湿式フリクションプレート
【課題】油液の排出性を向上させて引き摺りトルクの発生を抑制するとともに、摩擦部材の摩擦面における油膜切れの発生を抑制することのできる湿式フリクションプレートを提供する。
【解決手段】フリクションプレート100は、円盤状のコアプレート10の表面に複数の摩擦部材20を互いに間隔を隔てて円形に配設したセグメント構造をなしている。摩擦部材20の摩擦面には、コアプレート10の周方向に延びる横溝22とコアプレート10の径方向に延びて横溝22に接続されるとともに摩擦部材20の内周側の側面に連通する縦溝23,24,25とを含み、摩擦部材20の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝21が形成されている。
【解決手段】フリクションプレート100は、円盤状のコアプレート10の表面に複数の摩擦部材20を互いに間隔を隔てて円形に配設したセグメント構造をなしている。摩擦部材20の摩擦面には、コアプレート10の周方向に延びる横溝22とコアプレート10の径方向に延びて横溝22に接続されるとともに摩擦部材20の内周側の側面に連通する縦溝23,24,25とを含み、摩擦部材20の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝21が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動変速機の湿式多板クラッチ等の係合要素として用いられる湿式フリクションプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機の湿式多板クラッチにあっては、クラッチが解放されているときにフリクションプレートと相手側の係合要素であるセパレータプレートとの間に大量の油液が滞留していると、フリクションプレートとセパレータプレートとを離間させているにも拘わらず、油液を介してトルクが伝達されてしまい、いわゆる引き摺りトルクが発生してしまう。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の湿式フリクションプレートにあっては、図10に示されるように円盤状のコアプレート1の表面に複数の摩擦部材2を所定の間隔を隔てて円形に配設するセグメント構造を採用している。こうしたセグメント構造の湿式フリクションプレートを備える湿式多板クラッチにあっては、フリクションプレートの回転に伴う遠心力の作用によって図10に破線矢印で示されるように油液が各摩擦部材2の間に形成された間隙を通じて外周側に排出されるようになり、上記のような引き摺りトルクの発生が抑制されるようになる。
【0004】
また、こうしたセグメント構造の湿式フリクションプレートにあっては、湿式フリクションプレートの回転に伴って図10に矢印で示されるように油液の一部が摩擦部材2に乗り上げるようになるため、摩擦部材2の摩擦面に薄い油膜を形成することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9‐72364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、図10において破線で囲んだ部分Xのように、フリクションプレートの回転に伴って油液が乗り上げる端部から遠い部位にあっては、油液の供給不足による油膜切れが生じやすい。油膜切れが生じていると、クラッチ解放中に湿式フリクションプレートがふらついてセパレータプレートに接近したときに摩擦部材2が相手側の係合要素に直接接触してしまい、それに伴って瞬間的にトルクが伝達されて振動や騒音が生じるおそれがある。
【0007】
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は油液の排出性を向上させて引き摺りトルクの発生を抑制するとともに、摩擦部材の摩擦面における油膜切れの発生を抑制することのできる湿式フリクションプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、円盤状のコアプレートの表面に複数の摩擦部材を互いに間隔を隔てて円形に配設したセグメント構造の湿式フリクションプレートにおいて、前記摩擦部材の摩擦面には、前記コアプレートの周方向に延びる横溝と前記コアプレートの径方向に延びて同横溝に接続されるとともに同摩擦部材の内周側の側面に連通する縦溝とを含み、同摩擦部材の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝が形成されていることをその要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、フリクションプレートの回転に伴う遠心力の作用により油液が外周側に排出される際に縦溝を通じて横溝に油液が供給されるようになる。これら横溝と縦溝とを含んで構成される油溝は、摩擦部材の摩擦面と内周側の側面以外に開口部を有していないため、内周側の側面の開口部からこの油溝に導入された油液は、摩擦面側の開口部から摩擦面上に乗り上げて摩擦面上にこぼれ出すこととなる。その結果、この油溝を通じて広い範囲に油液が供給されて摩擦面に油膜が形成されるようになり、摩擦面における油膜切れの発生が抑制されるようになる。
【0010】
すなわち、上記請求項1に記載の発明によれば、各摩擦部材の間に形成される間隙から油液を排出する一方で、油溝を通じて広い範囲に油液を供給し摩擦面の広範囲に亘って油膜を形成することができるようになる。したがって、油液の排出性を向上させて引き摺りトルクの発生を抑制するとともに、摩擦部材の摩擦面における油膜切れの発生を抑制することができるようになる。
【0011】
また、フリクションプレートの回転に伴って摩擦面上に形成された油膜には、回転方向とは逆向きの剪断力が作用する。そのため、油膜を形成している油液はフリクションプレートの回転に伴って引き延ばされるように摩擦面上を移動することとなる。これに対して上記請求項1に記載の発明にあっては、摩擦面が縦溝によって分断されているため、縦溝が形成されていない場合と比較して油液が引き延ばされるように移動する距離が短くなり、こうした油液の移動に伴う粘性抵抗が低減されるようになる。
【0012】
すなわち、上記請求項1に記載の発明によれば、摩擦部材の摩擦面上に油膜を形成して相手側の係合要素との直接接触による接触抵抗を抑制するとともに、油膜の粘性抵抗を低減し、引き摺りトルクを低減することもできるようになる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝は、前記横溝の両端にそれぞれ接続されて前記摩擦部材の内周側の側面に連通する一対の縦溝を含んでいることをその要旨とする。
【0014】
上記請求項2に記載されているように横溝の両端に摩擦部材の内周側の側面に連通する一対の縦溝をそれぞれ接続するように油溝を形成すれば、横溝には一対の縦溝を通じてその両端部から油液が供給されるようになり、横溝全体に油液を行き渡らせて同横溝から摩擦部材の外周側の広い範囲に対して油液を供給することができるようになる。これにより、上記請求項2に記載の発明によれば、摩擦部材の外周側の部位における油膜切れをより効果的に抑制することができるようになる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝は、前記一対の縦溝に加えて、同一対の縦溝の間で前記横溝に接続されて前記摩擦部材の内周側の側面に連通する縦溝を備えていることをその要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、一対の縦溝の間に形成された縦溝を通じて更に横溝に油液を供給することができるようになるとともに、一対の縦溝の間に設けられたこの縦溝を通じて摩擦面における一対の縦溝の間の部位に油液を供給することができるようになる。
【0017】
