説明

溶着ユニット及び前記溶着ユニットを備えた包装装置

【課題】簡単な構成で、溶着部材が被溶着部材に一定の押圧力を付与できる溶着ユニットを提供する。
【解決手段】被溶着部材101を熱溶着させる溶着部材31と、溶着部材31を、弾性部材36を介して支持する、支持部材32と、溶着部材31が被溶着部材101に接触したことを検知する検知手段37と、溶着部材31が被溶着部材101に対して接離する方向に移動するよう、支持部材32を移動させる駆動手段34と、駆動手段の作動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、検知手段37が溶着部材31が被溶着部材101に接触したことを検知すると、被溶着部材101に向けて支持部材32を所定距離だけ移動させるように、駆動手段34を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物をフィルム帯状体で覆い、被包装物の周囲で前記フィルム帯状体を熱溶着することによって包装する包装装置の溶着ユニット及び前記溶着ユニットを備えた包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙や冊子等の被包装物の左右両側部の周りに、1枚のフィルム帯状体を折り返し、この被包装物の一方の面においてフィルム帯状体の側端同士が重ねられた折り合わせ部を熱溶着し、さらにこの被包装物の前後においてフィルム帯状体を熱溶断して閉塞した包装体が、物流や郵送等に広く用いられている。
【0003】
図9は、このような包装体の一例を示す図である。図9に示されるように、包装体900は、平坦形状の被包装物91がフィルム帯状体92によって包まれている。フィルム帯状体92は、熱溶着された、前端封止部92a及び後端封止部92bを有し、さらに、その一方側の側端92c付近及び他方側の側端92d付近が重ねられた折り合わせ部92eを有している。そして折り合わせ部92eの縦シール部92fにおいて、フィルム帯状体92の側端同士が熱溶着されている。
【0004】
そして、フィルム帯状体の側端同士の熱溶着は、加熱された溶着部材がフィルム帯状体を押圧することによって行われる。ここで、溶着部材がフィルム帯状体を押圧する構成において、特許文献1では、押圧力をロードセルによって検出しながら調整する構成が開示されており、また、特許文献2では、押圧力の調整が可能な構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−264205号公報
【特許文献2】特開2009−143600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、フィルム帯状体(被溶着部材)の側端同士の熱溶着を安定的に行うためには、溶着部材が被溶着部材を押圧する押圧力が一定であることが必要である。特許文献1では、押圧力をロードセルによって検出するため、装置が高価なものとなってしまう。また、特許文献2の構成では、押圧力を増減させることはできるが、フィルム帯状体の種類ごとに厚さが異なるので、押圧力を一定に保つことは困難である。
【0007】
そこで本発明の目的は、簡単な構成で、溶着部材が被溶着部材に一定の押圧力を付与できる溶着ユニット及び前記溶着ユニットを備えた包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1発明は、溶着ユニットが、被溶着部材を熱溶着させる溶着部材と、前記溶着部材を、弾性部材を介して支持する、支持部材と、前記溶着部材が前記被溶着部材に接触したことを検知する検知手段と、前記溶着部材が前記被溶着部材に対して接離する方向に移動するよう、前記支持部材を移動させる駆動手段と、前記駆動手段の作動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段が前記溶着部材が前記被溶着部材に接触したことを検知すると、前記被溶着部材に向けて前記支持部材を所定距離だけ移動させるように、前記駆動手段を制御することを特徴とする。
【0009】
前記第1発明によれば、溶着部材が被溶着部材に接触した後、被溶着部材に向けて支持部材を所定距離だけ移動させるので、弾性部材は一定距離だけ圧縮される。その結果、一定距離圧縮された弾性部材の反力分だけ溶着部材が被溶着部材を押圧することとなり、簡単な構成で、溶着部材が被溶着部材に一定の押圧力を付与できる。
【0010】
前記第1発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(1)前記溶着部材が前記被溶着部材に接触すると変位する可動片を備え、前記検知手段は、前記可動片の変位を検知することによって、前記溶着部材が前記被溶着部材に接触したことを検知する。
