサの出力値とに係る特性曲線に当てはめることにより、前記測距センサから測定対象物までの距離を算出することを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の発明は、
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサの出力値を前記測距センサから測定対象物までの距離に変換する方法であって、
前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記測距センサの出力値とに基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離と前記測距センサの出力値とに係る特性曲線を決定するステップと、
前記測距センサの出力値を前記特性曲線に当てはめることにより前記測距センサから測定対象物までの距離を算出するステップと
を有することを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の発明は、
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサの出力値を前記測距センサから測定対象物までの距離に変換する方法であって、
前記測距センサの出力値に対してオフセット調整を行うステップと、
前記オフセット調整された前記測距センサの出力値を増幅するステップと、
前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記増幅された前記測距センサの出力値とに基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離と前記増幅された前記測距センサの出力値とに係る特性曲線を決定するステップと、
前記増幅された前記測距センサの出力値を前記特性曲線に当てはめることにより前記測距センサから測定対象物までの距離を算出するステップと
を有することを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の距離測定装置を備える表示装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、出力値と測定距離とが反比例の関係を有する測距センサの基本特性に着目して、複数の未知係数(例えば、l,m,n)を求める方法(未知係数法)を取り入れることにより、あらゆる個体バラツキをもった個々のセンサに対して補間による誤差のない高精度な出力値―距離変換を行うことができる。また、測距センサの出力値が電圧、または電圧に変換することができるアナログ出力値(電流など)である場合には、同時に、前記高精度な出力値―距離変換結果に基づいてADCのダイナミックレンジが最大限に取れるように、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における測距センサの出力範囲を最適化できる。さらに、測定点は3点だけでよいため、個体バラツキの調整に要する測定時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】赤外LEDと位置検出素子PSDを用いた光学式アナログ出力型三角測量方式測距センサの模式図である。
【図3】測距センサにおける電圧―距離変換の概念図である。
【図4】ADCの入力電圧範囲と測距センサの出力電圧範囲の関係を示す概念図である。
【図5】未知係数l,m,nのバラツキを示す概念図である。
【図6】出力電圧最適化回路を示す回路図である。
【図7】オフセット補正前後の2つの特性曲線を示す概念図である。
【図8】オフセット補正とゲイン補正によるセンサの特性曲線の最適化を示す概念図である。
【図9】測定範囲を変更したときの特性曲線の変化を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔本発明の基本原理〕
まず前提として、本発明の基本原理について説明する。
【0026】
上述のように、本発明においては、出力値と測定距離とが反比例の関係を有する測距センサの基本特性に着目して、複数の未知係数を求める方法(未知係数法)を用いる。表2に、未知係数法による電圧―距離変換テーブルの概念図を示す。
【0027】
【表2】
【0028】
図3中のセンサβの出力電圧V―測定距離dの関係を示す線から明らかなように、未知係数法を用いることにより、補間による誤差のない高精度な電圧―距離変換を行うことができる。
【0029】
アナログ出力型三角測量方式測距センサの基本特性(以下、特性曲線と記す)は、反比例曲線の標準形の式を用いて記述される。特性曲線を表す式は、次に示す式(1)である。
【0030】
【数1】
【0031】
式(1)で、doは任意の測定距離、Voはdoにおける出力電圧、l,m,nが未知係数である。
【0032】
図5(A)〜(C)の実線は式(1)が表すセンサの特性曲線を描いたものである。図5の点(m,n)は特性曲線の中心であり、特性曲線がV=nとd=mに漸近することを表す。
【0033】
また、図5(A)〜(C)の破線は、図5の実線に対して未知係数l,m,nをそれぞれ変化させた場合の特性曲線の変化を描いたものである。
【0034】
未知係数l は、図2における( p*f)のバラツキ、すなわち構造バラツキと捉えることができ、特性曲線の斜め方向のずれを決める係数となる。未知係数lの変化を図5(A)に示す。未知係数lの変化は、特性曲線の直線V=(d-m)+nに沿ったバラツキとして表れ、特性曲線と直線V
= ( d - m )+ nの交点( √( l + m), √( l + n ))付近(特性曲
線の頂点付近)で最も大きな変化となり、測定距離全域で測距精度に影響を与える。
【0035】
未知係数mは距離の次元をもち、図2における赤外LEDからPSDに至る光路のバラツキと捉えることができ、特性曲線の横軸方向のずれを決める係数となる。未知係数mの変化を図5(B)に示す。光路のバラツキが発生する要因は、例えば、レンズの偏心、センサボディの歪や非対称性、あるいはセンサの保護や目隠しのためにセンサ前面に取りつけるカバー材などと考えられる。測定距離dが十分長いとき、相対的に未知係数mが式(1)の特性曲線に与える影響は小さくなる。また、反比例曲線の性質上、測定距離dが小さいほど出力電圧Vの変化に対する測定距離dの変化が小さくなるため、未知係数mの変化は特性曲線の近距離側での測距精度に影響を与える。
【0036】
未知係数nは電圧(出力値)の次元をもち、測定対象物が無限遠にあるときのオフセット電圧のバラツキと捉えることができ、特性曲線の縦軸方向のずれを決める係数となる。未知係数nの変化を図5(C)に示す。オフセット電圧のバラツキが発生する要因は、例えば、PSDのダイボンド位置のバラツキや、PSDの位置検出誤差、光電流―電圧変換バラツキなどと考えられる。測定距離dが十分小さいとき、相対的に未知係数nが式(1)の特性曲線に与える影響は小さくなる。また、反比例曲線の性質上、測定距離dが大きいほど出力電圧Vの変化に対する測定距離dの変化が大きくなるため、未知係数nの変化は特性曲線の遠距離側での測距精度に影響を与える。
【0037】
これら3つの未知係数l,m,nを個々のセンサに対して求めることにより、個体バラツキを含む特性曲線が求まり、精度の高い電圧―距離変換が可能になる。
【0038】
未知係数l,m,nの特定には、異なる測定距離における出力電圧を少なくとも3点実測する必要がある。なお、十分高精度に製造されたセンサであれば、未知係数l,m,nは一定範囲内に収まると考えてよい。
【0039】
次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0040】
本実施形態は、本発明に係る距離測定装置を、液晶表示装置に適用した場合の実施形態である。
【0041】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。
【0042】
図において液晶表示装置1は、表示用のデバイスとして液晶パネル17を備える表示装置であり、PC3から入力される画像信号に基づいて液晶パネル17に画像表示を行うものである。
【0043】
液晶表示装置1は、制御部10、RAM(Random Access Memory)11、RAM(Random
Access
Memory)24、ROM(Read Only Memory)12、ROM(Read Only Memory)25、操作部13、入力部14、画像処理部15、パネル駆動部16、液晶パネル17、ライト駆動部18、バックライト19、PSDセンサ20、調整部21、増幅部22及び算出部23等を備えて構成されている。
【0044】
制御部10は、具体的にはCPU(Central Processing
Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置にて構成され、ROM12に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより種々の処理を行うことができる。制御部10は、液晶表示装置1内の各部と情報の授受を行ってこれら各部の動作を制御することにより、液晶パネル17に画像を表示するための種々の制御処理を実行する。
【0045】
RAM11は、例えばSRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等のデータ書き換え可能なメモリ素子により構成されており、一時的なデータを記憶することができる。例えばRAM11は、制御部10が行う種々の制御処理の演算過程などで発生したデータを一時的に記憶する。
【0046】
RAM24も、例えばSRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等のデータ書き換え可能なメモリ素子により構成されており、一時的なデータを記憶することができる。本実施の形態においては、PSDセンサ20の検出結果及びこの検出結果に基づいて出力される増幅器出力電圧Vamp等のデータ(詳細は後述する)をRAM24に記憶する。
【0047】