また、一対の縦溝の間の摩擦面をこの縦溝によって分断することにより、フリクションプレートの回転に伴って前記一対の縦溝の間の摩擦面上を油液が移動するときの粘性抵抗を更に低減することができるようになる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記縦溝の数は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど少なくされることをその要旨とする。
【0019】
縦溝の数を増大させるほど、摩擦面上の広い範囲に均一に油液を供給することができるようになるものの、摩擦面における相手側の係合要素との接触面積が小さくなってしまい、相手側の係合要素と当接されたときに伝達可能なトルクが低減してしまう。
【0020】
そのため、上記請求項4に記載の発明のように、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて縦溝の数を設定し、必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど縦溝の数を少なくすることが望ましい。このように必要とされる伝達トルク容量に応じて縦溝の数を設定することにより、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを両立させることができるようになる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記摩擦部材は、摩擦面における前記油溝よりも内周側の部位に前記摩擦部材の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝が更に形成されてなることをその要旨とする。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝の内周側に形成される油溝の数は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど少なくされることをその要旨とする。
【0023】
上記請求項5に記載の構成のように、縦溝と横溝とを含んで構成された油溝よりも内周側の部位に更に内周側の側面にのみ連通する油溝を形成する構成を採用することもできる。こうした構成によれば、新たに設ける油溝を通じて縦溝と横溝とを含んで構成された油溝よりも内周側の部位に油液を直接供給することができるようになり、油膜切れを更に好適に抑制することができるようになる。
【0024】
また、こうした新たな油溝を設ける場合にも、油溝を追加するほど摩擦部材の接触面積が小さくなってしまうため、上記請求項6に記載されているように必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設ける油溝の数を設定し、必要とされる伝達トルクが大きいときほど摩擦面に設ける油溝の数を少なくすることが望ましい。このように必要とされる伝達トルク容量に応じて、横溝と縦溝とを含んで構成される油溝よりも内周側の部位に新たに設ける油溝の数を設定することにより、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを両立させることができるようになる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝の溝幅は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど狭くされることをその要旨とする。
【0026】
油溝の溝幅を増大させるほど、摩擦面上により多くの油液を供給することができるようになるものの、摩擦面における相手側の係合要素との接触面積が小さくなってしまい、相手側の係合要素と当接されたときに伝達可能なトルクが低減してしまう。
【0027】
そのため、上記請求項7に記載の発明のように、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて溝幅を設定し、必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど溝幅を狭くすることが望ましい。このように必要とされる伝達トルク容量に応じて油溝の溝幅を設定することにより、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを両立させることができるようになる。
【0028】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝における前記横溝は、前記摩擦部材の中央よりも外周側の部位に設けられていることをその要旨とする。
【0029】
摩擦部材の摩擦面における外周側の部位は、内周側から供給される油液が到達しにくく、油膜切れが特に発生しやすい。これに対して、横溝を形成する位置を外周側の側面に近づけるほど、横溝を通じて外周側の部位に効果的に油液を供給することができるようになり、好適に油膜切れを抑制することができるようになる。そのため、横溝は摩擦部材の外周側の側面に近い位置に設けることが望ましく、上記請求項9に記載の発明によるように少なくとも摩擦部材の中央よりも外周側の部位に設けるようにするとよい。
【0030】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝は、プレス加工によって形成されることをその要旨とする。
上記請求項9に記載されているように、油溝はプレス加工によって形成することが望ましい。プレス加工によって油溝を形成すれば、たくさんの摩擦部材に同じ形状の油溝を容易に形成することができるようになり、油溝を形成することによる製造コストの増大や、製造工程の煩雑化を抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施形態にかかるフリクションプレートの正面図。
【図2】同実施形態にかかるフリクションプレートの図1における部分Aを拡大して示す拡大図。
【図3】(a)は図2におけるB‐B線方向の断面図。(b)は比較対照としての摩擦部材の断面図。
【図4】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図5】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図6】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図7】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図8】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図9】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図10】従来のセグメント構造のフリクションプレートにおける摩擦部材近傍を拡大して示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、この発明にかかる湿式フリクションプレートを、自動変速機の湿式多板クラッチに適用されるフリクションプレートとして具現化した一実施形態について、図1〜3を参照して説明する。
【0033】
図1は本実施形態にかかるフリクションプレート100の正面図である。図1に示されるように本実施形態のフリクションプレート100にあっては、金属によって形成された円盤状のコアプレート10の表面に12個の摩擦部材20が互いに一定の間隔を隔てて円形に配設されている。尚、フリクションプレート100にあっては、コアプレート10の裏面にも同様に12個の摩擦部材20が固定されている。
【0034】
図1に示されるようにコアプレート10の内周には、スプライン11が形成されている。本実施形態のフリクションプレート100は、このスプライン11が自動変速機のハブの外周面に形成されたスプラインに噛合されることにより、このハブに対して回動不能であり、且つ軸方向に変位可能に取り付けられることとなる。
【0035】
