演算増幅器
【課題】消費電流の増加や最低動作電源電圧の上昇などを招くことなく出力位相反転を防止する。
【解決手段】入力部10の反転入力端子100と第2のトランジスタ2のコレクタとが第1のダ入力部用イオード11を介して、非反転入力端子200と第1のトランジスタ1のコレクタとが第2の入力部用ダイオード12を介して、それぞれ接続される一方、第9のトランジスタ9のエミッタと第3の負荷35の相互の接続点と反転入力端子100とが第5のダイオード15を介して、第9のトランジスタ9のエミッタと第3の負荷35の相互の接続点と非反転入力端子200とが第6のダイオード16を介して、それぞれ接続されて、消費電流の増加や最低動作電源電圧の上昇などを招くことなく出力位相反転が防止されるようになっている。
【解決手段】入力部10の反転入力端子100と第2のトランジスタ2のコレクタとが第1のダ入力部用イオード11を介して、非反転入力端子200と第1のトランジスタ1のコレクタとが第2の入力部用ダイオード12を介して、それぞれ接続される一方、第9のトランジスタ9のエミッタと第3の負荷35の相互の接続点と反転入力端子100とが第5のダイオード15を介して、第9のトランジスタ9のエミッタと第3の負荷35の相互の接続点と非反転入力端子200とが第6のダイオード16を介して、それぞれ接続されて、消費電流の増加や最低動作電源電圧の上昇などを招くことなく出力位相反転が防止されるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算増幅器に係り、特に、出力位相の反転防止を施したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の演算増幅器としては、例えば、図6に示された構成のものが知られている。
かかる演算増幅器は、トランジスタQ1,Q2による差動回路からなる入力部10aと、フォールデットカスコード増幅回路が構成されたフォールデットカスコード部20aとに大別されて構成されたものとなっている。
この演算増幅器においては、いわゆる反転防止回路が設けられていないため、入力端子100,200における入力端子電圧が、電源端子400の電圧より0.7V低下すると、図7に示されたように出力電圧が変化し、出力位相反転を起こすという欠点がある。
なお、図7において、点線は電源電圧のレベルを、実線の特性線は入力電圧の変化を、二点鎖線の特性線は出力電圧の変化を、それぞれ示している。ここで、出力電圧の変化は、上述の出力位相反転を生ずる前後においては、実線の特性線で表された入力電圧変化と同一となっており、実線の特性線と重複したものとなっている。
【0003】
上述のような出力位相反転を防止する対策が施された演算増幅器として、例えば、図8に示された回路構成のものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
以下、同図を参照しつつ、従来の出力位相反転防止機能を有する演算増幅器について説明する。
この演算増幅器は、トランジスタQ1,Q2による差動回路からなる入力部10bと、フォールデットカスコード増幅回路が構成されたフォールデットカスコード部20bとに大別されて構成される点は、図6に示された従来回路と基本的に同一である。
【0004】
かかる演算増幅器においては、上述の基本構成において、さらに、反転入力端子100とトランジスタQ2のコレクタとの間に、アノードがトランジスタQ2のコレクタ側となるように第1のダイオードD1が接続されて設けられる一方、非反転入力端子200とトランジスタQ1のコレクタとの間に、アノードがトランジスタQ2のコレクタ側となるように第2のダイオードD2が接続されて設けられたものとなっている。
【0005】
かかる構成において、非反転入力端子200の電圧が第1電源端子400の電圧よりも低下した場合の出力位相反転防止動作について説明する。
まず、第1電源端子400の電圧を0Vとし、非反転入力端子200の端子電圧V200が、V200<−0.7(V)となった場合を考えると、この際、トランジスタQ2のコレクタ・ベース間の寄生ダイオードD4を通じて電流ID4が流れる。同時に、非反転入力端子200に接続されたダイオードD2を通して電流ID2が流れる。このような電流が流れることにより、点Bの電圧VBと点Aの電圧VAが低下する。なお、図8において、寄生ダイオードD3、D4は点線により表されている。
【0006】
ここで、便宜的に、トランジスタQ2の寄生ダイオードD4のアノード・カソード間電圧をVD4、ダイオードD2のアノード・カソード間電圧をVD2とすると、VA、VBの電圧は下記する式1、式2により表されるものとなる。
【0007】
VA=V200+VD2=V200+VT×ln{ID2/(nD2×Is)}・・・式1
【0008】
VB=V200+VD4=V200+VT×ln{ID4/(nD4×Is)}・・・式2
【0009】
ここで、VTは熱電圧で、周囲温度が300Kの時に約26(mV)となる。また、Isは逆方向飽和電流、nD2及びnD4は単位素子面積に対する倍率である。
そして、VA>VBの関係が成り立つ場合には、出力位相反転は生じないが、VA<VBとなると、フォールデットカスコード部20bのトランジスタQ5、Q6の振る舞いが変わり、出力位相反転が生ずる。この場合の条件を数式化すると下記する式3により表される。
【0010】
VA−VB>0、且つ、ln{ID4×nD2/(ID2×nD4)}>0・・・式3
【0011】
この式3を満たすようにnD2を調整することで、図9に示されたように出力位相反転を防止することができる。
なお、図9において、点線は電源電圧のレベルを、実線の特性線は入力電圧の変化を、二点鎖線の特性線は出力電圧の変化を、それぞれ示している。ここで、出力電圧の変化は、入力電圧が電源電圧レベルを越える前後、及び、入力電圧が電源電圧レベルを下回る前後においては、実線の特性線で表された入力電圧変化と同一となっており、実線の特性線と重複したものとなっている。
【0012】
ところが、図8に示された回路は、確かに出力位相反転を防止することはできるが、非反転入力端子200の電圧が第1電源端子400より下がった場合に、フォールデットカスコード部20bのベース接地のトランジスタQ5、Q6のベース・エミッタ間電圧が増加し、コレクタ電流が増加するという問題がある。
この現象について、以下に説明する。
まず、第1電源端子400の電圧を0Vとし、非反転入力端子200の端子電圧V200が、V200<−0.7(V)となった際に、トランジスタQ5、Q6のエミッタ電位である点A、点Bの電位は、式1、式2で表されることは先に説明した通りである。このとき、トランジスタQ5、Q6のベース電位である点Cの電位Vcは下記する式4で与えられる。
【0013】
Vc=Ics3×R5+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}・・・式4
【0014】
ここで、Ics3はトランジスタQ3のコレクタ電流、R5はトランジスタQ9のエミッタに接続された負荷の抵抗値、VTは熱電圧、nQ9はトランジスタQ9のの単位素子面積に対する逆方向飽和電流Isの倍率である。
したがって、トランジスタQ5のベース・エミッタ間電位差VBEQ5は下記する式5で表される。
【0015】
VBEQ5=Vc−VB=Ics3×R5+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−V200−VT×ln{ID4/(nD4×Is)}=Ics3×R5+VT×ln{Ics3×nD4/(nQ9×ID4)}−V200・・・式5
【0016】
ここで、非反転入力端子電圧V200は、−0.7Vよりも小さいと仮定しているが、この電圧が小さくなるに従って、トランジスタQ5のベース・エミッタ間電位差VBEQ5が大きくなることが式5から明らかである。そして、トランジスタQ5のベース・エミッタ間電位差VBEQ5が大きくなると、トランジスタQ5のコレクタ電流が増加し、演算増幅器の消費電流増加を招くこととなる。
【0017】
一方、トランジスタQ6のベース・エミッタ間電位差VBEQ6は、下記する式6で表される。
【0018】
VBEQ6=Vc−VA=Ics3×R5+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−V200−VT×ln{ID2/(nD2×Is)}=Ics3×R5+VT×ln{Ics3×nD2/(nQ9×ID2)}−V200・・・式6
【0019】
トランジスタQ5と同様に、非反転入力端子電圧V200の低下に従ってトランジスタQ6のベース・エミッタ間電位差VBEQ6が大きくなり、図10に示されたようにトランジスタQ6のコレクタ電流が増加し、演算増幅器の消費電流増加を招くという問題がある。
なお、図10において、実線の特性線は入力電圧の変化を、二点鎖線の特性線は出力電圧の変化を、一点鎖線の特性線はコレクタ電流の変化を、それぞれ示している。ここで、出力電圧の変化は、入力電圧が10Vを越える範囲、及び、入力電圧が0Vを下回る範囲を除いては、実線の特性線で表された入力電圧変化同一となっており、実線の特性線と重複したものとなっている。
【0020】
この消費電流増加の問題を解決する方策としては、例えば、図11に示された回路構成が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
以下、かかる回路について図11を参照しつつ説明する。
なお、先に図6、図8に示された回路構成例における構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
かかる回路は、フォールデットカスコード部20cのベース接地トランジスタQ5、Q6のベース電流を制御することで消費電流の増加を抑制可能とした構成となっており、この電流制御を行う回路は、具体的には、トランジスタQ7、Q8、Q9、及び、電流源CS4によって構成されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2001−308656号公報(第4−12頁、図1−図6)
【特許文献2】特開2010−28311号公報(第5−9頁、図1−図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、図11に示された回路にあっては、上述のように消費電流の増加を抑制することはできるが、追加回路により、最低動作電源電圧が引き上げられるという欠点がある。
かかる欠点について以下に説明する。
まず、先に図8に示された従来回路の最低動作電源電圧をV+(min)2とし、図11に示された従来回路の最低動作電源電圧をV+(min)3とすると、最低動作電源電圧は、それぞれ式7、式8により表される。
【0023】
V+(min)2=VCEQ5+VBEQ3+VR4・・・式7
【0024】
V+(min)3=VCECS4+VBEQ8+VBEQ9・・・式8
【0025】
ここで、VCEQ5はトランジスタQ5のコレクタ・エミッタ間での電圧降下、VBEQ3はトランジスタQ3のベース・エミッタ間電圧、VR4は負荷R4での電圧降下、VCECS4は電流源CS4での電圧降下、VBEQ8はトランジスタQ8のベース・エミッタ間電圧、VBEQ9はトランジスタQ9のベース・エミッタ間電圧である。
図11に示された従来回路にあっては、入力端子電圧が第1電源端子400の電圧に低下した場合でも、演算増幅器の電圧利得が保たれる、いわゆる単電源オペアンプとして動作することが望ましい。
したがって、その場合、負荷R4での電圧降下は下記する式9で表される。
【0026】
VR4=VBEQ2−VCEQ2・・・式9
【0027】
ここで、VBEQ2はトランジスタQ2のベース・エミッタ間電圧、VCEQ2はトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間の電圧降下である。したがって、図8に示された従来回路における最低動作電源電圧V+(min)2は下記する式10により表される。
【0028】
V+(min)2=VCEQ5+VBEQ3+VBEQ2−VCEQ2・・・式10
【0029】
ここで、VCEの添え字の電圧(コレクタ・エミッタ間電圧)は約0.2V、VBEの添え字の電圧(ベース・エミッタ間電圧)は約0.7Vと仮定すると、図8に示された従来回路の最低動作電源電圧V+(min)2は1.4V、図11に示された従来回路の最低動作電源電圧V+(min)3は1.6Vとなる。
したがって、図11に示された従来回路を用いた場合、図8に示された従来回路に比して、最低動作電源電圧が0.2V引き上げられることとなる。
【0030】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、消費電流の増加や最低動作電源電圧の上昇などを招くことなく出力位相反転を抑圧可能な演算増幅器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る演算増幅器は、
差動増幅回路が構成されてなる入力部と、フォールデットカスコード回路により前記入力部の出力を増幅出力するよう構成されてなるフォールデットカスコード部とを具備してなる演算増幅器において、
