説明

溶接分析装置及び方法

【課題】溶接プロセス後に利用することができ且つコスト及び/又は複雑さが低減された、溶接部が所望の機械的特性を有するか否かを評価するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】風力タービンシステムの形成溶接114を分析する装置202は、ゲージ206と、第1の部材204と、第2の部材208と、第3の部材214とを含む。ゲージ206は距離を測定する。第2の部材208は、第1の部材204に取り付けられ、形成溶接114の第1の側部212上の第1の表面210に解除可能に取り付けられる。第3の部材214は、第1の部材204に取り付けられ、形成溶接114の第2の側部218上の第2の表面216に解除可能に取り付けられる。装置202は、複数の位置にてゲージ206を位置決めし、複数の寸法を測定することにより溶接部114の品質を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体的に、溶接を分析するための装置及び方法に関する。詳細には、本開示は、溶接部形成後の風力タービンタワー上のオフセット又は他の望ましくない溶接部を分析するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、風力タービンは、ハブを介して発電機ロータに結合された複数のブレードを含むことができる。発電機ロータは、タービンタワー又は基部の頂部に位置付けることができるハウジング又はナセルに装着することができる。ハブ及びブレードは、風力タービンロータを形成することができる。電力事業グレードの風力タービン(例えば、電力供給網に電力を供給するよう設計された風力タービン)は、大型の風力タービンロータ(例えば、30メートル又はそれ以上の直径)を有することができる。これらの風力タービンロータ上に回転可能に結合されたブレードは、風力エネルギーを1つ又はそれ以上の発電機のロータを駆動する回転トルク又は力に変換することができる。
【0003】
タワーもしくは基部、或いは風力タービンの他の部分は、溶接により互いに固定されるセクションを含むことができる。これらの溶接は、2つの表面を共に固定することができる。例えば、円筒形セクションは、別の円筒形セクションのすぐ下に固定され、これによりタワーの一部を形成することができる。下側セクション及び上側セクションは、互いに溶接することができる。
【0004】
溶接部分は、多くの物理的力に曝される可能性がある。例えば、溶接されたタワー構成部品は、風力タービンが揺動すると圧縮力及び引張力を周期的に生じる場合がある。加えて、物理的な力は、限定ではないが、環境的影響、作動上の影響、及び/又は変化する条件に対する曝露を含む、他の要因により発生する場合がある。溶接構成部品の溶接が正常に行われなかった場合、当該部品は故障の影響をより受けやすい可能性がある。例えば、風により与えられる力、及び/又は風力タービン上のブレードの回転により与えられる力は、風力タービンにおいてタワーにかかる疲労負荷を生成する可能性がある。この疲労は、溶接故障及び風力タワーの故障を引き起こす場合がある。
【0005】
一般に、部品が溶接されると、溶接プロセスの間に所望の機械的特性を溶接部が有するか否かを分析する方法が実施され、すなわち、これには複雑で高価な分析機器を必要とする。
【0006】
必要とされていることは、溶接プロセス後に利用することができ且つコスト及び/又は複雑さが低減された、溶接部が所望の機械的特性を有するか否かを評価するための装置及び方法である。
【発明の概要】
【0007】
例示的な実施形態において、風力タービンシステムの形成溶接を分析する装置は、距離を測定するゲージと、ゲージを受けるよう構成された第1の部材と、第1の部材に取り付けられ、形成溶接の第1の側部上の第1の表面に解除可能に取り付けるよう構成された第2の部材と、第1の部材に取り付けられ、形成溶接の第2の側部上の第2の表面に解除可能に取り付けるよう構成された第3の部材とを含む。実施形態において、ゲージは、第1の部材上の複数の位置に位置決め可能であり、該複数の位置は、第2の部材に近接し且つ第3の部材から遠位にある第1の位置と、第3の部材に近接し且つ第2の部材から遠位にある第2の位置とを含む。加えて、装置は、複数の位置にてゲージを位置決めし、第1の部材から第1の表面及び第2の表面の各々までの複数の寸法を測定することにより、溶接部の品質を判定するよう構成されている。