尚、自動変速機の湿式多板クラッチにあっては、ハブに取り付けられたフリクションプレート100と、同様にスプラインを介してドラムの内周面に取り付けられたセパレータプレートとを交互に複数枚並べてクラッチを構成する。そして、油圧式のピストンの付勢力によってこれらフリクションプレート100とセパレータプレートとを当接させることにより、クラッチを係合状態とし、摩擦部材20とセパレータプレートとの間に生じる摩擦力を利用してハブとドラムとの間で駆動力を伝達させる。一方で、駆動力の伝達を切断する際には、ピストンに作用させる油圧を低減させ、フリクションプレート100とセパレータプレートとを離間させてその係合を解除し、クラッチを解放状態にする。
【0036】
図1に示されるようにコアプレート10の表面に配設された各摩擦部材20の摩擦面には、油溝21が形成されている。以下、図1における破線で囲んだ部分Aを拡大して示す図2を参照して、この油溝21について詳しく説明する。
【0037】
図2に示されるように油溝21は、摩擦部材20の外周側の側面と平行にコアプレート10の周方向に延びる横溝22を含んでいる。この横溝22は、摩擦部材20の中央よりも外周側の部位に形成されており、この横溝22の図2における左側の端部にはコアプレート10の径方向に延びて摩擦部材20の内周側の側面に連通する第1縦溝23が接続されている。また、横溝22の図2における右側の端部には第1縦溝23と同様にコアプレート10の径方向に延びて摩擦部材20の内周側の側面に連通する第2縦溝24が接続されている。そして更に、第1縦溝23と第2縦溝24との間には、図2の中央に示されるように横溝22に接続するとともにコアプレート10の径方向に延びて摩擦部材20の内周側の側面に連通する第3縦溝25が設けられている。
【0038】
このように本実施形態のフリクションプレート100における各摩擦部材20には、横溝22と、3本の縦溝23,24,25とからなる油溝21が設けられている。尚、油溝21における溝幅及び横溝22に接続する縦溝の数は、本実施形態のフリクションプレート100を備える湿式多板クラッチにおいて必要とされる伝達トルク容量に基づき、必要とされる伝達トルク容量を実現しつつ、摩擦部材20の摩擦面に好適に油膜を形成することができるように予め行う実験等の結果に基づいて設定されている。
【0039】
油溝の溝幅を広くするほど、また縦溝の数を多くするほど、たくさんの油液を摩擦部材20の表面に供給することができるものの、摩擦部材20と相手側の係合要素であるセパレータプレートとの接触面積が小さくなり、伝達可能なトルクが小さくなってしまう。そのため、具体的には必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど、油溝の溝幅を狭く、また縦溝の数を少なくするようにしている。
【0040】
尚、油溝21は各摩擦部材20の摩擦面にプレス加工によって形成されている。
上述したようにフリクションプレート100にあっては、コアプレート10の表面に配設された各摩擦部材20の間に間隙が設けられている。そのため、クラッチ解放中には、フリクションプレート100の回転に伴う遠心力の作用により、図2に矢印で示されるようにこの間隙を通じて油液がフリクションプレート100の外周側に排出され、フリクションプレート100とセパレータプレートとの間に介在する油液の量が低減される。
【0041】
また、摩擦部材20には、上述したように摩擦部材20の摩擦面に油溝21が形成されているため、フリクションプレート100の回転に伴う遠心力の作用により油液が外周側に排出される際には、縦溝23,24,25を通じて横溝22に油液が供給されるようになる。これら横溝22と縦溝23,24,25とを含んで構成される油溝21は、摩擦部材20の摩擦面と内周側の側面以外に開口部を有していないため、内周側の側面の開口部からこの油溝21に導入された油液は、図2に矢印で示されるように摩擦面上に乗り上げて摩擦面上にこぼれ出すようになる。こうして油溝21からこぼれ出した油液と、フリクションプレート100の回転に伴って摩擦部材20の図2における左側の側面及び内周側の側面から摩擦面に乗り上げる油液とによって摩擦部材20の摩擦面には非常に薄い油膜が形成されるようになる。
【0042】
以上説明した実施形態によれば、以下の作用効果が得られるようになる。
(1)フリクションプレート100の回転に伴う遠心力の作用により油液が外周側に排出される際に縦溝23,24,25を通じて横溝22に油液が供給されるようになる。そして、これら横溝22と縦溝23,24,25とを含んで構成される油溝21は、摩擦部材20の摩擦面と内周側の側面以外に開口部を有していないため、内周側の側面の開口部からこの油溝21に導入された油液は、上述したように摩擦面側の開口部から摩擦面上に乗り上げて摩擦面上にこぼれ出すこととなる。その結果、油溝21を通じて広い範囲に油液が供給されて摩擦面に油膜が形成され、摩擦面における油膜切れの発生が抑制されるようになる。
【0043】
すなわち、上記実施形態のフリクションプレート100によれば、各摩擦部材20の間に形成される間隙から油液を排出する一方で、油溝21を通じて油液を供給し摩擦部材20の摩擦面の広範囲に亘って油膜を形成することができる。したがって、油液の排出性を向上させて引き摺りトルクの発生を抑制するとともに、摩擦部材20の摩擦面における油膜切れの発生を抑制することができる。
【0044】
(2)また、フリクションプレート100の回転に伴って摩擦面上に形成された油膜には、回転方向とは逆向きの剪断力が作用する。そのため、油膜を形成している油液は例えば、図3(a)及び図3(b)に示されるようにフリクションプレート100とセパレータプレート200とが接近しているときに、フリクションプレート100の回転に伴って引き延ばされるように摩擦面上を移動することとなる。尚、図3(a)は図2におけるB‐B線方向の摩擦部材20の断面図であり、図3(b)は比較対照としての油溝が形成されていない摩擦部材20の断面図である。
【0045】
図3(a)に示されるように本実施形態にかかるフリクションプレート100にあっては、摩擦部材20の摩擦面が縦溝23,24,25によって分断されている。そのため、図3(b)に示されるように縦溝23,24,25が形成されていない場合と比較して油液が引き延ばされるように移動する距離が短くなり、こうした油液の移動に伴う粘性抵抗が低減される。すなわち、本実施形態のように摩擦部材20に油溝21を形成することにより、油液の粘性抵抗を低減して更に引き摺りトルクを低減することができる。
【0046】
(3)油溝21にあっては、摩擦部材20の内周側の側面に連通する一対の縦溝23,24が横溝22の両端にそれぞれ接続するようになっているため、フリクションプレート100の回転に伴って横溝22には一対の縦溝23,24を通じて両端部から油液が供給される。そのため、横溝22全体に油液を行き渡らせて同横溝22から摩擦部材20の外周側の広い範囲に対して油液を供給することができ、摩擦部材20の外周側の部位における油膜切れを効果的に抑制することができる。
【0047】
(4)一対の縦溝23,24の間に第3縦溝25を設けるようにしているため、第3縦溝25を通じて更に横溝22に油液を供給することができる。また、一対の縦溝23,24の間に設けられたこの第3縦溝25を通じて摩擦面における一対の縦溝23,24の間の部位に油液を供給することができる。
【0048】
(5)必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて縦溝の数を設定し、必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど縦溝の数を少なくするようにしている。そのため、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを好適に両立させることができる。
【0049】
(6)必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて溝幅を設定し、必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど溝幅を狭くするようにしている。そのため、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを好適に両立させることができる。