(2)前記支持部材は、第1フレームと第2フレームとを備え、前記第1フレームには、前記駆動手段が取り付けられ、前記第2フレームには、前記弾性部材と前記検知手段とが取り付けられ、前記第2フレームは、前記駆動手段によって、前記第1フレームに対して移動するようになっている。
(3)前記構成(2)において、前記溶着部材は、前記第2フレームに対して、前記被溶着部材の搬送方向に対して直交する方向に移動可能となっている。
【0011】
前記構成(1)によれば、検知手段は、溶着部材が被溶着部材に接触したことを直接検知するのではなく、可動片を介して溶着部材が被溶着部材に接触したことを検知するので、高温である溶着部材の熱影響を受けることを防止できる。
【0012】
前記構成(2)によれば、一定の押圧力を付与する構成部材を全て第2フレームに取り付けているので、交換部品である溶着部材を交換する際には、第2フレーム全体を交換することができ、その結果、交換作業を容易とできる。また、第2フレーム全体を交換することによって、溶着部材に対する弾性部材及び検知手段の位置調整を不要とできる。
【0013】
前記構成(3)によれば、溶着部材が被溶着部材の搬送方向に対して直交する方向に移動可能となっているので、溶着部材を、被溶着部材の適切な溶着部位に移動させることができる。
【0014】
本願の第2発明は、前記第1発明の溶着ユニットを備える包装装置である。
【0015】
前記第2発明によれば、簡単な構成で、溶着部材が被溶着部材に一定の押圧力を付与できる包装装置を提供できる。
【発明の効果】
【0016】
要するに本発明によると、簡単な構成で、溶着部材が被溶着部材に一定の押圧力を付与できる、溶着ユニット及び包装装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る包装装置の斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3A】包装部の作動を説明する概略図である。
【図3B】包装部の作動を説明する図3Aの状態に続く概略図である。
【図3C】包装部の作動を説明する図3Bの状態に続く概略図である。
【図3D】包装部の作動を説明する図3Cの状態に続く概略図である。
【図3E】包装部の作動を説明する図3Dの状態に続く概略図である。
【図3F】包装部の作動を説明する図3Eの状態に続く概略図である。
【図3G】包装部の作動を説明する図3Fの状態に続く概略図である。
【図3H】包装部の作動を説明する図3Gの状態に続く概略図である。
【図3I】包装部の作動を説明する図3Hの状態に続く概略図である。
【図3J】包装部の作動を説明する図3Iの状態に続く概略図である。
【図3K】包装部の作動を説明する図3Jの状態に続く概略図である。
【図3L】包装部の作動を説明する図3Kの状態に続く概略図である。
【図3M】包装部の作動を説明する図3Lの状態に続く概略図である。
【図3N】包装部の作動を説明する図3Mの状態に続く概略図である。
【図3O】包装部の作動を説明する図3Nの状態に続く概略図である。
【図4】溶着ユニットの斜視図である。
【図5】図4において支持フレームの一部を外した状態の溶着ユニットを示す正面図である。
【図6】図5の溶着ローラ部分の拡大図である。
【図7】図5のVII−VII断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【図9】包装体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る包装装置10の斜視図である。説明の都合上、被包装物の搬送方向Xの上流側を「前方」、下流側を「後方」として、以下、説明する。
【0019】
図1に示されるように、包装装置10の下部には、被包装物を包装する樹脂製のフィルム帯状体(被溶着部材)101が巻回されたシートロール100が載置される、ロール載置部11が配置されている。包装装置10の上部には、前方から後方に向かって順に、被包装物が載置される供給部12、被包装物がフィルム帯状体で包装される包装部13、被包装物が包装された包装体が排出される排出部14が配置されている。また、包装装置10内には、包装装置10を構成する各ユニットの動作を制御する、制御手段(図示せず)が配置されている。
【0020】
すなわち、制御手段としてのCPU(中央処理演算装置)は、入力操作部や出力表示部が配置された操作パネルや、各ユニットの動作を制御する制御プログラム等を記憶したROM(リード・オンリー・メモリ:フラッシュROM)や、種々のデータを一時的に記憶するRAM(ランダム・アクセス・メモリやハードディスク)や、各種の入出力装置等の動作を制御する。