【0008】
第2の部材及び第3の部材は実質的に同じとすることができる。第2の部材及び第3の部材の各々は、少なくとも1つの磁石を含み、該磁石が第1の表面及び第2の表面の一方又は両方に取り付け可能である。1つの実施形態は、第2の部材及び第3の部材の一方だけが、第1の表面に解除可能に取り付けられる装置を含むことができる。第2の部材が第1の表面に解除可能に取り付けるよう構成されている装置は、第1の複数の位置において第1の表面に当接するよう構成されている第2の部材を含むことができる。第3の部材が第1の表面に解除可能に取り付けるよう構成された装置は、第2の複数の位置において第1の表面に当接するよう構成された第3の部材を含むことができる。
【0009】
本装置は、ゲージを第1の位置及び第2の位置にて位置決めし起動するよう構成することができ、該ゲージは、第1の位置において第1の部材から第1の表面までの第1の距離と、第2の位置において第1の部材から第2の表面までの第2の距離とを比較するよう構成されている。本装置は、第3の位置にてゲージを位置決めし起動するよう構成することによって、形成溶接を分析するよう構成することができる。本装置は、第4の位置にてゲージを位置決めし起動するよう構成することによって、形成溶接を分析するよう更に構成することができる。
【0010】
第1の基材は第1の表面を含むことができ、第2の基材は第2の表面を含むことができる。第1の基材は、第1の表面及び第2の表面を含むことができる。第1の基材及び形成溶接は、全体的に円筒体を形成することができる。円筒体は、風力タービンシステム用のタワーの一部を形成することができる。
【0011】
別の例示的な実施形態において、風力タービンシステムの形成溶接を分析する装置は、距離を測定するゲージと、ゲージを受けるよう構成された第1の部材と、第1の部材に取り付けられ、形成溶接の第1の側部上の第1の表面に解除可能に取り付けるよう構成された第2の部材と、第1の部材に取り付けられ、形成溶接の第2の側部上の第2の表面に解除可能に取り付けるよう構成された第3の部材とを含む。実施形態において、ゲージは、第1の部材上の複数の位置に位置決め可能であり、該複数の位置は、第2の部材に近接し且つ第3の部材から遠位にある第1の位置と、第3の部材に近接し且つ第2の部材から遠位にある第2の位置とを含み、本装置は、複数の位置にてゲージを位置決めし、第1の部材から第1の表面及び第2の表面の各々までの複数の寸法を測定することにより、溶接部の品質を判定するよう構成され、第1の表面に解除可能に取り付けるよう構成されている第2の部材が、第1の複数の位置において第1の表面に当接するよう構成されている第2の部材を含み、第1の表面に解除可能に取り付けるよう構成された第3の部材が、第2の複数の位置において第1の表面に当接するよう構成された第3の部材を含み、本装置は、ゲージを第1の位置及び第2の位置にて位置決めし起動するよう構成され、該ゲージは、第1の位置において第1の部材から第1の表面までの第1の距離と、第2の位置において第1の部材から第2の表面までの第2の距離とを比較するよう構成されており、本装置は、第3の位置にてゲージを位置決めし起動するよう構成することによって、形成溶接を分析するよう構成され、更に本装置は、第4の位置にてゲージを位置決めし起動するよう構成することによって、形成溶接を分析するよう構成される。
【0012】
別の例示的な実施形態において、風力タービンシステムの形成溶接を分析する方法は、距離を測定するゲージと、ゲージを受けるよう構成された第1の部材と、第1の部材に取り付けられ、形成溶接の第1の側部上の第1の表面に解除可能に取り付けるよう構成された第2の部材と、第1の部材に取り付けられ、形成溶接の第2の側部上の第2の表面に解除可能に取り付けるよう構成された第3の部材とを含む装置を準備する段階を含む。本方法は、ゲージが、第1の部材上の複数の位置に位置決め可能であることを含むことができ、該複数の位置は、第2の部材に近接し且つ第3の部材から遠位にある第1の位置と、第3の部材に近接し且つ第2の部材から遠位にある第2の位置とを含む。本方法はまた、装置が、複数の位置にてゲージを位置決めし、第1の部材から第1の表面及び第2の表面の各々までの複数の寸法を測定することにより、溶接部の品質を判定するよう構成されていることを含むことができる。本方法はまた、ゲージを第1の位置に位置決めして起動し、