【0050】
(7)横溝22を摩擦部材20の中央よりも外周側の部位に設けるようにしている。そのため、油液の到達しにくい摩擦部材20の外周側の部位に横溝22を通じて効果的に油液を供給することができ、油膜切れを好適に抑制することができる。
【0051】
(8)油溝21をプレス加工によって形成するようにしているため、たくさんの摩擦部材20に同じ形状の油溝21を容易に形成することができる。これにより、油溝21を形成することによる製造コストの増大や、製造工程の煩雑化を抑制することができる。
【0052】
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・油溝21における縦溝の数は適宜変更することができる。例えば、図4に示されるように第3縦溝25を省略して縦溝を2本にする構成や、図5に示されるように第1縦溝23と第2縦溝24とを省略して縦溝を1本にする構成、また縦溝を4本以上設ける構成を採用することもできる。
【0053】
しかし、縦溝の数を多くするほど摩擦部材20とセパレータプレート200との接触面積が減少して、伝達可能なトルクが小さくなってしまう。そのため、縦溝の数は上述したように必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定することが望ましい。
【0054】
・また、図6に示されるように油溝21に加えて、その内周側に油溝21よりも小さな油溝121を設けるようにすることもできる。こうした構成を採用すれば、図6に矢印で示されるように油溝21よりも内周側の摩擦面に油溝121を通じて油液を供給することができ、摩擦面全体により均一な油膜を形成することができるようになる。
【0055】
・また、図7に示されるように油溝21よりも内周側の摩擦面に、摩擦部材20の内周側の側面から延びて先端が行き止まりになっている補助油溝122を形成する構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合には、図7に矢印で示されるように油溝21よりも内周側の摩擦面に補助油溝122を通じて油液を供給することができ、摩擦面全体により均一な油膜を形成することができるようになる。
【0056】
・尚、油溝21に加えて、こうした新たな油溝を設けた場合には、油溝を追加するほど摩擦部材20とセパレータプレート200との接触面積が小さくなってしまう。そのため、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設ける油溝の数を設定し、必要とされる伝達トルクが大きいときほど摩擦面に設ける油溝の数を少なくなるようにすることが望ましい。このように必要とされる伝達トルク容量に応じて、油溝21よりも内周側の部位に新たに設ける油溝の数を設定することにより、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを両立させることができるようになる。
【0057】
・油溝21の形状は上記実施形態の形状に限定されるものではない。油溝21は、コアプレート10の周方向に延びる横溝と、コアプレート10の径方向に延びて横溝と接続するとともに摩擦部材20の内周側の側面に連通する縦溝を含んでいればよく、例えば図8に示されるように湾曲していてもよい。
【0058】
・また、油溝21が形成される摩擦部材20の形状は、上記実施形態で示した形状に限定されるものではない。例えば図9に示されるように平行四辺形の摩擦部材20に油溝21を形成することもできる。尚、摩擦部材20の外周側の部位にまで十分に油液を供給して油膜切れを好適に抑制する上では、図9に示されるように摩擦部材20の形状に合わせて油溝21を配設し、摩擦部材20の周縁部にも油液ができるだけ行き渡るようにすることが望ましい。
【0059】
・上記実施形態にあっては、図1に示されるように全ての摩擦部材20に油溝21を形成する構成を示したが、一部の摩擦部材20にのみ油溝21を形成する構成を採用することもできる。
【0060】
・上記実施形態では、コアプレート10の内周側にスプライン11が形成されているフリクションプレート100を例示したが、外周側にスプラインが形成されていてもよい。
・また、上記実施形態にあっては、摩擦部材20をコアプレート10の両面に設ける構成を例示したが、コアプレート10の片面にのみ摩擦部材20を設ける構成を採用することもできる。
【0061】
・また、上記実施形態では、コアプレート10の表面に12個の摩擦部材20を設ける構成を例示したが、コアプレート10の表裏各面に設ける摩擦部材20の数は適宜変更することができる。
【0062】
・上記実施形態では、本願発明にかかる湿式フリクションプレートを自動変速機の湿式多板クラッチのフリクションプレートとして具現化した例を示したが、本願発明はクラッチのフリクションプレートに限定されるものではない。そのため、油液中で使用されるものであれば、ブレーキ等に適用される湿式フリクションプレートとして本願発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0063】
10…コアプレート、11…スプライン、20…摩擦部材、21…油溝、22…横溝、23…第1縦溝、24…第2縦溝、25…第3縦溝、100…フリクションプレート、121…油溝、122…補助油溝、200…セパレータプレート。
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動変速機の湿式多板クラッチ等の係合要素として用いられる湿式フリクションプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機の湿式多板クラッチにあっては、クラッチが解放されているときにフリクションプレートと相手側の係合要素であるセパレータプレートとの間に大量の油液が滞留していると、フリクションプレートとセパレータプレートとを離間させているにも拘わらず、油液を介してトルクが伝達されてしまい、いわゆる引き摺りトルクが発生してしまう。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の湿式フリクションプレートにあっては、図10に示されるように円盤状のコアプレート1の表面に複数の摩擦部材2を所定の間隔を隔てて円形に配設するセグメント構造を採用している。こうしたセグメント構造の湿式フリクションプレートを備える湿式多板クラッチにあっては、フリクションプレートの回転に伴う遠心力の作用によって図10に破線矢印で示されるように油液が各摩擦部材2の間に形成された間隙を通じて外周側に排出されるようになり、上記のような引き摺りトルクの発生が抑制されるようになる。
【0004】
また、こうしたセグメント構造の湿式フリクションプレートにあっては、湿式フリクションプレートの回転に伴って図10に矢印で示されるように油液の一部が摩擦部材2に乗り上げるようになるため、摩擦部材2の摩擦面に薄い油膜を形成することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9‐72364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、図10において破線で囲んだ部分Xのように、フリクションプレートの回転に伴って油液が乗り上げる端部から遠い部位にあっては、油液の供給不足による油膜切れが生じやすい。油膜切れが生じていると、クラッチ解放中に湿式フリクションプレートがふらついてセパレータプレートに接近したときに摩擦部材2が相手側の係合要素に直接接触してしまい、それに伴って瞬間的にトルクが伝達されて振動や騒音が生じるおそれがある。
【0007】
