説明

溶融法

【課題】ストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉から排出される灰や不燃物等の残渣及び一般廃棄物や産業廃棄物やバイオマス等を溶融して排ガス又はスラグ又はメタルとして再資源化する方法を提供する。
【解決手段】竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等の炉において1200℃以上の高温が達成できる溶融炉を具えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は灰や不燃物等の残渣及び一般廃棄物や産業廃棄物やバイオマス等の溶融に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭から排出される一般廃棄物や工場等から排出される産業廃棄物等はストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉で焼却処理されていた。そのストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉から排出される灰や不燃物等の残渣は最終処分場で埋め立てられていた。
【0003】
さらに、一般家庭から排出される分別ゴミや粗大ゴミなどの不燃物や、工場などから排出される廃プラスチック、焼却灰、汚泥、鉱滓などの産業廃棄物(以下、纏めて廃棄物という。)は焼却処理できないため、埋立て処分されていた。
【0004】
最終処分場においては、管理・運営が非常に重要であることが再認識されているが、従前の開放型処分場では人為的に管理するには困難な条件が多く介在していることも事実で、特に天候による影響や鳥獣・虫等の侵入は実質的に制御不可能である。
【0005】
また、粉塵、臭気等の漏洩、廃棄物の飛散、有害物質の漏出の面で最終処分場の周辺環境を著しく破壊していた。
【0006】
特許文献1に記載された処理方法は、単に焼却灰等の飛散の恐れのあるものを固めただけであり、根本的に廃棄物の抑制や公害の防止に努めていない。
【特許文献1】 特許公開2003−340393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉から排出される灰や不燃物等の残渣を溶融して排ガス又はスラグ又はメタルとして取り出す方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等の炉において1200℃以上の高温が達成できる溶融炉を具えることにある。
【0009】
ストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉から排出される灰や不燃物等の残渣を竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等に投入する。
【0010】
この場合、あらかじめ竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等の炉内温度を1200℃以上に昇温させておく必要がある。
【0011】
竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等に投入したストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉から出た灰や不燃物等の残渣を溶融し炭素や水素等の有機物はガスとなり、無機物はスラグ又はメタルとなる。
このスラグは無害化されており、重金属の溶出やダイオキシン類の除去に非常に有効なため、セメントの混和材や道路の路盤材等に利用ができる。また、メタルも有価物で再資源化できる。
【0012】
一方、溶融炉からの排ガスは、ボイラーでの発電や温水等への余熱利用やガスエンジンやガスタービンでの発電等のエネルギー利用が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、最終処分場への負荷を防止でき、本来、再利用が不可能であった廃棄物を無害化により有効利用(再資源化)することができる。
【0014】
溶融炉から排出されるガスやスラグやメタルは再資源化でき、エネルギー利用に大きく寄与が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、溶融法での一般的な使用方法のフローチャートを示したものである。
【0016】
図1に示す溶融方法は、ストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉と竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等で溶融炉によって構成されている。
【0017】
竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等の溶融炉において1200℃以上の高温が達成できる能力を有することが重要である。そこで使用する燃料は石炭やコークス等の固体燃料が望ましい。
【0018】
ストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉から排出される灰や不燃物等の残渣を、あらかじめ炉内温度を1200℃以上に昇温した竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等の溶融炉に投入する。
【0019】
竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等に投入したストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉から出た灰や不燃物等の残渣を溶融し炭素や水素等の有機物はガスとなり、無機物はスラグ又はメタルとなる。
このスラグは無害化されており、重金属の溶出やダイオキシン類の除去に非常に有効なため、セメントの混和材や道路の路盤材等に利用ができる。また、メタルも有価物で再資源化できる。
【0020】
一方、溶融炉からの排ガスは、ボイラーでの発電や温水等への余熱利用やガスエンジンやガスタービンでの発電等のエネルギー利用が可能である。
【実施例1】
【0021】
本発明の溶融法にて焼却炉から排出される灰や不燃物等の残渣を処理したところ、最終処分場への埋立量がなくなり、その効果が目に見えて良くなったことがわかった。従来との比較を表1に示す。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、今まで高価な建設費用がかかっていた最終処分場の建設の削減や焼却炉から排出される灰や不燃物等の残渣等の運搬や処理の際の飛散等の防止に大きく寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 本発明に従う被覆型最終処分場の気圧コントロールシステムの代表的なフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1 廃棄物
2 ストーカー炉
3 ロータリーキルン炉
4 流動床炉
5 灰や不燃物等の残渣等
6 竪型炉シャフト炉・キュポラ・高炉等の溶融炉
7 排ガス
8 スラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉から排出される灰や不燃物等の残渣を竪型炉・シャフト炉・キュポラ・高炉等で溶融して排ガス又はスラグ又はメタルとして取り出す溶融法。
【請求項2】
ストーカー炉やロータリーキルン炉や流動床炉等の焼却炉へ投入する前の一般廃棄物や産業廃棄物やバイオマス等を直接に竪型炉・シャフト炉・キュポラ・高炉等で溶融して排ガス又はスラグ又はメタルとして取り出す請求項1記載の溶融法。
【請求項3】
請求項1 並びに 請求項2において、竪型炉・シャフト炉・キュポラ・高炉等の炉内の温度を1050℃以上にコントロールして炉内雰囲気をCOとH2ガスを含んだ還元性雰囲気にコントロール制御する方法。
【請求項4】
請求項1、請求項2 並びに 請求項3 において、炉内温度を1050℃以上に制御し、かつ排ガスのCOとH2ガスの濃度を制御することにより、排ガスをエネルギーガスとしてリサイクル制御する方法。
【請求項5】
請求項3 並びに 請求項4 において、炉内を還元性雰囲気にすることにより、従来は酸化金属として排出されていたスラグ溶融物を金属溶融物として排出するリサイクル制御方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−120931(P2007−120931A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337741(P2005−337741)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(598092166)株式会社還元溶融技術研究所 (22)
【Fターム(参考)】