溶融炉,溶融炉の冷却方法及び発電システム
【課題】本発明は溶融炉,溶融炉の冷却方法及び発電システムに関し、灰が流路縮小部に付着しても剥離させることが可能な簡易な構造を提供することを本発明の目的とする。
【解決手段】本発明は、燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、この燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部とを備え、燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を有した溶融炉であって、流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に水冷管を設けたことを特徴とする。
【効果】本発明によれば、灰が流路縮小部に付着しても剥離させることが可能な簡易な構造を提供することができる。
【解決手段】本発明は、燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、この燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部とを備え、燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を有した溶融炉であって、流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に水冷管を設けたことを特徴とする。
【効果】本発明によれば、灰が流路縮小部に付着しても剥離させることが可能な簡易な構造を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶融炉,溶融炉の冷却方法及び発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料を燃焼し燃料内の灰分を溶融させる溶融炉は、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部に燃焼ガスの流路が縮小する流路縮小部を有する場合が多い。流路縮小部を有することで、燃焼ガスが流路縮小部で攪拌され、一酸化炭素などの未燃分を低減させることができる。
【0003】
そこで、特許文献1には、流路縮小部の燃焼室側壁面に耐火材を設け、耐火材の外周側に水冷管を設けた溶融炉を開示する。
【0004】
【特許文献1】特開平5−296434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が対象とする溶融炉は、灰を溶融させるために、炉内温度を灰の融点以上に維持する必要がある。しかし、特許文献1に記載された技術は、壁温が高くなると飛灰が熱のために軟化するため、飛灰が耐火材に付着しやすくなる。このため、流路縮小部に灰が付着して、燃焼ガス排出部が閉塞する可能性を有する。燃焼ガスが流路縮小部で攪拌されることにより、燃焼ガスに含まれる灰が流路縮小部の壁面に付着するためである。
【0006】
よって、本発明の目的は、灰が流路縮小部に付着しても剥離させることが可能な簡易な構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に水冷管を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、灰が流路縮小部に付着しても剥離させることが可能な簡易な構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、固体燃料を燃料とし、燃焼ガス排出部に流路縮小部を有する溶融炉において、飛灰が流路縮小部に付着しても当該排出部が閉塞することなく安定に運転を継続する発明に関する。
【実施例1】
【0010】
図11は、溶融炉を使用した発電システムの系統図である。ごみ112は、熱分解炉
113に供給され、熱分解ガス114を生成する。この熱分解ガス114は、熱分解ガスバーナ115に供給され、燃焼される。そして、熱分解ガスバーナ115が、燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、熱分解ガスバーナ115の下流側に設けられた過熱器109で、溶融炉200が生成する蒸気を過熱した後、煙突116を通じて外部に放出される。
【0011】
一方、溶融炉200には燃焼用酸化剤1と燃料2が供給され、燃焼用酸化剤1と燃料2は燃焼室3で燃焼される。そして、溶融炉200は燃料2の灰分を溶融スラグとして排出するとともに、燃焼熱を発生させる。溶融炉200は、燃焼熱から蒸気を生成するために、燃焼室3の外周側に水冷管5が設けられ、水冷管5の上流側に気水分離器100が設置されている。
【0012】
気水分離器100の水は、下降管108を流れ、溶融炉200の燃焼室下部に設けられた燃焼室下部ヘッダ106に供給される。燃焼室下部ヘッダ106は、燃焼室3の外周側を囲むようにして設けられた、水を貯留する空間である。そして、燃焼室下部ヘッダ106から複数の水冷管5が上方向に分岐して配列されており、水冷管5は燃焼室上部の燃焼室上部ヘッダ104で再び合流する。このとき、水が水冷管5を流れる際に、燃焼室3で発生する燃焼熱によって加熱され、水と蒸気の混合流体となる。なお、水冷管内の水は飽和状態であり、液体が蒸気になるときの蒸発潜熱によって燃焼熱を吸収する。従って、水冷管を流れる水の温度は260℃で一定となる。燃焼室上部ヘッダ104に集められた水と蒸気は、上昇管107を通じて気水分離器100に供給される。
【0013】
同様に、燃焼室3の上部に設けられた燃焼ガス排出部にも水冷管14が設置されている。そして、燃焼ガス排出部の水冷管14の上流側に燃焼ガス排出部下部ヘッダ103が設けられ、下流側に燃焼ガス排出部上部ヘッダ101が設けられている。気水分離器100の水が、2つのヘッダを流れた後に気水分離器100へ戻る系統は、燃焼室3と同様である。
【0014】
このように、溶融炉200の水冷管5及び14で加熱された水と蒸気の混合流体は、気水分離器100において水と蒸気に分離される。そして、蒸気は、気水分離器100の下流側に設けられた過熱器109で更に過熱された後に、蒸気タービン110を駆動する。蒸気タービン110と発電機111は、同軸の回転軸に接続されており、発電機111によって発電を行うことが可能である。
【0015】
図1は、図11の発電システムにおける溶融炉断面を表す図である。本実施例で示す溶融炉200とは、燃焼用酸化剤(空気,酸素,酸素富化空気など)を使用して、粉砕された固体燃料(石炭や炭化物など)を燃焼させ、その燃焼熱で固体燃料(石炭や炭化物など)の灰分を溶融スラグ化する装置である。溶融炉を用いると、灰分のスラグ化により、溶融炉の下流へ飛散していく飛灰量が少なくなる。これにより、溶融炉下流側にある飛灰処理装置の負荷が少なくなることや、スラグ化により灰の容積が小さくなり、灰捨て場の容積が小さくて済むことなどの利点がある。溶融炉200のうち最も熱負荷が高い燃焼室3
(通常1200℃〜1800℃程度)の内壁4は、耐火材121bで構成される。内壁4は、耐火材121bの溶損防止と収熱の観点から、水冷管5などで冷却することが多い。
【0016】
なお、水冷管5の上流側と下流側には、それぞれ燃焼室下部ヘッダ106と燃焼室上部ヘッダ104を備える。そして、気水分離器100からの水が、燃焼室下部ヘッダ106に供給された後、水冷管5を流れる際に、燃焼熱を吸収する。その後、燃焼室上部ヘッダ104に集められた水と蒸気の混合流体は、再び気水分離器100に戻される。
【0017】
溶融炉200の燃焼室3は円筒形で構成される。燃焼用酸化剤1は、内壁4の接線方向に設置された1本以上の燃焼用酸化剤供給配管6から供給される。また、粉砕された燃料2は、空気等のガスで搬送し、燃焼用酸化剤供給配管6の下部に設置した燃料供給配管7から供給する。図3は、図1のDD′断面図を示す。図3では、燃焼用酸化剤供給配管6と燃料供給配管7は同位相に配置しており、それぞれ4本の例を示した。ここで、燃焼室の壁面における接線方向とは、燃焼室3の水平断面における内壁4の接線方向をいう。なお、燃焼室の内部に燃料と酸化剤との旋回流が生じる角度であれば、燃焼用酸化剤供給配管6や燃料供給配管7を下方向に傾斜させても良い。