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は油液の排出性を向上させて引き摺りトルクの発生を抑制するとともに、摩擦部材の摩擦面における油膜切れの発生を抑制することのできる湿式フリクションプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、円盤状のコアプレートの表面に複数の摩擦部材を互いに間隔を隔てて円形に配設したセグメント構造の湿式フリクションプレートにおいて、前記摩擦部材の摩擦面には、前記コアプレートの周方向に延びる横溝と前記コアプレートの径方向に延びて同横溝に接続されるとともに同摩擦部材の内周側の側面に連通する縦溝とを含み、同摩擦部材の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝が形成されていることをその要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、フリクションプレートの回転に伴う遠心力の作用により油液が外周側に排出される際に縦溝を通じて横溝に油液が供給されるようになる。これら横溝と縦溝とを含んで構成される油溝は、摩擦部材の摩擦面と内周側の側面以外に開口部を有していないため、内周側の側面の開口部からこの油溝に導入された油液は、摩擦面側の開口部から摩擦面上に乗り上げて摩擦面上にこぼれ出すこととなる。その結果、この油溝を通じて広い範囲に油液が供給されて摩擦面に油膜が形成されるようになり、摩擦面における油膜切れの発生が抑制されるようになる。
【0010】
すなわち、上記請求項1に記載の発明によれば、各摩擦部材の間に形成される間隙から油液を排出する一方で、油溝を通じて広い範囲に油液を供給し摩擦面の広範囲に亘って油膜を形成することができるようになる。したがって、油液の排出性を向上させて引き摺りトルクの発生を抑制するとともに、摩擦部材の摩擦面における油膜切れの発生を抑制することができるようになる。
【0011】
また、フリクションプレートの回転に伴って摩擦面上に形成された油膜には、回転方向とは逆向きの剪断力が作用する。そのため、油膜を形成している油液はフリクションプレートの回転に伴って引き延ばされるように摩擦面上を移動することとなる。これに対して上記請求項1に記載の発明にあっては、摩擦面が縦溝によって分断されているため、縦溝が形成されていない場合と比較して油液が引き延ばされるように移動する距離が短くなり、こうした油液の移動に伴う粘性抵抗が低減されるようになる。
【0012】
すなわち、上記請求項1に記載の発明によれば、摩擦部材の摩擦面上に油膜を形成して相手側の係合要素との直接接触による接触抵抗を抑制するとともに、油膜の粘性抵抗を低減し、引き摺りトルクを低減することもできるようになる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝は、前記横溝の両端にそれぞれ接続されて前記摩擦部材の内周側の側面に連通する一対の縦溝を含んでいることをその要旨とする。
【0014】
上記請求項2に記載されているように横溝の両端に摩擦部材の内周側の側面に連通する一対の縦溝をそれぞれ接続するように油溝を形成すれば、横溝には一対の縦溝を通じてその両端部から油液が供給されるようになり、横溝全体に油液を行き渡らせて同横溝から摩擦部材の外周側の広い範囲に対して油液を供給することができるようになる。これにより、上記請求項2に記載の発明によれば、摩擦部材の外周側の部位における油膜切れをより効果的に抑制することができるようになる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝は、前記一対の縦溝に加えて、同一対の縦溝の間で前記横溝に接続されて前記摩擦部材の内周側の側面に連通する縦溝を備えていることをその要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、一対の縦溝の間に形成された縦溝を通じて更に横溝に油液を供給することができるようになるとともに、一対の縦溝の間に設けられたこの縦溝を通じて摩擦面における一対の縦溝の間の部位に油液を供給することができるようになる。
【0017】
また、一対の縦溝の間の摩擦面をこの縦溝によって分断することにより、フリクションプレートの回転に伴って前記一対の縦溝の間の摩擦面上を油液が移動するときの粘性抵抗を更に低減することができるようになる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記縦溝の数は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど少なくされることをその要旨とする。
【0019】
縦溝の数を増大させるほど、摩擦面上の広い範囲に均一に油液を供給することができるようになるものの、摩擦面における相手側の係合要素との接触面積が小さくなってしまい、相手側の係合要素と当接されたときに伝達可能なトルクが低減してしまう。
【0020】
そのため、上記請求項4に記載の発明のように、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて縦溝の数を設定し、必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど縦溝の数を少なくすることが望ましい。このように必要とされる伝達トルク容量に応じて縦溝の数を設定することにより、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを両立させることができるようになる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記摩擦部材は、摩擦面における前記油溝よりも内周側の部位に前記摩擦部材の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝が更に形成されてなることをその要旨とする。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝の内周側に形成される油溝の数は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど少なくされることをその要旨とする。
【0023】
上記請求項5に記載の構成のように、縦溝と横溝とを含んで構成された油溝よりも内周側の部位に更に内周側の側面にのみ連通する油溝を形成する構成を採用することもできる。こうした構成によれば、新たに設ける油溝を通じて縦溝と横溝とを含んで構成された油溝よりも内周側の部位に油液を直接供給することができるようになり、油膜切れを更に好適に抑制することができるようになる。
【0024】
また、こうした新たな油溝を設ける場合にも、油溝を追加するほど摩擦部材の接触面積が小さくなってしまうため、上記請求項6に記載されているように必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設ける油溝の数を設定し、必要とされる伝達トルクが大きいときほど摩擦面に設ける油溝の数を少なくすることが望ましい。このように必要とされる伝達トルク容量に応じて、横溝と縦溝とを含んで構成される油溝よりも内周側の部位に新たに設ける油溝の数を設定することにより、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを両立させることができるようになる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝の溝幅は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど狭くされることをその要旨とする。
【0026】
油溝の溝幅を増大させるほど、摩擦面上により多くの油液を供給することができるようになるものの、摩擦面における相手側の係合要素との接触面積が小さくなってしまい、相手側の係合要素と当接されたときに伝達可能なトルクが低減してしまう。
【0027】