【0021】
ロール載置部11は、支持ローラ111と支持ローラ112とを備えている。支持ローラ111及び支持ローラ112は、それぞれ、円柱形状であって、包装装置10のフレーム10aに回転可能に支持されている。支持ローラ111は、駆動ローラとしての支持ローラ112にタイミングベルトで連動連結されており、支持ローラ112の回転に連動して同じ方向に回転するよう、フレーム10aに支持されている。シートロール100は、支持ローラ111及び支持ローラ112によって回転自在に支持されており、支持ローラ112の後上方から1枚の帯状のフィルム帯状体101が上方に引き出されるようになっている。
【0022】
供給部12は、被包装物が載置される供給台121と、被包装物の両側縁を規制する側板122と、を備えている。供給台121に載置された被包装物は、側板122によって両側縁が規制され、包装部13に送られる。本実施形態では、被包装物は手動で包装部13に送られるようになっているが、自動供給機構を備えていても良い。供給部12は、包装装置10のフレーム10aに対して、着脱可能に構成されている。
【0023】
排出部14は、包装部13において形成された包装体が載置される排出台141と、排出台141を水平に保持する保持部材142と、を備えている。保持部材142は、排紙台141を保持する状態と保持しない状態とに変更可能となっており、保持部材142が排紙台141を保持しない状態においては、排紙台141は、その下面がフレーム10aに接するように、フレーム10aに折り畳まれるようになっている。
【0024】
図2は、図1のII−II断面図である。包装部13は、前方から後方に向かって順に、フィルム折り部材21と、溶着ユニット30と、第1搬送ユニット40と、溶断ユニット50と、第2搬送ユニット60と、を備えている。フィルム折り部材21は、フィルム帯状体101の左右の側端部を折り返し、側端部同士が重ねられた折り合わせ部を形成するようになっている。溶着ユニット30は、フィルム帯状体101の折り合わせ部に加熱された溶着ローラ(溶着部材)31を押し付け、折り合わせ部のフィルム帯状体101を溶かすことによって、X方向に接着するようになっている。第1搬送ユニット40は、折り合わせ部が溶着されたフィルム帯状体101を後方に搬送し、溶断ユニット50に送るようになっている。溶断ユニット50は、加熱された溶断部材51によって、折り合わせ部が溶着されたフィルム帯状体101をX方向に対して直交する方向(Y方向)に破断、溶着し、後端部及び前端部が封止された包装体を形成するようになっている。第2搬送ユニット60は、封止された包装体を排出部14に送るようになっている。
【0025】
図3A〜図3Oは、フィルム折り部材21を除く包装部13の作動を説明する概略図である。以下、図3A〜図3Oを用いて、包装部13の作動の概要を説明する。図3A〜図3Fは、フィルム帯状体101によって被包装物を包装する前の準備作動を示す図面であり、図3G〜図3Oは、フィルム帯状体101によって被包装物を包装する包装作動を示す図面である。
【0026】
図3Aに示されるように、フィルム折り部材21によって側端部同士が重ねられ折り合わせ部が形成されたフィルム帯状体101は、包装部13の搬送面131に配置される。
【0027】
次に、図3Bに示されるように、第1搬送ユニット40の第1従動ローラ41が下方に移動し、フィルム帯状体101は、第1従動ローラ41及び第1駆動ローラ42によって挟持される。その後、折り合わせ部の溶着を行うために、溶着ユニット30の溶着ローラ31が下方に移動し、フィルム帯状体101に接する。そして、溶着ローラ31が折り合わせ部を溶着すると同時に、折り合わせ部が溶着されたフィルム帯状体101は、第1従動ローラ41及び第1駆動ローラ42によって挟持されて後方に搬送される。
【0028】
フィルム帯状体101が一定量だけ後方に搬送されると、図3Cに示されるように、第2搬送ユニット60の従動ローラ61が下方に移動し、フィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持され、その後、第1従動ローラ41が上方に移動する。そして、フィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持されて後方に搬送される。
【0029】
