説明

溶液製膜方法

【課題】冷却流延方式でありながらも、幅方向の屈折率を高め、Reがより大きいセルロースアシレートフィルムを製造する。
【解決手段】ドラムから剥ぎ取った湿潤フィルム12をテンタに導入する。テンタでは、湿潤フィルム12の各側部をピンで保持する。テンタでは、湿潤フィルム12を、結晶化温度Tc以上の温度に高めて結晶化を促進する結晶化工程を実施する。結晶化工程の終了前に、湿潤フィルム12を縮幅する。縮幅は、乾燥による湿潤フィルム12の幅方向での収縮を妨げないようにして行う。この縮幅は、セルロースアシレートの結晶部を幅方向Xに配向させる工程である。また、結晶化工程の終了後には、湿潤フィルム12の幅を拡げる拡幅工程を実施する。この拡幅は、セルロースアシレートの非晶部を幅方向Xに配向させる工程である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液製膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースアシレートフィルム(以降、単にフィルムと称する)は、液晶ディスプレイ等の各種表示装置をはじめとして、種々の光学機器に用いられている。近年は、表示装置のみでもその商品の種類が急増しており、表示装置の種類に応じて性状が異なるフィルムを製造する必要がある。
【0003】
例えば、レタデーション値については、表示装置を構成する他の構成部材のレタデーション値に応じてフィルムが選定されるので、レタデーション値が異なる多くのフィルムをつくることが求められる。さらに、フィルムのレタデーション値には、周知のように、面方向におけるレタデーションReと厚み方向におけるレタデーションRthとがあり、ReとRthとはそれぞれ独立して所定の値を要求される。最近では、Reをより上昇したフィルムに対するニーズが高まっている。
【0004】
しかし、種々の性状のフィルムを製造するにしても、性状毎に設備を増やすことはできず、既存の設備を利用することが必要となる。さらに、表示装置は需要の増加が著しく、これに対応するためにフィルムの製造効率をより向上させねばならない。
【0005】
フィルムの製造方法としては、周知のように溶液製膜方法がある。溶液製膜方法には、流延膜を支持体上で乾燥することにより固化して剥ぎ取るという方法(以下、乾燥流延方式と称する)と、流延膜を支持体上で冷却することにより固化して剥ぎ取るという方法(以下、冷却流延方式と称する)とがあり、製造効率の観点からは、冷却流延法の方が格段に優れる。
【0006】
しかし、冷却流延方式では、乾燥流延方式に比べ、支持体からの剥ぎ取り時における流延膜の溶剤残留率が高いために、剥ぎ取りの際に搬送方向に大きく伸びやすい。搬送方向に伸びるとセルロースアシレートが搬送方向に配向してしまい、搬送方向での屈折率は大きくなるが幅方向での屈折率は小さくなる。このため、冷却流延方式によると、幅方向に大きな屈折率をもつような大きなReのフィルムを製造することが非常に難しい。
【0007】
そこで、乾燥しながら幅方向に張力を付与するテンタを用い、このテンタでより大きくフィルムの幅を拡げることで、幅方向での配向をより高める方法がある。例えば、特許文献1では、テンタで幅を拡げ、この後幅を狭める工程を行うことで、フィルムの平面性を向上させる。この方法によると、Reを向上させるにも一定の効果はある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−306047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の方法によっても、Reのみを十分に向上させることはできない。さらに、幅を変化させることは、他の光学特性をも変化させてしまい、Reのみを独立して制御することは難しい。
【0010】
そこで、本発明では、上記問題に鑑み、冷却流延方式でありながらも、幅方向の屈折率を高め、Reがより大きいセルロースアシレートフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、セルロースアシレートが溶剤に溶解したドープを支持体に流延して流延膜を形成し、前記流延膜を前記支持体上で冷却することにより固め、溶剤を含んだ湿潤フィルムとして剥がし、前記湿潤フィルムを乾燥する溶液製膜方法において、前記湿潤フィルムを乾燥しながら拡幅する拡幅工程と、前記拡幅工程前に、前記湿潤フィルムを前記拡幅工程よりも遅い乾燥速度で乾燥しながら前記セルロースアシレートの結晶化温度以上に加熱することにより、前記セルロースアシレートの結晶化を促進する結晶化工程と、前記結晶化工程の終了前に、前記湿潤フィルムの側部を保持して走行する複数の保持手段により、乾燥による幅方向での収縮を妨げないように、保持した前記湿潤フィルムを搬送する収縮工程とを有することを特徴とことを特徴として構成されている。