前記差動増幅回路は、第1及び第2のトランジスタが差動増幅可能に接続されて設けられ、前記第1のトランジスタのベースは第1の抵抗器を介して反転入力端子に、前記第2のトランジスタのベースは第2の抵抗器を介して非反転入力端子に、それぞれ接続される一方、
前記第1及び第2のトランジスタは、出力側にそれぞれ負荷が接続され、前記第2のトランジスタと前記対応する負荷の相互の接続点と、前記反転入力端子との間に第1の入力部用ダイオードが、前記第1のトランジスタと前記対応する負荷の相互の接続点と、前記非反転入力端子との間に第2の入力部用ダイオードが、前記反転入力端子と前記非反転入力端子との間の入力電圧が電源電圧の範囲を超えても、前記第1のトランジスタの前記負荷との接続点の電圧を、前記第2のトランジスタの前記負荷との接続点の電圧より大に維持可能とする方向に、それぞれ接続されて設けられ、
前記フォールデットカスコード回路は、フォールデットカスコード接続された第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタを用いてなると共に、前記第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタのベースにバイアスを供給するバイアス回路が設けられ、
前記バイアス回路には、高圧電源と低圧電源との間に、ダイオード接続されたバイアス回路用トランジスタが設けられ、前記バイアス回路用トランジスタと前記負荷の相互の接続点と、前記反転入力端子と前記非反転入力端子とが、それぞれ第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードを介して接続され、前記第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードは、前記第1及び第2の入力部用ダイオードの前記反転入力端子、及び、非反転入力端子に対する接続方向と同一となるように接続されてなるものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、従来と異なり、消費電流の増加や最低動作電源電圧の上昇などを招くことなく出力位相反転を確実に防止することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態の演算増幅器の第1の構成例における回路図である。
【図2】本発明の実施の形態の演算増幅器の第2の構成例における回路図である。
【図3】本発明の実施の形態の演算増幅器の第3の構成例における回路図である。
【図4】本発明の実施の形態の演算増幅器の第4の構成例における回路図である。
【図5】図1に示された第1の構成例における入力電圧の変化に対する第5及び第6のトランジスタのコレクタ電流の変化をシミュレーションした結果を示す特性線図である。
【図6】従来回路の第1の構成例を示す回路図である。
【図7】図6に示された従来回路における入力電圧の変化に対する出力電圧の変化を示す特性線図である。
【図8】従来回路の第2の構成例を示す回路図である。
【図9】図8に示された従来回路における入力電圧の変化に対する出力電圧の変化を示す特性線図である。
【図10】図8に示された従来回路における入力電圧の変化に対するコレクタ電流の変化をシミュレーションした結果を示す特性線図である。
【図11】従来回路の第3の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図5を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態の演算増幅器の第1の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
この演算増幅器は、第1及び第2のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q1」、「Q2」と表記)1,2を主たる構成要素としてなる差動回路を有する入力部10と、フォールデットカスコード増幅回路が構成されたフォールデットカスコード部20とに大別されて構成される点は、この主の従来回路とその基本構成を同一とするものである。
【0035】
入力部10は、PNP型の第1及び第2のトランジスタ1,2を主たる構成要素としてなる差動回路を有し、差動増幅出力がフォールデットカスコード部20へ入力されるようになっている。
具体的には、まず、第1及び第2のトランジスタ1,2のエミッタ同士が相互に接続されると共に、第1の定電流源(図1においては「CS1」と表記)21に接続されて定電流が流入せしめられるようになっている。なお、第1の定電源21は第2電源端子300に接続されて、高圧電源電圧が印加されるようになっている。
【0036】
一方、第1のトランジスタ1のベースは、第1の抵抗器(図1においては「R1」と表記)31を介して反転入力端子100に接続され、第2のトランジスタ2のベースは、第2の抵抗器(図1においては「R2」と表記)32を介して非反転入力端子200に接続されたものとなっている。
【0037】
また、第1のトランジスタ1のコレクタは、第1の負荷(図1においては「R3」と表記)33を介して、第2のトランジスタ2のコレクタは、第2の負荷(図1においては「R4」と表記)34を介して、共に第1の電源端子400に接続されており、低圧電源電圧が印加されるようになっている。
さらに、反転入力端子100と第2のトランジスタ2のコレクタの間には、カソードが反転入力端子100側となるように第1の入力部用ダイオード(図1においては「D1」と表記)11が接続されている。
またさらに、非反転入力端子200とトランジスタ1のコレクタの間には、カソードが非反転入力端子200側となるように第2の入力部用ダイオード(図1においては「D2」と表記)12が接続されている。
【0038】
次に、フォールデットカスコード部20は、PNP型の第3及び第4のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q3」、「Q4」と表記)3,4と、第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタとしてのNPN型の第5及び第6のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q5」、「Q6」と表記)5,6と、NPN型の第9のトランジスタ9と、第3の定電流源(図1においては「CS3」と表記)23を主たる構成要素として、フォールデットカスコード増幅回路が構成されたものとなっている。
【0039】
具体的には、第3及び第4のトランジスタ3,4は、ベースが相互に接続されると共に、第3のトランジスタ3のコレクタと接続される一方、各々のエミッタは第2電源端子300に接続されて、カレントミラー回路を構成するものとなっている。
そして、第3のトランジスタ3のコレクタは、第5のトランジスタ5のコレクタに接続される一方、第4のトランジスタ4のコレクタは、第6のトランジスタ6のコレクタと共に出力端子500に接続されている。
【0040】
第5及び第6のトランジスタ5,6は、ベースが相互に接続されると共に、第9のトランジスタのベース及びコレクタに接続されている。
また、第5のトランジスタ5のエミッタは、先の第2のトランジスタ2のコレクタに、第6のトランジスタ6のエミッタは、先の第1のトランジスタ1のコレクタに、それぞれ接続されている。
第9のトランジスタ9のコレクタは、第3の定電流源23に接続されて、定電流が供給されるようになっている。なお、第3の定電流源23は第2電源端子300に接続されて高圧電源電圧が印加されるようになっている。
【0041】
また、第9のトランジスタ9のエミッタは、負荷としての第3の負荷(図1においては「R5」と表記)35を介して第1電源端子400に接続されている。
なお、上述の第3の定電流源23、第9のトランジスタ9、及び、第3の負荷35の直列回路は、第5及び第6のトランジスタ5,6のバイアス回路として機能するものとなっている。
さらに、第9のトランジスタ9のエミッタには、第1のフォールデットカスコード部用ダイオードとしての第5のダイオード(図1においては「D5」と表記)15のアノード、及び、第2のフォールデットカスコード部用ダイオードとしての第6のダイオード(図1においては「D6」と表記)16のアノードが接続されている。そして、第5のダイオード15のカソードは反転入力端子100に、第6のダイオード16のカソードは非反転入力端子200に、それぞれ接続されている。
【0042】
かかる構成により、出力位相反転が防止され、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した際には、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑制され、かつ、従来回路と異なり、最低動作電源電圧が引き上げられることがないようになっている。
以下、具体的な回路動作について、特に、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した場合の回路動作を中心に説明する。
【0043】
まず、第1電源端子400の電圧を0Vとし、非反転入力端子200の端子電圧V200が、V200<−0.7(V)となった場合を考える。
この場合における入力部10の動作は、従来回路と基本的に同様であるので、概略的に説明すれば、まず、第2のトランジスタ2のコレクタ・ベース間の寄生ダイオードD4を通じて電流ID4が流れる。同時に、非反転入力端子200に接続された第2の入力部用ダイオード12を通して電流ID2が流れる。このような電流が流れることにより、点Bの電圧VBと点Aの電圧VAが低下する。
【0044】
一方、非反転入力端子200の端子電圧が第1電源端子400の電圧を下回らない状態においては、第6のダイオード16のカソード電位は、非反転入力端子200と同電位であるが、このカソード電位が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低下すると、第6のダイオード16のアノードからカソードへ順方向電流が流れる。この順方向電流が第3の負荷35に流れることで点Dの電位が低下する。この時の点Dの電位は下記する式11により表される。
【0045】
VD=V200+VD6=V200+VT×ln{ID6/(nD6×Is)}・・・式11
【0046】
ここで、VTは熱電圧、Isは逆方向飽和電流、nD6は単位素子面積に対する倍率である。また、V200は非反転入力端子200の端子電圧、VD6は第6のダイオード16のアノード・カソード間の順方向電圧降下、ID6はその順方向電流値である。
点Dの電位が低下するため、ダイオード接続された第9のトランジスタ9を通して点Cの電位も低下する。この点Cの電位Vcは、下記する式12により表される。
【0047】
Vc=VD+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}=V200+VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}・・・式12
【0048】
ここで、Ics3は第3の定電流源23の電流値であり、第9のトランジスタ9に流れる電流である。また、nQ9は第9のトランジスタ9の単位素子面積に対する倍率である。
次に、点Bの電位を算出する。
先に述べたように、点Bは第2のトランジスタ2のコレクタからベースへの逆流電流が生ずることで電位が低下する。また、点Aは、第2の入力部用ダイオード12の順方向電流が流れることで電位が低下する。
そして、点Bの電位VBと点Aの電位VAは、下記する式13、式14で表される。
【0049】
VB=V200+VT×ln{ID4/(nD4×Is)}+ID4×R2・・・式13
【0050】
VA=V200+VT×ln{ID2/(nD2×Is)}・・・式14
【0051】
ここで、ID4は第2のトランジスタ2のコレクタからベースに流れる逆方向電流値、ID2は第2の入力部用ダイオード12に流れる順方向電流値、nD4は第2のトランジスタ2のコレクタ・ベース間のPN接合の単位素子面積に対する倍率、nD2は第2の入力部用ダイオード12の単位素子面積に対する倍率である。
これらの式より、第5のトランジスタ5のベース・エミッタ間電圧を求めると、以下のようになる。
【0052】
Vc−VB=VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−VT×ln{ID4/(nD4×Is)}−ID4×R2=VT×ln{ID6×Ics3×nD4/(nD6×nQ9×ID4×Is)}−ID4×R2・・・式15
【0053】
Vc−VA=VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−VT×ln{ID2/(nD2×Is)}≒VT×ln{ID6×Ics3×nD2/(nD6×nQ9×ID2×Is)}・・・式16
【0054】
一方、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400と第2電源端子300の中点付近での第5及び第6のトランジスタ5,6のベース・エミッタ間電圧は、下記する式17で表される如くとなる。
