説明

溶液の超音波霧化方法とこの方法に使用される超音波霧化機

【課題】溶液を高能率に霧化してミストにする。
【解決手段】溶液を超音波振動でミストに霧化する方法と装置は、超音波振動でできる溶液面Wの液柱Pに、液柱Pの片側から横方向に風を吹き付けて、風を吹き付けるのと反対側から排出して、液柱Pの片側から反対側に流れる風でもって液柱Pを溶液面Wと平行な方向に曲げることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として酒や酒原料等のアルコール溶液から更に高濃度のアルコールを分離するのに使用される溶液の超音波霧化方法と霧化機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、表面過剰となる物性を示す目的物質であるアルコールを分離する装置を開発した。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−314724号公報
【0003】
この分離装置は、アルコール溶液を閉鎖構造の超音波霧化室に充填し、この超音波霧化室のアルコール溶液を超音波振動子で超音波振動させてミストに霧化し、霧化されたミストを凝集させて回収して高濃度のアルコール溶液を分離する。この分離装置が目的物質として高濃度のアルコールを分離できるのは、以下の動作による。
【0004】
速やかに表面に移行して表面過剰となる物性を示すアルコールは、表面の濃度が高くなっている。この状態で超音波振動させると、表面の溶液が超音波振動のエネルギーで空気中にミストとなって微細な粒子で放出される。空気中に放出されたミストはアルコール濃度が高くなっている。アルコール濃度の高い表面の溶液がミストとなるからである。したがって、ミストを凝集して回収すると、高濃度のアルコール溶液が分離される。この方法は、溶液を加熱しないで高濃度のアルコール溶液を分離できる。このため、少ないエネルギー消費で高濃度に目的物質を分離できる。また、加熱しないので目的物質を変質させることなく分離できる特長もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この装置は、溶液を超音波振動させて効率よくミストとすることが大切である。溶液を底面から上に向かって超音波振動させると、図1に示すように、溶液面Wに液柱Pができて、この部分で霧化される。液柱Pは、内部で上下の超音波振動を衝突させる。超音波振動の衝突は、溶液の霧化効率を低下させる原因となる。超音波振動が液柱Pの内部で衝突すると、超音波振動が減衰して効率よく溶液を振動できなくなるからである。
【0006】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、溶液を効率よく超音波振動させて、溶液を高能率に霧化してミストにできる溶液の超音波霧化方法と超音波霧化機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載する溶液の超音波霧化方法は、溶液を超音波振動させてミストに霧化する。さらに、超音波霧化方法は、超音波振動でできる溶液面Wの液柱Pに横方向に風を吹き付け、この風でもって液柱Pを溶液面Wと平行な方向に曲げている。
【0008】
本発明の超音波霧化方法は、目的物質を含む溶液に気泡を供給することができる。この超音波霧化方法は、好ましくは、溶液温度を30℃以下に保持する。さらに、本発明の超音波霧化方法は、溶液面Wを、液柱Pを突出させる貫通孔32Aのある遮蔽物32で被覆して、溶液面Wと気中とを遮蔽物32で遮蔽して、溶液が気中に気化するのを防止することができる。この超音波霧化方法は、遮蔽物32の上面に供給される溶液を、遮蔽物32の下の溶液から分離して排出することができる。
【0009】
本発明の請求項3の超音波霧化方法は、溶液を超音波霧化室4に供給して超音波振動させてミストに霧化する。さらに、超音波霧化方法は、溶液供給管31でもって、超音波霧化室4の空間部4Aに溶液を供給すると共に、溶液供給管31の内部で溶液を超音波振動させて排出してミストに霧化する。
【0010】
本発明の請求項4の溶液の超音波霧化機は、溶液が供給される超音波霧化室4と、この超音波霧化室4の内部において、溶液を超音波振動でミストに霧化する超音波振動子2と、この超音波振動子2に接続されて超音波振動子2に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源3とを備える。さらに、超音波霧化機は、超音波振動子2で超音波振動されて溶液面Wにできる液柱Pに風を吹き付ける送風機構27を備えており、送風機構27が液柱Pに風を送風して、風でもって液柱Pを溶液面Wと平行な方向に曲げている。
【0011】
本発明の超音波霧化機は、超音波霧化室4の溶液に気泡を供給する気泡装置28を設けることができる。この超音波霧化機は、超音波霧化室4の溶液温度を30℃以下に保持する温度制御機構75を設けることができる。さらに、本発明の超音波霧化機は、超音波霧化室4の溶液面Wに、液柱Pを突出させる貫通孔32Aを設けている遮蔽物32を配設して、溶液面Wと超音波霧化室4の気中とを遮蔽して、溶液が気中に気化されるのを防止することができる。遮蔽物32は、溶液面Wに浮設されるシートとすることができる。さらに、遮蔽物32は、貫通孔32Aの周縁に隔壁32Bを設けることができる。さらに、本発明の超音波霧化機は、遮蔽物32の上面に供給される溶液を超音波霧化室4の溶液から分離して排出する排出口35を設けることができる。