ROM12は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成され、制御部10の動作に必要な制御プログラムと、その他の種々のデータ(図示は省略する)とが予め記憶されている。
【0048】
ROM25も、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成されている。本実施の形態においては、PSDセンサ20から測定対象物までの距離を算出するために用いる特性曲線を構成するバラツキ成分(定数)A,m,Bの値(詳細は後述する)がROM25に予め記憶されており、算出部23がこれらのデータを読み出して処理を行う。
【0049】
操作部13は、ユーザが液晶表示装置1を操作するための各種のファンクションキーなどを有している。例えば、液晶パネル17の画像表示の明るさ(ブライトネス)を変更するためのキー、又は画像表示のカラーバランスを変更するためのキー等のように、液晶表示装置1の表示特性を設定するための設定キーが操作部13に設けられている。操作部13は、これらのファンクションキーに対するユーザの操作を受け付けて制御部10へ通知し、制御部10は操作部13からの通知に応じて各部の動作を制御することができる。
【0050】
入力部14は、PC3などの外部機器に信号ケーブルを介して接続される接続端子を有しており、PC3から入力される画像信号を取得し、この画像信号を画像処理部15へ与える。画像処理部15は、制御部10の制御に応じて、入力部14から与えられた画像信号に対して明るさ調整又はカラーバランス調整等の種々の画像処理を施し、画像処理後の画像信号をパネル駆動部16へ与える。画像処理部15から与えられた画像信号に応じてパネル駆動部16が液晶パネル17を駆動することにより、液晶表示装置1はPC3からの画像信号に基づく画像表示を行うことができる。
【0051】
液晶パネル17は、一対のガラス基板が対向配置され、その間隙内に液晶物質である液晶層が形成された構造をなしている。一方のガラス基板には、複数の画素電極と、画素電極のそれぞれにドレインを接続したTFT(Thin Film Transistor)とが設けられ、他方のガラス基板には共通電極が設けられている。各TFTのゲート及びソースは、パネル駆動部16のゲートドライバ及びソースドライバ(図示は省略する)に接続され、パネル駆動部16から駆動信号がそれぞれ入力されている。
【0052】
パネル駆動部16は、画像処理部15から与えられた画像信号に応じて液晶パネル17を駆動するための駆動信号を出力する。詳しくは、パネル駆動部16のゲートドライバは、液晶パネル17が有する多数のTFTのゲートに、与えられた画像信号に応じて選択的に電圧を印加し、また同様に、パネル駆動部16のソースドライバは、TFTのソースに、入力された映像信号に応じた電圧値で電圧を印加する。これにより液晶パネル17は、パネル駆動部16のゲートドライバから印加される電圧によって各画素のTFTのオン/オフが制御され、パネル駆動部16のソースドライバから入力される出力電圧(液晶パネル17への入力レベル)が各画素のTFTに印加されることにより、液晶物質の電気光学特性によって決定される光透過率が制御されて、バックライト19からの光の透過が調整され、所望の画像を階調表示することができる。液晶パネル17の各画素は、RGBのように複数色分の副画素で更に構成され、光の透過方向にカラーフィルムを配することで、カラー表示を可能としている。
【0053】
バックライト19は、表示装置1内にて液晶パネル17の背面側に配設されており、ライト駆動部18から与えられる出力電圧により駆動される。ライト駆動部18は、制御部10の制御に応じて、バックライト19への出力電圧を調整する。これにより、例えばユーザが操作部13を操作して設定したブライトネス設定に応じて、ライト駆動部18に出力電圧を調整させて、バックライト19の輝度を調整することができる。
【0054】
PSDセンサ20は、液晶表示装置1の筐体の正面部分(例えば液晶パネル17を囲む周囲の枠部分)に設けられ、液晶表示装置1の正面側に存在する物体までの距離を検出し、検出結果として距離に応じた電圧値の信号を調整部21へ出力する。PSDセンサ20は、例えば赤外LEDと組み合わせて用いられ、赤外LEDから出射した赤外光の対象物における反射光を受光し、このときの受光位置又は受光角度等に応じた電圧値の信号を出力する。このためセンサが出力する信号の電圧値を元に、三角測量方式にて対象物までの距離を算出することができる。なおPSDセンサ20は、測定対象物までの距離が近いほど電圧値が高い信号を出力し、対象物までの距離が遠いほど電圧値が低い信号を出力する。
【0055】
PSDセンサ20からの出力信号が与えられた調整部21は、後述する方法により、算出部23からの指示に基づいて、この信号をオフセット調整(補正)する。
【0056】
前記オフセット調整(補正)された信号は、後述する方法により、算出部23からの指示に基づいて、増幅部22にて増幅される。なお、後述するように、本実施の形態においては、調整部21と増幅部22は同一の出力電圧最適化回路4(図6)に備えられ、調整部21におけるオフセット調整(補正)は、出力電圧最適化回路4を構成する増幅器A2および増幅器A1において実行され、増幅部22における増幅(ゲイン補正)は、増幅器A1において実行される。なお、オフセット補正とゲイン補正は、ほぼリアルタイムに実行される。
【0057】
算出部23は、前記増幅された信号を、後述する方法によって得られる特性曲線に当てはめることにより、PSDセンサ20から測定対象物までの距離を算出する。なお算出部23は、前記増幅された信号の電圧値VampをA/D変換(図示は省略する)によりデジタルの情報として取得する。
【0058】
制御部10は、算出部23が算出した測定対象物までの距離情報に基づいて、液晶表示装置1の正面(PSDセンサ20の検出範囲内)に検出対象物(例えば、人)が存在するか否かを判定し、判定結果に応じて液晶パネル17の表示/非表示を切り替える制御処理を行う。即ち制御部10は、人が存在すると判定した場合には、液晶パネル17にPC3から入力された画像の表示を行い、人が存在しないと判定した場合には、液晶パネル17の画像表示を停止する。なお画像表示の停止は、例えばパネル駆動部16及びライト駆動部18による駆動信号の出力を停止することで行ってもよく、また例えば電源回路(図示は省略する)から各部への電力供給を停止することで行ってもよく、その他の方法で行ってもよい。
【0059】
次に、調整部21において実行されるオフセット調整(補正)、および増幅部22において実行される増幅(ゲイン)補正の詳細について説明する。
【0060】
図6に、オフセット調整(補正)および増幅(ゲイン)補正を行う出力電圧最適化回路4の一例を示す。出力電圧最適化回路4は、図1に記載する調整部21および増幅部22に該当する。上述したように、調整部21におけるオフセット調整(補正)は、出力電圧最適化回路4を構成する増幅器A2および増幅器A1において実行され、増幅部22における増幅(ゲイン補正)は、増幅器A1において実行される。
【0061】
出力電圧最適化回路4は、2段の差動増幅器A2およびA1により構成され、初段の増幅器A2に外部DACなどから入力されるオフセット補正電圧Voffsetと、ダイオードの順方向電圧などにより提供される温度補償電圧Vtempとが入力すると、抵抗比R2/R1によって決まるゲインG2(図示は省略する)にて差動増幅を行い、補正電圧Vcompを生成し、次段の増幅器A1に前記補正電圧Vcompとセンサの出力電圧Voとが入力すると、抵抗比R4/R3によって決まるゲインG1(図示は省略する)にて差動増幅を行い、増幅電圧Vampを得る。前記増幅電圧VampはADC(図示は省略する)に入力される。
【0062】
増幅電圧Vampは、増幅器A1のゲインG1、増幅器A2のゲインG2、オフセット補正電圧Voffset、温度補償電圧Vtempを用いて、次に示す式(2)で表すことができる。なお、式(2)は、補正電圧Vcompを用いて、式(2)’と表すこともできる。
【0063】
【数2】
【0064】
温度補償電圧Vtempと増幅器A2のゲインG2は、センサの温度特性からあらかじめ設定される。アナログ出力型三角測量方式測距センサは周囲温度の変化によって機構材料の膨張・収縮や電気的特性の変化が起こると、上述の未知係数が変化して特性曲線に誤差が生じる。
【0065】
特性曲線の温度特性はセンサの設計によりさまざまであるが、例えば、センサの出力電圧が線形な温度特性をもっていた場合、シリコンダイオードやツェナーダイオードなどの、同じく線形な温度特性をもった素子で基準電圧を生成し、それを温度補償電圧Vtempとして増幅器A2に入力して補正電圧Vcompに温度特性を与え、補正電圧Vcompの温度特性がセンサの温度特性と等しくなるようにゲインG2を設定することにより、増幅器A1で補正電圧Vcompとセンサの出力電圧Voとを差動増幅するときにセンサの温度特性をキャンセルすることができる。なお、温度補償電圧VtempとゲインG2は、オフセット補正電圧Voffsetや、増幅器A1、A2の温度特性も加味して設定してもよい。
【0066】
〔オフセット補正〕
オフセット補正電圧Voffsetは、DAC(Digital-to-Analog
Converter)などから供給される可変直流電圧であり、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxに応じて設定される。
【0067】
なお、オフセット補正電圧Voffsetは、必ずしも、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxに応じて設定されなければならないわけではなく、任意の距離dに応じて設定されることができる。すなわち、最長距離dmaxよりも長い距離に応じて設定されてもよいし、逆に、最長距離dmaxよりも短い距離に応じて設定されてもよい。ただし、最長距離dmaxよりも短い距離に応じて設定される場合には、該当の距離測定装置に要求される測定範囲内において測定距離の飽和が発生しないようにする必要がある。
【0068】
