説明

炊飯器

【課題】水の沸点以上の蒸気を利用して炊飯性能を向上させる炊飯器において、音声報知により水量確認の注意喚起を必要最小限行い、音声報知による使用者の煩わしさを軽減し、かつ水タンクへの水供給忘れ防止を行う。
【解決手段】着脱自在な水タンク3内に水を入れ、高温蒸気供給手段4により水タンク3内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱して鍋1内に供給する。水タンク3の着脱を着脱検知手段5により検知し、制御手段8により加熱手段2、高温蒸気供給手段4、LCD7などを制御し、着脱検知手段5の信号を受けて判定手段10により水タンク3の着脱を判定する。判定手段10は、制御手段8が加熱手段2の加熱を停止してから開始手段6の信号を受けるまでに、着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなかったとき、音声報知手段9を制御し水量確認の注意喚起の旨を報知するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の沸点以上の蒸気を利用して炊飯性能を向上させる炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、鍋内の飯と水を加熱するために鍋底部に配置した鍋加熱手段の他、鍋上方の加熱量を増加させるために鍋上方から高温の蒸気を供給するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来の炊飯器を示すもので、以下、その構成について説明する。
【0004】
図5に示すように、炊飯器本体31は、磁性体製の鍋32を着脱自在に収納するとともに、磁性体製の水タンク33を着脱自在に収納している。鍋32は米や水を入れるもので、鍋誘導加熱コイル34により誘導加熱される。炊飯器本体31には、その上面を覆う蓋35を開閉自在に設置している。また、炊飯器本体31には、鍋32の温度を検知する鍋温度検知手段36、水タンク33を誘導加熱する水タンク誘導加熱コイル37などを設けている。
【0005】
水タンク33内の水は沸騰することにより蒸気が発生する。水タンク33と鍋32の上面の一部は、蓋35内に設けた蒸気経路38によって接続されている。蒸気経路38の鍋32上面の開口部を蒸気孔39とする。蓋35は、磁性体製の加熱板40と、この加熱版40を誘導加熱する鍋開口部誘導加熱コイル41と、加熱板40の温度を検知する加熱板温度検知手段42とを有している。蒸気経路38の鍋側先端の蒸気孔39に、蒸気経路38から鍋32側にのみ蒸気を通すシリコーンゴム製の逆止弁43を設けている。
【0006】
水タンク33内の水は、炊飯をする際に使用者が適宜供給する。このとき、使用者が水供給を忘れると、炊飯中の蒸気発生不足となるため、蓋開閉の際や炊飯開始の際にLCDに水タンクの水量確認の注意喚起表示をするように従来の炊飯器では構成している(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−290659号公報
【特許文献2】特開2004−329868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の構成では、使用者へ水量確認の注意喚起をするためにLCDにその旨を表示しようとして、LCDにドット表示式ではない固定表示式のものを使用すると、この注意喚起の旨の表示がある程度の面積をとるため、その結果、他の文字などのキャラクタが小さくなり、LCDの視認性が悪化するという問題があった。例えば、LCD面積を維持したまま注意喚起表示に「タンク水確認」と表示させるとすると、LCD上に表示するキャラクタが増え、他のメニューや時刻などの表示がそれぞれ小さくなることになる。
【0008】
この問題を解決するために、LCDでの表示をやめ、音声により注意喚起することも考えられる。しかし、蓋開閉や炊飯開始のたびに、例えば「タンクの水を確認してください」と毎回発声させると、水供給を忘れずに行っていても使用のたびに発声するので、使用者は煩わしさを感じるという問題が発生する。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、音声報知により水量確認の注意喚起を必要最小限行うことにより、音声報知による使用者の煩わしさを軽減し、かつ水タンクへの水供給忘れ防止を行う炊飯器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために、米や水を入れる鍋を加熱手段により加熱し、着脱自在な水タンク内に水を入れ、高温蒸気供給手段により水タンク内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱して鍋内に供給し、水タンクの着脱を着脱検知手段により検知し、加熱手段の加熱開始を要求する開始手段からの信号を受けて加熱手段、高温蒸気供給手段、固定表示式のLCDなどを制御手段により制御し、着脱検知手段の信号を受けて判定手段により水タンクの着脱を判定するよう構成し、判定手段は、制御手段が加熱手段の加熱を停止してから開始手段の信号を受けるまでに、着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったとき、音声により報知する音声報知手段を制御して水量確認の注意喚起の旨を報知するよう構成したものである。
【0011】