【0012】
前記収縮工程では、一方の側部を保持する前記保持手段と他方の側部を保持する前記保持手段との距離が、乾燥による収縮で示す前記湿潤フィルムの幅よりも小さくなるように、前記距離を下流に向かうに従い漸減させながら各保持手段を走行させることが好ましい。
【0013】
収縮工程は、流延膜を支持体から剥がす剥離工程の次工程であることが好ましく、セルロースアシレートの結晶化度に基づいて、結晶化工程の終了と拡幅工程の開始の各タイミングを決定することが好ましい
【発明の効果】
【0014】
本発明により、冷却流延方式でありながらも、幅方向の屈折率を高め、Reがより大きいセルロースアシレートフィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を実施した溶液製膜設備の概略図である。
【図2】テンタにおける湿潤フィルムの保持状態を示す概略図である。
【図3】テンタにおける湿潤フィルムの縮幅と拡幅とを示す概略図である。
【図4】溶剤残留率と結晶化温度との関係を示すグラフである。
【図5】湿潤フィルムの断面図である。
【図6】結晶化度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ドープのポリマー成分は、セルロースアシレートである。セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、つまりアシル基の置換度(以下、アシル基置換度と称する)が下記式(I)〜(III)の全ての条件を満足するものがより好ましい。なお、(I)〜(III)において、A及びBはともにアシル基置換度であり、Aにおけるアシル基はアセチル基であり、Bにおけるアシル基は炭素原子数が3〜22のものである。
2.5≦A+B≦3.0・・・(I)
0≦A≦3.0・・・(II)
0≦B≦2.9・・・(III)
【0017】
セルロースを構成しβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部がエステル化されて、水酸基の水素が炭素数2以上のアシル基に置換された重合体(ポリマー)である。なお、グルコース単位中のひとつの水酸基のエステル化が100%されていると置換度は1であるので、セルロースアシレートの場合には、2位、3位および6位の水酸基がそれぞれ100%エステル化されていると置換度は3となる。
【0018】
ここで、グルコース単位の2位のアシル基置換度をDS2、3位のアシル基置換度をDS3、6位のアシル基置換度をDS6とする。DS2+DS3+DS6で求められる全アシル基置換度は2.00〜3.00であることが好ましく、2.22〜2.90であることがより好ましく、2.40〜2.88であることがさらに好ましい。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.32以上であることが好ましく、0.322以上であることがより好ましく、0.324〜0.340であることがさらに好ましい。
【0019】
アシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上であってもよい。アシル基が2種類以上であるときには、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基の水素のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位及び6位におけるアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は2.2〜2.86であることが好ましく、2.40〜2.80であることが特に好ましい。DSBは1.50以上であることが好ましく、1.7以上であることが特に好ましい。そして、DSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましいが、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは31%以上、特に好ましくは32%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また、セルロースアシレートの6位のDSA+DSBの値が0.75以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.85以上であることが特に好ましい。
【0020】