【0012】
本発明の請求項6の溶液の超音波霧化機は、溶液が供給される超音波霧化室4と、この超音波霧化室4の内部において、溶液を超音波振動でミストに霧化する超音波振動子2と、この超音波振動子2に接続されて超音波振動子2に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源3とを備える。さらに、超音波霧化機は、超音波霧化室4に溶液を供給する溶液供給管31を連結している。この溶液供給管31は、超音波霧化室4の空間部4Aに溶液を供給すると共に、超音波振動子2を備えている。超音波霧化機は、溶液供給管31の内部において、超音波振動子2で溶液を超音波振動させながら超音波霧化室4に排出してミストに霧化している。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、溶液を効率よく超音波振動させて、溶液を高能率に霧化してミストにできる特長がある。それは、本発明の請求項1の超音波霧化方法と請求項4の超音波霧化機が、超音波振動でできる溶液面の液柱に横方向に風を吹き付け、この風でもって液柱を溶液面と平行な方向に曲げているからである。このように、溶液面と平行な方向に曲げられる液柱は、その内部において、上下の超音波振動が衝突して減衰されるのを有効に防止できる。したがって、超音波振動による溶液の霧化効率を低下させることなく、溶液を高能率に霧化してミストにできる。
【0014】
さらに、本発明の超音波霧化方法と超音波霧化機は、溶液に気泡を供給して、溶液中のガス溶解度を上昇させて、溶液中で発生するキャビテーションを促進して、溶液を超音波振動で効率よくミストに霧化できる特徴がある。
【0015】
さらに、本発明の超音波霧化方法と超音波霧化機は、溶液面を遮蔽物で被覆して、溶液面と気中とを遮蔽しているので、溶液が気中に気化するのを有効に防止できる。このため、溶液が気化し、気化された溶液がミストと一緒に凝集して回収されるのを少なくでき、目的物質を高濃度に回収できる。
【0016】
さらに、本発明の超音波霧化方法と超音波霧化機は、遮蔽物の上面に供給される溶液であって、遮蔽物の下の溶液に比べて目的物質の濃度が低くなっている溶液を、遮蔽物の下の溶液から分離して排出することで、遮蔽物の下の溶液の目的物質濃度を低下させることなく、常に目的物質濃度の高いミストを発生できる。
【0017】
さらに、本発明の請求項3の超音波霧化方法と請求項6の超音波霧化機は、溶液供給管の内部で溶液を超音波振動させて排出して、ミストに霧化しながら超音波霧化室の空間部に溶液を供給するので、溶液を高能率に霧化してミストにできる特長がある。それは、溶液供給管から供給される溶液が、溶液供給管の内部で超音波振動されながら排出されると共に、溶液供給管から超音波霧化室の空間部に供給されるときに分散されながら排出されるので、これらの相乗効果によって溶液を能率よく霧化してミストにできるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための溶液の超音波霧化方法とこの方法に使用される超音波霧化機を例示するものであって、本発明は超音波霧化方法と超音波霧化機を下記のものに特定しない。
【0019】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0020】
本発明の溶液の超音波霧化装置は、溶液から目的物質を分離する。溶液の溶媒と溶質を特定するものではないが、溶媒は、主として水であるが、水以外にもアルコール等の有機溶媒も使用できる。目的物質を含む溶液は、例えば以下のものである。
(1) 清酒、ビール、ワイン、食酢、みりん、スピリッツ、焼酎、ブランデー、ウイスキー、リキュール
(2) ピネン、リナロール、リモネン、ポリフェノール類などの香料、芳香成分ないし香気成分を含む溶液
(3) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合した物質を含む溶液
(4) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をハロゲンによって置き換えた物質を含む溶液
(5) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基を水酸基によって置き換えた物質を含む溶液
(6) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をアミノ基によって置き換えた物質を含む溶液
(7) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボニル基によって置き換えた物質を含む溶液
(8) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボキシル基によって置き換えた物質を含む溶液