第1の位置にて第1の部材から第1の表面までの第1の距離を求める段階と、ゲージを第2の位置に位置決めして起動し、第2の位置にて第1の部材から第2の表面までの第2の距離を求める段階と、第1の距離と第2の距離とを比較する段階と、を含む。
【0013】
本方法は更に、第1の表面又は第2の表面上にある第3の位置にてゲージを位置決めして起動し、形成溶接を分析する段階を含むことができる。本方法は更に、第1の表面又は第2の表面上にあり且つ第3の位置とは異なる表面上にある第4の位置にてゲージを位置決めして起動し、形成溶接を分析する段階を含むことができる。本方法は更に、少なくとも第1の距離、第2の距離、及び第3の距離を記録する段階を含むことができる。本方法は更に、少なくとも第1の距離、第2の距離、及び第3の距離間の相対位置を記録する段階を含むことができる。溶接がオフセットしているか否かを判定することは、同一平面上の外形を確認することを含むことができる。
【0014】
本開示の1つの利点は、溶接が望ましくないものであるか否かを判定できることを含む。
【0015】
本開示の別の利点は、溶接が所望の機械的特性を有することを確認できることを含む。
【0016】
本開示の別の利点は、使用中の組み立てられた風力タービンに対する溶接の現場での分析を含む。
【0017】
本開示の別の利点は、各表面に1つだけの部材が接触することに起因する安定性が加わることによって測定の完全性が向上することである。
【0018】
本開示の別の利点は、平面的及び非平面的外形の溶接部を測定できることである。
【0019】
本開示の別の利点は、安価で信頼性のある簡単なプロセスで形成溶接を分析できることである。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は、例証として本発明の原理を示す添付図面を参照しながら、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】風力タービンの側面図。
【図2】第1の位置における溶接分析装置の例示的な実施形態の側面図。
【図3】第2の位置における溶接分析装置の例示的な実施形態の側面図。
【図4】第1の位置において円筒形表面上に装着された溶接分析装置の例示的な実施形態の側面図。
【図5】第2の位置において円筒形表面上に装着された溶接分析装置の例示的な実施形態の側面図。
【図6】平面的な表面を形成することを意図した、溶接分析装置の例示的な実施形態の拡大概略図。
【図7】円筒形表面を形成することを意図した、溶接分析装置の例示的な実施形態の拡大概略図。
【図8】溶接分析方法の例示的な実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
可能である場合、図面全体にわたって同じ又は同様の要素を示すために同じ参照具号が使用される。
【0023】
図1に示すように、風力タービンシステム100は一般に、発電機(図示せず)を収容するナセル102を含む。ナセル102は、タワー104の上に装着されたハウジングとすることができる。風力タービンシステム100は、望ましい風況を有する区域にアクセスできる種々のタイプの地形に設置することができる。地形は大きく変わる可能性が有り、限定ではないが、山岳地形又は洋上位置を含むことができる。風力タービンシステム100はまた、回転ハブ110に取り付けられた1つ又はそれ以上のロータブレード108を含むことができる。システム100は、ロータブレード108の回転を電力に変換する発電機を含むことができる。
【0024】
タワー104は、溶接114により第2の部分112に固定される第1の部分109を含むことができる。本明細書で記載される溶接は形成溶接である。本明細書で使用される用語「形成溶接」は、加熱、超音波溶接、及び他の何れかの好適な溶接プロセスを通じて形成される溶接を含む。例えば、加熱により生成された形成溶接は、冷却溶接とすることができる。図示のように、第1の部分109は、第2の部分112を支持するよう構成される。第1の部分109及び第2の部分112は、弓形、円筒形、又はその一部とすることができる。1つの実施形態において、第1の部分109、第2の部分112、及び他の部分は、円錐、又は円錐台の外形を有するタワー104を形成する。他の実施形態では、タワー104は、他の好適な外形を有してもよく、これにより様々な外形を有する表面を溶接114に隣接してもたらすことができる。