【0055】
VBEQ5=VT×ln{IQ5/(nQ5×Is)}=VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}・・・式17
【0056】
よって下記する式18、式19の条件が満たされたときには、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低くなっても第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流は増加しない。
【0057】
Vc−VB<VBEQ5・・・式18
【0058】
Vc−VA<VBEQ5・・・式19
【0059】
この式18、式19に、先の式15、式16、式17を代入し、より詳細な条件を求めると以下のようになる。
【0060】
VT×ln{nD4×ID6/(nD6×ID4)}<ID4×R2・・・式20
【0061】
VT×ln{nD2×ID6/(nD6×ID2)}<0・・・式21
【0062】
式20、式21を満たすようにnD6やR2などを調整する、すなわち、第6のダイオード16や第2の抵抗器32などの大きさを調整することで、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなったときに第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることとなる。
図5には、図1に示された回路構成の演算増幅器における入出力電圧の変化と第5及び第6のトランジスタのコレクタ電流変化のシミュレーション結果を示す特性線図が示されている。
【0063】
同図において、実線の特性線は入力電圧の変化を、二点鎖線の特性線は出力電圧の変化を、それぞれ示している。また、一点鎖線の特性線はコレクタ電流を示している。
ここで、出力電圧の変化は、入力電圧が10Vを越える範囲、及び、入力電圧が0Vを下回る範囲を除いては、実線の特性線で表された入力電圧変化同一となっており、実線の特性線と重複したものとなっている。
図5によれば、入力電圧が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなっても、出力位相反転を生ずることなく、かつ、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることが確認できる。
【0064】
また、最低動作電源電圧は、先に従来回路の説明における式10に示された関係式、V+(min)2=VCEQ5+VBEQ3+VBEQ2−VCEQ2と同様であるので、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流を抑圧するために付加された追加回路部分によって、最低動作電源電圧が引き上げられることはない。
なお、上述した回路構成において、PNP型トランジスタをNPN型トランジスタに置き換え、NPN型トランジスタをPNP型トランジスタに置き換えて、さらに、第1及び第2のダイオード11,12の順方向となる向きを逆にして接続し、第1及び第3の定電流源21,23の接続の向きを逆にし、高圧電源側である第2電源端子300と低圧電源側である第1電源端子400を逆とした構成としても良い。この場合、反転入力端子100、非反転入力端子200への入力電圧が第2電源端子300の電圧を超えた際に、上述した構成例と同様の動作となる。
【0065】
次に、第2の構成例について、図2を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された第1の構成例の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の構成例は、図1に示された第1の構成例において、第6の抵抗器(図1においては「R6」と表記)36を第1の入力部用ダイオード11のカソード側に、第7の抵抗器(図1においては「R7」と表記)37を第2の入力部用ダイオード12のカソード側に、それぞれ設け、入力部10Aが構成されたものとなっている。
すなわち、第1の入力部用ダイオード11のカソードは、第1のダイオード用直列抵抗器としての第6の抵抗器36を介して反転入力端子100に、第2の入力部用ダイオード12のカソードは、第2のダイオード用直列抵抗器としての第7の抵抗器37を介して非反転入力端子200に、それぞれ接続されたものとなっている。
【0066】
かかる構成により、出力位相反転が防止され、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した際には、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑制され、かつ、従来回路と異なり、最低動作電源電圧が引き上げられることがないようになっている。
以下、具体的な回路動作について、特に、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した場合の回路動作を中心に説明する。なお、入力部10における動作は、第1の構成例で説明したように、従来回路と基本的に同様であるので、ここでの再度の詳細な説明を省略する。
【0067】
まず、非反転入力端子200の端子電圧が第1電源端子400の電圧を下回らない状態においては、第6のダイオード16のカソード電位は、非反転入力端子200と同電位であるが、このカソード電位が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低下すると、第6のダイオード16のアノードからカソードへ順方向電流が流れる。この順方向電流が第3の負荷35に流れることで点Dの電位が低下する。この時の点Dの電位は先の第1の構成例同様に式11により表される。
【0068】
点Dの電位が低下するため、ダイオード接続された第9のトランジスタ9を通して点Cの電位も低下する。この点Cの電位Vcは、第1の構成例で示した式12により表される。
次に、点Bの電位を算出する。
先に述べたように、点Bは第2のトランジスタ2のコレクタからベースへの逆流電流が生ずることで電位が低下する。また、点Aは、第2の入力部用ダイオード12の順方向電流が流れることで電位が低下する。
そして、点Bの電位VBは、第1の構成例で示した式13により表され、点Aの電位VAは、下記する式14Aで表される。
【0069】
VA=V200+VT×ln{ID2/(nD2×Is)}+ID2×R7・・・式14A
【0070】
ここで、R7は第7の抵抗器37の抵抗値である。なお、上記式14Aにおける他の各項目の定義は、先の式14で説明した通りである。
これらの式より、第5のトランジスタ5のベース・エミッタ間電圧を求めると、以下のようになる。
まず、点Cの電位と点Bの電位の差Vc−VBは、先の第1の構成例で示した式15により求められる。
一方、点Cの電位と点Aの電位の差Vc−VAは、下記する式16Aにより求められる。
【0071】
Vc−VA=VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−VT×ln{ID2/(nD2×Is)}−ID2×R7=VT×ln{ID6×Ics3×nD2/(nD6×nQ9×ID2×Is)}−ID2×R7・・・式16A
【0072】
一方、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400と第2電源端子300の中点付近での第5及び第6のトランジスタ5,6のベース・エミッタ間電圧は、先の第1の構成例で示した式17で表される如くとなる。
よって、第1の構成例で示した式18、式19の条件が満たされたときには、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低くなっても第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流は増加しない。
【0073】
ここで、式18、式19に、先の式15、式16A、式17を代入し、より詳細な条件を求めると、先の第1の構成例同様、式20が求められると共に、下記する式21Aが求められる。
【0074】
VT×ln{nD2×ID6/(nD6×ID2)}<ID2×R7・・・式21A
【0075】
しかして、式20、式21Aを満たすようにnD6やR2などを調整する、すなわち、第6のダイオード16や第2の抵抗器32などの大きさを調整することで、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなったときに第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることとなる。
なお、先に第1の構成例で示した図5のシミュレーションに基づく特性線図は、この第2の構成例においても同様に適用されるが、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0076】
この第2の構成例における先の式21Aと、第1の構成例で示した式21とを比較すると、式21Aの右辺は0より大きい値であるため、第1の構成例よりもnD6を小さくすることができる。したがって、この第2の構成例では、第1の構成例に比較して、フォールデットカスコード部20の第6のダイオード16のサイズを小さく抑えることができるという利点がある。
また、最低動作電源電圧についても、先の第1の構成例で説明したと同様、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流を抑圧するために付加された追加回路部分によって、最低動作電源電圧が引き上げられることはない。
【0077】
なお、この第2の構成例においても、PNP型トランジスタをNPN型トランジスタに置き換え、NPN型トランジスタをPNP型トランジスタに置き換えて、さらに、第1及び第2のダイオード11,12の順方向となる向きを逆にして接続し、第1及び第3の定電流源21,23の接続の向きを逆にし、高圧電源側である第2電源端子300と低圧電源側である第1電源端子400を逆とした構成としても良い。この場合、反転入力端子100、非反転入力端子200への入力電圧が第2電源端子300の電圧を超えた際に、上述した構成例と同様の動作となる。
【0078】
次に、第3の構成例について、図3を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された第1の構成例の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の構成例は、図1に示された第1の構成例において、新たにPNP型の第7及び第8のトランジスタ(図1においては「Q7」、「Q8」と表記)7,8により構成された差動回路が設けられ、フォールデットカスコード部20Aが構成されたものとなっている。
【0079】
以下、具体的に説明すれば、まず、第1及び第2の追加差動回路用トランジスタとしてのPNP型の第7及び第8のトランジスタ7,8は、エミッタ同士が相互に接続されると共に、第2の定電流源(図1においては「CS2」と表記)22に接続されて定電流が流入せしめられるようになっている。なお、第2の定電源22は第2電源端子300に接続されて、高圧電源電圧が印加されるようになっている。
一方、第7及び第8のトランジスタ7,8のコレクタは、共に第3の負荷35を介して第1電源端子400に接続されるようになっている。
そして、第7のトランジスタ7のベースは反転入力端子100に、第8のトランジスタ8のベースは非反転入力端子200に、それぞれ接続されたものとなっている。
【0080】
かかる構成により、出力位相反転が防止され、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した際には、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑制され、かつ、従来回路と異なり、最低動作電源電圧が引き上げられることがないようになっている。
以下、具体的な回路動作について、特に、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した場合の回路動作を中心に説明する。なお、入力部10における動作は、第1の構成例で説明したように、従来回路と基本的に同様であるので、ここでの再度の詳細な説明を省略する。
【0081】
まず、第8のトランジスタ8のベース電位は、非反転入力端子200の端子電圧と同電位であり、このベース電位が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低下すると、第8のトランジスタ8のコレクタからベースへ逆方向電流が流れる。この逆方向電流が第3の負荷35に流れることで点Dの電位が低下する。この時の点Dの電位は先の第1の構成例同様に式11により表される。
なお、この第3の構成例においては、式11のVD6は、第8のトランジスタ8のコレクタからベースへ逆方向電流が流れるときの閾値電圧、ID6はその逆方向電流値となる。
点Dの電位が低下するため、ダイオード接続された第9のトランジスタ9を通して点Cの電位も低下する。この点Cの電位Vcは、第1の構成例で示した式12により表される。