(9) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をニトロ基によって置き換えた物質を含む溶液
(10) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をシアノ基によって置き換えた物質を含む溶液
(11) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をメルカプト基によって置き換えた物質を含む溶液
(12) 前述の(3)〜(11)の目的物質に含まれるいずれか一つ以上の原子を金属イオンによって置換した物質を含む溶液
【0021】
以上の溶液に含まれる目的物質は、表面に移行して表面過剰となる物性がある。この目的物質は、表面濃度が高くなるので、これを超音波振動させて表面の溶液をミストにして霧化させると、ミストは目的物質の濃度が高くなる。したがって、このミストを凝集して回収すると、目的物質の濃度を高くできる。すなわち、溶液から高濃度の目的物質を含むものを分離できる。
【0022】
以下、目的物質をアルコールとする溶液をミストに霧化して高濃度にアルコールを分離する装置と方法を示す。
【0023】
図2ないし図5に示す超音波分離装置は、溶液が供給される閉鎖構造の超音波霧化室4と、この超音波霧化室4の溶液を超音波振動させてミストに霧化する複数の超音波振動子2と超音波電源3を備える超音波霧化機1と、超音波振動子2で超音波振動されて溶液面Wにできる液柱Pに風を吹き付ける送風機構27と、超音波霧化機1で霧化されたミストを凝集させて回収する回収部5とを備える。
【0024】
図2と図3の超音波分離装置は、超音波霧化室4と回収部5とを別々に離して、循環ダクト30で連結している。図4の超音波分離装置は、回収部5に超音波霧化室4を内蔵させ、図5の超音波分離装置は、回収部5と超音波霧化室4とでひとつの気密チャンバーを構成して、回収部5と超音波霧化室4とを一体構造としている。
【0025】
これ等の超音波分離装置は、超音波霧化室4で霧化された溶液のミストを、閉鎖構造の回収部5に流入させる。回収部5は微細なミストを凝集させて高濃度のアルコール溶液として回収する。ミストは、気体ではないので、必ずしも冷却しないで凝集させて回収できる。ただ、ミストを冷却して速やかに回収できる。
【0026】
溶液はポンプ10で超音波霧化室4に供給される。超音波霧化室4は、供給される全ての溶液をミストとして霧化させない。全ての溶液を霧化して回収部5で回収すると、超音波霧化室4に供給する溶液と、回収部5で回収される溶液のアルコール等の目的物質濃度が同じになるからである。超音波霧化室4に供給された溶液は、ミストとして霧化して容量が少なくなるにしたがって、目的物質の濃度が低下する。このため、ミストに含まれる目的物質の濃度も次第に低下する。超音波霧化室4の溶液は、目的物質濃度が低下すると新しいものに入れ換えられる。
【0027】
超音波霧化室4は、たとえば、目的物質の濃度が10〜50重量%である溶液を霧化して、目的物質の濃度が低下した後、溶液を新しいものに入れ換える。一定の時間経過すると溶液を新しいものに入れ換える方法、すなわちバッチ式に溶液を交換する。ただ、超音波霧化室4に、ポンプ10を介して溶液を蓄えている原液槽11を連結し、原液槽11から連続的に溶液を供給することもできる。この装置は、超音波霧化室4の溶液を排出しながら、原液槽11から溶液を供給して、超音波霧化室4の溶液のアルコール等の目的物質濃度が低下するのを防止する。また、図2の矢印Bで示すように、超音波霧化室4の溶液を原液槽11に循環することなく外部に排出して、原液槽11に含まれる目的物質の濃度が低下するのを防止することもできる。
【0028】
超音波霧化室4の溶液は、超音波霧化機1でミストに霧化される。超音波霧化機1で霧化されたミストは、溶液よりも目的物質濃度が高い。したがって、超音波霧化機1で溶液をミストに霧化し、ミストを凝集して回収することで、高濃度な溶液を効率よく分離できる。
【0029】
超音波霧化室4の溶液は、超音波振動されて、超音波霧化室4の溶液よりも高濃度なミストとなって溶液面Wから飛散する。溶液を超音波振動させると、溶液面Wに液柱Pができ、この液柱Pの表面からミストが発生する。図6に示す超音波霧化機1は、溶液を充填している超音波霧化室4の底に、超音波霧化機1の超音波振動子2を上向きに配設している。超音波振動子2は、底から溶液面Wに向かって上向きに超音波を放射して、溶液面Wを超音波振動させて、液柱Pを発生させる。超音波振動子2は、垂直方向に超音波を放射する。
【0030】
図の超音波霧化機1は、複数の超音波振動子2と、これ等の超音波振動子2を超音波振動させる超音波電源3とを備える。超音波振動子2は超音波霧化室4の底に水密構造に固定される。複数の超音波振動子2が溶液を超音波振動させる装置は、より効率よく溶液をミストに霧化する。
【0031】
複数の超音波振動子2は、図7と図8に示すように、防水構造で脱着プレート12に固定される。複数の超音波振動子2を固定している脱着プレート12は、図9と図10に示すように、防水構造で脱着できるように超音波霧化室4のケーシング13に装着される。この脱着プレート12が超音波霧化室4のケーシング13に装着されて、各々の超音波振動子2は超音波霧化室4の溶液を超音波振動する。