【0018】
溶融炉200の下部には溶融炉底部120が設けられ、溶融炉底部120の中央部にスラグ排出口9を備える。このスラグ排出口9により、燃焼室3で生成したスラグ11が排出される。スラグ排出口9の直下には、水槽10が設けられており、水槽10で冷却されたスラグ11を回収する。
【0019】
円筒状の内壁4は、溶融炉底部120の上側に形成され、内壁4の外周側に水冷管5が配置されている。燃焼室3は、内壁4によって囲まれた空間である。燃焼室3の上部には、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部202が設けられている。この燃焼ガス排出部202には、流路縮小部13とディフューザ部201が形成されている。流路縮小部13は、内部の燃焼ガスを攪拌させる機能を有する。そして、流路縮小部13の下端部は燃焼室3と連通する部分であり、流路縮小部13の上端部はディフューザ部201と連通する部分である。また、ディフューザ部201は、流路縮小部13で流速が早くなった燃焼ガスの流速を低下させ、当該領域に存在する燃焼ガス及び固体燃料中の滞留時間を延ばす。これにより、燃焼ガス及び固体燃料中の未燃分が完全燃焼し、下流へ有害な未燃ガスが流れる割合が減少する。また、燃焼ガスの流速低下によって、粒径の大きな飛灰が下流に流れる割合が減少し、下流の灰処理設備の負担を軽減することが可能になる。そして、ディフューザ部201の下端部は流路縮小部13と連通する部分であり、ディフューザ部201の上端部は燃焼ガス排出部上部ヘッダ101である。
【0020】
流路縮小部13によって形成される流路は、下流に向かうほど縮小する円錐形状をしている。また、流路縮小部13の上側に設けられたディフューザ部201は、下流に向かうほど流路が拡大している。ここで、燃焼室3からディフューザ部201へ向かう方向に対して、上流側及び下流側と定義する。また、流路縮小部13を構成する下部壁面に設けられた壁面16は耐火材121aによって形成され、その壁面16が燃焼室側に面している。これに対して、流路縮小部13を構成する上部壁面に設けられた壁面18は、水冷管
14によって形成されている。そして、耐火材及び水冷管によって形成された流路縮小部13の内壁面は、溶融炉の水平方向に対して角度θ傾斜している。流路縮小部13の上部には、ディフューザ部122が設けられており、溶融炉内の燃焼ガスが排出される。ディフューザ部122の内壁面は水冷管14を有する。
【0021】
図2は、図1における燃焼ガス排出部の断面を示した図である。流路縮小部13に灰が付着することを抑制するためには、基礎実験から得られた知見により、壁面の表面温度を約300℃以下にすればよいことが分かった。そこで、図2のAA′断面に示すように、流路縮小部13を構成する流路内壁の一部が水冷管14で形成されているため、壁面18を300℃以下にすることができる。そのため、壁面18に灰が付着することを抑制できる。また、BB′断面に示すように、流路縮小部13に形成された流路内壁の一部には、耐火材121aが配置されている。そのため、燃焼室3から熱を吸収する量を低減させることができる。なお、CC′断面に示すように、ディフューザ部201は水冷管14の間を鉄板203でつないだ構造となっている。
【0022】
ここで、溶融炉内部の燃焼ガスの流れについて説明する。燃焼用酸化剤1は燃焼室内を旋回する流れを形成し、その一部が下降する流れ8となる。燃焼室3に供給した燃料2のうち、遠心力の影響をうける大きな燃料は、燃焼室内の内壁面に沿って下降する。そして、当該燃料は、溶融炉底部120に設けられたスラグ排出口9の上部付近で旋回しながら長時間滞留する。なお、燃焼室3の中央へ移動する燃料の粒径は、概ね局所の遠心力と向心力の大小関係で決まる。理論上は以下の式(1)を満たす粒径Dpの粒子が中央方向に移動する。
【0023】
【数1】
μ:粘性係数、V:粒子が存在する位置の半径方向内向きの速度
R:粒子が存在する半径位置、ρ:ガス密度
W:粒子が存在する位置の周方向速度
【0024】
燃焼室3が予め燃料2の着火温度以上に加熱されていれば、燃料2はすぐに燃焼を始める。燃料2は、揮発分・固定炭素分・灰分を有し、可燃分である揮発分・固定炭素分が燃えた後、灰化する。燃焼室3における燃焼温度は、燃料2の灰分が溶融する融点以上となる。そのため、長時間滞留した燃料中の灰分は、溶融をはじめる。溶融した灰はスラグとなり、スラグが燃焼室3の内壁4から溶融炉底部120に沿って流れ、スラグ排出口9から排出される。スラグ排出口9の下には水槽10があり、滴下したスラグ11が急冷された後、回収される。
【0025】
一方、燃焼ガス12は燃焼室3の溶融炉底部120で反転し、炉中央部を通って上昇する。上昇した燃焼ガス12は、燃焼室3の内壁4の近傍を上昇してきた燃焼用酸化剤1の一部と、流路縮小部13で混合される。このとき、燃焼ガス中の未燃分である一酸化炭素や、燃焼ガス12に同伴され完全に燃えきらなかった燃料などは、燃焼用酸化剤1の流量を調整することで、完全に酸化させることが可能である。燃焼によって生じた熱は、燃焼室3の内壁4の外周側に配置された水冷管5や、炉上部にある水冷管14で回収し、蒸気を生成する。この蒸気は気水分離器100に供給され、発電などに利用可能である。本実施例において、燃料2は燃焼用酸化剤1と別の配管から供給しているが、同軸配管から供給するバーナタイプとしても良い。
【0026】
本実施例の溶融炉では、流路縮小部3を構成する下部内壁に耐火材121aを設け、上部内壁に水冷管14を設けている。燃焼用酸化剤1と燃料2が溶融炉底部120で燃焼した後に燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスが反転し、ディフューザ部201に向かう燃焼ガスの流れに対して、流路縮小部13を構成する下部内壁には耐火材121aが設けられ、上部内壁に水冷管14が配置されている。なお、本実施例において、溶融炉底部120からディフューザ部201への向きを燃焼ガス主流方向とし、図1の矢印204に示す方向とする。
【0027】
このとき、粒径の小さな灰粒子15は遠心力も小さく、燃焼ガス12に同伴する。同伴された灰粒子15は、流路縮小部13において、灰粒子15の一部が耐火材121aの壁面16に付着する。灰は水冷管に比べ、耐火材に付着しやすいことを実験的に確認している。図4のように付着した灰17は、燃焼ガス12の流れに沿って積層し、中央方向に伸びていく可能性がある。しかし、耐火材121aの壁面と水冷管14の壁面との境界が、流路縮小部13に設けられているため、仮に耐火材121aの壁面に付着した灰17が厚くなっても、灰17は水冷管14の壁面18から剥離させることが可能である。水冷管の壁面18は300℃以下であるため、灰付着を抑制することができるからである。このように、流路縮小部13の一部を水冷管にするという簡易な構造で、付着した灰を自然に剥離させることができる。そして、剥離した灰は自重で落下するため、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部の閉塞を抑制することができる。
【0028】
なお、流路縮小部13を構成する上流側の壁面16が耐火材121aであるため、金属の水冷管より耐久性が向上する利点も有する。
【0029】
また、円錐状に形成された流路縮小部13において、断面積が広い上流側が耐火材121aであるため、燃焼ガス12から吸収される熱量が少なく、燃焼室における燃焼ガス温度の低下を抑制できる。ここで、流路縮小部13の壁面が全て水冷管で構成された場合と、全て耐火材によって構成された場合とを比較して説明する。
【0030】
本発明が対象とする溶融炉において、炉内温度は、灰を溶融するために灰の融点以上に維持する必要がある。そのため、流路縮小部13の壁面が全て水冷管で構成された場合、空気比を変更しないで燃焼ガス温度を維持するためには、水冷管によって吸収される熱量が多い分だけ燃料の発熱量を多くする必要がある。空気比とは、単位重量の燃料を完全酸化させるのに必要な酸素量(理論酸素量)に対して、実際の燃焼に使用した酸素量によって表された比である。そのため、燃料組成が変わらない場合、燃料量及び燃焼用酸化剤