【0082】
次に、点Bの電位を算出する。
先に述べたように、点Bは第2のトランジスタ2のコレクタからベースへの逆流電流が生ずることで電位が低下する。また、点Aは、第2の入力部用ダイオード12の順方向電流が流れることで電位が低下する。
しかして、点Bの電位VBは、第1の構成例で示した式13により、点Aの電位VAは、第1の構成例で示した式14により、それぞれ表される。
【0083】
これらの式より、第5のトランジスタ5のベース・エミッタ間電圧を求めると、以下のようになる。
まず、点Cの電位と点Bの電位の差Vc−VBは、先の第1の構成例で示した式15により求められる。
また、点Cの電位と点Aの電位の差Vc−VAは、先の第1の構成例で示した式16により求められる。
【0084】
一方、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400と第2電源端子300の中点付近での第5及び第6のトランジスタ5,6のベース・エミッタ間電圧は、先の第1の構成例で示した式17で表される如くとなる。
よって、第1の構成例で示した式18、式19の条件が満たされたときには、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低くなっても第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流は増加しない。
【0085】
ここで、式18、式19に、先の式15、式16、式17を代入し、より詳細な条件を求めると、先の第1の構成例同様、式20、式21が求められる。
しかして、式20、式21を満たすようにnD6やR2などを調整する、すなわち、第8のトランジスタ8や第2の抵抗器32などの大きさを調整することで、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなったときに第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることとなる。
【0086】
なお、先に第1の構成例で示した図5のシミュレーションに基づく特性線図は、この第3の構成例においても同様に適用されるが、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
また、最低動作電源電圧についても、先の第1の構成例で説明したと同様、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流を抑圧するために付加された追加回路部分によって、最低動作電源電圧が引き上げられることはない。
【0087】
なお、この第3の構成例においても、PNP型トランジスタをNPN型トランジスタに置き換え、NPN型トランジスタをPNP型トランジスタに置き換えて、さらに、第1及び第2のダイオード11,12の順方向となる向きを逆にして接続し、第1乃至第3の定電流源21〜23の接続の向きを逆にし、高圧電源側である第2電源端子300と低圧電源側である第1電源端子400を逆とした構成としても良い。この場合、反転入力端子100、非反転入力端子200への入力電圧が第2電源端子300の電圧を超えた際に、上述した構成例と同様の動作となる。
【0088】
次に、第4の構成例について、図4を参照しつつ説明する。
なお、図1、図3に示された第1の構成例の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の構成例は、図3に示された第3の構成例において、図2に示された第2の構成例のように第6及び第7の抵抗器36,37を設けた構成を有するものである。
【0089】
すなわち、第1の入力部用ダイオード11のカソードは、第6の抵抗器36を介して反転入力端子100に、第2の入力部用ダイオード12のカソードは、第7の抵抗器37を介して非反転入力端子200に、それぞれ接続されたものとなっている。
かかる構成により、出力位相反転が防止され、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した際には、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑制され、かつ、従来回路と異なり、最低動作電源電圧が引き上げられることがないようになっている。
【0090】
以下、具体的な回路動作について、特に、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した場合の回路動作を中心に説明する。なお、入力部10における動作は、第1の構成例で説明したように、従来回路と基本的に同様であるので、ここでの再度の詳細な説明を省略する。
【0091】
まず、非反転入力端子200の端子電圧が第1電源端子400の電圧を下回らない状態においては、第6のダイオード16のカソード電位は、非反転入力端子200と同電位であるが、このカソード電位が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低下すると、第6のダイオード16のアノードからカソードへ逆方向電流が流れる。この逆方向電流が第3の負荷35に流れることで点Dの電位が低下する。この時の点Dの電位は先の第1の構成例同様に式11により表される。
【0092】
点Dの電位が低下するため、ダイオード接続された第9のトランジスタ9を通して点Cの電位も低下する。この点Cの電位Vcは、第1の構成例で示した式12により表される。
次に、点Bの電位を算出する。
先に述べたように、点Bは第2のトランジスタ2のコレクタからベースへの逆流電流が生ずることで電位が低下する。また、点Aは、第2の入力部用ダイオード12の順方向電流が流れることで電位が低下する。
そして、点Bの電位VBは、第1の構成例で示した式13により表され、点Aの電位VAは、先の第2の構成例で示した下記する式14Aで表される。
【0093】
VA=V200+VT×ln{ID2/(nD2×Is)}+ID2×R7・・・式14A
【0094】
ここで、R7は第7の抵抗器37の抵抗値である。なお、上記式14Aにおける他の各項目の定義は、先の式14で説明した通りである。
これらの式より、第5のトランジスタ5のベース・エミッタ間電圧を求めると、以下のようになる。
まず、点Cの電位と点Bの電位の差Vc−VBは、先の第1の構成例で示した式15により求められる。
一方、点Cの電位と点Aの電位の差Vc−VAは、先の第2の構成例で示した下記する式16Aにより求められる。
【0095】
Vc−VA=VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−VT×ln{ID2/(nD2×Is)}−ID2×R7=VT×ln{ID6×Ics3×nD2/(nD6×nQ9×ID2×Is)}−ID2×R7・・・式16A
【0096】
一方、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400と第2電源端子300の中点付近での第5及び第6のトランジスタ5,6のベース・エミッタ間電圧は、先の第1の構成例で示した式17で表される如くとなる。
よって、第1の構成例で示した式18、式19の条件が満たされたときには、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低くなっても第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流は増加しない。
【0097】
ここで、式18、式19に、先の式15、式16A、式17を代入し、より詳細な条件を求めると、先の第1の構成例同様、式20が求められると共に、先の第2の構成例で示した下記する式21Aが求められる。
【0098】
VT×ln{nD2×ID6/(nD6×ID2)}<ID2×R7・・・式21A
【0099】
しかして、式20、式21Aを満たすようにnD6やR2などを調整する、すなわち、第6のダイオード16や第2の抵抗器32などの大きさを調整することで、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなったときに第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることとなる。
なお、先に第1の構成例で示した図5のシミュレーションに基づく特性線図は、この第4の構成例においても同様に適用されるが、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0100】
この第4の構成例における先の式21Aと、第1の構成例で示した式21とを比較すると、式21Aの右辺は0より大きい値であるため、第1の構成例よりもnD6を小さくすることができる。したがって、この第4の構成例では、第1の構成例に比較して、フォールデットカスコード部20の第6のダイオード16のサイズを小さく抑えることができるという利点がある。
また、最低動作電源電圧についても、先の第1の構成例で説明したと同様、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流を抑圧するために付加された追加回路部分によって、最低動作電源電圧が引き上げられることはない。
【0101】
なお、この第4の構成例においても、PNP型トランジスタをNPN型トランジスタに置き換え、NPN型トランジスタをPNP型トランジスタに置き換えて、さらに、第1及び第2のダイオード11,12の順方向となる向きを逆にして接続し、第1乃至第3の定電流源21〜23の接続の向きを逆にし、高圧電源側である第2電源端子300と定圧電源側である第1電源端子400を逆とした構成としても良い。この場合、反転入力端子100、非反転入力端子200への入力電圧が第2電源端子300の電圧を超えた際に、上述した構成例と同様の動作となる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
消費電流の増加や最低動作電源電圧の上昇などを招くことない出力位相反転防止動作が所望される演算増幅器に適用できる。
【符号の説明】
【0103】
10、10A…入力部
20、20A…フォールデットカスコード部
100…反転入力端子
200…非反転入力端子
300…第1電源端子
400…第2電源端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算増幅器に係り、特に、出力位相の反転防止を施したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の演算増幅器としては、例えば、図6に示された構成のものが知られている。
かかる演算増幅器は、トランジスタQ1,Q2による差動回路からなる入力部10aと、フォールデットカスコード増幅回路が構成されたフォールデットカスコード部20aとに大別されて構成されたものとなっている。
この演算増幅器においては、いわゆる反転防止回路が設けられていないため、入力端子100,200における入力端子電圧が、電源端子400の電圧より0.7V低下すると、図7に示されたように出力電圧が変化し、出力位相反転を起こすという欠点がある。
なお、図7において、点線は電源電圧のレベルを、実線の特性線は入力電圧の変化を、二点鎖線の特性線は出力電圧の変化を、それぞれ示している。ここで、出力電圧の変化は、上述の出力位相反転を生ずる前後においては、実線の特性線で表された入力電圧変化と同一となっており、実線の特性線と重複したものとなっている。
【0003】
上述のような出力位相反転を防止する対策が施された演算増幅器として、例えば、図8に示された回路構成のものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
以下、同図を参照しつつ、従来の出力位相反転防止機能を有する演算増幅器について説明する。
この演算増幅器は、トランジスタQ1,Q2による差動回路からなる入力部10bと、フォールデットカスコード増幅回路が構成されたフォールデットカスコード部20bとに大別されて構成される点は、図6に示された従来回路と基本的に同一である。
【0004】
かかる演算増幅器においては、上述の基本構成において、さらに、反転入力端子100とトランジスタQ2のコレクタとの間に、アノードがトランジスタQ2のコレクタ側となるように第1のダイオードD1が接続されて設けられる一方、非反転入力端子200とトランジスタQ1のコレクタとの間に、アノードがトランジスタQ2のコレクタ側となるように第2のダイオードD2が接続されて設けられたものとなっている。
【0005】
かかる構成において、非反転入力端子200の電圧が第1電源端子400の電圧よりも低下した場合の出力位相反転防止動作について説明する。
まず、第1電源端子400の電圧を0Vとし、非反転入力端子200の端子電圧V200が、V200<−0.7(V)となった場合を考えると、この際、トランジスタQ2のコレクタ・ベース間の寄生ダイオードD4を通じて電流ID4が流れる。同時に、非反転入力端子200に接続されたダイオードD2を通して電流ID2が流れる。このような電流が流れることにより、点Bの電圧VBと点Aの電圧VAが低下する。なお、図8において、寄生ダイオードD3、D4は点線により表されている。