【0032】
図7と図8に示す脱着プレート12は、表面プレート12Aと裏面プレート12Bを備えており、表面プレート12Aと裏面プレート12Bを積層して、表面プレート12Aと裏面プレート12Bの間に超音波振動子2を防水構造で挟着している。表面プレート12Aは貫通孔12aを開口しており、この貫通孔12aに振動面2Aを位置させて超音波振動子2を表面プレート12Aと裏面プレート12Bに挟着して固定している。裏面プレート12Bは、超音波振動子2を嵌入する凹部12bを設けて、この凹部12bに超音波振動子2を嵌入している。図7の脱着プレート12は、裏面プレート12Bに凹部12bを設けているが、表面プレートに凹部を設けて、この凹部に超音波振動子を嵌入することもできる。
【0033】
超音波振動子2と表面プレート12Aとの間を防水構造とするために、表面プレート12Aと超音波振動子2との間にパッキン16を挟着している。図7に示す超音波霧化機1は、超音波振動子2と裏面プレート12Bとの間にもパッキン16を挟着して防水構造としている。ただし、超音波霧化機は、必ずしも超音波振動子と裏面プレートとの間を防水構造とする必要はない。それは、超音波振動子と表面プレートとの間を防水構造とする脱着プレートを超音波霧化室のケーシングの下面に固定して、超音波霧化室の溶液が漏れるのを阻止できるからである。パッキン16は、ゴム状弾性体のOリングである。Oリングのパッキン16は、超音波振動子2の振動面2Aの外周縁と表面プレート12Aとの対向面に配設されて、超音波振動子2の振動面2Aと表面プレート12Aとの間を防水構造として、この間から水が漏れるの阻止する。さらに、超音波振動子2の外周と裏面プレート12Bとの間を防水構造で連結する。
【0034】
パッキン16は、テフロン(登録商標)、シリコン、天然または合成ゴム等のゴム状弾性体である。このパッキン16は、超音波振動子2と表面プレート12Aとの間、超音波振動子2と裏面プレート12Bとの間に、弾性変形して押しつぶされる状態で挟着されて、超音波振動子2と表面プレート12A及び裏面プレート12Bの表面に隙間なく密着して連結部分を防水構造とする。ただし、パッキン16には、銅、シンチュウ、アルミニウム、ステンレス等の金属をリング状に加工した金属パッキンも使用できる。
【0035】
図7と図8に示す脱着プレート12は、表面プレート12Aと裏面プレート12Bの片側縁を蝶番17で連結している。この脱着プレート12は、裏面プレート12Bと表面プレート12Aとを開いて、超音波振動子2を簡単に脱着できる。超音波振動子2を交換するとき、裏面プレート12Bと表面プレート12Aが開かれる。この状態で、古い超音波振動子を取り出して新しい超音波振動子2とパッキン16を所定の位置に入れる。その後、裏面プレート12Bと表面プレート12Aを閉じて、超音波振動子2が交換される。閉じられた裏面プレート12Bと表面プレート12Aは、蝶番17の反対側を止ネジ(図示せず)で連結し、あるいは超音波霧化室4のケーシング13に固定して連結される。
【0036】
以上の超音波霧化機1は、パッキン16を使用して防水構造としているが、パッキンの位置にコーキング材を充填して防水構造とすることもできる。さらに、図7に示す超音波霧化機1は、脱着プレート12を表面プレート12Aと裏面プレート12Bからなる2枚の金属プレート、あるいは非金属の硬質プレートで構成しているが、脱着プレート12は図11ないし図13に示すように1枚のプレートとすることもできる。この脱着プレート12は、金属プレートあるいは非金属硬質プレートで、超音波振動子2を配設する凹部12bを上方に、あるいは貫通孔12aを開口して設けている。
【0037】
図11の超音波霧化機1は、脱着プレート12の凹部12bに超音波振動子2を入れて、超音波振動子2の外周部分の上下にパッキン16を配置している。さらに、脱着プレート12の開口部にリングプレート18を固定している。リングプレート18は、超音波振動子2の上面に配置しているパッキン16を押圧して、超音波振動子2を凹部12bに防水構造で固定する。凹部12bは底に貫通孔12cを設けて、リード線19を外部に引き出している。
【0038】
図12の超音波霧化機1は、パッキンとリングプレートを使用することなく、脱着プレート12の凹部12bに入れた超音波振動子2をコーキング材20で接着して防水構造で固定している。この超音波振動子2もリード線19を凹部12bの底部に開口している貫通孔12cから外部に引き出している。貫通孔12cとリード線19との間にもコーキング材20を充填して、水漏れしない防水構造としている。
【0039】
図13の超音波霧化機1は、脱着プレート12に貫通孔12aを開口しており、この貫通孔12aに振動面2Aを位置させて、超音波振動子2を脱着プレート12の下面に固定している。超音波振動子2を脱着プレート12に固定するために、脱着プレート12の底面には固定具21を固定している。超音波振動子2は、外周部分の上下に配置したパッキン16を介して防水構造で脱着プレート12に固定している。固定具21は段差凹部を有するリング状で、外周縁部を貫通する固定ネジ22が脱着プレート12にねじ込まれて脱着プレート12に固定されている。固定具21は、段差凹部の底面で超音波振動子2の下面に配置しているパッキン16を押圧して、超音波振動子2を脱着プレート12に防水構造で固定する。固定具21は、段差凹部の底面に貫通孔21Aを設けており、ここからリード線19を外部に引き出している。