(例えば空気)の量を増加させる必要がある。従って、流路縮小部を全て耐火材によって構成する場合と比べ、燃料と燃焼用酸化剤の供給装置が大型化する問題がある。また、バーナが流路縮小部の近くに配置されていると、燃焼室内の火炎の輻射により、燃焼室の下流側壁面の熱負荷が高くなる可能性がある。これに伴い、流路縮小部の上流側の方が下流側よりも熱負荷が高くなり、流路縮小部の上流側に配置された水冷管壁に高温腐食が発生する可能性がある。
【0031】
一方、流路縮小部13の壁面を全て耐火材によって構成した場合、灰の付着が問題となる。そこで、本実施例では、流路縮小部3を構成する燃焼ガス主流方向上流側の内壁に耐火材121aを設け、下流側の内壁に水冷管14を設けることにより、灰が流路縮小部
13に付着しても自然に剥離させることが可能となる。
【0032】
なお、流路縮小部13を構成する上流側の壁面16と下流側の水冷管14による内壁
18との断面積比率は、水冷管14による燃焼ガス温度の低下を抑制すると共に、水冷管14の表面温度が高温腐食領域に該当しないように考慮することが望ましい。従って、断面積比率は溶融炉運転時の温度を解析などで予測した後に、設計しなければならない。
【0033】
また、流路縮小部13に設けられた、耐火材121aの壁面16と水冷管14の壁面
18との境界は、流路縮小部13の燃焼ガス主流方向高さに対して、中間位置よりも上側に設けることが望ましい。当該中間位置よりも下側に境界を設けると、水冷管14によって熱を吸収する量が多くなり、溶融炉の効率が低下するためである。
【0034】
そして、図4に示すように、水冷管14によって形成された流路縮小部13の壁面18の距離205は、付着した灰が自然に落下できる程度の距離を確保できれば、短い方が望ましい。当該距離を短くするほど、水冷管14によって熱を吸収する量が少なくなるからである。なお、流路縮小部13の壁面18の距離205は、流路縮小部13における水冷管の長さに相当する。
【0035】
また、本実施例では、耐火材121aの壁面16が、燃焼空気下流側に縮小する円錐状の空間を形成する。ここで、第1の比較例として、流路縮小部13の壁面16が燃焼室3の内壁4と直角に交差する図5について説明する。図5の場合、燃焼室3の上部に2次流れ19が生じる。この2次流れ19の内部に飛灰の灰粒子15が流入すると、飛灰が長時間この領域に滞留する可能性が高い。そして、灰粒子15が壁面と衝突することで、壁面が削れていく可能性がある。
【0036】
一方、本実施例のように流路縮小部13を構成する上流側壁面の耐火材121aを角度θだけ傾斜させることにより、2次流れ19が生じにくくなり、飛灰が燃焼室3の上部に滞留しない。流路縮小部13の傾斜角20を大きくするほど、2次流れの大きさを小さくすることができる。また、2次流れ19を生じさせないためだけに設計するのであれば、傾斜角20は概ね80°以上とすれば良い。ただし、大きな傾斜角を採用すると、構造が大型になる。また、2次流れ19の発生は、流路縮小部13の傾斜角20だけでなく、絞り径比、燃焼ガス12の流速とも関係する。ここで、絞り径比とは、燃焼室の内径に対する流路縮小部13の最小径の割合である。従って、最小傾斜角の設定は、実験等で確認した上で設定することが望ましい。なお、傾斜角20は、約30°以上であれば問題が生じないことを基礎実験で確認している。実機設計において、傾斜角20は30〜60°程度がよい。そして、装置形状の観点から、絞り径比が大きいときは傾斜角20を大きくする必要があり、絞り径比が小さいときは傾斜角20を小さくすることが可能になる。
【0037】
また、本実施例では、耐火材と水冷管の壁面が、燃焼空気下流側に縮小する円錐状の空間を形成する。ここで、図10は、流路縮小部13の内壁面が水平となっている、第2の比較例を示す図である。流路縮小部13の内壁面が燃焼室壁面に対して垂直に形成されている場合、流路縮小部に配置された水冷管は水平あるいは水平に近い状態となる。そのため、重力の影響により、水が水冷管の下側を流れ、蒸気が水冷管の上側に分離して流れるという特有の流動様式となる可能性がある。一般に、水冷管の管壁温度が過度に上昇することを防止する観点から、水冷管の内面はできるだけ液に接することが望ましい。従って、水冷管の水平部では、気相と液相が分離する流れを生じないようにしなければならない。このため、水冷管を傾斜させることで、水冷管の健全性を維持することができる。また、本実施例では、燃焼ガス排出部下部ヘッダ103から流路縮小部13の壁面18に至る水冷管の水平部には、ボイド率(蒸気の比率)の低い水を入れることにより、水と蒸気が管内で分離することを抑制することができる。
【0038】
また、本実施例の溶融炉では、燃焼室を内部に形成する燃焼室壁面である内壁4と、燃焼室壁面に設けられた第1の水冷管5と、流路縮小部13を構成する下部内壁に耐火材
121aを設け、上部内壁に第2の水冷管14とを備える。ここで、燃焼室壁面及び流路縮小部に1系統の水冷管を配置した場合を比較例として説明する。
【0039】
水冷管が1系統の場合、図12のように、燃焼室側に必要な水冷管5の本数と流路縮小部13で内壁を構成するために必要な水冷管14の本数が異なる。燃焼室側の水冷管本数で炉を構成する場合、流路縮小部13は円を構成する配管の数を変更しなければならず、配管の曲げなどを工夫する必要がある。これにより、製作コストが増加する。また、燃焼室側と流路縮小部との間で、配管の熱負荷が異なる可能性があるので、隣り合う配管で熱応力が発生する可能性がある。
【0040】
一方、流路縮小部13の水冷管の本数を基準に燃焼室側の水冷管を配置する場合、水冷管が燃焼室側で必要とする数に足りず、水冷管同士の間隔が大きくなる。そのため、水冷管5が燃焼熱を十分に回収できない。従って、水冷管を2系統に分けることにより、燃焼室3及び流路縮小部13にそれぞれ適した本数で、水冷管を配置することができる。
【0041】
また、水冷管を2系統にすることで、水冷管の水平部が燃焼室に面しないよう配置することも可能となる。燃焼室に面する水冷管が傾斜するように配置されるため、水冷管の内面ができるだけ液に接するように構成される。そのため、水冷管の健全性を維持することもできる。
【0042】
そして、本実施例の溶融炉では、燃焼室3の壁面における接線方向に沿って燃料及び燃焼空気を供給する供給口と、燃料及び燃焼空気とを旋回燃焼させる燃焼室3を内部に形成する燃焼室壁面と、燃焼室壁面の外周側に設けられた第1の水冷管5と、流路縮小部13を構成する下部内壁に耐火材121を設け、上部内壁に第2の水冷管14とを備える。このように、旋回式溶融炉において、本実施例の流路縮小部13を用いることにより、灰が燃焼ガスの遠心力により流路縮小部13の壁面に付着した場合にも、自然に剥離させることが可能となる。
【0043】
また、図11に示すように、本実施例の溶融炉を発電システムに使用することで、溶融炉の燃焼ガス排出部が灰で閉塞し、発電システムが停止することを抑制することができる。
【実施例2】
【0044】
図6は、流路縮小部13と燃焼室3との間から低温のガス23を供給する場合における、溶融炉断面図である。
【0045】
本実施例では、流路縮小部13を構成する上流側の耐火材121aの壁面16と燃焼室3の内壁4との間に、ガス供給口24を設ける。前述のように、燃焼室3から上昇してくる燃焼ガス12には灰粒子15が含まれているため、灰粒子15が流路縮小部13の耐火材121aの壁面16に付着する可能性が高い。このとき、ガス供給口24から低温のガス23を燃焼室3に供給すると、ガス23が流路縮小部13の内壁に沿って下流側に流れる。そのため、耐火材121aの壁面16の表面が冷却されて、灰粒子15が耐火材121aの内壁につきにくくなる効果がある。
【0046】
また、耐火材121aの壁面16の表面付近には低温のガス23が流動するため、燃焼ガス12が耐火材121aの壁面16近傍を流動できない。そのため、低温のガス23は、灰粒子15の付着量を低減させる効果もある。
【0047】
なお、低温のガス23は空気やプラント内で生じた低温の排ガスなどでよい。流路縮小部13の壁面16の温度は、灰が付着しにくくなる温度域まで低下させる必要がある。そのため、低温ガスの温度は常温から500℃程度の範囲が好ましい。
【0048】