そのため、上記請求項7に記載の発明のように、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて溝幅を設定し、必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど溝幅を狭くすることが望ましい。このように必要とされる伝達トルク容量に応じて油溝の溝幅を設定することにより、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを両立させることができるようになる。
【0028】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝における前記横溝は、前記摩擦部材の中央よりも外周側の部位に設けられていることをその要旨とする。
【0029】
摩擦部材の摩擦面における外周側の部位は、内周側から供給される油液が到達しにくく、油膜切れが特に発生しやすい。これに対して、横溝を形成する位置を外周側の側面に近づけるほど、横溝を通じて外周側の部位に効果的に油液を供給することができるようになり、好適に油膜切れを抑制することができるようになる。そのため、横溝は摩擦部材の外周側の側面に近い位置に設けることが望ましく、上記請求項9に記載の発明によるように少なくとも摩擦部材の中央よりも外周側の部位に設けるようにするとよい。
【0030】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、前記油溝は、プレス加工によって形成されることをその要旨とする。
上記請求項9に記載されているように、油溝はプレス加工によって形成することが望ましい。プレス加工によって油溝を形成すれば、たくさんの摩擦部材に同じ形状の油溝を容易に形成することができるようになり、油溝を形成することによる製造コストの増大や、製造工程の煩雑化を抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施形態にかかるフリクションプレートの正面図。
【図2】同実施形態にかかるフリクションプレートの図1における部分Aを拡大して示す拡大図。
【図3】(a)は図2におけるB‐B線方向の断面図。(b)は比較対照としての摩擦部材の断面図。
【図4】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図5】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図6】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図7】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図8】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図9】変更例としての摩擦部材の正面図。
【図10】従来のセグメント構造のフリクションプレートにおける摩擦部材近傍を拡大して示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、この発明にかかる湿式フリクションプレートを、自動変速機の湿式多板クラッチに適用されるフリクションプレートとして具現化した一実施形態について、図1〜3を参照して説明する。
【0033】
図1は本実施形態にかかるフリクションプレート100の正面図である。図1に示されるように本実施形態のフリクションプレート100にあっては、金属によって形成された円盤状のコアプレート10の表面に12個の摩擦部材20が互いに一定の間隔を隔てて円形に配設されている。尚、フリクションプレート100にあっては、コアプレート10の裏面にも同様に12個の摩擦部材20が固定されている。
【0034】
図1に示されるようにコアプレート10の内周には、スプライン11が形成されている。本実施形態のフリクションプレート100は、このスプライン11が自動変速機のハブの外周面に形成されたスプラインに噛合されることにより、このハブに対して回動不能であり、且つ軸方向に変位可能に取り付けられることとなる。
【0035】
尚、自動変速機の湿式多板クラッチにあっては、ハブに取り付けられたフリクションプレート100と、同様にスプラインを介してドラムの内周面に取り付けられたセパレータプレートとを交互に複数枚並べてクラッチを構成する。そして、油圧式のピストンの付勢力によってこれらフリクションプレート100とセパレータプレートとを当接させることにより、クラッチを係合状態とし、摩擦部材20とセパレータプレートとの間に生じる摩擦力を利用してハブとドラムとの間で駆動力を伝達させる。一方で、駆動力の伝達を切断する際には、ピストンに作用させる油圧を低減させ、フリクションプレート100とセパレータプレートとを離間させてその係合を解除し、クラッチを解放状態にする。
【0036】
図1に示されるようにコアプレート10の表面に配設された各摩擦部材20の摩擦面には、油溝21が形成されている。以下、図1における破線で囲んだ部分Aを拡大して示す図2を参照して、この油溝21について詳しく説明する。
【0037】
図2に示されるように油溝21は、摩擦部材20の外周側の側面と平行にコアプレート10の周方向に延びる横溝22を含んでいる。この横溝22は、摩擦部材20の中央よりも外周側の部位に形成されており、この横溝22の図2における左側の端部にはコアプレート10の径方向に延びて摩擦部材20の内周側の側面に連通する第1縦溝23が接続されている。また、横溝22の図2における右側の端部には第1縦溝23と同様にコアプレート10の径方向に延びて摩擦部材20の内周側の側面に連通する第2縦溝24が接続されている。そして更に、第1縦溝23と第2縦溝24との間には、図2の中央に示されるように横溝22に接続するとともにコアプレート10の径方向に延びて摩擦部材20の内周側の側面に連通する第3縦溝25が設けられている。
【0038】
このように本実施形態のフリクションプレート100における各摩擦部材20には、横溝22と、3本の縦溝23,24,25とからなる油溝21が設けられている。尚、油溝21における溝幅及び横溝22に接続する縦溝の数は、本実施形態のフリクションプレート100を備える湿式多板クラッチにおいて必要とされる伝達トルク容量に基づき、必要とされる伝達トルク容量を実現しつつ、摩擦部材20の摩擦面に好適に油膜を形成することができるように予め行う実験等の結果に基づいて設定されている。
【0039】
油溝の溝幅を広くするほど、また縦溝の数を多くするほど、たくさんの油液を摩擦部材20の表面に供給することができるものの、摩擦部材20と相手側の係合要素であるセパレータプレートとの接触面積が小さくなり、伝達可能なトルクが小さくなってしまう。そのため、具体的には必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど、油溝の溝幅を狭く、また縦溝の数を少なくするようにしている。
【0040】
尚、油溝21は各摩擦部材20の摩擦面にプレス加工によって形成されている。
上述したようにフリクションプレート100にあっては、コアプレート10の表面に配設された各摩擦部材20の間に間隙が設けられている。そのため、クラッチ解放中には、フリクションプレート100の回転に伴う遠心力の作用により、図2に矢印で示されるようにこの間隙を通じて油液がフリクションプレート100の外周側に排出され、フリクションプレート100とセパレータプレートとの間に介在する油液の量が低減される。
【0041】
また、摩擦部材20には、上述したように摩擦部材20の摩擦面に油溝21が形成されているため、フリクションプレート100の回転に伴う遠心力の作用により油液が外周側に排出される際には、縦溝23,24,25を通じて横溝22に油液が供給されるようになる。これら横溝22と縦溝23,24,25とを含んで構成される油溝21は、摩擦部材20の摩擦面と内周側の側面以外に開口部を有していないため、内周側の側面の開口部からこの油溝21に導入された油液は、図2に矢印で示されるように摩擦面上に乗り上げて摩擦面上にこぼれ出すようになる。こうして油溝21からこぼれ出した油液と、フリクションプレート100の回転に伴って摩擦部材20の図2における左側の側面及び内周側の側面から摩擦面に乗り上げる油液とによって摩擦部材20の摩擦面には非常に薄い油膜が形成されるようになる。