【0006】
ここで、便宜的に、トランジスタQ2の寄生ダイオードD4のアノード・カソード間電圧をVD4、ダイオードD2のアノード・カソード間電圧をVD2とすると、VA、VBの電圧は下記する式1、式2により表されるものとなる。
【0007】
VA=V200+VD2=V200+VT×ln{ID2/(nD2×Is)}・・・式1
【0008】
VB=V200+VD4=V200+VT×ln{ID4/(nD4×Is)}・・・式2
【0009】
ここで、VTは熱電圧で、周囲温度が300Kの時に約26(mV)となる。また、Isは逆方向飽和電流、nD2及びnD4は単位素子面積に対する倍率である。
そして、VA>VBの関係が成り立つ場合には、出力位相反転は生じないが、VA<VBとなると、フォールデットカスコード部20bのトランジスタQ5、Q6の振る舞いが変わり、出力位相反転が生ずる。この場合の条件を数式化すると下記する式3により表される。
【0010】
VA−VB>0、且つ、ln{ID4×nD2/(ID2×nD4)}>0・・・式3
【0011】
この式3を満たすようにnD2を調整することで、図9に示されたように出力位相反転を防止することができる。
なお、図9において、点線は電源電圧のレベルを、実線の特性線は入力電圧の変化を、二点鎖線の特性線は出力電圧の変化を、それぞれ示している。ここで、出力電圧の変化は、入力電圧が電源電圧レベルを越える前後、及び、入力電圧が電源電圧レベルを下回る前後においては、実線の特性線で表された入力電圧変化と同一となっており、実線の特性線と重複したものとなっている。
【0012】
ところが、図8に示された回路は、確かに出力位相反転を防止することはできるが、非反転入力端子200の電圧が第1電源端子400より下がった場合に、フォールデットカスコード部20bのベース接地のトランジスタQ5、Q6のベース・エミッタ間電圧が増加し、コレクタ電流が増加するという問題がある。
この現象について、以下に説明する。
まず、第1電源端子400の電圧を0Vとし、非反転入力端子200の端子電圧V200が、V200<−0.7(V)となった際に、トランジスタQ5、Q6のエミッタ電位である点A、点Bの電位は、式1、式2で表されることは先に説明した通りである。このとき、トランジスタQ5、Q6のベース電位である点Cの電位Vcは下記する式4で与えられる。
【0013】
Vc=Ics3×R5+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}・・・式4
【0014】
ここで、Ics3はトランジスタQ3のコレクタ電流、R5はトランジスタQ9のエミッタに接続された負荷の抵抗値、VTは熱電圧、nQ9はトランジスタQ9のの単位素子面積に対する逆方向飽和電流Isの倍率である。
したがって、トランジスタQ5のベース・エミッタ間電位差VBEQ5は下記する式5で表される。
【0015】
VBEQ5=Vc−VB=Ics3×R5+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−V200−VT×ln{ID4/(nD4×Is)}=Ics3×R5+VT×ln{Ics3×nD4/(nQ9×ID4)}−V200・・・式5
【0016】
ここで、非反転入力端子電圧V200は、−0.7Vよりも小さいと仮定しているが、この電圧が小さくなるに従って、トランジスタQ5のベース・エミッタ間電位差VBEQ5が大きくなることが式5から明らかである。そして、トランジスタQ5のベース・エミッタ間電位差VBEQ5が大きくなると、トランジスタQ5のコレクタ電流が増加し、演算増幅器の消費電流増加を招くこととなる。
【0017】
一方、トランジスタQ6のベース・エミッタ間電位差VBEQ6は、下記する式6で表される。
【0018】
VBEQ6=Vc−VA=Ics3×R5+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−V200−VT×ln{ID2/(nD2×Is)}=Ics3×R5+VT×ln{Ics3×nD2/(nQ9×ID2)}−V200・・・式6
【0019】
トランジスタQ5と同様に、非反転入力端子電圧V200の低下に従ってトランジスタQ6のベース・エミッタ間電位差VBEQ6が大きくなり、図10に示されたようにトランジスタQ6のコレクタ電流が増加し、演算増幅器の消費電流増加を招くという問題がある。
なお、図10において、実線の特性線は入力電圧の変化を、二点鎖線の特性線は出力電圧の変化を、一点鎖線の特性線はコレクタ電流の変化を、それぞれ示している。ここで、出力電圧の変化は、入力電圧が10Vを越える範囲、及び、入力電圧が0Vを下回る範囲を除いては、実線の特性線で表された入力電圧変化同一となっており、実線の特性線と重複したものとなっている。
【0020】
この消費電流増加の問題を解決する方策としては、例えば、図11に示された回路構成が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
以下、かかる回路について図11を参照しつつ説明する。
なお、先に図6、図8に示された回路構成例における構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
かかる回路は、フォールデットカスコード部20cのベース接地トランジスタQ5、Q6のベース電流を制御することで消費電流の増加を抑制可能とした構成となっており、この電流制御を行う回路は、具体的には、トランジスタQ7、Q8、Q9、及び、電流源CS4によって構成されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2001−308656号公報(第4−12頁、図1−図6)
【特許文献2】特開2010−28311号公報(第5−9頁、図1−図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、図11に示された回路にあっては、上述のように消費電流の増加を抑制することはできるが、追加回路により、最低動作電源電圧が引き上げられるという欠点がある。
かかる欠点について以下に説明する。
まず、先に図8に示された従来回路の最低動作電源電圧をV+(min)2とし、図11に示された従来回路の最低動作電源電圧をV+(min)3とすると、最低動作電源電圧は、それぞれ式7、式8により表される。
【0023】
V+(min)2=VCEQ5+VBEQ3+VR4・・・式7
【0024】
V+(min)3=VCECS4+VBEQ8+VBEQ9・・・式8
【0025】
ここで、VCEQ5はトランジスタQ5のコレクタ・エミッタ間での電圧降下、VBEQ3はトランジスタQ3のベース・エミッタ間電圧、VR4は負荷R4での電圧降下、VCECS4は電流源CS4での電圧降下、VBEQ8はトランジスタQ8のベース・エミッタ間電圧、VBEQ9はトランジスタQ9のベース・エミッタ間電圧である。
図11に示された従来回路にあっては、入力端子電圧が第1電源端子400の電圧に低下した場合でも、演算増幅器の電圧利得が保たれる、いわゆる単電源オペアンプとして動作することが望ましい。
したがって、その場合、負荷R4での電圧降下は下記する式9で表される。
【0026】
VR4=VBEQ2−VCEQ2・・・式9
【0027】
ここで、VBEQ2はトランジスタQ2のベース・エミッタ間電圧、VCEQ2はトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間の電圧降下である。したがって、図8に示された従来回路における最低動作電源電圧V+(min)2は下記する式10により表される。
【0028】
V+(min)2=VCEQ5+VBEQ3+VBEQ2−VCEQ2・・・式10
【0029】
ここで、VCEの添え字の電圧(コレクタ・エミッタ間電圧)は約0.2V、VBEの添え字の電圧(ベース・エミッタ間電圧)は約0.7Vと仮定すると、図8に示された従来回路の最低動作電源電圧V+(min)2は1.4V、図11に示された従来回路の最低動作電源電圧V+(min)3は1.6Vとなる。
したがって、図11に示された従来回路を用いた場合、図8に示された従来回路に比して、最低動作電源電圧が0.2V引き上げられることとなる。
【0030】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、消費電流の増加や最低動作電源電圧の上昇などを招くことなく出力位相反転を抑圧可能な演算増幅器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る演算増幅器は、
差動増幅回路が構成されてなる入力部と、フォールデットカスコード回路により前記入力部の出力を増幅出力するよう構成されてなるフォールデットカスコード部とを具備してなる演算増幅器において、
前記差動増幅回路は、第1及び第2のトランジスタが差動増幅可能に接続されて設けられ、前記第1のトランジスタのベースは第1の抵抗器を介して反転入力端子に、前記第2のトランジスタのベースは第2の抵抗器を介して非反転入力端子に、それぞれ接続される一方、
前記第1及び第2のトランジスタは、出力側にそれぞれ負荷が接続され、前記第2のトランジスタと前記対応する負荷の相互の接続点と、前記反転入力端子との間に第1の入力部用ダイオードが、前記第1のトランジスタと前記対応する負荷の相互の接続点と、前記非反転入力端子との間に第2の入力部用ダイオードが、前記反転入力端子と前記非反転入力端子との間の入力電圧が電源電圧の範囲を超えても、前記第1のトランジスタの前記負荷との接続点の電圧を、前記第2のトランジスタの前記負荷との接続点の電圧より大に維持可能とする方向に、それぞれ接続されて設けられ、
前記フォールデットカスコード回路は、フォールデットカスコード接続された第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタを用いてなると共に、前記第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタのベースにバイアスを供給するバイアス回路が設けられ、
前記バイアス回路には、高圧電源と低圧電源との間に、ダイオード接続されたバイアス回路用トランジスタが設けられ、前記バイアス回路用トランジスタと前記負荷の相互の接続点と、前記反転入力端子と前記非反転入力端子とが、それぞれ第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードを介して接続され、前記第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードは、前記第1及び第2の入力部用ダイオードの前記反転入力端子、及び、非反転入力端子に対する接続方向と同一となるように接続されてなるものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、従来と異なり、消費電流の増加や最低動作電源電圧の上昇などを招くことなく出力位相反転を確実に防止することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態の演算増幅器の第1の構成例における回路図である。
【図2】本発明の実施の形態の演算増幅器の第2の構成例における回路図である。
【図3】本発明の実施の形態の演算増幅器の第3の構成例における回路図である。
【図4】本発明の実施の形態の演算増幅器の第4の構成例における回路図である。
【図5】図1に示された第1の構成例における入力電圧の変化に対する第5及び第6のトランジスタのコレクタ電流の変化をシミュレーションした結果を示す特性線図である。
【図6】従来回路の第1の構成例を示す回路図である。
【図7】図6に示された従来回路における入力電圧の変化に対する出力電圧の変化を示す特性線図である。
【図8】従来回路の第2の構成例を示す回路図である。
【図9】図8に示された従来回路における入力電圧の変化に対する出力電圧の変化を示す特性線図である。
【図10】図8に示された従来回路における入力電圧の変化に対するコレクタ電流の変化をシミュレーションした結果を示す特性線図である。
【図11】従来回路の第3の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図5を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態の演算増幅器の第1の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
この演算増幅器は、第1及び第2のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q1」、「Q2」と表記)1,2を主たる構成要素としてなる差動回路を有する入力部10と、フォールデットカスコード増幅回路が構成されたフォールデットカスコード部20とに大別されて構成される点は、この主の従来回路とその基本構成を同一とするものである。
【0035】
入力部10は、PNP型の第1及び第2のトランジスタ1,2を主たる構成要素としてなる差動回路を有し、差動増幅出力がフォールデットカスコード部20へ入力されるようになっている。