以下では、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxに応じてオフセット補正電圧Voffsetを設定する場合について説明する。この場合が、最も効率的かつ高精度にオフセット補正することができるからである。
【0069】
図8は、オフセット補正とゲイン補正によるセンサの特性曲線の最適化を示す概念図である。
【0070】
まず、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxにおける増幅電圧Vminを実測する。
【0071】
次に、前記VminをADCの入力電圧範囲の最小値に近づけるようにオフセット補正電圧Voffsetを調整してオフセット補正を行う。前記VminをADCの入力電圧範囲の最小値に近づける際は、前記最小値と一致させてもよいが、経年変化などによって前記最小値を下回らないようにマージンを設けておいてもよい。なお、オフセット補正電圧Voffsetの初期値は任意の電圧でよい。
【0072】
また、例えば、オフセット補正電圧Voffsetの初期値を温度補償電圧Vtempと等しく設定して補正電圧Vcompをキャンセルしておく方法や、あらかじめセンサの個体バラツキの傾向を調べておき、中央付近の個体バラツキをもったセンサの特性曲線に最適化したオフセット補正電圧Voffsetを初期値とする方法によってオフセット補正の所要時間を短縮させることもできる。
【0073】
〔ゲイン補正〕
増幅器A1のゲインG1は、上述したオフセット補正を行ったのち、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminに応じて設定される。
【0074】
なお、増幅器A1のゲインG1は、必ずしも、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminに応じて設定されなければならないわけではなく、任意の距離dに応じて設定されることができる。すなわち、最短距離dminよりも長い距離に応じて設定されてもよいし、逆に、最短距離dminよりも短い距離に応じて設定されてもよい。
【0075】
以下では、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminに応じて増幅器A1のゲインG1を設定する場合について説明する。この場合が、最も効率的かつ高精度にゲイン補正することができるからである。
【0076】
まず、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminにおける増幅電圧Vmaxを実測する。
【0077】
次に、前記VmaxをADCの入力電圧範囲の最大値に近づけるようにゲインG1を調整してゲイン補正を行う。
【0078】
前記VmaxをADCの入力電圧範囲の最大値に近づける際は、前記最大値と一致させてもよいが、経年変化などによって前記最大値を上回らないようにマージンを設けておいてもよい。また、ゲインG1を変えることで測定範囲における最長距離dmaxにおける増幅電圧Vminが変化するため、上記オフセット補正を再度行い、さらに上記ゲイン補正を再度行い、これを繰り返すことで、より高精度に電圧範囲の最適化を行ってもよい。なお、ゲインG1の初期値は、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における測距センサの出力電圧範囲においてADCの入力電圧範囲を超えないように設定しておく。
【0079】
ADCの入力分解能が十分に大きく、増幅器A1のゲインG1を可変させてADCのダイナミックレンジをできる限り大きく取らずとも十分な距離分解能が得られる場合には、あらかじめ該当の距離測定装置に要求される測定範囲において最も出力電圧範囲の広い個体バラツキをもったセンサの特性曲線においても飽和しないようにゲインG1を固定値に設定しておいてもよい。
【0080】
以上より、図8に示すように、オフセット補正とゲイン補正により、センサの特性曲線は、出力電圧最適化回路を経て、所望の測定範囲における測距センサの出力電圧範囲がADCの入力電圧範囲に合わせて最適化される。
【0081】
なお、図6に示す出力電圧最適化回路4によりオフセット補正やゲイン補正を行い、任意の測定距離doにおける出力電圧Voのセンサの特性曲線を、任意の測定距離doにおける増幅電圧Vampの特性曲線に変換しても、アナログ出力型三角測量方式測距センサがもつ特性曲線の特徴は変化しない。以下、この点について説明する。
【0082】
上述の式(1)に示す測距センサの特性曲線を上述の式(2)に代入し、次に示す式(3)、式(4)とおくと、式(5)が得られる。なお、式(4)は補正電圧Vcompを用いて式(4)’とも表すことができる。
【0083】
【数3】
【0084】
ここで、式(3)のゲインG1、未知係数l は定数であるため、係数Aは定数である。同様に、式(4)のゲインG1、G2、未知係数n、オフセット補正電圧Voffset、温度補償電圧Vtempは定数であるため、係数Bは定数である。したがって、式(5)の増幅電圧Vampと測定距離doは反比例の関係にある。つまり、任意の測定距離doにおけるセンサの出力電圧Voの特性曲線に対して、図6の出力電圧最適化回路4によりオフセット補正や増幅(ゲイン補正)を行い、任意の測定距離doにおける増幅電圧Vampの特性曲線に変換しても、アナログ出力型三角測量方式測距センサがもつ特性曲線の特徴は変化せず、未知係数l,m,nがそれぞれ係数A,m,Bに置き換わったとみなすことができる。すなわち、式(5)は任意の測定距離doにおける増幅電圧Vampを対応づける電圧―距離変換式であり、個々のセンサに対して係数A,m,Bを求めることにより、センサの特性曲線の個体バラツキを補正することができる。
【0085】
なお、上述のオフセット補正は、式(4)、式(4)’が表すように、式(5)において係数Bを設定することに相当する。
【0086】
図7にオフセット補正前後の2つの特性曲線を示す。いかなる係数Bを設定した場合でも、すなわち、いかなるオフセット補正電圧Voffsetを設定した場合でも、オフセット補正前後の特性曲線はV軸方向に平行移動するだけである。ここで、任意の測定距離doの変化による増幅電圧Vampの変化を特性曲線上の任意の1点を基準に相対値として取り扱うことにより、係数Bを未知係数A,mとは無関係に選ぶことができる。したがって、係数Bはハードウェアの要求、すなわちADCの入力電圧範囲に合わせて所望の値に設定すればよい。
【0087】
また、上述のゲイン補正では、式(3)、式(4)、式(4)’が表すように係数A、Bに掛かっているゲインG1を変えるため、式(5)において任意の測定距離doにおける増幅電圧Vampが増減し、図8のゲイン補正の矢印に示すように特性曲線の傾斜が変化する。
【0088】
〔距離算出方法〕
次に、算出部23において、PSDセンサ20から測定対象物までの距離を算出する方法の詳細について説明する。
【0089】
上述のオフセット補正とゲイン補正を行ったのち、所望の測定範囲における中間距離dmidにおける増幅電圧Vmidを実測する。
【0090】
前記中間距離dmidは該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxと該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminとの間で任意に選んでよいが、あらかじめセンサの個体バラツキの傾向を調べておき、中央付近の個体バラツキをもったセンサの特性曲線の頂点付近に前記中間距離dmidを設定することにより、センサの個体バラツキの補正精度を高めることができる。
【0091】
上述の過程で得られた3つの測定点(dmax,Vmin)、(dmid,Vmid)、(dmin,Vmax)は、式(5)を用いてそれぞれ次に示す式(6)、式(7)、式(8)で表すことができる。
【0092】
【数4】
【0093】
式(6)と式(8)とから次に示す式(9)、式(7)と式(8)とから式(10)が得られ、式(9)と式(10)とから係数A,mが式(12)、式(13)のとおり求まる。
【0094】
【数5】
【0095】
式(5)と式(8)から式(11)が得られ、係数Bが消去される。式(11)を任意の測定距離doについてまとめると、式(14)が得られる。
【0096】
式(8)を係数Bについてまとめると、次に示す式(15)が得られるため、式(14)は式(16)と表すことができる。式(16)は式(5)を任意の測定距離doについてまとめた式に等しい。式(12)、式(13)、および式(15)を用いてセンサのバラツキ係数A,m,Bを算出し、式(16)を用いることにより、センサの特性曲線の個体バラツキを補正した電圧―距離変換が可能となる。
【0097】
【数6】
【0098】
なお、本実施の形態によれば、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxに応じたオフセット補正と、最短距離dminに応じたゲイン補正を行う過程、すなわち、ADCのダイナミックレンジが最大限に取れるように、該当の距離測定装置に要求される測定範囲におけるPSDセンサ20の出力範囲を最適化する過程(出力電圧最適化回路4)において、3点の測定ポイントの内の2点の測定が完了するため、極めて効率的にPSDセンサ20の特性曲線を求めることができる。
【0099】
なお、以上の過程において算出した係数A,m,Bに基づいて、式(3)、式(4)からそれぞれ未知係数lと未知係数nを逆算することができ、出力電圧最適化回路4を通す前のセンサの特性曲線を定める3つの未知係数l,m,nを求めることができる。
【0100】
そして、算出された未知係数l,m,nを用いて、式(1)からセンサの特性曲線を特定することができる。したがって、該当の距離測定装置に要求される測定範囲を変更する場合には、上述により特定されたセンサの特性曲線を用いて机上計算に基づいてオフセット補正、ゲイン補正を行い、新たな係数B'とゲインG1'を設定することにより、再測定なしにADCの入力電圧範囲と測距センサの出力電圧範囲を合わせ込むことができる。このような合わせ込みによって、該当の距離測定装置に要求される測定範囲を変更した場合であっても、ADCのダイナミックレンジが最大限に取れるように測距センサの出力範囲を最適化することができ、高精度な出力値―距離変換を行うことができる。図9に該当の距離測定装置に要求される測定範囲を変更した特性曲線を示す。