次に、折り合わせ部の溶着が完了すると、図3Dに示されるように、溶着ローラ31が上方に移動し、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62は、フィルム帯状体101の搬送を停止する。そして、溶断ユニット50の溶断部材51が下方に移動し、フィルム帯状体101を溶断して、フィルム帯状体101の後端封止部が形成される。
【0030】
次に、図3Eに示されるように溶断部材51が上方に移動し、その後、図3Fに示されるように、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62が溶断されたフィルム帯状体101の後側の部分(不要フィルム帯状体)を後方に搬送して除去し、第2従動ローラ61が上方に移動する。これで、フィルム帯状体101によって被包装物を包装する前の準備が完了する。
【0031】
次に、図3Gに示されるように、被包装物110が、フィルム帯状体101内に挿入される。そして、センサ52が被包装物110を検知すると、図3Hに示されるように、第1従動ローラ41が下方に移動し、被包装物110が挿入された状態のフィルム帯状体101は、第1従動ローラ41及び第1駆動ローラ42によって挟持される。
【0032】
次に、図3Iに示されるように、溶着ローラ31が下方に移動し、フィルム帯状体101に接する。そして、溶着ローラ31が折り合わせ部を溶着すると同時に、包装体110が挿入され折り合わせ部が溶着されたフィルム帯状体101は、第1従動ローラ41及び第1駆動ローラ42によって挟持されて後方に搬送される。
【0033】
図3Jに示されるように、被包装物110が挿入されたフィルム帯状体101が一定量だけ後方に送られると、図3Kに示されるように、第2従動ローラ61が下方に移動し、フィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持され、その後、第1従動ローラ41が上方に移動する。そして、包装体110が挿入されたフィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持されて後方に搬送される。
【0034】
次に、センサ52が被包装物110の前端部を検知すると、図3Lに示されるように、被包装物110が挿入されたフィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によってさらに一定距離だけ後方に搬送され、被包装物110の前端部が溶断部材51の後方に位置する。それと同時に、溶着ローラ31が上方に移動する。
【0035】
次に、図3Mに示されるように、溶断部材51が下方に移動し、被包装物110が挿入されたフィルム帯状体101を溶断して、フィルム帯状体101の前端封止部が形成される。その結果、被包装物110がフィルム帯状体101で包装された包装体が形成される。それと同時に、被包装物110が挿入されていないフィルム帯状体101の後端封止部も形成される。
【0036】
次に、図3Nに示されるように、包装体は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持されて後方に搬送される。そして、図3Oに示されるように、第2従動ローラ61が上方に移動する。
【0037】
以後、図3G〜図3Oの動作を繰り返すことによって、包装体が形成される。
【0038】
以下、溶着ユニット30について、その構成をより具体的に説明する。
【0039】
図4は、溶着ユニット30の斜視図である。溶着ユニット30は、溶着ローラ31と溶着ローラ31を支持する支持部材32と、を備えている。支持部材32は、第1フレーム321と、第2フレーム322と、を備えている。溶着ローラ31は、その上方及び側方を、溶着ローラ支持部材33によって覆われており、溶着ローラ支持部材33は、第2フレーム322に取り付けられている。
【0040】
第1フレーム321は、Y方向の両端部321aにおいて、包装装置10のフレーム10aに固定されるようになっている。第1フレーム321の上部にはモータ(駆動手段)34が取り付けられている。モータ34の作動は、制御手段によって制御されるようになっている。
【0041】
図5は、図4において溶着ローラ支持部材33の一部を外した状態の溶着ユニット30を示す正面図であり、図6は、図5の溶着ローラ31部分の拡大図である。図7は、図5のVII−VII断面図であり、図8は、図7のVIII−VIII断面図である。モータ34は、駆動ベルト341を介して駆動軸342を回転させるようになっており、駆動軸342の両端にはそれぞれ偏心部材343が取り付けられている。偏心部材343の偏心部343aは、連結部材344を介して、第2フレーム322のY方向側部と連結されている。そして、第1フレーム321には、Y方向両側部にレール321bがそれぞれ形成されており、第2フレーム322は、レール321bに沿って上下に移動可能となっている。その結果、モータ34が回転し、駆動軸342が回転すると、偏心部材343が回動し、第2フレーム322が第1フレーム321に対して、レール321bに沿って上下に移動するようになっている。