これにより、音声報知手段による水量確認の注意喚起の旨を報知は、判定手段が、制御手段が加熱手段の加熱を停止してから開始手段の信号を受けるまでに、着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったときのみに絞って報知できるので、適切なときにのみ、水量確認の注意喚起の旨を報知することができ、音声報知による使用者の煩わしさを軽減できるとともに、水供給忘れを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の炊飯器は、音声報知手段による水量確認の注意喚起の旨を報知は、判定手段が、制御手段が加熱手段の加熱を停止してから開始手段の信号を受けるまでに、着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったときのみに絞って報知できるので、適切なときにのみ、水量確認の注意喚起の旨を報知することができ、音声報知による使用者の煩わしさを軽減できるとともに、水供給忘れを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、米や水を入れる鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、水を入れる着脱自在な水タンクと、前記水タンク内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱し前記鍋内に供給する高温蒸気供給手段と、前記水タンクの着脱を検知する着脱検知手段と、前記加熱手段の加熱開始を要求する開始手段と、固定表示式のLCDと、前記開始手段からの信号を受け前記加熱手段、前記高温蒸気供給手段、前記LCDなどを制御する制御手段と、音声により報知する音声報知手段と、前記着脱検知手段の信号を受け前記水タンクの着脱を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は、前記制御手段が前記加熱手段の加熱を停止してから前記開始手段の信号を受けるまでに、前記着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったとき、前記音声報知手段を制御して水量確認の注意喚起の旨を報知するよう構成したものであり、音声報知手段による水量確認の注意喚起の旨を報知は、判定手段が、制御手段が加熱手段の加熱を停止してから開始手段の信号を受けるまでに、着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったときのみに絞って報知することができる。通常、使用者は水タンクに水を供給するときは、この水タンクが着脱式なので水タンクを炊飯器から一旦外し、水を入れて再び装着する。開始手段からの加熱開始要求時に、水タンクの取り外しおよび装着を検知できていないということは、使用者が水タンクを取り外して水供給を忘れている可能性があり、このタイミングを判定手段により判定し報知できるので、適切なときにのみ、水量確認の注意喚起の旨を報知することができ、音声報知による使用者の煩わしさを軽減できるとともに、水供給忘れを防止することができる。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、判定手段は、着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られた場合、水タンクの取り外しから装着の時間が第1の所定時間より短いとき、音声報知手段を制御して水量確認の注意喚起の旨を報知するようにしたものであり、例えば、炊飯器の移動の際、振動により瞬間的に水タンクが外れた場合、判定手段が水タンクの取り外しから装着の時間が第1の所定時間より短いと判定することとなり、音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知できるので、水タンクへの水供給忘れを防止することができる。
【0015】
第3の発明は、上記第1の発明において、判定手段は、音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知した後、第2の所定時間内に着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったとき、前記音声報知手段を制御して水量確認の注意喚起の旨を再び繰り返して報知するようにしたものであり、使用者が一度目の報知を聞き損じていても、再び報知するので、念押しで水量確認の注意喚起を行うことができる。
【0016】
第4の発明は、上記第3の発明において、判定手段は、音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知した回数をカウントし、所定回数に到達すると、着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなくとも、音声報知手段を制御して再度水量確認の注意喚起の旨を報知は行わないようにしたものであり、使用者による水タンクの取り外しおよび装着が検知ができないと、水量確認の注意喚起の旨の報知を繰り返し行うことになるが、所定回数で報知を止めることができる。例えば、使用者がコップなど別容器で水タンクに水を供給する場合があり、この場合、水タンクの取り外しおよび装着は発生しないが、適切に対処することができる。
【0017】
第5の発明は、上記第1の発明において、制御手段は、判定手段が開始手段の信号を受けて音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知するとき、加熱手段への加熱を停止するようにしたものであり、水タンクの取り外しから装着の信号が得られないとき、すなわち水タンクを取り外した形跡がないということは水タンクへの水供給忘れが考えられ、このときには鍋の加熱を停止することで、高温蒸気の供給不足による炊飯の食味低下を防ぐことができる。
【0018】
第6の発明は、上記第5の発明において、制御手段は、判定手段が開始手段の信号を受けて音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知した後に、判定手段が着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号を得たとき、加熱手段への加熱を行うようにしたものであり、水タンクの取り外しから装着の信号が得られたとき、すなわち水タンクを取り外した形跡があったということは水タンクへの水供給完了が考えられ、このとき鍋の加熱を再開することで、高温蒸気の供給不足を回避できる。