【0040】
図9と図10は、超音波霧化機1を固定する超音波霧化室4を示す。これ等の図に示す超音波霧化室4は、ケーシング13の底面に開口部13Aを設けて、この開口部13Aを防水構造で閉塞するように脱着プレート12を固定している。脱着プレート12は、パッキン23を介して防水構造でケーシング13に固定される。脱着プレート12を固定するために、ケーシング13の底面には固定金具24を固定している。固定金具24はL字状で、これを貫通する止ネジ25で脱着プレート12を押圧して超音波霧化室4のケーシング13に固定する。この構造で超音波霧化室4に固定される複数の超音波振動子2は、ケーシング13の底面から上面に向かって溶液を超音波振動させる。この脱着プレート12は、超音波霧化室4のケーシング13の底面に、開口部13Aを閉塞するように、しかも脱着できるように装着される。
【0041】
脱着プレート12は、図14に示すように、超音波霧化室4の溶液中に浸漬して、溶液を超音波振動させることもできる。この構造は、簡単に脱着プレート12を超音波霧化室4に脱着できるように配置できる。溶液中に浸漬される超音波霧化機1は、たとえば図12に示す構造として、超音波振動子2の振動面2Aを除く部分を防水構造として脱着プレート12に固定している。
【0042】
超音波振動子2や超音波電源3が超音波霧化室4の溶液を加熱すると、溶液の品質が低下する。この弊害は、超音波振動子2を強制的に冷却して解消できる。さらに、好ましくは超音波電源3も冷却する。超音波電源3は直接には溶液を加熱することはないが、周囲を加熱して間接的に溶液を加熱する。超音波振動子2や超音波電源3は、図6に示すように、これ等に冷却パイプ14を熱結合する状態で配設、すなわち、冷却パイプ14を接触させる状態で配設して冷却できる。冷却パイプ14は、冷却機で冷却した液体や冷媒、あるいは地下水や水道水等の冷却水を流して超音波振動子2と超音波電源3を冷却する。
【0043】
超音波振動で溶液面Wにできる液柱Pは、送風機構27から風が吹き付けられる。送風機構27から液柱Pに吹き付ける風は、液柱Pを溶液面Wと平行な方向に曲げる。液柱Pは、吹き付けられる風によって、図2と図3に示すように先端部が吹き流されるように曲げられ、あるいは全体が傾斜するように曲げられる。送風機構27が液柱Pを溶液面Wと平行な方向に曲げる形状は、送風機構27が液柱Pに吹き付ける風の風量と風速と吹き付ける領域による。液柱Pの先端部分に風を吹き付けると、図に示すように先端部分が吹き流されるように曲がり、液柱の全体に風を吹き付けると、図示しないが、液柱の全体が傾斜するように垂直方向から曲げられる。液柱Pに吹き付けられる風の風速が速くなると液柱Pが曲がる程度が大きくなる。送風機構27は、好ましくは、液柱Pの先端部が、液柱Pの基部の中心を通る垂直軸m(溶液面Wに垂直な軸)となす角度(α)が15度以上、さらに好ましくは30度以上となるように、液柱Pに風を吹き付ける。
【0044】
送風機構27は、液柱Pに風を吹き付けるファン29を備える。送風機構27は、図2、図4及び図5に示すように、超音波霧化室4の内部に配設され、あるいは図3に示すように、超音波霧化室4に連結している循環ダクト30の内部に配置される。超音波霧化室4に設けられたファン29は、超音波霧化室4の内部の空気を吸入して液柱Pに吹き付ける。循環ダクト30に設けているファン29は、循環ダクト30内を循環される空気を加速して、液柱Pに吹き付ける。
【0045】
図15の超音波分離装置は、溶液供給管31でもって超音波霧化室4に溶液を供給するもので、溶液供給管31の内部の溶液を超音波振動させて、超音波霧化室4の空間部4Aに排出してミストに霧化する。この装置は、溶液供給管31の途中に超音波振動子2を固定している。超音波振動子2は、図16に示すように、溶液供給管31の周囲に固定されて、内部の溶液を移送方向に向かって超音波振動し、あるいは図17に示すように、溶液供給管31のコーナー部に、内部の溶液を移送方向に超音波振動させるように固定される。図16の溶液供給管31の直線部分に固定される超音波振動子2は、傾斜する方向に、あるいは横方向に超音波振動を放射する。この超音波振動子2は、溶液供給管31の周囲に固定できるので、図の鎖線で示すように、溶液供給管31の上面に固定することもできる。
【0046】
溶液供給管31は、図15ないし図17に示すように水平方向に、あるいは図18に示すように上り勾配に傾斜し、あるいはまた図示しないが、下り勾配に傾斜する姿勢で超音波霧化室4に連結される。上り勾配に傾斜する溶液供給管31から排出される溶液は、途中で曲がって先端部から下向きに落下する。この姿勢の溶液供給管31は、溶液供給管31から出た溶液が大きく曲がって落下する。また、水平な姿勢の溶液供給管31も途中で曲がって先端部分は下向きに落下する。溶液供給管31は、垂直方向に対して交差する姿勢で超音波霧化室4に連結されて、排出する溶液を自重で曲がって落下させる。
【0047】