【0101】
なお、本実施の形態においては、LEDとPSDを用いた電圧出力の光学式アナログ出力型三角測量方式測距センサを備えた距離測定装置を液晶表示装置1に搭載した構成を例に説明を行ったが、本発明の適用は液晶表示装置1に限るものではない。本発明における距離測定装置を構成する測距センサは、センサの出力値が測定対象物までの距離と反比例の関係をもつものであればよく、このような関係をもつものであれば、センサの出力値が、電流、数値、デジタルデータ等であってもよく、また、光学式測距センサに限らず、例えば、静電センサ、輝度センサ、温度センサ等であってもよい。そして、本発明における距離測定装置は、液晶表示装置以外の表示装置、例えば、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ等に適用することもできる。
【0102】
さらに、本発明における距離測定装置は、表示装置以外にも、測定対象物(例えば、人)までの距離に基づいて種々の制御(例えば、電源のオン/オフの制御)を行う様々な電気機器、例えば、空気調和機、照明装置、防犯設備等にも適用することができる。
【0103】
なお、請求項1において明らかなように、本発明における距離測定装置は、調整部21および増幅部22を有さない構成であってもよい。すなわち、上述のオフセット補正およびゲイン補正を行わない構成であってもよい。なお、この場合、測定ポイントは任意の3点でよく、必ずしも、最長距離dmaxおよび最短距離dminを測定ポイントに含める必要はない。
【符号の説明】
【0104】
1・・・・・液晶表示装置(表示装置)
3・・・・・PC
4・・・・・出力電圧最適化回路(調整部、および、増幅部)
10・・・・・制御部
11・・・・・RAM
12・・・・・ROM
13・・・・・操作部
14・・・・・入力部
15・・・・・画像処理部
16・・・・・パネル駆動部
17・・・・・液晶パネル
18・・・・・ライト駆動部
19・・・・・バックライト
20・・・・・PSDセンサ(測距センサ)
21・・・・・調整部(調整部)
22・・・・・増幅部(増幅部)
23・・・・・算出部(算出部)
24・・・・・RAM
25・・・・・ROM
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力値と測定距離とが反比例の関係を有する測距センサを備える距離測定装置、距離測定方法、および前記距離測定装置を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は赤外LED(Light Emitting Diode)と位置検出素子PSD(Position Sensitive Detector)を用いた光学式アナログ出力型三角測量方式測距センサの模式図である。赤外LEDから出力した赤外光を投光レンズにて十分に鋭い指向角で前方の測定対象物に照射し、測定対象物で拡散反射した反射光のうち受光レンズに入射する光をPSD上に集光して、スポット光入射位置(光量重心位置)を電気的に検出し、そのスポット光入射位置が、測距センサから測定対象物までの距離に応じて変化することを利用して当該距離を測定する。
【0003】
このとき、スポット光入射位置は、投光レンズ(測距センサ前面)から測定対象物までの距離(変数d)と投光レンズ―受光レンズ間ピッチ(設計値p)で形成される直角三角形と、受光レンズ―PSD間距離(設計値f)とPSD上のスポット光入射位置の変位量(変数x)で形成される直角三角形の相似関係から、前記センサの設計値pとfを定数とすれば、dとxは連動して変化し、その関係は下記式のとおり反比例の関係となる。
d / p = f / x
∴ d = ( p*f )/ x
【0004】
ここで変数xは、測定対象物が無限遠にあるときのスポット光入射位置、すなわち受光レンズの中心からPSD上に垂直に入射する光の位置と、測定対象物が測定距離にあるときのスポット光入射位置との差分を表す。PSDはスポット光入射位置を光電流として検出することができ、前記光電流を電圧に変換して取り出すことで変数xを測定でき、設計値pおよび設計値fが既知であれば、上記式を用いて変数dを測定することができる。
【0005】
アナログ出力型三角測量方式測距センサの基本特性、すなわちセンサの出力電圧が測定対象物までの距離と反比例の関係をもつ特性は、図2に示す幾何学的な関係が保たれている限り成り立つ。ただ、アナログ出力型三角測量方式測距センサのこのような基本特性によって、測定対象物がアナログ出力型三角測量方式測距センサから遠ざかるにつれて、距離の測定値の分解能が低くなって、距離の測定精度が低下するという問題が生じる。
【0006】
そこで、測定対象物が遠ざかるにつれて距離の測定精度が低下することを防止できる光学式測距センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−10556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、いかに個々のセンサの測定精度(特に、遠距離での測定精度)を向上させたとしても、実際の測距センサには、電気的バラツキ、構造バラツキ、物性上のバラツキなどがあり、これらの個体バラツキによって個々のセンサで出力電圧の特性がばらついてしまう。図3に測距センサにおける電圧―距離変換の概念図を示す。図3から、任意の測定距離doに対して、個々のセンサでそれぞれ異なる出力電圧VoおよびV’oが対応づけられてしまうことが分かる。
【0009】
このため、測距センサの使用に際しては、個々のセンサに対して、あらかじめ出力電圧Vと測定対象物までの距離dを1対1に対応づけておくキャリブレーション工程(電圧―距離変換)が必要である。
【0010】
電圧―距離変換の方法としては従来、個々のセンサに対して各測定距離d1,d2,d3,・・・における各出力電圧V1,V2,V3,・・・を複数点記憶させ、線形補間などにより特性曲線を近似する方法(線形補間法)が知られている。表1に、線形補間法による電圧―距離変換テーブルの概念図を示す。
【0011】
【表1】
【0012】
しかし、図3中のセンサαの出力電圧V―測定距離dの関係を示す線から明らかなように、この方法は測定点の個数を多くしなければ精度を高められず、個体バラツキの調整に多大な測定時間を要するなどの問題があった。
【0013】
また、測距センサには測定距離の保証範囲が仕様として定められており、前記範囲外での測距精度は保証されない。したがって、測距センサを備えた距離測定装置において測距センサを用いて距離の測定を行う場合、当該距離測定装置に要求される測定範囲と比較して十分に広い測定距離の保証範囲をもつ測距センサを用いる必要がある。なお、あらかじめ測定範囲が決まっている場合、測距センサの出力電圧範囲も一定の範囲に収まる。
【0014】
ここで、センサの出力電圧VはADC(Analog-to-Digital
Converter)などを介すことによってデジタルデータとして取得されるが、ADCの入力電圧範囲と入力分解能は有限であることから、距離分解能を高めるためには該当の距離測定装置に要求される測定範囲におけるダイナミックレンジをできる限り大きく取ることが望ましい。したがって、センサの出力電圧Vを直接ADCに入力するのではなく、事前に当該距離測定装置に要求される測定範囲における測距センサの出力電圧範囲を推定し、前記推定結果に基づいて増幅回路などを用いてADCの入力電圧範囲に合わせ込むように電圧範囲を最適化してからADCに入力することが有効である。
【0015】
図4にADCの入力電圧範囲と測距センサの出力電圧範囲の関係について示す。出力特性γはセンサの出力電圧Vを直接ADCに入力した例である。出力特性δは適切に電圧範囲を最適化してからADCに入力した例である。図4では4bitのADCに入力した場合を示しているが、明らかに出力特性δのほうが測定範囲内での距離分解能(プロットの個数)が高くなっていることがわかる。
【0016】
従来、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における測距センサの出力電圧範囲を推定するには、センサの個体バラツキを考慮する必要があったため、電圧範囲を最適化する際は、あらゆる個体バラツキを許容できるように設計マージンを大きく取らざるを得ず、この結果、ADCの入力電圧範囲に十分に合わせ込むことができずにダイナミックレンジが損なわれるという問題があった。
【0017】
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、該当の距離測定装置に要求される測定範囲に対して、その範囲での測距精度(距離分解能)の向上と、センサの特性曲線の個体バラツキを補正した電圧―距離変換とを、同時に、かつ短時間で高精度に行うことができる距離測定装置、距離測定方法、および該距離測定装置を備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の発明は、
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサと、
前記測距センサの出力値に基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離を算出する算出部とを備え、
該算出部は、前記測距センサの出力値を、前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記測距センサの出力値とに基づいて決定される前記測距センサから測定対象物までの距離と前記測距センサの出力値とに係る特性曲線に当てはめることにより、前記測距センサから測定対象物までの距離を算出することを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の発明は、
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサと、
前記測距センサの出力値に対してオフセット調整を行う調整部と、
前記オフセット調整された前記測距センサの出力値を増幅する増幅部と、