【0019】
第7の発明は、上記第6の発明において、制御手段は、判定手段が開始手段の信号を受けて音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知した後に、判定手段が着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなくても、第3の所定時間が経過すると、加熱手段への加熱を行うようにしたものであり、例えば、音声報知手段により水量確認の注意喚起の旨を報知した後に使用者が場を離れて、水タンクへ水を供給できなくなっても、第3の所定時間が経過すると、加熱手段による加熱を開始するので、高温蒸気の供給不足による食味低下が発生するかもしれないが、炊飯の失敗を回避できる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図を示すものであり、図2は
、同炊飯器の断面図を示すものである。
【0022】
図2に示すように、炊飯器本体11は、磁性体製の鍋1を着脱自在に収納するとともに、磁性体製の水タンク3を着脱自在に収納している。鍋1は米や水を入れるもので、加熱手段2(図1参照)により加熱される。炊飯器本体11には、その上面を覆う蓋12を開閉自在に設置している。また、炊飯器本体11には、鍋1を誘導加熱する鍋誘導加熱コイル13、鍋1の温度を検知する鍋温度検知手段14、水タンク誘導加熱コイル15、水タンク3の着脱を検知する着脱検知スイッチ22などを設けている。
【0023】
加熱手段2は、誘導加熱コイル13と、図示していないインバータ回路により構成し、誘導加熱コイル13にインバータ回路が高周波電流を供給することで、鍋1を加熱するようにしている。また、水タンク3は、水タンク誘導加熱コイル15と、この水タンク誘導加熱コイル15に高周波電流を供給する図示していないインバータ回路により加熱し、水タンク3内の水は沸騰することにより蒸気が発生する。水タンク3と鍋1の上面の一部は、蓋12内に設けた蒸気経路16によって接続されている。蒸気経路16の鍋1上面の開口部を蒸気孔17とする。
【0024】
蓋12は、さらに、磁性体製の加熱板18と、この加熱版18を加熱する鍋開口部誘導加熱コイル19と、加熱板18の温度を検知する加熱板温度検知手段20とを有している。加熱板温度検知手段20は加熱板18に当設して設けている。蒸気経路16の鍋側先端の蒸気孔17に、蒸気経路16から鍋1側にのみ蒸気を通すシリコーンゴム製の逆止弁21を設けている。
【0025】
水タンク3内で発生した蒸気は蒸気経路16を通って、蒸気孔17より鍋1内へと送られる。図示していないが、蒸気経路17にはヒータを設けており、この蒸気経路17を通過する蒸気は、このヒータにより、120℃を超える温度に加熱されている。このように、水タンク3を加熱する水タンク誘導加熱コイル15と、この水タンク誘導加熱コイル15に高周波電流を供給する図示していないインバータ回路と、蒸気経路16と蒸気孔17とにより、図1に示す高温蒸気供給手段4を構成している。
【0026】
つぎに、図1に示すように、着脱検知手段5は、水タンク3の着脱を検知するもので、炊飯器本体11に設けた着脱検知スイッチ22により構成している。着脱検知スイッチ22は、マイクロスイッチであり、水タンク3と当接するよう配置しており、水タンク3が炊飯器本体11内に装着されているときはオン信号を出力し、取り外されているときは、オフ信号を出力するようにしている。以下、着脱検知スイッチ22のオン信号を「水タンクあり」、オフ信号を「水タンクなし」と呼ぶこととする。着脱検知スイッチ22の信号は、図示していない制御回路上のマイクロコンピュータに入力するようにしている。
【0027】
開始手段6は、加熱手段2の加熱開始を要求するもので、図示していない制御回路上に配置したスイッチで構成している。このスイッチを使用者が押下することで、マイクロコンピュータに開始要求信号を送るようにしている。
【0028】
LCD7は、固定表示式の液晶表示素子で、炊飯メニューや調理タイマなどの情報を表示している。ドット表示式ではないので、予め設定したキャラクタを個々にオン/オフすることしか表示はできない構成としている。
【0029】
制御手段8は、開始手段6からの開始要求信号を受け、加熱手段2と高温蒸気供給手段4とLCD7を制御している。制御手段8は、図示していない制御回路に実装したROM内蔵のマイクロコンピュータであり、開始手段6からの開始要求を受け、ROM上に記録している炊飯シーケンスの情報に従い、鍋温度検知手段14が検知する温度が所定の温度
カーブを描くよう、加熱手段2と高温蒸気手段4の制御をしている。制御手段8の実施する炊飯シーケンスには、米に水を浸漬させる浸漬工程、強い火力で炊上げる炊上げ工程、鍋温度検知手段14による鍋1のドライアップ検知後に弱い火力で蒸らす蒸らし工程の3工程より主に構成され、蒸らし工程終了で炊飯動作を終了し、加熱手段2の加熱を止めるようにしている。このとき、蒸らし工程では、高温蒸気供給手段4により、鍋1の上方に高温の蒸気を投入し、鍋1上部の米の火力不足を補うよう制御している。また、制御手段8は、炊飯メニューや炊飯が終了するまでの所要時間などをLCD7に表示する機能も有している。
【0030】
音声報知手段9は、音声で報知するもので、図示していないが、スピーカーとこのスピーカーを駆動するアンプ回路で構成している。
【0031】
判定手段10は、水タンク3の着脱を判定するもので、開始手段6と着脱検知手段5と制御手段8の信号を受け、音声報知手段9を制御するようにしている。この判定手段10は、図示していない制御回路に実装したマイクロコンピュータである。