また、ガス供給口24の位置が燃焼室3に近づくと、低温のガスが燃焼室内に混入し、燃焼室3の温度低下や燃焼不良を引き起こす可能性がある。そのため、出来る限り流路縮小部13に近い位置から低温のガス23を供給することが望ましい。
【実施例3】
【0049】
図7は、流路縮小部13を構成する耐火材121aと水冷管14の間から低温のガス
23を供給する溶融炉の断面図である。
【0050】
本実施例は、流路縮小部13を構成する上流側の耐火材121aの壁面16と下流側に設けられた水冷管14との間に低温のガス投入口24を設ける。この場合、耐火材121aの壁面16と水冷管14との間に生じる間隔によって、付着した灰17がガス供給口24より下流側に伸長しない。また、実施例2に比べて燃焼室3よりも離れた位置からガスが供給されるので、低温のガス23が燃焼室3へ混ざる可能性が低い。
【0051】
さらに、本実施例では、低温のガス23が燃焼室内の熱で加熱されることなく、流路縮小部13の水冷管14の表面近傍を流れる。そのため、低温ガスによる冷却能力が高く、水冷管14への灰付着抑制に大きな効果を発揮できる。
【実施例4】
【0052】
図8は、流路縮小部13の出口から低温のガス23を水平方向に供給する溶融炉の断面図を示す。
【0053】
本実施例は、流路縮小部13の出口であって、流路縮小部13とディフューザ部201との間にガス供給口24を設ける。流路縮小部13に付着した灰17が大きくなった場合に、灰17の自重で脱離させることができる。ガス供給口24から噴出した低温のガス
23は、流路縮小部13の水冷管14の壁面18に伸びてきた灰17に吹き付けることで、水冷管14から剥離させる効果がある。低温ガス23の流速や流量を大きくすると剥離効果が大きくなるので、高圧空気などを用いても良い。また、灰17が大きくなってから付着灰を剥離させることが可能であるため、ガス供給装置が常に低温のガス23を噴出する必要がなくなる。そして、ガス供給装置が低温のガス23を供給するために必要な動力を低減させることができる。なお、ガス供給口24は、図9のように、燃焼室3の下部方向に向けて供給する構造としても良い。ガス供給口24が燃焼室3の下部方向に向けて低温ガスを供給することで、灰17の剥離効果をより高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の流路縮小部構造を有した溶融炉の断面図である(実施例1)。
【図2】燃焼ガス排出部の水平断面を表した図である。
【図3】溶融炉の空気投入口配置の断面図である(実施例1)。
【図4】流路縮小部の灰付着形態の例示である(実施例1)。
【図5】流路縮小部の耐火材壁面と燃焼室の壁面とが垂直である時の流動模式図である(実施例1)。
【図6】流路縮小部の耐火材と燃焼室との間から低温ガスを供給する構造を有した溶融炉の断面図である(実施例2)。
【図7】流路縮小部の耐火材と水冷管との間から低温ガスを供給する構造を有した溶融炉の断面図である(実施例3)。
【図8】流路縮小部の出口から低温のガスを供給する構造を有した溶融炉の断面図である(実施例4)。
【図9】流路縮小部の出口から低温のガスを供給する構造の変形例を有した溶融炉の断面図である(実施例4)。
【図10】流路縮小部の水冷管に水平部を有する場合に、水冷管の内部を流れる水の現象を表した図である。
【図11】本発明の溶融炉を含む発電システムの系統図である。
【図12】水冷管が1系統である場合の問題点を示した図である。
【符号の説明】
【0055】
1…燃焼用酸化剤、2…燃料、3…燃焼室、4…内壁、5,14…水冷管、6…燃焼用酸化剤供給配管、7…燃料供給配管、9…スラグ排出口、12…燃焼ガス、13…流路縮小部、16,18…壁面、17…灰、23…ガス、24…ガス供給口、100…気水分離器、101…燃焼ガス排出部上部ヘッダ、103…燃焼ガス排出部下部ヘッダ、104…燃焼室上部ヘッダ、106…燃焼室下部ヘッダ、110…蒸気タービン、111…発電機、120…溶融炉底部、121a,121b…耐火材、201…ディフューザ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は溶融炉,溶融炉の冷却方法及び発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料を燃焼し燃料内の灰分を溶融させる溶融炉は、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部に燃焼ガスの流路が縮小する流路縮小部を有する場合が多い。流路縮小部を有することで、燃焼ガスが流路縮小部で攪拌され、一酸化炭素などの未燃分を低減させることができる。
【0003】
そこで、特許文献1には、流路縮小部の燃焼室側壁面に耐火材を設け、耐火材の外周側に水冷管を設けた溶融炉を開示する。
【0004】
【特許文献1】特開平5−296434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が対象とする溶融炉は、灰を溶融させるために、炉内温度を灰の融点以上に維持する必要がある。しかし、特許文献1に記載された技術は、壁温が高くなると飛灰が熱のために軟化するため、飛灰が耐火材に付着しやすくなる。このため、流路縮小部に灰が付着して、燃焼ガス排出部が閉塞する可能性を有する。燃焼ガスが流路縮小部で攪拌されることにより、燃焼ガスに含まれる灰が流路縮小部の壁面に付着するためである。
【0006】
よって、本発明の目的は、灰が流路縮小部に付着しても剥離させることが可能な簡易な構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に水冷管を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、灰が流路縮小部に付着しても剥離させることが可能な簡易な構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、固体燃料を燃料とし、燃焼ガス排出部に流路縮小部を有する溶融炉において、飛灰が流路縮小部に付着しても当該排出部が閉塞することなく安定に運転を継続する発明に関する。
【実施例1】
【0010】
図11は、溶融炉を使用した発電システムの系統図である。ごみ112は、熱分解炉
113に供給され、熱分解ガス114を生成する。この熱分解ガス114は、熱分解ガスバーナ115に供給され、燃焼される。そして、熱分解ガスバーナ115が、燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、熱分解ガスバーナ115の下流側に設けられた過熱器109で、溶融炉200が生成する蒸気を過熱した後、煙突116を通じて外部に放出される。
【0011】
一方、溶融炉200には燃焼用酸化剤1と燃料2が供給され、燃焼用酸化剤1と燃料2は燃焼室3で燃焼される。そして、溶融炉200は燃料2の灰分を溶融スラグとして排出するとともに、燃焼熱を発生させる。溶融炉200は、燃焼熱から蒸気を生成するために、燃焼室3の外周側に水冷管5が設けられ、水冷管5の上流側に気水分離器100が設置されている。
【0012】
気水分離器100の水は、下降管108を流れ、溶融炉200の燃焼室下部に設けられた燃焼室下部ヘッダ106に供給される。燃焼室下部ヘッダ106は、燃焼室3の外周側を囲むようにして設けられた、水を貯留する空間である。そして、燃焼室下部ヘッダ106から複数の水冷管5が上方向に分岐して配列されており、水冷管5は燃焼室上部の燃焼室上部ヘッダ104で再び合流する。このとき、水が水冷管5を流れる際に、燃焼室3で発生する燃焼熱によって加熱され、水と蒸気の混合流体となる。なお、水冷管内の水は飽和状態であり、液体が蒸気になるときの蒸発潜熱によって燃焼熱を吸収する。従って、水冷管を流れる水の温度は260℃で一定となる。燃焼室上部ヘッダ104に集められた水と蒸気は、上昇管107を通じて気水分離器100に供給される。
【0013】
同様に、燃焼室3の上部に設けられた燃焼ガス排出部にも水冷管14が設置されている。そして、燃焼ガス排出部の水冷管14の上流側に燃焼ガス排出部下部ヘッダ103が設けられ、下流側に燃焼ガス排出部上部ヘッダ101が設けられている。気水分離器100の水が、2つのヘッダを流れた後に気水分離器100へ戻る系統は、燃焼室3と同様である。
【0014】