タワー104の外形は、溶接部114を含むことができる複数の輪郭を形成する。例えば、第1の部分109が第2の部分112に溶接される1つの実施形態では、溶接部114は、湾曲した輪郭(図2及び3を参照)を有することができる。この実施形態では、隣接表面は別個の基材とすることができる。例えば、別個の基材は、異なる材料及び/又は異なる要素とすることができる。本明細書で使用される用語「隣接した」とは、近接又は近隣の構造物を指している。例えば、隣接した表面は、ある表面に溶接されることが意図されたあらゆる表面を含む。第1の部分109が円筒形であり且つ溶接されて円筒形の外形を形成する1つの実施形態では、溶接部114は、実質的に平面的な輪郭を有することができ、隣接した表面は、湾曲して円筒体又は円筒体の一部を形成する(図4及び5を参照)。この実施形態では、隣接した表面は同じ基材とすることができる(例えば、円筒体に形成されてそれ自体に溶接されるよう構成された金属基材)。他の実施形態では、溶接部114は、隣接した表面の他の形状/外形により形成される他の輪郭を有することができる。
【0025】
図2を参照すると、溶接部114を分析する装置202が図示されている。溶接部114を分析する装置202において、好ましくは溶接部114が形成される。装置202は、ゲージ206を受けるように構成された第1の部材204を含む。ゲージ206は、距離を測定するための機械装置又は電気装置とすることができる。例えば、ゲージ206は、機械的又は電気的な深度測定装置又はピットゲージとすることができる。第1の部材204は、ゲージ206を調整可能及び/又は解除可能に固定する、スロット、チャンネル、表面又は他の構造のような保持機構205を含む。第2の部材208は、第1の部材204に取り付け又は他の方法で固定することができる。第2の部材208は、溶接部114の第1の側部212上の第1の表面210に解除可能に固定することができる。1つの実施形態では、第2の部材208は、磁石により解除可能に固定することができる。第3の部材214は、溶接部114の第2の側部218上の第2の表面216に解除可能に固定することができる。加えて又は代替的に、第3の部材214は、磁石により解除可能に固定することができる。第2の部材208及び/又は第3の部材214は、磁石により金属表面に固定及び/又は取り付けることができる。金属表面は、限定ではないが、タワー104を含む構造体の一部又は全てを形成することができる。1つの実施形態では、第2の部材208及び第3の部材214は実質的に同じである。別の実施形態では、第2の部材208及び/又は第3の部材214は、第1の部材204と一体化されてもよい。装置202を3つの部材204、208、214に限定することにより、付加的な輪郭を備えた表面の測定を可能にすることができる。3つよりも多い部材を含めると、一貫性のない測定が生じる可能性がある。例えば、部材が3つよりも多いと装置を不安定にする場合があり、及び/又は特定の部材が基材に不適切に取り付け及び/又は固定される可能性が高くなる。
【0026】
図2及び3を参照すると、装置202は、ゲージ206を第1の部材204に沿って複数の位置に位置付けることにより溶接部114を分析するよう構成される。1つの実施形態では、複数の位置は、第1の位置220及び第2の位置222を含む。第1の位置220は、第2の部材208に近接し、第3の部材214から遠位にあることができる。第2の位置222は、第3の部材214に近接し、第2の部材208から遠位にあることができる。1つの実施形態では、第2の部材208は、複数の第1の表面位置において第1の表面210に解除可能に固定され及び/又は当接するよう構成することができる。加えて又は代替的に、第3の部材214は、複数の第2の表面位置において第2の表面216に解除可能に固定され及び/又は当接するよう構成することができる。従って、第2の部材208及び/又は第3の部材214は、表面に沿って選択的に位置付けることができる。
【0027】