図15ないし図18に示す超音波分離装置は、超音波霧化室4の底部に溶液を貯溜しており、貯溜された溶液の溶液面Wよりも上方の空間部4Aに、溶液供給管31でもって溶液を供給している。ただ、超音波分離装置は、溶液供給管から超音波霧化室の空間部に供給された溶液を底部に貯溜することなく超音波霧化室から排出することもできる。
【0048】
図2と図3に示す超音波分離装置は、図19の拡大図に示すように、溶液面Wを遮蔽物32で被覆している。遮蔽物32は、液柱Pを突出させる貫通孔32Aを開口している。この遮蔽物32は、溶液面Wと超音波霧化室4の気中とを遮蔽して、溶液が気中に気化するのを防止する。この構造は、溶液が気化し、気化された溶液がミストと一緒に凝集して回収されるのを少なくできる。超音波霧化室4で溶液が気化されると、この気化された気体は、溶液を霧化してなるミストよりも目的物質の濃度が低くなる。それは、溶液のミストは、表面過剰な状態で気中に霧化されるので、目的物質の濃度が気化された気体よりも高くなっているからである。
【0049】
遮蔽物32は、溶液に浮設されるプラスチックシート、プラスチックプレート、あるいは超音波霧化室4に水平に固定される金属プレート等の溶液を透過させないシートやプレートである。遮蔽物32は、貫通孔32Aの周囲に隔壁32Bを設けて、遮蔽物32の上に落下する溶液を、遮蔽物32の下の溶液から分離する。すなわち、遮蔽物32の上に落下する溶液が遮蔽物32の下の溶液に混合されないようにしている。超音波霧化室4は、遮蔽物32の上面に供給される溶液を下の溶液から分離して排出する排出口35を設けている。遮蔽物32の上に落下する溶液は、図2、図3及び図19の矢印Aで示すように、遮蔽物32の下の溶液から分離して超音波霧化室4から排出される。遮蔽物32の上に落下する溶液は、一部がミストとなって高濃度の目的物質を分離した残りの溶液である。したがって、この溶液は、目的物質の濃度が遮蔽物32の下の溶液よりも低くなる。遮蔽物32の上の溶液を遮蔽物32の下の溶液に混合すると、遮蔽物32の下の溶液の目的物質の濃度が低下する。これに対して、遮蔽物32の上の溶液を、遮蔽物32の下の溶液に混合しないで排出すると、ミストが分離された溶液が、遮蔽物32の下の溶液の目的物質濃度を低下させることがなく、常に目的物質濃度の高いミストを発生できる。
【0050】
図15の超音波分離装置は、溶液供給管31から排出する溶液を超音波霧化室4の底に蓄え、この溶液を原液槽11に循環させている。原液槽11の溶液はポンプ10に吸入され、ポンプ10が吸入した溶液を溶液供給管31に供給する。溶液供給管31から溶液が供給される超音波霧化室4は、オーバーフローさせて溶液を原液槽11に循環させる。この装置は、目的物質が分離されるにしたがって、溶液に含まれる目的物質の濃度が低下する。したがって、溶液の目的物質濃度が低くなると、溶液全体を交換する。また、図15の矢印Bで示すように、超音波霧化室4の溶液を原液槽11に循環することなく外部に排出して、原液槽11に含まれる目的物質の濃度が低下するのを防止することもできる。
【0051】
さらに、図3の超音波分離装置は、超音波霧化室4の溶液に気泡を供給する気泡装置28を設けている。気泡装置28は、超音波霧化室4の溶液中に気泡供給部28Aを配設しており、この気泡供給部28Aから溶液に気泡を供給している。このように、超音波霧化室4の溶液に微細な気泡を供給する超音波分離装置は、溶液中のガス溶解度を上昇させることにより、溶液中で発生するキャビテーションを促進して、溶液を超音波振動で効率よくミストに霧化できる特長がある。
【0052】
さらに、図3に示す超音波分離装置は、超音波霧化室4の溶液温度を制御する温度制御機構75を備える。温度制御機構75は、溶液の温度が所定の温度以下となるように溶液を冷却する冷却器76を備える。この温度制御機構75は、超音波霧化室4に貯溜された溶液の温度を温度センサー77で検出すると共に、冷却器76を制御して溶液の温度を30℃以下に保持する。このように、温度制御機構75で溶液の温度を制御する超音波分離装置は、気泡装置28から供給される気泡の溶解度を高くできる。
【0053】
超音波霧化室4で霧化された溶液のミストは、回収部5に流入される。ミストを回収部5に流入させるために、図2と図3の装置は、回収部5を循環ダクト30で超音波霧化室4に連結しており、図4の装置は、超音波霧化室4を回収部5に内蔵しており、図5の装置は、回収部5の上部に超音波霧化室4を配設している。図4と図5の装置は、回収部5の容積を、超音波霧化室4に比較して充分に大きく、たとえば、超音波霧化室4の容積の2〜100倍、好ましくは5〜50倍、さらに好ましくは5〜20倍としている。図5の装置は、超音波霧化室4と回収部5の上部を連通路であるダクト26を介して連結して一体構造としている。超音波霧化室4で霧化したミストは、ゆっくりと降下して回収部5に溶液として回収される。
【0054】
図2と図3の回収部5は、ミストを冷却して凝集させる冷却用熱交換器33を内蔵している。冷却用熱交換器33は、熱交換パイプ34にフィン(図示せず)を固定している。熱交換パイプ34に冷却用の冷媒や冷却水を循環させて、熱交換器33は冷却される。超音波霧化室4で霧化されたミストは、一部が気化して気体となるが、気体は回収部5の熱交換器33で冷却され、結露して凝集されて回収される。回収部5に流入されるミストは、熱交換器33に衝突し、あるいは互いに衝突して大きく凝集し、または熱交換器33のフィン等に衝突して大きく凝集して溶液として回収される。ミストと気体を熱交換器33で凝集して回収した空気は、循環ダクト30を介して再び超音波霧化室4に循環される。