具体的には、まず、第1及び第2のトランジスタ1,2のエミッタ同士が相互に接続されると共に、第1の定電流源(図1においては「CS1」と表記)21に接続されて定電流が流入せしめられるようになっている。なお、第1の定電源21は第2電源端子300に接続されて、高圧電源電圧が印加されるようになっている。
【0036】
一方、第1のトランジスタ1のベースは、第1の抵抗器(図1においては「R1」と表記)31を介して反転入力端子100に接続され、第2のトランジスタ2のベースは、第2の抵抗器(図1においては「R2」と表記)32を介して非反転入力端子200に接続されたものとなっている。
【0037】
また、第1のトランジスタ1のコレクタは、第1の負荷(図1においては「R3」と表記)33を介して、第2のトランジスタ2のコレクタは、第2の負荷(図1においては「R4」と表記)34を介して、共に第1の電源端子400に接続されており、低圧電源電圧が印加されるようになっている。
さらに、反転入力端子100と第2のトランジスタ2のコレクタの間には、カソードが反転入力端子100側となるように第1の入力部用ダイオード(図1においては「D1」と表記)11が接続されている。
またさらに、非反転入力端子200とトランジスタ1のコレクタの間には、カソードが非反転入力端子200側となるように第2の入力部用ダイオード(図1においては「D2」と表記)12が接続されている。
【0038】
次に、フォールデットカスコード部20は、PNP型の第3及び第4のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q3」、「Q4」と表記)3,4と、第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタとしてのNPN型の第5及び第6のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q5」、「Q6」と表記)5,6と、NPN型の第9のトランジスタ9と、第3の定電流源(図1においては「CS3」と表記)23を主たる構成要素として、フォールデットカスコード増幅回路が構成されたものとなっている。
【0039】
具体的には、第3及び第4のトランジスタ3,4は、ベースが相互に接続されると共に、第3のトランジスタ3のコレクタと接続される一方、各々のエミッタは第2電源端子300に接続されて、カレントミラー回路を構成するものとなっている。
そして、第3のトランジスタ3のコレクタは、第5のトランジスタ5のコレクタに接続される一方、第4のトランジスタ4のコレクタは、第6のトランジスタ6のコレクタと共に出力端子500に接続されている。
【0040】
第5及び第6のトランジスタ5,6は、ベースが相互に接続されると共に、第9のトランジスタのベース及びコレクタに接続されている。
また、第5のトランジスタ5のエミッタは、先の第2のトランジスタ2のコレクタに、第6のトランジスタ6のエミッタは、先の第1のトランジスタ1のコレクタに、それぞれ接続されている。
第9のトランジスタ9のコレクタは、第3の定電流源23に接続されて、定電流が供給されるようになっている。なお、第3の定電流源23は第2電源端子300に接続されて高圧電源電圧が印加されるようになっている。
【0041】
また、第9のトランジスタ9のエミッタは、負荷としての第3の負荷(図1においては「R5」と表記)35を介して第1電源端子400に接続されている。
なお、上述の第3の定電流源23、第9のトランジスタ9、及び、第3の負荷35の直列回路は、第5及び第6のトランジスタ5,6のバイアス回路として機能するものとなっている。
さらに、第9のトランジスタ9のエミッタには、第1のフォールデットカスコード部用ダイオードとしての第5のダイオード(図1においては「D5」と表記)15のアノード、及び、第2のフォールデットカスコード部用ダイオードとしての第6のダイオード(図1においては「D6」と表記)16のアノードが接続されている。そして、第5のダイオード15のカソードは反転入力端子100に、第6のダイオード16のカソードは非反転入力端子200に、それぞれ接続されている。
【0042】
かかる構成により、出力位相反転が防止され、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した際には、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑制され、かつ、従来回路と異なり、最低動作電源電圧が引き上げられることがないようになっている。
以下、具体的な回路動作について、特に、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した場合の回路動作を中心に説明する。
【0043】
まず、第1電源端子400の電圧を0Vとし、非反転入力端子200の端子電圧V200が、V200<−0.7(V)となった場合を考える。
この場合における入力部10の動作は、従来回路と基本的に同様であるので、概略的に説明すれば、まず、第2のトランジスタ2のコレクタ・ベース間の寄生ダイオードD4を通じて電流ID4が流れる。同時に、非反転入力端子200に接続された第2の入力部用ダイオード12を通して電流ID2が流れる。このような電流が流れることにより、点Bの電圧VBと点Aの電圧VAが低下する。
【0044】
一方、非反転入力端子200の端子電圧が第1電源端子400の電圧を下回らない状態においては、第6のダイオード16のカソード電位は、非反転入力端子200と同電位であるが、このカソード電位が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低下すると、第6のダイオード16のアノードからカソードへ順方向電流が流れる。この順方向電流が第3の負荷35に流れることで点Dの電位が低下する。この時の点Dの電位は下記する式11により表される。
【0045】
VD=V200+VD6=V200+VT×ln{ID6/(nD6×Is)}・・・式11
【0046】
ここで、VTは熱電圧、Isは逆方向飽和電流、nD6は単位素子面積に対する倍率である。また、V200は非反転入力端子200の端子電圧、VD6は第6のダイオード16のアノード・カソード間の順方向電圧降下、ID6はその順方向電流値である。
点Dの電位が低下するため、ダイオード接続された第9のトランジスタ9を通して点Cの電位も低下する。この点Cの電位Vcは、下記する式12により表される。
【0047】
Vc=VD+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}=V200+VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}・・・式12
【0048】
ここで、Ics3は第3の定電流源23の電流値であり、第9のトランジスタ9に流れる電流である。また、nQ9は第9のトランジスタ9の単位素子面積に対する倍率である。
次に、点Bの電位を算出する。
先に述べたように、点Bは第2のトランジスタ2のコレクタからベースへの逆流電流が生ずることで電位が低下する。また、点Aは、第2の入力部用ダイオード12の順方向電流が流れることで電位が低下する。
そして、点Bの電位VBと点Aの電位VAは、下記する式13、式14で表される。
【0049】
VB=V200+VT×ln{ID4/(nD4×Is)}+ID4×R2・・・式13
【0050】
VA=V200+VT×ln{ID2/(nD2×Is)}・・・式14
【0051】
ここで、ID4は第2のトランジスタ2のコレクタからベースに流れる逆方向電流値、ID2は第2の入力部用ダイオード12に流れる順方向電流値、nD4は第2のトランジスタ2のコレクタ・ベース間のPN接合の単位素子面積に対する倍率、nD2は第2の入力部用ダイオード12の単位素子面積に対する倍率である。
これらの式より、第5のトランジスタ5のベース・エミッタ間電圧を求めると、以下のようになる。
【0052】
Vc−VB=VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−VT×ln{ID4/(nD4×Is)}−ID4×R2=VT×ln{ID6×Ics3×nD4/(nD6×nQ9×ID4×Is)}−ID4×R2・・・式15
【0053】
Vc−VA=VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−VT×ln{ID2/(nD2×Is)}≒VT×ln{ID6×Ics3×nD2/(nD6×nQ9×ID2×Is)}・・・式16
【0054】
一方、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400と第2電源端子300の中点付近での第5及び第6のトランジスタ5,6のベース・エミッタ間電圧は、下記する式17で表される如くとなる。
【0055】
VBEQ5=VT×ln{IQ5/(nQ5×Is)}=VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}・・・式17
【0056】
よって下記する式18、式19の条件が満たされたときには、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低くなっても第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流は増加しない。
【0057】
Vc−VB<VBEQ5・・・式18
【0058】
Vc−VA<VBEQ5・・・式19
【0059】
この式18、式19に、先の式15、式16、式17を代入し、より詳細な条件を求めると以下のようになる。
【0060】
VT×ln{nD4×ID6/(nD6×ID4)}<ID4×R2・・・式20
【0061】
VT×ln{nD2×ID6/(nD6×ID2)}<0・・・式21
【0062】
式20、式21を満たすようにnD6やR2などを調整する、すなわち、第6のダイオード16や第2の抵抗器32などの大きさを調整することで、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなったときに第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることとなる。
図5には、図1に示された回路構成の演算増幅器における入出力電圧の変化と第5及び第6のトランジスタのコレクタ電流変化のシミュレーション結果を示す特性線図が示されている。
【0063】
同図において、実線の特性線は入力電圧の変化を、二点鎖線の特性線は出力電圧の変化を、それぞれ示している。また、一点鎖線の特性線はコレクタ電流を示している。
ここで、出力電圧の変化は、入力電圧が10Vを越える範囲、及び、入力電圧が0Vを下回る範囲を除いては、実線の特性線で表された入力電圧変化同一となっており、実線の特性線と重複したものとなっている。
図5によれば、入力電圧が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなっても、出力位相反転を生ずることなく、かつ、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることが確認できる。
【0064】
また、最低動作電源電圧は、先に従来回路の説明における式10に示された関係式、V+(min)2=VCEQ5+VBEQ3+VBEQ2−VCEQ2と同様であるので、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流を抑圧するために付加された追加回路部分によって、最低動作電源電圧が引き上げられることはない。
なお、上述した回路構成において、PNP型トランジスタをNPN型トランジスタに置き換え、NPN型トランジスタをPNP型トランジスタに置き換えて、さらに、第1及び第2のダイオード11,12の順方向となる向きを逆にして接続し、第1及び第3の定電流源21,23の接続の向きを逆にし、高圧電源側である第2電源端子300と低圧電源側である第1電源端子400を逆とした構成としても良い。この場合、反転入力端子100、非反転入力端子200への入力電圧が第2電源端子300の電圧を超えた際に、上述した構成例と同様の動作となる。
【0065】
次に、第2の構成例について、図2を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された第1の構成例の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の構成例は、図1に示された第1の構成例において、第6の抵抗器(図1においては「R6」と表記)36を第1の入力部用ダイオード11のカソード側に、第7の抵抗器(図1においては「R7」と表記)37を第2の入力部用ダイオード12のカソード側に、それぞれ設け、入力部10Aが構成されたものとなっている。
すなわち、第1の入力部用ダイオード11のカソードは、第1のダイオード用直列抵抗器としての第6の抵抗器36を介して反転入力端子100に、第2の入力部用ダイオード12のカソードは、第2のダイオード用直列抵抗器としての第7の抵抗器37を介して非反転入力端子200に、それぞれ接続されたものとなっている。