【0032】
また、判定手段10は、制御手段8が加熱手段2の加熱を停止してから開始手段6の信号を受けるまでに、着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなかったとき、音声報知手段9を制御して水量確認の注意喚起の旨を報知するよう構成している。
【0033】
上記構成において判定手段10(マイクロコンピュータ)の動作を図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0034】
図3のステップS1で、炊飯が終了すると、つづくステップS2でRAM上に水量確認の注意喚起の報知を要求するフラグ(以下、注意喚起報知フラグという)をセットする。ステップS3では、RAM上の水タンク3が取り外されたことを示すフラグ(以下、水タンクなし検知済みフラグという)をクリアする。
【0035】
ステップS4では、開始手段6の入力を行い、開始要求があればステップS11に進み、なければ、ステップS5へ進む。ステップS5では、着脱検知手段5である着脱検知スイッチ22の入力を行う。ここで、ステップS6で水タンクなし検知済みフラグがセットされているかどうかの判定を行い、セットされているならは、ステップS7に進み、セットされていないならば、ステップS9へと進む。ステップS3を通って、初めてステップS6を通るときは、水タンクなし検知済みフラグはセットされていないので、必ずステップS7に進むことになる。
【0036】
ステップS7では、ステップS5で入力した着脱検知スイッチ22の結果を判定し、水タンクなしであるときのみステップS8へ進み、水タンクなし検知済みフラグをセットする。ステップS7で水タンクありと判定したとき、あるいはステップS8の後は、ステップS4へ戻る。
【0037】
ステップS6で水タンクなし検知済みフラグのセットを判定したときは、ステップS9へ進み、ステップS5で入力した着脱検知スイッチ22の結果を判定し、水タンクありであるときのみステップS10へ進み、注意喚起報知フラグをクリアする。ステップS9で水タンクなしと判定したとき、あるいはステップS10の後は、ステップS4へと戻る。
【0038】
このように、ステップS4で、開始手段6からの開始要求を判定するまで、ステップS5〜ステップS10で、着脱検知手段5により水タンク3のあり/なしを監視する。そして、水タンク3のなし、すなわち取り外しを検知した後、水タンクあり、すなわち水タン
ク装着を検知できたときに、注意喚起報知フラグをクリアすることができる。
【0039】
ステップS4で、開始手段6から開始要求があったと判定したときは、ステップS11へ進む。ステップS11では、注意喚起フラグがセットされているかどうかの判定を行い、セットされていれば、ステップS12へ進み、セットされていなければ、ステップS13へ進む。ステップS12では、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨の報知を行う。具体的には、マイクロコンピュータのROM上に圧縮して記録されている「水タンクの水量を確認してください」という音声データをマイクロコンピュータ内蔵のADPCMを介して音声信号に変換し、この音声信号を音声報知手段9のアンプ回路で増幅してスピーカーで報知する。そして、ステップS13で、加熱手段2による加熱を始め、炊飯動作を開始する。
【0040】
以上のように、本実施の形態においては、炊飯終了、すなわち加熱手段2の加熱を停止してから、開始手段6からの開始要求信号が入るまでの間に、水タンク3の取り外し、そしてその後の装着を検知できなければ、開始手段6からの開始要求信号が入ってきたときに、音声報知手段9により、「水タンクの水量を確認してください」と、水量確認の注意喚起の報知をすることができる。
【0041】
本実施の形態の炊飯器では、水タンク3を炊飯器本体11から着脱式としているので、使用者は通常、炊飯時に水タンク3に水を供給するのに、水タンク3を炊飯器本体11から一旦取り外し、水道の蛇口で水を入れ、再び炊飯器本体11内へ装着することを想定している。よって、開始手段6への開始要求がある前に水タンク3の取り外しと装着が検知できないということは、使用者が水タンク3への水供給を忘れている可能性が高いということになり、そのときに水量確認の注意喚起の旨を報知でき、水タンク3への水供給忘れを防止できる。逆に、開始手段6への開始要求がある前に水タンク3の取り外しと装着が検知できたときは、使用者は水タンク3への水供給のため一旦炊飯器本体11から外したことが考えられ、このとき水量確認の注意喚起の旨の報知は行わないので、不要な報知をすることがなく、音声報知による使用者の煩わしさを軽減することができる。
【0042】
(実施の形態2)
図1に示す判定手段10は、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した後、第1の所定時間(例えば、10秒)内に着脱検知手段5の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったとき、音声報知手段9を制御して水量確認の注意喚起の旨を再び繰り返して報知するようにしている。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0043】
上記構成において図4のフローチャートを参照しながら動作を説明する。なお、ステップS1〜ステップS13の動作は上記実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0044】