前記増幅された前記測距センサの出力値に基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離を算出する算出部とを備え、
該算出部は、前記増幅された前記測距センサの出力値を、前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記増幅された前記測距センサの出力値とに基づいて決定される前記測距センサから測定対象物までの距離と前記増幅された前記測距センサの出力値とに係る特性曲線に当てはめることにより、前記測距センサから測定対象物までの距離を算出することを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の発明は、
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサの出力値を前記測距センサから測定対象物までの距離に変換する方法であって、
前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記測距センサの出力値とに基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離と前記測距センサの出力値とに係る特性曲線を決定するステップと、
前記測距センサの出力値を前記特性曲線に当てはめることにより前記測距センサから測定対象物までの距離を算出するステップと
を有することを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の発明は、
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサの出力値を前記測距センサから測定対象物までの距離に変換する方法であって、
前記測距センサの出力値に対してオフセット調整を行うステップと、
前記オフセット調整された前記測距センサの出力値を増幅するステップと、
前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記増幅された前記測距センサの出力値とに基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離と前記増幅された前記測距センサの出力値とに係る特性曲線を決定するステップと、
前記増幅された前記測距センサの出力値を前記特性曲線に当てはめることにより前記測距センサから測定対象物までの距離を算出するステップと
を有することを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の距離測定装置を備える表示装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、出力値と測定距離とが反比例の関係を有する測距センサの基本特性に着目して、複数の未知係数(例えば、l,m,n)を求める方法(未知係数法)を取り入れることにより、あらゆる個体バラツキをもった個々のセンサに対して補間による誤差のない高精度な出力値―距離変換を行うことができる。また、測距センサの出力値が電圧、または電圧に変換することができるアナログ出力値(電流など)である場合には、同時に、前記高精度な出力値―距離変換結果に基づいてADCのダイナミックレンジが最大限に取れるように、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における測距センサの出力範囲を最適化できる。さらに、測定点は3点だけでよいため、個体バラツキの調整に要する測定時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】赤外LEDと位置検出素子PSDを用いた光学式アナログ出力型三角測量方式測距センサの模式図である。
【図3】測距センサにおける電圧―距離変換の概念図である。
【図4】ADCの入力電圧範囲と測距センサの出力電圧範囲の関係を示す概念図である。
【図5】未知係数l,m,nのバラツキを示す概念図である。
【図6】出力電圧最適化回路を示す回路図である。
【図7】オフセット補正前後の2つの特性曲線を示す概念図である。
【図8】オフセット補正とゲイン補正によるセンサの特性曲線の最適化を示す概念図である。
【図9】測定範囲を変更したときの特性曲線の変化を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔本発明の基本原理〕
まず前提として、本発明の基本原理について説明する。
【0026】
上述のように、本発明においては、出力値と測定距離とが反比例の関係を有する測距センサの基本特性に着目して、複数の未知係数を求める方法(未知係数法)を用いる。表2に、未知係数法による電圧―距離変換テーブルの概念図を示す。
【0027】
【表2】
【0028】
図3中のセンサβの出力電圧V―測定距離dの関係を示す線から明らかなように、未知係数法を用いることにより、補間による誤差のない高精度な電圧―距離変換を行うことができる。
【0029】
アナログ出力型三角測量方式測距センサの基本特性(以下、特性曲線と記す)は、反比例曲線の標準形の式を用いて記述される。特性曲線を表す式は、次に示す式(1)である。
【0030】
【数1】
【0031】
式(1)で、doは任意の測定距離、Voはdoにおける出力電圧、l,m,nが未知係数である。
【0032】
図5(A)〜(C)の実線は式(1)が表すセンサの特性曲線を描いたものである。図5の点(m,n)は特性曲線の中心であり、特性曲線がV=nとd=mに漸近することを表す。
【0033】
また、図5(A)〜(C)の破線は、図5の実線に対して未知係数l,m,nをそれぞれ変化させた場合の特性曲線の変化を描いたものである。
【0034】
未知係数l は、図2における( p*f)のバラツキ、すなわち構造バラツキと捉えることができ、特性曲線の斜め方向のずれを決める係数となる。未知係数lの変化を図5(A)に示す。未知係数lの変化は、特性曲線の直線V=(d-m)+nに沿ったバラツキとして表れ、特性曲線と直線V
= ( d - m )+ nの交点( √( l + m), √( l + n ))付近(特性曲
線の頂点付近)で最も大きな変化となり、測定距離全域で測距精度に影響を与える。
【0035】
未知係数mは距離の次元をもち、図2における赤外LEDからPSDに至る光路のバラツキと捉えることができ、特性曲線の横軸方向のずれを決める係数となる。未知係数mの変化を図5(B)に示す。光路のバラツキが発生する要因は、例えば、レンズの偏心、センサボディの歪や非対称性、あるいはセンサの保護や目隠しのためにセンサ前面に取りつけるカバー材などと考えられる。測定距離dが十分長いとき、相対的に未知係数mが式(1)の特性曲線に与える影響は小さくなる。また、反比例曲線の性質上、測定距離dが小さいほど出力電圧Vの変化に対する測定距離dの変化が小さくなるため、未知係数mの変化は特性曲線の近距離側での測距精度に影響を与える。
【0036】
未知係数nは電圧(出力値)の次元をもち、測定対象物が無限遠にあるときのオフセット電圧のバラツキと捉えることができ、特性曲線の縦軸方向のずれを決める係数となる。未知係数nの変化を図5(C)に示す。オフセット電圧のバラツキが発生する要因は、例えば、PSDのダイボンド位置のバラツキや、PSDの位置検出誤差、光電流―電圧変換バラツキなどと考えられる。測定距離dが十分小さいとき、相対的に未知係数nが式(1)の特性曲線に与える影響は小さくなる。また、反比例曲線の性質上、測定距離dが大きいほど出力電圧Vの変化に対する測定距離dの変化が大きくなるため、未知係数nの変化は特性曲線の遠距離側での測距精度に影響を与える。
【0037】
これら3つの未知係数l,m,nを個々のセンサに対して求めることにより、個体バラツキを含む特性曲線が求まり、精度の高い電圧―距離変換が可能になる。
【0038】
未知係数l,m,nの特定には、異なる測定距離における出力電圧を少なくとも3点実測する必要がある。なお、十分高精度に製造されたセンサであれば、未知係数l,m,nは一定範囲内に収まると考えてよい。
【0039】
次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0040】
本実施形態は、本発明に係る距離測定装置を、液晶表示装置に適用した場合の実施形態である。
【0041】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。
【0042】
図において液晶表示装置1は、表示用のデバイスとして液晶パネル17を備える表示装置であり、PC3から入力される画像信号に基づいて液晶パネル17に画像表示を行うものである。
【0043】
液晶表示装置1は、制御部10、RAM(Random Access Memory)11、RAM(Random
Access
Memory)24、ROM(Read Only Memory)12、ROM(Read Only Memory)25、操作部13、入力部14、画像処理部15、パネル駆動部16、液晶パネル17、ライト駆動部18、バックライト19、PSDセンサ20、調整部21、増幅部22及び算出部23等を備えて構成されている。
【0044】
制御部10は、具体的にはCPU(Central Processing
Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置にて構成され、ROM12に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより種々の処理を行うことができる。制御部10は、液晶表示装置1内の各部と情報の授受を行ってこれら各部の動作を制御することにより、液晶パネル17に画像を表示するための種々の制御処理を実行する。
【0045】
RAM11は、例えばSRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等のデータ書き換え可能なメモリ素子により構成されており、一時的なデータを記憶することができる。例えばRAM11は、制御部10が行う種々の制御処理の演算過程などで発生したデータを一時的に記憶する。
【0046】
