説明

炊飯器

【課題】お粥メニューの選択と調理時間時間の設定ができ、それぞれに適した水位線を内鍋に設けることにより、中国の様々なバラエティを持ったお粥を簡単に安定した食味で炊飯することができる炊飯器を提供すること。
【解決手段】米と水を入れる鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の入力から前記加熱手段の動作を制御する炊飯制御手段と、お粥メニューを選択するお粥メニュー選択手段と、お粥メニューによって、お粥の調理時間を設定できる調理時間設定手段と、前記お粥メニュー選択手段により選択されたお粥メニューと、前記調理時間設定手段により設定された調理時間に応じて、予め設定された複数の炊飯シーケンスを記憶する炊飯シーケンス記憶手段とを備え、前記炊飯制御手段は、前記炊飯シーケンス記憶手段によって記憶された炊飯シーケンスを実行するために、前記加熱手段の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はおかゆを炊く機能を備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気炊飯器でおかゆメニューを炊く場合は、予め米を浸水し米に吸水させる吸水工程終了後、沸騰温度に達するまで高い加熱電力でヒータを加熱し、沸騰温度に達すると加熱電力を低下し、その後所定時間沸騰を維持するようになっている。また、前述の沸騰温度に達するまでの加熱段階で鍋温度の温度上昇時間を計測しておかゆ炊飯量を判定し、炊飯量に応じた沸騰時間と電力量を設定して加熱するものもある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−284961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、いわゆる日本粥として知られている、米と水の割合を1対5から1対10に変えて、全粥から5分粥を炊飯するタイプ、つまり飯粒は膨らんで軟らかいが、粒自体は崩れず、さらりとした食感のお粥を炊飯する場合には適するが、米と水の割合が多様で短時間から長時間まで加熱する時間も様々な中国や香港地方のお粥を炊飯する場合には対応しきれないという課題を有していた。
【0004】
中国のお粥は、大きく分けると北部を中心とした加熱時間の比較的短い薄くさらりとした食感のお粥を好む地方、南部を中心とした加熱時間の比較的長い濃くとろりとした食感のお粥を好む地方に分類される。また、米と水の割合は、1対8から1対13程度まで幅広く、この米と水の割合と、加熱時間を調節することによりお粥の食感のバラエティが広がり、同じ地方でも夏場はさらさらとしたお粥、冬場はとろりとしたお粥など季節によって変えたり、朝食と夕食で変えたりと様々なお粥が食されている。
【0005】
ところが、前記従来の構成では、米と水の割合はユーザーがある程度好みに応じて調整できるものの、調理時間の設定はできないため、米に対する水の量が多い場合は水っぽくなり、特に南部地域で好まれる長時間加熱した米がスープ状に軟らかく崩れて、重湯となじんでとろりとした濃いお粥を炊飯することができなかった。
【0006】
また、一方、短時間でさらりとしたお粥を炊飯したい場合には、日本粥に適した加熱時間では長すぎて、食感が損なわれたりする場合が多かった。
【0007】
さらに、加水割合を調節したり、加熱時間を調節する場合は、加水割合と加熱時間とバランスが悪いとふきこぼれたり、鍋底にご飯がこびりついたりする場合も多く、好みのお粥の濃さに調節して加熱することは難しかった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、様々なお粥メニューと調理時間設定の選択ができ、それぞれに適した水位線を内鍋に設けることにより、中国の様々なバラエティを持ったお粥の炊き方が簡単に調整でき、好みのお粥を美味しく安定して炊飯することができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。請求項1に記載の発明は、米と水を入れる鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の入力から前記加熱手段の動作を制御する炊飯制御手段と、予め設定された複数の炊飯シーケンスを記憶する炊飯シーケンス記憶手段と、お粥メニューを選択するお粥メニュー選択手段と、前記お粥メニューに対応して予め設定されている範囲から任意にお粥の調理時間を設定できる調理時間設定手段とを備え、前記炊飯制御手段は、前記お粥メニュー選択手段により選択されたお粥メニューと、前記調理時間設定手段により設定された調理時間に応じて、前記炊飯シーケンス記憶手段によって記憶された炊飯シーケンスを実行するために、前記加熱手段の動作を制御するようにしたことを特徴とする炊飯器である。