マイクロコンピュータのRAM上にタイマ変数(以下、タイマという)を準備し、ステップS3で、水タンクなしフラグのクリアをした後、ステップS20でタイマを0に初期化する。そして、ステップS7で水タンクなしを検知したとき、ステップS21でタイマを1秒単位で計時し、このタイマが10秒に到達したかどうかを判定し、10秒に到達したときは、ステップS8に進むが、到達していないときは、ステップS4へ戻る。また、ステップS7で水タンクありを検知したときは、ステップS22へ進み、タイマを0に初期化し、ステップS4へ戻る。
【0045】
このように、着脱検知手段5による水タンクなしの検知時間、すなわち第1の所定時間が10秒より短いときは、水タンクなしフラグがセットされないので、ステップS9には進むことがなく、その結果、注意喚起報知フラグがクリアされることはない。つまり、着
脱検知手段5により水タンク3の取り外し期間がある程度維持されてからでないと、水タンク3の取り外しから装着の状態を検知しても、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知するよう制御する。
【0046】
以上のように、本実施の形態においては、判定手段10は、着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られた場合、水タンク3の取り外しから装着の時間が第1の所定時間(10秒)より短いとき、音声報知手段9を制御して水量確認の注意喚起の旨を報知するようにしたので、炊飯器の移動の際など、炊飯の振動により瞬間的に水タンク3が外れた場合、判定手段10が水タンク3の取り外しから装着の時間が第1の所定時間(10秒)より短いと判定することとなり、使用者による水タンク3の取り外しではないと判定でき、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知できる。
【0047】
なお、本実施の形態の炊飯器において、水タンクなしの検知時間、すなわち第1の所定時間を10秒としているが、これは一例で、これに限定するものではない。要は、使用者が水タンク3を取り出して水を供給し、再び装着するまでに要する時間より十分短い時間であればよい。
【0048】
(実施の形態3)
図1に示す判定手段10は、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した後、第2の所定時間(例えば、30秒)内に着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなかったとき、音声報知手段9を制御して水量確認の注意喚起の旨を再び繰り返して報知するようにしている。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0049】
上記構成において動作を説明する。判定手段10は、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨である「水タンクの水量を確認してください」を報知した後、第2の所定時間(30秒)内に着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなかったとき、音声報知手段9を制御して「水タンクの水量を確認してください」を再び繰り返して報知する。このように制御することにより、使用者が一度目の報知を聞き損じていても、念押しで水量確認の注意喚起を行うことができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態においては、判定手段10は、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した後、第2の所定時間(30秒)内に着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなかったとき、音声報知手段9を制御して水量確認の注意喚起の旨を再び繰り返して報知するようにしたので、使用者が一度目の報知を聞き損じていても、再び報知するので、念押しで水量確認の注意喚起を行うことができる。
【0051】
(実施の形態4)
図1に示す判定手段10は、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した回数をカウントし、所定回数(例えば、5回)に到達すると、着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなくとも、音声報知手段9を制御して再度水量確認の注意喚起の旨を報知は行わないようにしている。他の構成は上記実施の形態1または3と同じである。
【0052】
上記構成において動作を説明する。判定手段10は、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨である「水タンクの水量を確認してください」を報知した回数をカウントし、所定回数(5回)に到達すると、着脱検知手段5による水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなくとも音声報知手段9に再度水量確認の注意喚起の旨を報知は行わないよう制御する。このように制御することにより、使用者による水タンク3の取り外しおよび装着の検知ができないと、水量確認の注意喚起の旨の報知を繰り返し行うことになるが、所定回数(5回)で報知を止めることができる。
【0053】
以上のように、本実施の形態においては、判定手段10は、音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した回数をカウントし、所定回数(5回)に到達すると、着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなくとも、音声報知手段9を制御して再度水量確認の注意喚起の旨を報知は行わないようにしたので、使用者による水タンク3の取り外しおよび装着が検知ができないと、水量確認の注意喚起の旨の報知を繰り返し行うことになるが、所定回数(5回)で報知を止めることができる。例えば、使用者がコップなど別容器で水タンク3に水を供給する場合があり、この場合、水タンク3の取り外しおよび装着は発生しないが、適切に対処することができる。