【0042】
以上説明した実施形態によれば、以下の作用効果が得られるようになる。
(1)フリクションプレート100の回転に伴う遠心力の作用により油液が外周側に排出される際に縦溝23,24,25を通じて横溝22に油液が供給されるようになる。そして、これら横溝22と縦溝23,24,25とを含んで構成される油溝21は、摩擦部材20の摩擦面と内周側の側面以外に開口部を有していないため、内周側の側面の開口部からこの油溝21に導入された油液は、上述したように摩擦面側の開口部から摩擦面上に乗り上げて摩擦面上にこぼれ出すこととなる。その結果、油溝21を通じて広い範囲に油液が供給されて摩擦面に油膜が形成され、摩擦面における油膜切れの発生が抑制されるようになる。
【0043】
すなわち、上記実施形態のフリクションプレート100によれば、各摩擦部材20の間に形成される間隙から油液を排出する一方で、油溝21を通じて油液を供給し摩擦部材20の摩擦面の広範囲に亘って油膜を形成することができる。したがって、油液の排出性を向上させて引き摺りトルクの発生を抑制するとともに、摩擦部材20の摩擦面における油膜切れの発生を抑制することができる。
【0044】
(2)また、フリクションプレート100の回転に伴って摩擦面上に形成された油膜には、回転方向とは逆向きの剪断力が作用する。そのため、油膜を形成している油液は例えば、図3(a)及び図3(b)に示されるようにフリクションプレート100とセパレータプレート200とが接近しているときに、フリクションプレート100の回転に伴って引き延ばされるように摩擦面上を移動することとなる。尚、図3(a)は図2におけるB‐B線方向の摩擦部材20の断面図であり、図3(b)は比較対照としての油溝が形成されていない摩擦部材20の断面図である。
【0045】
図3(a)に示されるように本実施形態にかかるフリクションプレート100にあっては、摩擦部材20の摩擦面が縦溝23,24,25によって分断されている。そのため、図3(b)に示されるように縦溝23,24,25が形成されていない場合と比較して油液が引き延ばされるように移動する距離が短くなり、こうした油液の移動に伴う粘性抵抗が低減される。すなわち、本実施形態のように摩擦部材20に油溝21を形成することにより、油液の粘性抵抗を低減して更に引き摺りトルクを低減することができる。
【0046】
(3)油溝21にあっては、摩擦部材20の内周側の側面に連通する一対の縦溝23,24が横溝22の両端にそれぞれ接続するようになっているため、フリクションプレート100の回転に伴って横溝22には一対の縦溝23,24を通じて両端部から油液が供給される。そのため、横溝22全体に油液を行き渡らせて同横溝22から摩擦部材20の外周側の広い範囲に対して油液を供給することができ、摩擦部材20の外周側の部位における油膜切れを効果的に抑制することができる。
【0047】
(4)一対の縦溝23,24の間に第3縦溝25を設けるようにしているため、第3縦溝25を通じて更に横溝22に油液を供給することができる。また、一対の縦溝23,24の間に設けられたこの第3縦溝25を通じて摩擦面における一対の縦溝23,24の間の部位に油液を供給することができる。
【0048】
(5)必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて縦溝の数を設定し、必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど縦溝の数を少なくするようにしている。そのため、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを好適に両立させることができる。
【0049】
(6)必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて溝幅を設定し、必要とされる伝達トルク容量が大きいときほど溝幅を狭くするようにしている。そのため、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを好適に両立させることができる。
【0050】
(7)横溝22を摩擦部材20の中央よりも外周側の部位に設けるようにしている。そのため、油液の到達しにくい摩擦部材20の外周側の部位に横溝22を通じて効果的に油液を供給することができ、油膜切れを好適に抑制することができる。
【0051】
(8)油溝21をプレス加工によって形成するようにしているため、たくさんの摩擦部材20に同じ形状の油溝21を容易に形成することができる。これにより、油溝21を形成することによる製造コストの増大や、製造工程の煩雑化を抑制することができる。
【0052】
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・油溝21における縦溝の数は適宜変更することができる。例えば、図4に示されるように第3縦溝25を省略して縦溝を2本にする構成や、図5に示されるように第1縦溝23と第2縦溝24とを省略して縦溝を1本にする構成、また縦溝を4本以上設ける構成を採用することもできる。
【0053】
しかし、縦溝の数を多くするほど摩擦部材20とセパレータプレート200との接触面積が減少して、伝達可能なトルクが小さくなってしまう。そのため、縦溝の数は上述したように必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定することが望ましい。
【0054】
・また、図6に示されるように油溝21に加えて、その内周側に油溝21よりも小さな油溝121を設けるようにすることもできる。こうした構成を採用すれば、図6に矢印で示されるように油溝21よりも内周側の摩擦面に油溝121を通じて油液を供給することができ、摩擦面全体により均一な油膜を形成することができるようになる。
【0055】
・また、図7に示されるように油溝21よりも内周側の摩擦面に、摩擦部材20の内周側の側面から延びて先端が行き止まりになっている補助油溝122を形成する構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合には、図7に矢印で示されるように油溝21よりも内周側の摩擦面に補助油溝122を通じて油液を供給することができ、摩擦面全体により均一な油膜を形成することができるようになる。
【0056】
・尚、油溝21に加えて、こうした新たな油溝を設けた場合には、油溝を追加するほど摩擦部材20とセパレータプレート200との接触面積が小さくなってしまう。そのため、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設ける油溝の数を設定し、必要とされる伝達トルクが大きいときほど摩擦面に設ける油溝の数を少なくなるようにすることが望ましい。このように必要とされる伝達トルク容量に応じて、油溝21よりも内周側の部位に新たに設ける油溝の数を設定することにより、伝達トルク容量の確保と油膜切れの抑制とを両立させることができるようになる。
【0057】
・油溝21の形状は上記実施形態の形状に限定されるものではない。油溝21は、コアプレート10の周方向に延びる横溝と、コアプレート10の径方向に延びて横溝と接続するとともに摩擦部材20の内周側の側面に連通する縦溝を含んでいればよく、例えば図8に示されるように湾曲していてもよい。
【0058】
・また、油溝21が形成される摩擦部材20の形状は、上記実施形態で示した形状に限定されるものではない。例えば図9に示されるように平行四辺形の摩擦部材20に油溝21を形成することもできる。尚、摩擦部材20の外周側の部位にまで十分に油液を供給して油膜切れを好適に抑制する上では、図9に示されるように摩擦部材20の形状に合わせて油溝21を配設し、摩擦部材20の周縁部にも油液ができるだけ行き渡るようにすることが望ましい。
【0059】
・上記実施形態にあっては、図1に示されるように全ての摩擦部材20に油溝21を形成する構成を示したが、一部の摩擦部材20にのみ油溝21を形成する構成を採用することもできる。