【0066】
かかる構成により、出力位相反転が防止され、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した際には、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑制され、かつ、従来回路と異なり、最低動作電源電圧が引き上げられることがないようになっている。
以下、具体的な回路動作について、特に、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した場合の回路動作を中心に説明する。なお、入力部10における動作は、第1の構成例で説明したように、従来回路と基本的に同様であるので、ここでの再度の詳細な説明を省略する。
【0067】
まず、非反転入力端子200の端子電圧が第1電源端子400の電圧を下回らない状態においては、第6のダイオード16のカソード電位は、非反転入力端子200と同電位であるが、このカソード電位が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低下すると、第6のダイオード16のアノードからカソードへ順方向電流が流れる。この順方向電流が第3の負荷35に流れることで点Dの電位が低下する。この時の点Dの電位は先の第1の構成例同様に式11により表される。
【0068】
点Dの電位が低下するため、ダイオード接続された第9のトランジスタ9を通して点Cの電位も低下する。この点Cの電位Vcは、第1の構成例で示した式12により表される。
次に、点Bの電位を算出する。
先に述べたように、点Bは第2のトランジスタ2のコレクタからベースへの逆流電流が生ずることで電位が低下する。また、点Aは、第2の入力部用ダイオード12の順方向電流が流れることで電位が低下する。
そして、点Bの電位VBは、第1の構成例で示した式13により表され、点Aの電位VAは、下記する式14Aで表される。
【0069】
VA=V200+VT×ln{ID2/(nD2×Is)}+ID2×R7・・・式14A
【0070】
ここで、R7は第7の抵抗器37の抵抗値である。なお、上記式14Aにおける他の各項目の定義は、先の式14で説明した通りである。
これらの式より、第5のトランジスタ5のベース・エミッタ間電圧を求めると、以下のようになる。
まず、点Cの電位と点Bの電位の差Vc−VBは、先の第1の構成例で示した式15により求められる。
一方、点Cの電位と点Aの電位の差Vc−VAは、下記する式16Aにより求められる。
【0071】
Vc−VA=VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−VT×ln{ID2/(nD2×Is)}−ID2×R7=VT×ln{ID6×Ics3×nD2/(nD6×nQ9×ID2×Is)}−ID2×R7・・・式16A
【0072】
一方、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400と第2電源端子300の中点付近での第5及び第6のトランジスタ5,6のベース・エミッタ間電圧は、先の第1の構成例で示した式17で表される如くとなる。
よって、第1の構成例で示した式18、式19の条件が満たされたときには、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低くなっても第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流は増加しない。
【0073】
ここで、式18、式19に、先の式15、式16A、式17を代入し、より詳細な条件を求めると、先の第1の構成例同様、式20が求められると共に、下記する式21Aが求められる。
【0074】
VT×ln{nD2×ID6/(nD6×ID2)}<ID2×R7・・・式21A
【0075】
しかして、式20、式21Aを満たすようにnD6やR2などを調整する、すなわち、第6のダイオード16や第2の抵抗器32などの大きさを調整することで、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなったときに第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることとなる。
なお、先に第1の構成例で示した図5のシミュレーションに基づく特性線図は、この第2の構成例においても同様に適用されるが、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0076】
この第2の構成例における先の式21Aと、第1の構成例で示した式21とを比較すると、式21Aの右辺は0より大きい値であるため、第1の構成例よりもnD6を小さくすることができる。したがって、この第2の構成例では、第1の構成例に比較して、フォールデットカスコード部20の第6のダイオード16のサイズを小さく抑えることができるという利点がある。
また、最低動作電源電圧についても、先の第1の構成例で説明したと同様、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流を抑圧するために付加された追加回路部分によって、最低動作電源電圧が引き上げられることはない。
【0077】
なお、この第2の構成例においても、PNP型トランジスタをNPN型トランジスタに置き換え、NPN型トランジスタをPNP型トランジスタに置き換えて、さらに、第1及び第2のダイオード11,12の順方向となる向きを逆にして接続し、第1及び第3の定電流源21,23の接続の向きを逆にし、高圧電源側である第2電源端子300と低圧電源側である第1電源端子400を逆とした構成としても良い。この場合、反転入力端子100、非反転入力端子200への入力電圧が第2電源端子300の電圧を超えた際に、上述した構成例と同様の動作となる。
【0078】
次に、第3の構成例について、図3を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された第1の構成例の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の構成例は、図1に示された第1の構成例において、新たにPNP型の第7及び第8のトランジスタ(図1においては「Q7」、「Q8」と表記)7,8により構成された差動回路が設けられ、フォールデットカスコード部20Aが構成されたものとなっている。
【0079】
以下、具体的に説明すれば、まず、第1及び第2の追加差動回路用トランジスタとしてのPNP型の第7及び第8のトランジスタ7,8は、エミッタ同士が相互に接続されると共に、第2の定電流源(図1においては「CS2」と表記)22に接続されて定電流が流入せしめられるようになっている。なお、第2の定電源22は第2電源端子300に接続されて、高圧電源電圧が印加されるようになっている。
一方、第7及び第8のトランジスタ7,8のコレクタは、共に第3の負荷35を介して第1電源端子400に接続されるようになっている。
そして、第7のトランジスタ7のベースは反転入力端子100に、第8のトランジスタ8のベースは非反転入力端子200に、それぞれ接続されたものとなっている。
【0080】
かかる構成により、出力位相反転が防止され、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した際には、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑制され、かつ、従来回路と異なり、最低動作電源電圧が引き上げられることがないようになっている。
以下、具体的な回路動作について、特に、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した場合の回路動作を中心に説明する。なお、入力部10における動作は、第1の構成例で説明したように、従来回路と基本的に同様であるので、ここでの再度の詳細な説明を省略する。
【0081】
まず、第8のトランジスタ8のベース電位は、非反転入力端子200の端子電圧と同電位であり、このベース電位が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低下すると、第8のトランジスタ8のコレクタからベースへ逆方向電流が流れる。この逆方向電流が第3の負荷35に流れることで点Dの電位が低下する。この時の点Dの電位は先の第1の構成例同様に式11により表される。
なお、この第3の構成例においては、式11のVD6は、第8のトランジスタ8のコレクタからベースへ逆方向電流が流れるときの閾値電圧、ID6はその逆方向電流値となる。
点Dの電位が低下するため、ダイオード接続された第9のトランジスタ9を通して点Cの電位も低下する。この点Cの電位Vcは、第1の構成例で示した式12により表される。
【0082】
次に、点Bの電位を算出する。
先に述べたように、点Bは第2のトランジスタ2のコレクタからベースへの逆流電流が生ずることで電位が低下する。また、点Aは、第2の入力部用ダイオード12の順方向電流が流れることで電位が低下する。
しかして、点Bの電位VBは、第1の構成例で示した式13により、点Aの電位VAは、第1の構成例で示した式14により、それぞれ表される。
【0083】
これらの式より、第5のトランジスタ5のベース・エミッタ間電圧を求めると、以下のようになる。
まず、点Cの電位と点Bの電位の差Vc−VBは、先の第1の構成例で示した式15により求められる。
また、点Cの電位と点Aの電位の差Vc−VAは、先の第1の構成例で示した式16により求められる。
【0084】
一方、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400と第2電源端子300の中点付近での第5及び第6のトランジスタ5,6のベース・エミッタ間電圧は、先の第1の構成例で示した式17で表される如くとなる。
よって、第1の構成例で示した式18、式19の条件が満たされたときには、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低くなっても第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流は増加しない。
【0085】
ここで、式18、式19に、先の式15、式16、式17を代入し、より詳細な条件を求めると、先の第1の構成例同様、式20、式21が求められる。
しかして、式20、式21を満たすようにnD6やR2などを調整する、すなわち、第8のトランジスタ8や第2の抵抗器32などの大きさを調整することで、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなったときに第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることとなる。
【0086】
なお、先に第1の構成例で示した図5のシミュレーションに基づく特性線図は、この第3の構成例においても同様に適用されるが、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
また、最低動作電源電圧についても、先の第1の構成例で説明したと同様、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流を抑圧するために付加された追加回路部分によって、最低動作電源電圧が引き上げられることはない。
【0087】
なお、この第3の構成例においても、PNP型トランジスタをNPN型トランジスタに置き換え、NPN型トランジスタをPNP型トランジスタに置き換えて、さらに、第1及び第2のダイオード11,12の順方向となる向きを逆にして接続し、第1乃至第3の定電流源21〜23の接続の向きを逆にし、高圧電源側である第2電源端子300と低圧電源側である第1電源端子400を逆とした構成としても良い。この場合、反転入力端子100、非反転入力端子200への入力電圧が第2電源端子300の電圧を超えた際に、上述した構成例と同様の動作となる。
【0088】
次に、第4の構成例について、図4を参照しつつ説明する。
なお、図1、図3に示された第1の構成例の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の構成例は、図3に示された第3の構成例において、図2に示された第2の構成例のように第6及び第7の抵抗器36,37を設けた構成を有するものである。
【0089】
すなわち、第1の入力部用ダイオード11のカソードは、第6の抵抗器36を介して反転入力端子100に、第2の入力部用ダイオード12のカソードは、第7の抵抗器37を介して非反転入力端子200に、それぞれ接続されたものとなっている。
かかる構成により、出力位相反転が防止され、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した際には、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑制され、かつ、従来回路と異なり、最低動作電源電圧が引き上げられることがないようになっている。