第1の部材204に沿った位置にてゲージ206を起動させることによって、第1の部材204と表面との間の距離を測定することができる。1つの実施形態では、ゲージ206の起動は、ゲージ206を位置決めすることにより行うことができる。別の実施形態では、ゲージ206の起動は、ゲージ206上のボタンを押下することにより行うことができる。第1の距離224は、第1の位置220において第1の部材204と第1の表面210との間で測定することができる。第2の距離302は、第2の位置222において第1の部材204と第2の表面216との間で測定することができる。上述のように、第1の表面210及び/又は第2の表面216は、別個の基材でも、又は同じ基材であってもよい。1つの実施形態では、第3の距離304は、第3の位置306においてゲージ206を起動させることにより測定することができる。第3の位置306は、第1の表面210又は第2の表面216上にあることができるが、第1の位置220、第2の位置222、又は溶接部114にはない。別の実施形態では、第4の距離308は、第4の位置310にてゲージ206を起動することによって測定することができる。第4の位置310は、第1の表面210又は第2の表面216上にあることができるが、第1の位置220、第2の位置222、第3の位置306、又は溶接部114にはない。理解されるように、より多くの位置での測定は、溶接部114の更なる分析を可能にすることができるが、無用なコスト及び時間を排除するために測定値の数を制限することが望ましい。
【0028】
第1の表面210及び第2の表面216が実質的に同一平面上にあり、溶接部114が表面を接合することによりほぼ平面的な大きな表面を形成することが意図された場合には、第1の距離224の測定値は、第2の距離302と比較して、溶接部114がオフセットされているか、又は望ましくないかどうかを示すことができる。本明細書で使用される用語「オフセット」又は位置ずれしたとは、同一平面上にあることが意図された2つの表面の隣接縁部間の関係が同一平面上にないこと、或いは、所定の外形(例えば、円筒体)を形成することが意図された2つの表面の隣接縁部間の関係が所定の外形を形成しないことを意味する。溶接部114がオフセットしている場合、第1の距離224及び第2の距離302は異なることができる。溶接部114がオフセットしていることを確認するために、第1の距離224、第2の距離302、及び第3の距離304を比較することができる。第1の距離224、第2の距離302、及び第3の距離304が全て同じであり、第1の表面210及び第2の表面216が実質的に同一平面上にある場合、溶接部114はオフセットしていない。
【0029】
図4及び5を参照すると、装置202は、隣接した表面が同一平面上にないときに溶接部114を分析するのに用いることができる。1つの実施形態では、第1の表面210及び第2の表面216は、円筒体又は他の湾曲構造体の一部とすることができる。第1の表面210及び第2の表面216が円筒体の一部であり、溶接部114が表面を接合してこれにより円筒体の大きな部分(又は完全な円筒体)を形成することが意図されている場合、第3の距離304(第3の距離304は第1の表面210上にある)に対する第1の距離224の測定値は、第4の距離308(第4の距離308は第2の表面216上にある)に対する第2の距離302に比較して、溶接部114がオフセットしているか否かを判定することができる。溶接部114がオフセットしているか否かを判定するために、第1の位置220と第3の位置306との間の第1の距離402を求める必要があり、第2の位置222と第4の位置310との間の第2の距離502を求める必要がある。この情報は、比較され、記録され、溶接部114がオフセットしているか否かを示す多数の数学的計算に入力することができる。
【0030】
第1の表面210及び第2の表面216が円筒形又は平面的ではない外形を形成する実施形態では、追加の測定を実施することができる。追加の測定は、各位置の溶接部114からの相対距離、表面のスロープ、及び/又は溶接部114の厚みを含むことができる。他の実施形態では、装置202用のゲージ206は、溶接部114がオフセットしているか否かを計算することができる。
【0031】
図6は、第1の表面210及び第2の表面216が平面的な大きな表面を形成することを意図した、例示的なオフセット溶接部114における装置202の1つの実施形態の拡大概略図を示す。図6に示すように、第1の距離224、第2の距離302、第3の距離304、及び第4の距離308は異なる。従って、図6に示す溶接部114はオフセットしている。
【0032】