【0060】
・上記実施形態では、コアプレート10の内周側にスプライン11が形成されているフリクションプレート100を例示したが、外周側にスプラインが形成されていてもよい。
・また、上記実施形態にあっては、摩擦部材20をコアプレート10の両面に設ける構成を例示したが、コアプレート10の片面にのみ摩擦部材20を設ける構成を採用することもできる。
【0061】
・また、上記実施形態では、コアプレート10の表面に12個の摩擦部材20を設ける構成を例示したが、コアプレート10の表裏各面に設ける摩擦部材20の数は適宜変更することができる。
【0062】
・上記実施形態では、本願発明にかかる湿式フリクションプレートを自動変速機の湿式多板クラッチのフリクションプレートとして具現化した例を示したが、本願発明はクラッチのフリクションプレートに限定されるものではない。そのため、油液中で使用されるものであれば、ブレーキ等に適用される湿式フリクションプレートとして本願発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0063】
10…コアプレート、11…スプライン、20…摩擦部材、21…油溝、22…横溝、23…第1縦溝、24…第2縦溝、25…第3縦溝、100…フリクションプレート、121…油溝、122…補助油溝、200…セパレータプレート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状のコアプレートの表面に複数の摩擦部材を互いに間隔を隔てて円形に配設したセグメント構造の湿式フリクションプレートにおいて、
前記摩擦部材の摩擦面には、前記コアプレートの周方向に延びる横溝と同コアプレートの径方向に延びて前記横溝に接続されるとともに同摩擦部材の内周側の側面に連通する縦溝とを含み、同摩擦部材の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝が形成されている
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項2】
請求項1に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝は、前記横溝の両端にそれぞれ接続されて前記摩擦部材の内周側の側面に連通する一対の縦溝を含んでいる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項3】
請求項2に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝は、前記一対の縦溝に加えて、同一対の縦溝の間で前記横溝に接続されて前記摩擦部材の内周側の側面に連通する縦溝を備えている
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記縦溝の数は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど少なくされる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記摩擦部材は、摩擦面における前記油溝よりも内周側の部位に前記摩擦部材の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝が更に形成されてなる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項6】
請求項5に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝の内周側に形成される油溝の数は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど少なくされる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝の溝幅は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど狭くされる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝における前記横溝は、前記摩擦部材の中央よりも外周側の部位に設けられている
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝は、プレス加工によって形成される
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項1】
円盤状のコアプレートの表面に複数の摩擦部材を互いに間隔を隔てて円形に配設したセグメント構造の湿式フリクションプレートにおいて、
前記摩擦部材の摩擦面には、前記コアプレートの周方向に延びる横溝と同コアプレートの径方向に延びて前記横溝に接続されるとともに同摩擦部材の内周側の側面に連通する縦溝とを含み、同摩擦部材の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝が形成されている
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項2】
請求項1に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝は、前記横溝の両端にそれぞれ接続されて前記摩擦部材の内周側の側面に連通する一対の縦溝を含んでいる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項3】
請求項2に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝は、前記一対の縦溝に加えて、同一対の縦溝の間で前記横溝に接続されて前記摩擦部材の内周側の側面に連通する縦溝を備えている
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記縦溝の数は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど少なくされる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記摩擦部材は、摩擦面における前記油溝よりも内周側の部位に前記摩擦部材の各側面のうち内周側の側面にのみ連通する油溝が更に形成されてなる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項6】
請求項5に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝の内周側に形成される油溝の数は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど少なくされる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝の溝幅は、必要とされる伝達トルク容量の大きさに応じて設定され、同伝達トルク容量が大きいときほど狭くされる
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝における前記横溝は、前記摩擦部材の中央よりも外周側の部位に設けられている
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿式フリクションプレートにおいて、
前記油溝は、プレス加工によって形成される
ことを特徴とする湿式フリクションプレート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−185512(P2010−185512A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29715(P2009−29715)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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