【0010】
本発明の炊飯器によれば、お粥メニュー選択手段と調理時間設定手段により設定された調理時間に応じた炊飯シーケンスでお粥を炊飯できるため、お粥の種類や調理時間が様々な中国のお粥を好みに応じて簡単に選択して炊飯することができるものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、鍋の内側面には、お粥メニュー選択手段によって選択されるお粥メニューと、調理時間設定手段によって設定された調理時間に応じて、それぞれ各炊飯量に適した水位線が表示されたことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器である。
【0012】
本発明の炊飯器によれば、米と水の割合が様々で幅広い中国のお粥を炊飯する際に、お粥メニュー選択手段と、調理時間設定手段により設定された調理時間に応じた、各炊飯量に適した水位線が表示されているため、加水の計量が簡単で正確になり、ふきこぼれや鍋底のこびりつきなどの不具合がなく、好みのお粥が美味しく安定して炊飯することができるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の炊飯器は、お粥メニューと調理時間設定の選択ができ、それぞれに適した水位線を内鍋に設けることにより、中国の様々なバラエティを持ったお粥の炊き方が簡単に調整でき、好みのお粥を美味しく安定して炊飯することができる炊飯器を実現できるという有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施をするための最良の形態を具体的に示した実施の形態について、図面を参照にしながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1、図2及び図3を用いて、本発明の実施の形態1の炊飯器を説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるブロック図を示すものである。
【0017】
図1において、1は米と水を入れる鍋で、この鍋を加熱する加熱手段2と鍋1の温度を検知する温度検知手段3と、温度検知手段3の温度データの信号をもとに、加熱手段2の動作を最適に制御する炊飯制御手段4と、お粥メニューを選択するお粥メニュー選択手段5と、お粥メニュー選択手段5によって選択されたお粥メニューによって、お粥の調理時間を設定できる調理時間設定手段6と、お粥メニュー選択手段5により選択されたお粥メニューと、調理時間設定手段6により設定された調理時間に応じて、予め設定された複数の炊飯シーケンスを記憶する炊飯シーケンス記憶手段7により構成されている。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態の炊飯器の一部切欠した側面図である。図2において、10は炊飯器のボディ(本体)である。ボディ10には、その上面を覆う蓋11が開閉自在に設置されている。ボディ10の収納部12は、上方の上枠13と下方のコイルベース14とから構成される。1は、ステンレス、鉄などの磁性体によって形成される鍋である。鍋1は、上枠13の上端から浮き上がった状態で載置することにより、収納部12に着脱自在に収納される。鍋1は収納時に、収納部12との間に隙間を有する。コイルベース14の鍋1底部に対向する部分に、鍋1の加熱手段として本実施の形態の場合は、誘導加熱する誘導加熱コイル15が配設される。誘導加熱コイル15は、コイルベース14の底面外側に配設された外コイルと、底面内側に配設された内コイルとからなる。それぞれの誘導加熱コイルは、鍋1の底部の中心の略真下に中心を有する巻線である。16は、回路基板である。回路基板16にはマイクロコンピュータ(図示しない)が搭載されている。マイクロコンピュータはソフトウエアにより、誘導加熱コイル15に交番磁界を発生させるための電流を制御する。実施の形態1の炊飯器は、鍋1を誘導加熱し、鍋1内の調理物17を加熱調理する。調理物17は、炊飯前の米と水又は炊き上がったお粥等である。
【0019】
第1の実施の形態における炊飯器の炊飯工程について、図3の炊飯工程図を参照に、従来の一般的な炊飯器のおかゆの炊飯工程との違いに着目して説明する。
【0020】