図7は、第1の表面210及び第2の表面216が円筒形又は他の湾曲した表面の一部を形成することを意図した、例示的なオフセット溶接部114における装置202の1つの実施形態の拡大概略図を示す。図7に示すように、第1の距離224、第2の距離302、第3の距離304、及び第4の距離308は異なる。従って、図7に示す溶接部114はオフセットしている。
【0033】
図8は、溶接部114を分析して該溶接部114がオフセットしているか否かを判定する例示的な方法800を示している。方法800は、装置206を準備する段階(ボックス802)と、ゲージ206を第1の位置220に位置決めして起動し第1の距離を求める段階(ボックス804)と、ゲージ206を第2の位置222に位置決めして起動し第2の距離を求める(ボックス806)段階と、第1の位置220における第1の部材204から第1の表面210までの第1の距離224を、第2の位置222における第1の部材204から第2の表面216までの第2の距離302と比較する(ボックス808)段階と、を含む。第1の距離224が第2の距離302と異なるかどうかの判定(ボックス810)により、溶接部114がオフセットしているか否かの判定を可能にすることができる。第1の距離224が第2の距離302と異なり(ボックス810において「はい」)、目的とする外形が同一平面上のものとして確認された(ボックス812)場合、溶接部114はオフセットしているとみなすことができる(ボックス814)。
【0034】
溶接部114がオフセットしていないと確認された場合、基材の外形によっては、本方法800は、第3の位置306にゲージ206を位置決めして作動させ、第3の距離304を求める段階(ボックス815)を更に含むことができる。第1の距離224が第2の距離302に等しい(ボックス810において「いいえ」)ことに応答して、第3の距離304が第1の距離224と比較される(ボックス816)。第1の距離224が第3の距離304と異なるか否かを判定する(ボックス818)ことによって、溶接部114がオフセットしているか否かを判定可能にすることができる。第1の距離224が第3の距離304と異なり(ボックス818において「いいえ」)、目的とする外形が同一平面上のものとして確認された(ボックス812)場合、溶接部114はオフセットしているとみなすことができる(ボックス814)。第1の距離224が第3の距離304(ボックス818において「いいえ」)と等しく、目的とする外形が同一平面上のものとして確認された(ボックス820)場合、溶接部114はオフセットしていないとみなすことができる(ボックス822)。他の実施形態では、追加の外形(例えば、弓形又は円筒形外形)により、第4の位置310にゲージ206を位置決めし起動させて第4の距離308を求め、第1の距離224、第2の距離302、第3の距離304、及び/又は第4の距離308を記録し、及び/又は少なくとも各位置間の相対位置を記録することで、溶接部114がオフセットしているか否かを判定可能にすることができる。追加の測定が望ましいか否かの判定は、第1の表面210、第2の表面216、及び溶接部114により形成されることが意図された外形間の数学的/幾何学的関係に基づいている。風力タービン100のタワー104において、表面から測定値を取得し、これにより溶接部114がオフセットしていないことを周期的に確認できるようにする設計モデルに基づいて、指定外形を求めることができる。
【0035】
本開示事項は、典型的な実施形態において図示し説明してきたが、本開示の技術的思想から逸脱することなく、種々の修正形態及び置き換えを可能とすることができることから、図示の詳細事項に限定されることを意図するものではない。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は物的事項を本発明の教示に適合するように多くの修正を行うことができる。従って、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、また本発明は、提出した請求項の技術的範囲内に属する全ての実施形態を包含することになるものとする。
【符号の説明】
【0036】
114 溶接部
202 分析装置
204 第1の部材
205 保持機構
206 ゲージ
208 第2の部材
210 第1の表面
212 第1の側部
214 第3の部材
216 第2の表面
218 第2の側部
220 第1の位置
222 第2の位置
224 第1の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンシステム(100)の形成溶接(114)を分析する装置(202)であって、