炭素数が2以上であるアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどがあり、これらは、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、プロピオニル基、ブタノイル基が特に好ましい。
【0021】
ドープには、レタデーション上昇剤を含ませることができる。レタデーション上昇剤は、特に限定されず、例えば、特開2006−235483号公報の段落[0030]〜[0142]に記載されるものを用いることができる。また、溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤,光学異方性コントロール剤,染料,マット剤,剥離剤等の添加剤についても、同じく同じく特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0022】
ドープの溶剤成分としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが例示される。なお、ここで、ドープとはセルロースアシレートを溶剤に溶解して得られるポリマー溶液である。
【0023】
これらの溶剤の中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく、ジクロロメタンが最も好ましい。そして、TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度、フィルムの光学特性等の特性の観点から、炭素原子数1〜5のアルコールを一種ないし数種類を、ジクロロメタンに混合して用いることが好ましい。このとき、アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2重量%〜25重量%であることが好ましく、5重量%〜20重量%であることがより好ましい。アルコールの好ましい具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノール等が挙げられるが、中でも、メタノール,エタノール,n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0024】
環境に対する影響を最小限に抑えることを目的にした場合には、ジクロロメタンを用いずにドープを製造してもよい。この場合の溶剤としては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いることがある。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−,−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、溶剤として用いることができる。また、溶剤は、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を化学構造中に有するものであってもよい。
【0025】
ドープの製造方法は特に限定されない。しかし、本発明は、流延されたドープからなる流延膜を冷却により固めて剥ぎ取る冷却流延方式であるので、流延膜を乾燥して剥ぎ取る乾燥流延方式の場合のドープよりも、セルロースアシレート等の固形分の濃度が高くなるように、ドープを製造することが好ましい。この方法としては、いわゆるフラッシュ濃縮法を用いることが好ましい。フラッシュ濃縮法とは、目的とする濃度よりも低い濃度のドープを一旦つくり、このドープ11を公知のフラッシュ装置で吹き出させることにより溶剤の一部を蒸発させる方法である。
【0026】
ドープは、セルロースアシレートの濃度が5重量%〜40重量%であることが好ましく、15重量%以上30重量%以下の範囲とすることがより好ましく、17重量%以上25重量%以下の範囲とすることがさらに好ましい。
【0027】
[フィルム製造設備及び方法]
図1はセルロースアシレートフィルムを製造する溶液製膜設備10の概略図である。溶液製膜設備10は、ドープ11から湿潤フィルム12を形成する流延装置13と、湿潤フィルム12の両側端部を保持して湿潤フィルム12の乾燥をすすめるテンタ16と、湿潤フィルム12の両側端部を切り離すスリッタ17と、湿潤フィルム12を複数のローラ18に掛け渡して搬送しながら乾燥してセルロースアシレートフィルム(以降、単にフィルムと称する)14とする乾燥装置19と、フィルム14を冷却するための冷却室22と、フィルム14を巻き取る巻取装置23とを上流側から順に備える。
【0028】
流延装置13には、案内されてきたドープ11を連続的に流出する流延ダイ26と、周面にドープ11が流延されるように流延ダイ26のドープ流出口に対向して配される流延支持体としてのドラム27とを流延室28の内部に備える。