まず、一般的なおかゆの炊飯工程は、図3(a)に示すように、主として、浸水工程A、炊き上げ工程B、沸騰維持工程C、沸騰維持工程D、及びむらし工程から成る。
【0021】
浸水工程Aでは、所定時間(通常15分前後)、温度検知手段3の検知温度Taが第一の所定温度T1(通常50℃前後)になるように炊飯制御手段4が加熱手段2を制御し、加熱手段2で鍋1を加熱するものである。浸水工程は、糊化温度よりも低温の水に米を浸し、予め米に吸水させておくことで、以降の工程において、米の中心部まで十分に糊化させるための工程である。
【0022】
次に、浸水工程A終了後、炊き上げ工程Bに移行する。炊き上げ工程Bでは、図3(a)に示すように、温度検知手段3の検知温度Taが第二の所定温度T2(水の沸点(通常100℃近傍))になるまで、加熱手段2が鍋1を加熱するものである。
【0023】
なお、本工程では、温度検知手段3の検知温度により加熱手段2を制御したが、別途、鍋の開口部を覆う蓋の温度を検知する蓋温度検知手段を設け、蓋温度検知手段の検知温度が所定温度に達するまで、加熱手段2が鍋1を加熱することもできる。
【0024】
また、本工程で、鍋1の検知温度の上昇速度、あるいは蓋温度検知手段による検知温度が所定温度に達するまでの時間を計測して炊飯量の判定を行うこともできる。
【0025】
引き続き、炊き上げ工程B終了後、沸騰維持工程Cに移行する。沸騰維持工程Cでは、温度検知手段3の検知温度Taが、図3(a)に示すように、第二の所定温度T2(水の沸点(通常100℃近傍))に維持され、かつ本体上部の蓋部に設けられた蒸気穴から、湯やおねばなどが噴出するふきこぼれが生じないような電力量(通電率)で沸騰状態を維持するように炊飯制御手段4が加熱手段2を制御し、予め設定された所定時間t1、加熱手段2が鍋1を加熱する。
【0026】
さらに、沸騰維持工程Cが終了後、沸騰維持工程Dに移行する。沸騰維持工程Cで所定時間沸騰維持を経過した鍋内の米は膨潤、糊化が進んでおり、米粒内から澱粉を主体とした溶出物も多くなり、水分の粘度が増しおねば状になってきている。沸騰維持工程Dでは、沸騰維持工程Cより、加熱手段2の電力量(通電率)を落として、温度検知手段3の検知温度Taが、第二の所定温度T2(水の沸点(通常100℃近傍))に維持しつつも、さらに本体上部の蓋部に設けられた蒸気穴から、湯やおねばなどが噴出するふきこぼれが生じず、また、鍋底にご飯のこびりつきば発生しないように、予め設定された所定時間t2、加熱手段2が鍋1の加熱を維持する。
【0027】
最後に、むらし工程に進み、所定時間経過し、鍋内の沸騰状態が落ち着いて炊飯が終了する。
【0028】
このような炊飯工程を実行すると、温度検知手段3の検知温度Taが図3(a)に示すこととなり、すべての工程を通過するとトータル時間として、この従来の炊飯器の場合約50分から70分を要する。
【0029】
次に第1の実施の形態における炊飯工程を、図3(b)に示す。これはお粥炊飯のメニューとしては比較的長い時間加熱調理をする濃いお粥を炊飯する場合で、炊飯工程の要素としては、炊き上げ工程E、沸騰維持工程F、沸騰維持工程G、むらし工程から成り、従来の炊飯器に対し、浸漬工程Aがない構成となっている。この理由は、中国で使用される米の種類や性質、もともとの米の浸水をしない習慣に則っている。
【0030】
まず、炊き上げ工程Eでは、図3(b)に示すように、温度検知手段3の検知温度Taが第二の所定温度T2(水の沸点(通常100℃近傍))になるまで、加熱手段2が鍋1を加熱するのは従来と同様であるが、その昇温速度は従来よりやや遅くなるように加熱手段2の電力量(通電率)を制御している。また、本工程では、温度検知手段3の検知温度により加熱手段2を制御したが、別途、鍋の開口部を覆う蓋の温度を検知する蓋温度検知手段を設け、蓋温度検知手段の検知温度が所定温度に達するまで、加熱手段2が鍋1を加熱することもできるのは、従来の炊飯工程と同様である。
【0031】
次に、炊き上げ工程E終了後、沸騰維持工程Fに移行する。沸騰維持工程Fでは、温度検知手段3の検知温度Taが、図3(b)に示すように、第二の所定温度T2(水の沸点(通常100℃近傍))に維持され、かつ本体上部の蓋部に設けられた蒸気穴から、湯やおねばなどが噴出するふきこぼれが生じないことは同様であるが、従来の炊飯器よりさらに低い電力量(通電率)で長い時間t3(この実施の形態の場合は炊飯スタートから約1時間まで)、沸騰状態を維持するように炊飯制御手段4が加熱手段2を制御し鍋1を加熱する。
【0032】