距離を測定するゲージ(206)と、
前記ゲージ(206)を受けるよう構成された第1の部材(204)と、
前記第1の部材(204)に取り付けられ、前記形成溶接(114)の第1の側部(212)上の第1の表面(210)に解除可能に取り付けるよう構成された第2の部材(208)と、
前記第1の部材(204)に取り付けられ、前記形成溶接(114)の第2の側部(218)上の第2の表面(216)に解除可能に取り付けるよう構成された第3の部材(214)と、
を備え、
前記ゲージ(206)が、前記第1の部材(204)上の複数の位置に位置決め可能であり、前記複数の位置が、前記第2の部材(208)に近接し且つ前記第3の部材(214)から遠位にある第1の位置(220)と、前記第3の部材(214)に近接し且つ前記第2の部材(208)から遠位にある第2の位置(222)とを含み、前記装置(202)が、前記複数の位置にて前記ゲージ(206)を位置決めし、前記第1の部材(204)から前記第1の表面(210)及び前記第2の表面(216)の各々までの複数の寸法を測定することにより、前記溶接部(114)の品質を判定するよう構成されている、
装置(202)。
【請求項2】
前記第2の部材(208)及び前記第3の部材(214)が実質的に同じである、
請求項1に記載の装置(202)。
【請求項3】
前記第2の部材(208)及び前記第3の部材(214)の各々が、少なくとも1つの磁石を含み、該磁石が前記第1の表面(210)及び前記第2の表面(216)の一方又は両方に取り付け可能である、
請求項1又は2に記載の装置(202)。
【請求項4】
前記第1の表面(210)に解除可能に取り付けるよう構成された前記第2の部材(208)が、第1の複数の位置において前記第1の表面(210)に当接するよう構成されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置(202)。
【請求項5】
前記第1の表面(210)に解除可能に取り付けるよう構成された前記第3の部材(214)が、第2の複数の位置において前記第1の表面(210)に当接するよう構成されている、
請求項4に記載の装置(202)。
【請求項6】
前記第2の部材(208)及び前記第3の部材(214)の一方だけが、前記第1の表面(210)に解除可能に取り付けられる、
請求項1に記載の装置(202)。
【請求項7】
前記装置(202)は、前記ゲージ(206)を前記第1の位置(220)及び前記第2の位置(222)にて位置決めし起動するよう構成されており。前記ゲージ(206)が、前記第1の位置(220)において前記第1の部材(204)から前記第1の表面(210)までの第1の距離(224)と、前記第2の位置(222)において前記第1の部材(204)から前記第2の表面(216)までの第2の距離(302)とを比較するよう構成されている、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置(202)。
【請求項8】
前記装置(202)が、第3の位置(306)にて前記ゲージ(206)を位置決めし起動するよう構成することによって、前記形成溶接(114)を分析するよう構成される、
請求項7に記載の装置(202)。
【請求項9】
前記装置(202)が、第4の位置(310)にて前記ゲージ(206)を位置決めし起動するよう構成することによって、前記形成溶接(114)を分析するよう構成される、
請求項8に記載の装置(202)。
【請求項10】
前記第1の表面(210)及び前記第2の表面(216)を含む第1の基材を備え、該第1の基材と前記形成溶接(114)が全体的に円筒体を形成し、該円筒体が前記風力タービンシステム(100)用のタワー(104)の一部を形成する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置(202)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−17702(P2011−17702A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155336(P2010−155336)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】