このように、溶融炉200の水冷管5及び14で加熱された水と蒸気の混合流体は、気水分離器100において水と蒸気に分離される。そして、蒸気は、気水分離器100の下流側に設けられた過熱器109で更に過熱された後に、蒸気タービン110を駆動する。蒸気タービン110と発電機111は、同軸の回転軸に接続されており、発電機111によって発電を行うことが可能である。
【0015】
図1は、図11の発電システムにおける溶融炉断面を表す図である。本実施例で示す溶融炉200とは、燃焼用酸化剤(空気,酸素,酸素富化空気など)を使用して、粉砕された固体燃料(石炭や炭化物など)を燃焼させ、その燃焼熱で固体燃料(石炭や炭化物など)の灰分を溶融スラグ化する装置である。溶融炉を用いると、灰分のスラグ化により、溶融炉の下流へ飛散していく飛灰量が少なくなる。これにより、溶融炉下流側にある飛灰処理装置の負荷が少なくなることや、スラグ化により灰の容積が小さくなり、灰捨て場の容積が小さくて済むことなどの利点がある。溶融炉200のうち最も熱負荷が高い燃焼室3
(通常1200℃〜1800℃程度)の内壁4は、耐火材121bで構成される。内壁4は、耐火材121bの溶損防止と収熱の観点から、水冷管5などで冷却することが多い。
【0016】
なお、水冷管5の上流側と下流側には、それぞれ燃焼室下部ヘッダ106と燃焼室上部ヘッダ104を備える。そして、気水分離器100からの水が、燃焼室下部ヘッダ106に供給された後、水冷管5を流れる際に、燃焼熱を吸収する。その後、燃焼室上部ヘッダ104に集められた水と蒸気の混合流体は、再び気水分離器100に戻される。
【0017】
溶融炉200の燃焼室3は円筒形で構成される。燃焼用酸化剤1は、内壁4の接線方向に設置された1本以上の燃焼用酸化剤供給配管6から供給される。また、粉砕された燃料2は、空気等のガスで搬送し、燃焼用酸化剤供給配管6の下部に設置した燃料供給配管7から供給する。図3は、図1のDD′断面図を示す。図3では、燃焼用酸化剤供給配管6と燃料供給配管7は同位相に配置しており、それぞれ4本の例を示した。ここで、燃焼室の壁面における接線方向とは、燃焼室3の水平断面における内壁4の接線方向をいう。なお、燃焼室の内部に燃料と酸化剤との旋回流が生じる角度であれば、燃焼用酸化剤供給配管6や燃料供給配管7を下方向に傾斜させても良い。
【0018】
溶融炉200の下部には溶融炉底部120が設けられ、溶融炉底部120の中央部にスラグ排出口9を備える。このスラグ排出口9により、燃焼室3で生成したスラグ11が排出される。スラグ排出口9の直下には、水槽10が設けられており、水槽10で冷却されたスラグ11を回収する。
【0019】
円筒状の内壁4は、溶融炉底部120の上側に形成され、内壁4の外周側に水冷管5が配置されている。燃焼室3は、内壁4によって囲まれた空間である。燃焼室3の上部には、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部202が設けられている。この燃焼ガス排出部202には、流路縮小部13とディフューザ部201が形成されている。流路縮小部13は、内部の燃焼ガスを攪拌させる機能を有する。そして、流路縮小部13の下端部は燃焼室3と連通する部分であり、流路縮小部13の上端部はディフューザ部201と連通する部分である。また、ディフューザ部201は、流路縮小部13で流速が早くなった燃焼ガスの流速を低下させ、当該領域に存在する燃焼ガス及び固体燃料中の滞留時間を延ばす。これにより、燃焼ガス及び固体燃料中の未燃分が完全燃焼し、下流へ有害な未燃ガスが流れる割合が減少する。また、燃焼ガスの流速低下によって、粒径の大きな飛灰が下流に流れる割合が減少し、下流の灰処理設備の負担を軽減することが可能になる。そして、ディフューザ部201の下端部は流路縮小部13と連通する部分であり、ディフューザ部201の上端部は燃焼ガス排出部上部ヘッダ101である。
【0020】
流路縮小部13によって形成される流路は、下流に向かうほど縮小する円錐形状をしている。また、流路縮小部13の上側に設けられたディフューザ部201は、下流に向かうほど流路が拡大している。ここで、燃焼室3からディフューザ部201へ向かう方向に対して、上流側及び下流側と定義する。また、流路縮小部13を構成する下部壁面に設けられた壁面16は耐火材121aによって形成され、その壁面16が燃焼室側に面している。これに対して、流路縮小部13を構成する上部壁面に設けられた壁面18は、水冷管
14によって形成されている。そして、耐火材及び水冷管によって形成された流路縮小部13の内壁面は、溶融炉の水平方向に対して角度θ傾斜している。流路縮小部13の上部には、ディフューザ部122が設けられており、溶融炉内の燃焼ガスが排出される。ディフューザ部122の内壁面は水冷管14を有する。
【0021】
図2は、図1における燃焼ガス排出部の断面を示した図である。流路縮小部13に灰が付着することを抑制するためには、基礎実験から得られた知見により、壁面の表面温度を約300℃以下にすればよいことが分かった。そこで、図2のAA′断面に示すように、流路縮小部13を構成する流路内壁の一部が水冷管14で形成されているため、壁面18を300℃以下にすることができる。そのため、壁面18に灰が付着することを抑制できる。また、BB′断面に示すように、流路縮小部13に形成された流路内壁の一部には、耐火材121aが配置されている。そのため、燃焼室3から熱を吸収する量を低減させることができる。なお、CC′断面に示すように、ディフューザ部201は水冷管14の間を鉄板203でつないだ構造となっている。
【0022】
ここで、溶融炉内部の燃焼ガスの流れについて説明する。燃焼用酸化剤1は燃焼室内を旋回する流れを形成し、その一部が下降する流れ8となる。燃焼室3に供給した燃料2のうち、遠心力の影響をうける大きな燃料は、燃焼室内の内壁面に沿って下降する。そして、当該燃料は、溶融炉底部120に設けられたスラグ排出口9の上部付近で旋回しながら長時間滞留する。なお、燃焼室3の中央へ移動する燃料の粒径は、概ね局所の遠心力と向心力の大小関係で決まる。理論上は以下の式(1)を満たす粒径Dpの粒子が中央方向に移動する。
【0023】
【数1】
μ:粘性係数、V:粒子が存在する位置の半径方向内向きの速度
R:粒子が存在する半径位置、ρ:ガス密度
W:粒子が存在する位置の周方向速度
【0024】
燃焼室3が予め燃料2の着火温度以上に加熱されていれば、燃料2はすぐに燃焼を始める。燃料2は、揮発分・固定炭素分・灰分を有し、可燃分である揮発分・固定炭素分が燃えた後、灰化する。燃焼室3における燃焼温度は、燃料2の灰分が溶融する融点以上となる。そのため、長時間滞留した燃料中の灰分は、溶融をはじめる。溶融した灰はスラグとなり、スラグが燃焼室3の内壁4から溶融炉底部120に沿って流れ、スラグ排出口9から排出される。スラグ排出口9の下には水槽10があり、滴下したスラグ11が急冷された後、回収される。
【0025】
一方、燃焼ガス12は燃焼室3の溶融炉底部120で反転し、炉中央部を通って上昇する。上昇した燃焼ガス12は、燃焼室3の内壁4の近傍を上昇してきた燃焼用酸化剤1の一部と、流路縮小部13で混合される。このとき、燃焼ガス中の未燃分である一酸化炭素や、燃焼ガス12に同伴され完全に燃えきらなかった燃料などは、燃焼用酸化剤1の流量を調整することで、完全に酸化させることが可能である。燃焼によって生じた熱は、燃焼室3の内壁4の外周側に配置された水冷管5や、炉上部にある水冷管14で回収し、蒸気を生成する。この蒸気は気水分離器100に供給され、発電などに利用可能である。本実施例において、燃料2は燃焼用酸化剤1と別の配管から供給しているが、同軸配管から供給するバーナタイプとしても良い。
【0026】
本実施例の溶融炉では、流路縮小部3を構成する下部内壁に耐火材121aを設け、上部内壁に水冷管14を設けている。燃焼用酸化剤1と燃料2が溶融炉底部120で燃焼した後に燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスが反転し、ディフューザ部201に向かう燃焼ガスの流れに対して、流路縮小部13を構成する下部内壁には耐火材121aが設けられ、上部内壁に水冷管14が配置されている。なお、本実施例において、溶融炉底部120からディフューザ部201への向きを燃焼ガス主流方向とし、図1の矢印204に示す方向とする。