さらに、沸騰維持工程Fが終了後、沸騰維持工程Gに移工する。沸騰維持工程Fで所定時間沸騰維持を経過した鍋内の米は膨潤、糊化が進んでおり、米粒内から澱粉を主体とした溶出物も多くなり、水分の粘度が増しおねば状になってきている。沸騰維持工程Gでは、沸騰維持工程Gより、加熱手段2の電力量(通電率)を落として、温度検知手段3の検知温度Taが、第二の所定温度T2(水の沸点(通常100℃近傍))に維持しつつも、さらに本体上部の蓋部に設けられた蒸気穴から、湯やおねばなどが噴出するふきこぼれが生じず、また、鍋底にご飯のこびりつきば発生しないように鍋1の加熱を維持する。この際の加熱手段2の電力量(通電率)は沸騰維持工程Fの電力量(通電率)よりさらに低く設定されており、工程時間t4は、調理時間設定手段6によって設定された時間に応じて変化するようになっている。つまり設定された調理時間からむらし工程時間(本実施の形態の場合5分)を差し引いた時間に達すると、自動的にむらし工程に移行するようになっている。
【0033】
最後に、むらし工程に進み、所定時間経過し、鍋内の沸騰状態が落ち着いて炊飯が終了する。このような炊飯工程を実行する粥の調理時間設定可能時間は本実施の形態の場合、90分から180分となっている。
【0034】
もう一つの第1の実施の形態における炊飯工程を、図3(c)に示す。これはお粥炊飯のメニューとしては比較的短い時間加熱調理をする薄いお粥を炊飯する場合で、炊飯工程の要素としては、炊き上げ工程H、沸騰維持工程I、沸騰維持工程J、むらし工程から成り、従来の炊飯器に対し、浸漬工程Aがない構成となっている。この理由は、中国で使用される米の種類や性質、もともとの米の浸水をしない習慣に則っている。
【0035】
まず、炊き上げ工程Hでは、図3(c)に示すように、温度検知手段3の検知温度Taが第二の所定温度T2(水の沸点(通常100℃近傍))になるまで、加熱手段2が鍋1を加熱するのは従来と同様であるが、その昇温速度は従来よりやや早くなるように加熱手段2の電力量(通電率)を制御している。また、本工程では、温度検知手段3の検知温度により加熱手段2を制御したが、別途、鍋の開口部を覆う蓋の温度を検知する蓋温度検知手段を設け、蓋温度検知手段の検知温度が所定温度に達するまで、加熱手段2が鍋1を加熱することもできるのは、従来の炊飯工程と同様である。
【0036】
次に、炊き上げ工程H終了後、沸騰維持工程Iに移行する。沸騰維持工程Iでは、前工程の炊き上げ工程の電力量(通電率)が高く設定されているため、ふきこぼれの可能性が高いため、一旦沸騰状態を落ち着かせるための工程として設けている。そのため、電力量(通電率)は低く時間も5分以内と短く設定されている。
【0037】
沸騰維持工程Iの後、沸騰維持工程Jに移行し、温度検知手段3の検知温度Taが、図3(c)に示すように、第二の所定温度T2(水の沸点(通常100℃近傍))に維持され、かつ本体上部の蓋部に設けられた蒸気穴から、湯やおねばなどが噴出するふきこぼれが生じないことは同様であるが、従来の炊飯器よりさらに高い低い電力量(通電率)で短い時間t5(この実施の形態の場合は約10分間)、沸騰状態を維持するように炊飯制御手段4が加熱手段2を制御し鍋1を加熱する。
【0038】
さらに、沸騰維持工程Jが終了後、沸騰維持工程Kに移行する。沸騰維持工程Jで所定時間沸騰維持を経過した鍋内の米は膨潤、糊化が進んでおり、米粒内から澱粉を主体とした溶出物も多くなり、水分の粘度が増しおねば状になってきている。沸騰維持工程Kでは、沸騰維持工程Jより、加熱手段2の電力量(通電率)をやや落として、温度検知手段3の検知温度Taが、第二の所定温度T2(水の沸点(通常100℃近傍))に維持しつつも、さらに本体上部の蓋部に設けられた蒸気穴から、湯やおねばなどが噴出するふきこぼれが生じず、また、鍋底にご飯のこびりつきば発生しないように鍋1の加熱を維持する。この際の工程時間t6は、調理時間設定手段6によって設定された時間に応じて変化するようになっている。つまり設定された調理時間からむらし工程時間(本実施の形態の場合5分)を差し引いた時間に達すると、自動的にむらし工程に移行するようになっている。
【0039】
最後に、むらし工程に進み、所定時間経過し、鍋内の沸騰状態が落ち着いて炊飯が終了する。このような炊飯工程を実行する粥の調理時間設定可能時間は本実施の形態の場合、40分から80分となっている。
【0040】