【0055】
図4と図5の回収部5は閉鎖チャンバーであって、ここに供給されるミストは外部に排出されない。したがって、回収部5に供給されたミストは、互いに衝突して大きく凝集し、あるいは、邪魔板等に衝突して大きく凝集して溶液として回収される。回収部5において、ミストをより速やかに回収するために、図4と図5の回収部5は、溶液を散水するノズル6を備える。ノズル6は、循環ポンプ15を介して回収部5の底部に連結される。循環ポンプ15は、回収部5に回収された溶液を吸入して、ノズル6から噴霧させる。
【0056】
図の超音波分離装置は、回収部5の上部と側面にノズル6を配設している。上部のノズル6は、下向きに溶液を噴霧する。側面のノズル6は、水平方向に溶液を噴霧する。ノズル6から噴霧される溶液は、超音波霧化機1で霧化されたミストに比較して充分に大きな水滴であって、回収部5の内部を速やかに落下し、落下するときに、回収部5の内部に浮遊しているミストに衝突して、ミストを回収しながら落下する。したがって、回収部5に浮遊するミストを効率よく速やかに回収できる。
【0057】
図の超音波分離装置は、ノズル6を上と側面とに配設しているが、回収部5の下部にノズルを配設することもできる。下部のノズルは、上向きに溶液を噴霧する。このノズルは、回収部5の天井に溶液を衝突させる速度で、あるいは、天井の近傍まで上昇する速度で溶液を噴霧する。天井の近傍まで上昇するように噴霧される溶液は、天井の近傍で下向きに方向を変えて落下するので、上昇するときと降下するときにミストに接触して、ミストを効率よく回収する。
【0058】
図20の回収部5は、内部に複数枚の邪魔板7を配設している。邪魔板7は、隣接するものとの間にミストを通過できる隙間を設けて、垂直の姿勢で配設している。垂直の邪魔板7は、ミストを表面に衝突させて付着する溶液を自然に流下させて回収できる。図の邪魔板7は、表面を凹凸面として、ミストをより効率よく接触させて回収できるようにしている。
【0059】
さらに、図20の回収部5は、ミストを強制送風して撹拌するファン9を設けている。ファン9は、回収部5のミストを撹拌する。撹拌されるミストは、互いに衝突して凝集し、あるいは、邪魔板7の表面に衝突して凝集する。凝集するミストは、速やかに落下して回収される。図のファン9は、回収部5のミストを下向きに送風して循環させる。
【0060】
図21の超音波分離装置は、ミストを振動して互いに衝突する確率を高くするミスト振動器8を回収部5に設けている。ミスト振動器8は、回収部5の気体を振動させる電気振動−機械振動変換器と、この電気振動−機械振動変換器を駆動する振動電源とを備える。電気振動−機械振動変換器は、可聴周波数の音を放射するスピーカーや、可聴周波数よりも高い超音波を放射する超音波振動子等である。電気振動−機械振動変換器が、ミストを効率よく振動させるために、電気振動−機械振動変換器から放射される振動を回収部5で共振させる。このことを実現するために、電気振動−機械振動変換器は、回収部5で共振する周波数で振動させる。いいかえると、回収部5を電気振動−機械振動変換器から放射される振動に共振する形状に設計する。
【0061】
超音波は人間の可聴周波数を越える高い周波数であるので、耳には聞こえない。このため、超音波を放射するミスト振動器8は、回収部5の気体を激しく振動させて、いいかえると、電気振動−機械振動変換器の出力を極めて大きくして、人間に音の害を与えることがない。このため、超音波はミストを激しく振動して、効率よく衝突させて、速やかに回収できる特長がある。
【0062】
以上の超音波分離装置は、回収部5に、ミストを効率よく凝集させる装置を配設するので、ミストをより速やかに凝集させて高濃度の溶液とすることができる。さらに、図示しないが、超音波分離装置は、回収部に、溶液を噴霧するノズルと、ミストを撹拌するファンと、ミストを振動させる振動器の全てを内蔵させて、最も効率よくミストを凝集できる。また、ミストを凝集させるふたつの装置を内蔵して、ミストを効率よく凝集させることもできる。
【0063】
超音波霧化室4と回収部5は、好ましくは不活性ガスを充填する。この装置は、不活性ガスによって、超音波霧化室4や回収部5における溶液の変質が防止される。このため、より高品質な状態で高濃度の溶液を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】溶液が超音波振動されて溶液面に液柱ができる状態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる超音波霧化機を示す概略構成図である。
【図3】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化機を示す概略構成図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化機をを示す概略断面図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化機を示す概略断面図である。