【0027】
このとき、粒径の小さな灰粒子15は遠心力も小さく、燃焼ガス12に同伴する。同伴された灰粒子15は、流路縮小部13において、灰粒子15の一部が耐火材121aの壁面16に付着する。灰は水冷管に比べ、耐火材に付着しやすいことを実験的に確認している。図4のように付着した灰17は、燃焼ガス12の流れに沿って積層し、中央方向に伸びていく可能性がある。しかし、耐火材121aの壁面と水冷管14の壁面との境界が、流路縮小部13に設けられているため、仮に耐火材121aの壁面に付着した灰17が厚くなっても、灰17は水冷管14の壁面18から剥離させることが可能である。水冷管の壁面18は300℃以下であるため、灰付着を抑制することができるからである。このように、流路縮小部13の一部を水冷管にするという簡易な構造で、付着した灰を自然に剥離させることができる。そして、剥離した灰は自重で落下するため、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部の閉塞を抑制することができる。
【0028】
なお、流路縮小部13を構成する上流側の壁面16が耐火材121aであるため、金属の水冷管より耐久性が向上する利点も有する。
【0029】
また、円錐状に形成された流路縮小部13において、断面積が広い上流側が耐火材121aであるため、燃焼ガス12から吸収される熱量が少なく、燃焼室における燃焼ガス温度の低下を抑制できる。ここで、流路縮小部13の壁面が全て水冷管で構成された場合と、全て耐火材によって構成された場合とを比較して説明する。
【0030】
本発明が対象とする溶融炉において、炉内温度は、灰を溶融するために灰の融点以上に維持する必要がある。そのため、流路縮小部13の壁面が全て水冷管で構成された場合、空気比を変更しないで燃焼ガス温度を維持するためには、水冷管によって吸収される熱量が多い分だけ燃料の発熱量を多くする必要がある。空気比とは、単位重量の燃料を完全酸化させるのに必要な酸素量(理論酸素量)に対して、実際の燃焼に使用した酸素量によって表された比である。そのため、燃料組成が変わらない場合、燃料量及び燃焼用酸化剤
(例えば空気)の量を増加させる必要がある。従って、流路縮小部を全て耐火材によって構成する場合と比べ、燃料と燃焼用酸化剤の供給装置が大型化する問題がある。また、バーナが流路縮小部の近くに配置されていると、燃焼室内の火炎の輻射により、燃焼室の下流側壁面の熱負荷が高くなる可能性がある。これに伴い、流路縮小部の上流側の方が下流側よりも熱負荷が高くなり、流路縮小部の上流側に配置された水冷管壁に高温腐食が発生する可能性がある。
【0031】
一方、流路縮小部13の壁面を全て耐火材によって構成した場合、灰の付着が問題となる。そこで、本実施例では、流路縮小部3を構成する燃焼ガス主流方向上流側の内壁に耐火材121aを設け、下流側の内壁に水冷管14を設けることにより、灰が流路縮小部
13に付着しても自然に剥離させることが可能となる。
【0032】
なお、流路縮小部13を構成する上流側の壁面16と下流側の水冷管14による内壁
18との断面積比率は、水冷管14による燃焼ガス温度の低下を抑制すると共に、水冷管14の表面温度が高温腐食領域に該当しないように考慮することが望ましい。従って、断面積比率は溶融炉運転時の温度を解析などで予測した後に、設計しなければならない。
【0033】
また、流路縮小部13に設けられた、耐火材121aの壁面16と水冷管14の壁面
18との境界は、流路縮小部13の燃焼ガス主流方向高さに対して、中間位置よりも上側に設けることが望ましい。当該中間位置よりも下側に境界を設けると、水冷管14によって熱を吸収する量が多くなり、溶融炉の効率が低下するためである。
【0034】
そして、図4に示すように、水冷管14によって形成された流路縮小部13の壁面18の距離205は、付着した灰が自然に落下できる程度の距離を確保できれば、短い方が望ましい。当該距離を短くするほど、水冷管14によって熱を吸収する量が少なくなるからである。なお、流路縮小部13の壁面18の距離205は、流路縮小部13における水冷管の長さに相当する。
【0035】
また、本実施例では、耐火材121aの壁面16が、燃焼空気下流側に縮小する円錐状の空間を形成する。ここで、第1の比較例として、流路縮小部13の壁面16が燃焼室3の内壁4と直角に交差する図5について説明する。図5の場合、燃焼室3の上部に2次流れ19が生じる。この2次流れ19の内部に飛灰の灰粒子15が流入すると、飛灰が長時間この領域に滞留する可能性が高い。そして、灰粒子15が壁面と衝突することで、壁面が削れていく可能性がある。
【0036】
一方、本実施例のように流路縮小部13を構成する上流側壁面の耐火材121aを角度θだけ傾斜させることにより、2次流れ19が生じにくくなり、飛灰が燃焼室3の上部に滞留しない。流路縮小部13の傾斜角20を大きくするほど、2次流れの大きさを小さくすることができる。また、2次流れ19を生じさせないためだけに設計するのであれば、傾斜角20は概ね80°以上とすれば良い。ただし、大きな傾斜角を採用すると、構造が大型になる。また、2次流れ19の発生は、流路縮小部13の傾斜角20だけでなく、絞り径比、燃焼ガス12の流速とも関係する。ここで、絞り径比とは、燃焼室の内径に対する流路縮小部13の最小径の割合である。従って、最小傾斜角の設定は、実験等で確認した上で設定することが望ましい。なお、傾斜角20は、約30°以上であれば問題が生じないことを基礎実験で確認している。実機設計において、傾斜角20は30〜60°程度がよい。そして、装置形状の観点から、絞り径比が大きいときは傾斜角20を大きくする必要があり、絞り径比が小さいときは傾斜角20を小さくすることが可能になる。
【0037】
また、本実施例では、耐火材と水冷管の壁面が、燃焼空気下流側に縮小する円錐状の空間を形成する。ここで、図10は、流路縮小部13の内壁面が水平となっている、第2の比較例を示す図である。流路縮小部13の内壁面が燃焼室壁面に対して垂直に形成されている場合、流路縮小部に配置された水冷管は水平あるいは水平に近い状態となる。そのため、重力の影響により、水が水冷管の下側を流れ、蒸気が水冷管の上側に分離して流れるという特有の流動様式となる可能性がある。一般に、水冷管の管壁温度が過度に上昇することを防止する観点から、水冷管の内面はできるだけ液に接することが望ましい。従って、水冷管の水平部では、気相と液相が分離する流れを生じないようにしなければならない。このため、水冷管を傾斜させることで、水冷管の健全性を維持することができる。また、本実施例では、燃焼ガス排出部下部ヘッダ103から流路縮小部13の壁面18に至る水冷管の水平部には、ボイド率(蒸気の比率)の低い水を入れることにより、水と蒸気が管内で分離することを抑制することができる。
【0038】
また、本実施例の溶融炉では、燃焼室を内部に形成する燃焼室壁面である内壁4と、燃焼室壁面に設けられた第1の水冷管5と、流路縮小部13を構成する下部内壁に耐火材
121aを設け、上部内壁に第2の水冷管14とを備える。ここで、燃焼室壁面及び流路縮小部に1系統の水冷管を配置した場合を比較例として説明する。
【0039】
水冷管が1系統の場合、図12のように、燃焼室側に必要な水冷管5の本数と流路縮小部13で内壁を構成するために必要な水冷管14の本数が異なる。燃焼室側の水冷管本数で炉を構成する場合、流路縮小部13は円を構成する配管の数を変更しなければならず、配管の曲げなどを工夫する必要がある。これにより、製作コストが増加する。また、燃焼室側と流路縮小部との間で、配管の熱負荷が異なる可能性があるので、隣り合う配管で熱応力が発生する可能性がある。
【0040】
一方、流路縮小部13の水冷管の本数を基準に燃焼室側の水冷管を配置する場合、水冷管が燃焼室側で必要とする数に足りず、水冷管同士の間隔が大きくなる。そのため、水冷管5が燃焼熱を十分に回収できない。従って、水冷管を2系統に分けることにより、燃焼室3及び流路縮小部13にそれぞれ適した本数で、水冷管を配置することができる。
【0041】
また、水冷管を2系統にすることで、水冷管の水平部が燃焼室に面しないよう配置することも可能となる。燃焼室に面する水冷管が傾斜するように配置されるため、水冷管の内面ができるだけ液に接するように構成される。そのため、水冷管の健全性を維持することもできる。