【0029】
流延ダイ26は、ドラム27に向けて流出するドープ11の温度が所定温度に保持されるように、流延ダイ26の周面の温度を制御する温度コントローラ(図示無し)が備えられる。
【0030】
ドラム27は、駆動手段(図示せず)により周方向に回転する。周方向に回転するドラム27の上に流延ダイ26から連続的にドープ11を流出することにより、ドラム27の周面でドープ11が流延されて流延膜31が形成される。
【0031】
ドラム27には、ドラム27に所定の温度の伝熱媒体を供給して、ドラム27の周面温度を制御する温度制御手段32が備えられる。ドラム27の内部には、伝熱媒体の流路(図示せず)が形成されており、その流路中を、伝熱媒体が通過することにより、ドラム27の周面の温度が所定の値に保持されるものとなっている。ドラム27の表面温度は、溶剤の種類、固形成分の種類、ドープ11の濃度等に応じて適宜設定する。
【0032】
ドラム27の回転方向における流延ダイ26の上流側には、空気を吸引する減圧チャンバ33が備えられる。減圧チャンバ33による空気の吸引により、ビードとして流出されたドープ11より上流のエリアを減圧して下流のエリアよりも低い圧力にする。
【0033】
流延装置13には、流延室28の内部温度を所定の値に保つための温調装置(図示せず)と、ドープ11及び流延膜31から蒸発した溶剤を凝縮するためのコンデンサ(図示無し)とが設けられる。また、流延装置13は、流延室28の外部に、コンデンサで液化した溶剤を回収するための回収装置(図示無し)を備える。
【0034】
流延装置13の下流に設けられるテンタ16には、湿潤フィルム12の搬送方向に延び、温度調整された空気を湿潤フィルム12に対して上方から吹き付けるように送り出す送風ダクト36が備えられる。この送風ダクト36は、内部が湿潤フィルム12の搬送方向で複数に区画されており、各区画には湿潤フィルム12の幅方向に延びるスリット(図示せず)が湿潤フィルムの搬送路(以降、単に搬送路と称する)に対向するように形成されている。そして、これらの各スリットから空気が流出する。この空気は、送風ダクト36に接続された送風機37により送風ダクト36に送られる。送風機37には、送風ダクト36の各区画のスリットからの空気の送り出しのオン・オフ、風量、風速、空気の温度及び湿度を制御するコントローラ38が備えられ、このコントローラ38が、区画毎に、送り出す空気の温湿度と空気の流出条件とを独立して制御する。
【0035】
スリッタ17には、連続して切り取られた湿潤フィルム12の側部を細かく切断処理するためのクラッシャ41が備えられる。
【0036】
乾燥装置19には、送風ダクト(図示せず)が備えられ、この送風ダクトは所定温度の気体を送風装置19の内部に適宜供給する。乾燥装置19には、湿潤フィルム12から蒸発した溶剤、すなわち溶剤ガスを吸着して回収する吸着回収装置(図示無し)が接続する。冷却室22には、送風ダクト(図示せず)が備えられ、この送風ダクトは、所定温度の気体を冷却室22の内部に適宜供給する。
【0037】
巻取装置23の内部には、位相差フィルム17を巻き取るための巻取ロール56と、その巻き取り時のテンションを制御するためのプレスローラ57とが備えられている。
【0038】
上記の溶液製膜設備10によりフィルム14を製造する方法の一例を説明する。ドープ11は、伝熱媒体により冷却されたドラム27に流延ダイ26から流延される。流延時におけるドープ11の温度は30〜35℃の範囲で一定、ドラム27の表面温度は−10〜10℃の範囲で一定とされることが好ましい。流延装置13の温度は、温調装置(図示無し)により10℃〜30℃とされることが好ましい。なお、流延装置13の内部で蒸発した溶剤は回収装置42により回収された後、再生させてドープ製造用の溶剤として再利用される。
【0039】
流延ダイ26からドラム27にかけてはドープ11からなるビードが形成され、ドラム27の上には流延膜31が形成される。ビードの様態を安定させるために、このビードに関し上流側のエリアは、所定の圧力値となるように減圧チャンバ33で制御される。
【0040】
流延膜31をドラム27で冷却することによりゲル状にし、固化させる。そして、流延膜31が自己支持性をもつように固まったら、ドラム27から剥ぎ取る。剥ぎ取りは、ドラム27の下流側から湿潤フィルム12を引っ張り、この湿潤フィルム12が搬送路に備えられたローラ42に支持されることにより、なされる。剥ぎ取りは、流延膜31の溶剤残留率の高低に関わらず、流延膜31が搬送に十分な硬さとなっていれば行うことができる。このように、主に乾燥によるのではなく冷却により固化することにより、流延膜31の剥ぎ取りのタイミングを早めることができるようになり、フィルム17の製造速度を35m/分以上、さらには、45m/分以上120m/分以下の範囲にまでアップさせることができる。