【0090】
以下、具体的な回路動作について、特に、非反転入力端子200における電圧(非反転入力端子電圧)が第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低下した場合の回路動作を中心に説明する。なお、入力部10における動作は、第1の構成例で説明したように、従来回路と基本的に同様であるので、ここでの再度の詳細な説明を省略する。
【0091】
まず、非反転入力端子200の端子電圧が第1電源端子400の電圧を下回らない状態においては、第6のダイオード16のカソード電位は、非反転入力端子200と同電位であるが、このカソード電位が第1電源端子400の電圧より0.7V程度低下すると、第6のダイオード16のアノードからカソードへ逆方向電流が流れる。この逆方向電流が第3の負荷35に流れることで点Dの電位が低下する。この時の点Dの電位は先の第1の構成例同様に式11により表される。
【0092】
点Dの電位が低下するため、ダイオード接続された第9のトランジスタ9を通して点Cの電位も低下する。この点Cの電位Vcは、第1の構成例で示した式12により表される。
次に、点Bの電位を算出する。
先に述べたように、点Bは第2のトランジスタ2のコレクタからベースへの逆流電流が生ずることで電位が低下する。また、点Aは、第2の入力部用ダイオード12の順方向電流が流れることで電位が低下する。
そして、点Bの電位VBは、第1の構成例で示した式13により表され、点Aの電位VAは、先の第2の構成例で示した下記する式14Aで表される。
【0093】
VA=V200+VT×ln{ID2/(nD2×Is)}+ID2×R7・・・式14A
【0094】
ここで、R7は第7の抵抗器37の抵抗値である。なお、上記式14Aにおける他の各項目の定義は、先の式14で説明した通りである。
これらの式より、第5のトランジスタ5のベース・エミッタ間電圧を求めると、以下のようになる。
まず、点Cの電位と点Bの電位の差Vc−VBは、先の第1の構成例で示した式15により求められる。
一方、点Cの電位と点Aの電位の差Vc−VAは、先の第2の構成例で示した下記する式16Aにより求められる。
【0095】
Vc−VA=VT×ln{ID6/(nD6×Is)}+VT×ln{Ics3/(nQ9×Is)}−VT×ln{ID2/(nD2×Is)}−ID2×R7=VT×ln{ID6×Ics3×nD2/(nD6×nQ9×ID2×Is)}−ID2×R7・・・式16A
【0096】
一方、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400と第2電源端子300の中点付近での第5及び第6のトランジスタ5,6のベース・エミッタ間電圧は、先の第1の構成例で示した式17で表される如くとなる。
よって、第1の構成例で示した式18、式19の条件が満たされたときには、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧よりも0.7V程度低くなっても第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流は増加しない。
【0097】
ここで、式18、式19に、先の式15、式16A、式17を代入し、より詳細な条件を求めると、先の第1の構成例同様、式20が求められると共に、先の第2の構成例で示した下記する式21Aが求められる。
【0098】
VT×ln{nD2×ID6/(nD6×ID2)}<ID2×R7・・・式21A
【0099】
しかして、式20、式21Aを満たすようにnD6やR2などを調整する、すなわち、第6のダイオード16や第2の抵抗器32などの大きさを調整することで、非反転入力端子電圧V200が、第1電源端子400の電圧より0.7V程度低くなったときに第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流の増加が抑圧されることとなる。
なお、先に第1の構成例で示した図5のシミュレーションに基づく特性線図は、この第4の構成例においても同様に適用されるが、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0100】
この第4の構成例における先の式21Aと、第1の構成例で示した式21とを比較すると、式21Aの右辺は0より大きい値であるため、第1の構成例よりもnD6を小さくすることができる。したがって、この第4の構成例では、第1の構成例に比較して、フォールデットカスコード部20の第6のダイオード16のサイズを小さく抑えることができるという利点がある。
また、最低動作電源電圧についても、先の第1の構成例で説明したと同様、第5及び第6のトランジスタ5,6のコレクタ電流を抑圧するために付加された追加回路部分によって、最低動作電源電圧が引き上げられることはない。
【0101】
なお、この第4の構成例においても、PNP型トランジスタをNPN型トランジスタに置き換え、NPN型トランジスタをPNP型トランジスタに置き換えて、さらに、第1及び第2のダイオード11,12の順方向となる向きを逆にして接続し、第1乃至第3の定電流源21〜23の接続の向きを逆にし、高圧電源側である第2電源端子300と定圧電源側である第1電源端子400を逆とした構成としても良い。この場合、反転入力端子100、非反転入力端子200への入力電圧が第2電源端子300の電圧を超えた際に、上述した構成例と同様の動作となる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
消費電流の増加や最低動作電源電圧の上昇などを招くことない出力位相反転防止動作が所望される演算増幅器に適用できる。
【符号の説明】
【0103】
10、10A…入力部
20、20A…フォールデットカスコード部
100…反転入力端子
200…非反転入力端子
300…第1電源端子
400…第2電源端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動増幅回路が構成されてなる入力部と、フォールデットカスコード回路により前記入力部の出力を増幅出力するよう構成されてなるフォールデットカスコード部とを具備してなる演算増幅器において、
前記差動増幅回路は、第1及び第2のトランジスタが差動増幅可能に接続されて設けられ、前記第1のトランジスタのベースは第1の抵抗器を介して反転入力端子に、前記第2のトランジスタのベースは第2の抵抗器を介して非反転入力端子に、それぞれ接続される一方、
前記第1及び第2のトランジスタは、出力側にそれぞれ負荷が接続され、前記第2のトランジスタと前記対応する負荷の相互の接続点と、前記反転入力端子との間に第1の入力部用ダイオードが、前記第1のトランジスタと前記対応する負荷の相互の接続点と、前記非反転入力端子との間に第2の入力部用ダイオードが、前記反転入力端子と前記非反転入力端子との間の入力電圧が電源電圧の範囲を超えても、前記第1のトランジスタの前記負荷との接続点の電圧を、前記第2のトランジスタの前記負荷との接続点の電圧より大に維持可能とする方向に、それぞれ接続されて設けられ、
前記フォールデットカスコード回路は、フォールデットカスコード接続された第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタを用いてなると共に、前記第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタのベースにバイアスを供給するバイアス回路が設けられ、
前記バイアス回路には、高圧電源と低圧電源との間に、ダイオード接続されたバイアス回路用トランジスタが設けられ、前記バイアス回路用トランジスタと前記負荷の相互の接続点と、前記反転入力端子と前記非反転入力端子とが、それぞれ第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードを介して接続され、前記第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードは、前記第1及び第2の入力部用ダイオードの前記反転入力端子、及び、非反転入力端子に対する接続方向と同一となるように接続されてなることを特徴とする演算増幅器。
【請求項2】
前記反転入力端子と前記第1の入力部用ダイオードとの間に、第1のダイオード用直列抵抗器が、前記非反転入力端子と前記第2の入力部用ダイオードとの間に、第2のダイオード用直列抵抗器が、それぞれ接続されてなることを特徴とする請求項1記載の演算増幅器。
【請求項3】
前記第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードに代えて、差動増幅可能に接続された第1及び第2の追加差動回路用トランジスタが設けられ、前記第1及び第2の追加差動回路用トランジスタのコレクタは、共に前記バイアス回路のバイアス回路用トランジスタと負荷の相互の接続点に接続され、各々のエミッタには、共に定電流が供給可能に構成される一方、前記第1の追加差動回路用トランジスのベースは、前記反転入力端子に、前記第2の追加差動回路用トランジスのベースは、前記非反転入力端子に、それぞれ接続されてなることを特徴とする請求項1または2記載の演算増幅器。
【請求項1】
差動増幅回路が構成されてなる入力部と、フォールデットカスコード回路により前記入力部の出力を増幅出力するよう構成されてなるフォールデットカスコード部とを具備してなる演算増幅器において、
前記差動増幅回路は、第1及び第2のトランジスタが差動増幅可能に接続されて設けられ、前記第1のトランジスタのベースは第1の抵抗器を介して反転入力端子に、前記第2のトランジスタのベースは第2の抵抗器を介して非反転入力端子に、それぞれ接続される一方、
前記第1及び第2のトランジスタは、出力側にそれぞれ負荷が接続され、前記第2のトランジスタと前記対応する負荷の相互の接続点と、前記反転入力端子との間に第1の入力部用ダイオードが、前記第1のトランジスタと前記対応する負荷の相互の接続点と、前記非反転入力端子との間に第2の入力部用ダイオードが、前記反転入力端子と前記非反転入力端子との間の入力電圧が電源電圧の範囲を超えても、前記第1のトランジスタの前記負荷との接続点の電圧を、前記第2のトランジスタの前記負荷との接続点の電圧より大に維持可能とする方向に、それぞれ接続されて設けられ、
前記フォールデットカスコード回路は、フォールデットカスコード接続された第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタを用いてなると共に、前記第1及び第2のフォールデットカスコードトランジスタのベースにバイアスを供給するバイアス回路が設けられ、
前記バイアス回路には、高圧電源と低圧電源との間に、ダイオード接続されたバイアス回路用トランジスタが設けられ、前記バイアス回路用トランジスタと前記負荷の相互の接続点と、前記反転入力端子と前記非反転入力端子とが、それぞれ第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードを介して接続され、前記第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードは、前記第1及び第2の入力部用ダイオードの前記反転入力端子、及び、非反転入力端子に対する接続方向と同一となるように接続されてなることを特徴とする演算増幅器。
【請求項2】
前記反転入力端子と前記第1の入力部用ダイオードとの間に、第1のダイオード用直列抵抗器が、前記非反転入力端子と前記第2の入力部用ダイオードとの間に、第2のダイオード用直列抵抗器が、それぞれ接続されてなることを特徴とする請求項1記載の演算増幅器。
【請求項3】
前記第1及び第2のフォールデットカスコード部用ダイオードに代えて、差動増幅可能に接続された第1及び第2の追加差動回路用トランジスタが設けられ、前記第1及び第2の追加差動回路用トランジスタのコレクタは、共に前記バイアス回路のバイアス回路用トランジスタと負荷の相互の接続点に接続され、各々のエミッタには、共に定電流が供給可能に構成される一方、前記第1の追加差動回路用トランジスのベースは、前記反転入力端子に、前記第2の追加差動回路用トランジスのベースは、前記非反転入力端子に、それぞれ接続されてなることを特徴とする請求項1または2記載の演算増幅器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−90104(P2013−90104A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228105(P2011−228105)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000191238)新日本無線株式会社 (569)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000191238)新日本無線株式会社 (569)
【Fターム(参考)】
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