次に、第1の実施の形態における炊飯器の通常炊飯時の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。ステップ401でお粥メニュー選択スイッチを操作し、S402で濃いお粥を選択されると、さらにS403で調理時間設定が90分から180分の間で任意に設定される。続いてS404で炊飯スイッチが押されて炊飯を開始する。S405では、選択された濃いお粥専用シーケンスが実行され、各炊飯工程を経てS406で炊飯終了と判断されると、炊飯終了のブザーで報知し、保温に移行する。
【0041】
一方、S408で薄いお粥が選択された場合には、S409で調理時間設定が40分から80分の間で任意に設定される。続いてS410で炊飯スイッチが押されて炊飯を開始する。S411では、選択された薄いお粥専用シーケンスが実行され、各炊飯工程を経てS412で炊飯終了と判断されると、炊飯終了のブザーで報知し、保温に移行する。
【0042】
このようにお粥メニューが選択でき、ぞれぞれの調理時間の任意な設定を可能としたことにより、中国のさまざまなバラエティを持ったお粥を、好みに応じて炊飯することができる。
【0043】
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器の内釜に印刷された水位線の一部の概要図である。
【0044】
図5は白米を炊飯する際に米と水をいれた上端の水位の目安を示すものであり、ユーザーはこの水位線を使用することにより、炊飯準備の際の水の計量の手間が省け、また毎回お粥の食感が一定で安定した食味のお粥を炊飯することができるものである。ところが、先の述べたように、加水割合を調節したり、加熱時間を調節する場合は、加水割合と加熱時間とバランスが悪いとふきこぼれたり、鍋底にご飯がこびりついたりする場合も多く、好みのお粥の濃度に調節して加熱することは難しかった。
【0045】
本実施の形態の場合は、炊飯したいお粥メニューを選択し、それに応じた好みの調理時間を設定した上で、これらに適した内鍋の水位線にあわせて水加減をするため、簡単で、かつふきこぼれやこびりつきがなく、食味の安定したお粥を炊飯することができるようにした炊飯器を実現できる。
【0046】
以上の各実施の形態では、加熱手段として誘導加熱コイルを採用したが、これは、電熱ヒータに変更しても良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係わる炊飯器は、家庭用又は業務用の炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1および実施の形態2の炊飯器の側面図
【図3】本発明の実施の形態1の炊飯器の炊飯工程図
【図4】本発明の実施の形態1の炊飯器の炊飯動作のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2の炊飯器の内釜水位線の一部概略図
【符号の説明】
【0049】
1 鍋
2 加熱手段
3 温度検知手段
4 炊飯制御手段
5 お粥メニュー選択手段
6 調理時間設定手段
7 炊飯シーケンス記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米と水を入れる鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の入力から前記加熱手段の動作を制御する炊飯制御手段と、予め設定された複数の炊飯シーケンスを記憶する炊飯シーケンス記憶手段と、お粥メニューを選択するお粥メニュー選択手段と、前記お粥メニューに対応して予め設定されている範囲から任意にお粥の調理時間を設定できる調理時間設定手段とを備え、前記炊飯制御手段は、前記お粥メニュー選択手段により選択されたお粥メニューと、前記調理時間設定手段により設定された調理時間に応じて、前記炊飯シーケンス記憶手段によって記憶された炊飯シーケンスを実行するために、前記加熱手段の動作を制御するようにしたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
鍋の内側面には、お粥メニュー選択手段によって選択されるお粥メニューと、調理時間設定手段によって設定された調理時間に応じて、それぞれ各炊飯量に適した水位線が表示されたことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−135884(P2007−135884A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333903(P2005−333903)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】