【0041】
生産速度をアップさせるほど、剥ぎ取り時の溶剤残留率が高くなる。そこで、生産速度をアップさせるほど、冷却速度、すなわち単位時間あたりに下降する温度の変化量が大きくなるように、冷却することが好ましい。溶剤残留率が320%よりも高い場合には、流延膜31を冷却しても搬送するに十分な硬さとはいえなかったり、テンタ16での拡幅開始までに十分な硬さとはならずに拡幅時に裂けてしまうことがある。また、剥ぎ取り時の溶剤残留率が小さいということは、ドラム27の上でより乾燥させることを意味するので、冷却流延とする意義が薄い。そこで、剥ぎ取り時における流延膜31の溶剤の質量は、固形分の質量を100%としたときに180%以上320%以下であることが好ましい。なお、本発明において溶剤残留率(単位;%)は乾量基準の値であり、具体的には、溶剤の質量をx、流延膜31の質量をyとするときに、{x/(y−x)}×100で求める値である。
【0042】
溶剤を含んだ状態でドラム27から剥ぎ取られた湿潤フィルム12は、テンタ16に案内されると、その両側端部が保持手段としてのピン35に保持されて下流側へ搬送される。この搬送の間に、送風ダクト36から送り出される空気により湿潤フィルム12の乾燥をすすめる。そして、このテンタ16では、後述のように、湿潤フィルム12のセルロースアシレートを結晶化させる結晶化工程、幅方向に収縮させる収縮工程、幅方向に拡げる拡幅工程を実施する。これにより、所期のReを発現させる。
【0043】
なお、湿潤フィルム12の温度は、送風ダクト36から流出される空気により制御される。送風ダクト36のスリットは、フィルム12の搬送路近傍に設けられており、各スリットから流出される空気の温度と湿潤フィルム12の温度とは同じ温度とみなしてよい。なお、テンタ16における温度条件と幅の制御とについては、別の図面を用いて後述する。
【0044】
テンタ16からの湿潤フィルム12は、ピン35で保持されていた両側部をスリッタ17により切断除去される。切り離された両側端部はカッターブロワ(図示なし)により短く切られてクラッシャ41に送られる。クラッシャ41により、側部は細かいチップとなる。チップは再利用する。
【0045】
一方、両側端部を切断除去された湿潤フィルム12は、乾燥装置19に送られて、さらに乾燥され、フィルム14となる。乾燥装置19では、湿潤フィルム12はローラ18に巻き掛けられながら搬送される。乾燥装置19の内部温度は、特に限定されるものではないが、50〜160℃とすることが好ましい。
【0046】
フィルム14は、冷却室22で略室温にまで冷却されてから、巻取装置23に送られ、巻取芯56に巻き取られる。巻き取られるフィルム62の幅は600mm以上であり、本実施形態では1400mm以上2500mm以下の範囲にしてある。また、本実施形態では、製造するフィルム14の厚みを15μm以上100μm以下としてある。
【0047】
図2は、テンタ16の内部の概略図である。テンタ16の内部には、湿潤フィルム12の搬送路に沿って、湿潤フィルム12の両側部を通過させるべき通過路に、複数のピンプレート51を備え、さらに、各ピンプレート51が取り付けられた無端で走行するチェーン52と、チェーンの軌道を決定するレール54と、乾燥装置51(図1参照)とが備えられる。各ピンプレート51は、湿潤フィルム12の保持手段であるピン35を複数有する。テンタ16に送り込まれたフィルム12は、所定の位置に達すると、両側端部にピン35が差し込まれて保持される。
【0048】
レール54にはシフト機構57が備えられる。シフト機構57は、レール54を湿潤フィルム12の幅方向に移動させ、これによりチェーン52は変位する。チェーン52上のピンプレート51は、湿潤フィルム12を保持した状態で湿潤フィルム12の幅方向に移動し、湿潤フィルム12の側部の通過路が決められ、搬送路の所定箇所における湿潤フィルム12の幅方向での張力も制御される。
【0049】
ドラム27から剥ぎ取った直後の湿潤フィルム12は、多量の溶剤を含んでおり非常に不安定であるために、ローラで搬送するのが困難である他、クリップによる把持にも耐えることができない。そこで、本実施形態のように、ピン35で湿潤フィルム12の両側部を突き刺すと、フィルム12を安定的に保持して搬送することができる。
【0050】