【0042】
図6に示されるように、溶着ローラ31は、座金35にネジによって固定されている。座金35の上部にはバネ(弾性部材)36が設けられており、座金35及びバネ36を挿通する軸351は、その上下の端部において、溶着ローラ支持部材33に固定されている。バネ36の上端は溶着ローラ支持部材33に接するようになっており、バネ36の下端は座金35に接するようになっている。したがって、溶着ローラ31が溶着ローラ支持部材33に向かって移動すると、座金35も溶着ローラ支持部材33に向かって移動し、座金35がバネ36を圧縮するようになっている。
【0043】
図5に示されるように、第2フレーム322には、Y方向に延びる長孔322aが形成されており、溶着ローラ支持部材33は、ネジ322bによって、長孔322aに固定されるようになっている。したがって、溶着ローラ31及び座金35は、バネ36及び溶着ローラ支持部材33を介して、第2フレーム322に支持されるようになっている。また、溶着ローラ支持部材33は、ネジ322bを緩めることによって、長孔322a内においてY方向に移動可能となっており、その結果、溶着ローラ31は第2フレーム322に対してY方向に移動可能となっている。
【0044】
溶着ローラ支持部材33には、センサ(検知手段)37が取り付けられており、センサ37は、可動片38の変位を検知するようになっている。具体的には、センサ37は光センサであり、発光部と受光部とを備えている。そして、センサ37は、可動片38が変位し、発光部から放射された光が可動片38によって遮光され、受光部において発光部から放射された光を受光できなくなると、可動片38の変位を検知する。可動片38は、座金35に固定されており、座金35がバネ36を圧縮して上方に変位すると、上方に変位するようになっている。
【0045】
制御手段は、センサ37が可動片38の変位を検知すると、第2フレーム322が下降する方向に、モータ34を所定量だけ回転させるようになっている。
【0046】
溶着ローラ31は円筒形状を有しており、図7及び図8に示されるように、溶着ローラ31の内部にはヒータ311が設けられている。ヒータ311は、ヒータ電線312を流れる電流によって加熱されるようになっている。ヒータ311が加熱されることによって、溶着ローラ31の外表面も、フィルム帯状体101を溶かす程度の温度に加熱される。溶着ローラ31の外表面には、外径が拡径された凸部31aが3つ形成されており、それぞれの凸部31aがフィルム帯状体101の折り合わせ部を圧接することになる。すなわち、フィルム帯状体101の折り合わせ部には、3つの溶着線が形成されることになる。
【0047】
以下、制御手段が、溶着ローラ31をフィルム帯状体101に圧接させる作動の概要を説明する。
【0048】
図3B又は図3Iに示される、溶着ローラ31によってフィルム帯状体101を溶着する状態になると、制御手段は、溶着ローラ31がフィルム帯状体101に対して離間した状態から、フィルム帯状体101に対して所定の圧力で押圧するまで、モータ34を回転させ、第1フレーム321に対して、第2フレーム322を下降させる。第2フレーム322が下降すると、第2フレーム322に固定されている溶着ローラ支持部材33と共に、溶着ローラ支持部材33に支持されている溶着ローラ31も下降する。
【0049】
溶着ローラ31の凸部31aがフィルム帯状体101に接触すると、溶着ローラ31はフィルム帯状体101から上方向の反力を受け、その結果、溶着ローラ31に固定された座金35がバネ36を圧縮させる。座金35がバネ36を圧縮すると、可動片38が上方に変位し、センサ37が可動片38の変位を検知する。したがって、溶着ローラ31がフィルム帯状体101に接触した後、センサ37が可動片38の変位を検知するまでに、バネ36は若干圧縮(第1段階圧縮)されている。ここで、センサ37が検知するための可動片38の変位の距離は一定であるので、バネ36の第1段階圧縮における圧縮量(第1段階圧縮量)は、フィルム帯状体101の厚さによらず、一定となっている。
【0050】