RAM24も、例えばSRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等のデータ書き換え可能なメモリ素子により構成されており、一時的なデータを記憶することができる。本実施の形態においては、PSDセンサ20の検出結果及びこの検出結果に基づいて出力される増幅器出力電圧Vamp等のデータ(詳細は後述する)をRAM24に記憶する。
【0047】
ROM12は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成され、制御部10の動作に必要な制御プログラムと、その他の種々のデータ(図示は省略する)とが予め記憶されている。
【0048】
ROM25も、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成されている。本実施の形態においては、PSDセンサ20から測定対象物までの距離を算出するために用いる特性曲線を構成するバラツキ成分(定数)A,m,Bの値(詳細は後述する)がROM25に予め記憶されており、算出部23がこれらのデータを読み出して処理を行う。
【0049】
操作部13は、ユーザが液晶表示装置1を操作するための各種のファンクションキーなどを有している。例えば、液晶パネル17の画像表示の明るさ(ブライトネス)を変更するためのキー、又は画像表示のカラーバランスを変更するためのキー等のように、液晶表示装置1の表示特性を設定するための設定キーが操作部13に設けられている。操作部13は、これらのファンクションキーに対するユーザの操作を受け付けて制御部10へ通知し、制御部10は操作部13からの通知に応じて各部の動作を制御することができる。
【0050】
入力部14は、PC3などの外部機器に信号ケーブルを介して接続される接続端子を有しており、PC3から入力される画像信号を取得し、この画像信号を画像処理部15へ与える。画像処理部15は、制御部10の制御に応じて、入力部14から与えられた画像信号に対して明るさ調整又はカラーバランス調整等の種々の画像処理を施し、画像処理後の画像信号をパネル駆動部16へ与える。画像処理部15から与えられた画像信号に応じてパネル駆動部16が液晶パネル17を駆動することにより、液晶表示装置1はPC3からの画像信号に基づく画像表示を行うことができる。
【0051】
液晶パネル17は、一対のガラス基板が対向配置され、その間隙内に液晶物質である液晶層が形成された構造をなしている。一方のガラス基板には、複数の画素電極と、画素電極のそれぞれにドレインを接続したTFT(Thin Film Transistor)とが設けられ、他方のガラス基板には共通電極が設けられている。各TFTのゲート及びソースは、パネル駆動部16のゲートドライバ及びソースドライバ(図示は省略する)に接続され、パネル駆動部16から駆動信号がそれぞれ入力されている。
【0052】
パネル駆動部16は、画像処理部15から与えられた画像信号に応じて液晶パネル17を駆動するための駆動信号を出力する。詳しくは、パネル駆動部16のゲートドライバは、液晶パネル17が有する多数のTFTのゲートに、与えられた画像信号に応じて選択的に電圧を印加し、また同様に、パネル駆動部16のソースドライバは、TFTのソースに、入力された映像信号に応じた電圧値で電圧を印加する。これにより液晶パネル17は、パネル駆動部16のゲートドライバから印加される電圧によって各画素のTFTのオン/オフが制御され、パネル駆動部16のソースドライバから入力される出力電圧(液晶パネル17への入力レベル)が各画素のTFTに印加されることにより、液晶物質の電気光学特性によって決定される光透過率が制御されて、バックライト19からの光の透過が調整され、所望の画像を階調表示することができる。液晶パネル17の各画素は、RGBのように複数色分の副画素で更に構成され、光の透過方向にカラーフィルムを配することで、カラー表示を可能としている。
【0053】
バックライト19は、表示装置1内にて液晶パネル17の背面側に配設されており、ライト駆動部18から与えられる出力電圧により駆動される。ライト駆動部18は、制御部10の制御に応じて、バックライト19への出力電圧を調整する。これにより、例えばユーザが操作部13を操作して設定したブライトネス設定に応じて、ライト駆動部18に出力電圧を調整させて、バックライト19の輝度を調整することができる。
【0054】
PSDセンサ20は、液晶表示装置1の筐体の正面部分(例えば液晶パネル17を囲む周囲の枠部分)に設けられ、液晶表示装置1の正面側に存在する物体までの距離を検出し、検出結果として距離に応じた電圧値の信号を調整部21へ出力する。PSDセンサ20は、例えば赤外LEDと組み合わせて用いられ、赤外LEDから出射した赤外光の対象物における反射光を受光し、このときの受光位置又は受光角度等に応じた電圧値の信号を出力する。このためセンサが出力する信号の電圧値を元に、三角測量方式にて対象物までの距離を算出することができる。なおPSDセンサ20は、測定対象物までの距離が近いほど電圧値が高い信号を出力し、対象物までの距離が遠いほど電圧値が低い信号を出力する。
【0055】
PSDセンサ20からの出力信号が与えられた調整部21は、後述する方法により、算出部23からの指示に基づいて、この信号をオフセット調整(補正)する。
【0056】
前記オフセット調整(補正)された信号は、後述する方法により、算出部23からの指示に基づいて、増幅部22にて増幅される。なお、後述するように、本実施の形態においては、調整部21と増幅部22は同一の出力電圧最適化回路4(図6)に備えられ、調整部21におけるオフセット調整(補正)は、出力電圧最適化回路4を構成する増幅器A2および増幅器A1において実行され、増幅部22における増幅(ゲイン補正)は、増幅器A1において実行される。なお、オフセット補正とゲイン補正は、ほぼリアルタイムに実行される。
【0057】
算出部23は、前記増幅された信号を、後述する方法によって得られる特性曲線に当てはめることにより、PSDセンサ20から測定対象物までの距離を算出する。なお算出部23は、前記増幅された信号の電圧値VampをA/D変換(図示は省略する)によりデジタルの情報として取得する。
【0058】
制御部10は、算出部23が算出した測定対象物までの距離情報に基づいて、液晶表示装置1の正面(PSDセンサ20の検出範囲内)に検出対象物(例えば、人)が存在するか否かを判定し、判定結果に応じて液晶パネル17の表示/非表示を切り替える制御処理を行う。即ち制御部10は、人が存在すると判定した場合には、液晶パネル17にPC3から入力された画像の表示を行い、人が存在しないと判定した場合には、液晶パネル17の画像表示を停止する。なお画像表示の停止は、例えばパネル駆動部16及びライト駆動部18による駆動信号の出力を停止することで行ってもよく、また例えば電源回路(図示は省略する)から各部への電力供給を停止することで行ってもよく、その他の方法で行ってもよい。
【0059】
次に、調整部21において実行されるオフセット調整(補正)、および増幅部22において実行される増幅(ゲイン)補正の詳細について説明する。
【0060】
図6に、オフセット調整(補正)および増幅(ゲイン)補正を行う出力電圧最適化回路4の一例を示す。出力電圧最適化回路4は、図1に記載する調整部21および増幅部22に該当する。上述したように、調整部21におけるオフセット調整(補正)は、出力電圧最適化回路4を構成する増幅器A2および増幅器A1において実行され、増幅部22における増幅(ゲイン補正)は、増幅器A1において実行される。
【0061】
出力電圧最適化回路4は、2段の差動増幅器A2およびA1により構成され、初段の増幅器A2に外部DACなどから入力されるオフセット補正電圧Voffsetと、ダイオードの順方向電圧などにより提供される温度補償電圧Vtempとが入力すると、抵抗比R2/R1によって決まるゲインG2(図示は省略する)にて差動増幅を行い、補正電圧Vcompを生成し、次段の増幅器A1に前記補正電圧Vcompとセンサの出力電圧Voとが入力すると、抵抗比R4/R3によって決まるゲインG1(図示は省略する)にて差動増幅を行い、増幅電圧Vampを得る。前記増幅電圧VampはADC(図示は省略する)に入力される。
【0062】
増幅電圧Vampは、増幅器A1のゲインG1、増幅器A2のゲインG2、オフセット補正電圧Voffset、温度補償電圧Vtempを用いて、次に示す式(2)で表すことができる。なお、式(2)は、補正電圧Vcompを用いて、式(2)’と表すこともできる。
【0063】
【数2】
【0064】
温度補償電圧Vtempと増幅器A2のゲインG2は、センサの温度特性からあらかじめ設定される。アナログ出力型三角測量方式測距センサは周囲温度の変化によって機構材料の膨張・収縮や電気的特性の変化が起こると、上述の未知係数が変化して特性曲線に誤差が生じる。
【0065】
特性曲線の温度特性はセンサの設計によりさまざまであるが、例えば、センサの出力電圧が線形な温度特性をもっていた場合、シリコンダイオードやツェナーダイオードなどの、同じく線形な温度特性をもった素子で基準電圧を生成し、それを温度補償電圧Vtempとして増幅器A2に入力して補正電圧Vcompに温度特性を与え、補正電圧Vcompの温度特性がセンサの温度特性と等しくなるようにゲインG2を設定することにより、増幅器A1で補正電圧Vcompとセンサの出力電圧Voとを差動増幅するときにセンサの温度特性をキャンセルすることができる。なお、温度補償電圧VtempとゲインG2は、オフセット補正電圧Voffsetや、増幅器A1、A2の温度特性も加味して設定してもよい。
【0066】
〔オフセット補正〕
オフセット補正電圧Voffsetは、DAC(Digital-to-Analog
Converter)などから供給される可変直流電圧であり、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxに応じて設定される。
【0067】