図3は、ドラム27からの剥ぎ取りからテンタ16のピンでの保持を解除するまでのフィルム12の説明図である。図3では、湿潤フィルムの幅方向に矢線Xを記し、搬送方向に矢線Yを記す。フィルム12を、矢線X1,X2で示す幅方向に張力を加える。テンタ16において、ピン35(図2参照)によるフィルム12の保持を開始する位置を保持開始位置PK(S)、保持を解除する位置を保持解除位置PK(E)とする。テンタ16の入口は保持開始位置PK(S)よりも下流にあるが図示を略す。なお、テンタ16の出口は保持解除位置PK(E)も下流である。
【0051】
本発明において「湿潤フィルムの幅」とは、湿潤フィルム12の一方の側縁12eから他方の側縁12eまでの距離である実際の全幅から、ピンで保持される保持領域12sの幅を除いた領域12cの幅Wである。
【0052】
湿潤フィルム12は、ドラム27から剥がされてから保持開始位置PK(S)に至るまでの間にも徐々に溶剤が蒸発し、保持開始位置PK(S)で保持されてから保持解除位置PK(E)で保持を解除するまでの間に乾燥がすすめられ、また、このように乾燥がすすむ間に、湿潤フィルム12を構成するセルロースアシレートは徐々に結晶化する。本発明では、この結晶化を促進させて、結晶化をより速くすすめるとともに、結晶化度がより高いレベルにする結晶化工程を実施する。結晶化工程を開始する位置を結晶化開始位置PC(S)、結晶化工程を終了する位置を結晶化終了位置PK(E)とする。
【0053】
湿潤フィルム12は、溶剤が蒸発するに従い、幅方向X、搬送方向Y、厚み方向とで収縮しようとする。つまり、湿潤フィルム12は、乾燥がすすむにつれて幅方向X、長手方向Yで、厚み方向で収縮しようとする。結晶化工程を終了する前の湿潤フィルム12に対して、すなわち、結晶化終了位置PK(E)よりも上流で、湿潤フィルム12の乾燥による幅方向Xでの収縮を妨げないように、ピン35で保持して搬送する収縮工程を実施する。この収縮工程により、湿潤フィルム12の幅Wを狭める。以下、幅Wを狭めることを縮幅と称する。以降、収縮工程を開始する位置を収縮開始位置PN(S)、終了する位置をPN(E)と称する。
【0054】
この収縮工程により、湿潤フィルム12中に既に形成された結晶部を幅方向Xに延ばすように配向させる。この配向により、フィルム14における幅方向Xでの屈折率が増大する。結果として、後の拡幅工程での作用とあいまってReを上昇させることができる。
【0055】
湿潤フィルム12の収縮工程開始時における幅をW1,収縮工程終了時における幅をW2とするときに、W2/W1で求める縮幅率は、目的とする幅方向Xでの屈折率ないしReと、達する結晶化度とに応じて設定する。
【0056】
セルロースアシレートがTACである場合には、縮幅率は、0.8以上0.95以下の範囲で設定することが好ましく、0.80以上0.87以下の範囲で設定することがより好ましく、0.80以上0.83以下の範囲で設定することがさらに好ましい。
【0057】
結晶化工程を終了した後の湿潤フィルム12に対して、すなわち結晶化終了位置PK(E)及び結晶化終了位置PC(E)の下流で、湿潤フィルム12の幅Wを拡げる拡幅工程を実施する。以降、拡幅工程を開始する位置を拡幅開始位置PW(S)、終了する位置をPW(E)と称する。
【0058】
この拡幅工程により、結晶化工程を経ても結晶化されずに残ったセルロースアシレートの非晶部を幅方向Xに延ばすように配向させる。この配向により、フィルム14における幅方向Xでの屈折率がより増大する。結果として、先の収縮工程での作用とあいまってReを上昇させることができる。
【0059】
湿潤フィルム12の拡幅工程開始時における幅をW3,拡幅工程終了時における幅をW4とするときに、W4/W3で求める拡幅率は、目的とする厚み方向での屈折率ないしRthに応じて設定する。厚み方向での屈折率ないしRthをより高くする場合ほど、拡幅率を大きく設定するとよい。
【0060】
セルロースアシレートがTACである場合には、拡幅率は、1.05以上1.40以下の範囲で設定することが好ましく、1.06以上1.25以下の範囲で設定することがより好ましく、1.06以上1.20以下の範囲で設定することがさらに好ましい。
【0061】
以上のように、結晶化工程の終了前に一旦縮幅を実施してから、結晶化工程の終了後に拡幅を実施する。
【0062】
結晶化工程についてより具体的に説明する。図4では、横軸を湿潤フィルム12の溶剤残留率とし、縦軸を温度とする。このように湿潤フィルム12の溶剤残留率と温度との関係を求めると、湿潤フィルム12におけるセルロースアシレートの結晶化温度Tcは、一定ではなく、溶剤残留率が低くなるに従い上昇する。すなわち、湿潤フィルム12におけるセルロースアシレートの結晶化温度Tcは、乾燥がすすむにつれて上昇するので、溶剤が比較的多く含まれる間は、溶剤が多く蒸発した後に比べて、より少ない熱エネルギでセルロースアシレートは結晶化することになる。
【0063】