【0042】
そして、本実施例の溶融炉では、燃焼室3の壁面における接線方向に沿って燃料及び燃焼空気を供給する供給口と、燃料及び燃焼空気とを旋回燃焼させる燃焼室3を内部に形成する燃焼室壁面と、燃焼室壁面の外周側に設けられた第1の水冷管5と、流路縮小部13を構成する下部内壁に耐火材121を設け、上部内壁に第2の水冷管14とを備える。このように、旋回式溶融炉において、本実施例の流路縮小部13を用いることにより、灰が燃焼ガスの遠心力により流路縮小部13の壁面に付着した場合にも、自然に剥離させることが可能となる。
【0043】
また、図11に示すように、本実施例の溶融炉を発電システムに使用することで、溶融炉の燃焼ガス排出部が灰で閉塞し、発電システムが停止することを抑制することができる。
【実施例2】
【0044】
図6は、流路縮小部13と燃焼室3との間から低温のガス23を供給する場合における、溶融炉断面図である。
【0045】
本実施例では、流路縮小部13を構成する上流側の耐火材121aの壁面16と燃焼室3の内壁4との間に、ガス供給口24を設ける。前述のように、燃焼室3から上昇してくる燃焼ガス12には灰粒子15が含まれているため、灰粒子15が流路縮小部13の耐火材121aの壁面16に付着する可能性が高い。このとき、ガス供給口24から低温のガス23を燃焼室3に供給すると、ガス23が流路縮小部13の内壁に沿って下流側に流れる。そのため、耐火材121aの壁面16の表面が冷却されて、灰粒子15が耐火材121aの内壁につきにくくなる効果がある。
【0046】
また、耐火材121aの壁面16の表面付近には低温のガス23が流動するため、燃焼ガス12が耐火材121aの壁面16近傍を流動できない。そのため、低温のガス23は、灰粒子15の付着量を低減させる効果もある。
【0047】
なお、低温のガス23は空気やプラント内で生じた低温の排ガスなどでよい。流路縮小部13の壁面16の温度は、灰が付着しにくくなる温度域まで低下させる必要がある。そのため、低温ガスの温度は常温から500℃程度の範囲が好ましい。
【0048】
また、ガス供給口24の位置が燃焼室3に近づくと、低温のガスが燃焼室内に混入し、燃焼室3の温度低下や燃焼不良を引き起こす可能性がある。そのため、出来る限り流路縮小部13に近い位置から低温のガス23を供給することが望ましい。
【実施例3】
【0049】
図7は、流路縮小部13を構成する耐火材121aと水冷管14の間から低温のガス
23を供給する溶融炉の断面図である。
【0050】
本実施例は、流路縮小部13を構成する上流側の耐火材121aの壁面16と下流側に設けられた水冷管14との間に低温のガス投入口24を設ける。この場合、耐火材121aの壁面16と水冷管14との間に生じる間隔によって、付着した灰17がガス供給口24より下流側に伸長しない。また、実施例2に比べて燃焼室3よりも離れた位置からガスが供給されるので、低温のガス23が燃焼室3へ混ざる可能性が低い。
【0051】
さらに、本実施例では、低温のガス23が燃焼室内の熱で加熱されることなく、流路縮小部13の水冷管14の表面近傍を流れる。そのため、低温ガスによる冷却能力が高く、水冷管14への灰付着抑制に大きな効果を発揮できる。
【実施例4】
【0052】
図8は、流路縮小部13の出口から低温のガス23を水平方向に供給する溶融炉の断面図を示す。
【0053】
本実施例は、流路縮小部13の出口であって、流路縮小部13とディフューザ部201との間にガス供給口24を設ける。流路縮小部13に付着した灰17が大きくなった場合に、灰17の自重で脱離させることができる。ガス供給口24から噴出した低温のガス
23は、流路縮小部13の水冷管14の壁面18に伸びてきた灰17に吹き付けることで、水冷管14から剥離させる効果がある。低温ガス23の流速や流量を大きくすると剥離効果が大きくなるので、高圧空気などを用いても良い。また、灰17が大きくなってから付着灰を剥離させることが可能であるため、ガス供給装置が常に低温のガス23を噴出する必要がなくなる。そして、ガス供給装置が低温のガス23を供給するために必要な動力を低減させることができる。なお、ガス供給口24は、図9のように、燃焼室3の下部方向に向けて供給する構造としても良い。ガス供給口24が燃焼室3の下部方向に向けて低温ガスを供給することで、灰17の剥離効果をより高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の流路縮小部構造を有した溶融炉の断面図である(実施例1)。
【図2】燃焼ガス排出部の水平断面を表した図である。
【図3】溶融炉の空気投入口配置の断面図である(実施例1)。
【図4】流路縮小部の灰付着形態の例示である(実施例1)。
【図5】流路縮小部の耐火材壁面と燃焼室の壁面とが垂直である時の流動模式図である(実施例1)。
【図6】流路縮小部の耐火材と燃焼室との間から低温ガスを供給する構造を有した溶融炉の断面図である(実施例2)。
【図7】流路縮小部の耐火材と水冷管との間から低温ガスを供給する構造を有した溶融炉の断面図である(実施例3)。
【図8】流路縮小部の出口から低温のガスを供給する構造を有した溶融炉の断面図である(実施例4)。
【図9】流路縮小部の出口から低温のガスを供給する構造の変形例を有した溶融炉の断面図である(実施例4)。
【図10】流路縮小部の水冷管に水平部を有する場合に、水冷管の内部を流れる水の現象を表した図である。
【図11】本発明の溶融炉を含む発電システムの系統図である。
【図12】水冷管が1系統である場合の問題点を示した図である。
【符号の説明】
【0055】
1…燃焼用酸化剤、2…燃料、3…燃焼室、4…内壁、5,14…水冷管、6…燃焼用酸化剤供給配管、7…燃料供給配管、9…スラグ排出口、12…燃焼ガス、13…流路縮小部、16,18…壁面、17…灰、23…ガス、24…ガス供給口、100…気水分離器、101…燃焼ガス排出部上部ヘッダ、103…燃焼ガス排出部下部ヘッダ、104…燃焼室上部ヘッダ、106…燃焼室下部ヘッダ、110…蒸気タービン、111…発電機、120…溶融炉底部、121a,121b…耐火材、201…ディフューザ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部とを備え、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を有した溶融炉であって、
前記流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に水冷管を設けたことを特徴とする溶融炉。
【請求項2】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部と、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を備え、前記燃焼室の下部に位置し、溶融スラグを外部に排出する溶融スラグ排出口とを有した溶融炉であって、
前記燃焼室を内部に形成する燃焼室壁面と、
前記燃焼室壁面に設けられた第1の水冷管と、
前記流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に第2の水冷管とを設けたことを特徴とする溶融炉。
【請求項3】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部と、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を備え、前記燃焼室の下部に位置し、溶融スラグを外部に排出する溶融スラグ排出口とを有した溶融炉であって、
前記燃焼室の壁面における接線方向に沿って燃料及び燃焼空気を供給する供給口と、
前記燃料及び燃焼空気とを旋回燃焼させる前記燃焼室を内部に形成する燃焼室壁面と、
前記燃焼室壁面の外周側に設けられた第1の水冷管と、
前記流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に第2の水冷管とを設けたことを特徴とする溶融炉。
【請求項4】
請求項1記載の溶融炉であって、前記流路縮小部と前記燃焼室との間から空気を供給する手段を有することを特徴とする溶融炉。