センサ37が可動片38の変位を検知すると、制御手段は、溶着ローラ31がフィルム帯状体101に接触したと認識し、その状態からさらに、モータ34を所定量だけ回転させる。そして、モータ34が所定量回転することにより、第2フレーム322がさらに所定距離だけ下降する。ここで、モータ34を所定量回転させる前に、溶着ローラ31はフィルム帯状体101に既に接触していたので、その状態から第2フレーム322が所定距離だけ下降することによって、バネ36は、第1段階圧縮に加えてさらに前記所定距離だけ圧縮(第2段階圧縮)されることになる。ここで、第2フレーム322の下降距離は一定であるので、バネ36の第2段階圧縮における圧縮量(第2段階圧縮量)は、フィルム帯状体101の厚さによらず、一定となっている。その結果、溶着ローラ31は、第1段階圧縮量と第2段階圧縮量との合計の圧縮量だけ圧縮されたバネ36の反力分だけ、フィルム帯状体101を押圧することになる。
【0051】
上記構成の包装装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0052】
(1)制御手段は、センサ37が溶着ローラ31がフィルム帯状体101に接触したことを検知した後、モータ34を回転させ、第2フレームを所定距離だけ下降させる。したがって、バネ36は、溶着ローラ31がフィルム帯状体101に接触した後、センサ37が可動片38の変位を検知するまでの第1段階圧縮に加えて、第2フレーム322の所定距離の下降による第2段階圧縮だけさらに圧縮される。ここで、バネ36の第1段階圧縮量及び第2段階圧縮量は、それぞれ、一定である。その結果、一定量圧縮されたバネ36の反力分だけ溶着ローラ31がフィルム帯状体101を押圧することとなり、簡単な構成で、溶着ローラ31がフィルム帯状体101に一定の押圧力を付与できる。なお、第1段階圧縮量は、通常微量であり、且つ、一定量であるので、溶着ローラ31がフィルム帯状体101を押圧する押圧力は、通常、第2段階圧縮量で管理される。また、バネ36は、第1段階圧縮及び第2段階圧縮によって、2段階に圧縮されるようになっているので、フィルム帯状体101の厚さ以外の特性(例えば、延伸率に起因する溶融特性等)による、溶着ローラ31がフィルム帯状体101を押圧する押圧力への影響については、2段階目である第2段階圧縮量によって調整することが可能である。
【0053】
(2)センサ37は、溶着ローラ31がフィルム帯状体101に接触したことを直接検知するのではなく、可動片38を介して溶着ローラ31がフィルム帯状体101に接触したことを検知するので、高温である溶着ローラ31の熱影響を受けることを防止できる。
【0054】
(3)溶着ローラ支持部材33及び溶着ローラ支持部材33に取り付けられている部材(溶着ローラ31、座金35、バネ36、センサ37、可動片38)を全て第2フレーム322に取り付けているので、交換部品である溶着ローラ31を交換する際には、溶着ローラ支持部材33、又は、溶着ローラ支持部材33が取り付けられている第2フレーム322全体、を一体として交換でき、その結果、交換作業を容易とできる。また、溶着ローラ支持部材33又は第2フレーム322全体を交換することによって、溶着ローラ31に対する各部材の位置調整を不要とできる。
【0055】
(4)溶着ローラ31がY方向に移動可能となっているので、溶着ローラ31をフィルム帯状体101の適切な溶着部位(フィルム帯状体101の折り合わせ部)に移動させることができる。なお、上記実施形態では、溶着ローラ31を支持する溶着ローラ支持部材33がY方向に移動可能となっているので、溶着ローラ支持部材33に取り付けられている部材(溶着ローラ31、座金35、バネ36、センサ37、可動片38)を一括してY方向に移動させることができる。したがって、溶着ローラ31をフィルム帯状体101の適切な溶着位置に移動させた場合に、溶着ローラ31に対する各部材の位置調整を不要とできる。
【0056】
上記実施形態では、センサ37は、可動片38の変位によって溶着ローラ31がフィルム帯状体101に接触したことを間接的に検知するようになっているが、センサは、溶着ローラ31がフィルム帯状体101に接触したことを直接的に検知するもの、例えば溶着ローラ31に直接取り付けられるセンサであっても良い。
【0057】
上記実施形態では、溶着ローラ支持部材33は、ネジ322bを緩めることによって、長孔322a内においてY方向に移動可能となっているが、制御手段が自動で溶着ローラ支持部材33をY方向に移動させるようになっていても良い。
【0058】
上記実施形態では、溶着ローラ31には3つの凸部31aが形成されているが、凸部は3つに限定されず、1以上形成されていれば良い。なお、凸部は2以上形成されていることが好ましい。
【0059】