結晶化温度Tc以上の温度に湿潤フィルム12を昇温させることにより、セルロースアシレートが結晶化する。そこで、結晶化工程の開始時と結晶化工程の終了時との各タイミングを後述の方法で決定したら、決定した結晶化工程の期間中は、湿潤フィルム12の温度を、図4の斜線領域で示すような、Tc以上の温度にする。なお、結晶化工程における湿潤フィルム12の温度の上限値は特に限定されないが、湿潤フィルム12の変形や劣化等が起きないような温度とすることは当然である。
【0064】
セルロースアシレートの結晶化は、溶剤の蒸発速度に対応するセルロースアシレートの乾燥速度が遅いほど、より確実に起こりやすい。これは、図4に示すように、溶剤を多い方がより少ない熱エネルギで結晶化温度Tcに達するからである。ところが、図5に示すように、冷却流延方式で形成される湿潤フィルム12には、表面に、皮状に固形化したスキン層71がそれぞれ形成されてしまうことが多い。スキン層71は、ゲル状である内部層72に比べて溶剤残留率が小さいので、結晶化しにくい。そして、スキン層71の厚みT71は、乾燥速度が速いほど大きくなりやすい。したがって、湿潤フィルム12の全厚みT12のうち、スキン層71の厚みT7をより小さくするほど、結晶化しやすい内部層72の厚みT72が大きいことになり、結晶化されるセルロースアシレートが多くなる。
【0065】
そこで、結晶化工程では、拡幅工程よりも遅い乾燥速度で湿潤フィルム12の乾燥をすすめることが好ましい。ただし、本発明の結晶化工程では、結晶化温度Tc以上に湿潤フィルム12を昇温させるので、乾燥を抑制しつつも昇温させるためには、送風ダクト36からの空気の温度を結晶化温度Tc以上にさせながらも、流量についてはできるだけ低く抑えることが好ましい。このように、結晶化工程では、送風ダクト36からの空気の温度と流量とのバランスをとる。なお、結晶化工程を実施するテンタ16では、蒸発した溶剤を凝縮して回収する場合がある。このような場合には、気体となっている溶剤(以下、溶剤ガスと称する)を凝縮するためのコンデンサの設定温度をより高くすることにより、テンタ16の内部における溶剤ガスの濃度をより高く保持して、乾燥を抑制しつつも昇温させることができる。
【0066】
結晶化工程の開始と終了との各タイミングは以下の方法で求める。湿潤フィルム12には溶剤が含まれていることので、与える熱エネルギのすべてがセルロースアシレートの結晶化に寄与するものではなく、実際には、結晶化がよりすすみやすいタイミングがあるからである。
【0067】
図6では、横軸に時間、縦軸に結晶化度をとる。横軸の左端は、ピン35(図1,図2参照)による保持開始時であり、左端は保持解除時である。まず、結晶化工程を実施せずに、湿潤フィルム12におけるセルロースアシレートの結晶化度と時間との関係を求める。両者の関係は、図6の破線L1のようにグラフで表すことができる。
【0068】
図6に示すように、結晶化度は、ある時点まではほぼ0(ゼロ)であるが、ある時点になると上昇し、やがて上昇がとまって概ね一定になる。結晶化度が上昇しはじめる時点をTM1とし、上昇が止み概ね一定になる時点をTM2とする。そして、TM1を結晶化工程の開始時として決定し、TM2を結晶化工程の終了時として決定する。
【0069】
このように結晶化工程の開始と終了との各タイミングを決定し、結晶化工程を実施すると、セルロースアシレートの結晶化度は、図6の実線L2のようになる。すなわち、TM1からTM2に至る間では、結晶化度がより大きく上昇するようになり、TM2以降に示す結晶化度は、結晶化工程無しの場合に比べて大幅に大きくなる。
【0070】
以上の方法により結晶化工程を実施するタイミングを決定すると、結晶化工程の時間を短く抑えながらも確実に結晶化度を高めることができる。したがって、収縮工程による幅方向での屈折率上昇の効果をより確実に得ることができるとともに、製造効率をより高めることができる。なお、結晶化工程の開始は、TM1よりも早くてもよい。
【0071】
拡幅工程の開始は、結晶化工程の終了のタイミングに応じて決めるとよい。拡幅工程は、結晶化工程が終了した以降であればよいが、製造効率の観点からは、結晶化工程の終了時を拡幅工程の開始時とすることが好ましい。このような場合には、図3における拡幅開始位置PW(S)は、結晶化終了位置PC(E)に一致することになる。以上のように、製造効率の維持ないし向上を図るには、結晶化度に基づいて結晶化工程の終了と拡幅工程の開始との各タイミングを決定することが好ましい。
【0072】