なお、オフセット補正電圧Voffsetは、必ずしも、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxに応じて設定されなければならないわけではなく、任意の距離dに応じて設定されることができる。すなわち、最長距離dmaxよりも長い距離に応じて設定されてもよいし、逆に、最長距離dmaxよりも短い距離に応じて設定されてもよい。ただし、最長距離dmaxよりも短い距離に応じて設定される場合には、該当の距離測定装置に要求される測定範囲内において測定距離の飽和が発生しないようにする必要がある。
【0068】
以下では、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxに応じてオフセット補正電圧Voffsetを設定する場合について説明する。この場合が、最も効率的かつ高精度にオフセット補正することができるからである。
【0069】
図8は、オフセット補正とゲイン補正によるセンサの特性曲線の最適化を示す概念図である。
【0070】
まず、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxにおける増幅電圧Vminを実測する。
【0071】
次に、前記VminをADCの入力電圧範囲の最小値に近づけるようにオフセット補正電圧Voffsetを調整してオフセット補正を行う。前記VminをADCの入力電圧範囲の最小値に近づける際は、前記最小値と一致させてもよいが、経年変化などによって前記最小値を下回らないようにマージンを設けておいてもよい。なお、オフセット補正電圧Voffsetの初期値は任意の電圧でよい。
【0072】
また、例えば、オフセット補正電圧Voffsetの初期値を温度補償電圧Vtempと等しく設定して補正電圧Vcompをキャンセルしておく方法や、あらかじめセンサの個体バラツキの傾向を調べておき、中央付近の個体バラツキをもったセンサの特性曲線に最適化したオフセット補正電圧Voffsetを初期値とする方法によってオフセット補正の所要時間を短縮させることもできる。
【0073】
〔ゲイン補正〕
増幅器A1のゲインG1は、上述したオフセット補正を行ったのち、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminに応じて設定される。
【0074】
なお、増幅器A1のゲインG1は、必ずしも、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminに応じて設定されなければならないわけではなく、任意の距離dに応じて設定されることができる。すなわち、最短距離dminよりも長い距離に応じて設定されてもよいし、逆に、最短距離dminよりも短い距離に応じて設定されてもよい。
【0075】
以下では、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminに応じて増幅器A1のゲインG1を設定する場合について説明する。この場合が、最も効率的かつ高精度にゲイン補正することができるからである。
【0076】
まず、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminにおける増幅電圧Vmaxを実測する。
【0077】
次に、前記VmaxをADCの入力電圧範囲の最大値に近づけるようにゲインG1を調整してゲイン補正を行う。
【0078】
前記VmaxをADCの入力電圧範囲の最大値に近づける際は、前記最大値と一致させてもよいが、経年変化などによって前記最大値を上回らないようにマージンを設けておいてもよい。また、ゲインG1を変えることで測定範囲における最長距離dmaxにおける増幅電圧Vminが変化するため、上記オフセット補正を再度行い、さらに上記ゲイン補正を再度行い、これを繰り返すことで、より高精度に電圧範囲の最適化を行ってもよい。なお、ゲインG1の初期値は、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における測距センサの出力電圧範囲においてADCの入力電圧範囲を超えないように設定しておく。
【0079】
ADCの入力分解能が十分に大きく、増幅器A1のゲインG1を可変させてADCのダイナミックレンジをできる限り大きく取らずとも十分な距離分解能が得られる場合には、あらかじめ該当の距離測定装置に要求される測定範囲において最も出力電圧範囲の広い個体バラツキをもったセンサの特性曲線においても飽和しないようにゲインG1を固定値に設定しておいてもよい。
【0080】
以上より、図8に示すように、オフセット補正とゲイン補正により、センサの特性曲線は、出力電圧最適化回路を経て、所望の測定範囲における測距センサの出力電圧範囲がADCの入力電圧範囲に合わせて最適化される。
【0081】
なお、図6に示す出力電圧最適化回路4によりオフセット補正やゲイン補正を行い、任意の測定距離doにおける出力電圧Voのセンサの特性曲線を、任意の測定距離doにおける増幅電圧Vampの特性曲線に変換しても、アナログ出力型三角測量方式測距センサがもつ特性曲線の特徴は変化しない。以下、この点について説明する。
【0082】
上述の式(1)に示す測距センサの特性曲線を上述の式(2)に代入し、次に示す式(3)、式(4)とおくと、式(5)が得られる。なお、式(4)は補正電圧Vcompを用いて式(4)’とも表すことができる。
【0083】
【数3】
【0084】
ここで、式(3)のゲインG1、未知係数l は定数であるため、係数Aは定数である。同様に、式(4)のゲインG1、G2、未知係数n、オフセット補正電圧Voffset、温度補償電圧Vtempは定数であるため、係数Bは定数である。したがって、式(5)の増幅電圧Vampと測定距離doは反比例の関係にある。つまり、任意の測定距離doにおけるセンサの出力電圧Voの特性曲線に対して、図6の出力電圧最適化回路4によりオフセット補正や増幅(ゲイン補正)を行い、任意の測定距離doにおける増幅電圧Vampの特性曲線に変換しても、アナログ出力型三角測量方式測距センサがもつ特性曲線の特徴は変化せず、未知係数l,m,nがそれぞれ係数A,m,Bに置き換わったとみなすことができる。すなわち、式(5)は任意の測定距離doにおける増幅電圧Vampを対応づける電圧―距離変換式であり、個々のセンサに対して係数A,m,Bを求めることにより、センサの特性曲線の個体バラツキを補正することができる。
【0085】
なお、上述のオフセット補正は、式(4)、式(4)’が表すように、式(5)において係数Bを設定することに相当する。
【0086】
図7にオフセット補正前後の2つの特性曲線を示す。いかなる係数Bを設定した場合でも、すなわち、いかなるオフセット補正電圧Voffsetを設定した場合でも、オフセット補正前後の特性曲線はV軸方向に平行移動するだけである。ここで、任意の測定距離doの変化による増幅電圧Vampの変化を特性曲線上の任意の1点を基準に相対値として取り扱うことにより、係数Bを未知係数A,mとは無関係に選ぶことができる。したがって、係数Bはハードウェアの要求、すなわちADCの入力電圧範囲に合わせて所望の値に設定すればよい。
【0087】
また、上述のゲイン補正では、式(3)、式(4)、式(4)’が表すように係数A、Bに掛かっているゲインG1を変えるため、式(5)において任意の測定距離doにおける増幅電圧Vampが増減し、図8のゲイン補正の矢印に示すように特性曲線の傾斜が変化する。
【0088】
〔距離算出方法〕
次に、算出部23において、PSDセンサ20から測定対象物までの距離を算出する方法の詳細について説明する。
【0089】
上述のオフセット補正とゲイン補正を行ったのち、所望の測定範囲における中間距離dmidにおける増幅電圧Vmidを実測する。
【0090】
前記中間距離dmidは該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxと該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最短距離dminとの間で任意に選んでよいが、あらかじめセンサの個体バラツキの傾向を調べておき、中央付近の個体バラツキをもったセンサの特性曲線の頂点付近に前記中間距離dmidを設定することにより、センサの個体バラツキの補正精度を高めることができる。
【0091】
上述の過程で得られた3つの測定点(dmax,Vmin)、(dmid,Vmid)、(dmin,Vmax)は、式(5)を用いてそれぞれ次に示す式(6)、式(7)、式(8)で表すことができる。
【0092】
【数4】
【0093】
式(6)と式(8)とから次に示す式(9)、式(7)と式(8)とから式(10)が得られ、式(9)と式(10)とから係数A,mが式(12)、式(13)のとおり求まる。
【0094】
【数5】
【0095】
式(5)と式(8)から式(11)が得られ、係数Bが消去される。式(11)を任意の測定距離doについてまとめると、式(14)が得られる。
【0096】
式(8)を係数Bについてまとめると、次に示す式(15)が得られるため、式(14)は式(16)と表すことができる。式(16)は式(5)を任意の測定距離doについてまとめた式に等しい。式(12)、式(13)、および式(15)を用いてセンサのバラツキ係数A,m,Bを算出し、式(16)を用いることにより、センサの特性曲線の個体バラツキを補正した電圧―距離変換が可能となる。
【0097】
【数6】
【0098】
なお、本実施の形態によれば、該当の距離測定装置に要求される測定範囲における最長距離dmaxに応じたオフセット補正と、最短距離dminに応じたゲイン補正を行う過程、すなわち、ADCのダイナミックレンジが最大限に取れるように、該当の距離測定装置に要求される測定範囲におけるPSDセンサ20の出力範囲を最適化する過程(出力電圧最適化回路4)において、3点の測定ポイントの内の2点の測定が完了するため、極めて効率的にPSDセンサ20の特性曲線を求めることができる。
【0099】
なお、以上の過程において算出した係数A,m,Bに基づいて、式(3)、式(4)からそれぞれ未知係数lと未知係数nを逆算することができ、出力電圧最適化回路4を通す前のセンサの特性曲線を定める3つの未知係数l,m,nを求めることができる。
【0100】