【0054】
(実施の形態5)
図1に示す制御手段8は、判定手段10が開始手段6の信号を受けて音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知するとき、加熱手段2への加熱を停止するようにしている。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0055】
上記構成において動作を説明する。制御手段8は、判定手段10が開始手段6の信号を受けて音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨である「水タンクの水量を確認してください」を報知するとき、加熱手段2への加熱を停止するようにし、炊飯動作を禁止する。このように制御することにより、水タンク3の取り外しから装着の信号が得られないとき、すなわち水タンク3を取り外した形跡がないということは水タンク3への水供給忘れが考えられ、このときに加熱を停止、すなわち炊飯動作を禁止することで、高温蒸気の供給不足による炊飯の食味低下を防ぐことができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段8は、判定手段10が開始手段6の信号を受けて音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知するとき、加熱手段2への加熱を停止するようにしたので、水タンク3の取り外しから装着の信号が得られないとき、すなわち水タンク3を取り外した形跡がないということは水タンク3への水供給忘れの可能性があり、このときには鍋1の加熱を停止することで、高温蒸気の供給不足による炊飯の食味低下を防ぐことができる。
【0057】
(実施の形態6)
図1に示す制御手段8は、判定手段10が開始手段6の信号を受けて音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した後に、判定手段10が着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号を得たとき、加熱手段2への加熱を行うようにしている。他の構成は上記実施の形態1または5と同じである。
【0058】
上記構成において動作を説明する。制御手段8は、判定手段10が開始手段6の信号を受けて音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨である「水タンクの水量を確認してください」を報知した後に、判定手段10が着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得たときは、加熱手段2への加熱を行い、炊飯動作を開始する。このように制御することにより、水タンク3の取り外しから装着の信号が得られたとき、すなわち水タンク3を取り外した形跡があったということは水タンク3への水供給完了が考えられ、このときに加熱を開始、すなわち炊飯動作を開始することで、高温蒸気の供給不足の回避の可能性が高い炊飯が実施できる。
【0059】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段8は、判定手段10が開始手段6の信号を受けて音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した後に、判定手段10が着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号を得たとき、加熱手段2への加熱を行うようにしたので、水タンク3の取り外しから装着の信号が得られたとき、すなわち水タンク3を取り外した形跡があったということは水タンク3への水供給完了の可能性が
あり、このとき鍋1の加熱を再開することで、高温蒸気の供給不足を回避できる。
【0060】
(実施の形態7)
図1に示す制御手段8は、判定手段10が開始手段6の信号を受けて音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した後に、判定手段10が着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなくても、第3の所定時間(例えば、3分)が経過すると、加熱手段2への加熱を行うようにしている。他の構成は上記実施の形態1または6と同じである。
【0061】
上記構成において動作を説明する。制御手段8は、判定手段10が開始手段6の信号を受けて音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨である「水タンクの水量を確認してください」を報知した後に、判定手段10が着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなくても、第3の所定時間(3分)が経過すると、加熱手段2への加熱を行い、炊飯動作を開始する。このように制御することにより、例えば音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した後に使用者が場を離れて、水タンク3へ水を供給できなくなっても、第3の所定時間(3分)が経過すると、加熱手段2による加熱を開始するので、高温蒸気の供給不足による食味低下が発生するかもしれないが、炊飯の失敗は回避できる。