結晶化工程の終了のタイミングが決定すると、収縮工程の終了のタイミングを決める。収縮工程は、前述の通り、結晶化工程の終了前までに終えておくことが好ましい。ただし、収縮工程の終了のタイミングと結晶化工程の終了のタイミングとを一致させてもよい。この場合には、図3における収縮終了位置PN(E)と結晶化終了位置PC(E)とが重なる。したがって、結晶化終了時に収縮工程を終了するとともに拡幅工程を開始する場合には、図3における収縮終了位置PN(E)と結晶化終了位置PC(E)と拡幅開始位置PW(S)とが重なる。
【0073】
なお、収縮工程の終了のタイミングを決めたら、収縮工程の開始のタイミングを決定するとよい。製造効率の観点からは、収縮工程は、流延膜31をドラム27から剥がす剥離工程の次工程とし、テンタ16に導入されるとできるだけ早いタイミングで実施することが好ましい。ただし、湿潤フィルム12をピン35で保持させたら、保持した湿潤フィルム12が幅方向X2でたるまない程度に一旦幅方向X2に張力を付与することが好ましいので、収縮工程を剥離工程の次工程とする場合であっても、たるみを一旦なくすような張力付与は収縮工程の前に実施しておくことが好ましい。
【0074】
なお、収縮工程で、乾燥による幅方向Xでの収縮を妨げないように湿潤フィルム12を搬送するためには、例えば、以下のようにするとよい。まず、乾燥による収縮で示す湿潤フィルム12の幅Wを予め求めておく。一方の側部のピンと他方の側部のピンとの距離が、求めた幅Wよりも小さくなるように、レール54を配する。湿潤フィルム12は、乾燥により幅方向Xで徐々に収縮していくので、ピン間の前記距離を、搬送方向Yの下流に向かうに従い漸減するように、レール54を配する。
【0075】
また、結晶化度は、公知の種々の方法で求めることができる。例えば、示差走査熱量(DSC)測定機を用いる熱分析や赤外線(IR)スペクトルでの分析等である。本実施形態では、このうち、DSC測定機により結晶化度を求めている。
【0076】
以上の方法によると、例えば、従来Reが10.1程度であったフィルムのReを、同じレタデーション上昇剤を同じ含有量となるように用い、さらに同じ結晶化度(DSCで得られる冷却結晶化エントロピーが0.7J/g)としたにも関わらず、30.5にまで上昇させることができることができる。また、本発明によると、レタデーション上昇剤を用いることにより、ReとRthとの組み合わせが異なる種々のセルロースアシレートフィルムを製造することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 溶液製膜設備
11 ドープ
12 湿潤フィルム
13 流延装置
14 フィルム
16 テンタ
35 ピン
57 シフト機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースアシレートが溶剤に溶解したドープを支持体に流延して流延膜を形成し、前記流延膜を前記支持体上で冷却することにより固め、溶剤を含んだ湿潤フィルムとして剥がし、前記湿潤フィルムを乾燥する溶液製膜方法において、
前記湿潤フィルムを乾燥しながら拡幅する拡幅工程と、
前記拡幅工程前に、前記湿潤フィルムを前記拡幅工程よりも遅い乾燥速度で乾燥しながら前記セルロースアシレートの結晶化温度以上に加熱することにより、前記セルロースアシレートの結晶化を促進する結晶化工程と、
前記結晶化工程の終了前に、前記湿潤フィルムの側部を保持して走行する複数の保持手段により、乾燥による幅方向での収縮を妨げないように、保持した前記湿潤フィルムを搬送する収縮工程とを有することを特徴とする溶液製膜方法。
【請求項2】
前記収縮工程では、一方の側部を保持する前記保持手段と他方の側部を保持する前記保持手段との距離が、乾燥による収縮で示す前記湿潤フィルムの幅よりも小さくなるように、前記距離を下流に向かうに従い漸減させながら各保持手段を走行させることを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
【請求項3】
前記収縮工程は、前記流延膜を前記支持体から剥がす剥離工程の次工程であることを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
【請求項4】
前記セルロースアシレートの結晶化度に基づいて、前記結晶化工程の終了と前記拡幅工程の開始の各タイミングを決定することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の溶液製膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−161803(P2011−161803A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27486(P2010−27486)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】