【請求項5】
請求項1記載の溶融炉であって、前記耐火材と前記水冷管との間から前記流路縮小部に空気を供給する手段を有することを特徴とする溶融炉。
【請求項6】
請求項1記載の溶融炉であって、前記流路縮小部の出口から空気を供給する手段を有することを特徴とする溶融炉。
【請求項7】
請求項1記載の溶融炉であって、前記耐火材の壁面が、燃焼空気下流側に縮小する円錐状の空間を形成することを特徴とする溶融炉。
【請求項8】
請求項1記載の溶融炉であって、前記耐火材と前記水冷管の壁面が、燃焼空気下流側に縮小する円錐状の空間を形成することを特徴とする溶融炉。
【請求項9】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部とを備え、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を有した溶融炉の冷却方法であって、
前記燃焼室で生成した燃焼ガスを、燃焼室壁面に設けられた第1の水冷管によって冷却し、
該第1の水冷管によって冷却された燃焼ガスが、前記流路縮小部を構成する下部内壁に設けられた耐火材の壁面を流れ、上部内壁に設けられた第2の水冷管によって冷却されることを特徴とする溶融炉の冷却方法。
【請求項10】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部と、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部と、前記燃焼室の下部に位置し、溶融スラグを外部に排出する溶融スラグ排出口とを備えた溶融炉の冷却方法であって、
前記燃焼室の壁面における接線方向に沿って供給された燃料及び燃焼空気が、前記燃焼室の壁面に沿って旋回しながら下降するとともに、前記燃焼室の壁面に設けられた第1の水冷管で冷却され、
該第1の水冷管によって冷却された燃焼ガスが、前記燃焼室の中心部を上昇し、前記流路縮小部を構成する下部内壁に設けられた耐火材の壁面を流れ、上部内壁に設けられた第2の水冷管によって冷却されることを特徴とする溶融炉の冷却方法。
【請求項11】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部とを備え、該燃焼ガス排出部のうち流路が縮小する流路縮小部を有した溶融炉と、
該溶融炉から発生した蒸気を貯留する気水分離器と、該気水分離器からの蒸気によって駆動する蒸気タービンと、該蒸気タービンに接続された発電機とを備えた発電システムであって、
前記流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に水冷管を設けるとともに、水と蒸気を貯留する前記気水分離器と前記水冷管とをつなぐ下降管と、前記水冷管によって生成した蒸気と水の混合流体を前記気水分離器に回収する上昇管とを備えたことを特徴とする発電システム。
【請求項1】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部とを備え、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を有した溶融炉であって、
前記流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に水冷管を設けたことを特徴とする溶融炉。
【請求項2】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部と、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を備え、前記燃焼室の下部に位置し、溶融スラグを外部に排出する溶融スラグ排出口とを有した溶融炉であって、
前記燃焼室を内部に形成する燃焼室壁面と、
前記燃焼室壁面に設けられた第1の水冷管と、
前記流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に第2の水冷管とを設けたことを特徴とする溶融炉。
【請求項3】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部と、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を備え、前記燃焼室の下部に位置し、溶融スラグを外部に排出する溶融スラグ排出口とを有した溶融炉であって、
前記燃焼室の壁面における接線方向に沿って燃料及び燃焼空気を供給する供給口と、
前記燃料及び燃焼空気とを旋回燃焼させる前記燃焼室を内部に形成する燃焼室壁面と、
前記燃焼室壁面の外周側に設けられた第1の水冷管と、
前記流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に第2の水冷管とを設けたことを特徴とする溶融炉。
【請求項4】
請求項1記載の溶融炉であって、前記流路縮小部と前記燃焼室との間から空気を供給する手段を有することを特徴とする溶融炉。
【請求項5】
請求項1記載の溶融炉であって、前記耐火材と前記水冷管との間から前記流路縮小部に空気を供給する手段を有することを特徴とする溶融炉。
【請求項6】
請求項1記載の溶融炉であって、前記流路縮小部の出口から空気を供給する手段を有することを特徴とする溶融炉。
【請求項7】
請求項1記載の溶融炉であって、前記耐火材の壁面が、燃焼空気下流側に縮小する円錐状の空間を形成することを特徴とする溶融炉。
【請求項8】
請求項1記載の溶融炉であって、前記耐火材と前記水冷管の壁面が、燃焼空気下流側に縮小する円錐状の空間を形成することを特徴とする溶融炉。
【請求項9】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部とを備え、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部を有した溶融炉の冷却方法であって、
前記燃焼室で生成した燃焼ガスを、燃焼室壁面に設けられた第1の水冷管によって冷却し、
該第1の水冷管によって冷却された燃焼ガスが、前記流路縮小部を構成する下部内壁に設けられた耐火材の壁面を流れ、上部内壁に設けられた第2の水冷管によって冷却されることを特徴とする溶融炉の冷却方法。
【請求項10】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部と、該燃焼ガス排出部の流路が縮小する流路縮小部と、前記燃焼室の下部に位置し、溶融スラグを外部に排出する溶融スラグ排出口とを備えた溶融炉の冷却方法であって、
前記燃焼室の壁面における接線方向に沿って供給された燃料及び燃焼空気が、前記燃焼室の壁面に沿って旋回しながら下降するとともに、前記燃焼室の壁面に設けられた第1の水冷管で冷却され、
該第1の水冷管によって冷却された燃焼ガスが、前記燃焼室の中心部を上昇し、前記流路縮小部を構成する下部内壁に設けられた耐火材の壁面を流れ、上部内壁に設けられた第2の水冷管によって冷却されることを特徴とする溶融炉の冷却方法。
【請求項11】
燃料が燃焼し、燃料内の灰分を溶融させる燃焼室と、該燃焼室の上部に位置し、燃焼ガスを排出する燃焼ガス排出部とを備え、該燃焼ガス排出部のうち流路が縮小する流路縮小部を有した溶融炉と、
該溶融炉から発生した蒸気を貯留する気水分離器と、該気水分離器からの蒸気によって駆動する蒸気タービンと、該蒸気タービンに接続された発電機とを備えた発電システムであって、
前記流路縮小部を構成する下部内壁に耐火材を設け、上部内壁に水冷管を設けるとともに、水と蒸気を貯留する前記気水分離器と前記水冷管とをつなぐ下降管と、前記水冷管によって生成した蒸気と水の混合流体を前記気水分離器に回収する上昇管とを備えたことを特徴とする発電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−25852(P2008−25852A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195063(P2006−195063)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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