【図6】超音波霧化室と超音波霧化機の一例を示す概略断面図である。
【図7】超音波振動子と脱着プレートの連結構造の一例を示す拡大断面図である。
【図8】図7に示す脱着プレートの平面図である。
【図9】脱着プレートを超音波霧化室に装着した状態を示す断面図である。
【図10】図9に示す脱着プレートと超音波霧化室の連結構造を示す拡大断面図である。
【図11】超音波振動子と脱着プレートの連結構造の他の一例を示す拡大断面斜視図である。
【図12】超音波振動子と脱着プレートの連結構造の他の一例を示す拡大断面図である。
【図13】超音波振動子と脱着プレートの連結構造の他の一例を示す拡大断面図である。
【図14】脱着プレートを超音波霧化室に配置する他の一例を示す断面図である。
【図15】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化機を示す概略構成図である。
【図16】図15に示す超音波霧化機の溶液供給管を示す拡大断面図である。
【図17】溶液供給管に超音波霧化機を配設する他の一例を示す拡大断面図である。
【図18】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化機を示す概略構成図である。
【図19】溶液面にできる液柱に風を吹き付ける状態を示す拡大断面図である。
【図20】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化機を示す概略断面図である。
【図21】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化機を示す概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を複数の超音波振動子(2)の超音波振動でミストに霧化する溶液の霧化方法において、
超音波振動でできる溶液面(W)の液柱(P)に、液柱(P)の片側から横方向に風を吹き付けて、風を吹き付けるのと反対側から排出して、液柱(P)の片側から反対側に流れる風でもって液柱(P)を溶液面(W)と平行な方向に曲げることを特徴とする溶液の超音波霧化方法。
【請求項2】
溶液温度を30℃以下に保持する請求項1に記載される溶液の超音波霧化方法。
【請求項3】
溶液を超音波霧化室(4)に供給して超音波振動でミストに霧化する溶液の超音波霧化方法において、
溶液供給管(31)でもって、超音波霧化室(4)の空間部(4A)に溶液を供給すると共に、溶液供給管(31)の内部で、溶液を超音波振動させて排出してミストに霧化することを特徴とする溶液の超音波霧化方法。
【請求項4】
溶液が供給される超音波霧化室(4)と、この超音波霧化室(4)の内部において、溶液を超音波振動でミストに霧化する複数の超音波振動子(2)と、この超音波振動子(2)に接続されて超音波振動子(2)に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源(3)とを備える溶液を霧化する装置であって、
超音波振動子(2)で超音波振動されて溶液面(W)にできる液柱(P)に片側から風を吹き付けて反対側から排出する送風機構(27)を備えており、送風機構(27)が液柱(P)に片側から反対側に送風する風でもって液柱(P)を溶液面(W)と平行な方向に曲げるようにしてなる溶液の超音波霧化機。
【請求項5】
超音波霧化室(4)の溶液温度を30℃以下に保持する温度制御機構(75)を有する請求項4に記載される溶液の超音波霧化機。
【請求項6】
溶液が供給される超音波霧化室(4)と、この超音波霧化室(4)の内部において、溶液を超音波振動でミストに霧化する複数の超音波振動子(2)と、この超音波振動子(2)に接続されて超音波振動子(2)に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源(3)とを備える溶液をミストに霧化する装置であって、
超音波霧化室(4)に溶液を供給する溶液供給管(31)を連結しており、この溶液供給管(31)は、超音波霧化室(4)の空間部(4A)に溶液を供給すると共に、超音波振動子(2)を備えており、この超音波振動子(2)で溶液供給管(31)の内部で溶液を超音波振動させながら超音波霧化室(4)に排出してミストに霧化するようにしてなる溶液の超音波霧化機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−172596(P2009−172596A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22068(P2009−22068)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【分割の表示】特願2003−303706(P2003−303706)の分割
【原出願日】平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願人】(503268143)超音波醸造所有限会社 (20)
【Fターム(参考)】