【0062】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段8は、判定手段10が開始手段6の信号を受けて音声報知手段9に水量確認の注意喚起の旨を報知した後に、判定手段10が着脱検知手段5の水タンク3の取り外しから装着の信号が得られなくても、第3の所定時間(3分)が経過すると、加熱手段2への加熱を行うようにしたので、例えば、音声報知手段9により水量確認の注意喚起の旨を報知した後に使用者が場を離れて、水タンク3へ水を供給できなくなっても、第3の所定時間(3分)所定時間が経過すると、加熱手段2による加熱を開始するので、高温蒸気の供給不足による食味低下が発生するかもしれないが、炊飯の失敗を回避できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、音声報知手段による水量確認の注意喚起の旨を報知は、判定手段が、制御手段が加熱手段の加熱を停止してから開始手段の信号を受けるまでに、着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったときのみに絞って報知できるため、適切なときにのみ、水量確認の注意喚起の旨を報知することができ、音声報知による使用者の煩わしさを軽減できるとともに、水供給忘れを防止できるので、水の沸点以上の蒸気を利用して炊飯性能を向上させる炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図3】本発明の実施の形態1における炊飯器の要部動作フローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器の要部動作フローチャート
【図5】従来の炊飯器の断面図
【符号の説明】
【0065】
1 鍋
2 加熱手段
3 水タンク
4 高温蒸気供給手段
5 着脱検知手段
6 開始手段
7 LCD
8 制御手段
9 音声報知手段
10 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米や水を入れる鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、水を入れる着脱自在な水タンクと、前記水タンク内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱し前記鍋内に供給する高温蒸気供給手段と、前記水タンクの着脱を検知する着脱検知手段と、前記加熱手段の加熱開始を要求する開始手段と、固定表示式のLCDと、前記開始手段からの信号を受け前記加熱手段、前記高温蒸気供給手段、前記LCDなどを制御する制御手段と、音声により報知する音声報知手段と、前記着脱検知手段の信号を受け前記水タンクの着脱を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は、前記制御手段が前記加熱手段の加熱を停止してから前記開始手段の信号を受けるまでに、前記着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったとき、前記音声報知手段を制御して水量確認の注意喚起の旨を報知するよう構成した炊飯器。
【請求項2】
判定手段は、着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られた場合、水タンクの取り外しから装着の時間が第1の所定時間より短いとき、音声報知手段を制御して水量確認の注意喚起の旨を報知するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
判定手段は、音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知した後、第2の所定時間内に着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなかったとき、前記音声報知手段を制御して水量確認の注意喚起の旨を再び繰り返して報知するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
判定手段は、音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知した回数をカウントし、所定回数に到達すると、着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなくとも、音声報知手段を制御して再度水量確認の注意喚起の旨を報知は行わないようにした請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
制御手段は、判定手段が開始手段の信号を受けて音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知するとき、加熱手段への加熱を停止するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項6】
制御手段は、判定手段が開始手段の信号を受けて音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知した後に、判定手段が着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号を得たとき、加熱手段への加熱を行うようにした請求項5記載の炊飯器。
【請求項7】
制御手段は、判定手段が開始手段の信号を受けて音声報知手段に水量確認の注意喚起の旨を報知した後に、判定手段が着脱検知手段の水タンクの取り外しから装着の信号が得られなくても、第3の所定時間が経過すると、加熱手段への加熱を行うようにした請求項6記載の炊飯器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−268716(P2009−268716A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121953(P2008−121953)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】