そして、算出された未知係数l,m,nを用いて、式(1)からセンサの特性曲線を特定することができる。したがって、該当の距離測定装置に要求される測定範囲を変更する場合には、上述により特定されたセンサの特性曲線を用いて机上計算に基づいてオフセット補正、ゲイン補正を行い、新たな係数B'とゲインG1'を設定することにより、再測定なしにADCの入力電圧範囲と測距センサの出力電圧範囲を合わせ込むことができる。このような合わせ込みによって、該当の距離測定装置に要求される測定範囲を変更した場合であっても、ADCのダイナミックレンジが最大限に取れるように測距センサの出力範囲を最適化することができ、高精度な出力値―距離変換を行うことができる。図9に該当の距離測定装置に要求される測定範囲を変更した特性曲線を示す。
【0101】
なお、本実施の形態においては、LEDとPSDを用いた電圧出力の光学式アナログ出力型三角測量方式測距センサを備えた距離測定装置を液晶表示装置1に搭載した構成を例に説明を行ったが、本発明の適用は液晶表示装置1に限るものではない。本発明における距離測定装置を構成する測距センサは、センサの出力値が測定対象物までの距離と反比例の関係をもつものであればよく、このような関係をもつものであれば、センサの出力値が、電流、数値、デジタルデータ等であってもよく、また、光学式測距センサに限らず、例えば、静電センサ、輝度センサ、温度センサ等であってもよい。そして、本発明における距離測定装置は、液晶表示装置以外の表示装置、例えば、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ等に適用することもできる。
【0102】
さらに、本発明における距離測定装置は、表示装置以外にも、測定対象物(例えば、人)までの距離に基づいて種々の制御(例えば、電源のオン/オフの制御)を行う様々な電気機器、例えば、空気調和機、照明装置、防犯設備等にも適用することができる。
【0103】
なお、請求項1において明らかなように、本発明における距離測定装置は、調整部21および増幅部22を有さない構成であってもよい。すなわち、上述のオフセット補正およびゲイン補正を行わない構成であってもよい。なお、この場合、測定ポイントは任意の3点でよく、必ずしも、最長距離dmaxおよび最短距離dminを測定ポイントに含める必要はない。
【符号の説明】
【0104】
1・・・・・液晶表示装置(表示装置)
3・・・・・PC
4・・・・・出力電圧最適化回路(調整部、および、増幅部)
10・・・・・制御部
11・・・・・RAM
12・・・・・ROM
13・・・・・操作部
14・・・・・入力部
15・・・・・画像処理部
16・・・・・パネル駆動部
17・・・・・液晶パネル
18・・・・・ライト駆動部
19・・・・・バックライト
20・・・・・PSDセンサ(測距センサ)
21・・・・・調整部(調整部)
22・・・・・増幅部(増幅部)
23・・・・・算出部(算出部)
24・・・・・RAM
25・・・・・ROM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサと、
前記測距センサの出力値に基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離を算出する算出部とを備え、
該算出部は、前記測距センサの出力値を、前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記測距センサの出力値とに基づいて決定される前記測距センサから測定対象物までの距離と前記センサの出力値とに係る特性曲線に当てはめることにより、前記センサから測定対象物までの距離を算出すること
を特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサと、
前記測距センサの出力値に対してオフセット調整を行う調整部と、
前記オフセット調整された前記測距センサの出力値を増幅する増幅部と、
前記増幅された前記測距センサの出力値に基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離を算出する算出部とを備え、
該算出部は、前記増幅された前記測距センサの出力値を、前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記増幅された前記測距センサの出力値とに基づいて決定される前記測距センサから測定対象物までの距離と前記増幅された前記測距センサの出力値とに係る特性曲線に当てはめることにより、前記測距センサから測定対象物までの距離を算出すること
を特徴とする距離測定装置。
【請求項3】
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサの出力値を前記測距センサから測定対象物までの距離に変換する方法であって、
前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記測距センサの出力値とに基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離と前記測距センサの出力値とに係る特性曲線を決定するステップと、
前記測距センサの出力値を前記特性曲線に当てはめることにより前記測距センサから測定対象物までの距離を算出するステップと
を有することを特徴とする距離測定方法。
【請求項4】
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサの出力値を前記測距センサから測定対象物までの距離に変換する方法であって、
前記測距センサの出力値に対してオフセット調整を行うステップと、
前記オフセット調整された前記測距センサの出力値を増幅するステップと、
前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記増幅された前記測距センサの出力値とに基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離と前記増幅された前記測距センサの出力値とに係る特性曲線を決定するステップと、
前記増幅された前記測距センサの出力値を前記特性曲線に当てはめることにより前記測距センサから測定対象物までの距離を算出するステップと
を有することを特徴とする距離測定方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の距離測定装置を備える表示装置。
【請求項1】
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサと、
前記測距センサの出力値に基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離を算出する算出部とを備え、
該算出部は、前記測距センサの出力値を、前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記測距センサの出力値とに基づいて決定される前記測距センサから測定対象物までの距離と前記センサの出力値とに係る特性曲線に当てはめることにより、前記センサから測定対象物までの距離を算出すること
を特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサと、
前記測距センサの出力値に対してオフセット調整を行う調整部と、
前記オフセット調整された前記測距センサの出力値を増幅する増幅部と、
前記増幅された前記測距センサの出力値に基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離を算出する算出部とを備え、
該算出部は、前記増幅された前記測距センサの出力値を、前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記増幅された前記測距センサの出力値とに基づいて決定される前記測距センサから測定対象物までの距離と前記増幅された前記測距センサの出力値とに係る特性曲線に当てはめることにより、前記測距センサから測定対象物までの距離を算出すること
を特徴とする距離測定装置。
【請求項3】
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサの出力値を前記測距センサから測定対象物までの距離に変換する方法であって、
前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記測距センサの出力値とに基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離と前記測距センサの出力値とに係る特性曲線を決定するステップと、
前記測距センサの出力値を前記特性曲線に当てはめることにより前記測距センサから測定対象物までの距離を算出するステップと
を有することを特徴とする距離測定方法。
【請求項4】
出力値と測定対象物までの距離とが反比例の関係を有する測距センサの出力値を前記測距センサから測定対象物までの距離に変換する方法であって、
前記測距センサの出力値に対してオフセット調整を行うステップと、
前記オフセット調整された前記測距センサの出力値を増幅するステップと、
前記測距センサから少なくとも任意の3点の測定ポイントまでの距離と前記測定ポイントにおける前記増幅された前記測距センサの出力値とに基づいて前記測距センサから測定対象物までの距離と前記増幅された前記測距センサの出力値とに係る特性曲線を決定するステップと、
前記増幅された前記測距センサの出力値を前記特性曲線に当てはめることにより前記測距センサから測定対象物までの距離を算出するステップと
を有することを特徴とする距離測定方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の距離測定装置を備える表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−88406(P2013−88406A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232295(P2011−232295)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】
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