上記実施形態では、フィルム帯状体101の折り合わせ部が水平方向に形成され、折り合わせ部に対して上方から下方に向かって溶着ローラ31を押圧する構成となっているが、本発明は、折り合わせ部が鉛直方向に形成され、折り合わせ部に対して側方から溶着ローラを押圧する構成に適用することも可能である。
【0060】
本発明は、上記実施形態で説明した構成には限定されず、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱することなく、当業者が考え得る各種変形例を含むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明では、簡単な構成で、溶着部材が被溶着部材に一定の押圧力を付与できる溶着ユニット及び前記溶着ユニットを備えた包装装置を提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0062】
10 包装装置 10a フレーム
11 ロール載置部 111 支持ローラ 112 支持ローラ
12 供給部 121 供給台 122 側板
13 包装部 131 搬送面
14 排出部 141 排出台 142 保持部材
21 フィルム折り部材
30 溶着ユニット
31 溶着ローラ 31a 凸部 311 ヒータ 312 ヒータ電線
32 支持部材
321 第1フレーム 321a 両端部 321b レール
322 第2フレーム 322a 長孔 322b ネジ
33 溶着ローラ支持部材
34 モータ 341 駆動ベルト 342 駆動軸
343 偏心部材 343a 偏心部
344 連結部材
35 座金 36 バネ 37 センサ 38 可動片
40 第1搬送ユニット
41 第1従動ローラ 42 第1駆動ローラ
50 溶断ユニット
51 溶断部材
60 第2搬送ユニット
61 第2従動ローラ 62 第2駆動ローラ
101 フィルム帯状体 110 被包装物
900 包装体
91 被包装物
92 フィルム帯状体 92a 前端封止部 92b 後端封止部
92c 一方側の側端 92d 他方側の側端 92e 折り合わせ部
92f 縦シール部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被溶着部材を熱溶着させる溶着部材と、
前記溶着部材を、弾性部材を介して支持する、支持部材と、
前記溶着部材が前記被溶着部材に接触したことを検知する検知手段と、
前記溶着部材が前記被溶着部材に対して接離する方向に移動するよう、前記支持部材を移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の作動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検知手段が前記溶着部材が前記被溶着部材に接触したことを検知すると、前記被溶着部材に向けて前記支持部材を所定距離だけ移動させるように、前記駆動手段を制御することを特徴とする、溶着ユニット。
【請求項2】
前記溶着部材が前記被溶着部材に接触すると変位する可動片を備え、
前記検知手段は、前記可動片の変位を検知することによって、前記溶着部材が前記被溶着部材に接触したことを検知する、請求項1記載の溶着ユニット。
【請求項3】
前記支持部材は、第1フレームと第2フレームとを備え、
前記第1フレームには、前記駆動手段が取り付けられ、
前記第2フレームには、前記弾性部材と前記検知手段とが取り付けられ、
前記第2フレームは、前記駆動手段によって、前記第1フレームに対して移動するようになっている、請求項1又は2に記載の溶着ユニット。
【請求項4】
前記溶着部材は、前記第2フレームに対して、前記被溶着部材の搬送方向に対して直交する方向に移動可能となっている、請求項3記載の溶着ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の溶着ユニットを備える、包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図3M】
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【図3N】
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【図3O】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−103725(P2013−103725A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247201(P2011−247201)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】